JP2021127342A - リン脂質ヒドロペルオキシド依存性細胞死が関連する疾患の予防又は治療用医薬組成物 - Google Patents

リン脂質ヒドロペルオキシド依存性細胞死が関連する疾患の予防又は治療用医薬組成物 Download PDF

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浩孝 今井
知子 幸村
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知子 幸村
由典 青木
Yoshinori Aoki
由典 青木
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【課題】リン脂質ヒドロペルオキシド依存性細胞死が関連する疾患を予防又は治療する技術を提供する。【解決手段】エンテロコッカス属菌の菌体又は培養物、及び、ビタミンE又はその誘導体を有効成分として含有する、リン脂質ヒドロペルオキシド依存性細胞死が関連する疾患の予防又は治療用医薬組成物、並びに、エンテロコッカス属菌の菌体又は培養物、及び、ビタミンE又はその誘導体を有効成分として含有する、リン脂質ヒドロペルオキシド依存性細胞死が関連する疾患の予防又は治療用食品組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、リン脂質ヒドロペルオキシド依存性細胞死が関連する疾患の予防又は治療用医薬組成物に関する。より詳細には、本発明は、リン脂質ヒドロペルオキシド依存性細胞死が関連する疾患の予防又は治療用医薬組成物、リン脂質ヒドロペルオキシド依存性細胞死が関連する疾患の予防又は治療用食品組成物、及び、リン脂質ヒドロペルオキシド依存性細胞死が関連する疾患の予防又は治療方法に関する。
突然死は発症から24時間以内に起きる死として定義される。突然死の多くは心臓突然死である。心臓突然死の多くは動脈硬化による心筋梗塞であるが、中には血管系の異常によらない心臓突然死(特発性心筋症による突然死)も存在する。特発性心筋症による突然死の発生機序は未解明であり、予防法や治療法が存在しないのが現状である。
ところで、リン脂質ヒドロペルオキシドグルタチオンペルオキシダーゼ(phospholipid−hydroperoxide glutathione peroxidase;PHGPx、GPx4)は抗酸化酵素の一種である。発明者らは、以前に、GPx4を心臓特異的に欠損させたマウスが胎生致死であること、しかしながら、母親マウスにビタミンE高添加飼料を与えると生存できること、また、離乳後もビタミンE高添加飼料を与えると生存できること、更に、ビタミンE高添加飼料を通常飼料に切り替えると心不全による突然死を起こすことを明らかにした(例えば、特許文献1、2を参照。)。
また、発明者らは、以前に、GPx4を心臓特異的に欠損させたマウスに運動負荷を与えて死亡率又は運動能力を測定する実験系を確立した(特許文献1を参照)。
特許第6652761号公報 特許第6253013号公報
本発明は、リン脂質ヒドロペルオキシド依存性細胞死が関連する疾患を予防又は治療する技術を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を含む。
[1]エンテロコッカス属菌の菌体又は培養物、及び、ビタミンE又はその誘導体を有効成分として含有する、リン脂質ヒドロペルオキシド依存性細胞死が関連する疾患の予防又は治療用医薬組成物。
[2]前記リン脂質ヒドロペルオキシド依存性細胞死が関連する疾患が、心不全又は心臓疲労である、[1]に記載の医薬組成物。
[3]前記エンテロコッカス属菌が、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、エンテロコッカス・ヒラエ(Enterococcus hirae)、エンテロコッカス・ガリナルム(Enterococcus gallinarum)、エンテロコッカス・デュランス(Enterococcus durans)、エンテロコッカス・ラフィノサス(Enterococcus raffinosus)、エンテロコッカス・シュードアビウム(Enterococcus psedoavium)、エンテロコッカス・ヘルマニエンシス(Enterococcus hermanniensis)、エンテロコッカス・リボラム(Enterococcus rivorum)、エンテロコッカス・タイランディクス(Enterococcus thailandicus)、エンテロコッカス・アシニ(Enterococcus asini)、エンテロコッカス・アビウム(Enterococcus avium)、エンテロコッカス・ビロラム(Enterococcus villorum)、エンテロコッカス・ラクチス(Enterococcus lactis)、エンテロコッカス・ラッティ(Enterococcus ratti)又はエンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus feacalis)である、[1]又は[2]に記載の医薬組成物。
[4]エンテロコッカス属菌の菌体又は培養物、及び、ビタミンE又はその誘導体を有効成分として含有する、リン脂質ヒドロペルオキシド依存性細胞死が関連する疾患の予防又は治療用食品組成物。
[5]対象に、エンテロコッカス属菌の菌体又は培養物、及び、ビタミンE又はその誘導体を投与する工程を含む、リン脂質ヒドロペルオキシド依存性細胞死が関連する疾患の予防又は治療方法(ヒトに対する医療行為を除く。)。
本発明により、リン脂質ヒドロペルオキシド依存性細胞死が関連する疾患を予防又は治療する技術を提供することができる。
(a)は、実験例1における実験スケジュールを説明する図である。(b)は、実験例1における各群のマウスの生存率の変化を示すグラフである。 (a)は、実験例2における実験スケジュールを説明する図である。(b)は、実験例2における各群のマウスの生存率の変化を示すグラフである。 (a)は、実験例3における実験スケジュールを説明する図である。(b)は、実験例3において検出された細菌の種類及び割合を示すグラフである。 (a)及び(b)は、実験例4における実験スケジュールを説明する図である。(c)及び(d)は、実験例4における各群のマウスの生存率の変化を示すグラフである。 実験例4における各群のマウスの腸内細菌叢を解析した結果を示すグラフである。 実験例4において、各群のマウスの糞中のエンテロコッカス属菌の数を定量した結果を示すグラフである。 (a)は、実験例5における実験スケジュールを説明する図である。(b)は、実験例5における各群のマウスの生存率の変化を示すグラフである。 (a)〜(f)は、実験例5における各群のマウスの糞中のエンテロコッカス属菌を定量した結果を示すグラフである。 実験例6において単離同定されたエンテロコッカス属菌の割合を示すグラフである。 実験例7における実験スケジュールを説明する図である。 (a)は、実験例7でエンテロコッカス・フェカーリスを投与したマウスについて、飼料を切り替えた後の生存率を測定した結果を示すグラフである。