以下、本発明に係る作物栽培装置の実施形態を、図面に基づいて説明する。図1は、作物育成装置の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、作物育成装置1は、例えば、GNSS(Global navigation Satellite system)装置10と、環境センサ20と、育成環境調整装置30と、農業施設制御装置100と、を備える。農業施設制御装置100は、例えば、有線により、GNSS装置10、環境センサ20、及び育成環境調整装置30と接続される。農業施設制御装置100は、例えば、無線により、GNSS装置10、環境センサ20、及び育成環境調整装置30と接続されてもよい。農業施設は、育成環境調整装置30による環境の調整の対象となる対象施設である。作物育成装置1は、環境制御システム、農業施設制御装置100は、環境制御装置、育成環境調整装置は、環境調整装置のそれぞれ一例である。
図2は、農業施設の全景の一例を示す図である。温室2は、例えばビニールハウスなどの農業用ハウスである。温室2は、他の形態の建物等でもよい。温室2内では、作物ACが植えられている。作物ACは、温室2内で育成されて栽培される。温室2の内部には、例えば、環境センサ20となる第1環境センサ20A、第2環境センサ20B、及び内蔵環境センサ20Nが設けられる。また、温室2の内部には、作物ACの育成環境を調整する育成環境調整装置30が設けられる。図2には、育成環境調整装置30のうちの冷暖房機31及び換気扇32が示されている。さらに、温室2の内部には、農業施設制御装置100となる制御盤200が設けられる。環境センサ20は、環境検出装置の一例である。
図1に示すように、環境センサ20は、例えば、土壌センサ21、温度センサ22、湿度センサ23、開閉センサ24、濃度センサ25、風速センサ26、及び光センサ27を備える。育成環境調整装置30は、例えば、冷暖房機31、換気扇32、潅水装置33、補光装置34、CO2発生器35、及び開閉装置36を備える。環境センサ20における土壌センサ21、温度センサ22、湿度センサ23、開閉センサ24、濃度センサ25、風速センサ26、及び光センサ27は、図2に示す第1環境センサ20A、第2環境センサ20B、及び内蔵環境センサ20Nのいずれかとして設置されている。環境センサ20は、作物の育成環境を検出する。環境センサ20は、育成環境検出装置の一例である。
実施形態において、作物育成装置1のGNSS装置10、環境センサ20、育成環境調整装置30、及び農業施設制御装置100は、例えば、いずれも温室2内またはその近傍に設置されている。温室2には、開閉可能な窓が設けられている。作物育成装置1のうち、GNSS装置10及び農業施設制御装置100は、例えば、温室2の外側に設けられていてもよい。GNSS装置10は、例えば、温室2に設置された農業施設制御装置100に設けられている。GNSS装置10は、温室2またはその近傍における農業施設制御装置100の外側に設けられていてもよい。
GNSS装置10は、例えば、GNSS受信機11、計時装置12、及び出力装置13を備える。GNSS受信機11は、GNSS衛星(例えばGPS衛星)から到来する電波に基づいて自機の位置を測位する位置検出装置である。GNSS受信機11は、例えば、自機の位置を緯度及び経度で測位する。GNSS装置10は温室2に設けられるので、GNSS受信機11が測位した位置は温室2が設置された位置となる。
計時装置12は、例えば、RTC(Real Time Clock)を備える。GNSS装置10は、計時装置12を用いて現在時刻を取得する。GNSS装置10は、例えば、GPS衛星により送信されるデータに基づいて、現在時刻を取得してもよい。出力装置13は、GNSS受信機11により測位された自機の位置の情報である位置情報及び計時装置12を用いて取得した現在時刻の情報である現在時刻情報を農業施設制御装置100に出力する。
土壌センサ21は、例えば、作物ACが植えられた土壌内に埋設される。土壌センサ21は、例えば、作物ACが植えられた土壌の水分量、温度、塩類濃度、pHなどの土壌の状態に関する土壌情報を検出する。土壌センサ21は、作物ACが植えられた土壌の土壌情報を農業施設制御装置100に出力する。
温度センサ22は、例えば、温室2内に設けられ、温室2の室温を検出する。温度センサ22は、検出した温度の情報である温度情報を農業施設制御装置100に出力する。湿度センサ23は、例えば、温室2内に設けられ、温室2内の湿度を検出する。湿度センサ23は、検出した湿度の情報である湿度情報を農業施設制御装置100に出力する。
開閉センサ24は、例えば、開閉装置36に設けられている。開閉センサ24は、温室2に設けられた窓の開閉状態を検出する。開閉センサ24は、検出した窓の開閉状態の情報である開閉情報を農業施設制御装置100に出力する。濃度センサ25は、例えば、温室2内に設けられ、温室2内のCO2濃度を検出する。濃度センサ25は、検出した温室2内のCO2濃度の情報であるCO2濃度情報を農業施設制御装置100に出力する。
風速センサ26は、例えば、温室2の外部に設けられている。風速センサ26は、温室2の周囲における風速を検出する。風速センサ26は、検出した風速の情報である風速情報を農業施設制御装置100に出力する。光センサ27は、例えば、温室2の内部に設けられ、温室2内における照度を検出する。光センサ27は、検出した温室2内の照度の情報である照度情報を農業施設制御装置100に出力する。
育成環境調整装置30は、例えば、冷暖房機31、換気扇32、潅水装置33、補光装置34、CO2発生器35、及び開閉装置36を備える。冷暖房機31は、例えば、温室2内を冷房または暖房することにより、温室2内の温度を調整する温調装置である。換気扇32は、例えば、温室2の外側の空気を温室2内に導入し、温室2の内側の空気を温室2の外側に排出することにより、温室2を空調する空調装置である。
潅水装置33は、例えば作物ACが定植された培地や根に直接水分を供給することにより、作物ACに潅水する潅水装置である。補光装置34は、例えば、作物ACに光を供給して作物ACの生育を促進する装置である。CO2発生器35は、例えば、CO2ガス(二酸化炭素)を供給して光合成を促進する炭酸ガス供給装置である。開閉装置36は、例えば窓の駆動モータを動作させることにより、温室2の窓を開放したり閉鎖したりする。
