JP2021129433A - 電力需給制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】制御性を損なわずに、経済性に基づき地域要求電力(AR)を、各発電設備に配分することができる電力需給制御装置を提供する。【解決手段】電力需給制御システム1において、電力需給制御装置2は、複数の発電設備91により電力が供給される電力系統9aの、周波数変化量、連系潮流電力変化量の少なくとも一方に基づき地域要求電力(AR)を算出するAR算出部24と、AR算出部により算出された地域要求電力(AR)を周波数分解するAR平滑部25と、AR平滑部により周波数分解された地域要求電力(AR)に基づき、複数の発電設備ごとの発電目標値を算出するAR配分部26と、を備える。AR配分部は、制御性に基づき制御量の算出を行う制御性配分、経済性に基づき制御量の算出を行う経済性配分により複数の発電設備の発電目標値を算出する。【選択図】図1

Description

本実施形態は、電力系統の需給制御を行う電力需給制御装置に関する。
電力を安定供給するためには電力系統の需給制御を行うことが必要とされる。この種の電力系統の需給制御システムとしては、負荷周波数制御(LFC)および経済負荷配分制御(EDC)を用いて需給制御を行う電力需給制御システムが知られている。
特開2001−238355号公報
昨今の電力自由化により、新規電気事業者が電気事業に参入し、従来に比べ複雑な電力供給および電力消費がなされるようになった。このため、電力需要量と供給量の調整(以降「電力需給調整」と総称する)は、きめ細かに行うことが必要とされる。制御による安定性、経済性の両者を充足する電力需給調整が行われることが好ましい。
一般送配電事業者の法的分離に伴い、2021年4月に、一般送配電事業者が調整力を調達するための需給調整市場の運用開始が予定されている。需給調整市場は、市場運営の中立性と価格の透明性が確保されること、市場メカニズムを活用した効率的な需給調整が実現されること、必要な調整力が安定的に調達されること、が必要とされる。これらを実現するために、需給調整市場価格の公開、メリットオーダーでの発電、従来の一般電気事業者以外の電源やデマンドレスポンスの活用、調整の柔軟性が高い電源(周波数調整用の電源)の評価を行う方法等の検討が推進されている。需給調整市場が円滑に導入されるためにも、調整力の調達と運用に、公平性と透明性が確保される必要がある。
昨今の電力システム改革に伴い、現状の電力会社における発電、送配電、小売事業は、法的に分離され、送配電と発電、小売事業に分けられる。既存の電力会社は、需給、周波数調整を行う場合、自社内にて必要となる需給調整力を確保していた。しかしながら、発電事業と送配電事業の分離により、一般送配電事業者は、需給調整市場により需給調整力を確保する。
一般送配電事業者は、市場参加者として、また系統運用者として中立の立場にて、メリットオーダーによる需給、周波数調整を行う。一般送配電事業者は、需給調整市場における電力商品を購入して、需給、周波数調整を行う。
需給調整市場における電力商品メニューとして、調整速度の異なる制御に対応した複数の電力商品が準備される。一例として、需給調整市場における電力商品メニューに、制御区分に応じ「一次調整力」「二次調整力」「三次調整力」(上げ、下げ別)に対応した10区分が予定されている。
従来、各エリアの電力系統において、エリアごとの電力需給制御装置により、自エリアの地域要求電力(AR)に基づき、需給調整力の制御および運用が行われていた。地域要求電力(AR)の各発電設備への配分量は、出力変化速度比等の発電機の応答特性に基づき、制御性を優先して算出されていた。
今後、メリットオーダー方式が導入され、電力調整コスト等の経済性に基づき地域要求電力(AR)の各発電設備への配分量が算出される。経済性と制御性は、トレードオフの関係にあり、経済性のみを重視して地域要求電力(AR)の各発電設備への配分量の算出を行った場合、制御性の悪化に繋がる可能性があるとの問題点があった。
本実施形態は、制御性を損なわずに、経済性に基づき地域要求電力(AR)を、各発電設備に配分することができる電力需給制御装置を提供することを目的とする。
本実施形態の電力需給制御装置は、次のような特徴を有する。
(1)複数の発電設備により電力が供給される電力系統の、周波数変化量、連系潮流電力変化量の少なくとも一方に基づき地域要求電力(AR)を算出するAR算出部。
(2)前記AR算出部により算出された前記地域要求電力(AR)を周波数分解するAR平滑部。
(3)前記AR平滑部により周波数分解された前記地域要求電力(AR)に基づき、前記複数の発電設備ごとの発電目標値を算出するAR配分部。
(4)前記AR配分部は、前記地域要求電力(AR)に応じ、制御性に基づき制御量の算出を行う制御性配分、経済性に基づき制御量の算出を行う経済性配分により前記複数の発電設備の前記発電目標値を算出する。
第1実施形態にかかる電力需給制御システムを示す図 第1実施形態にかかる電力需給制御装置の動作フローを示す図 第1実施形態にかかる電力需給制御装置のARが正である場合のメリットオーダーによる配分を示す図 第1実施形態にかかる電力需給制御装置のARが負である場合のメリットオーダーによる配分を示す図 第1実施形態にかかる電力需給制御装置のARの配分にかかる動作フローを示す図 第1実施形態にかかる電力需給制御装置の閾値1未満のARの配分を説明する図 第1実施形態にかかる電力需給制御装置の閾値1以上、閾値2未満のARの配分を説明する図 第1実施形態にかかる電力需給制御装置の閾値2以上のARの配分を説明する図 第1実施形態にかかる電力需給制御装置のARの配分にかかる優先順位の例を説明する図 第1実施形態にかかる電力需給制御装置のARの配分にかかる発電計画値と現在出力値の関係を示す図 第1実施形態にかかる電力需給制御装置のARが正である場合の配分の優先順位を示す図 第1実施形態にかかる電力需給制御装置のARが負である場合の配分の優先順位を示す図 第1実施形態にかかる電力需給制御装置の発電計画値に基づく発電目標値の算出を説明する図 第1実施形態にかかる電力需給制御装置の現在出力値に基づく発電目標値の算出を説明する図 第1実施形態にかかる電力需給制御装置の発電計画値および現在出力値に基づく発電目標値の算出を説明する図 電力商品区分を説明する図
[第1実施形態]
[1−1.構成]
図1を参照して本実施形態の一例として、電力需給制御装置について説明する。なお、本実施形態において、同一構成の装置や部材が複数ある場合にはそれらについて同一の番号を付して説明を行い、また、同一構成の個々の装置や部材についてそれぞれを説明する場合に、共通する番号にアルファベットの添え字を付けることで区別する。
(1)システムの全体構成
図1に、本実施形態にかかる電力需給制御システム1を示す。本電力需給制御システム1は、電力需給制御装置2、電力系統9aを有する。電力系統9aは、複数の発電設備91、自然エネルギー発電設備92、検出装置93を備える。電力系統9aは、連系線を介し他の電力系統9b(以下、他系統9bと総称する)に接続される。また、各発電設備91は、検出用の信号線97および制御用の信号線98により電力需給制御装置2に接続される。
本電力需給制御システムにおいて、以下のデータが、入力、出力、送受信または記憶される。また、以降、「地域要求電力」を「AR」、「経済負荷配分制御」を「EDC」と呼ぶ場合がある。「需要実績値」とは、実際に供給した電力ではなく、実際に発電された電力の値(発電端電力値)をいう。
データa1(発電設備発電電力値)
データb1(自然エネルギー発電電力値)
データc1(周波数変化量ΔF)
データc2(潮流電力変化量ΔPT)
データc3(融通電力P0)
