JP2005523709A - インフルエンザおよびパラインフルエンザウイルスの検出のための細胞 - Google Patents

インフルエンザおよびパラインフルエンザウイルスの検出のための細胞 Download PDF

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Abstract

本発明はインフルエンザおよびパラインフルエンザウイルスの迅速な検出および生成に有用である細胞系を提供する。特に本発明は、インフルエンザA型、インフルエンザB型、またはパラインフルエンザウイルス3による感染に対する感受性の増大を示すか、または感染性ビリオンの生産性を増強することができるトランスジェニックミンク肺細胞に関する。本発明はインフルエンザおよびパラインフルエンザウイルスの臨床単離体の培養における使用、並びに診断適用のための抗原調製物としてワクチン処方のためのインフルエンザおよびパラインフルエンザウイルスの生成、並びに抗ウイルス薬のスクリーニングに適している。

Description

本発明はインフルエンザおよびパラインフルエンザウイルスの迅速な検出および生成に有用である細胞系を提供する。特に本発明は、インフルエンザA型、インフルエンザB型、またはパラインフルエンザウイルス3による感染に対する感受性の増大を示すか、または感染性ビリオンの生産性を増強することができるトランスジェニックミンク肺細胞に関する。本発明はインフルエンザおよびパラインフルエンザウイルスの臨床単離体の培養における使用、並びに診断適用のための抗原調製物としてワクチン処方のためのインフルエンザおよびパラインフルエンザウイルスの生成、並びに抗ウイルス薬のスクリーニングに適している。
ミンク肺細胞およびミンク肺細胞混合培養は種々のインフルエンザおよびパラインフルエンザウイルスの迅速な検出に非常に感受性が良い(米国特許第6,168,915号(参照として本明細書に組み入れられる)およびHuangおよびTurchek、J.Clin.Microbiol.38:422-423(2000)参照)。加えて、ミンク肺細胞はまた、インフルエンザワクチンの生成のためのニワトリ孵化卵および/またはMadin-Darbyイヌ腎臓(MDCK)細胞の可能性のある代替として提示されている(Schultz-Cherryら、J.Clin.Microbiol.36:3718-3720(1998))。しかしながら、インフルエンザおよびパラインフルエンザウイルスの検出および生成のためのミンク肺細胞の使用に対する1つの主要な欠点は、ミンク肺細胞から生成されたビリオンがあまり感染性でないという点である。従って、ミンク肺細胞は培養された臨床標本の後期の検出に望まれるよりも感受性が低いと予測され、そしてインフルエンザおよびパラインフルエンザワクチン処方のための高力価のウイルスストックを生成できないと予測される。
従って、必要とされるのは、これらの呼吸器系ウイルスの迅速な検出を可能にするために、インフルエンザおよびパラインフルエンザウイルス感染に対して感受性が増大されている細胞である。加えて当技術分野においては、インフルエンザおよびパラインフルエンザワクチンにおいて使用するための、高力価の感染性インフルエンザおよびパラインフルエンザを生成できる培養細胞に関する必要性がある。
発明の概要
本発明はインフルエンザおよびパラインフルエンザウイルスの迅速な検出および生成に有用である細胞系を提供する。特に本発明は、インフルエンザA型、インフルエンザB型、またはパラインフルエンザウイルス3による感染に対する感受性の増大を示すか、または感染性ビリオンの生産性を増強することができるトランスジェニックミンク肺細胞に関する。本発明はインフルエンザおよびパラインフルエンザウイルスの臨床単離体の培養における使用、並びに診断適用のための抗原調製物としてワクチン処方のためのインフルエンザおよびパラインフルエンザウイルスの生成、並びに抗ウイルス薬のスクリーニングに適している。
特に本発明はMvlLu-hFと称される(designated)トランスジェニック細胞系を提供する。本発明はまた、(a)MvlLu細胞系と比較して、インフルエンザA型ウイルス、インフルエンザB型ウイルス、およびパラインフルエンザウイルス3からなる群より選択される少なくとも1つのウイルスに対する感受性の増大、並びに(b)MvlLu細胞系と比較して、インフルエンザA型ウイルス、インフルエンザB型ウイルス、およびパラインフルエンザウイルス3からなる群より選択される少なくとも1つのウイルスでの接種時に感染性ビリオンの生産性の増強;からなる群より選択される特性を有する、MvlLu-hFと称されるトランスジェニック細胞系から確立された細胞系を提供する。いくつかの態様では、細胞系はインフルエンザA型ウイルス、インフルエンザB型ウイルス、およびパラインフルエンザウイルスからなる群より選択される少なくとも1つのウイルスに対する、MvlLu-hFと称される細胞系の感受性を有する。
本発明はまた、(a)MvlLuと比較して、インフルエンザA型ウイルス、インフルエンザB型ウイルス、およびパラインフルエンザウイルス3からなる群より選択される少なくとも1つのウイルスに対する感受性の増大、並びに(b)MvlLuと比較して、インフルエンザA型ウイルス、インフルエンザB型ウイルス、およびパラインフルエンザウイルス3からなる群より選択される少なくとも1つのウイルスでの接種時における感染性ビリオンの生産性の増強、からなる群より選択される特性を有する、ヒトフリンを発現するトランスジェニックミンク肺上皮細胞系をも提供する。好ましい態様では、ヒトフリンは配列番号1の配列によりコードされる。いくつかの態様では、トランスジェニックミンク肺上皮細胞系はインフルエンザA型ウイルス、インフルエンザB型ウイルス、およびパラインフルエンザウイルス3からなる群より選択される少なくとも1つのウイルスに対するMvlLu-hFと称される細胞系の感受性を有する。
本発明はまた、ヒトフリンを発現するトランスジェニックミンク肺上皮細胞を含む組成物であって、ここにおいてこの細胞が、(a)MvlLu細胞系と比較して、インフルエンザA型ウイルス、インフルエンザB型ウイルス、およびパラインフルエンザウイルス3からなる群より選択される少なくとも1つのウイルスに対する感受性の増大、並びに(b)MvlLu細胞系と比較して、インフルエンザA型ウイルス、インフルエンザB型ウイルス、およびパラインフルエンザウイルス3からなる群より選択される少なくとも1つのウイルスでの接種時における感染性ビリオンの生産性の増強、からなる群より選択される特性を有する、組成物もまた本発明により提供される。いくつかの態様では、組成物はトランスジェニックミンク肺上皮細胞とは異なる第2細胞型をさらに含み、ここでトランスジェニックミンク肺上皮細胞および第2細胞型は混合細胞型培養物中にある。関連する態様では、第2細胞型は1次サル腎臓、BS-C-1、CV-1、Vero、Vero 76、Vero C1008、Vero 76、Cos-1、Cos-7、FRhK-4、LLC-MK2原型、LLC-MK2誘導体、MDCK、RD、A549、MRC-5、KBおよびCaCo-2細胞からなる群より選択される。
本発明はまたMvlLu-hFと称されるトランスジェニック細胞を含む組成物をも提供する。いくつかの態様では、組成物はMvlLu-hF細胞とは異なる第2細胞型をさらに含み、ここでMvlLu-hF細胞および第2細胞型は混合細胞型培養物中にある。
MvlLu-hFと称されるトランスジェニック細胞系から確立された細胞を含む組成物であって、ここにおいてこの確立された細胞は(a)MvlLu細胞系と比較して、インフルエンザA型ウイルス、インフルエンザB型ウイルス、およびパラインフルエンザウイルス3からなる群より選択される少なくとも1つのウイルスに対する感受性の増大、並びに(b)MvlLu細胞系と比較して、インフルエンザA型ウイルス、インフルエンザB型ウイルス、およびパラインフルエンザウイルス3からなる群より選択される少なくとも1つのウイルスでの接種時における感染性ビリオンの生産性の増強、からなる群より選択される特性を有する、組成物もまた本発明により提供される。いくつかの態様では、組成物は確立された細胞とは異なる第2細胞型をさらに含み、ここで確立された細胞および第2細胞型は混合細胞型培養物中にある。
本発明はまた、以下を含む、試料中のインフルエンザA型ウイルス、インフルエンザB型ウイルス、およびパラインフルエンザウイルス3からなる群より選択されるウイルスの検出方法を提供する:a)ウイルスの含有が疑われる試料、およびMvlLu-hFと称される細胞を含む組成物を提供すること;b)細胞に試料を接種して、接種細胞を生成すること;並びにc)ウイルスの存在に関して接種細胞を観察すること。いくつかの態様では、組成物はMvlLu-hF細胞とは異なる第2細胞型をさらに含み、ここでMvlLu-hF細胞および第2細胞型は混合細胞型培養物中にある。好ましい態様では、この方法はインフルエンザA型ウイルス反応性モノクローナル抗体、インフルエンザB型ウイルス反応性モノクローナル抗体、およびパラインフルエンザウイルス3反応性モノクローナル抗体からなる群より選択されるモノクローナル抗体を提供することを含み、ここで工程c)はウイルスを観察するためにモノクローナル抗体を使用することを含む。
以下を含む、試料中のインフルエンザA型ウイルス、インフルエンザB型ウイルス、およびパラインフルエンザウイルス3からなる群より選択されるウイルスを検出するためのキットもまた本発明により提供される:a)MvlLu-hFと称される細胞を含む組成物;およびb)インフルエンザA型ウイルス反応性モノクローナル抗体、インフルエンザB型ウイルス反応性モノクローナル抗体、およびパラインフルエンザウイルス3反応性モノクローナル抗体からなる群より選択されるモノクローナル抗体。好ましい態様では、組成物はMvlLu-hF細胞とは異なる第2細胞型をさらに含み、ここでMvlLu-hF細胞および第2細胞型は混合細胞型培養物中にある。いくつかの態様では、モノクローナル抗体は蛍光色素結合モノクローナル抗体である。
