JP2021133542A - 予備成形装置及び予備成形方法、並びに樹脂成形システム及び樹脂成形方法 - Google Patents

予備成形装置及び予備成形方法、並びに樹脂成形システム及び樹脂成形方法 Download PDF

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Abstract

【課題】予備成形体の成形が容易であり、成形できる樹脂の種類の制約を少なくすることができる予備成形装置及び予備成形方法を提供する。【解決手段】予備成形装置5は、樹脂成形品1の成形に用いられる予備成形体2を成形する。予備成形装置5は、ステージ枠51、ステージ枠51に対して相対的に昇降し、最大外形が0.5〜5mmの範囲内の粒状物211による粒状物層21が形成されるステージ52、ステージ52における粒状物層21に収束光Gを照射する光照射源53、及び粒状物層21の積層と収束光Gの照射とを繰り返し交互に行うよう制御する制御機器を備える。制御機器は、粒状物層21における粒状物211の表面部位が溶融し、表面部位同士が接触する界面が互いに固着して、予備成形体としての粒状物結合体が成形されるよう、粒状物層21への収束光Gの照射状態を制御する。【選択図】図2

Description

本発明は、予備成形装置及び予備成形方法、並びに樹脂成形システム及び樹脂成形方法に関する。
熱可塑性樹脂等の樹脂成形品を成形する方法としては、射出成形法、ブロー成形法、プレス成形法等がある。これらの成形方法においては、金属製の成形型である金型が使用されている。金型を製造する際には、金属材料を三次元的に切削加工する必要があり、この切削加工に手間がかかるといった弱点がある。一方、成形型を用いずに熱可塑性樹脂の成形を可能にした成形方法としては、3Dプリンター等として知られる積層造形法がある。積層造形法においては、成形型が不要である一方、成形された樹脂成形品に積層界面が残ることによる特性上の弱点がある。これらの成形方法の弱点が克服された成形方法として、例えば、特許文献1,2に示される、非金属材料からなる成形型及び電磁波を用いた熱可塑性樹脂の成形方法がある。
特許文献1の樹脂成形方法においては、金型の代わりにゴム型が用いられ、ゴム型の表面から照射される電磁波によって、ゴム型のキャビティ内の熱可塑性樹脂が加熱されて、熱可塑性樹脂の成形品が得られる。この樹脂成形方法においては、ゴム型のキャビティ内が真空手段によって真空状態にされ、キャビティ内に熱可塑性樹脂が充填されやすくしている。
また、特許文献2の熱可塑性樹脂成形品の成形方法においては、ゴム型内の熱可塑性樹脂が電磁波によって加熱されるときに、真空手段によってゴム型内の圧力が外部の圧力よりも低くなり、ゴム型を構成する一対のゴム型部が互いに接近して、容積が縮小したゴム型内に熱可塑性樹脂成形品が成形される。
特開2007−216448号公報 特開2011−240539号公報
ところで、大型の成形体、複雑な形状を有する成形体等を成形する場合には、特許文献1,2等に示される熱可塑性樹脂の成形方法によっては、成形体の成形に改善の余地がある。この場合には、成形型のキャビティが大きくなる又は複雑になり、キャビティの全体に粒状の熱可塑性樹脂が充填されにくいことが判明した。
大型の成形体、複雑な形状を有する成形体等を成形する場合には、本成形を行う前に予備成形を行って予備成形体を一旦成形し、予備成形体を用いて本成形を行うことが考えられる。この場合に、予備成形体を成形するための新たな装置及び方法の開発が望まれる。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたもので、予備成形体の成形が容易であり、成形できる樹脂の種類の制約を少なくすることができる予備成形装置及び予備成形方法、並びに樹脂成形システム及び樹脂成形方法を提供しようとして得られたものである。
本発明の第1態様は、樹脂成形品の成形に用いられる予備成形体を成形する予備成形装置であって、
鉛直上側に開口部を有する枠形状に形成されたステージ枠と、
前記ステージ枠の内側に配置されるとともに、前記ステージ枠に対して鉛直方向に沿って相対的に昇降し、かつ、最大外形が0.5〜5mmの範囲内の、樹脂を含有する粒状物が、粒状物層として規定厚みの範囲内に繰り返し層状に敷き詰められるステージと、
前記鉛直方向に対して直交する水平方向に平面形状を描くよう、前記ステージに対して相対的に収束光を移動させながら、前記ステージにおける前記粒状物層に前記収束光を照射する光照射源と、
前記ステージへの前記粒状物層の積層と、前記光照射源による前記収束光の照射とを繰り返し交互に行うよう制御する制御機器と、を備え、
前記制御機器は、前記粒状物層における前記粒状物の表面部位が溶融し、前記表面部位同士が接触する界面が互いに固着して、前記予備成形体としての粒状物結合体が成形されるよう、前記粒状物層への前記収束光の照射状態を制御するよう構成されている、予備成形装置にある。
本発明の第2態様は、前記予備成形装置を含み、
前記予備成形体から前記樹脂成形品が成形されるキャビティを有する絶縁性の成形型と、
前記成形型に照射又は印加される電磁波によって、前記成形型を介して前記キャビティ内の前記予備成形体を加熱して溶融させる電磁波発生装置と、を備える、樹脂成形システムにある。
本発明の第3態様は、樹脂成形品の成形に用いられる予備成形体を成形する予備成形方法であって、
ステージ枠の内側に配置されたステージに、最大外形が0.5〜5mmの範囲内の、樹脂を含有する粒状物が、規定厚みの範囲内に層状に敷き詰められた粒状物層が形成される粒状物層形成工程と、
前記ステージに対して光照射源による収束光が平面形状を描くように相対的に移動しながら、前記ステージにおける前記粒状物層に前記収束光が照射される光照射工程と、を含み、
前記粒状物層形成工程による前記粒状物層の積層と、前記光照射工程による前記収束光の照射とが繰り返し行われ、前記粒状物層における前記粒状物の表面部位が溶融し、前記表面部位同士が接触する界面が互いに固着して、前記予備成形体としての粒状物結合体が成形される、予備成形方法にある。
本発明の第4態様は、予備成形方法を含み、
成形型内に前記予備成形体が配置される配置工程と、
前記成形型を透過した電磁波、又は一対の電極によって印加される電磁波としての交番電界によって前記予備成形体が加熱されて溶融し、前記予備成形体を構成する前記粒状物によって前記成形型内に形成された隙間がなくなるように、溶融した材料が前記成形型内に充填される充填工程と、
前記溶融した材料が前記成形型内において冷却されて固化し、前記材料が一体化された樹脂成形品が前記成形型内に成形される冷却工程と、を含む樹脂成形方法にある。
(第1態様の予備成形装置)
前記第1態様の予備成形装置は、樹脂成形品の成形に用いられる予備成形体を成形するためのものである。予備成形体は、樹脂成形品を本成形するための材料として用いられるものであり、予備成形体の表面形状に精度は要求されない。一方、予備成形体には、成形が容易であり、成形できる樹脂の種類の制約が少ないことが求められる。予備成形装置は、粉末焼結積層造形法:SLS(Selective Laser Sintering)に用いられる装置と類似するものの、粉末焼結積層造形法とは成形対象及び成形原理が異なるものである。
予備成形装置は、ステージ枠、ステージ、光照射源及び制御機器を備え、制御機器の制御を受けて、ステージへの粒状物層の積層と、光照射源による収束光の照射とを繰り返し交互に行うものである。粒状物層における、収束光が照射された隣接する粒状物同士は、溶融して互いに結合することになる。このとき、粒状物層における粒状物と、隣接する粒状物層における粒状物とも、溶融して互いに結合することになる。
予備成形装置においては、予備成形体を成形することを目的としているために、粒状物を完全に溶融させないようにする。具体的には、制御機器によって、光照射源による収束光の照射状態を制御し、収束光が照射された、粒状物層における粒状物の表面部位のみが溶融するようにしている。そして、粒状物の表面部位同士が接触する界面が互いに固着して、予備成形体としての粒状物結合体が成形される。
このような粒状物結合体を成形する装置は、予備成形装置によって初めて見出されたものである。粒状物層における粒状物は、表面部位のみが溶融して互いに結合することにより、例えば、融点を有する結晶性の樹脂、軟質樹脂等の予備成形体を成形する場合等に粒状物が溶融するときにおいても、粒状物の硬度が適切に保たれる。そのため、成形できる樹脂の種類の制約を少なくすることができる。一方、粉末焼結積層造形法においては、粒状物の表面部位のみを溶融させるといった発想はない。
また、表面部位のみが溶融して固着した粒状物結合体を成形するためには、最大外形が0.5〜5mmの範囲内の粒状物を用いることが前提となる。そして、このような最大外形が大きな粒状物を用いて予備成形体を成形するため、例えば、最大外形が0.1mm未満の微粒子を用いずに予備成形体を成形することができ、予備成形体の成形が容易である。
一方、粉末焼結積層造形法においては、粒径が50μm程度の球状の微粒子が用いられる。そのため、CO2レーザー等によって微粒子に十分なエネルギーが与えられ、微粒子の全体が溶融して微粒子同士が互いに焼結されることになる。つまり、予備成形装置に用いられる材料と、粉末焼結積層造形法に用いられる材料とは全く異なる。
また、予備成形体の表面には、粒状物による大きな凹凸が存在することになる。ただし、予備成形体は、本成形を行う際に溶融されて樹脂成形品を構成するものであり、予備成形体の表面形状の精度は要求されない。
前記第1態様の予備成形装置によれば、予備成形体の成形が容易であり、成形できる樹脂の種類の制約を少なくすることができる。
(第2態様の樹脂成形システム)
前記第2態様の樹脂成形システムにおいては、前記第1態様の予備成形装置の他に、成形型及び電磁波発生装置を備える。前記第2態様の樹脂成形システムによれば、前記第1態様の予備成形装置による作用効果が得られる他に、予備成形装置によって成形された予備成形体を用いて、意匠外観性に優れるとともに強度等の機械的特性に優れる樹脂成形品を得ることができる。
(第3態様の予備成形方法)
