JP2021138172A - 長尺状部材、自動車のドアおよび自動車 - Google Patents

長尺状部材、自動車のドアおよび自動車 Download PDF

Info

Publication number
JP2021138172A
JP2021138172A JP2020034967A JP2020034967A JP2021138172A JP 2021138172 A JP2021138172 A JP 2021138172A JP 2020034967 A JP2020034967 A JP 2020034967A JP 2020034967 A JP2020034967 A JP 2020034967A JP 2021138172 A JP2021138172 A JP 2021138172A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
material layer
reinforcing material
resin
valley
elongated
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020034967A
Other languages
English (en)
Inventor
和也 水本
Kazuya Mizumoto
和也 水本
健晴 伊崎
Takeharu Isaki
健晴 伊崎
成樹 岩田
Shigeki Iwata
成樹 岩田
泰希 井上
Taiki INOUE
泰希 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Chemicals Inc filed Critical Mitsui Chemicals Inc
Priority to JP2020034967A priority Critical patent/JP2021138172A/ja
Publication of JP2021138172A publication Critical patent/JP2021138172A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Body Structure For Vehicles (AREA)

Abstract

【課題】UDシートにより耐曲げ性を高めた、樹脂製の長尺状部材を提供すること。【解決手段】長尺方向に延びている谷部と、前記谷部の側方に配置され、かつ前記長尺方向に延びている山部またはフランジ部と、を有する樹脂製部材と、前記谷部の底面を被覆する底部補強材層と、前記山部の頂面または前記フランジ部の上面を被覆する上部補強材層と、を有する長尺状部材。前記底部補強材層および前記上部補強材層は、いずれも、前記長尺方向に配向されて配列された複数の強化繊維と、前記強化繊維に含浸された樹脂と、を有する繊維強化樹脂層であり、前記底部補強材層および前記上部補強材層は、前記樹脂製部材の一方の表面に配置されている。【選択図】図1

