JP2021136899A - ウイルス増殖方法及びウイルス増殖促進剤の探索方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ワクチンの材料となるインフルエンザウイルスを、細胞培養を用いてより効率よく増殖させる方法、及びインフルエンザウイルス増殖促進剤を探索する方法を提供する。
【解決手段】細胞培養によってインフルエンザウイルスを増殖する方法であって、前記細胞のアポトーシスを抑制する工程を含む、方法。
【選択図】なし
【解決手段】細胞培養によってインフルエンザウイルスを増殖する方法であって、前記細胞のアポトーシスを抑制する工程を含む、方法。
【選択図】なし
Description
本発明は細胞培養によるインフルエンザウイルスの増殖方法及びインフルエンザウイルス増殖促進剤の探索方法に関する。
インフルエンザは、インフルエンザウイルスによって引き起こされる感染症であり、飛沫感染や接触感染等により感染し、高熱、頭痛、筋肉痛、関節痛等の強い全身症状を伴う呼吸器感染症である。インフルエンザワクチンの接種はインフルエンザの重症化の防御に最良の手段となっている。
インフルエンザワクチンは、ワクチン製造用のインフルエンザウイルスを発育鶏卵の尿膜腔内に接種して培養増殖させ、漿尿液から遠心にて濃縮精製し、ウイルス粒子を界面活性剤等で処理し、ホルマリンで不活化した全粒子ワクチン又はウイルス粒子をエーテルや界面活性剤で破砕後更に精製を行ったスプリットワクチン又はサブユニットワクチンである。しかしながらインフルエンザワクチンを、胚を有する鶏卵から製造する場合、時間、労働及び費用を要し、急な大量生産ができないという供給安定性の面で問題がある。
これに替わるウイルス生産方法として、インフルエンザウイルスを細胞培養において複製する手法が研究され、MDCK細胞がインフルエンザウイルスのin vitroでの複製のための適切な細胞であることが報告されている(非特許文献1)。また、特許文献1には、MDCK細胞の培養液中に分泌されるトリプシンインヒビターを除去又は低減した後に、細胞にインフルエンザウイルスを接種して、インフルエンザウイルス接種細胞を培養することによりウイルス生産量を増加できることが開示されている。
また、非特許文献2には、トリインフルエンザウイルス(A/Bratislava/79(H7N7))が、生体防御機能(アポトーシス)を利用して核外へ輸送され、効率的に増えることが開示され、インフルエンザウイルスの増殖には、培養細胞のアポトーシスが関与することが示唆されている。
Med Microbiol Immunol (1975)162,9-14
THE EMBO Journal(2003)22,2717-2728
本発明はワクチンの材料となるインフルエンザウイルスを、細胞培養を用いてより効率よく増殖させる方法、及びインフルエンザウイルス増殖促進剤を探索する方法を提供することに関する。
本発明者等は、鋭意研究を重ねた結果、インフルエンザウイルスを感染させた細胞において、アポトーシスに関連するBcl−2ファミリータンパク質の存在量がインフルエンザウイルスの増殖性に関与し、インフルエンザウイルスの増殖性が高い細胞においてはアポトーシス誘導因子が減少するのに対し、インフルエンザウイルスの増殖性が低い細胞においてはアポトーシス誘導因子のタンパク質量が維持されることを見出した。また、効率的にインフルエンザウイルスが増殖できる細胞株において、ウイルス感染に応じてアポトーシス抑制因子が活性化することも確認した。
すなわち、宿主細胞のアポトーシスを抑制することでインフルエンザウイルスの増殖性が向上し、ウイルス産生量を増加できること、またアポトーシスの制御能を指標としてインフルエンザウイルス増殖促進剤を探索できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、宿主細胞のアポトーシスを抑制することでインフルエンザウイルスの増殖性が向上し、ウイルス産生量を増加できること、またアポトーシスの制御能を指標としてインフルエンザウイルス増殖促進剤を探索できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の1)〜3)に係るものである。
1)細胞培養によってインフルエンザウイルスを増殖する方法であって、前記細胞のアポトーシスを抑制する工程を含む、方法。
2)1)の方法によってインフルエンザウイルスを増殖させ、細胞からウイルス粒子を回収する、インフルエンザウイルス粒子の調製方法。
3)以下の(1)〜(3)の工程を含む、インフルエンザウイルス増殖促進剤の評価又は選択方法。
(1)培養細胞に被験物質を接触させる工程、
(2)当該細胞におけるアポトーシス誘導因子若しくはアポトーシス抑制因子の発現レベル又は活性レベルを測定する工程、
(3)(2)で測定された結果に基づいて、アポトーシス誘導因子の発現レベル若しくは活性レベルを低下又は減少させるか、又はアポトーシス抑制因子の発現レベル若しくは活性レベルを増強又は増加させる被験物質をインフルエンザウイルス増殖促進剤として評価する工程。
1)細胞培養によってインフルエンザウイルスを増殖する方法であって、前記細胞のアポトーシスを抑制する工程を含む、方法。
2)1)の方法によってインフルエンザウイルスを増殖させ、細胞からウイルス粒子を回収する、インフルエンザウイルス粒子の調製方法。
3)以下の(1)〜(3)の工程を含む、インフルエンザウイルス増殖促進剤の評価又は選択方法。
(1)培養細胞に被験物質を接触させる工程、
(2)当該細胞におけるアポトーシス誘導因子若しくはアポトーシス抑制因子の発現レベル又は活性レベルを測定する工程、
(3)(2)で測定された結果に基づいて、アポトーシス誘導因子の発現レベル若しくは活性レベルを低下又は減少させるか、又はアポトーシス抑制因子の発現レベル若しくは活性レベルを増強又は増加させる被験物質をインフルエンザウイルス増殖促進剤として評価する工程。
本発明のインフルエンザウイルスの増殖方法によれば、インフルエンザウイルスを効率よく増殖でき、ワクチン調製のためのインフルエンザウイルスを大量生産することができる。また、本発明のインフルエンザウイルス増殖促進剤の評価又は選択方法によれば、インフルエンザウイルスをよく増殖できるインフルエンザウイルス増殖促進剤を効率よく探索することができる。
本発明において、インフルエンザウイルスとしては、A型、B型、C型、及びD型のいずれでも良いが、A型及びB型を好適に例示することができる。
また、インフルエンザウイルスのヘマグルチニン(赤血球凝集素 HA:haemagglutinin)の型(HA型)とノイラミニダーゼの型(NA型)も特に制限されない。例えば、H1N1株、H2N2株、H3N2株、H4N2株、H4N6株、H5N1株、H5N2株、H7N2株、H7N7株、H7N9株、H9N2株等の現在知られている亜型の他、将来単離・同定される亜型も包含される。
また、インフルエンザウイルスのヘマグルチニン(赤血球凝集素 HA:haemagglutinin)の型(HA型)とノイラミニダーゼの型(NA型)も特に制限されない。例えば、H1N1株、H2N2株、H3N2株、H4N2株、H4N6株、H5N1株、H5N2株、H7N2株、H7N7株、H7N9株、H9N2株等の現在知られている亜型の他、将来単離・同定される亜型も包含される。
また対象となるウイルスは、ヒトに感染できるものであればよく、他にブタやトリ、ウマ、ウシへの感染能力を有するウイルスでもよい。
また、本発明のインフルエンザウイルスは、感染動物や患者等の感染個体から単離された株であってもよく、遺伝子工学的に培養細胞で樹立された組換えウイルスであってもよい。
