JP2021115542A - 脱窒処理装置および脱窒処理方法 - Google Patents

脱窒処理装置および脱窒処理方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2021115542A
JP2021115542A JP2020011755A JP2020011755A JP2021115542A JP 2021115542 A JP2021115542 A JP 2021115542A JP 2020011755 A JP2020011755 A JP 2020011755A JP 2020011755 A JP2020011755 A JP 2020011755A JP 2021115542 A JP2021115542 A JP 2021115542A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reactor
denitrification
internal circulation
pump
flow path
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020011755A
Other languages
English (en)
Inventor
祐人 端谷
Yuto Hataya
祐人 端谷
高志 西田
Takashi Nishida
高志 西田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Oji Holdings Corp
Original Assignee
Oji Holdings Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Oji Holdings Corp filed Critical Oji Holdings Corp
Priority to JP2020011755A priority Critical patent/JP2021115542A/ja
Publication of JP2021115542A publication Critical patent/JP2021115542A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Purification Treatments By Anaerobic Or Anaerobic And Aerobic Bacteria Or Animals (AREA)

Abstract

【課題】脱窒の活性が高く、硫化水素の発生を抑制できる脱窒処理装置の提供。【解決手段】脱窒用資材を含むリアクターに排水を上向流で通過させる脱窒処理装置であって、リアクター出口がリアクター入口に比べて上方向の位置に配置され、排水をリアクター入口に導入する第1ポンプと、リアクターの内部へ空間速度が50〜150/hrである上向流の内部循環流を発生させる内部循環機構とを備え、内部循環機構が、リアクターの外部に配置された内部循環流路および第2ポンプを有し、脱窒用資材が硫黄および炭酸塩を含み、硫黄は粒径1〜10mmであり、炭酸塩は粒径1〜10mmである、脱窒処理装置。【選択図】図1

Description

本発明は、脱窒処理装置および脱窒処理方法に関する。
生活排水、産業排水、畜産排水、水産養殖排水等の水中から、硝酸性窒素および/または亜硝酸性窒素を除去する脱窒処理装置が求められている。例えば、近年では、水生生物、特に海洋生物を陸上で養殖するための水槽中の飼育水について、海洋生物由来のアンモニアが亜硝酸性窒素または硝酸性窒素として蓄積しやすい閉鎖循環系で、浄化することが求められている。
水中の硝酸性窒素の処理方法として、硫黄と炭酸塩などを含む脱窒用資材を使用して、硫黄酸化細菌の働きによる硝酸性窒素の窒素への酸化と、その際に生じる硫酸イオンの中和を行う方法(SLAD法)が知られている(特許文献1および2参照)。
特許文献1には、硫黄を用いて硫黄酸化細菌により水中の硝酸性窒素を除去するにあたり、被処理水を、硫黄を含む担体を充填させた処理塔に、空間速度が5〜100/hrで、上向流にて循環させる、水中の硝酸性窒素の除去方法が記載されている。
特許文献2には、被処理水を槽内に供給するための給水配管系と、上部側に、脱窒された処理水を槽外へ排出するための排水配管系を備える処理槽内に、脱窒菌を担持させた脱窒基材を所定の水深で充填した脱窒装置において、処理槽を外部空気が流入しない密閉構造とするとともに、槽上部に脱窒反応によって発生した窒素ガスを外部へ排出するための排出ガス管を接続し、この排出ガス管の吐出口を他の液体充填容器内に液没させ、処理槽内において、脱窒基材の充填域よりも上部側位置に水中ポンプを配置するとともに、水中ポンプからの吐出管を、槽底部近傍に吐出口を向けて配設し、水中ポンプの稼働により処理槽内に縦向きの循環流を生成するようにした脱窒装置が記載されている。
特開2003−103294号公報 特開2005−224747号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、被処理水の空間速度を速くしているため、処理塔内が好気的環境になりやすく、脱窒の活性が低いと考えられた。特に、特許文献1の[0031]には被処理水が嫌気化することが否定的に記載されており、特許文献1は嫌気的環境で脱窒の活性を高くすることを示唆していない。排水が毎日連続して一定量排出されるような環境では、排水の溶存酸素濃度が高いため、被処理水の空間速度を速くして脱窒用資材に通水すると処理塔内が好気的環境になりやすい。
特許文献2には、脱窒用資材を含むリアクター(処理槽)の内部に配置した水中ポンプによって発生させる内部循環流の空間速度が規定されておらず、[0041]にも脱窒の活性を高くするための具体的な水中ポンプの運転条件は明記されていなかった。
