JP2021133987A - ポリエステル製容器及びその製造方法 - Google Patents

ポリエステル製容器及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2021133987A
JP2021133987A JP2020033723A JP2020033723A JP2021133987A JP 2021133987 A JP2021133987 A JP 2021133987A JP 2020033723 A JP2020033723 A JP 2020033723A JP 2020033723 A JP2020033723 A JP 2020033723A JP 2021133987 A JP2021133987 A JP 2021133987A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyester
container
polyester resin
neck ring
flexural modulus
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020033723A
Other languages
English (en)
Inventor
秀二 阿武
Hideji Abu
秀二 阿武
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2020033723A priority Critical patent/JP2021133987A/ja
Publication of JP2021133987A publication Critical patent/JP2021133987A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Containers Having Bodies Formed In One Piece (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Processing And Handling Of Plastics And Other Materials For Molding In General (AREA)
  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Blow-Moulding Or Thermoforming Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

【課題】胴部は柔軟性と透明性を有し、口部及び口部と胴部との間の領域が密栓後保管中の内圧上昇に対して変形することがなく、密封状態を保持できるポリエステル製容器及びその製造方法を提供する。【解決手段】胴部と、該胴部の上端に連なる口部とを有し、該口部は、ネックリングよりも上側のネックリング上側部と、該ネックリングと、ネックリングよりも下側に位置し、前記胴部に連なるネックリング下側部とを有するポリエステル製容器において、該ネックリング上側部及びネックリング下側部は、ネックリング上側部の上端部とネックリング下側部の下端部を除き、それぞれ曲げ弾性率の異なるポリエステル樹脂よりなる内層及び外層を有する2類2層構造を有するか、又は内層、外層及び両者間の中間層を有し、内層及び外層が同一のポリエステル樹脂よりなり、中間層がそれとは曲げ弾性率の異なるポリエステル樹脂よりなる2種3層構造を有することを特徴とするポリエステル製容器。【選択図】図1

Description

本発明は、ポリエステル製容器及びその製造方法に関する。詳しくは、液体や粉体などの保管に好適で内容物を排出しやすく、保管環境での変形が少ない、透明性と柔軟性と保管性に優れたポリエステル製容器及びその製造方法に関する。
ポリエステル製容器、例えばポリエチレンテレフタレート製容器は、ペットボトルに代表される様に、透明性、機械的強度、化学的安定性、ガスバリア性、保香性、衛生性等に優れ、また容器などの成形品を回収、洗浄粉砕し再度溶融成形することが可能であるため、環境面でも優れたリサイクル可能な包装容器等として広く用いられている。近年、容器の意匠性向上や廃棄しやすくするための減容化、更には内容物排出に伴い減容変形し外気流入を防ぐことで内容物劣化を抑制するためなどの目的で容器の柔軟性向上が求められている。樹脂そのものの柔軟性を高めると、内容物を密封した後の保管環境において、本来変形化してはならない口部など未延伸部が変形し、内容物密封状態の保持ができなくなるなどの不具合が生じる。そのため保管環境での変形が少なく、胴部は減容変形しやすい軟らかさを有するといった二律相反する特性を持つ容器が求められている。
特許文献1には、口部に耐熱性のある樹脂製ピースを使用した、変形しにくい口部を有する容器が提案されている。特許文献2には柔軟性を改良したポリエステル製容器が提案されている。胴部に柔軟性を持たせ、口部には胴部より耐熱性を有する樹脂ピースを用いた容器は、密封後の保管でも口部の変形が無く、柔軟な胴部による減容変形性を有する。
特開平4−97822号公報 特開2018−24754号公報
胴部に柔軟性を持たせ、口部には胴部より耐熱性を有する樹脂ピースを用いた容器においては、口部と胴部との間にある未延伸領域が保管環境で変形し、口部の密封状態が低下するおそれがある。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものである。
すなわち、本発明は、胴部は柔軟性と透明性を有し、口部及び口部と胴部との間の領域が密栓後保管中の内圧上昇に対して変形することがなく、密封状態を保持できるポリエステル製容器及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、口部及び口部ネックリング下から胴部延伸領域の間の未延伸領域を曲げ弾性率の異なる2種のポリエステル樹脂で構成し、口部及びネックリング下から胴部延伸領域の間の未延伸領域が曲げ弾性率の異なる2種のポリエステル樹脂により2種2層又は2種3層の構造を持たせることで、密栓後保管環境での内圧上昇に対して口部や口部ネックリング下から胴部延伸領域の間の未延伸領域が変形しないことを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は以下を要旨とする。
[1] 胴部と、該胴部の上端に連なる口部とを有し、該口部は、ネックリングよりも上側のネックリング上側部と、該ネックリングと、ネックリングよりも下側に位置し、前記胴部に連なるネックリング下側部とを有するポリエステル製容器において、該ネックリング上側部及びネックリング下側部は、ネックリング上側部の上端部とネックリング下側部の下端部を除き、それぞれ曲げ弾性率の異なるポリエステル樹脂よりなる内層及び外層を有する2類2層構造を有するか、又は内層、外層及び両者間の中間層を有し、内層及び外層が同一のポリエステル樹脂よりなり、中間層がそれとは曲げ弾性率の異なるポリエステル樹脂よりなる2種3層構造を有することを特徴とするポリエステル製容器。
[2] 開口部天面から口部内面及び胴部が曲げ弾性率の低いポリエステル樹脂により継ぎ目なく構成されていることを特徴とする[1]に記載の容器。
[3] 前記2種のポリエステル樹脂のうち曲げ弾性率が低いポリエステル樹脂の曲げ弾性率が1300MPa以下であることを特徴とする[1][2]に記載の容器。
[4] ネックリング下未延伸領域における曲げ弾性率の高いポリエステル樹脂層の厚さaが、全体の厚さbに対して0.3〜0.7であることを特徴とする[1][2][3]に記載の容器。
[5] 曲げ弾性率の高いポリエステル樹脂がポリエチレンテレフタレート樹脂であり、容器全体を粉砕した粉砕品を用い成形した厚さ2mm板のヘーズと曲げ弾性率の高いポリエステル樹脂を含む口部を除去し粉砕した粉砕品を用い成形した厚さ2mm板のヘーズとの差が5%以下であることを特徴とする「1」から[4」に記載の容器。
[6] 曲げ弾性率の低いポリエステル樹脂による口部天面の密度と底部の密度の差が0.10g/cm以上であることを特徴とする[1]〜[5]に記載の容器。
[7] 曲げ弾性率の低いポリエステル樹脂は、ダイマー酸及び/又はポリアルキレングリコールを含むポリエステル樹脂であることを特徴とする[1]〜[6]に記載の容器。
[8] ポリエステル樹脂Bのダイマー酸含有量が0.0〜30.0重量%以下、ポリアルキレングリコール含有量が0.0〜30.0重量%以下であり、ダイマー酸含有量とポリアルキレングリコール含有量との合計が12.0〜30.0重量%であることを特徴とする[7]に記載の容器。