前記第3態様の予備成形方法においては、前記第1態様の予備成形装置と同様に、最大外形が0.5〜5mmの範囲内の、樹脂を含有するペレットとしての粒状物が用いられ、粒状物層における粒状物の表面部位のみが溶融して互いに結合する。前記第3態様の予備成形方法によれば、前記第1態様の予備成形装置と同様に、予備成形体の成形が容易であり、成形できる樹脂の種類の制約を少なくすることができる。
(第4態様の樹脂成形方法)
前記第4態様の樹脂成形方法においては、前記第3態様の予備成形方法の粒状物層形成工程及び光照射工程の他に、配置工程、充填工程及び冷却工程が含まれる。前記第4態様の樹脂成形方法によれば、前記第3態様の予備成形方法による作用効果が得られる他に、予備成形方法によって成形された予備成形体を用いて、意匠外観性に優れるとともに強度等の機械的特性に優れる樹脂成形品を得ることができる。
図1は、実施形態1にかかる、1回目の粒状物層形成工程が行われる予備成形装置を示す断面説明図である。 図2は、実施形態1にかかる、1回目の光照射工程が行われる予備成形装置を示す断面説明図である。 図3は、実施形態1にかかる、予備成形装置の光照射源を示す平面図である。 図4は、実施形態1にかかる、予備成形装置の粒状物供給体を示す平面図である。 図5は、実施形態1にかかる、2回目以降の粒状物層形成工程が行われる予備成形装置を示す断面説明図である。 図6は、実施形態1にかかる、2回目以降の光照射工程が行われる予備成形装置を示す断面説明図である。 図7は、実施形態1にかかる、予備成形体を成形した後の予備成形装置を示す断面説明図である。 図8は、実施形態1にかかる、予備成形装置及び電磁波成形装置を備える樹脂成形システムを示す断面説明図である。 図9は、実施形態1にかかる、粒状物層における粒状物を拡大して模式的に示す説明図である。 図10は、実施形態1にかかる、粒状物層における粒状物同士が表面部位の界面において互いに固着した状態を拡大して模式的に示す説明図である。 図11は、実施形態1にかかる、予備成形体を示す断面斜視図である。 図12は、実施形態1にかかる、電磁波成形装置を示す断面説明図である。 図13は、実施形態1にかかる、第1型部と第2型部とに分かれた状態の成形型を示す断面説明図である。 図14は、実施形態1にかかる、他の電磁波成形装置を示す断面説明図である。 図15は、実施形態1にかかる、他の電磁波成形装置を示す断面説明図である。 図16は、実施形態1にかかる、予備成形方法及び樹脂成形方法を示すフローチャートである。 図17は、実施形態1にかかる、成形型内に予備成形体が配置された状態を拡大して模式的に示す説明図である。 図18は、実施形態1にかかる、成形型内に樹脂成形品が成形された状態を拡大して模式的に示す説明図である。 図19は、実施形態1にかかる、樹脂成形品を示す断面斜視図である。 図20は、実施形態2にかかる、2回目以降の光照射工程が行われる予備成形装置を示す断面説明図である。 図21は、実施形態2にかかる、予備成形体を成形した後の予備成形装置を示す断面説明図である。 図22は、実施形態2にかかる、予備成形体を示す断面斜視図である。 図23は、実施形態3にかかる、2回目以降の粒状物層形成工程が行われる予備成形装置を示す断面説明図である。 図24は、実施形態3にかかる、2回目以降の光照射工程が行われる予備成形装置を示す断面説明図である。 図25は、実施形態3にかかる、予備成形方法及び樹脂成形方法を示すフローチャートである。
前述した予備成形装置及び予備成形方法、にかかる好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
<実施形態1>
本形態の予備成形装置5は、図1〜図7に示すように、樹脂成形品1の成形に用いられる予備成形体2を成形するものである。予備成形装置5は、ステージ枠51、ステージ52、光照射源53及び予備成形用の制御機器6を備える。ステージ枠51は、鉛直上側に上端開口部512を有する枠形状に形成されている。ステージ52は、ステージ枠51の内側に配置されるとともに、ステージ枠51に対して鉛直方向に沿って相対的に昇降するよう構成されている。ステージ52には、粒状物211としてのペレットが、粒状物層21として規定厚みの範囲内に繰り返し層状に敷き詰められる。粒状物211は、樹脂を含有するものであり、0.5〜5mmの範囲内の最大外形を有する。
図3、図6及び図8に示すように、光照射源53は、鉛直方向に対して直交する水平方向に平面形状を描くよう、ステージ52に対して相対的に収束光Gを移動させながら、ステージ52における粒状物層21に収束光Gを照射するよう構成されている。制御機器6は、ステージ52への粒状物層21の積層と、光照射源53による収束光Gの照射とを繰り返し交互に行うよう制御するよう構成されている。
図9及び図10に示すように、制御機器6は、粒状物層21における粒状物211の表面部位212が溶融し、表面部位212同士が接触する界面214が互いに固着して、予備成形体2としての粒状物結合体が成形されるよう、光照射源53による収束光Gの照射状態を制御するよう構成されている。図9は、粒状物層21における粒状物211を拡大して模式的に示す。図10は、粒状物層21における粒状物211同士が表面部位212の界面214において互いに固着した状態を拡大して模式的に示す。
まず、本形態の予備成形装置5について詳説する。
(予備成形装置5)
図7及び図11に示すように、予備成形装置5は、樹脂成形品1の本成形に用いられる予備成形体2を成形するものである。図12に示すように、樹脂成形品1の本成形は、成形型3のキャビティ33内に配置された予備成形体2に、電磁波Eが照射又は印加され、予備成形体2が溶融するとともに冷却されて行われる。予備成形体2は、仮の樹脂成形品であり、表面に粒状物211の形状に応じた大きな凹凸を有する。電磁波E及び成形型3を用いた本成形が行われることにより、予備成形体2における凹凸はなくなり、表面が平滑な樹脂成形品1が得られる。
図2、図6及び図7に示すように、予備成形装置5は、光照射源53による収束光Gの照射によって粒状物層21に二次元形状を描き、粒状物211の表面部位212同士が固着して形成された、規定厚みの範囲内の二次元形状のスライス部22を形成する。また、今回の収束光Gの照射の際に形成されたスライス部22が、前回の収束光Gの照射の際に形成されたスライス部22の上に積層され、今回の収束光Gの照射の際にスライス部22同士が固着されることが繰り返されて、三次元形状の予備成形体2が成形される。スライス部22は、先に形成されたスライス部22に固着されるため、単独では存在しない。
(ステージ枠51)
図1及び図5に示すように、ステージ枠51は、ステージ52の外縁に配置される枠形状を有し、ステージ52上に載置される粒状物211を囲んで、粒状物211がステージ52上に維持されるようにするものである。本形態のステージ枠51は固定されており、ステージ枠51に対してステージ52が昇降可能である。具体的には、ステージ52上に粒状物層21が積層されるごとに、粒状物層21の厚みに応じた高さだけステージ枠51に対してステージ52が下降する。ステージ枠51の上端面511は、ステージ52の上面525から、ステージ52上に形成される粒状物層21の厚み分だけ突出する。そして、ステージ52の上面525から突出する、ステージ枠51の上端部の内側に粒状物層21が繰り返し形成される。
(ステージ52)
図1、図7及び図8に示すように、ステージ52の上面525は、ステージ52上に均一な厚みの粒状物層21を形成するために、平坦面として形成されている。ステージ52は、ステージ52を鉛直方向としてのZ方向に昇降させるための昇降機構521を有する。昇降機構521は、ステージ52の昇降を案内する昇降案内部材522、及び制御機器6による制御を受けて駆動される昇降用モータ523を有する。ステージ52は、制御機器6によって昇降用モータ523が駆動されることにより、昇降案内部材522によって案内されて、目標とする、粒状物層21の厚み分だけ、逐次下降するよう構成されている。ステージ52は、制御機器6による制御を受けて、目標とする量だけ昇降することが可能である。本形態のステージ52は、四角形の平面形状に形成されている。
(粒状物供給体55)
図1、図4及び図5に示すように、予備成形装置5は、ステージ枠51によって囲まれたステージ52上に粒状物211を供給する粒状物供給体55を備える。粒状物供給体55は、粒状物211を貯留するためのタンク部551と、タンク部551に連通して形成され、ステージ52の幅に合った幅を有する供給口552と、供給口552を開閉する開閉弁553とを有する。粒状物供給体55がステージ枠51によって囲まれたステージ52上を移動する際には、開閉弁553によって供給口552が開かれ、供給口552から流下する粒状物211がステージ52の上面525又はステージ52上の粒状物層21の表面に供給される。ステージ52上の粒状物層21の一部は、光照射源53から収束光Gが照射された後にスライス部22を形成する。
粒状物供給体55が移動しながら供給口552からステージ52の上面525又は粒状物層21の表面に粒状物211が流下することにより、この粒状物211によって、できるだけ均一の厚みで粒状物層21を形成することができる。また、図1に示すように、粒状物供給体55からステージ52の上面525又は粒状物層21の表面に流下した粒状物211は、均し部材56を用いて平坦状になるよう均してもよい。
(光照射源53)
図2及び図6に示すように、本形態の光照射源53は、収束光Gとして、0.78〜2μmの波長領域を含む近赤外線を、直径が1〜10mmの範囲内のスポット光として、粒状物層21の粒状物211に照射するよう構成されている。光照射源53には、集光タイプのハロゲンランプが用いられる。光照射源53においては、ハロゲンランプの光源531から発せられる近赤外線が集光部材532によって集光されて、粒状物層21にスポット光として照射される。
近赤外線は、熱可塑性樹脂によって構成された粒状物211に吸収されて、粒状物211の表面部位212を溶融させるために適切である。収束光Gの直径が1mm未満である場合には、粒状物211の大きさに対して収束光Gの直径が小さく、粒状物211の表面部位212を迅速に溶融させることが難しくなるおそれがある。一方、収束光Gの直径が10mm超過である場合には、粒状物211の大きさに対して収束光Gの直径が大きく、予備成形体2の輪郭形状Kに沿って適切に収束光Gを照射できないおそれがある。