本発明が解決しようとする課題は、脱窒の活性が高く、硫化水素の発生を抑制できる脱窒処理装置を提供することである。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、リアクターの内部へ特定の範囲の空間速度で上向流の内部循環流を発生させる内部循環機構を用いて、特定の粒径の脱窒用資材を用いることにより、上記の課題を解決できることを見出した。
なお、特許文献1の図1には、SVが5、10、15、20、250/hrの実施例が記載されている。しかし、特許文献1でSVを制御しているポンプは被処理水槽からの被処理水を循環させるポンプであり、リアクター内部の水を内部循環させるためのポンプではないため、本発明とは全く構成が異なる装置であった。
特許文献2の[0045]には、水中ポンプによる内部循環流の流量が被処理水の供給流量よりも卓越している場合は給水配管系の位置を任意の位置に設定できると記載があるが、給水配管系は処理槽の底部に設けるのが望ましいと、この場合の態様を否定する記載もある。すなわち、特許文献2は、水中ポンプによる内部循環流の流量を被処理水の供給流量よりも積極的に大きくすることを示唆していなかった。
具体的に、本発明および本発明の好ましい構成は、以下のとおりである。
[1] 脱窒用資材を含むリアクターに排水を上向流で通過させる脱窒処理装置であって、
リアクター出口がリアクター入口に比べて上方向の位置に配置され、
排水をリアクター入口に導入する第1ポンプと、
リアクターの内部へ空間速度が50〜150/hrである上向流の内部循環流を発生させる内部循環機構とを備え、
内部循環機構が、リアクターの外部に配置された内部循環流路および第2ポンプを有し、
脱窒用資材が硫黄および炭酸塩を含み、
硫黄は粒径1〜10mmであり、
炭酸塩は粒径1〜10mmである、脱窒処理装置。
[2] リアクター出口に比べて下方向の位置に内部循環流路の入口が配置され、
内部循環流路の入口に比べて下方向の位置に内部循環流路の出口が配置された[1]に記載の脱窒処理装置。
[3] リアクターが、脱窒用資材を含む脱窒用資材層と、整流機構とを有し、
整流機構が内部循環流路の出口と脱窒用資材層との間に位置する[1]または[2]に記載の脱窒処理装置。
[4] 排水を外部循環水として用い、
外部循環水を貯水できる水槽と、
リアクターで処理された処理水を水槽に戻す外部循環流路とを有する[1]〜[3]のいずれか一項に記載の脱窒処理装置。
[5] リアクターの上流に配置されて外部循環水を固液分離する上流側固液分離部を有する[4]に記載の脱窒処理装置。
[6] 脱窒用資材の上流に位置する圧力計と、制御部をさらに備え、
制御部は、脱窒用資材にかかる圧力が所定の閾値を超えた場合に内部循環流の空間速度を増加するように第2ポンプを制御する[1]〜[5]のいずれか一項に記載の脱窒処理装置。
[7] 脱窒用資材を含むリアクターに排水を上向流で通過させる脱窒処理方法であって、
リアクター出口がリアクター入口に比べて上方向の位置に配置され、
第1ポンプにより排水をリアクター入口に導入する工程と、
内部循環機構によりリアクターの内部へ空間速度が50〜150/hrである上向流の内部循環流を発生させる工程とを備え、
内部循環機構が、リアクターの外部に配置された内部循環流路および第2ポンプを有し、
脱窒用資材が硫黄および炭酸塩を含み、
硫黄は粒径1〜10mmであり、
炭酸塩は粒径1〜10mmである、脱窒処理方法。
[8] 脱窒用資材の上流に位置する圧力計と、制御部をさらに備え、
制御部は、脱窒用資材にかかる圧力が所定の閾値を超えた場合における内部循環流の空間速度SV2を、脱窒用資材にかかる圧力が閾値以下の場合の内部循環流の空間速度SV1の1倍を超えて1.5倍以下となるように第2ポンプを制御する[7]に記載の脱窒処理方法。
本発明によって、脱窒の活性が高く、硫化水素の発生を抑制できる脱窒処理装置を提供することができる。
図1は、本発明の脱窒処理装置の一例の断面概略図である。 図2は、本発明の脱窒処理装置の他の一例の断面概略図である。 図3は、本発明の脱窒処理装置の他の一例の断面概略図である。 図4は、本発明の脱窒処理装置の他の一例の断面概略図である。 図5は、本発明の脱窒処理装置の他の一例の断面概略図である。 図6は、各実施例、各比較例および参考例1の脱窒処理装置を用いて脱窒処理を行った場合における、経過日数と硝酸性窒素濃度との関係を示したグラフである。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[脱窒処理装置]
本発明の脱窒処理装置は、脱窒用資材を含むリアクターに排水を上向流で通過させる脱窒処理装置であって、リアクター出口がリアクター入口に比べて上方向の位置に配置され、排水をリアクター入口に導入する第1ポンプと、リアクターの内部へ空間速度が50〜150/hrである上向流の内部循環流を発生させる内部循環機構とを備え、内部循環機構が、リアクターの外部に配置された内部循環流路および第2ポンプを有し、脱窒用資材が硫黄および炭酸塩を含み、硫黄は粒径1〜10mmであり、炭酸塩は粒径1〜10mmである。
この本発明の脱窒処理装置の構成によれば、脱窒の活性が高く、硫化水素の発生を抑制できる。
通常、大規模かつ多大な費用を必要とする脱窒処理の改善において、本発明の脱窒処理装置を用いて脱窒処理をすることによって簡便かつ低コストで効率的な脱窒処理を実現できる。
以下、本発明の脱窒処理装置の好ましい態様を説明する。
<脱窒処理装置の全体構成>
本発明の脱窒処理装置は、排水を外部循環水として用い、脱窒用資材を含むリアクターに加えて、さらに外部循環水を貯水できる水槽と、リアクターで処理された処理水を水槽に戻す外部循環流路とを有する態様であることが好ましい。
