JP2021136001A - 運転支援装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の対象物が存在する場合であっても円滑な走行を妨げることなく警告又は走行制御への介入動作を実行可能な運転支援装置を提供する。【解決手段】運転支援装置は、車両の走行状態の情報及び車両の周囲環境の情報に基づいて車両の危険状態を予測する危険予測部と、予測された危険状態に基づいて運転支援制御を実行する運転支援制御部と、乗員の生体情報を取得し、生体情報に基づいて乗員が危険を感じたことを検出するヒヤリハット検出部と、乗員が危険を感じたときの車両の走行状態の情報及び車両の周囲環境の情報を蓄積したヒヤリハット学習モデルを記憶するヒヤリハットデータ記憶部と、を備え、運転支援制御部は、予測された危険状態と併せて、乗員が危険を感じたときの車両の走行状態の情報及び車両の周囲環境の情報に基づいて、運転支援制御を実行する。【選択図】図1

Description

本発明は、運転支援装置に関する。
従来、交通事故が発生する原因として、危険な状態を発見する時期が遅れることと併せて、ドライバの判断の誤りの要素も大きいことが判明している。ドライバが適切な判断をできるか否かはドライバのスキルによるが、近年、ドライバのスキルにかかわらず車両を適切に走行させるために運転支援装置が実用化されている。例えば、特許文献1には、カメラやレーダ等を用いて検出した人物や他車両等の対象物と自車両の動きから互いの位置関係を評価し、衝突又は交錯を予測して、警告や走行制御への介入を行う運転支援装置が開示されている。かかる運転支援装置は、対象物の位置と予測進路とに基づき自車両と対象物との衝突危険性を判定し、衝突危険性が高い場合には衝突回避のための運転支援を行う。
特開2014−191597号公報
しかしながら、ある交通状況において複数の対象物が存在するときに、それぞれ個別の位置関係に基づいて予測される衝突又は交錯の確度が確定的になってから警告又は走行制御への介入を実行するのでは、円滑な走行が妨げられるおそれがある。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、複数の対象物が存在する場合であっても円滑な走行を妨げることなく警告又は走行制御への介入動作を実行可能な運転支援装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、車両の走行状態の情報及び車両の周囲環境の情報に基づいて車両の危険状態を予測する危険予測部と、予測された危険状態に基づいて運転支援制御を実行する運転支援制御部と、乗員の生体情報を取得し、生体情報に基づいて乗員が危険を感じたことを検出するヒヤリハット検出部と、乗員が危険を感じたときの車両の走行状態の情報及び車両の周囲環境の情報を蓄積したヒヤリハット学習モデルを記憶するヒヤリハットデータ記憶部と、を備え、運転支援制御部は、予測された危険状態と併せて、乗員が危険を感じたときの車両の走行状態の情報及び車両の周囲環境の情報に基づいて、運転支援制御を実行する運転支援装置が提供される。
また、運転支援制御を実行した際の車両のドライバの運転操作の傾向のデータを蓄積する運転傾向データ記憶部をさらに備え、運転支援制御部は、さらにドライバの運転操作の傾向のデータに基づいて運転支援制御を実行してもよい。
また、運転傾向データ記憶部は、ドライバの運転操作の傾向として、乗員が危険を感じた頻度、危険を感じたときの運転操作、危険を感じた時の危険度又はドライバの運転スキルのうちの少なくとも一つのデータを蓄積し、運転支援制御部は、当該データに基づいて運転支援制御の内容を設定してもよい。
また、運転支援制御部は、ドライバの運転操作の傾向のデータに基づいて運転支援制御の実行時期を設定してもよい。
また、運転支援制御部は、危険状態が予測された時からの経過時間に基づいて運転支援制御の内容を設定してもよい。
また、運転支援制御部は、ドライバの集中力又は覚醒度に基づいて運転支援制御の内容を設定してもよい。
以上説明したように本発明によれば、複数の対象物が存在する場合であっても円滑な走行を妨げることなく警告又は走行制御への介入動作を実行することができる。
本発明の実施の形態に係る運転支援装置の構成例を示すブロック図である。 交通状況予測部の具体的な機能構成を示すブロック図である。 運転支援制御部の具体的な機能構成を示すブロック図である。 車両の衝突事例を示す説明図である。 警告及び車両制御の設定例を示す説明図である。 警告及び車両制御の別の設定例を示す説明図である。 警告及び車両制御のさらに別の設定例を示す説明図である。 車両の別の衝突事例を示す説明図である。 車両の接触事例を示す説明図である。 同実施形態に係る運転支援装置の動作例を示すフローチャートである。 交通状況予測処理を示すフローチャートである。 運転支援制御処理を示すフローチャートである。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.運転支援装置の構成例>
まず、本発明の実施の形態に係る運転支援装置の構成例を説明する。図1は、本実施形態に係る運転支援装置10の構成例を示すブロック図である。
運転支援装置10は、車両に搭載され、車両の乗員、車両の走行状態及び操作状態、並びに車両の周囲環境の情報を検出するとともに、検出された各種情報を用いて車両の運転を支援する制御を実行するように構成されている。運転支援装置10は、乗員情報検出部41、周囲情報検出部43、車両情報検出部45、操作情報検出部47、電子制御装置50、警告装置31及び車両制御装置33を備えている。
(1−1.乗員情報検出部)
乗員情報検出部41は、ドライバや同乗者等の車両の乗員の情報を検出する。乗員情報検出部41は、乗員の感情や感性を推定するための情報を検出する一つ又は複数の検出機器からなる。電子制御装置50は、乗員情報検出部41で検出された情報を取得可能に構成される。