(b)は、実験例7でエンテロコッカス・フェカーリスを投与したマウス(番号1)の糞中のエンテロコッカス属菌を定量した結果を示すグラフである。(b)は、実験例7でエンテロコッカス・フェカーリスを投与したマウス(番号2)の糞中のエンテロコッカス属菌を定量した結果を示すグラフである。 (a)は、実験例7でエンテロコッカス・フェシウムを投与したマウスについて、飼料を切り替えた後の生存率を測定した結果を示すグラフである。(b)は、実験例7でエンテロコッカス・フェシウムを投与したマウス(番号1)の糞中のエンテロコッカス属菌を定量した結果を示すグラフである。(b)は、実験例7でエンテロコッカス・フェシウムを投与したマウス(番号2)の糞中のエンテロコッカス属菌を定量した結果を示すグラフである。 (a)は、実験例7でエンテロコッカス・ヒラエを投与したマウスについて、飼料を切り替えた後の生存率を測定した結果を示すグラフである。(b)は、実験例7でエンテロコッカス・ヒラエを投与したマウス(番号1)の糞中のエンテロコッカス属菌を定量した結果を示すグラフである。(b)は、実験例7でエンテロコッカス・ヒラエを投与したマウス(番号2)の糞中のエンテロコッカス属菌を定量した結果を示すグラフである。 (a)は、実験例7でエンテロコッカス・ラッティを投与したマウスについて、飼料を切り替えた後の生存率を測定した結果を示すグラフである。(b)は、実験例7でエンテロコッカス・ラッティを投与したマウス(番号1)の糞中のエンテロコッカス属菌を定量した結果を示すグラフである。(c)は、実験例7でエンテロコッカス・ラッティを投与したマウス(番号2)の糞中のエンテロコッカス属菌を定量した結果を示すグラフである。 (a)は、実験例8における実験スケジュールを説明する図である。(b)は、実験例8におけるホスファチジルコリンヒドロペルオキシド(PC−OOH)の定量結果を示すグラフである。(c)は、実験例8におけるホスファチジルコリン(PC)の定量結果を示すグラフである。 (a)は、実験例9における実験スケジュールを説明する図である。(b)は、実験例9における各群のマウスについて、飼料を切り替えた後、致死までの日数(生存日数)を測定した結果を示すグラフである。 実験例10において、各群のマウスの糞中のエンテロコッカス属菌の数を定量した結果を示すグラフである。 実験例10におけるトレッドミル走行試験の結果を示すグラフである。
[予防又は治療用医薬組成物]
1実施形態において、本発明は、エンテロコッカス属菌の菌体又は培養物、及び、ビタミンE又はその誘導体を有効成分として含有する、リン脂質ヒドロペルオキシド依存性細胞死が関連する疾患の予防又は治療用医薬組成物を提供する。本実施形態の予防又は治療用医薬組成物は、リン脂質ヒドロペルオキシド依存性細胞死が関連する疾患の予防剤であってもよいし、リン脂質ヒドロペルオキシド依存性細胞死が関連する疾患の治療剤であってもよい。
実施例において後述するように、発明者らは、本実施形態の予防又は治療剤を、心不全による突然死を起こすマウスモデルに経口投与することにより、心不全による突然死を抑制できること、限界走行における心臓負荷(心臓における脂質酸化に起因する心臓疲労)を抑制できることを明らかにした。
したがって、リン脂質ヒドロペルオキシド依存性細胞死が関連する疾患としては、心不全、心臓における脂質酸化に起因する心臓疲労が挙げられる。心不全としては、特に、心臓における脂質酸化を原因とする心不全が挙げられる。より具体的には、例えば、マラソンによる心不全、オリンピック選手やサッカー選手等のアスリートの心不全が挙げられる。
本明細書において、疾患は、臓器の機能低下を含む。すなわち、疾患は、医薬品等による治療が必要な状態であってもよいし、医薬品等による治療は必要ではないものの、改善することが好ましい状態であってもよい。
より具体的には、リン脂質ヒドロペルオキシド依存性細胞死が関連する疾患としては、リン脂質ヒドロペルオキシド依存性細胞死が関連する心臓機能の低下が挙げられる。また、心臓機能の低下とは、例えば、運動機能の低下、疲労の回復の遅延等が挙げられる。また、本明細書において、「治療」は症状の改善を含む。
本実施形態の予防又は治療剤において、エンテロコッカス属菌としては、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、エンテロコッカス・ヒラエ(Enterococcus hirae)、エンテロコッカス・ガリナルム(Enterococcus gallinarum)、エンテロコッカス・デュランス(Enterococcus durans)、エンテロコッカス・ラフィノサス(Enterococcus raffinosus)、エンテロコッカス・シュードアビウム(Enterococcus psedoavium)、エンテロコッカス・ヘルマニエンシス(Enterococcus hermanniensis)、エンテロコッカス・リボラム(Enterococcus rivorum)、エンテロコッカス・タイランディクス(Enterococcus thailandicus)、エンテロコッカス・アシニ(Enterococcus asini)、エンテロコッカス・アビウム(Enterococcus avium)、エンテロコッカス・ビロラム(Enterococcus villorum)、エンテロコッカス・ラクチス(Enterococcus lactis)、エンテロコッカス・ラッティ(Enterococcus ratti)、エンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus feacalis)等が挙げられる。なかでも、エンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus feacalis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、エンテロコッカス・ヒラエ(Enterococcus hirae)、エンテロコッカス・ラッティ(Enterococcus ratti)が好ましい。
エンテロコッカス属菌の菌体は、死菌であってもよく、生菌であってもよい。また、生菌を用いる場合において、一部死菌が混入していてもよい。また、エンテロコッカス属菌の破砕物、抽出物等の菌体の形状が残存していない状態で用いてもよい。
また、エンテロコッカス属菌の培養物とは、エンテロコッカス属菌が産生する物質を含む組成物である。エンテロコッカス属菌の培養物としては、エンテロコッカス属菌の培養上清、培養上清の粗精製物等であってよい。
本実施形態の予防又は治療用医薬組成物は、経口投与することが好ましい。投与量としては、生菌のエンテロコッカス属菌を投与する場合には、大腸内にある程度定着できる量が好ましく、例えば、1回あたり、3×10CFU(コロニー形成単位)/kg体重のエンテロコッカス属菌を投与することが挙げられる。投与回数は、症状に応じて適宜調整することができ、例えば、1日〜数日に1回程度が挙げられる。1日〜数日としては、例えば、1〜10日が挙げられる。