この好ましい態様について、本発明の脱窒処理装置の全体構成の好ましい態様として、図面を用いて説明する。ただし、本発明の脱窒処理装置は、図面によって限定して解釈されるものではない。
図1は、本発明の脱窒処理装置の一例の断面概略図である。図1に示した脱窒処理装置は、脱窒用資材10を含むリアクター21に、外部循環水12である排水を上向流で通過させる脱窒処理装置である。図1に示した脱窒処理装置は、リアクター出口36がリアクター入口35に比べて上方向の位置に配置され、排水をリアクター入口35に導入する第1ポンプp1と、内部循環機構とを備える。
図1に示した脱窒処理装置では、内部循環機構が、リアクター21の外部に配置された内部循環流路32および第2ポンプp2を有する。
図1に示した脱窒処理装置では、脱窒用資材10が硫黄1および炭酸塩2を含む。
図1に示した脱窒処理装置では、リアクター出口36に比べて下方向の位置に内部循環流路の入口33が配置され、内部循環流路の入口33に比べて下方向の位置に内部循環流路の出口34が配置されている。内部循環流路の出口34をリアクター21の底部に向けて配設し、第2ポンプp2によって送液された内部循環水(不図示)によってリアクター21内に縦向きの循環流を生成できる。リアクター21の底部が平坦な場合は、内部循環流路の出口34は、リアクター21の底部と略直交することが好ましい。
図1に示した脱窒処理装置は、リアクター21で処理された処理水を、外部循環水12として水槽11に戻す外部循環流路31を有する。
図1および後述の図2〜5では、第1ポンプp1は水槽11とリアクター21の間に配置されているが、水槽11とリアクター21の間に加えて外部循環流路31に別のポンプが配置されていてもよい。
図2は、本発明の脱窒処理装置の他の一例の断面概略図である。図2に示した脱窒処理装置は、図1に示した脱窒処理装置において、リアクター21の上流に配置されて外部循環水12を固液分離する上流側固液分離部41を有し、さらにリアクター21が脱窒用資材層22と整流機構23とを有する。図2に示した脱窒処理装置では、整流機構23が内部循環流路の出口34と脱窒用資材層との間に位置する。
図2に示した脱窒処理装置では、外部循環水12は、上流側固液分離部41で固液分離されてから、一部が固液分離水42として水槽11に戻る。すなわち、図2に示した脱窒処理装置では、上流側固液分離部41を通過した外部循環水12の一部のみを第1ポンプp1でリアクター21に送液し、その残りを固液分離水42として水槽11に適宜戻すことができる。
図2に示した脱窒処理装置では、リアクター21内部、かつ脱窒用資材10の下流に浮上濾材25が充填されている。図1では浮上濾材25はリアクター21の上部に浮上濾材層を形成している。ただし、脱窒用資材層22と浮上濾材層の間の処理水の中に浮上濾材25の一部が浮遊していてもよい(不図示)。
図3は、本発明の脱窒処理装置の他の一例の断面概略図である。図3に示した脱窒処理装置は、図2に示した脱窒処理装置において、浮上濾材25の代わりに、外部濾材24を備える。なお、外部濾材の好ましい態様については説明を省略するが、例えば、浮上濾材と同じ濾材を充填したユニットを用いることができる。
図4は、本発明の脱窒処理装置の他の一例の断面概略図である。図4に示した脱窒処理装置は、図2に示した脱窒処理装置において、脱窒用資材10の上流に位置する圧力計61と、制御部62をさらに備える。
図4に示した脱窒処理装置では、制御部は、脱窒用資材にかかる圧力が所定の閾値を超えた場合に内部循環流の空間速度を増加するように第2ポンプを制御することができる。
図5は、本発明の脱窒処理装置の他の一例の断面概略図である。図5に示した脱窒処理装置は、図4に示した脱窒処理装置においてさらに水質測定部63を有する。図5に示した脱窒処理装置では、水質測定部63は、リアクター21の下流に配置されている。ただし、水質測定部63は、リアクター21の内部に配置されていてもよい(不図示)。
図5に示した脱窒処理装置では、制御部62は、リアクター21で処理された処理水の酸化還元電位などの水質が所定の閾値を超えた(または下回った)場合に、第1ポンプp1の流量を減らすように、または、第2ポンプp2の流量を増やすようにして、リアクター内での脱窒処理の効率を高めるように制御することができる。また、制御部62は、図4と同様に、脱窒用資材にかかる圧力が所定の閾値を超えた場合に内部循環流の空間速度を増加するように第2ポンプを制御することができる。
以下、本発明の脱窒処理装置を構成する各部材の詳細について説明する。
<水槽>
脱窒処理装置は、外部循環水を貯水できる水槽を有することが好ましい。水槽の大きさは特に制限はなく、外部循環水の量にあわせて設計することができる。
<リアクター>
脱窒処理装置は、脱窒用資材を含むリアクターを有する。脱窒用資材層を通過する際に、脱窒用資材層(硫黄の表面など)に生育している硫黄酸化細菌の働きによる硫黄脱窒反応により、硝酸性窒素等が窒素ガスに変化し、窒素ガスがリアクターの外へ排出される。
本発明では、リアクターが排水(外部循環水)を脱窒用資材に上向流で通水する構造である。具体的には、本発明では、リアクター出口がリアクター入口に比べて上方向の(任意の)位置に配置される。上方向は、鉛直上方向と一致することが好ましい。
(脱窒用資材)
脱窒用資材は、硫黄酸化細菌の働きにより硝酸性窒素を除去するための用途であることが好ましく、硝酸性窒素および亜硝酸性窒素を除去するための用途であることがより好ましい。脱窒用資材は、例えば、畜産業、農業、水産業(養殖業、魚の飼育業等を含む)等の排水(外部循環水)から硝酸性窒素等を除去するための用途であることが好ましい。
(1)硫黄
脱窒用資材は、硫黄を含み、本発明では、硫黄は粒径1〜10mmである。