本発明において、アポトーシスとは、ミトコンドリアの正常な機能が損なわれる過程を含む、積極的、機能的な細胞死であり、細胞で増殖制御機構として管理・調節された能動的な細胞死、すなわち「プログラム細胞死」を意味する。
アポトーシスシグナルが細胞内に存在するミトコンドリアに伝達されると、外膜・内膜間隙に存在する多種多様なタンパク質や核酸因子が放出され、細胞内の他器官に影響を及ぼす。その一例として細胞質に放出されたシトクロムcは、その後様々な因子と作用し、アポトーシスに特異的な形態変化や生化学的変化を促す。斯様にアポトーシスにはミトコンドリアへのシグナル伝達と、ミトコンドリア外膜・内膜間隙に存在する多種多様なタンパク質や核酸因子の放出が重要であるが、これを左右している因子、即ち、Bcl−2ファミリータンパク質が存在する。Bcl−2ファミリーに属するタンパク質はBH(Bcl−2 homology)ドメインと呼ばれるアミノ酸配列を1つ以上有している。また、C末端側に疎水性の高いTM(transmembrane)領域を有しているため、ミトコンドリア膜上に移行し、アポトーシスを制御することが可能となる。
アポトーシスシグナルが細胞内に存在するミトコンドリアに伝達されると、外膜・内膜間隙に存在する多種多様なタンパク質や核酸因子が放出され、細胞内の他器官に影響を及ぼす。その一例として細胞質に放出されたシトクロムcは、その後様々な因子と作用し、アポトーシスに特異的な形態変化や生化学的変化を促す。斯様にアポトーシスにはミトコンドリアへのシグナル伝達と、ミトコンドリア外膜・内膜間隙に存在する多種多様なタンパク質や核酸因子の放出が重要であるが、これを左右している因子、即ち、Bcl−2ファミリータンパク質が存在する。Bcl−2ファミリーに属するタンパク質はBH(Bcl−2 homology)ドメインと呼ばれるアミノ酸配列を1つ以上有している。また、C末端側に疎水性の高いTM(transmembrane)領域を有しているため、ミトコンドリア膜上に移行し、アポトーシスを制御することが可能となる。
Bcl−2ファミリータンパク質には、アポトーシスの促進に関わるアポトーシス誘導因子とアポトーシスの抑制に関わるアポトーシス抑制因子の相反する二種類が存在する。
アポトーシス誘導因子としてBad、Bid、Bax及びBim等が知られており、これらは細胞質に存在するが、細胞死のシグナルによりミトコンドリアへと移動し、そこでミトコンドリア膜の開口を促し、シトクロムcをはじめとした多種多様なタンパク質や核酸因子の放出を促進する。細胞質内へ流出したシトクロムcはApaf−1と複合体を形成し、カスパーゼ9を活性化、さらにカスパーゼ3、6、7を活性化することでアポトーシスが起こると考えられている(Annu Rev Genet (2009)43:95-118)。一方、アポトーシスの抑制因子としてBcl−2やBCL−XL等が知られており、これらはミトコンドリアの外壁に存在してミトコンドリア膜の開口を抑制することでシトクロムcの放出を阻害し、アポトーシスを抑制する。
なお、アポトーシス誘導因子としては、上記Bad、Bid、Bax及びBimの他に、Bak、Diva、BCL−XS、Bik、Egl−1、Bcl−Xβ、Noxa、Puma、Bok−L及びBok−Sが知られている。また、アポトーシス抑制因子としては、上記Bcl−2、BCL−XLの他に、Mcl−1、CED−9、A1、Bfl−1、Bcl−w及びBcl−6が知られている。
アポトーシス誘導因子としてBad、Bid、Bax及びBim等が知られており、これらは細胞質に存在するが、細胞死のシグナルによりミトコンドリアへと移動し、そこでミトコンドリア膜の開口を促し、シトクロムcをはじめとした多種多様なタンパク質や核酸因子の放出を促進する。細胞質内へ流出したシトクロムcはApaf−1と複合体を形成し、カスパーゼ9を活性化、さらにカスパーゼ3、6、7を活性化することでアポトーシスが起こると考えられている(Annu Rev Genet (2009)43:95-118)。一方、アポトーシスの抑制因子としてBcl−2やBCL−XL等が知られており、これらはミトコンドリアの外壁に存在してミトコンドリア膜の開口を抑制することでシトクロムcの放出を阻害し、アポトーシスを抑制する。
なお、アポトーシス誘導因子としては、上記Bad、Bid、Bax及びBimの他に、Bak、Diva、BCL−XS、Bik、Egl−1、Bcl−Xβ、Noxa、Puma、Bok−L及びBok−Sが知られている。また、アポトーシス抑制因子としては、上記Bcl−2、BCL−XLの他に、Mcl−1、CED−9、A1、Bfl−1、Bcl−w及びBcl−6が知られている。
本発明においては、後述する実施例に記載のとおり、インフルエンザウイルスの増殖性が高い細胞においてアポトーシス誘導因子であるBimの分解が認められ、同様にアポトーシス誘導因子であるBCL−XS量が減少すること、また、アポトーシス抑制因子であるBCL−XL及びBcl−2のタンパク質量が明らかに増加することが確認され、インフルエンザウイルスの感染に伴いアポトーシスが抑制されていることを明らかにした。
また、Bimの分解はその上流でErkタンパク質の活性変化によって制御され、Erkがリン酸化されて活性化するとBimは分解されるが(Mol Cancer Ther.2009;8:3173-80)、Erk活性化阻害剤の添加によりBimの分解が抑制されると、インフルエンザウイルスの増殖性は著しく抑制されることも確認された。さらに、分解されずに細胞質に存在するBimはミトコンドリアへ移行するとBaxタンパク質と結合することでアポトーシスの誘導に働くため、Baxのミトコンドリアにおける存在量を減らす目的でBaxのミトコンドリアへの移行を阻害可能なペプチドをインフルエンザウイルスの感染細胞へ作用させたところ、インフルエンザウイルスの増殖性が亢進することも明らかにした。
したがって、培養細胞のアポトーシスを抑制することによって、インフルエンザウイルスの増殖性を高めることができる。またアポトーシスの制御能を指標としてインフルエンザウイルス増殖促進剤の探索が可能である。
また、Bimの分解はその上流でErkタンパク質の活性変化によって制御され、Erkがリン酸化されて活性化するとBimは分解されるが(Mol Cancer Ther.2009;8:3173-80)、Erk活性化阻害剤の添加によりBimの分解が抑制されると、インフルエンザウイルスの増殖性は著しく抑制されることも確認された。さらに、分解されずに細胞質に存在するBimはミトコンドリアへ移行するとBaxタンパク質と結合することでアポトーシスの誘導に働くため、Baxのミトコンドリアにおける存在量を減らす目的でBaxのミトコンドリアへの移行を阻害可能なペプチドをインフルエンザウイルスの感染細胞へ作用させたところ、インフルエンザウイルスの増殖性が亢進することも明らかにした。
したがって、培養細胞のアポトーシスを抑制することによって、インフルエンザウイルスの増殖性を高めることができる。またアポトーシスの制御能を指標としてインフルエンザウイルス増殖促進剤の探索が可能である。
本発明のインフルエンザウイルスの増殖方法において、「アポトーシスを抑制する」とは、インフルエンザウイルスが感染した細胞内において、アポトーシスを負に誘導できるものであればその手段は限定されないが、好ましくは、上記のアポトーシス誘導因子の発現を抑制すること、分解を促進すること若しくはアポトーシス誘導因子の機能発現に必要な細胞内局在性やタンパク質複合体の形成を調節する等によりその活性を低下すること、或いはアポトーシス抑制因子の発現を促進すること、分解を抑制すること若しくはアポトーシス抑制因子の機能発現に必要な細胞内局在性やタンパク質複合体の形成を調節する等によりその活性を高めることが挙げられる。
