JP2021115713A - 導電性可撓導体と宇宙用導電性テザーとデブリ検出器及び宇宙用テザーセット - Google Patents

導電性可撓導体と宇宙用導電性テザーとデブリ検出器及び宇宙用テザーセット Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、宇宙用テザーとして好適な導電性可撓導体の提供を目的とする。【解決手段】本発明は、可撓性を有する樹脂製の帯状の基体と、該基体の長さ方向一端側から他端側にかけて延在されて前記基体の表面側と裏面側の少なくとも一面側または両面側に接着されたエッチング金属箔層を具備した導電性可撓導体に関する。また、本発明は、前記導電性可撓導体を備えた宇宙用テザーと宇宙用テザーセット及びデブリ検出器に関する。【選択図】図2

Description

本発明は、導電性可撓導体と宇宙用導電性テザー及びデブリ検出器と宇宙用テザーセットに関する。
近年、スペースデブリ(宇宙ごみ、以下デブリと略称する)の増加や小型衛星の急激な計画増加を受け、長期持続的宇宙開発のためには、人工衛星のミッション終了後の確実なデオービット(大気圏に再突入させて燃やし尽くすこと)が必要となっており、小型衛星のミッション終了後のデオービットデバイスとして導電性テザーが種々提案されている。
小型衛星はリソース制約が厳しく、高信頼性も保証できないことが多いため、大気抵抗も利用でき、単位長さ当たりの電子収集性能も高い、テープ状の導電性テザーが提案されている(非特許文献1参照)。
また、テープ以外の形状として、ワイヤを網組した網状あるいは組紐状のテザーも提案されている(特許文献1、2、3参照)。
更に、テープ状の導電性テザーとして、導電性材料からなるテープテザー(特許文献4参照)が知られ、アルミニウム箔を接着したフィルムやアルミニウム蒸着フィルムなども提案されている(非特許文献1参照)。
導電性テザーは、誘導起電力または外部電源により電流を流しながら地球磁場との相互作用によって推力(ローレンツ力)を発生させることができ、小型衛星の軌道修正のための推進力発生源としての利用を図ることができる。
導電性テザーの性能は、小型衛星の重量や軌道等によって異なるため、最適なテザー長さ・幅・厚みとして設計し、小型軽量化する必要がある。
導電性テザーとして長尺のアルミニウム箔を用いることが考えられる。アルミニウムは比重が軽く、導電率も良好であるが、軽量化を重視して薄いアルミニウム箔を用いると強度が不足するため、宇宙空間において拡伸した場合、断線するおそれがある。
特開2019−090146号公報 特許第4556027号公報 特許第4543203号公報 特開2007−083924号公報
渡部武夫他、「導電テープテザー技術を用いたPMDデバイス実証の検討」、第8回、スペースデブリワークショップ、講演資料集、P533〜542
前述の背景から、強度の高い樹脂製のフィルムに、一般に市販されている厚さ7〜10μm程度のアルミニウム箔を接着して導電性テザーを構成することが考えられる。
しかし、一般市販の厚さ程度のアルミニウム箔では厚すぎて導電性テザーとしての全体重量が大きくなりすぎ、小型衛星への搭載は難しくなる問題がある。なお、アルミニウム箔は一般の市販品より薄いものを入手することが困難な問題があり、また、入手できたとしてもフィルムに接着する作業が困難となり、一部に傷が付くと、傷が伝搬し易く、破断に繋がるおそれも高く、実質的に利用できないおそれが高い問題がある。
また、導電性テザーに形成する導電層をできるだけ薄くするために、フィルム上にアルミニウム層を蒸着することも考えられるが、アルミニウム蒸着膜として形成できるのは、膜厚0.1μm程度までであり、0.1μmを超える厚さの蒸着層を形成すると、膜の収縮等により平坦な蒸着膜を得ることができない問題がある。また、蒸着膜では、同厚のアルミニウム箔と比較して導電率が低くなり、導電性テザー用途として必要な導電率が得られず、蒸着膜の強度も不十分となる問題がある。
一方、宇宙空間に存在するデブリを検出するデブリセンサが知られている。
このデブリセンサは、衛星に搭載したキャパシター検出器やプラズマ電荷検出器を利用し、検出器にデブリが衝突してキャパシターやプラズマ電荷が変化することを検出することでデブリの存在を検出するセンサとして知られている。
これらのデブリセンサについて検討すると、デブリセンサには微細なデブリができるだけ多く衝突しないと統計上有意な情報が得られないが、現在開発されている100μm級デブリの検知ができるセンサは、0.1m級のサイズまでの製作が限界であった。
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みなされたものであって、導電性テザーなどの用途あるいはデブリセンサなどの用途に用いて好適な導電性可撓導体と宇宙用導電性テザーを提供すること、更には、それらを備えたデブリ検出器と宇宙用テザーセットの提供を目的とする。
本発明は、上記課題を解決する手段として、以下の構成を有する。
(1)本発明に係る導電性可撓導体は、可撓性を有する樹脂製の帯状の基体と、該基体の長さ方向一端側から他端側にかけて延在されて前記基体の表面側と裏面側の少なくとも一面側または両面側に接着されたエッチング金属箔層を具備したことを特徴とする。
(2)本発明に係る導電性可撓導体において、前記基体の表面側と裏面側にそれぞれエッチング金属箔層を設け、前記表面側の導体層の一部と前記裏面側の導体層の少なくとも一部に前記基体を厚さ方向に透視した状態において重ならない部分を設けた構成を採用することができる。
(3)本発明に係る導電性可撓導体は、前記基体の長さ方向の複数箇所において前記基体表面側のエッチング金属箔層と前記基体裏面側のエッチング金属箔層を接続する導通部を具備した構成を採用できる。
