以下、本発明に係る施設特典配布システムについて具体化した第1実施形態及び第2実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
[第1実施形態]
先ず、第1実施形態に係る施設特典配布システム1の概略構成について図1を用いて説明する。図1は第1実施形態に係る施設特典配布システム1を示した概略構成図である。
図1に示すように、第1実施形態に係る施設特典配布システム1は、広告情報提供センタ2が有する広告情報サーバ(施設特典配布装置)3と、広告やクーポン配布の対象となる特典対象施設4と、ユーザ5が所持する通信端末6と、を基本的に有する。また、広告情報サーバ3と通信端末6及び広告情報サーバ3と特典対象施設4は通信ネットワーク網7を介して互いに電子データを送受信可能に構成されている。尚、通信端末6としては例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ、車載器であるナビゲーション装置等がある。また、以下の説明ではユーザ5が車両に乗車している状態であることを前提とするが、車両以外の移動手段(例えば電車、自転車)に乗車している状態であっても良いし、徒歩で移動している状態であっても良い。
ここで、広告情報サーバ3は、全国各地の広告やクーポン配布の対象となる施設である特典対象施設4に関する広告情報を広告情報DB8に記憶する。更に、特典対象施設4から配布されるクーポンに関するクーポン情報を特典情報DB9に記憶する。そして、広告情報サーバ3は通信ネットワーク網7を介してDBに記憶された広告情報やクーポン情報を、通信端末6(ユーザ)に対して提供(配信)する。尚、広告情報サーバ3は広告対象施設毎に存在しても良いし、一のサーバが複数の広告対象施設に関する広告情報やクーポン情報を配信するようにしても良い。
また、特典対象施設4は、第1実施形態の施設特典配布システム1において広告やクーポン配布の対象となる施設である。但し、広告を行う対象の施設であることは必須の条件ではなく、少なくともクーポン配布の対象となる施設であれば良い。また、第1実施形態では特典対象施設4から配布対象となる特典がクーポン(例えば割引券、商品引換券)である場合を例に挙げて説明しているが、特典対象施設4から配布対象となるのはクーポン以外の特典であっても良い。例えば特典対象施設4で商品代金の一部として利用可能なポイントであっても良く、特典対象施設4に訪れたユーザにとって何らかの利益を享受することが可能となるもの(有形無形を問わない)であれば良い。また、特典対象施設4のジャンルや規模については限定されないが、第1実施形態では特に商品やサービスを顧客に対して有料で提供する施設とする。
また、特典対象施設4は、施設毎に自らの施設におけるユーザ5の過去の購買履歴を示す購買データをユーザ毎に管理して購買履歴DB10に記憶する。そして、特典対象施設4は、広告情報サーバ3からの要求に応じて購買履歴DB10に格納された購買データを、通信ネットワーク網7を介して広告情報サーバ3に対して提供(配信)する。
また、特典対象施設4は、自らの施設の新たな広告情報やクーポン情報を生成したり、広告情報やクーポン情報の更新を行う場合には、必要な情報を広告情報サーバ3に対して配信し、広告情報サーバ3が備える広告情報DB8や特典情報DB9を更新する。尚、購買履歴DB10は特典対象施設4でなく広告情報サーバ3が有するようにしても良い。その場合には、施設特典配布システム1において特典対象施設4は必ずしも必要でない。
一方、通信端末6は、ユーザ5が所持し、ナビ機能を備えた情報端末が用いられ、例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ、車載器であるナビゲーション装置等が該当する。通信端末6がスマートフォン等のアプリケーションを実行可能な端末である場合には、アプリケーションの一つとしてナビゲーションアプリがインストールされている。ここで、ナビゲーションアプリは、通信端末6においてナビ機能を実行するアプリケーションである。
ここで、ナビ機能は、目的地までの推奨経路を探索したり、サーバから取得したりメモリに格納された地図データに基づいてユーザ5の現在位置周辺や任意のエリアの地図画像を所定の縮尺で表示したり、表示された地図画像中においてユーザ5の現在位置を表示したり、設定された案内経路に沿った移動案内を行ったり、目的地への移動に応じて上述した広告情報やクーポンをユーザに提供する機能を有する。尚、上記ナビ機能の全てを通信端末6が備えている必要はなく、少なくとも広告情報やクーポンをユーザに提供する機能を有していれば本願発明を構成することが可能である。また、広告情報やクーポンをユーザに提供する機能はナビゲーションアプリ以外の専用のアプリケーションで実施される機能、即ちナビ機能とは別の機能としても良い。その場合にはナビゲーションアプリは不要である。
また、通信ネットワーク網7は全国各地に配置された多数の基地局と、各基地局を管理及び制御する通信会社とを含み、基地局及び通信会社を有線(光ファイバー、ISDN等)又は無線で互いに接続することにより構成されている。ここで、基地局は通信端末6との通信をするトランシーバー(送受信機)とアンテナを有する。そして、基地局は通信会社の間で無線通信を行う一方、通信ネットワーク網7の末端となり、基地局の電波が届く範囲(セル)にある通信端末6の通信を広告情報サーバ3との間で中継する役割を持つ。
そして、上記構成を有する施設特典配布システム1では、基本的な広告情報やクーポン提供の流れとして広告情報サーバ3は、ユーザ5に操作に基づいて通信端末6において目的地が設定されると、事前に目的地において配布可能なクーポンの内容とクーポンの配布条件をユーザに案内した後に、目的地への移動に伴って目的地に該当する特典対象施設4の広告情報を該ユーザ5の通信端末6へと配信する。そして、配信された広告情報は通信端末6において出力され、ユーザに提供される。提供される広告情報は、広告対象となる特典対象施設4が選択しても良いし、ユーザ5が選択しても良いし、ユーザ5の過去の購買履歴等のユーザ情報に基づいてユーザ毎に広告効果が高いと推測される広告情報を選択しても良い。一方で広告情報サーバ3はクーポンの配布条件としてユーザの移動開始地点(例えば自宅)から目的地までの距離が閾値(例えば20km)以上であることに加えて、予め特定の経路を設定しており、通信端末6から定期的に取得する位置情報(プローブ情報)に基づいてユーザが特定の経路を移動して目的地に該当する特典対象施設4へと到達したか否かを判定する。そして、ユーザの移動開始地点から目的地までの距離が閾値以上であって、且つユーザが特定の経路を移動して目的地に該当する特典対象施設4へと到達した場合には事前に案内した内容のクーポンを配布する。詳細については後述する。
続いて、施設特典配布システム1における広告情報サーバ3の構成について図2を用いてより詳細に説明する。広告情報サーバ3は、図2に示すようにサーバ制御ECU11と、サーバ制御ECU11に接続された情報記録手段としての広告情報DB8と、特典情報DB9と、ユーザ情報DB13と、地図情報DB14と、サーバ側通信装置15とを備える。
サーバ制御ECU11(エレクトロニック・コントロール・ユニット)は、広告情報サーバ3の全体の制御を行う電子制御ユニットであり、演算装置及び制御装置としてのCPU21、並びにCPU21が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるRAM22、制御用のプログラムのほか、後述の特典配布処理プログラム(図6、図7)等が記録されたROM23、ROM23から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ24等の内部記憶装置を備えている。尚、サーバ制御ECU11は、後述の通信端末6のECUとともに処理アルゴリズムとしての各種手段を有する。例えば、移動経路取得手段は、ユーザの目的地が特典の配布対象となる特典対象施設である場合に、ユーザが特典対象施設までの移動に用いた移動経路を取得する。特典配布手段は、移動経路が特典対象施設に対して指定された特典配布条件を満たした場合に、特典配布条件を満たしたユーザに対して特典対象施設で利用可能な特典を配布する。特典案内手段は、特典配布条件を満たす前のユーザに対して、特典配布条件を満たした場合に配布する特典の内容を事前に案内する。
また、広告情報DB8は、前述したように全国各地の広告やクーポン配布の対象となる施設である特典対象施設4に関する広告情報を格納した記憶手段である。広告情報としては、通信端末6において広告として出力される音声、画像、動画等のデータ(内容としては取り扱う商品の情報、イベントに関する情報、購入商品のサポートやアフターサービスの情報、施設の紹介等)に加えて、特典対象施設4(広告主)を特定する為の情報(地図上の広告対象施設の位置座標、ジャンル、ID等)についても含む。更に広告情報には、広告情報毎に該広告情報により広告の対象となっている商品又はサービスを特定する情報について付加されている。但し、商品に関する広告以外(例えばセールの情報、施設紹介等)の広告情報については商品やサービスを特定する情報については付加されない。