例えば、アポトーシス誘導因子に対する阻害剤又はアポトーシス抑制因子の活性化剤はインフルエンザウイルス増殖促進剤となり得、これらをインフルエンザウイルスの培養系に適用することにより、インフルエンザウイルスの増殖促進を図ることができる。
例えば、アポトーシス誘導因子に対する阻害剤又はアポトーシス抑制因子の活性化剤はインフルエンザウイルス増殖促進剤となり得、これらをインフルエンザウイルスの培養系に適用することにより、インフルエンザウイルスの増殖促進を図ることができる。
ここで、アポトーシス誘導因子阻害剤としては、Baxのミトコンドリア膜への移行を阻害するペプチド(例えばPeptide V5、Peptide P5(TOCRIS社))、Baxのミトコンドリアでの機能を阻害するBax channel blocker(TOCRIS社)、Bidが関与するBaxのミトコンドリア膜上での活性化を阻害するiMAC2(TOCRIS社)、Bimの分解を促進することが期待されるErk活性化剤(例えば12−O−Tetradecanoyl−phorbol−13−acetate(TPA;Sigma社)、Bimがミトコンドリア膜上でMcl−1と結合することを阻害するML311(TOCRIS社製)等が挙げられる。
また、アポトーシス抑制因子活性化剤としては、Bcl−2やBCL−XLの転写活性を向上させる薬剤等が挙げられる。
また、アポトーシス抑制因子活性化剤としては、Bcl−2やBCL−XLの転写活性を向上させる薬剤等が挙げられる。
本発明のインフルエンザウイルスの増殖方法において、インフルエンザウイルスの増殖は、具体的には、細胞培地中の細胞にインフルエンザウイルスを感染させる工程、及び当該感染細胞をウイルスが複製可能な条件下で培養する工程により行われるが、本発明においては、アポトーシスを抑制する工程、具体的にはアポトーシス誘導因子の発現又は活性を抑制する工程又はアポトーシス抑制因子の発現又は活性を促進する工程が、例えばウイルス感染前、ウイルス感染後、又はウイルス感染と同時に行われる。好適には、アポトーシス誘導因子阻害剤やアポトーシス抑制因子活性化剤を、ウイルス感染前、ウイルス感染後、又はウイルス感染と同時に培地に添加することが挙げられる。
インフルエンザウイルスの増殖に用いられる細胞としては、インフルエンザウイルスに感受性であれば如何なる細胞も使用できる。このような細胞として、例えば、MDCK細胞(イヌ腎臓由来の株化細胞)、Vero細胞(アフリカミドリザル腎臓由来の株化細胞)、PER.C6(ヒト網膜細胞由来の株化細胞)、SK−NEP−1細胞(ヒト腎臓由来の株化細胞)、A549(ヒト肺胞基底上皮腺癌細胞)、Duck embryo細胞(アヒル胚細胞)が挙げられる。これらの細胞は、ATCC(American Type Culture Collection)に、それぞれCCL−34、CCL−81、CCL−107、HTB−48、CCL−185、CCL−141等として登録されており、また、市販で購入することができる。また、インフルエンザウイルスに感受性を示すニワトリ由来の細胞として、CEF細胞(Chicken embryonic fibroblast cell: ニワトリ胚由来線維芽細胞)が使用できる。なお、CEF細胞には単離された細胞以外に発育鶏卵中に存在する細胞も含まれる。この他、インフルエンザウイルスの増殖には、インフルエンザウイルスを効率的に増殖させるために開発された細胞株を用いることもできる。斯かる細胞株としては、例えばEB66(登録商標)、DuckCelt−T17(登録商標)、EBx(登録商標)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
斯かる細胞を培養するための培地は、通常細胞培養に用いられる培地、例えば、ウシ胎児血清(FBS)含有MEM培地(Wako社製)、無血清培地(Serum−Free Medium)(ThermoFisher社製)等が挙げられるが何れを使用しても良い。
当該培地には、細胞の増殖効率を上げるために、非必須アミノ酸やL-グルタミンを添加することができる。また、インフルエンザウイルスの培養においては、ヘマグルチニンの開裂を促す目的でトリプシンやアセチル化トリプシン等のプロテアーゼを添加することができる。また、微生物のコンタミネーションを避けるために、ペニシリンやストレプトマイシン、ゲンタマイシン等の細胞培養に一般的に使用される抗生物質を添加してもよい。培地のpHは、適当な緩衝液(例えば、炭酸水素ナトリウム、HEPES)で動物細胞の増殖に適した6.5〜8、好ましくは、6.8〜7.3に調整される。
細胞培養の方法としては、培養器の底に細胞を付着させた静止培養、細胞を培地中に浮遊させて培養する浮遊培養が挙げられるが、工業生産レベルで行なうときは、浮遊培養が好ましい。浮遊培養の方法としては、マイクロキャリアなどの担体に細胞を付着させてこれを浮遊させて培養する方法又は担体を用いずに細胞を浮遊させて培養する方法等が挙げられるが、何れの方法を用いても良い。
細胞培養物(培養した細胞と培地の混液)は、そのままインフルエンザウイルスの接種に使用することできるが、インフルエンザウイルスの接種に際しては、新鮮な培地又は適当な緩衝液、例えば、PBS、トリス緩衝液により細胞の洗浄が行なわれることが好ましい。
具体的には、スピナ−フラスコ等で培養増殖した細胞を低速遠心又は膜ろ過し、細胞と培養上清に分離し、遠心沈渣又は膜ろ過濃縮液の細胞に新鮮培地を加え、細胞を懸濁することにより培地交換が行われる。
具体的には、スピナ−フラスコ等で培養増殖した細胞を低速遠心又は膜ろ過し、細胞と培養上清に分離し、遠心沈渣又は膜ろ過濃縮液の細胞に新鮮培地を加え、細胞を懸濁することにより培地交換が行われる。
斯くして得られる細胞培養物に、インフルエンザウイルス液が添加され、一定条件下で培養が行なわれる。ウイルス培養開始時の初期細胞密度は0.001〜100×106 cells/mLを用いることができるが、好ましくは0.01〜10×106 cells/mL、より好ましくは0.1〜10×106 cells/mLである。なお、細胞密度の測定は、血球計算盤等による一般的な方法に従って行えばよい。
培養条件は、細胞の種類、ウイルス接種量及び培養スケール・方法等の組み合わせにより適切に調節される。例えば、培養温度は、33℃〜39℃、好ましくは34〜38℃、培養期間は、1〜10日間、好ましくは3〜7日間、炭酸ガス濃度は3〜8%、好ましくは4〜5%、酸素濃度は、17〜25%、好ましくは20〜22%が使用される。
本発明の方法によれば、インフルエンザウイルスを効率的に増殖させることができる。なお、培地中のウイルス含量は、モルモット等の赤血球を用いた赤血球凝集法(希釈倍数)やヘマグルチニンに対する抗体を用いたELISA法(μg/mL)、ウイルス感染価を測定するプラークアッセイやTCID50、ウイルスRNA量を測定できるリアルタイムPCR等により測定することができる。
培養終了後、ウイルス感染細胞の培養上清(ウイルス浮遊液)からウイルス粒子が回収され、濃縮、精製及び不活化することにより、不活化全粒ワクチンや不活化スプリットワクチン用のウイルス粒子を調製することができる。生ワクチンや弱毒化生ワクチンとして用いる場合は、濃縮及び精製後にインフルエンザワクチン用のウイルス粒子として調製することができる。
