JP2021138649A - スガマデクス含有の液体製剤及びその製造方法 - Google Patents

スガマデクス含有の液体製剤及びその製造方法 Download PDF

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Misaki Yoshida
美咲 吉田
建志 鹿取
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建志 鹿取
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Abstract

【課題】長期保存時においてスガマデクス又はそのナトリウム塩の安定した物性を維持し、変色の少ない、スガマデクス含有の液体製剤の製造方法及び液体製剤を提供することを目的とする。【解決手段】容器内に収容された、スガマデクス又はそのナトリウム塩を含有する液体製剤であって、前記容器内において、前記液体製剤の表面に、酸素濃度が15v/v%以下の気体が接触されてなる液体製剤、および、スガマデクス又はそのナトリウム塩を含有する液体製剤を調製し、得られた液体製剤を、容器への収容の前に、滅菌工程としてろ過滅菌及び/又は容器への収容の後に、高圧蒸気滅菌法で滅菌することを含む液体製剤の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、スガマデクス含有の液体製剤及びその製造方法に関する。
スガマデクスナトリウムは、ロクロニウム臭化物又はベクロニウム臭化物による筋弛緩状態からの回復のために、静脈内投与する製剤として市販されている(例えば、非特許文献1)。
ブリディオン静注200mg、500mgの添付文書
しかし、無色透明の注射液剤が、保存中に、淡黄褐色澄色に変化することがあり、スガマデクス又はそのナトリウム塩の分解又は類縁物質の発生防止の観点から、注射液剤の着色変化を防止する要請がある。
本発明は、長期保存時においてスガマデクス又はそのナトリウム塩の安定した物性を維持し、変色の少ない、スガマデクス含有の液体製剤及びその製造方法を提供することを目的とする。
本願は以下の発明を含む。
(1)容器内に収容された、スガマデクス又はそのナトリウム塩を含有する液体製剤であって、
前記容器内において、前記液体製剤の表面に、酸素濃度が15v/v%以下の気体が接触されてなる液体製剤。
(2)前記液体製剤の表面に接触する前記容器内の気体は、不活性ガスにより酸素濃度が低減された気体である上記に記載の液体製剤。
(3)保存期間前後における波長400nm〜490nmでの吸光度変化が0.07以下である上記に記載の液体製剤。
(4)前記容器が、ガラス製容器である上記に記載の液体製剤。
(5)前記容器が、気体の半透過性容器である上記に記載の液体製剤。
(6)前記容器がブリスターパック又はピローパックされてなる上記に記載の液体製剤。
(7)前記ブリスターパック又はピローパック内の酸素濃度が15v/v%以下である上記に記載の液体製剤。
(8)スガマデクス又はそのナトリウム塩を含有する液体製剤を調製し、
得られた液体製剤を、容器への収容の前に、滅菌工程としてろ過滅菌及び/又は容器への収容の後に、高圧蒸気滅菌法で滅菌することを含む液体製剤の製造方法。
(9)さらに、得られた液体製剤を、容器へ収容した後、
前記液体製剤の表面に接触する前記容器内の気体の酸素濃度を15v/v%以下に調整することを含む上記に記載の液体製剤の製造方法。
(10)スガマデクス又はそのナトリウム塩を含有する液体製剤を調製し、
得られた液体製剤を、容器へ収容した後、
前記液体製剤の表面に接触する前記容器内の気体の酸素濃度を15v/v%以下に調整することを含む液体製剤の製造方法。
(11)前記液体製剤の表面に接触する前記容器内の気体の酸素濃度を5v/v%〜10v/v%に調整する上記に記載の液体製剤の製造方法。
(12)前記液体製剤の表面に接触する前記容器内の気体を不活性ガスにより酸素濃度を低減させることを含む上記に記載の液体製剤の製造方法。
(13)前記容器がガラス製容器又は気体の半透過性容器である上記に記載の液体製剤の製造方法。
