JP2021125443A - 燃料電池システム - Google Patents

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嵩幸 白井
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Abstract

【課題】電解質膜への金属イオンの取り込みを抑制する手段を備えた燃料電池システムを提供する。
【解決手段】本開示の燃料電池システムは、金属製セパレータを有する燃料電池単位セル、上記燃料電池単位セルから排出された生成水中の複数種の金属イオンの濃度を検出する検出手段、上記検出手段によって検出された複数種の金属イオンの濃度及びその比に基づいて、上記金属製セパレータから溶出した少なくとも一種の金属イオンの濃度を推定する推定手段、及び上記推定手段によって推定された上記金属製セパレータから溶出した上記少なくとも一種の金属イオンのイオン濃度が閾値よりも高い場合に、上記燃料電池単位セルに供給される反応ガスの流量を大きくする制御を行う制御手段を備える。
【選択図】図2

Description

本開示は、燃料電池システムに関する。
燃料電池は、電気的に接続された2つの電極にアノードガス(水素ガス)とカソードガス(酸素ガス)の反応ガスを供給し、電気化学的にアノードガスの酸化を起こさせることで、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する。この燃料電池は、通常、アノード側セパレータ、アノード側ガス拡散層、アノード触媒電極層、電解質膜、カソード側触媒電極層、カソード側ガス拡散層、及びカソード側セパレータがこの順に積層されている燃料電池単位セルを構成単位とし、この燃料電池単位セルを複数積層してなる燃料電池モジュールを備えている。中でも、電解質膜として固体高分子電解質膜を用いた固体高分子電解質型燃料電池は、小型化が容易であること、低い温度で作動すること、等の利点があることから、特に携帯用、移動体用電源として注目されている。
上記の燃料電池においては、セパレータとして波形状に成形された金属セパレータが一般に使用されている。この金属セパレータには、その面内にアノードガス又はカソードガスを流すための反応ガス流路が設けられている。
固体高分子電解質型燃料電池において、水素が供給されたアノード触媒電極層では下記(1)式の反応が進行する。
H2 → 2H + 2e ・・・(1)
上記(1)式で生じる電子は、外部回路を経由し、外部の負荷で仕事をした後、カソード触媒電極層に到達する。他方で、上記(1)式で生じたプロトンは、水と水和した状態で、電気浸透により固体高分子電解質膜内をアノード触媒電極層側からカソード触媒電極層側に移動する。
一方、カソード触媒電極層では下記(2)式の反応が進行する。
2H+ + 1/2O + 2e → HO ・・・(2)
従って、電池全体では下記(3)式に示す化学反応が進行し、起電力が生じて外部負荷に対して電気的仕事がなされる。
+ 1/2O → HO ・・・(3)
このように、燃料電池では発電に伴いカソード触媒電極層に生成水が発生するとともに、アノード触媒電極層には生成水が電解質膜を介して逆拡散している。
また、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂膜に代表される固体高分子電解質膜を備えた燃料電池では、イオン伝導性を確保するために、電解質膜や触媒電極層の湿潤状態を維持することが重要であり、そのため、一般的に、反応ガスを予め加湿した状態で触媒電極層に供給することが行われている。その際、加湿用の水分が、電解質膜に吸収されずに液状化され、セパレータの反応ガス流路に滞留することがある。
高分子固体電解質膜としては、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂膜に代表される水素イオン導電性の高いフッ素樹脂系高分子膜が一般に用いられており、電解質膜を通過した生成水中には、電解質膜からのフッ素化合物やフッ素イオンが溶出することがある。このような生成水がステンレス鋼等の金属製セパレータの反応ガス流路に滞留すると、セパレータを構成する金属のイオン、例えば鉄イオン、ニッケルイオン、クロムイオン、モリブデンイオン等が生成水中に溶出する一因となる。