本発明はまた、以下を含むインフルエンザA型ウイルス、インフルエンザB型ウイルス、およびパラインフルエンザウイルス3からなる群より選択されるウイルスを生成する方法を提供する:a)ウイルスを含有する試料、およびMvlLu-hFと称される細胞を含む組成物を提供すること;並びにb)細胞に試料を接種して、接種細胞を生成し、ここで細胞は前記ウイルスを生成すること。
定義
本発明の理解を促すために、多くの用語を以下に定義する。
本明細書および請求の範囲における「試料」および「標本」なる用語は、生物学的または環境的供給源から得られるおよび/または誘導されるいずれかの組成物、並びに生物学的または環境的試料に接触させる試料採取装置(例えばスワブ(swab))を含むその最も広義な意味で用いられる。「生物学的試料」には動物(ヒト、家畜、および野生動物または野獣、例えば有蹄動物、クマ、魚、ラガモルフ(lagamorphs)、げっ歯類他)から得られるもの、例えば尿、血液、糞便、脳脊髄液(CFS)、精液、痰、および唾液などの体液、並びに固形組織がある。例えば乳製品、野菜、食肉、食肉処理の副産物、および廃棄物などの食品および食品成分から得られた試料も含まれる。「環境的試料」には、例えば表面材料、土壌、水および工業原料などの環境的な材料、並びに食物加工および乳製品加工の器具、装置、設備、使い捨て商品(item)、使い捨てでない商品などがある。これらの例は本発明に適用可能な試料の型を限定することを意図するものではない。
本明細書で用いる「細胞型」なる用語はその供給源または特性に関わらず、いずれかの細胞を意味する。
本明細書で用いる「微生物」なる用語は、非限定例としてはウイルス、細菌および原生動物などの顕微鏡的または超顕微鏡的なサイズのいずれかの生物を意味する。
本明細書で用いる「培養物」なる用語は、液体、ゲル、または固体を問わず、一つまたは複数の微生物および/または一つまたは複数の細胞を含有する組成物を意味する。生物および/または細胞の培養物は純粋であってもよく、また混合されていてもよい。例えば、本明細書で用いる生物の「純粋な培養」とは、存在する生物が特定の属の単一の種の唯一の株である培養を意味する。これは、微生物の単一の属および/または種の1つより多くの株が存在する培養を意味する「混合培養」と対照的である。
本明細書で用いる「培養培地」および「細胞培養培地」なる用語はインビトロでの細胞の維持および/または成長(すなわち細胞培養)を支援するのに適した培地を意味する。
「1次細胞」は細胞が培養中であってもなくても、動物の組織または器官から直接得られた細胞である。
「培養細胞」はインビトロで維持および/または増殖している細胞である。培養細胞には1次培養細胞および細胞系が含まれる。
「1次培養細胞」はインビトロ培養中であり、そして必ずではないが、好ましくは、老化および/または増殖の休止の前のインビトロ培養で10回またはそれ以下の継代を行なうことができる1次細胞である。
「細胞系」および「不死化細胞」なる用語は、同一の供給源に由来する1次細胞と比較して、増殖の休止および/または老化の前にインビトロで非常に多くの回数の細胞分裂が可能である細胞を意味する。細胞系は、必ずではないが、培養中に細胞が無制限に細胞分裂できることを含む。細胞集団がインビトロ培養中で継代できる(すなわち2次培養できる)回数により細胞分裂数を決定することができる。細胞の継代は当技術分野において公知の方法により達成される。つまり、固体基質(例えばプラスチック製ペトリ皿)に付着する細胞のコンフルエントまたはサブコンフルエント集団が基質から(例えば酵素的消化により)放出され、そして放出された細胞の集団(例えば10%)を新鮮な基質に播種する。細胞は基質に付着することができ、そして適当な培養培地の存在下で増殖できる。付着細胞の増殖する能力は、一定期間中の付着細胞による固体基質の被覆率の増加を観察することにより視覚的に決定することができる。または、初期付着細胞を固体支持体上で一定期間中維持すること、付着細胞を除去および計数すること、並びに初期付着細胞の数と比較して、維持された付着細胞の数の増加を観察することにより、付着細胞の増殖を、決定することができる。
細胞系を自然発生的に、またはトランスフェクションにより作製することができる。「自然発生的細胞系」は通常の細胞の培養の間に生じる細胞系である。「トランスフェクトされた細胞系」および「トランスジェニック細胞系」なる用語は核酸(通常DNA)を含む「導入遺伝子」をヒトの介入により1次細胞または細胞系に導入することにより作製される細胞系を意味する。
細胞系には、限定するわけではないが、有限細胞系および連続細胞系がある。本明細書で用いる「有限細胞系」なる用語は、老化の前に限定された回数(約1回から約50回、さらに好ましくは約1回から約40回、そして最も好ましくは約1回から約20回)の細胞分裂が可能である細胞系を意味する。
「連続細胞系」なる用語は、約50回以上(そしてさらに好ましくは無限回数)の細胞分裂が可能である細胞系を意味する。連続細胞系は概して、必ずではないが、有限細胞系またはそれが誘導される1次培養細胞と比較して、細胞サイズの低下、成長速度の上昇、クローニング能力の上昇、腫瘍形成性の増加、および/または染色体対の可変性の一般的な特徴も有している。
本明細書で用いる「導入遺伝子」なる用語は、実験的操作により細胞に導入されるいずれかの核酸配列を意味する。導入遺伝子は「内因性DNA配列」または「異種性DNA配列」(すなわち「外来性DNA」)でよい。「内因性DNA配列」なる用語は、天然に存在する配列と相対して、それが何らかの修飾(例えば点変異、選択可能マーカー遺伝子の存在等)を含有しない限り、それが導入される細胞に天然に見出されるヌクレオチド配列を意味する。「異種性DNA配列」なる用語は、連結されるか、または連結されるように操作されるヌクレオチド配列、天然に連結されないか、または天然とは異なる位置で連結される核酸配列を意味する。異種性DNA配列はそれが導入される細胞に対して内因性ではないが、別の細胞から得られたものである。異種性DNA配列はまた何らかの修飾を含有する内因性DNA配列を含む。概して、必ずではないが、異種性DNAはそれが発現される細胞により天然には生成されない、RNAおよびタンパク質をコードする。異種性DNAの実例には、レポーター遺伝子、転写および翻訳制御配列、選択可能マーカータンパク質(例えば薬物抵抗性を付与するタンパク質)等がある。
「対象となるヌクレオチド配列」なる用語は、当業者によりその操作が何らかの理由で望ましいと考えられるいずれかのヌクレオチド配列を意味する。対象となるヌクレオチド配列には、非限定例としては構造遺伝子(例えばレポーター遺伝子、選別マーカー遺伝子(selection marker gene)、オンコジーン、薬物抵抗性遺伝子、成長因子等)のコード化配列、およびmRNAまたはタンパク質生成物をコードしない非コード化制御配列(例えばプロモーター配列、ポリアデニル化配列、終止配列、エンハンサー配列等)があるが、これらに限定しない。
細胞に関して本明細書で用いる「感受性がある」なる用語は、許容または非許容宿主細胞のウイルスにより吸着および侵入される能力を記載する。ウイルスにより侵入され得るが、ウイルス増殖および/または細胞からのビリオンの放出がない場合、細胞系は許容されないが感受性である。しかしながら許容性細胞系は感受性がなければならない。当技術分野において公知の方法、例えば感染細胞培養から調製されたタンパク質抽出物の電気泳動分析(すなわちSDS-PAGE)を用いるウイルスタンパク質の存在の検出により細胞のウイルスに対する感受性を決定することができる。
本明細書で用いる「許容性である」および「許容性」なる用語はウイルスとその推定される宿主細胞との間の一連の相互事象の配列を記載する。その過程はウイルスの宿主細胞表面への吸着で始まり、そして感染性ビリオンの放出で終わる。例えばウイルス核酸配列およびウイルスペプチド配列がビリオンに構築されるどうかに関わらず、ウイルス核酸配列および/またはウイルスペプチド配列の生成により決定されるように、細胞がウイルス増殖を支援できる場合、細胞は「許容性である」(すなわち「許容性を示す」)。必要ではないが、好ましい態様では、細胞がビリオンを作製し、そして/またはそこに含まれるビリオンを放出する場合、細胞は許容性である。規定の細胞系の許容性を決定するために多くの方法を利用できる。例えば、ウイルスタンパク質、ウイルス核酸(RNAおよびDNAの双方を含む)および子孫ウイルスなどの種々のウイルスマーカーの生成により宿主細胞系における特定のウイルスの増殖を測定することができる。感染細胞培養から調製されたタンパク質抽出物の電気泳動分析(すなわちSDS-PAGE)を用いてウイルスタンパク質の存在を決定することができる。核酸ハイブリダイゼーションアッセイを用いてウイルスDNAまたはRNAを定量することができる。細胞変性効果の観察により子孫ウイルスの生成を決定することができる。本発明は特定の量のウイルスの増殖に限定されない。
「非許容性である」なる用語は、例えばウイルス核酸配列および/もしくはウイルスペプチド配列の生成、並びに/またはウイルス核酸配列およびウイルスペプチド配列のビリオンへの構築により決定されるように、細胞がウイルス増殖を支援できないことを意味する。
本明細書で用いる「ウイルス増殖」なる語句は、許容性細胞型から許容性または感受性のいずれかの特性のある別の細胞への感染性ビリオンの拡散または継代を記載する。
