JP2021123699A - 電気粘性流体およびシリンダ装置 - Google Patents

電気粘性流体およびシリンダ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】広い温度範囲において降伏応力の変化率が低い電気粘性流体およびシリンダ装置を提供する。【解決手段】流体(1)と、ポリウレタン粒子(2)と、を含み、ポリウレタン粒子(2)は、アルカリ金属イオンを含む第1のポリウレタン粒子(20)と、アルカリ金属イオン以外の金属イオンを含む第2のポリウレタン粒子(21)と、を含み、第1のポリウレタン粒子(20)のガラス転移点は、第2のポリウレタン粒子(21)のガラス転移点よりも低いことを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、電気粘性流体およびシリンダ装置に関する。
一般的に、車両には、走行中の振動を短時間で減衰させて、乗り心地や走行安定性を向上するためにシリンダ装置が搭載されている。このようなシリンダ装置の1つとして、路面状態等に応じて減衰力を制御するために、電気粘性流体(電気レオロジー流体組成物(Electro−Rheological Fluid、ERF)を用いたショックアブソーバが知られている。上記シリンダ装置では、一般的に粒子を含有するERF(粒子分散系ERF)が用いられるが、その粒子の材質や構造がERFの性能、ひいてはシリンダ装置の性能に影響することが知られている。
耐腐食特性を有する電気粘性組成物が特許文献1に記載されている。この特許文献1には、「(I)ポリマーまたはポリマー混合物;(II)(I)に溶解または分散された1種または複数の電解質;(III)場合によっては、(I)および(II)からの溶液と混和可能な1種または複数の添加剤;(IV)場合によっては、粘度を上昇させ(I)と反応する1種または複数の添加剤;(V)1種または複数の分散剤;ならびに(VI)1種または複数の非水性分散媒を実質的に含有する電気粘性組成物」と記載されている。
特表2015−511643号公報
S.Schneider、S.Eibl、Applied Rheology、18、(2008)、23956−1〜23956−8頁 志賀 亨、広瀬 美治、岡田 茜、倉内 紀雄、高分子論文集、42、(1992)、393〜399頁
ERFに含まれるイオンを内包する粒子は、電場下で分極し、分極した粒子が静電相互作用により互いに引き合い、粒子が電極間に鎖状の構造体を形成する。この鎖状の構造体は流体の流れを妨げるため、見かけ上流体の粘度が増大する。この粘度変化をER効果と呼び、ER効果の発現により電気粘性流体の降伏応力が増大する。
しかしながら、電気粘性流体の降伏応力には温度依存性がある。温度によって降伏応力が変化すると、走行中の振動を適切に減衰させることができなくなり、ひいては乗り心地が悪化する原因となる。
したがって、本発明の目的は、上記事情に鑑み、広い温度範囲において降伏応力の変化率が低い電気粘性流体およびシリンダ装置を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の一態様は、流体と、ポリウレタン粒子と、を含み、ポリウレタン粒子は、アルカリ金属イオンを含む第1のポリウレタン粒子と、アルカリ金属イオン以外の金属イオンを含む第2のポリウレタン粒子と、を含み、第1のポリウレタン粒子のガラス転移点は、第2のポリウレタン粒子のガラス転移点よりも低いことを特徴とする電気粘性流体である。
本発明によれば、温度変化による降伏応力の変化率が低い電気粘性流体およびシリンダ装置を提供することができる。
本発明の電気粘性流体の模式図 Liイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERF、Cuイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFおよび両者の混合品の降伏応力の温度依存性を示すグラフ Liイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERF、LiイオンとZnイオンを1つの粒子に内包するポリウレタン粒子を含むERFおよび両者の混合品の降伏応力の温度依存性を示すグラフ Liイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERF、Znイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFおよび両者の混合品の降伏応力の温度依存性を示すグラフ Liイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERF、Crイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFおよび両者の混合品の降伏応力の温度依存性を示すグラフ Liイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERF、Coイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFおよび両者の混合品の降伏応力の温度依存性を示すグラフ Liイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERF、Caイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFおよび両者の混合品の降伏応力の温度依存性を示すグラフ
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
[電気粘性流体(ERF)]