(14)前記容器としてシリンジを用いてプレフィルドシリンジの形態とする上記に記載の液体製剤の製造方法。
(15)前記容器をブリスターパック又はピローパックする上記に記載の液体製剤の製造方法。
本発明によれば、長期にわたって安定した特性を維持し、変色の少ない、スガマデクス含有の液体製剤及びその製造方法を提供することができる。
本願のスガマデクス含有の液体製剤は、安定かつ変色を低減した、スガマデクス又はそのナトリウム塩を含有する製剤である。
スガマデクスナトリウムは、化学名がCyclooctakis-(-1→4)-{6-S-[2-(sodium arboxylato)ethyl] -6-thio-α-D-glucopyranosyl}である、以下の構造を有する化合物である。
Figure 2021138649
スガマデクス又はそのナトリウム塩を含有する製剤は、通常、スガマデクスとしての投与量が2mg/kg〜16mg/kgの範囲となるように処方されている。ただし、スガマデクスナトリウムの一回投与量は、年齢、性別、体重、麻酔深度、つまり筋弛緩状態等によって、適宜変更することができる。スガマデクス又はそのナトリウム塩は、液体製剤の全質量を基準に、スガマデクスとして0.1質量/容量%〜20質量/容量%含有することができ、1質量/容量%〜10質量/容量%含有することが好ましい。また、スガマデクス又はそのナトリウム塩は、スガマデクスとして、液体製剤2mL中、200mg含有されるか、5mL中、500mg含有されることが好ましい。
本願のスガマデクス含有の液体製剤は、容器内において、液体製剤の表面に、酸素濃度が15v/v%以下の気体が接触した状態で容器内に収容された液体製剤である。そのために、この液体製剤が収容された容器空間部に、不活性ガス(例えば、窒素等)を封入することにより、酸素濃度が15v/v%以下としている。容器空間部は、特に、10v/v%以下の酸素濃度、7.5v/v%以下の酸素濃度、5v/v%以下の酸素濃度、0v/v%の酸素濃度とするか又は不活性ガス(例えば、窒素等)置換することがより好ましい。このように、酸素濃度を低減させることにより、スガマデクス含有の液体製剤の保存によって発生し得る類縁物質を低減することができ、液体製剤の着色変化を防止することができる。
液体製剤を収容する容器としては、バイアル、シリンジ、アンプル、バッグ等が挙げられる。これらの容器は、ガラス製又はプラスチック製のいずれでもよく、気体の半透過性を有するものでもよい。好ましくは、ガラス製又はオレフィン系のプラスチックが挙げられる。プラスチックとしては、特に、シクロオレフィンポリマー、ポリエチレン及びポリプロピレンが好ましい。シリンジは、シリンジバレルと、封止キャップと、プランジャと、ガスケットとからなるものが挙げられる。
このように容器に収容された液体製剤は、容器に収容された状態で、ブリスターパック、ピローパック等の包装体に包囲されて保存することが好ましい。容器の外側かつ包装体内には、バイアル、シリンジ等の外側に脱酸素剤を備えることが好ましい。特にシリンジの容器の場合、包装体の材質は水蒸気及び/又は酸素の透過性が低いものが好ましい。例えば、酸素透過性が1mL/m2・日・atm以下及び/又は水蒸気透過速度が1g/平方メートル・日以下であるものがより好ましい。このような包装体は、例えば、樹脂製の袋が挙げられる。脱酸素剤を配置することが好ましい。特にプレフィルドシリンジ形態の場合、包装体の材質は水蒸気及び/又は酸素の透過性が低いものが好ましい。例えば、酸素透過性が1mL/m・日・atm以下及び/又は水蒸気透過速度が1g/平方メートル・日以下であるものがより好ましい。このような包装体は、例えば、樹脂製の袋、樹脂製シートの接合体、樹脂製シートの表面に金属膜が設けられたもの等が挙げられる。
容器に収容された液体製剤がブリスターパック、ピローパック等の包装体に包囲される場合、ブリスターパック又はピローパック内の酸素濃度が15v/v%以下であることが好ましく、10v/v%以下、7.5v/v%以下、5v/v%以下、0v/v%又は窒素置換されていることがより好ましい。このように、包装体内の酸素濃度を低減することにより、容器内の液体製剤の酸素濃度も低減でき、低酸素濃度の状態を維持することができる。