本明細書で用いる「細胞変性効果」または「CPE」なる用語は細胞構造における変化(すなわち病理学的効果)を記載する。共通する細胞変性効果には、細胞破壊、シンシチウム(すなわち融合された巨細胞)形成、細胞の円形化、空胞形成、および封入体の形成などがある。CPEは、許容性細胞宿主の、生存し続けるためにその必要とされる機能を実施する能力を負に影響する、許容性細胞におけるウイルスの作用の結果である。インビトロ細胞培養系では、ウイルスを含有する標本と接触した後、コンフルエント単層の一部として細胞が非コンフルエント領域を示す場合、CPEは明白である。観察される顕微鏡的効果は概して自然に集中し、そしてその巣は単一のビリオンにより開始される。しかしながら、試料中のウイルス負荷に依存して、十分な期間のインキュベーションの後には、CPEを単層の至るところで観察することができる。ウイルスがCPEを誘導したことを実証する細胞は通常円形化された形状に形態変化し、そして長い時間をかけて死滅し、そして単層の固定点から放出され得る。多くの細胞が増殖巣崩壊点に到達したとき、その区域をウイルスプラークと称し、これは単層の穴として現れる。「プラーク」および「ウイルス感染の巣」なる用語は、通常、次いで複製し、そして単層の隣接する細胞に拡散する単一の感染性ウイルスでの細胞単層の感染の結果であるCPEの明確な区域を意味する。細胞変性効果は当業者により容易に認識でき、そして区別できる。
本明細書で用いるように、「インフルエンザウイルス」なる用語は、セグメント化アンチセンスRNAゲノムを有するエンベロープ型ウイルスのオルソミクソウイルス科のファミリーのメンバーを意味する(KnipeおよびHowley(編)、Fields Virology、第4版、Lippincott Williams および Wilkins、Philadelphia、ペンシルバニア州(2001))。インフルエンザウイルスの2つの型(AおよびB)は呼吸器の病理を引き起こすヒト病原体である。
本明細書で用いるように、「パラインフルエンザウイルス」なる用語は、1本鎖アンチセンスRNAゲノムを有するエンベロープ型ウイルスのパラミクソウイルス科のファミリーの特定のメンバーを意味する(KnipeおよびHowley(編)、Fields Virology、第4版、Lippincott Williams and Wilkins、Philadelphia、ペンシルバニア州(2001))。パラインフルエンザの4つの型(1から4)はヒト呼吸器病原体である。
発明の詳細な説明
本発明はインフルエンザおよびパラインフルエンザウイルスの迅速な検出および生成に有用な細胞系を提供する。特に本発明は、インフルエンザA型、インフルエンザB型、またはパラインフルエンザウイルス3による感染に対する感受性の増大を示すか、または感染性ビリオンの生産性を増強することができるトランスジェニックミンク肺細胞に関する。本発明はインフルエンザおよびパラインフルエンザウイルスの臨床単離体の培養における使用、並びに診断適用のための抗原調製物としてワクチン処方のためのインフルエンザおよびパラインフルエンザウイルスの生成、並びに抗ウイルス薬のスクリーニングに適している。
本発明者はミンク肺細胞プロテアーゼが、各々毒性因子HA1およびHA2、ならびにF1およびF2を作製するインフルエンザのヘマグルチニン(HA)タンパク質およびパラインフルエンザウイルスの融合(F)タンパク質を有効に切断活性化しないことを熟考した。この提示された欠損を是正するために、コンセンサス配列R-X-K/R-R(HAの切断部位に位置する)を認識するエンドプロテアーゼをコードするヒトフリン遺伝子をミンク肺細胞に発現させた。フリンは以前には悪性トリインフルエンザウイルスのHAタンパク質(Steineke-Groberら、EMBO J.11:2407-2414(1992);およびWalkerら、J.Virol.68:1213-1218(1994))、HIVのエンベロープ糖タンパク質(Morikaら、J.Virol.67:3601-3604(1993);およびHallenbergerら、Nature 360:358-361(1992))、麻疹ウイルスのHAタンパク質(Watanbeら、J.Virol.69:3206-3210(1995))、EBOLAウイルスの糖タンパク質(Volchkovら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:5762-5767(1998))、およびパラインフルエンザウイルス3の融合(F)タンパク質(Ortmannら、J.Virol.68:2772-2776(1994))の切断において重要な役割を果たすことが示されている。従って、フリンコンセンサス配列を有する、悪性因子の切断活性を必要とする感染性インフルエンザおよびパラインフルエンザウイルスの生成を大きく増強するために、ミンク肺細胞でのヒトフリンの発現が発明者により企図された。以下の実施例で示すことができるように、ヒトフリンを発現するトランスジェニックミンク肺細胞は、インフルエンザA型、インフルエンザB型、およびパラインフルエンザウイルス3の早期の検出に関して感受性がよく、そしてワクチン生成および抗ウイルス薬スクリーニング適用に適した高力価のインフルエンザA型ウイルスを生成する。
さらに特に、本発明は、MvlLu-hF細胞系により例示されるように、ヒトフリンエンドプロテアーゼ(hF)を発現するトランスジェニックミンク肺上皮細胞(MvlLu)を提供する。インフルエンザおよびパラインフルエンザウイルスの検出のために高められた感受性により、本発明のトランスジェニックミンク肺上皮細胞は、臨床研究室でのインフルエンザおよびパラインフルエンザウイルスの迅速な検出および/または単離のために貴重な手段になる。実際に、本発明のトランスジェニックミンク肺上皮細胞系により、広範囲のインフルエンザおよびパラインフルエンザウイルスの検出が1から2日以内で可能になる。
例えば、本明細書で提供するデータにより、本発明の例示的なMvlLu-hF細胞がMvlLu細胞と比較して、インフルエンザおよびパラインフルエンザウイルスに対する感受性を高めていることが実証される。特に、MvlLu細胞と比較して、本発明の例示的なMvlLu-hF細胞はインフルエンザA型、インフルエンザB型、およびパラインフルエンザウイルス3の検出において、MvlLu細胞よりもさらに感受性が高い(実施例2、4および5)。
インフルエンザおよびパラインフルエンザウイルスに対する感受性の増大に加えて、本発明の例示的なMvlLu-hF細胞はまた、MvlLu細胞が行ったよりもさらに多くの感染性インフルエンザビリオンを生成した。例えば本明細書に提示するデータにより、トランスジェニックMvlLu-hF細胞が、親MvlLu細胞が行ったよりもおよそ100倍多い感染性ウイルス粒子を生成したことが実証される(実施例3)。
本発明を(A)ヒトフリンを発現するトランスジェニックミンク肺細胞、(B)トランスジェニックミンク肺細胞を含有する培養、(C)トランスジェニックミンク肺細胞培養におけるインフルエンザおよびパラインフルエンザウイルスの検出、並びに(D)トランスジェニックミンク肺細胞培養におけるの高力価インフルエンザおよびパラインフルエンザストックの生成、の項目下でさらに記載する。
A.ヒトフリンを発現するトランスジェニックミンク肺細胞
本発明は、MvlLu-hF細胞系により例示される、ヒトフリンエンドプロテアーゼ(hF)を発現するトランスジェニックミンク肺上皮細胞(MvlLu)を提供する。フリンは、切断部位がコンセンサス配列R-X-K/R-R(配列番号3)の基質特異性を有するスブチリシン様エンドペプチダーゼである(van de Venら、Mol.Biol.Rep.14:265-275(1990))。ミンク宿主細胞におけるヒトフリンの発現により、さらに感染性のあるインフルエンザおよびパラインフルエンザビリオンが生成する能力をミンク細胞に付与されるのであろうと発明者は考える。
本発明の細胞は本明細書でMvlLu-hFと称されるトランスジェニックミンク肺上皮細胞系により例示される。本明細書で用いる「MvlLu-hFと称されるトランスジェニック細胞系」なる用語はヒトフリンを発現するいずれかのミンク肺上皮細胞系を意味する。細胞系MvlLu-hFはAmerican Type Culture Collection、12301 Parklawn Drive、Rockville、メリーランド州に寄託される。しかしながら、本発明はトランスジェニック細胞系MvlLu-hFに限定されるものではない。むしろ、本発明はその範囲内でヒトフリンを発現するいずれかのトランスジェニックミンク肺上皮細胞系を企図する。
例えば、本発明はその範囲内で、MvlLu細胞系以外で、ヒトフリンを用いてトランスフェクトされているミンク肺上皮細胞を企図する。ミンクに由来する上皮肺細胞の単離、培養および同定の方法は当技術分野において公知である。例えばKniazeffらは1964年に、アリューシャンミンクのほぼ満期の雄雌の区別のつかない胎仔肺をトリプシン処理することにより、模範的な(exemplary)MvlLu細胞を生じさせるミンク肺細胞を単離した(ATCCカタログ番号CCL-64、「論評」参照)。トリプシンに基づく胎仔肺からの単離およびクローニング技術の段階的記載はKniazeffら、Lab.Invest.5:495-500(1976)により提供される。上皮肺細胞の単離に関するその他の一般的な方法は、例えば肺組織のコラゲナーゼ処理とそれに続く選択的トリプシン処理による残留線維芽細胞の除去(Miloら、In Vitro 20:899-911(1984));肺組織のトリプシン消化とそれに続く不連続パーコール・グラジエント遠心(Richardsら、Lung 165:143-158(1987));および肺組織のブタ・パンクレアチン・エラスターゼでの消化、続く不連続メトリザミド密度勾配(Robinsonら、Am.Rev.Respir.Disease 130:1156-1160(1984))などを当技術分野において利用できる。