農業施設制御装置100は、例えば、電源110と、操作部120と、接続部130と、制御部140と、記憶部150と、表示部160と、音出力部170と、を備える。操作部120、接続部130、制御部140、記憶部150、表示部160、及び音出力部170は、図2に示す制御盤200に設けられている。制御盤200は、例えば温室2内に設けられている。
図3は、制御盤200の一例を示す図である。制御盤200は、マイクロコンピュータ201と、手動スイッチ202と、リレー203と、バリスタ204と、ヒューズ205と、接続端子206と、作動表示LED207と、エラー表示LED208と、LCD(liquid crystal display)209と、ブザー210と、を備える。また、制御盤200には、GNSS装置10が設けられ、電源110及び内蔵環境センサ20Nが接続されている。さらに、制御盤200には、LANケーブルCBを介して、設定用PC300が接続されている。設定用PC300と制御盤200とは、接続されているが、LANケーブルCBを取り外すことにより切り離し可能とされている。マイクロコンピュータ201は、制御部140及び記憶部150を含んでおり、手動スイッチ202は、操作部120に相当する。また、リレー203、バリスタ204、ヒューズ205、及び接続端子206は、接続部130に相当し、それぞれ複数設けられている。さらに、LCD209は表示部160に相当し、ブザー210は音出力部170に相当する。
電源110は、図2に示すように、例えば、温室2内に設けられている。電源110は、例えば、制御盤200及び環境センサ20に接続されている。電源110は、制御盤200及び環境センサ20に電気を供給する。制御盤200は、育成環境調整装置30に接続されている。電源110は、制御盤200を介して育成環境調整装置30に電気を供給する。
操作部120は、手動スイッチ202を含む。操作部120の操作として、手動スイッチ202を操作することにより、操作部120は、リレー203の作動条件の変更を手動と自動の間で切り替える。リレー203の作動条件を手動で切り替えられるようにすることにより、リレー203の作動条件の変更をユーザが行うことができるようになる。リレー203の作動条件の変更を自動とすると、ユーザがリレー203の作動条件の変更を行うことができなくなり、リレー203の作動条件の変更は、農業施設制御装置100の制御によって行われる。手動によるリレー203の作動条件の変更は、例えば、ユーザが設定用PC300を操作することにより行うことができる。
接続部130は、リレー203、バリスタ204、ヒューズ205、接続端子206、作動表示LED207、及びエラー表示LED208を含む。リレー203は、作動条件に応じて、農業施設制御装置100と、個々の育成環境調整装置30の接続のON/OFFを切り替える。
リレー203は、例えば、第1リレー231〜第8リレー238を備えている。第1リレー231は、例えば、冷暖房機31に接続されている。第2リレー232は、例えば、換気扇32に接続されている。第3リレー233は、例えば、潅水装置33に接続されている。第4リレー234は、例えば、補光装置34に接続されている。第5リレー235は、例えば、CO2発生器35に接続されている。第6リレー236は、例えば、開閉装置36に接続されている。第7リレー237及び第8リレー238は、育成環境調整装置30に接続されていない。第1リレー231〜第8リレー238は、それぞれ接続された育成環境調整装置30とマイクロコンピュータ201とを接続したり接続を解除したりすることにより、育成環境調整装置30のそれぞれのON/OFFを切り替える。
バリスタ204及びヒューズ205は、リレー203(第1リレー231〜第8リレー238)のそれぞれに対応して設けられている。バリスタ204及びヒューズ205は、マイクロコンピュータ201や育成環境調整装置30を高電圧から保護する。接続端子206には、個々の育成環境調整装置30のそれぞれに接続される信号線が接続されている。農業施設制御装置100によって出力される情報は、接続端子206に接続される信号線を介して育成環境調整装置30に提供される。
作動表示LED207は、リレー203(第1リレー231〜第8リレー238)のそれぞれに対応して設けられている。作動表示LED207は、対応するリレー203がONとなっているときに点灯し、OFFとなっている時に消灯する。エラー表示LED208は、正常表示LED208Aと、注意表示LED208Bと、異常表示LED208Cとを備える。エラー表示LED208は、常時は正常表示LED208Aを点灯させる。エラー表示LED208は、電源110により供給される電力が不安定であるなどユーザに注意を喚起する場合には注意表示LED208Bを点灯させる。エラー表示LED208は、GNSS装置10や環境センサ20との通信不良が生じるなどの不具合が生じたときには異常表示LED208Cを点灯させる。
制御部140及び記憶部150は、例えば、マイクロコンピュータ201内に設けられる。制御部140は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。制御部140の構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。ハードウェアが実行するプログラムは、記憶部150に記憶されていてもよいし、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置に格納されていてもよいし、DVDやCD−ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体をドライブ装置に装着することでインストールされてもよい。
記憶部150は、作物の育成環境を作成するための育成環境データを記憶する。育成環境データとしては、例えば、育成環境調整装置30の作動マップのデフォルトが記憶されている。作動マップは、作物ごと、判定対象となる育成環境調整装置30ごとに作成されている。作動マップは、例えば、育成環境調整装置30毎のON−OFFを切り替えるタイミングを判定するためのマップである。また、記憶部150は、制御対象となる育成環境調整装置30を切り替えるためのリレー203の作動条件を記憶している。作動条件は、ON/OFFを切り替える判定に用いる作動マップ(しきい値)と育成環境調整装置30を対応付ける条件に相当する。
