JP2021122747A - 結合組織体形成用構造体および結合組織体の形成方法 - Google Patents

結合組織体形成用構造体および結合組織体の形成方法 Download PDF

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圭太 柳瀬
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祐賀子 中井
將行 福嶋
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將行 福嶋
隆徳 西邑
Takanori Nishimura
隆徳 西邑
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Abstract

【課題】ヒト以外の生体内に埋植して使用され、さらには、生体内への挿入のしやすさ、生体内の埋植後の安定性、および結合組織体の生産性のうち少なくとも1つに優れた結合組織体形成用構造体および結合組織体の形成方法を提供する。【解決手段】結合組織体形成用構造体は、対向離間する複数の矩形状の板部材を備える板部材群と、前記複数の板部材の間に設けられ、前記複数の板部材を対向離間させる少なくとも1つの離間部材と、を有し、前記各板部材の少なくとも1つの角部には、前記各板部材の隣接する2つの側面の間で、前記隣接する2つの側面に連結する傾斜面が設けられ、前記複数の板部材は、互いに並行に対向離間され、前記複数の板部材の間には、結合組織体を形成可能な結合組織体形成空間と、前記結合組織体形成空間および前記結合組織体形成用構造体の外部を連通する少なくとも1つの連通部とが設けられる。【選択図】図1

Description

本開示は、結合組織体形成用構造体および結合組織体の形成方法に関する。
近年、病気や事故で失われた細胞、組織、器官などの機能を、人工素材や細胞により回復させる再生医療の研究が盛んに行われている。
例えば、生体内の深い位置に異物が侵入した場合、異物の周りには、線維芽細胞が徐々に集まり、主に線維芽細胞およびコラーゲンなどから構成される結合組織体が形成される。このような反応を利用し、生体内に異物を埋植して結合組織体を形成する技術が研究されている。
例えば、特許文献1には、生体組織材料の存在する環境に設置して基材表面に膜状の結合組織体を形成可能な基材であって、前記膜状の結合組織体の両面を基材表面に合わせて形成するよう、結合組織を形成する二面の組織形成面が組織形成空間を挟んで互いに対向して設けられ、少なくとも一方の組織形成面に、前記組織形成空間と基材外部とを連通させる複数種類のスリットが形成され、各種のスリットの長手方向が互いに異なる方向に設定された膜状結合組織体形成用基材が記載されている。
また、特許文献2には、生体組織材料の存在する環境に配置して基材表面に膜状の結合組織体を形成可能な基材であって、前記膜状の結合組織体の両面を基材表面に合わせて形成するよう、結合組織を形成する二面の結合組織形成面が互いに対向して設けられた膜状結合組織体形成用基材が記載されている。
特許文献1および2では、異物として結合組織体形成用基材をヒトなどの生体内に埋植または培養装置内に設置して、結合組織体形成用基材の内部に結合組織体を形成させた後、結合組織体形成用基材を生体または培養装置から取り出して、結合組織体を得ることが記載されている。
結合組織体をヒトの体内で形成するいわゆる自家移植や同種移植を行う場合、切開して結合組織体形成用基材をヒトの体内に挿入する処置を行い、挿入後に切開部分を縫合する処置、結合組織体の形成後に再び切開して結合組織体形成用基材を体内から取り出す処置、切開部分を再び縫合する処置を行う必要があり、多数回の処置によるヒトへの負担が大きい。また、結合組織体形成用基材をヒトの体内に埋植するので、結合組織体形成用基材のサイズを大きくする、量を増やすことが難しく、結合組織体形成用基材の1回の埋植で結合組織体を大量に生産することは困難である。
また、結合組織体を大量生産する有力な手段として、大型の結合組織体形成用基材を用い、面積の広いシート状の結合組織体を作製することが検討されている。特許文献1のような円筒状の結合組織体形成用基材であると、大型動物を用いた場合であっても、埋植中の円筒状の結合組織体形成用基材と生体との間に隙間が生じてしまい、生体と容易に密着できず、面積の広いシート状の結合組織体を作製することが困難であることがある。また、円筒状の結合組織体形成用基材で形成される結合組織体は円筒状であるため、円筒状の結合組織体の内面と外面とで面積に差がついてしまうことなどから、円筒状の結合組織体を長手方向に切断して得られるシート状の結合組織体の表面および裏面で物性が異なること、シート状の結合組織体が特定の方向にカールしやすくなることがある。特に、シート状の結合組織体が大面積であると、表裏面の物性の違いが顕著になり、シート状の結合組織体の品質がばらつきやすい。また、円筒状の結合組織体形成用基材が大型になると、生体を大きく円筒状に切開する必要があるため、切開処置が容易ではなく、生体への負担は大きくなる。
更に、ヒト以外の動物、特に大型動物では、動作・運動時の行動を制御することが難しい。例えば、ウシやウマ、ブタ、ヤギなどの動物は歩行時に発生する力が大きいので、埋植中の結合組織体形成用基材の一部が大型動物の皮膚を突き破って外に出ることがあり、外に出た結合組織体形成用基材の一部が牧場の柵に引っかかったまま歩行すると皮膚が裂けたり、裂けた傷口から基材に形成した結合組織体や動物が細菌に感染したりすることがある。そのため、特許文献2のような膜状結合組織体形成用基材を用いた場合、円筒状の結合組織体形成用基材よりも膜状結合組織体形成用基材の端部が鋭利であることに加えて、埋植中の膜状結合組織体形成用基材が生体に密着しやすいために、前述の皮膚裂傷のような問題が発生しやすいことから、結合組織体を成長させることや、結合組織体の品質維持が困難となることがある。