「トランスジェニック」および「遺伝的に操作された」なる用語は、ミンク肺上皮細胞系に関して為された場合、ヒトフリンをコードする導入遺伝子を含有するかまたはヒトの介入により、例えば本明細書に記載する方法によりそのゲノムがこのような導入遺伝子の導入により変化されているミンク肺上皮細胞系を意味する。
「ヒトフリン」、「ヒトフリンエンドプロテアーゼ」、「ヒトフリンアミノ酸配列」「ヒトフリンポリペプチド」なる用語は配列番号2(図4、パネルB)に列挙されるポリペプチド配列を意味する。「ヒトフリン」なる用語は、配列番号2の生物学的活性を有する配列番号2の変種を含むこともまた明示的に企図される。
本明細書で用いる配列番号2の「変種」は、配列番号2に由来する一つまたは複数のアミノ酸の挿入、欠失および/または保存置換の各々により相違するアミノ酸配列として定義される。アミノ酸の「保存置換」なる用語はそのアミノ酸の、類似の疎水性、極性および/または構造を有する別のアミノ酸との置換を意味する。例えば以下の中性側鎖を有する脂肪族アミノ酸の1つをその他のもの:グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリンおよびスレオニン、と保存置換することができる。1つをその他のものと保存置換できる、中性側鎖を有する芳香族アミノ酸には、フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファンなどがある。システインおよびメチオニンは、1つをその他のものと地保存置換できるイオウ含有アミノ酸である。またアスパラギンおよびグルタミンは双方共にジカルボン酸アミノ酸のアミドであるので、アスパラギンをグルタミンと保存置換でき、そして逆も可能である。加えて、アスパラギン酸(アスパラギン酸塩)およびグルタミン酸(グルタミン酸塩)は双方共に酸性の荷電した(親水性)アミノ酸であるので、アスパラギン酸(アスパラギン酸塩)をグルタミン酸(グルタミン酸塩)と保存置換できる。また、リジン、アルギニンおよびヒスチジンは各々塩基性の荷電した(親水性)アミノ酸であるので、1つをその他のものと保存置換することができる。どの、および何個のアミノ酸残基を生物学的または免疫学的活性を無効にすることなく、置換、挿入または欠失できるかを決定する手引きを、当技術分野において公知のコンピュータープログラム、例えばDNAStarソフトウェアを用いて見出すことができる。
「配列番号2の生物学的活性を有する」なる用語は配列番号2の変種の生物学的活性に関して用いられる場合、配列番号2のR-X-K/R-R(配列番号3)コンセンサス配列で切断される基質の量と比較して、1%以上、およびさらに好ましくは2%から500%までであるR-X-K/R-R(配列番号3)コンセンサス配列で切断される基質の量を意味する。
本明細書で用いるように、ヒトフリンを「コードする核酸分子」、「コードするDNA配列」および「コードするDNA」並びに文法的にそれに等価な用語はデオキシリボ核酸の鎖に沿ったデオキシリボヌクレオチドの順序または配列を意味する。これらのデオキシリボヌクレオチドの順序はmRNA鎖に沿ったリボヌクレオチドの順序を決定し、そしてまたポリペプチド(タンパク質)鎖に沿ったアミノ酸の順序をも決定する。従って前記DNA配列はヒトフリンのRNA配列およびアミノ酸配列をコードする。1つの好ましい態様では、導入遺伝子はヒトフリンエンドプロテアーゼ(配列番号2;図4、パネルB)をコードするヌクレオチド配列(配列番号1;図4、パネルA)を含む。
必要ではないが、1つの態様では、導入遺伝子が選択可能マーカーをコードする配列をさらに含むのが望ましい。本明細書で用いる「選択可能マーカー(selectable marker)」なる用語は、選択可能マーカーが発現される細胞に化合物(例えば抗生物質または薬物)に対する抵抗性を付与する酵素活性をコードするヌクレオチド配列を意味する。選択可能マーカーは「陽性」、すなわちいずれかの細胞または細胞系で検出できる酵素活性をコードする遺伝子でよい。有力な選択可能マーカーには、たとえば(1)細胞に薬物G418に対する抵抗性を付与する細菌性アミノグリコシド3’ホスホトランスフェラーゼ遺伝子(neo遺伝子とも称される)、(2)抗生物質ハイグロマイシンに対する抵抗性を付与する細菌性ハイグロマイシンGホスホトランスフェラーゼ(hyg)遺伝子、および(3)ミコフェノール酸の存在下で成長する能力を付与する細菌性キサンチン・グアニン・ホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(gpt遺伝子とも称される)などがあるが、これらに限定しない。その他の選択可能マーカーは、その使用を、関連する酵素活性を欠如する細胞系と併用しなければならいという点で有力ではない。選択可能マーカーは「陰性」でもよい;陰性選択可能マーカーは、適当な選択培地中で成長した場合、その発現が細胞に対して細胞毒性である酵素活性をコードする。例えば、HSV-tk遺伝子およびdt遺伝子は一般に陰性選択可能マーカーとして用いられる。ガンシクロビルまたはアシクロビルの存在下で成長した細胞ではHSV-tk遺伝子の発現は細胞毒性である;従って、ガンシクロビルまたはアシクロビルを含有する選択培地における細胞の成長により、機能的なHSV-TK酵素を発現することができる細胞が選択される。同様に、dt遺伝子の発現によりジフテリア毒素を発現できる細胞が選択される。1つの好ましい態様では、用いる選択可能マーカー遺伝子はプラスミドpcDNA3(Invitrogen)のneo遺伝子である。実施例1で記載するように、この導入遺伝子を組み込んだ細胞はジェネティシン(G418)(Gibco-BRL Inc.)への暴露により選択された。
当技術分野において周知技術を用いてヒト崩壊加速因子(decay accelerating factor)をコードするヌクレオチド配列を含有するベクター(例えばプラスミド、直鎖状RNA、ウイルス他)を細胞に導入することができる。核酸配列を細胞に「導入すること」なる用語は、形質転換された細胞を生成するための標的細胞への核酸配列の導入を意味する。細胞に核酸配列を導入する方法は当技術分野において周知である。例えば、核酸配列がプラスミドまたは裸の直鎖状DNAの一部である場合、例えばカルシウム・リン酸塩DNA共沈、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、ポリブレン媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、リポソーム融合、リポフェクション、プロトプラスト融合、および微粒子銃(biolistic)を用いて、配列が細胞に「トランスフェクトされる」ことができる。または、核酸配列がウイルス粒子内でキャプシドに包まれている場合、細胞をウイルスで「感染させる」ことにより配列を細胞に導入することができる。好ましい態様では、ベクターはプラスミドである。
細胞の形質転換は安定性であってもよく、また一過性であってもよい。「一過性の形質転換」および「一過性に形質転換された」なる用語は、対象となるヌクレオチド配列が宿主細胞ゲノムに組み込まれることなく、対象となる一つまたは複数のヌクレオチド配列が細胞に導入されることを意味する。一過性の形質転換を例えば、対象となる一つまたは複数のヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチドの存在を検出する酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)により検出することができる。または、対象となるヌクレオチド配列によりコードされるタンパク質(例えばβグルクロニダーゼ)の活性を検出することにより一過性の形質転換を検出することができる。「一過性の形質転換体」なる用語は対象となる一つまたは複数のヌクレオチド配列を一過性に組み込んだ細胞を意味する。
対照的に、「安定した形質転換」および「安定して形質転換された」なる用語は対象となる一つまたは複数のヌクレオチド配列の細胞のゲノムへの導入および組み込みを意味する。従って、「安定した形質転換体」は、安定した形質転換体に由来するゲノムDNAは対象となる一つまたは複数のヌクレオチド配列を含有するが、一過性の形質転換体に由来するゲノムDNAは対象となるヌクレオチド配列を含有しない点で一過性の形質転換体と区別される。対象となるヌクレオチド配列に結合できる核酸配列を用いる、形質転換された細胞のゲノムDNAのサザンブロットハイブリダイゼーションにより、細胞の安定した形質転換を検出することができる。または、対象となるヌクレオチド配列を増幅するための形質転換された細胞のゲノムDNAのポリメラーゼ連鎖反応によっても細胞の安定した形質転換を検出することができる。好ましい態様では、複数回の継代の後の例示的なトランスジェニック細胞系MvlLu-hF細胞によるヒトフリンの発現により実証されるように形質転換は安定している(実施例1および図1)。
1つの好ましい態様では、本明細書で提供されるトランスジェニックMvlLu-hF細胞はヒトフリンを発現する。「ヒトフリンを発現する」なる用語は細胞に関して為される場合、細胞が検出可能な量のヒトフリンを含有することを意味する。当技術分野において公知の方法を用いてヒトフリンタンパク質の発現を直接的または間接的に決定することができる。例えば、免疫蛍光アッセイ、例えば本明細書に開示するアッセイにより間接的な検出を達成することができ、その場合、トランスフェクトされた細胞を抗ヒトフリンモノクローナル抗体(Alexis Biochemicals)および2次抗体としてFITC標識ヤギ抗マウスIgGと共にインキュベートし、続いて顕微鏡下で免疫蛍光を観察する。
