JP2021134127A - 蛍光ナノダイヤモンドの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】爆轟法で得られ、かつ、NVセンターに由来するZPL(Zero Phonon Level)の2つの鋭いピークを有する蛍光ナノダイヤモンドの製造方法を提供する。【解決手段】以下の工程1〜4を含み、蛍光発光波長スペクトルがNV0及び/又はNV−のゼロフォノン線(ZPL)を示す蛍光ナノダイヤモンドの製造方法:工程1:少なくとも1種の爆薬を爆発させてナノダイヤモンド原料を得る爆轟工程、工程2:前記ナノダイヤモンド原料或いは前記ナノダイヤモンド原料を強酸処理、オゾン処理又は気相酸化によりsp2炭素を除去したナノダイヤモンドを1000℃〜1600℃でアニーリングする第1アニーリング工程、工程3:第1アニーリング工程後、イオンビーム又は電子ビームを照射する空孔形成工程、工程4:空孔形成後、600℃〜900℃でアニーリングしてNVセンターを形成する第2アニーリング工程。【選択図】図1

Description

本発明は、蛍光ナノダイヤモンドの製造方法に関する。
ダイヤモンドの発光センターは、ナノサイズで化学的に安定な蛍光性発色団であり有機物の蛍光体に多く見られる生体内での分解、褪色、明滅を示さないために、蛍光イメージングのプローブとして期待されている。また発光センター内で励起される電子のスピンの情報を外部より計測できる場合もあることにより、ODMR(Optically Detected Magnetic Resonance;光検出磁気共鳴法)や量子ビットとしての利用も期待されている。
現状で利用可能な発光センターはNV(Nitrogen-Vacancy)センターであり、ダイヤモンドの格子位置に存在する不純物としてのN原子とそれに隣接した格子位置を占める空孔により構成されている。NVセンターには電気的に中性であるNV0と空孔位置に電子を1個捕獲したNV-の2種類があり、蛍光イメージングのプローブとしてはどちらでも利用できる。
爆轟法によるナノダイヤモンドの製造法が知られているが(特許文献1)、爆轟法により製造したナノダイヤモンドはNVセンターの蛍光が検出できない。
特開2005-289677
本発明の目的は、爆轟法で得られ、かつ、その蛍光発光波長スペクトルにおいて、NVセンターに由来するZPL(Zero Phonon Line)のNV0及び/又はNV-に対応する鋭いピークを有する蛍光ナノダイヤモンドを提供することにある。
本発明は、以下の蛍光ナノダイヤモンドの製造法を提供するものである。
〔1〕 以下の工程1〜4を含み、その蛍光発光波長スペクトルがNV及び/又はNVのゼロフォノン線(ZPL)を示す蛍光ナノダイヤモンドの製造方法:
工程1:少なくとも1種の爆薬を密閉容器内で爆発させてナノダイヤモンド原料を得る爆轟工程、
工程2:前記ナノダイヤモンド原料或いは前記ナノダイヤモンド原料について強酸処理、オゾン処理又は気相酸化によりsp2炭素を除去して得られたナノダイヤモンドを1000℃〜1600℃の温度でアニーリングする第1アニーリング工程、
工程3:第1アニーリング工程の後に、ナノダイヤモンドにイオンビーム又は電子ビームを照射する空孔形成工程、
工程4:空孔を形成したナノダイヤモンドを600℃〜900℃の温度でアニーリングしてNV(Nitrogen-Vacancy)センターを形成する第2アニーリング工程。
〔2〕 爆轟工程で得られたナノダイヤモンド原料を強酸処理、オゾン処理又は気相酸化によりsp2炭素を除去した後に第1アニーリング工程に供する、〔1〕に記載の蛍光ナノダイヤモンドの製造方法。
〔3〕下記の工程5をさらに含む、〔1〕又は〔2〕に記載の蛍光ナノダイヤモンドの製造方法。
工程5:第2アニーリング工程で得られたナノダイヤモンドを気相酸化、オゾン酸化又は強酸処理するsp2炭素の除去工程。
爆轟法で製造したナノダイヤモンドについて、NVセンターによる蛍光はほとんど或いは全く検出できないが、本発明の製造方法によれば、NVセンターに由来する蛍光を発するナノダイヤモンドを得ることができる。