また、結合組織体を培養装置で形成する場合、結合組織体形成用基材を生体内に埋植する方法に比べて、非常に高価な設備が必要になる。
特開2017−113051号公報 特開2014−030598号公報
本開示の目的は、ヒト以外の生体内に埋植して使用され、さらには、生体内への挿入のしやすさ、生体内の埋植後の安定性、および結合組織体の生産性のうち少なくとも1つに優れた結合組織体形成用構造体および結合組織体の形成方法を提供することである。
[1] 対向離間する複数の矩形状の板部材を備える板部材群と、前記板部材群を構成する前記複数の板部材の間に設けられ、前記複数の板部材を対向離間させる少なくとも1つの離間部材と、を有する結合組織体形成用構造体であって、前記各板部材の少なくとも1つの角部には、前記各板部材の隣接する2つの側面の間で、前記隣接する2つの側面に連結する傾斜面が設けられ、前記複数の板部材は、互いに並行に対向離間され、前記複数の板部材の間には、前記複数の板部材の面内方向に延び、結合組織体を形成可能な結合組織体形成空間と、前記結合組織体形成空間および前記結合組織体形成用構造体の外部を連通する少なくとも1つの連通部とが設けられることを特徴とする結合組織体形成用構造体。
[2] 前記板部材の面内方向に平行な前記板部材の断面において、前記傾斜面と前記傾斜面に連結する前記各側面とのなす角度は、それぞれ、90度超180度未満である、上記[1]に記載の結合組織体形成用構造体。
[3] 前記傾斜面は平面状である、上記[2]に記載の結合組織体形成用構造体。
[4] 前記傾斜面は曲面状であり、前記板部材の面内方向に平行な前記板部材の断面において、前記傾斜面は円弧状である、上記[2]に記載の結合組織体形成用構造体。
[5] 前記傾斜面は、前記各板部材の隣接する複数の角部に設けられる、上記[1]〜[4]のいずれか1つに記載の結合組織体形成用構造体。
[6] 前記傾斜面は、前記各板部材の全ての角部に設けられる、上記[1]〜[5]のいずれか1つに記載の結合組織体形成用構造体。
[7] 前記隣接する複数の角部に設けられる前記各傾斜面は、互いに連結している、上記[5]または[6]に記載の結合組織体形成用構造体。
[8] 前記複数の板部材において、対向する2つの内表面のうちの一方の内表面上には、結合組織体の形成を促進する結合組織体形成促進物質が設けられる、上記[1]〜[7]のいずれか1つに記載の結合組織体形成用構造体。
[9] 前記板部材群を構成する前記複数の板部材のうち、最外側に配置される一方の板部材の外表面は凸曲面状であり、最外側に配置される他方の板部材の外表面は平面状である、上記[1]〜[8]のいずれか1つに記載の結合組織体形成用構造体。
[10] 前記板部材群を構成する前記複数の板部材のうち、最外側に配置される一方の板部材における前記傾斜面を備える角部には、前記傾斜面と前記板部材の外表面との間で、前記傾斜面と前記外表面とに連結する凸曲面状の外側傾斜面が設けられる、上記[1]〜[9]のいずれか1つに記載の結合組織体形成用構造体。
[11] 前記板部材の少なくとも前記傾斜面上には、前記板部材よりも柔らかい材料からなる被覆部が設けられる、上記[1]〜[10]のいずれか1つに記載の結合組織体形成用構造体。
[12] 上記[1]〜[11]のいずれか1つに記載の結合組織体形成用構造体を、ヒト以外の生体内に挿入して埋植する工程(S−1)と、前記生体内に埋植した前記結合組織体形成用構造体の前記結合組織体形成空間に結合組織体を形成する工程(S−2)と、前記結合組織体形成空間に形成された前記結合組織体を含有する前記結合組織体形成用構造体を前記生体内から取り出す工程(S−3)とを有することを特徴とする結合組織体の形成方法。
[13] 前記工程(S−1)の前に、前記結合組織体形成用構造体を挿入可能な挿入部をヒト以外の生体に設ける工程(S−A)をさらに有し、前記工程(S−1)では、前記結合組織体形成用構造体を前記挿入部から挿入して埋植する、上記[12]に記載の結合組織体の形成方法。
本開示によれば、ヒト以外の生体内に埋植して使用され、さらには、生体内への挿入のしやすさ、生体内の埋植後の安定性、および結合組織体の生産性のうち少なくとも1つに優れた結合組織体形成用構造体および結合組織体の形成方法を提供することができる。
図1は、実施形態の結合組織体形成用構造体の一例を示す斜視図である。 図2は、図1のA−A断面図である。 図3は、実施形態の結合組織体形成用構造体を構成する傾斜面の一例を示す斜視図である。 図4は、図3のB−B断面図である。 図5は、実施形態の結合組織体形成用構造体を構成する板部材の一例を示す斜視図である。 図6は、実施形態の結合組織体形成用構造体を構成する板部材の他の例を示す斜視図である。 図7は、実施形態の結合組織体形成用構造体を構成する板部材の他の例を示す斜視図である。 図8は、実施形態の結合組織体形成用構造体を構成する板部材の他の例を示す斜視図である。 図9は、実施形態の結合組織体形成用構造体を構成する板部材の他の例を示す斜視図である。 図10は、実施形態の結合組織体形成用構造体を構成する板部材の他の例を示す斜視図である。 図11は、実施形態の結合組織体形成用構造体を構成する板部材の他の例を示す斜視図である。 図12は、実施形態の結合組織体形成用構造体を構成する板部材の他の例を示す斜視図である。 図13は、実施形態の結合組織体形成用構造体を構成する板部材の他の例を示す斜視図である。 図14は、実施形態の結合組織体形成用構造体を構成する傾斜面の一例を示す斜視図である。 図15は、実施形態の結合組織体形成用構造体を構成する板部材の他の例を示す斜視図である。 図16は、実施形態の結合組織体形成用構造体を構成する板部材の他の例を示す斜視図である。 図17は、実施形態の結合組織体形成用構造体を構成する板部材の他の例を示す斜視図である。