そこで、従来、燃料電池において、生成水への金属イオンの流出を抑制するため、様々な試みが提案されている。
この点に関して、特許文献1には、燃料電池から排出される生成水中のイオンの濃度を検出し、このイオン濃度が所定値よりも高い場合に、燃料電池の温度を低下させる手段を備えた燃料電池システムが開示されている。
また、特許文献2には、燃料電池から排出される生成水中のイオンのうち、金属製の配管等を腐食させる虞のある、電解質膜由来のイオンの濃度を検出し、このイオン濃度に応じて、燃料電池内においてカソードからアノードへ透過する透過水量を制御する手段を備えた燃料電池システムの制御装置が開示されている。
特開2005−332768号公報 特開2007−294122号公報
燃料電池内部において、金属イオン、例えば鉄イオン等が高分子電解質膜に取り込まれると、高分子電解質膜の劣化を促進し、燃料電池の性能が低下する場合がある。
この点に関して、上記特許文献1のように、燃料電池における生成水中の金属イオンの濃度を測定し、それに応じて燃料電池の温度を低下させること等が考えられる。また、上記特許文献2のように、燃料電池における生成水中の金属腐食性のイオンの濃度を測定し、カソードからアノードへ透過する透過水量を制御すること等が考えられる。
この点に関して、電解質膜の劣化による金属腐食性のイオンの溶出は、セパレータから溶出する金属イオンが電解質膜を劣化させることにあると考えられる。したがって、本発明者は、燃料電池単位セルのセパレータから溶出する金属イオンが電解質膜に到達する量を低減させることを検討した。
しかしながら、イオン濃度を測定される燃料電池の生成水中には、燃料電池よりも下流の配管に由来する金属イオンが含有される場合もあることを、本発明者は見出した。
すなわち、燃料電池単位セルのセパレータとしてステンレス鋼のような金属製のセパレータを用い、かつ燃料電池よりも下流の配管としてステンレス鋼のような金属製の配管を用いた場合には、金属製のセパレータから溶出した金属イオンと金属製の配管から溶出した金属イオンとを区別することは困難であった。
本発明は、上記実情を鑑みてなされたものであり、電解質膜への金属イオンの取り込みを抑制する手段を備えた燃料電池システムを提供することを目的とする。
本開示者は、以下の手段により上記課題を達成することができることを見出した:
金属製セパレータを有する燃料電池単位セル、
前記燃料電池単位セルから排出された生成水中の複数種の金属イオンの濃度を検出する検出手段、
前記検出手段によって検出された複数種の金属イオンの濃度及びその比に基づいて、前記金属製セパレータから溶出した少なくとも一種の金属イオンの濃度を推定する推定手段、及び
前記推定手段によって推定された前記金属製セパレータから溶出した前記金属イオンのイオン濃度が閾値よりも高い場合に、前記燃料電池単位セルに供給される反応ガスの流量を大きくする制御を行う制御手段、
を備える燃料電池システム。
本開示によれば、電解質膜への金属イオンの取り込みを抑制する手段を備えた燃料電池システムを提供することができる。
図1は、燃料電池単位セル10の模式図である。 図2は、本開示の第1の実施形態に従う燃料電池システム100の概略図である。 図3は、本開示の第1の実施形態に従う燃料電池システム100の作用を説明するフローチャートである。 図4は、膜電極接合体中の鉄イオン濃度とクロスリーク量の関係を示すグラフである。 図5は、膜電極接合体中の鉄イオン濃度と耐久時間の関係を示すグラフである。 図6は、反応ガスの流量と鉄イオン取り込み率の関係を示すグラフである。
以下、本開示の実施の形態について詳述する。なお、本開示は、以下の実施の形態に限定されるのではなく、開示の本旨の範囲内で種々変形して実施できる。
《燃料電池システムの構成》
図1は、本開示の第1の実施形態に従う燃料電池システム100が有する燃料電池単位セル10の概略図である。
燃料電池単位セル10は、金属製アノード側セパレータ1、アノード側ガス拡散層2、アノード触媒電極層3、電解質膜4、カソード側触媒電極層5、カソード側ガス拡散層6、及び金属製カソード側セパレータ7をこの順に有している。ここで、アノード触媒電極層3、電解質膜4、及びカソード側触媒電極層5の積層体は、膜電極接合体8とも呼ばれる。