ウイルス粒子の回収は、培養上清を清澄化すること、具体的には遠心分離又は濾過することにより行われ、次いで、濃縮のために、限外濾過が行われる。ウイルスの精製は、ショ糖密度勾配遠心分離等の超遠心分離や液体クロマトグラフィー等の手段を用いて行うことができる。精製ウイルス液は、不活化全粒ワクチンや不活化スプリットワクチンの場合、ホルマリン処理、紫外線照射、ベータプロピオラクトン、バイナリーエチレンイミン等により、不活化処理される。生ワクチンや弱毒化生ワクチンとして用いる場合は、上記精製ウイルス液をインフルエンザワクチン用のウイルス粒子として調製される。
斯かるインフルエンザウイルス粒子に、適宜医薬として許容され得る担体(緩衝剤、乳化剤、保存剤(例えば、チメロサール)、等張化剤、pH調整剤、アジュバント(例えば、水酸化アルミニウムゲル)等を添加し、各種剤型のワクチンを調製することができる。
本発明のインフルエンザウイルス増殖促進剤の評価又は選択方法は、以下の(1)〜(3)の工程により行われる。
(1)培養細胞に被験物質を接触させる工程、
(2)当該細胞におけるアポトーシス誘導因子若しくはアポトーシス抑制因子の発現レベル又は活性レベルを測定する工程、
(3)(2)で測定された結果に基づいて、アポトーシス誘導因子の発現レベル若しくは活性レベルを低下又は減少させるか、又はアポトーシス抑制因子の発現レベル若しくは活性レベルを増強又は増加させる被験物質をインフルエンザウイルス増殖促進剤として評価する工程。
(1)培養細胞に被験物質を接触させる工程、
(2)当該細胞におけるアポトーシス誘導因子若しくはアポトーシス抑制因子の発現レベル又は活性レベルを測定する工程、
(3)(2)で測定された結果に基づいて、アポトーシス誘導因子の発現レベル若しくは活性レベルを低下又は減少させるか、又はアポトーシス抑制因子の発現レベル若しくは活性レベルを増強又は増加させる被験物質をインフルエンザウイルス増殖促進剤として評価する工程。
本発明の方法に用いられる細胞としては、アポトーシス誘導因子又はアポトーシス抑制因子が発現可能な細胞、すなわちアポトーシスを制御可能なBcl−2ファミリータンパク質を生来的に発現する細胞又は外来的に当該Bcl−2ファミリータンパク質を発現するように遺伝的に操作された組換え細胞が使用される。
Bcl−2ファミリータンパク質を生来的に発現する細胞としては、具体的にはイヌ腎臓尿細管上皮細胞由来細胞株(MDCK細胞)、アフリカミドリザル腎由来細胞株(COS7細胞)、スルファチドと呼ばれるインフルエンザウイルスの増殖性に影響を及ぼすことが報告されている糖脂質の生合成に必要な酵素(CGT,ceramide galactosyltransferase; 及びCST,cerebroside sulfotransferase)をCOS7細胞に遺伝子導入しスルファチドを強制発現させ樹立した細胞株であるSulCOS1細胞(J Virol. 2008; 82: 5940-5950)、アフリカミドリザル腎臓上皮細胞株(Vero細胞)、ヒト肺胞基底上皮細胞株(A549細胞)、ニワトリ胚由来線維芽細胞(CEF)などが挙げられる。本発明の方法に用いられる細胞は、望ましくはインフルエンザウイルスの感染が成立する細胞株及び初代培養細胞であるが、これらに限定されるものではない。
Bcl−2ファミリータンパク質を発現するように遺伝的に操作された組換え細胞は、Bcl−2ファミリータンパク質をコードする核酸が発現可能に宿主細胞に導入されている細胞、好ましくはBcl−2ファミリータンパク質をコードする遺伝子が恒常的に発現可能なように宿主細胞に導入されている細胞であり、Bcl−2ファミリータンパク質をコードする核酸が、染色体外要素として当該核酸が複製可能となるように導入されている細胞、又は当該核酸が染色体組み込みにより複製可能となるように導入されている細胞が挙げられる。ここで、核酸はDNA、RNA、mRNA、cDNA、cRNAの何れでも良い。当該Bcl−2ファミリータンパク質をコードする核酸が発現可能なように導入されている細胞は、前記Bcl−2ファミリータンパク質をコードする核酸と、用いられる宿主細胞におけるBcl−2ファミリータンパク質の発現に適したベクターとを連結させることにより得られたBcl−2ファミリータンパク質発現ベクターを宿主細胞に導入することにより得ることができる。宿主細胞へのBcl−2ファミリータンパク質をコードする核酸の導入は、当該分野で周知の形質転換、トランスフェクション等の方法、エレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法、リポフェクション法、DEAEデキストラン法、パーティクルガン法、ウイルスを利用した方法等に準じて行なうことができる。
Bcl−2ファミリータンパク質を生来的に発現する細胞としては、具体的にはイヌ腎臓尿細管上皮細胞由来細胞株(MDCK細胞)、アフリカミドリザル腎由来細胞株(COS7細胞)、スルファチドと呼ばれるインフルエンザウイルスの増殖性に影響を及ぼすことが報告されている糖脂質の生合成に必要な酵素(CGT,ceramide galactosyltransferase; 及びCST,cerebroside sulfotransferase)をCOS7細胞に遺伝子導入しスルファチドを強制発現させ樹立した細胞株であるSulCOS1細胞(J Virol. 2008; 82: 5940-5950)、アフリカミドリザル腎臓上皮細胞株(Vero細胞)、ヒト肺胞基底上皮細胞株(A549細胞)、ニワトリ胚由来線維芽細胞(CEF)などが挙げられる。本発明の方法に用いられる細胞は、望ましくはインフルエンザウイルスの感染が成立する細胞株及び初代培養細胞であるが、これらに限定されるものではない。
Bcl−2ファミリータンパク質を発現するように遺伝的に操作された組換え細胞は、Bcl−2ファミリータンパク質をコードする核酸が発現可能に宿主細胞に導入されている細胞、好ましくはBcl−2ファミリータンパク質をコードする遺伝子が恒常的に発現可能なように宿主細胞に導入されている細胞であり、Bcl−2ファミリータンパク質をコードする核酸が、染色体外要素として当該核酸が複製可能となるように導入されている細胞、又は当該核酸が染色体組み込みにより複製可能となるように導入されている細胞が挙げられる。ここで、核酸はDNA、RNA、mRNA、cDNA、cRNAの何れでも良い。当該Bcl−2ファミリータンパク質をコードする核酸が発現可能なように導入されている細胞は、前記Bcl−2ファミリータンパク質をコードする核酸と、用いられる宿主細胞におけるBcl−2ファミリータンパク質の発現に適したベクターとを連結させることにより得られたBcl−2ファミリータンパク質発現ベクターを宿主細胞に導入することにより得ることができる。宿主細胞へのBcl−2ファミリータンパク質をコードする核酸の導入は、当該分野で周知の形質転換、トランスフェクション等の方法、エレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法、リポフェクション法、DEAEデキストラン法、パーティクルガン法、ウイルスを利用した方法等に準じて行なうことができる。
前記Bcl−2ファミリータンパク質をコードする核酸は、Bcl−2ファミリータンパク質をコードする核酸に対応する既知の塩基配列の情報に基づき、前記塩基配列から作製した適切なプライマー対を用いたPCR法及び/又は前記塩基配列から作製した適切なプローブとcDNAライブラリーとを用いたハイブリダイゼーション法等により得ることができる。また、前記Bcl−2ファミリータンパク質発現ベクターは、前記Bcl−2ファミリータンパク質をコードする核酸と、用いられる宿主細胞におけるBcl−2ファミリータンパク質の発現に適したベクターとを連結させることにより得られる。また、Bcl−2ファミリータンパク質をコードする核酸には、分子生物学的実験のために用いられるTag配列、修飾、特定のアミノ酸配列、別のタンパク質などをコードする核酸を連結させても良い。前記ベクターは、調製が容易であり、用いられる宿主細胞に効率よく導入でき、当該宿主細胞においてBcl−2ファミリータンパク質を発現させることができるベクターであればよく、好ましくは、大腸菌のプラスミド、酵母のプラスミド、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター等の動物ウイルスベクターが望ましい。
