JP2023024378A - スガマデクス含有の液体製剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】長期保存時においてスガマデクス又はそのナトリウム塩の安定した物性を維持することができるスガマデクス含有の液体製剤を提供することを目的とする。【解決手段】スガマデクス又はそのナトリウム塩を含有する液体製剤であって、前記液体製剤が容器に収容され、かつ前記容器がその形状に沿ったフィルムに被覆されている液体製剤。【選択図】図9
Description
本発明は、スガマデクス含有の液体製剤に関する。
スガマデクスナトリウムは、ロクロニウム臭化物又はベクロニウム臭化物による筋弛緩状態からの回復のために、静脈内投与する製剤として市販されている(例えば、非特許文献1)。
ブリディオン静注200mg、500mgの添付文書
しかし、無色透明の注射液剤が、保存中に、淡黄褐色から橙色に変化することがあり、スガマデクス又はそのナトリウム塩の分解又は類縁物質の発生が懸念されている。
本発明は、長期保存時においてスガマデクス又はそのナトリウム塩の安定した物性を維持することができるスガマデクス含有の液体製剤を提供することを目的とする。
本発明は、長期保存時においてスガマデクス又はそのナトリウム塩の安定した物性を維持することができるスガマデクス含有の液体製剤を提供することを目的とする。
発明者らは、スガマデクス又はそのナトリウム塩を含有する液体製剤に関して、製造原料、製造条件又は製造方法、保存条件等の種々のスガマデクス又はそのナトリウム塩の分解及び類縁物質の発生を引き起こす原因について鋭意検討した結果、製造原料として用いる成分において又はその保存状態、液体製剤自体の保存状態等において、何らかの不純物又は接触気体が、スガマデクス又はそのナトリウム塩の分解及び/又は類縁物質の発生に影響することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本願は以下の発明を含む。
(1)スガマデクス又はそのナトリウム塩を含有する液体製剤であって、
前記液体製剤が容器に収容され、かつ前記容器がその形状に沿ったフィルムに被覆されている液体製剤。
(2)前記フィルムは、シュリンクフィルムである上記に記載の液体製剤。
(3)前記フィルムは、前記容器に接着剤で貼着されている上記のいずれかに記載の液体製剤。
(4)前記フィルムは2層以上の多層構造からなり、少なくとも一つの層間又は前記フィルムが前記容器と接触する面に接着剤を有するものである上記のいずれかに記載の液体製剤。
(5)前記フィルム及び前記接着剤の少なくとも一方は、10nm~390nmの波長の紫外線を70%以上吸収するものである上記のいずれかに記載の液体製剤。
(6)前記容器が、ガラス製容器、気体の半透過性容器又はシリンジである上記のいずれかに記載の液体製剤。
(7)前記容器内の前記液体製剤の表面に接触する気体は、不活性ガスにより酸素濃度が低減された気体である上記のいずれかに記載の液体製剤。
すなわち、本願は以下の発明を含む。
(1)スガマデクス又はそのナトリウム塩を含有する液体製剤であって、
前記液体製剤が容器に収容され、かつ前記容器がその形状に沿ったフィルムに被覆されている液体製剤。
(2)前記フィルムは、シュリンクフィルムである上記に記載の液体製剤。
(3)前記フィルムは、前記容器に接着剤で貼着されている上記のいずれかに記載の液体製剤。
(4)前記フィルムは2層以上の多層構造からなり、少なくとも一つの層間又は前記フィルムが前記容器と接触する面に接着剤を有するものである上記のいずれかに記載の液体製剤。
(5)前記フィルム及び前記接着剤の少なくとも一方は、10nm~390nmの波長の紫外線を70%以上吸収するものである上記のいずれかに記載の液体製剤。
(6)前記容器が、ガラス製容器、気体の半透過性容器又はシリンジである上記のいずれかに記載の液体製剤。
(7)前記容器内の前記液体製剤の表面に接触する気体は、不活性ガスにより酸素濃度が低減された気体である上記のいずれかに記載の液体製剤。
本発明によれば、長期にわたって安定した特性を維持することができるスガマデクス含有の液体製剤を提供することができる。
本願のスガマデクス含有の液体製剤は、スガマデクス又はそのナトリウム塩を含有する製剤である。スガマデクスナトリウムは、化学名がCyclooctakis-(1→4)-{6-S-[2-(sodium carboxylato)ethyl] -6-thio-α-D-glucopyranosyl}である、以下の構造を有する化合物である。
スガマデクス又はそのナトリウム塩を含有する製剤は、通常、スガマデクスとしての投与量が2mg/kg~16mg/kgの範囲となるように処方されている。ただし、スガマデクスナトリウムの一回投与量は、年齢、性別、体重、麻酔深度、つまり筋弛緩状態等によって、適宜変更することができる。スガマデクス又はそのナトリウム塩は、液体製剤の全質量を基準に、スガマデクスとして0.1質量/容量%~20質量/容量%含有することができ、1質量/容量%~10質量/容量%含有するものが好ましい。また、スガマデクス又はそのナトリウム塩は、スガマデクスとして、100mg/ml含有するものが好ましい。例えば、液体製剤2ml中、200mg含有されるか、5ml中、500mg含有されることがより好ましい。