図2、図3及び図6に示すように、光照射源53は、平面移動機構54に取り付けられており、平面移動機構54によってステージ52の二次元平面内における任意の部位に収束光Gを照射可能である。平面移動機構54は、ステージ52の二次元平面内の2つの直交する方向に光照射源53を移動させるよう構成されている。ステージ52の二次元平面は、ステージ52が昇降する方向に対して垂直な面内のことをいう。
二次元平面は、X方向xとY方向yとによって構成される。平面移動機構54は、光照射源53のX方向xへの移動を案内するX方向案内部材541、光照射源53をX方向xへ駆動するX軸モータ542、光照射源53のY方向yへの移動を案内するY方向案内部材543、光照射源53をY方向yへ駆動するY軸モータ544等を有する。制御機器6によって平面移動機構54の動作が制御されることにより、光照射源53から照射される近赤外線によって、粒状物層21に二次元形状を描くことができる。
X方向案内部材541は、ベース部材540に取り付けられており、Y方向案内部材543は、X方向案内部材541に取り付けられている。ベース部材540は、ステージ52の上方において位置が固定されていてもよく、ロボット等によって、ステージ52の上方の位置とステージ52の上方から外れた位置とに移動してもよい。また、光照射源53は、平面移動機構54以外の装置によって、粒状物層21の任意の平面部位に収束光Gを照射する構成としてもよい。
光照射源53は、直径が1〜10mmの範囲内のスポット光を形成できる構成を有すれば、近赤外線以外の光を発生させるものとしてもよい。光の種類は、粒状物211に吸収されて、粒状物211を発熱させるものであればよい。
(予備成形用の制御機器6)
図8に示すように、予備成形用の制御機器6は、ステージ52の昇降機構521の昇降用モータ523、光照射源53による照射のオン・オフ、光照射源53の平面移動機構54におけるX軸モータ542及びY軸モータ544、粒状物供給体55の移動、及び開閉弁553による供給口552の開閉の各動作を制御するよう構成されている。制御機器6は、コンピュータを用いて構成されている。制御機器6による制御を受けて、粒状物供給体55が移動してステージ52に粒状物層21を積層する動作と、光照射源53による収束光Gが粒状物層21に照射されて粒状物層21における粒状物211を半溶融させて固着させる動作とが、繰り返し交互に行われる。
制御機器6によって制御される、粒状物層21への収束光Gの照射状態は、光照射源53の収束光Gによって粒状物層21に与えられるエネルギーとして示される。制御機器6は、光照射源53の収束光Gによって粒状物層21に与えられるエネルギーを、粒状物211の表面部位212のみが溶融する大きさになるよう制御するよう構成されている。粒状物層21に与えられるエネルギーは、光照射源53から照射される収束光Gの強度、粒状物層21の同じ個所に収束光Gが照射される時間(光照射源53の収束光Gの移動速度)等によって決まる。本形態においては、光のエネルギーとしての近赤外線が粒状物211に吸収され、熱エネルギーとなって粒状物211の表面部位212が溶融する。
光照射源53によって溶融する、粒状物211の表面部位212とは、粒状物211の中心部位213に残る未溶融の樹脂の芯を除く部位のことをいう。表面部位212は、例えば、粒状物211の表面が溶融して、粒状物211の中心部位213に、粒状物211の体積の1/2以上が未溶融の樹脂の芯として残る範囲内で決定される。
(収束光Gの照射の仕方)
図2、図3及び図6に示すように、本形態においては、光照射源53による収束光Gが、ステージ52に形成された粒状物層21における、樹脂成形品1の輪郭形状Kの内側領域Rの全体に照射される。換言すれば、光照射源53による収束光Gが、ステージ52に形成された粒状物層21における、目標形状に対して中実状に照射される。図10に示すように、粒状物層21においては、輪郭形状Kの内側領域Rの全体の粒状物211の表面部位212が溶融したスライス部22が形成され、粒状物211の表面部位212同士が固着される。また、粒状物層21のスライス部22同士も、粒状物211の表面部位212同士によって固着される。そして、成形される予備成形体2は、粒状物211の表面部位212同士が固着したものである。
また、換言すれば、ステージ52上における、前回形成されたスライス部22の上に今回のスライス部22が形成される際に、それぞれのスライス部22を形成する粒状物211の表面部位212同士が固着される。そして、成形される予備成形体2としての粒状物結合体は、粒状物結合体の三次元形状に沿って、複数の粒状物211の表面部位212同士が互いに固着されたものである。
(粒状物211,粒状物層21)
図9に示すように、粒状物211を構成するペレットは、熱可塑性樹脂の原料が押出成形機から押し出されるときに、ストランド状に所定の長さに切断されて形成される。粒状物211を構成するペレットのサイズは、最大外形としての最大長さが0.5〜5mmの範囲内のものである。最大長さが0.5〜5mmの範囲内のペレットを用いることにより、ペレットの大きさが適切であり、予備成形体2の成形が容易になる。最大外形とは、例えば対角状に測る場合等、ペレットにおける最も長い部分の寸法のことをいう。最大外形が0.5mmのペレットにおいては、0.5mm未満の長さの部分が存在する。
ペレットの最大外形が0.5mm未満である場合には、ペレットが小さく、ペレットの製造に手間が掛かるおそれがある。ペレットの最大外形が5mm超過である場合には、ペレットが大きく、必要な形状の粒状物結合体を成形できないおそれがある。
ペレットには、最大外形が0.5〜2mm程度のマイクロペレット、最大外形が2〜5mm程度の通常のペレットのいずれを使用してもよい。また、粒状物211には、ペレット以外の、最大外形が0.5〜5mmの範囲内の粒体を用いてもよい。
粒状物211には、融点が存在する結晶性樹脂としてのPP(ポリプロピレン樹脂)等を用いてもよい。また、粒状物211は、熱可塑性樹脂以外の種々の添加物を含有していてもよい。
粒状物層21の規定厚みの範囲は、例えば、1〜5mmの範囲内に設定することができる。この場合には、粒状物層21の厚みが適切であり、光照射源53から粒状物層21に照射される収束光Gを、粒状物層21の厚みの範囲の全体、及び先に形成された粒状物層21に適切に到達させることが容易である。
図1、図2、図5〜図7においては、分かりやすくするために、複数の粒状物211による粒状物層21の厚みを実際よりも大きくして示す。粒状物層21の厚みは、粒状物211の最大外形、成形する予備成形体2の形状等に応じて適宜設定される。後述する実施形態2の図20〜図22においては、粒状物層21の厚みを小さくして示す。
(予備成形体2)
ところで、粒状物211は、熱可塑性樹脂から構成されている。熱溶解積層法(FDM)等によって予備成形体2を成形する場合には、熱可塑性樹脂の長尺状のフィラメントの全体を溶融させてから積層することになる。そのため、溶融時の粘度が低い樹脂、硬度が低い樹脂、融点が存在する結晶性樹脂等の熱可塑性樹脂については、フィラメントの形状を保つことが難しく、熱溶解積層法によって予備成形体2を成形することが難しいといった課題がある。
図10及び図11に示すように、本形態の予備成形装置5においては、粒状物211の全体を溶融させるのではなく、粒状物211の表面部位212のみを溶融させる。そのため、粒状物層21に収束光Gが照射されて、粒状物211の表面部位212が溶融するときにおいても、この粒状物211の中心部位213には、未溶融の樹脂の芯が残っていることになる。これにより、溶融時の粘度が低い樹脂、硬度が低い樹脂、融点が存在する結晶性樹脂等の熱可塑性樹脂を粒状物211に用いた場合であっても、粒状物層21における粒状物211の硬度を適切に維持し、粒状物211が溶融して形状を維持できなくなることが防止される。そのため、本形態の予備成形装置5によれば、熱溶解積層法等によっては成形が難しい熱可塑性樹脂の場合であっても、予備成形体2を容易に成形することができる。
光照射源53による収束光Gが照射された粒状物211の表面部位212は、予備成形体2として成形される際に一旦溶融して固化した後、樹脂成形品1として成形される際に再び溶融して固化する。一方、予備成形体2における、個々の粒状物211の中心部位213、及び収束光Gが照射されていない粒状物211においては、ペレットの状態からの熱履歴がない。換言すれば、予備成形体2における、個々の粒状物211の中心部位213、及び収束光Gが照射されていない粒状物211においては、ペレットの状態から熱が加わったことがない。本形態の予備成形装置5によれば、予備成形体2を成形するための樹脂材料としての粒状物211に加わる熱履歴が少なく、樹脂材料の種々の機械的特性等を良好に保つことができる。
図10に示すように、予備成形体2が成形されるときに、収束光Gが照射された部位においては、粒状物211の表面部位212同士が固着された固着部位としての界面214が形成される。予備成形体2においては、固着部位としての界面214が存在することにより、成形後の三次元形状が維持される。
本形態の予備成形体2は、樹脂成形品1の全体を形成するための樹脂材料として成形されている。予備成形体2は、樹脂成形品1の一部を形成するための樹脂材料として成形してもよい。
(樹脂成形システム10)
図8に示すように、本形態の予備成形装置5は、成形型3及び電磁波発生器42を備える電磁波成形装置4とともに、樹脂成形システム10を構成する。成形型3は、予備成形体2から樹脂成形品1が成形されるキャビティ33を有する絶縁性のものである。電磁波発生器42は、成形型3に照射又は印加される電磁波Eによって、成形型3を介してキャビティ33内の予備成形体2を加熱して溶融させるものである。
(電磁波成形装置4)
