JP2021117501A - 吸音材 - Google Patents

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大輔 島田
Daisuke Shimada
大輔 島田
秀幸 横溝
Hideyuki Yokomizo
秀幸 横溝
瑞央 畠山
Mizuki Hatakeyama
瑞央 畠山
文雄 河原
Fumio Kawahara
文雄 河原
誠 塩崎
Makoto Shiozaki
誠 塩崎
直希 冨田
Naoki Tomita
直希 冨田
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Abstract

【課題】大きさを変えることなく、低周波帯域又は高周波帯域の吸音率を向上させることができる吸音材を提供する。【解決手段】本発明の吸音材1は、不織布2と、不織布2の一方面21に配置され、第1ナノファイバー31で構成された第1シート3と、不織布2の他方面22に配置され、第2ナノファイバー41で構成された第2シート4と、を備え、第1ナノファイバー31及び第2ナノファイバー41の少なくとも一方は、内部に固形の添加物5を含んでいる。また本発明の吸音材10は、ナノファイバー61で構成されたシート6と、シート6の一方面6aに配置された第1不織布7と、シート6の他方面6bに配置された第2不織布8と、を備え、ナノファイバー61は、内部に添加物5を含んでいる。【選択図】図1

Description

本発明は、吸音材に関する。
ナノファイバーを用いた吸音材は、例えば特開2017−82346号公報及び特開2016−122185号公報に記載されている。これらのナノファイバーは、固体の材料を溶かしつつノズルから押し出して繊維を形成する溶融紡糸法で製造されている。
特開2017−82346号公報 特開2016−122185号公報
しかしながら、従来のナノファイバー吸音材では、低周波帯域(例えば2000Hz以下の帯域)の吸音率が低く、改善の余地がある。また、これまでは、吸音材の特性を搭載先の要求に合わせようとするには、例えばシートの厚さ等を変更することが考えられるが、狙った吸音特性(例えば低周波帯域で吸音率が高い等)を得ること、例えば吸音率のピークの位置を調整することは困難であった。本発明の目的は、大きさを変えることなく、狙いの周波数帯域での吸音率を向上させることができる吸音材を提供することである。
本発明の吸音材は、不織布と、前記不織布の一方面に配置され、第1ナノファイバーで構成された第1シートと、前記不織布の他方面に配置され、第2ナノファイバーで構成された第2シートと、を備え、前記第1ナノファイバー及び前記第2ナノファイバーの少なくとも一方は、内部に添加物を含んでいる。
本発明によれば、内部に添加物を含むナノファイバーにより、第1シート及び第2シートの少なくとも一方が形成される。これにより、繊維径を変えることなくナノファイバーの1本1本の重量(密度)及び剛性を変化させることができ、ナノファイバーの吸音特性を変えることができる。つまり、ナノファイバーに添加物を混ぜることで、大きさを変えることなく、吸音率のピーク又は良好に吸音される周波数帯域を低周波側又は高周波側に変更(調整)することができる。本発明によれば、大きさを維持したまま、狙いの周波数帯域(低周波帯域又は高周波帯域)での吸音率を向上させることができる。
第1実施形態の吸音材の構成図である。 第1実施形態の実施例1の吸音率を示す図である。 第1実施形態の実施例1の測定結果を示す図である。 第1実施形態の実施例2、3とその他の測定結果を示す図である。 中空ゼオライトを混ぜたナノファイバーのSEM写真(1万倍)である。 粉砕ゼオライトを混ぜたナノファイバーのSEM写真(1万倍)である。 第1実施形態の実施例2、3とその他の測定結果(シンサレート:演算値)を示す図である。 第2実施形態の吸音材の構成図である。 第2実施形態の実施例4、5とその他の測定結果(シンサレート:演算値)を示す図である。 第2実施形態の実施例4、5とその他の測定結果を示す図である。 第2実施形態の実施例6、7とその他の測定結果(シンサレート:演算値)を示す図である。 第2実施形態の実施例6、7とその他の測定結果を示す図である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。説明に用いる各図は概念図である。