(4)本発明に係る導電性可撓導体において、前記基体表裏面両側の前記エッチング金属箔層に、前記基体の長さ方向に延在し前記基体の幅方向に複数形成された第1の導体層と、前記基体の幅方向に延在し前記基体の幅方向に存在する複数の前記第1の導体層を接続する複数の第2の導体層を有する構成を採用できる。
(5)本発明に係る導電性可撓導体において、前記エッチング金属箔層が前記基体の表面側と裏面側にそれぞれ接着層を介し接着され、前記エッチング金属箔層の側面基体側に前記接着層の一部が露出された構成を採用できる。
(6)本発明に係る宇宙用導電性テザーは、(1)〜(5)のいずれかに記載の導電性可撓導体からなることを特徴とする。
(7)本発明に係る宇宙用テザーセットは、(6)に記載された宇宙用テザーがボックスの内部に引き出し自在に収容されたことを特徴とする。
(8)本発明に係るデブリ検出器は、(1)〜(5)のいずれかに記載の導電性可撓導体を検出部として備え、前記エッチング金属箔層に接続された電流検出器と、前記電流検出器に接続されたバイアス電源とを具備したことを特徴とする。
(9)本発明に係るデブリ検出器において、前記バイアス電源に接続された電子放出源を備えた構成を採用できる。
本発明によれば、接着した金属箔をエッチングにより一般市販品の金属箔よりも薄い状態で基体上に設けることができ、蒸着層などとは異なり、比抵抗の低い、良好な導電率のエッチング金属箔層を有する導電性可撓導体を得ることができる。また、エッチング金属箔層であるならば、長尺の基体上であっても支障なく形成することができ、宇宙用テザーなどの長尺かつ軽量化用途の対象物に適用できる。
エッチング金属箔層であれば、薄くとも比抵抗が小さいので、電流を流す用途に好適であるとともに、全体重量を低く抑えることができ、小型の宇宙機などへの搭載も容易となる。
本発明に係る第1実施形態の宇宙用導電性テザーを備えた宇宙機の一例を示す斜視図である。 同宇宙用導電性テザーの一部を示す平面図である。 同宇宙用導電性テザーの一部を示す横断面図である。 同宇宙用導電性テザーの一部を示す縦断面図である。 同宇宙用導電性テザーをボックスに収容した宇宙用テザーセットの一例を示す斜視図である。 同宇宙用導電性テザーを製造する場合に用いる装置の一例を示す概略図である。 同宇宙用導電性テザーを製造するための工程の一部を示すもので、(a)は基体表裏面に接着した金属層に対しレジスト層を形成した状態を示す部分断面図、(b)はレジスト層を介し金属層をエッチングしてエッチング金属箔層の一部を形成した状態を示す部分断面図である。 本発明に係る第2実施形態の宇宙用導電性テザーにおけるエッチング金属箔層の一部を示す平面図である。 本発明に係る宇宙用導電性テザーをデブリ検出器に適用した一例を示す概念図である。 本発明に係る宇宙用導電性テザーをデブリ検出器に適用した他の例を示す概念図である。
「第一実施形態」
以下、本発明の第1実施形態を挙げて本発明の詳細について説明する。
図1は、本発明に係る第1実施形態の宇宙用導電性テザー(導電性可撓導体)1を搭載した宇宙機2が導電性テザー1を宇宙空間において拡伸した状態を示す斜視図である。導電性テザー1は、一例として、拡伸時に長さ数10m〜数10kmに至るまで、目的に応じた所望の長さに形成された長尺のテープ状の導電体であり、その先端部には重錘4が取り付けられている。
第1実施形態に係る導電性テザー1の詳細構造を図2〜図4に示す。本実施形態の導電性テザー1は、上述の長さに対応する樹脂製の帯状フィルムからなる基体3と、この基体3の表面側に形成された第1のエッチング金属箔層5と、基体3の裏面側に形成された第2のエッチング金属箔層6を有する。
基体3は、ポリイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などのポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂などのヤング率の高い樹脂からなる帯状フィルムである。一例として、基体3は、厚さが4〜30μm程度(例えば7.5〜12.5μm程度)、幅が数mm〜1m程度、長さは目的に応じて30〜40mのものから、数10kmのものまで、後述する目的に合わせて必要な長さのものを選択できる。
小型衛星となる宇宙機2に搭載する場合は宇宙機2の規模に合わせて長さ数10mのものを使用でき、大型衛星となる宇宙機やステーション、長大な宇宙構造物等に搭載する場合は数10kmまでの長さのものを選択できる。
第1のエッチング金属箔層5は、基体3の表面側に接着層7により接着されている。第1のエッチング金属箔層5は、基体3の長さ方向一端側から他端側にかけて直線状に延在された複数本の表面側第1の導体層8を有している。表面側第1の導体層8は、基体3の幅方向に1本または所定の間隔をあけて複数本形成されている。図2に示す実施形態では、基体3の幅方向に沿って所定の間隔をあけて5本の表面側第1の導体層8が形成されているが、表面側第1の導体層8の本数は特に制限はなく、基体3の幅に合わせて数10本から数100本形成しても良い。
第2のエッチング金属箔層6は、基体3の裏面側に接着層7により接着されている。第2のエッチング金属箔層6は、基体3の長さ方向一端側から他端側にかけて直線状に延在された複数本の裏面側第1の導体層9を有している。裏面側第1の導体層9は、基体3の幅方向に所定の間隔をあけて複数本形成されている。図2に示す実施形態では、基体3の幅方向に沿って所定の間隔をあけて4本の裏面側第1の導体層9が形成されているが、裏面側第1の導体層9の本数も特に制限はない。
基体3の裏面側においては、基体3の幅方向に沿って隣接された先の表面側第1の導体層8…の間の領域に対応する位置に、裏面側第1の導体層9が4本形成されている。