スガマデクス又はそのナトリウム塩を含有する製剤は、通常、スガマデクスとしての投与量が2mg/kg~16mg/kgの範囲となるように処方されている。ただし、スガマデクスナトリウムの一回投与量は、年齢、性別、体重、麻酔深度、つまり筋弛緩状態等によって、適宜変更することができる。スガマデクス又はそのナトリウム塩は、液体製剤の全質量を基準に、スガマデクスとして0.1質量/容量%~20質量/容量%含有することができ、1質量/容量%~10質量/容量%含有するものが好ましい。また、スガマデクス又はそのナトリウム塩は、スガマデクスとして、100mg/ml含有するものが好ましい。例えば、液体製剤2ml中、200mg含有されるか、5ml中、500mg含有されることがより好ましい。
本願のスガマデクス含有の液体製剤は、液体製剤中のマンガンの濃度が、例えば、液体製剤中のスガマデクスの全質量に対して、0.50ppm以下、0.40ppm以下、0.30ppm以下/未満、0.25ppm以下/未満又は0.20ppm以下/未満等が挙げられる。このように、液体製剤中のマンガンの濃度を抑えることにより、スガマデクス含有の液体製剤の保存によって発生し得る類縁物質を低減することができ、液体製剤の長期にわたる安定性を確保することができる。
ここでの安定した物性とは、ICH Q1Bガイドラインに準じた光苛酷試験(D65ランプを光源として、60万lx・hr又は120万lx・hrの暴露)での条件(それぞれ、2000lxの照度の屋外の昼光下で一日あたり24時間、光に曝される条件での12.5日間及び25日間の保存期間に相当する。)においても、有効成分に起因する分解物、不純物等の発生を極力抑制することができることを意味する。また、黄変等を抑制することもできる。このような安定化を図ることにより、スガマデクスを含有する製剤を、長期にわたって安定に保存することができる。
ここでの安定した物性とは、ICH Q1Bガイドラインに準じた光苛酷試験(D65ランプを光源として、60万lx・hr又は120万lx・hrの暴露)での条件(それぞれ、2000lxの照度の屋外の昼光下で一日あたり24時間、光に曝される条件での12.5日間及び25日間の保存期間に相当する。)においても、有効成分に起因する分解物、不純物等の発生を極力抑制することができることを意味する。また、黄変等を抑制することもできる。このような安定化を図ることにより、スガマデクスを含有する製剤を、長期にわたって安定に保存することができる。
本願のスガマデクス含有の液体製剤は、通常、容器に収容されている。液体製剤を収容する容器としては、バイアル、シリンジ、アンプル、バッグ等が挙げられる。これらの容器は、ガラス製又はプラスチック製のいずれでもよく、気体の半透過性を有するものでもよい。好ましくは、ガラス製又はオレフィン系のプラスチックが挙げられる。プラスチックとしては、特に、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、ポリエチレン及びポリプロピレンが好ましい。シリンジは、シリンジバレルと、封止キャップ(トップキャップ)と、プランジャと、ガスケットとからなるものが挙げられる。
スガマデクス含有の液体製剤は、容器内において、液体製剤の表面に、酸素濃度が15v/v%以下の気体が接触した状態で容器内に収容されたものが挙げられる。そのために、この液体製剤が収容された容器空間部に、不活性ガス(例えば、窒素等)を封入する、あるいはスガマデクス含有の液体製剤を収容した容器を脱酸素剤と共に密封することにより、酸素濃度が15v/v%以下とすることが好ましい。容器空間部は、特に、10v/v%以下の酸素濃度、7.5v/v%以下の酸素濃度、5v/v%以下の酸素濃度、0v/v%の酸素濃度とするか又は不活性ガス(例えば、窒素等)置換することがより好ましい。このように、酸素濃度を低減させることにより、スガマデクス含有の液体製剤の保存によって発生し得る類縁物質を低減することができ、液体製剤の着色変化を防止することができる。
容器に収容されたスガマデクス含有の液体製剤は、容器の形状に沿ったフィルムによって一部又は全体が被覆されている。例えば、図9及び10に示すように、容器の大きさ及び形状に限らず、容器内の液体製剤の一部、好ましくは全部を被覆するように、容器をフィルムで被覆することが好ましい。ここで容器の形状に沿ったとは、容器の凹凸等の形状に追従することを意味する。言い換えると、容器とフィルムとの間の隙間が全体にわたって小さく、隙間が存在するとしても、最大隙間において、フィルムと容器との距離が数mm程度(例えば、5mm以下、好ましくは4mm以下、3mm以下又は2mm以下)である。さらに言い換えると、容器のフィルム被覆全表面の半分以上の面積で容器がフィルムと接触していることが挙げられ、2/3以上の面積での接触が好ましく、70%以上又は80%以上の面積での接触がより好ましい。
ここで用いるフィルムは、樹脂製のものが挙げられ、水蒸気、酸素等のガスの透過を抑制又は遮断する性質、つまりバリア性を有するもの等が例示される。このようなバリア性を有するフィルムは、当該分野、特に医薬品の包装材料における分野において公知のいずれのものを用いてもよい。また、このフィルムは、バリア性を有するか否かにかかわらず、熱収縮性を有するシュリンクフィルムとすることが好ましい。シュリンクフィルムとすることで、容易に容器に沿った形状で包装及び密閉することが可能となる。さらに、このフィルムは、紫外線吸収又は遮断性能を有するものが好ましい。ここでの紫外線とは、例えば、波長が10nmから400nm又は10nmから390nmの不可視光線の電磁波が挙げられる。特に、紫外線吸収又は遮断性能は、例えば、10nmから390nmの不可視光線の電磁波の70%以上、好ましくは80%以上、90%以上、95%以上を遮断又は吸収するものが好ましく、10nmから390nmの不可視光線の電磁波の70%以上、好ましくは80%以上、90%以上、95%以上を遮断又は吸収するものがより好ましい。一方、フィルムに被覆された容器を視認できるよう、このフィルムは、可視光線を透過するものであることが好ましい。ここでの可視光線とは、例えば波長が400nmから800nmの電磁波が挙げられる。特に可視光の透過性能は、例えば、410nm以上の波長の電磁波の40%以上、好ましくは50%以上透過するものが挙げられる。