以下、実施形態に基づき詳細に説明する。
本研究者らは、鋭意研究を重ねた結果、結合組織体形成用構造体を構成する複数の板部材の形状や配置構成の適正化を図ることによって、結合組織体形成用構造体をヒト以外の生体に使用し、さらには、生体内への挿入のしやすさ、生体内の埋植後の安定性、および結合組織体の生産性のうち少なくとも1つに優れることを見出し、かかる知見に基づき本開示を完成させるに至った。
実施形態の結合組織体形成用構造体は、対向離間する複数の矩形状の板部材を備える板部材群と、前記板部材群を構成する前記複数の板部材の間に設けられ、前記複数の板部材を対向離間させる少なくとも1つの離間部材と、を有し、前記各板部材の少なくとも1つの角部には、前記各板部材の隣接する2つの側面の間で、前記隣接する2つの側面に連結する傾斜面が設けられ、前記複数の板部材は、互いに並行に対向離間され、前記複数の板部材の間には、前記複数の板部材の面内方向に延び、結合組織体を形成可能な結合組織体形成空間と、前記結合組織体形成空間および前記結合組織体形成用構造体の外部を連通する少なくとも1つの連通部とが設けられる。
図1は、実施形態の結合組織体形成用構造体の一例を示す斜視図であり、図2は、図1のA−A断面図である。具体的には、図2は、板部材10の面内方向Lに平行な板部材10の断面図である。
図1に示すように、結合組織体形成用構造体1は、板部材群100および離間部材20を有する。板部材群100は、複数の板部材10を備える。板部材群100を構成する複数の板部材10は、矩形状であり、互いに対向離間する。複数の板部材10の間には、少なくとも1つの離間部材20が設けられる。離間部材20は、板部材10の主面と接続し、複数の板部材10を対向離間させる。例えば、離間部材20は、近接対向する2つの板部材10の間で、板部材10の全ての角部11の近傍に、4つ設けられる。例えば、離間部材20は円柱状である。
複数の板部材10の間には、結合組織体形成空間30が設けられる。各板部材10の間に設けられる結合組織体形成空間30は、複数の板部材10の面内方向Lに沿ってシート状に延びる。結合組織体形成空間30は、結合組織体を形成可能な空間である。
また、複数の板部材10の間で、板部材10の外縁側には、少なくとも1つの連通部40が設けられる。各板部材10の間に設けられる連通部40は、結合組織体形成空間30と結合組織体形成用構造体1の外部とを連通する。連通部40は、板部材10の面内方向Lに対して垂直に開口する。ここでは、各連通部40は、近接対向する2つの板部材10と各板部材10の間に設けられる2つの離間部材20とから構成される。
後述のように、結合組織体形成用構造体1をヒト以外の生体(以下、単に生体ともいう)内に埋植すると、結合組織は、連通部40を介して、結合組織体形成用構造体1の外部から結合組織体形成空間30に進入し、シート状の結合組織体が結合組織体形成空間30内に形成される。結合組織体は、例えば、線維芽細胞およびコラーゲンなどの細胞外マトリックスで構成される。結合組織体は、シート状や筒状として使用され、心膜、硬膜、皮膚、弁膜、角膜、血管、消化管、気管など、ヒトおよび伴侶動物、家畜動物、展示希少動物などへの移植に用いられる。
複数の板部材10および離間部材20を構成する材料は、特に限定されるものではないが、生体内への埋植時に大きな変形を抑制できる程度の強度(硬度)、化学的安定性、オートクレーブなどによる滅菌処理に対する耐性を有し、形成する結合組織体や生体に悪影響を及ぼす物質を放出しない、もしくは当該物質を多量に放出しないことが好ましい。このような観点から、複数の板部材10および離間部材20を構成する材料は、アクリル樹脂やシリコーン樹脂のような樹脂材料、ステンレス、チタン、コバルト、クロム、ニッケルチタン合金のような耐錆性の高い金属材料であることが好ましい。また、複数の板部材10および離間部材20は、表面が上記の樹脂材料や金属材料で覆われているものでもよい。上記の樹脂材料は、上記の金属材料に比べて、生体内における結合組織体の形成速度が速い。
図1および図2に示すように、シート状の結合組織体形成用構造体1を構成する各板部材10の少なくとも1つの角部11には、傾斜面12が設けられる。傾斜面12は、各板部材10の隣接する2つの側面13の間で、隣接する2つの側面13に連結する。また、傾斜面12は、直角以上の角度で、隣接する2つの側面13に連結する。例えば、傾斜面12は、第1側面13aと第2側面13bとの間に設けられ、直角以上のなす角度で、第1側面13aと第2側面13bとにそれぞれ連結する。傾斜面12を有する複数の板部材10は、図1に示すように、互いに並行に対向離間される。すなわち、複数の板部材10は、同じ向きで対向離間される。傾斜面12を備える角部11は、傾斜面12を備えない角部11のような直角形状ではなく、傾斜面12は、第1側面13aおよび第2側面13bとそれぞれ直角以上の角度で連結する角取り面である。