データd1(発電目標値)
データf1(平滑前AR値)
データf2(平滑後AR値)
データf3(AR配分値)
データg1(リアルタイムEDC値)
データf1(平滑前AR値)が、請求項における地域要求電力(AR値)に相当する。本実施形態において、データf1(平滑前AR値)を地域要求電力(AR値)と呼ぶ場合がある。
(2)発電設備91
発電設備91は、電力系統9aに供給する電力を、発電機により発電する電力供給設備である。一例として、本実施形態の電力需給制御システム1は、発電設備91a〜91nを有する。例えば、発電設備91aは、出力変化速度の速い、水力機等の高速機により構成される。例えば、発電設備91bは、出力変化速度のやや遅い、石油火力機等の中速機により構成される。例えば、発電設備91nは、出力変化速度の極めて遅い、石炭火力機等の低速機により構成される。発電設備91は、任意の発電速度を有する発電機により構成されるものであってよい。
発電設備91は、電力需給制御装置2に接続される。発電設備91は、検出用の信号線97を介し電力需給制御装置2に対して、データa1(発電設備発電電力値)を送信する。また、発電設備91は、制御用の信号線98を介し電力需給制御装置2からデータd1(発電目標値)を受信し、データd1(発電目標値)に基づき発電電力の制御を行う。なお、発電設備91a〜91nは、任意の台数であってよい。
(3)自然エネルギー発電設備92
自然エネルギー発電設備92は、電力系統9aに供給する電力を、太陽光、風力等の自然エネルギーにより発電する電力供給設備である。一例として、本実施形態の電力需給制御システム1は、自然エネルギー発電設備92a〜92nを有する。自然エネルギー発電設備92は、電力需給制御装置2にデータb1(自然エネルギー発電電力値)を送信する。なお、自然エネルギー発電設備92a〜92nは、任意の台数であってよい。
(4)検出装置93
検出装置93は、電力系統9aの電気量を検出する測定装置である。検出装置93は、電力系統9aに配置される。検出装置93は、連系線における電力系統9aに関するデータc1(周波数変化量ΔF)、データc2(潮流電力変化量ΔPT)、データc3(融通電力P0)の各項目を検出し電力需給制御装置2に送信する。
(5)電力需給制御装置2
電力需給制御装置2は、コンピュータ等により構成される。電力需給制御装置2は、電力の監視制御を行う制御室等に配置される。電力需給制御装置2は、発電設備91から送信されるデータa1(発電設備発電電力値)、自然エネルギー発電設備92から送信されるデータb1(自然エネルギー発電電力値)、検出装置93から送信される連系線における電力系統9aに関するデータc1(周波数変化量ΔF)、データc2(潮流電力変化量ΔPT)、データc3(融通電力P0)が、入力される。電力需給制御装置2は、需給制御に関する演算を行い発電設備91に対し、データd1(発電目標値)を送信する。
電力需給制御装置2は、入力部21、出力部22、目標値作成部23、AR算出部24、AR平滑部25、AR配分部26、リアルタイムEDC算出部27を有する。
電力需給制御装置2の入力部21、出力部22は、ハードウェアにより構成される。目標値作成部23、AR算出部24、AR平滑部25、AR配分部26、リアルタイムEDC算出部27は、機能ブロックとしてソフトウェアモジュールにより構成される。
入力部21は、受信回路により構成される。入力部21は、入力側が信号線97を介し発電設備91に、出力側が目標値作成部23に接続される。入力部21は、発電設備91から送信されたデータa1(発電設備発電電力値)が入力される。入力部21は、データa1(発電設備発電電力値)を目標値作成部23に出力する。
出力部22は、送信回路により構成される。出力部22は、入力側が目標値作成部23に、出力側が信号線98を介し発電設備91に接続される。出力部22は、目標値作成部23から入力されたデータd1(発電目標値)を、発電設備91に出力する。
目標値作成部23は、入力側が入力部21、AR配分部26及びリアルタイムEDC算出部27に接続され、出力側が出力部22に接続される。目標値作成部23には、入力部21から発電設備91のデータa1(発電設備発電電力値)が、AR配分部26からデータf3(AR配分値)が、リアルタイムEDC算出部27からデータg1(リアルタイムEDC値)が入力される。
目標値作成部23は、データa1(発電設備発電電力値)、データf3(AR配分値)、データg1(リアルタイムEDC値)に基づきデータd1(発電目標値)を作成し、出力部22に対し出力する。
AR算出部24は、入力側が自然エネルギー発電設備92及び検出装置93に接続され、出力側がAR平滑部25に接続される。AR算出部24には、自然エネルギー発電設備92からデータb1(自然エネルギー発電電力値)が、検出装置93からデータc1(周波数変化量ΔF)、データc2(潮流電力変化量ΔPT)、データc3(融通電力P0)が入力される。
AR算出部24は、データb1(自然エネルギー発電電力値)、データc1(周波数変化量ΔF)、データc2(潮流電力変化量ΔPT)、データc3(融通電力P0)に基づき、AR値を算出し、AR平滑部25に対しデータf1(平滑前AR値)を出力する。
AR平滑部25は、入力側がAR算出部24に、出力側がAR配分部26に接続される。AR平滑部25には、AR算出部24からデータf1(平滑前AR値)が入力される。AR平滑部25は、データf1(平滑前AR値)に基づき、周波数分解を行いAR配分部26に対しデータf2(平滑後AR値)を出力する。
AR配分部26は、入力側がAR平滑部25に接続され、出力側が目標値作成部23に接続される。AR配分部26には、AR平滑部25からデータf2(平滑後AR値)が入力される。AR配分部26は、データf2(平滑後AR値)に基づき、発電設備91ごとの発電配分を算出し、各目標値作成部23に対しデータf3(AR配分値)を出力する。データf3(AR配分値)は、各発電設備91への配分量であって、制御性に基づき制御量の算出を行う制御性配分、経済性に基づき制御量の算出を行う経済性配分により算出される。AR配分部26は、各目標値作成部23に対してデータf3(AR配分値)を出力する。
リアルタイムEDC算出部27は、入力側がAR平滑部25に接続され、出力側が各目標値作成部23に接続される。リアルタイムEDC算出部27は、AR平滑部25からデータf2(平滑後AR値)を受信する。
リアルタイムEDC算出部27は、データf2(平滑後AR値)に基づいて経済負荷配分を行い、発電設備91のメリットオーダーによって、経済負荷配分の計算結果としてデータg1(リアルタイムEDC値)を発電設備91ごとに算出する。リアルタイムEDC算出部27は、各エリアの中央給電指令所において予め設定された各発電設備91の出力電力の発電計画値に基づき、長周期の経済負荷配分を行う。
データg1(リアルタイムEDC値)とは、電力需給制御システム1全体として経済的になるよう発電設備91ごとにスケジュール配分された発電電力値である。
また、リアルタイムEDC算出部27は、発電設備91のメリットオーダーによって自エリアにおけるEDC対象のエリアインバランス量を配分する。リアルタイムEDC算出部27は、EDC周期に合わせてエリアインバランス量を配分する。
エリアインバランス量とは、あるエリアの未来の時間帯において、手当されている電力量と、要求された電力量との差分である。
リアルタイムEDC算出部27により算出され配分されたデータg1(リアルタイムEDC値)は、目標値作成部23に送信される。目標値作成部23は、データa1(発電設備発電電力値)、データf3(AR配分値)、データg1(リアルタイムEDC値)に基づき、データd1(発電目標値)を作成し、出力部22に対し出力する。
以上が、本電力需給制御システム1の構成である。
