JP2021137813A - 異種金属の接合方法 - Google Patents
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Abstract
Description
[0014]
図1の実施例は、パネルとしての中空型材31,32の継ぎ手部の形状が突合せタイプの場合である。・・・中空型材31,32はアルミニウム合金の押出し型材である。・・・摩擦接合時において、回転工具50の大径部51と小径部の凸部52との境53が中空型材31,32の上面に位置している。
[0015]
摩擦接合は回転工具50を回転させながら、凸部52を中空型材31、32の接合部に挿入し、接合部に沿って移動させて行う。凸部52の回転中心は2つの板36、36の間にある。
[0040]
・・・図11に示すように、ハニカムパネル80a,80bは、2つの面板81,82と、ハニカム状のセルを有する芯材83と、面板81,82の端面に沿って配置した縁材84とからなり、芯材83、縁材84は面板81,82にろう付けされ、一体になっている。面板81,82、芯材83、および縁材84はアルミニウム合金である。・・・
[0041]
図11の実施例は図1の実施例に相当するものである。回転工具50の凸部52の高さは面板81,82の厚さよりも大きい。これによって、面板81、82、および縁材84、84が接合される。主として縁材84がパネル80a、80bに作用する荷重を伝達する。パネル80a、80bを製作後、両者を組み合わせ、摩擦接合を行う。
[0044]
図13の実施例は、図7に相当するものである。2つのハニカムパネル80a0,80bを組み合わせた後、面板81,81の上面に板86を載せ、板81,81に溶接で仮止めしたものである。板86は塑性流動によって流出する材料を補うものである。・・・
ところが、上記特許文献1の技術によって異種金属を接合しようとすると、接合部分では、2種類の金属が互いに相手側に流動し、不均一に混在した領域となる。異種金属が混在した領域では、混在した異種金属が介在物として作用するおそれがある。また、このような領域は、激しい塑性流動で材料が飛散等することによるボイドが生じやすい。したがって、接合部全体にわたって接合強度の低下を引き起こす可能性がある。しかも、超音波によるボイドの非破壊検査をしようとしても、混在する異種金属がノイズとなってしまい、まともな検査結果が得られない。このような介在物やボイドが存在すると、接合部の経時劣化が助長されるおそれがあり、長期的な信頼性が求められる接合技術においては致命的な課題である。
加えて、異種金属では、硬度が一致しないことが多く、塑性流動時の粘性も異なっている。このため、硬度や粘性が異なる金属同士の境界に回転工具を挿入して移動させると、移動方向に直交した方向に力が生じ、回転工具に多大な負荷がかかってしまう。また、塑性流動時の粘性が高い方の金属が、回転工具に付着するといった問題も生じる。
互いに種類が異なる2つの金属部材を、摩擦攪拌接合法によって良好に接合できる異種金属の接合方法を提供するものである。
互いに種類が異なる第1の金属部材と第2の金属部材を摩擦攪拌接合によって接合する異種金属の接合方法であって、
上記第1の金属部材と第2の金属部材を、実質的に隙間ができないように隣接して配置し、
上記第1の金属部材と第2の金属部材の境界に沿う領域を少なくとも覆うように補助金属材を載置し、
回転する回転工具の外周縁が上記境界と略一致するよう、上記回転工具を上記補助金属材の上から上記第1の金属部材に挿入した状態で、上記回転工具を上記境界に沿って移動させることにより、
上記第1の金属部材と第2の金属部材を接合する。
上記回転工具を挿入する第1の金属部材を、第2の金属部材よりも硬度が低い金属とする。
上記回転工具を挿入する第1の金属部材を、第2の金属部材よりも融点が低い金属とする。
上記補助金属材を、上記回転工具を挿入する第1の金属部材と実質的に同じ種類の金属とする。
上記回転工具は、上記第1の金属部材に侵入させるプローブと、上記プローブの根元側にあって上記プローブよりも径の大きいショルダー部とを有し、
上記補助金属材を、上記回転工具を移動させたときに上記ショルダー部が通過する領域を少なくとも覆うものとする。
上記回転工具は、上記第1の金属部材に侵入させるプローブと、上記プローブの根元側にあって上記プローブよりも径の大きいショルダー部とを有し、
上記補助金属材を、上記回転工具を移動させたときに上記第1の金属部材および第2の金属部材に上記ショルダー部が接触しない厚みとする。
上記回転工具を、その移動方向に対して回転中心を実質的に垂直とし、その状態を維持しながら上記回転工具を移動させる。
まず、上記第1の金属部材と第2の金属部材を、実質的に隙間ができないように隣接して配置する。たとえば、2枚の金属板を突き合せたような状態とする。