図1は本発明の電気粘性流体の模式図である。図1に示すように、本発明の電気粘性流体(以下、ERFと称する。)10は、流体1と、流体1に分散されたポリウレタン粒子2とを含む。ポリウレタン粒子2は、アルカリ金属イオンを含むポリウレタン粒子20と、アルカリ金属イオン以外の金属イオンを含む粒子21とを含む。以下、アルカリ金属イオンを含むポリウレタン粒子20を「第1のポリウレタン粒子」と称し、アルカリ金属イオン以外の金属イオンを含むポリウレタン粒子21を「第2のポリウレタン粒子」とも称する。流体1に複数種類のアルカリ金属イオン以外の金属イオンを含むポリウレタン粒子が含まれる場合は、それらを全て「第2のポリウレタン粒子21」と称する。
本発明者は、上述した本願発明の目的を達成するためのERFの構成の検討に当たり、ポリウレタン粒子2に内包される金属イオンの種類によって、ERF10の降伏応力の温度依存性が異なることに注目した。すなわち、より低温で高い降伏応力を発揮する金属イオンと、より高温で高い降伏応力を発揮する金属イオンとを併用することで、ERF10が幅広い温度範囲で降伏応力の温度依存性を低減できることを見出した。本発明は、該知見に基づくものである。
ポリウレタン粒子2に内包される金属イオンの種類とERF10の降伏応力の温度依存性について、より詳細に説明する。上述した非特許文献2によれば、電気粘性流体の降伏応力の大きさは、分極した粒子同士の静電相互作用Fに比例し、Fは以下の式で表される。
Figure 2021123699
式1中、εは真空の誘電率、εは媒体の誘電率、εは粒子の誘電率、rは粒子半径、Eは電場の大きさである。この式から、粒子の誘電率ε、すなわち粒子の分極が大きいほど静電相互作用Fが大きくなることがわかる。
また、粒子の分極の大きさには、粒子内のイオン伝導度が影響する。したがって、ERFの降伏応力の温度依存性は、ERFに含まれる粒子のイオン伝導度によって異なると考えられる。なぜならば、電場下での金属イオンの粒子内伝導度は、粒子を構成する高分子鎖と金属イオンとの結合力に影響を受けるからである。例えば、高分子鎖との結合力が大きい金属イオンほど、粒子内を移動しにくくなる。そのため、粒子内を移動し始める温度域がより高温になり、降伏応力は高温で増大する。
したがって、高分子鎖との結合力が異なる金属イオンを選定し、それぞれを異なるポリマー粒子に内包して流体に混合することで、ER効果の温度依存性を低減できると考える。
この結合力は、金属イオンと高分子鎖とが錯体を形成したときの安定化エネルギーとして、量子化学計算を用いて算出することで、相対比較が可能である。安定化エネルギーEstabilizationは、以下の式で計算される。
Figure 2021123699
式2中、Estabilizationは安定化エネルギー、Ecomplexは錯体のエネルギー、Eionはイオンのエネルギー、Eligandは高分子鎖のエネルギーである。このとき、安定化エネルギーの絶対値が小さい金属イオンほど、上述した結合力が小さく、粒子内を伝導しやすいため、低温で降伏応力を増大させる。この量子化学計算は、例えば以下の算出方法で実施することができる。
使用ソフトウエア:Gaussian09
計算手法:密度汎関数法(DFT)
汎関数:B3LYP
また、基底系は、金属イオンにSDDを、ポリウレタン粒子に6−31+G(d)を採用した。さらに、ポリウレタン粒子と錯体には次の構造を使用した。ポリウレタン粒子を模擬した構造に、ポリマー前駆体の1つであるポリエーテルポリオールと同じ単位構造で最小の分子量を持つ、ジエチレングリコールジエチルエーテルを2本用いた。ジエチレングリコールジエチルエーテルを構成する酸素原子を金属イオンの周りに配位させて錯体構造を作製した。配位数は4配位もしくは6配位とし、各金属元素が錯体を形成したときの安定化エネルギーとして、安定化エネルギーの絶対値が大きい配位数を採用した。
表1に、上記方法で算出したLiイオン、Naイオン、Crイオン、Coイオン、CuイオンおよびZnイオンのEstabilization、Ecomplex、EionおよびEligandを記載する。
Figure 2021123699
表1に示す通り、安定化エネルギーEstabilizationの絶対値はLiイオンが最も小さく、Crイオン、Cuイオン、Coイオン、Znイオン、およびアルカリ金属イオンであるNaイオンの順で大きくなる。安定化エネルギーEstabilizationの比較から、アルカリ金属イオンは低温で電気粘性流体の降伏応力を増大させることが判明した。したがって、低温で電気粘性流体の降伏応力を増大させるには、アルカリ金属イオン、特に好ましくはLiイオンを用いることが好ましい。
一方、高温で降伏応力を増大させる金属イオンとして、安定化エネルギーの絶対値がアルカリ金属イオンより大きい金属イオンとして、アルカリ土類金属イオン、遷移金属イオン、AlイオンおよびSnイオンがある。これらの中でも、Crイオン、Coイオン、Cuイオン、Znイオンをアルカリ金属と共に併用すると、幅広い温度範囲で降伏応力の低下を抑制することができる。
また、第1のポリウレタン粒子20のガラス転移点は、第2のポリウレタン粒子21のガラス転移点よりも低くすることが好ましい。ガラス転移点は高分子の物性の一つであり、ガラス転移点が低いほど高分子鎖の運動性が高くなる。したがって、粒子のガラス転移点が低いほど、粒子内で金属イオンが動きやすく、より低温で降伏応力が増大する。
第1のポリウレタン粒子20に含まれるアルカリ金属イオンおよび第2のポリウレタン粒子21に含まれるアルカリ金属イオン以外の金属イオンの含有量は、それぞれ、粒子(ポリマー粒子)1μmあたり10個以上10個以下であることが好ましい。金属イオンの含有量が10個以上であれば、ER効果を十分に発揮することができる。一方、金属イオンの含有量が10個を超えると、電流密度が大きくなり過ぎて、電源装置によっては、印加可能な電圧が制限されることがある。その結果、十分なER効果を得ることができなくなる。