乗員情報検出部41は、例えば、撮像画像に基づいて乗員の心拍や体温等を検出するためのカメラや、乗員の心拍を検出するための電波式ドップラーセンサ、乗員の脈拍を検出するための非装着型の脈拍センサ、ドライバの心拍又は心電図を計測するためにステアリングホイールに埋設された電極、乗員が座席に着座している間の座圧分布を計測するために運転席のシートに埋設された圧力計測器、乗員の心拍又は呼吸を計測するためにシートベルトの位置の変化を検出する機器、乗員の位置(生体位置)の情報を検出するためのTOF(Time of Flight)センサ、又は、乗員の皮膚の表面温度を計測するためのサーモグラフィのうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。また、乗員情報検出部41は、乗員に装着されて乗員の生体情報を検出すウェアラブル機器等の装着型の検出器であってもよい。
(1−2.周囲情報検出部)
周囲情報検出部43は、車両の周囲環境の情報を検出する。周囲情報検出部43は、車両の周囲環境の情報として、車両の周囲に存在する人物や他車両、自転車、その他障害物等を検出する。電子制御装置50は、周囲情報検出部43で検出された情報を取得可能に構成される。周囲情報検出部43は、例えば、車両の周囲を撮像するカメラや、車両の周囲の物体を検出するレーダ、車両の周囲の物体までの距離や方位等を検出するRiDAR等の検出器のうちの少なくとも一つを含む。また、周囲情報検出部43は、車車間通信又は路車間通信等の車両の外部の装置から情報を取得する通信装置を含んでいてもよい。さらに、周囲情報検出部43は、路面摩擦に関連する情報を検出する検出器を含んでいてもよい。
(1−3.車両情報検出部)
車両情報検出部45は、車両の走行状態の情報を検出する。車両情報検出部45は、車速、加速度、ヨーレート等の車両の走行状態の情報を検出する。電子制御装置50は、車両情報検出部45で検出された情報を取得可能に構成される。車両情報検出部45は、例えば、車速センサ、加速度センサ、角速度センサのうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。
(1−4.操作情報検出部)
操作情報検出部47は、車両の運転操作状態の情報を検出する。操作情報検出部47は、アクセル操作量、ブレーキ操作量、ステアリング舵角等の車両の運転操作状態の情報を検出する。電子制御装置50は、操作情報検出部47で検出された情報を取得可能に構成される。操作情報検出部47は、例えば、アクセルポジションセンサ、ブレーキストロークセンサ、舵角センサのうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。
(1−5.警告装置)
警告装置31は、電子制御装置50により制御されて運転支援制御の一つとしての警告動作を行う。例えば、警告装置31は、警告表示を行う表示装置であってもよく、警告音又は警告音声を発するスピーカであってもよく、発光により警告する警告ランプであってもよい。表示装置は、例えば、ダッシュボードに備えられる表示パネルや、フロントウィンドウに投影するHUD(Head Up Display)であってもよく、また、インストルメントパネル内のメータ表示機器であってもよく、ナビゲーションシステムの表示装置であってもよく、種々の情報を提示するマルチファンクションディスプレイであってもよい。
(1−6.車両制御装置)
車両制御装置33は、電子制御装置50により制御されて運転支援制御の一つとしての自動運転制御を行う。車両制御装置33は、車両の走行制御を実行する一つ又は複数の制御装置を含む、例えば、車両制御装置33は、エンジンや、一つ又は複数の駆動用モータ及び変速機を含む動力伝達機構、ステアリングシステム、ブレーキシステム等の駆動を制御する制御装置を含む。車両制御装置33は、基本的に、ドライバの運転操作に基づいて、車両の走行制御を実行する。また、車両制御装置33は、電子制御装置50からの指令を受信して運転支援制御を実行する。
(1−7.電子制御装置)
電子制御装置50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等の演算処理装置や、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の記憶素子を備えて構成される。演算処理装置は、記憶素子に記憶されたプログラムを実行することにより種々の演算処理を実行する。記憶素子と併せて、あるいは、記憶素子に代えて、HDD(Hard Disk Drive)やCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、SSD(Solid State Drive)、USB(Universal Serial Bus)フラッシュ、ストレージ装置等の記憶媒体を備えていてもよい。なお、電子制御装置50の一部又は全部は、ファームウェア等の更新可能なもので構成されてもよく、また、CPU等からの指令によって実行されるプログラムモジュール等であってもよい。
電子制御装置50は、直接的に、又は、CAN(Controller Area Network)やLIN(Local Inter-Net)等の通信ラインを介して、乗員情報検出部41、周囲情報検出部43、車両情報検出部45、操作情報検出部47、警告装置31及び車両制御装置33と接続されている。
本実施形態において、電子制御装置50は、交通状況予測部70、ヒヤリハット検出部51、危険予測部55、衝突・交錯判定部57、運転傾向推定部59、運転支援制御部90、警告制御部61、車両制御部63及び運転評価部65を備える。これらの各部は、演算処理装置によるプログラムの実行により実現される機能である。
(1−7−1.交通状況予測部)
交通状況予測部70は、周囲情報検出部43、車両情報検出部45及び操作情報検出部47から送信される情報に基づいて、車両が置かれる交通状況を予測する。つまり、交通状況予測部70は、少なくとも自車両の走行状態及び操作状態と、自車両の周囲の交通環境及び交通参加者の状態とから、自車両が置かれる交通状況を予測する。
図2は、交通状況予測部70の具体的な機能構成を示すブロック図である。交通状況予測部70は、交通環境認識部71、交通参加者抽出部73、交通参加者挙動推定部75、自車両挙動予測部77及び交通状況理解・予測部81を備える。また、交通状況予測部70は、挙動学習モデル79を参照可能に構成される。