作動マップは、複数の育成環境調整装置30の中から、制御対象となる育成環境調整装置30を特定するための特定条件として利用される。育成環境調整装置30は、制御対象である場合にONとなり、制御対象でない場合にOFFとなる。作動マップは、例えば1日単位で作成される。
図4は、作動マップの一例を示す図である。図4に示す作動マップは、例えば、作物ACを育成する際の換気扇32の作動マップである。図4に示す作動マップは、縦軸を判定気温、横軸を時刻としたグラフで表される。判定気温とは、判定対象となる育成環境調整装置30のON/OFFを切り替える際の判定基準となる気温である。図4に示す例では、判定対象となる育成環境調整装置30が換気扇32であり、換気扇32をONとして制御対象とするための基準となる判定気温をON判定気温、換気扇32をOFFとして制御対象ではなくすための基準となる判定気温をOFF判定気温とする。作動マップは、ON判定気温を繋いだラインである高切替基準ラインLHと、OFF判定気温を繋いだラインである低切替基準ラインLLを備える。
換気扇32の作動状態は、例えば、高切替基準ラインLHと低切替基準ラインLLを基準として切り替えられ、換気扇32が制御対象となるか否かが決定される。例えば、温度センサ22により検出された気温が高切替基準ラインLHを超えてON判定気温を上回った場合には、換気扇32がONとされる。また、温度センサ22により検出された気温が低切替基準ラインLLより低くOFF判定気温を下回った場合には、換気扇32がOFFとされる。また、温度センサ22により検出された気温が高切替基準ラインLHと低切替基準ラインLLの間であり、ON判定気温とOFF判定気温の間にある場合には、換気扇32の作動状態は現状の作動状態に維持される。このように、高切替基準ラインLHと低切替基準ラインLLの間には、いわば不感帯が設けられている。
日の出日の入時刻を基準とした育成環境の変化は、温室2における作物の育成に大きく影響する。このため、作動マップは日の出日の入時刻を基準として作成されている。図4に示す例では、作物ACを育成する際には、日の出前には判定気温を徐々に上昇させ、南中時刻(または正午)を超えた後、午後になるにつれてさらに判定気温を上昇させる。その後、日中最高気温となる時間以後に判定気温を低下させて日の入後は判定気温を低下させた後、判定気温を低気温の状態に維持するサイクルを構築する。
このようなサイクルを構築するため、温度センサ22により検出された温室2内の気温が高切替基準ラインLHを超えてON判定気温を上回る場合には、換気扇32をONとして作動させて温室2内の気温を低下させる。また、温室2内の気温が低切替基準ラインLLより低くOFF判定気温を下回る場合には、換気扇32をOFFとして作動させて温室2内の気温の上昇を図る。こうして、温室2内の気温を作動マップが示す温度となるように換気扇32を作動させる。
同様に、他の育成環境調整装置30を判定対象とした場合についても、切替基準ラインを設定する。例えば、判定対象を冷暖房機31とした場合については、暖房を作動させるための切替基準ラインと、冷房を作動させるための切替基準ラインと冷暖房機をOFFにするための基準ラインを設定し、冷暖房機31のON/OFFが切り替えられるようにする。また、例えば、判定対象を潅水装置33とした場合については、縦軸を、土壌センサ21により検出された土壌の水分量とし、判定対象を補光装置34とした場合については、縦軸を、光センサ27により検出された照度とする。また、判定対象をCO2発生器35とした場合については、縦軸を、濃度センサ25により検出されたCO2濃度とし、判定対象を開閉装置36とした場合については、縦軸を、温度センサ22により検出された温室2内の温度としてもよい。
また、1つまたは複数環境センサ20の検出結果に応じて、育成環境調整装置30の判定を行うようにしてもよい。例えば、換気扇32の作動マップに関して、温度センサ22により検出された温室2内の温度に応じた判定結果と、風速センサ26により検出された風速に応じた判定結果をAND/ORの関係を利用することで得られた結果としてもよい。あるいは、換気扇32の作動マップに関して、温度センサ22により検出された温室2内の温度と、風速センサ26により検出された風速とを演算処理して得られた結果としてもよい。
また、判定対象と育成環境調整装置30を複数としてもよい。例えば、温度センサ22により検出された温室2内の温度に基づいて、冷暖房機31及び換気扇32のON/OFFを判定してもよい。1つまたは複数の検出結果に応じて、複数の育成環境調整装置30の判定を行うようにしてもよい。また、判定対象となる育成環境調整装置30は、リレー203の作動条件を変更することによって切り替え可能である。また、作動マップは、ON/OFFを切り替えるための切替基準以外に、例えば、育成環境調整装置30の出力を調整するための基準を示すものとしてもよい。作動マップは、例えば、ユーザにより設定用PC300の操作等に基づいて調整可能である。
また、記憶部150は、各地における日時に応じた日の出日の入時刻を記憶する。例えば、記憶部150は、温室2が設置された温室設置位置を又はその近傍を含む複数の地点における1月1日から12月31日の日の出日の入時刻を記憶する。記憶部150は、緯度及び経度ごとの1月1日から12月31日の全ての日における日の出日の入時刻を記憶していてもよい。また、記憶部150に位置情報を補正するための標高の情報を記録してもよい。また、記憶部150に環境調節を行うための地域ごとに最適な設置値を保存しておいてもよい。
制御部140は、例えば、育成環境取得部141と、影響要因導出部142と、特定条件設定部143と、制御対象特定部144と、作動制御部145と、出力制御部146と、を備える。制御部140における育成環境取得部141は、環境センサ20により出力される育成環境の検出結果の情報である環境情報を取得する。育成環境取得部141は、環境情報取得部の一例である。
育成環境取得部141は、具体的には、土壌センサ21により出力される土壌情報を取得する。また、育成環境取得部141は、温度センサ22により出力される温度情報、湿度センサ23により出力される湿度情報、開閉センサ24により出力される開閉情報、濃度センサ25により出力されるCO2濃度情報、風速センサ26により出力される風速情報、及び光センサ27により出力される照度情報を取得する。