[1−2.作用]
最初に現在行われている一般的な電力需給制御について説明する。
[一般的な電力需給制御]
電力系統の負荷は、季節や時刻に応じ変動している。電力系統の負荷変動は、以下の(イ)(ロ)(ハ)の3つに区分して考えることができる。
(イ)サイクリック分:数秒から数分周期までの微小周期の負荷変動をサイクリック分と呼ぶ。変動幅の小さい種々の振動周期を持った脈動成分や、不規則な変動成分が重畳したものと考えられる。
(ロ)フリンジ分:数分から10数分程度までの短周期の負荷変動をフリンジ分と呼ぶ。
(ハ)サステンド分:10数分以上の長周期の負荷変動をサステンド分と呼ぶ。
微小周期の負荷変動であるサイクリック分のうち、ごく微小である周期の負荷変動は、系統の負荷特性より調整される。サイクリック分のうち、前述の周期以上の負荷変動は、ガバナフリー運転されている発電所の調速機により調整される。サイクリック分のうち、さらに前述の周期以上の負荷変動は、電力会社の中央給電指令所に設置された電力需給制御装置により制御され調整される。
短周期の負荷変動であるフリンジ分の負荷変動は、サイクリック分に比べ変動量が大きいためガバナフリーだけでは調整することができない。フリンジ分の負荷変動は、負荷周波数制御(LFC:Load Frequency Control)により、周波数偏差、電力変動量が検出され発電機の出力が制御され調整される。
長周期の負荷変動であるサステンド分の負荷変動は、負荷変動の変動量が大きく、1日の負荷曲線における負荷変動の一部と考えることができる。サステンド分の負荷変動は、負荷周波数制御では、発電設備の発電能力が不足しており、所望の発電量に調整することができない。サステンド分の負荷変動は、発電所の経済運用である経済負荷配分制御(EDC:Economic Load Dispatch)により調整される。
負荷周波数制御および経済負荷配分制御は、電力会社における中央給電指令所の電力需給制御装置の重要機能である。負荷周波数制御(LFC)は、連系線潮流、系統周波数を一定に維持することを目的とする。経済負荷配分制御(EDC)は、最経済となる電力運用を行うことを目的とする。以下、負荷周波数制御(LFC)と経済負荷配分制御(EDC)を合わせて需給制御と呼ぶ。
負荷周波数制御(LFC)は、系統の周波数および他系統との連系線における潮流電力に応じた各発電設備の出力調整により行われる。負荷周波数制御(LFC)の出力調整は、全ての発電設備に対して行われるのではなく、比較的速い出力変動に対応することができる水力機のような高速機や石油火力機のような中速機に対して行われる。
石炭火力機のような低速機や原子力ユニットまたは運用上出力変動を避けたい発電設備に対して、負荷周波数制御(LFC)の出力調整は、一般的には行われない。負荷周波数制御(LFC)は、各電力会社の中央給電指令所の電力需給制御装置から各発電設備に対し、行われるものであり、出力が所望の値に変動するまでに、数十秒程度の遅れが発生する。
負荷周波数制御(LFC)は、以下の3方式に区分される。
(a)定周波数制御(FFC):周波数変化量(ΔF)を検出して、ΔFを少なくするように発電設備の出力を調整し、系統の周波数のみを規定値に保つように制御する制御方式。
(b)定連系電力制御(FTC):連系線における潮流電力の変化量(ΔPT)を検出して、ΔPTを少なくするように発電設備の出力を調整し、連系線における潮流電力のみを規定値に保つように制御する制御方式。
(c)周波数バイアス連系線電力制御(TBC):周波数変化量(ΔF)と連系線における潮流電力の変化量(ΔPT)とを検出し、地域要求電力(AR)を算出し、地域要求電力(AR)に応じて発電設備の出力を制御する制御方式。
現在、周波数バイアス連系線電力制御(TBC)が、我が国において広く採用されている。周波数バイアス連系線電力制御(TBC)は、各電力会社の中央給電指令所の電力需給制御装置から各発電設備に対し、行われる。周波数バイアス連系線電力制御(TBC)にかかる制御は、以下の手順により行われる。
(手順a1:地域要求電力(AR)の算出)
周波数変化量(ΔF)と連系線潮流変化量(ΔPT)に基づき地域要求電力(AR)の算出を行う。
AR=−K・ΔF+ΔPT
・・・・・(式1)
AR:地域要求電力[MW]
K:系統定数[MW/Hz]
ΔF:周波数偏差[Hz]
ΔPT:連系線潮流変化量[MW]
連系線潮流変化量(ΔPT)とは、連系線における潮流電力の変化量である。上記(式1)では、自系統に流入する電力の潮流方向を正の値としている。地域要求電力(AR)の値が正であれば、系統全体として発電ユニットの出力を上げる。地域要求電力(AR)が負の値であれば、系統全体として発電ユニットの出力を下げる。
(手順a2:地域要求電力(AR)のフィルタリング)
過去の地域要求電力(AR)に基づき指数平滑等によるフィルタリングを行い、地域要求電力(AR)を、低速機、高速機への配分量を算出する。出力変化速度の遅い、例えば火力発電機が低速機に相当する。出力変化速度の速い、例えば水力発電機が高速機に相当する。地域要求電力(AR)を周波数分解し、変動周期の短い電力を高速機に、変動周期の長い電力を低速機に配分するように配分量を算出してもよい。
(手順a3:発電設備への配分)
地域要求電力(AR)がフィルタリング、または周波数分解され算出された配分量を各発電設備に配分する。配分は、需給調整が行われている全ての発電設備に対して、低速機、高速機別に発電設備の出力変化速度、または出力余裕度等に基づき行われる。
(手順a4:発電目標値の算出)
各発電設備の発電目標値の算出を行う。各発電設備の発電目標値は、配分された地域要求電力(AR)と、経済負荷配分制御(EDC)にて算出されたリアルタイムEDCとが加算され算出される。発電目標値は、一定の基準値を逸脱しないように設けられた、上下限値内に設定されるようにしてもよい。
(手順a5:発電設備の出力が変動する)
発電目標値を受信し、各発電設備は、出力を変動させる。その結果、系統周波数、並びに連系線潮流が変化する。その後、手順a1に戻り上記手順を繰り返す。
(一般的な経済負荷配分制御(EDC))
経済負荷配分制御(EDC)は、1日の負荷曲線に見られる、低速の電力負荷変動に対して行われる。低速の電力負荷変動は、過去のデータの基づき高精度で予測することができる。予測された電力負荷変動に対して、燃料費であるコストが少なくなるように、経済負荷配分制御(EDC)にかかる各発電設備の制御量が算出される。経済負荷配分制御(EDC)にかかる各発電設備の制御量の算出に、等増分燃料費則(等λ法)が用いられる場合が多い。
以下に、日本の電力会社にて多用されている等増分燃料費則(等λ法)の一例について説明する。経済負荷配分制御(EDC)は、各電力会社の中央給電指令所の電力需給制御装置から各発電設備に対し、行われる。経済負荷配分制御(EDC)にかかる制御は、以下の手順により行われる。
(手順b1:λの初期値の設定)
最初に、増分となる燃料にかかる燃料費に相当するλの初期値を設定する。
(手順b2:各発電設備の制御量の算出)
次に、増分となる燃料にかかる燃料費に相当するλに等しくなる各発電設備の制御量の算出を行う。制御量は、最小出力値を下回っている場合、最小出力値に、最大出力値を上回っている場合、最大出力値に設定される。
(手順b3:出力電力の総和の算出)
次に、各発電設備から出力される出力電力の総和の算出を行う。
(手順b4:λの再設定)
手順b3で算出された出力電力の総和が負荷未満である場合、λを大きくし、出力の総和が負荷を超える場合、λを小さくし、λの再設定を行う。以降、出力電力の総和と負荷との差分が一定値以内になるまで手順b2〜手順b4を繰り返す。