Description

本発明は、長尺状部材、自動車のドアおよび自動車に関する。
補強材として、断面形状を凹凸形状として剛性を高めた長尺状部材が用いられることがある。
たとえば、自動車のドアの内部に配置されるベルトラインインフォースメントとして、断面を凹凸形状(ハット状)とした長尺状部材を用いることは公知である。
ベルトラインインフォースメントなどの自動車用部材としては、鋼などの金属を材料とした部材が用いられてきた。一方で、近年、自動車の軽量化などを目的として、金属製の部材を樹脂製の部材に置換する試みが検討されている。たとえば、特許文献1には、ベルトラインインフォースメントを繊維強化樹脂製とすることが記載されている。
一方で、補強用材料として、一方向に配向されて配列された複数の強化繊維に樹脂が含浸された、一方向性強化繊維樹脂シート(以下、単に「Uni−Direction (UD)シート」ともいう。)が知られている。特許文献2には、樹脂製の自動車用バックドアにUDシートを接着させることにより、当該自動車用バックドアのねじり剛性および曲げ剛性を高め得ることが記載されている。
特開2017−35935号公報 特開2011−251445号公報
ベルトラインインフォースメントなどの長尺状部材を繊維強化樹脂などの樹脂製としたとき、鋼などから作製した長尺状部材と比べて、曲げ剛性などの耐曲げ性が高まりにくい。
これに対し、特許文献2に記載されているようなUDシートを接着させれば、樹脂製の長尺状部材の曲げ方向への剛性を高め得ると期待される。しかし、本発明者らの新たな知見によれば、樹脂製の長尺状部材にUDシートを接着させても、耐曲げ性は期待したほど高まらないこともあった。
上記問題に鑑み、本発明は、UDシートにより耐曲げ性を高めた、樹脂製の長尺状部材、当該長尺状部材を有する自動車のドア、および当該長尺状部材を有する自動車を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するための本発明の一態様に関する長尺状部材は、長尺方向に延びている谷部と、前記谷部の側方に配置され、かつ前記長尺方向に延びている山部またはフランジ部と、を有する樹脂製部材と、前記谷部の底面を被覆する底部補強材層と、前記山部の頂面または前記フランジ部の上面を被覆する上部補強材層と、を有する。前記底部補強材層および前記上部補強材層は、いずれも、前記長尺方向に配向されて配列された複数の強化繊維と、前記強化繊維に含浸された樹脂と、を有する繊維強化樹脂層であり、前記底部補強材層および前記上部補強材層は、前記樹脂製部材の一方の表面に配置されている。
上記の課題を解決するための本発明の他の態様に関する自動車のドアは、前記長尺状部材を有する。
上記の課題を解決するための本発明の他の態様に関する自動車は、前記長尺状部材を有する。
本発明によれば、UDシートにより耐曲げ性を高めた、樹脂製の長尺状部材、当該長尺状部材を有する自動車のドア、および当該長尺状部材を有する自動車が提供される。
図1は、本発明の第1の実施形態に関する長尺状部材の一例を示す斜視図である。 図2は、本発明の第1の実施形態に関する長尺状部材のY方向における端部の付近を拡大して示す部分拡大斜視図である。 図3A〜図3Dは、底部補強材層が、本発明の第1の実施形態における樹脂製部材が有する谷部の底面を被覆する様子の例示である。 図4は、本発明の第2の実施形態に関する長尺状部材の一例を示す斜視図である。 図5は、本発明の第2の実施形態に関する長尺状部材のY方向における端部の付近を拡大して示す部分拡大斜視図である。 図6は、本発明の第3の実施形態に関する自動車用のドアの一例を示す斜視図である。
[第1の実施形態]
本発明の一実施形態は、長尺状の形状を有する樹脂製部材と、上記樹脂製部材の表面を被覆するUDシート製の補強材層と、を有する長尺状部材に関する。
図1は、本発明の第1の実施形態に関する長尺状部材の一例を示す斜視図である。
本実施形態に関する長尺状部材100は、樹脂製部材110と、樹脂製部材の表面の一部を被覆する補強材層120と、を有する。
(樹脂製部材)
樹脂製部材110は、樹脂材料を成形してなる、長尺状の形状を有する部材である。樹脂製部材110は、長尺方向に直交する第1の方向(図中、X方向)に隣接かつ互いに接続して配置された、第1山部112、谷部114、および第2山部116を有する。第1山部112、谷部114、および第2山部116は、いずれも暑さ3mmの板状であり、これらがそれぞれのX方向端部において接続されて、全体として、樹脂製部材110のX方向に平行な断面を波形の形状としている。
第1山部112、谷部114、および第2山部116は、いずれも長尺方向である第2の方向(図中、Y方向)に伸びた形状である。樹脂製部材110は、X方向への幅よりもY方向への長さが長くなっており、これにより、Y方向に伸びた長尺状の形状となっている。
本実施形態では、樹脂製部材110は、X方向への幅が144mm、Y方向への長さが700mmである。なお、本実施形態では、樹脂製部材110は、Y方向への長さが、第1山部112、谷部114、および第2山部116のいずれも一定であるが、第1山部112、谷部114、および第2山部116の間で異なっていてもよい。また、樹脂製部材110のY方向への長さは特に限定されないが、X方向への幅の2倍以上であることが好ましく、3倍以上であることがより好ましく、4倍以上であることがさらに好ましい。
樹脂製部材110は、第1山部112のX方向への幅が50mm、谷部114のX方向への幅が44mm、第2山部116のX方向への幅が50mmであり、これらの幅は、Y方向に沿って一定である。これにより、樹脂製部材110は、X方向に平行な断面が、Y方向に沿って一定である形状となっている。ただし、樹脂製部材110は、X方向に平行な断面の形状が、Y方向に沿って連続的または非連続的に変化する形状であってもよい。
また、樹脂製部材110は、第1の方向および第2の方向の双方に直交する第3の方向(図中、Z方向)への高さが、樹脂製部材110中の位置によらず、70mmで一定である。ただし、樹脂製部材110は、Z方向への高さが、第1山部112、谷部114、および第2山部116の間で異なっていてもよい。また、樹脂製部材110は、Z方向への高さが、第1山部112、谷部114、および第2山部116のそれぞれの中でY方向に沿って連続的または非連続的に変化していてもよい。
図2は、樹脂製部材110のY方向における端部の付近を拡大して示す部分拡大斜視図である。
第1山部112は、XY平面方向に広がる上面112aと、上面112aのX方向における両端部からZ方向の図中下方に伸びてYZ平面方向に広がる、2つの側面112bおよび側面112cと、を有する。上面112a、側面112bおよび側面112cは、いずれもY方向に延びた板状の形状である。そして、上面112aと側面112bとの接続部、および上面112aと側面112cとの接続部は、いずれもR取りされている。
谷部114は、XY平面方向に広がる底面114aと、底面114aのX方向における両端部からZ方向の図中上方に伸びてYZ平面方向に広がる、2つの側面114b(第1山部112が有する側面112cと共通の側面)および側面114cと、を有する。底面114a、側面114bおよび側面114cは、いずれもY方向に延びた板状の形状である。そして、底面114aと側面114bとの接続部、および底面114aと側面114cとの接続部は、いずれもR取りされている。
第2山部116は、XY平面方向に広がる上面116aと、上面116aのX方向における両端部からZ方向の図中下方に伸びてYZ平面方向に広がる、2つの側面116b(谷部114が有する側面114cと共通の側面)および側面116cと、を有する。上面116a、側面116bおよび側面116cは、いずれもY方向に延びた板状の形状である。そして、上面116aと側面116bとの接続部、および上面116aと側面116cとの接続部は、いずれもR取りされている。
図1および図2に示すように、第1山部112、谷部114および第2山部116は、側面112c(側面114b)および側面114c(側面116b)で互いに接続されて、断面形状が波状の一枚の板状の形状となっている。このような形状とすることで、長尺状部材100をベルトラインインフォースメントなどの補強材として用いたときに、Z方向への耐曲げ性およびZ方向からの衝撃に対する剛性を高めることができる。
なお、本明細書において、「上面」および「底面」とは、YZ平面に対する角度(以下、「角度」とは、交差する2つの平面または交差する2本の線分がなす角度のうち、鋭角となる側の角度を意味する。)が45°以上である平面、または、YZ平面に対して接面がなす角度が45°以上となる曲面、を意味する。また、「側面」とは、YZ平面に対する角度が45°未満である平面、または、YZ平面に対して接面がなす角度が45°未満となる曲面、を意味する。上面および底面と、側面との間の接続部は、連続的に(たとえばR取りされて)接続されていてもよいし、非連続に接続されて角度を有する境界線となっていてもよい。
上面および底面は、単一の平面または曲率が一定である単一の曲面であってもよいし、Z方向に対する角度が異なる複数の平面もしくは曲率が異なる複数の曲面であってもよいし、またはこれらの組み合わせであってもよい。これらの複数の平面または曲面は、境界において連続的に(たとえばR取りされて)接続されていてもよいし、非連続に接続されて角度を有する境界線が形成されていてもよい。