例えば図3は広告情報DB8に記憶される広告情報の一例を示した図である。図3に示す例では、特典対象施設4の一つである施設Aが提供する広告情報として、”2233”と”2234”と”2235”の3つの広告情報があり、”2233”は『商品A』の広告であり、”2234”は『商品B』の広告であり、”2235”は『商品C』の広告であることを示す。尚、通信端末6において広告を出力する形態としては様々な形態があるが、以下の実施例では広告として通信端末6において音声を出力する場合を例に挙げて説明する。
一方、特典情報DB9は、前述したように全国各地の広告やクーポン配布の対象となる施設である特典対象施設4において配布する対象となるクーポンに関するクーポン情報を格納した記憶手段である。クーポン情報としては、クーポンID、通信端末6において表示されるクーポンの画像、クーポンが配布される為の条件(以下、特典配布要件という)について含む。ここで、第1実施形態では特典配布条件は、(1)ユーザの移動開始地点(例えば自宅)から目的地までの距離が閾値(例えば20km)以上であること、並びに(2)特典対象施設4へとユーザが移動する際に移動した経路について、予め指定された特定の経路を含むことを条件とする。また、特典配布条件は基本的にクーポンの配布元となる特典対象施設4毎に設定(配布元となる特典対象施設4に対して指定)されるが、一の特典対象施設4が複数種類のクーポンを配布対象とする場合には、クーポン毎に異なる特典配布条件を設定することも可能である。即ち、特典配布条件は特典対象施設4に対して指定しても良いし、特典対象施設4において配布対象となるクーポンに対して指定しても良い。また、特典配布条件はクーポンの配布元となる特典対象施設4の意思を尊重して設定するのが望ましい。例えば特典対象施設4が来店する際に利用して欲しいと考える経路を特典配布条件とすることが可能である。
そして、ユーザの移動開始地点から目的地までの距離が閾値以上であって、且つユーザが特典配布条件として指定された特定の経路を含む移動経路で特典対象施設4へと到達した場合には対応するクーポンを配布する。配布されるクーポンは配布と利用のサイクルを短くするために配布された当日のみに利用可能とするのが望ましい。尚、クーポンとしては目的地までの距離や移動経路に関する特典配布条件を設定しないクーポンがあっても良い。その場合にはユーザが移動した距離や経路に関わらず特典対象施設4に到達すれば該当するクーポンが配布されることとなる。
例えば図4は特典情報DB9に記憶されるクーポン情報の一例を示した図である。図4に示す例では、特典対象施設4の一つである施設Aから配布対象となるクーポンとして、”12345”と”12356” と”12367”の3つのクーポンがある。各クーポンには、ユーザの移動開始地点から目的地までの距離が閾値以上であることの特典配布条件に加えて、更にクーポン”12345”は特典配布条件として『○○半島道路』を移動経路に含めて施設Aに到達したことを条件とする。尚、出発地(例えばユーザの自宅)から施設Aまでの移動経路の少なくとも一部に○○半島道路のいずれかの区間(どの区間は問わない)を含んでいれば良い。また、クーポン”12356”は特典配布条件として『××鉄道○○線』を移動経路に含めて施設Aに到達したことを条件とする。尚、出発地(例えばユーザの自宅)から施設Aまでの移動経路の少なくとも一部に××鉄道○○線のいずれかの区間(乗降駅は問わない)を含んでいれば良い。また、クーポン”12367”は特典配布条件が設定されておらず施設Aに到達した全てのユーザに対して配布される。また、クーポン”23456”は特典配布条件として『××湾岸道路』を移動経路に含めて施設Bに到達したことを条件とする。尚、出発地(例えばユーザの自宅)から施設Bまでの移動経路の少なくとも一部に××湾岸道路のいずれかの区間(どの区間は問わない)を含んでいれば良い。また、特典配布条件としては経路の名称や種類だけではなく区間を指定しても良い。例えば施設Cではクーポン”34567”の特典配布条件として『○○高速道路』の岡崎から豊田間を移動経路に含めて施設Cに到達したことを条件とする。また、道路名称ではなく“有料道路”や“高速道路”等のようにより広い概念(例えば道路種別)を特典配布条件としても良い。
ここで、特典配布条件として特に有料道路を指定すれば、ユーザが特典対象施設4に来店する為に必要となった有料道路の費用を負荷として把握することが可能であり、特典の配布によって特典対象施設に来店する為に必要な負荷が高いユーザに対して適切に特典を配布することが可能となる。また、特典配布条件として特にバスや鉄道などの公共交通機関を指定すれば、周辺道路の渋滞解消などの効果についても期待できる。
また、ユーザの移動開始地点から目的地までの距離が閾値以上とする特典配布条件については、閾値の値を全てのクーポンで共通の値に設定しても良いし、同じ特典対象施設4では同じ値に設定しても良いし、同じ特典対象施設4であってもクーポン毎に変更しても良い。
一方、ユーザ情報DB13は、ユーザ毎にユーザをプロファイルしたプロファイルデータを記憶する記憶手段である。ここで、プロファイルデータは、例えばユーザのウェブの閲覧履歴、行動履歴(移動履歴、スケジュール)等を通信端末6から収集し、ユーザをプロファイルしたデータである。更に、購買履歴DB10に格納されたユーザの購買履歴についても用いてプロファイルしても良い。具体的には、ユーザの『性別』、『年代』、『家族構成』、『職業』、『興味のある事項』等をプロファイルする。そして、ユーザ情報DB13に記憶されたプロファイルデータは、ユーザの購買データともにユーザに対して提供する広告情報を上述の広告情報DB8から選択するのに用いられる。尚、ユーザ情報DB13には、プロファイルしたデータではなく、ユーザに直接入力された個人情報を記憶するようにしても良い。
また、地図情報DB14は、地図情報が記憶される記憶手段である。地図情報は、道路網を始めとして経路探索、経路案内及び地図表示に必要な各種情報から構成されている。例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、各交差点に関する交差点データ、施設等の地点に関する地点データ、地図を表示するための地図表示データ、経路を探索するための探索データ、地点を検索するための検索データ等からなる。更に、地図情報DB14には鉄道、船舶、飛行機等の車以外の移動手段による移動経路(鉄道路線、航路)に関する情報や、バスの路線に関する情報等についても格納されている。但し、これらの情報は外部のサーバから取得するようにしても良い。
そして、サーバ制御ECU11は、通信端末6から定期的に受信する現在位置情報と上記地図情報に基づいて、ユーザが現在移動する経路を特定することが可能である。また、特定可能な経路は道路だけではなく、ユーザが鉄道で移動している場合には鉄道の路線についても特定することが可能となる。
また、サーバ制御ECU11は、通信端末6から経路探索要求を受信した場合には、上記地図情報DB14に格納された地図情報を用いて出発地から目的地までの経路探索を行うことも可能である。具体的には、通信端末6において目的地が設定された場合に、通信端末6から広告情報サーバ3へと出発地や目的地等の経路探索に必要な情報が経路探索要求とともに送信される。そして経路探索要求を受信した広告情報サーバ3は、広告情報サーバ3の有する地図情報を用いて経路探索を行い、出発地から目的地までの推奨経路を特定する。その後、特定された推奨経路を要求元の通信端末6へと送信する。そして、通信端末6は受信した推奨経路を案内経路に設定し、案内経路に従って移動案内を行う。それによって、経路探索時点において通信端末6が有する地図情報が古いバージョンの地図情報であったり、通信端末6が地図情報自体を有さない場合であっても、広告情報サーバ3が有する最新バージョンの地図情報に基づいて適切な案内経路を設定することが可能となる。
但し、通信端末6が地図情報を有する場合には上記ユーザの移動経路の特定処理や経路探索処理を広告情報サーバ3でなく通信端末6で行うことも可能である。また、上記ユーザの移動経路の特定処理や経路探索処理は広告情報サーバ3ではなく、地図情報を備える他のサーバで行うようにしても良い。その場合には広告情報サーバ3において地図情報DB14は必ずしも必要でない。
更に、通信端末6において目的地が設定されユーザの目的地への移動が開始されると、サーバ制御ECU11は、目的地に該当する特典対象施設4の広告情報について通信端末6へと配信する。そして、通信端末6では配信された広告情報を適宜出力し、ユーザに対する広告情報の提供を行う。また、サーバ制御ECU11は、目的地への移動開始前(移動開始後であっても良い)に、ユーザの移動開始地点(例えば自宅)から目的地までの距離が閾値(例えば20km)以上とする第1の特典配布条件を満たすか否かを判定するとともに、目的地に該当する特典対象施設4で配布可能なクーポンの内容を示すクーポンの画像と特典配布条件に関する情報を通信端末6へと配信する。そして、移動開始後は通信端末6から定期的に取得した位置情報に基づいてユーザが第2の特典配布条件となる特定の経路を移動経路に含めて目的地に該当する特典対象施設4へと到達したか否かを判定する。そして、ユーザが特定の経路を移動経路に含めて目的地に該当する特典対象施設4へと到達した場合には特典配布条件を満たしたクーポンを配布する。