交通環境認識部71は、周囲情報検出部43から送信される情報に基づいて、車両の周囲の交通環境の情報を求める。具体的に、交通環境認識部71は、カメラによる撮像画像を画像処理したり、レーダやRiDAR等の検出データを用いた演算処理を行ったりすることで、自車両の周囲の交通信号機や交通標識、道路上の白線、建造物、ガードレール及び縁石等の障害物等を認識する。また、交通環境認識部71は、認識された対象物の大きさや対象物までの距離、対象物との相対速度等の情報を求めてもよい。さらに、交通環境認識部71は、交通信号機の色の情報を求めてもよい。
交通参加者抽出部73は、周囲情報検出部43から送信される情報に基づいて、車両の周囲の交通参加者を抽出する。具体的に、交通参加者抽出部73は、自車両の周囲の他車両、自転車及び歩行者等の交通参加者を抽出する。また、交通参加者抽出部73は、抽出された交通参加者までの距離や交通参加者との相対速度等の情報を求めてもよい。
交通参加者挙動推定部75は、交通参加者抽出部73により抽出された交通参加者の挙動を推定する。具体的に、交通参加者挙動推定部75は、交通参加者抽出部73により抽出された交通参加者の情報を挙動学習モデル79に入力し、挙動学習モデル79からの出力に基づいてそれぞれの交通参加者の現在以降の挙動を推定する。これにより、交通参加者がどのような動きをするのかが推定される。挙動学習モデル79は、例えば、さまざまな交通状況において他車両や自転車、歩行者等の交通参加者の挙動を学習した学習モデルであり、あらかじめ記憶素子あるいは記憶媒体に格納されている。この場合、記憶素子あるいは記憶媒体は、挙動データ記憶部としての機能を有する。かかる挙動学習モデル79は、交通状況予測部70が取得した情報を用いて逐次更新されてもよい。
自車両挙動予測部77は、車両情報検出部45及び操作情報検出部47から送信される情報に基づいて、自車両の挙動を予測する。具体的に、自車両挙動予測部77は、車両情報検出部45により検出される現在の車両の走行状態と、操作情報検出部47により検出される車両の運転操作状態とから、自車両の挙動を予測する。
交通状況理解・予測部81は、交通環境認識部71、交通参加者挙動推定部75及び自車両挙動予測部77によりそれぞれ求められた情報に基づいて、自車両が置かれている現在の交通状況を理解するとともに、現在以降に自車両が置かれる交通状況を予測する。具体的に、交通状況理解・予測部81は、自車両の周囲の交通環境に対して、交通参加者の挙動と、自車両の挙動とを加味して自車両の交通状況を理解及び予測する。このようにして、交通状況予測部70は、自車両が置かれる交通状況を予測する。
(1−7−2.衝突・交錯判定部)
衝突・交錯判定部57は、交通状況予測部70により予測された自車両の現在の交通状況の情報に基づいて、自車両と他の交通参加者との衝突あるいは交錯が発生するか否かを判定する。衝突・交錯判定部57は、現在の交通環境と、予測される交通参加者の挙動と、予測される自車両の挙動とに基づいて、交通参加者の行動予定の軌跡と自車両の行動予定の軌跡とが交錯するか否かを判定する、いわゆる物理的モデルに基づく衝突等の判定を行う。衝突・交錯判定部57による自車両と他の交通参加者との衝突等の判定は、主としてドライバ個々のスキルの要素を考慮しない判定結果となる。
(1−7−3.ヒヤリハット検出部)
ヒヤリハット検出部51は、乗員情報検出部41から送信される情報に基づいて、乗員が危険を感じた状態であるヒヤリハットを検出する。具体的に、ヒヤリハット検出部51は、乗員情報検出部41により検出される乗員の顔の表情や顔向き、視線、脈拍又は心拍、血圧、心電等の変化に基づいてヒヤリハットを検出する。
例えばヒヤリハット検出部51は、顔向き及び視線の情報に基づいて乗員が車外を目視していることを検出している状態で、脈拍又は心拍、血圧、心電等に急激な変化があった場合にヒヤリハットを検出する。これにより、車外の交通状況に対して乗員が危険を感じた状態である確度を高めることができる。さらにヒヤリハット検出部51は、顔向き及び視線の情報に基づいて乗員がよそ見をしていることを検出した後、よそ見をしている状態から、正しい視線の状態に復帰したことを検出したときに、脈拍又は心拍、血圧、心電等に急激な変化があった場合にヒヤリハットを検出してもよい。乗員が危険を感じたと判定する脈拍又は心拍、血圧、心電等の変化速度の閾値は、あらかじめ適切な値に設定され得る。脈拍又は心拍、血圧、心電等の変化速度に応じて、ヒヤリハットのレベルを分類してもよい。ただし、ヒヤリハットの検出方法は、上記の例に限られない。
ヒヤリハット検出部51は、交通状況予測部70により予測された自車両の現在の交通状況の情報を取得し、ヒヤリハットを検出したときの自車両の交通状況の情報を蓄積させ、ヒヤリハット学習モデル53を逐次学習させる。ヒヤリハット学習モデル53は、ヒヤリハットを検出したときの交通状況のデータ、つまり乗員が危険を感じた交通状況のデータを学習した学習モデルである。ヒヤリハット学習モデル53を構築する数理モデルとしては、例えば入力されるデータをタグ又は教師データに基づいて分類する分類器や、サポートベクタマシン、近傍法、ディープラーニング等のニューラルネットワーク又はベイジアンネットワーク等の公知のモデルを使用することができる。ヒヤリハット学習モデル53は、記憶素子あるいは記憶媒体に格納されている。この場合、記憶素子あるいは記憶媒体は、ヒヤリハットデータ記憶部としての機能を有する。
なお、「ヒヤリハット」とは、重大な災害や事故には至らないものの、重大な災害や事故に直結してもおかしくない一歩手前の事象を認知した状態をいう。ヒヤリハットを検出する対象の乗員はドライバに限られず、同乗者を含んでもよい。
(1−7−4.危険予測部)
危険予測部55は、データが蓄積され、学習されたヒヤリハット学習モデル53を用いて、交通状況予測部70により予測された交通状況に基づいて自車両の危険状態を予測する。つまり、危険予測部55は、車両の乗員が危険を感じた過去の交通状況の事例を学習したヒヤリハット学習モデル53を用いて、現在の交通状況において危険が迫っているか否かを予測する機能を有する。