また、前記宿主細胞としては、前記Bcl−2ファミリータンパク質をコードする核酸が効率よく発現され、かつ培養が容易なものであればよく、特に限定されないが、例えば、human embryonic kidney(HEK)細胞、アフリカツメガエル卵母細胞、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)、Sf−9 insect細胞、その他、株化された細胞や動物より単離された初代培養細胞等が挙げられる。また、本発明の方法に用いられる細胞として記載したMDCK細胞、COS7細胞、SulCOS1細胞、A549細胞、Vero細胞、CEF細胞を前記宿主細胞として用いても良い。
本発明の方法に使用される前記Bcl−2ファミリータンパク質発現可能細胞は、例えば、当該細胞におけるBcl−2ファミリータンパク質の機能の発現、タンパク質レベルでの発現、遺伝子レベルでの発現、蛍光・発光物質の導入、薬剤耐性遺伝子の導入等を指標として選択することができる。前記Bcl−2ファミリータンパク質をコードする核酸が発現可能に宿主細胞に導入されている細胞の選択には、適切な選択培地等を用いることができる。
Bcl−2ファミリータンパク質発現可能細胞の培養に用いられる培地としては、例えば、ウシ胎児血清(FBS)含有MEM培地(Wako社製)、無血清培地(Serum−Free Medium)(ThermoFisher社製)、DMEM培地、RPMI1640培地等が挙げられ、当該培地には、細胞の増殖効率を上げるために、非必須アミノ酸やL-グルタミンを添加することができる。また、Bcl−2ファミリータンパク質発現可能細胞の薬剤耐性遺伝子の導入等を指標として選択を行うためにG418硫酸塩やネオマイシンなど、Bcl−2ファミリータンパク質と同時に導入した遺伝子の選別に必要な薬剤を添加しても良い。また、微生物のコンタミネーションを避けるために、ペニシリンやストレプトマイシン、ゲンタマイシン等の細胞培養に一般的に使用される抗生物質を添加してもよい。培地のpHは、適当な緩衝液(例えば、炭酸水素ナトリウム、HEPES)で動物細胞の増殖に適した6.5〜8、好ましくは、6.8〜7.3に調整される。
工程(1)において、被験物質と細胞との接触は、当該分野で公知の手段であればよく、例えば、当該被験物質の細胞培養培地への添加、または細胞への直接的な添加(例えば、滴下、塗布、散布、噴霧、パッチ等)が挙げられる。被験物質の濃度及び接触量は、被験物質の形態、化学的性質、細胞毒性等に基づいて適宜設定すればよい。例えば、適当な濃度に希釈した被験物質の所定量を、37℃、5%CO2の条件下で24〜48時間、該細胞に曝露することが挙げられる。
尚、本発明において、被験物質としては、特に限定されず、天然に存在する物質(例えば動植物、海洋生物、微生物及びそれらの抽出物又はそれらに由来する天然成分等)、化学的又は生物学的方法等で人工的に合成した物質であってもよく、また化合物であっても、組成物若しくは混合物であってもよい。
工程(2)において、アポトーシス誘導因子若しくはアポトーシス抑制因子の発現又は活性は、例えば、被験物質を接触させる細胞群と接触させない群(対照細胞)を用意し、Bcl−2ファミリータンパク質の発現状態又は活性を遺伝子又はタンパク質レベル(例えばタンパク質発現量、タンパク質の生物活性、mRNA発現量、プロモーターの活性、タンパク質の細胞内局在性、タンパク質相互作用等)で測定し、必要に応じて当該測定値を定量化した後、両者間で比較することにより行うことができる。なお、対照細胞としては、被験物質を接触させない代わりに、対照物質を接触させたものを用いてもよい。測定は、当該分野で公知の方法に従って行えばよく、遺伝子発現解析方法としては、ドットブロット法、ノーザンブロット法、RNaseプロテクションアッセイ法、ルシフェラーゼ等によるレポーターアッセイ、RT−PCR法、DNAマイクロアレイ等を用いることができ、タンパク質発現の解析方法としては、ウェスタンブロッティング法、免疫染色法、ELISA、バインディングアッセイ、BRET、FRET、FACS等を用いることができる。
好適には、Bcl−2ファミリータンパク質をコードする遺伝子のプロモーター領域−レポーター遺伝子構築物を含む細胞における転写活性をレポーターアッセイにより測定すること、Bcl−2ファミリータンパク質を内在的に発現する細胞におけるmRNAの発現量を測定すること等が挙げられる。
上記のように測定したアポトーシス誘導因子若しくはアポトーシス抑制因子の発現レベルや活性レベル(例えば、生物活性、細胞内局在性、タンパク質間相互作用等)に基づき、インフルエンザウイルス増殖促進剤を評価又は選択することができる。すなわち、被験物質を添加した細胞におけるアポトーシス誘導因子の発現レベル若しくは活性レベルが対照群(例えば被験物質を添加しない対照細胞)でのレベルと比較して低下又は減少している、或いはアポトーシス抑制因子の発現レベル若しくは活性レベルが対照群(例えば被験物質を添加しない対照細胞)でのレベルと比較して増強又は増加していれば、インフルエンザウイルス増殖促進剤として評価又は選択できる。なお、斯くしてインフルエンザウイルス増殖促進剤として評価又は選択された被験物質は、必要に応じてIn vitroやIn vivo試験においてインフルエンザウイルスの増殖促進能を調べることにより、インフルエンザウイルス増殖促進剤として機能することを確認することができる(工程(3))。
斯くして本発明の方法により探索されたインフルエンザウイルス増殖促進剤は、ワクチン製造において、インフルエンザウイルスの増殖を促進するための素材又は製剤として使用可能である。すなわち、斯かるインフルエンザウイルス増殖促進剤は、インフルエンザウイルスを宿主中で増殖する場合において、その培養系に添加(ウイルス感染前、ウイルス感染後、又はウイルス感染と同時)して使用することにより、ウイルスの増殖を促進できる。
実施例1 インフルエンザウイルスの増殖性とアポトーシス誘導因子分解性の評価
(1)過去にウイルス増殖性の違いが報告されているCOS7細胞とSulCOS1細胞(J Virol. 2008; 82: 5940-5950)を用いてインフルエンザウイルスの増殖性の違いを評価した。各細胞を10%ウシ胎児血清(FBS)含有DMEM培地(Wako社製)にて37℃、5%CO2存在下で培養した。上記細胞を24ウェルプレートに播種し、コンフルエントの状態で試験に用いた。上述の24ウェルプレートに播種した各細胞をPBSで洗浄後、Serum free medium(SFM;Gibco社製)を400μL/ウェルで添加し、1時間馴化させた。
(1)過去にウイルス増殖性の違いが報告されているCOS7細胞とSulCOS1細胞(J Virol. 2008; 82: 5940-5950)を用いてインフルエンザウイルスの増殖性の違いを評価した。各細胞を10%ウシ胎児血清(FBS)含有DMEM培地(Wako社製)にて37℃、5%CO2存在下で培養した。上記細胞を24ウェルプレートに播種し、コンフルエントの状態で試験に用いた。上述の24ウェルプレートに播種した各細胞をPBSで洗浄後、Serum free medium(SFM;Gibco社製)を400μL/ウェルで添加し、1時間馴化させた。