電力システム改革に伴い、発電、送配電、小売事業は、法的分離により、送配電と発電、小売事業に分けられる。従来において、電力需給、周波数調整を行う場合、電力会社は自社内にて必要となる需給調整力を確保していた。今後、電力システム改革により、電力会社は需給調整市場により需給調整力を確保することとなる。需給調整市場における電力商品は、図16に示すように、「一次調整力」「二次調整力」「三次調整力」(上げ、下げ別)の10の電力商品区分となることが予定されている。
従来において、系統全体の周波数維持等の高品質な電力供給を確保する業務であるアンシラリーサービスは、自社の発電設備を用いた一般電気事業者により行われていた。今後の需給調整市場に基づく新たなライセンス制により、アンシラリーサービスは、一般送配電事業者により行われる。
今後のアンシラリーサービスにおいて、電力品質確保に必要な電源等は、調整力として一般送配電事業者により発電事業者等から調達され、調整力の確保に必要なコストは託送料金として、一般送配電事業者により回収される仕組みとなる。この仕組みにより、多様な発電事業者等の参画および競争が進み、調整力として調達可能な電力の増大、電力品質の向上、効率的な調整力の活用等が期待される。この仕組みは、調整力の調達の公平性、透明性が確保された上で、一般送配電事業者により行われることを前提としたものであるが、手続の具体的な内容は各一般送配電事業者に委ねられている。
今後、系統全体における高品質な電力供給を確保することが、一般送配電事業者に要求される。需給調整市場により需給調整力の確保が行われるため、一般送配電事業者は、メリットオーダーによる需給、周波数調整を行う。
[電力需給制御システム1の動作]
次に、本実施形態の電力需給制御システム1の動作の概要を、電力需給制御装置2の動作に基づき説明する。本実施形態における需給調整方式は、図16におけるLFC機能を対象とした二次調整力の商品区分を主とする。需給調整のための調整電源である発電設備91は、火力、水力機のみならず、蓄電池やDR等を含む。
将来、電力システム改革が行われた場合であっても、一般送配電事業者による電力が安定供給されることが望ましい。本実施形態にかかる電力需給制御装置2は、電力系統9aにかかるエリア全体の、需給バランスを維持する処理機能を有する。
本実施形態にかかる電力需給制御装置2は、将来の需給調整を予測した需給調整制御を行う。電力系統9にかかる各エリアの中央給電指令所に配置された電力需給制御装置2は、発電設備91の調整コスト、運転能力に基づき地域要求電力(AR)を、各発電設備91に配分する。本実施形態にかかる電力需給制御装置2は、電力系統9aにかかる自エリアにおいて地域要求電力(AR)の分配を行う。電力需給制御装置2は、一般送配電事業者による電力の安定供給に有効である。
電力需給制御装置2のAR配分部26は、制御性に基づき制御量の算出を行う制御性配分、経済性に基づき制御量の算出を行う経済性配分により、複数の発電設備91の発電目標値の算出基準となるデータf3(AR配分値)を算出する。
図2に、電力需給制御装置2の動作フローを示す。図2に示すプログラムは、電力需給制御装置2に内蔵される。電力需給制御装置2は、下記の手順にて動作および演算を行う。
(ステップS20:データf1(平滑前AR値)の算出)
検出装置93は、連系線における電力系統9aに関するデータc1(周波数変化量ΔF)、データc2(潮流電力変化量ΔPT)、データc3(融通電力P0)の各項目を検出し、電力需給制御装置2に送信する。自然エネルギー発電設備92は、電力需給制御装置2にデータb1(自然エネルギー発電電力値)を送信する。一例として、本実施形態の電力需給制御システム1は、自然エネルギー発電設備92から電力需給制御装置2に、データb1(自然エネルギー発電電力値)が送信されるものとしたが、自然エネルギー発電設備92からデータb1(自然エネルギー発電電力値)が送信されないものであってもよい。また、本実施形態の電力需給制御システム1は、自然エネルギー発電設備92を有するものとしたが、電力需給制御システム1は、自然エネルギー発電設備92を有しないものであってもよい。
電力需給制御装置2のAR算出部24には、以下の信号が入力される。
検出装置3から送信された以下の信号
データc1(周波数変化量ΔF)
データc2(潮流電力変化量ΔPT)
データc3(融通電力P0)
自然エネルギー発電設備2から送信された以下の信号
データb1(自然エネルギー発電電力値)
データc1(周波数変化量ΔF)、データc2(潮流電力変化量ΔPT)、データc3(融通電力P0)、データb1(自然エネルギー発電電力値)に基づき、電力需給制御装置2は、AR算出部24によりデータf1(平滑前AR値)の算出を(式1)により行う。(式1)を再掲する。(式1)におけるARが、データf1(平滑前AR値)である。
AR=−K・ΔF+ΔPT
・・・・・(式1)
AR:地域要求電力[MW]
K:系統定数[MW/Hz]
ΔF:周波数偏差[Hz]
ΔPT:連系線潮流変化量[MW]
上記(式1)では、自系統に流入する電力の潮流方向を正の値としている。
(ステップS21:データf2(平滑後AR値)の算出)
ステップS20で算出されたデータf1(平滑前AR値)に基づき、電力需給制御装置2は、AR平滑部25により、データf2(平滑後AR値)の算出を行う。データf2(平滑後AR値)は、フーリエ展開によりデータf1(平滑前AR値)が周波数分解され算出される。
(ステップS22:データf3(AR配分値)の算出)
ステップS21で周波数分解されたデータf2(平滑後AR値)に基づき、電力需給制御装置2は、AR配分部26により、データf3(AR配分値)の算出を行う。データf3(AR配分値)は、各発電設備91a、91b、91nへの配分量であり、発電設備91の調整コスト、発電設備91の出力応答速度または出力余裕度等の運転能力に基づき算出される。後述する[算出手段A]〜[算出手段G]において、具体的な算出手段について説明する。
(ステップS204:データg1(リアルタイムEDC値)の算出)
上記のステップS20〜S22に並行して、ステップS204が実行される。ステップS21で算出されたデータf2(平滑後AR値)に基づき、電力需給制御装置2は、リアルタイムEDC算出部27により、データg1(リアルタイムEDC値)の算出を行う。データg1(リアルタイムEDC値)は、発電設備91a、91b、91nのメリットオーダーによって、リアルタイムEDC算出部27により、各発電設備91a、91b、91nに対する経済負荷配分が行われ、算出される。
(ステップS23:データd1(発電目標値)の算出)
ステップS22で算出されたデータf3(AR配分値)、リアルタイムEDC算出部27から送信されたデータg1(リアルタイムEDC値)に基づき、電力需給制御装置2は、目標値作成部23により、データd1(発電目標値)の算出を行う。目標値作成部23a、23b、23nにより各発電設備91a、91b、91bnごとのデータd1(発電目標値)がそれぞれ算出される。
(ステップS24:データd1(発電目標値)の送信)
ステップS23で算出されたデータd1(発電目標値)を、電力需給制御装置2は、出力部22に送信する。出力部22a、22b、22nに対し各発電設備91a、91b、91nごとのデータd1(発電目標値)がそれぞれ送信される。
(ステップS25:データd1(発電目標値)の指令送出)
ステップS24で出力部22a、22b、22nに対し送信されたデータd1(発電目標値)を、電力需給制御装置2は、出力部22から発電設備91に指令として送出する。各発電設備91a、91b、91nに対し、出力部22a、22b、22nからデータd1(発電目標値)が指令として送出される。これにより、各発電設備91a、91b、91nは、データd1(発電目標値)にかかる電力を出力する。
[算出手段A]