または、ヒトフリンタンパク質をコードする遺伝子に操作可能なように連結されたレポーター遺伝子(例えばuid A遺伝子)によりコードされるレポータータンパク質の活性を検出することによりヒトフリンの発現を間接的に決定することができる。「レポーター遺伝子」なる用語は、酵素(例えばELISA、および酵素基盤の組織化学的アッセイ)、蛍光、放射活性およびルミネセンス系で検出可能なレポーター分子(例えばRNA、ポリペプチド等)をコードする遺伝子を含むが、これらに限定しない、任意の検出系を意味する。例示的なレポーター遺伝子には、例えばβグルクロニダーゼ遺伝子、グリーン蛍光タンパク質遺伝子、大腸菌βガラクトシダーゼ遺伝子、ヒト胎盤アルカリ性ホスファターゼ遺伝子、およびクロラムフェニコール・アセチルトランスフェラーゼ遺伝子などがある。本発明はいずれか特定の検出系または標識に限定されることを意図するものではない。
好ましい態様では、当技術分野において公知の方法、例えば本明細書で開示する方法、を用いてヒトフリンを発現する形質転換されたMvlLu細胞の数を、ヒトフリンを発現しないMvlLu細胞に相対して増やす(enrich)ことができる。例えば抗ヒトフリンモノクローナル抗体およびFITC標識ヤギ抗マウスIgG(Chemicon)で細胞を標識してフリンの発現をモニター観察することができる。次いでフリンを発現する細胞クローンを限界希釈により得ることができる。
本発明をATCC#として寄託される例示的なトランスジェニックMvlLu-hF細胞を用いて説明しているが、本発明はこの特定の細胞型に限定されるものではないことは明示的に企図される。むしろ、本発明はその範囲内で、本明細書でMvlLu-hF細胞と称されるトランスジェニック細胞系から確立されるいずれかの細胞系を企図する。
「から確立される」なる用語は、ATCC#として寄託されるMvlLu-hFと称されるトランスジェニック細胞系に関係する細胞系に関して用いる場合、任意の操作を用いて(例えば、ウイルスでの感染、DNA配列でのトランスフェクション、例えば化学物質、放射線等を用いる、処理および/または変異誘発、MvlLu-hFと称されるトランスジェニック細胞系に含まれるいずれかの細胞の選択等)、MvlLu-hFと称されるトランスジェニック細胞系から得られた(例えば単離された、精製された等)細胞系を意味する。例えば化学物質[例えば、N-エチル-N-ニトロソウレア(ENU)、メチルニトロソウレア(MNU)、塩酸プロカルバジン(PRC)、トリエチレンメラミン(TEM)、アクリルアミドモノマー(AA)、クロラムブシル(CHL)、メルファラン(MLP)、シクロホスファミド(CPP)、ジエチル硫酸(DES)、エチルメタンスルホン酸(EMS)、メチルメタンスルホン酸(MMS)、6-メルカプトプリン(6MP)、マイトマイシンC(MMC)、プロカルバジン(PRC)、N-メチル-N’-ニトロ-N-ニトロソグアニジン(MNNG)、3H2O、およびウレタン(UR)]および電磁放射線[例えばX線放射、γ線放射、紫外光]で処理されたMvlLu-hFを含むMvlLu-hFと称されるトランスジェニック細胞系から細胞系が確立された。
また本明細書にて提供するデータにより、本発明の例示的なトランスジェニックMvlLu-hF細胞は、本発明のトランスジェニック細胞が誘導されたMvlLuと比較して、インフルエンザA型、インフルエンザB型、およびパラインフルエンザウイルス3による感染に関して感受性の増大を示すことが実証される。「感受性」および「感受性のある」なる用語は、細胞に関して為される場合、同一のウイルスに対する別の細胞の許容性の程度と比較した、細胞のウイルスに対する許容性の程度を意味する相対的な用語である。
例えば「インフルエンザに対する感受性の増大」および「パラインフルエンザに対する感受性の増大」なる用語は、本発明のトランスジェニックMvlLu-hF細胞系に関して用いる場合、対照MvlLu細胞と比較して、感染したトランスジェニックミンク肺細胞の量の少なくとも2倍、より好ましくは2倍から10倍、さらに好ましくは10から100倍、そして最も好ましくは100倍以上の増加を意味する。例えば、24個の感染MvlLu細胞および115個のトランスジェニックミンク肺細胞が接種された培養において観察された場合、感受性の増大は4倍を超える。
本発明の細胞はまた「感染性ビリオンの生産性の増強」によっても特徴付けられる。本明細書で用いるように、この語句は好ましくは、対照MvlLu細胞系と比較して、トランスジェニックミンク肺細胞系による、少なくとも2倍、より好ましくは2倍から10倍、さらに好ましくは10から100倍、そして最も好ましくは100倍以上の感染性インフルエンザA型、インフルエンザB型、およびパラインフルエンザウイルス3粒子の生産性の増強を意味する。例えば、mlあたり105個の感染性ビリオンがMvlLu細胞系から得られ、そしてmlあたり107個の感染性ビリオンがトランスジェニックミンク肺細胞から得られた場合、生産性の増強は100倍になる。
B.トランスジェニックミンク肺細胞を含有する培養
本発明はインフルエンザおよびパラインフルエンザウイルスの存在を検出するためのトランスジェニックミンク肺細胞の単一細胞型培養物を提供する。「単一細胞型培養物(single-cell type culture)」なる用語は、液体、ゲルまたは固体を問わず、単一の型の細胞を含有する組成物を意味する。本明細書にて提示するデータにより、例示的なMvlLu-hF細胞系が、親MvlLu細胞系よりも、インフルエンザA型、インフルエンザB型、およびパラインフルエンザウイルス3感染により感受性が増大したことが実証される。
本発明はさらに、本発明のトランスジェニックミンク肺細胞以外の細胞型を、本発明のトランスジェニックミンク肺細胞と組み合わせて含有する混合細胞型培養を提供する。これらの混合細胞型培養は呼吸器ウイルス、例えばインフルエンザA型、インフルエンザB型、およびパラインフルエンザ3の存在を検出するのに有用である。
本明細書で用いるように、「混合細胞型培養物」なる用語は、液体、ゲルまたは固体であっても、2つまたはそれ以上の型の細胞の混合物を含有する組成物を意味し、その場合、細胞型は混ざっている。例えば混合細胞型培養物は、同一種および同一属からの異なる組織または器官に由来する細胞を含有できる。または、混合細胞型培養物は同一属の異なる種に由来する細胞を含有することができる。さらに別の代替は、混合細胞型培養物は異なる属に由来する細胞を含有する。本発明は、用いられる全ての細胞型が遺伝的に操作されていない混合された細胞培養物、一つまたは複数の細胞型が遺伝的に操作されており、そして残りの細胞型は遺伝的に操作されていない混合物、ならびに全ての細胞型が遺伝的に操作されている混合物を含む、試料中のウイルスの検出、同定および/または定量に適した細胞型の任意の組み合わせを包含する。
本明細書で用いる「トランスジェニックミンク肺細胞系とは異なる細胞型」なる用語は、トランスジェニックミンク肺細胞系と何らかの点で異なるいずれかの細胞型を意味する。この用語は、親MvlLu細胞系;親MvlLu細胞系以外の細胞型から確立されたいずれかの細胞型;およびMvlLu-hF細胞系から確立されたいずれかの細胞型を含むが、これらに限定しない。特に、「トランスジェニックミンク肺上皮細胞系とは異なる細胞型」なる用語は、hF遺伝子でトランスフェクトされていないMvlLu細胞か、または対象となる一つまたは複数のヌクレオチド配列を含有する導入遺伝子でトランスフェクトされているMvlLu細胞のいずれかを明示的に含む。さらに「トランスジェニックミンク肺上皮細胞系とは異なる細胞型」なる用語は、ATCC#として寄託され、かつ一つまたは複数の対象となるヌクレオチド配列を含有する導入遺伝子でトランスフェクトされているMvlLu-hF細胞をさらに明示的に含む。
混合細胞型培養物中にある本発明のトランスジェニックMvlLu-hF細胞を用いる利点は、診断アッセイ法に適し、かつ個々の容器で培養された複数の細胞系の必要性を排除する単一の混合細胞型ユニットにおいて、迅速かつ感度のよいアッセイ系が提供される点である。
本発明をいずれか特定の細胞型に限定しないが、混合細胞型培養物において本発明のトランスジェニックMvlLu-hF細胞と共に用いることができ、かつ呼吸器ウイルス(例えばインフルエンザおよびパラインフルエンザ)を検出できる例示的な細胞系を表1に列挙する。
(表1)混合細胞型培養物のために本発明のMvlLu-hF細胞系と共に用いる例示的な細胞系
Figure 2005523709
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(a)Herpes=ヘルペスウイルス
Entero=エンテロウイルス
Adeno=アデノウイルス
Myxo=ミクソウイルス
Paramy=パラミクソウイルス
(b)1次サル腎臓細胞はDiagnostic Hybridsから入手することができる(シェル様式用にはカタログ番号490102A、およびチューブ様式用にはカタログ番号49-0600A)。
混合細胞型培養物を調製するための方法は当技術分野において公知であり、例えば1999年8月17日に発行されたSchollらに対する米国特許第5,939,253号および2001年1月2日に発行されたSchollらに対する米国特許第6,168,915号に開示されている方法であり、その全内容は参照として本明細書に組み入れられる。つまり、細胞系単層を集密になるまで培養する。付着細胞系に関して本明細書で用いる「集密」および「集密的な」なる用語は細胞が培養の全体にわたって互いに接触して連続的なシートに見えるもの、すなわち細胞の「単層」が形成された状態を定義する。細胞単層をマグネシウムまたはカルシウム不含のハンクス平衡塩溶液(HBSS)で漱ぐ。細胞系に依存して、トリプシン(HBSS中0.125%、カルシウムまたはマグネシウム不含)またはトリプシン・EDTA(HBSS中1mM EDTA中0.25%、カルシウムまたはマグネシウム不含)を直接細胞単層に添加し、そして環境温度でおよそ5分間インキュベートすることにより細胞を解離させることができる。各トリプシン処理した細胞懸濁液に細胞培養培地を加え、そして細胞を繰り返しピペッティングして、ほぼ単一細胞の懸濁液を生成する(すなわち細胞凝集物を含まない)。各トリプシン処理した細胞懸濁液を十分量の培養培地で希釈して、96ウェルマイクロタイタープレート中、2〜3日以内で細胞の集密な単層を生成するのに適した光学密度の細胞懸濁液を生成する。