一方、サーバ側通信装置15は情報の送受信対象となる通信端末6と通信ネットワーク網7を介して通信を行う為の通信装置である。また、通信端末6以外にインターネット網等に対する通信も可能である。
次に、ユーザ5が所有する通信端末6の概略構成について図5を用いて説明する。図5は第1実施形態に係る通信端末6の制御系を模式的に示すブロック図である。尚、以下では特に通信端末6がスマートフォンである場合を例に挙げて説明する。
図5に示すように通信端末6はデータバスBUSに、CPU31と、通信端末6を所持するユーザ5に関するユーザ情報(ユーザID等)やウェブの閲覧履歴やユーザの移動履歴等が記憶されたメモリ32と、通信ネットワーク網7の基地局との間で信号の送受信を行う送受信回路部(RF)33と、送受信回路部33において受信したRF(Radio Frequency)信号をベースバンド信号に変換するとともにベースバンド信号をRF信号に変換するベースバンド処理部34と、マイクロホン35及びスピーカ36等とのインターフェイスである入出力部37と、液晶表示パネル等で構成されたディスプレイ38と、タッチパネルやハードボタン等から構成される入力操作部39と、GPS40と、カメラ41とが接続されることにより構成されている。
ここで、通信端末6に内蔵されるCPU31は、メモリ32に格納されている動作プログラムに従って種々の動作を実行する通信端末6の制御手段であり、メモリ32とともに通信端末ECU42を構成する。また、通信端末ECU42の各種処理内容は必要に応じてディスプレイ38に表示される。
また、メモリ32は通信端末6を所持するユーザ5に関するユーザ情報(ユーザID等)、ユーザによるウェブの閲覧履歴、GPS40で検出されたユーザの移動履歴、スケジュール情報等が記憶された記憶媒体である。また、後述の特典配布処理プログラム(図6、図7)を含む各種アプリケーションプログラムについても記憶される。尚、メモリ32に記憶されたユーザによるウェブの閲覧履歴、ユーザの移動履歴、ユーザのスケジュール情報等については一定周期で広告情報サーバ3へと送信される。そして、広告情報サーバ3は送信された情報を用いてユーザのプロファイルを行う。また、メモリ32は、ハードディスク、メモリーカード等により構成しても良い。
また、スピーカ36は、通話の音声出力以外に、ナビ機能の実行時には通信端末ECU42からの指示に基づいて案内経路(ユーザの移動予定経路)に沿った走行を案内する音声ガイダンスを出力する。特に第1実施形態では後述のように広告情報サーバ3から取得した広告情報を出力する際にも用いられる。
また、ディスプレイ38は、筐体の一面に配設されており、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等が用いられる。そして、通信端末6にインストールされている各種アプリケーションを実行する為のトップ画面や、実行されたアプリケーションに係る画面(インターネット画面、メール画面、ナビ画面等)や、画像、動画等の各種情報が表示される。
また、入力操作部39は、ディスプレイ38の前面に設けられたタッチパネルや筐体に配置されたハードボタン等によって構成されている。そして、通信端末ECU42は、タッチパネルやハードボタンの押下等により出力される電気信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。また、第1実施形態では、ユーザの目的地を入力する際にも操作される。尚、入力操作部39は、番号/文字入力キー、表示された内容を選択するためのカーソルを動かすカーソルキー、選択を確定する決定キー等の各種キー等により構成することもできる。
また、GPS40は、人工衛星によって発生させられた電波を受信することにより、通信端末6(即ちユーザ5)の現在位置及び現在日時を検出可能とする。また、GPS40以外にも通信端末6の現在位置や方位を検出する為の他の装置(例えばジャイロセンサ等)を備える構成としても良い。
また、カメラ41は、例えばCCD等の固体撮像素子を用いたカメラにより構成される小型の撮像装置であり、通信端末6の背面側に内蔵される。そして、専用のアプリケーションプログラムが起動された状態で、ユーザが入力操作部39を操作することによって周辺を撮像することが可能となる。尚、カメラ41で撮像された撮像画像は、メモリ32に格納される。
続いて、前記構成を有する施設特典配布システム1において、広告情報サーバ3及び通信端末6が実行する特典配布処理プログラムについて図6及び図7に基づき説明する。図6及び図7は第1実施形態に係る特典配布処理プログラムのフローチャートである。ここで、特典配布処理プログラムは、通信端末6において広告情報やクーポンをユーザに提供する為の所定のアプリケーションプログラム(例えばナビゲーションアプリ或いは広告情報やクーポン提供のための専用のアプリ)が起動された後に実行され、ユーザの移動に伴ってユーザの目的地に該当する特典対象施設4の広告情報をユーザに提供するとともにユーザが所定の特典配布条件を満たした場合には特典としてクーポンを配布するプログラムである。但し、通信端末6が車載器のナビゲーション装置である場合には、車両のACC電源(accessory power supply)がONされた後に実行する。尚、以下の図6及び図7にフローチャートで示されるプログラムは、広告情報サーバ3や通信端末6が備えているRAMやROMに記憶されており、CPU21或いはCPU31により実行される。
先ず、図6及び図7に基づいて通信端末6のCPU31が実行する特典配布処理プログラムについて説明する。ステップ(以下、Sと略記する)1においてCPU31は、アプリケーションプログラムの起動画面を表示し、ユーザが有するユーザアカウントを用いたログイン処理を行う。ログイン処理では、ユーザに予め指定されたIDとパスワードを夫々入力させ、照合すればログイン状態へと移行する。尚、第1実施形態では特に広告情報やクーポン提供のための専用のアプリを通信端末6で起動した後に当該特典配布処理プログラムを実行することとする。
次に、S2においてCPU31は、目的地を入力する操作が行われたか否かを判定する。尚、目的地を入力する操作は、例えば登録地点の読出操作、施設の検索や選択操作に基づいて行われる。
そして、目的地を入力する操作が行われたと判定された場合(S2:YES)には、S3へと移行する。それに対して、目的地を入力する操作が行われていないと判定された場合(S2:NO)には、広告情報やクーポンの提供を行うことなく当該特典配布処理プログラムを終了する。
S3においてCPU31は、GPS40やその他の現在位置を検出する為のセンサ(例えば磁気センサ、ジャイロセンサ等)の検出結果を用いて特定された通信端末6の現在位置(即ち通信端末6を所持するユーザ5の現在位置)を取得する。尚、通信端末6の現在位置の検出には、上記センサ以外にWi−Fiやモバイルネットワークを用いても良い。
次に、S4においてCPU31は、ユーザによって入力された目的地を特定する目的地情報と前記S3で取得したユーザの現在位置(出発地に相当する)を特定する情報とを広告情報サーバ3へと送信する。ここで、前記S4で送信される情報(以下、出発地目的地情報という)には、出発地目的地情報の送信元の通信端末6を特定する端末IDと、現在ログイン状態にあるユーザアカウントを識別する情報(ユーザの識別情報であり、例えばユーザID)と、前記S2で入力された目的地を特定する情報(例えば座標、施設ID、施設名など)と、前記S3で取得されたユーザの現在位置を特定する情報(例えば座標)が含まれている。
その後、S5においてCPU31は、広告情報サーバ3から配信された距離判定結果を受信する。ここで、前記S5で受信する距離判定結果は、前記S4で送信した出発地目的地情報に基づいて広告情報サーバ3において行われた判定処理の結果を示す情報であり、具体的には後述のように特典配布条件の一つである“ユーザの現在位置(出発地)から目的地までの距離(以下、目的地距離という)が閾値以上か否か”を満たしたか否かを判定(S23)した判定処理の結果を示す情報となる。また、目的地距離が閾値以上であること(即ちユーザが目的地に該当する特典対象施設4へと来店する為に必要な負荷(コスト)が高いこと)は、ユーザに対してクーポンを配布する為の特典配布条件の一つであり、図4に示すように特典対象施設4毎或いはクーポン毎に設定される。但し、全ての特典対象施設4及びクーポンで同じ閾値(例えば20km)としても良い。以下の説明では特典対象施設4毎に同じ閾値が設定される場合を例に挙げて説明する。また、基本的に目的地距離は直線距離とするが、道路に沿った道なり距離、或いは広告情報サーバ3がユーザの現在位置から目的地までの推奨経路を探索し、探索された推奨経路の距離としても良い。