影響要因導出部142は、GNSS装置10により出力される位置情報を取得する。GNSS装置10は、出力された位置情報は、GNSS装置10の位置であり、GNSS装置10は、温室2に設けられている。このため、影響要因導出部142は、GNSS装置10により出力された位置情報に基づいて、温室2の位置を取得する。また、影響要因導出部142は、GNSS装置10により出力される現在時刻情報を取得して現在時刻を特定する。
また、さらに、影響要因導出部142は、取得した現在時刻情報に基づいて、現在の日時を特定する。影響要因導出部142は、育成環境調整装置30を制御する対象となる日(以下「制御日」という)を特定する。制御日は、どのような日でもよく、例えば、設定を行う設定日の翌日でもよいし、設定日から一定期間を経過した後、例えば3日後でもよい。また、ユーザが設定用PC300を操作することによって設定できるようにしてもよい。また、設定日は、制御日の当日であってもよい。
影響要因導出部142は、温室2の位置を取得するとともに制御日を設定した場合に、温室設置位置における制御日の日の出日の入時刻の情報を記憶部150から読み出す。影響要因導出部142は、記憶部150から温室設置位置における制御日の日の出日の入時刻を読み出すことにより、温室2の育成環境に影響を与える影響要因の影響要因情報として、温室設置位置における制御日の日の出日の入時刻情報を導出する。
影響要因導出部142は、他の態様で影響要因情報、例えば温室設置位置における制御日の日の出日の入時刻情報を導出してもよい。例えば、記憶部150に温室設置位置における制御日の日の出日の入時刻が記憶されていない場合には、日の出日の入時刻が記憶部150に記憶された場所を複数読み出し、GNSS装置10により出力された温室設置位置と記憶部150から読み出した場所との位置関係、及び記憶部150から読み出した場所における日の出日の入時刻に演算処理を施して、温室設置位置の日の出日の入時刻を算出してもよい。あるいは、温室設置位置における日の出日の入時刻が記憶部150に記憶された日を複数読み出し、制御日と記憶部150から読み出した日の出日の入時刻に演算処理を施して、温室設置位置の日の出日の入時刻を算出して日の出日の入時刻情報を導出してもよい。または、GNSS装置10により取得された座標(緯度及び経度)と時刻に基づいて太陽の日周運動を計算し、その座標の地域の日長に自動追従するようにしてもよい。
さらに、農業施設制御装置100に日の出日の入時刻の情報が記憶されていない場合等には、影響要因導出部142は、農業施設制御装置100の外部におけるサーバ等に記憶された日の出日の入時刻情報を、ネットワークを介して受信して取得してもよい。あるいは、受信した情報に基づいて温室設置位置の日の出日の入時刻を算出して日の出日の入時刻情報を導出してもよい。
特定条件設定部143は、例えば、農業施設制御装置100による制御の制御対象となる育成環境調整装置30を特定するための条件である特定条件を設定する。特定条件設定部143は、例えば、記憶部150からリレー203の作動条件及び作動マップ(以下、作動条件等)という)を読み出すことにより、作動条件等に基づく特定条件を設定する。この場合、作動条件等がそのまま特定条件として利用され、リレー203の作動条件に応じた環境センサ20の検出結果が、作動マップに示すしきい値を超えるか下回るかなどにより、育成環境調整装置30が制御対象となるか否かが決定される。
特定条件設定部143は、作動条件等を読み出した後に、ユーザの操作に基づく設定操作情報が出力された場合に、出力された設定操作情報に基づいて特定条件を調整して設定する。そのため、例えば、特定条件設定部143は、ユーザが操作する設定用PC300により送信される要求情報に応じて、記憶部150から読み出した作動条件等の情報を設定用PC300に出力する。
ユーザは、設定用PC300を操作することにより、作動条件等を調整(変更を含む)して特定条件を設定する。設定用PC300は、ユーザの操作に基づいて、ユーザが調整した作動条件等の設定操作情報を特定条件設定部143に出力する。特定条件設定部143は、設定用PC300により出力された設定操作情報に基づいて、作動条件等を調整して特定条件を設定する。特定条件設定部143は、設定用PC300から設定操作情報が出力されていない場合には、記憶部150から読み出した作動条件等により特定条件を設定する。ユーザがデフォルトの作動条件等を調整して特定条件を設定する態様に代えてまたは加えて、農業施設制御装置100は、設定用PC300に日の出日の入時刻情報及び南中時刻情報を出力し、日の出日の入時刻情報及び南中時刻情報を参照して、ユーザが独自に作動条件等を作成して特定条件を設定できるようにしてもよい。設定用PC300は、特定条件の設定の際に農業施設制御装置100に接続され、特定条件の設定が済んだ後は、農業施設制御装置100から取り外されるようにしてもよい。
制御対象特定部144は、例えば、環境センサ20により出力された環境情報を、特定条件設定部143により調整または作成された作動条件等に参照して制御対象を特定する。具体的に、制御対象特定部144は、例えば、リレー203の作動条件に応じた環境センサ20の検出結果が、作動マップにおける高切替基準ラインLHを超えるか、判定対象となる作動中の育成環境調整装置30に対応する作動マップにおける不感帯にある場合に、判定対象となる育成環境調整装置30をONとし、制御対象であるとして特定する。制御対象特定部144は、例えば、環境センサ20により出力された情報に基づく検出結果が、作動マップにおける低切替基準ラインLLを下回るか、判定対象となる作動中の育成環境調整装置30に対応する作動マップにおける不感帯にある場合に、判定対象となる育成環境調整装置30をOFFとし、制御対象でないとして特定する。
例えば、判定対象となる育成環境調整装置30が冷暖房機31である場合、制御対象特定部144は、温度センサ22により出力された温度情報に基づく温室2内の温度を、特定条件設定部143により調整または作成された冷暖房機31の作動マップに参照することにより、冷暖房機31が制御対象であるとして、または制御対象でないとして特定する。判定対象となる育成環境調整装置30が潅水装置33である場合、制御対象特定部144は、土壌センサ21により出力された土壌情報に基づく土壌の水分量を、特定条件設定部143により調整または作成された潅水装置33の作動マップに参照することにより、潅水装置33が制御対象であるとして、または制御対象でないとして特定する。