結合組織体形成用構造体1は、ヒト以外の生体内に埋植して使用される。ヒト以外の生体としては、例えば、イヌ、ウシ、ブタ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ウサギ等の哺乳類動物、鳥類、魚類、その他の動物などが挙げられる。その中でも、人よりも埋植面積が大きくとれ、1回の埋植で結合組織体を大量に生産でき、家畜として多く飼育されているウシ、ウマ、ブタ、ヤギが好ましい。
結合組織体形成用構造体1を生体内に埋植する場所は、四肢部、肩部、背部、腹部などの皮下組織である。皮下組織の外側にある表皮および真皮(以下、皮ともいう)の一部を生体から剥した後、皮下組織に結合組織体形成用構造体1を差し込むように挿入し、続いて、部分的に剥した皮を生体に縫合することによって、皮下組織内に結合組織体形成用構造体1を埋植する。シート状の結合組織体形成用構造体1は、差し込み時に、皮下組織を切り開きながら挿入できる。例えば、生体を切開して形成される挿入部から、結合組織体形成用構造体1を生体内に挿入する。シート状の結合組織体形成用構造体1を挿入する挿入部は線状であるため、容易な切開処置で挿入部を形成できる。
上記のように、シート状の結合組織体形成用構造体1は、並行に配置すると共に傾斜面12を有する複数の板部材10を備える。傾斜面12を備える角部11から結合組織体形成用構造体1を生体内に差し込むように挿入すると、結合組織体形成用構造体1の挿入方向の前面には傾斜面12が位置する。生体内へのシート状の結合組織体形成用構造体1の挿入時には、皮下組織、皮、皮下組織および皮が剥ぎ取られていない部分などに対して、板部材10の引っ掛かり、特に傾斜面12を備える角部11の引っ掛かりを抑制できるため、シート状の結合組織体形成用構造体1の挿入時の操作性が向上する。また、結合組織体形成用構造体1の埋植中に、活動中の生体が牧場の柵などの障害物に衝突しても、傾斜面12を有する角部11は、皮を突き破って生体外に出ることを抑制できると共に、埋植中の結合組織体形成用構造体1が皮および皮下組織に与える損傷を抑制できる。さらには、生体内に埋植しているシート状の結合組織体形成用構造体1は、生体と密着しやすい。そのため、結合組織体形成用構造体1を安定した環境に置くことができるため、品質に優れた結合組織体を形成することができる。
一方で、従来の結合組織体形成用基材、特に角部に傾斜面を有さない矩形状の板部材をヒト以外の動物に埋植する場合、板部材の直角形状や鋭角形状のような鋭利な角部が皮や皮下組織などに引っ掛かりやすいので、生体内への結合組織体形成用基材の挿入が容易ではない。また、埋植中の結合組織体形成用基材は、皮や皮下組織などに損傷を与えやすく、場合によっては、鋭利な角部が皮を突き破って、結合組織体形成用基材の少なくとも一部が生体外に出ることがある。結合組織体形成用基材が皮を突き破って生体外に出ると、結合組織体の成長が不十分となり、品質の良好な結合組織体を形成することが困難になる。また、従来の円筒状の結合組織体形成用基材については、生体との間に大きな隙間が生じ、生体と密着することが容易ではないため、良好な結合組織体を得ることは容易ではない。また、円筒状の結合組織体形成用基材を挿入するために、皮下組織に基材を埋植する際、皮を剥がす必要があるが、非常に労力と時間がかかる。結合組織体の量産化のために、円筒状の結合組織体形成用基材のサイズを大きくすると、これらの問題は顕著になる。
このように、実施形態の結合組織体形成用構造体1は、従来の結合組織体形成用基材と異なり、板部材の形状や配置構成に着目している。結合組織体の生産性向上の観点から、結合組織体形成用構造体1は、ヒト以外の生体に使用され、かつ、皮下組織に埋植される。そして、ヒト以外の生体について、皮の一部を剥し、皮下組織に結合組織体形成用構造体1を差し込むように挿入するため、角部11に傾斜面12を設けることで、結合組織体形成用構造体1の挿入のしやすさが向上し、線状に結合組織体形成用構造体1の挿入部を設けると、結合組織体形成用構造体1を挿入しながら皮の剥離と挿入を同時に行うことが可能となる。また、傾斜面12を備える結合組織体形成用構造体1は、埋植後の安定性に優れ、生体内で安定して結合組織体を形成できる。
また、図2に示すような板部材10の面内方向Lに平行な板部材10の断面において、傾斜面12と傾斜面12に連結する各側面13(ここでは、第1側面13aおよび第2側面13b)とのなす角度αおよびβは、それぞれ、90度超180度未満であることが好ましく、なす角度αおよびβの少なくとも片方は135度以上が更に好ましく、なす角度αおよびβが共に157.5度であることが最も好ましい。各板部材10の断面において、傾斜面12と各側面13とのなす角度αおよびβが上記範囲内であると、結合組織体形成用構造体1の挿入時における傾斜面12を備える角部11の引っ掛かりがさらに抑制され、結合組織体形成用構造体1の埋植中における傾斜面12を備える角部11による皮下組織などへの損傷がさらに抑制されるため、結合組織体形成用構造体1の挿入のしやすさ、および埋植後の安定性がさらに向上する。
また、傾斜面12は平面状である。平面状の傾斜面12は、図1および図2に示すように、1つの平面部から構成されてもよく、好ましくは、図3および図4に示すように、複数の平面部から構成される。ここでは、傾斜面12は、第1側面13aに連結する第1平面部12aと第2側面13bに連結する第2平面部12bとから構成される。平面状の傾斜面12が図3および図4に示すような複数の平面部から構成されると、結合組織体形成用構造体1の挿入のしやすさ、および埋植後の安定性がさらに向上する。