本願のスガマデクス含有の液体製剤は、60℃で3週間保存前後における、波長400nm〜490nmでの吸光度変化を0.07以下とすることができる。つまり、スガマデクスの類縁物質の発生が低減され、目視における黄変等の液体の変色を低減し、透明又は略透明な状態を維持することができる。
〔液体製剤の製造方法〕
本発明のスガマデクス含有の液体製剤は、スガマデクス又はそのナトリウム塩を含有する液体製剤を調製し、(A)得られた液体製剤を、容器への収容の前に、滅菌工程としてろ過滅菌及び/又は容器への収容後に高圧蒸気滅菌法で滅菌することを含む及び(B)得られた液体製剤を、容器へ収容した後、液体製剤の表面に接触する該容器内の気体の酸素濃度を15v/v%以下に調整することを含む。つまり、気体の調整の前後に、滅菌工程を設けてもよい。
(a.液体製剤の調製)
スガマデクス又はそのナトリウム塩を含有する製剤を製造するために、まず、スガマデクス又はそのナトリウム塩を含有する液体製剤を調製する。
スガマデクス又はそのナトリウム塩は、白色の粒又は粉末であり、水に極めて溶けやすいことから、上述した割合のスガマデクス又はそのナトリウム塩を水に溶解させる。ここで用いる水は、日本薬局方に従う常水(水道水・井戸水)、精製水、滅菌精製水、注射用水等のいずれでもよいが、注射用水を用いることが好ましい。
ここでの水溶液の濃度は、上述した割合でスガマデクス又はそのナトリウム塩を含有し得る濃度とすることが好ましい。このような濃度とすることにより、医療現場で製剤を開封した後に、希釈等の調剤作業を行なうことなく、患者に直接投与することができる。
液体製剤は、pH7〜8に調整することが好ましい。pHは、pH調整剤として、塩酸等の酸又は水酸化ナトリウム等のアルカリ、薬学的に許容し得る緩衝液等を用いて調整することができる。
液体製剤には、注射剤に通常含有される添加物、例えば、pH調整剤、等張化剤、増量剤、保存剤/防腐剤等、当該分野で公知の添加剤が含有されていてもよい。
注射剤の添加剤として、単糖類、二糖類、メチオニン、キシリトール、ポリオール、糖アルコール、多価アルコール、塩化ナトリウム等を含有させてもよい例えば、単糖類、二糖類、メチオニン、キシリトール、ポリオール、糖アルコール、多価アルコール、塩化ナトリウム等が挙げられる。pHは、塩酸等の酸または水酸化ナトリウム等のアルカリを用いて調整すればよいが、薬学的に許容し得る緩衝液を用いてもよい。また、注射剤の添加剤として、塩化ナトリウム又はブドウ糖を添加してもよい。保存剤/防腐剤としては、例えば、クレゾール、ベンジルアルコール、フェノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロロブタノール、フェニルエチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、チメロサール、硝酸等が挙げられる。添加剤としては、pH調整剤、等張化剤、増量剤、保存剤/防腐剤等、当該分野で公知の添加剤が挙げられる。
保存剤/防腐剤としては、例えば、クレゾール、ベンジルアルコール、フェノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロロブタノール、フェニルエチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、チメロサール、硝酸及び酢酸フェニル水銀等が挙げられる。その添加量は、当該分野で通常使用される量とすることができる。
(b.滅菌)
滅菌を、液体製剤を容器に収容する前後に行なうことが好ましい。滅菌は、例えば、ろ過滅菌として行なうことができる。
ろ過滅菌は、例えば、フィルタを用いて行なうことができる。得られた液体製剤を、例えば、孔径0.22μmフィルタで濾過すればよい。フィルタは、例えば、ポリフッ化ビニリデン製、ポリエーテルスルホン製等のカートリッジフィルタを用いることができる。ろ過滅菌は、液体中に含有される伝染性作用物質(真菌、細菌、ウイルス、胞子形態など)を含むすべての微生物生命形態を除去するか又は死滅させる、任意のプロセスを包含する。フィルタは異なる孔径を有するものを2種以上用いてもよい。通常、孔径0.22μmのフィルタは、精密濾過として、微生物を除去することができる。孔径20nm〜50nmのさらに小孔径のナノフィルタを用いてもよい。