[9] ポリアルキレングリコールが分子量200〜4000のポリエチレングリコールであることを特徴とする[7]、[8]に記載の容器
[10] [1]〜[9]のいずれかのポリエステル製容器を製造する方法であって、前記曲げ弾性率の高いポリエステル樹脂よりなる層及び曲げ弾性率の低いポリエステル樹脂よりなる層を有した口部と、該口部に連なる、曲げ弾性率の低いポリエステル樹脂よりなる胴部とを備えたプリフォームを成形する工程と、該プリフォームの該胴部を延伸ブロー成形する工程とを有するポリエステル製容器の製造方法。
[11] 前記プリフォームの口部の内層と前記胴部とが同一の前記曲げ弾性率の低いポリエステル樹脂よりなることを特徴とする[10]に記載のポリエステル製容器の製造方法。
[12] 前記プリフォームの口部における曲げ弾性率の高いポリエステル樹脂よりなる層は、予め製造された口部部材よりなることを特徴とする[10]又は[11]に記載のポリエステル製容器の製造方法。
本発明によれば、胴部は柔軟性と透明性を有し、密栓後保管中の内圧上昇に対して口部や口部のネックリング下側の未延伸領域が変形することがない容器を提供することができる。
実施の形態に係るポリエステル製容器の側面図である。 図2aは図1のポリエステル製容器の上部の拡大図、図2bは図2aのIIb−IIb線断面図である。 図3aは実施の形態に係るポリエステル製容器の上部の拡大図、図3bは図3aのIIIb−IIIb線断面図である。 図4aは実施の形態に係るポリエステル製容器の上部の拡大図、図4bは図4aのIVb−IVb線断面図である。 プリフォームの側面図である。 口部部材の縦断面図である。 容器の製造方法を示す側面図である。 図8aは比較例に係るポリエステル製容器の上部の側面図、図8bは図8aのVIIIb−VIIIb線断面図である。 図9aは比較例に係るポリエステル製容器の上部の側面図、図9bは図9aのIXb−IXb線断面図である。 図10aは比較例に係るポリエステル製容器の上部の側面図、図10bは図10aのXb−Xb線断面図である。 図11aは比較例に係るポリエステル製容器の上部の側面図、図11bは図11aのXIb−XIb線断面図である。
以下、本発明の実施の形態に係るポリエステル製容器及びその製造方法について説明する。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、上下は、口部が胴部の上側に位置するように容器を縦置きした状態における上下を表わす。また、添付図面の各断面図において切断面にハッチ又はドットを付してある。
[容器の形状]
図1は実施の形態に係るポリエステル製容器(以下、単に容器ということがある。)の側面図であり、右半分を縦断面としている。図2aは図1aの口部付近の拡大図、図2bは図2aのIIb−IIb線断面図である。図3、図4はそれぞれ別の実施の形態に係る容器の口部付近の構成を示している。
この容器は、容器本体部を構成する胴部4と、該胴部4の上端に、注ぎ出し部を構成する口部1とを有する。胴部2の上部は、口部1に向って縮径する形状の肩部3となっている。胴部4の底面には、上方に向って凹陥する凹部が設けられている。この凹部は、肉厚の大きい厚肉部5となっている。
口部1は、略円筒状であり、下部(下端よりも若干上位)に外向き鍔状のネックリング1bが設けられている。口部1は、該ネックリング1bと、ネックリング1bよりも上側のネックリング上側部1aと、ネックリング1bよりも下側のネックリング下側部1cとを有する。ネックリング下側部1cが胴部4に連なっている。ネックリング上側部1aの外周面に、雄ネジを構成する凸条(ネジ山)が設けられている。符号1eは口部1の天面(上端面)を示している。
なお、この実施の形態においては、ネックリング下側部1cの厚み(外周面と内周面との間の厚み)は、ネックリング上側部1aにおける凸条以外の部分の厚みよりも大きい。
[容器の層構造]
本発明では、ネックリング上側部及びネックリング下側部は、ネックリング上側部の上端部とネックリング下側部の下端部を除き、内層及び外層を有した2種2層構造又は内層、外層及び両者間の中間層を有した2種3層構造を有している。
2種2層構造の口部においては、内層を構成するポリエステル樹脂の曲げ弾性率が外層を構成するポリエステル樹脂の曲げ弾性率よりも小さいことが好ましい。2種3層構造の口部においては、内層と外層とが同一のポリエステル樹脂よりなり、中間層が、内層及び外層のポリエステル樹脂よりも曲げ弾性率が高いポリエステル樹脂よりなることが好ましい。
また、本発明では、この曲げ弾性率の低いポリエステル樹脂が口部の内層から胴部4までを構成することが好ましい。
<図2の容器の層構造>
図2においては、ネックリング上側部1aがポリエステル樹脂Aよりなる外層とポリエステル樹脂Bよりなる内層とを有した2種2層構造であり、ネックリング下側部1cがポリエステル樹脂Bよりなる外層及び内層とポリエステル樹脂Aよりなる中間層とを有した2種3層構造である。上端面1e付近及びネックリング下側部1bの下端付近は内層と同一のポリエステル樹脂Bにて構成されている。ネックリング1bは、上側が外層と同一のポリエステル樹脂Aにて構成され、下側が内層と同一のポリエステル樹脂Bにて構成されている。ただし、ネックリング1bはポリエステル樹脂A,Bの一方のみで構成されてもよい。
<図3の容器の層構造>
図3は、ネックリング上側部1a及びネックリング下側部1cのいずれも2種2層構造とした実施の形態に係る容器の口部を示している。即ち、図3では、ネックリング下側部1cもポリエステル樹脂Aよりなる外層とポリエステル樹脂Bよりなる内層との2層で構成されている。ネックリング1bは、全体が外層と同一のポリエステル樹脂Aにて構成されている。
<図4の容器の層構造>
図4は、ネックリング上側部1a及びネックリング下側部1cの双方を2種3層構造とした実施の形態に係る容器の口部を示している。即ち、図4では、ネックリング上側部1a及びネックリング下側部1bのいずれも、ポリエステル樹脂Bよりなる外層及び内層と、ポリエステル樹脂Aよりなる中間層Cの3層を有する。ネックリング1bは、上下方向の中間部にポリエステル樹脂Aよりなる介在層が存在している。この介在層は内方端が中間層に連なり、外方端がネックリング1bの外周端にまで達している。ネックリング1bのその他の部分はポリエステル樹脂Aにて構成されている。
なお、図2〜4は、口部の層構成の一例を示すものであり、本発明はこれら以外の層構成とされてもよい。例えば、ネックリング上側部を2種3層構造とし、ネックリング下側部を2種2層構造としてもよい。
このように、本発明の実施の形態に係る容器の口部は、曲げ弾性率の高い樹脂よりなる層(以下、高曲げ弾性率層ということがある。)を有する。そのため、内容物充填後密栓状態となった本発明の容器が、保管時に曲げ弾性率の低いポリエステル樹脂のガラス転移温度をこえた環境に置かれた場合でも、口部(ネックリング下側部を含む)が内圧上昇によって膨らむことが高曲げ弾性率層によって抑制される。
本発明のポリエステル製容器では、ネックリング下側部も、曲げ弾性率の高いポリエステル樹脂層と曲げ弾性率の低いポリエステル樹脂層とを有する2種2層又は2種3層の構造である。そのため、密封容器内圧が上昇したときの該ネックリング下側部の膨張変形が抑制される。
各実施の形態の通り、本発明のポリエステル製容器においては、口部1の天面1eから口部内面及び胴部が曲げ弾性率の低いポリエステル樹脂により継ぎ目なく構成されていることが好ましい。継ぎ目がないポリエステル製容器は、延伸ブロー成形による加熱や加圧変形に外れることなくブロー成形が可能である。また、継ぎ目がないポリエステル製容器は、微細な隙間などが生じる恐れがなく、密封状態を長期にわたって保持できる。
[ポリエステル樹脂の曲げ弾性率、各層の厚さ及び長さ等]
本発明のポリエステル製容器に用いられる曲げ弾性率の低いポリエステル樹脂は、曲げ弾性率が1300MPa以下であることが好ましく、1100MPa以下であることがより好ましく、900MPa以下であることが更に好ましく、また100MPa以上特に200MPa以上であることが好ましい。曲げ弾性率が1300MPa以下であると、十分な軟らかさが得られ、十分な体積減容や減容変形を有することができる。
曲げ弾性率の高いポリエステル樹脂は、曲げ弾性率が1800MPa以上であることが好ましく、1850MPa以上であることがより好ましく、1900MPa以上であることが更に好ましく、また4000MPa以下、特に3000MPa以下であることが好ましい。曲げ弾性率が1800MPa以上であると、容器の口部の変形が十分に防止される。