界面活性剤で親水化処理された硫黄を用いてもよい。
粒径1mm以上である硫黄を利用する場合は、そのままでは撥水性を有する。そのため、硫黄1kgあたりの界面活性剤の含有量が100mg/kg−S以上の条件下で硫黄を界面活性剤で親水化処理することにより、排水の処理に利用しやすくする。
硫黄が界面活性剤で親水化処理されていることは、例えば、硫黄の表面が界面活性剤の被膜で覆われていることを公知の方法で観察することにより確認することができる。
硫黄は、粒径1mm以上であることにより、生じる窒素ガスの気泡を抜けやすくでき、脱窒の活性が高められる。硫黄は、粒径5mm未満であることが、単位重量あたりの接触面積を大きくして脱窒の活性を高める観点から好ましく、4mm以下であることが好ましく、3mm以下であることがより好ましい。
脱窒用資材に含まれる硫黄の平均粒径が上記の粒径の範囲であることが好ましい。また、脱窒用資材に含まれる硫黄の90質量%以上が上記の粒径の範囲であることが好ましく、95質量%以上が上記の粒径の範囲であることがより好ましい。なお、本明細書における「粒径」は、JIS K 6222−1に準じて測定した粒径である。
脱窒用資材は、脱窒用資材の全質量に対して硫黄の含有割合が30質量%以上70質量%未満である。脱窒用資材の全質量に対して硫黄の含有割合が40質量%以上であることが好ましく、45質量%以上であることがより好ましい。脱窒用資材の全質量に対して硫黄の含有割合が60質量%未満であることが好ましく、55質量%未満であることがより好ましい。
(2)炭酸塩
脱窒用資材は、炭酸塩を含み、本発明では、炭酸塩は粒径1〜10mmである。
炭酸塩としては、アルカリ剤として用いられる炭酸塩を用いることができる。炭酸塩は、脱窒の進行により増加する硫酸イオン(SO 2−)と中和反応をして、排水のpHの低下を防止し、脱窒の活性の低下を抑制する。また、硫黄酸化細菌の増殖および脱窒反応に必要な炭酸イオンの供給をする。
炭酸塩としては、弱アルカリ剤が好ましい。炭酸塩としては、排水のpHを、好ましくは6.5〜8.5、より好ましくは7.0〜8.5、特に好ましくは7.2〜8.5に保持できるものが好ましい。
炭酸塩として、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸カルシウム(CaCO)が好ましく、低コストである炭酸カルシウムがより好ましい。
炭酸塩は、一種類を単独で使用してもよく、二種類以上を組み合わせて使用してもよい。
炭酸塩は、粉末状または粒状であることが好ましい。炭酸塩は、生じる窒素ガスの気泡を抜けやすくでき、脱窒の活性が高められる観点から粒径1mm以上であることが好ましい。炭酸塩は、粒径5mm未満であることが、単位重量あたりの接触面積を大きくして中和反応の活性を高める観点から好ましく、4mm以下であることが好ましく、3mm以下であることがより好ましい。
脱窒用資材に含まれる炭酸塩の平均粒径が上記の粒径の範囲であることが好ましい。また、脱窒用資材に含まれる炭酸塩の90質量%以上が上記の粒径の範囲であることが好ましく、95質量%以上が上記の粒径の範囲であることがより好ましい。
脱窒用資材は、脱窒用資材の全質量に対して炭酸塩の含有割合が30質量%以上70質量%未満であることが好ましく、脱窒用資材の全質量に対して炭酸塩の含有割合が40質量%以上であることがより好ましく、45質量%以上であることが特に好ましい。脱窒用資材の全質量に対して炭酸塩の含有割合が60質量%未満であることがより好ましく、55質量%未満であることが特に好ましい。
脱窒用資材では、硫黄粒子および炭酸塩粒子が互いに独立した状態で均一に混合されていることが、製造方法が容易である観点から好ましい。すなわち、脱窒用資材では、硫黄および炭酸塩が同一の粒内に共存していないことが好ましい。
(3)界面活性剤
脱窒用資材は、所定量の界面活性剤を含むことが好ましい。
界面活性剤の含有量が硫黄の含有量に対して0.1質量%(硫黄1kgあたりの界面活性剤の含有量に換算して1mg)以下であることが好ましく、0.08質量%(硫黄1kgあたりの界面活性剤の含有量に換算して0.8mg)以下であることがより好ましく、0.06質量%以下であることが特に好ましい。
界面活性剤は特に限定されず、ノニオン系、アニオン系、カチオン系および両性の界面活性剤を用いることができる。本発明では、これらの中でも界面活性剤がノニオン系界面活性剤を含むことが好ましく、界面活性剤の主成分(界面活性剤の50質量%以上)がノニオン系界面活性剤であることがより好ましい。ノニオン系界面活性剤は、泡立ちが少なく、外部循環水中のpHや温度変化の影響を受けにくく、脱窒用資材が扱いやすくなる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンカルボン酸エステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、アセチレングリコールが挙げられる。
アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤としては、例えば、特開2018−094553号公報の[0044]〜[0046]に記載のものを挙げることができ、この公報は参照して本明細書に組み込まれる。
界面活性剤は、一種類を単独で使用してもよく、二種類以上を組み合わせて使用してもよい。
(4)脱窒用資材の製造方法
脱窒用資材の製造方法は、特に制限はない。例えば、硫黄1kgあたりの界面活性剤の含有量が100mg/kg−S以上の条件下で硫黄を界面活性剤で親水化処理する親水化処理工程と、水洗浄工程を含むことが好ましい。ただし、本発明では、界面活性剤で親水化処理されていない硫黄を用いて脱窒用資材を製造してもよい。