2つの異なる細胞型を等量の各希釈された細胞懸濁液で同時プレーティングすることにより混合細胞型単層を生成することができる(例えば各細胞型0.1mlを用いて96ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルに接種する)。重力により30〜60分間で細胞をウェル表面に付着させ、そして接種されたマイクロタイタープレートを5% CO2中95%の相対湿度で、36℃で最大3日間インキュベートする。
インキュベーション中、定期的に、全体的な生存性および2つの異なる細胞形態で(すなわち二形性細胞シート(dimorphic cell sheet))各細胞型がほぼ等密度で細胞系が共存し、単一の細胞シート(すなわち単一の単層)を発達させる能力に関して、混合細胞型単層を検査する。集密で、細胞をメチレンブルー染色溶液で処理し、細胞を固定し、それを薄青色に染色し、光学顕微鏡を用いる可視化のための対比を提供する。
混合細胞型培養物は好ましくはウェル表面に付着した細胞混合単層を含有する。付着した単層培養は滑らかで、平らに分布した単層を呈し、各細胞型は容易に区別され、混合細胞型単層中で生存し、単一の細胞分布の外観を呈する。または、付着した単層培養物はコンフルエンスで2つの異なる形態を呈することができ、そこで各細胞系の別個の異なるパッチが単層内で共存し、水と混合した油の外観を呈する。
C.トランスジェニックミンク肺細胞培養におけるインフルエンザおよびパラインフルエンザウイルスの検出
単一細胞型単層または混合細胞型単層をインキュベーションした後、単層にインフルエンザまたはパラインフルエンザウイルスを含有することが疑われる標本、またはストックウイルス培養物(すなわち陽性対照)を接種する。陰性対照培養物または非感染対照培養物も用いることができる;これらの培養にはいかなるインフルエンザまたはパラインフルエンザウイルスも欠如している培養培地を与える。培養を接種するために、試験される標本のアリコートを標準的な培養容器中の適当な標準培養培地に置く。
用いる培養の型(すなわちプレート、シェルバイアルまたはチューブ培養)に適したいずれかの方法を用いて接種を行ってもよい。プレート培養またはシェルバイアルを用いる場合、インフルエンザまたはパラインフルエンザを含有することが疑われる溶液(または公知の対照溶液)をプレートのウェルに分配し、そしてシェルバイアルを700gで、室温で約1時間遠心することができる。チューブ培養を用いる場合、この遠心工程を必要としない。「接種」(すなわち感染性ウイルスを含有するか、または含有することが疑われる標本への単層の曝露)に続いて、単層を37℃で、進行するウイルス感染サイクルに十分な時間(例えば約3時間〜約5日間)インキュベートする。標本中のインフルエンザまたはパラインフルエンザの存在を、例えば実施例2〜5に記載するような血球吸着または免疫蛍光を観察することにより検出することができる。
D.トランスジェニックミンク肺細胞培養における高力価インフルエンザおよびパラインフルエンザストックの生成
不活性化されたインフルエンザワクチンを調製するために、硫酸セルファインを用いるアフィニティ・クロマトグラフィーによりMvlLu-hF細胞から生成されたウイルスを培養培地から単離する(Palacheら、J.Infect.Dis.176(補冊1):S20-S23(1997))。無傷の生ウイルスは当技術分野において公知の多くの方法のいずれか1つによる精製、例えば不活性化ウイルスワクチンを生成するためのホルマリンまたはプロピオンラクトン処理の後に不活性化される。具体的には、0.1% ホルムアルデヒド中4℃で10〜14日間ウイルス懸濁液をインキュベートすることによりインフルエンザウイルスを不活性化する。次に、ヒトでの臨床試験の前に、不活性化されたウイルス調製物を標準的なプロトコールを用いてマウスで試験する。
加えて、MvlLu-hF細胞により生成されたウイルスは酵素結合免疫吸着アッセイのための抗原調製に有用であることが企図される。例えば、抗原として使用してマイクロタイタープレートのウェルを被覆する場合(または抗原捕捉アッセイにおいて)、ウイルスは患者血清中のウイルス抗体の検出のための診断適用に適している。ウイルスはまた臨床標本からのウイルスを試験するのに陽性対照抗原としても有用である。
同等に重要なことに、トランスジェニックMvlLu-hF細胞のウイルス生成により、それが種々の抗ウイルス薬のスクリーニング適用において使用するための優れた細胞系になる。例えば、候補抗ウイルス薬をインフルエンザ感染したMvlLu-hF細胞と共にインキュベートする。処置された細胞により生成されたインフルエンザウイルス力価を、未処置細胞により生成された力価と比較することにより、候補薬がインビトロで抗ウイルス活性を有しているかどうかを決定するためのメカニズムが提供される。
実験例
以下の実施例は本発明における特定の好ましい態様および局面を説明するために役立つものであり、その範囲を限定することを意図するものではない。
以下の実験の開示では、以下の略語を適用する。M(モル濃度);μM(マイクロモル濃度);N(規定);モル(モル);mモル(ミリモル);μモル(マイクロモル);nモル(ナノモル);g(グラム);mg(ミリグラム);μg(マイクログラム);ng(ナノブラム);lまたはL(リットル);ml(ミリリットル);μl(マイクロリットル);cm(センチメートル);mm(ミリメートル);μm(マイクロメートル);nm(ナノメートル);xg(倍の重力);℃(摂氏温度);FBS(ウシ胎仔血清);PBS(リン酸塩緩衝食塩水);HEPES(N-[2-ヒドロキシエチル]ピペラジン-N’-[2-エタンスルホン酸]);HBSS(ハンクス平衡塩溶液);MEM(最小必須培地);EMEM(イーグル最小必須培地);RBC(赤血球);HAD(血球吸着);BBL(Becton Dickinson Microbiology Systems、Cockeysville、メリーランド州);ディフコ(Difco Laboratories、Detroit、ミシガン州);U.S.バイオケミカル(U.S.Biochemical Corp.、Cleveland、オハイオ州);ケミコン(Chemicon International,Inc.、Temecula、カリフォルニア州);ダコ(Dako Corporation、Carpinteria、カリフォルニア州);フィッシャー(Fisher Scientific、Pittsburgh、ペンシルバニア州);シグマ(Sigma Chemical Co.、St.Louis、ミズーリ州);ATCC(American Type Culture Collection、Rockville、メリーランド州);バーテルズ(Bartels、Issaquah、ワシントン州);およびバイオホイッテカー(Bio Whittaker、Warrensville、メリーランド州);チャールズリバー(Charles River Laboratories、Wilmington、マサチューセッツ州);クリニカルリサーチインスティチュート(Clinical Research Institute of Montreal、Montreal、カナダ);ダイアグノスティックハイブリッド(Diagnostic Hybrids,Inc.、Athens、オハイオ州);インビトロジェン(Invitrogen Corporation、Carlsbad、カリフォルニア州);キアゲン(Qiagen Inc.、Valencia、カリフォルニア州);ジーンセラピーシステム(Gene Therapy Systems,Inc.、San Diego、カリフォルニア州)並びにアレクシス(Alexis Biochemicals Inc.、San Diego、カリフォルニア州)。
実施例1
ヒトフリン(hF)を発現するトランスジェニックミンク肺(MvlLu)細胞の作製
ミンク肺細胞(ATCC#CCL-64)の単層をトリプシンで処理した後2次培養し、E-MEM培養培地(Diagnostic Hybrids)の存在下、12ウェルプレートのウェルに播種し、そして36℃で48時間インキュベートした。新たに形成された細胞単層を続いてトランスフェクションに使用した。
標準的な分子生物学的技術を用いてヒトフリン遺伝子(Gen Bankアクセッション番号X17094;および図4、パネルA)をpcDNA3にクローン化した。インビトロジェンから市販により入手可能なpcDNA3プラスミドは多重クローニング部位をフランキングするサイトメガロウイルスエンハンサー/プロモーターを有する標準的な真核性発現ベクターであり、そして安定したトランスフェクタントを選択することが可能なネオマイシン抵抗性カセットを含有する。Dr.Nabil G.Seidah(Clinical Research Institute)から入手したpcDNA3-hFのプラスミドDNAを用いて大腸菌を形質転換し、そしてプラスミドDNAを含有する細菌コロニーを選択し、そしてブロス培養中18時間成長させることにより発展させた。市販のキット(Qiagen)を用いて細菌からプラスミドDNAを精製し、これを使用して、MvlLu-hF細胞を作製するための製造者の指示書に従って、キャリヤとしてGenePORTER2(商標)(Gene Therapy Systems)を用いることによりMvlLu細胞をトランスフェクトした。