(2)上記細胞にA型インフルエンザウイルスであるH1N1pdmインフルエンザウイルス株(A/Shizuoka/830/2009)及びH3N2インフルエンザウイルス株(A/Memphis/1/1971)を感染価MOI(Multiplicity of infection)=0.005となるように感染させ、1時間インキュベートした。その後、SFMによる洗浄操作を行い、2.0μg/mL−アセチル化トリプシン(Sigma社製)含有SFM培養培地を500μL/ウェル量加え、23時間培養した。感染24時間後に培養上清を回収し、後述のフォーカスアッセイにより、インフルエンザウイルス量を定量した(図1A)。なお、以降の実施例においてインフルエンザウイルスの増殖性を評価する試験では、2.0μg/mL−アセチル化トリプシン含有SFM培養培地をインフルエンザウイルスの培養に用いた。
(3)フォーカスアッセイ
12ウェルプレートにMDCK細胞をコンフルエントとなるように5%FBSを添加したイーグル最小必須培地(MEM培地)で培養し、PBSで洗浄後、SFMに1時間馴化させた。COS7細胞及びSulCOS1細胞にインフルエンザウイルスを感染させ、感染後24時間で回収した培養上清を100−100000倍に希釈し、上記12ウェルプレートにて培養したMDCK細胞に500μL/ウェル量加え1時間インキュベートすることで、インフルエンザウイルスを感染させた。本試験は三重測定にて行った。感染後、SFMによる洗浄操作を行い、1.2w/v%−セオラス(旭化成ケミカルズ,RC591)及び2.0μg/mL−アセチル化トリプシン(Sigma社製)含有SFMを2.0mL/ウェルとなるように加え、30時間培養した。培養後、ウェルを4℃に冷やしたPBSで3回洗浄後、−20℃に冷やした100%メタノール(Wako社製)を加え、細胞を固定化した。固定化細胞は一次抗体:Anti−NP antibody(マウスハイブリドーマ(4E6)細胞培養上清(J Virol. 2008; 82: 5940-50にて使用実績あり))及び二次抗体:HRP linked goat Anti−mouse IgG+IgM抗体(Jackson Immuno Research Laboratries社製)にて反応させ、DEPDA反応液(1.2mM N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン二塩酸塩(富士フイルム和光純薬株式会社製)、0.003% 過酸化水素、2mM 4−クロロ−1−ナフトール(富士フイルム和光純薬株式会社製)を含む100mM クエン酸緩衝液(pH6.0))を用いHRPと反応させ、染色されたフォーカス数をカウントした。フォーカスアッセイは独立した三重測定で行った。グラフの値は三重測定の結果を平均値±標準誤差で示した。
12ウェルプレートにMDCK細胞をコンフルエントとなるように5%FBSを添加したイーグル最小必須培地(MEM培地)で培養し、PBSで洗浄後、SFMに1時間馴化させた。COS7細胞及びSulCOS1細胞にインフルエンザウイルスを感染させ、感染後24時間で回収した培養上清を100−100000倍に希釈し、上記12ウェルプレートにて培養したMDCK細胞に500μL/ウェル量加え1時間インキュベートすることで、インフルエンザウイルスを感染させた。本試験は三重測定にて行った。感染後、SFMによる洗浄操作を行い、1.2w/v%−セオラス(旭化成ケミカルズ,RC591)及び2.0μg/mL−アセチル化トリプシン(Sigma社製)含有SFMを2.0mL/ウェルとなるように加え、30時間培養した。培養後、ウェルを4℃に冷やしたPBSで3回洗浄後、−20℃に冷やした100%メタノール(Wako社製)を加え、細胞を固定化した。固定化細胞は一次抗体:Anti−NP antibody(マウスハイブリドーマ(4E6)細胞培養上清(J Virol. 2008; 82: 5940-50にて使用実績あり))及び二次抗体:HRP linked goat Anti−mouse IgG+IgM抗体(Jackson Immuno Research Laboratries社製)にて反応させ、DEPDA反応液(1.2mM N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン二塩酸塩(富士フイルム和光純薬株式会社製)、0.003% 過酸化水素、2mM 4−クロロ−1−ナフトール(富士フイルム和光純薬株式会社製)を含む100mM クエン酸緩衝液(pH6.0))を用いHRPと反応させ、染色されたフォーカス数をカウントした。フォーカスアッセイは独立した三重測定で行った。グラフの値は三重測定の結果を平均値±標準誤差で示した。
(4)ウエスタンブロットによるBimの検出
ウエスタンブロットによる解析は既報の方法(Biosci Biotechnol Biochem. 2018;82:1568-75)を一部改変し実施した。COS7細胞とSulCOS1細胞を12ウェルプレートでコンフルエントとなるように培養し、SFM培地で馴化後、インフルエンザウイルス(H1N1pdm)をMOI=3.0で感染させた。感染前の細胞(0時間)と、感染後3時間、5時間、7時間、9時間、12時間後にcOmplete(登録商標) Protease Inhibitor cocktail (Roche Diagnostics GmbH)とPhosSTOP phosphatase inhibitor(Roche Diagnostics GmbH)を製造業者のプロトコルに従い添加したLysis buffer(Sigma社製)を200μL/ウェル加えた。その後、スクレーパーを用い細胞溶解液を回収し、3,000×gで10分間遠心分離し、上清を回収した。細胞溶解液は最終タンパク質濃度が1.0mg/mL、還元剤としてDL−dithiothreitol(Sigma社製)の最終濃度が50mMとなるようにLaemmli Sample Buffer(Bio−Rad Laboratories,Inc.,Hercules,CA)を添加し、100℃で5分間処理した。各サンプル5μgのタンパク質量となるように4―15% gradient gel(Bio−Rad Laboratories, Inc)にアプライし、SDS−PAGEを行った。その後、泳動により分離されたタンパク質をpolyvinylidene fluoride membranes(メンブレン)に100Vで1時間転写し、PVDF Blocking Reagent for Can Get Signal(TOYOBO Co.,Ltd.,Osaka,Japan)で3時間振盪反応させた。その後メンブレンは1:1000倍にCan Get Signal Solution 1(TOYOBO Co.,Ltd.)で希釈した一次抗体と4℃で16時間反応させた。次いで、anti−rabbit IgG horseradish peroxidase-linked抗体(#7074)またはanti−mouse IgG horseradish peroxidase-linked抗体(#7076)(Cell Signaling Technology,Danvers,MA)を1:2000倍にCan Get Signal Solution 2(TOYOBO Co.,Ltd.)で希釈した抗体溶液と1時間反応させた。シグナルの検出にはECL Prime Western Blotting Detection System(GE Healthcare Japan,Tokyo,Japan)を用い、luminescence imager(Ez−capture II,ATTO Co.,Tokyo,Japan)により可視化した。Bimに対する一次抗体(#2819)はCell Signaling Technologyより購入した。