本明細書において、「谷部」とは、2つの側面の間に配置されて当該2つの側面を接続する底面を含む部位を意味し、「山部」とは、ある谷部を構成する側面によって当該谷部のX方向側に接続され、かつ、2つの側面の間に配置されて当該2つの側面を接続する上面を含む部位を意味する。谷部が有する底面と、当該谷部に隣接する山部が有する上面とは、Z方向における高さが異なる。ある谷部が有する底面のうちZ方面における座標値が最低値となる点と、当該谷部に隣接する山部が有する上面のうちZ方面における座標値が最高値となる点と、の間のZ方向の距離は、当該谷部のX方向における幅に対して0.2倍以上5.0倍以下であることが好ましく、0.5倍以上4.0倍以下であることがより好ましく、0.8倍以上3.5倍以下であることがさらに好ましく、1.0倍以上3.0倍以下であることが特に好ましい。
(樹脂製部材の材料)
樹脂製部材110の材料となる樹脂は、特に限定されない。ただし、補強材層120に含まれるマトリクス樹脂との融着性を高める観点からは、樹脂製部材110の材料は熱可塑性樹脂であることが好ましい。上記熱可塑性樹脂の例には、ポリプロピレン系樹脂およびポリエチレン系樹脂などを含むポリオレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ならびにポリスルホン樹脂などが含まれる。これらのうち、ポリプロピレン系樹脂およびポリアミド系樹脂が好ましい。
長尺状部材100の耐曲げ性および曲げ方向への剛性をより高める観点から、樹脂製部材110の材料は、ランダムに配向された多数の強化繊維を含む、繊維強化樹脂(FRP)であることが好ましい。
上記強化繊維の材料は、特に限定されない。たとえば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、ボロン繊維、および金属繊維などを、上記強化繊維として用いることができる。これらのうち、長尺状部材100の耐曲げ性および曲げ方向への剛性をより高める観点からは、弾性率が高い炭素繊維が好ましく、長尺状部材100の作製コストを低減する観点からは、ガラス繊維が好ましい。
(補強材層)
本実施形態において、補強材層120は、樹脂製部材110の第1山部112が有する上面112aを被覆する第1上部補強材層122、谷部114が有する底面114aを被覆する底部補強材層124、および第2山部116が有する上面116aを被覆する第2上部補強材層126、を有する。
第1上部補強材層122、底部補強材層124、および第2上部補強材層126は、いずれも、一方向に配向されて配列された複数の強化繊維と、上記強化繊維に含浸された樹脂と、を有する繊維強化樹脂層である。
本実施形態において、第1上部補強材層122、底部補強材層124、および第2上部補強材層126は、いずれも、X方向への幅が40mm、Y方向への長さが700mmの長方形状の補強材層であり、それぞれ、第1山部112の上面112a、谷部114の底面114a、および第2山部116の上面116aを、Y方向における長さの全体にわたって、被覆している。
また、本実施形態において、第1上部補強材層122、底部補強材層124、および第2上部補強材層126は、いずれも、それぞれ第1山部112の上面112a、谷部114の底面114a、および第2山部116の上面116aのうち、波状の断面形状を有する板状の形状である樹脂製部材110の、一方の表面を、被覆している。上記一方の表面とは、樹脂製部材110の、図1および図2においてZ方向上方を向いている表面である。
一方で、本実施形態において、これらの補強材層120は、樹脂製部材110の、図1および図2においてZ方向下方を向いている他方の表面は、被覆していない。なお、補強材層120は、樹脂製部材110の他方の表面を部分的に被覆していてもよいが、このとき、第1山部112の他方の表面における補強材層による被覆率は、第1山部112の一方の表面における第1上部補強材層122による被覆率よりも小さいことが好ましい。同様に、谷部114の他方の表面における補強材層による被覆率は、谷部114の一方の表面における底部補強材層124による被覆率よりも小さいことが好ましい。また、第2山部116の他方の表面における補強材層による被覆率は、第2山部116の一方の表面における第2上部補強材層126による被覆率よりも小さいことが好ましい。本発明者らの新たな知見によれば、このように、樹脂製部材110の第1山部112、谷部114および第2山部116に対して、一方向側を補強材層120で被覆することにより、長尺状部材100の、Z方向への耐曲げ性および剛性をより高めることができる。
また、本実施形態において、第1上部補強材層122、底部補強材層124、および第2上部補強材層126は、いずれも、上記一方向に配列された複数の強化繊維が、Y方向に配向されるように配置されている。
このように強化繊維が配向されることにより、長尺状部材100がZ方向からの衝撃を受けて、衝撃を受けた部位がZ方向に変位するように曲がったときに、補強材層120が衝撃を受けた側にあるときは強化繊維が座屈し、または補強材層120が衝撃を受けた側にあるときは強化繊維が伸長して、上記衝撃による応力を緩和する。
ただし、このとき、上記強化繊維は、伸長したときよりも座屈したときのほうが、応力の緩和率が顕著に高いのだと考えられる。そのため、樹脂製部材110の一方向側を補強材層120で被覆したほうが、たとえば樹脂製部材110のいずれも外側となる、第1山部112の一方向側、谷部114の他方向側および第2山部116の一方向側を補強材層で被覆したときよりも、耐曲げ性が顕著に高くなったものと考えられる。
なお、本明細書において、強化繊維が「Y方向に配向される」とは、複数の強化繊維が配向された方向がY方向に対してなす角度が0°以上20°以下であることを意味する。
補強材層120は、第1山部112の上面112a、谷部114の底面114a、および第2山部116の上面116aのそれぞれの全面を被覆してもよいが、これらの表面の一部のみを被覆してもよい。また、補強材層120は、第1山部112の上面112a、谷部114の底面114a、および第2山部116の上面116aのそれぞれを、連続的に被覆してもよいが、部分的に途切れた空白部を途中に有して非連続に被覆してもよい。
図3A〜図3Dは、底部補強材層124が、本実施形態における樹脂製部材110が有する谷部114の底面114aを被覆する様子の例示である。なお、理解を容易にするため、図3A〜図3Dは、Y方向の縮尺を1/10としている。また、図3A〜図3Dは、谷部114の底面114aの例示を示すが、第1山部112の上面112aまたは第2山部116の上面116aが、これらと同様に被覆されていてもよい。
図3Aは、底部補強材層124が、谷部114の底面114aの、R取りされた側面との接続部を除く全面を被覆する様子を表す。なお、底部補強材層124は、接続部を被覆していてもよいが、図3Aに示すように接続部を被覆しなくてもよいし、接続部におけるY方向への被覆率が、谷部114の底面114aにおけるY方向への被覆率よりも小さくなるように、部分的に接続部を被覆してもよい。
図3Bは、底部補強材層124が、谷部114の底面114aのうち、Y方向における両端部を被覆せず、当該両端部を除く領域を被覆する様子を表す。これらの端部には、長尺状部材100を他の部材に組み付けるためのボルト孔が形成されることがある。このとき、底部補強材層124で配置した端部にボルト孔を形成すると、ボルト孔に対応する位置の底部補強材層124に、貫通孔が設けられることになる。このような貫通孔は、底部補強材層124が強化繊維の配向方向に裂ける起点となりやすく、上記裂けが生じると、底部補強材層124による耐曲げ性および曲げ方向への剛性等の向上効果が低減してしまうことがある。そのため、特に端部にボルト孔を形成するときなどは、底部補強材層124は、長尺状部材100の端部を除く領域を被覆することが好ましい。
なお、本明細書において、長尺状部材100(または樹脂製部材110、もしくは樹脂製部材110が有するそれぞれの面)の「端部」とは、長尺状部材100の長尺方向(Y方向)における端から、長尺方向における長さに対して5%の長さの領域を意味する。
図3Bでは、底部補強材層124は、谷部114の底面114aのうち、Y方向への長さの全体に対して80%の長さの領域を被覆している。
図3Cは、2つの底部補強材層124aおよび底部補強材層124bが、谷部114の底面114aを被覆する様子を表す。2つの底部補強材層124aおよび底部補強材層124bは、いずれも、谷部114の底面114aのX方向への幅に対して半分以下の幅を有し、かつ谷部114の底面114aのY方向への長さと同じ長さを有する。そして、2つの底部補強材層124aおよび底部補強材層124bは、所定の間隔を空けて、いずれも谷部114の底面114aのY方向への長さの全体を被覆する。たとえば、上述したように谷部114の底面114aの端部にボルト孔を形成するときなどは、当該ボルト孔の位置を避けて、これら複数の底部補強材層を配置すればよい。ただし、このときも、図3Bと同様に、2つの底部補強材層124aおよび底部補強材層124bの双方またはいずれかは、谷部114の底面114aのうち、Y方向における両端部を被覆しなくてもよい。