図12に示すように、予備成形装置5によって成形された予備成形体2は、電磁波成形装置4によって樹脂成形品1に成形される。電磁波成形装置4は、成形型3、真空ポンプ41及び電磁波発生器42を備える。成形型3は、製品としての樹脂成形品1の形状が反転されたキャビティ33を有する。真空ポンプ41は、成形型3のキャビティ33内を真空状態にするためのものである。電磁波発生器42は、成形型3に照射する電磁波Eを発生させるものである。図8に示すように、真空ポンプ41による成形型3のキャビティ33内の真空引き、及び電磁波発生器42による成形型3への電磁波Eの照射は、本成形用の制御機器43の制御を受けて行われる。
(成形型3,真空ポンプ41)
図12及び図13に示すように、本形態の成形型3は、ゴム材料によるゴム型によって構成されている。ゴム材料には、シリコーンゴムの他、種々のゴムが用いられる。成形型3は、複数に分割された型部31,32の組み合わせによって構成されている。本形態の成形型3は、一対の型部31,32に分割されており、一対の型部31,32としての第1型部31と第2型部32との間には、樹脂成形品1を成形するためのキャビティ33が形成されている。
第1型部31及び第2型部32のいずれかには、キャビティ33内を大気圧よりも低い真空状態にするための真空ポンプ41が接続される真空口34が形成されている。本形態の真空口34は第2型部32に形成されている。真空ポンプ41によってキャビティ33内が真空状態になることにより、成形型3の外部から内部へ型締め力を作用させることができる。この型締め力により、キャビティ33内に配置されて溶融した予備成形体2の樹脂材料20がキャビティ33の成形面331に押し当てられ、キャビティ33の成形面331の形状が表面に転写された樹脂成形品1が成形される。
成形型3がゴム型によって構成されていることにより、成形型3の外部から内部へ圧力が作用するときには、成形型3が、キャビティ33の容積を縮小させるように内側へ弾性変形することができる。この成形型3の弾性変形により、キャビティ33内に成形する樹脂成形品1に、キャビティ33の成形面331の形状を効果的に転写することができる。
図14に示すように、第1型部31と第2型部32とは、互いに接近するようにスライドして、キャビティ33の容積を縮小できるスライド構造とすることもできる。この場合には、第1型部31及び第2型部32には、これらが相対的にスライドするためのガイド部35が形成されている。この場合には、キャビティ33内に予備成形体2が配置され、キャビティ33内が真空状態になってキャビティ33内の圧力が成形型3の外部の圧力よりも低くなるときには、第1型部31と第2型部32とが互いに接近する。これにより、キャビティ33の容積が縮小され、キャビティ33内の溶融した予備成形体2の樹脂材料20がキャビティ33の成形面331に、より効果的に押し当てられる。
図12に示すように、予備成形体2がキャビティ33内に配置されたときに、予備成形体2の表面201とキャビティ33の成形面331との間に隙間がほとんど形成されない場合には、第1型部31と第2型部32とはスライドしない固定構造とすることができる。一方、図14に示すように、予備成形体2がキャビティ33内に配置されたときに、予備成形体2の表面201とキャビティ33の成形面331との間にある程度の隙間が形成される場合には、第1型部31と第2型部32とがスライドする構造とすることができる。
予備成形体2の形状は、成形型3の第1型部31及び第2型部32の相対的なスライド量を考慮して、目標形状とする樹脂成形品1の形状に比べて、第1型部31及び第2型部32の相対的なスライド方向に大きくしてもよい。
(成形型3の製造)
図13に示すように、ゴム型による成形型3は、成形しようとする製品である樹脂成形品1のマスターモデルを転写させて製造することができる。より具体的には、型枠内にマスターモデルを配置し、この型枠内の隙間にゴム材料を注型して、このゴム材料を固化させる。その後、固化したゴム材料を切開して、その内部からマスターモデルを取り出し、ゴム材料による一対の型部31,32が形成される。また、ゴム材料が切開された位置が、一対の型部31,32の間の分割面(パーティングライン)332となる。
また、ゴム型による成形型3を構成する各型部31,32は、マスターモデルを用いて別々に製造してもよい。特に、一対の型部31,32がスライド可能な構造を有する場合には、各型部31,32にスライド用のガイド部35を形成するために、各型部31,32を別々に製造することが好ましい。
マスターモデルは、製品の形状を有するものであり、種々の方法によって作製することができる。マスターモデルを、積層造形法によって作製する場合には、三次元造形物の積層界面による段差状の表面を、切削、研削、塗装等を行って、滑らかな表面にすることができる。例えば、マスターモデルは、積層造形法等によって三次元形状に成形された成形品の表面を切削又は研削して形成することができる。また、マスターモデルは、三次元形状に成形された成形品の表面に、樹脂を含有する塗料等を塗装して形成することもできる。また、マスターモデルは、既に製品として使用された樹脂成形品における欠損部を修復したものとすることもできる。
また、成形型3は、製品の三次元のデジタルデータ(CADデータ等)を用いて、種々の積層造形法によって直接製造してもよい。例えば、成形型3は、三次元のデジタルデータを用い、紫外線(UV)によって硬化する液状樹脂に紫外線を当てて、層状の三次元造形物を形成する光造形法によって製造してもよい。また、成形型3は、インクジェット法(マテリアルジェッティング法)等によって製造してもよい。また、成形型3を形成する際には、三次元造形物の積層界面に応じて形成された段差状の表面を、切削、研削、塗装等を行って、滑らかな表面にしてもよい。
成形型3は、ゴム型以外にも、硬化性樹脂材料によって形成された樹脂型、セメント材料によって形成されたセメント型、又は石膏材料によって形成された石膏型によって構成してもよい。硬化性樹脂材料には、熱硬化性樹脂材料、光硬化性樹脂材料等がある。成形型3は、耐熱性のある、その他の種々の非金属材料によって構成してもよい。
(電磁波E,電磁波発生器42)
図12に示すように、電磁波発生器42において使用する電磁波Eは、0.78〜2μmの波長領域を含む電磁波(近赤外線)E、0.01〜1mの波長領域を含む電磁波(マイクロ波)E、又は1〜100mの波長領域を含む電磁波(高周波)Eである。近赤外線を使用する場合には、成形型3には、近赤外線を透過しやすい透明又は半透明のゴム型等を用い、成形型3を透過した近赤外線によって、成形型3内の熱可塑性樹脂の予備成形体2を加熱し、溶融させてもよい。この場合には、成形型3における、近赤外線の透過率を、予備成形体2における、近赤外線の透過率よりも高くすることが好ましい。換言すれば、成形型3における、近赤外線の吸収率を、予備成形体2における、近赤外線の吸収率よりも低くすることが好ましい。
マイクロ波を使用する場合には、成形型3には、誘電損失(誘電体損失)が少ないゴム型等を用い、マイクロ波によって成形型3内の熱可塑性樹脂の予備成形体2に誘電損失を発生させて、予備成形体2を誘電加熱し、溶融させることができる。誘電損失とは、絶縁体に交番電界が加えられたときに、この絶縁体に生じるエネルギーロスのことをいう。このエネルギーロスによって絶縁体には熱が発生する。
マイクロ波を使用する場合には、成形型3の誘電力率(誘電正接,tanδ)を、予備成形体2の誘電力率よりも低くしてもよい。成形型3の誘電力率が予備成形体2の誘電力率よりも低いことにより、成形型3に比べて予備成形体2に誘電損失を多く発生させることができる。マイクロ波を使用する場合には、種々の配色がなされたゴム型等を用いてもよい。
電磁波発生器42は、赤外線を発生させる場合には、ハロゲンランプ等としてもよい。また、電磁波発生器42は、マイクロ波を発生させる場合には、マイクロ波発振器等としてもよい。また、電磁波発生器42は、高周波を発生させる場合には、高周波発振器等としてもよい。
(誘電加熱器44)
図15に示すように、電磁波発生器42を用いる代わりに誘電加熱器44を用いてもよい。誘電加熱器44は、一対の電極441に印加される高周波の交流電圧によって、成形型3のキャビティ33内の樹脂材料20及び成形型3に交番電界を印加するものである。より具体的には、誘電加熱器44は、成形型3の両側に配置された一対の電極441の間に加わる交流電圧によって、キャビティ33内の樹脂材料20及び成形型3に交番電界を印加するものである。誘電加熱器44は、一対の電極441によって交番電界を発生させる、電磁波Eとしての高周波を用いたものとする。誘電加熱器44による交流電圧の周波数は、1m〜100mの波長領域を含む電磁波Eとしての高周波とする。
誘電加熱器44とともに用いられる成形型3は、誘電損失によって発熱する性質を有する絶縁性のものである。誘電加熱器44の一対の電極441によって成形型3に交番電界が印加されるときには、成形型3又は樹脂材料20の少なくとも一方が誘電損失によって発熱し、樹脂材料20が溶融する。誘電損失の値は、絶縁体としての物質の種類に応じて決まる。また、誘電損失は、誘電正接tanδの値に応じて決まる。
また、成形型3における、キャビティ33の成形面331には、成形型3の他の部位である一般部に比べて誘電損失が大きい成形表面層を形成してもよい。成形表面層は、誘電損失を大きくするために、例えば、カーボンブラック、グラファイト、炭化珪素、フェライト、チタン酸バリウム、黒鉛及び二酸化マンガンよりなる群から選ばれた少なくとも1種の物質を含有していてもよい。
電極441の外形を成形型3の外形よりも大きくし、一対の電極441の間には、成形型3の全体を配置することができる。この場合には、一対の電極441と成形型3との位置関係は固定される。一方、電極441の外形を成形型3の外形よりも小さくし、一対の電極441の間には成形型3の一部が配置されるようにしてもよい。この場合には、一対の電極441に対して成形型3を相対的に移動させて、成形型3のキャビティ33内の各部に位置する樹脂材料20を順次溶融させてもよい。
(樹脂成形方法)
次に、予備成形方法及び電磁波成形方法による樹脂成形方法について詳説する。