例えば、判定対象となる育成環境調整装置30が補光装置34である場合、制御対象特定部144は、光センサ27により出力された照度情報に基づく温室2内の照度を、特定条件設定部143により調整または作成された補光装置34の作動マップに参照することにより、補光装置34が制御対象であるとして、または制御対象でないとして特定する。判定対象となる育成環境調整装置30がCO2発生器35である場合、制御対象特定部144は、濃度センサ25により出力されたCO2濃度情報に基づくCO2濃度を、特定条件設定部143により調整または作成されたCO2発生器35の作動マップに参照することにより、CO2発生器35が制御対象であるとして、または制御対象でないとして特定する。例えば、判定対象となる育成環境調整装置30が開閉装置36である場合、制御対象特定部144は、温度センサ22により出力された温度情報に基づく温室2内の温度を、特定条件設定部143により調整または作成された開閉装置36の作動マップに参照することにより、開閉装置36が制御対象であるとして、または制御対象でないとして特定する。
作動制御部145は、例えば、制御対象特定部144により特定された育成環境調整装置30を制御対象として制御する。作動制御部145は、例えば、接続部130におけるリレー203を制御することにより、育成環境調整装置30のON/OFFを切り替える。作動制御部145は、例えば、換気扇32が制御対象であると制御対象特定部144が特定した場合に、換気扇32をONにする信号を換気扇32に出力するように、リレー203を制御する。
出力制御部146は、表示部160の表示および音出力部170の音出力を制御する。出力制御部146は、例えば、作動制御部145の制御に応じて育成環境調整装置30が作動しているときに、作動マップを表示部160に表示させる。また、例えば、出力制御部146は、作動制御部145が育成環境調整装置30の作動状態を切り替える場合に、作動状態を切り替える旨の音声を音出力部170に出力させる。
表示部160は、図2に示すLCD209を含む。表示部160は、出力制御部146の制御に基づく画像を表示する。例えば、LCD209は、出力制御部146の制御に基づいて、作動マップを表示する。音出力部170は、図2に示すブザー210を含む。ブザー210は、例えばエラー表示LED208と連動して異常発生時に警告音を出力する。
図2に示す設定用PC300は、例えば、キーボードやマウスなどの入力インターフェースと、液晶ディスプレイなどの出力インターフェースを備える。設定用PC300は、入力インターフェースと出力インターフェースが一体化されたタッチパネルを備えてもよい。実施形態の説明にあたり、設定用PC300には、例えば、農業施設制御装置100との間で情報を送受信する際に利用されるアプリケーションプログラムがインストールされ、このアプリケーションプログラムが起動していることを前提とする。
設定用PC300は、例えば、ユーザによる入力インターフェースの操作に応じて、リレーの作動条件及び作動条件等の情報を要求する要求情報を農業施設制御装置100に送信する。設定用PC300は、送信した要求情報に応じた作動条件等の情報が農業施設制御装置100により送信された場合には、設定用PC300の液晶ディスプレイに作動マップを表示する。
図5〜図7は、設定用PC300に液晶ディスプレイの表示の一例を示す図である。図5には、作動条件等を受信した設定用PC300の液晶ディスプレイの表示の一例が示されている。液晶ディスプレイには、入力アイコン310、しきい値設定アイコン320、接続設定アイコン330、及び出力アイコン340が表示される。
入力アイコン310は、第1入力アイコン311〜第8入力アイコン318を備える。第1入力アイコン311〜第8入力アイコン318のうち、第1入力アイコン311〜第6入力アイコン316は、1つの育成環境調整装置30にそれぞれ対応付けられている。具体的に、第1入力アイコン311は冷暖房機31、第2入力アイコン312は換気扇32、第3入力アイコン313は潅水装置33、第4入力アイコン314は補光装置34、第5入力アイコン315はCO2発生器35、第6入力アイコン316は開閉装置36にそれぞれ対応付けられている。
第1入力アイコン311は、冷暖房機31のON−OFFを切り替える基準となる環境センサ20の検出結果が、温度センサ22により出力される温度情報であることを示すアイコンである。第1入力アイコン311には、「気温(冷暖房用)」の文字が表示されている。第2入力アイコン312は、換気扇32のON−OFFを切り替える基準となる環境センサ20の検出結果が、温度センサ22により出力される温度情報であることを示すアイコンである。第2入力アイコン312には、「気温(換気扇用)」の文字が表示されている。第3入力アイコン313は、潅水装置33のON−OFFを切り替える基準となる環境センサ20の検出結果が、土壌センサ21により出力される土壌情報に含まれる土壌の温度の情報である地温情報であることを示すアイコンである。第3入力アイコン313には、「土壌水分」の文字が表示されている。
第4入力アイコン314は、補光装置34のON−OFFを切り替える基準となる環境センサ20の検出結果が、光センサ27により出力される照度情報(日射情報)であることを示すアイコンである。第4入力アイコン314には、「日照」の文字が表示されている。第5入力アイコン315は、CO2発生器35のON−OFFを切り替える基準となる環境センサ20の検出結果が、濃度センサ25により出力されるCO2濃度情報であることを示すアイコンである。第5入力アイコン315には、「CO2」の文字が表示されている。第6入力アイコン316は、開閉装置36のON−OFFを切り替える基準となる環境センサ20の検出結果が、開閉センサ24により出力される開閉情報であることを示すアイコンである。第5入力アイコン315には、「気温(窓用)」の文字が表示されている。開閉装置36がONとなることにより窓が開放され、開閉装置36がOFFとなることにより窓が閉鎖される。
第7入力アイコン317及び第8入力アイコン318は、制御対象となる育成環境調整装置30が増加したり変更したりする場合などのために予備として設けられている。第7入力アイコン317及び第8入力アイコン318は、育成環境調整装置30が対応付けられていないため、いずれもブランクとされている。第7入力アイコン317及び第8入力アイコン318には、それぞれ「BLK」の文字が表示されている。