平面状の傾斜面12が複数の平面部から構成される場合、図4に示すような板部材10の面内方向Lに平行な板部材10の断面において、複数の平面部(ここでは、第1平面部12aおよび第2平面部12b)間のなす角度γは、それぞれ、90度超180度未満であることが好ましく、120度以上180度未満がより好ましく、135度が最も好ましい。複数の平面部間のなす角度γが上記範囲内であると、結合組織体形成用構造体1の生体内への挿入のしやすさ、生体内の埋植後の安定性がさらに向上する。
図5は、結合組織体形成用構造体1を構成する板部材10の一例を示す斜視図である。図5に示すように、傾斜面12は、各板部材10の隣接する複数の角部11に設けられることが好ましい。ここでは、傾斜面12は、各板部材10の隣接する2つの角部11に設けられ、第1側面13aおよび第2側面13bの間と、第1側面13aおよび第4側面13dの間とに、それぞれ設けられる。このように隣接する複数の角部11に傾斜面12を備える結合組織体形成用構造体1について、傾斜面12を備える角部11からの挿入に加えて、隣接する2つの傾斜面12の間に挟まれる第1側面13aから生体内に差し込むように挿入しても、第1側面13aおよび2つの傾斜面12が結合組織体形成用構造体1の挿入方向の前面になり、結合組織体形成用構造体1の挿入時における引っ掛かりが抑制されるため、結合組織体形成用構造体1の挿入のしやすさがさらに向上する。また、傾斜面12が複数の角部11に設けられているため、皮下組織などへの損傷がさらに抑制され、結合組織体形成用構造体1の埋植後の安定性がさらに向上する。
図6は、結合組織体形成用構造体1を構成する板部材10の他の例を示す斜視図である。図6に示すように、傾斜面12は、各板部材10の隣接する3つの角部11に設けられることがさらに好ましい。ここでは、傾斜面12は、第1側面13aおよび第2側面13bの間と、第2側面13bおよび第3側面13cの間と、第1側面13aおよび第4側面13dの間とに、それぞれ設けられる。このように隣接する3つの角部11に傾斜面12を備える結合組織体形成用構造体1について、挿入方向の後面側に位置する第2側面13bおよび第3側面13cの間の傾斜面12から、埋植している結合組織体形成用構造体1を生体内から取り出すとき、傾斜面12を備える角部11の引っ掛かりが抑制される。そのため、生体内からの結合組織体形成用構造体1の取り出し時における操作性が向上する。また、傾斜面12を備える角部11が増えるため、埋植中における皮下組織などへの損傷はさらに抑制される。
図7は、結合組織体形成用構造体1を構成する板部材10の他の例を示す斜視図である。図7に示すように、傾斜面12は、各板部材10の全ての角部11に設けられることがさらに好ましい。このように全ての角部11に傾斜面12を備える結合組織体形成用構造体1について、結合組織体形成用構造体1をどの方向から生体内に挿入および生体内から取り出しても、結合組織体形成用構造体1の引っ掛かりが抑制されるため、結合組織体形成用構造体1の挿入のしやすさ、および取り出しやすさ、がさらに向上する。また、全ての角部11に傾斜面12を備えるため、埋植中における皮下組織などへの損傷はさらに抑制される。
図8は、結合組織体形成用構造体1を構成する板部材10の他の例を示す斜視図である。図8に示すように、隣接する複数の角部11に設けられる各傾斜面12は、互いに連結していることが好ましい。ここでは、傾斜面12は、第1側面13aおよび第2側面13bの間と、第1側面13aおよび第4側面13dの間とに、それぞれ設けられ、2つの傾斜面12は互いに連結している。第1側面13aは、実質的に2つの傾斜面12から構成される。このように互いに連続して連結する傾斜面12を備える結合組織体形成用構造体1について、2つの傾斜面12から生体内に差し込むように挿入すると、結合組織体形成用構造体1の挿入時における結合組織体形成用構造体1の引っ掛かりが抑制されるため、結合組織体形成用構造体1が挿入しやすくなる。また、傾斜面12が複数の角部11に設けられているため、埋植中における皮下組織などへの損傷がさらに抑制される。
図9は、結合組織体形成用構造体1を構成する板部材10の他の例を示す斜視図である。図9に示すように、隣接する複数の角部11に設けられる各傾斜面12は、一方に隣接する傾斜面12のみに連結していることが好ましい。ここでは、全ての角部11が傾斜面12を備え、第1側面13aおよび第2側面13bの間に設けられる傾斜面12と、第1側面13aおよび第4側面13dの間に設けられる傾斜面12とが、互いに連結し、第3側面13cおよび第2側面13bの間に設けられる傾斜面12と、第3側面13cおよび第4側面13dの間に設けられる傾斜面12とが、互いに連結する。また、第1側面13aおよび第2側面13bの間に設けられる傾斜面12と、第3側面13cおよび第2側面13bの間に設けられる傾斜面12とは、連結せず、第1側面13aおよび第4側面13dの間に設けられる傾斜面12と、第3側面13cおよび第4側面13dの間に設けられる傾斜面12とは、連結しない。2つの傾斜面12が連結してなる連結面は、互いに対向する。このように、隣接する一方の傾斜面とは連続して連結し、他方の傾斜面とは連続して連結しない板部材10を有する結合組織体形成用構造体1について、結合組織体形成用構造体1をどの方向から生体内に挿入および生体内から取り出しても、結合組織体形成用構造体1の引っ掛かりが抑制されるため、結合組織体形成用構造体1の挿入および取り出しがよりスムーズになる。また、全ての角部11に傾斜面12を備えるため、埋植中における皮下組織などへの損傷はさらに抑制される。