樹脂成形方法は、図16のフローチャートに示すように、粒状物層形成工程S101及び光照射工程S102を含む予備成形方法と、配置工程S104、充填工程S105及び冷却工程S106を含む電磁波成形方法とによって構成される。
(予備成形方法)
本形態の予備成形方法においては、予備成形装置5を用いて、樹脂成形品1の成形に用いられる予備成形体2を成形する。予備成形方法においては、粒状物層形成工程S101及び光照射工程S102が繰り返し行われて、予備成形体2が成形される。
図1に示すように、粒状物層形成工程S101においては、ステージ枠51の内側に配置されたステージ52に、最大外形が0.5〜5mmの範囲内の、樹脂を含有するペレットとしての粒状物211が、規定厚みの範囲内に層状に敷き詰められた粒状物層21が形成される。まず、予備成形用の制御機器6による昇降機構521の昇降用モータ523の制御により、ステージ枠51の上端開口部512よりもステージ52の上面525が、粒状物層21の厚み分だけ下降した状態が形成される。
次いで、図1、図4及び図5に示すように、開閉弁553によって粒状物供給体55の供給口552が開口されるとともに、ステージ52に対して粒状物供給体55が移動し、供給口552から流下する粒状物211がステージ52の上面525又はステージ52上の粒状物層21の表面に載置されて、粒状物層21が形成される。このとき、粒状物211の表面を均し部材56によって均すことにより、粒状物層21の厚みが均一になるように調整することができる。均し部材56は、ステージ枠51の上端面511に沿ってスライドさせることが可能な擦り切りプレート等によって形成される。
次いで、図2、図3及び図6に示すように、光照射工程S102においては、ステージ52に対して光照射源53による収束光Gが平面形状を描くように相対的に移動しながら、ステージ52における粒状物層21に収束光Gが照射される。制御機器6による平面移動機構54の制御により、光照射源53による収束光Gが、ステージ52上における粒状物層21に照射される。また、制御機器6においては、光照射源53の収束光Gによって粒状物211に与えられるエネルギーが、粒状物211の表面部位212のみが溶融する大きさに設定されている。
また、光照射工程S102においては、光照射源53による収束光Gは、0.78〜2μmの波長領域を含む近赤外線によって構成された、直径が1〜10mmの範囲内のスポット光として、粒状物層21の粒状物211に照射される。このとき、図10に示すように、粒状物層21に照射される収束光Gは、予備成形体2の輪郭形状Kの内側領域Rに照射され、粒状物211の表面部位212が溶融する。そして、収束光Gの照射によって溶融した、複数の粒状物211の表面部位212同士が互いに固着され、スライス部22が形成される。
次いで、図5に示すように、粒状物層形成工程S101が再び行われ、制御機器6による昇降用モータ523及び粒状物供給体55の制御を受けて、ステージ52上における前回の粒状物層21の上に、今回の粒状物層21が積層される。次いで、図6に示すように、光照射工程S102が再び行われ、今回の粒状物層21における粒状物211の表面部位212が溶融するとともに、前回の粒状物層21のスライス部22における粒状物211の表面部位212も溶融する。そして、今回の粒状物層21にスライス部22が形成されるとともに、今回の粒状物層21のスライス部22における粒状物211の表面部位212と、前回の粒状物層21のスライス部22における粒状物211の表面部位212とが互いに固着される。
以降、予備成形の終了を確認する工程S103において、本成形用の制御機器43が予備成形を終了するまでは、粒状物層形成工程S101による粒状物層21の積層と、光照射工程S102による収束光Gの照射とが繰り返し行われる。そして、図7に示すように、粒状物層21における粒状物211の表面部位212が溶融し、表面部位212同士が接触する界面214が互いに固着して、予備成形体2としての粒状物結合体が成形される。換言すれば、粒状物層形成工程S101及び光照射工程S102が繰り返し行われるごとに、各層の粒状物層21のスライス部22が順次互いに固着され、すべてのスライス部22が一体化されて、予備成形体2が成形される。
本形態の光照射工程S102においては、光照射源53による収束光Gが、ステージ52に形成された粒状物層21における、輪郭形状Kの内側領域Rの全体に照射される。そして、粒状物層21においては、輪郭形状Kの内側領域Rの全体の粒状物211の表面部位212が溶融したスライス部22が形成され、粒状物211の表面部位212同士が固着される。
(電磁波成形方法)
予備成形方法によって成形された予備成形体2は、電磁波成形方法によって樹脂成形品1を成形する際の樹脂材料20として使用される。図16に示すように、電磁波成形方法においては、予備成形体2を用いた、配置工程S104、充填工程S105及び冷却工程S106が行われて、熱可塑性樹脂の樹脂成形品1が製造される。
図17に示すように、配置工程S104においては、成形型3内に予備成形体2が配置される。図17は、成形型3内に予備成形体2が配置された状態を拡大して模式的に示す。図18に示すように、充填工程S105においては、成形型3を透過した電磁波Eによって予備成形体2が加熱されて溶融し、予備成形体2を構成する粒状物211によって成形型3内に形成された隙間がなくなるように、溶融した樹脂材料20が成形型3内に充填される。冷却工程S106においては、溶融した樹脂材料20が成形型3内において冷却されて固化し、樹脂材料20が一体化された樹脂成形品1が成形型3内に成形される。
図17に示すように、配置工程S104においては、成形型3を構成する一対の型部31,32の間のキャビティ33に予備成形体2が配置される。成形型3のキャビティ33に予備成形体2が配置されたときには、キャビティ33の成形面331と予備成形体2における凹凸状の表面201との間には、凹凸状の隙間S1が形成される。この凹凸状の隙間S1は、予備成形体2が粒状物結合体からなることに伴って形成される。
図12に示すように、キャビティ33に予備成形体2が配置される状態で一対の型部31,32が閉じられた後には、真空ポンプ41によって、第2型部32の真空口34からキャビティ33内が真空引きされる。このとき、キャビティ33内の隙間が真空状態になる。また、成形型3は、大気圧以上の圧力環境下に配置されている。そして、成形型3の外部の圧力が成形型3の内部(キャビティ33内)の圧力よりも高いことによって、成形型3の外部から内部に向けて型締め力を作用させることができる。
また、充填工程S105において、成形型3内を真空引きするときには、予備成形体2によって成形型3内に形成された隙間S1,S2を介して、成形型3内の残留気体が成形型3の外部へ抜き出される。特に、予備成形体2として、固体である粒状物結合体を利用することにより、成形型3内の残留気体を効果的に抜き出すことができる。
ところで、キャビティ33に予備成形体2が配置されたときに、キャビティ33の成形面331と予備成形体2の表面の全体とが密着している場合には、樹脂材料20が溶融する際に発生するガス(水分等)の抜け道がなくなり、キャビティ33内の真空引きが不十分となり、成形する樹脂成形品1にボイド(気泡)が残るおそれがある。これに対し、本形態の充填工程S105等においては、真空ポンプ41によってキャビティ33内が真空引きされるときには、キャビティ33の成形面331と予備成形体2の凹凸状の表面201とによって隙間S1が形成される。
そして、キャビティ33内を真空引きするときには、予備成形体2における凹凸状の表面201による隙間S1、及び予備成形体2を構成する粒状物211同士の間の隙間S2が、キャビティ33内の残留ガスの通り道、及び樹脂材料20が溶融する際に発生するガスの抜け道となる。これにより、キャビティ33内の真空引きを十分に行うことができ、成形する樹脂成形品1にボイドが残らないようにすることができる。
また、配置工程S104においては、成形する樹脂成形品1の形状が複雑である場合には、成形型3内に、成形型3のキャビティ33のそれぞれの部分の形状に沿った複数種類の予備成形体2を配置してもよい。また、配置工程S104においては、予備成形体2とともに、予備成形体2を構成する熱可塑性樹脂と同じ成分の熱可塑性樹脂の粉末材料を、キャビティ33内に配置してもよい。この粉末材料は、例えば、キャビティ33の成形面331と予備成形体2の表面201との間に形成される隙間に補充して、成形する樹脂成形品1の一部の形状を補う目的で使用することができる。
次いで、充填工程S105においては、電磁波発生器42によって0.01〜1mの波長領域を含む電磁波Eであるマイクロ波が発生し、このマイクロ波が成形型3に照射される。このとき、成形型3を構成するゴム材料の誘電力率が、予備成形体2を構成する樹脂材料20の誘電力率よりも低いことにより、成形型3に比べて予備成形体2がマイクロ波をより多く吸収する。これにより、成形型3を透過したマイクロ波によって、予備成形体2がより高温に加熱されて、溶融する。
予備成形体2が溶融するときには、キャビティ33内の圧力が成形型3の外部の圧力よりも低いことにより、成形型3が内側に若干潰れるように弾性変形する。そして、キャビティ33の成形面331と予備成形体2の表面201との間の隙間S1、及び予備成形体2を構成する粒状物211同士の間の隙間S2に、溶融した樹脂材料20が流れ込む。これにより、粒状物結合体を構成する粒状物211がなくなるとともに、キャビティ33内の隙間S1,S2が埋められて、溶融した樹脂材料20がキャビティ33内に充填される。また、充填工程S105においては、真空ポンプ41によるキャビティ33内の真空引きを継続することができる。
また、図14に示すように、一対の型部31,32が互いに接近するようスライド可能なスライド構造の成形型3を用いる場合には、キャビティ33内の予備成形体2が溶融するときには、キャビティ33内の圧力が成形型3の外部の圧力よりも低いことにより、一対の型部31,32が互いに接近して、縮小されたキャビティ33内に溶融した樹脂材料20が充填される。この場合には、溶融した樹脂材料20によってキャビティ33内の隙間S1,S2がより効果的に埋められて、溶融した樹脂材料20がキャビティ33の成形面331により効果的に押し当てられる。