即ち、表面側第1の導体層8と裏面側第2の導体層9は図2に示すように基体3を平面視した場合、形成位置が重ならないように設けることができる。換言すると、基体3を厚さ方向に透視した状態において表面側第1の導体層8と裏面側第1の導体層9は重なることなく基体3の幅方向に互いにずれた位置に形成されている。このため、基体3の幅方向に隣接する複数の表面側第1の導体層8が形成されている間隔は、裏面側第1の導体層9の幅よりも大きく設定されている。
第1の導体層8、9は比抵抗が低く、導電率の優れたエッチング金属箔層から形成されている。この実施形態において例えば第1の導体層8、9は、純アルミニウムあるいはアルミニウム合金を含む概念としてのアルミニウムからなる。用いるアルミニウム合金として、特に組成に制限は無く、なるべく比抵抗の小さいアルミニウム合金を用いることが望ましいが、純アルミニウムから第1の導体層8、9を構成しても良い。また、第1の導体層8、9を構成する金属材料はアルミニウム以外の比抵抗の低い、導電率の良好な金属材料を用いても良く、銅などの良導電性の金属材料にメッキを施した複合導電層から構成しても良い。
第1の導体層8、9の幅について特に制限はないが、一例として、幅数10μm〜数cm程度の範囲を選択することができる。
第1の導体層8、9の厚さについて特に制限はないが、一例として、厚さ1μm〜50μm程度の範囲を選択することができる。
なお、第1の導体層8、9を有する導電性可撓導体が後述する実施形態のようなデブリ検出器用であるならば、導体層へのデブリの衝突により導体層が断線するように形成する必要があるため、検出対象のデブリの外径より小さい幅か、デブリの外径に合致した幅を選択することが好ましい。検出対象のデブリの外径より幅の小さい導体層を用いるならば、デブリの衝突により断線した第1の導体層8、9の本数を把握することでデブリの大きさを把握することができる。
しかし、導電性可撓導体の用途がデブリ検出器以外の用途であるならば、特に幅に制約はなく、導電性テザー用途とした場合の全体重量が不要に増加しない程度の厚さと幅を選択することができる。
なお、第1の導体層8、9を形成する場合、後述する厚さのアルミニウム箔から後述するエッチングにより形成する上述の厚さの第1の導体層8、9であるならば、小型衛星用途の宇宙用導電性テザーとして好適な、テザー1m当たりの電気抵抗値0.3Ω/m程度以下であって、良好な導電率を有する第1の導体層8、9を確実に得ることができる。
基体3の表面側において第1の導体層8の長さ方向に所定の間隔をあけた位置に基体3の幅方向に延在して基体3の幅方向に存在する全ての表面側第1の導体層8に接続する表面側第2の導体層10が形成されている。図2に示す例では表面側第2の導体層10が表面側第1の導体層8に直交するように形成されている。
表面側第2の導体層10を形成する金属材料は第1の導体層8、9を形成する金属材料と同等で良く、その幅、厚さにおいて特に制限はないが、第1の導体層8、9と同等程度の幅と厚さに形成することができる。
基体3の裏面側において第1の導体層9の長さ方向に所定の間隔をあけた位置に基体3の幅方向に延在して基体3の幅方向に存在する全ての裏面側第1の導体層9に接続する裏面側第2の導体層11が形成されている。図2の形態では裏面側第2の導体層11が裏面側第1の導体層9に直交するように形成されている。
裏面側第2の導体層11を形成する金属材料は第2の導体層10を形成する金属材料と同等で良く、その幅、厚さにおいて特に制限はないが、第1の導体層8、9と同等程度の幅と厚さに形成することができる。
基体3を平面視した状態において表面側第2の導体層10が裏面側第1の導体層9と交差する部分に基板3をその厚さ方向に貫通するコンタクトホール12が形成されている。また、基体3において基体3を平面視した状態において裏面側の第2の導体層11が表面側の第1の導体層8と交差する部分に基板3をその厚さ方向に貫通するコンタクトホール13が形成されている。
また、コンタクトホール12の内部に表面側第2の導体層10と裏面側第1の導体層9に導通する貫通電極(導通部)15が形成され、コンタクトホール13の内部に裏面側第2の導体層11と表面側第1の導体層8を導通する貫通電極(導通部)16が形成されている。
これら第2の導体層11、12と貫通電極15、16を設けることにより、表面側第1の導体層8と裏面側第1の導体層9は相互に導通されている。
以上説明のように構成された導電性テザー1は、宇宙機2を地上から打ち上げる前の段階においては図5に示す矩形状の開閉蓋付きのボックス17に収容しておく。そして、宇宙機2において予め計画された宇宙空間でのミッションが終了するまで導電性テザー1はボックス17に収容されている。
一例として、導電性テザー1は、ボックス17に例えば図5に示すように折り畳んで収容されている。導電性テザー1の先端に重錘4が取り付けられているが、導電性テザー1がその基端部側からボックス17の内部側に順次折り畳まれた後、開閉蓋17aに一番近い位置に重錘4が配置される。ボックス17の内部において、図5では略しているが、開閉蓋17aを解放後、ばね力などを利用して重錘4をボックス17の開口部17bから外方に打ち出すためのばね部材等の射出装置が組み込まれている。
なお、ボックス17の形状は任意で良く、開閉蓋の形状も特に限定するものではなく、導電性テザー1の収容形態も折り畳みに限らず、ロール巻き収容など、他の収容形態であっても良い。
また、導電性テザー1を折り畳んでボックス17に収容する際、導電性テザー17の表面側第1の導体層8と裏面側第1の導体層9が基体3をその厚さ方向に平面透視した場合に位置ずれするように配置されているので、基体3を何重にも折り畳んでボックス17内に収容する場合に、折り畳み厚さを小さくできる。このため、コンパクトに折り畳んだ導電性テザー17をできるだけ小さいサイズのボックス17に収容することができる。
導電性テザー1の基端部はボックス17の底部に固定されるか、ボックス17が搭載される宇宙機2の本体に固定される。