第1のポリウレタン粒子20の含有量は、第2のポリウレタン粒子21の含有量よりも少ないことが好ましい。このような構成とすることで、降伏応力の温度依存性をバランス良く低減することができる。
また、ポリウレタン粒子2のソフトセグメント比率は、66%以上87%以下であることが好ましい。一般的に、ポリウレタンは、柔軟性に寄与するソフトセグメントと、耐熱性に寄与するハードセグメントという2相の組織を有する。ソフトセグメントは、熱により大きな分子運動をすることで粒子内でイオンが伝導するのに寄与し、ハードセグメントは、粒子の耐熱性や強靭性に寄与している。ソフトセグメントとハードセグメントの割合がある条件を満たすと、粒子内に効果的なイオン伝導パスが形成しイオン伝導性が向上すると予想される。これは、リチウム電池に用いられる電解質や燃料電池に用いられるプロトン電解質膜などの固体イオン伝導体では、相分離構造によるイオン伝導性が向上する例が数多く報告されていることから、本系においても同様な効果が期待できる。
ポリウレタン粒子におけるソフトセグメントとハードセグメントの割合は、ポリウレタン粒子合成時のイソシアネートの含有量によって調整することができる。ポリウレタン粒子内におけるソフトセグメント比率は、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy、AFM)のフェーズモードによる測定で、粒子断面の硬度の違いから算出することができるが、本発明では、下記のようにソフトセグメント比率を定義した。
(ソフトセグメント比率:%)=(硬化剤成分重量:g)/(ポリウレタン構成成分の全量:g)
本発明のERF10のソフトセグメント比率は66〜87%が好ましい。66%より小さいと十分なER効果を得ることができない。また、87%より大きいと、ERF10の耐熱性が十分では無くなる。ソフトセグメントの比率は、75〜87%がさらに好ましい。
また、本発明のERF10は、図1には記載していないが、第1のポリウレタン粒子20および第2のポリウレタン粒子21の他に、界面活性剤を含んでいても良い。界面活性剤は、ポリウレタン粒子2の分散性を向上することができる。好ましくは非イオン型であり、後述する分散媒に可溶性のものが好ましい。また、界面活性剤は、ポリマー粒子と結合するために、後述するポリマー前駆体または硬化剤と反応する反応基を有することが好ましい。反応基の例としては、ヒドロキシ基およびアミノ基である。界面活性剤は、1種類でもよいし、複数種類を用いても良い。
ERF10における界面活性剤の含有量は、0.01質量%以上1質量%以下であることが好ましい。0.01質量%未満であると界面活性剤を添加する効果が無くなる。
Liイオンを内包するポリウレタン粒子(上記第1のポリウレタン粒子)と、Znイオンを内包するポリウレタン粒子(上記第2のポリウレタン粒子)とを含むERFが非特許文献1に記載されている。この非特許文献1では、上記第1のポリウレタン粒子のガラス転移点が−19.7℃、上記第2のポリウレタン粒子のガラス転移点が−20.8℃と記載されている。したがって、この非特許文献1では、上記第1のポリウレタン粒子のガラス転移点は、上記第2のポリウレタン粒子のガラス転移点よりも高く、本発明とは異なる。
この非特許文献のFigure 7に、Liイオンを内包する粒子を含むERF(Suspension A)、Znイオンを内包する粒子を含むERF(Suspension B)、両者を1:1で混合したERF(Suspension A+B)の、粘度の温度依存性が記載されている。ER効果は粘度変化であることから、粘度の温度依存性の大小関係と、降伏応力の温度依存性の大小関係とは、一致する。つまり、粘度の温度依存性がより大きい場合、降伏応力の温度依存性もより大きい。
Liイオンを内包する粒子を含むERFの粘度と、混合品の粘度について、20℃から80℃での温度依存性を比較すると、Liイオンを内包する粒子を含むERFの、粘度の温度依存性がより小さい。したがって、上記第1のポリウレタン粒子のガラス転移点が、上記第2のポリウレタン粒子のガラス転移点より高い場合、降伏応力の温度依存性は低減しない。
[ERFの調整]
次に、上述した本発明のERF10の調整方法について説明する。ポリウレタン粒子2は、ポリマー前駆体と硬化剤から合成される。ポリマー前駆体は、1つ以上の反応性基を有し、かつ反応性基の1つ以上が重合して固体状ポリマーを形成する1種または2種以上の化合物である。ポリマー前駆体の例は、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、ビニル基、アリル基及び不飽和アルキル基を含む前駆体である。1種または2種以上のイソシアネート化合物の添加によって硬化される、ヒドロキシ基を含有するポリオールが好ましい。
硬化剤は、ポリマー前駆体を硬化可能な化合物であり、ポリマー前駆体との組み合わせにより決定される。このような組み合わせの例には、ポリマー前駆体、もしくは硬化剤にヒドロキシ基、アミノ基、チオール基、イソシアネート基及びカルボキシル基を含む化合物等があり、好ましくは、ポリマー前駆体にヒドロキシ基、硬化剤にイソシアネート基を含み、硬化によりウレタン結合を形成する化合物である。