燃料電池単位セル10における発電時には、アノードガス及びカソードガスが、それぞれ燃料電池単位セル10内部に流入する。そして、アノードガスは、燃料電池単位セル10内部において、金属製アノード側セパレータ1のガス流路1a、及びアノード側ガス拡散層2を通ってアノード触媒電極層3に供給される。また、カソードガスは、燃料電池単位セル10内部において、金属製カソード側セパレータ7のガス流路7a、及びカソード側ガス拡散層6を通ってアノード触媒電極層5に供給される。
ここで、金属製アノード側セパレータ1及び金属製カソード側セパレータ7の材料は、例えばステンレス鋼であってよい。
図2は、本開示の第1の実施形態に従う燃料電池システム100の概略図である。
本開示の第1の実施形態に従う燃料電池システム100は、燃料電池30のアノード触媒電極層にアノードガスを供給するためのアノードガス供給系、及びカソード触媒電極層にカソードガスを供給するカソードガス供給系を備えている。また、本開示の第1の実施形態に従う燃料電池システム100は、金属イオン検出センサ51及び52、並びに電子制御装置(ECU)53を備えている。
燃料電池30は、図1に示すような構成の燃料電池単位セル10が複数積層されている燃料電池モジュールを備えている。燃料電池30では、電池反応の際に、カソード触媒電極層5での反応によって水(生成水)が生成される。生成水の一部は、図1に示す金属製カソード側セパレータ7のガス流路7aを通過し、カソードガスとともに燃料電池30の外部(配管44)に排出され、生成水の残部は、固体高分子電解質膜を通じてカソード触媒電極層からアノード触媒電極層に到達し、図1に示す金属製アノード側セパレータ1のガス流路1aを通過し、アノードガスとともに、燃料電池30の外部(配管34)に排出される。
図2において、アノードガス供給系は、アノードガス供給装置31と、アノードガス供給装置31と燃料電池30に設けられたアノードガス入口とを結ぶ配管32と、燃料電池30に設けられたアノードガス出口と冷却器33とを結ぶ配管34と、冷却器33と気液分離器35とを結ぶ配管36と、気液分離器35と循環ポンプ(又はコンプレッサ)37とを結ぶ配管38と、ポンプ37と配管32とを逆止弁39を介して接続する配管40とを備えている。また、アノードガス供給装置31と燃料電池30に設けられたアノードガス入口とを結ぶ配管32には、燃料電池30に供給されるアノードガスの流量を調節するためのバルブ71が設けられている。
アノードガス供給装置31から送り出されるアノードガスは、配管32を通って燃料電池30のアノード触媒電極層に供給され、アノード触媒電極層3での反応に使用される。アノード触媒電極層3を通過したアノードガスは、生成水と共に燃料電池30のアノードガス出口から配管34に排出される。配管34に排出されたアノードガスは、冷却器33で必要に応じて冷却された後、配管36を介して気液分離器35に到達する。気液分離器35で、生成水等の液層成分が除去されたアノードガスは、循環ポンプ37により配管40に送出され、再び配管32を通じて燃料電池30のアノード触媒電極層3へ供給される。このようにして、燃料電池30から排出されるアノードガスが再び燃料電池30へ供給されるアノードガス循環系(アノードガスの循環経路)が構成されている。
また、図2において、カソードガス供給系は、カソードガス供給装置41と、カソードガス供給装置41と燃料電池30に設けられたカソードガス入口とを結ぶ配管42と、燃料電池30に設けられたカソードガス出口と冷却器43とを結ぶ配管44と、冷却器43と気液分離器45とを結ぶ配管46と、気液分離器45と循環ポンプ(又はコンプレッサ)47とを結ぶ配管48と、ポンプ47と配管42とを逆止弁49を介して接続する配管50とを備えている。また、カソードガス供給装置41と燃料電池30に設けられたカソードガス入口とを結ぶ配管42には、燃料電池30に供給されるカソードガスの流量を調節するためのバルブ72が設けられている。