なお、導電性テザー1をボックス17に収容する場合、ロール状に巻き付けて収容しておき、巻き出すようにしても良い。導電性テザー1をボックス17に収容する形態は特に限定するものではなく、取り出し可能な状態で収容し、必要に応じて取り出すことができる形態であれば良い。
宇宙機2の本来のミッションが終了した場合、ボックス17の開閉蓋17aを図示略の開閉装置により開放し、射出装置が重錘4を宇宙区間に放出する。宇宙空間への重錘4の放出に引かれて導電性テザー1は順次ボックス17から繰り出され、図1に示すように宇宙空間に拡伸される。導電性テザー1の先端には重錘4が取り付けられているが、この重錘4の重量が導電性テザー1を宇宙空間で直線状に張り出すために有効となる。
導電性テザー1は、その長さ方向基端側から先端側にかけて導電性を有する第1の導体8、9を備えたエッチング金属箔層5、6を有する。このため、導電性テザー1が宇宙空間において地球磁場を横切ることにより誘導起電力を発生し、周辺プラズマとの間で閉回路を構成しながら誘導電流を流し、その電流と地球磁場との相互誘導作用により電磁力(ローレンツ力)を発生できる。ローレンツ力が発生すると宇宙機2にはブレーキがかかるので必然的に降下する。
なお、ボックス17から宇宙区間に重錘体4を打ち出すことを利用して導電性テザー1を拡伸すると、質量の大きな重錘4は地球の重力の影響を受けて地球の中心に向かう方向に移動するので、導電性テザー1を確実に下向きに拡伸することができる。
このため、導電性テザー1に地球磁場に伴うローレンツ力を必要な方向に付与することができる。そして、このローレンツ力は、宇宙空間において宇宙機2の高度を下げる方向に作用する。このため、ミッションが終了した宇宙機2の高度を低下させることができ、高度を下げることで、いずれ宇宙機2を大気圏に再突入させて燃え尽きさせるデオービットを実施できる。
宇宙機2の本体のミッションが宇宙区間に存在するデブリの除去である場合、宇宙機2の打ち上げ後に所定の軌道を周回するようになったならば、ボックス17の開閉蓋17aを開放し、導電性テザー1を拡伸させ、宇宙機2が所定の高度を保つように制御する。
この状態で宇宙機2が軌道上を周回すると、導電性テザー1と衝突したデブリは軌道が変わって地球の大気圏に向けて落下し、大気圏に突入するので、軌道上のデブリの除去ができる。
なお、導電性テザー1において表裏面の第1の導体層8、9を第2の導体層10、11に貫通導体12、13で電気的に接続しているのは、導電性テザー1にデブリが衝突して特定の第1の導体層8、9の一部が断線した場合であっても、他の第1の導体層8、9と第2の導体層10、11をバイパス経路として利用し、導体層どうしの導通を確保するためである。第1の導体層8、9あるいは第2の導体層10、11が、デブリとの衝突により一部断線したとして、基体3のほぼ全長に存在する第1の導体層8、9の導通を確保できるので、第1の導体層8、9に沿って確実に電子を流してローレンツ力の発生を得ることができる。
宇宙機2が打ち上げられる軌道には現状、100μm級程度のデブリが多数存在し、mm級以上のデブリも一部存在するといわれている。これらのデブリが仮に第1の導体層8、9に衝突し、第1の導体層8、9の衝突部分に断線を生じさせたとしても、導電性テザー1のほぼ全長に渡り第1の導体層8、9に確実に電子を流して必要なローレンツ力を発生させることができる。このため、宇宙機2の高度を下げて大気圏に再突入させるという目的を確実に実行できる。
以上説明したように、樹脂製の帯状の基体3にエッチング金属箔層5、6を接着した導電性可撓性導体1であるならば、接着した金属箔をエッチングにより一般市販品の金属箔よりも薄い状態で基体上に設けることができ、蒸着層などとは異なり、比抵抗が小さく薄いエッチング金属箔層5、6を有する導電性可撓導体1を得ることができる。また、エッチング金属箔層5、6であるならば、長尺の基体上であっても任意のパターンで支障なく形成することができ、宇宙用テザーなどの長尺かつ軽量化用途の対象物に適用できる。
エッチング金属箔層5、6であれば、比抵抗が小さいので、電流を流す用途に好適であるとともに、全体重量を低く抑えることができ、小型の宇宙機などへの搭載も容易となる。エッチング金属箔を接着するのは、帯状の基体の表面側でも裏面側でもよく、両面側であっても良い。
基体表面側のエッチング金属箔層5と基体裏面側のエッチング金属箔層6に、基体3の厚さ方向に透視した状態において重ならない部分を設けることにより、長尺の基体3を折り畳んでまたはロール状に巻き付けて収容する場合、重なり部分の厚さを減じることができ、折り畳み状態で全体厚さの小さいコンパクトな構成の導電性可撓導体1を提供できる。
基体表面側のエッチング金属箔層5と基体裏面側のエッチング金属箔層6を複数の導通部を介し接続しておくならば、どちらか一方のエッチング金属箔層の一部に断線を生じても断線部分に隣接する導通部をバイパス導電路とすることができる。このため、仮に一部に断線部分を生じても、この断線部分を除いて基体表面側のエッチング金属箔層5の導通と基体裏面側のエッチング金属箔層6の導通を図ることができる。
基体3の幅方向に存在する複数の第1の導体層8を第2の導体層10で接続し、複数の第1の導体層9を第2の導体層11で接続しするならば、第1の導体層8、9の一部に断線を生じても断線部分に隣接する第2の導体層10、11をバイパス導電路とすることができる。このため、仮に断線部分を生じても、この断線部分を除いて第2の導体層10、11により基体表面側の第1の導体層8どうしの導通と基体裏面側の第1の導体層9どうしの導通を図ることができる。
導電性可撓導体からなる導電性テザー1を宇宙空間に保持した場合、導電性テザー1が地球磁場を横切ることにより誘導起電力が発生し、周辺プラズマとの間で閉回路を構成しながら誘導電流が流れ、その電流と地球磁場との相互誘導作用により電磁力(ローレンツ力)が発生する。