続いて、S6においてCPU31は、前記S5において受信した距離判定結果をディスプレイ38に対して表示する。距離判定結果を表示する際には、先ずディスプレイ38に対して目的地に該当する特典対象施設4には特典配布条件として目的地距離が閾値以上とする条件が設定されていることを表示する。それによって、移動開始前のユーザに対して目的地距離に関する特典配布条件を事前に案内する。そして、上記距離判定結果において目的地距離が閾値以上と判定された場合には、図8に示すように目的地距離が閾値以上であり、クーポン配布の条件を満たしていることをユーザに案内する。一方で、上記距離判定結果において目的地距離が閾値未満と判定された場合には、目的地距離が閾値未満であり、クーポン配布の条件を満たしていないことをユーザに案内する。
その後、S7においてCPU31は、前記S5において受信した距離判定結果に基づいて目的地距離が閾値以上か否か、即ち目的地に該当する特典対象施設4において設定された目的地距離に関する特典配布条件を満たしたか否かを判定する。そして、目的地距離が閾値以上と判定された場合(S7:YES)には、S8へと移行する。それに対して、目的地距離が閾値未満と判定された場合(S7:NO)には、広告情報やクーポンの提供を行うことなく当該特典配布処理プログラムを終了する。但し、目的地距離が閾値未満の場合であっても広告情報の提供(S12〜S14)のみは行うようにしても良い。
S8においてCPU31は、ユーザの操作に基づいてユーザが配信される広告情報の希望条件(以下、広告配信条件という)を設定する。ここで、広告配信条件としては、例えば図9に示すようにディスプレイ38に複数の候補(例えば、子供向け、ファミリー向け、カップル向け)を表示し、表示した候補の内からユーザに希望する広告配信条件を選択させる。尚、広告配信条件としては例えばどのような客層を対象とした広告情報とするかを選択させても良いし、どのような商品を対象とした広告情報とするかを選択させても良い。
次に、S9においてCPU31は、前記S8で設定された広告配信条件を広告情報サーバ3へと送信する。そして、後述のように広告配信条件を受信した広告情報サーバ3では、目的地に該当する特典対象施設4に関する広告情報の内から通信端末6へと配信する広告情報を選択し、更に選択した広告情報を出力するタイミングを設定した出力タイミング情報を生成する(S26、S27)。
続いて、S10においてCPU31は、広告情報サーバ3から配信されたクーポン情報を受信する。ここで、前記S10で受信するクーポン情報は、特典配布条件は問わずに目的地に該当する特典対象施設4において配布対象となっている全てのクーポンに関するクーポン情報とする。尚、全国各地の特典対象施設4において配布対象となっているクーポンに関するクーポン情報は特典情報DB9(図4)に格納されている。また、クーポン情報は、クーポンID、通信端末6において表示されるクーポンの画像、クーポンが配布される為の特典配布要件を含む。
次に、S11においてCPU31は、前記S10で受信したクーポン情報に基づいて、目的地に該当する特典対象施設4において配布対象(配布はされていない)となっている全てのクーポンの一覧画像をディスプレイ38に表示する。但し、S11の時点ではユーザは目的地に該当する特典対象施設4において配布対象となっているクーポンの内容を確認できるのみであってクーポンを利用することはできない(クーポンに関する情報が提供されるのみであって配布はされていない)。クーポンを利用可能となるのは後述のように目的地に到着し、且つ特典配布条件を満たしたと判定された後である。
図10は前記S11においてディスプレイ38に表示されるクーポン表示画面55を示した図である。図10に示すようにクーポン表示画面55には、目的地に該当する特典対象施設4において配布対象となっているクーポンの画像であるクーポン画像56を表示する。クーポン画像56は、特典対象施設4において配布対象となっているクーポンの数だけ表示され、ユーザは画面を上下にスクロールさせることによってユーザが目的地の到着時に獲得可能なクーポンの一覧を事前に把握することが可能となる。また、クーポン画像56には、クーポンの内容(クーポンを利用することによって享受できる利益)やクーポンの利用条件等が記載されている。更に、クーポン画像56には詳細ボタン57が更に表示されており、ユーザが詳細ボタン57を選択すると該当するクーポンのさらに詳細な内容を表示した詳細画面58がディスプレイ38に表示される。
図10に示すように詳細画面58には、より詳細なクーポンの内容(クーポンを利用することによって享受できる利益)やクーポンの利用条件に加えて、特典配布条件が記載される。ここで、“特典配布条件”はクーポンが配布される為の条件であり、特に第1実施形態ではユーザの移動情報である特典対象施設4へとユーザが移動する際に移動した経路について、予め指定された特定の経路を含むことを条件とする。例えば図10に示す例では特典配布条件として『○○半島道路』を移動経路に含めて特典対象施設4へ到達することを条件とする。尚、特典配布条件は図4に示すようにクーポン毎に予め設定されており(図4)、前記S10においてクーポンの画像とともに広告情報サーバ3から取得する。但し、特典配布条件が設定されていないクーポンもあり、そのようなクーポンについては詳細画面58において特典配布条件が存在しないことが記載され、特典対象施設4に到達した全てのユーザに対して配布されることとなる。そして、ユーザは詳細画面58を参照することによって、ユーザが目的地の到着時に獲得可能なクーポンの具体的な内容と、どのような条件を満たせばクーポンを獲得できるかを、特典配布条件を満たす前且つ目的地に到着する前において事前に把握することが可能となる。その結果、クーポンの獲得を希望するユーザに対して、特典配布条件に規定された経路を走行するように誘導する効果も生じる。尚、詳細画面58にはユーザが既に条件を満たしている目的地距離に関する特典配布条件は基本的には記載されないが、記載するようにしても良い。
その後、S12においてCPU31は、広告情報サーバ3から配信された広告情報を受信する。ここで、前記S12で受信する広告情報は、広告情報サーバ3が有する広告情報DB8から前記S8で設定された広告配信条件に基づいて抽出された広告情報であり、広告情報サーバ3によって出力タイミングを満たしたと判定された広告情報である。また、出力タイミングを満たしたか否かの判定は、広告情報サーバ3で生成された後述の出力タイミング情報と、通信端末6から定期的に広告情報サーバ3へと配信される通信端末6の現在位置情報に基づいて判定される。尚、出力タイミングを満たしたか否かの判定は広告情報サーバ3ではなく通信端末6で行っても良い。その場合には、広告情報サーバ3で生成された出力タイミング情報を通信端末6が予め取得するようにする。
続いてS13においてCPU31は、スピーカ36を用いて広告情報サーバ3から配信された広告情報を出力する。例えば、図11に示す例ではクーポン表示画面55が表示されている状態での広告情報の出力例を示す。図11に示すようにディスプレイ38においてクーポン表示画面55が表示されている状態で、提供タイミングになるとスピーカ36から広告情報の音声が出力される。尚、広告情報としては音声以外に動画や静止画をディスプレイ38に表示することにより行うことも可能であるが、車両の走行中においてはできる限り運転操作を妨げない態様で出力するのが望ましい。尚、広告情報が出力されていない間においては、例えば音楽等をスピーカ36から出力するようにしても良い。
尚、前記S2でユーザが目的地の入力操作を行った場合において、特にユーザが目的地までの移動案内を希望する場合には、広告情報サーバ3が有する地図情報を用いて探索した出発地から目的地までの推奨経路(以下、センタールートという)を特定する情報(例えばセンタールートに含まれるリンク列)について広告情報サーバ3から受信するようにする。そして、目的地までの移動中においてナビ機能を実行して図12に示すような移動案内画面60を表示し、センタールートに基づいて設定された案内経路に沿った移動案内が行われる。例えば、図12に示す例ではナビ機能によりユーザの移動案内が行われている状態での広告情報の出力例を示す。図12に示すようにディスプレイ38において移動案内画面60が表示されている状態で、提供タイミングになるとスピーカ36から広告情報の音声が出力される。尚、広告情報としては音声以外に動画や静止画をディスプレイ38に表示することにより行うことも可能であるが、移動案内中においてはできる限り移動案内を妨げない態様で出力するのが望ましい。
その後、S14においてCPU31は、ユーザが目的地までの移動を終了したか否か、即ちユーザが目的地に到着したか否かを判定する。具体的には、通信端末6の現在位置が目的地から所定距離以内(例えば50m以内)となった場合に目的地に到達したと判定する。但し、例外的に目的地への到着前に目的地を変更した場合についてはS3へと戻る。
そして、ユーザが目的地までの移動を終了した、即ちユーザが目的地に到着したと判定された場合(S14:YES)には、S15へと移行する。それに対して、ユーザが目的地までの移動を継続している、即ちユーザが目的地に到着していないと判定された場合(S14:NO)にはS12へと戻り、継続して広告情報の提供を行う。