ここで用いるフィルムは、樹脂製のものが挙げられ、水蒸気、酸素等のガスの透過を抑制又は遮断する性質、つまりバリア性を有するもの等が例示される。このようなバリア性を有するフィルムは、当該分野、特に医薬品の包装材料における分野において公知のいずれのものを用いてもよい。また、このフィルムは、バリア性を有するか否かにかかわらず、熱収縮性を有するシュリンクフィルムとすることが好ましい。シュリンクフィルムとすることで、容易に容器に沿った形状で包装及び密閉することが可能となる。さらに、このフィルムは、紫外線吸収又は遮断性能を有するものが好ましい。ここでの紫外線とは、例えば、波長が10nmから400nm又は10nmから390nmの不可視光線の電磁波が挙げられる。特に、紫外線吸収又は遮断性能は、例えば、10nmから390nmの不可視光線の電磁波の70%以上、好ましくは80%以上、90%以上、95%以上を遮断又は吸収するものが好ましく、10nmから390nmの不可視光線の電磁波の70%以上、好ましくは80%以上、90%以上、95%以上を遮断又は吸収するものがより好ましい。一方、フィルムに被覆された容器を視認できるよう、このフィルムは、可視光線を透過するものであることが好ましい。ここでの可視光線とは、例えば波長が400nmから800nmの電磁波が挙げられる。特に可視光の透過性能は、例えば、410nm以上の波長の電磁波の40%以上、好ましくは50%以上透過するものが挙げられる。
例えば、フィルムは単層で形成されていてもよいが、バリア性、熱収縮性、紫外線吸収等の性能とを兼ね備えるために、これらの性能を有する2種以上の多層構造のフィルムであってもよい。具体的には、バリア性を有する、熱収縮性を有する及び/又は紫外線吸収性を有するフィルム、少なくとも一つの層間又は前記フィルムが前記容器と接触する面に紫外線吸収剤等を含有していてもよい接着剤層等を有する多層フィルム等が挙げられる。また、フィルムは単層、多層を問わず、被覆対象物に貼着できるよう、フィルムの少なくとも一面に、紫外線吸収剤を含有していてもよい接着剤層又は粘着剤層を有しているものが挙げられる。これらのフィルムの材料は、その性能を有する限り、どのような材料であってもよく、樹脂製のフィルムであることが挙げられる。例えば、ポリエステル系フィルム(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリエチレン系フィルム、ポリスチレン系フィルム(スチレン-ブタジエン共重合体等)、ポリオレフィン系フィルム(ポリプロピレン等)、ポリ塩化ビニル系フィルム、エチレン-ビニルアルコール系フィルム等が挙げられる。
接着剤又は粘着剤は、用いるフィルム等の種類によって適宜選択することができ、上述した機能を発揮させ得る限り、例えば、溶剤型接着剤、水系接着剤、エマルション型接着剤、無溶剤型接着剤、再湿性接着剤、重縮合型接着剤、光硬化型樹脂、熱硬化型樹脂等を使用することができる。具体的には、ポリエステル系接着剤、ポリウレタン系接着剤、イミン系接着剤、アクリル系接着剤、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリビニルエーテル系粘着剤等が挙げられる。
このようなフィルムとしては、例えば、バリア性を有するフィルムが、5μm以上、特に8μm以上、さらには10μm以上の厚みを有するものが挙げられ、50μm以下であることが好ましい。熱収縮性を有するフィルムが、10μm以上、特に20μm以上の厚みを有するものが挙げられ、50μm以下であることが好ましい。接着剤層は、0.5μm以上、特に1μm以上の厚みを有していればよく、10μm以下であることが好ましい。バリア性を有するフィルムと熱収縮性を有するフィルムとの厚さの比(バリア性フィルム/熱収縮性フィルム)は、0.05以上、1.0以下のものが挙げられる。
容器に収容されたスガマデクス含有の液体製剤は、バリア性、熱収縮性及び紫外線吸収の性能を兼ね備えたフィルムによって、熱収縮性を利用して、容器の形状に沿って容器が被覆されていればよく、密着し及び/又は密閉した状態で被覆されているものが好ましい。
接着剤又は粘着剤は、用いるフィルム等の種類によって適宜選択することができ、上述した機能を発揮させ得る限り、例えば、溶剤型接着剤、水系接着剤、エマルション型接着剤、無溶剤型接着剤、再湿性接着剤、重縮合型接着剤、光硬化型樹脂、熱硬化型樹脂等を使用することができる。具体的には、ポリエステル系接着剤、ポリウレタン系接着剤、イミン系接着剤、アクリル系接着剤、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリビニルエーテル系粘着剤等が挙げられる。