図2〜4に示されるように、本発明の一態様においては、ネックリング下側部1cは、曲げ弾性率の高いポリエステル樹脂よりなる層(図2,4では中間層、図3では外層)と、曲げ弾性率の低いポリエステル樹脂よりなる層(図2,4では内層及び外層、図3では内層)とを有する。ネックリング下側部1cにおける曲げ弾性率の高いポリエステル樹脂よりなる層の厚さをaとし、ネックリング下側部の全体の厚さ(内周面と外周面との間の厚さ)をbとした場合、両者の比a/bは、好ましくは0.30〜0.70、より好ましくは0.35〜0.65、さらに好ましくは0.40〜0.60である。
a/bが0.30以上であると、密封容器内圧が上昇しても、曲げ弾性率の低いポリエステル樹脂層が膨張変形することが十分に抑制され、ネックリング下側部の変形が十分に防止される。a/bが0.70以下であると、曲げ弾性率の低いポリエステル樹脂層の厚さが十分であり、延伸ブロー成形時にポリエステル樹脂層が破断することが防止され、ボトル成形効率に優れる。
本発明のポリエステル製容器は、後述のようにプリフォームを延伸ブロー成形する工程を含む方法によって製造することができる。
この延伸ブロー成形の過程において、胴部が延伸ブロー成形される。口部は、ネックリング下側部の最下端部(胴部との連接部)を除いて延伸されない。ネックリング下側部の最下端部は胴部に引っ張られるようにして延伸される。従って、延伸ブロー成形された容器のネックリング下側部は、延伸された最下端の延伸領域と、それよりも上側の延伸されない未延伸領域とを有する。
本発明の一態様では、ネックリング下側部における高曲げ弾性率層(曲げ弾性率の高いポリエステル樹脂からなる層)の上下方向の長さは、未延伸領域の上下方向の長さと同等であることが好ましい。これは、容器の形状により未延伸領域の長さが異なるためである。例えば、シャンペンやワイン用の容器では、未延伸領域の長さが長くなる場合があり、お茶などの容器では未延伸領域の長さが短くなることがある。未延伸領域の長さが高曲げ弾性率層の長さよりも長い場合、未延伸領域に曲げ弾性率の低いポリエステル樹脂のみによる層が存在するため膨張変形するおそれがある。逆に未延伸領域の長さが高曲げ弾性率層よりも短い場合、延伸ブロー成形時に曲げ弾性率の高いポリエステル樹脂層は延伸されず、厚さが薄い曲げ弾性率の低いポリエステル樹脂層のみが延伸され、層間に剥離などが生じて破断するなどして延伸ブロー成形が不安定になる可能性がある。高曲げ弾性率層の長さは、プリフォーム形状や容器形状による未延伸領域の長さに合わせ設定されることが好ましい。
本発明のポリエステル製容器において、容器全体を粉砕した粉砕品を用い射出成形した成形板のヘーズと、曲げ弾性率の高いポリエステル樹脂を含む口部を除去した容器を粉砕した粉砕品を用い射出成形した成形板のヘーズとが、共に低く、且つ両ヘーズ値の差が大きい方のヘーズ値の5%以下であることが好ましい。
現状のペットボトルリサイクルシステムは、ペットボトルの原材料であるポリエチレンテレフタレートを再利用するシステムであるため、ポリエチレンテレフタレートとの混合使用で成形品の透明性に影響を及ぼす樹脂・容器はリサイクル不可である。曲げ弾性率の高いポリエステル樹脂としてポリエチレンテレフタレートを用い、容器全体を粉砕した粉砕品を用いた射出成形板が低いヘーズで透明であるため、ペットボトルのリサイクルシステムに影響を及ぼさないペットボトルとしてリサイクル使用が可能となり、環境への影響が少ないリサイクル可能な容器として取り扱うことができる。逆に、容器全体の粉砕品を用いた射出成形板が高いヘーズである場合、ペットボトルのリサイクルシステムに影響を及ぼす可能性があるためペットボトルとしてリサイクル使用できない。そのため、その他のプラスチックとして廃棄されることなり環境への影響が大きいため容器の使用用途が限られる可能性がある。
本発明のポリエステル製容器において、曲げ弾性率の低いポリエステル樹脂からなる胴部のIVは0.50dL/g〜1.20dL/gであることが好ましく、0.55〜1.10dL/gの範囲であることがより好ましく、0.60〜1.00dL/gの範囲であることがさらに好ましい。曲げ弾性率の低いポリエステル樹脂からなる胴部のIVが上記範囲より低い場合、密封容器内圧上昇による膨張変形を抑えることができず胴部が膨らんでしまい、内容物の入り味低下や胴径増加により取扱不能になる可能性がある。逆にIVが高い場合、膨張変形を抑えるためには適しているが、樹脂の粘度が高くなり射出成形や延伸ブロー成形が困難になる傾向がある。
本発明のポリエステル製容器において、曲げ弾性率の低いポリエステル樹脂からなる底部未延伸領域が加熱結晶化されていることが好ましい。底部未延伸領域が非晶状態である場合、底部肉厚を厚くすることで密封容器内圧上昇による膨張変形を抑えることは可能であるが、樹脂使用量が多くなるという不具合がある。底部未延伸領域を加熱結晶化されていることで、底部肉厚が薄いまま密封容器内圧上昇による膨張変形を抑えることが可能となる。加熱結晶化されることにより結晶化前より密度が高くなるため、結晶化された底部の密度と結晶化されていない口部天面密度との差が0.10g/cm以上であることが好ましく、差が0.11g/cm以上であることがより好ましく、差が0.12g/cm以上であることがさらに好ましい。
[容器の成形方法]
次に、容器の成形方法について説明する。
本発明の容器の成形方法の一態様では、曲げ弾性率の高いポリエステル樹脂よりなる口部部材と、該口部部材の天面及び内面を覆い且つ胴部と底部までを構成する曲げ弾性率の低いポリエステル樹脂製部分とを有したプリフォームを成形後、このプリフォームを延伸ブローする。
なお、図5はプリフォームの一例を示し、図6は口部部材の一例を示している。
<プリフォームの成形方法>
ポリエステル樹脂を複数種用いてプリフォームを製造する方法としては、
各ポリエステル樹脂の製造時に溶融状態のまま混練してペレット化した後、プリフォームを溶融成形する方法;
各ポリエステル樹脂をペレット状にした後、2種以上のポリエステル樹脂ペレットを乾式混合し、溶融混練してペレット化し、該ペレットを用いプリフォームを溶融成形する方法;
各ポリエステルペレットを乾式混合し、直接プリフォームの溶融成形を行う方法;
が例示される。溶融混練時の温度は通常240〜300℃程度である。
各成分の含有量制御の容易性等を考慮した場合、本発明の容器に好適なポリエステルの成分の一部を含むポリエステル樹脂を複数種用い、これらを溶融混練して所望のポリエステル樹脂組成物を得ることが好ましい。
ポリエステル樹脂を用いてプリフォームを成形する方法として、特に限定されるものではないが、射出成形、圧縮成形、押出成形、切削加工成形などが挙げられる。その中でも生産性や成形品の寸法精度の点において射出成形が好適である。
曲げ弾性率の高いポリエステル樹脂よりなる口部部材を有し、胴部が曲げ弾性率の低いポリエステル樹脂よりなるプリフォームを成形する方法の好適な方法として以下のプリフォーム成形方法1又は2が挙げられる。
≪プリフォーム成形方法1≫
まず曲げ弾性率の高いポリエステル樹脂Aを用いた口部部材を製造する。次にプリフォーム用金型の口部位置に当該口部部材を配した後、プリフォーム金型内に可塑化させた曲げ弾性率の低いポリエステル樹脂Bを注入しプリフォームを成形する。口部にネジ山がある容器の場合は、口部部材に最終形状(プリフォーム形状)のネジ山と同じネジ山を有すると、プリフォーム金型が型締めした時にネジ山を挟みつぶす可能性がある。このため、
(i) 口部部材成形後、口部部材をネジ山側金型(キャビティ型)から離型することなくキャビティ金型ごとプリフォーム金型に装着し成形することで口部部材の位置を寸分のズレなくプリフォーム型内に装着する方法、
(ii) ネジ山が無い形状の口部部材を成形し、該口部部材をプリフォーム金型内に挿入しポリエステル樹脂Bで内面から天面まで成形した後、天面からネジ山も曲げ弾性率の低いポリエステル樹脂で成形する方法、
(iii) 最終形状のネジ山を有した口部部材を製造し、ネジ山部分のみ一回り大きく加工されたプリフォーム金型内に配置し、プリフォーム金型が口部部材のネジ山部に触れない状態でポリエステル樹脂Bを充填する方法
などが好ましい。
≪プリフォーム成形方法2≫
曲げ弾性率の高いポリエステル樹脂を可塑化する可塑化設備と曲げ弾性率の低いポリエステル樹脂を可塑化する可塑化設備を用いる。それぞれの樹脂を可塑化させた後、それぞれの樹脂をプリフォーム金型内の所定の部位に充填するように注入しプリフォームを成形する。