本発明の製造方法で得られた蛍光ナノダイヤモンドは、ナノサイズで化学的に安定、かつ、生体内での分解、褪色、明滅を示さず、長波長の蛍光を発するので、生体由来のサンプルの蛍光イメージング用プローブとして有用である。NV発光センター内で励起される電子のスピンの情報を外部より計測できる場合もあることにより、ODMR(Optically Detected Magnetic Resonance;光検出磁気共鳴法)や量子ビット、量子センサーとしての利用も期待される。
本発明の製造方法で得られた蛍光ナノダイヤモンドの蛍光発光波長スペクトル。 XRD測定結果を示す。 SAXS測定結果を示す。
本発明の製造方法で得られるナノダイヤモンドは、NVセンターに由来する蛍光を有する。NVセンターの蛍光発光波長スペクトルはゼロフォノン線(ZPL:Zero Phonon Line)と言われる鋭いピークとサブバンドと呼ばれるブロードなピークを有する。NVセンターには電気的に中性であるNV0と空孔位置に電子を1個捕獲したNV-の2種類があり、ZPLは575nm(NV0)と637nm(NV-)の2つのピークを含む。本発明の製造方法で得られる蛍光ナノダイヤモンドは、575nm(NV0)と637nm(NV-)のいずれか一方のZPLを利用してもよく、両方のZPLを利用してもよい。より長波長の637nm(NV-)のピークが生体サンプルの透過性に優れているので望ましく、好ましい蛍光ナノダイヤモンドは、その蛍光発光波長スペクトルにおいて637nm(NV-)の1つのピークを含むか、575nm(NV0)と637nm(NV-)の2つのピークを含むものである。NVセンターは、隣接する2個の炭素原子を窒素原子と原子空孔のペアが置き換えた構造を有し、1個のNと1個のVが隣接して存在する。
蛍光ナノダイヤモンドの一次粒子の平均サイズは、好ましくは10 nm以下である。一次粒子の平均サイズが10nm以下であれば、生体由来のサンプルの蛍光イメージング用プローブとして特に有用である。一次粒子の平均サイズが10nmのナノダイヤモンドは爆轟工程により得ることができる。一次粒子の平均サイズは、粉末X線回折法(XRD) の分析結果から、シェラーの式により求めることができる。XRDの測定装置は、例えば、全自動多目的X線回折装置(株式会社リガク製)を挙げることができる。
本発明の1つの好ましい実施形態において、蛍光ナノダイヤモンドの表面に少なくとも1種の酸素官能基終端及び/又は少なくとも1種の水素終端を有していてもよい。酸素官能基終端としては、OH、COOH、CONH、C=O、CHOなどが挙げられ、OH、C=O、COOHが好ましい。水素終端としては、炭素数1〜20のアルキル基が挙げられる。酸素官能基終端は、工程5のsp2炭素の除去工程で導入することができる。
蛍光ナノダイヤモンドの表面に少なくとも1種の酸素官能基終端が存在することで、ナノダイヤモンド粒子の凝集が抑制されるので好ましい。蛍光ナノダイヤモンドの表面に少なくとも1種の水素終端が存在することで、ゼータ電位がプラスになり、酸性水溶液中で安定的かつ高分散するので好ましい。
本発明の他の1つの好ましい実施形態において、本発明の蛍光ナノダイヤモンドはコアシェル構造を有していてもよい。コアシェル構造の蛍光ナノダイヤモンドのコアはナノダイヤモンド粒子である。このコアは、NVセンターを有し、蛍光を発するものである。シェルは非ダイヤモンド被覆層であり、sp2炭素を含んでいてもよく、さらに酸素原子を含有することが好ましい。シェルはグラファイト層であってもよい。シェルの厚さは、好ましくは5nm以下、より好ましくは3nm以下、さらに好ましくは1nm以下である。シェルは表面に親水性官能基を有していてもよい。
sp2炭素は、強酸処理、気相酸化処理、オゾン酸化処理などにより一部又は全部を除去することができる。