また、死菌のエンテロコッカス属菌又はエンテロコッカス属菌の培養物を投与する場合には、例えば、上記生菌に対応する量の死菌又は培養物を1回又は複数回投与することが挙げられる。
本実施形態で用いられるエンテロコッカス属菌の菌体は、周知の方法で調製することができる。エンテロコッカス属菌の培養は公知の方法で行えばよく、例えば、培地にエンテロコッカス属菌を植菌して、所定時間前培養する方法が挙げられる。培地としては、エンテロコッカス属菌を培養することができるものであれば特に限定されず、例えばMRS液体培地等が挙げられる。
また、エンテロコッカス属菌の菌体は、菌体を乾燥させた粉末として用いてもよい。菌体の乾燥方法としては、凍結乾燥、スプレードライ等が挙げられる。例えば、エンテロコッカス属菌を培養した液体培地を遠心分離等で濃縮した後、凍結乾燥すること等により菌体粉末を得ることができる。
本実施形態の予防又は治療用医薬組成物は、エンテロコッカス属菌の菌体又は培養物、及び、薬学的に許容される担体を含む組成物であってもよい。上記の組成物は、経口投与されることが好ましく、経口的に使用される剤型に製剤化されていることが好ましい。経口的に使用される剤型としては、例えば、錠剤、カプセル剤等が挙げられる。
薬学的に許容される担体としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガントガム、アラビアゴム等の結合剤;デンプン、結晶性セルロース等の賦形剤;アルギン酸等の膨化剤等が挙げられる。
組成物は添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等の潤滑剤;ショ糖、乳糖、サッカリン、マルチトール等の甘味剤;ペパーミント、アカモノ油等の香味剤;ベンジルアルコール、フェノール等の安定剤;リン酸塩、酢酸ナトリウム等の緩衝剤;酸化防止剤;防腐剤等が挙げられる。
組成物は、エンテロコッカス属菌の菌体又は培養物、担体及び添加剤を適宜組み合わせて、一般に認められた製薬実施に要求される単位用量形態で混和することによって製剤化することができる。
本実施形態の予防又は治療用医薬組成物は、ビタミンE又はその誘導体を更に含む。実施例において後述するように、発明者らは、エンテロコッカス属菌の投与による心不全の抑制には、ビタミンE又はその誘導体が必要であることを明らかにした。
ビタミンEの誘導体としては、トロロックス(2,5,7,8−テトラメチル−6−ヒドロキシクロマン−2−カルボン酸)、トログリタゾン(5−[[4−[(3,4−ジヒドロ−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−2H−1−ベンゾピラン−2−イル)メトキシ]−フェニル]メチル]−2,4−チアゾリジンジオン)等が挙げられる。
ビタミンE又はその誘導体の投与量としては、例えば、1回あたり、0.01〜100mg/kg体重、例えば0.6〜14mg/kg体重のビタミンE又はその誘導体を投与することが挙げられる。投与回数は、症状に応じて適宜調整することができ、例えば、1日〜数日に1回程度が挙げられる。1日〜数日としては、例えば、1〜10日が挙げられる。
本実施形態の予防又は治療用医薬組成物は、エンテロコッカス属菌の菌体又は培養物、及び、ビタミンE又はその誘導体が混合されたものであってもよい。あるいは、エンテロコッカス属菌の菌体又は培養物、及び、ビタミンE又はその誘導体が、別々の容器に封入されており、組み合わせて投与されるキットを構成していてもよい。
[食品組成物]
1実施形態において、本発明は、エンテロコッカス属菌の菌体又は培養物、及び、ビタミンE又はその誘導体を有効成分として含有する、リン脂質ヒドロペルオキシド依存性細胞死が関連する疾患の予防又は治療用食品組成物を提供する。エンテロコッカス属菌については上述したものと同様である。また、「疾患」、「治療」については上述したものと同様である。すなわち、疾患は、臓器の機能低下を含み、医薬品等による治療が必要な状態、及び、医薬品等による治療は必要ではないものの、改善することが好ましい状態を含む。また、治療は症状の改善を含む。本実施形態の食品組成物は、心臓における脂質酸化の抑制、心臓疲労の抑制、心臓機能の強化等に有用であるということができる。
本実施形態の食品組成物は、例えば、サプリメントの形態であってもよいし、ヨーグルトの形態であってもよいし、飲料の形態であってもよいし、ゲル状食品の形態であってもよいし、任意の調理済み食品の形態等であってもよい。サプリメントの形状としては、例えば、カプセル等の形状が挙げられる。
エンテロコッカス属菌の菌体、培養物については上述したものと同様である。本実施形態の食品組成物は、例えば、1日あたり3×10CFU/kg体重以上のエンテロコッカス属菌の生菌、上記生菌に対応する量の死菌又は培養物を摂取させるように用いられることが好ましい。摂取のタイミングは、食前、食後、食間のいずれでもよい。なお、「1日あたり3×10CFU/kg体重以上」とは、食品組成物の形態によって異なるが、表示される1日の摂取目安量や、通常1度で消費する飲みきりタイプの飲料であれば1本当たりに含まれる量を指すものである。
本実施形態の食品組成物は、ビタミンE又はその誘導体を更に含む。ビタミンEの誘導体については上述したものと同様である。本実施形態の食品組成物は、例えば、1日あたり0.01〜100mg/kg体重、例えば0.6〜14mg/kg体重のビタミンE又はその誘導体を摂取させるように用いられることが好ましい。摂取のタイミングは、食前、食後、食間のいずれでもよい。なお、「1日あたり0.6〜14mg/kg体重」とは、食品組成物の形態によって異なるが、表示される1日の摂取目安量や、通常1度で消費する飲みきりタイプの飲料であれば1本当たりに含まれる量を指すものである。
本実施形態の食品組成物は、エンテロコッカス属菌の菌体又は培養物、及び、ビタミンE又はその誘導体が混合されたものであってもよい。あるいは、エンテロコッカス属菌の菌体又は培養物、及び、ビタミンE又はその誘導体が、別々の容器に封入されており、組み合わせて投与されるキットを構成していてもよい。
本実施形態の食品組成物は、機能性表示食品であってもよい。「機能性表示食品」とは、科学的根拠を基に商品パッケージに機能性を表示するものとして、消費者庁に届け出られた食品を意味する。当該表示として、例えば、「心臓の疲労を回復させる機能性」等が挙げられるが、これに限定されない。また、機能性表示のない食品であっても、これらの機能性をチラシ、メール、口頭でうたって製造、販売することも考えらえる。
本実施形態の食品組成物は、特別用途食品であってもよい。特別用途食品とは、国の許可を受けて、乳児、幼児、妊産婦、病者等の発育、健康の保持・回復等に適するという特別の用途について表示する食品を意味する。
本実施形態の食品組成物は、特別用途食品のうちの特定保健用食品であってもよい。特定保健用食品とは、健康の維持増進に役立つことが科学的根拠に基づいて認められ、その効果の表示が許可されている食品を意味する。表示されている効果や安全性については国が審査を行い、食品ごとに消費者庁長官により許可される。
[予防又は治療方法]