ついで、上記第1の金属部材と第2の金属部材の境界に沿う領域を少なくとも覆うように補助金属材を載置する。たとえば、上記2枚の金属板を突き合せた境界を覆うように、補助金属材を重ねて載せる。上記補助金属材も板材を使用することができる。
つぎに、回転する回転工具を使用し、その外周縁が上記境界と略一致するよう、上記回転工具を上記補助金属材の上から上記第1の金属部材に挿入する。上記外周縁とは、回転している回転工具における最も外側の回転軌跡である。上記回転軌跡を上記境界と略一致させるようにして回転工具を挿入する。このとき上記回転工具は、上記補助金属材の上から挿入を開始する。
そして、上記回転工具を上記第1の金属部材に至るまで挿入させた状態で、上記回転工具を上記境界に沿って移動させる。これにより、上記第1の金属部材に塑性流動が生じて第2の金属との境界に密着し、上記第1の金属部材と第2の金属部材が接合される。
また、回転工具を第1の金属部材の側にだけ挿入することにより、従来問題であった回転工具にかかる垂直方向の力を大きく緩和し、工具の劣化を防止できる。さらに、塑性流動時の粘性が小さい金属だけに回転工具を挿入できるため、回転工具への金属の付着も抑制される。したがって、回転工具に付着した金属を除去する、回転工具を交換する等のメンテナンスの頻度を減らすことができる。
塑性流動時の粘性が小さい第1の金属部材だけに回転工具を挿入するため、回転工具への金属の付着が抑制され、回転工具のメンテナンスの頻度を減らすことができる。また、塑性流動を生じさせるために必要なエネルギーが小さくて済むため、動力の節減に有利である。
仮に、回転工具を挿入する第1の金属部材のほうが融点が高ければ、第1の金属部材が塑性流動するまで高温になったころに相手材である第2の金属部材が溶融しはじめ、接合不良や欠陥が生じるおそれがある。上記回転工具を挿入する第1の金属部材を、第2の金属部材よりも融点が低い金属とすることにより、上記のような不都合の発生を防止できる。
激しい塑性流動で材料が飛散等したとしても、上記補助金属材が上記塑性流動に加わることにより材料が補われ、ボイドの発生を減少させる。このとき、異種金属の混在が問題にならない極めて良好な接合状態を得ることができる。
回転工具を移動させたときに、上記第1の金属部材および第2の金属部材に上記ショルダー部が接触せず、第2の金属部材の流動による異種金属の混在が確実に防止される。
回転工具を移動させたときに、上記第1の金属部材および第2の金属部材に上記ショルダー部が接触せず、第2の金属部材の流動による異種金属の混在が確実に防止される。
つまり、激しい塑性流動で部材の一部が飛散するのを防止するため、回転工具を傾けて移動するケースがある。この場合は移動方向はたとえばX方向だけに限定される。本発明では上記補助金属材が上記塑性流動に加わって材料が補われるため、上記回転工具を移動方向に対して垂直にして移動できる。このため、たとえば移動方向をX方向に加えてY方向にも移動させるなど、加工設計の自由度が格段に向上する。
図1は、本発明の異種金属の接合方法の実施形態を説明する図である。(A)は正面から見た状態、(B)は上から見た状態であり、(C)は回転工具の移動状態を示す図である。
図2は、上記回転工具30を示す図である。(A)は縦断面図、(B)は側面図である。上記回転工具30は、上記第1の金属部材10に侵入させるプローブ31と、上記プローブ31の根元側にあって上記プローブ31よりも径の大きいショルダー部32とを有している。
図3は、回転工具30と補助金属材1の関係を説明する図である。
図3(A)は、ショルダー部32の径と補助金属材1の幅の関係を示す。
図3(B)は、ショルダー部32の形状と補助金属材1の厚みの関係を示す。
図4は、上記実施形態の異種金属の接合方法を実施する状態を説明する図である。(A)は、境界3に沿う方向に見た模式図、(B)は、境界3を側面から見た模式図である。
この例では、境界3が直線ではなく、曲線から構成されている。上述したように、本実施形態では、上記回転工具30を移動方向Tに対して垂直にして移動できるため、曲線から構成された境界3に沿うように回転工具30を移動させることができる。
上記実施形態の異種金属の接合方法は、回転工具30を、その外周縁31Eが上記境界3と略一致するよう、上記補助金属材1の上から上記第1の金属部材10に挿入する。このようにすることにより、上記第1の金属部材10だけに塑性流動が生じ、第2の金属部材20では塑性流動がほとんど起こらない。このとき、激しい塑性流動で材料が飛散等したとしても、上記補助金属材1が上記塑性流動に加わることにより材料が補われ、結果的にボイドの発生を大幅に減少させることができる。したがって、2種類の金属の混在やボイド等の欠陥が少ない極めて良好な接合状態を得ることができる。