カソードガス供給装置41から送り出されるカソードガスは、配管42を通って燃料電池30のカソード触媒電極層に供給され、カソード触媒電極層での反応に使用される。カソード触媒電極層を通過したカソードガスは、生成水と共に燃料電池30のカソードガス出口から配管44に排出される。配管44に排出されたカソードガスは、冷却器43で必要に応じて冷却された後、配管46を介して気液分離器45に到達する。気液分離器45で液層成分が除去されたカソードガスは、循環ポンプ47により配管50に送出され、再び配管42を通じて燃料電池30のカソード触媒電極層へ供給される。このようにして、燃料電池30から排出されたカソードガスが再び燃料電池30へ供給されるカソードガス循環系(カソードガスの循環経路)が構成されている。
金属イオン検出センサ51及び52は、気液分離器35及び45によって分離された生成水中の複数種の金属イオンの濃度を検出する金属イオン検出センサである。金属イオン検出センサ51及び52は、例えば原子吸光法を用いて生成水中の複数種の金属イオン、例えば鉄イオン、ニッケルイオン、クロムイオン、及びモリブデンイオン等の濃度を検出することができるセンサである。金属イオン検出センサ51及び52は、それぞれアノードガス循環系の気液分離器35及びカソードガス循環系の気液分離器45に配置されている。金属イオン検出センサ51及び52は、それぞれ気液分離器35及び45において反応ガスから分離された液層成分中の複数種の金属イオン濃度を検出する。金属イオン検出センサ51及び52は、検出した金属イオン濃度をECU53に出力する。
ECU53は、検出手段としての金属イオン検出センサ51及び52によって検出された複数種の金属イオンの濃度及びその比に基づいて、金属製セパレータから溶出した少なくとも一種の金属イオンの濃度を推定し、この推定値に基づいて、燃料電池単位セルに供給される反応ガスの流量を大きくする制御を行う。ECU53は、例えばCPU、メモリ、入出力インタフェース等を用いて構成されている。ECU53は、金属イオン検出センサ51及び52から受信した信号に基づいて、金属製セパレータから溶出した少なくとも一種の金属イオンの濃度を推定する。ECU53は、推定された金属製セパレータから溶出した少なくとも一種の金属イオンの濃度に基づいて、反応ガス、すなわちアノードガス及び/又はカソードガスの流量の制御を行う。
《金属イオンの濃度の推定》
ECU53は、金属イオン検出センサ51及び52によって検出された複数種の金属イオンの濃度及びその比をパラメータとして、金属製セパレータから溶出した少なくとも一種の金属イオンの濃度を推定する。その際、これらのパラメータと金属製セパレータから溶出した少なくとも一種の金属イオンの濃度との相関関係は、予め実験やシミュレーションの結果に基づく適合作業によって求めておき、それらの相関をマップ又は関数式の形態でECU53のメモリに記憶させておく。なお、濃度が推定される金属イオンは、鉄イオン、ニッケルイオン、クロムイオン、モリブデンイオン、又はこれらの組み合わせであってよい。
ここで、配管と金属製セパレータとの材料が異なる場合、例えば配管と金属製セパレータとが種類の異なるステンレスを用いている場合、それらの構成元素は異なる。具体的には、金属セパレータの材料であるステンレス鋼にはモリブデンが含まれている一方で、配管の材料であるステンレス鋼には含まれていない場合や、金属セパレータの材料であるステンレスではニッケルの構成割合が多い一方で、配管の材料であるステンレスではニッケルの構成割合が少ない場合等が考えられる。そのため、例えば配管及び金属製セパレータそれぞれにおける溶出する金属イオンの濃度の比率と、燃料電池単位セルから排出された生成水中の複数種の金属イオンの濃度及び比率等との関係を予め取得することができる。
《反応ガスの流量の制御》
ECU53は、推定された金属製セパレータから溶出した少なくとも一種の金属イオンの濃度に基づいて、反応ガス、すなわちアノードガス及び/又はカソードガスの流量の制御を行う。具体的には、推定された金属製セパレータから溶出した少なくとも一種の金属イオンの濃度があらかじめ設定した閾値よりも大きい場合には、反応ガスの流量を大きくする制御を行う。
反応ガスの流量の制御は、例えば燃料電池30に供給されるカソードガスの流量を調節するためのバルブ71及び72の開放の度合いを調節することによって行うことができる。