爆轟工程で得られたナノダイヤモンド原料は第1アニーリング工程に供されるが、爆轟工程で得られたナノダイヤモンド原料はナノダイヤモンドに加えてsp2炭素が相当量含まれているので、このsp2炭素を強酸処理、オゾン処理、気相酸化などのsp2炭素を除去する処理で除去し、ナノダイヤモンドの比率を高めてから第1アニーリング工程に供することが好ましい。爆轟工程で得られたナノダイヤモンドは、煤、ナノダイヤモンド粒子表面に厚いsp2炭素(シェル)を有するので、これらの多くを強酸処理、オゾン処理、気相酸化などのsp2炭素を除去する処理により除去することができる。
第1アニーリング工程は処理温度が高いので、微細な(例えば粒径1nm以下の)ナノダイヤモンド粒子の大部分がsp2炭素に変換される。一方、より大きな(例えば粒径5nm以上の)粒子は第1アニーリング工程により表面の一部がsp2炭素になるが、大部分のsp3炭素のコアは残ることになる。その結果、微細な粒子の除去によりナノダイヤモンド粒子の平均粒子径は大きくなり、粒度分布の幅が狭くなり、粒子径の揃った蛍光ナノダイヤモンドが得られることになる。第1アニーリング工程により微細なナノダイヤモンド粒子が除去されることは小角X線散乱法(SAXS)により確認することができる。
本発明の好ましい1つの実施形態において、第1アニーリング工程を行った後に、強酸処理、オゾン処理、気相酸化などのsp2炭素を除去する処理でsp2炭素を除去し、その後に空孔形成処理、第2アニーリング工程を行うことができる。
本発明の好ましい他の実施形態において、第1アニーリング工程を行った後に空孔形成工程を行い、その後に強酸処理、オゾン処理、気相酸化などのsp2炭素を除去する処理でsp2炭素を除去し、次に第2アニーリング工程を行ってもよい。
工程3で、「第1アニーリング工程の後に、ナノダイヤモンドにイオンビーム又は電子ビームを照射する空孔形成工程」と記載しているのは、第1アニーリング工程と空孔形成工程の順番を記載したもので、工程3は、(第1アニーリング工程)→(任意工程であるsp2炭素の除去工程)→(空孔形成工程)のケースを包含する。
工程4で、「空孔を形成したナノダイヤモンドを600℃〜900℃の温度でアニーリングしてNV(Nitrogen-Vacancy)センターを形成する第2アニーリング工程」と記載しているのは、空孔形成工程と第2アニーリング工程の順番を記載したもので、工程4は、(空孔形成工程)→(任意工程であるsp2炭素の除去工程)→(第2アニーリング工程)のケースを包含する。
また、工程4の後に、さらにsp2炭素の除去工程を実施してもよい。
空孔形成処理は、イオンビーム又は電子ビームの照射により行い、ナノダイヤモンド粒子に空孔を導入する。この時点ではNVセンターは形成されていないが、次の第2アニーリング処理により、ナノダイヤモンド粒子中で空孔が移動することで、NVセンターが形成される。
第2アニーリング工程の後に、気相酸化、オゾン酸化、強酸処理などによりsp2炭素を除去することで、NVセンターを有する蛍光ナノダイヤモンドを得ることができる。
本発明の1つの実施形態において、爆轟工程で得られるナノダイヤモンド粒子の中心はsp3炭素のダイヤモンド構造を有し、その表面は、sp2炭素で構成されるアモルファス層で覆われている。さらに好ましい実施形態において、アモルファス層の外側は酸化グラファイト層で覆われていてもよい。また、アモルファス層と酸化グラファイト層の間には水和層が形成されていてもよい。
本発明の好ましい1つの実施形態において、蛍光ナノダイヤモンドは、プラス又はマイナスのゼータ電位を有する。蛍光ナノダイヤモンドのゼータ電位は、好ましくは−70〜70mV、より好ましくは−60〜30mVである。
本発明の製造方法において、爆轟工程(工程1)は、少なくとも1種の爆薬を密閉容器内で爆発させることにより実施することができる。容器としては、金属製容器、合成樹脂製容器が挙げられる。