<第1実施形態>
第1実施形態の吸音材1は、図1に示すように、不織布2と、第1シート3と、第2シート4と、を備えている。不織布2は、公知のものであり、例えばポリプロピレン(PP)やポリエチレンテレフタレート(PET)等で構成されている。不織布2は、吸音材1の基材といえる。
第1シート3は、不織布2の一方面21(表面)に配置され、第1ナノファイバー31で構成されたシート部材である。第2シート4は、不織布2の他方面22(裏面)に配置され、第2ナノファイバー41で構成されたシート部材である。不織布2、第1ナノファイバー31、及び第2ナノファイバー41は、例えば絡み合って又は一部貼り合わされて一体に結合され、1つの不織布構造体を形成している。
第1ナノファイバー31及び第2ナノファイバー41(以下「ナノファイバー31、41」とも称する)の少なくとも一方は、内部に添加物5を含んでいる。添加物5は、添加剤、質量体、混ぜ物、又は付加物ともいえる。添加物5は、ナノファイバー31、41を構成する樹脂材料とは異なる物質(材料)である。つまり、添加物5の密度は、ナノファイバー31、41を構成する樹脂材料の密度とは異なる。添加物5は、ナノファイバー31、41内で、例えば粒状に形成されている。ナノファイバー31、41は、固形の添加物5を含んでいるといえる。繊維状のナノファイバー31、41の内部及び表面には、複数の粒状の添加物5が配置されている。第1ナノファイバー31及び第2ナノファイバー41は、添加物5を内部に含む樹脂ナノファイバーともいえる。第1ナノファイバー31及び第2ナノファイバー41は、内部に互いに同一の添加物5を含んでもよい。添加物5の少なくとも一部には、大きさ(例えば粒径)がナノファイバー31、41の繊維径よりも小さいものが含まれている。添加物5としては、粒径(最大幅)がナノファイバー31、41の繊維径よりも大きいものが含まれていてもよい。
(製造方法)
ナノファイバー31、41の製造方法について簡単に説明する。ナノファイバー31、41は、エレクトロスピニング法(電界紡糸法又は溶剤紡糸法とも呼ばれる)を用いて製造されている。エレクトロスピニング法は、公知の方法であって、例えば原料溶液をノズルに充填し、ナノファイバーを堆積・捕集させる部位(捕集部位)とノズルとの間に電圧を印加し、原料溶液をノズルから引き出してナノファイバー化し、捕集部位上にナノファイバーを生成する方法である。
ナノファイバー31、41の製造方法は、原料溶液を作成する原料溶液作成工程と、原料溶液作成工程で作成された原料溶液を用いて、エレクトロスピニング法によりナノファイバーを作成するナノファイバー作成工程と、を含んでいる。原料溶液作成工程では、高分子材料を溶媒に溶かした第1溶液が作成される。ナノファイバーの主原料となる高分子材料がポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアミド、又はポリイミドである場合、溶媒は例えばNNジメチルホルムアミド(DMF)、NNジメチルアセトアミド(DMAc)、又はNメチルピロリドン(NMP)等であることが好適である。
そして、原料溶液作成工程において、第1溶液に添加物5が配合された第2溶液が作成される。第2溶液には、分散剤が配合されてもよい。ナノファイバー作成工程では、エレクトロスピニング装置を用い、エレクトロスピニング法により原料溶液(第2溶液)からナノファイバー31、41を作成する工程である。そして、ナノファイバー31、41により、シート3、4が形成される。ナノファイバー31、41が互いに異なる添加物5を含むようにナノファイバー31、41を製造する場合、上記製造方法を個別に行えばよい。
(第1実施形態の効果)