この電磁力の作用により、上述の導電性テザー1を宇宙機に搭載し、宇宙空間に拡伸するならば、特に特別な動力などを要しなくとも、搭載した宇宙機の軌道を低く変更することができる。このため、小型衛星のミッション終了後などにおいて、宇宙用導電性テザーを利用し、宇宙機を大気圏に再突入させて燃え尽きさせるデオービットに利用できる。
また、接着層は高分子化合物を含むので、宇宙空間に導電性可撓導体を保持した場合、エッチング金属箔層5、6の下に存在する接着層7からガスが放出される。
エッチング金属箔層の周囲に放出されたガスは、エッチング金属箔層5、6の周囲に分散し、宇宙空間においてエッチング金属箔層の周囲に生成するプラズマを増やす作用を奏するので、接着層7の存在はエッチング金属箔層5、6における電子の捕集に寄与し、宇宙用導電性テザー1が発生させる電磁力の向上に寄与する。
また、基体3の長さ方向に延在する第1の導体層8、9を複数備えた構成であるならば、複数の第1の導体層8、9において各々の第1の導体層8、9の両側部毎に接着層7の露出部分を有するので、宇宙用導電性テザー1として周辺プラズマから第1の導体層8、9毎に電子を集める構造として有利な特徴を有する。
宇宙用導電性テザー1をボックスの内部に折り畳んでまたはロール状に巻き付けて収容した宇宙用テザーセットであるならば、単体で販売可能であり、取り扱いも容易で、小型衛星として使用される宇宙機に納まり良く簡単に取り付けることができる。
また、小型衛星のミッション終了後などにおいて、折り畳んで収容するか、あるいは、ロール状に巻き付けて収容した導電性可撓導体をボックス17から排出させて宇宙空間に容易に拡伸することができ、拡伸させた導電性可撓導体により、電磁力を発揮させて宇宙機の軌道を変えることができる。宇宙用テザーによる大気抵抗を利用し、宇宙機の高度を低く変更して大気圏に再突入させることができ、ミッション終了後に特別な動力を用いなくとも、確実なデオービットを実現できる宇宙用テザーセットを提供できる。
「製造装置、製造方法」
図6は、樹脂製の基体3にエッチング処理によって必要な厚さかつ必要な導電率の導体層を形成する場合に用いる装置の概要について示す説明図である。
本実施形態に係る導電性テザー1を製造するには、一例として、図7(a)に示すように樹脂製の長尺の帯状の基体3の表裏両面全面に接着層20を介して基体3の表面と裏面を覆う金属箔導電層21を接着する。ここで用いる金属箔導電層21は一般的に市販されている厚さ7〜50μm程度の厚さのアルミニウム箔を用いることができる。この厚さ範囲のアルミニウム箔であれば取り扱いも容易であり、基体3の表裏面に金属箔導電層21を確実に接着することができる。
接着層20は接着剤を含み、公知の接着剤と同様とすることができる。例えば、接着層20は、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、塩化ビニル樹脂等で形成することができる。接着層の形成方法も特に限定されず、公知の形成方法を広く採用することができる。
また、基板3の表面と裏面に第1の導体層8、9と第2の導体層10、11を形成するべき位置に、必要な厚さのレジスト層22を形成しても良いし、予め、基板3の表面と裏面の全面にレジスト層22を形成後、導体層10、11を形成するべき位置を除く位置のレジストを除去する方法を用いても良い。レジスト層22を形成するには金属箔導電層21の表面に塗布法などによりレジスト層を形成後、レジスト層を除去する部分に露光を行い、露光部分をレジスト除去液に浸漬して除去する手段を採用することができる。あるいは、用いるレジスト層がネガ型であるかポジ型であるかの性質に応じ、レジスト層を残すべき部分に露光を行い、レジスト除去液に浸漬し、露光していない部分を除去する手段を採用しても良い。
図7(a)に示すように表面側の金属箔導電層21の上面、あるいは、裏面側の金属箔導電層21の下面の必要位置にレジスト層22を備えた基体3を得たならば、図6に示す送出装置25にこの基体3を必要長さ巻き付ける。または、予め基体3を巻き取ったロール体を用意し、送出装置25に設置しても良い。
次いで、図6に示すようにエッチング処理装置26とレジスト剥離装置27と洗浄装置28と乾燥装置29を隣接配置した製造装置に図7(a)に示す基体3を送出装置25から順次送り込み、それぞれの装置で処理を行なう。
エッチング処理装置26によりレジスト層22で覆われていない金属箔導電層21の部分を除去すると第1の導体層と第2の導体層に相当する部分の金属箔導電層が接着層20に接着された状態で残留する。レジスト層を除去する方法を採用する場合は、レジスト剥離装置27でレジスト層22を除去する。次いで、洗浄装置28で全体を洗浄し、乾燥装置28で乾燥する。レジスト層22を必ず除去する必要は無く、例えば、ドリル等の工具で穴あけを行い、ネジ等で宇宙機2と固定する場合は、残しておいても良い。なお、レジスト層22を残しておくと、アルミニウムの真空固着を防止できたり、熱光学特性を改善できる可能性を有する。例えば、アルミニウムが仮に表面に露出していると真空中で振動して擦られた場合に、固着して剥がせなくなるおそれがある。また、金属は一般に熱光学特性が悪いので、宇宙区間で太陽光があたると高温になり、導電率が低下するおそれがある。レジスト層22を残しておくとこれらの問題を回避できる可能性がある。
各装置で処理後、図6に示す巻取装置30で基体3を巻き取ると、図7(b)に示す必要位置にのみ金属箔導体層23、24を形成した導電性テザー素材31を得ることができる。
なお、導電性テザー素材31の軽量化を図るため、図7(a)に示す状態からエッチング処理を行う場合、レジスト層22を除去した後、生成する金属箔導体層23と金属箔導体層24の厚みを減じるように第2のエッチング処理を行うことが好ましい。
例えば、膜厚7〜50μm程度の金属箔導電層21の厚さを減じて膜厚1〜45μm程度の金属箔導体層23、24を形成することにより、図2〜図4に示す第1の導体層8、9と第2の導体層10、11を備えた構造と同等構成の導電性テザー素材31を得ることができる。