また、回転工具30を第1の金属部材10の側にだけ挿入することにより、従来問題であった回転工具30にかかる垂直方向の力を大きく緩和し、工具の劣化を防止できる。さらに、塑性流動時の粘性が小さい金属だけに回転工具30を挿入できるため、回転工具30への金属の付着も抑制される。したがって、回転工具30に付着した金属を除去する、回転工具30を交換する等のメンテナンスの頻度を減らすことができる。
塑性流動時の粘性が小さい第1の金属部材10だけに回転工具30を挿入するため、回転工具30への金属の付着が抑制され、回転工具30のメンテナンスの頻度を減らすことができる。また、塑性流動を生じさせるために必要なエネルギーが小さくて済むため、動力の節減に有利である。
仮に、回転工具30を挿入する第1の金属部材10のほうが融点が高ければ、第1の金属部材10が塑性流動するまで高温になったころに相手材である第2の金属部材20が溶融しはじめ、接合不良や欠陥が生じるおそれがある。上記回転工具30を挿入する第1の金属部材10を、第2の金属部材20よりも融点が低い金属とすることにより、上記のような不都合の発生を防止できる。
激しい塑性流動で材料が飛散等したとしても、上記補助金属材1が上記塑性流動に加わることにより材料が補われ、ボイドの発生を減少させる。このとき、異種金属の混在が問題にならない極めて良好な接合状態を得ることができる。
回転工具30を移動させたときに、上記第1の金属部材10および第2の金属部材20に上記ショルダー部32が接触せず、第2の金属部材20の流動による異種金属の混在が確実に防止される。
回転工具30を移動させたときに、上記第1の金属部材10および第2の金属部材20に上記ショルダー部32が接触せず、第2の金属部材20の流動による異種金属の混在が確実に防止される。
つまり、激しい塑性流動で部材の一部が飛散するのを防止するため、回転工具30を傾けて移動するケースがある。この場合は移動方向はたとえばX方向だけに限定される。本発明では上記補助金属材1が上記塑性流動に加わって材料が補われるため、上記回転工具30を移動方向に対して垂直にして移動できる。このため、たとえば移動方向をX方向に加えてY方向にも移動させるなど、加工設計の自由度が格段に向上する。
以上は本発明の特に好ましい実施形態について説明したが、本発明は図示した実施形態に限定する趣旨ではなく、各種の態様に変形して実施することができ、本発明は各種の変形例を包含する趣旨である。
1W:幅
1T:厚み
3:境界
10:第1の金属部材
20:第2の金属部材
30:回転工具
30A:回転中心
31:プローブ
31E:外周縁
32:ショルダー部
32D:外径
32T:ヌスミ空間の深さ
33:逆ねじ部
40:金床
41:凹部
Claims (7)
- 互いに種類が異なる第1の金属部材と第2の金属部材を摩擦攪拌接合によって接合する異種金属の接合方法であって、
上記第1の金属部材と第2の金属部材を、実質的に隙間ができないように隣接して配置し、
上記第1の金属部材と第2の金属部材の境界に沿う領域を少なくとも覆うように補助金属材を載置し、
回転する回転工具の外周縁が上記境界と略一致するよう、上記回転工具を上記補助金属材の上から上記第1の金属部材に挿入した状態で、上記回転工具を上記境界に沿って移動させることにより、
上記第1の金属部材と第2の金属部材を接合する
ことを特徴とする異種金属の接合方法。 - 上記回転工具を挿入する第1の金属部材を、第2の金属部材よりも硬度が低い金属とする
請求項1記載の異種金属の接合方法。 - 上記回転工具を挿入する第1の金属部材を、第2の金属部材よりも融点が低い金属とする
請求項1記載の異種金属の接合方法。 - 上記補助金属材を、上記回転工具を挿入する第1の金属部材と実質的に同じ種類の金属とする
請求項1〜3のいずれか一項に記載の異種金属の接合方法。 - 上記回転工具は、上記第1の金属部材に侵入させるプローブと、上記プローブの根元側にあって上記プローブよりも径の大きいショルダー部とを有し、
上記補助金属材を、上記回転工具を移動させたときに上記ショルダー部が通過する領域を少なくとも覆うものとする
請求項1〜4のいずれか一項に記載の異種金属の接合方法。 - 上記回転工具は、上記第1の金属部材に侵入させるプローブと、上記プローブの根元側にあって上記プローブよりも径の大きいショルダー部とを有し、
上記補助金属材を、上記回転工具を移動させたときに上記第1の金属部材および第2の金属部材に上記ショルダー部が接触しない厚みとする
請求項1〜4のいずれか一項に記載の異種金属の接合方法。 - 上記回転工具を、その移動方向に対して回転中心を実質的に垂直とし、その状態を維持しながら上記回転工具を移動させる
請求項1〜6のいずれか一項に記載の異種金属の接合方法。
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