爆薬としては、特に限定されず、窒素原子を含む公知の爆薬を広く用いることができる。具体例としては、トリニトロトルエン(TNT)、シクロトリメチレントリニトラミン(ヘキソゲン、RDX)、シクロテトラメチレンテトラニトラミン(オクトゲン)、トリニトロフェニルメチルニトラミン(テトリル)、ペンタエリスリトールテトラニトレート(PETN)、テトラニトロメタン(TNM)、トリアミノ−トリニトロベンゼン、ヘキサニトロスチルベン、ジアミノジニトロベンゾフロキサンなどが挙げられ、これらを1種単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。爆薬に含まれる窒素原子はナノダイヤモンドに取り込まれる。好ましい1つの実施形態において、爆薬は、さらに冷却媒体を含む。冷却媒体は、固体、液体、気体のいずれであってもよい。冷却媒体を使用する方法として、爆薬を冷却媒体中で起爆する方法が挙げられる。冷却媒体としては、不活性ガス(窒素、アルゴン、CO)、水、氷、液体窒素などが挙げられる。冷却媒体は、例えば水や氷の場合、爆薬重量に対して5倍程度使用することが好ましい。
爆轟工程で得られたナノダイヤモンドは、一定量の窒素原子(例えば、1.0〜5.0質量%)が存在し、その窒素原子が空孔と結合してNVセンターを形成する。
爆轟工程により得られたナノダイヤモンドは、必要に応じて強酸処理、オゾン処理、気相酸化などのsp2炭素を除去する処理を行い、さらに第1アニーリング処理を行う。
本明細書において、sp2炭素を除去するための強酸処理に用いる強酸としては、濃硝酸、発煙硝酸、濃硫酸と濃硝酸の混酸、王水など、sp2炭素を除去可能な強酸、好ましくは酸化的にsp2炭素を除去できる強酸が挙げられる。好ましい強酸の1例として、濃硫酸:濃硝酸=100:1〜1:10(質量比)の混酸を挙げることができる。強酸処理の温度は、特に限定されないが、例えば50〜250℃であり、強酸処理の時間は、特に限定されないが、例えば0.5〜24時間である。強酸は、ナノダイヤモンド原料又はナノダイヤモンドの質量の好ましくは5倍〜2000倍、より好ましくは10倍〜1000倍、さらに好ましくは20倍〜500倍の量で使用される。
本明細書において、sp2炭素を除去するためのオゾン酸化は、オゾン濃度100〜20000 ppm、反応温度は、好ましくは150〜500℃、反応時間は、好ましくは0.5〜10時間で行うことができる。
本明細書において、sp2炭素を除去するための気相酸化は、大気雰囲気下で行うことができ、気相酸化温度は、好ましくは300℃以上であり、気相酸化時間は2時間以上である。
第1アニーリング工程(工程2)の温度は、好ましくは1000〜1600℃、より好ましくは1200〜1500℃であり、第1アニーリング工程の時間は、特に限定されないが、例えば1〜10時間である。
空孔形成工程(工程3)は、イオンビーム又は電子ビームの照射により行う。イオンビーム照射又は電子ビーム照射により導入する空孔密度は、上限はダイヤモンドが破壊されてしまう濃度(>1×1021/cm3の空孔濃度)により限定されるが、下限に関しては例えば1×1016/cm3以上、さらに1×1018/cm3以上である。このダイヤモンド原料に高エネルギー線を照射する高エネルギー線として、好ましくはイオンビームである。イオンビームは、好ましくは水素(H)又はヘリウム(He)のイオンビームである。例えば、水素のイオンビームのエネルギーは、好ましくは10〜1500 keVであり、ヘリウムのイオンビームのエネルギーは、好ましくは20〜2000 keVである。電子線のエネルギーは、好ましくは500〜5000 keVである。
空孔を形成した時点ではNVセンターは形成されず、第2アニーリング工程により空孔をナノダイヤモンド粒子内で移動させることにより、内部の窒素原子と結合してNVセンターを形成して本発明の蛍光ナノダイヤモンドを得ることができる。
第2アニーリング工程(工程4)の温度は、空孔(V)が移動してNVセンターが形成されればよく、特に限定されないが、好ましくは600〜900℃、より好ましくは750〜850℃であり、第2アニーリング工程の時間は、特に限定されないが、例えば0.5〜10時間である。