トランスフェクトされた細胞をさらに2日間インキュベートし、そしてジェネティシン(Geneticin)(G418)(Gibco-BRL)を添加して安定したトランスフェクタントを選択した。6日後、たいていの細胞が死滅し、そして生存細胞は成長を始めた。一度生存細胞が単層を形成すると、これを2次培養した。細胞の一部を用いて、1次抗体として抗ヒトフリン転換酵素モノクローナル抗体(Alexis)および2次抗体としてフルオレセイン(FITC)標識ヤギ抗マウスIgG(Chemicon)を用いて染色することによりヒトフリン発現に関して試験した。約10%のジェネティシン選択細胞がフリンを発現した。
ヒトフリンを発現する細胞を富化するために、トリプシン処理によりジェネティシン選択細胞を除去し、そして限界希釈によりクローン化した。培養の2週間後にクローン化された細胞が単層を形成していた。続いて各クローンからの細胞のアリコートを除去し、そして前記したようにフリン発現に関して評価した。数個のクローンに由来するおよそ50%の細胞がヒトフリンを発現した。もう1ラウンドのクローニングのために限界希釈によりこれらのうちの1つを選択した。培養の2週間後、クローン化された細胞が単層を形成していた。再度、抗ヒトフリンモノクローナル抗体を用いる染色により、新たなクローンによるヒトフリン発現を評価した。ヒトフリンを発現する細胞を100%有する1つのクローンをさらなる分析のために選択した。このクローン、すなわちMvlLu-hFを連続2次培養により発展させた。免疫蛍光により実証されるように、ヒトフリン発現が維持された(図1参照)。
実施例2
MvlLu-hF細胞を用いる臨床試料由来インフルエンザA型ウイルスの検出
MvlLu-hF細胞によるインフルエンザA型ウイルスの検出のための感受性を親MvlLu細胞と比較するために、感染細胞の血球吸着(HAD)および免疫蛍光染色を以下のように決定した。つまり、各細胞型を2×105セル/mlの密度でウェルあたり0.2mlを用いて48ウェルプレートに播種した。細胞が単層を形成した後(通常約2〜3日)、凍結ストックからの以前に試験された17個のインフルエンザA型ウイルス陽性臨床試料を各細胞の2つのウェルに1ウェルあたり5μlの接種量で接種した。5% CO2雰囲気下、36℃で一晩インキュベートした後、培地を除去し、そしてモルモット赤血球(RBC)0.2mlを加えた。ヘパリン(Charles River)中に収集したモルモットRBCをリン酸塩緩衝食塩水(PBS)で3回洗浄し、そして次に使用前に0.2% RBCの濃度で再懸濁した。プレートを4℃で30分間インキュベートした後、振盪および吸引により遊離しているRBCを除去した。図2に示すように、インフルエンザA型ウイルスに感染した細胞に吸着したRBCが塊状で現れた。
HAD試験は接種された培養が臨床標本に由来するウイルスで感染されているかどうかを決定するために用いられる方法である。前記したHAD試験のプレートを倒立顕微鏡下で試験し、そしてその結果を正当に記録した。インフルエンザA型感染細胞に付着したRBCを水0.2mlで10秒間溶解した。次いで細胞を80%アセトンで1〜5分間固定した。固定剤を除去した後、細胞をFITC結合抗インフルエンザA型ウイルスモノクローナル抗体(Diagnostic Hybrids)で30分間、暗中で染色した。次いで細胞をPBSで2回洗浄し、そして蛍光顕微鏡下で試験した。蛍光細胞(外観は青リンゴ色)の検出により細胞がインフルエンザA型に感染しており、非常に多くの蛍光細胞が感染の増加の指標であることが示された。図3に示すように、トランスジェニックMvlLu-hF細胞は親MvlLu細胞よりもヒトインフルエンザA型ウイルス感染にさらに感受性があった。17個の臨床単離体全てに関して得られた結果を、視覚的試験で血球吸着を示すウェルの細胞の比率として表2に列挙する。特に以下の数字を用いて血球吸着を細胞の百分率として表現した。-は0%を意味し、1+は約1%〜約25%を意味し、2+は約25%〜約50%を意味し、3+は約50%〜約75%を意味し、そして4+は約75%〜約100%を意味する。
血球吸着により、親MvlLu細胞の使用により感染後1日目までに12個の陽性、そして感染後3日目までに8個の陽性の検出が可能になった。以前に1日目で検出された5個の標本が3日目で検出の不能であったことは、新たに生成された子孫ビリオンは臨床標本のビリオンほど感染性ではなかったことを示している。唯一の例外は、1日目で検出不能で、そして3日目で検出可能であった標本#1のウイルスであった。対照的にトランスジェニックMvlLu-hF細胞により、感染後1日目までに15個の陽性の検出が可能になり、そして感染後3日目までに17個全ての陽性が検出可能になった。図2および表1に示すように、たいていの試料で親MvlLu細胞よりも、トランスジェニックMvlLu-hF細胞により多くのRBCが吸着した。重要なことに、高い検出率および高い血球吸着比率により、トランスジェニックMvlLu-hF細胞により生成されたインフルエンザA型ビリオンが高度に感染性であったことが示される。これらを鑑みて、これらの結果により、MvlLu-hF細胞は親MvlLu細胞よりも初期検出ではより感受性が高く、後期検出ではより多くのウイルスを生成することが示される。
(表2)血球吸着によるインフルエンザA型の検出のためのMvlLuのMvlLu-hFに対する比較
Figure 2005523709
(表3)
免疫蛍光によるインフルエンザA型の検出のためのMvlLuのMvlLu-hFに対する比較
Figure 2005523709
この実験からの結果もまた、ウイルス試験で免疫蛍光を示すウェルの細胞の比率として表3に列挙する。特に以下の数字を用いて免疫蛍光を染色細胞の百分率として表現した。-は0%を意味し、<1は0%以上で約1%までを意味し、1+は約1%〜約25%を意味し、2+は約25%〜約50%を意味し、3+は約50%〜約75%を意味し、そして4+は約75%〜約100%を意味する。免疫蛍光により、親MvlLu細胞の使用により感染後1日目までに17個全ての陽性の検出が可能になったが、3日目までにこれらのうちの4個が陰性になり、そして大部分は染色細胞が少ししかなかった。対照的に1日目に多くの染色細胞がトランスジェニックMvlLu-hF細胞を含有するウェルで見出され(#8を除く)、そして3日目までに染色細胞数は1日目で観察されたものよりも多くなった。従って、免疫蛍光はモルモットRBCでの血球吸着よりもさらに感受性のある感染のアッセイである。加えて、免疫蛍光および血球吸着の双方により、トランスジェニックMvlLu-hF細胞により、親細胞系が提供するよりもさらに感受性のあるインフルエンザA型ウイルスの臨床単離体に関する検出系が提供される。
実施例3
MvlLu-hF細胞を用いるインフルエンザA型ウイルスの生成
ミンク肺上皮細胞はヒトインフルエンザウイルスの単離および培養のためのマディオンダービーイヌ腎臓(Madin-Darby canine kidney)(MDCK)上皮細胞の代替である(Schultz-Cherryら、J.Clin.Microbiol.36:3718-3720(1998);並びにHuangおよびTurchek、J.Clin.Microbiol.38:422-423(2000)参照)。本発明の開発中に得られた、そして前記の実施例2で示した結果により、ヒトフリンを発現するミンク肺細胞(MvlLu-hF)はワクチン調製のための高力価のインフルエンザA型ウイルスストックの生成に適している。
(表4)インフルエンザA型ウイルス力価の比較
Figure 2005523709
トランスジェニックMvlLu-hFおよび親MvlLu細胞を24ウェルプレートにプレーティングし、そして実施例2に記載するようにインフルエンザA型ウイルスの2つのサブタイプで、感染多重度0.01で接種した。この実験のために選択したインフルエンザA型ウイルス単離体にはH1N1単離体(ATCC#VR-95)およびH3N2単離体(ATCC#VR-822)が含まれた。感染後の複数の時点で上澄を収集し、そしてこれを用いてR-Mix細胞(Diagnostic Hybrids)のシェルバイアルを10倍連続希釈で接種することによりウイルス力価を列挙した。シェルバイアルを37℃で一晩インキュベートした後、細胞単層をインフルエンザA型ウイルス特異的抗体で染色し、そして蛍光顕微鏡により試験した(実施例2参照)。各ウェルからの陽性細胞を計数し、そしてこれらの数字を用いてウイルス力価を決定した。表4に示すようにトランスジェニックMvlLu-hF細胞は親MvlLu細胞よりも100倍以上の感染性ビリオンを生成した。従って、例示的なH1N1およびH3N2ウイルス単離により実証されるように、MvlLu-hF細胞はインフルエンザA型ワクチンの生成に優れた細胞系である。
実施例4
MvlLu-hF細胞を用いる臨床試料からのインフルエンザB型ウイルスの検出
トランスジェニックMvlLu-hF細胞によるインフルエンザB型ウイルスの検出のための感受性を親MvlLu細胞と比較するために、以前に陽性であると試験された4個の凍結臨床標本を用いて、24ウェルプレートで培養された双方の細胞に接種した。36℃で一晩インキュベートした後、細胞を抗インフルエンザB型ウイルス抗体(Diagnostic Hybrids)で染色し、そして陽性の蛍光染色細胞を計数した。
(表5)インフルエンザB型ウイルス感染性の比較
Figure 2005523709