ステップS22において、AR配分部26は、制御性に基づき制御量の算出を行う制御性配分に加え、調整コスト等の経済性に基づき制御量の算出を行う経済性配分によりデータf3(AR配分値)の算出を行う。AR配分部26は、制御性に基づき制御量の算出を行う制御性配分により、発電ユニットの出力変化速度比または出力余裕比等に基づき、データf2(平滑後AR値)を、発電設備91に配分する。
AR配分部26は、図3、4に示すようにメリットオーダー方式による調整コストを反映した経済性配分によりデータf3(AR配分値)の算出を行う。図3、図4における発電設備A〜Eは、発電設備91a〜91nのうち制御対象として選択された発電設備である。発電設備A〜Eは、それぞれ発電設備91a〜91nのうちの複数を含んでいてもよい。
AR配分部26は、地域要求電力(AR)が正の場合、図3に示すように、経済性配分によりメリットオーダーが安い順に積み上げて、データf2(平滑後AR値)を、発電設備A〜Eにかかる発電設備91に配分する。
AR配分部26は、地域要求電力(AR)が負の場合、図4に示すように、経済性配分によりメリットオーダーが高い順に積み上げて、データf2(平滑後AR値)を、発電設備A〜Eにかかる発電設備91に配分する。
AR配分部26は、地域要求電力(AR)に到達した時点で、配分を終了とする。または、AR配分部26は、該当するLFC対象となる全ての発電設備91に対して、地域要求電力(AR)の配分を行うようにしてもよい。
地域要求電力(AR)は、メリットオーダー方式により、調整コストの安い、または、高い順に積み上げられ配分されてもよいし、LFC機能(二次調整力(1))の対象となる全ての発電設備91に対して配分されるようにしてもよい。
従来、制御性に基づき制御量の算出を行う制御性配分のみにより、地域要求電力(AR)が配分されていた、しかしながら、上記の算出手段Aにより、地域要求電力(AR)が正の場合、調整コストの安い順に、地域要求電力(AR)が負の場合、調整コストの高い順に地域要求電力(AR)が配分され、市場参加者、系統運用者の中立性が確保された、メリットオーダーによる需給、周波数調整が行われる。
[算出手段B]
発電設備91の制御性を悪化させる可能性を回避するため、経済性配分と制御性配分を含む算出手段Bによりデータf3(AR配分値)の算出が行われる。
AR配分部26は、AR平滑部25により周波数分解された地域要求電力(AR)の周波数に基づき、地域要求電力(AR)の周波数が、予め定められた周期未満の地域要求電力(AR)の周期成分に対し、制御性配分により発電設備91の出力電力の制御を行い、予め定められた周期以上の地域要求電力(AR)の周期成分に対し、経済性配分により発電設備91の出力電力の制御を行う。制御性に基づき制御量の算出を行う制御性配分は具体的には以下のように行われる。
AR配分部26は、図5に示すプログラムに基づき算出手段Bにかかる動作を実行する。図5に示すプログラムは、ソフトウェアモジュールとして構成され、図3におけるステップS22において実行される。
(ステップS31:データf2(平滑後AR値)の取得)
ステップS21においてAR平滑部45により周波数分解されたデータf2(平滑後AR値)を取得する。このデータf2(平滑後AR値)は、ステップS21でAR平滑部45によりフーリエ展開により地域要求電力(AR)が、周波数分解され算出された値である。
(ステップS32:10秒〜2分周期であるかの判断)
AR配分部26は、ステップS31で取得されたデータf2(平滑後AR値)に、10秒〜2分周期である地域要求電力(AR)が含まれるかの判断を行う。10秒〜2分周期である地域要求電力(AR)が含まれるかの判断は、データf2(平滑後AR値)が指数平滑等によりフィルタリングされることにより行われる。データf2(平滑後AR値)のうち、10秒〜2分周期である地域要求電力(AR)は、ステップS33に移行し処理が行われる(S32の「YES」)。一方、データf2(平滑後AR値)のうち、10秒〜2分周期に相当しない地域要求電力(AR)は、ステップS34に移行し処理が行われる(S32の「NO」)。
(ステップS33:制御性配分を行う)
AR配分部26は、データf2(平滑後AR値)のうち、ステップS32にて10秒〜2分周期であると判断された地域要求電力(AR)を、制御性配分により発電設備91に配分する。10秒〜2分周期であると判断された地域要求電力(AR)は、一例として出力変化速度比に基づき、高速発電機(例えば水力機)である発電設備91に配分される。制御性配分により地域要求電力(AR)が配分される発電設備91と、経済性配分により地域要求電力(AR)が配分される発電設備91は、重複してもよい。
(ステップS34:2分〜10分周期であるかの判断)
AR配分部26は、ステップS31で取得されたデータf2(平滑後AR値)に、2分〜10分周期である地域要求電力(AR)が含まれるかの判断を行う。2分〜10分周期である地域要求電力(AR)が含まれるかの判断は、データf2(平滑後AR値)が指数平滑等によりフィルタリングされることにより行われる。データf2(平滑後AR値)のうち、2分〜10分周期である地域要求電力(AR)は、ステップS35に移行し処理が行われる(S34の「YES」)。一方、データf2(平滑後AR値)のうち、2分〜10分周期に相当しない地域要求電力(AR)は、ステップS36に移行し処理が行われる(S34の「NO」)。
(ステップS35:経済性配分を行う)
AR配分部26は、データf2(平滑後AR値)のうち、ステップS34にて2分〜10分周期であると判断された地域要求電力(AR)を、経済性配分により発電設備91に配分する。2分〜10分周期であると判断された地域要求電力(AR)は、一例として算出手段Aにかかるメリットオーダーに基づき、中速発電機(例えば石油火力機)である発電設備91に配分される。経済性配分により地域要求電力(AR)が配分される発電設備91と、制御性配分により地域要求電力(AR)が配分される発電設備91は、重複してもよい。経済性配分は、算出手段Aにより行われる。
(ステップS46:EDC値の補正を行う)
AR配分部26は、データf2(平滑後AR値)のうち、ステップS34にて2分〜10分周期より長周期であると判断された地域要求電力(AR)を、リアルタイムEDC算出部27に送信し、EDC値に反映させる。2分〜10分周期より長周期であると判断された地域要求電力(AR)は、リアルタイムEDC算出部27により算出されたデータg1(リアルタイムEDC値)が補正されることにより、反映される。これにより、2分〜10分周期より長周期であると判断された地域要求電力(AR)の平均値は、ゼロに近づけられる。
上記の算出手段Bにより、周期の短い地域要求電力(AR)は、制御性配分により発電設備91に配分され、出力は短時間で変動成分に応動する。周期の短い地域要求電力(AR)は、出力変化速度比に基づき発電設備91に配分され、発電設備91の応動特性に応じた出力変動をさせることができる。
一方、周期の長い地域要求電力(AR)は、経済性配分により発電設備91に配分され、出力は長時間で変動成分に応動する。周期の長い地域要求電力(AR)は、メリットオーダーに基づき発電設備91に配分され、出力変化速度の遅い発電設備91に、応動特性に応じた出力変動をさせることができる。本実施形態にかかる電力需給制御装置2によれば、制御性と経済性を両立させた発電設備91の制御を行うことができる。
[算出手段C]
発電設備91の制御性を悪化させる可能性を回避するため、経済性配分と制御性配分を含む算出手段Cによりデータf3(AR配分値)の算出が行われる。
AR配分部26は、地域要求電力(AR)が、予め定められた閾値未満である場合、経済性配分により発電設備91に対し出力電力の制御を行い、地域要求電力(AR)が、予め定められた閾値以上である場合、制御性配分により発電設備91に対し出力電力の制御を行う。