第1実施形態によれば、内部に添加物5を含むナノファイバーにより、第1シート3及び第2シート4の少なくとも一方が形成される。これにより、繊維径を変えることなくナノファイバーの1本1本の重量(密度)及び剛性を変化させることができ、ナノファイバーの吸音特性(例えば共振周波数)を変えることができる。つまり、大きさを変えることなく、吸音率のピーク又は良好に吸音される周波数帯域を低周波側又は高周波側に変更することができる。本発明によれば、大きさを維持したまま、狙いの周波数帯域(低周波帯域又は高周波帯域)での吸音率を向上させることができる。本発明によれば、搭載対象の形状(例えば吸音材を配置する部分の形状)を変えることなく、搭載対象の要求に応じた吸音材を提供することができる。なお、ナノファイバーに添加物5を混ぜることは、溶融紡糸法では困難であり、第1実施形態のように添加物5を含む溶液を用いるエレクトロスピニング法によって可能となる。
低周波帯域の吸音材としては、例えばアスファルトシートなどが用いられていたが、第1実施形態では上記構成により軽くて薄い吸音材1により、低周波帯域を良好に吸音することができる。低周波帯域の吸音は、例えば電車や自動車等の車両において必要とされる。第1実施形態によれば、車両又は機械の軽量化又は小型化の面でも有利となる。
(実施例1)
実施例1において、第1ナノファイバー31及び第2ナノファイバー41は、内部に互いに同一の添加物5を含んでいる。添加物5は、ゼオライトである。第1ナノファイバー31及び第2ナノファイバー41の平均繊維径は、それぞれ約200nmである。不織布2の厚さは、5mmである。第1シート3及び第2シート4の厚さは、それぞれ100μmである。第1ナノファイバー31及び第2ナノファイバー41の原料は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)である。製造方法は、上記のようにエレクトロスピニング法である。
上記エレクトロスピニング法で形成されたナノファイバー31、41の繊維内比率は、下記の通りである。
合成ゼオライト系吸着剤 ゼオラム F−9(東ソー社製):15.8%
PDVFコポリマー solef21216(ソルベイ社製):84.2%
また、原料溶液(第2溶液)の液中比率は、前者(ゼオライト)が1.5%で、後者(PVDF)が8%である。
実施例1の吸音材1に対して、A管法により吸音率を測定した。吸音材1の平面方向に対して垂直な方向からの、周波数125Hz〜2000Hzの音の吸音率(垂直入射吸音率)を、音響インピーダンス管を用いた垂直吸音システムを用いて測定した。測定結果は、図2に示すようになった。
図2には、実施例1と同じ測定方法により測定された他の結果、すなわち、厚さ13mmの市販のシンサレート、厚さ5mmの不織布(基材)、及び厚さ5.5mmのゼオライト(添加物5)なしの吸音材の吸音率が表されている。なお、図3には、図2のデータと、その他のデータすなわち、厚さ200μmのゼオライト(添加物5)なしのナノファイバーシート、厚さ100μmのゼオライト(添加物5)ありのナノファイバーシート(第1シート3又は第2シート4)、アクリル板測定治具のみ、及びブランクのデータが示されている。
本実験において、ナノファイバーの原料は、実施例1と同じPDVFであり、ゼオライトの有無だけが異なる。また、不織布2も実施例1の不織布2と同じである。ゼオライトなしの吸音材は、不織布2と、不織布2の一方面に配置された添加物5なしの第1ナノファイバーシートと、不織布2の他方面に配置された添加物5なしの第2ナノファイバーシートと、で構成されている。
図2に示すように、実施例1の吸音材1は、ゼオライトなしの吸音材に比べて、吸音率のピークが低周波側に移動している。実施例1の吸音材1は、周波数1500Hz以下において吸音率のピークがあり、そのピーク値が30%を超えている。実施例1の吸音材1は、周波数1000Hz以上1500Hz以下の範囲において吸音率30%を超える周波数帯域(周波数領域)を持っているといえる。