このようなフィルムとしては、例えば、バリア性を有するフィルムが、5μm以上、特に8μm以上、さらには10μm以上の厚みを有するものが挙げられ、50μm以下であることが好ましい。熱収縮性を有するフィルムが、10μm以上、特に20μm以上の厚みを有するものが挙げられ、50μm以下であることが好ましい。接着剤層は、0.5μm以上、特に1μm以上の厚みを有していればよく、10μm以下であることが好ましい。バリア性を有するフィルムと熱収縮性を有するフィルムとの厚さの比(バリア性フィルム/熱収縮性フィルム)は、0.05以上、1.0以下のものが挙げられる。
容器に収容されたスガマデクス含有の液体製剤は、バリア性、熱収縮性及び紫外線吸収の性能を兼ね備えたフィルムによって、熱収縮性を利用して、容器の形状に沿って容器が被覆されていればよく、密着し及び/又は密閉した状態で被覆されているものが好ましい。
スガマデクス又はそのナトリウム塩は、白色の粒又は粉末であり、水に極めて溶けやすいことから、本発明のスガマデクス又はそのナトリウム塩を含有する液体製剤は、スガマデクス又はそのナトリウム塩を水に溶解することによって調製することができる。ここで用いる水は、日本薬局方に従う常水(水道水・井戸水)、精製水、滅菌精製水、注射用水等のいずれでもよい。なかでも、注射用水を用いることが好ましい。
ここでの水溶液の濃度は、上述した割合でスガマデクス又はそのナトリウム塩を含有し得る濃度とすることが好ましい。このような濃度とすることにより、医療現場で製剤を開封した後に、希釈等の調剤作業を行なうことなく、患者に直接投与することができる。
液体製剤は、pH7~8に調整されていることが好ましい。pHは、pH調整剤として、塩酸等の酸又は水酸化ナトリウム等のアルカリ、薬学的に許容し得る緩衝液等を用いて調整することができる。
液体製剤には、注射剤に通常含有される添加物、例えば、等張化剤、緩衝剤、保存剤/防腐剤等、当該分野で公知の添加剤が含有されていてもよい。
例えば、注射剤の添加剤として、単糖類、二糖類、アミノ酸、キシリトール、ポリオール、糖アルコール、多価アルコール、塩化ナトリウム等の無機塩類等の等張化剤が挙げられる。また、リン酸、リン酸塩(リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウム等)、クエン酸、クエン酸塩(クエン酸ナトリウム等)、酢酸、酢酸塩(酢酸ナトリウム等)、酒石酸及び酒石酸塩(酒石酸ナトリウム等)等の緩衝剤を添加してもよい。保存剤/防腐剤としては、例えば、クレゾール、ベンジルアルコール、フェノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロロブタノール、フェニルエチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、チメロサール、硝酸及び酢酸フェニル水銀等が挙げられる。その添加量は、当該分野で通常使用される量とすることができる。
ここでの水溶液の濃度は、上述した割合でスガマデクス又はそのナトリウム塩を含有し得る濃度とすることが好ましい。このような濃度とすることにより、医療現場で製剤を開封した後に、希釈等の調剤作業を行なうことなく、患者に直接投与することができる。
液体製剤は、pH7~8に調整されていることが好ましい。pHは、pH調整剤として、塩酸等の酸又は水酸化ナトリウム等のアルカリ、薬学的に許容し得る緩衝液等を用いて調整することができる。
液体製剤には、注射剤に通常含有される添加物、例えば、等張化剤、緩衝剤、保存剤/防腐剤等、当該分野で公知の添加剤が含有されていてもよい。
例えば、注射剤の添加剤として、単糖類、二糖類、アミノ酸、キシリトール、ポリオール、糖アルコール、多価アルコール、塩化ナトリウム等の無機塩類等の等張化剤が挙げられる。また、リン酸、リン酸塩(リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウム等)、クエン酸、クエン酸塩(クエン酸ナトリウム等)、酢酸、酢酸塩(酢酸ナトリウム等)、酒石酸及び酒石酸塩(酒石酸ナトリウム等)等の緩衝剤を添加してもよい。保存剤/防腐剤としては、例えば、クレゾール、ベンジルアルコール、フェノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロロブタノール、フェニルエチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、チメロサール、硝酸及び酢酸フェニル水銀等が挙げられる。その添加量は、当該分野で通常使用される量とすることができる。
液体製剤は、上述したように、容器に収容されるが、その前後に滅菌されていることが好ましい。滅菌は、例えば、ろ過滅菌として行なうことができる。
ろ過滅菌は、例えば、フィルタを用いて行なうことができる。フィルタは、例えば、ポリフッ化ビニリデン製、ポリエーテルスルホン製等のカートリッジフィルタを用いることができる。フィルタの孔径は、例えば、孔径0.22μmの精密濾過として微生物を除去し得るものが挙げられ、孔径20nm~50nmのさらに小孔径のナノフィルタを用いてもよい。ろ過滅菌は、液体中に含有される伝染性作用物質(真菌、細菌、ウイルス、胞子形態等)を含むすべての微生物生命形態を除去するか又は死滅させる、任意のプロセスを包含する。フィルタは異なる孔径を有するものを2種以上用いてもよい。