1実施形態において、本発明は、対象に、エンテロコッカス属菌の菌体又は培養物、及び、ビタミンE又はその誘導体を投与する工程を含む、リン脂質ヒドロペルオキシド依存性細胞死が関連する疾患の予防又は治療方法(ヒトに対する医療行為を除く。)を提供する。
本実施形態の予防又は治療方法において、エンテロコッカス属菌の菌体又は培養物、及び、ビタミンE又はその誘導体を同時に投与してもよい。あるいは、エンテロコッカス属菌の菌体又は培養物、及び、ビタミンE又はその誘導体を別々に投与してもよい。
本実施形態の予防又は治療方法において、「疾患」、「治療」については上述したものと同様である。また、対象は、ヒトであってもよいし、非ヒト動物であってもよい。また、本実施形態の予防又は治療方法は、ヒトに対する医療行為を除外したものであり、医師が行う行為は含まない。具体的な本実施形態の予防又は治療方法としては、例えば、飲食店等で、エンテロコッカス属菌の菌体又は培養物、及び、ビタミンE又はその誘導体を含む食品組成物を提供する行為、あるいは、エンテロコッカス属菌の菌体又は培養物、及び、ビタミンE又はその誘導体を含む食品組成物を、疲労予防のサプリメント等として提供する行為等が挙げられる。
エンテロコッカス属菌の菌体、培養物、ビタミンE及びその誘導体については上述したものと同様である。エンテロコッカス属菌の菌体又は培養物は、上述したように製剤化された形態であってもよいし、食品組成物の形態であってもよい。また、製剤、食品組成物の投与量は上述したものと同様である。エンテロコッカス属菌の菌体又は培養物の投与は経口的に行うことが好ましい。
ビタミンE又はその誘導体は、エンテロコッカス属菌の菌体又は培養物と同時に投与してもよいし、エンテロコッカス属菌の菌体又は培養物と別に投与してもよい。
[その他の実施形態]
1実施形態において、本発明は、エンテロコッカス属菌の菌体又は培養物の有効量を、治療を必要とする患者に投与することを含む、リン脂質ヒドロペルオキシド依存性細胞死が関連する疾患の予防又は治療方法を提供する。
1実施形態において、本発明は、リン脂質ヒドロペルオキシド依存性細胞死が関連する疾患の予防又は治療のための組成物であって、エンテロコッカス属菌の菌体又は培養物を含有する組成物を提供する。
1実施形態において、本発明は、リン脂質ヒドロペルオキシド依存性細胞死が関連する疾患の予防又は治療剤を製造するためのエンテロコッカス属菌の菌体又は培養物の使用を提供する。
これらの各実施形態において、エンテロコッカス属菌の菌体、培養物、投与量等については上述したものと同様である。
次に実験例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実験例に限定されるものではない。
[マウスモデル]
発明者らは、以前に、ES細胞を用いたホモロガスリコンビネーションによる定法により、GPx4遺伝子ノックアウトマウス(GPx4−/−)を作製した。GPx4−/−マウスは、発生過程の7.5日で胚致死となった。そこで、loxP配列に挟まれたマウスGPx4ゲノム遺伝子(loxP−GPx4)をマウスに遺伝子導入(Tg)し、Tg(loxP−GPx4)+/−:GPx4+/+マウスを作製した。
続いて、Tg(loxP−GPx4)+/−:GPx4+/+マウスとGPx4+/−マウスとを交配して、Tg(loxP−GPx4)+/−:GPx4+/−マウスを作製し、このマウス同士を交配することにより、内在性のGPx4ゲノム遺伝子がノックアウト(KO)され、導入したloxP−GPx4Tg遺伝子により胚致死をレスキューしたTg(loxP−GPx4)+/+:GPx4−/−マウスを作製した。
また、GPx4+/−マウスと、心臓特異的プロモーターである筋肉クレアチンキナーゼプロモーター(Muscle creatine kinase)の下流にCre遺伝子を有するマウス(Cre+/+)との交配を繰り返し、Cre+/+GPx4+/−マウスを得た。
続いて、Cre+/+GPx4+/−マウスと、上述したTg(loxP−GPx4)+/+:GPx4−/−マウスとを交配することにより、Cre+/−:Tg(loxP−GPx4)+/−:GPx4−/−マウスを得た。このマウスは、心臓特異的にGPx4を欠損する。以下、Cre+/−:Tg(loxP−GPx4)+/−:GPx4−/−マウスを「心臓特異的GPx4欠損マウス」という。
このようにして得られた心臓特異的GPx4欠損マウスを観察したところ、発生過程の16.5日までは正常に生育したが、17.5日に心筋細胞が突然死を起こし、18.5日には浮腫を引き起こして致死となった。
しかしながら、母親マウスにビタミンE高添加飼料を毎日与えた場合、発生過程17.5日目の心臓特異的GPx4欠損マウスの心臓組織の細胞死は完全に抑制され、心臟特異的GPx4欠損マウスが正常に産まれた。ビタミンE高添加飼料としては、通常食であるCE−2(日本クレア社製)100gに対して100mgのビタミンE酢酸エステル(酢酸dl−α−トコフェロール)を添加したものを用いた。
発明者らは、更に、心臓特異的GPx4欠損マウスの離乳後(約3週齢)にビタミンE高添加飼料を通常飼料(CE−2)に切り替えると、約15日で心不全による突然死を起こすことを以前に明らかにした。
[実験例1]
(心臓特異的GPx4欠損マウスへの抗生物質の投与)
心臓特異的GPx4欠損マウスに抗生物質を投与し、生存率を検討した。図1(a)は実験スケジュールを説明する図である。まず、心臓特異的GPx4欠損マウス(3週齢)の飼料をビタミンE高添加飼料から通常飼料(CE−2)に切り替えた。また、マウスに抗生物質を投与した。抗生物質としてはセフォペラゾン(CPZ)を使用した。下記式(1)にセフォペラゾンの化学式を示す。また、投与方法として、飲水による経口投与、腹腔内投与を検討した。飲水には0.4g/Lのセフォペラゾンを添加した。また、腹腔内投与では、1回あたり0.2mg/g体重のセフォペラゾンを1日おきに投与した。この量は、マウスが1日で飲水から摂取するセフォペラゾンと同量となる。また、抗生物質を投与せず、水道水を与えた対照群も用意した。
Figure 2021127342
図1(b)は各群のマウスの生存率の変化を示すグラフである。その結果、心臓特異的GPx4欠損マウスに抗生物質を経口投与することにより、生存率の低下が抑制されることが明らかとなった。これに対し、心臓特異的GPx4欠損マウスに抗生物質を腹腔内投与しても生存率の低下は抑制されないことが明らかとなった。
[実験例2]
(心臓特異的GPx4欠損無菌マウスへの抗生物質の投与)
心臓特異的GPx4欠損無菌マウスに抗生物質を投与し、生存率を検討した。まず、アイソレーター内で完全、無菌状態で出産飼育させ、腸内細菌を全く持たない心臓特異的GPx4欠損無菌マウスを作製した。図2(a)は実験スケジュールを説明する図である。まず、心臓特異的GPx4欠損無菌マウス(6週齢)の飼料をビタミンE高添加飼料から通常飼料に切り替えた。通常飼料としては、AIN93G(ビタミンE(d−α−トコフェロール、以下、「d−α−Toc」という場合がある。)0.3mg/100g添加)を使用した。また、マウスに抗生物質を飲水により経口投与した。抗生物質としてはセフォペラゾン(CPZ)を使用した。飲水には0.4g/Lのセフォペラゾンを添加した。また、抗生物質を投与せず、水道水を与えた対照群も用意した。