ろ過滅菌は、その前後、好ましくは後に、熱、化学物質、放射線照射、高圧、高圧蒸気等を利用した滅菌と組み合わせてもよい。
滅菌は、熱を利用したものが好ましく、乾熱及び湿熱のいずれで行なってもよい。乾熱法としては、高熱空気を用いた乾熱滅菌が挙げられる。湿熱法としては、蒸気を用いた方法が挙げられ、例えば、高圧蒸気滅菌が挙げられる。なかでも、高圧蒸気滅菌が好ましい。
高圧蒸気滅菌は、液体製剤をろ過滅菌した後、容器に収容し、密封した状態で行なうことが好ましい。密封は、例えば、バイアル等の場合には、施栓して行なうことが好ましい。栓は、ゴム製等、種々の材料のものが挙げられる。栓をした後、さらに、アルミニウム製などのキャップによって、巻締めすることが好ましい。また、シリンジ等の場合には、トップキャップを装着し、ガスケットによって施栓した状態で行なうことが好ましい。
熱を利用した滅菌は、上述したように、半透過性容器を用いた場合、重力加圧脱気式高圧蒸気滅菌器及び真空脱気プリバキューム式高圧蒸気滅菌器等の市販の高圧蒸気滅菌器を利用することができる。このような滅菌器を用いる場合、滅菌庫内の気体を、15v/v%以下の酸素濃度に調整又は窒素置換することが好ましい。これによって、スガマデクス又はそのナトリウム塩の分解又は類縁物質の発生を防止し、液体製剤の着色変化を防止することに寄与することができる。
なお、このように、容器を施栓する場合、容器内に残存する気体、つまり、液体製剤表面に接触する気体を、15v/v%以下の酸素濃度に調整することが好ましく、10v/v%以下の酸素濃度、7.5v/v%以下の酸素濃度、5v/v%以下の酸素濃度、0v/v%の酸素濃度又は窒素置換することがより好ましい。そのために、この液体製剤が収容された容器空間部に、不活性ガス(例えば、窒素等)を封入することが好ましい。このように、酸素濃度を調整することにより、保存によって発生し得る類縁物質を低減することができ、液体製剤の着色変化を防止することができる。
(c.容器への収容)
液体製剤を容器に収容する。液体製剤を収容する容器は、その前に、容器自体を滅菌することが好ましい。容器の滅菌は、当該分野で公知の熱、化学物質、放射線照射、高圧、高圧蒸気等を利用した滅菌と組み合わせてもよい。なかでも、熱を利用したものが好ましく、乾熱及び湿熱のいずれで行なってもよい。乾熱法としては、高熱空気を用いた乾熱滅菌が挙げられる。湿熱法としては、蒸気を用いた方法が挙げられ、例えば、高圧蒸気滅菌が挙げられる。その条件は、当該分野で公知の条件を採用することができる。その後、容器を密閉することが好ましい。
(d.気体の調整)
容器に液体製剤を収容した後、上述したように施栓する場合、容器内に残存する気体、つまり、液体製剤表面に接触する気体を、15v/v%以下の酸素濃度に調整することが好ましく、10v/v%以下の酸素濃度であることがより好ましく、7.5v/v%以下又は5v/v%以下の酸素濃度であることがさらに好ましく、0v/v%以下の酸素濃度、つまり、窒素などの不活性ガスで置換することがより一層好ましい。そのために、容器空間部に不活性ガスを封入する。このように、酸素濃度を調整することにより、保存によって発生し得るスガマデクス又はそのナトリウム塩の分解又は類縁物質の発生を防止し、液体製剤の着色変化を防止することに寄与することができる。
なお、上述した気体の調整をする前、例えば、液体製剤の調製後、容器への収容前に、液体製剤を、上述したように、ろ過滅菌することが好ましい。
さらに、容器内の気体を、15v/v%以下の酸素濃度に調整した後、ろ過滅菌とは別個に、容器を密封した状態で滅菌してもよい。ここでの滅菌は、上述した乾熱法及び湿熱法のいずれでもよい。なかでも、高圧蒸気滅菌が好ましい。
本願のスガマデクス又はそのナトリウム塩含有の液体製剤の製造方法によって得られた液体製剤は、長期保存によっても、スガマデクス又はそのナトリウム塩の安定した物性を維持し、変色が少ない。