ウエスタンブロットによる解析は既報の方法(Biosci Biotechnol Biochem. 2018;82:1568-75)を一部改変し実施した。COS7細胞とSulCOS1細胞を12ウェルプレートでコンフルエントとなるように培養し、SFM培地で馴化後、インフルエンザウイルス(H1N1pdm)をMOI=3.0で感染させた。感染前の細胞(0時間)と、感染後3時間、5時間、7時間、9時間、12時間後にcOmplete(登録商標) Protease Inhibitor cocktail (Roche Diagnostics GmbH)とPhosSTOP phosphatase inhibitor(Roche Diagnostics GmbH)を製造業者のプロトコルに従い添加したLysis buffer(Sigma社製)を200μL/ウェル加えた。その後、スクレーパーを用い細胞溶解液を回収し、3,000×gで10分間遠心分離し、上清を回収した。細胞溶解液は最終タンパク質濃度が1.0mg/mL、還元剤としてDL−dithiothreitol(Sigma社製)の最終濃度が50mMとなるようにLaemmli Sample Buffer(Bio−Rad Laboratories,Inc.,Hercules,CA)を添加し、100℃で5分間処理した。各サンプル5μgのタンパク質量となるように4―15% gradient gel(Bio−Rad Laboratories, Inc)にアプライし、SDS−PAGEを行った。その後、泳動により分離されたタンパク質をpolyvinylidene fluoride membranes(メンブレン)に100Vで1時間転写し、PVDF Blocking Reagent for Can Get Signal(TOYOBO Co.,Ltd.,Osaka,Japan)で3時間振盪反応させた。その後メンブレンは1:1000倍にCan Get Signal Solution 1(TOYOBO Co.,Ltd.)で希釈した一次抗体と4℃で16時間反応させた。次いで、anti−rabbit IgG horseradish peroxidase-linked抗体(#7074)またはanti−mouse IgG horseradish peroxidase-linked抗体(#7076)(Cell Signaling Technology,Danvers,MA)を1:2000倍にCan Get Signal Solution 2(TOYOBO Co.,Ltd.)で希釈した抗体溶液と1時間反応させた。シグナルの検出にはECL Prime Western Blotting Detection System(GE Healthcare Japan,Tokyo,Japan)を用い、luminescence imager(Ez−capture II,ATTO Co.,Tokyo,Japan)により可視化した。Bimに対する一次抗体(#2819)はCell Signaling Technologyより購入した。
(5)可視化したBimのタンパク質量を数値化したところ、COS7細胞では感染時間依存的な変動は認められなかったが、SulCOS1細胞においてはBimが感染から9時間以降、分解されていることが明らかとなった(図1B)。グラフの値はN=4の結果を平均値±標準誤差で示した。統計解析は一元配置分散分析およびTukey法による検定を行った。††, p<0.01(感染3時間に対し)。
(6)本検討の結果、SulCOS1細胞におけるインフルエンザウイルの増殖性が高いことと、Bimが分解されることが関連することが示された。また、Bimはアポトーシス誘導因子であり、インフルエンザウイルスの感染に伴いBimが分解され、アポトーシスが抑制されていることを明らかにした。
実施例2 アポトーシス誘導因子の分解抑制によるインフルエンザウイルス増殖抑制効果
(1)癌研究の領域において、Bimの分解制御はその上流でErkタンパク質の活性変化によって制御されていることが報告されている(Mol Cancer Ther. 2009;8:3173-80)。上記文献によれば、Erkがリン酸化することで活性化するとBimは分解される。そこで、Erkの活性化阻害剤であるU0126(Sigma社製)をインフルエンザウイルス感染後のMDCK細胞に添加し、Bimの分解抑制効果を評価した。12ウェルにコンフルエントの状態に培養したMDCK細胞にインフルエンザウイルス(H3N2)をMOI=3.0で感染させ、感染1時間後から9時間後までU0126を10または50μM濃度で添加し、その後、実施例1(4)で示したウエスタンブロット法と同様の手法でErkの活性化とBimの分解を解析した。Erk(#9102)及びphоsphоErk(#9101)に対する一次抗体はCell Signaling Technologyより購入した。
(1)癌研究の領域において、Bimの分解制御はその上流でErkタンパク質の活性変化によって制御されていることが報告されている(Mol Cancer Ther. 2009;8:3173-80)。上記文献によれば、Erkがリン酸化することで活性化するとBimは分解される。そこで、Erkの活性化阻害剤であるU0126(Sigma社製)をインフルエンザウイルス感染後のMDCK細胞に添加し、Bimの分解抑制効果を評価した。12ウェルにコンフルエントの状態に培養したMDCK細胞にインフルエンザウイルス(H3N2)をMOI=3.0で感染させ、感染1時間後から9時間後までU0126を10または50μM濃度で添加し、その後、実施例1(4)で示したウエスタンブロット法と同様の手法でErkの活性化とBimの分解を解析した。Erk(#9102)及びphоsphоErk(#9101)に対する一次抗体はCell Signaling Technologyより購入した。
(2)可視化したErkおよびphоsphоErk、Bimのタンパク質量を数値化したところ、ウイルス感染に伴いErkは活性化するのに対し、U0126を添加することでその活性化は抑制された(図2A左)。加えて、ウイルス感染に伴いBimは減少したが、U0126を添加することでその分解は抑制された(図2A右)。グラフの値はN=4の結果を平均値±標準誤差で示した。統計解析は一元配置分散分析およびTukey法による検定を行った。***, p<0.001(感染(−)に対し)、†††, p<0.001(対照に対し)。図2A右に記載の有意水準は感染(−)に対する値を示している。
(3)次に、U0126を添加した条件におけるインフルエンザウイルスの増殖性を評価した。24ウェルプレートにコンフルエントとなるように培養したMDCK細胞をSFMに1時間馴化後、インフルエンザウイルス(H3N2)をMOI=0.01で感染させた。感染1時間後にSFMで細胞を洗浄し、その後、2.0μg/mL−アセチル化トリプシン含有SFM培養培地またはU0126を10または50 μM濃度で添加し23時間培養した。感染24時間後に後述のHAアッセイにより培養上清中に存在するウイルス量を測定した。
(4)HAアッセイ
U底96ウェルプレートを用い、インフルエンザウイルス培養上清50μLを2−1024倍まで2倍ずつ、希釈系列を作製した。そこへ、0.7%モルモット赤血球含有PBS 50μLを加え、4℃で2時間静置した。その後、赤血球の凝集を確認し、凝集が認められない希釈濃度をHA価とした。