また、キャビティ33内に予備成形体2及び粉末材料が配置されている場合には、マイクロ波によって予備成形体2及び粉末材料が溶融したときには、粉末材料によって予備成形体2の三次元形状が補われる。また、キャビティ33内に複数種類の予備成形体2が配置されている場合には、マイクロ波によって複数種類の予備成形体2が加熱されて溶融し、予備成形体2同士が境界部分(界面部分)において接合される。予備成形体2同士の間の境界部分とは、キャビティ33内において予備成形体2同士が対面する部分のことをいう。
次いで、冷却工程S106においては、電磁波発生器42による電磁波Eの発生が停止されるとともに、真空ポンプ41によるキャビティ33内の真空引きが継続される。そして、成形型3の外部の圧力がキャビティ33内の圧力よりも高いことによって、一対の型部31,32に型締め力が作用する状態を維持する。また、冷却工程S106においては、キャビティ33内に樹脂材料20が充填された状態の成形型3が空気中に放置され、自然放冷又は強制放冷によって、成形型3及びキャビティ33内の樹脂材料20が冷却される。そして、溶融した樹脂材料20が成形型3内において冷却されて固化する。
図18及び図19に示すように、充填工程S105及び冷却工程S106が行われたときには、成形型3内に、予備成形体2における粒状物211同士の間の隙間S2、及び予備成形体2の表面201の凹凸がなくなるように樹脂材料20が一体化された樹脂成形品1が成形される。また、充填工程S105及び冷却工程S106が行われたときには、キャビティ33の成形面331の形状が滑らかに転写された表面を有する樹脂成形品1が成形される。また、キャビティ33の成形面331に、シボ加工、凹凸加工等の形状が形成されている場合には、この形状を樹脂成形品1の表面に転写することができる。また、キャビティ33の成形面331の転写によって、樹脂成形品1の表面が鏡面になるようにすることもできる。
図15に示すように、充填工程S105において、電磁波発生器42の代わりに誘電加熱器44が用いられる場合には、誘電加熱器44の一対の電極441から成形型3に高周波の交番電界が印加され、この交番電界による誘電損失によって成形型3及びキャビティ33内の予備成形体2(樹脂材料20)の少なくとも一方が発熱する。成形型3が発熱する場合には、成形型3からの伝熱によってキャビティ33内の予備成形体2が加熱される。また、成形型3に成形表面層が形成されているときには、交番電界によって成形表面層が発熱し、成形表面層からの伝熱によってキャビティ33内の予備成形体2が加熱されてもよい。
(予備成形装置5及び予備成形方法による作用効果)
本形態の予備成形装置5及び予備成形方法は、樹脂成形品1の成形に用いられる予備成形体2を成形するためのものである。予備成形体2は、樹脂成形品1を本成形するための樹脂材料20として用いられるものであり、予備成形体2の表面形状に精度は要求されない。一方、予備成形体2には、成形が容易であり、成形できる樹脂の種類の制約が少ないことが求められる。予備成形方法及び予備成形装置5は、粉末焼結積層造形法:SLS(Selective Laser Sintering)及び粉末焼結積層造形法に用いられる装置と類似するものの、粉末焼結積層造形法とは成形対象及び成形原理が異なるものである。
予備成形装置5は、ステージ枠51、ステージ52、光照射源53及び制御機器6を備え、制御機器6の制御を受けて、ステージ52への粒状物層21の積層と、光照射源53による収束光Gの照射とを繰り返し交互に行うものである。粒状物層21における、収束光Gが照射された隣接する粒状物211同士は、溶融して互いに結合することになる。このとき、粒状物層21における粒状物211と、隣接する粒状物層21における粒状物211とも、溶融して互いに結合することになる。
予備成形装置5及び予備成形方法においては、予備成形体2を成形することを目的としているために、粒状物211を完全に溶融させないようにする。具体的には、制御機器6によって、光照射源53による収束光Gの照射状態を制御し、収束光Gが照射された、粒状物層21における粒状物211の表面部位212のみが溶融するようにしている。そして、粒状物211の表面部位212同士が接触する界面214が互いに固着して、予備成形体2としての粒状物結合体が成形される。
このような粒状物結合体を成形する装置及び方法は、予備成形装置5及び予備成形方法によって初めて見出されたものである。粒状物層21における粒状物211は、表面部位212のみが溶融して互いに結合することにより、例えば、融点を有する結晶性の樹脂、高収縮性の樹脂、塑性変形せずに破壊しようとする高脆性の樹脂、硬度が低い軟質の樹脂、ガラスファイバー等の繊維によって強化された樹脂等の予備成形体2を成形する場合等に粒状物211が溶融するときにおいても、粒状物211の硬度が適切に保たれる。そのため、成形できる樹脂の種類の制約を少なくすることができる。一方、粉末焼結積層造形法においては、粒状物211の表面部位212のみを溶融させるといった発想はない。
また、表面部位212のみが溶融して固着した粒状物結合体を成形するためには、最大外形が0.5〜5mmの範囲内の粒状物211を用いることが前提となる。そして、このような最大外形が大きな粒状物211を用いて予備成形体2を成形するため、ペレット等よりも小さな微粒子を用いずに予備成形体2を成形することができ、予備成形体2の成形が容易である。
一方、粉末焼結積層造形法においては、粒径が50μm程度の微粒子が用いられる。そのため、CO2レーザー等によって微粒子に十分なエネルギーが与えられ、微粒子の全体が溶融して微粒子同士が互いに焼結されることになる。つまり、予備成形装置5に用いられる樹脂材料20と、粉末焼結積層造形法に用いられる樹脂材料とは全く異なる。
また、予備成形体2の表面には、粒状物211による大きな凹凸が存在することになる。予備成形体2は、本成形を行う際に溶融されて樹脂成形品1を構成するものであり、予備成形体2の表面形状の精度は要求されない。一方、予備成形体2を用いて樹脂成形品1を成形する際には、予備成形体2の表面における凹凸、及び予備成形体2の粒状物211同士の間の隙間が、電磁波E及び成形型3を用いた樹脂成形品1の成形に有効となる。
本形態の予備成形装置5及び予備成形方法によれば、予備成形体2の成形が容易であり、成形できる樹脂の種類の制約を少なくすることができる。
(樹脂成形システム10及び樹脂成形方法による作用効果)
本形態の樹脂成形システム10及び樹脂成形方法において用いられる成形型3は、ゴム材料、硬化性樹脂材料、セメント材料、石膏材料等の非金属材料を用いて製造されている。金属材料の成形型3を製造する場合には切削加工等が必要になることに比べて、非金属材料を用いた成形型3の製造は、切削加工等が不要となって、容易である。また、本形態の樹脂成形方法は、成形型3の製造が容易であるため、小ロット(少量)の生産にも適している。
また、予備成形体2を用いた樹脂成形システム10及び樹脂成形方法による樹脂成形品1においては、積層造形法等による樹脂成形品においては得られなかった特性を得ることができる。具体的には、本形態の樹脂成形システム10及び樹脂成形方法によれば、積層造形法等によって成形された樹脂成形品における課題である、積層界面があることによって積層方向の強度が低いといった課題、樹脂成形品の密度が低いといった課題、樹脂成形品の表面に段差又は凹凸があるといった課題等を解決することができる。
積層造形法によって成形された成形体においては、積層された樹脂材料同士の間には、樹脂材料の表面同士が合わさった積層界面が、積層された数に応じて形成されている。そして、成形された成形体を樹脂材料の積層方向に引っ張る場合には、積層界面において剥がれが生じやすい。そのため、成形体における積層方向の強度は、成形体における他の方向の強度に比べて低くなる。
この強度の課題について、樹脂成形システム10及び樹脂成形方法においては、予備成形体2の表面201における凹凸、及び粒状物211同士の間の隙間S2がなくなるように樹脂材料20が一体化されることにより、樹脂成形品1において、粒状物結合体が用いられた痕跡がほとんど分からなくなる。そして、樹脂成形品1においては、特定の方向から加わる力に対する強度が低いといった、強度の偏りを解消することができる。
一方、積層造形法等によって成形された成形体においては、積層された樹脂材料同士の間には隙間が形成されている。この隙間は、成形体中に空隙として存在することになる。そして、この隙間が存在するだけ、成形体の密度は低くなり、成形体の強度が低くなる。
この密度の課題について、樹脂成形システム10及び樹脂成形方法においては、予備成形体2における粒状物211同士の間の隙間S2が埋められる。そして、樹脂成形品1を構成する樹脂材料20の密度が高くなり、樹脂成形品1の強度が高くなる。
また、積層造形法等によって成形された成形体の表面においては、成形体における積層界面の存在によって段差又は凹凸が形成されている。この段差又は凹凸の存在により、成形体の表面は、意匠外観性に優れない。
この意匠外観性の課題について、樹脂成形システム10及び樹脂成形方法においては、予備成形体2の表面201における凹凸がなくなるように樹脂材料20が一体化されている。これにより、樹脂成形品1の表面の意匠外観性を良好にすることができる。
また、成形型3内に配置された粉末樹脂材料を電磁波Eによって溶融させて樹脂成形品1を成形する従来の方法においては、円筒形状(中空形状)、深い立壁・リブ等の形状の樹脂成形品1を成形する際には、成形型3のキャビティ33の端部まで粉末樹脂材料を充填することが難しい。また、その他、粉末樹脂材料が行き渡りにくい複雑な形状の部分を成形することも難しい。
本形態の樹脂成形システム10及び樹脂成形方法においては、予備成形体2を用いた電磁波成形を行うため、粉末樹脂材料を用いた電磁波成形によっては困難であった形状の成形が可能になる。また、粉末樹脂材料の充填が難しかった肉厚形状を有する樹脂成形品1についても、予備成形体2を用いた電磁波成形によれば精度よく成形することが可能になる。