ろ過滅菌は、例えば、フィルタを用いて行なうことができる。フィルタは、例えば、ポリフッ化ビニリデン製、ポリエーテルスルホン製等のカートリッジフィルタを用いることができる。フィルタの孔径は、例えば、孔径0.22μmの精密濾過として微生物を除去し得るものが挙げられ、孔径20nm~50nmのさらに小孔径のナノフィルタを用いてもよい。ろ過滅菌は、液体中に含有される伝染性作用物質(真菌、細菌、ウイルス、胞子形態等)を含むすべての微生物生命形態を除去するか又は死滅させる、任意のプロセスを包含する。フィルタは異なる孔径を有するものを2種以上用いてもよい。
ろ過滅菌は、フィルタでの濾過の前後、好ましくは後に、熱、化学物質、放射線照射、高圧、高圧蒸気等を利用した滅菌と組み合わせてもよい。
滅菌は、熱を利用したものが好ましく、乾熱及び湿熱のいずれで行なってもよい。乾熱法としては、高熱空気を用いた乾熱滅菌が挙げられる。湿熱法としては、蒸気を用いた方法が挙げられ、例えば、高圧蒸気滅菌が挙げられる。なかでも、高圧蒸気滅菌が好ましい。
高圧蒸気滅菌は、液体製剤をろ過滅菌した後、容器に収容し、密封した状態で行なうことが好ましい。密封は、例えば、バイアル等の場合には、施栓して行なうことが好ましい。栓は、ゴム製等、種々の材料のものが挙げられる。栓をした後、さらに、アルミニウム製などのキャップによって、巻締めすることが好ましい。また、シリンジ等の場合には、トップキャップを装着し、ガスケットによって施栓した状態で行なうことが好ましい。容器を施栓する場合、容器内に残存する気体、つまり、液体製剤表面に接触する気体の酸素濃度を低減することが好ましい。そのために、後述するように、この液体製剤が収容された容器空間部に、不活性ガス(例えば、窒素等)を封入してもよい。また、スガマデクス含有の液体製剤を収容した容器を脱酸素剤と共に密封してもよい。酸素濃度を低減すれば、保存によって発生し得る類縁物質を効果的に低減することができる。
熱を利用した滅菌は、上述したように、気体の半透過性容器を用いた場合、重力加圧脱気式高圧蒸気滅菌器及び真空脱気プリバキューム式高圧蒸気滅菌器等の市販の高圧蒸気滅菌器を利用することができる。このような滅菌器を用いる場合、例えば、滅菌庫内の気体を窒素置換してもよい。これによって、上述したように、スガマデクス又はそのナトリウム塩の酸素に起因する分解又は類縁物質の発生の防止に寄与し得る。
滅菌は、熱を利用したものが好ましく、乾熱及び湿熱のいずれで行なってもよい。乾熱法としては、高熱空気を用いた乾熱滅菌が挙げられる。湿熱法としては、蒸気を用いた方法が挙げられ、例えば、高圧蒸気滅菌が挙げられる。なかでも、高圧蒸気滅菌が好ましい。
高圧蒸気滅菌は、液体製剤をろ過滅菌した後、容器に収容し、密封した状態で行なうことが好ましい。密封は、例えば、バイアル等の場合には、施栓して行なうことが好ましい。栓は、ゴム製等、種々の材料のものが挙げられる。栓をした後、さらに、アルミニウム製などのキャップによって、巻締めすることが好ましい。また、シリンジ等の場合には、トップキャップを装着し、ガスケットによって施栓した状態で行なうことが好ましい。容器を施栓する場合、容器内に残存する気体、つまり、液体製剤表面に接触する気体の酸素濃度を低減することが好ましい。そのために、後述するように、この液体製剤が収容された容器空間部に、不活性ガス(例えば、窒素等)を封入してもよい。また、スガマデクス含有の液体製剤を収容した容器を脱酸素剤と共に密封してもよい。酸素濃度を低減すれば、保存によって発生し得る類縁物質を効果的に低減することができる。
熱を利用した滅菌は、上述したように、気体の半透過性容器を用いた場合、重力加圧脱気式高圧蒸気滅菌器及び真空脱気プリバキューム式高圧蒸気滅菌器等の市販の高圧蒸気滅菌器を利用することができる。このような滅菌器を用いる場合、例えば、滅菌庫内の気体を窒素置換してもよい。これによって、上述したように、スガマデクス又はそのナトリウム塩の酸素に起因する分解又は類縁物質の発生の防止に寄与し得る。
なお、液体製剤を収容する容器は、液体製剤の収容の前に、容器自体が滅菌されたものであることが好ましい。容器の滅菌は、当該分野で公知の熱、化学物質、放射線照射、高圧、高圧蒸気等を利用した滅菌と組み合わせてもよい。なかでも、熱を利用したものが好ましく、乾熱及び湿熱のいずれで行なってもよい。乾熱法としては、高熱空気を用いた乾熱滅菌が挙げられる。湿熱法としては、蒸気を用いた方法が挙げられ、例えば、高圧蒸気滅菌が挙げられる。その条件は、当該分野で公知の条件を採用することができる。その後、容器を密閉することが好ましい。
容器に収容され、容器がその形状に沿ったフィルムに被覆された液体製剤は、さらに、ブリスターパック、ピローパック等の包装体に包囲された状態で保存することが好ましい。包装体内には、脱酸素剤を備えることが好ましい。プレフィルドシリンジの容器の場合、包装体の材質は水蒸気及び/又は酸素の透過性が低いものが好ましい。例えば、酸素透過性が1mL/m2・日・atm以下及び/又は水蒸気透過速度が1g/m2・日以下であるものがより好ましい。このような包装体は、例えば、樹脂製の袋、樹脂製シートの接合体、樹脂製シートの表面に金属膜が設けられたもの等が挙げられる。
また、容器に収容された液体製剤がブリスターパック、ピローパック等の包装体に包囲される場合、ブリスターパック又はピローパック内の酸素濃度が、例えば、15v/v%以下とすることが挙げられる。包装体内に脱酸素剤を備えることで、包装体内の酸素濃度を低減することにより、容器内の液体製剤の酸素濃度も低減でき、低酸素濃度の状態を維持することができる。