しきい値設定アイコン320は、第1しきい値設定アイコン321〜第8しきい値設定アイコン328を備える。第1しきい値設定アイコン321〜第8しきい値設定アイコン328のうち、第1しきい値設定アイコン321〜第6しきい値設定アイコン326は、1つの育成環境調整装置30にそれぞれ対応付けられている。具体的に、第1しきい値設定アイコン321は冷暖房機31、第2しきい値設定アイコン322は換気扇32、第3しきい値設定アイコン323は潅水装置33、第4しきい値設定アイコン324は補光装置34、第5しきい値設定アイコン325はCO2発生器35、第6しきい値設定アイコン326は開閉装置36にそれぞれ対応付けられている。
第1しきい値設定アイコン321には、「上限」及び「下限」の文字及びそれらに続く温度の数値が表示される。「上限」の文字に続く温度の数値は、例えば、所定の時刻、例えば午前0時における冷暖房機31のON判定気温を示す。「下限」の文字に続く温度の数値は、例えば、所定の時刻、例えば午前0時における冷暖房機31のOFF判定気温を示す。第1しきい値設定アイコン321は、例えば、冷暖房機31の作動マップの調整を要求するアイコンである。第1しきい値設定アイコン321が操作されることにより、例えば、図6に示す画像が表示される。
図6に示す画像では、冷暖房機31作動マップとして、高切替基準ラインLHと、低切替基準ラインLLに相当するラインが、縦軸を気温、横軸を時刻としたグラフMとして表示される。グラフMでは、15分刻みに縦軸に平行なラインが表示されている。作動マップを示すグラフMの側方には、「最大値」、「最小値」、「不感帯」、「ON/OFF反転」の各アイコンが表示されている。また、制御日の当日に作動マップを調整する場合には、現在時刻における温度PがグラフMに表示される。
グラフMにおける高切替基準ラインLHと、低切替基準ラインLLは、いずれも画像として表示されたポインタで指定してマウス等をユーザがクリックするなどの操作を行うことにより、上下動が可能とされている。ユーザは、高切替基準ラインLH(ON判定気温)、低切替基準ラインLL(OFF判定気温)を上下動させて、液晶ディスプレイに表示された作動マップを見ながら、作動マップの調整を行うことができる。また、「最大値」、「最小値」、「不感帯」、「ON/OFF反転」の各アイコンを操作することにより、これらの数値等を変更することができる。
なお、設定用PC300がタッチパネルを備えていてもよい。この場合、例えば、タッチパネルに図6に示す画像が表示され、ユーザは、例えば、切替基準ラインに相当する線を操作、例えばスワイプすることにより、切替基準ラインを上げたり下げたりすることができる。
第2しきい値設定アイコン322は、例えば、換気扇32の作動マップの調整を要求するアイコンである。第2しきい値設定アイコン322には、「上限」及び「下限」の文字及びそれらに続く温度の数値が表示される。「上限」及び「下限」の文字に続く温度の数値は、例えば、それぞれ所定の時刻における換気扇32のON判定気温及びOFF判定気温を示す。
第3しきい値設定アイコン323は、例えば、潅水装置33の作動マップの調整を要求するアイコンである。第3しきい値設定アイコン323には、「上限」及び「下限」の文字及びそれらに続く水分量の文字が表示される。「上限」及び「下限」の文字に続く水分量の数値は、例えば、それぞれ所定の時刻における潅水装置33のON判定水分量及びOFF判定水分量を示す。
第4しきい値設定アイコン324は、例えば、補光装置34の作動マップの調整を要求するアイコンである。第4しきい値設定アイコン324には、「上限」及び「下限」の文字及びそれらに続く照度の数値が表示される。「上限」及び「下限」の文字に続く照度の数値は、例えば、それぞれ所定の時刻における補光装置34のON判定照度及びOFF判定照度を示す。
第5しきい値設定アイコン325は、例えば、CO2発生器35の作動マップの調整を要求するアイコンである。第5しきい値設定アイコン325には、「上限」及び「下限」の文字及びそれらに続くCO2濃度の数値が表示される。「上限」及び「下限」の文字に続くCO2濃度の数値は、例えば、それぞれ所定の時刻におけるCO2発生器35のON判定濃度及びOFF判定濃度を示す。
第6しきい値設定アイコン326は、例えば、開閉装置36の作動マップの調整を要求するアイコンである。第6しきい値設定アイコン326には、「上限」及び「下限」の文字及びそれらに続く温度の数値が表示される。「上限」及び「下限」の文字に続く温度の数値は、例えば、それぞれ所定の時刻における開閉装置36のON判定温度及びOFF判定温度を示す。
第7しきい値設定アイコン327及び第8しきい値設定アイコン328は、制御対象となる育成環境調整装置30が増加したり変更したりする場合などのために予備として設けられている。第7しきい値設定アイコン327及び第8しきい値設定アイコン328は、育成環境調整装置30が対応付けられていないため、いずれもブランクとされている。第7しきい値設定アイコン327及び第8しきい値設定アイコン328には、それぞれ「BLK」の文字が表示されている。
接続設定アイコン330は、リレーの作動条件を示すアイコンである。実施形態の例では、接続設定アイコン330は、入力アイコン310と出力アイコン340とを線でつないで示すアイコンであり、入力アイコン310と出力アイコンが1対1で対応付けられている。接続設定アイコン330が操作されることにより、入力アイコン310と出力アイコン340の接続関係を変更して設定し、作動条件を変更することができる。接続設定アイコン330は、複数の入力アイコン310と出力アイコンを接続することもある。その場合例は後に説明する。
出力アイコン340は、第1出力アイコン341〜第8出力アイコン348を備える。第1出力アイコン341〜第8出力アイコン348には、それぞれ「No1」〜「No8」の番号が表示されている。第1出力アイコン341〜第8出力アイコン348のうち、第1出力アイコン341〜第6出力アイコン346は、1つの育成環境調整装置30にそれぞれ対応付けられている。具体的に、第1出力アイコン341は冷暖房機31、第2出力アイコン342は換気扇32、第3出力アイコン343は潅水装置33、第4出力アイコン344は補光装置34、第5出力アイコン345はCO2発生器35、第6出力アイコン346は開閉装置36にそれぞれ対応付けられている。出力アイコン340に対応付けられた育成環境調整装置30は、農業施設制御装置100によりON/OFFが切り替えられる対象となる。