具体的に、危険予測部55は、車両の運転状態の情報及び周囲環境の情報のデータをヒヤリハット学習モデル53に入力し、出力されるヒヤリハットの状態に基づいて、自車両の危険状態を予測する。危険予測部55は、ヒヤリハット学習モデル53からの出力が、過去にヒヤリハットを検出したことを示している場合、予測される交通状況が自車両にとって危険な状態であると予測する。ヒヤリハット学習モデル53が、ヒヤリハットのレベルのデータを学習している場合、ヒヤリハットのレベルに基づいて自車両にとっての危険レベルを予測してもよい。
入力データとする車両の運転状態の情報としては、車両の前後、左右及び上下それぞれの方向の加速度、ヨー角、ピッチ角及びロール角それぞれの角速度、車速、操舵角のデータを含むことが好ましい。さらに、車両の運転状態の情報として、エンジン回転数及び方向指示器出力等の情報を含んでもよい。また、入力データとする周囲環境の情報としては、自車両の走行車線、他車両や歩行者などの交通参加者に関する相対距離、相対速度及び進行方向、並びに走行中の道路の車線数及び信号機情報のデータを含むことが好ましい。さらに、周囲環境の情報として、天候及び路面状態等の情報を含んでいてもよい。
上述の衝突・交錯判定部57が、物理的モデルに基づいて衝突等の発生を判定するのに対して、危険予測部55は、車両の乗員が実際に危険を感じた過去の事例に基づいて、現在の交通状況から客観的に車両の危険状態を予測する。これにより、衝突・交錯判定部57において衝突等が発生すると判定される確定度が低い時点から、そのまま車両が走行すると衝突等が発生する可能性が高いことを認識することができるようになる。
(1−7−5.運転傾向推定部)
運転傾向推定部59は、交通状況予測部70により予測された自車両の現在の交通状況の情報に基づいて、現在の自車両が置かれている交通状況における、ドライバの運転傾向を推定する。具体的に、運転傾向推定部59は、蓄積された運転傾向データベース(DB)69を参照して、現在の交通状況において過去にドライバが危険を感じた頻度や、当該ドライバの運転支援制御への依存度等を推定する。運転傾向データベース69は、過去にドライバが危険を感じた状態が検出された交通状況と、そのときの危険度、また、運転支援制御を実行した場合の実際のドライバの運転操作の情報とを、ドライバ個々の情報として蓄積したデータベースであり、記憶素子あるいは記憶媒体に格納されている。この場合、記憶素子あるいは記憶媒体は、運転傾向データ記憶部としての機能を有する。運転傾向データベース69は、ドライバ個々の運転スキルの情報を含んでいてもよい。ドライバ個々の運転傾向を推定した結果を運転支援制御に用いることにより、ドライバの運転傾向に応じて運転支援制御の介入度合いを変えることができる。
(1−7−6.運転支援制御部)
運転支援制御部90は、乗員情報検出部41から送信される情報と、危険予測部55、衝突・交錯判定部57及び運転傾向推定部59により求められた情報とに基づいて、所定の運転支援制御を実行する。本実施形態において、運転支援制御部90は、警告制御部61及び車両制御部63の操作指令の情報を算出する。
図3は、運転支援制御部90の具体的な機能構成を示すブロック図である。運転支援制御部90は、危険度評価部91、危険度評価言語化処理部93及び警告/制御実行判定部95を備える。
危険度評価部91は、衝突・交錯判定部57による物理的モデルに基づく危険状態の予測結果と、危険予測部55によるヒヤリハット学習モデルに基づく危険状態の予測結果とに基づき、総合的に自車両の危険度を評価する。例えば、危険度評価部91は、衝突・交錯判定部57による危険状態の予測結果及び危険予測部55による危険状態の予測結果を危険状態の確定度を数値化し、いずれか大きい方の値を危険度としてもよい。あるいは、危険度評価部91は、衝突・交錯判定部57による危険状態の予測結果及び危険予測部55による危険状態の予測結果を危険状態の確定度を数値化し、合計値を危険度としてもよい。
危険度評価部91は、危険度を評価する際に、衝突・交錯判定部57による危険状態の予測結果及び危険予測部55による危険状態の予測結果をそれぞれ重み付けしてもよい。
また、危険度評価部91は、予測される危険状態に応じて危険度を重み付けしてもよい。
例えば、車両同士の衝突か否か、車両と歩行者又は自転車との衝突か否か、正面衝突か軽度の接触であるか、あるいは、自車両と衝突相手との相対速度等に応じて、危険度を重み付けしてもよい。
危険度評価言語化処理部93は、ドライバを含む乗員に対して警告を行うための言語化処理を行う。例えば、危険度評価言語化処理部93は、危険度の評価結果を踏まえ、どのような危険状態にあるのか、注意すべき対象は何であるか、どの方向に注意すべきか等の情報を言語化する。言語化された情報は、警告制御部61に送信され、音声による警告動作や、表示による警告動作に用いられる。
警告/制御実行判定部95は、危険度の評価結果に基づいて、警告制御部61及び車両制御部63の制御の実行の要否を判定する。本実施形態において、警告/制御実行判定部95は、車両1の衝突等の危険状態が予測された時からの経過時間に基づいて、警告又は車両制御の介入動作の設定内容を異ならせる。具体的には、車両1の衝突等が予測された初期段階では警告の実行のみが設定され、ドライバによる判断の遅れの進行度が大きくなるにつれて車両制御への介入度合いが大きくなるように制御の実行の要否が判定される。
また、本実施形態において、警告/制御実行判定部95は、ドライバの運転傾向に応じて警告又は車両制御の介入動作の設定内容を異ならせる。具体的には、ドライバの運転スキルが低いほど、あるいは、運転支援制御に対する依存度が高いほど、車両制御への介入度合いが大きくなるように制御の実行の要否が判定される。あるいは、ドライバの運転スキルが低いほど、あるいは、運転支援制御に対する依存度が高いほど、運転支援制御の実行時期が早くなるように実行の要否が判定される。
警告/制御実行判定部95は、危険度が比較的低い場合、あるいは、衝突による被害が小さいと推定されるような場合には、車両制御への介入を実行させずに警告制御のみを実行させるよう判定してもよい。一方、警告/制御実行判定部95は、危険度が高い場合、あるいは、衝突による被害が大きいと推定されるような場合には、警告制御と併せて車両制御への介入を実行させるよう判定してもよい。
(1−7−7.警告制御部)