より好ましくは金属箔導体層23の膜厚を1〜4μmの構成とすることである。この構成とすれば、未エッチング状態の市販のアルミニウム箔よりも厚みが薄いので、導電性テザー素材31をより一層軽量化する事ができる。
前記第2のエッチング処理は、例えば図6に示す装置と同等構成の装置を別途に1機用意し、エッチング処理を行い、表面から金属箔導電層を溶解させる手順を行うことができる。
本実施形態においては、所定厚さのアルミニウム箔を基材上に接着し、該アルミニウム箔からエッチングにより導体層を形成し、その厚さをエッチング処理により減じることで形成した層をエッチング金属箔層と称する。
エッチング処理の際、サイドエッチ効果により、金属箔導体層23、24の両側面側に金属箔導体層23、24の厚みの0〜10倍程度の溶解が発生するので、金属箔導体層23、24の両側面側には斜面が生成することがある。また、回路形成後に金属箔導電層21の厚さをエッチングにより減じる場合、エッチングにより表面が荒らされるので、金属箔導体層23、24は一般市販のアルミニウム箔の表面より表面粗度が高くなる。
基体3の表面と裏面の両面に金属箔導体層23、24を形成する場合は、それぞれの導体層の間を電気的に導通可能とする事が好ましい。金属箔導体層どうしの導通方法は特に限定されないが例えば、クリンピング加工を施す方法や、めっき等の方法により導通部を形成する方法が採用できる。
クリンピング加工とは、例えば、ドリル、ヤスリ、超音波等により基体3と接着層20を部分的に破壊し、表面側の金属箔導体層23と裏面側の金属箔導体層24の一部同士を物理的に接触させることで電気的な導通部を形成することをいう。より具体的には、凹凸のある金属板上に基体3と金属箔導体層23、24からなる積層体を接触させ、金属突起を押し当てることにより、基体3としての樹脂フィルムと接着層20を部分的に破壊し、金属箔導体層23、24同士を接触可能とし、電気的な導通部を得ることができる。
なお、クリンピング加工の具体例は、特開2002−7990号公報に一例として開示されているので、特開2002−7990号公報に記載の技術を適用することができる。
めっきにより貫通電極を形成する方法の一例として、例えば以下に説明する方法を採用することができる。
導電性テザー素材31に貫通電極15、16を形成するため、基体3の必要位置に予めレジスト層を用いたエッチング処理、あるいは、機械加工処理等により貫通孔からなるコンタクトホールを形成しておく。
これらコンタクトホールの形成部分は図6、図7を基に説明した上述のエッチング処理時に導電層を除去する領域としておくと、コンタクトホール上下の導電層に透孔が形成された状態の基体3を備えた導電性テザー素材が得られる。
この導電性テザー素材のコンタクトホールとその周囲の部分を除いて導電性テザー素材の全体をレジスト層で覆い、この状態から全体をメッキ浴に浸漬し、コンタクトホールとその周囲部分にかけてめっき層を形成し、貫通電極15、16を形成する。この後、レジスト層を除去することで、コンタクトホール内に貫通電極15,16を設けた図2に示す構造の導電性テザー1を得ることができる。
図2〜図4に示す詳細構造を有する導電性テザー1であるならば、接着により基体3の表裏面に接着した7〜50μm厚のアルミニウム箔(金属箔層)をエッチングすることにより形成したエッチング金属箔層からなる第1の導体層8、9を有する。
このため、第1の導体層8、9は、厚さ1〜3μmであっても、蒸着膜などのような成膜法により形成した薄膜では得られない、テザー1m当たり電気抵抗値0.3Ω/m程度以下の良好な導電率の導体層8、9、10、11を形成できる。
従って、導電性テザー1が宇宙空間において地球磁場を横切ることに起因して発生するローレンツ力を発生させる場合、大きなローレンツ力を得ることができる。このため、導電性テザー1は、小型衛星などの宇宙機2の高度を下げてデオービットを実施するために十分なローレンツ力を発揮させることができる。また、導電性テザー1によるローレンツ力を利用してデオービットの実施ができるので、デオービットのための他の特別な推進装置や動力は不要であり、容易に実施できる。
第1の導体層8、9は、厚さ1〜3μmであり、十分に薄いので、折り畳んでボックス17に収容する場合、あるいはロール巻きする場合などにコンパクトな状態であるので、小型の宇宙機2に搭載する場合に有効に適用できる。更に、表面側第1の導体層8に対し裏面側第1の導体層9を上述のように位置ずれさせて設けているので折り畳んだ場合、あるいはロール巻きした場合の重なり厚の増加を抑制できる。
また、長尺の導電性テザー1を宇宙空間に拡伸した場合、導電性テザー1の表面または裏面に宇宙空間に存在する微小デブリが衝突するおそれがある。現状の宇宙空間には、100μmオーダーの微小デブリが多数存在し、軌道高度によってはmあたり1年間に10〜数100回の衝突があるといわれている。
このような微小デブリと衝突により導電性テザー1の表裏面の第1の導体層8、9に断線を生じるおそれがある。しかし、表面側第1の導体層8は複数の表面側第2の導体層10により相互接続され、裏面側第1の導体層9は複数の裏面側第2の導体層11により相互接続され、更に貫通導体12、13を介し表面側第1の導体層8と裏面側第2の導体層11が接続されている。このため、導電性テザー1の全長において第1の導体層8、9の導通が遮断される確率は低くなり、本実施形態の導電性テザー1は確実にローレンツ力を発揮することができる。よって、微小デブリとの衝突によって宇宙機2のデオービットに支障を生じることのない導電性テザー1を提供できる。