プリフォームの成形は、方法1,2のいずれでもよい。ただし、既に形作られている口部部材をプリフォーム用金型内に配置する方法1の方が、硬質ポリエステル樹脂よりなる口部部材の位置精度や寸法精度が優れている点で好ましい。
<延伸ブロー成形>
前述のプリフォームを用いて容器を延伸ブロー成形する方法の一態様では、プリフォーム胴部を延伸可能な温度(ガラス転移温度+10℃〜50℃)に調整した後、容器形状のブロー金型内にてロッドでプリフォーム長さ方向に延伸しながら高圧エアーを吹き込み径方向にも膨らませ容器形状に成形する。
プリフォームの温度を調整する方法として、金型から取り出した直後のプリフォーム余熱を用いそのまま或いは温調し延伸ブロー成形する方法(1ステージ法、又はホットパリソン法と称される)や、プリフォームを一旦室温まで冷却し、後に再度プリフォーム胴部を温調し延伸ブロー成形する方法(2ステージ法又はコールドパリソン法と称される)などが挙げられる。
1ステージ法においては、プリフォーム金型を口部・胴部・底部などに分割し、口部金型はプリフォーム口部が十分に冷却されるよう冷却し、胴部金型はプリフォーム胴部が延伸ブローに適した温度になるよう調整し、底部は冷却させるか必要に応じ結晶化を促進させるために適した温度に調整される。
2ステージ法においては、室温まで冷却されたプリフォームを外部から加熱し胴部が延伸ブローに適した温度になるよう調整する。加熱方法として赤外線加熱、レーザー加熱、誘導加熱、熱風加熱などがあり特に限定されるものではないが、加熱効率や温度分布制御などの点から近赤外線加熱が好ましい。加熱炉は、プリフォーム高さ方向に温度調整できるよう複数の加熱源(例えば石英管近赤外線管ヒーター)が並べられたものが好ましい。
図7は石英管近赤外線管ヒーター12を用いてプリフォーム11を加熱する一例を示している。加熱中における周方向の温度ムラを抑えるために、プリフォーム11を周方向に自転させ加熱する。
口部からネックリング下面を加熱しないようにするために、遮熱板13などで加熱源からの熱を遮蔽できる構造が好ましく、口部先端部からネックリング下側部を冷却できる構造がさらに好ましい。
胴部の高さ方向温度分布を延伸ブローに適した温度に調整することで、延伸ブローされた容器の高さ方向肉厚分布調整する。
プリフォーム底部を加熱結晶化させる場合は、底部を加熱する加熱源の出力を調整することで、プリフォーム加熱時に底部の温度を加熱結晶化に適した温度に調整する。この時、加熱結晶化に適した温度域は、延伸ブローに適した温度より高いため、伝熱などによりプリフォーム胴部底部側の温度に影響を及ぼす恐れがある。そのため、胴部と底部の間に遮熱板14を設け、底部を加熱結晶化させるための熱が胴部を加熱しないようにすることが好ましい。
延伸ブローされた胴部は、分子鎖を配向させたため応力が残留している。延伸されただけの状態では、ガラス転移温度以上の環境下で応力緩和するための寸法変化(収縮)が発生する。ポリエチレンテレフタレートなどの曲げ弾性率が高いポリエステルのガラス転移温度は日常の使用や保管における環境温度である40℃前後より高い温度であるため、応力緩和するための寸法変化は生じない。しかし、曲げ弾性率が低いポリエステルでは、柔軟性を付与した結果、ガラス転移温度が日常の使用や保管環境温度並みかそれより低い温度となることが多く、寸法変化する可能性がある。そのため、延伸された胴部が日常の使用や保管環境温度で寸法変化しないように耐熱性を付与する必要がある。延伸された胴部に耐熱性を付与するように成形する方法として以下の(a),(b)又は(c)の方法が挙げられる。
≪成形方法a:1組のブロー金型により賦形と耐熱性付与を行う成形方法≫
ボトルを延伸ブローする際に用いるブロー金型の温度をプリフォーム胴部のガラス転移温度から融点より低い温度に加熱しておき、そのブロー金型内で延伸ブロー成形を行う。延伸ブロー成形中に、加熱されたブロー金型に延伸された胴部が接することにより胴部が加熱されることで、延伸された胴部に発生した応力を緩和させる。この間、高圧のブローエアーをかけた状態で保持されることにより、収縮による寸法変化を抑えたまま応力緩和と結晶化の促進がなされる。この応力緩和と結晶化の促進に要する時間は1から数十秒間であり、その後容器の冷却とブローエアーの排出を行い金型から容器を取り出す。
容器の冷却方法としては、次の冷却方法1,2が例示される。
冷却方法1:加熱されていたブロー金型の温度を室温かそれ以下に冷却し延伸された容器の温度が寸法変化(収縮)しない温度まで冷却したのちブローエアーを排出し容器を取り出す(外部冷却)。
冷却方法2:ブローエアーの圧力で高温のブロー金型容器を接触させる応力緩和時間が経過した後、容器内のブローエアーを急激に排出し、容器内空気の断熱膨張による急激な温度低下を利用して容器胴部を内部から急速に冷却し、併せて容器内部の空気を排出可能な状態にしたまま高圧エアーを吹き込み、空気を急速に循環させて空冷し、容器の温度が寸法変化(収縮)しない温度まで冷却された後速やかに高圧エアー吹き込み停止と容器取り出しを行う(内部冷却)。
≪成形方法b:複数のブロー金型により賦形と耐熱性付与を分けて行う成形方法(1)≫
最終の容器形状より胴径と高さが1.1倍から1.5倍の形状となるブロー金型で延伸ブロー成形を行う(1次ブロー)。この時の金型温度をプリフォームの融点より20℃から50℃低い温度に設定しておく。この高温金型内で延伸ブロー成形を実施し、容器胴部を高温金型表面に接触させることで応力緩和と結晶化の促進を施した後、ブローエアーを排出し、成形された容器を取り出す。容器自体が余熱で熱いため、容器自身の熱により寸法変化(収縮)する状態のまま、容器を速やかに最終の容器形状となるブロー金型内に移送する。
次いで、収縮した容器が最終の容器形状より一回り小さくかつ延伸ブロー可能な温度である状態でブロー成形を行う(2次ブロー)。2次ブローでの変形量は収縮した状態の容器から最終形状への変形であるため、プリフォーム形状から最終形状への変形量より格段に小さい。そのため生じる残留応力が小さくなり容器取り出し後の寸法変化が小さくできる、この時の金型温度は室温またはプリフォームの融点より50℃から100℃低い温度に設定しておく。金型温度が低いほうが、容器を取り出した際の収縮が小さくできるため好ましい。容器の取り出しは、前述の外部冷却または内部冷却のどちらでも構わない。
≪成形方法c:複数のブロー金型により賦形と耐熱性付与を分けて行う成形方法(2)≫
最終の容器形状より胴径と高さが1.1倍から2.0倍の形状となるブロー金型で延伸ブロー成形を行う(1次ブロー)。この時の金型温度としては、室温から融点より20℃程度低い温度に設定しておく。この金型内で延伸ブロー成形を実施した後、ブローエアーを排出し容器を取り出す。取り出された容器は金型温度によって収縮する場合と収縮しない場合とがある。取り出された容器を口部が遮熱できる加熱炉内に移送し、胴部を加熱する。
加熱方法として赤外線加熱、レーザー加熱、誘導加熱、熱風加熱などがあり特に限定されるものではないが、加熱効率や温度分布制御などの点から近赤外線加熱が好ましい。加熱炉は、プリフォーム高さ方向に温度調整できるよう複数の加熱源(例えば石英近赤外線管ヒーター)が並べられたものが好ましい。また加熱中に容器は周方向に自転していることが周方向の温度ムラを抑える点で好ましい。
容器自体が余熱で熱いため容器自身の熱により寸法変化(収縮)する状態のまま、容器を速やかに最終の容器形状となるブロー金型内に移送し、収縮した容器が最終の容器形状より一回り小さくかつ延伸ブロー可能な温度である状態でブロー成形を行う(2次ブロー)。
前述の方法と同様に、2次ブローでの変形量は収縮した状態の容器から最終形状への変形であるため、プリフォーム形状から最終形状への変形量より格段に小さい。そのため生じる残留応力が小さくなり容器取り出し後の寸法変化が小さくできる、この時の金型温度は室温またはプリフォームの融点より50℃から100℃低い温度に設定しておく。金型温度が低いほうが、容器を取り出した際の収縮が小さくできるため好ましい。容器の取り出しは、前述の外部冷却または内部冷却のどちらでも構わない。
[蒸着膜の成膜(任意)]
取り出された容器の外面及びまたは内面に、炭素やシリカ等無機物の蒸着膜を成膜してもよい。これにより、容器のガスバリア性能を向上させることができる。
[ポリエステル樹脂組成物]