ウレタン結合を形成する硬化剤に用いるイソシアネート基は、芳香族化合物、環状および鎖状の炭化水素を含有するものであることが好ましい。また、これらイソシアネート基を含有する化合物は、場合によっては官能化されている。そのような硬化剤として、トルエンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサンメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートおよびジメチルビフェニル−ジイル−ジイソシアネート等が挙げられる。この中でも、このうち2種類以上の硬化剤を用いたものが好ましく、トルエンジイソシアネートとポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートとを混合したものがより好ましい。硬化剤の含有量は、1質量%以上20%以下が好ましく、7質量%以上13質量%以下が特に好ましい。
ポリウレタン粒子2の電気抵抗は、電気粘性流体として機能するために、一般的な絶縁材として用いられるポリウレタンの電気抵抗よりも低いことが好ましい。具体的には、一般的に絶縁材として用いられるポリウレタンの20℃における電気抵抗は、約1013Ω・cm以上1015Ω・cm以下であるため、本発明のERF10に含まれるポリウレタン粒子2の電気抵抗は、1010Ω・cm以上1013Ω・cm以下であることが好ましい。
ポリウレタン粒子2に含まれる金属イオンの原材料となる電解質は、ポリウレタン粒子2に内包される金属イオンと、この金属イオンの対イオンとの塩であり、上述したポリマー前駆体に可溶性のものである。そのような塩の例は、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硝酸イオンおよび硫酸イオン等を含む無機塩及び酢酸塩などを含む有機塩である。特に好ましくは、塩化物イオンを含む塩である。電解質は、混合物として使用してよい。
ポリウレタン粒子2の分散媒は、任意の鉱物油またはシリコーン油を用いることができる。好ましくは、シロキサン結合からなる直鎖状ポリマーであるシリコーン油が用いられる。これらは、場合によっては側鎖、末端に有機基を含有する。さらに、分散媒の粘度は25℃で3〜300mPa・sの間であることが好ましいが、ERF10の粘度の変化幅を大きくするため、特に低粘度であることが好ましい。シリンダ装置での使用温度範囲は、−40℃から85℃であるため、分散媒の凝固点は−30℃以下、沸点は150℃以上に調整される。分散媒の含有量は、30質量%以上70質量%以下が好ましい。
以下、本発明について、実施例に基づきより詳細に説明する。
実施例1のERF10の作製に用いた原料を表2に示す。実施例1のERFは、Liイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERF、およびCuイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFを作製した後、両者を体積比1:1で混合した混合品である。
Figure 2021123699
Liイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFを、以下の手順で作製した。使用した原材料を表2に示す。まず、Liイオンを添加したポリオール溶液を調製した。ポリオキシエチレントリメチロールプロパンエーテル11.565gと塩化リチウム0.0065gを、250mLサンプル瓶中にて、65℃で一晩撹拌した。その後、触媒として、1、4−ジアザビシクロ[2、2、2]オクタン0.0033gを添加し、さらに65℃で1時間撹拌した。撹拌は全て撹拌羽を使用し、撹拌速度は200rpmとした。
続いて、次の手順でシリコーンオイル溶液を作製した。ポリジメチルシロキサン15.000gと乳化剤(OF7747)0.2243gを、250mLサンプル瓶中にて、マグネチックスターラーを用いて室温で一晩撹拌した。
続いて、Liイオンを添加したポリオール溶液11.620gとシリコーンオイル溶液15.224gを分散機にて撹拌し、乳化した。分散機の撹拌羽の周速は25m/s、撹拌時間は30秒とした。撹拌後、冷却装置を使い、液温を20℃まで冷却した。なお、実施例で使用した分散機での撹拌、冷却条件は全て同様の条件である。
2、4−トルエンジイソシアネート0.312gを溶液中に滴下し、分散機にて溶液を撹拌、冷却することで、硬化した。さらに、2、4−トルエンジイソシアネート1.404gを溶液中に滴下し、分散機にて溶液を撹拌、冷却することで、硬化した。この操作を2回繰り返した。その後、溶液を50mLサンプル瓶に移し、65℃で3時間加熱撹拌し、硬化した。
Cuイオンを添加したポリオール溶液は、塩化リチウムの代わりに塩化銅二水和物0.0131gを使用したこと以外はLiイオンを添加したポリオール溶液と同様に調製した。調製したポリオール溶液を用いて、Liイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFと同様な方法で、Cuイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFを作製した。
調製したLiイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFおよびCuイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFを体積比1:1で混合し、混合品を得た。
調製したLiイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFのガラス転移点は−26.3℃、Cuイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFのガラス転移点は−24.5℃だった。