図2(b)は各群のマウスの生存率の変化を示すグラフである。その結果、無菌マウスでは、抗生物質を経口投与しても生存率の低下が抑制されないことが明らかとなった。この結果は、セフォペラゾンの経口投与による生存率の低下の抑制には、腸内細菌が必要であることを示す。また抗生物質を投与しない場合も、ビタミンE低下により致死が誘導されたことから、脂質酸化依存的な心不全の誘導には腸内細菌は必要ないことが明らかとなった。すなわち、セフォペラゾンの飲水投与により生き残った腸内細菌が脂質酸化依存的な心不全の抑制に関与することが示された。
[実験例3]
(次世代シーケンサーによるマウスの腸内細菌叢の解析)
抗生物質を投与したマウスの腸内細菌叢を解析した。図3(a)は実験スケジュールを説明する図である。まず、心臓特異的GPx4欠損マウス(3週齢)の飼料をビタミンE高添加飼料から通常飼料(CE−2)に切り替えた。また、マウスに抗生物質を投与した。抗生物質としてはセフォペラゾン(CPZ)を使用した。また投与方法は、飲水による経口投与とした。飲水には0.4g/Lのセフォペラゾンを添加した。また、抗生物質を投与せず、水道水を与えた対照群も用意した。
飼料の切り替えから0、6、12日後に糞を回収した。また、12日後にマウスを解剖し、盲腸を回収した。続いて、次世代シーケンサーを用いてシーケンスを行い、回収した糞及び盲腸中の細菌叢を解析した。
図3(b)は、検出された細菌の種類及び割合を示すグラフである。その結果、セフォペラゾン投与群のマウスの糞及び盲腸では、エンテロコッカス属菌が顕著に増加したことが明らかとなった。
[実験例4]
(心臓特異的GPx4欠損擬似無菌マウスへの抗生物質の投与)
心臓特異的GPx4欠損擬似無菌マウスに抗生物質を投与し、生存率及び腸内細菌叢を解析した。図4(a)及び(b)は、実験スケジュールを説明する図である。
図4(b)に示すように、心臓特異的GPx4欠損マウスの腸内細菌を擬似的になくすために、3週齢から2週間、4種類の抗生物質を合わせて経口投与し、疑似無菌化した。飼料として、ビタミンE高添加飼料を与えた。4種類の抗生物質は、ネオマイシン(1g/L)、アンピシリン(1g/L)、メトロニダゾール(1g/L)、バンコマイシン(0.5g/L)であり、それぞれ飲水投与により投与した。また、図4(a)に示すように、比較のために、疑似無菌化していない心臓特異的GPx4欠損マウスも用意した。
続いて、5週齢でビタミンE高添加飼料から通常飼料としてAIN93G(ビタミンE 0.3mg/100g添加)に切り替えた。また、マウスにセフォペラゾン(CPZ)を飲水により経口投与した。飲水には0.4g/Lのセフォペラゾンを添加した。また、抗生物質を投与せず、水道水を与えた対照群も用意した。
また、飼料をAIN93G(ビタミンE 0.3mg/100g添加)に切り替えてから、0、6、12日目に糞を回収し、次世代シーケンサーを用いて腸内細菌叢を解析した。
図4(c)及び(d)は、各群のマウスの生存率の変化を示すグラフである。図4(c)は心臓特異的GPx4欠損マウスの結果であり、図4(d)は心臓特異的GPx4欠損擬似無菌マウスの結果である。
その結果、図4(c)に示すように、心臓特異的GPx4欠損マウスは、ビタミンE高添加飼料からAIN93G(ビタミンE 0.3mg/100g添加)に5週齢で切り替えると約20日で致死となった。これに対し、セフォペラゾンを飲水投与することにより致死が抑制された。一方、図4(d)に示すように、4種類の抗生物質を投与した擬似無菌マウスでは、ビタミンE高添加飼料からAIN93G(ビタミンE 0.3mg/100g添加)に切り替えた際に、セフォペラゾンを飲水投与しても致死の抑制が認められなかった。この結果は、実験例2における心臓特異的GPx4欠損無菌マウスと同様であった。
図5は、飼料をAIN93G(ビタミンE 0.3mg/100g添加)に切り替えてから0、6、12日目における、疑似無菌化していない心臓特異的GPx4欠損マウスの腸内細菌叢を解析した結果を示すグラフである。図5(a)中、「CPZ」は、セフォペラゾンを飲水投与した群の結果であることを示し、「水」は、セフォペラゾンを投与しなかった群の結果であることを示す。
その結果、セフォペラゾンを飲水投与した群では、飼料をAIN93G(ビタミンE 0.3mg/100g添加)に切り替えてから6、12日目の腸内細菌叢において、エンテロコッカス属菌が99%を占めたことが明らかとなった。
図6は、飼料をAIN93G(ビタミンE 0.3mg/100g添加)に切り替えてから6日目の各群のマウスの糞中のエンテロコッカス属菌の数を、プレート法を用いて定量した結果を示すグラフである。
図6中、「水」は疑似無菌化していない心臓特異的GPx4欠損マウスにセフォペラゾンを投与しなかった群の結果であることを示す。また、「CPZ」は疑似無菌化していない心臓特異的GPx4欠損マウスにセフォペラゾンを飲水投与した群の結果であることを示す。また、「四剤」は、心臓特異的GPx4欠損疑似無菌化マウスにセフォペラゾンを投与しなかった群の結果であることを示す。また、「四剤+CPZ」は、心臓特異的GPx4欠損疑似無菌化マウスにセフォペラゾンを投与した群の結果であることを示す。
その結果、疑似無菌化していない心臓特異的GPx4欠損マウスにセフォペラゾンを投与した群では、エンテロコッカス属菌が増えたことが明らかとなった。これに対し、疑似無菌化した心臓特異的GPx4欠損マウスでは、セフォペラゾンを投与した群においてもエンテロコッカス属菌は全く検出されなかった。この結果から、セフォペラゾンの飲水投与による心不全の抑制にはエンテロコッカス属菌が関与していると考えられた。
[実験例5]
(糞便移植の検討)
心臓特異的GPx4欠損擬似無菌マウスにエンテロコッカス属菌が99%含まれる糞を糞便移植し、生存率を検討した。
《レシピエントマウスの準備》
図7(a)は、実験スケジュールを説明する図である。まず、心臓特異的GPx4欠損擬似無菌マウスを作製した。具体的には、心臓特異的GPx4欠損マウスに、3週齢から2週間、4種類の抗生物質を合わせて経口投与し、疑似無菌化した。飼料として、ビタミンE高添加飼料を与えた。4種類の抗生物質は、ネオマイシン(1g/L)、アンピシリン(1g/L)、メトロニダゾール(1g/L)、バンコマイシン(0.5g/L)であり、それぞれ飲水投与により投与した。
続いて、心臓特異的GPx4欠損疑似無菌マウスの飼料を、5週齢時にビタミンE高添加飼料から通常飼料としてAIN93G(ビタミンE 0.3mg/100g添加)に切り替え、レシピエントマウスを得た。レシピエントマウスには、エンテロコッカス属菌以外の腸内細菌が定着しないように、抗生物質としてセフォペラゾンを飲水により経口投与した。
《ドナーマウスの準備》
心臓特異的GPx4欠損マウス(3週齢)の飼料をビタミンE高添加飼料から通常飼料に切り替えた。通常飼料としては、AIN93G(ビタミンE 0.3mg/100g添加)を使用した。また、マウスに抗生物質を投与した。抗生物質としてはセフォペラゾン(CPZ)を用い、飲水により経口投与した。飲水には0.4g/Lのセフォペラゾンを添加した。また、抗生物質を投与せず、水道水を与えた対照群も用意した。