図6〜8に示すように、地域要求電力(AR)の配分にかかる算出方法は、例えば2つの閾値、閾値1、閾値2により切り替えられる。図6〜8における発電設備A〜Eは、発電設備91a〜91nのうち制御対象として選択された発電設備である。発電設備A〜Eは、それぞれ発電設備91a〜91nのうちの複数を含んでいてもよい。
図6に示すように、地域要求電力(AR)が閾値1未満である場合、制御の必要性が低いため地域要求電力(AR)は、発電設備91に配分されない。図7に示すように、地域要求電力(AR)が閾値1以上、閾値2未満である場合、経済性が優先されるため地域要求電力(AR)は、メリットオーダー方式による経済性配分により、発電設備A〜Cにかかる発電設備91に配分される。図8に示すように、地域要求電力(AR)が閾値2以上である場合、制御性が優先されるため地域要求電力(AR)は、出力変化速度比に基づく配分等による制御性配分により、発電設備A〜Eにかかる発電設備91に配分される。
地域要求電力(AR)が閾値2以上である場合、地域要求電力(AR)は、経済性配分により発電設備A〜Cにかかる発電設備91に、制御性配分により発電設備C〜Eにかかる発電設備91に配分されるようにしてもよい。
上記では、閾値1、閾値2等の閾値は、地域要求電力(AR)の大きさに応じて設けられるものとしたが、制御性能の評価として用いられる系統周波数偏差(Δf)の大きさに応じ設けられるものであってもよい。
上記の算出手段Cにより、地域要求電力(AR)の大きさに応じ、制御性配分、経済性配分が選択される。これにより、発電設備91の応動特性に適した制御を行うことができる。
地域要求電力(AR)が大きい場合、出力変化速度比に基づく配分等による制御性配分により、地域要求電力(AR)は発電設備91に配分され、発電設備91の制御性の悪化を招くことを軽減することができる。地域要求電力(AR)が小さい場合、メリットオーダー方式に基づく配分等による経済性配分により、地域要求電力(AR)は発電設備91に配分され、制御性と経済性を両立させた発電設備91の制御を行うことができる。
算出手段Cによる配分は、算出手段A、Bと協同して行われてもよい。例えば、地域要求電力(AR)が閾値2以上である場合、地域要求電力(AR)は、算出手段Aによる経済性配分により発電設備A〜Cにかかる発電設備91に、算出手段Bによる制御性配分および経済性配分により発電設備C〜Eにかかる発電設備91に配分されるようにしてもよい。
[算出手段D]
発電設備91の制御性を悪化させる可能性を回避するため、経済性配分と制御性配分を含む算出手段Dによりデータf3(AR配分値)の算出が行われる。
AR配分部26は、出力電力の出力変化速度および出力電力の調整コストに基づき算出された、発電設備91ごとの制御性配分による出力電力、経済性配分による出力電力の按分比率により、発電設備91の出力電力の制御を行う。
算出手段Cにおける地域要求電力(AR)の閾値付近では、制御により発電設備91の出力電力が変化するため、頻繁に制御の対象となる発電設備91が入れ替わる。このため、制御性能が劣化する可能性がある。制御性に基づき制御量の算出を行う制御性配分、経済性に基づき制御量の算出を行う経済性配分の按分比率により、各発電設備91のデータf3(AR配分値)を算出し、制御の対象となる発電設備91が頻繁に入れ替わることを抑制する
制御性配分、経済性配分の按分は(式2)に基づき算出される。各発電設備91の出力変化速度Viと、調整コストCiに基づき、按分比率δにより制御性配分による出力電力、経済性配分により出力電力に対し重み付けを行う。δが1に近いほど出力変化速度の重みが大きくなり制御性配分が優先され、δが0に近いほど調整コストの重みが大きくなり、経済性配分が優先される。
Figure 2021129433
・・・・・(式2)
Figure 2021129433
・・・・・(式3)
Figure 2021129433
・・・・・(式4)
ここで、
LFC対象の発電機台数 N
各発電機の配分係数 Wi
パラメータ δ (0≦δ≦1)
配分前AR AR
各発電機のAR配分量 AR配分量i
各発電機の出力変化速度 出力変化速度i
各発電機の調整コスト 調整コストi
制御性配分による出力電力、経済性配分による出力電力の按分比率により、データf3(AR配分値)が算出されるので、制御性と経済性を両立させた発電設備91の制御を行うことができる。
地域要求電力(AR)の大きさに応じ、パラメータδが調整または選択されるようにしてもよい。算出手段Dによる配分は、算出手段A、B、Cと協同して行われてもよい。例えば、発電設備91のうち予め定められた発電設備91に、算出手段Cにより地域要求電力(AR)が配分され、その余の発電設備91に、算出手段A、Bにより地域要求電力(AR)が配分されるようにしてもよい。
[算出手段E]
発電設備91の制御性を悪化させる可能性を回避するため、経済性配分と制御性配分を含む算出手段Eによりデータf3(AR配分値)の算出が行われる。
AR配分部26は、現在の出力電力と計画出力電力との差分に基づき決定された、発電設備の制御の優先順位に基づき、データf3(AR配分値)にかかる地域要求電力(AR)を配分し、発電設備91の出力電力の制御を行う。
図1、図2に示すように、各エリアの中央給電指令所に配置された電力需給制御装置2のAR配分部26は、AR平滑部25によりデータf2(平滑後AR値)に変換された地域要求電力(AR)を各発電設備91に配分する。図9〜図12に基づき、地域要求電力(AR)が配分される発電設備91の優先順位について説明する。図9〜図12における発電設備A〜Eは、発電設備91a〜91nのうち制御対象として選択された発電設備である。発電設備A〜Eは、それぞれ発電設備91a〜91nのうちの複数を含んでいてもよい。
メリットオーダー方式により調整コストの順にデータf2(平滑後AR値)を各発電設備91に配分する場合において、発電計画値に近くなるようにデータf2(平滑後AR値)が配分されるほど、調整コストの精算額を小さくすることができる。発電計画値とは、各発電設備91の出力電力の発電にかかる計画値であり、各エリアの発電事業者により作成される。発電計画値は、例えば発電の1時間より以前に作成される。
発電計画値に近くなるようにデータf2(平滑後AR値)を配分することを目的とした、発電設備91の配分の優先順位を設定する。つまり、発電設備91の現在の出力電力と発電計画値の乖離の大きい順に、データf2(平滑後AR値)は、発電設備91に配分される。
データf2(平滑後AR値)にかかる地域要求電力(AR)が配分される発電設備91の優先順位は、以下により決定される。
ARが正(インバランス不足):
現在出力値(Y)<発電計画値(X)である発電設備91から優先して配分
ARが負(インバランス余剰):
現在出力値(Y)>発電計画値(X)である発電設備91から優先して配分
例えば、時刻に対する発電設備91の出力電力を示す図10において、時刻1〜時刻4の各時刻における地域要求電力(AR)の配分は、図9に示す優先順位により行われる。図9、図10において発電設備Aの発電計画値をXA、発電設備Aの現在出力値をYA、発電設備Bの発電計画値をXB、発電設備Bの現在出力値YBと記す。
また、地域要求電力(AR)が正の場合と、負の場合における、現在出力値と発電計画値の差分の大小関係と、地域要求電力(AR)の配分の優先順位との関係を図11、図12に示す。地域要求電力(AR)が正である場合、(発電計画値―現在出力値)が大きい発電設備91の順に、地域要求電力(AR)が配分される。地域要求電力(AR)が負である場合、(現在出力値−発電計画値)が大きい発電設備91の順に、地域要求電力(AR)が配分される。