本発明の容器に好適なポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分とジオール成分とが重縮合されている樹脂である。代表的なポリエステル樹脂としては、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、ジオール成分としてエチレングリコールを主成分としたポリエチレンテレフタレート樹脂が挙げられる。ジカルボン酸成分やジオール成分の一部または全部を変更もしくは追加することにより融点や結晶性やガラス転移温度といった物理的性質や強度や耐熱性といった機械的性質、耐薬品性などの化学的性質を変更することが可能となる。
本発明の容器は曲げ弾性率が異なる2種のポリエステル樹脂を用いて製造される。
曲げ弾性率の高いポリエステル樹脂としては、ジカルボン酸成分として主成分がテレフタル酸であり、ジオール成分として主成分がエチレングリコールであるポリエチレンテレフタレート樹脂が好適である。ポリエチレンテレフタレート樹脂はペットボトルで使用されており使用済みペットボトルの回収と再利用システムが確立されているため環境負荷の少ない樹脂として用いられている。曲げ弾性率や使用済みペットボトルの回収再利用システムに影響を及ぼさない範囲で他のジカルボン酸成分例えばイソフタル酸等やジオール成分例えば1,4−シクロヘキサンジメタノールや1,4−ブタンジオール等他の成分を追加できる。
曲げ弾性率の低いポリエステル樹脂としては、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸とイソフタル酸とダイマー酸を有し、ジオール成分としてエチレングリコールとジエチレングリコールを有したポリエステル樹脂、または、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸とイソフタル酸を有し、ジオール成分としてエチレングリコールとジエチレングリコールとポリアルキレングリコールを有したポリエステル樹脂、または、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸とイソフタル酸とダイマー酸を有し、ジオール成分としてエチレングリコールとジエチレングリコールとポリアルキレングリコールを有したポリエステル樹脂が好ましい。
前述のポリエステル樹脂を得る方法として、特に限定されるものではないが、所定量のジカルボン酸成分とジオール成分とのエステル化又はエステル交換反応、重縮合反応により所望の成分を含むポリエステルとして製造する方法や、本発明の容器に好適なポリエステルの成分の一部を含むポリエステルを複数種用いこれらを溶融混練して所望のポリエステルを得る方法がある。必要に応じて得られたポリエステルを更に固相重縮合反応する工程を経て分子量を高くしたポリエステルを製造することができる。
曲げ弾性率の低いポリエステル樹脂において、ダイマー酸の含有量は、0.0〜30.0重量%から選ばれる。ダイマー酸共重合ポリエステル樹脂を主成分とする場合は、ダイマー酸の含有量としては5.0〜27.0重量%であることが好ましく、8.0〜24.0重量%の範囲であることがより好ましく、10.0〜21.0重量%の範囲であることが特に好ましい。ポリアルキレングリコールの含有量は、0.0〜30.0重量%から選ばれる。ポリアルキレングリコール共重合ポリエステルを主成分とする場合は、ポリアルキレングリコールの含有量としては、4.0〜30.0重量%であることが好ましく、5.0〜27.0重量%の範囲であることがより好ましく、7.0〜24.0重量%の範囲であることが特に好ましい。いずれの場合も、ダイマー酸含有量とポリアルキレングリコール含有量の合計量は、12.0〜30.0重量%の範囲であることが好ましく、13.0〜29.0重量%の範囲であることがより好ましく、14.0〜28.0重量%の範囲であることが特に好ましい。ダイマー酸またはポリアルキレングリコール及びその合計量が上記範囲に満たない場合、曲げ弾性率が高くなり減容変形させるための柔軟性が不十分となる。また、ダイマー酸またはポリアルキレングリコール及びその合計量が上記範囲より大きい場合、結晶化しやすい樹脂となり容器の透明性が劣る可能性や、容器を再利用するために容器粉砕品をペットボトル粉砕品と混ぜて使用した場合の成形品が白濁し再利用不能となる可能性がある。
前述のポリアルキレングリコールとして、重量平均分子量が200〜4000のポリエチレングリコールが好ましく、より好ましくは400〜3000であり、更に好ましくは800〜2000である。分子量が上記範囲より小さい場合、含有するポリエチレングリコールのモル数が多くなるため、樹脂の融点が低くなり耐熱性が不十分な樹脂となる。分子量が上記より大きい場合、樹脂が白濁し透明な樹脂及び成形品を得ることができなくなる。
本発明のポリエステル製容器に用いられるポリエステル樹脂組成物には、その用途に応じて、柔軟性や耐熱性などに影響を及ぼさない範囲で、更に結晶核剤、酸化防止剤、着色防止剤、顔料、染料、紫外線吸収剤、離型剤、易滑剤、難燃剤、帯電防止剤、無機及び/又は有機粒子等を配合することができる。
〔容器の用途〕
本発明のポリエステル樹脂製容器は、柔軟性に優れ、透明性が良好であり、成形品を粉砕し再利用した場合の成形品透明性に影響がないことより、中身の視認性と再利用適性が求められる食品容器や内容物を容易に排出させることができる容器として有用である。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
[用いたポリエステル樹脂]
以下の実施例及び比較例では以下のポリエステル樹脂を用いた。
<曲げ弾性率の高いポリエステル樹脂>
曲げ弾性率の高いポリエステル樹脂として、三菱ケミカルインドネシア社製ポリエチレンテレフタレート樹脂「BK2180」(以下、ポリエステルHということがある。)を用いた。
このポリエステルH中の各成分の含有量及び曲げ弾性率を後掲の表1に示す。
<曲げ弾性率の低いポリエステル>
曲げ弾性率の低いポリエステルとしては、下記のポリエステル1(実施例1,4,5,7〜9、比較例1〜4)、ポリエステル2とポリエステルHとの混合物(実施例2)、ポリエステル2とポリエステル3との混合物(実施例3)、ポリエステル4(実施例6)、ポリエステルHとポリエステル1との混合物(実施例10)を用いた。2種のポリエステルを用いる場合の混合比を後掲の表2に示す。
≪曲げ弾性率の低いポリエステル1:ダイマー酸単位を含むポリエステル≫
テレフタル酸、イソフタル酸は重合後のポリエステル中においてそれぞれ58.5重量%、3.5重量%となる量、エチレングリコールはテレフタル酸とイソフタル酸の合計量に対しモル比で1.2倍となる量を攪拌装置、昇温装置及び留出液分離塔を備えたエステル化反応槽に仕込み、温度250℃、圧力0.90kg/cmにてエステル化反応を4時間行った。次に、温度250℃、常圧下で4時間エステル化反応を行ない、ポリエステル低重合体(オリゴマー)を得た。
次いで、該オリゴマーを、留出管を備えた攪拌機付き重縮合反応槽へ移送し、炭素数36の水添ダイマー酸(クローダジャパン社製「Pripol1009」)を重合後のポリエステル中において17.5重量%となる量添加し、さらに触媒として二酸化ゲルマニウムのエチレングリコール溶液を、安定剤として正リン酸のエチレングリコール溶液を添加した。
該重縮合反応槽内温度を280℃に保ちながら、2時間かけて圧力を0.13kPaに減圧し、次いで、同圧力にて3時間反応を行った後、反応系を常圧に戻し、反応を終了した。
得られたポリエステルを該重縮合反応槽の底部からストランドとして抜き出し、水中を潜らせた後、カッターで該ストランドをカットすることによりポリエステル1のペレットを得た。各成分の含有量は以下の通りであった。
テレフタル酸成分 : 58.5重量%
イソフタル酸成分 : 3.3重量%
ダイマー酸成分 : 17.4重量%
エチレングリコール成分 : 18.8重量%
ジエチレングリコール成分 : 2.0重量%
≪曲げ弾性率の低いポリエステル2:ポリエチレングリコール単位を含むポリエステル≫
テレフタル酸を重合後のポリエステル中に61重量%となる量、エチレングリコールはテレフタル酸に対しモル比で1.2倍となる量を攪拌装置、昇温装置及び留出液分離塔を備えたエステル化反応槽に仕込み、温度250℃、圧力0.90kg/cmにてエステル化反応を4時間行った。次に、温度250℃、常圧下で4時間エステル化反応を行ない、ポリエステル低重合体(オリゴマー)を得た。