水洗浄工程としては特に制限はないが、親水化処理された硫黄を含む組成物に対して水洗浄を繰り返して、界面活性剤の含有量を硫黄の含有量に対して0.1質量%以下とすることが好ましい。
硫黄1kgあたりの界面活性剤の含有量が100mg/kg−S以上の条件とすることで、硫黄を界面活性剤の被膜で十分に覆って、親水化することができる。硫黄1kgあたりの界面活性剤の含有量が1000mg/kg−S以上の条件とすることが好ましい。
脱窒用資材の製造方法は、硫黄と、炭酸塩と、必要に応じてさらに界面活性剤を混合する混合工程を含むことが好ましい。混合工程は特に制限はなく、例えば公知の撹拌機などを用いて行うことができる。混合工程では、水をさらに混合してもよい。
混合工程は、親水化処理工程の前に行っても、親水化処理工程と同時に行っても、親水化処理工程の後に行ってもよい。混合工程は、親水化処理工程と同時に行うことが好ましい。すなわち、親水化処理工程において、硫黄と、炭酸塩と、界面活性剤とを、硫黄1kgあたりの界面活性剤の含有量が100mg/kg−S以上の条件下で硫黄を界面活性剤で親水化処理することが好ましい。
水洗浄工程では、特に制限はなく、公知の方法で水洗浄をすることができる。水洗浄工程は、水洗浄を2回以上繰り返すことが好ましい。
リアクターには、脱窒用資材層を形成させて脱窒用資材が浮上し難くすることが好ましい。
(整流機構)
リアクターには、整流機構および脱窒用資材層を形成させることが脱窒用資材の交換の観点からより好ましい。
整流機構は、排水の流れおよび内部循環流の流れを、上向流へと整流する役割を備えることが好ましい。
整流機構は、脱窒用資材層を支持する支持層としての役割を備えることが好ましい。
整流機構としては、砂利を含む、支持砂利層を用いることが好ましい。
(浮上濾材)
リアクター内部、かつ脱窒用資材の下流に浮上濾材が充填されることが好ましい。ここで、濾材が浮上するためには、浮上濾材の見かけ比重は1.0未満であることが好ましい。なお、本明細書において、見かけ比重とは、含水状態における浮上濾材の質量を浮上濾材の体積で除して求めた比重であり、浮上濾材の実質的な比重を示すものである。具体的には、樹脂製の多孔質体を50cmのメスシリンダーに見かけ容積で30cm量り取り、その質量から算出することができる(単位:g/cm)。
浮上濾材に捕捉された脱窒用資材を、浮上濾材上にフロック化して浮上濾材ごと沈降させた後、浮上濾材から脱離しやすくする(再利用の)観点から、浮上濾材は、複数の浮上濾材が独立した状態で、すなわち互いに接続されずに、充填されることが好ましい。遊離した脱窒用資材の回収装置をリアクター外部にさらに設置する場合と比較して、リアクター内部に浮上濾材を充填する方が、遊離した脱窒用資材の損失が少なくなり、かつ、リアクター外部からリアクター内部に戻すための回収コストも不用となる。
同様の観点から、浮上濾材は、脱窒用資材の下流のリアクター内部において、自由に移動可能に充填されることが好ましい。具体的には、浮上濾材は、脱窒用資材まで移動可能に充填されることが好ましい。例えば、リアクターの出口と脱窒用資材との間に、浮上濾材よりも目開きが小さな隔壁を設けないことが好ましい。また、浮上濾材が浮上濾材層を形成する場合は、浮上濾材層と脱窒用資材との間に、浮上濾材よりも目開きが小さな隔壁を設けないことが好ましい。
浮上濾材の材料としては特に制限はない。例えば、樹脂、セラミックスなどを挙げることができる。浮上濾材は樹脂製であることが好ましい。すなわち、浮上濾材が気泡構造を有する樹脂製の多孔質体であることが好ましい。
多孔質構造を形成する樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、ゴム、エラストマー等を挙げることができる。
中でも、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレンを用いることが好ましく、特に、ポリビニルアルコールを用いることが好ましい。すなわち、本発明で用いる浮上濾材は、気泡構造を有するポリビニルアルコール製の多孔質体であることが特に好ましい。
浮上濾材は、シート状であってもよいがキューブ状や球状の担体を複数用いることが好ましい。なお、担体の形状は特に限定されず棒状の担体なども用いることができるが、キューブ状や球状の担体を用いることが脱窒用資材の捕捉効率(吸着効率)を高める観点から好ましい。また、このような複数の担体は浮力によって圧密されて浮上濾材を構成することが好ましい。キューブ状の担体を用いる場合、1辺の長さは5〜60mmであることが好ましく、10〜30mmであることがより好ましい。また、担体が球状である場合は、担体の直径は5〜60mmであることが好ましく、10〜30mmであることがより好ましい。
連続気泡構造を有する浮上濾材は、発泡体であることが好ましく、発泡体は、例えば、エマルジョンを発泡させ、固化することで成形することができる。ここで、エマルジョンとは、上述した樹脂等を分散媒に分散した分散体であり、ラテックスとも呼ばれるものである。上述した樹脂等を分散させる分散媒としては、水や有機溶剤を使用することができる。また、樹脂を分散媒に分散する方法としては、各種の公知の方法が使用でき、例えば、樹脂の原料であるモノマーを分散媒に分散、乳化し、重合する方法を使用することができる。また、樹脂溶液を作製し、分散媒に分散、乳化する方法を使用することができる。また、自然界の植物、動物から得られるエマルジョンを使用することもでき、例えば、天然ゴムラテックスが挙げられる。
上記のようにして得られる発泡体としては、市販のものを用いることもできる。例えば、雪ヶ谷科学工業株式会社製のY−CUBEを用いることができる。