また、図8および図9に示すように、隣接する複数の角部11に設けられる傾斜面12が連結している場合、板部材10の面内方向Lに平行な板部材10の断面において、2つの傾斜面12間のなす角度a、bは、それぞれ、90度超180度未満であることが好ましく、120度以上180度未満であることがさらに好ましい。なす角度a、bが上記範囲内であると、結合組織体形成用構造体1の挿入および取り出しがさらに容易になり、埋植後の安定性がさらに向上する。
図10は、結合組織体形成用構造体1を構成する板部材10の他の例を示す斜視図である。図10に示すように、複数の板部材10において、対向する2つの内表面10aのうちの一方の内表面10a上には、結合組織体の形成を促進する結合組織体形成促進物質50が設けられることが好ましい。結合組織体形成促進物質50は、例えば、血液、脂肪、コラーゲン、ゼラチン、およびこれらに増殖因子などを含ませたものなどが挙げられる。対向する2つの内表面10aのうちの一方の内表面10aのみに結合組織体形成促進物質50が設けられると、結合組織体形成用構造体1から取り出されたシート状の結合組織体における表面および裏面の判別が容易になるため、結合組織体の梱包などの製品管理が向上する。
図11は、結合組織体形成用構造体1を構成する板部材10の他の例を示す斜視図である。図11に示すように、板部材群100を構成する複数の板部材10のうち、最外側に配置される一方の板部材101の外表面101bは凸曲面状であり、最外側に配置される他方の板部材102の外表面102bは平面状であることが好ましい。外表面101bの凸曲面は、板部材10の面内方向Lから離れる方向で、結合組織体形成用構造体1の外部に向かって、隆起している。凸曲面状である外表面101bを皮側に、平面状である外表面102bを皮下組織側に向くように、結合組織体形成用構造体1を生体内に埋植すると、生体の内部形状に沿って結合組織体形成用構造体1が埋植され、結合組織体形成用構造体1と生体内部との密着性が向上する。そのため、凸曲面状の外表面101bと皮の間や、平面状の外表面102bと皮下組織の間には、隙間が生じにくく、仮に隙間が生じた場合であっても、隙間の狭小化を図ることができる。このような埋植状態の結合組織体形成用構造体1には、生体内の結合組織が結合組織体形成用構造体1の連通部40から結合組織体形成空間30に容易に進入できるため、結合組織体の形成時間を早めることができる。その結果、品質に優れた結合組織体をより安定して形成することができる。
図12は、結合組織体形成用構造体1を構成する板部材10の他の例を示す斜視図である。図12に示すように、板部材群100を構成する複数の板部材10のうち、最外側に配置される一方の板部材101における傾斜面12を備える角部11には、傾斜面12と板部材101の外表面101bとの間で、傾斜面12と外表面101bとに連結する凸曲面状の外側傾斜面14が設けられることが好ましい。外側傾斜面14は、直角以上の角度で傾斜面12および外表面101bに連結する角取り面である。外側傾斜面14の凸曲面は、図11に示す外表面101bの凸曲面と同様に、隆起している。このように最外側に配置される一方の板部材101が外側傾斜面14を備えると、結合組織体形成用構造体1の引っ掛かり、および埋植中における皮下組織などへの損傷はさらに抑制される。
図13は、結合組織体形成用構造体1を構成する板部材10の他の例を示す斜視図である。図13に示すように、板部材10の少なくとも傾斜面12上には、板部材10よりも柔らかい材料からなる被覆部60が設けられることが好ましい。このように板部材10が被覆部60を備えると、仮に傾斜面12を備える角部11が生体に引っ掛かっても、生体への損傷が抑制されることに加えて、埋植中における皮下組織などへの損傷はさらに抑制される。
次に、実施形態の結合組織体の形成方法について説明する。実施形態の結合組織体の形成方法は、上記の結合組織体形成用構造体1を、ヒト以外の生体内に挿入して埋植する工程(S−1)と、前記生体内に埋植した前記結合組織体形成用構造体1の前記結合組織体形成空間30に結合組織体を形成する工程(S−2)と、前記結合組織体形成空間30に形成された前記結合組織体を含有する前記結合組織体形成用構造体1を前記生体内から取り出す工程(S−3)とを有する。
工程(S−1)では、ヒト以外の生体内の所定部位に結合組織体形成用構造体1を差し込むように挿入して、生体内に結合組織体形成用構造体1を埋植する。シート状の結合組織体形成用構造体1は、四肢部、肩部、背部、腹部などの皮下組織に埋植される。一例として、皮下組織を外側から覆う表皮および真皮などの皮の一部を生体から剥し、皮下組織に結合組織体形成用構造体1を差し込むように挿入し、部分的に剥した皮を生体に縫合することによって、皮下組織内に結合組織体形成用構造体1を埋植する。シート状の結合組織体形成用構造体1を差し込むとき、結合組織体形成用構造体1は皮下組織を切り開きながら挿入できる。
工程(S−1)の後に行われる工程(S−2)では、結合組織体形成用構造体1を生体内に所定の時間埋植し、結合組織体形成用構造体1の結合組織体形成空間30にシート状の結合組織体を形成する。結合組織体形成用構造体1の埋植中に、生体内の結合組織が結合組織体形成用構造体1の連通部40から結合組織体形成空間30に進入し、結合組織体形成空間30の結合組織が成長することにより、結合組織体が結合組織体形成空間30に形成される。結合組織体形成用構造体1を生体内に8週間以上埋植すると、良好な結合組織体が結合組織体形成空間30に形成される。結合組織体は、線維芽細胞およびコラーゲンなどの細胞外マトリックスで構成される。