S15においてCPU31は、広告情報サーバ3から配信されたクーポン情報を受信する。ここで、前記S15で受信するクーポン情報は、ユーザが到達した目的地に該当する特典対象施設4において配布対象となっているクーポンの内、特にユーザが特典配布条件を満たすことによってユーザに配布されたクーポンのクーポン情報とする。尚、ユーザがクーポンの特典配布条件を満たしたか否かについては、通信端末6から定期的に取得する位置情報に基づいて広告情報サーバ3が判定する。また、クーポン情報は、クーポンID、通信端末6において表示されるクーポンの画像、クーポンの特典配布要件を含む。
次に、S16においてCPU31は、前記S15で受信したクーポン情報に基づいて、特典配布条件を満たしてユーザが獲得した(即ち配布されて利用可能となった)全てのクーポンの一覧画像をディスプレイ38に表示する。以後、表示されたクーポンの画像を用いてユーザは特典配布条件を満たしたクーポンを使用可能な状態となる(クーポンが配布された状態となる)。図13は前記S16においてディスプレイ38に表示される獲得クーポン表示画面65を示した図である。
図13に示すように獲得クーポン表示画面65には、ユーザが到着した目的地に該当する特典対象施設4において配布対象となっているクーポンの内、特にユーザが特典配布条件を満たして獲得したクーポンの画像であるクーポン画像66を表示する。クーポン画像66は、ユーザが獲得したクーポンの数だけ表示され、ユーザは画面を上下にスクロールさせることによってユーザが獲得したクーポンの一覧を把握することが可能となる。また、クーポン画像66には、クーポンの内容(クーポンを利用することによって享受できる利益)やクーポンの利用条件等が記載されている。更に、クーポン画像66には詳細ボタン67が更に表示されており、ユーザが詳細ボタン67を選択すると該当するクーポンのさらに詳細な内容を表示した詳細画面68がディスプレイ38に表示される。そして、ユーザは詳細画面58を参照することによって、ユーザが獲得して目的地で利用可能なクーポンの具体的な内容を把握することが可能となる。
尚、ディスプレイ38にクーポン表示画面55が表示されている場合であって獲得クーポン表示画面65へと移行する際には、一旦クーポン表示画面55を消去した後に新たに獲得クーポン表示画面65を表示しても良いし、クーポン表示画面55の内ユーザが獲得できなかったクーポン画像を消去或いはグレースケール表示することによって獲得クーポン表示画面65へと移行するようにしても良い。また、第1実施形態においてユーザが獲得可能なクーポンは、基本的に配布された当日のみに目的地で利用可能なクーポンとする。但し、配布された当日以外にも利用可能なクーポンとしても良い。
次に、広告情報サーバ3のCPU21が実行する特典配布処理プログラムについて説明する。尚、以下のS21〜S24及びS25〜S29の各処理は、通信端末6からの対応する情報を受信したタイミングで開始される。従って、各ステップの実施順序は必ずしもステップ番号の小さい順に実施されるとは限らない。
先ず、S21においてCPU21は、通信端末6から送信される目的地とユーザの現在位置(出発地に相当する)を特定する出発地目的地情報を受信する。尚、出発地目的地情報には、出発地目的地情報の送信元の通信端末6を特定する端末IDと、現在ログイン状態にあるユーザアカウントを識別する情報(ユーザの識別情報であり、例えばユーザID)と、前記S2で入力された目的地を特定する情報(例えば座標、施設ID、施設名など)と、前記S3で取得されたユーザの現在位置を特定する情報(例えば座標)とが含まれている。
次に、S22においてCPU21は、前記S21で受信した出発地目的地情報と地図情報に基づいて、ユーザの現在位置(出発地)から目的地までの距離である目的地距離を算出する。尚、基本的に目的地距離は直線距離とするが、道路に沿った道なり距離としても良い。或いはユーザの現在位置から目的地までの推奨経路を探索し、探索された推奨経路の距離としても良い。
続いて、S23においてCPU21は、前記S22で算出されたユーザの現在位置(出発地)から目的地までの目的地距離が閾値以上か否かを判定する。ここで、目的地距離が閾値以上であること(即ちユーザが目的地に該当する特典対象施設4へと来店する為に必要な負荷(コスト)が高いこと)は、ユーザに対してクーポンを配布する為の特典配布条件の一つであり、図4に示すように特典対象施設4毎或いはクーポン毎に設定される。従って、CPU21はユーザが設定した目的地に該当する特典対象施設4において設定された閾値を特典情報DB9から読み出し、前記S23の判定処理を行う。
その後、S24においてCPU31は、前記S23における目的地距離の距離判定結果を出発地目的地情報の送信元の通信端末6へと送信する。距離判定結果を受信した通信端末6では、受信した距離判定結果(即ち目的地に該当する特典対象施設4において設定された目的地距離に関する特典配布条件を満たしたか否か)が案内される(S6)。
次に、S25においてCPU21は、通信端末6から送信される広告配信条件を受信する。尚、広告配信条件はユーザの操作に基づいて設定され、ユーザが配信を希望する広告情報の条件を示す。
続いて、S26においてCPU21は、前記S21で受信した出発地目的地情報と前記S25で受信した広告配信条件に基づいて、目的地までユーザが移動する際において出力対象となる広告情報を選択する。以下に、前記S26の広告情報の選択方法について詳細に説明する。
基本的にCPU21は、広告情報DB8に格納された広告情報の内、目的地に該当する施設に関する広告情報を選択する。但し、目的地に該当する施設に関する全ての広告情報をユーザに提供する対象となる広告情報として選択する必要は無く、特に目的地に該当する施設に関する広告情報が多い場合には、例えば前記S25で受信した広告配信条件、ユーザ情報(性別、年代、家族構成、職業、興味のある事項等)、ユーザの購買履歴等に基づいて、ユーザにとって広告効果が高いと推定される広告情報を所定数上限(例えば最大5つ)として選択するのが望ましい。
具体的には、前記S25で受信した広告配信条件に該当する広告情報がある場合には、広告配信条件に該当する広告情報を優先的に選択する。また、広告配信条件に該当する広告情報が存在しない場合、或いは数が少ない場合には例えば購買履歴DB10を参照し、目的地に該当する施設のユーザの購買履歴がある場合には、ユーザの購買履歴に基づいて“ユーザが過去に購入した商品”を特定する。また、ユーザの購買履歴に加えてユーザのプロファイルデータ等についても参照して“ユーザが過去に購入した商品”ではなく“これからユーザが購入しようと考えている商品”を推定するようにしても良い。プロファイルデータは、ユーザのウェブの閲覧履歴、行動履歴(移動履歴、スケジュール)等を通信端末6から収集することによって、ユーザの“性別”、“年代”、“家族構成”、“職業”、“興味のある事項”等を特定したデータである。そして、特定された“ユーザが過去に購入した商品”又は“これからユーザが購入しようと考えている商品”を基準にクロスセル、アップセル、ダウンセルを用い、ユーザにとって広告効果が高いと推定される広告情報を選択する。
但し、前記S26における提供対象となる広告情報の選択は、広告主である目的地に該当する施設の希望を尊重して選択しても良い。例えば、広告主である目的地に該当する施設の希望を尊重して選択する場合には、予め広告情報DB8に格納される広告情報に対して広告主が優先順位を設定する。そして、S26では優先順位の高い順に所定数(例えば5つ)の広告情報を選択する。
続いて、S27においてCPU21は、広告情報の“出力タイミング情報”を生成する。“出力タイミング情報”は、目的地までユーザが移動する際において出力対象となる広告情報の内容と広告情報を出力するタイミングを示す情報である。“出力タイミング情報”としては目的地までの経路を設定して、経路に対して広告情報を出力するタイミングを設定しても良いし、経路は設定せずに出発地からの走行距離或いは目的地までの残距離に対して出力するタイミングを設定しても良い。或いは時刻に対して出力するタイミングを設定しても良い。
以下に、一例として目的地までの経路に対して広告情報を出力するタイミングを設定した“出力タイミング情報”について説明する。図14に示すように“出力タイミング情報”は、目的地までの経路(例えばセンタールート)71に対して設定された広告情報を出力する区間(以下、広告出力対象区間という)と出力対象となる広告情報を特定する情報である。図14に示す例では区間72〜74の3つの区間が広告出力対象区間となる。尚、広告出力対象区間は例えば広告出力対象区間に含まれるリンクIDや広告出力対象区間の始点や終点の座標によって特定される。また、広告出力対象区間には該区間で出力対象となる広告情報が紐づけられている。例えば、図14に示す例では、区間72をユーザが移動する際に『広告情報A』を出力し、区間73をユーザが移動する際に『広告情報B』を出力し、区間74をユーザが移動する際に『広告情報C』を出力することが設定されている。尚、どの区画に対してどの広告情報を紐づけるかについてはランダムで決定しても良いし、ユーザの個人情報や広告情報の内容を考慮して決定しても良い。但し、広告を行うタイミングが集中しないように経路全体にある程度分散させて広告情報の出力タイミングを設定するのが望ましい。