次いで、該オリゴマーを、留出管を備えた攪拌機付き重縮合反応槽へ移送し、重量平均分子量が1000であるポリエチレングリコールのエチレングリコール溶液をポリエチレングリコールが重合後のポリエステル中において20重量%となる量添加し、さらに触媒として二酸化ゲルマニウムのエチレングリコール溶液を、安定剤として正リン酸のエチレングリコール溶液を添加した。さらに生成するポリマーに対して0.35重量部となる、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(チバ・ガイギー社製「Irganox1330」)をエチレングリコール溶液で添加した。また重合時の発泡を抑えるためシリコンオイル(信越化学社製「KF−54」)のエチレングリコール溶液を添加した。
該重縮合反応槽内温度を280℃に保ちながら、2時間かけて圧力を0.13kPaに減圧し、次いで、同圧力にて3時間反応を行い、反応系を常圧に戻し反応を終了した。得られたポリエステルを該重縮合反応槽の底部からストランドとして抜き出し、水中を潜らせた後、カッターで該ストランドをカットすることによりポリエステル2のペレットを得た。各成分の含有量は以下の通りであった。
テレフタル酸成分 : 61.2重量%
エチレングリコール成分 : 17.7重量%
ジエチレングリコール成分 : 1.1重量%
ポリエチレングリコール成分 : 20.0重量%
≪曲げ弾性率の低いポリエステル3:ポリエチレングリコール単位を含むポリエステル≫
攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計、留出管を備えたエステル交換反応槽に、ジメチルテレフタレート64.1重量部、1,4−ブタンジオール(以下1.4BG)36.8重量部、ポリエチレングリコール(重量平均分子量2000)30重量部、触媒としてテトラブチルチタネートを金属チタン換算で、生成するポリマーに対して33ppmとなるように1,4BG溶液として添加した。次いで、槽内液温を150℃に60分保持した後90分かけて210℃まで昇温し210℃で30分保持した。この間、生成するメタノールを留出させつつ、合計180分エステル交換反応を行った。
エステル交換反応終了の15分前に、酢酸マグネシウム・四水塩を1,4BGに溶解して添加し、さらにヒンダードフェノール系酸化防止剤(チバ・ガイギー社製「Irganox 1010」)を1,4BGのスラリーとして加え、引き続き、テトラブチルチタネートを1,4BGの溶液として添加した後、攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計、留出管、減圧用排気口を備えた重縮合反応槽に移送し減圧を付加して、重縮合反応を行った。
重縮合反応は槽内圧力を常圧から0.4kPaまで85分かけて徐々に減圧し、0.4kPa以下で継続した。反応温度は減圧開始から15分間210℃に保持し、以後、この反応の最高温度240℃まで45分間で昇温し、この温度で1時間保持し、その後最終温度235℃となるようにコントロールした。最終温度は235℃である。所定の撹拌トルク(IV=1.20dL/gに相当)に到達した時点で反応を終了した。重縮合反応に要した時間は150分であった(重縮合反応時間は減圧開始から窒素で復圧までの時間とした。)。
次に槽内を減圧状態から窒素で復圧し、次いでポリマー抜出しのため加圧状態にした。抜出しの際の口金の熱媒温度を230℃としてポリマーを口金からストランド状に抜き出し、次いで冷却水槽内でストランドを冷却した後、該ストランドをカッターでカットすることによりポリエステル3のペレットを得た。各成分の含有量は以下の通りであった。
テレフタル酸成分 : 47.1重量%
ポリエチレングリコール成分 : 30.0重量%
1,4−ブタンジオール成分 : 22.9重量%
≪曲げ弾性率の低いポリエステル4:ダイマー酸単位を含むポリエステル≫
ダイマー酸(クローダジャパン社製「Pripol1009」)を重合後のポリエステル中において23.5重量%となる量添加した以外はポリエステル1の製造と同様に実施して、ポリエステル4のペレットを得た。各成分の含有量は以下の通りであった。
テレフタル酸成分 : 53.6重量%
イソフタル酸成分 : 3.2重量%
ダイマー酸成分 : 23.5重量%
エチレングリコール成分 : 17.8重量%
ジエチレングリコール成分 : 1.9重量%
以下の実施例及び比較例では、上記のポリエステル1〜4及びHの1種又は2種よりなるポリエステル樹脂を用いている。各実施例及び比較例で用いた曲げ弾性率の低いポリエステル樹脂の組成と曲げ弾性率を表2に示す。
[曲げ弾性率の高いポリエステルHを用いた口部部材の製造]
樹脂ペレットを棚段式乾燥機により140℃で4時間窒素流通下にて乾燥し、射出成形機(日精樹脂工業社製「FE80S12ASE」)を用いて図5に示した形状及び寸法のプリフォームを射出成形した。このプリフォームの口部について旋盤を使用し削り出し加工した後、胴部を切り離し、図6に示す形状の口部部材15を製造した。
上記の射出成形条件は次の通りである。
成形温度:280℃(シリンダー設定)
金型温度:16℃(チラー水設定温度)
金型内への充填時間:1秒
保圧時間:14秒
冷却時間:30秒
[口部部材及び曲げ弾性率の低いポリエステル樹脂を用いたプリフォームの製造]
金型内の口部位置に口部部材を挿入した後、棚段式乾燥機により140℃で4時間窒素流通下にて乾燥した樹脂ペレットを射出成形機(日精樹脂工業社製「FE80S12ASE」)から、以下の条件で金型内に射出し、図5に示す形状及び寸法のプリフォームを成形した。
成形温度:280℃(シリンダー設定)
金型温度:16℃(チラー水設定温度)
金型内への充填時間:1秒
保圧時間:14秒
冷却時間:30秒
<プリフォームを用いた延伸ブローによる容器の成形>
図7の通り、自転可能なマンドレルにプリフォーム11を倒立状態で挿入し、高さ方向に7列の石英管近赤外線ヒーター12を配置し、口部と底部相当位置に遮熱板13,14が取り付けられた加熱部内でプリフォームを自転させながら加熱する。胴部の温度分布が延伸ブローに適した温度分布となるように、かつ、底部は結晶化するようにヒーター出力と加熱時間を調整して加熱した後、内容積530mLボトル(形状は図1の通り。)用ブロー金型内に移送する。ブロー金型は、熱媒と冷媒の流入が可能な構造であり、最初に熱媒を金型内に流入させ金型温度を80℃に温調しておく。
プリフォームを収容したブロー金型を型締めした後、プリフォーム内部に直径10mmのロッドを挿入し、プリフォームを高さ方向に延伸する。ロッドでプリフォームを30mm延伸した時点でプリフォーム内に、1秒間、1MPaのエアーを吹き込む。次いで20秒間3MPaのエアーで加圧しプリフォームを容器形状に賦形する。3MPaのエアーによる加圧が開始されて3秒後に、熱媒の流入停止と、代わりの10℃の冷媒流入を開始し、金型を冷却する。20秒間の3MPaエアーによる加圧が終了した時点で内圧を速やかに排気する。この時点の金型表面温度は30℃程度とする。排気後、金型を開き、延伸ブロー容器を脱型する。
[測定・評価方法]
以下の実施例及び比較例で製造したポリエステル樹脂及び容器の成形性・物性ないし特性の測定、評価方法は以下の通りである。
<ポリエステル中の各ジカルボン酸単位及び各ジオール単位の定量>
ポリエステル(ペレット又はその混合物)約20mgを重クロロホルム/重ヘキサフルオロイソプロパノール(重量比7/3)の混合溶媒0.75mLに溶解させ、重ピリジン25μLを添加して試料溶液とした。該試料溶液を外径5mmのNMR試料管に入れ、核磁気共鳴装置(Bruker社製「AVANCE400」)を用い、室温で1H−NMRスペクトルを測定し、ポリエステル樹脂に対する各ジカルボン酸単位及びジオール単位の重量割合を求めた。
<曲げ弾性率>
金型として、機械物性評価用金型を用いたこと以外は上記プリフォームの成形方法と同一条件で射出成形を行って試験片を製造した。この試験片により以下の条件で曲げ弾性率を測定した。
曲げ試験機 東洋精機製作所社製 曲げ試験機:ベンドグラフII 型式:B
試験方法 JIS K7171
ロードセル2kN
試験速度=2mm/min
試験片:80mm×10mm×2mm
支点間距離:64mm
圧子=5R、支持台=5R
弾性率算出:P1=0.05%、P2=0.25%
<容器胴部ヘーズ>
ボトル胴部平坦部より2cm×3cm程度のサンプルを切り出し、サンプルのヘーズをヘーズメーター(日本電色工業社製「NDH−300A」)にて測定した。
<密度測定>
ボトル底部の未延伸領域より一辺が2〜3mmのサンプルを切り出し底部サンプルとし、口部天面より内部の曲げ弾性率が高いポリエステル樹脂による部材を含まない一辺が1〜3mmのサンプルを切り出し天面サンプルとした。これらのサンプルを臭化ナトリウム水溶液による密度勾配管に浸漬させ気泡付着の無いことを確認し密度を測定した。
<延伸ブロー成形性>