図3Dは、さらに細分化された5つの底部補強材層124a〜底部補強材層124eが、谷部114の底面114aを被覆する様子を表す。5つの底部補強材層124aおよび底部補強材層124bは、いずれも、谷部114の底面114aのX方向への幅に対して半分以下の幅を有し、かつ谷部114の底面114aのY方向への長さに対して半分以下の長さを有する。そして、5つの底部補強材層124a〜底部補強材層124eは、互いに所定の間隔を空けて、ただし谷部114の底面114aが、Y方向への全体の長さのうち、いずれの底部補強材層によっても被覆されない部位がないように、谷部114の底面114aを被覆している。ただし、このときも、図3Bと同様に、5つの底部補強材層124a〜底部補強材層124eは、谷部114の底面114aのうち、Y方向における両端部を被覆しなくてもよい。
本実施形態において、図3Cおよび図3Dに示すように、谷部114の底面114aのうち、X方向への幅のうち、底部補強材層124によって被覆されない領域が部分的に存在するが、これらの領域が、長尺状部材100の耐曲げ性および曲げ方向への剛性に対して与える影響は軽微である。これは、長尺状部材100がZ方向からの衝撃を受けるとき、通常、上記衝撃による応力は、X方向への幅の全体、かつY方向への長さのうち特定の位置に、印加されるためと考えられる。つまり、図3Cおよび図3Dに示すように複数の底部補強材層124を配置したとしても、上記衝撃によりX方向への幅の全体に印加された応力を、上記複数の底部補強材層124のいずれかが緩和することができるため、底部補強材層124が長尺状部材100の耐曲げ性および曲げ方向への剛性を高める効果は、十分に奏される。上記底部補強材層124により長尺状部材100の耐曲げ性および曲げ方向への剛性を高める効果をより十分に発揮させるためには、1つの底部補強材層124、または複数の底部補強材層124のいずれかが、谷部114の底面のX方向への幅の全体に対して10%以上100%以下の幅の領域を被覆することが好ましく、20%以上95%以下の幅の領域を被覆することがより好ましく、30%以上90%以下の幅の領域を被覆することがさらに好ましい。なお、図3Dに示すように。補強材層により被覆される領域の幅がY方向に沿って変化するときは、上記範囲は、補強材層により被覆される領域の幅の平均値である。
一方で、上記衝撃によりY方向への長さのうち特定の位置に印加される応力を、底部補強材層124により確実に緩和するためには、1つの底部補強材層124、または複数の底部補強材層124のいずれかが、谷部114の底面114aのY方向への長さの全体に対して、より多くの範囲を被覆することが好ましい。上記観点からは、1つの底部補強材層124、または複数の底部補強材層124のいずれかが、谷部114の底面114aのY方向への長さの全体に対して60%以上100%以下の幅の領域を被覆することが好ましく、65%以上95%以下の幅の領域を被覆することがより好ましく、70%以上90%以下の幅の領域を被覆することがさらに好ましい。
上記谷部114の底面114aのY方向への長さの全体に対して底部補強材層124が被覆する領域の割合は、谷部114の底面114aに複数の底部補強材層124が配置されているときは、谷部114の底面114aのY方向への長さに対する、いずれかの底部補強材層124により被覆されている長さの合計である。たとえば、谷部114の底面114aのY方向への長さの全体に対する、1つまたはいずれかの底部補強材層124で被覆されている長さの領域の割合は、図3Aでは100%、図3Bでは80%、図3Cでは100%であり、図3Dでは、谷部114の底面114aのY方向への長さの全体がいずれかの底部補強材層124で被覆されているので、100%である。
ただし、上記衝撃によりY方向への長さのうち特定の位置に印加される応力を、底部補強材層124により確実に緩和する観点からは、1つの底部補強材層124、または複数の底部補強材層124のいずれかが、上記所定の範囲の長さを有し、かつ、Y方向に途切れなく延びることにより、Y方向への長さの全体に対して底部補強材層124が被覆する上記所定の範囲を単独で被覆していること(図3C参照)が好ましい。
上記補強材層による被覆の態様は、第1山部112の上面112a、谷部114の底面114a、および第2山部116の上面116aの全てにおいて共通していてもよいし、これらのいずれかまたは全部が異なる態様であってもよい。
(補強材層の材料)
それぞれの補強材層120は、長尺方向(Y方向)に配向されて配列された複数の強化繊維と、上記強化繊維に含浸された樹脂(マトリクス樹脂)と、を有する。
上記強化繊維の材料は、特に限定されない。たとえば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、ボロン繊維、および金属繊維などを、上記強化繊維として用いることができる。これらのうち、長尺状部材100の耐曲げ性および曲げ方向への剛性をより高める観点からは、弾性率が高い炭素繊維が好ましく、長尺状部材100の作製コストを低減する観点からは、ガラス繊維が好ましい。
上記強化繊維は、長尺状部材100の耐曲げ性および曲げ方向への剛性をより高める観点からは、平均直径が1μm以上20μm以下であることが好ましく、4μm以上10μm以下であることがより好ましい。
また、上記強化繊維は、サイジング剤によりサイジング(収束)処理されていてもよい。
上記サイジング剤は特に限定されないが、変性ポリオレフィンが好ましく、得には、カルボン酸金属塩を含む変性ポリオレフィンであることがより好ましい。上記変性ポリオレフィンは、たとえば、未変性ポリオレフィンの重合体鎖に、カルボン酸基、カルボン酸無水物基またはカルボン酸エステル基をグラフト導入し、かつ上記官能基と金属カチオンとの間で塩を形成させたものである。
上記未変性ポリオレフィンは、エチレンに由来する構成単位の含有量が50モル%以上であるエチレン系重合体、またはプロピレンに由来する構成単位の含有量が50モル%以上であるプロピレン系重合体であることが好ましい。上記エチレン系重合体の例には、エチレン単独重合体、およびエチレンと炭素原子数3以上10以下のα−オレフィンとの共重合体が含まれる。上記プロピレン系重合体の例には、プロピレン単独重合体、およびプロピレンとエチレンまたは炭素原子数4以上10以下のα−オレフィンとの共重合体が含まれる。上記未変性ポリオレフィンは、ホモポリプロピレン、ホモポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、またはエチレン・プロピレン・1−ブテン共重合体であることが好ましい。
このとき収束された炭素繊維束あたりの単糸数は、100本以上100,000本以下であることが好ましく、1,000本以上50,000本以下であることがより好ましい。
上記マトリクス樹脂の材料は、特に限定されない。ただし、樹脂製部材110との融着性を高める観点からは、上記マトリクス樹脂は熱可塑性樹脂であることが好ましい。上記熱可塑性樹脂の例には、ポリプロピレン系樹脂およびポリエチレン系樹脂などを含むポリオレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ならびにポリスルホン樹脂などが含まれる。これらのうち、ポリプロピレン系樹脂およびポリアミド系樹脂が好ましい。また、上記サイジング剤によりサイジング処理された炭素繊維との親和性を高める観点から、上記マトリクス樹脂は、上述した変性ポリオレフィンを含んでいてもよい。
なお、上記マトリクス樹脂は、樹脂製部材110の材料となる樹脂と同種の樹脂であることが好ましい。たとえば、樹脂製部材110の材料がポリプロピレン系樹脂であるときは、上記マトリクス樹脂もポリプロピレン系樹脂であることが好ましく、樹脂製部材110の材料がポリアミド系樹脂であるときは、上記マトリクス樹脂もポリアミド系樹脂であることが好ましい。
(長尺状部材の製造方法)
長尺状部材100の製造方法は特に限定されない。
たとえば、上述した形状の樹脂製部材110を射出成型などで作製し、その第1山部112が有する上面112a、谷部114が有する底面114a、および第2山部116が有する上面116aに、補強材層の材料となるUDシートをレーザー融着などにより融着させてもよい。あるいは、上記樹脂製部材110を射出成型する型の内部のうち、第1山部112が有する上面112a、谷部114が有する底面114a、および第2山部116が有する上面116aに相当する位置に上記UDシートを両面テープなどで張り付け、その後、上記方の内部に樹脂製部材110の材料となる樹脂材料を射出して、樹脂製部材110に補強材層120が融着された長尺状部材100を一体的に成形してもよい。
なお、樹脂製部材110の、第1山部112が有する上面112a、谷部114が有する底面114a、および第2山部116が有する上面116aに、上記UDシートを接着剤などで接着させてもよいが、補強材としたときの耐曲げ性および曲げ方向への剛性をより高める観点からは、上記レーザーや一体成型によりUDシートを樹脂製部材110に融着させることが好ましい。UDシートを樹脂製部材110に融着させたとき、通常、これらの界面では両者の樹脂が溶融しあい、樹脂間の明瞭な境界は見られない。
[第2の実施形態]
本発明の他の実施形態は、長尺状の形状を有する樹脂製部材と、上記樹脂製部材の表面を被覆するUDシート製の補強材層と、を有する長尺状部材に関する。
図4は、本発明の第2の実施形態に関する長尺状部材の一例を示す斜視図である。
本実施形態に関する長尺状部材200は、樹脂製部材210と、樹脂製部材の表面の一部を被覆する補強材層220と、を有する。
(樹脂製部材)
樹脂製部材210は、樹脂材料を成形してなる、長尺状の形状を有する部材である。樹脂製部材210は、谷部214と、谷部のX方向両側に配置された第1フランジ部212および第2フランジ部216と、を有する。谷部214、第1フランジ部212、および第2フランジ部216は、いずれも暑さ3mmの板状であり、これらがそれぞれのX方向端部において接続されて、全体として、X方向に平行な断面がハット形(図4では逆ハット形)の形状となっている。