警告制御部61は、警告/制御実行判定部95による判定結果に基づいて、警告装置31の制御信号を生成する。警告制御部61は、警告装置31による警告動作を実行させる場合、警告装置31に所定の警告動作を行わせるための制御信号を生成し、当該制御信号を警告装置31へ出力する。これにより、ドライバに対して車両1の危険状態を回避する運転操作を促すことができ、車両1の衝突等の危険状態を回避し、また、被害を軽減することができる。警告制御部61は、音声又はテキスト表示により警告動作を行わせる場合、危険度評価言語化処理部93により生成された言語化された情報を警告装置31へ出力する。これにより、警告装置31は、音声又はテキスト表示による警告動作をすることができる。
(1−7−8.車両制御部)
車両制御部63は、警告/制御実行判定部95による判定結果に基づいて、車両制御装置33の制御信号を生成する。車両制御部63は、車両の衝突等の危険状態が予測された場合に、車両の一部又は全部を自動運転化して危険状態を回避し、あるいは、被害を低減させる。例えば、車両制御部63は、車両を減速させたり、急ブレーキをかけたり、旋回させたりするための制御信号を生成し、当該制御信号を車両制御装置33へ出力する。これにより、車両1が衝突を回避する動きをすることになり、車両1の衝突等の危険状態を回避し、また、被害を軽減することができる。
(1−7−9.運転評価部)
運転評価部65は、運転支援制御を実行したときのドライバ個々の運転傾向を評価する。例えば、運転評価部65は、予測された車両1の危険状態及び危険度の情報と、交通状況の情報と、実際に行われた運転操作の情報とを運転傾向データベース69に蓄積する。
予測された車両1の危険状態及び危険度の情報が多いほど、ドライバの運転スキルが低い傾向にあることが推定される。運転傾向データベース69が、ドライバ個々の運転スキルの情報を含んでいてもよい。また、車両1の危険状態及び危険度の情報に対して、ドライバが早い段階で減速又は停止動作を行い、危険状態が回避されているほど、運転支援制御に対する依存度が高い傾向にあることが推定される。この他、運転評価部65は、運転支援制御の実行に伴い、ドライバの運転傾向を評価することができる種々の情報を運転傾向データベース69に蓄積させてもよい。
<2.運転支援装置の動作例>
ここまで、本実施形態に係る運転支援装置の構成例を説明した。次に、本実施形態に係る運転支援装置の動作例を、車両が自転車あるいは他車両に衝突する事例を用いて説明する。
図4は、交差点を右折する車両1が、対向車両Xの影から現れて右折先の横断歩道を渡る自転車3に衝突する事例を示す。図5は、判断の遅れの進行度とドライバの運転傾向とに基づいて運転支援装置10により実行される警告及び車両制御の設定例を示す。
車両A1,A2,A3は、それぞれ衝突までのある時刻における車両1の位置を示し、自転車B1,B2,B3は、それぞれ車両A1,A2,A3が示す位置に対応する時刻における自転車3の位置を示している。
まず、本実施形態に係る運転支援装置が車両1に搭載されていない場合、運転技能のレベルが高いドライバは、車両A1が示す位置で、対向車両Xの影から現れた自転車3に気付いた時点で、横断歩道上で自車両が自転車3に衝突することを予知できるため、車両1を停止させる。一方、運転技能のレベルが低いドライバは、車両A1が示す位置で自車両と自転車との衝突を予知することができずそのまま車両1の走行を継続させる。さらに、車両A2が示す位置においても車両1を停止させる判断が遅れた結果、車両A3が示す位置で自転車3と衝突する。
一方、車両1が本実施形態に係る運転支援装置10を搭載している場合、運転支援装置10の交通状況予測部70は、車両A1が示す位置において、横断歩道及び走行車線の位置、交通信号機の点灯状態、対向車両X及び自転車3を含む交通環境を認知し、このまま車両1の走行を継続すると車両A3の位置で自転車3と衝突することを予測する。このとき、運転支援装置10の運転支援制御部90は、ドライバの運転傾向としてのヒヤリハットの遭遇頻度に応じて異なる内容の運転支援を実行させるように設定する。図5に示した例では、ドライバの運転スキルが比較的高く、ヒヤリハットの遭遇頻度が低又は中である場合には特に運転支援動作が行われない。一方、ドライバの運転スキルが比較的低く、ヒヤリハットの遭遇頻度が高である場合には、音声による警告(サジェスチョン)が行われるように設定される。
また、車両1が停止することなく、車両A1が示す位置から車両A2が示す位置へと進行する間(A1→A2)、ドライバの運転スキルが比較的高く、ヒヤリハットの遭遇頻度が低又は中である場合には、音声による警告(サジェスチョン)が行われるように設定される。一方、ドライバの運転スキルが比較的低く、ヒヤリハットの遭遇頻度が高である場合には、車両1の駆動トルクを低下させるために車両制御への介入が行われるように設定される。
さらにその後も車両1が停止することなく、車両A2が示す位置から車両A3が示す位置へと進行する間(A2→A3)、ドライバの運転スキルが比較的高く、ヒヤリハットの遭遇頻度が低である場合には、警告音、警告ランプの点灯等による警告が行われるように設定される。また、ドライバの運転スキルが比較的高く、ヒヤリハットの遭遇頻度が中である場合には、車両1の駆動トルクを低下させるために車両制御への介入が行われるように設定される。さらに、ドライバの運転スキルが比較的低く、ヒヤリハットの遭遇頻度が高である場合には、車両1にブレーキ力を発生させて車両1を強制的に停止させるために車両制御への介入が行われるように設定される。
ドライバのヒヤリハットの遭遇頻度が低又は中の場合に、さらにその後も車両1が停止することなく、車両A3が示す位置へと進行すると、車両1にブレーキ力を発生させて車両1を強制的に停止させるために車両制御への介入が行われるように設定される。
このようにして、運転支援装置10を搭載した車両1は、車両A3が示す位置において自転車3と衝突する可能性があることを認知すると、車両A2が示す位置以降への遷移を車両1自身が回避しようとする動作を実行する。このため、ドライバが認知する前に車両1の衝突を予見して、車両1の衝突のおそれを低減することができる。特に、図5に示した設定例では、判断の遅れの進行度と合わせて、ドライバのヒヤリハットの遭遇頻度に応じて警告及び車両制御への介入の動作内容を設定する。したがって、過剰な警告又は車両制御への介入動作が実行されることが抑制され、円滑な走行を妨げることなく警告又は走行制御への介入動作を実行することができる。