図2はLiイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERF、Cuイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFおよび両者の混合品の降伏応力の温度依存性を示すグラフである。実施例1のERFである混合品の降伏応力は、0℃から60℃の温度範囲で、ほぼ、Liイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFの降伏応力と、Cuイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFの降伏応力との間での値を有している。すなわち、両方のイオンを混合したERFは、それぞれ単独のイオンを含むERFよりも、降伏応力の温度依存性が低減することがわかる。
さらに、降伏応力の温度依存性を表す指標として、以下に示す降伏応力の温度変化率Δτを用いた。
(降伏応力の温度変化率Δτ:%)={1−(降伏応力の最小値:kPa)/(降伏応力の最大値:kPa)}×100
図2からΔτを計算すると、Liイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFのΔτは75%、Cuイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFのΔτは86%、混合品のΔτは31%である。したがって、混合品は、0℃から60℃の温度範囲で混合前の電気粘性流体と比較すると、降伏応力の温度依存性が低減した。
本実施例では、Liイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERF、Cuイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERF、およびZnイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFを作製した後、これらを体積比1:1:1で混合したERFを作製した。
Znイオンを内包するポリウレタン粒子を含むポリオール溶液は、塩化リチウムの代わりに塩化亜鉛0.0105gを使用したこと以外はLiイオンを添加したポリオール溶液と同様に調製した。作製したポリオール溶液を用いて、Znイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFを、実施例1と同様な方法で作製した。
実施例1で作製したLiイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERF、Cuイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERF、および本実施例で調製したZnイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFを体積比1:1:1で混合し、混合品を得た。
表1に記載した通り、Znイオンの安定化エネルギーEstabilizationは、Liイオンの安定化エネルギーEstabilizationとCuイオンの安定化エネルギーEstabilizationとの間の値を有する。このため、Znイオンを内包するポリウレタン粒子の降伏応力は、Liイオンを内包するポリウレタン粒子とCuイオンを内包するポリウレタン粒子の間の値であると考えられる。したがって、本実施例で作製したERFは、実施例1よりもさらにポリウレタン粒子の降伏応力の温度変化がより小さくなる。
実施例1において、2、4−トルエンジイソシアネートの代わりに、2、4−トルエンジイソシアネートとポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートとを物質量比8.7:1.3で混合したものを用いたこと以外は実施例1と同様にLiイオンを内包するポリウレタン粒子を作製した。Liイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFと、Znイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFとを、体積比1:1で混合し、混合品を得た。
本実施例のERFは、異なる硬化剤を2種類以上混合して使用することで、ポリウレタン粒子のガラス転移点を任意に調整可能である。したがって、実施例1より幅広い温度領域において、降伏応力の温度変化を小さくすることができる。
Liイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFおよびLiイオンとZnイオンを1つの粒子に内包するポリウレタン粒子を含むERFを作製した後、両者を体積比1:1で混合したERFを作製した。
Liイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFは、ただし、2、4−トルエンジイソシアネートの添加量の総量を2.50gとしたこと以外は実施例1と同様な手法で作製した。
LiイオンとZnイオンを1つの粒子に内包するポリウレタン粒子を含むERFは、まずLiイオンとZnイオンを含むポリオール溶液を作製した。ポリオキシエチレントリメチロールプロパンエーテル11.565gと塩化リチウム0.0009gを、250mLサンプル瓶中にて、65℃で一晩撹拌した。その後、塩化亜鉛を0.021g添加し、65℃で1時間撹拌した。さらに、1、4−ジアザビシクロ[2、2、2]オクタン0.0033gを添加し、65℃で1時間撹拌した。撹拌は全て撹拌羽を使用し、撹拌速度は200rpmとした。
調製したポリオール溶液を用いて、実施例1と同様な手法で、LiイオンとZnイオンを1つの粒子に内包するポリウレタン粒子を含むERFを作製した。実施例1と異なり、分散機を用いた溶液撹拌中に、冷却装置を用いて液温を5℃で冷却した。