実施形態では、リレーの作動条件として、入力アイコン310及びしきい値設定アイコン320は、それぞれ1つの育成環境調整装置30に対応付けられているが、入力アイコン310及びしきい値設定アイコン320が複数の育成環境調整装置30に対応付けられていてもよい。また、入力アイコン310及びしきい値設定アイコン320は育成環境調整装置30に対応付けられているが、環境センサ20に対応付けられていてもよい。また、出力アイコン340は、それぞれ1つの育成環境調整装置30に対応付けられているが、複数の育成環境調整装置30に対応付けられていてもよい。
例えば、入力アイコン310が環境センサ20に対応付けられており、出力アイコン340に単数または複数の育成環境調整装置30が対応付けられている場合がある。この場合の接続設定アイコン330の例について説明する。図7には、作動条件等を受信した設定用PC300の液晶ディスプレイの表示の他の一例が示されている。
入力アイコン310には、対応付けられた環境センサ20の検出対象の文字が表示される。具体的に、第1入力アイコン311には温度センサ22により検出される気温が対応付けられ、「気温」の文字が表示されている。第2入力アイコン312には湿度センサ23により検出される湿度が対応付けられ、「湿度」の文字が表示されている。第3入力アイコン313には土壌センサ21により検出される地温が対応付けられ、「地温」の文字が表示されている。第4入力アイコン314には濃度センサ25により検出されるCO2濃度が対応付けられ、「CO2」の文字が表示されている。第5入力アイコン315には開閉センサ24により検出される窓の開閉状態が対応付けられ、「窓開度」の文字が表示されている。第6入力アイコン316には光センサ27により検出される照度が対応付けられ、「日射」の文字が表示されている。第7入力アイコン317には風速センサ26により検出される風速が対応付けられ、「風速」の文字が表示されている。第8入力アイコン318には土壌センサ21により検出される水分量が対応付けられ、「土壌水分」の文字が表示されている。
出力アイコン340は、リレー203における第1リレー231〜第8リレー238に対応している第1出力アイコン341〜第8出力アイコン348には、それぞれ「リレー1」から「リレー8」の文字が表示されている。また、出力アイコン340における第1出力アイコン341〜第8出力アイコン348は、入力アイコン310における第1入力アイコン311〜第8入力アイコン318のうちの1つまたは複数と、接続設定アイコン330を介して接続されている。接続設定アイコン330は、例えば、ANDアイコン331及びORアイコン332を備える。入力アイコン310と出力アイコン340との間の接続設定アイコン330としてANDアイコン331またはORアイコン332が介在されていない場合には、しきい値設定アイコン320に表示されるしきい値を利用して、環境センサ20により検出された育成環境から、リレー203に接続された育成環境調整装置30のON/OFFを切り替える。
例えば、第1リレー231には、冷暖房機31が接続され、第8リレー238には潅水装置33が接続されているとする。この場合、第8リレー238に接続された潅水装置33のON/OFFの切替を判定するにあたり、土壌センサ21により検出された土壌の水分量のしきい値を利用する。また、第1リレー231に接続された冷暖房機31のON/OFFを判定する場合には、第1入力アイコン311〜第5入力アイコン315に対応する環境センサ20により検出された育成環境のしきい値を利用する。
具体的には、第1入力アイコン311〜第3入力アイコン313に対応する環境センサ20により検出された育成環境のしきい値をAND条件で判定した第1判定結果と、第4入力アイコン314及び第5入力アイコン315に対応する環境センサ20により検出された育成環境の閾値をOR条件で判定した第2判定結果を得る。続いて、第1判定結果と第2判定結果をOR条件で判定した結果に基づいて、冷暖房機31のON/OFFを切り替える制御を行う。
ユーザは、設定用PC300の液晶ディスプレイに表示されたアイコンを操作することにより、作動マップの調整の他にリレー203の作動条件の変更を行うことができる。例えば、ユーザは、接続設定アイコン330を操作することにより、リレーの作動条件を変更することができる。具体的には、接続設定アイコン330で示されるラインの位置を変更したり、ANDアイコン331やORアイコン332を挿入、削除したりすることにより、リレーの作動条件を変更するができる。作動条件等の作動条件の調整が済んだら、設定用PC300は、ユーザの操作に応じて、調整された作動条件等の情報である設定操作情報を農業施設制御装置100に送信する。設定用PC300は、設定操作装置の一例である。
設定用PC300は、制御盤200に常時接続されていてもよいし、必要により制御盤200に接続されるものでもよい。設定用PC300は、例えば、作動条件等を調整したり、制御日を設定したりするときに制御盤200に接続され、その他のときには制御盤200から取り外されるようにしてもよい。
次に、農業施設制御装置100における処理について説明する。農業施設制御装置100では、例えば、育成環境調整装置30の制御日よりも前の設定日に、制御日における作動条件等を設定する。農業施設制御装置100は、制御日に、作動条件等を参照しながら、環境センサ20により出力される環境情報に基づいて、育成環境調整装置30を制御する。以下、作動条件等を設定する処理と育成環境調整装置30を制御する処理について、それぞれ説明する。
図8及び図9は、いずれも農業施設制御装置100における処理の一例を示すフローチャートである。図8は、以下、作動条件等を設定する処理を示し、図9は、育成環境調整装置30を制御する処理を示す。作動条件等を生成する際には、農業施設制御装置100は、図8に示すように、まず、影響要因導出部142において、制御日を特定する(ステップS101)。