警告又は車両制御への介入動作の内容を設定するために、判断の遅れの進行度と合わせて用いるドライバの運転傾向の情報は、ドライバのヒヤリハットの遭遇頻度に限られない。例えば、図6は、判断の遅れの進行度と合わせて、危険度評価部91による車両の危険度の評価と、乗員情報検出部41から送信される情報に基づいて検出されるドライバ自身が危険を感じたときの危険度の認識との相対評価の情報を用いて、警告又は車両制御の介入動作を設定する例を示している。かかる設定例では、ドライバが、危険度評価部91の評価内容と同等の危険度を認識しているか、危険度評価部91の評価内容よりも危険度に敏感であるか、あるいは、危険度評価部91の評価内容よりも危険度に鈍感であるかに応じて、警告又は車両制御の介入動作の設定内容を異ならせている。この場合のドライバの危険度の認識は、ドライバの運転スキルによるものに限らず、ドライバのその時点での運転への集中力又は覚醒度に依存する指標として現れる。
また、図7は、判断の遅れの進行度と合わせて、運転傾向データベース69に蓄積された情報に基づいて推定される警告又は車両制御の介入動作へのドライバの依存度の情報を用いて、警告又は車両制御の介入動作を設定する例を示している。かかる設定例では、警告又は車両制御の介入動作へのドライバの依存度のレベルを低、中、高に分けて、それぞれのレベルに応じて、警告又は車両制御の介入動作の設定内容を異ならせている。
これにより、過剰な警告又は車両制御への介入動作が実行されることが抑制され、円滑な走行を妨げることなく警告又は走行制御への介入動作を実行することができる。図5〜図7に示す設定例においては、いずれも、ドライバの運転操作の傾向に応じて、警告又は車両制御の介入動作の実行開始時期が異なっている。具体的には、ドライバのヒヤリハットの遭遇頻度が高いほど、車両の危険度評価よりもドライバの危険度認識が遅いほど、あるいは、運転支援制御へのドライバの依存度が高いほど、警告又は車両制御の介入動作の実行開始時期が早くなっている。なお、図5〜図7における警告又は車両制御の介入動作の設定内容は一例にすぎず、適宜設定することができる。また、図5〜図7に例示した設定例を複数組み合わせて、警告又は車両制御の介入動作の内容を設定してもよい。
図8は、幅員が狭い道路を走行する車両1が、自転車3を追い越す際に、接近してきた対向車両Xとの衝突を避けようとして自転車3に衝突する事例を示す。図4と同様に、車両A1,A2,A3は、それぞれ衝突までのある時刻における車両1の位置を示し、自転車B1,B2,B3は、それぞれ車両A1,A2,A3が示す位置に対応する時刻における自転車3の位置を示している。
まず、本実施形態に係る運転支援装置が車両1に搭載されていない場合、運転技能のレベルが高いドライバは、車両A1が示す位置で、対向車両Xが接近していることに気付いた時点で、自転車3を追い越す際に自車両1が対向車両Xに衝突することを予知できるため、車両1を減速させる。一方、運転技能のレベルが低いドライバは、車両A1が示す位置で自車両1と対向車両Xとの衝突を予知することができずそのまま車両1の走行を継続させる。さらに、車両A2が示す位置においても車両1を減速させる判断が遅れた結果、車両A3が示す位置で自転車3と衝突する。
一方、車両1が本実施形態に係る運転支援装置10を搭載している場合、運転支援装置10の交通状況予測部70は、車両A1が示す位置において、車両1の走行位置、対向車両X及び自転車3を含む交通環境を認知し、このまま車両1の走行を継続し自転車3を追い越そうとすると対向車両と衝突することを予測する。このとき、運転支援装置10の運転支援制御部90は、自車両1と対向車両X及び自転車3との衝突又は接触を回避するために、ドライバの運転傾向に応じて異なる内容の運転支援を実行させるように設定する。
図8に示す事例においても、図5〜図7に示す設定例を適用することができる。
図9は、三車線道路の中央の車線を走行する車両1が、左車線から急に車線変更してきた他車両Xを避けようとして右車線へ車線変更したときに、後方から自車両1を追い越そうとしていた二輪車5に接触する事例を示す。車両A1,A2,A3は、それぞれ接触までのある時刻における車両1の位置を示し、二輪車C1,C2,C3は、それぞれ車両A1,A2,A3が示す位置に対応する時刻における二輪車5の位置を示している。
まず、本実施形態に係る運転支援装置が車両1に搭載されていない場合、運転技能のレベルが高いドライバは、車両A1が示す位置で、左車線を走行する他車両Xの前方に大型車両Yが接近していることに気付いた時点で、他車両Xが中央車線へ車線変更することを予知できるため、車両1を減速させる。一方、運転技能のレベルが低いドライバは、他車両Xの車線変更を予知することができずそのまま車両1の走行を継続させる。さらに、車両A2が示す位置においても、後方から二輪車5が追い越し動作をしていることに気付くことが遅れた結果、車両A3が示す位置で二輪車5と接触する。
一方、車両1が本実施形態に係る運転支援装置10を搭載している場合、運転支援装置10の交通状況予測部70は、車両A1が示す位置において、車両1の走行位置、他車両X,Y及び二輪車5を含む交通環境を認知し、このまま車両1の走行を継続すると、左車線から車線変更してくる他車両Xと衝突することを予測する。このとき、運転支援装置10の運転支援制御部90は、自車両1と他車両X及び二輪車5との衝突又は接触を回避するために、ドライバの運転傾向に応じて異なる内容の運転支援を実行させるように設定する。図9に示す事例においても、図5〜図7に示す設定例を適用することができる。
<3.運転支援装置の制御処理>
次に、図10〜図12に示すフローチャートを参照して、本実施形態に係る運転支援装置により実行される制御処理を説明する。図10は、運転支援制御部90による制御処理の全体の流れを示すフローチャートである。図11は、交通状況予測部70による交通状況予測処理の流れを示すフローチャートであり、図12は、運転支援制御部90による運転支援制御処理の流れを示すフローチャートである。これらのフローチャートに示す制御処理は、車両1のシステムが起動している間常時実行されてもよく、運転支援制御の動作を開始させる入力があった後に実行されてもよい。