谷部214、第1フランジ部212、および第2フランジ部216は、いずれもY方向に伸びた形状である。樹脂製部材210は、X方向への幅よりもY方向への長さが長くなっており、これにより、Y方向に伸びた長尺状の形状となっている。
樹脂製部材210は、X方向への幅が84mm、Y方向への長さが700mmである。本実施形態では、樹脂製部材210は、Y方向への幅が、谷部214、第1フランジ部212、および第2フランジ部216のいずれも一定であるが、谷部214、第1フランジ部212、および第2フランジ部216の間で異なっていてもよい。また、樹脂製部材210のY方向への長さは特に限定されないが、X方向への幅の2倍以上であることが好ましく、3倍以上であることがより好ましく、4倍以上であることがさらに好ましい。
樹脂製部材210は、谷部214のX方向への幅が44mm、第1フランジ部212のX方向への幅が20mm、第2フランジ部216のX方向への幅が20mmであり、これらの幅は、Y方向に沿って一定である。これにより、樹脂製部材210は、X方向に平行な断面が、Y方向に沿って一定である形状となっている。ただし、樹脂製部材210は、X方向に平行な断面の形状が、Y方向に沿って連続的または非連続的に変化する形状であってもよい。
また、樹脂製部材210は、Z方向への高さが、樹脂製部材210中の位置によらず、70mmで一定である。ただし、樹脂製部材210は、Z方向への高さが、谷部214、第1フランジ部212、および第2フランジ部216の間で異なっていてもよい。また、樹脂製部材110は、Z方向への高さが、谷部214、第1フランジ部212、および第2フランジ部216のそれぞれの中でY方向に沿って連続的または非連続的に変化していてもよい。
図5は、樹脂製部材210のY方向における端部の付近を拡大して示す部分拡大斜視図である。
第1フランジ部212は、XY平面方向に広がる上面212aと、上面212aのX方向における端部からZ方向の図中下方に伸びてYZ平面方向に広がる側面212cと、を有する。上面212aおよび側面212cは、いずれもY方向に延びた板状の形状である。そして、上面212aと側面212cとの接続部は、R取りされている。
谷部214は、XY平面方向に広がる底面214aと、底面214aのX方向における両端部からZ方向の図中上方に伸びてYZ平面方向に広がる、2つの側面214b(第1フランジ部212が有する側面212cと共通)および側面214cと、を有する。底面214a、側面214bおよび側面214cは、いずれもY方向に延びた板状の形状である。そして、底面214aと側面214bとの接続部、および底面214aと側面214cとの接続部は、いずれもR取りされている。
第2フランジ部216は、XY平面方向に広がる上面216aと、上面216aのX方向における端部からZ方向の図中下方に伸びてYZ平面方向に広がる側面216b(谷部214が有する側面214cと共通)と、を有する。上面216aおよび側面216bは、いずれもY方向に延びた板状の形状である。そして、上面216aと側面216bとの接続部は、R取りされている。
図4および図5に示すように、第1フランジ部212、谷部214および第2フランジ部216は、側面212c(側面214b)および側面214c(側面216b)で互いに接続されて、断面形状がハット状の一枚の板状の形状となっている。このような形状とすることで、長尺状部材100をベルトラインインフォースメントなどの補強材として用いたときに、Z方向への耐曲げ性およびZ方向からの衝撃に対する剛性を高めることができる。
なお、樹脂製部材210の材料は第1の実施形態と同様なので、重複する説明は省略する。
(補強材層)
本実施形態において、補強材層220は、樹脂製部材210の第1フランジ部212が有する上面212aを被覆する第1上部補強材層222、谷部214が有する底面214aを被覆する底部補強材層224、および第2フランジ部216が有する上面216aを被覆する第2上部補強材層226、からなる。
第1上部補強材層222、底部補強材層224、および第2上部補強材層226は、いずれも、一方向に配向されて配列された複数の強化繊維と、上記強化繊維に含浸された樹脂と、を有する繊維強化樹脂層である。
本実施形態において、第1上部補強材層222および第2上部補強材層226は、いずれも、X方向への幅が15mm、Y方向への長さが700mmの長方形状の補強材層であり、それぞれ、第1フランジ部212の上面212aおよび第2フランジ部216の上面216aを、Y方向における長さの全体にわたって、被覆している。
本実施形態において、底部補強材層224は、X方向への幅が40mm、Y方向への長さが700mmの長方形状の補強材層であり、谷部214の底面214aを、Y方向における長さの全体にわたって、被覆している。
また、本実施形態において、第1上部補強材層222、底部補強材層224、および第2上部補強材層226は、いずれも、それぞれ第1フランジ部212の上面212a、谷部214の底面214a、および第2フランジ部216の上面216aのうち、断面形状が波状の一枚の板状の形状である樹脂製部材210の一方の表面を、被覆している。上記一方の表面とは、樹脂製部材210の、図4および図5においてZ方向上方を向いている表面である。
一方で、本実施形態においても、これらの補強材層220は、樹脂製部材210の、図4および図5においてZ方向下方を向いている他方の表面は、被覆していない。なお、補強材層220は、樹脂製部材210の他方の表面を部分的に被覆していてもよいが、このとき、第1フランジ部212の他方の表面における補強材層による被覆率は、第1フランジ部212の一方の表面における第1上部補強材層222による被覆率よりも小さいことが好ましい。同様に、谷部214の他方の表面における補強材層による被覆率は、谷部214の一方の表面における底部補強材層224による被覆率よりも小さいことが好ましい。また、第2フランジ部216の他方の表面における補強材層による被覆率は、第2フランジ部216の一方の表面における第2上部補強材層226による被覆率よりも小さいことが好ましい。本発明者らの新たな知見によれば、このように、樹脂製部材210の第1フランジ部212、谷部214および第2フランジ部216に対して、一方向側を補強材層220で被覆することにより、長尺状部材200の、Z方向への耐曲げ性および剛性をより高めることができる。
このように、樹脂製部材210の第1フランジ部212、谷部214および第2フランジ部216に対して、一方向側を補強材層220で被覆することにより、長尺状部材200の、Z方向への耐曲げ性およびZ方向からの衝撃に対する剛性をより高めることができる。
また、本実施形態においても、第1上部補強材層222、底部補強材層224、および第2上部補強材層226は、いずれも、上記一方向に配列された複数の強化繊維が、Y方向に配向されるように配置されている。
このように強化繊維が配向されることにより、長尺状部材200がZ方向からの衝撃を受けて、衝撃を受けた部位がZ方向に変位するように曲がったときに、補強材層220が衝撃を受けた側にあるときは強化繊維が座屈し、または補強材層220が衝撃を受けた側にあるときは強化繊維が伸長して、上記衝撃による応力を緩和する。
また、本実施形態においても、補強材層220は、第1フランジ部212の上面212a、谷部214の底面214a、および第2フランジ部216の上面216aのそれぞれの全面を被覆してもよいが、これらの表面の一部のみを被覆してもよい。
補強材層220がこれらの表面をどのように被覆するかについては、第1の実施形態と同様なので、重複する説明は省略する。
また、補強材層220の材料も第1の実施形態と同様なので、重複する説明は省略する。
また、長尺状部材200の製造方法も第1の実施形態と同様なので、重複する説明は省略する。
[第3の実施形態]
本発明のさらに他の実施形態は、上述した第1の実施形態に関する長尺状部材100または第2の実施形態に関する長尺状部材200を、補強材として有する、自動車用のドアに関する。
図6は、本発明の第3の実施形態に関する自動車用のドアの一例を示す斜視図である。
ドア300は、自動車のサイドドアである。ドア300の形状および構造は特に限定されず、公知の形状および構造でよい。
ドア300は、その内部(インナーパネルとアウターパネルとの間)に、長尺状部材100を有する。長尺状部材100は、ドア300の内部に配置されるベルトラインインフォースメントであり、衝突による前後方向への応力が自動車に印加されたとき、ドア300の前後方向への変形(圧縮)を抑制して当該自動車の前後方向への変形(圧縮)を抑制し、これにより自動車の内部にいる人を保護する。
長尺状部材100は、長尺方向が自動車の前後方向と程一致し、かつ補強材層120が自動車の略外側を向くように、ドア300の内部に配置される。長尺状部材100は、補強材層120により耐曲げ性および曲げ方向への剛性を高められているため、自動車に側方(ドア300の外側から内側へ向かう方向)から衝撃による応力が印加されても、破壊されにくい。そのため、長尺状部材100は、樹脂製部材110を本体としているにもかかわらず、側方からの衝撃に対する耐久性を高められている。
[その他の実施形態]
なお、上述の各実施形態はそれぞれ本発明の一例を示すものであり、本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の思想の範囲内において、他の種々多様な各実施形態も可能であることは言うまでもない。