ここでの安定した物性とは、苛酷試験(60℃、75%RH)での保存1週間後(7日間後)、10日後、2週間後(14日間後)、20日後及び/又は3週間後(21日後)等においても、有効成分に起因する分解物、不純物等の発生を極力抑制することができ、液剤の変色を抑制することを意味する。このような安定化を図ることにより、スガマデクスを含有する製剤を、長期にわたって、変色することなく、安定に保存することができる。
例えば、本願のスガマデクス又はそのナトリウム塩含有の液体製剤は、苛酷試験(60℃、75%RH)での保存10日後及び/又は20日後においても、製剤直後(0日目)の液剤の色を、ほぼ維持することができる。言い換えると、本願のスガマデクス又はそのナトリウム塩含有の液体製剤は、苛酷試験(60℃、75%RH)での保存1週間後及び/又は3週間後においても、製造直後(0日目)からの400nm、430nm、450nm、490nm等の波長における吸光度の上昇を抑制することができる。
また、本願のスガマデクス又はそのナトリウム塩含有の液体製剤は、苛酷試験(60℃、75%RH)での保存1週間後及び/又は3週間後においても、類縁物質等の量の増加を効果的に抑制することができる。
以下に、実施例、比較例及び試験例により、本発明をより具体的に説明する。
実施例A
スガマデクスナトリウムを、スガマデクスとして100mg/mlの最終濃度となるように注射用水に溶解した。pH調整剤として、必要に応じて塩酸又は水酸化ナトリウムを用いて、pH7.5に調整した。
この液体製剤を、ポリフッ化ビニリデン製カートリッジフィルタ(孔径:0.22μm)でろ過した。
得られた液体製剤を、無色のほう珪酸ガラスをファイアブラスト(登録商標)加工した、16mm(胴外形)×全長35mm(2mL)のバイアルに収容し、バイアル内の液体製剤の空間部の気体を、酸素濃度20%、つまり、大気下で施栓するか、10%、5%、2%及び0%の気体に窒素ガスでそれぞれ置換し、塩素化ブチルゴムのラミネート無の直径13mmのゴム栓で施栓し、アルミニウム製キャップ(ポリプロピレン製のフリップオフキャップ)によって巻締めして、液体製剤を得た。
その後、各液体製剤を、市販の高圧蒸気滅菌装置(平山製作所製、高圧蒸気滅菌器 HV−110LB)を用いて、121℃にて15分間の条件で、高圧蒸気滅菌に付して、各液体製剤a、b、c、d、eを得た。
参考例として、市販のブリディオン静注200mg製剤(製造後12ヶ月)を準備した。
試験例1
上記で得られた液体製剤a、b、c、d、e並びに市販の製剤を、苛酷試験(60℃、75%RH)に付した。苛酷試験開始時(0日目)、1週間後(7日目)及び3週間後(21日目)に、それぞれ400nm、430nm、450nm、490nmの波長での吸光度を、市販の分光光度計(島津製作所製、UV−2700)にて測定した。
その結果を表1に示す。
Figure 2021138649
表1の結果から、バイアル中の酸素濃度が低いほど、吸光度は低い値を示した。このような結果から、酸素濃度が低いほど、着色を効果的に抑制することが達成できた。
試験例2
上記で得られた液体製剤a、b、c、d、e並びに市販の製剤を、苛酷試験(60℃、75%RH)に付した。苛酷試験開始時(0日目)、1週間後(7日目)及び3週間後(21日目)に、それぞれバイアル中の液体製剤中の類縁物質の量(質量%)を測定した。
その結果を表2に示す。
Figure 2021138649
類縁物質の測定は、以下のように行った。
液体製剤0.1mLを量り、移動相Aを加えて5mLとし、試料溶液とした。試料溶液1mLを正確にとり、移動相Aを加えて正確に100mLとして標準溶液とした。試料溶液及び標準溶液10μLずつを正確に量り、液体クロマトグラフィーにより試験を行い、それぞれの液の各々のピーク面積を自動積分法により測定した。
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:200nm)
カラム:内径4.6mm、長さ250mmのステンレス管に3μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを収容した。
カラム温度:40℃付近の一定温度
移動相:移動相A−リン酸二水素ナトリウム二水和物3.9gを水1000mLに溶かし、リン酸を用いてpH3.0に調整する(リン酸塩緩衝液)。この液900mLにアセトニトリル100mLを加えた。