また、成形型3内に配置された粉末樹脂材料を電磁波Eによって溶融させて樹脂成形品を成形する従来の方法においては、粉末樹脂材料にペレットを用いる場合に、ペレットの角部、ペレットに形成された棘などの突起物等によって成形型3の成形面331に傷が入るおそれがある。これに対し、本形態の樹脂成形システム10及び樹脂成形方法において用いられる予備成形体2の表面には、一旦溶融した後に固化した、粒状物211の表面部位212が配置される。また、粒状物211の表面部位212が溶融するときには、粒状物211としてのペレットに形成された、尖った角部、突起物等がなくなる。そのため、予備成形体2の表面に突起物等が存在しにくく、予備成形体2を成形型3内に配置する際に、成形型3の成形面331に傷が入るおそれがほとんどなくなる。
また、例えば硬度が低い熱可塑性樹脂、ゴム及び樹脂の中間的な性質を有する熱可塑性エラストマー(TPE)等の、マイクロペレットの製造が困難な種類の樹脂材料20についても、予備成形体2を用いて電磁波成形を行うことにより、意匠外観性及び強度に優れた樹脂成形品1を得ることができる。
このように、本形態の樹脂成形システム10及び樹脂成形方法によれば、予備成形体2を用いて、意匠外観性に優れるとともに強度等の機械的特性に優れる樹脂成形品1を得ることができる。
<実施形態2>
本形態は、収束光Gの照射の仕方が実施形態1の場合と異なる、予備成形装置5及び予備成形方法について示す。
(本形態の予備成形装置5)
図20及び図21に示すように、本形態の光照射源53による収束光Gは、ステージ52に形成された粒状物層21における、成形する予備成形体2の輪郭形状Kに沿って照射される。換言すれば、本形態においては、光照射源53による収束光Gが、ステージ52に形成された粒状物層21における、目標形状に対して中空状に照射される。より具体的には、制御機器6は、光照射源53の収束光Gを、ステージ52における粒状物層21に、成形する予備成形体2の輪郭形状Kに沿って照射し、粒状物211の表面部位212同士が環形状に固着された環固着部220を形成するとともに、環固着部220の内側に粒状物211が内包された粒状物結合体を成形するよう構成されている。
本形態においては、光照射源53からステージ52に形成された粒状物層21に収束光Gが照射されるときには、予備成形体2の輪郭形状Kに沿ったスライス部22としての環形状の環固着部220が形成される。環固着部220においては、予備成形体2の輪郭形状Kに沿った位置に存在する粒状物211の表面部位212同士が互いに固着されている一方、予備成形体2の輪郭形状Kに沿った位置に存在する粒状物211よりも内側領域Rに存在する粒状物211は固着されていない。
また、本形態においては、ステージ52上における、前回形成された環固着部220の上に、今回の環固着部220が形成される際に、それぞれの環固着部220を形成する粒状物211の表面部位212同士が固着される。そして、図22に示すように、成形される予備成形体2としての粒状物結合体は、粒状物結合体の三次元の輪郭形状Kに沿って粒状物211の表面部位212同士が互いに固着した外殻部23と、外殻部23の内側領域Rに配置された、互いに固着されていない内包粒状物24とを有する。外殻部23の厚みは、粒状物結合体の形状を維持できる剛性が確保される厚みとする。
スライス部22において、環固着部220を形成する、表面部位212が互いに固着された粒状物211の幅は、所定の大きさにしてもよい。換言すれば、光照射源53による収束光Gは、粒状物層21における平面方向に所定の幅を有する状態で照射してもよい。この収束光Gの照射幅は、粒状物211の粒径、成形する予備成形体2の三次元形状を考慮して決定する。収束光Gの照射幅によって、粒状物結合体の外殻部23の厚みが決定される。
(本形態の光照射工程S102)
本形態の予備成形方法の光照射工程S102においては、光照射源53の収束光Gが、ステージ52における粒状物層21に、成形する予備成形体2の輪郭形状Kに沿って照射される。そして、粒状物層21に、粒状物211の表面部位212同士が環形状に固着されたスライス部22としての環固着部220が形成され、環固着部220における粒状物211の表面部位212が、他の環固着部220における粒状物211の表面部位212と固着される。また、粒状物層形成工程S101による粒状物層21の積層と、光照射工程S102による収束光Gの照射とが繰り返し行われたときには、環固着部220の内側に粒状物211が内包された粒状物結合体が成形される。
本形態の樹脂成形システム10及び樹脂成形方法については、実施形態1の場合と同様である。本形態の予備成形装置5及び予備成形方法における、その他の構成、作用効果等については、実施形態1の場合と同様である。また、本形態においても、実施形態1に示した符号と同一の符号が示す構成要素は、実施形態1の場合と同様である。
<実施形態3>
本形態は、予備成形装置5及び予備成形方法において用いる均し部材56に更なる工夫をした場合について示す。
(均しシート560)
図23及び図24に示すように、本形態の予備成形装置5は、ステージ52上又はステージ52上の粒状物層21の表面に載置された粒状物211を均して、粒状物層21を形成するための均し部材56としての可撓性の均しシート560を備えている。均しシート560がステージ枠51の上端開口部512を覆うように配置されるときに、規定厚みの範囲内の粒状物層21が形成される。より具体的には、粒状物層21は、ステージ枠51の上端開口部512及び均しシート560と、ステージ52の上面525又は粒状物層21の表面との間に形成されるスペースに粒状物211が充填されることにより、規定厚みの範囲内に形成される。
均しシート560が用いられることにより、簡単な構成で、規定厚みの範囲内の粒状物層21を形成することができる。
図23及び図24に示すように、均しシート560は、ステージ枠51に囲まれたステージ52の上面525又は粒状物層21の表面に粒状物211が載置されたときに、ステージ枠51の上端面511によってガイドされながら、粒状物211を平坦状に均すために用いられる。均しシート560は、ロール状に巻かれた状態で、ステージ枠51の周囲の待機位置に待機し、ロール状に巻かれた状態から平板状に広がって、ステージ枠51の上端面511の上の展開位置に展開される。
均しシート560の基端部は、ステージ枠51に固定されており、均しシート560の先端部には、均しシート560の巻き付け及び展開を行うために可動する芯部材561が設けられている。芯部材561は、ロボット等の装置を用いて、移動、並びに巻き付け及び展開のための回転が可能である。
均しシート560は、収束光Gを透過させる性質を有する。本形態の均しシート560は、収束光Gとしての近赤外線を透過させる性質を有するシリコーンゴムのシートによって構成されている。均しシート560は、ステージ枠51の上端開口部512を閉口して、粒状物層21が内部に配置された、均しシート560、ステージ枠51及びステージ52によって囲まれた閉空間50を形成するよう構成されている。ステージ枠51の上端開口部512は、ステージ枠51における、枠形状の上端面511に囲まれて形成される。
均しシート560は、粒状物211を均して粒状物層21を形成する機能の他に、閉空間50を形成する機能、及び閉空間50内に粒状物層21を維持する機能も有する。また、均しシート560が収束光Gを透過させる性質を有することにより、閉空間50を形成したままで、光照射源53から照射される収束光Gを透過させて、粒状物211に吸収させることができる。
(減圧ポンプ57)
図24に示すように、本形態の予備成形装置5は、均しシート560によって形成される閉空間50内を減圧する減圧ポンプ57を備える。減圧ポンプ57は、粒状物211同士の間に形成される隙間、並びに粒状物211と、ステージ52、ステージ枠51及び均しシート560との間に形成される隙間を利用して、閉空間50内を減圧する。減圧ポンプ57は、均しシート560によって粒状物層21及び閉空間50が形成されるごとに、閉空間50内を繰り返し減圧するよう構成されている。
予備成形装置5は、減圧ポンプ57によって閉空間50内が減圧された状態において、光照射源53による収束光Gが、均しシート560を介して粒状物層21に照射されるよう構成されている。均しシート560によって形成された閉空間50内が減圧されることにより、空気にほとんど接触していない状態の粒状物層21に対して、収束光Gを照射することができる。そのため、収束光Gが照射される粒状物211において酸化劣化が生じにくくすることができる。
また、閉空間50内の空気は、窒素によって置換してもよい。この場合には、収束光Gが照射される際に粒状物211に酸化劣化が生じることを効果的に防止することができる。一方、粉末焼結積層造形法においては、空気中においてCO2レーザー等によって微粒子が溶融するため、微粒子が酸化劣化する可能性が高い。
(本形態の予備成形方法)
本形態の予備成形方法の粒状物層形成工程S101においては、図23に示すように、粒状物供給体55から、ステージ52の上面525又はステージ52上の粒状物層21の表面に粒状物211が供給された後に、図24に示すように、ステージ52及びステージ枠51から退避した均しシート560が、ステージ枠51の上端開口部512を覆うように配置される。このとき、均しシート560は、ロール状に巻かれた状態から平坦状に展開され、ステージ枠51の上端開口部512の上に載置される。
そして、均しシート560が平坦状に展開されるときには、均しシート560によって、ステージ52上に載置された粒状物211が平坦状に均される。また、均しシート560がステージ枠51の上端開口部512を覆うように配置されるときに、粒状物層21が形成される。均しシート560がステージ枠51の上端開口部512に配置されたときには、上端開口部512が閉口され、粒状物層21が内部に配置された、均しシート560、ステージ枠51及びステージ52によって囲まれた閉空間50が形成される。