また、実施例1の吸音材1は、不織布2の測定結果に比べて、ピークよりも低周波側の帯域(例えば800Hz以上1250Hz以下の範囲)で吸音率が大きく向上している。このように、実施例1の吸音材1は、吸音率のピーク又は良好に吸音される周波数帯域を低周波側に変更することができ、低周波帯域での吸音率を向上させることができる。
(その他)
ナノファイバー31、41は、互いに異種の添加物5を含んでもよい。また、ナノファイバー31、41の一方にのみ添加物5が含まれてもよい。吸音材1は、周波数2000Hz以下において吸音率のピークを有することが好ましい。本発明は、ナノファイバーに添加物を付加することで吸音特性が変化するという新たな知見に基づくものであり、上記実施例以外の添加物でも同様の作用が見込まれる。添加物の付加によりナノファイバー(繊維1本1本)の重量等が変化することで、吸音特性が変化すると考えられる。本発明によれば、添加物5の選択により、選択的に吸音に関する特性(例えばピーク位置)を変えることができる。本発明によれば、添加物5により吸音率を調整できるともいえる。本発明によれば、低周波帯域(例えば2000Hz以下)での吸音率を高めることができる。
(実施例2)
実施例2において、第1ナノファイバー31及び第2ナノファイバー41は、内部に互いに同一の添加物5を含んでいる。添加物5は、酸化セリウム(CeO)である。第1ナノファイバー31及び第2ナノファイバー41の平均繊維径は、それぞれ約200nmである。不織布2の厚さは、5mmである。第1シート3及び第2シート4の厚さは、それぞれ100μmである。第1ナノファイバー31及び第2ナノファイバー41の原料は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)である。製造方法は、上記のようにエレクトロスピニング法である。
上記エレクトロスピニング法で形成されたナノファイバー31、41の繊維内比率は、下記の通りである。
酸化セリウム 鹿特級(関東化学社製):16.59%
PDVFコポリマー solef21216(ソルベイ社製):83.41%
また、原料溶液(第2溶液)の液中比率は、前者(酸化セリウム)が1.79%で、後者(PVDF)が9.00%である。
実施例2の吸音材1に対して、垂直入射吸音率測定により吸音率を測定した。吸音材1の平面方向に対して垂直な方向からの、周波数125Hz〜5000Hzの音の吸音率(垂直入射吸音率)を、WinZac(日本音響エンジニアリング株式会社製)を用いて測定した。測定結果を図4の破線に示す。
(実施例3)
実施例3において、第1ナノファイバー31及び第2ナノファイバー41は、内部に互いに同一の添加物5を含んでいる。添加物5は、中空ゼオライトである。第1ナノファイバー31及び第2ナノファイバー41の平均繊維径は、それぞれ約200nmである。不織布2の厚さは、5mmである。第1シート3及び第2シート4の厚さは、それぞれ100μmである。第1ナノファイバー31及び第2ナノファイバー41の原料は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)である。製造方法は、上記のようにエレクトロスピニング法である。
中空ゼオライトは、実施例1のゼオライト(以下、「粉砕ゼオライト」という)とは異なる形状のゼオライトである。中空ゼオライトは、各粒子が中空の(内部が詰まっていない)球状となるように形成されている。一方、粉砕ゼオライトは、例えば中空ゼオライトを粉砕して細かくした状態(中実状といえる)のゼオライトである。中空ゼオライトの密度は、粉砕ゼオライトの密度及びナノファイバーの密度よりも小さい(粉砕ゼオライトの密度>ナノファイバーの密度>中空ゼオライトの密度)。ナノファイバーを基準とすると、粉砕ゼオライトや酸化セリウムの比重は大きく、中空ゼオライトの比重は小さい。