図8は、第2実施形態の導電性テザーに適用する表面側のエッチング金属箔層35を示すもので、この第2実施形態の導電性テザー36は、図2〜図4に示す導電性テザー1と同等構成の基体33の表面の幅方向に数10本の表面側第1の導体層37が形成され、それらが、基体3の長さ方向に一定間隔毎に間欠的に、かつ、基体3の幅方向に沿って形成された複数の表面側第2の導体層38により接続され、表面側第2の導体層38の長さ方向に所定の間隔で貫通電極(導通部)39が形成された構成を有する。
図8に示す構造では、基体33の長さ方向に形成された表面側第1の導体層37を5本まとめて接続するように表面側第2の導体層38が形成され、表面側第2の導体層38の長さ方向1箇所に貫通電極39が形成された構造が1つのユニットとされ、このユニットが基体33の幅方向半分の領域に3ユニット配置されている。
図8は、基体33の幅方向一側に幅の大きな表面側第1の導体層37と表面側第2の導体層38を描くとともに、対比する意味で基体33の幅方向他側に幅の小さな表面側第1の導体層47と表面側第2の導体層48と貫通電極(導通部)49からなる表面側エッチング金属箔層45を描いた例である。
図8に対比して示すように基体33に形成する第1、第2の導体層37、47、貫通電極39、49は任意の幅と長さで形成することができる。
実際には、図8に示す基体33の幅方向一側に描いたエッチング金属箔層35を基体33の表面側と裏面側の一方または両方に形成して良いし、基体33の幅方向他側に描いたエッチング金属箔層45を基体33の表面側と裏面側の一方または両方に形成しても良い。また、基体33の長さ方向にエッチング金属箔層35とエッチング金属箔層45を混在させるなど、各エッチング金属箔層の形成に特に制限はない。
基体3に対し、幅の小さい導体層を密に形成する方が導体層としての全表面積を大きくすることができ、宇宙空間での電子の取り込みを有利にできる可能性がある。
以上の説明の実施形態では、導電性可撓導体を小型衛星の軌道修正用として用いた場合について説明したが、導電性可撓導体は、その他、太陽発電衛星や宇宙エレベーター、大型衛星の太陽電池パドル等、長大な宇宙構造物のハーネスとしての適用が可能である。
これらの用途に用いた場合、長大な宇宙構造物に適用したとして軽量化が可能であり、デブリが衝突して一部断線しても導体層の導通が途切れるおそれのないハーネスとすることができる。
「デブリ検出器」
図9は本発明に係る導電性可撓導体を適用したデブリ検出器の一実施形態を示す概要図であり、この実施形態のデブリ検出器50は、導電性可撓導体51と、導電性可撓導体51に形成されている複数の表面側第1の導体層52に個々に接続された複数の電流検出器53と、これら複数の電流検出器53を介して表面側第1の導体層52に接続された直流バイアス電源55を備えている。なお、ここで用いるバイアス電源55は直流タイプに限らず交流タイプであっても良い。
導電性可撓導体51は、先の実施形態において用いられていた基体3と同等材料からなる長尺帯状の基体56を有し、この基体56の表面側に表面側エッチング金属箔層57を有し、この表面側エッチング金属箔層57が基体56の長さ方向一端側から他端側にかけて直線状に延在された複数の表面側第1の導体層52からなる。
なお、デブリ検出器50としての用途の場合、基体56の長さは数10m、例えば20〜30m程度であれば良く、数100m〜数kmなどのような長さにする必要は無い。
しかし、小型の宇宙機2ではなく大型の宇宙機などに搭載する場合は、より長い基体56を有するデブリ検出器であっても良い。
基体56とその表裏両面に形成する導体層の長さに特に制限はないので、基体56の長さと幅を大きくすることで、検出面積の極めて大きいデブリ検出器50を提供できる。
なお、図9では略されているが、基体56の裏面側には裏面側エッチング金属箔層が設けられ、この裏面側エッチング金属箔層が基体56の長さ方向一端側から他端側にかけて直線状に延在された複数の裏面側第1の導体層からなる。
図9では略されているが、基体56の裏面側に形成されている裏面側第1の導体層のそれぞれにも電流検出器が接続され、各電流検出器を介して各裏面側第1の導体層にバイアス電源が接続されている。基体56の裏面側の構成は、基体56の表面側の構成と同等で良い。
また、表面側第1の導体層52に対し裏面側第1の導体層は基体56をその厚さ方向に透視した場合に互い違いに重ならない位置に形成されていることが望ましい。この構成は、先の実施形態における第1の導体層8と第1の導体層9の関係と同等である。
図9に示す第2実施形態の構造においては、第1実施形態の構造において形成されていた、第2の導体層10、11とコンタクトホール12、13と貫通電極15、16は形成されていない。
基体56の表面に設けられている表面側第1の導体層52は、先の実施形態における表面側第1の導体層8と同等材料からなる。基体56の裏面側に形成されている図示略の裏面側第1の導体層についても、先の実施形態における裏面側第1の導体層9と同等材料からなる。
図9に示すデブリ検出器50は、電流検出器53、バイアス電源55を有するため、電流検出器53、バイアス電源55はデブリ検出器50を搭載する宇宙機2に搭載される。従ってデブリ検出器50は宇宙機2に接続された状態で先に説明したボックス17等に搭載され、使用時にボックス17から拡伸される。図9は収容のためなどのボックスを略し、宇宙機2の一部から基体56を拡伸した状態を簡略化して示している。
表面側第1の導体層52の幅は、検出対象とするデブリと同等レベルの幅とすることが好ましい。デブリの大きさは種々あるので、100μmレベルのデブリの検出用途であるならば、デブリの大きさに合わせるか、それよりも小さい幅の表面側第1の導体層52を適用すれば良く、mmレベルのデブリの検出用途であるならば、mmレベルのデブリに合わせるか、それよりも小さい幅の第1の導体層52を設けることが好ましい。図9においては表示を略している裏面側第1の導体層においても同様である。