本形態においては、図25のフローチャートに示すように、粒状物層形成工程S101が行われた後であって光照射工程S102が行われる前には、閉空間50内が減圧される減圧工程S101Aが行われる。減圧工程S101Aにおいては、減圧ポンプ57によって、粒状物層21が配置された閉空間50内の真空引きが行われる。このとき、真空引きによる吸引力を受けて、均しシート560がステージ枠51の上端面511に引き寄せられ、ステージ枠51の上端開口部512が密閉されるとともに、閉空間50内が大気圧よりも低い減圧状態(真空状態)になる。均しシート560が可撓性を有することにより、均しシート560が、真空引きによる吸引力を受けてステージ枠51の上端面511に密着しやすくすることができる。
次いで、光照射工程S102においては、均しシート560を介して、ステージ52における粒状物層21に収束光Gが照射される。このとき、収束光Gとしての近赤外線が均しシート560を透過して粒状物層21に照射され、近赤外線のエネルギーが粒状物211に吸収される。そして、実施形態1の場合と同様に、収束光Gが照射された粒状物211の表面部位212が溶融し、粒状物211の表面部位212同士が固着される。
次いで、粒状物層形成工程S101が再び行われた後には、減圧工程S101A及び光照射工程S102が再び行われる。そして、減圧ポンプ57による閉空間50内の真空引きは、均しシート560がステージ枠51の上端開口部512を閉口して粒状物層21が形成されるごとに行われる。こうして、粒状物層形成工程S101、減圧工程S101A及び光照射工程S102が繰り返し行われて、予備成形体2としての粒状物結合体が成形される。
本形態の電磁波成形装置4及び樹脂成形方法については、実施形態1の場合と同様である。本形態の予備成形装置5及び予備成形方法における、その他の構成、作用効果等については、実施形態1の場合と同様である。また、本形態においても、実施形態1に示した符号と同一の符号が示す構成要素は、実施形態1の場合と同様である。
本発明は、各実施形態のみに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲においてさらに異なる実施形態を構成することが可能である。また、本発明は、様々な変形例、均等範囲内の変形例等を含む。さらに、本発明から想定される様々な構成要素の組み合わせ、形態等も本発明の技術思想に含まれる。
1 樹脂成形品
10 樹脂成形システム
2 予備成形体(粒状物結合体)
21 粒状物層
211 粒状物
22 スライス部
3 成形型
31,32 一対の型部
33 キャビティ
4 電磁波成形装置
41 真空ポンプ
42 電磁波発生器
44 誘電加熱器
5 予備成形装置
50 閉空間
51 ステージ枠
52 ステージ
53 光照射源
55 粒状物供給体
56 均し部材
560 均しシート
6 制御機器

Claims (18)

  1. 樹脂成形品の成形に用いられる予備成形体を成形する予備成形装置であって、
    鉛直上側に開口部を有する枠形状に形成されたステージ枠と、
    前記ステージ枠の内側に配置されるとともに、前記ステージ枠に対して鉛直方向に沿って相対的に昇降し、かつ、最大外形が0.5〜5mmの範囲内の、樹脂を含有する粒状物が、粒状物層として規定厚みの範囲内に繰り返し層状に敷き詰められるステージと、
    前記鉛直方向に対して直交する水平方向に平面形状を描くよう、前記ステージに対して相対的に収束光を移動させながら、前記ステージにおける前記粒状物層に前記収束光を照射する光照射源と、
    前記ステージへの前記粒状物層の積層と、前記光照射源による前記収束光の照射とを繰り返し交互に行うよう制御する制御機器と、を備え、
    前記制御機器は、前記粒状物層における前記粒状物の表面部位が溶融し、前記表面部位同士が接触する界面が互いに固着して、前記予備成形体としての粒状物結合体が成形されるよう、前記粒状物層への前記収束光の照射状態を制御するよう構成されている、予備成形装置。
  2. 前記制御機器は、前記光照射源の前記収束光によって前記粒状物層に与えられるエネルギーを、前記粒状物の表面部位のみが溶融する大きさになるよう制御する、請求項1に記載の予備成形装置。
  3. 前記制御機器は、前記光照射源の前記収束光を、前記ステージにおける前記粒状物層に、成形する前記予備成形体の輪郭形状に沿って照射し、前記粒状物の前記表面部位同士が環形状に固着された環固着部を形成するとともに、前記環固着部の内側に前記粒状物が内包された前記粒状物結合体を成形するよう構成されている、請求項1又は2に記載の予備成形装置。
  4. 前記予備成形装置は、前記ステージ枠によって囲まれた前記ステージ上に前記粒状物を供給する粒状物供給体と、前記ステージ上に載置された前記粒状物を均して、粒状物層を形成するための均し部材とをさらに備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の予備成形装置。
  5. 前記均し部材は、可撓性の均しシートによって構成されており、
    前記均しシートが前記ステージ枠の上端開口部を覆うように配置されるときに、前記粒状物層が形成される、請求項4に記載の予備成形装置。
  6. 前記均しシートは、前記収束光を透過させる性質を有するとともに、前記ステージ枠の上端開口部を閉口して、前記粒状物層が内部に配置された、前記均しシート、前記ステージ枠及び前記ステージによって囲まれた閉空間を形成するよう構成されており、
    前記閉空間が減圧された状態において、前記光照射源による前記収束光が、前記均しシートを介して前記粒状物層に照射される、請求項4又は5に記載の予備成形装置。
  7. 前記光照射源は、前記収束光として、0.78〜2μmの波長領域を含む近赤外線を、直径が1〜10mmの範囲内のスポット光として、前記粒状物層の前記粒状物に照射するよう構成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の予備成形装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載された予備成形装置を含み、
    前記予備成形体から前記樹脂成形品が成形されるキャビティを有する絶縁性の成形型と、
    前記成形型に照射又は印加される電磁波によって、前記成形型を介して前記キャビティ内の前記予備成形体を加熱して溶融させる電磁波発生装置と、を備える、樹脂成形システム。
  9. 樹脂成形品の成形に用いられる予備成形体を成形する予備成形方法であって、
    ステージ枠の内側に配置されたステージに、最大外形が0.5〜5mmの範囲内の、樹脂を含有する粒状物が、規定厚みの範囲内に層状に敷き詰められた粒状物層が形成される粒状物層形成工程と、
    前記ステージに対して光照射源による収束光が平面形状を描くように相対的に移動しながら、前記ステージにおける前記粒状物層に前記収束光が照射される光照射工程と、を含み、
    前記粒状物層形成工程による前記粒状物層の積層と、前記光照射工程による前記収束光の照射とが繰り返し行われ、前記粒状物層における前記粒状物の表面部位が溶融し、前記表面部位同士が接触する界面が互いに固着して、前記予備成形体としての粒状物結合体が成形される、予備成形方法。
  10. 前記光照射工程においては、前記光照射源の前記収束光によって前記粒状物に与えられるエネルギーが、前記粒状物の表面部位のみが溶融する大きさに設定される、請求項9に記載の予備成形方法。
  11. 前記光照射工程においては、前記光照射源の前記収束光が、前記ステージにおける前記粒状物層に、成形する前記予備成形体の輪郭形状に沿って照射され、前記粒状物の前記表面部位同士が環形状に固着された環固着部が形成され、
    前記粒状物層形成工程による前記粒状物層の積層と、前記光照射工程による前記収束光の照射とが繰り返し行われたときには、前記環固着部の内側に前記粒状物が内包された前記粒状物結合体が成形される、請求項9又は10に記載の予備成形方法。
  12. 前記粒状物層形成工程においては、均し部材によって、前記ステージ上又は前記ステージ上の前記粒状物層の表面に載置された前記粒状物が均されて、前記粒状物層が形成される、請求項9〜11のいずれか1項に記載の予備成形方法。
  13. 前記均し部材は、可撓性の均しシートによって構成されており、
    前記粒状物層形成工程においては、前記均しシートが前記ステージ枠の上端開口部を覆うように配置されるときに、前記粒状物層が形成される、請求項12に記載の予備成形方法。
  14. 前記均しシートは、前記収束光を透過させる性質を有しており、
    前記光照射工程においては、前記均しシートを介して、前記ステージにおける前記粒状物層に前記収束光が照射される、請求項13に記載の予備成形方法。
  15. 前記粒状物層形成工程においては、前記均しシートが、記ステージ枠の上端開口部を閉口するよう配置されて、前記粒状物層が内部に配置された、前記均しシート、前記ステージ枠及び前記ステージによって囲まれた閉空間が形成され、
    前記粒状物層形成工程の後であって前記光照射工程の前には、前記閉空間内の真空引きが行われることにより、前記均しシートが前記ステージ枠の上端面に引き寄せられて、減圧状態の前記閉空間が形成される減圧工程が行われる、請求項13又は14に記載の予備成形方法。
  16. 前記光照射工程においては、前記光照射源による前記収束光は、0.78〜2μmの波長領域を含む近赤外線によって構成された、直径が1〜10mmの範囲内のスポット光として、前記粒状物層の前記粒状物に照射される、請求項9〜15のいずれか1項に記載の予備成形方法。
  17. 前記粒状物は、融点が存在する結晶性樹脂によって構成されている、請求項9〜16のいずれか1項に記載の予備成形方法。
  18. 請求項9〜17のいずれか1項に記載された予備成形方法を含み、
    成形型内に前記予備成形体が配置される配置工程と、
    前記成形型を透過した電磁波、又は一対の電極によって印加される電磁波としての交番電界によって前記予備成形体が加熱されて溶融し、前記予備成形体を構成する前記粒状物によって前記成形型内に形成された隙間がなくなるように、溶融した材料が前記成形型内に充填される充填工程と、
    前記溶融した材料が前記成形型内において冷却されて固化し、前記材料が一体化された樹脂成形品が前記成形型内に成形される冷却工程と、を含む樹脂成形方法。
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