浮上濾材は、脱窒用資材からリアクター出口までの間に隙間なく充填されていてもよく、脱窒用資材およびリアクター出口の少なくとも一方との間に距離が生じるように充填されていてもよい。浮上濾材は、脱窒用資材との間に距離が生じるように充填されていることが好ましい。本発明では、浮上濾材のリアクターに対する充填率が1〜30体積%であることが好ましい。リアクター内部の上向流や生じた窒素ガスにより浮遊した脱窒用資材の流出を防ぎやすくする観点から、浮上濾材のリアクターに対する充填率が1体積%以上であることが好ましく、3体積%以上であることがより好ましく、5体積%以上であることが特に好ましい。浮上濾材に捕捉された脱窒用資材を、浮上濾材上にフロック化して浮上濾材ごと沈降させた後、浮上濾材から脱離しやすくする観点から、浮上濾材のリアクターに対する充填率が30体積%以下であることが好ましく、20体積%以下であることがより好ましく、15体積%以下であることが特に好ましい。
(リアクター出口)
処理水を排出するためのリアクター出口は、リアクターの上部に位置することが好ましく、浮上濾材よりも上部(下流)に位置することがより好ましい。例えば、リアクター出口の高さが、リアクター内部の処理水の水面と一致することが好ましい。
リアクターには、浮上濾材が水槽に混入しないようにする観点から、リアクター出口に浮上濾材が流出しないサイズの目開きを有する隔壁などを設けてもよい。隔壁としては、任意の多孔板やスクリーンを用いることができる。隔壁は、排水は流通するが、浮上濾材が通過しない構造であればよく、例えばパンチングスクリーン、ワイヤーメッシュ、ハニカム材を挙げることができる。各構造の口径は、使用する浮上濾材の大きさを考慮して適宜選択することができる。隔壁は、金属製や樹脂製であることが好ましく、例えば、塩化ビニルやステンレスなどの材質であることが好ましい。
(リアクター内部のその他の部材)
リアクターは、ガス抜き配管を浮上濾材の下部に備えないことが好ましい。すなわち、浮上濾材よりも上部から窒素ガスをリアクターの外へ排出することが好ましい。また、例えば、リアクター内部の脱窒用資材に生じる窒素ガスの全量を、浮上濾材が形成する浮上濾材層に通過させて、浮上濾材よりも上部から窒素ガスをリアクターの外へ排出することが好ましい。
リアクターが、硫黄酸化細菌の働きにより硝酸性窒素を除去する場合に脱窒用資材に生じる窒素ガスを、リアクター内部の撹拌、流動または振動により除去するガス除去部を備えていてもよい。
<第1ポンプ>
本発明の脱窒処理装置は、排水をリアクター入口に導入する第1ポンプを備える。
本発明では、水槽とリアクターの間に第1ポンプを有することが好ましい。
本発明の脱窒処理装置の好ましい一態様では、第1ポンプの流量は、制御部によって処理水の水質が所定の閾値の範囲となるように制御されることが好ましい。
<内部循環機構>
本発明の脱窒処理装置は、リアクターの内部へ空間速度が50〜150/hrである上向流の内部循環流を発生させる内部循環機構を備え、内部循環機構がリアクターの外部に配置された内部循環流路および第2ポンプを有する。
(I)内部循環流路
内部循環流のリアクターの内部へ空間速度が70/hr以上であることが好ましく、80/hr以上であることがより好ましい。内部循環流のリアクターの内部へ空間速度が130/hr以下であることが好ましく、120/hr以下であることがより好ましい。
内部循環流路の位置は、リアクターの外部に配置されたこと以外は特に制限はない。
リアクター出口に比べて下方向の位置に内部循環流路の入口が配置されることが、リアクター内部に内部循環流を形成しやすくする観点から好ましい。脱窒用資材層に比べて上方向の位置に内部循環流路の入口が配置されることが、脱窒用資材層の全体を通過する内部循環流を形成しやすくする観点から好ましい。リアクター出口と脱窒用資材層上端との中央の位置またはその位置よりもリアクター出口側に内部循環流路の入口が配置されることが、リアクター内部に長い内部循環流を形成しやすくする観点から好ましい。
内部循環流路の入口に比べて下方向の位置に内部循環流路の出口が配置されることが、リアクター内部に内部循環流を形成しやすくする観点から好ましい。脱窒用資材層に比べて下方向の位置に内部循環流路の出口が配置されることが、脱窒用資材層の全体を通過する内部循環流を形成しやすくする観点から好ましい。さらに整流機構に比べて下方向の位置に内部循環流路の出口が配置されることが、リアクター内部に上方向の内部循環流を形成しやすくする観点から好ましい。内部循環流路の出口は、リアクターの底部と略直交することが好ましく、脱窒用資材層と略直交することが好ましい。
内部循環機構は、内部循環流路を1個のみ有していてもよく、複数個を有していてもよい。第2ポンプの個数を減らして製造コストを低減する観点から、内部循環流路を1個のみ有することが好ましい。
(II)第2ポンプ
本発明の脱窒処理装置は、内部循環機構が第2ポンプを備える。第2ポンプは、リアクターの内部へ空間速度が50〜150/hrである上向流の内部循環流を発生させる。
本発明では、内部循環流路に第2ポンプを有することが好ましい。ただし、内部循環流路に任意のバイパス流路を設けて、バイパス流路の第2ポンプを配置してもよい。
本発明の脱窒処理装置の好ましい一態様では、第2ポンプの流量は、制御部によって処理水の水質および/または脱窒用資材層の差圧が所定の閾値の範囲となるように制御されることが好ましい。
<外部循環流路>
本発明の脱窒処理装置は、リアクターで処理された処理水を水槽に戻す循環流路を有することが好ましい。リアクターで処理された処理水は、脱窒用資材を通過することによって脱窒され、硝酸性窒素の濃度が低くなって水槽に戻される。
外部循環水流の空間速度が0.1/hr以上であることが好ましく、0.5/hr以上であることがより好ましい。外部循環水流の空間速度が5.0/hr以下であることが好ましく、2.0/hr以下であることがより好ましい。
<上流側固液分離部>