移動相B−アセトニトリル/リン酸塩緩衝液混液(4:1)
移動相の送液:移動相A及び移動相Bの混合比を表3に示すように変えて濃度勾配制御した。
流量:1.0mL/min
注入量:10μL
Figure 2021138649
なお、RRT0.68及びRRT0.78は、それぞれ、以下の式により求めた。RRT(相対保持時間)1.00は、試料溶液中のスガマデクスの保持時間を示す。
RRT=試料溶液中の類縁物質の保持時間/試料溶液中のスガマデクスの保持時間
また、類縁物質の量は、以下の式により求めた。
個々の類縁物質量(%)=試料溶液中の個々の類縁物質のピーク面積/標準溶液中のスガマデクスナトリウムのピーク面積
類縁物質量(%)=試料溶液中の類縁物質の合計ピーク面積/標準溶液中のスガマデクスナトリウムのピーク面積
表2において、RRT0.68、RRT0.78は、それぞれ、類縁物質を示すが、RRT0.68、RRT0.78は、容器中の酸素濃度の低下に従って、増加率が著しく低減した。これらの結果は、市販品との比較において、類縁物質の発生が顕著に低減したことを示す。
本発明によれば、長期保存時においても安定した物性を維持し、変色の少ないスガマデクス又はそのナトリウム塩含有の液体製剤を製造することができる。

Claims (15)

  1. 容器内に収容された、スガマデクス又はそのナトリウム塩を含有する液体製剤であって、
    前記容器内において、前記液体製剤の表面に、酸素濃度が15v/v%以下の気体が接触されてなる液体製剤。
  2. 前記液体製剤の表面に接触する前記容器内の気体は、不活性ガスにより酸素濃度が低減された気体である請求項1に記載の液体製剤。
  3. 保存期間前後における波長400nm〜490nmでの吸光度変化が0.07以下である請求項1又は2に記載の液体製剤。
  4. 前記容器が、ガラス製容器である請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体製剤。
  5. 前記容器が、気体の半透過性容器である請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体製剤。
  6. 前記容器がブリスターパック又はピローパックされてなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の液体製剤。
  7. 前記ブリスターパック又はピローパック内の酸素濃度が15v/v%以下である請求項6に記載の液体製剤。
  8. スガマデクス又はそのナトリウム塩を含有する液体製剤を調製し、
    得られた液体製剤を、容器への収容の前に、滅菌工程としてろ過滅菌及び/又は容器への収容の後に、高圧蒸気滅菌法で滅菌することを含む液体製剤の製造方法。
  9. さらに、得られた液体製剤を、容器へ収容した後、
    前記液体製剤の表面に接触する前記容器内の気体の酸素濃度を15v/v%以下に調整することを含む請求項8に記載の液体製剤の製造方法。
  10. スガマデクス又はそのナトリウム塩を含有する液体製剤を調製し、
    得られた液体製剤を、容器へ収容した後、
    前記液体製剤の表面に接触する前記容器内の気体の酸素濃度を15v/v%以下に調整することを含む液体製剤の製造方法。
  11. 前記液体製剤の表面に接触する前記容器内の気体の酸素濃度を5v/v%〜10v/v%に調整する請求項8〜10のいずれか1項に記載の液体製剤の製造方法。
  12. 前記液体製剤の表面に接触する前記容器内の気体を不活性ガスにより酸素濃度を低減させることを含む請求項8〜11のいずれか1項に記載の液体製剤の製造方法。
  13. 前記容器がガラス製容器又は気体の半透過性容器である請求項8〜12のいずれか1項に記載の液体製剤の製造方法。
  14. 前記容器としてシリンジを用いてプレフィルドシリンジの形態とする請求項8〜13のいずれか1項に記載の液体製剤の製造方法。
  15. 前記容器をブリスターパック又はピローパックする請求項8〜14のいずれか1項に記載の液体製剤の製造方法。
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