第2アニーリング工程により、ナノダイヤモンド表面にsp2炭素が形成されるので、本発明の好ましい1つの実施形態では、これを除去するために気相酸化、オゾン酸化、強酸処理を行い、より好ましい蛍光ナノダイヤモンドの粒子を得ることができる。
工程5の強酸処理、オゾン処理、気相酸化などのsp2炭素を除去する処理は上記と同様な条件で行うことができる。
工程5の気相酸化は、大気雰囲気下で行うことができ、気相酸化温度は、好ましくは300℃以上であり、気相酸化時間は2時間以上である。
オゾン酸化は、オゾン濃度100〜20000 ppm、反応温度は、好ましくは150〜500℃であり、反応時間は、好ましくは0.5〜10時間である。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1
下記の(I)〜(VII)の工程により蛍光ダイヤモンドを製造した。
(I)爆轟工程
トリニトロトルエン(TNT)とシクロトリメチレントリニトラミン(RDX)を含む爆薬組成物約1000gを使用し、ナノダイヤモンド製造の常法に従い、ナノダイヤモンドを製造した。
(II)混酸処理工程(sp2炭素の除去工程)
濃硫酸:濃硝酸=12:1(質量比)の混酸500gに爆轟工程で得たナノダイヤモンド原料5gを加え、撹拌しながら150℃で5時間処理した。
(III)第1アニーリング工程
混酸処理後のナノダイヤモンドを真空雰囲気下、1400℃で3時間アニーリングして、大きいナノダイヤモンド粒子を選別し、小さいナノダイヤモンド粒子をsp2炭素に変換した。
(IV)混酸処理工程(sp2炭素の除去工程)
濃硫酸:濃硝酸=8:1(質量比)の混酸820gに爆轟工程で得たナノダイヤモンド8gを加え、撹拌しながら200℃で10時間処理し、大きいナノダイヤモンド粒子の表面のsp2炭素を除去するとともに、全体がsp2炭素に変換された粒子を除去した。第1アニーリング工程と混酸処理工程により小さいナノダイヤモンド粒子を除去できる。大きいナノダイヤモンド粒子の粒径は、表面のsp3炭素がsp2炭素に変換された後に混酸により除去されることでやや小さくなるが、平均粒径は爆轟工程後のナノダイヤモンドよりも大きくなる。
(V)空孔形成工程
180keVのヘリウムのイオンビームを混酸処理後のナノダイヤモンドに照射して、ナノダイヤモンド内部に空孔を形成した。
(VI)第2アニーリング工程
空孔形成後のナノダイヤモンドを真空雰囲気下、800℃で30分間アニーリングして空孔を移動させ、NVセンターを形成した。
(VII)気相酸化工程(sp2炭素の除去工程)
アニーリングしたナノダイヤモンドを大気雰囲気下、300℃、2時間気相酸化処理することで、ナノダイヤモンド表面のsp2炭素を除去して本発明の蛍光ナノダイヤモンドを得た。
得られた蛍光ナノダイヤモンドについて、XRD分析、蛍光分析、元素分析を行った。結果を表1及び図1に示す。
<XRD分析>
結晶子サイズ変化を測定した。
上記で得られた「(IV)混酸処理工程」後のナノダイヤモンド粉末又は「(II)混酸処理工程」で得たナノダイヤモンド粉末をそのまま無反射Si板試料ホルダーに充填し、X線回析装置(商品名「SmartLab」,株式会社リガク製)を使用し測定を行った。測定結果を図2に示す。Scherrer法によりナノダイヤモンドの結晶子サイズを見積もった。
Scherrer法による結晶子サイズは、「(II)混酸処理工程」で得たナノダイヤモンド(処理前ND)の4.2nmから「(IV)混酸処理工程」後のナノダイヤモンド(200℃混酸処理後ND)の6.2nmに大きくなった。
<小角X線散乱測定(SAXS法)>
ナノダイヤモンド粒子について、X線小角散乱法(SAXS)により測定を行った。測定は、全自動水平型多目的X線回析装置(株式会社リガク製、商品名「SmartLab」)を使用し、下記の測定条件で行った。そして、得られた測定データを解析することにより粒径分布曲線を得た。カーブフィッティングの解析には、株式会社リガク製ソフトウエア「NANO−Solver」を使用した。解析から得られた体積基準の粒径分布曲線(合成分布)を図3に示す。