また、容器に収容された液体製剤がブリスターパック、ピローパック等の包装体に包囲される場合、ブリスターパック又はピローパック内の酸素濃度が、例えば、15v/v%以下とすることが挙げられる。包装体内に脱酸素剤を備えることで、包装体内の酸素濃度を低減することにより、容器内の液体製剤の酸素濃度も低減でき、低酸素濃度の状態を維持することができる。
以下に、実施例、比較例及び試験例により、本発明をより具体的に説明する。
試験例1
スガマデクスナトリウムを、スガマデクスとして100mg/mlの最終濃度となるように注射用水に溶解した。pH調整剤として、必要に応じて塩酸又は水酸化ナトリウムを用いて、pH7.5に調整した後、ろ過した。
得られた液剤は、スガマデクスの質量に対して、マンガンの含有量が0.031ppm以下である。
得られた液剤(図9中、16)を、無色のほう珪酸ガラスをファイアブラスト(登録商標)加工した、16mm(胴外径)×全長35mm(2mL)のバイアル(図9中、1)に収容し、大気下にて、塩素化ブチルゴムのラミネート無の直径13mmのゴム栓(図9中、2)で施栓し、図示しないが、アルミニウム製キャップ(ポリプロピレン製のフリップオフキャップ)によって巻締めして、液体製剤を得た。
その後、各液体製剤を、市販の高圧蒸気滅菌装置(日阪製作所製、高圧蒸気滅菌装置、GPS-120/20SPXF)を用いて、121℃にて20分間の条件で、高圧蒸気滅菌に付して、各液体製剤を得た。
参考例として、市販のブリディオン静注500mg製剤(製造後20ヵ月)及び200mg製剤(製造後16ヶ月)を準備した。
上述した液体製剤の容器を、透明PETフィルム(表面にUVコートが施され、UV吸収剤入粘着剤を有するPETシュリンクフィルム、厚み:45μm、390nm以下の波長の光の透過率:2.26%以下、図9中5)によって、シュリンク包装した。
上記で得られた液体製剤、液体製剤のシュリンク包装体及び市販の製剤を、それぞれ、光苛酷試験(60万lx・hr及び120万lx・hr、光源;D65ランプ)に付した。光苛酷試験開始時(0日目)と、12.5日目、25日目、液体製剤及び市販の製剤のpH及び保存容器の空間部の酸素濃度(%)を測定した。
その結果を表1に示す。
なお、マンガンの濃度は、測定波長を257.610nm、測定モードをアキシャルモードとして、ICP発光分光分析装置 (Agilent Technologies製、Agilent 5100 ICP-OES)を用いて測定、換算した。マンガン標準液(Mn 1000)(JCSS化学分析用、関東化学製)を用いて、適度に希釈し、該当濃度の検量線を作成した。作成した検量線を用いて製剤中のマンガン量を求め、換算した。
保存容器の空間部の酸素濃度は、ガスタイトシリンジにより保存容器空間部の気体200μLをとり、市販のガスクロマトグラフ(GLサイエンス製、GC323)で測定した。
表1の結果から、容器収納液体製剤をシュリンク包装した場合、保存容器の空間部の酸素濃度の低下が抑制される傾向が認められた。
試験例1
スガマデクスナトリウムを、スガマデクスとして100mg/mlの最終濃度となるように注射用水に溶解した。pH調整剤として、必要に応じて塩酸又は水酸化ナトリウムを用いて、pH7.5に調整した後、ろ過した。
得られた液剤は、スガマデクスの質量に対して、マンガンの含有量が0.031ppm以下である。
得られた液剤(図9中、16)を、無色のほう珪酸ガラスをファイアブラスト(登録商標)加工した、16mm(胴外径)×全長35mm(2mL)のバイアル(図9中、1)に収容し、大気下にて、塩素化ブチルゴムのラミネート無の直径13mmのゴム栓(図9中、2)で施栓し、図示しないが、アルミニウム製キャップ(ポリプロピレン製のフリップオフキャップ)によって巻締めして、液体製剤を得た。
その後、各液体製剤を、市販の高圧蒸気滅菌装置(日阪製作所製、高圧蒸気滅菌装置、GPS-120/20SPXF)を用いて、121℃にて20分間の条件で、高圧蒸気滅菌に付して、各液体製剤を得た。
参考例として、市販のブリディオン静注500mg製剤(製造後20ヵ月)及び200mg製剤(製造後16ヶ月)を準備した。
上述した液体製剤の容器を、透明PETフィルム(表面にUVコートが施され、UV吸収剤入粘着剤を有するPETシュリンクフィルム、厚み:45μm、390nm以下の波長の光の透過率:2.26%以下、図9中5)によって、シュリンク包装した。
上記で得られた液体製剤、液体製剤のシュリンク包装体及び市販の製剤を、それぞれ、光苛酷試験(60万lx・hr及び120万lx・hr、光源;D65ランプ)に付した。光苛酷試験開始時(0日目)と、12.5日目、25日目、液体製剤及び市販の製剤のpH及び保存容器の空間部の酸素濃度(%)を測定した。
その結果を表1に示す。
なお、マンガンの濃度は、測定波長を257.610nm、測定モードをアキシャルモードとして、ICP発光分光分析装置 (Agilent Technologies製、Agilent 5100 ICP-OES)を用いて測定、換算した。マンガン標準液(Mn 1000)(JCSS化学分析用、関東化学製)を用いて、適度に希釈し、該当濃度の検量線を作成した。作成した検量線を用いて製剤中のマンガン量を求め、換算した。
保存容器の空間部の酸素濃度は、ガスタイトシリンジにより保存容器空間部の気体200μLをとり、市販のガスクロマトグラフ(GLサイエンス製、GC323)で測定した。
表1の結果から、容器収納液体製剤をシュリンク包装した場合、保存容器の空間部の酸素濃度の低下が抑制される傾向が認められた。
試験例2