参考に、図5に中空ゼオライト入りのナノファイバーを示し、図6に粉砕ゼオライト入りのナノファイバーを示す。酸化セリウム及び粉砕ゼオライトの平均粒径(平均幅)は、ナノファイバーの繊維径よりも小さい。中空ゼオライトには、最大幅(粒径)がナノファイバーの繊維径より大きいものも含まれている。したがって、図5に示すように、中空ゼオライトを混ぜたナノファイバーでは、繊維に凹凸が形成され、曲がりくねった凹凸構造が形成されている。一方、図6に示すように、粉砕ゼオライトを混ぜたナノファイバーでは、繊維内に一様にゼオライトが含有され、繊維の形状も一様となっている。図5及び図6から分かるように、添加物5の大きさは、ナノファイバーの1本の繊維で固定可能な大きさといえる。
上記エレクトロスピニング法で形成されたナノファイバー31、41の繊維内比率は、下記の通りである。
合成ゼオライト系吸着剤 ゼオラムF-9(東ソー社製):16.59%
PDVFコポリマー solef21216(ソルベイ社製):83.41%
また、原料溶液(第2溶液)の液中比率は、前者(中空ゼオライト)が1.79%で、後者(PVDF)が9.00%である。実施例3の吸音材1に対して、実施例2と同じ測定方法にて吸音率を測定した。測定結果を図4の二点鎖線に示す。
実施例2、3において、第1シート3と不織布2、及び第2シート4と不織布2とは、それぞれ不織布2の一部(ここでは中央位置)に配置された両面テープにより接合されている。両面テープによる接合は、両面テープの特性が吸音材1全体の特性に大きく影響しないように、不織布2の一部分に配置されることが好ましい。両面テープは、各シート3、4に、位置決めができる程度の大きさで配置されている。不織布2の全面に両面テープを配置すると両面テープの影響が大きくなる。
図4には、実施例2、3と同じ測定方法により測定された他の吸音材の測定結果も表示されている。すなわち、図4には、厚さ13mmの市販のシンサレート(点線で表示)と、厚さ5mmの不織布の両面に実施例2、3における添加物5を含まないナノファイバーシートを接合させたもの(以下「第1純ナノ吸音材」という)(実線で表示)とが表示されている。以下、実施例2の吸音材1を「第1酸化セリウム入り吸音材」と称し、実施例3の吸音材1を「第1中空ゼオライト入り吸音材」と称する。
(図4の検討)
図4には、添加物5のみが異なるように、同じ条件で製造され同じ方法で測定された複数の吸音材の測定結果が表示されている。この結果によれば、第1純ナノ吸音材と比較して第1酸化セリウム入り吸音材は、吸音率のピークが低周波側にシフトしている。また、第1純ナノ吸音材と比較して第1中空ゼオライト入り吸音材は、吸音率のピークが高周波側にシフトしている。このように、添加物5を変えることで、ナノファイバーの繊維径を変えることなく、吸音特性(吸音率がピークとなる周波数)を変化させることができた。
図4の検討におけるピークとは、横軸を周波数として上に凸に描かれた曲線の頂点(極大値ともいえる)であって、且つ所定基準値との差が最大である点である(極大値>所定基準値)。所定基準値は、比較する極大値と同一周波数において、吸音材1と同じ厚さのシンサレート(市販品)の吸音率である(図7の点線参照)。なお、図7のシンサレートの吸音率は、厚さ13mmのシンサレートの吸音率(測定値)から演算により厚さ5.2mmのシンサレートの吸音率に変換した演算値である。なお、図4の検討におけるピークは、周波数5000Hz以下で、極大値且つ最大値となる点であるともいえる。
<第2実施形態>
第2実施形態の吸音材10は、図8に示すように、ナノファイバー61で構成されたシート6と、シート6の一方面6aに配置された第1不織布7と、シート6の他方面6bに配置された第2不織布8と、を備えている。ナノファイバー61は、内部に添加物5を含んでいる。不織布7、8はシート状に形成されている。シート6と第1不織布7、及びシート6と第2不織布8は、実施例2、3と同様、一部が両面テープで接合(位置決め可能な程度)されている。ナノファイバー61及びシート6の製造については、第1実施形態と同様である。このような構成であっても、第1実施形態と同様の原理により、吸音材の大きさを維持したまま、添加物5によって吸音特性を変化させることができる。
(実施例4)