調製したLiイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFのガラス転移点は−35.3℃、LiイオンとZnイオンを1つの粒子に内包するポリウレタン粒子を含む電気粘性流体のガラス転移点は−29.3℃だった。さらに、Liイオンを内包するポリウレタン粒子を含む電気粘性流体、およびLiイオンとZnイオンを1つの粒子に内包するポリウレタン粒子を含む電気粘性流体を体積比1:1で混合し、混合品を得た。
図3はLiイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERF、LiイオンとZnイオンを1つの粒子に内包するポリウレタン粒子を含むERFおよび両者の混合品の降伏応力の温度依存性を示すグラフである。図3からΔτを計算すると、Liイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFのΔτは87%、LiイオンとZnイオンを1つの粒子に内包するポリウレタン粒子を含むERFのΔτは75%、混合品のΔτは49%である。したがって、混合品は、0℃から60℃の温度範囲で混合前の電気粘性流体と比較すると、降伏応力の温度依存性が低減した。
本実施例では、Liイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFおよびZnイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFを作製した後、両者を体積比1:1で混合したERFを作製した。
Liイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFは、実施例4と同じ方法で作製した。
Znイオンを内包するポリウレタン粒子は、まずZnイオンを添加したポリオール溶液を、塩化リチウムの代わりに塩化亜鉛0.0105gを使用したこと以外はLiイオンを添加したポリオール溶液と同様な方法を使用して調製した。作製したポリオール溶液を用いて、Znイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFを、実施例1と同様な方法で作製した。ただし、2、4−トルエンジイソシアネートの添加量の総量を3.43gとした。
調製したLiイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFのガラス転移点は−35.3℃、Znイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFのガラス転移点は−21.5℃だった。
さらに、Liイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFおよびZnイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFを体積比1:1で混合し、混合品を得た。
図4はLiイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERF、Znイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFおよび両者の混合品の降伏応力の温度依存性を示すグラフである。図4からΔτを計算すると、Liイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFのΔτは83%、Znイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFのΔτは95%、混合品のΔτは69%である。したがって、混合品は、0℃から60℃の温度範囲で混合前の電気粘性流体と比較すると、降伏応力の温度依存性が低減した。
また、図3の、LiイオンとZnイオンを1つの粒子に内包するポリウレタン粒子を含むERFの降伏応力の温度依存性(△印)と、図4の、Liイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFと、Znイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFの混合品の降伏応力の温度依存性(〇印)とを比較すると、混合品のΔτがより小さい。したがって、1種類の金属イオンを内包する粒子を混合する手法は、1つの粒子に複数の金属イオンを内包する手法より、降伏応力の温度依存性低減に有効である。
本実施例では、Liイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERF、およびCrイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFを作製した後、両者を体積比1(Liイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERF):5(Crイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERF)で混合したERFを作製した。
Liイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFは、実施例4と同じ方法で作製した。
Crイオンを内包するポリウレタン粒子は、まずCrイオンを添加したポリオール溶液を、塩化リチウムの代わりに塩化クロム六水和物0.0205gを使用したこと以外はLiイオンを添加したポリオール溶液と同様な方法を使用して調製した。実施例1において、2、4−トルエンジイソシアネートの代わりに、2、4−トルエンジイソシアネートとポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートとを物質量比8.7:1.3で混合したものを用いたこと以外は、実施例1と同様にCrイオンを内包するポリウレタン粒子を作製した。