工程(S−2)の後に行われる工程(S−3)では、結合組織体形成空間30に形成された結合組織体を含有する結合組織体形成用構造体1を生体内から取り出す。結合組織体形成空間30に形成された結合組織体が結合組織体形成用構造体1の周囲に存在する生体組織と結合している場合には、周囲の生体組織と結合組織体形成用構造体1とを切断して、結合組織体形成用構造体1を生体内から取り出す。
また、実施形態の結合組織体の形成方法は、工程(S−1)の前に、上記の結合組織体形成用構造体1を挿入可能な挿入部をヒト以外の生体に設ける工程(S−A)をさらに有し、工程(S−1)では、結合組織体形成用構造体1を挿入部から挿入して埋植することが好ましい。工程(S−A)で設けられる挿入部は、従来の円筒状の結合組織体形成用基材に比べて、生体を小さく切開することによって容易に形成できる。また、生体を繰り返し切開せずに、シート状の結合組織体形成用構造体1は挿入部を多少切り開きながら挿入できる。そのため、動物への負担が抑制され、作業が容易になる。
また、実施形態の結合組織体の形成方法は、工程(S−3)の後に、生体内から取り出した結合組織体形成用構造体1の結合組織体形成空間30から、結合組織体を分離する工程(S−B)をさらに有してもよい。工程(S−3)の後に行われる工程(S−B)では、生体内から取り出した結合組織体形成用構造体1の結合組織体形成空間30から結合組織体を分離して、シート状の結合組織体を得る。結合組織が結合組織体形成用構造体1の外表面に形成されている場合には、結合組織体形成用構造体1の外表面から結合組織を除去した後に、結合組織体形成空間30から結合組織体を分離する。複数の板部材10の間隔や板部材10の内表面10aの形状などを適宜調整することで、所望の形状を有する結合組織体が得られる。
また、得られた結合組織体をヒトなどの異種移植に用いる場合には、移植後の拒絶反応を防ぐため、脱細胞処理、脱水処理、固定処理などの免疫原除去処理を結合組織体に行うことが好ましい。脱細胞処理としては、超音波処理、界面活性剤処理、コラゲナーゼなどの酵素処理などによって、細胞外マトリックスを溶出させて洗浄する方法などがある。脱水処理としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどの水溶性有機溶媒で洗浄する方法などがある。固定処理としては、グルタアルデヒド、ホルムアルデヒドなどのアルデヒド化合物で処理する方法などがある。
以上説明した実施形態によれば、少なくとも1つの角部11に傾斜面12を備える複数の板部材10を互いに並行に対向離間し、結合組織体形成用構造体1を構成する複数の板部材10の形状や配置構成の適正化を図ることによって、結合組織体形成用構造体1は、ヒトよりも大きい生体内に好適に埋植できる。さらには、結合組織体形成用構造体1は、生体内への挿入、生体内の埋植後の安定性、および結合組織体の生産性のうち少なくとも1つが良好である。
なお、上記では、図3および図4のように2つの平面部12a、12bから構成される傾斜面12の例について示したが、傾斜面は3つ以上の平面部から構成されてもよい。傾斜面が3つ以上の平面部から構成されると、さらに挿入しやすくなり、埋植後の安定性がさらに向上する。
また、上記では、平面状の傾斜面12の例について示したが、傾斜面12は曲面状であってもよい。図14に示すように、傾斜面12は、曲面状であり、板部材10の面内方向Lに平行な板部材10の断面において、傾斜面12は、円弧状である。曲面状の傾斜面12を備える結合組織体形成用構造体1は、さらに挿入しやすくなり、埋植後の安定性がさらに向上する。また、傾斜面12は、曲面および平面が混在した形状でもよい。
図15に示すように、隣接する複数の角部11に設けられる全ての傾斜面12は、互いに連結し、かつ曲面状であり、板部材10の面内方向Lに平行な板部材10の断面において、傾斜面12が円弧状であってもよい。このような結合組織体形成用構造体1は、挿入しやすさと取り出しやすさがさらに容易になり、埋植後の安定性もさらに向上する。
また、図12では、最外側に配置される一方の板部材101に外側傾斜面14を備える例について示したが、外側傾斜面は、一方の板部材101に加えて、最外側に配置される他方の板部材102に設けられてもよい。板部材102に設けられる外側傾斜面は、傾斜面12と外表面102bとの間で、直角以上のなす角度で、傾斜面12と外表面102bとに連結する。
また、上記では、結合組織体形成用構造体1が3つの板部材10を備える例について示したが、結合組織体形成用構造体1は、図16に示すように2つの板部材10を備えてもよいし、4つ以上の板部材を備えてもよい。結合組織体を形成する数に応じて、板部材10の数は適宜変更される。
また、上記では板部材10の全ての角部11近傍に離間部材20を設ける例について示したが、離間部材の配置箇所や配置数は、特に限定されるものではなく、例えば図17に示すように、1つの離間部材20が板部材10の中央部に設けられてもよい。また、離間部材20の形状についても、特に限定されるものではなく、角柱状でもよい。