続いて、セフォペラゾンの投与により致死が抑制されたマウスの糞を、飼料の切り替えから12日目に回収し、移植液(以下、「CPZ投与糞移植液」という。)を調製した。また、対照として、水道水を与えたマウスの糞を飼料の切り替えから10日目に回収し、移植液(以下、「水投与糞移植液」という。)を調製した。
《糞便移植》
レシピエントマウスに、CPZ投与糞移植液又は水投与糞移植液を投与した。投与の前後に糞を回収し、プレート法により、エンテロコッカス属菌の定着を確認した。
糞便移植は、1週間に1回、ゾンデで強制経口投与することにより行った。また、比較のために、糞便移植を行わなかった群(Control)及びリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を投与した群も用意した。
図7(b)は各群のマウスの生存率の変化を示すグラフである。その結果、CPZ投与糞移植液を心臓特異的GPx4欠損擬似無菌マウスに移植すると、生存率の低下が抑制されることが明らかとなった。
図8(a)〜(f)は、各群のマウスの糞中のエンテロコッカス属菌を定量した結果を示すグラフである。図8(a)は糞便移植を行わなかった群の結果であり、図8(b)はPBSを投与した群の結果であり、図8(c)は水投与糞移植液を投与した群の結果であり、図8(d)はCPZ投与糞移植液を投与して死亡したマウス(番号1)の結果であり、図8(e)はCPZ投与糞移植液を投与して死亡したマウス(番号2)の結果であり、図8(f)はCPZ投与糞移植液を投与して生存したマウス2匹の結果である。
その結果、CPZ投与糞移植液を移植した4匹のマウスのうち、死亡した2匹の糞からはエンテロコッカス属菌の腸内での定着が認められないことが明らかとなった。一方、生存した2匹のマウスではエンテロコッカス属菌が腸内に定着したことが明らかとなった。この結果は、エンテロコッカス属菌の摂取による腸内への定着により、生存率の低下が抑制されることを示す。
[実験例6]
(糞からの腸内細菌株の単離)
セファペラゾンを投与した心臓特異的GPx4欠損マウスの糞から腸内細菌を単離同定した。
まず、心臓特異的GPx4欠損マウスの飼料をビタミンE高添加飼料から通常飼料に切り替えた。通常飼料として、AIN93G(ビタミンE 0.3mg/100g添加)を用いた。また、マウスに抗生物質を投与した。抗生物質としてはセフォペラゾンを用い、飲水により経口投与した。飲水には0.4g/Lのセフォペラゾンを添加した。
続いて、飼料の切り替えから6日後にマウスの糞を回収した。続いて、糞を滅菌PBS 1mLに懸濁し、撹拌した。続いて、上清を滅菌PBSで10倍ずつ段階希釈し、EF寒天培地(エンテロコッカス選択培地、カタログ番号「#05679」、ニッスイ)に100μLずつプレーティングした。続いて、37℃、好気条件下で48時間培養した。続いて、コロニーを釣菌し、マスタープレートに継代した。続いて、37℃で48時間培養し、コールドルームに保存した。
続いて、継代したものと同一のコロニーを、PCR反応溶液に懸濁し、16S rDNA全長を増幅するプライマーである、センスプライマー(プライマー名「27F」、配列番号1)とアンチセンスプライマー(プライマー名「1492R」、配列番号2)を用いて増幅した。続いて、増幅フラグメントを精製し、16S rDNA V3 V4領域のシーケンスを行い、単離した菌株の同定を行った。同定できた菌株についてはMRS液体培地で菌の増殖を行い、グリセロールストックを作製した。
図9は、単離同定されたエンテロコッカス属菌の割合を示すグラフである。また、表1に、単離同定されたエンテロコッカス属菌の種類を示す。その結果、図9及び表1に示すように、複数のエンテロコッカス属菌が単離された。
Figure 2021127342
[実験例7]
(単離腸内細菌の移植の検討)
心臓特異的GPx4欠損擬似無菌マウスに、単離した腸内細菌を移植し、致死までの日数を検討した。最大観察日数を50日とした。
《レシピエントマウスの準備》
図10は、実験スケジュールを説明する図である。まず、心臓特異的GPx4欠損擬似無菌マウスを作製した。具体的には、心臓特異的GPx4欠損マウスに、3週齢から2週間、4種類の抗生物質を合わせて経口投与し、疑似無菌化した。飼料として、ビタミンE高添加飼料を与えた。4種類の抗生物質は、ネオマイシン(1g/L)、アンピシリン(1g/L)、メトロニダゾール(1g/L)、バンコマイシン(0.5g/L)であり、それぞれ飲水投与により投与した。
続いて、心臓特異的GPx4欠損疑似無菌マウスの飼料を、5週齢時にビタミンE高添加飼料から通常飼料としてAIN93G(ビタミンE 0.3mg/100g添加)に切り替え、レシピエントマウスを得た。レシピエントマウスには、エンテロコッカス属菌以外の腸内細菌が定着しないように、抗生物質としてセフォペラゾンを飲水により経口投与した。
《腸内細菌の移植》
MRS培地を用いて、単離同定したエンテロコッカス菌を波長600nmにおける吸光度が0.5になるまで、好気的条件で培養した。続いて、菌の濃度を1×10 CFU/mLになるように調整した。続いて、1mLの培養液をレシピエントマウスに移植した。菌移植は、1週間に1回、ゾンデで強制経口投与することにより行った。エンテロコッカス菌としては、エンテロコッカス・フェカーリス、エンテロコッカス・フェシウム、エンテロコッカス・ヒラエ及びエンテロコッカス・ラッティを使用した。また、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を投与した対照群(Control)も用意した。
図11(a)は、エンテロコッカス・フェカーリスを投与したマウスについて、飼料を切り替えた後の生存率を測定した結果を示すグラフである(n=2)。その結果、エンテロコッカス・フェカーリスを投与したマウスのうちの1匹(番号1)は48日目まで生存し、もう1匹(番号2)は50日間生存した(最大観察日数を50日とした。)。
図11(b)は、エンテロコッカス・フェカーリスを投与したマウス(番号1)の糞中のエンテロコッカス属菌を定量した結果を示すグラフである。また、図11(c)は、エンテロコッカス・フェカーリスを投与したマウス(番号2)の糞中のエンテロコッカス属菌を定量した結果を示すグラフである。その結果、番号1及び番号2のマウスのいずれにおいても、エンテロコッカス属菌が腸内に定着したことが明らかとなった。
図12(a)は、エンテロコッカス・フェシウムを投与したマウスについて、飼料を切り替えた後の生存率を測定した結果を示すグラフである(n=2)。その結果、エンテロコッカス・フェシウムを投与したマウスは、2匹とも36日目まで生存した。
図12(b)は、エンテロコッカス・フェシウムを投与したマウス(番号1)の糞中のエンテロコッカス属菌を定量した結果を示すグラフである。また、図12(c)は、エンテロコッカス・フェシウムを投与したマウス(番号2)の糞中のエンテロコッカス属菌を定量した結果を示すグラフである。その結果、番号1及び番号2のマウスのいずれにおいても、飼料を切り替えた後、21日目までのエンテロコッカス属菌の腸内での定着率は低い傾向が認められた。