また、広告情報の出力タイミングを設定する場合には、ユーザの運転操作の負荷を考慮しても良い。例えば、運転操作の負荷が小さい区間(道なりに走行する区間等)において広告情報を優先的に出力するようにする。
続いて、S28においてCPU21は、前記S21で受信した出発地目的地情報に基づいて、通信端末6に配布対象となるクーポンを選択する。具体的には特典配布条件は問わずに目的地に該当する特典対象施設4において配布対象となっている全てのクーポンを選択する。
その後、S29においてCPU21は、前記S28で選択されたクーポンに関するクーポン情報を特典情報DB9(図4)から抽出し、出発地目的地情報の送信元の通信端末6へと配信する(クーポンに関する情報が提供されるのみであって配布はされていない)。クーポン情報は、クーポンID、通信端末6において表示されるクーポンの画像、クーポンが配布される為の特典配布要件を含む。そして、クーポン情報を受信した通信端末6では、受信したクーポン情報に基づいて、目的地に該当する特典対象施設4において配布対象となっている全てのクーポンの一覧画像をディスプレイ38に表示する(S11)。但し、S29の時点ではユーザは目的地に該当する特典対象施設4において配布対象となっているクーポンの内容を確認できるのみであってクーポンを利用することはできない。クーポンを利用可能となるのは後述のように目的地に到着し、且つ特典配布条件を満たしたと判定された後である。
続いて、S30においてCPU21は、出発地目的地情報の送信元の通信端末6から定期的に取得するユーザの現在位置と前記S27で生成した“出力タイミング情報”とに基づいて、広告情報をユーザに対して出力するタイミングを満たしたか否かを判定する。
例えば前記S30においてCPU21は、“出力タイミング情報”に含まれる広告出力対象区間の始点にユーザが到達した場合に、広告情報をユーザに対して出力するタイミングを満たしたと判定する。尚、広告情報を取得する為の通信時間などを考慮して、広告出力対象区間の始点よりも所定距離(例えば50m)手前側の地点にユーザが到達した場合に、広告情報をユーザに対して出力するタイミングを満たしたと判定しても良い。
そして、広告情報をユーザに対して出力するタイミングを満たしたと判定された場合(S30:YES)には、S31へと移行する。それに対して、広告情報をユーザに対して出力するタイミングを満たしていないと判定された場合(S30:NO)には、S33へと移行する。
S31においてCPU21は、出発地目的地情報の送信元の通信端末6が出力タイミングを満たしたと判定した広告情報を、広告情報DB8から抽出する。
続いて、S32においてCPU21は、前記S31で抽出した広告情報を、出発地目的地情報の送信元の通信端末6に対して送信する。その結果、通信端末6において広告情報が出力されることとなる(図11、図12)。
その後、S33においてCPU31は、ユーザが目的地までの移動を終了したか否か、即ちユーザが目的地に到着したか否かを判定する。具体的には、出発地目的地情報の送信元の通信端末6から定期的に取得するユーザの現在位置と目的地の座標とを比較し、出発地目的地情報の送信元の通信端末6の現在位置が目的地から所定距離以内(例えば50m以内)となった場合に目的地に到達したと判定する。
そして、ユーザが目的地までの移動を終了した、即ちユーザが目的地に到着したと判定された場合(S33:YES)には、S34へと移行する。それに対して、ユーザが目的地までの移動を継続している、即ちユーザが目的地に到着していないと判定された場合(S33:NO)にはS30へと戻り、継続して広告情報の提供を行う。
その後、S34においてCPU31は、出発地目的地情報の送信元の通信端末6から定期的に取得するユーザの現在位置の履歴を読み出し、更に地図情報を用いることによってマップマッチングを行い、ユーザが目的地までの移動に用いた移動経路を特定する。尚、例えばユーザが電車で移動した場合には、移動経路として電車の路線が特定されることとなる。
次に、S35においてCPU31は、前記S28で選択されたクーポン、即ち目的地に該当する特典対象施設4において配布対象となっている全てのクーポンについて特典配布条件を満たしたか否かを判定し、特典配布条件を満たしたクーポンを特定する。ここで、特典配布条件は図4に示すように特典対象施設4毎及びクーポン毎に予め設定されており、第1実施形態では特典配布条件は、目的地距離に関する条件に加えて、特典対象施設4へとユーザが移動する際に移動した経路について、予め指定された特定の経路を含むことを条件とする。
例えば図4に示すクーポン”12345”のように特典配布条件として『○○半島道路』が設定されている場合には、図15に示すように目的地に該当する特典対象施設4までのユーザの移動経路75の少なくとも一部に、○○半島道路のいずれかの区間(どの区間は問わない)を含んでいれば特典配布条件を満たすと判定する。また、移動経路に関する特典配布条件が設定されていないクーポンもあり、そのようなクーポンについては目的地である特典対象施設4に到達すれば特典配布条件を満たしたクーポンとみなされる。但し、基本的に特典配布条件が設定されていないクーポン(即ち移動経路がどのような経路かに関わらずユーザが獲得可能なクーポン)は、特典配布条件が設定されているクーポンに比べると、クーポンを利用することによって享受できる利益は小さい(価値が低い)。即ち、特典対象施設4に指定された経路を用いて移動しており、来店する為に必要な負荷(コスト)が高いと予想されるユーザ程、より価値の高いクーポンを配布することが可能となる。
続いて、S36においてCPU31は、前記S35で特定された特典配布条件を満たしたクーポンに関するクーポン情報を特典情報DB9(図4)から抽出し、出発地目的地情報の送信元の通信端末6へと配信する。クーポン情報は、クーポンID、通信端末6において表示されるクーポンの画像、クーポンが配布される為の特典配布要件を含む。そして、クーポン情報を受信した通信端末6では、受信したクーポン情報に基づいて、目的地に該当する特典対象施設4において配布対象となっているクーポンの内、特にユーザが特典配布条件を満たして獲得した(即ち配布されて利用可能となった)クーポンの一覧画像をディスプレイ38に表示する(S16)。その結果、ユーザはユーザが獲得して目的地で利用可能なクーポンを把握することが可能となる。
以上詳細に説明した通り、第1実施形態に係る施設特典配布システム1、広告情報サーバ3及び広告情報サーバ3で実行されるコンピュータプログラムでは、ユーザの目的地が特典の配布対象となる特典対象施設である場合に、ユーザが特典対象施設までの移動に用いた移動経路を取得し(S34)、取得した移動経路が特典対象施設に対して指定された特典配布条件を満たした場合に、特典配布条件を満たしたユーザに対して特典対象施設で利用可能な特典としてクーポンを配布する(S36)一方で、特に特典配布条件としてユーザの用いた移動経路が予め指定された特定の経路を含むことを条件とし、更に特典配布条件を満たす前のユーザに対して、特典配布条件を満たした場合に配布する特典の内容を事前に案内する(S29)ので、特典対象施設に来店する為に必要な負荷が高いユーザに対して特典対象施設に来店するメリットを事前に明確に把握させることが可能となる。その結果、特典対象施設に来店する為に必要な負荷が高いユーザに対して来店を促すことによって高い集客効果を発揮することが可能となり、LTVの向上を実現できる。また、特に特典配布条件としてユーザの用いた移動経路が予め指定された特定の経路を含むことについても条件とするので、ユーザが特典対象施設に来店する為に必要な負荷をより正確に把握することが可能であり、特典の配布によって特典対象施設に来店する為に必要な負荷が高いユーザに対して適切に特典を配布することが可能となる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る施設特典配布システムについて図16乃至図18に基づいて説明する。尚、以下の説明において上記図1乃至図15の第1実施形態に係る施設特典配布システム1の構成と同一符号は、前記第1実施形態に係る施設特典配布システム1等の構成と同一あるいは相当部分を示すものである。
この第2実施形態に係る施設特典配布システムの概略構成は、第1実施形態に係る施設特典配布システム1とほぼ同じ構成である。また、各種制御処理も第1実施形態に係る施設特典配布システム1とほぼ同じ制御処理である。
ただし、第1実施形態に係る施設特典配布システム1が、クーポンを配布する特典配布条件として、目的地距離に関する条件以外に、ユーザの移動情報である特典対象施設までの移動に用いた移動経路が予め指定された特定の経路を含むことを条件とするのに対して、第2実施形態に係る施設特典配布システムは、ユーザの移動情報である特典対象施設までの移動に用いた移動手段が予め指定された特定の移動手段を含むことを条件とする点で第1実施形態に係る施設特典配布システム1と異なっている。