本発明の脱窒処理装置は、リアクターの上流に配置されて排水(外部循環水など)を固液分離する上流側固液分離部を有することが好ましい。
上流側固液分離部を備えることにより、水槽からの外部循環水などの排水に含まれる固形物を除去して、リアクターに固形物が少ない排水を供給でき、脱窒の効率を高めることができる。水槽からの外部循環水に含まれる固形物としては、例えば、水生生物の糞や、餌の残りなどを挙げることができる。
<圧力計>
本発明の脱窒処理装置の好ましい一態様では、脱窒用資材の上流に位置する圧力計を有することが、脱窒用資材層の差圧(脱窒用資材にかかる圧力)を把握する観点から好ましい。
圧力計の位置は特に制限はなく、脱窒用資材にかかる圧力を測定できればよい。圧力計の位置は、例えば、第1ポンプとリアクター入口との間や、第2ポンプと内部循環流路の出口の間であることが好ましい。圧力計をリアクター内部に配置してもよい。
<水質測定部>
本発明の脱窒処理装置の好ましい一態様では、リアクターの内部または下流に水質測定部を有することが好ましい。リアクターの下流に水質測定部を有することが脱窒処理装置の異常を早期発見する観点からより好ましい。
本発明では、処理水の酸化還元電位が常に−200mV〜0mVの範囲であることが好ましい。処理水の酸化還元電位を確認することにより、硫化水素が発生しない範囲で、嫌気的な条件を維持でき、脱窒の活性を高めることができる。
<制御部>
本発明の脱窒処理装置は、制御部をさらに備えることが好ましい。
制御部は、脱窒用資材にかかる圧力が所定の閾値を超えた場合に内部循環流の空間速度を増加するように第2ポンプを制御することが好ましい。
本発明の好ましい一態様では、制御部は、脱窒用資材にかかる圧力が所定の閾値を超えた場合における内部循環流の空間速度SV2を、脱窒用資材にかかる圧力が閾値以下の場合の内部循環流の空間速度SV1の1倍を超えて1.5倍以下となるように第2ポンプを制御することが好ましく、1.2倍以上1.5倍以下となるように第2ポンプを制御することがより好ましい。
例えば、制御部が第2ポンプを以下のとおりに制御することが好ましい。
(1)脱窒用資材にかかる圧力が所定の閾値以下の場合の内部循環流の空間速度SV1=100/hr
(2)脱窒用資材にかかる圧力が所定の閾値を超えた場合における内部循環流の空間速度SV2=150/hr
このように制御部が第2ポンプを制御することにより、脱窒用資材にかかる圧力が所定の閾値を超えると、内部循環流の空間速度が高まってSV2となり脱窒用資材の閉塞が解消され、すぐに脱窒用資材にかかる圧力が所定の閾値を下回り内部循環流の空間速度がSV1に戻る、という一連の制御を繰り返すことができる。その結果、安定的に長期間の脱窒処理ができる。
本発明では、SV1およびSV2がいずれも50〜150/hrの範囲を満たすことが、脱窒の効率を高めつつ、安定的に長期間の脱窒処理をする観点から好ましい。
<脱窒処理装置の製造方法>
脱窒処理装置の製造方法は、特に制限はない。公知の方法で脱窒処理装置を製造することができる。リアクター内部において脱窒用資材の下流に浮上濾材を充填する方法についても特に制限はない。
[脱窒処理方法]
本発明の脱窒処理方法は、脱窒用資材を含むリアクターに排水を上向流で通過させる脱窒処理方法であって、
リアクター出口がリアクター入口に比べて上方向の位置に配置され、
第1ポンプにより排水をリアクター入口に導入する工程と、
内部循環機構によりリアクターの内部へ空間速度が50〜150/hrである上向流の内部循環流を発生させる工程とを備え、
内部循環機構が、リアクターの外部に配置された内部循環流路および第2ポンプを有し、
脱窒用資材が硫黄および炭酸塩を含み、
硫黄は粒径1〜10mmであり、
炭酸塩は粒径1〜10mmである。
本発明の脱窒処理装置または脱窒処理方法を用いて、排水(外部循環水)の硝酸性窒素を処理しながら水槽で水生生物を飼育することができる。
水生生物としては、湖沼に棲む生物や、河川に棲む生物や、海に棲む生物(海洋生物)などを挙げることができ、海洋生物であることが好ましい。水生生物の種類としては、魚類、貝類、甲殻類、ウニ類、藻類、(水に棲む)哺乳類などを挙げることができ、魚類であることが好ましい。本発明では、水生生物が海洋魚(海水魚)であることが、陸上養殖が特に求められている観点から、より好ましい。
本発明の脱窒処理装置を用いて水生生物を飼育する場合、排水(外部循環水)の水質にもよるが、脱窒処理装置の水槽とは別の容器に入れた脱窒用資材に対して硫黄酸化細菌を投入して、脱窒用資材の馴養をすることが好ましい。ただし、排水として、硫黄酸化細菌を含む水を用いる場合は、脱窒用資材の馴養をしなくてもよい。
本発明の脱窒処理方法のその他の好ましい態様は、本発明の脱窒処理装置の好ましい態様と同様である。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]
<脱窒用資材の製造>
硫黄として、粒径2mmの粒状硫黄を用いた。
炭酸塩として、粒径1〜5mmのサンゴ砂(主成分は炭酸カルシウム)を用いた。
硫黄1kgと、炭酸塩1kgと、ノニオン系の界面活性剤とを混練し、硫黄を界面活性剤で親水化処理した。
親水化処理工程の後、親水化処理された硫黄を含む組成物に対して水洗浄を十分に繰り返して、水洗浄された組成物を得た。
水洗浄された組成物を、脱窒用資材とした。
脱窒用資材は、硫黄粒子および炭酸塩粒子が互いに独立した状態で均一に混合されており、すなわち硫黄および炭酸塩が同一の粒内に共存していなかった。
<脱窒処理装置の製造>
図5に記載の構成の脱窒処理装置を準備した。すなわち、外部循環水として用いる排水を貯水できる水槽と、ろ過膜(上流側固液分離部)と、第1ポンプと、容積2Lの円筒カラムであるリアクターと、内部循環流路と、第2ポンプと、圧力計と、水質測定部(酸化還元電位計)と、リアクターで処理された処理水を水槽に戻す外部循環流路と、制御部とを有する、実施例1の脱窒処理装置を準備した。