図13(a)は、エンテロコッカス・ヒラエを投与したマウスについて、飼料を切り替えた後の生存率を測定した結果を示すグラフである(n=2)。その結果、エンテロコッカス・ヒラエを投与したマウスのうちの1匹(番号1)は32日目まで生存し、もう1匹(番号2)は50日間生存した(最大観察日数を50日とした。)。
図13(b)は、エンテロコッカス・ヒラエを投与したマウス(番号1)の糞中のエンテロコッカス属菌を定量した結果を示すグラフである。また、図13(c)は、エンテロコッカス・ヒラエを投与したマウス(番号2)の糞中のエンテロコッカス属菌を定量した結果を示すグラフである。その結果、番号1のマウス(32日目まで生存)では、50日間生存したマウスと比較して、エンテロコッカス属菌の腸内での定着が顕著に低い傾向が認められた。
図14(a)は、エンテロコッカス・ラッティを投与したマウスについて、飼料を切り替えた後の生存率を測定した結果を示すグラフである(n=2)。その結果、エンテロコッカス・ラッティを投与したマウスのうちの1匹(番号1)は35日目まで生存し、もう1匹(番号2)は50日間生存した(最大観察日数を50日とした。)。
図14(b)は、エンテロコッカス・ラッティを投与したマウス(番号1)の糞中のエンテロコッカス属菌を定量した結果を示すグラフである。また、図14(c)は、エンテロコッカス・ラッティを投与したマウス(番号2)の糞中のエンテロコッカス属菌を定量した結果を示すグラフである。その結果、番号1のマウス(35日目まで生存)では、50日間生存したマウスと比較して、エンテロコッカス属菌の腸内での定着が顕著に低い傾向が認められた。
以上の結果から、エンテロコッカス属菌には、脂質酸化依存的心不全の抑制効果があることが示された。
[実験例8]
(心臓内酸化リン脂質量の検討)
心臓特異的GPx4欠損マウスに抗生物質を投与し、心臓内酸化リン脂質量を検討した。図15(a)は、実験スケジュールを説明する図である。
まず、心臓特異的GPx4欠損マウス(3週齢)の飼料をビタミンE高添加飼料から通常飼料(CE−2)に切り替えた。また、マウスに抗生物質を投与した。抗生物質としてはセフォペラゾン(CPZ)を飲水により経口投与した。飲水には0.4g/Lのセフォペラゾンを添加した。また、抗生物質を投与せず、水道水を与えた対照群も用意した。
飼料の切り替えから12日目に各群のマウスを安楽死させて心臓を回収した。続いて、回収した心臓をメタノール中でホモジナイズし、定法(Bligh&Dyer法)により、酸化脂質を含む脂質を抽出した。
続いて、心臓内の主要な脂質であるホスファチジルコリン(PC)とその過酸化体であるホスファチジルコリンヒドロペルオキシド(PC−OOH)の各分子種を、LC−ESI−MS/MS法を用いて定量解析した。
図15(b)は、ホスファチジルコリンヒドロペルオキシド(PC−OOH)の定量結果を示すグラフである。また、図15(c)は、ホスファチジルコリン(PC)の定量結果を示すグラフである。
その結果、対照群のマウスでは、ビタミンE低下による心不全による致死の直前に心筋細胞にPC−OOHの蓄積が観察された。これに対し、セフォペラゾン投与群のマウスでは、有意にPC−OOHの蓄積が抑制されたことが明らかとなった。セフォペラゾン自体には抗酸化能がないことから、この結果は、セフォペラゾン投与により、増加したエンテロコッカス属菌が心臓での脂質酸化を抑制していることを示す。
[実験例9]
(セフォペラゾン投与による致死抑制における餌中の少量のビタミンEの必要性)
心臓特異的GPx4欠損マウスの飼料をビタミンE高添加飼料からビタミンE欠損食(AIN93G(ビタミンE 0mg))に切り替え、抗生物質を投与し、致死までの日数を検討した。このとき、ビタミンE欠損食(AIN93G(ビタミンE 0mg))に少量のビタミンE(d−α−トコフェロール)を添加し、その影響を検討した。
図16(a)は、実験スケジュールを説明する図である。心臓特異的GPx4欠損マウス(3週齢)の飼料をビタミンE高添加飼料からビタミンE欠損食(AIN93G(ビタミンE 0mg))に切り替えた。また、ビタミンE欠損食(AIN93G(ビタミンE 0mg))に、0.15mg/100g、0.2mg/100g、0.3mg/100gのビタミンE(d−α−トコフェロール)を添加した群も用意した。また、マウスに抗生物質を投与した。抗生物質としてはセフォペラゾン(CPZ)を飲水により経口投与した。飲水には0.4g/Lのセフォペラゾンを添加した。また、抗生物質を投与せず、水道水を与えた対照群も用意した。
図16(b)は、各群のマウスについて、飼料を切り替えた後、致死までの日数(生存日数)を測定した結果を示すグラフである。図16(b)中、「CPZ」は、セフォペラゾンを飲水投与した群の結果であることを示し、「水」は、セフォペラゾンを投与しなかった群の結果であることを示す。
その結果、抗生物質を経口投与しても、飼料中にビタミンEが全く含まれない場合には生存率の延長が認められないことが明らかとなった。また、飲水投与では致死の抑制が認められない程度の量のビタミンEをビタミンE欠損食(AIN93G(ビタミンE 0mg))に添加した場合、ビタミンE濃度依存的に、セフォペラゾンによる致死の抑制が観察され、AIN93G(ビタミンE 0.3mg/100g添加)では、飼料を切り替えた後、90日目まで致死が抑制された。この結果は、セフォペラゾン投与により増加したエンテロコッカス属菌による心不全の抑制にはビタミンEが必要であることを示す。
下記表2は、実験例1〜9の結果に基づいて、エンテロコッカス属菌による心不全抑制における、餌の種類によるビタミンEの必要量をまとめたものである。表2中、「−」は、エンテロコッカス属菌を投与せず、セフォペラゾン(CPZ)の飲水投与もしなかったことを示す。また、「+」は、エンテロコッカス属菌を投与するか又はセフォペラゾン(CPZ)を飲水投与したことを示す。また、「×」は心不全を抑制できなかったことを示し、「〇」は心不全を抑制できたことを示す。
その結果、CE−2食では、餌に含まれるビタミンE量(7mg/100g)では心不全の抑制は認められなかった。これに対し、エンテロコッカス属菌の経口投与又はセフォペラゾン(CPZ)の飲水投与により、ビタミンE量7mg/100gで心不全を抑制できた。また、ビタミンE量が12mg/100gであるCE−2では、エンテロコッカス属菌の経口投与がなくても心不全を抑制できた。
一方、AIN93G食では、餌に含まれるビタミンE量(0.3mg/100g)では心不全の抑制が認められなかった。これに対し、エンテロコッカス属菌の経口投与又はセフォペラゾン(CPZ)の飲水投与により、ビタミンE量0.3mg/100gで心不全を抑制できた。また、ビタミンE量が1.5mg/100gであるAIN93G食では、エンテロコッカス属菌の経口投与がなくても心不全を抑制できた。AIN93G食ではCE−2食に比べて餌中のビタミンE量が少なくても効果を示すのは、体内に取り込まれるビタミンEの量が、CE−2食に比べてAIN93G食では8〜10倍高いためであると考えられる。