調製したLiイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFのガラス転移点は−35.3℃、Crイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFのガラス転移点は−31.8℃だった。
さらに、Liイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFおよびCrイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFを体積比1(Liイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERF):5(Crイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERF)で混合し、混合品を得た。
図5はLiイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERF、Crイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFおよび両者の混合品の降伏応力の温度依存性を示すグラフである。図5からΔτを計算すると、Liイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFのΔτは87%、Crイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFのΔτは39%、混合品のΔτは32%である。したがって、混合品は、0℃から60℃の温度範囲で混合前の電気粘性流体と比較すると、降伏応力の温度依存性が低減した。
本実施例では、Liイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERF、およびCoイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFを作製した後、両者を体積比1(Liイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERF):2(Coイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERF)で混合したERFを作製した。
Liイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFは、実施例4と同じ方法で作製した。
Coイオンを内包するポリウレタン粒子は、まずCoイオンを添加したポリオール溶液を、塩化リチウムの代わりに塩化コバルト六水和物0.0183gを使用したこと以外はLiイオンを添加したポリオール溶液と同様な方法を使用して調製した。実施例1において、2、4−トルエンジイソシアネートの代わりに、2、4−トルエンジイソシアネートとポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートとを物質量比8.7:1.3で混合したものを用いたこと以外は、実施例1と同様にCoイオンを内包するポリウレタン粒子を作製した。
調製したLiイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFのガラス転移点は−35.3℃、Coイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFのガラス転移点は−31.6℃だった。
さらに、Liイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFおよびCoイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFを体積比1(Liイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERF):2(Coイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERF)で混合し、混合品を得た。
図6はLiイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERF、Coイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFおよび両者の混合品の降伏応力の温度依存性を示すグラフである。図6からΔτを計算すると、Liイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFのΔτは83%、Coイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFのΔτは41%、混合品のΔτは17%である。したがって、混合品は、0℃から60℃の温度範囲で混合前の電気粘性流体と比較すると、降伏応力の温度依存性が低減した。
[比較例1]
本実施例では、Liイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERF、およびCaイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFを作製した後、両者を体積比1:1で混合したERFを作製した。
Liイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFを、実施例1と同様な手法で作製した。ただし、2、4−トルエンジイソシアネートの代わりに、2、4−トルエンジイソシアネートとポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートとを物質量比8.7:1.3で混合したものを3.35g用いた。