なお、反応ガスの流量の制御は、反応ガスの流量を検出したうえで、反応ガスの流量があらかじめ設定した閾値よりも小さい場合に反応ガスの流量を大きくし、閾値以上である場合には反応ガスの流量を変化させないという制御であってもよい。
《フローチャート》
上記金属イオンの濃度の推定、及び上記反応ガスの流量の制御は、ECU53により行われる。本発明の第1の実施形態に従う燃料電池システムにおける運転制御処理の流れを、図3のフローチャートに示す。
図3に示す処理は、例えば、燃料電池30が起動されることによって開始する。図3に示す処理が開始されると、ECU53は、金属イオン検出センサ51、52によって、排出された生成水中の複数種の金属イオン濃度を取得する(S01)。金属イオンとしては、鉄イオン、ニッケルイオン、クロムイオン、モリブデンイオン等の組み合わせが挙げられる。
次に、ECU53は、排出された生成水中の複数種の金属イオン濃度に基づいて、セパレータ由来の複数種の金属イオン濃度を推定する(S02)。
次に、ECU53は、セパレータ由来の少なくとも一種の金属イオン濃度の推定値が閾値以上か否かを判定する(S03)。このとき、この金属イオン濃度が閾値以上であれば(S03:Yes)、処理をステップS04に進め、そうでなければ(S03:No)、処理を停止する。
ステップS04では、ECU53は、配管32及び42に配置された流量センサによって、燃料電池30に流入する反応ガス、即ちアノードガス及びカソードガスの流量を測定する(S04)。
次に、ECU53は、アノードガス及びカソードガスの流量が閾値以下か否かを判定する(S05)。このとき、アノードガス及びカソードガスの流量が閾値以下であれば(S05:Yes)、処理をステップS06に進め、そうでなければ(S06:No)、処理を停止する。
ステップS06では、ECU53は、バルブ71及び72を調節して、アノードガス及びカソードガスの流量を増加させ、この処理を終了する。
以上の処理によって、電解質膜に到達する金属イオンの量が抑制され、電解質膜の劣化を抑制し、燃料電池の性能低下を抑制することができる。
《作用及び原理等》
原理によって限定されるものではないが、本開示の燃料電池システムにおいて、電解質膜への金属イオンの取り込みを抑制することができる原理は、以下のとおりである。
図1に示すような燃料電池単位セル10の内部では、白い矢印で示すように、金属製アノード側セパレータ1及び金属製カソード側セパレータ7から溶出した金属イオン、例えば金属製セパレータがステンレス鋼製である場合にはFe、Ni、Cr、及びMo等の金属イオンが、加湿ガスや生成水等により、アノード側ガス拡散層2、膜電極接合体8、及びカソード側ガス拡散層6内に溜まった液水中を拡散して、電解質膜4に取り込まれると考えられる。
電解質膜4に取り込まれた金属イオンは、電解質膜の化学耐久性を劣化させ、例えば電解質膜の膜痩せや穴あきをもたらすことが懸念される。
図4に、金属イオンとして鉄イオンを意図的に添加した膜電極接合体の耐久試験の結果を示す。図4中、縦軸は、電解質膜の膜やせに起因する、両極間でのガス漏れ量(クロスリーク量)を、基準値のラインを1.0としたときの相対割合で示し、横軸は、耐久時間を、目標値を1.0tとしたときの相対割合で示している。この図から明らかなように、膜電極接合体に添加したFe量(d)が多くなるほど、基準のクロスリーク量を超える時間が早くなり、膜痩せの進行が速いことがわかる。
また、図5に、膜電極接合体中のFe量と基準のクロスリーク量を超えるときの耐久時間の関係を示す。図5中、縦軸は、耐久時間を、目標値を1.0tとしたときの相対割合で示し、横軸は、Feの量を、耐久時間1.0tにおける膜電極接合体中のFe量をdとしたときの相対割合で示している。膜電極接合体中のFe量と耐久時間には相関があり、Fe量が多いほど耐久時間が短くなる傾向にある。目標の耐久時間を満足するためには、膜電極接合体中のFe量が基準値以下であることが必要である。以上のことから、電解質膜中のFe量を所定の量以下に抑制することが必要であることがわかる。