光苛酷試験に付した上記の容器収納液体製剤及び市販の製剤のシュリンク密閉包装体について、光苛酷試験開始時(0日目)、12.5日目及び25日目に、各液体製剤中の光分解物及び酸化体等の類縁物質の量(質量%)を、以下に示すように、液体クロマトグラフィーで測定した。
その結果を表2、図1~4に示す。なお、表2中、各類縁物質は、それぞれ、液体クロマトグラフィーにおいて、試料溶液中のスガマデクスの保持時間を1.00とした場合の、約0.42、約0.48、約0.59及び約0.72の保持時間におけるピークで表される類縁物質を意味する。
表2中、各類縁物質の量は、スガマデクスに対する質量%を示す(単位:質量%)(以下同じ)。
表2、図1~4の結果から、本願における容器収納液体製剤のシュリンク包装体は、特定の類縁物質の発生の増加が抑えられることが確認された。
光苛酷試験に付した上記の容器収納液体製剤及び市販の製剤のシュリンク密閉包装体について、光苛酷試験開始時(0日目)、12.5日目及び25日目に、各液体製剤中の光分解物及び酸化体等の類縁物質の量(質量%)を、以下に示すように、液体クロマトグラフィーで測定した。
その結果を表2、図1~4に示す。なお、表2中、各類縁物質は、それぞれ、液体クロマトグラフィーにおいて、試料溶液中のスガマデクスの保持時間を1.00とした場合の、約0.42、約0.48、約0.59及び約0.72の保持時間におけるピークで表される類縁物質を意味する。
表2中、各類縁物質の量は、スガマデクスに対する質量%を示す(単位:質量%)(以下同じ)。
表2、図1~4の結果から、本願における容器収納液体製剤のシュリンク包装体は、特定の類縁物質の発生の増加が抑えられることが確認された。
試験例3
スガマデクスナトリウムを、スガマデクスとして100mg/mlの最終濃度となるように注射用水に溶解した。pH調整剤として、必要に応じて塩酸又は水酸化ナトリウムを用いて、pH7.5に調整した後、ろ過した。得られた液剤は、スガマデクスの質量に対して、マンガンの含有量が0.19ppm以下である。
図10に示すように、得られた液剤16を、ポリプロピレン製のシリンジバレル11、ブチルゴム製のガスケット13を備えたシリンジ(胴外径:12.45mm、全長68.0mm(3mL))に収容し、大気下にて、ブチルゴムのラミネート無の直径6.5mmのトップキャップ12でシリンジバレル11の先端を施栓して、シリンジ入りの液体製剤を得た。
その後、各液体製剤を、市販の高圧蒸気滅菌装置(GETINGE製、高圧蒸気滅菌装置、GEV91425 AR2)を用いて、121℃にて20分間の条件で、高圧蒸気滅菌に付して、各液体製剤Cを得た。
上述した液体製剤のシリンジを、透明PETフィルム(表面にUVコートが施され、UV吸収剤入粘着剤を有するPETシュリンクフィルム、厚み:45μm、390nm以下の波長の光の透過率:2.26%以下、図10中15)によって、シュリンクで、シリンジバレルの円筒部分を包装し、液体製剤のシュリンク包装体Aを得た。
上記で得られた液体製剤のシュリンク包装体A及び液体製剤C(シュリンク包装無)を、それぞれ、光苛酷試験(60万lx・hr及び120万lx・hr、光源;D65ランプ)に付した。光苛酷試験開始時(0日目)と、12.5日目及び25日目に、各液体製剤中の光分解物及び酸化体等の類縁物質の量(質量%)を、試験例2と同様、以下に示すように、液体クロマトグラフィーで測定した。
その結果を表3、図5~8に示す。
表3中、各類縁物質は、上記と同様に、それぞれ、液体クロマトグラフィーにおいて、試料溶液中のスガマデクスの保持時間を1.00とした場合の、約0.42、約0.48、約0.59及び約0.72の保持時間におけるピークで表される類縁物質を意味する。
表3中、各類縁物質の量は、スガマデクスに対する質量%を示す(単位:質量%)(以下同じ)。
表3、図5~8の結果から、本願におけるシリンジ収容液体製剤のシュリンク包装体は、特定の類縁物質の発生の増加が抑えられることが確認された。
スガマデクスナトリウムを、スガマデクスとして100mg/mlの最終濃度となるように注射用水に溶解した。pH調整剤として、必要に応じて塩酸又は水酸化ナトリウムを用いて、pH7.5に調整した後、ろ過した。得られた液剤は、スガマデクスの質量に対して、マンガンの含有量が0.19ppm以下である。
図10に示すように、得られた液剤16を、ポリプロピレン製のシリンジバレル11、ブチルゴム製のガスケット13を備えたシリンジ(胴外径:12.45mm、全長68.0mm(3mL))に収容し、大気下にて、ブチルゴムのラミネート無の直径6.5mmのトップキャップ12でシリンジバレル11の先端を施栓して、シリンジ入りの液体製剤を得た。
その後、各液体製剤を、市販の高圧蒸気滅菌装置(GETINGE製、高圧蒸気滅菌装置、GEV91425 AR2)を用いて、121℃にて20分間の条件で、高圧蒸気滅菌に付して、各液体製剤Cを得た。
上述した液体製剤のシリンジを、透明PETフィルム(表面にUVコートが施され、UV吸収剤入粘着剤を有するPETシュリンクフィルム、厚み:45μm、390nm以下の波長の光の透過率:2.26%以下、図10中15)によって、シュリンクで、シリンジバレルの円筒部分を包装し、液体製剤のシュリンク包装体Aを得た。
上記で得られた液体製剤のシュリンク包装体A及び液体製剤C(シュリンク包装無)を、それぞれ、光苛酷試験(60万lx・hr及び120万lx・hr、光源;D65ランプ)に付した。光苛酷試験開始時(0日目)と、12.5日目及び25日目に、各液体製剤中の光分解物及び酸化体等の類縁物質の量(質量%)を、試験例2と同様、以下に示すように、液体クロマトグラフィーで測定した。