Caイオンを内包するポリウレタン粒子は、まずCaイオンを添加したポリオール溶液を、塩化リチウムの代わりに塩化カルシウム0.0086gを使用したこと以外はLiイオンを添加したポリオール溶液と同様な方法を使用して調製した。作製したポリオール溶液を用いて、Caイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFを、実施例1と同様な方法で作製した。
調製したLiイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFのガラス転移点は−26.8℃、Caイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFのガラス転移点は−30.2℃であり、Liイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFの方が、より高いガラス転移点を持つことが分かった。
さらに、Liイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFおよびCaイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFを体積比1:1で混合し、混合品を得た。
図7はLiイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERF、Caイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFおよび両者の混合品の降伏応力の温度依存性を示すグラフである。図7に示す通り、Liイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFの降伏応力と、Caイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFの降伏応力とは、いずれも20℃で最大値を示し、それより高温、もしくは低温では降伏応力が小さくなる。さらに、図7からΔτを計算すると、Liイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFのΔτは87%、Caイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFのΔτは92%、混合品のΔτは94%である。したがって、混合品は、0℃から60℃の温度範囲で混合前の電気粘性流体と比較すると、降伏応力の温度依存性が増大した。これは、Liイオンを内包するポリウレタン粒子を含むERFの方が、より高いガラス転移点を有し、粒子内でLiイオンが動きにくいためである。
以上、説明したように、本発明によれば、温度変化による降伏応力の変化率が低い電気粘性流体およびシリンダ装置を提供できることが示された。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記した実施例は本発明を分かりやすく説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
1…流体、2…ポリウレタン粒子、20…第1のポリウレタン粒子、21…第2のポリウレタン粒子、10…電気粘性流体(ERF)。

Claims (10)

  1. 流体と、ポリウレタン粒子と、を含み、
    前記ポリウレタン粒子は、アルカリ金属イオンを含む第1のポリウレタン粒子と、アルカリ金属イオン以外の金属イオンを含む第2のポリウレタン粒子と、を含み、
    前記第1のポリウレタン粒子のガラス転移点は、前記第2のポリウレタン粒子のガラス転移点よりも低いことを特徴とする電気粘性流体。
  2. 安定化エネルギーを、金属イオンと前記ポリウレタン粒子を構成する高分子鎖とが形成する錯体のエネルギーから、前記金属イオンのエネルギーと前記高分子鎖のエネルギーとを引いた値と定義したとき、前記アルカリ金属イオンが錯体を形成したときの安定化エネルギーの絶対値が、前記アルカリ金属イオン以外の金属イオンが錯体を形成したときの安定化エネルギーの絶対値より小さいことを特徴とする請求項1に記載の電気粘性流体。
  3. 前記アルカリ金属イオンは、Liイオンであることを特徴とする請求項2に記載の電気粘性流体。
  4. 前記アルカリ金属イオン以外の金属イオンは、Crイオン、Coイオン、Cuイオン、Znイオンのいずれかであることを特徴とする請求項3に記載の電気粘性流体。
  5. 前記アルカリ金属イオンおよび前記アルカリ金属イオン以外の金属イオンは、前記ポリウレタン粒子1μmあたり10個以上10個以下含まれることを特徴とする請求項4に記載の電気粘性流体。
  6. 前記第1のポリウレタン粒子の含有量が、前記第2のポリウレタン粒子の含有量よりも少ないことを特徴とする請求項5に記載の電気粘性流体。
  7. 前記ポリウレタン粒子は、2種類以上の硬化剤を含むことを特徴とする請求項6に記載の電気粘性流体。
  8. 前記ポリウレタン粒子のソフトセグメントの比率が66%以上87%以下であることを特徴とする、請求項7に記載の電気粘性流体。
  9. 電気抵抗率が1.0×1010Ω・cm以上1.0×1013Ω・cm以下であることを特徴とする請求項8に記載の電気粘性流体。
  10. ピストンロッドと、前記ピストンロッドが挿入される内筒と、前記ピストンロッドと前記内筒との間に設けられた電気粘性流体と、前記電気粘性流体に電圧を印加する電圧印加機構と、を備え、
    前記電気粘性流体が、請求項1から9のいずれか1項に記載の電気粘性流体であることを特徴とするシリンダ装置。
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