実施例4において、添加物5は、酸化セリウムである。ナノファイバー61の平均繊維径は、約200nmである。第1不織布7及び第2不織布8の厚さは、それぞれ5mmである。シート6の厚さは、100μmである。つまり、吸音材10の厚さは10.1mmである。ナノファイバー61の原料は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)である。製造方法は、上記のようにエレクトロスピニング法である。
上記エレクトロスピニング法で形成されたナノファイバー61の繊維内比率は、下記の通りである。
酸化セリウム 鹿特級(関東化学社製):16.59%
PDVFコポリマー solef21216(ソルベイ社製):83.41%
また、原料溶液(第2溶液)の液中比率は、前者(酸化セリウム)が1.79%で、後者(PVDF)が9.00%である。
実施例4の吸音材10に対して、垂直入射吸音率測定により吸音率を測定した。吸音材1の平面方向に対して垂直な方向からの、周波数125Hz〜5000Hzの音の吸音率(垂直入射吸音率)を、WinZac(日本音響エンジニアリング株式会社製)を用いて測定した。測定結果を、図9の破線に示す。
(実施例5)
実施例5において、添加物5は、中空ゼオライトである。ナノファイバー61の平均繊維径は、約200nmである。第1不織布7及び第2不織布8の厚さは、それぞれ5mmである。シート6の厚さは、100μmである。つまり、吸音材10の厚さは10.1mmである。ナノファイバー61の原料は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)である。製造方法は、上記のようにエレクトロスピニング法である。
上記エレクトロスピニング法で形成されたナノファイバー61の繊維内比率は、下記の通りである。
合成ゼオライト系吸着剤 ゼオラムF-9(東ソー社製):16.59%
PDVFコポリマー solef21216(ソルベイ社製):83.41%
また、原料溶液(第2溶液)の液中比率は、前者(中空ゼオライト)が1.79%で、後者(PVDF)が9.00%である。実施例5の吸音材10に対して、実施例4と同様の測定方法にて吸音率を測定した。測定結果を図9の二点鎖線に示す。
図9には、実施例4、5と同じ測定方法により測定された他の吸音材の測定結果も表示されている。すなわち、図9には、厚さ10.1mmの市販のシンサレート(演算値:点線で表示)と、実施例4、5における添加物5を含まないナノファイバーシート(100μm)の両面に、厚さ5mmの不織布を接合させたもの(以下「第2純ナノ吸音材」という)(実線で表示)とが表示されている。以下、実施例4の吸音材10を「第2酸化セリウム入り吸音材」と称し、実施例5の吸音材10を「第2中空ゼオライト入り吸音材」と称する。
(図9の検討)
図9には、添加物5のみが異なるように、同じ条件で製造され同じ方法で測定された複数の吸音材の測定結果が表示されている。この結果によれば、第2純ナノ吸音材と比較して第2酸化セリウム入り吸音材は、吸音率のピークが低周波側にシフトしている。また、第2純ナノ吸音材と比較して第2中空ゼオライト入り吸音材は、吸音率のピークが高周波側にシフトしている。第1実施形態同様、添加物5を変えることで、ナノファイバーの繊維径を変えることなく、吸音特性(吸音率がピークとなる周波数)を変化させることができた。
図9の検討におけるピークとは、図4の検討と同様、横軸を周波数として上に凸に描かれた曲線の頂点(極大値ともいえる)であって、且つ所定基準値との差が最大である点である(極大値>所定基準値)。所定基準値は、比較する極大値と同一周波数において、吸音材10と同じ厚さのシンサレート(市販品)の吸音率である(図9の点線参照)。なお、図9のシンサレートの吸音率は、厚さ13mmのシンサレートの吸音率(測定値)から演算により厚さ10.1mmのシンサレートの吸音率に変換した演算値である。参考に13mmのシンサレートの吸音率を表示したグラフを図10に示す。また、図9の検討におけるピークは、周波数1000Hz以下で、最大値となる点であるともいえる。