続いて、第2実施形態に係る特典配布処理プログラムについて図16及び図17に基づき説明する。図16及び図17は第2実施形態に係る特典配布処理プログラムのフローチャートである。ここで、特典配布処理プログラムは、通信端末6において広告情報やクーポンをユーザに提供する為の所定のアプリケーションプログラム(例えばナビゲーションアプリ或いは広告情報やクーポン提供のための専用のアプリ)が起動された後に実行され、ユーザの移動に伴ってユーザの目的地に該当する特典対象施設4の広告情報をユーザに提供するとともにユーザが所定の特典配布条件を満たした場合には特典としてクーポンを配布するプログラムである。但し、通信端末6が車載器のナビゲーション装置である場合には、車両のACC電源(accessory power supply)がONされた後に実行する。
先ず、図16及び図17に基づいて通信端末6のCPU31が実行する特典配布処理プログラムについて説明する。尚、S41〜S54の処理は第1実施形態に係る特典配布処理プログラム(図6、図7)のS1〜S14の処理と同様であるので説明は省略する。
次にS55においてCPU31は、広告情報サーバ3から配信されたクーポン情報を受信する。ここで、前記S55で受信するクーポン情報は、ユーザが到達した目的地に該当する特典対象施設4において配布対象となっているクーポンの内、特にユーザが特典配布条件を満たすことによってユーザに配布されたクーポンのクーポン情報とする。特に第2実施形態では特典対象施設4へとユーザが移動する際に用いた移動手段について、予め指定された特定の移動手段を含むことを条件とする。特典配布条件として指定される移動手段としては、バス、タクシー、自家用車、電車、徒歩等がある。公共交通機関を指定することも可能である。また、より詳細な移動手段を指定することも可能である。例えば特定の運営会社のバスや電車、あるいは特定の路線のバスや電車を指定することも可能である。
次に、S56においてCPU31は、前記S55で受信したクーポン情報に基づいて、特典配布条件を満たしてユーザが獲得した(即ち配布されて利用可能となった)全てのクーポンの一覧画像をディスプレイ38に表示する(図13参照)。以後、表示されたクーポンの画像を用いてユーザは特典配布条件を満たしたクーポンを使用可能な状態となる(クーポンが配布された状態となる)。ユーザはディスプレイ38を参照することによって、ユーザが獲得して目的地で利用可能なクーポンの具体的な内容を把握することが可能となる。
次に、広告情報サーバ3のCPU21が実行する特典配布処理プログラムについて説明する。尚、S61〜S73の処理は第1実施形態に係る特典配布処理プログラム(図6、図7)のS21〜S33の処理と同様であるので説明は省略する。
先ず、S74においてCPU31は、ユーザが目的地までの移動に用いた移動手段を特定する。尚、ユーザがどの移動手段を用いて移動したかについては、例えば乗車券の支払情報に基づいて特定しても良いし、ユーザの移動速度に基づいて判定しても良い。尚、移動速度は通信端末6から定期的に取得される通信端末6の位置座標の推移に基づいて算出可能である。また、電車での移動についてはユーザの現在位置の履歴と地図情報に含まれる路線図に基づいてマップマッチング処理を行うことにより、判断することも可能である。
次に、S75においてCPU31は、前記S68で選択されたクーポン、即ち目的地に該当する特典対象施設4において配布対象となっている全てのクーポンについて特典配布条件を満たしたか否かを判定し、特典配布条件を満たしたクーポンを特定する。ここで、特典配布条件は図4に示すようにクーポン毎に予め設定されており、第2実施形態では特典配布条件は、目的地距離に関する条件に加えて、特典対象施設4へとユーザが移動する際に用いた移動手段について、予め指定された特定の移動手段を含むことを条件とする。
例えば特典配布条件として『電車』が設定されている場合には、図18に示すように目的地に該当する特典対象施設4までのユーザの移動経路75の少なくとも一部に、電車で移動する区間を含んでいれば特典配布条件を満たすと判定する。また、移動手段に関する特典配布条件が設定されていないクーポンもあり、そのようなクーポンについては目的地である特典対象施設4に到達すれば特典配布条件を満たしたクーポンとみなされる。但し、基本的に特典配布条件が設定されていないクーポン(即ち移動手段がどのような手段かに関わらずユーザが獲得可能なクーポン)は、特典配布条件が設定されているクーポンに比べると、クーポンを利用することによって享受できる利益は小さい(価値が低い)。即ち、特典対象施設4に指定された移動手段を用いて移動しており、来店する為に必要な負荷(コスト)が高いと予想されるユーザ程、より価値の高いクーポンを配布することが可能となる。
続いて、S76においてCPU31は、前記S75で特定されたクーポンに関するクーポン情報を特典情報DB9(図4)から抽出し、出発地目的地情報の送信元の通信端末6へと配信する。クーポン情報は、クーポンID、通信端末6において表示されるクーポンの画像、クーポンが配布される為の特典配布要件を含む。そして、クーポン情報を受信した通信端末6では、受信したクーポン情報に基づいて、目的地に該当する特典対象施設4において配布対象となっているクーポンの内、特にユーザが特典配布条件を満たして獲得した(即ち配布されて利用可能となった)クーポンの一覧画像をディスプレイ38に表示する(S56)。その結果、ユーザはユーザが獲得して目的地で利用可能なクーポンを把握することが可能となる。
以上詳細に説明した通り、第2実施形態に係る施設特典配布システム、広告情報サーバ及び広告情報サーバで実行されるコンピュータプログラムでは、ユーザの目的地が特典の配布対象となる特典対象施設である場合に、ユーザが特典対象施設までの移動に用いた移動手段を取得し(S74)、取得した移動手段が特典対象施設に対して指定された特典配布条件を満たした場合に、特典配布条件を満たしたユーザに対して特典対象施設で利用可能な特典としてクーポンを配布する(S76)一方で、特に特典配布条件としてユーザの用いた移動手段が予め指定された特定の移動手段を含むことを条件とし、更に特典配布条件を満たす前のユーザに対して、特典配布条件を満たした場合に配布する特典の内容を事前に案内する(S69)ので、特典対象施設に来店する為に必要な負荷が高いユーザに対して特典対象施設に来店するメリットを事前に明確に把握させることが可能となる。その結果、特典対象施設に来店する為に必要な負荷が高いユーザに対して来店を促すことによって高い集客効果を発揮することが可能となり、LTVの向上を実現できる。また、特に特典配布条件としてユーザの用いた移動手段が予め指定された特定の移動手段を含むことについても条件とするので、ユーザが特典対象施設に来店する為に必要な負荷をより正確に把握することが可能であり、特典の配布によって特典対象施設に来店する為に必要な負荷が高いユーザに対して適切に特典を配布することが可能となる。
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、第1実施形態及び第2実施形態では、ユーザの目的地の入力操作に基づいて今回の移動におけるユーザの目的地を設定しているが、ユーザの過去の行動履歴等に基づいてユーザの目的地を推測して設定しても良い。例えば、過去に同じ曜日の同じ時間帯にユーザが頻繁に同一の施設を訪れている場合には、今回の移動の目的地についても同施設であると推測できる。また、夕方以降にショッピングモール等の自宅以外の施設から移動を開始する場合には自宅を目的地と推測することも可能である。
また、特定の施設に対応した専用のアプリケーションによってユーザへの特典の配布を行う場合には、目的地の入力操作をユーザに行わせることなくアプリケーションが起動した段階で対応する施設を目的地に設定しても良い。
また、第1実施形態及び第2実施形態では、ユーザに目的地で利用可能な特典を配布するタイミングは、ユーザが目的地に到着した後としているが、目的地に到着する前のタイミングであっても特典配布条件を満たしていれば配布しても良い。
また、第1実施形態及び第2実施形態では、ユーザの移動開始地点から目的地までの距離が閾値(例えば20km)以上であることを特典配布条件の一つとし、ユーザの移動開始地点から目的地までの距離が閾値以上の場合のみに目的地に該当する施設で利用可能な特典を配布しているが、ユーザの移動開始地点から目的地までの距離が閾値未満の場合においても特典を配布しても良い。但し、その場合に配布する特典はユーザの移動開始地点から目的地までの距離が閾値以上の場合よりも価値の低い特典とするのが望ましい。更に、ユーザの移動開始地点から目的地までの距離に関する条件を特典配布条件から除外(即ちS5〜S7、S22〜S24の処理を省略)しても良い。
また、第1実施形態及び第2実施形態では、ユーザに配布対象となる特典として特典対象施設で利用可能なクーポンを挙げて説明しているが、ポイント、サービス等の特典対象施設に訪れたユーザにとって何らかの利益を享受することが可能となるもの(有形無形を問わない)であれば他の特典であっても良い。
また、第1実施形態及び第2実施形態では、特典の配布以外に目的地までの移動行程において広告情報の提供も行っているが、広告情報の提供は行わずに特典の配布のみを行っても良い。