たとえば、第1の実施形態および第2の実施形態に関する長尺状部材は、複数の強化繊維が長尺方向(Y方向)に配向されて配列された複数の強化繊維を有する補強材層に加えて、複数の強化繊維が長尺方向以外に配向されて配列されている他の補強材層を有していてもよい。当該他の補強材層は、上記補強材層に積層されて上記補強材層と同じ表面を被覆していてもよいし、樹脂製部材の表面のうち上記補強材層が被覆していない部位の表面を被覆していてもよい。
また、第1の実施形態および第2の実施形態に関する長尺状部材は、補強材層が、谷部の底面および山部またはフランジ部の上面のうち、樹脂製部材の一方の表面のみを被覆していたが、補強材層は、これらに加えて、樹脂製部材の他方の表面を部分的に被覆していてもよいし、樹脂製部材の側面の全体または一部分を被覆してもよい。
また、第1の実施形態および第2の実施形態に関する長尺状部材は、1つの谷部と、2つ山部または2つのフランジ部とを有していたが、谷部および山部またはフランジ部の数はこれらに限定されず、より多くの谷部および山部またはフランジ部を有していてもよい。また、1つの長尺状部材が、谷部の間に配置された1つまたは複数の山部と、X方向端部に配置された1つ(片方の端部)または2つ(両方の端部)のフランジ部を有していてもよい。
また、第1の実施形態および第2の実施形態に関する長尺状部材は、谷部の底面に加えて、2つ山部または2つのフランジ部の両方の上面を補強材層が被覆していたが、上記2つ山部または2つのフランジ部のうち、いずれかの山部またはいずれかのフランジ部の上面のみを補強材層が被覆していてもよい。つまり、1つまたは複数の谷部のうち少なくとも1つの谷部の底面と、1つもしくは複数の山部または1つまたは複数のフランジ部のうち少なくとも1つの山部またはフランジ部の上面と、を補強材層が被覆していればよい。
また、第1の実施形態および第2の実施形態に関する長尺状部材の用途は、第3の実施形態に示した自動車のドア用のベルトラインインフォースメントには限定されず、他の補強材や、補強材以外の他の用途であってもよい。当該他の用途の例には、ドアインパクトビーム、クロスカービーム、バックドアレインフォースメント、バンパーレインフォースメント、クラッシュボックス、およびピラーなどが含まれる。
以下、実施例を参照して本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は実施例の記載に限定されない。
1.長尺状部材の作製
1−1.長尺状部材1の作製
UDシートとして、一方向に配列した炭素繊維にポリプロピレンを含浸させたUDシート(三井化学株式会社製、TAFNEX(登録商標)、繊維体積分率(VF):50%、厚差、0.16mm)を用意した。
図1に示す形状の長尺状部材に対応した形状の金型を有する射出成形機を用意した。
この金型に、40mm×700mmに切断した上記UDシートを両面テープで貼り付けた。このとき、上記UDシートの片面のうち全体に上記両面テープを貼り付け、かつ谷部の底面および山部の頂面のそれぞれの、R部を除く平面の全体に上記UDシートを貼り付けた。また、谷部の底面および山部の頂面に対し、成形される長尺状部材の同一面に上記UDシートが貼り付けられるように、金型内に上記UDシートを張り付けた。また、谷部の底面および山部の頂面のそれぞれに対し、上記UDシートに含まれる強化繊維が、成形される長尺状部材の長尺方向に配向されるように、金型内にそれぞれの上記UDシートを配置した。
その後、インラインスクリュー射出成形機(JSW株式会社製、J1000ELIII、型締め力1000t、スクリュー径110mm、スクリューストローク550mm)を使用して、ガラス繊維強化ポリプロピレン複合材料(株式会社プライムポリマー製、モストロンL5071P)を溶融混練して上記金型に射出した。このときの射出成形機のシリンダ温度は、ホッパー下からノズルにかけて、順に、220℃、250℃、270℃、270℃、および260℃似設定し、金型の温度は100℃に設定した。また、射出成形機のスクリュー回転数は80rpm、射出速度は50mm/s、背圧は10MPa、V/P切替位置は20mmとし、30MPaで5secの保圧を行った。その後、金型を冷却して、樹脂製部材の谷部の底面および山部の帳面にUDテープが融着してなる長尺状部材を得た(図3A参照)。なお、UDシートが融着した部位と、UDシートを着させていない部位との間には、厚みの差は認められず、測定された厚みは、いずれも3mmだった。
1−2.長尺状部材2の作製
40mm×560mmに切断した上記UDシートを、谷部の底面および山部の頂面のそれぞれの、R部を除く平面の長尺方向における両端部から70mmの範囲を除いた部位に貼り付けた以外は、長尺状部材1の作製と同様にして、長尺状部材2を作製した(図3B参照)。
1−3.長尺状部材3の作製
10mm×700mmに切断した上記UDシートを、谷部の底面および山部の頂面のそれぞれの、R部を除く平面の長尺方向における中心軸から10mmずつずらした2箇所の部位に貼り付けた以外は、長尺状部材1の作製と同様にして、長尺状部材3を作製した(図3C参照)。
1−4.長尺状部材4の作製
5mm×300mmに切断した上記UDシートを、谷部の底面および山部の頂面のそれぞれの、R部を除く平面の長尺方向における中心軸上かつ両端から同距離の位置、および中心軸から10mmずつずらした位置かつ長尺方向における両端部に接する位置の5箇所の部位に貼り付けた以外は、長尺状部材1の作製と同様にして、長尺状部材4を作製した(図3D参照)。
1−5.長尺状部材5の作製
2つの谷部の底面に対し、成形される長尺状部材の同一面に上記UDシートが貼り付けられ、山部の頂面に対し、上記谷部の底面とは異なる面に上記UDシートが貼り付けられるように、金型内に上記UDシートを張り付けた以外は、長尺状部材1の作製と同様にして、長尺状部材5を作製した。
1−6.長尺状部材6の作製
金型内に上記UDシートを張り付けなかった以外は、長尺状部材1の作製と同様にして、長尺状部材6を作製した。
1−7.長尺部材7の作製
700mm×40mmに切断した上記UDシートを、上記UDシートに含まれる強化繊維が、成形される長尺状部材の長尺方向と直交する方向に配向されるように、金型内にそれぞれの上記UDシートを配置した以外は長尺部材1の作製と同様にして、長尺部材7を作製した。
2.評価(破壊荷重、破壊時のたわみ、剛性)
万能試験機(インストロンジャパン カンパニイリミテッド製、装置面INSTRON 55R−4206型、最大試験力100kN)を用いて、以下の曲げ試験を行った。
山部の頂面に接するように、曲率φが20mmである半円柱状の支点を2つ用意して、互いに平行かつ長尺状部材の長尺方向に直交するように、支点間距離を600mmとして配置し、これらの支点の上に、半円柱状の支点の、曲面となる側面に接するように、長尺状部材1〜長尺状部材7を配置した。このとき、2つの支点は、平面となる側面を鉛直下方として水平に配置し、長尺状部材も長尺方向が水平となるように配置した。
そして、長尺状部材の長尺方向における中央部(長尺方向における両端部から450mmの位置)に、曲率φが20mmである半円柱状の圧子の曲面となる側面を、長尺方向に直交するように設置した。なお、上記2つの支点および圧子の、長尺状部材と接する曲面には、厚み2mmのシリコンゴムを貼着した。
この状態で上記圧子を鉛直下方に圧下し、長尺状部材が破壊されるときの荷重(N)および長尺状部材のたわみ(mm)を測定した。なお、破壊時の長尺状部材のたわみは、クロスヘッドの移動量とした。また、破壊時の荷重を破壊時のたわみで除算した値を、当該長尺状部材の剛性(N/mm)とした。
表1に、長尺状部材1〜長尺状部材7の強化繊維の配向方向(長尺方向からのずれ)、長尺方向の長さに対するUDシートが配置された長さの割合、破壊時の荷重、破壊時のたわみ、および剛性を示す。
Figure 2021138172
表1から明らかなように、樹脂製部材に対して、一方の面における、谷部の底面および山部の上面をUDシートで被覆したところ、耐曲げ性(破壊時の荷重および破壊時のたわみ)および曲げ方向への剛性がより高まっていた。これに対し、一方の面における谷部の底面と、他方の面における山部の上面とをUDシートで被覆したところ、耐曲げ性はほとんど高まらず、また曲げ方向への剛性も十分には高まらなかった。
本発明の長尺状部材は、耐曲げ性および曲げ方向への剛性に優れるため、自動車のドアにおけるベルトラインインフォースメントなどの、長尺方向のみならず曲げ方向への耐性および剛性が要求される用途における補強材として好適である。また、従来は鋼などの金属で形成されていた上記用途への補強材を本発明の長尺状部材に置き換えることで、これらの補強材が軽量化され、たとえば自動車の燃費のさらなる向上などが達成されることが期待される。
100、200 長尺状部材
110、210 樹脂製部材
112 第1山部
112a 上面
112b 側面
112c 側面
114 谷部
114a 底面
114b 側面
114c 側面
116 第2山部
116a 上面
116b 側面
116c 側面
120、220 補強材層
122、222 第1上部補強材層
124、224 底部補強材層
126、226 第2上部補強材層
212 第1フランジ部
212a 上面
212c 側面
214 谷部
214a 底面
214b 側面
214c 側面
216 第2フランジ部
216a 上面
216b 側面