(実施例6)
実施例6の吸音材10は、シート6として実施例4のシート6(酸化セリウム入り)と同じものを用い、第1不織布7及び第2不織布8に代えてそれぞれ同じ厚さのシンサレートを用いて形成されている。つまり、シート6は、厚さ100μmであって、酸化セリウムを添加物5としたナノファイバー61で形成されている。第1不織布7としてのシンサレート(厚さ6.5mm)がシート6の一方面に貼り付けられ、第2不織布8としてのシンサレート(厚さ6.5mm)がシート6の他方面に貼り付けられている。実施例6の吸音材10の厚さは、13.1mmである。実施例6の吸音材10に対して、実施例4と同様の測定方法にて吸音率を測定した。測定結果を図11の破線に示す。
(実施例7)
実施例7の吸音材10は、実施例6のシート6を実施例5のシート6(中空ゼオライト入り)と同じものに変更したものである。つまり、実施例7のシート6は、厚さ100μmであって、中空ゼオライトを添加物5としたナノファイバー61で形成されている。第1不織布7としてのシンサレート(厚さ6.5mm)がシート6の一方面に貼り付けられ、第2不織布8としてのシンサレート(厚さ6.5mm)がシート6の他方面に貼り付けられている。実施例7の吸音材10の厚さは、13.1mmである。実施例7の吸音材10に対して、実施例4と同様の測定方法にて吸音率を測定した。測定結果を図11の二点鎖線に示す。
図11には、実施例6、7と同じ測定方法により測定された他の吸音材の測定結果も表示されている。すなわち、図11には、厚さ13.1mmの市販のシンサレート(演算値:点線で表示)と、実施例6、7における添加物5を含まないナノファイバーシート(100μm)の両面に、厚さ6.5mmのシンサレートを接合させたもの(以下「第3純ナノ吸音材」という)(実線で表示)とが表示されている。以下、実施例6の吸音材10を「第3酸化セリウム入り吸音材」と称し、実施例7の吸音材10を「第3中空ゼオライト入り吸音材」と称する。
(図11の検討)
図11には、添加物5のみが異なるように、同じ条件で製造され同じ方法で測定された複数の吸音材の測定結果が表示されている。この結果によれば、第3純ナノ吸音材と比較して第3酸化セリウム入り吸音材は、吸音率のピークが低周波側にシフトしている。また、第3純ナノ吸音材と比較して第3中空ゼオライト入り吸音材は、吸音率のピークが高周波側にシフトしている。第1実施形態同様、添加物5を変えることで、ナノファイバーの繊維径を変えることなく、吸音特性(吸音率がピークとなる周波数)を変化させることができた。
図11の検討におけるピークとは、図4及び図9の検討と同様、横軸を周波数として上に凸に描かれた曲線の頂点(極大値ともいえる)であって、且つ所定基準値との差が最大である点である(極大値>所定基準値)。所定基準値は、比較する極大値と同一周波数において、吸音材10と同じ厚さのシンサレート(市販品)の吸音率である(図11の点線参照)。なお、図11のシンサレートの吸音率は、厚さ13mmのシンサレートの吸音率(測定値)から演算により厚さ13.1mmのシンサレートの吸音率に変換した演算値である。参考に13mmのシンサレートの吸音率を表示したグラフを図12に示す。なお、図11の検討におけるピークは、周波数3000Hz以下で、最大値となる点であるともいえる。
ゼオライトや酸化セリウムは、ナノファイバーの繊維内に包含可能なナノ粒子ともいえる。本実施形態のナノファイバーは、添加物5として、ナノファイバーを構成する樹脂材料とは密度が異なるナノ粒子を含んでいるといえる。また、不織布は、繊維を絡めたシート状のものである。本明細書において、シンサレートは、不織布に含まれる。
(まとめ)
第1実施形態及び第2実施形態のように、本発明によれば、ナノファイバーに添加物5を含めることで吸音特性を変化させ、特定の周波数について狙って吸音することが可能となる。ナノファイバーよりも密度が大きい添加物5をナノファイバーに混ぜると吸音率のピークを低周波側にシフトさせることができ、ナノファイバーよりも密度が小さい添加物5をナノファイバーに混ぜると吸音率のピークを高周波側にシフトさせることができると考えられる。これは、ナノファイバーに添加物5を混ぜることで、製造されたシート3、4、6の密度や剛性等が変化することが吸音特性に影響した結果であると考えられる。