また、第1実施形態及び第2実施形態では、広告情報サーバ3が広告情報の出力タイミングを満たしたと判定した場合に、その都度出力対象となる広告情報を通信端末6へと送信しているが、出発地目的地情報を受信した時点で今回の走行で出力する予定の全ての広告情報を予め通信端末6へと送信しておくようにしても良い。
また、第1実施形態及び第2実施形態では、通信端末6をスマートフォンに適用した例について説明したが、特典を配布する機能や広告情報を表示する機能を有していれば他の種類の通信端末に対して適用することも可能である。例えば携帯電話機、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ、ナビゲーション装置等に適用することが可能である。また、ナビゲーション装置以外に適用する場合には、ユーザが車で移動する以外の状況、例えば徒歩で移動する状況においても実施可能である。
また、第1実施形態及び第2実施形態では、S23の目的地までの距離の判定処理、S26〜S28の広告情報やクーポンの選択処理、S30の広告情報の出力タイミングを満たしたか否かの判定処理、及びS35の特典配布条件を満たしたか否かの判定処理を広告情報サーバ3が行う構成としているが、通信端末6が行っても良い。即ち、本発明の施設特典配布装置は広告情報サーバ3であっても良いし、通信端末6であっても良い。
また、本発明に係る施設特典配布システムを具体化した実施例について上記に説明したが、施設特典配布システムは以下の構成を有することも可能であり、その場合には以下の効果を奏する。
例えば、第1の構成は以下のとおりである。
ユーザ(5)の目的地が特典の配布対象となる特典対象施設(4)である場合に、ユーザが前記特典対象施設までの移動に用いた移動経路(75)を取得する移動経路取得手段(21)と、前記移動経路が前記特典対象施設に対して指定された特典配布条件を満たした場合に、前記特典配布条件を満たしたユーザに対して前記特典対象施設で利用可能な特典を配布する特典配布手段(21)と、前記特典配布条件を満たす前のユーザに対して、前記特典配布条件を満たした場合に配布する特典の内容を事前に案内する特典案内手段(21)と、を有し、前記特典配布条件は、前記移動経路が予め指定された特定の経路を含むことを条件とする。
上記構成を有する施設特典配布システムによれば、ユーザが特典対象施設までの移動に用いた移動経路を特典配布の条件とすることによって、ユーザが特典対象施設に来店する為に必要な負荷をより正確に把握することが可能であり、特典の配布によって特典対象施設に来店する為に必要な負荷が高いユーザに対して適切に特典を配布することが可能となる。また、特典配布条件を満たした場合に配布する特典の内容を事前に案内することによって、来店する為に必要な負荷の高いユーザに対して特典対象施設に来店するメリットを事前に明確に把握させることが可能となる。その結果、特典対象施設に来店する為に必要な負荷が高いユーザに対して来店を促すことによって高い集客効果を発揮することが可能となり、LTVの向上を実現できる。
また、第2の構成は以下のとおりである。
前記特定の経路は有料道路である。
上記構成を有する施設特典配布システムによれば、ユーザが特典対象施設までの移動に用いた移動経路が有料道路であることを特典配布の条件とすることによって、ユーザが特典対象施設に来店する為に必要となった有料道路の費用を負荷として把握することが可能であり、特典の配布によって特典対象施設に来店する為に必要な負荷が高いユーザに対して適切に特典を配布することが可能となる。
また、第3の構成は以下のとおりである。
ユーザの位置情報を取得する位置情報取得手段(21)を有し、前記移動経路取得手段(21)は、地図情報(14)を用いて前記ユーザの位置情報をマップマッチングすることにより、前記移動経路を特定して取得する。
上記構成を有する施設特典配布システムによれば、ユーザから収集した位置情報を地図情報にマッチングさせることによって、ユーザが特典対象施設までの移動に用いた移動経路を正確に特定することが可能となる。
また、第4の構成は以下のとおりである。
ユーザ(5)の目的地が特典の配布対象となる特典対象施設(4)である場合に、ユーザが前記特典対象施設までの移動に用いた移動手段を取得する移動手段取得手段(21)と、前記移動手段が前記特典対象施設に対して指定された特典配布条件を満たした場合に、前記特典配布条件を満たしたユーザに対して前記特典対象施設で利用可能な特典を配布する特典配布手段(21)と、前記特典配布条件を満たす前のユーザに対して、前記特典配布条件を満たした場合に配布する特典の内容を事前に案内する特典案内手段(21)と、を有し、前記特典配布条件は、前記移動手段が予め指定された特定の移動手段を含むことを条件とする。
上記構成を有する施設特典配布システムによれば、ユーザが特典対象施設までの移動に用いた移動手段を特典配布の条件とすることによって、ユーザが特典対象施設に来店する為に必要な負荷をより正確に把握することが可能であり、特典の配布によって特典対象施設に来店する為に必要な負荷が高いユーザに対して適切に特典を配布することが可能となる。また、特典配布条件を満たした場合に配布する特典の内容を事前に案内することによって、来店する為に必要な負荷の高いユーザに対して特典対象施設に来店するメリットを事前に明確に把握させることが可能となる。その結果、特典対象施設に来店する為に必要な負荷が高いユーザに対して来店を促すことによって高い集客効果を発揮することが可能となり、LTVの向上を実現できる。
また、第5の構成は以下のとおりである。
前記特定の移動手段は公共交通機関である。
上記構成を有する施設特典配布システムによれば、ユーザが特典対象施設までの移動に用いた移動手段が公共交通機関であることを特典配布の条件とすることによって、ユーザが特典対象施設に来店する為に必要な負荷をより正確に把握することが可能であり、特典の配布によって特典対象施設に来店する為に必要な負荷が高いユーザに対して適切に特典を配布することが可能となる。周辺道路の渋滞解消などの効果についても期待できる。
また、第6の構成は以下のとおりである。
ユーザの位置情報を取得する位置情報取得手段(21)を有し、前記移動手段取得手段(21)は、地図情報(14)を用いて前記ユーザの位置情報をマップマッチングすることにより、前記移動手段を特定して取得する。
上記構成を有する施設特典配布システムによれば、ユーザから収集した位置情報を地図情報にマッチングさせることによって、ユーザが特典対象施設までの移動に用いた移動手段を正確に特定することが可能となる。
また、第7の構成は以下のとおりである。
前記特典案内手段(21)は、前記特典の内容とともに特典の配布のために満たすことが必要な前記特典配布条件についても案内する。
上記構成を有する施設特典配布システムによれば、特典配布条件を満たす前のユーザに対して、特典配布条件を満たした場合に配布する特典の内容に加えて特典配布条件を事前に案内することによって、ユーザは事前に特典配布条件を満たすか否かを判断することが可能である。また、特典配布条件を満たすようにユーザを誘導する効果についても期待できる。
また、第8の構成は以下のとおりである。
ユーザ(5)の移動開始地点から前記特典対象施設(4)までの距離を取得する距離取得手段(21)を有し、前記特典配布条件は、更に前記距離が閾値以上であることを条件とする。
上記構成を有する施設特典配布システムによれば、ユーザが特典対象施設までの移動に係る距離についても特典配布の条件とすることによって、ユーザが特典対象施設に来店する為に必要な負荷をより正確に把握することが可能であり、特典の配布によって特典対象施設に来店する為に必要な負荷が高いユーザに対して適切に特典を配布することが可能となる。
また、第9の構成は以下のとおりである。
前記特典配布手段(21)は、前記特典配布条件を満たした場合に、前記特典配布条件を満たさない場合よりもより価値の高い特典を配布する。
上記構成を有する施設特典配布システムによれば、特典配布の条件を満たさない場合であっても特典を配布する一方で、特に特典配布の条件を満たした場合において高い価値の特典を配布するので、特典対象施設に来店する為に必要な負荷が高いユーザに加えて負荷の低いユーザに対しても来店を促すことが可能となり、LTVの向上を実現できる。
また、第6の構成は以下のとおりである。
前記特典配布手段(21)は、配布された当日のみに前記特典対象施設(4)で利用可能な特典を配布する。
上記構成を有する施設特典配布システムによれば、特典の配布と利用のサイクルを短くすることによって、ユーザの施設への来店の機会をより増やすこと、即ちリピート率の向上を図ることが可能となる。その結果、LTVの向上を実現できる。
また、第10の構成は以下のとおりである。
前記特典対象施設(4)が複数種類の特典を配布対象としている場合には、複数種類の特典毎に前記特典配布条件が指定され、前記特典配布手段(21)は、前記特典配布条件を満たした特典を配布する。
上記構成を有する施設特典配布システムによれば、複数種類の特典を配布する場合には、特典毎に配布条件を指定可能となる。