Figure 2021127342
[実験例10]
(マウスへの菌投与が心臓疲労に及ぼす影響の検討)
マウスへのエンテロコッカス属菌の投与が心臓疲労に及ぼす影響を検討した。
《マウスへの菌投与》
4週齢のBalb/cオスマウスに、1×10CFU/mLになるようにPBSに懸濁した菌液(エンテロコッカス・ヒラエ:エンテロコッカス・フェシウム=1:1)150μLをゾンデで強制経口投与した。菌液を10週齢まで週に1回投与した群と、10週齢まで毎日投与した群を用意した。また、コントロールとしてPBS 150μLをゾンデで強制経口投与した群を用意した。PBSは、10週齢まで週に1回与えた。
《トレッドミル走行試験》
8週齢から9週齢の間にトレッドミル装置(型式「MK−680」、室町機械社製)を用いて走行馴化を行い、10週齢で本試験を行なった。
走行馴化の条件は次の通りであった。走行開始前に、トレッドミル装置を静止させたまま5分間マウスを装置内に置いて馴れさせた。
傾斜角度:0度(傾斜無し)
走行時間:20分
初速:9m/分
加速:4分ごとに3m/分の加速ステップ
回数:4回(2回/週)
走行本試験(反復回走行試験)の条件は次の通りであった。走行馴化を行ったマウスを用いて、走行馴化の次週に走行本試験を実施した。空腹、満腹の影響を除くため、試験開始前3時間絶食させた。ただし飲料水は自由摂取とした。走行開始前に、トレッドミル装置を静止させたまま5分間マウスを装置内に置いて馴れさせた。
傾斜角度:10度
走行時間:疲労困憊するまで
初速:9m/分
加速:4分ごとに3m/分の加速ステップ
回数:2回
マウスが走行に耐えられず、走路の後ろにある電気刺激棒から逃れられなくなった時点を疲労困憊と判断し、走行開始から疲労困憊までを走行時間として計測した。そして2時間後に再び走行させた。その間は飲料水のみ自由摂取とした。
《糞中のエンテロコッカス属菌の定量》
糞中のエンテロコッカス属菌を定量し、腸内へのエンテロコッカス属菌の定着を検討した。
Balb/cマウスが7週齢の時と本番走行直前の10週齢で採取した糞0.01gを滅菌PBS 1mLに懸濁し、ボルテックスミキサーで混合した。続いて、上清を滅菌PBS 1mLで10倍ずつ段階希釈した。続いて、EF寒天培地(エンテロコッカス選択培地、カタログ番号「#05679」、ニッスイ)に10〜10倍に希釈した希釈液100μLを播種し、好気的条件下、36℃で12時間培養した。続いて、CFU/mLを測定し、エンテロコッカス属菌を定量した。
図17は、各群のマウスの糞中のエンテロコッカス属菌を定量した結果を示すグラフである。図17中、「PBS」は菌を投与しなかった群の結果であることを示し、「entero−1」はエンテロコッカス属菌を10週齢まで週に1回投与したマウス(番号1)の結果であることを示し、「entero−2」はエンテロコッカス属菌を10週齢まで毎日投与したマウス投与したマウス(番号2)の結果であることを示す。また、「7w」は7週齢で採取した糞の結果であることを示し、「10w」は10週齢で採取した糞の結果であることを示す。
図18は、トレッドミル走行試験の結果を示すグラフである。図18中、「PBS」は菌を投与しなかった群の結果であることを示し、「entero−1」はエンテロコッカス属菌を10週齢まで週に1回投与したマウス(番号1)の結果であることを示し、「entero−2」はエンテロコッカス属菌を10週齢まで毎日投与したマウス投与したマウス(番号2)の結果であることを示す。また、「1回目」は走行本試験1回目の結果であることを示し、「2回目」は2時間の休憩後に行った走行本試験2回目の結果であることを示す。また、「P<0.05」はP<0.05で有意差が存在することを示す。
その結果、番号1のマウス、番号2のマウスのいずれの腸内にもエンテロコッカス属菌の定着が認められた。また、トレッドミル走行試験の結果、エンテロコッカス属菌を投与したマウスは、限界走行における心臓負荷(心臓における脂質酸化に起因する心臓疲労)が抑制されたことが明らかとなった。
エンテロコッカス属菌を週に1回投与した群においても、エンテロコッカス属菌を毎日投与した群と同様の結果が得られた。この結果は、エンテロコッカス属菌の投与は週に1回で十分であり、毎日投与した場合と同様の効果があることを示す。
本発明により、リン脂質ヒドロペルオキシド依存性細胞死が関連する疾患を予防又は治療する技術を提供することができる。

Claims (5)

  1. エンテロコッカス属菌の菌体又は培養物、及び、ビタミンE又はその誘導体を有効成分として含有する、リン脂質ヒドロペルオキシド依存性細胞死が関連する疾患の予防又は治療用医薬組成物。
  2. 前記リン脂質ヒドロペルオキシド依存性細胞死が関連する疾患が、心不全又は心臓疲労である、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 前記エンテロコッカス属菌が、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、エンテロコッカス・ヒラエ(Enterococcus hirae)、エンテロコッカス・ガリナルム(Enterococcus gallinarum)、エンテロコッカス・デュランス(Enterococcus durans)、エンテロコッカス・ラフィノサス(Enterococcus raffinosus)、エンテロコッカス・シュードアビウム(Enterococcus psedoavium)、エンテロコッカス・ヘルマニエンシス(Enterococcus hermanniensis)、エンテロコッカス・リボラム(Enterococcus rivorum)、エンテロコッカス・タイランディクス(Enterococcus thailandicus)、エンテロコッカス・アシニ(Enterococcus asini)、エンテロコッカス・アビウム(Enterococcus avium)、エンテロコッカス・ビロラム(Enterococcus villorum)、エンテロコッカス・ラクチス(Enterococcus lactis)、エンテロコッカス・ラッティ(Enterococcus ratti)又はエンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus feacalis)である、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
  4. エンテロコッカス属菌の菌体又は培養物、及び、ビタミンE又はその誘導体を有効成分として含有する、リン脂質ヒドロペルオキシド依存性細胞死が関連する疾患の予防又は治療用食品組成物。
  5. 対象に、エンテロコッカス属菌の菌体又は培養物、及び、ビタミンE又はその誘導体を投与する工程を含む、リン脂質ヒドロペルオキシド依存性細胞死が関連する疾患の予防又は治療方法(ヒトに対する医療行為を除く。)。
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