表5に示すように、インフルエンザB型ウイルスの迅速な検出に関して、トランスジェニックMvlLu-hF細胞は親MvlLu細胞よりも約4〜5倍感受性が増大していた。関連する実験では、感染後、抗インフルエンザB型ウイルス抗体で染色する前に3日間双方の細胞をインキュベートした。このより長いインキュベーション期間の後、親MvlLu細胞のウェルでは陽性細胞は検出されず、一方トランスジェニックMvlLu-hF細胞のウェルでは多くの陽性細胞が検出された。これはトランスジェニックMvlLu-hF細胞により生成されたインフルエンザB型ウイルス子孫は感染性であったが、親MvlLu細胞では感染性でなかったことが示される。
実施例5
MvlLu-hF細胞を用いる臨床試料からのパラインフルエンザウイルス3の検出
トランスジェニックMvlLu-hF細胞によるパラインフルエンザウイルスの検出のための感受性を親MvlLu細胞と比較するために、以前に陽性であると試験された5個の凍結臨床標本を用いて、24ウェルプレートで培養された双方の細胞に接種した。36℃で40時間インキュベートした後、細胞を抗パラインフルエンザウイルス3抗体(Diagnostic Hybrids)で染色し、そして陽性の蛍光染色細胞を計数した。
(表6)パラインフルエンザウイルス3感染性の比較
Figure 2005523709
表6に示すように、パラインフルエンザウイルス3の迅速な検出に関して、トランスジェニックMvlLu-hF細胞は親MvlLu-hF細胞よりも約2〜3倍感受性が高かった。従って、トランスジェニックMvlLu-hF細胞は臨床標本からのパラインフルエンザウイルス3の検出に関して改善された感受性を提供する。
前記から、本発明がインフルエンザA型、インフルエンザB型、およびパラインフルエンザ3に関する感受性が増大されており、そして臨床標本からのインフルエンザおよびパラインフルエンザウイルスの迅速な検出に有用である細胞を提供することは明白である。加えて、本発明はワクチンおよび/または診断用組成物に含めるための高力価の感染性インフルエンザおよびパラインフルエンザウイルスの生成に有用である細胞を提供する。
前記の明細書にて記載した全ての出版物および特許は参照として本明細書に組み入れられる。本発明の記載した方法および系の種々の修飾および変更は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく当業者に明らかであろう。本発明を特定の好ましい態様と組み合わせて記載してきたが、特許請求する本発明をこのような特定の態様に過度に限定すべきでないことは理解すべきである。実際に、それが関連する当業者に明白である、本発明を実施するために記載した様式の種々の修飾は、以下の請求の範囲内であることが意図される。
(A)MvlLu細胞、および(B)トランスジェニックMvlLu-hF細胞の表面に発現されたヒトフリンの免疫蛍光染色を示す。 (A)インフルエンザA型で感染したMvlLu細胞、および(B)インフルエンザA型で感染したトランスジェニックMvlLu-hF細胞によるモルモット赤血球の血球吸着を表す。 (A)インフルエンザA型で感染したMvlLu細胞、および(B)インフルエンザA型で感染したトランスジェニックMvlLu-hF細胞によるインフルエンザA型の免疫蛍光染色を示す。 (A)ヒトフリンポリペプチド配列(配列番号2)(B)をコードするヌクレオチド配列(配列番号1;Gen Bankアクセッション番号X17094)を提供する。
【配列表】
Figure 2005523709
Figure 2005523709
Figure 2005523709
Figure 2005523709
Figure 2005523709
Figure 2005523709

Claims (18)

  1. MvlLu-hFと称されるトランスジェニック細胞系。
  2. (a)MvlLu細胞系と比較して、インフルエンザA型ウイルス、インフルエンザB型ウイルス、およびパラインフルエンザウイルス3からなる群より選択される少なくとも1つのウイルスに対する感受性の増大、並びに(b)MvlLu細胞系と比較して、インフルエンザA型ウイルス、インフルエンザB型ウイルス、およびパラインフルエンザウイルス3からなる群より選択される少なくとも1つのウイルスでの接種時におけるおける感染性ビリオンの生産性の増強、からなる群より選択される特性を有する、MvlLu-hFと称されるトランスジェニック細胞系から確立された細胞系。
  3. 細胞系がインフルエンザA型ウイルス、インフルエンザB型ウイルス、およびパラインフルエンザウイルス3からなる群より選択される少なくとも1つのウイルスに対するMvlLu-hFと称される細胞系の感受性を有している請求項2記載の細胞系。
  4. (a)MvlLuと比較して、インフルエンザA型ウイルス、インフルエンザB型ウイルス、およびパラインフルエンザウイルス3からなる群より選択される少なくとも1つのウイルスに対する感受性の増大、並びに(b)MvlLuと比較して、インフルエンザA型ウイルス、インフルエンザB型ウイルス、およびパラインフルエンザウイルス3からなる群より選択される少なくとも1つのウイルスでの接種時における感染性ビリオンの生産性の増強、からなる群より選択される特性を有する、ヒトフリンを発現するトランスジェニックミンク肺上皮細胞系。
  5. ヒトフリンは配列番号1の配列によりコードされる請求項4記載の細胞系。
  6. インフルエンザA型ウイルス、インフルエンザB型ウイルス、およびパラインフルエンザウイルス3からなる群より選択される少なくとも1つのウイルスに対するMvlLu-hFと称される細胞系の感受性を有する、請求項4記載のトランスジェニックミンク肺上皮細胞系。
  7. ヒトフリンを発現するトランスジェニックミンク肺上皮細胞を含む組成物であって、該細胞が(a)MvlLu細胞系と比較して、インフルエンザA型ウイルス、インフルエンザB型ウイルス、およびパラインフルエンザウイルス3からなる群より選択される少なくとも1つのウイルスに対する感受性の増大、並びに(b)MvlLu細胞系と比較して、インフルエンザA型ウイルス、インフルエンザB型ウイルス、およびパラインフルエンザウイルス3からなる群より選択される少なくとも1つのウイルスでの接種時における感染性ビリオンの生産性が増強、からなる群より選択される特性を有する、組成物。
  8. トランスジェニックミンク肺上皮細胞とは異なる第2細胞型をさらに含む組成物であって、該トランスジェニックミンク肺上皮細胞および該第2細胞型は混合細胞型培養物中にある、請求項7の組成物。
  9. MvlLu-hFと称されるトランスジェニック細胞系を含む組成物。
  10. MvlLu-hF細胞とは異なる第2細胞型をさらに含む組成物であって、該MvlLu-hF細胞および該第2細胞型は混合細胞型培養物中にある、請求項9の組成物。
  11. MvlLu-hFと称されるトランスジェニック細胞系から確立された細胞を含む組成物であって、該確立された細胞が(a)MvlLu細胞系と比較して、インフルエンザA型ウイルス、インフルエンザB型ウイルス、およびパラインフルエンザウイルス3からなる群より選択される少なくとも1つのウイルスに対する感受性の増大、並びに(b)MvlLu細胞系と比較して、インフルエンザA型ウイルス、インフルエンザB型ウイルス、およびパラインフルエンザウイルス3からなる群より選択される少なくとも1つのウイルスでの接種時における感染性ビリオンの生産性が増強、からなる群より選択される特性を有する、組成物。
  12. 確立された細胞とは異なる第2細胞型をさらに含む組成物であって、該確立された細胞および該第2細胞型は混合細胞型培養物中にある、請求項11の組成物。
  13. 以下を含む、試料中のインフルエンザA型ウイルス、インフルエンザB型ウイルス、およびパラインフルエンザウイルス3からなる群より選択されるウイルスの検出方法:
    a)i)該ウイルスの含有が疑われる試料;および
    ii)MvlLu-hFと称される細胞を含む組成物;
    を提供する段階;
    b)該細胞に該試料を接種して、接種細胞を生成する段階;並びに
    c)該ウイルスの存在に関して該接種細胞を観察する段階。
  14. MvlLu-hF細胞とは異なる第2細胞型をさらに含む方法であって、該MvlLu-hF細胞および該第2細胞型は混合細胞型培養物中にある、請求項13の方法。
  15. インフルエンザA型ウイルス反応性モノクローナル抗体、インフルエンザB型ウイルス反応性モノクローナル抗体、およびパラインフルエンザウイルス3反応性モノクローナル抗体からなる群より選択されるモノクローナル抗体を提供する段階をさらに含み、工程c)は該ウイルスを観察するために該モノクローナル抗体を使用することを含む、請求項13の方法。
  16. 以下を含む、試料中のインフルエンザA型ウイルス、インフルエンザB型ウイルス、およびパラインフルエンザウイルス3からなる群より選択されるウイルスを検出するためのキット:
    a)MvlLu-hFと称される細胞を含む組成物;および
    b)インフルエンザA型ウイルス反応性モノクローナル抗体、インフルエンザB型ウイルス反応性モノクローナル抗体、およびパラインフルエンザウイルス3反応性モノクローナル抗体からなる群より選択されるモノクローナル抗体。
  17. MvlLu-hF細胞とは異なる第2細胞型をさらに含み、該MvlLu-hF細胞および該第2細胞型は混合細胞型培養物中にある、請求項16のキット。
  18. 以下を含む、インフルエンザA型ウイルス、インフルエンザB型ウイルス、およびパラインフルエンザウイルス3からなる群より選択されるウイルスを生成する方法:
    a)i)ウイルスを含有する試料;および
    ii)MvlLu-hFと称される細胞を含む組成物;
    を提供する段階;並びに
    b)該細胞に該試料を接種して、接種細胞を生成し、ここで該接種細胞は該ウイルスを生成する段階。
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