プリフォームを30本延伸ブロー成形実施し、成形時破裂や破断が発生した本数を数え、不良本数が0の場合を◎、1〜5本の場合を〇、6〜10本の場合を△、11本以上を×とした。
<口部耐熱性、ネックリング下耐熱性、底部耐熱性>
延伸ブロー成形で得られた容器10本に、2.5ガスボリューム(以下GV)の炭酸水を充填し、ポリプロピレン製1ピースキャップで密栓する。密栓された容器を40℃・75%RH環境内で3日間保管し、口部やネックリング下未延伸部及び底部に膨らみ等変形がないか確認した。膨らみが発生した本数を数え、0本の場合を◎、1・2本の場合を〇、3〜5本の場合を△、6本以上を×とした。
<胴部耐熱性>
口部耐熱性確認時に、胴部外径変化を確認する。密栓された直後の(40℃保管前)胴部外径に対する保管後の外径の変化率((保管後外径−保管前外径)/保管前外径)を評価し、変化率が20%以下であることを良好とした。
<容器密封性>
40℃保管前の密封容器内GVと口部耐熱性確認した容器内のGVを測定し、GVの変化率((保管前GV−保管後GV)/保管前GV)が15%以内であることを良好とした。GVの測定は、京都電子製ガスボリュームアナライザー「GVA」を使用した。
<容器減容性>
容器内に水道水を500mL充填し正立させる。次に容器を倒立させ、口部より内容水を自由流出させる。この時、口部より外気が流入し一旦内容水の流出が途切れた時点で容器を正立に戻し容器内の残留水量を確認する。残留水量が250mL未満を減容性良好とし、残留水量250mL以上を不十分とした。
<再利用成形品ヘーズ>
容器全体を粉砕機(ホーライ社製V形粉砕機「V−360」、スクリーン穴直径8mm)を用いて粉砕し、棚段式乾燥機にて140℃6時間乾燥窒素流通下にて乾燥し、射出成形機(日精樹脂工業社製「FE80S12ASE」)を用い以下の条件で110mm×110mm×2mm厚の板を成形しヘーズを測定し全体使用時再利用品ヘーズとした。同様に、口部を切断し曲げ弾性率の高いポリエステルを含まない容器を粉砕機にて粉砕し同様に2mm厚の板を成形しヘーズを測定し口部除去時再利用品ヘーズとした。全体使用時再利用品ヘーズと口部除去時再利用品ヘーズとの差が5%以下であれば再利用性良好とした。
成形温度:280℃(シリンダー設定)
金型温度:16℃(チラー水設定温度)
成形品重量:50g(板部分に加え、スプルー部、ランナー部、ゲート部を含む)
金型内への充填時間:1秒
保圧時間:14秒
冷却時間:60秒
[実施例及び比較例]
<実施例1:図2の容器の製造>
ネックリング下領域の厚さaが1.5mmである口部部材15(図6)をプリフォーム金型内に装着し,ポリエステル1のペレット(ダイマー酸含有率17.4重量%)3.0kgを用い、図2の構造(ネックリングの上側2種2層、ネックリングの下側2種3層)を有するプリフォームを射出成形した。このプリフォームのブロー成形を行い、前述の方法にて評価を行った。評価結果を表3に示す。
<実施例2:図2の容器の製造>
ネックリング下領域の厚さaが1.0mmである口部部材をプリフォーム金型内に装着し、ポリエステル2のペレット2.4kgとポリエチレンテレフタレート「BK2180」ペレット0.6kgをステンレス製容器内で混合した混合ペレット(ポリエチレングリコール含有率16.0重量%)を用いたこと以外は実施例1と同様にして容器を成形した。評価結果を表3に示す。
<実施例3:図2の容器の製造>
ネックリング下領域の厚さaが2.0mmである口部部材をプリフォーム金型内に装着し、ポリエステル1のペレット2.4kgとポリエステル3のペレット0.6kgをステンレス製容器内で混合した混合ペレット(ダイマー酸含有率13.9重量%、ポリエチレングリコール含有率6.0重量%)を用いたこと以外は実施例1と同様にして容器を成形した。評価結果を表3に示す。
<実施例4:図3の容器の製造>
ネックリング下領域の厚さaが1.5mmである口部部材をプリフォーム金型内に装着し,ポリエステル1のペレット3.0kgを用い、図3の構造(ネックリングの上側2種2層、ネックリングの下側2種2層)を有する容器を成形した。評価結果を表3に示す。
<実施例5:図4の容器の製造>
ネックリング下領域の厚さaが1.5mmである口部部材をプリフォーム金型内に装着し,ポリエステル1のペレット3.0kgを用い、図4の構造(ネックリングの上側2種3層、ネックリングの下側2種3層)を有する容器を成形した。評価結果を表3に示す。
<実施例6:図2の容器の製造>
ネックリング下領域の厚さaが1.5mmである口部部材をプリフォーム金型内に装着し,ポリエステル4のペレット(ダイマー酸含有率23.5重量%)3.0kgを用いたこと以外は実施例1と同様にして容器を成形した。。評価結果を表3に示す。
<実施例7:図3の容器の製造>
ネックリング下領域の厚さaが0.7mmである口部部材をプリフォーム金型内に装着し,ポリエステル1のペレット3.0kgを用いたこと以外は実施例1と同様にして容器を成形した。評価結果を表3に示す。
<実施例8:図3の容器の製造>
ネックリング下領域の厚さaが2.3mmである口部部材をプリフォーム金型内に装着し,ポリエステル1のペレット3.0kgを用いたこと以外は実施例1と同様にして容器を成形した。評価結果を表3に示す。
<実施例9:図3の容器の製造>
ネックリング下領域の厚さaが1.5mmである口部部材をプリフォーム金型内に装着し,ポリエステル1のペレット3.0kgを用いた。
延伸ブロー成形のためのプリフォーム加熱時に、底部が結晶化せず胴部と同様な延伸ブローに適した温度となるよう調整したこと以外は実施例と同様にして容器を成形した。評価結果を表3に示す。
<実施例10:図3の容器の製造>
ネックリング下領域の厚さaが1.5mmである口部部材をプリフォーム金型内に装着し、ポリエステル樹脂H(BK2180)のペレットを1.5kg、ポリエステル1のペレット0.75kg及びポリエステル2のペレット0.75kgをステンレス製容器内で混合した混合ペレット(ダイマー酸含有率4.4重量%、ポリエチレングリコール含有率5.0重量%)を用いたこと以外は実施例1と同様にして容器を成形した。評価結果を表3に示す。
[比較例1〜4]
図8〜11は以下の比較例1〜4で製造した容器の口部を示すものである。図8では、口部の全体が曲げ弾性率の低いポリエステル樹脂にて構成されている。図9では、ネックリング上側部1aがポリエステル樹脂Aよりなる外層とポリエステル樹脂Bよりなる内層との2種2層構造となっており、ネックリング下側部1cがポリエステル樹脂Bの単層構造となっている。
図10では、ネックリング上側部1a及びネックリング下側部1cのいずれもがポリエステル樹脂Aの単層構造となっている。図11ではネックリング上側部1aがポリエステル樹脂Aの単層構造となっており、ネックリング下側部1cがポリエステル樹脂Bよりなる外層とポリエステル樹脂Aよりなる内層との2種2層構造となっている。
<比較例1:図8の容器の製造>
口部部材を使用せず、ポリエステル1のペレット3.0kgを用いたこと以外は実施例1と同様にして、図8の構造の容器(口部も胴部と同一のポリエステル樹脂よりなる容器)を成形した。評価結果を表4に示す。
<比較例2:図9の容器の製造>
図9の通り、ネックリング下を有さない口部部材をプリフォーム金型内に装着し,ポリエステル1のペレット3.0kgを用いたこと以外は実施例1と同様にして、図9の構造(ネックリング上側部2種2層、ネックリング下側部単層)を有する容器を成形した。評価結果を表4に示す。
<比較例3:図10の容器の製造>
ネックリング下領域の厚さaが3.0mmである口部部材をプリフォーム金型内に装着し,ポリエステル1のペレット3.0kgを用いたこと以外は実施例1と同様にして、図10の構造(口部が実質的にポリエステル樹脂H製口部部材のみからなる構造)の容器を成形した。評価結果を表4に示す。
<比較例4:図11の容器の製造>
ネックリング下領域の厚さaが1.5mmである部材をプリフォーム金型内に装着し,ポリエステル1のペレット3.0kgを用いたこと以外は実施例1と同様にして、図11の構造(ネックリング上側部単層、ネックリング下側部2種2層)を有する容器を成形した。評価結果を表4に示す。
Figure 2021133987
Figure 2021133987
Figure 2021133987
Figure 2021133987
表3、4より次のことが明らかである。
本発明の容器は、実施例1〜10に示されているように、透明性に優れ、口部とネックリング下の未延伸領域の耐熱性に優れ、ボトルの密封性とボトル減容性が良好である。
これに対し、比較例1〜4のポリエステル樹脂製容器は、延伸ブロー性、口部耐熱性、ネックリング下側部の耐熱性のいずれかが劣っている。