導電性可撓導体51を宇宙空間に拡伸した状態で宇宙機が軌道を周回することで、宇宙機が周回する軌道上に存在していたデブリが導電性可撓導体51に高速で衝突する。導電性可撓導体51に設けた導体層にデブリが衝突し、導体層が断線すると、バイアス電源55から導体層に流していたバイアス電流の電圧が変化するので、他の導電層との電圧比較により導体層の断線位置を特定できる。これにより、導体層を断線させる程度の大きさのデブリが衝突したこと、軌道上にこの大きさのデブリが存在することを検知できる。
デブリと同等幅の導体層の場合、1本の導体層の断線を検知すると対応する大きさのデブリを検出できたこととなる。また、デブリの径より細い導体層を設けた場合、デブリの衝突により複数本の導体層が断線するので、複数本の導体層の幅とそれらの間隔の合計幅に対応する大きさのデブリを検出できることとなる。
例えば、3本の導体層幅とそれらの間隔の合計幅に対応する大きさのデブリが衝突すると3本の導体層が一度に断線するので、3本の導体層が同時に断線した場合は、3本の導体層の幅とそれらの間隔の合計幅に対応する径のデブリが衝突したと把握できる。
なお、図9に示す実施形態では、同一幅の導体層52を複数設けたデブリ検出器50を表示しているが、基体56に形成する導体層52の幅は同一幅には限らない。異なる幅の導体層52を配列しても良い。
図9に示すデブリ検出器50においても、導電性可撓導体51を折り畳んであるいはロール巻きとしてコンパクトに収容できる構成について、先の実施形態の導電性テザー1と同等の作用効果を奏する。
図10は本発明に係るデブリ検出器の第2実施形態を示すもので、この第2実施形態のデブリ検出器60は、先の第1実施形態のデブリ検出器50と同等構成の導電性可撓導体51を有し、電流検出器53、バイアス電源55を有している。
第2実施形態のデブリ検出器60は、バイアス電源55に接続した予備電源61を備えた電子放出源62を有する点に特徴を有する。
この電子放出源62を備えることにより、導電性可撓導体51が極めて長尺であり、宇宙空間において多くの電流を集めることができる構成の場合、導電性可撓導体51から更に多くの電流を集めることができ、デブリ検出の分解能を向上できる効果を得ることができる。
なお、現状、高度600km〜800kmの領域における微小デブリの存在や分布は、これまで軌道上で直接検出されたことがないため、正確な状況は不明となっている。
このため、宇宙機2を上述の高度に打ち上げて軌道を周回させるか、打ち上げられた宇宙機2の高度を上述の高度に修正し、本実施形態のデブリ検出器50、60を用いることで、未知の領域におけるデブリの検出ができる。
1…導電性テザー(導電性可撓導体:宇宙用テザー)、3…基体、5…表面側第1のエッチング金属箔層、6…裏面側第1のエッチング金属箔層、7…接着層、8…表面側第1の導体層、9…裏面側第1の導体層、10…表面側第2の導体層、11…裏面側第2の導体層、12、13…コンタクトホール、15、16…貫通電極(導通部)、17…ボックス、17a…開閉蓋、20…接着層、21…金属箔導電層、22…レジスト層、23…表面側金属箔導体層、24…裏面側金属箔導体層、25…送出装置、26…エッチング装置、27…レジスト剥離装置、28…洗浄装置、29…乾燥装置、31…導電性テザー素材、35…エッチング金属箔層、36…導電性テザー(導電性可撓導体:宇宙用テザー)、37…表面側第1の導体層、38…表面側第2の導体層、39、49…貫通電極(導通部)、50…デブリ検出器、51…導電性可撓導体、52…第1の導体層、53…電流検出器、55…バイアス電源、56…基体。

Claims (9)

  1. 可撓性を有する樹脂製の帯状の基体と、該基体の長さ方向一端側から他端側にかけて延在されて前記基体の表面側と裏面側の少なくとも一面側または両面側に接着されたエッチング金属箔層を具備した導電性可撓導体。
  2. 前記基体の表面側と裏面側にそれぞれエッチング金属箔層を設け、前記表面側の導体層の一部と前記裏面側の導体層の少なくとも一部に前記基体を厚さ方向に透視した状態において重ならない部分を設けたことを特徴とする請求項1に記載の導電性可撓導体。
  3. 前記基体の長さ方向の複数箇所において前記基体表面側のエッチング金属箔層と前記基体裏面側のエッチング金属箔層を接続する導通部を具備したことを特徴とする請求項2に記載の導電性可撓導体
  4. 前記基体表裏面両側の前記エッチング金属箔層に、前記基体の長さ方向に延在し前記基体の幅方向に複数形成された第1の導体層と、前記基体の幅方向に延在し前記基体の幅方向に存在する複数の前記第1の導体層を接続する第2の導体層を有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の導電性可撓導体。
  5. 前記エッチング金属箔層が前記基体の表面側と裏面側にそれぞれ接着層を介し接着され、前記エッチング金属箔層の側面基体側に前記接着層の一部が露出されたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の導電性可撓導体。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の導電性可撓導体からなる宇宙用導電性テザー。
  7. 請求項6に記載された宇宙用導電性テザーがボックスの内部に引き出し自在に収容されたことを特徴とする宇宙用テザーセット。
  8. 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の導電性可撓導体を検出部として備え、前記エッチング金属箔層に接続された電流検出器と、前記電流検出器に接続されたバイアス電源とを具備したことを特徴とするデブリ検出器。
  9. 前記バイアス電源に接続された電子放出源を備えたことを特徴とする請求項8に記載のデブリ検出器。
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