Claims (16)

  1. 長尺方向に延びている谷部と、前記谷部の側方に配置され、かつ前記長尺方向に延びている山部またはフランジ部と、を有する樹脂製部材と、
    前記谷部の底面を被覆する底部補強材層と、
    前記山部の頂面または前記フランジ部の上面を被覆する上部補強材層と、を有し、
    前記底部補強材層および前記上部補強材層は、いずれも、前記長尺方向に配向されて配列された複数の強化繊維と、前記強化繊維に含浸された樹脂と、を有する繊維強化樹脂層であり、
    前記底部補強材層および前記上部補強材層は、前記樹脂製部材の一方の表面に配置されている、
    長尺状部材。
  2. 前記底部補強材層は、前記谷部の前記長尺方向の長さに対して、60%以上100%以下の長さを有する、請求項1に記載の長尺状部材。
  3. 前記底部補強材層は、前記谷部の前記長尺方向に途切れなく延びている、請求項1または2に記載の長尺状部材。
  4. 前記上部補強材層は、前記樹脂製部材の前記長尺方向の長さに対して、60%以上100%以下の長さを有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の長尺状部材。
  5. 前記上部補強材層は、前記山部または前記フランジ部の前記長尺方向に途切れなく延びている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の長尺状部材。
  6. 前記底部補強材層または前記上部補強材層は、前記谷部の底面または前記山部の頂面もしくは前記フランジ部の上面の端部を被覆しない、請求項1〜5のいずれか1項に記載の長尺状部材。
  7. 前記谷部の他方の表面における、前記底部補強材層による被覆率は、前記谷部の一方の表面における前記底部補強材層による被覆率よりも小さい、請求項1〜6のいずれか1項に記載の長尺状部材。
  8. 前記山部または前記フランジ部の他方の表面における、前記上部補強材層による被覆率は、前記前記山部または前記フランジ部の一方の表面における前記上部補強材層による被覆率よりも小さい、請求項1〜7のいずれか1項に記載の長尺状部材。
  9. 前記樹脂製部材は、前記谷部の底面と、前記山部の頂面または前記フランジ部の上面と、を接続する側面を有する、
    請求項1〜8のいずれか1項に記載の長尺状部材。
  10. 前記側面の一方の表面における、繊維強化樹脂層による被覆率は、前記谷部または前記山部もしくは前記フランジ部の一方の表面における前記繊維強化樹脂層による被覆率よりも小さい、請求項9に記載の長尺状部材。
  11. 前記側面と、前記谷部の底面または前記山部の頂面もしくは前記フランジ部の上面と、の間の接続部の、前記長尺方向の長さに対する前記繊維強化樹脂層による被覆率は、前記谷部または前記山部もしくは前記フランジ部の前記長尺方向の長さに対する前記繊維強化樹脂層による被覆率よりも小さい、請求項9または10に記載の長尺状部材。
  12. 前記樹脂製部材は、熱可塑性樹脂から形成されており、
    前記底部補強材層および前記底部補強材層の前記強化繊維に含浸された樹脂は、熱可塑性樹脂を含む、
    請求項1〜11のいずれか1項に記載の長尺状部材。
  13. 前記樹脂製部材は、ポリプロピレンまたはポリアミドを含んで形成されており、
    前記底部補強材層および前記底部補強材層の前記強化繊維に含浸された樹脂は、ポリプロピレンまたはポリアミドを含む、
    請求項1〜12のいずれか1項に記載の長尺状部材。
  14. 補強材である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の長尺状部材。
  15. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の長尺状部材を有する、自動車のドア。
  16. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の長尺状部材を有する、自動車。
JP2020034967A 2020-03-02 2020-03-02 長尺状部材、自動車のドアおよび自動車 Pending JP2021138172A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020034967A JP2021138172A (ja) 2020-03-02 2020-03-02 長尺状部材、自動車のドアおよび自動車