以上より、本発明のポリエステル製容器は、胴部は柔軟性と透明性を有し、口部及び口部と胴部との間の未延伸領域が密栓後保管中の内圧上昇に対して変形することがなく密封状態を保持できる容器として有用であることが分かる。
1 口部
1a ネックリング上側部
1b ネックリング
1c ネックリング下側部
3 肩部
4 胴部
11 プリフォーム
15 口部部材

Claims (12)

  1. 胴部と、該胴部の上端に連なる口部とを有し、
    該口部は、ネックリングよりも上側のネックリング上側部と、該ネックリングと、ネックリングよりも下側に位置し、前記胴部に連なるネックリング下側部とを有するポリエステル製容器において、
    該ネックリング上側部及びネックリング下側部は、ネックリング上側部の上端部とネックリング下側部の下端部を除き、それぞれ曲げ弾性率の異なるポリエステル樹脂よりなる内層及び外層を有する2類2層構造を有するか、又は
    内層、外層及び両者間の中間層を有し、内層及び外層が同一のポリエステル樹脂よりなり、中間層がそれとは曲げ弾性率の異なるポリエステル樹脂よりなる2種3層構造を有する
    ことを特徴とするポリエステル製容器。
  2. 開口部天面から口部内面及び胴部が曲げ弾性率の低いポリエステル樹脂により継ぎ目なく構成されていることを特徴とする請求項1に記載の容器。
  3. 前記2種のポリエステル樹脂のうち曲げ弾性率が低いポリエステル樹脂の曲げ弾性率が1300MPa以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の容器。
  4. ネックリング下側部における曲げ弾性率の高いポリエステル樹脂層の厚さaと、ネックリング下側部全体の厚さbとの比a/bが0.3〜0.7であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の容器。
  5. 曲げ弾性率の高いポリエステル樹脂がポリエチレンテレフタレート樹脂であり、
    容器全体を粉砕した粉砕品を用い成形した厚さ2mm板のヘーズと曲げ弾性率の高いポリエステル樹脂を含む口部を除去し粉砕した粉砕品を用い成形した厚さ2mm板のヘーズとの差が5%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の容器。
  6. 曲げ弾性率の低いポリエステル樹脂による口部天面の密度と底部の密度の差が0.10g/cm以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の容器。
  7. 曲げ弾性率の低いポリエステル樹脂は、ダイマー酸及び/又はポリアルキレングリコールを含むポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の容器。
  8. 曲げ弾性率の低いポリエステル樹脂のダイマー酸含有量が0.0〜30.0重量%以下、ポリアルキレングリコール含有量が0.0〜30.0重量%以下であり、ダイマー酸含有量とポリアルキレングリコール含有量との合計が12.0〜30.0重量%であることを特徴とする請求項7に記載の容器。
  9. ポリアルキレングリコールが分子量200〜4000のポリエチレングリコールであることを特徴とする請求項7又は8に記載の容器。
  10. 請求項1〜9のいずれかのポリエステル製容器を製造する方法であって、
    前記曲げ弾性率の高いポリエステル樹脂よりなる層及び曲げ弾性率の低いポリエステル樹脂よりなる層を有した口部と、該口部に連なる、曲げ弾性率の低いポリエステル樹脂よりなる胴部とを備えたプリフォームを成形する工程と、
    該プリフォームの該胴部を延伸ブロー成形する工程と
    を有するポリエステル製容器の製造方法。
  11. 前記プリフォームの口部の内層と前記胴部とが同一の前記曲げ弾性率の低いポリエステル樹脂よりなることを特徴とする請求項10に記載のポリエステル製容器の製造方法。
  12. 前記プリフォームの口部における曲げ弾性率の高いポリエステル樹脂よりなる層は、予め製造された口部部材よりなることを特徴とする請求項10又は11に記載のポリエステル製容器の製造方法。
JP2020033723A 2020-02-28 2020-02-28 ポリエステル製容器及びその製造方法 Pending JP2021133987A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020033723A JP2021133987A (ja) 2020-02-28 2020-02-28 ポリエステル製容器及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020033723A JP2021133987A (ja) 2020-02-28 2020-02-28 ポリエステル製容器及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021133987A true JP2021133987A (ja) 2021-09-13

Family

ID=77660117

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020033723A Pending JP2021133987A (ja) 2020-02-28 2020-02-28 ポリエステル製容器及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021133987A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1562728B1 (en) Pet copolymer composition with enhanced mechanical properties and stretch ratio, articles made therewith and methods
AU2018282378B2 (en) Furanoic polymer preforms, containers and processing
CN1034719C (zh) 聚酯聚合物适于再装的压力瓶及其制法
EP1636289B1 (en) Process for hot filling a container made of polyester compositions
KR101308299B1 (ko) 내열압성 폴리에스테르 병 및 그 제조 방법
EP1885543A1 (en) Low iv pet based copolymer preform with enhanced mechanical properties and cycle time, container made therewith and methods
TWI304373B (en) Polyester resin bottle
CN101553353A (zh) 薄壁二轴拉伸聚酯瓶
JP2021133987A (ja) ポリエステル製容器及びその製造方法
JP5155570B2 (ja) ポリエチレンテレフタレート製中空容器
JP5593076B2 (ja) 樹脂製容器、及び樹脂製容器の成形方法
JP2021160722A (ja) ポリエステル製容器
CN109415134B (zh) 聚酯制拉伸吹塑成形容器及其生产方法
JP3719882B2 (ja) 耐圧性ポリエステル製ボトル
JP2018083630A (ja) ポリエステル製延伸ブロー成形容器及びその製造方法
TW210976B (en) Multi-layer refillable container having higher wash temperature and redvced product flavor carryover, preform and method of forming same
JP2741917B2 (ja) 中空成形体
JP2741920B2 (ja) 中空成形体
JP4882230B2 (ja) ポリエステル樹脂及びプリフォームの製法
JP2741918B2 (ja) 中空成形体
JP2872358B2 (ja) 中空成形体
JP2687876B2 (ja) ポリエステルボトル及びその製造方法
WO2018003790A1 (ja) ポリエステル製延伸ブロー成形容器及びその製造方法
JP2021142983A (ja) 多重容器
JP2019182472A (ja) ポリ乳酸製容器及びその製造方法