(測定条件)
散乱体モデル:球
測定方法:透過法
粒子/空孔:C
マトリックス:空気(AIR)
スリット補正:高
アナライザー結晶:無し
解析範囲:0.2000° → 3.0000°
ステップ:0.0040°
波長:CuKα特性X線(波長 0.1.541867nm)
管電圧:50kV
管電流:300mA
分布関数:F分布
高さ(mm):
フィラメント:8.00
CBO選択スリット:15.00
入射スリット:10.00
試料:20.00
受光スリット(RS)1:20.00
受光スリット(RS)2:20.00
距離(mm):
フォーカス −CBO:115.8
CBO− 入射スリット:74.2
入射スリット−試料:110.0
試料−RS1:185.5
RS1−RS2:114.5
RS2−検出器窓:33.0
<元素分析>
装置はジェイ・サイエンス・ラボ製マイクロコーダーJM10を使用した。標準試料にアンチピリンを用いて検量線を作成した。またキャリブレーションとしてアセトアニリドを分析した。
上記で得られた「(IV)混酸処理工程」後のナノダイヤモンド粉末又は「(II)混酸処理工程」で得たナノダイヤモンド粉末は約1.3mg秤量して分析を行った。3回測定し、平均値を取った。結果を表1に示す。
Figure 2021134127
窒素量は、第1アニーリング工程とその後の混酸処理工程により24%減少することが明らかになった。
<蛍光分析>
気相酸化で得られた本発明の蛍光ナノダイヤモンドの10w/v%の水懸濁液をガラス基板上に滴下し、乾燥させて評価サンプルを作製した。得られた評価サンプルを顕微ラマン分光装置(商品名:顕微レーザーラマン分光光度計LabRAM HR Evolution、堀場製作所株式会社製)を用いて高速マッピングを行い、NV輝点を見つけ、個別輝点測定で詳細を分析した。
高速マッピングと個別輝点測定の条件を以下の表2、表3に示し、個別輝点測定で得られた蛍光ナノダイヤモンドの蛍光発光波長スペクトルを図1に示す。
Figure 2021134127
Figure 2021134127
顕微ラマン分析した結果、本発明で製造された蛍光ナノダイヤモンドについて、NVセンターに由来するZPLが確認できた。

Claims (3)

  1. 以下の工程1〜4を含む、その蛍光発光波長スペクトルがNV及び/又はNVのゼロフォノン線(ZPL)を示す蛍光ナノダイヤモンドの製造方法:
    工程1:少なくとも1種の爆薬を密閉容器内で爆発させてナノダイヤモンド原料を得る爆轟工程、
    工程2:前記ナノダイヤモンド原料或いは前記ナノダイヤモンド原料について強酸処理、オゾン処理又は気相酸化によりsp2炭素を除去して得られたナノダイヤモンドを1000℃〜1600℃の温度でアニーリングする第1アニーリング工程、
    工程3:第1アニーリング工程の後に、ナノダイヤモンドにイオンビーム又は電子ビームを照射する空孔形成工程、
    工程4:空孔を形成したナノダイヤモンドを600℃〜900℃の温度でアニーリングしてNV(Nitrogen-Vacancy)センターを形成する第2アニーリング工程。
  2. 爆轟工程で得られたナノダイヤモンド原料を強酸処理、オゾン処理又は気相酸化によりsp2炭素を除去した後に第1アニーリング工程に供する、請求項1に記載の蛍光ナノダイヤモンドの製造方法。
  3. 下記の工程5をさらに含む、請求項1又は2に記載の蛍光ナノダイヤモンドの製造方法。
    工程5:第2アニーリング工程で得られたナノダイヤモンドを気相酸化、オゾン酸化又は強酸処理するsp2炭素の除去工程。
JP2020033032A 2020-02-28 2020-02-28 蛍光ナノダイヤモンドの製造方法 Active JP7457529B2 (ja)

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