なお、金属製セパレータからの金属イオンの溶出は、燃料電池単位セルの発電状態等の影響を受けると考えられる。例えば、燃料電池単位セルが高温状態になり、電解質成分の劣化が進みやすい条件では、ガス拡散層及び膜電極接合体に溜まった液水のpHが低くなりやすく、一時的にセパレータからの金属イオンの溶出が加速され、液水中の金属イオン濃度が高くなる可能性がある。こうした場合は特に金属イオンの電解質膜への取り込みの抑制が求められる。
この点に関して、本発明者は、反応ガス、即ちアノードガス(例えば水素ガス)及び/又はカソードガス(例えば酸素ガス又は空気)の流量と電解質膜への金属イオンの取り込み率(溶出した金属イオン量に対して、膜電極接合体内に取りこまれた金属イオン量の割合)には相関関係があり、反応ガスの流量が大きくなる程金属イオンの取り込み率が小さくなる傾向があるとの知見を得た。
これは、金属イオンの電解質膜への取り込みは、電池反応による生成水や加湿ガスによる液水中を金属イオンが拡散することによると考えられるところ、反応ガスの流量が多くなると、金属イオンの移動経路である液水が減少し、電解質膜に到達する金属イオンが減少することによると考えられる。
図6に、反応ガスの流量と電解質膜へのFeイオンの取り込み率(溶出したFeイオン量に対する膜電極接合体に取り込まれたFeイオンの量の割合)の関係を示す。図6に示すように、反応ガスの流量と電解質膜へのFeイオンの取り込み率には相関があり、反応ガスの流量が大きくなる程Feイオンの取り込み率は小さくなる。
本開示の燃料電池システムは、上記知見に基づいて、反応ガスの流量を制御することによって、電解質膜への金属イオンの取り込みを抑制するものである。
すなわち、本開示の燃料電池システムは、燃料電池単位セルから排出された生成水中における、金属セパレータから溶出した金属イオンの濃度の推定値に基づいて、反応ガスの流量を制御することによって、電解質膜への金属イオンの取り込みを抑制する。
ここで、燃料電池単位セルから排出された生成水中に存在する金属イオンは、燃料電池単位セルの金属セパレータから溶出した金属イオンのみでなく、燃料電池単位セルに接続されている金属製の配管等から溶出した金属イオンも含んでいる。したがって、燃料電池単位セルから排出された生成水中に存在する金属イオンのイオン濃度を測定するのみでは、燃料電池単位セルの金属セパレータから溶出した金属イオンの濃度を知ることは困難である。
この点に関して、本開示の燃料電池システムは、燃料電池単位セルから排出された生成水中の複数種の金属イオンの濃度を検出し、それらの濃度及びその比に基づいて、金属製セパレータから溶出した少なくとも一種の金属イオンの濃度を推定している。
配管と金属製セパレータとの両方にステンレスが用いられている場合でも、ステンレスの種類が違えば構成元素が異なる。具体的には、金属セパレータの材料であるステンレス鋼にはモリブデンが含まれている一方で、配管の材料であるステンレス鋼には含まれていない場合や、金属セパレータの材料であるステンレスではニッケルの構成割合が多い一方で、配管の材料であるステンレスではニッケルの構成割合が少ない場合等が考えられる。
以上のような、金属材料の構成元素の違いに基づき、燃料電池単位セルから排出された生成水中から検出される複数種の金属イオンの濃度から、セパレータ由来の金属イオンの濃度を検出することができる。
これにより、本開示の燃料電池システムでは、電解質膜への金属イオンの取り込みを効率よく抑制することができる。
100 燃料電池システム
1及び7 金属製セパレータ
10 燃料電池単位セル
51及び52 金属イオン検出センサ
53 ECU
71及び72 バルブ

Claims (1)

  1. 金属製セパレータを有する燃料電池単位セル、
    前記燃料電池単位セルから排出された生成水中の複数種の金属イオンの濃度を検出する検出手段、
    前記検出手段によって検出された複数種の金属イオンの濃度及びその比に基づいて、前記金属製セパレータから溶出した少なくとも一種の金属イオンの濃度を推定する推定手段、及び
    前記推定手段によって推定された前記金属製セパレータから溶出した前記少なくとも一種の金属イオンのイオン濃度が閾値よりも高い場合に、前記燃料電池単位セルに供給される反応ガスの流量を大きくする制御を行う制御手段、
    を備える燃料電池システム。
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