その結果を表3、図5~8に示す。
表3中、各類縁物質は、上記と同様に、それぞれ、液体クロマトグラフィーにおいて、試料溶液中のスガマデクスの保持時間を1.00とした場合の、約0.42、約0.48、約0.59及び約0.72の保持時間におけるピークで表される類縁物質を意味する。
表3中、各類縁物質の量は、スガマデクスに対する質量%を示す(単位:質量%)(以下同じ)。
表3、図5~8の結果から、本願におけるシリンジ収容液体製剤のシュリンク包装体は、特定の類縁物質の発生の増加が抑えられることが確認された。
液体製剤0.1mLを量り、移動相Aを加えて5mLとし、試料溶液とした。この液1mLを正確に量り、移動相Aを加えて正確に100mLとし、標準溶液とした。試料溶液及び標準溶液10μLずつを正確にとり、液体クロマトグラフィーにより試験を行い、それぞれの液の各々のピーク面積を自動積分法により測定した。
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:200nm)
カラム:内径4.6mm、長さ250mmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填した。
カラム温度:40℃付近の一定温度
移動相:移動相A-リン酸二水素ナトリウム二水和物3.9gを水1000mLに溶かし、リン酸を加えてpH2.5に調整した(リン酸塩緩衝液)。この液900mLにアセトニトリル100mLを加えた。
移動相B-アセトニトリル/リン酸塩緩衝液混液(4:1)
移動相の送液:移動相A及び移動相Bの混合比を表3に示すように変えて濃度勾配制御した。
流量:毎分1.0mL
注入量:10μL
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:200nm)
カラム:内径4.6mm、長さ250mmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填した。
カラム温度:40℃付近の一定温度
移動相:移動相A-リン酸二水素ナトリウム二水和物3.9gを水1000mLに溶かし、リン酸を加えてpH2.5に調整した(リン酸塩緩衝液)。この液900mLにアセトニトリル100mLを加えた。
移動相B-アセトニトリル/リン酸塩緩衝液混液(4:1)
移動相の送液:移動相A及び移動相Bの混合比を表3に示すように変えて濃度勾配制御した。
流量:毎分1.0mL
注入量:10μL
RRT0.42、0.48、0.59及び0.72は、それぞれ、以下の式により求めた。RRT(相対保持時間)1.00は、試料溶液中のスガマデクスの保持時間を示す。
RRT=試料溶液中の類縁物質の保持時間/試料溶液中のスガマデクスの保持時間
また、類縁物質の量は、以下の各式により求めた。
個々の類縁物質量(%)=試料溶液中の個々の類縁物質のピーク面積/標準溶液中のスガマデクスのピーク面積
類縁物質の合計量(%)=試料溶液中の類縁物質のピーク面積の合計/標準溶液中のスガマデクスのピーク面積
RRT=試料溶液中の類縁物質の保持時間/試料溶液中のスガマデクスの保持時間
また、類縁物質の量は、以下の各式により求めた。
個々の類縁物質量(%)=試料溶液中の個々の類縁物質のピーク面積/標準溶液中のスガマデクスのピーク面積
類縁物質の合計量(%)=試料溶液中の類縁物質のピーク面積の合計/標準溶液中のスガマデクスのピーク面積
本発明によれば、長期保存時においても安定した物性を維持することができるスガマデクス又はそのナトリウム塩含有の液体製剤を提供することができる。
1 バイアル
2 ゴム栓
5、15 フィルム
11 シリンジバレル
12 トップキャップ(封止キャップ)
13 ガスケット
14 プランジャロッド
16 液剤
2 ゴム栓
5、15 フィルム
11 シリンジバレル
12 トップキャップ(封止キャップ)
13 ガスケット
14 プランジャロッド
16 液剤
Claims (7)
- スガマデクス又はそのナトリウム塩を含有する液体製剤であって、
前記液体製剤が容器に収容され、かつ前記容器がその形状に沿ったフィルムに被覆されている液体製剤。 - 前記フィルムは、シュリンクフィルムである請求項1に記載の液体製剤。
- 前記フィルムは、前記容器に接着剤で貼着されている請求項1又は2に記載の液体製剤。
- 前記フィルムは2層以上の多層構造からなり、少なくとも一つの層間又は前記フィルムが前記容器と接触する面に接着剤を有するものである請求項1又は2に記載の液体製剤。
- 前記フィルム及び前記接着剤の少なくとも一方は、10nm~390nmの波長の紫外線を70%以上吸収するものである請求項1又は2に記載の液体製剤。
- 前記容器が、ガラス製容器、気体の半透過性容器又はシリンジである請求項1又は2に記載の液体製剤。
- 前記容器内の前記液体製剤の表面に接触する気体は、不活性ガスにより酸素濃度が低減された気体である請求項1又は2に記載の液体製剤。
Applications Claiming Priority (2)
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JP2021128188 | 2021-08-04 |
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