また、本発明によれば、ナノファイバー31、41、61の繊維径を変えることなく、シート3、4、6の吸音特性を変化させることができる。このため、吸音材1、10の厚さ等を変更することなく、吸音特性のみを変化させることができる。例えばナノファイバーの繊維径を大きくすると低周波を吸音しやすくなると考えられるが、シートの厚さを維持すると音を反響させる表面積が減るため、それが吸収率に影響する可能性がある。つまり、低周波の吸音率を向上させるためには、ナノファイバーの繊維径を大きくし且つシートの厚さも大きくしなければならないと考えられる。
しかし、本発明によれば、シートの厚さを変えることなく吸音特性を変化させることができるため、例えば吸音材を大型化させることなく低周波の吸音率を上げることができる。本発明によれば、搭載先(例えば車両等)における吸音材の収容部分の形状を変更する必要もなくなる。従来、特に、軽い材料で低周波帯域の吸音率を向上させることは困難であった。しかし、本発明によれば、特定の添加物5(例えばナノファイバーより密度が大きいゼオライト又は酸化セリウム)をナノファイバーに混ぜることで、低周波帯域の吸音率を向上させることができる。
また、本発明の吸音材は、添加物5を含むナノファイバー61で構成されたシート6と、シート6の一方面6aに配置された不織布7と、を備える構成であればよい。この構成であっても、添加物5によって吸音率の良好な周波数帯域を調整することができる。例えば表裏対象の吸音材が求められる場合、この構成において、シート6の他方面6bに不織布8を追加してもよいし、不織布7のもう一方の面にシート6を追加してもよい。
1、10…吸音材、2…不織布、21…一方面、22…他方面、3…第1シート、31…第1ナノファイバー、4…第2シート、41…第2ナノファイバー、5…添加物、6…シート、61…ナノファイバー、6a…一方面、6b…他方面、7…第1不織布、8…第2不織布。

Claims (11)

  1. 不織布と、
    前記不織布の一方面に配置され、第1ナノファイバーで構成された第1シートと、
    前記不織布の他方面に配置され、第2ナノファイバーで構成された第2シートと、
    を備え、
    前記第1ナノファイバー及び前記第2ナノファイバーの少なくとも一方は、内部に添加物を含んでいる、吸音材。
  2. 前記第1ナノファイバー及び前記第2ナノファイバーは、内部に互いに同一の前記添加物を含んでいる、請求項1に記載の吸音材。
  3. 周波数2000Hz以下において吸音率のピークを有する、請求項1又は2に記載の吸音材。
  4. 前記添加物の密度は、前記第1ナノファイバー及び前記第2ナノファイバーの密度よりも大きい、請求項1〜3の何れか一項に記載の吸音材。
  5. ナノファイバーで構成されたシートと、
    前記シートの一方面に配置された第1不織布と、
    を備え、
    前記ナノファイバーは、内部に添加物を含んでいる、吸音材。
  6. 前記シートの他方面に配置された第2不織布を備える、請求項5に記載の吸音材。
  7. 前記添加物の密度は、前記ナノファイバーの密度よりも大きい、請求項5又は6に記載の吸音材。
  8. 前記添加物は、酸化セリウムである、請求項1〜7の何れか一項に記載の吸音材。
  9. 前記添加物の密度は、前記第1ナノファイバー及び前記第2ナノファイバーの密度よりも小さい、請求項1〜3の何れか一項に記載の吸音材。
  10. 前記添加物の密度は、前記ナノファイバーの密度よりも小さい、請求項5又は6に記載の吸音材。
  11. 前記添加物は、ゼオライトである、請求項1〜10の何れか一項に記載の吸音材。
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