時刻1において、地域要求電力(AR)は正であり、配分は発電設備91Aより、発電計画値(X)が現在出力値(Y)より大きい発電設備91Bに優先して配分れる。時刻2において、地域要求電力(AR)は負であり、配分は発電設備91Bより、発電計画値(X)と現在出力値(Y)の差分が大きい発電設備91Aに優先して配分れる。時刻3において、地域要求電力(AR)は正であり、配分は発電設備91Aより、発電計画値(X)が現在出力値(Y)より大きい発電設備91Bに優先して配分れる。時刻4において、地域要求電力(AR)は負であり、配分は発電設備91Bより、発電計画値(X)と現在出力値(Y)の差分が大きい発電設備91Aに優先して配分れる。
なお、制御の対象となる発電設備91が、LFCにかかる制御のみではなく、EDCにかかる制御の対象とされている場合、発電計画値ではなく、EDC値に基づき優先順位が設定されるようにしてもよい。
上記によれば、地域要求電力(AR)の符号に応じ、地域要求電力(AR)が配分される発電設備91の優先順位が設定されるので、発電計画値に近くなるように発電設備91の出力電力が制御され、調整コストを低減することができる。算出手段Eによる配分は、算出手段A、B、C、Dと協同して行われてもよい。
[算出手段F]
発電設備91の制御性を悪化させる可能性を回避するため、経済性配分と制御性配分を含む(式5)(式6)にかかる算出手段Fによりデータf3(AR配分値)の算出が行われる。
AR配分部26は、発電設備91ごとに定められた現在の出力電力と計画出力電力(発電計画値)との比率に基づき、データf3(AR配分値)にかかる地域要求電力(AR)を配分し、発電設備91の出力電力の制御を行う。
図1、図2に示すように、各エリアの中央給電指令所に配置された電力需給制御装置2のAR配分部26は、AR平滑部25によりデータf2(平滑後AR値)に変換された地域要求電力(AR)を各発電設備91に配分する。発電目標値は、地域要求電力(AR)であるデータf3(AR配分値)の大きさに応じ、下記の(式5)または(式6)により算出される。
図6〜8に示すように、地域要求電力(AR)であるデータf3(AR配分値)の大きさが、予め定められた閾値2未満である場合、発電目標値は、発電計画値に基づき(式5)により算出される。
発電目標値=AR配分値+発電計画値
・・・・・(式5)
図13に示すように(式5)にかかる発電目標値は算出され、発電設備91に指示される。
図6〜8に示すように、地域要求電力(AR)であるデータf3(AR配分値)の大きさが、予め定められた閾値2以上である場合、発電目標値は、現在出力値に基づき(式6)により算出される。
発電目標値=AR配分値+現在出力値
・・・・・(式6)
図14に示すように(式6)にかかる発電目標値は算出され、発電設備91に指示される。系統運用者により(式5)または(式6)による目標値指令値の算出が選択されるようにしてもよい。算出手段Fによる配分は、算出手段A、B、C、D、Eと協同して行われてもよい。
[算出手段G]
発電設備91の制御性を悪化させる可能性を回避するため、経済性配分と制御性配分を含む(式7)にかかる算出手段Gによりデータf3(AR配分値)の算出が行われる。
算出手段Fの(式5)により発電目標値が算出された場合、発電計画値に基づき発電目標値が算出されるので、調整コストの低減を行うことができる。しかしながら、算出された目標値指令値は、発電計画値から大きく外れることがないため、制御性に優れない場合がある。
算出手段Fの(式6)により発電目標値が算出された場合、現在出力値に基づき発電目標値が算出されるので、発電設備91の出力電力は発電目標値に短時間で追従し、制御性に優れる。しかしながら、算出された目標値指令値は、発電計画値から大きく外れることがあるため、調整コストが増大する場合がある。つまり、(式5)による発電目標値の算出は制御性に優れない場合があり、(式6)による発電目標値の算出は経済性に優れない場合がある。
本実施形態では、制御性、経済性を両立させることを目的として、下記の(式7)により発電目標値の算出を行う。
発電目標値=AR配分値+(K1×現在出力値+K2×発電計画値)/(K1+K2)
・・・・・(式7)
図15に示すように(式7)にかかる発電目標値は算出され、発電設備91に指示される。
(式7)においてK1、K2は感度係数である。K1が大きいほど現在出力値の比重が高くなり、制御性が優先されて発電目標値が算出される。K2が大きいほど発電計画値の比重が高くなり、経済性が優先されて発電目標値が算出される。感度係数K1、K2は、発電設備91ごとに任意に設定される。
なお、制御の対象となる発電設備91が、LFCにかかる制御のみではなく、EDCにかかる制御の対象とされている場合、発電計画値に代替し、EDC値に基づき(式7)により発電目標値が算出されるようにしてもよい。
また、発電設備91の上下限に対して上げ下げ余力を確保できるように、例えば(式8)(式9)により発電目標値が算出されるようにしてもよい。
発電目標値(上げ余力確保)=min(最大出力×Rup,発電目標値)
・・・・・(式8)
発電目標値(下げ余力確保)=max(最小出力×Rdn,発電目標値)
・・・・・(式9)
(式8)におけるRup、(式9)におけるRdnは、Rup≦1.0、Rdn≧1.0である予備力係数である。発電目標値が(式8)、(式9)により算出されることにより、発電設備91の予備力が確保される。上げ調整は、調整コストが安価である発電設備91、下げ調整は、調整コストが高価である発電設備91により行われる。このような上げ調整、下げ調整により、最大最小出力への張り付きの回避が有効に行われる。
上記によれば、(式7)、(式8)または(式9)により制御性、経済性を両立させた発電目標値が算出される。算出手段Gによる配分は、算出手段A、B、C、D、E、Fと協同して行われてもよい。
以上が、本実施形態にかかる電力需給制御システム1および電力需給制御装置2の動作である。
[1−3.効果]
(1)本実施形態によれば、電力需給制御装置2は、複数の発電設備91により電力が供給される電力系統9の、周波数変化量、連系潮流電力変化量の少なくとも一方に基づき地域要求電力(AR)を算出するAR算出部24と、AR算出部24により算出された地域要求電力(AR)を周波数分解するAR平滑部25と、AR平滑部25により周波数分解された地域要求電力(AR)に基づき、複数の発電設備91ごとの発電目標値を算出するAR配分部26と、を備え、AR配分部26は、制御性に基づき制御量の算出を行う制御性配分、経済性に基づき制御量の算出を行う経済性配分により複数の発電設備91の発電目標値を算出するので、制御性を損なわずに、経済性に基づき地域要求電力(AR)を、各発電設備91に配分することができる電力需給制御装置2を提供することができる。
(2)本実施形態によれば、電力需給制御装置2のAR配分部26は、AR平滑部25により周波数分解された地域要求電力(AR)の周波数に基づき、地域要求電力(AR)の周波数が、予め定められた周期未満である発電設備91に対し、制御性配分により出力電力の制御を行い、予め定められた周期以上である発電設備91に対し、経済性配分により出力電力の制御を行うので、制御性配分により制御される発電設備91、経済性配分により制御される発電設備91が適切に選択される。これにより制御性を損なわずに、経済性に基づき地域要求電力(AR)を、各発電設備91に配分することができる電力需給制御装置2を提供することができる。
(3)本実施形態によれば、AR配分部26は、地域要求電力(AR)が、予め定められた閾値未満である場合、経済性配分により発電設備91に対し出力電力の制御を行い、地域要求電力(AR)が、予め定められた閾値以上である場合、制御性配分により発電設備91に対し出力電力の制御を行うので、地域要求電力(AR)の大きさに応じ、制御性配分、経済性配分が選択され、発電設備91の応動特性に適した制御を行うことができる。