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020034967A JP2021138172A (ja) 2020-03-02 2020-03-02 長尺状部材、自動車のドアおよび自動車

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021138172A true JP2021138172A (ja) 2021-09-16

Family

ID=77667507

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020034967A Pending JP2021138172A (ja) 2020-03-02 2020-03-02 長尺状部材、自動車のドアおよび自動車

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021138172A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4879165A (en) Lightweight armor
DK3024644T3 (en) STRUCTURAL COMPOSITION ARTICLE
KR101968484B1 (ko) 수지 복합체
KR20140043318A (ko) 차량 골격부재
KR20140001987A (ko) 탄소섬유 강화 복합재료의 접합체
JP2010505647A (ja) 一方向に配向されたポリマーテープの積層体を有する可とう性パネルを製造する方法
JP2021138172A (ja) 長尺状部材、自動車のドアおよび自動車
US20230173896A1 (en) Impact absorbing structure
CN110612226B (zh) 车门用装饰板和门饰板
KR20190114565A (ko) 자동차용 범퍼빔
JP2976913B2 (ja) 複合長繊維強化熱可塑性樹脂スタンパブルシート及びそれを成形してなるバンパービーム
CN102535368B (zh) 中空护栏板
US4400425A (en) High impact chemically activated polyester fiber reinforced plastic composite
JP6224092B2 (ja) ハニカムコア構造物
WO2013089228A1 (ja) フレーム構造およびそれを用いた自動車用部品
US20080311341A1 (en) Article Having Impact Resistant Surface
KR20230044408A (ko) 섬유 강화 플라스틱 및 섬유 강화 플라스틱의 제조 방법
KR20160022467A (ko) 복합재 및 이의 제조방법
CN102535367A (zh) 肋形护栏板
CN202577199U (zh) 肋形护栏板
KR20160083985A (ko) 차량의 무릎 보호장치 및 이의 제조방법
KR20190018307A (ko) 차량용 에어백 하우징 및 이의 제조방법
WO2022176661A1 (ja) 衝撃吸収部材
KR101983998B1 (ko) 차량의 범퍼용 스티프너
US10239282B1 (en) Vibration-damping laminate stack