まず、交通状況予測部70は、車両1が置かれる交通状況を予測する(ステップS11)。例えば、図11に示すように、交通環境認識部71は、周囲情報検出部43から送信される情報に基づいて車両1の周囲環境の情報を求める(ステップS41)。次いで、交通参加者抽出部73は、周囲情報検出部43から送信される情報に基づいて、車両1の周囲に存在する他車両や歩行者、自転車等の交通参加者を抽出する(ステップS43)。次いで、交通参加者挙動推定部75は、抽出された交通参加者の情報を挙動学習モデル79に入力し、挙動学習モデル79からの出力に基づいてそれぞれの交通参加者の挙動を推定する(ステップS45)。次いで、自車両挙動予測部77は、車両情報検出部45により検出される車両1の走行状態の情報及び操作情報検出部47により検出される車両1の操作状態の情報に基づいて、自車両1の挙動を予測する(ステップS47)。次いで、交通状況理解・予測部81は、自車両1の周囲の交通環境に対して、交通参加者の挙動と、自車両の挙動とを加味して自車両の交通状況を理解及び予測する。このようにして、交通状況予測部70は、自車両1が置かれる交通状況を予測する。
次いで、ヒヤリハット検出部51は、車両1の乗員が危険を感じた状態であるヒヤリハットを検出する(ステップS13)。具体的に、ヒヤリハット検出部51は、乗員情報検出部41から送信される情報に基づいて車両1の乗員の感情や感性を推定するための情報を取得し、これらの情報に基づいてヒヤリハットを検出する。例えばヒヤリハット検出部51は、顔向き及び視線の情報に基づいて乗員が車外を目視していることを検出している状態で、脈拍又は心拍、血圧、心電等に急激な変化があった場合にヒヤリハットを検出する。さらにヒヤリハット検出部51は、顔向き及び視線の情報に基づいて乗員がよそ見をしていることを検出した後、よそ見をしている状態から、正しい視線の状態に復帰したことを検出したときに、脈拍又は心拍、血圧、心電等に急激な変化があった場合にヒヤリハットを検出してもよい。
次いで、ヒヤリハット検出部51は、ヒヤリハットが検出されたときの車両1が置かれていた交通状況のデータをヒヤリハット学習モデル53に入力し、ヒヤリハット学習モデル53を逐次学習(更新)させる(ステップS15)。ヒヤリハットを検出する対象の乗員はドライバに限られず、同乗者を含んでもよい。
次いで、衝突・交錯判定部57は、交通状況予測部70により予測された交通状況に基づいて、物理的モデルを用いて車両1の衝突又は交錯が発生するか否かを判定する(ステップS17)。具体的に、衝突・交錯判定部57は、現在の交通環境と、予測される交通参加者の挙動と、予測される自車両の挙動とに基づいて、交通参加者の行動予定の軌跡と自車両の行動予定の軌跡とが交錯するか否かを物理的モデルに基づいて判定する。
次いで、危険予測部55は、交通状況予測部70により予測された交通状況に基づいて、ヒヤリハット学習モデル53を用いて、車両1の危険度を予測する(ステップS19)。具体的に、危険予測部55は、車両の運転状態の情報及び周囲環境の情報のデータをヒヤリハット学習モデル53に入力し、出力されるヒヤリハットの状態に基づいて、自車両の危険状態を予測する。危険予測部55は、ヒヤリハット学習モデル53からの出力が、過去にヒヤリハットを検出したことを示している場合、予測される交通状況が自車両にとって危険な状態であると予測する。
車両の乗員が実際に危険を感じた過去の事例に基づいて、現在の交通状況から客観的に車両1の危険状態を予測する。これにより、衝突・交錯判定部57において物理的モデルを用いて判定される衝突等の発生の確定度が低い時点から、車両1の衝突等の発生を予測することができる。
次いで、運転傾向推定部59は、運転傾向データベース69を参照して、予測された交通状況におけるドライバの運転傾向を推定する(ステップS21)。具体的に、運転傾向推定部59は、運転傾向データベース69を参照して、現在の交通状況において過去にドライバ自身が危険を感じた頻度や、ドライバ自身の運転支援制御への依存度等を推定する。これにより、ドライバの運転スキルや、運転支援制御を実行した場合の有効性等が推定され、警告又は車両制御の介入動作の度合いを変更することができる。
次いで、運転支援制御部90は、予測された危険度に基づいて、運転支援制御を実行する(ステップS23)。本実施形態に係る運転支援装置10において、運転支援制御部90は、乗員情報検出部41から送信される情報と、危険予測部55、衝突・交錯判定部57及び運転傾向推定部59により求められた情報とに基づいて、警告制御又は車両制御の少なくとも一方の制御を実行する。例えば、図12に示すように、危険度評価部91は、衝突・交錯判定部57による物理的モデルに基づく危険状態の予測結果と、危険予測部55によるヒヤリハット学習モデルに基づく危険状態の予測結果とに基づき、総合的に自車両の危険度を評価する(ステップS51)。
次いで、警告/制御実行判定部95は、危険度の評価結果に基づいて、警告制御又は車両制御の実行の要否を判定する(ステップS53)。図5〜図7に例示したように、本実施形態に係る運転支援装置10において、警告/制御実行判定部95は、判断の遅れの進行度と、ドライバの運転傾向の情報とに基づいて、警告又は車両制御の介入動作の内容を設定する。具体的に、警告/制御実行判定部95は、判断の遅れの進行度が大きいほど、また、ドライバの運転スキルが低いほど、また、ドライバの運転支援制御に対する依存度が大きいほど、車両制御への介入度合いが大きくなるように警告又は車両制御の介入動作の内容を設定する。
また、警告装置31が、音声を発生させたり、テキスト表示をしたりするものである場合、危険度評価言語化処理部93は、乗員に対して警告を行うための言語化処理を行う(ステップS55)。これにより、警告制御部61又は車両制御部63は、設定された警告動作及び車両制御の介入動作に基づいて、警告装置31又は車両制御装置33の制御信号を生成する。したがって、ドライバに対して車両1の危険状態を回避する運転操作を促すことができ、あるいは、車両1を自動で減速あるいは停止させることができ、車両1の衝突等の危険状態を回避し、また、被害を軽減することができる。