地域要求電力(AR)が大きい場合、出力変化速度比に基づく配分等による制御性配分により、地域要求電力(AR)は発電設備91に配分され、発電設備91の制御性の悪化を招くことを軽減することができる。地域要求電力(AR)が小さい場合、メリットオーダー方式に基づく配分等による経済性配分により、地域要求電力(AR)は発電設備91に配分され、制御性と経済性を両立させた発電設備91の制御を行うことができる。これにより制御性を損なわずに、経済性に基づき地域要求電力(AR)を、各発電設備91に配分することができる電力需給制御装置2を提供することができる。
(4)本実施形態によれば、電力需給制御装置2のAR配分部26は、地域要求電力(AR)が、予め定められた閾値未満である場合、発電計画値に基づき発電目標値を算出し、発電設備91に対し出力電力の制御を行う。発電計画値に基づき発電目標値が算出されるので、調整コストの低減を行うことができる。
電力需給制御装置2のAR配分部26は、地域要求電力(AR)が、予め定められた閾値以上である場合、現在出力値に基づき発電目標値を算出し、発電設備91に対し、出力電力の制御を行う。現在出力値に基づき発電目標値が算出されるので、発電設備91の出力電力は発電目標値に短時間で追従することができる。これにより制御性を損なわずに、経済性に基づき地域要求電力(AR)を、各発電設備91に配分することができる電力需給制御装置2を提供することができる。
(5)本実施形態によれば、電力需給制御装置2のAR配分部26は、出力電力の出力変化速度および出力電力の調整コストに基づき算出された、発電設備91ごとの制御性配分による出力電力、経済性配分による出力電力の按分比率により、発電設備91の出力電力の制御を行う。制御性配分による出力電力、経済性配分による出力電力の按分比率により、データf3(AR配分値)が算出されるので、制御性と経済性を両立させた発電設備91の制御を行うことができる。
(6)本実施形態によれば、電力需給制御装置2のAR配分部26は、現在出力値と発電計画値との差分に基づき決定された、発電設備91の制御の優先順位に基づき、発電設備91の出力電力の制御を行う。これにより、地域要求電力(AR)の符号に応じ、地域要求電力(AR)が配分される発電設備91の優先順位が設定されるので、発電計画値に近くなるように発電設備91の出力電力が制御され、調整コストを低減することができる。
(7)本実施形態によれば、電力需給制御装置2のAR配分部26は、現在出力値と発電計画値との、発電設備91ごとに定められた比率に基づき、発電設備91の出力電力の制御を行う。これにより、発電目標値が現在出力値と発電計画値との比率に基づき算出され、発電設備91の予備力が確保される。上げ調整は、調整コストが安価である発電設備91、下げ調整は、調整コストが高価である発電設備91により行われる。このような上げ調整、下げ調整により、出力淘汰の回避が有効に行われる。
[他の実施形態]
変形例を含めた実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。以下は、その一例である。
(1)上記実施形態では、発電設備91は、火力、水力等の発電機であるものとした。しかしながら発電設備91は、これに限られない。発電設備91は、蓄電池やDR等であってもよい。
(2)上記実施形態における、自然エネルギー発電設備92は、太陽光発電装置、風力発電装置、海流発電装置、地熱発電装置であってもよい。
(3)上記実施形態では、入力部21は、受信回路としたがこれに限られない。入力部21は、メモリポートやキーボードによる入力装置でもよい。
(4)上記実施形態における電力系統9bは、複数の電力会社の電力系統(同期系統)により構成されたものであってもよい。
1・・・電力需給制御システム
2・・・電力需給制御装置
9,9a,9b・・・電力系統
21,21a,21b,21n・・・入力部
22,22a,22b,22n・・・出力部
23,23a,23b,23n・・・目標値作成部
24・・・AR算出部
25・・・AR平滑部
26・・・AR配分部
27・・・リアルタイムEDC算出部
91,91a,91b,91n・・・複数の発電設備
92,92a,92b,92n・・・自然エネルギー発電設備
93・・・検出装置
97,97a,97b,97n・・・信号線
98,98a,98b,98n・・・信号線

Claims (7)

  1. 複数の発電設備により電力が供給される電力系統の、周波数変化量、連系潮流電力変化量の少なくとも一方に基づき地域要求電力(AR)を算出するAR算出部と、
    前記AR算出部により算出された前記地域要求電力(AR)を周波数分解するAR平滑部と、
    前記AR平滑部により周波数分解された前記地域要求電力(AR)に基づき、前記複数の発電設備ごとの発電目標値を算出するAR配分部と、を備え、
    前記AR配分部は、前記地域要求電力(AR)に応じ、制御性に基づき制御量の算出を行う制御性配分、経済性に基づき制御量の算出を行う経済性配分により前記複数の発電設備の前記発電目標値を算出する、
    電力需給制御装置。
  2. 前記AR配分部は、前記AR平滑部により周波数分解された前記地域要求電力(AR)の周波数に基づき、前記地域要求電力(AR)の前記周波数が、予め定められた周期未満である前記発電設備に対し、制御性配分により出力電力の制御を行い、予め定められた周期以上である前記発電設備に対し、経済性配分により出力電力の制御を行う、
    請求項1に記載の電力需給制御装置。
  3. 前記AR配分部は、前記地域要求電力(AR)が、予め定められた閾値未満である場合、経済性配分により前記発電設備に対し出力電力の制御を行い、前記地域要求電力(AR)が、予め定められた閾値以上である場合、制御性配分により前記発電設備に対し出力電力の制御を行う、
    請求項1または2に記載の電力需給制御装置。
  4. 前記AR配分部は、前記地域要求電力(AR)が、予め定められた閾値未満である場合、発電計画値に基づき発電目標値を算出し、前記発電設備に対し出力電力の制御を行い、前記地域要求電力(AR)が、予め定められた閾値以上である場合、現在出力値に基づき発電目標値を算出し、前記発電設備に対し、出力電力の制御を行う、
    請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電力需給制御装置。
  5. 前記AR配分部は、出力電力の出力変化速度および出力電力の調整コストに基づき算出された、前記発電設備ごとの制御性配分による出力電力、経済性配分による出力電力の按分比率により、前記発電設備の出力電力の制御を行う、
    請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電力需給制御装置。
  6. 前記AR配分部は、現在出力値と発電計画値との差分に基づき決定された、前記発電設備の制御の優先順位に基づき、前記発電設備の出力電力の制御を行う、
    請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電力需給制御装置。
  7. 前記AR配分部は、現在出力値と発電計画値との、前記発電設備ごとに定められた比率に基づき、前記発電設備の出力電力の制御を行う、
    請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電力需給制御装置。

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