また、板部材10は、一方の主面から他方の主面に貫通する1つ以上の貫通孔を有してもよい。貫通孔は、結合組織体形成空間30と結合組織体形成用構造体1の外部との連通、または隣接する結合組織体形成空間30同士の連通を実現する。連通部40および貫通孔を介して、結合組織が結合組織体形成用構造体1の外部から結合組織体形成空間30に進入するため、結合組織体形成空間30内に良好なシート状の結合組織体を容易に形成できる。さらに、結合組織は、貫通孔を介して、隣接する複数の結合組織体形成空間30に進入するため、複数の結合組織体形成空間30内に良好な結合組織体を容易に形成できる。
以上、実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の概念および特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含み、本開示の範囲内で種々に改変することができる。
1 結合組織体形成用構造体
10 板部材
10a 板部材の内表面
100 板部材群
101 最外側の一方の板部材
102 最外側の他方の板部材
101b、102b 板部材の外表面
11 角部
12 傾斜面
12a 第1平面部
12b 第2平面部
13 側面
13a 第1側面
13b 第2側面
13c 第3側面
13d 第4側面
14 外側傾斜面
20 離間部材
30 結合組織体形成空間
40 連通部
50 結合組織体形成促進物質
60 被覆部
L 板部材の面内方向

Claims (13)

  1. 対向離間する複数の矩形状の板部材を備える板部材群と、
    前記板部材群を構成する前記複数の板部材の間に設けられ、前記複数の板部材を対向離間させる少なくとも1つの離間部材と、
    を有する結合組織体形成用構造体であって、
    前記各板部材の少なくとも1つの角部には、前記各板部材の隣接する2つの側面の間で、前記隣接する2つの側面に連結する傾斜面が設けられ、
    前記複数の板部材は、互いに並行に対向離間され、
    前記複数の板部材の間には、前記複数の板部材の面内方向に延び、結合組織体を形成可能な結合組織体形成空間と、前記結合組織体形成空間および前記結合組織体形成用構造体の外部を連通する少なくとも1つの連通部とが設けられる
    ことを特徴とする結合組織体形成用構造体。
  2. 前記板部材の面内方向に平行な前記板部材の断面において、前記傾斜面と前記傾斜面に連結する前記各側面とのなす角度は、それぞれ、90度超180度未満である、請求項1に記載の結合組織体形成用構造体。
  3. 前記傾斜面は平面状である、請求項2に記載の結合組織体形成用構造体。
  4. 前記傾斜面は曲面状であり、前記板部材の面内方向に平行な前記板部材の断面において、前記傾斜面は円弧状である、請求項2に記載の結合組織体形成用構造体。
  5. 前記傾斜面は、前記各板部材の隣接する複数の角部に設けられる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の結合組織体形成用構造体。
  6. 前記傾斜面は、前記各板部材の全ての角部に設けられる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の結合組織体形成用構造体。
  7. 前記隣接する複数の角部に設けられる前記各傾斜面は、互いに連結している、請求項5または6に記載の結合組織体形成用構造体。
  8. 前記複数の板部材において、対向する2つの内表面のうちの一方の内表面上には、結合組織体の形成を促進する結合組織体形成促進物質が設けられる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の結合組織体形成用構造体。
  9. 前記板部材群を構成する前記複数の板部材のうち、最外側に配置される一方の板部材の外表面は凸曲面状であり、最外側に配置される他方の板部材の外表面は平面状である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の結合組織体形成用構造体。
  10. 前記板部材群を構成する前記複数の板部材のうち、最外側に配置される一方の板部材における前記傾斜面を備える角部には、前記傾斜面と前記板部材の外表面との間で、前記傾斜面と前記外表面とに連結する凸曲面状の外側傾斜面が設けられる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の結合組織体形成用構造体。
  11. 前記板部材の少なくとも前記傾斜面上には、前記板部材よりも柔らかい材料からなる被覆部が設けられる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の結合組織体形成用構造体。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の結合組織体形成用構造体を、ヒト以外の生体内に挿入して埋植する工程(S−1)と、
    前記生体内に埋植した前記結合組織体形成用構造体の前記結合組織体形成空間に結合組織体を形成する工程(S−2)と、
    前記結合組織体形成空間に形成された前記結合組織体を含有する前記結合組織体形成用構造体を前記生体内から取り出す工程(S−3)と
    を有することを特徴とする結合組織体の形成方法。
  13. 前記工程(S−1)の前に、前記結合組織体形成用構造体を挿入可能な挿入部をヒト以外の生体に設ける工程(S−A)をさらに有し、
    前記工程(S−1)では、前記結合組織体形成用構造体を前記挿入部から挿入して埋植する、請求項12に記載の結合組織体の形成方法。
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