次いで、運転評価部65は、種々の演算により予測された車両1の危険状態及び危険度の情報と、実際に行われた運転操作の情報とを運転傾向データベース69に蓄積し、運転傾向データベース69を更新する(ステップS25)。これにより、ドライバ個々の運転傾向を示す情報が蓄積され、運転傾向推定部59による運転傾向の推定精度が向上し、ドライバの運転スキルに応じて円滑な走行を妨げることなく運転支援制御を実行することができる。
以上説明したように、本実施形態に係る運転支援装置10によれば、予測される自車両1の挙動と自車両1の周囲の交通参加者の挙動とに基づき、物理的モデルに基づいて判定される車両1の衝突等の危険状態だけでなく、過去に車両の乗員が危険を感じた交通状況を学習したヒヤリハット学習モデル53に基づいて予測される車両1の衝突の危険状態に基づいて車両1の危険度が評価される。このため、物理的モデルでは確定度が低い状況であっても、交通環境の客観的なデータに基づく危険予測をすることができ、より早いタイミングで、警告又は車両制御の介入動作を開始させることができる。これにより、ドライバに回避動作を促すことができるとともに、危険状態を回避する動作を車両1に自律的に行わせることができる。
また、本実施形態に係る運転支援装置10によれば、車両1の衝突等が発生すると想定される時刻までの判断の遅れの進行度に応じて、警告又は車両制御の介入度合いが大きくされる。このため、過剰な警告又は車両制御への介入動作が実行されることが抑制され、円滑な走行を妨げることなく警告又は走行制御への介入動作を実行することができる。
また、本実施形態に係る運転支援装置10によれば、ドライバの判断の遅れの進行度だけでなく、ドライバの運転傾向に応じて、警告又は車両制御の介入度合いが変更される。
このため、ドライバ個々の運転スキルや、運転支援制御に対する依存度に応じて、警告又は車両制御の介入度合いが異なり、円滑な走行を妨げることなく警告又は走行制御への介入動作を実行することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態において、運転支援装置10のすべての構成要素が車両に搭載されている例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。運転支援装置10の一部の機能が車外の機器に備えられ、車載の電子制御装置と通信可能に構成されていてもよい。
例えば、挙動学習モデル、ヒヤリハット学習モデル及び運転傾向データベースのうちの少なくとも一つが車外の機器に格納され、移動体通信等の無線通信ネットワークを介して電子制御装置と車外の機器とが通信可能に構成されていてもよい。
10…運転支援装置、50…電子制御装置、51…ヒヤリハット検出部、63…ヒヤリハット学習モデル、55…危険予測部、57…衝突・交錯判定部、59…運転傾向推定部、61…警告制御部、63…車両制御部、65…運転評価部、69…運転傾向データベース、70…交通状況予測部、71…交通環境認識部、73…交通参加者抽出部、75…交通参加者挙動推定部、77…自車両挙動予測部、79…挙動学習モデル、81…交通状況理解・予測部、90…運転支援制御部、91…危険度評価部、93…危険度評価言語化処理部、95…警告/制御実行判定部

Claims (6)

  1. 車両の走行状態の情報及び前記車両の周囲環境の情報に基づいて前記車両の危険状態を予測する危険予測部と、
    前記予測された危険状態に基づいて運転支援制御を実行する運転支援制御部と、
    乗員の生体情報を取得し、前記生体情報に基づいて前記乗員が危険を感じたことを検出するヒヤリハット検出部と、
    前記乗員が前記危険を感じたときの前記車両の走行状態の情報及び前記車両の周囲環境の情報を蓄積したヒヤリハット学習モデルを記憶するヒヤリハットデータ記憶部と、を備え、
    前記運転支援制御部は、予測された前記危険状態と併せて、前記乗員が前記危険を感じたときの前記車両の走行状態の情報及び前記車両の周囲環境の情報に基づいて、前記運転支援制御を実行する、運転支援装置。
  2. 前記運転支援制御を実行した際の前記車両のドライバの運転操作の傾向のデータを蓄積する運転傾向データ記憶部をさらに備え、
    前記運転支援制御部は、さらに前記ドライバの運転操作の傾向のデータに基づいて前記運転支援制御を実行する、請求項1に記載の運転支援装置。
  3. 前記運転傾向データ記憶部は、前記ドライバの運転操作の傾向として、前記乗員が前記危険を感じた頻度、前記危険を感じたときの運転操作、前記危険を感じた時の危険度又は前記ドライバの運転スキルのうちの少なくとも一つのデータを蓄積し、
    前記運転支援制御部は、当該データに基づいて前記運転支援制御の内容を設定する、請求項2に記載の運転支援装置。
  4. 前記運転支援制御部は、前記ドライバの運転操作の傾向のデータに基づいて前記運転支援制御の実行時期を設定する、請求項2又は3に記載の運転支援装置。
  5. 前記運転支援制御部は、前記危険状態が予測された時からの経過時間に基づいて前記運転支援制御の内容を設定する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の運転支援装置。
  6. 前記運転支援制御部は、前記ドライバの集中力又は覚醒度に基づいて前記運転支援制御の内容を設定する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の運転支援装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023089823A1 (ja) * 2021-11-22 2023-05-25 本田技研工業株式会社 交通安全支援システム及び交通安全支援方法
WO2023210491A1 (ja) * 2022-04-28 2023-11-02 株式会社日立製作所 車両制御システム及び車両データ収集方法

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