U底96ウェルプレートを用い、インフルエンザウイルス培養上清50μLを2−1024倍まで2倍ずつ、希釈系列を作製した。そこへ、0.7%モルモット赤血球含有PBS 50μLを加え、4℃で2時間静置した。その後、赤血球の凝集を確認し、凝集が認められない希釈濃度をHA価とした。
(5)本検討の結果、U0126を添加することでインフルエンザウイルスの増殖性は著しく低下することが示された。よって、Bimの分解を抑制することでインフルエンザウイルスの増殖性は抑制されることが示唆された。
(6)実施例1の結果と本検討結果は、Bimの存在の有無や変化を調べることが培養細胞におけるインフルエンザウイルスの増殖性を評価する指標に成り得ることを示している。
実施例3 インフルエンザウイルス感染によるアポトーシス抑制系活性化効果の評価
(1)実施例1の方法と同様の手法を用い、MDCK細胞とSulCOS1細胞におけるインフルエンザウイルスの増殖性を比較解析したところ、H1N1pdmおよびH3N2インフルエンザウイルスの増殖性は両細胞間に差は認められなかった(図3A)。グラフの値は三重測定の結果を平均値±標準誤差で示した。本結果から、MDCK細胞はSulCOS1細胞と同等のウイルス増殖能を有していると言える。
(1)実施例1の方法と同様の手法を用い、MDCK細胞とSulCOS1細胞におけるインフルエンザウイルスの増殖性を比較解析したところ、H1N1pdmおよびH3N2インフルエンザウイルスの増殖性は両細胞間に差は認められなかった(図3A)。グラフの値は三重測定の結果を平均値±標準誤差で示した。本結果から、MDCK細胞はSulCOS1細胞と同等のウイルス増殖能を有していると言える。
(2)上述のウイルス増殖能が同等の2種の細胞を用い、Bcl−2ファミリータンパク質に属するアポトーシス関連因子のタンパク質量を解析した。BCL−XLおよびBCL−XS(#633901)、Bcl−2(#658701)、に対する一次抗体はBiolegend社より入手した。βActin(#4967)に対する一次抗体はCell Signaling Technologyより入手した。12ウェルプレートでコンフルエントの状態に培養したMDCK細胞とSulCOS1細胞にインフルエンザウイルス(H3N2)をMOI=3.0で感染させ、感染9時間後の細胞を回収し、その後、実施例1(4)で示したウエスタンブロット法と同様の手法で各タンパク質を可視化した。
(3)本検討の結果、インフルエンザウイルス感染に伴いアポトーシス抑制に関与するBCL−XLおよびBcl−2のタンパク質量が明らかに増加し、アポトーシス誘導に関与するBCL−XS量は減少した。このことは、ウイルス増殖能が高いMDCK細胞とSulCOS1細胞で、インフルエンザウイルスの感染に伴いアポトーシスが抑制されていることを示している。
(4)以上より、細胞培養によってインフルエンザウイルスを効率的に増殖させる目的でアポトーシス誘導因子の活性を抑制する、またはアポトーシス抑制因子の活性化を誘導することが有用であることが明らかとなった。また、このことは、アポトーシス制御能を指標としてインフルエンザウイルス増殖促進剤の探索が可能であることを意味する。
実施例4 Bax阻害剤(2種類)のインフルエンザウイルス増殖促進効果の検討
(1)実施例1の方法と同様の手法を用い、MDCK細胞におけるインフルエンザウイルスの増殖性についてBax阻害剤を添加した条件にて評価した。H3N2及びH1N1pdm、H1N1(実験株)インフルエンザウイルス株を感染価Moi=0.001となるように感染させ、1時間インキュベートした後、SFMによる洗浄操作を行い、Bax阻害剤(Bax inhibitor peptide (V5)(Val−Pro−Met−Leu−Lys(配列番号1)及び(P5)(Pro−Met−Leu−Lys−Glu(配列番号2);TOCRIS bioscience社製))を1.0 μM濃度で添加し、23時間培養した。感染後24時間に培養上清を回収し、HAアッセイにより、インフルエンザウイルスのHA価を測定した(図4)。
(1)実施例1の方法と同様の手法を用い、MDCK細胞におけるインフルエンザウイルスの増殖性についてBax阻害剤を添加した条件にて評価した。H3N2及びH1N1pdm、H1N1(実験株)インフルエンザウイルス株を感染価Moi=0.001となるように感染させ、1時間インキュベートした後、SFMによる洗浄操作を行い、Bax阻害剤(Bax inhibitor peptide (V5)(Val−Pro−Met−Leu−Lys(配列番号1)及び(P5)(Pro−Met−Leu−Lys−Glu(配列番号2);TOCRIS bioscience社製))を1.0 μM濃度で添加し、23時間培養した。感染後24時間に培養上清を回収し、HAアッセイにより、インフルエンザウイルスのHA価を測定した(図4)。
(2)本検討の結果、アポトーシスの抑制に働くBax阻害剤の添加はH3N2及びH1N1pdm、H1N1(実験株)インフルエンザウイルス株のHA価を増加させることが明らかとなった。
(3)以上より、細胞培養によってインフルエンザウイルスを効率的に増殖させる目的でアポトーシス誘導因子の活性を抑制することが有用であることが明らかとなった。また、このことは、アポトーシス制御能を指標としてインフルエンザウイルス増殖促進剤の探索が可能であることを意味する。
Claims (7)
- 細胞培養によってインフルエンザウイルスを増殖する方法であって、前記細胞のアポトーシスを抑制する工程を含む、方法。
- アポトーシスの抑制が、前記細胞のアポトーシス誘導因子の発現又は活性を抑制するか、又はアポトーシス抑制因子の発現又は活性を促進することにより行われる、請求項1記載の方法。
- アポトーシス抑制因子がBcl−2、BCL−XL、Mcl−1、CED−9、A1、Bfl−1、Bcl−w及びBcl−6から選ばれる1種以上のBcl−2ファミリータンパク質であり、アポトーシス誘導因子がBax、Bim、Bak、Diva、BCL−XS、Bik、Bad、Bid、Egl−1、Bcl−Xβ、Noxa、Puma、Bok−L及びBok−Sから選ばれる1種以上のBcl−2ファミリータンパク質である、請求項2記載の方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載の方法によってインフルエンザウイルスを増殖させ、細胞からウイルス粒子を回収する、インフルエンザウイルス粒子の調製方法。
- 前記ウイルス粒子が、インフルエンザワクチン調製に用いられるものである、請求項4記載の方法。
- 以下の(1)〜(3)の工程を含む、インフルエンザウイルス増殖促進剤の評価又は選択方法。
(1)培養細胞に被験物質を接触させる工程、
(2)当該細胞におけるアポトーシス誘導因子若しくはアポトーシス抑制因子の発現レベル又は活性レベルを測定する工程、
(3)(2)で測定された結果に基づいて、アポトーシス誘導因子の発現レベル若しくは活性レベルを低下又は減少させるか、又はアポトーシス抑制因子の発現レベル若しくは活性レベルを増強又は増加させる被験物質をインフルエンザウイルス増殖促進剤として評価する工程。 - アポトーシス抑制因子がBcl−2、BCL−XL、Mcl−1、CED−9、A1、Bfl−1、Bcl−w及びBcl−6から選ばれる1種以上のBcl−2ファミリータンパク質であり、アポトーシス誘導因子がBax、Bim、Bak、Diva、BCL−XS、Bik、Bad、Bid、Egl−1、Bcl−Xβ、Noxa、Puma、Bok−L及びBok−Sから選ばれる1種以上のBcl−2ファミリータンパク質である、請求項6記載の方法。
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