続いて、農業施設制御装置100は、影響要因導出部142において、制御日の日の出日の入時刻情報を取得する(ステップS103)。影響要因導出部142は、GNSS装置10により出力された位置情報に基づいて、温室2の位置を取得する。影響要因導出部142は、取得した温室2の位置における日の出日の入時刻を記憶部150から読み出して日の出日の入時刻情報を取得する。
続いて、特定条件設定部143は、影響要因導出部142が導出した制御日における日の出日の入時刻に応じた作動条件等を記憶部150から読み出す(ステップS105)。続いて、特定条件設定部143は、ユーザによる要求情報が設定用PC300により出力されたか否かを判定する(ステップS107)。
要求情報が設定用PC300により出力された場合、特定条件設定部143は、設定操作情報を設定用PC300に出力する(ステップS109)。その後、ユーザにより作動条件等が調整されたか否かを判定する(ステップS111)。ユーザにより作動条件等が調整され、設定用PC300により作動条件等を調整する設定操作情報が出力された場合に、特定条件設定部143は、出力された設定操作情報に応じて作動条件等を調整する(ステップS113)。
その後、特定条件設定部143は、調整した作動条件等を特定条件として設定する(ステップS115)。また、ステップS107において要求情報が出力されていない場合、ステップS111においてユーザにより作動条件等が調整されていない場合には、そのまま作動条件等を特定条件として設定する(ステップS115)。特定条件設定部143は、設定した特定条件を記憶部150に記憶させる。その後、農業施設制御装置100は、図8に示す処理を終了する。
続いて、育成環境調整装置30を制御する処理について説明する。育成環境調整装置30を制御する際には、農業施設制御装置100は、図7に示すように、まず、制御対象特定部144において、現在時刻を特定する(ステップS201)。制御対象特定部144は、GNSS装置10により出力される現在時刻情報に基づいて現在時刻を特定する。
続いて、制御対象特定部144は、環境センサ20により出力される育成環境の検出結果である環境情報を取得し(ステップS203)、特定条件設定部143により設定され、記憶部150に記憶された特定条件を読み出す(ステップS205)。制御対象特定部144は、取得した育成環境の検出結果を、読み出した作動マップにおける現在時刻の判定基準に参照して、育成環境調整装置30の作動状態を判定する(ステップS207)。例えば、制御対象特定部144は、温度センサ22により出力される温室2の温度を、図4に示す作動マップにおける現在時刻の判定気温に参照して、換気扇32をONにするかOFFにするか現状を維持するかを判定する。作動制御部145は、例えば、現在時刻として、影響要因導出部142により特定された現在時刻を利用する。
続いて、作動制御部145は、ステップS207の判定結果に基づいて、育成環境調整装置30を制御する(ステップS209)。例えば、作動制御部145は、換気扇32がONであるときに、温度センサ22により出力された現在気温が、低切替基準ラインLLにおける現在時刻の判定気温を下回る場合に、換気扇32をOFFにし、温室2内の温度を上昇させる。作動制御部145は、他の育成環境調整装置30についても、同様のON/OFF制御などを行う。
続いて、制御対象特定部144は、制御日が終了したか否かを判定する(ステップS211)。制御日が終了していないと判定した場合、制御対象特定部144は、ステップS201に戻り、同様の処理を繰り返して実行する。制御日が終了したと判定した場合、農業施設制御装置100は、図9に示す処理を終了する。
実施形態の農業施設制御装置100は、環境センサ20により取得された温室2の育成環境に基づいて、農業施設制御装置100の作動制御部145による制御対象となる育成環境調整装置30を特定するための特定条件を設定する。この特定条件に基づいて、制御対象となる育成環境調整装置30を特定するので、設定や操作に不慣れなユーザでも容易に利用することができる。
なお、上記の実施形態において、特定条件設定部143において作動マップを設定するために用いる影響要因は日の出日の入時刻であるが、影響要因は他の要因でもよい。影響要因は、例えば、自然条件に応じた要因でもよい。影響要因は、具体的には、例えば気候、降水量、満潮(干潮)時刻、地磁気などでもよい。また、環境センサ20により検出される作物の育成環境に代えてまたは加えて、ネットワーク上に設置されたユビキタス環境制御システム(UECS; Ubiquitous Environment Control System)規格の外部センサによる検出値を用いてもよい。
また、上記の実施形態では、育成環境調整装置30の制御をON/OFFの制御としているが、その他の制御に適用してもよい。例えば、冷暖房機31については、ON/OFF制御の他、設定温度を調整できるようにしてもよい。また、換気扇32については、送風する際の風量を調整できるようにしてもよい。
また、上記の農業施設制御装置100において、デバッグモードが設けられて入れもよい。この場合、例えば、設定用PC300における図5等に示す表示画面において、デバッグボタンを表示させておき、デバッグボタンをユーザが操作すること等により、デバッグモードとなってデバッグ処理が実行されるようにしてもよい。デバッグ処理では、例えば、各環境センサ20におけるダミー値(例えば、各環境センサ20に設定された最大値、最小値、分解能などのプロパティに設定された値)を順次入力し、発生して欲しくない状況に一致するか否かを判定する。その判定の結果、発生して欲しくない状況に一致する場合に、デバッグ処理を終了し、その発生状況を表示して警告するようにしてもよい。
また、上記の実施形態では、対象施設は温室2等の農業施設であるが、農業施設以外の施設であってもよい。対象施設は、例えば、山林、水産物の養殖場、植物の研究施設、実験場などであってもよい。また、対象施設は、複数の環境検出装置により環境情報が取得されるものであれば、例えば、動植物園、畜産施設、病院、公共施設、一般住居など生物(植物、動物、人)を対象とするもの、や、例えば、倉庫や工場など生物を対象としないものであってもよい。
また、スマートフォンやタブレットなどの携帯端末装置にアプリケーションプログラムをインストールすることによって、携帯端末装置を、環境制御装置の構成としたり、上記実施形態における設定用PC300と同様の機能を実現させる構成としたり、これら2つの構成を備える構成としてもよい。