実施例1の脱窒処理装置では、リアクター出口がリアクター入口に比べて上方向の位置に配置され、リアクターで処理された処理水は水面がリアクター出口からオーバーフローし、外部循環流路に導入される。
また、リアクター出口に比べて鉛直下方向の位置に内部循環流路の入口が配置され、内部循環流路の入口に比べて鉛直下方向の位置に内部循環流路の出口が配置されている。内部循環流路の出口は、リアクター底面に対して略垂直に配設し、リアクター内に上向流の内部循環流を生成しやすいようにした。
リアクター内には、整流機構(支持砂利層)の上に、得られた脱窒用資材のうち1kgを堆積させた脱窒用資材層を積層し、脱窒用資材層の上側(下流側)に浮上濾材を充填率10体積%となるように充填させた。浮上濾材として、雪ヶ谷科学工業株式会社製の発泡PVA(ポリビニルアルコール)10mm角(キューブ状)である、気泡構造を有する樹脂製の多孔質体を用いた。この構成により、外部循環水流および内部循環流をともに上向流として整流機構、脱窒用資材層および浮上濾材をこの順で通過するようにした。
[実施例2、比較例1〜3および参考例1]
硫黄および炭酸塩として下記表1に記載のものを用い、内部循環流の空間速度SVを下記表1に記載のとおりに変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2および比較例1〜4の脱窒処理装置を製造した。
Figure 2021115542
[評価]
人工海水を飼育水とした飼育装置で海洋魚を飼育した。
飼育装置から、飼育水5Lと、植種(飼育装置の底部に滞留した汚泥)をサンプルとして分取した。飼育水中の初期の硝酸性窒素濃度は1000mg/Lであった。硝酸性窒素濃度(NO −N濃度)は、レッドシー社製、硝酸塩マリンテストキットにより測定した。
各実施例、各比較例および参考例1の脱窒処理装置を用いて、脱窒用資材を含むリアクターにサンプルの飼育水および植種を加え、窒素吹込みにより脱気し、溶存酸素量(DO)を1ppm未満とした。リアクター内の気相を窒素置換した。25℃の環境にて水槽の飼育水を外部循環水として第1ポンプでリアクターに送液し、リアクター内の脱窒用資材に上向流で通水して、外部循環流路を介して水槽に循環させた。あわせて、リアクター内の水の一部を第2ポンプで内部循環流路を通じて内部循環させることにより、上向流の内部循環流を発生させながら、5日間を経過させた。
その際、上記の方法で1日間ごとに外部循環水の硝酸性窒素濃度を測定し、あわせて水質測定部で外部循環水の酸化還元電位を測定した。
硝酸性窒素濃度について、得られた結果を図6に示した。実施例1および2では、外部循環水の硝酸性窒素濃度が顕著に低下したことがわかった。特に、実施例1では5日後の外部循環水の硝酸性窒素濃度は10mg/Lまで低下し、実施例2では5日後の外部循環水の硝酸性窒素濃度は50mg/Lまで低下した。
一方、硫黄粒径が本発明で規定する下限値を下回る比較例1では、脱窒用資材が容易に流動し、リアクター内部で浮遊していたため、菌体(微生物膜)が脱窒用資材に維持されていないと予想された。
硫黄粒径が本発明で規定する上限値を上回る比較例2では、外部循環水の硝酸性窒素濃度の低下速度が遅く、脱窒効率が悪かった。その理由として、脱窒用資材(硫黄)の比表面積が小さいために、脱窒反応が遅くなったためと考えられた。
内部循環流の空間速度SVが本発明で規定する上限値を上回る比較例3では、脱窒用資材が容易に流動し、リアクター内部で浮遊していたため、菌体(微生物膜)が脱窒用資材に維持されていないと予想された。
なお、外部循環水の硝酸性窒素濃度は、200mg/L以下であることが好ましく、50mg/L以下であることがより好ましく、10mg/L以下であることが特に好ましい。
酸化還元電位について、実施例1および2では−200mV〜0mVの間で維持されており、硫化水素が発生しない範囲で、嫌気的な条件を維持できていたことがわかった。実際、実施例1および2では、脱窒用資材の表面を気泡が覆わずに脱窒の活性を高く維持できることがわかった。
一方、内部循環流の空間速度SVが本発明で規定する下限値を下回る参考例1では、経過日数が1日目から酸化還元電位が−200mV未満となり、硫化水素が発生していると予想された。参考例1では、脱窒用資材の表面を硫化水素と予想される気泡が覆っており、また、リアクター内部で白濁が生じていた。この白濁は、気泡が脱窒用資材を巻き上げることに起因して生じたと考えられる。
以上より、本発明の脱窒処理装置は、脱窒の活性が高く、硫化水素の発生を抑制できることがわかった。そのため、本発明の脱窒処理装置は、水生生物の長期間の飼育に特に適することがわかった。
[実施例3]
実施例1の脱窒処理装置において第2ポンプを以下のように制御できるプログラムを制御部に記憶させた、実施例3の脱窒処理装置を準備した。実施例3の脱窒処理装置を用いて、実施例1と同様に通水試験を行った。
脱窒用資材にかかる圧力が所定の閾値以下の場合の内部循環流の空間速度SV1=100/hr
脱窒用資材にかかる圧力が所定の閾値を超えた場合における内部循環流の空間速度SV2=150/hr
その結果、ある程度の時間が経過した後に、脱窒用資材にかかる圧力が所定の閾値を超え、内部循環流の空間速度SV2=150/hrとなるように第2ポンプが制御された。その際、脱窒用資材の閉塞が解消され、すぐに脱窒用資材にかかる圧力が所定の閾値を下回り、再び脱窒用資材にかかる圧力が所定の閾値以下の場合の内部循環流の空間速度SV1=100/hrとなるように第2ポンプが制御された。この一連の制御がその後も繰り返し行われ、実施例3の脱窒処理装置は長期間にわたって安定的に運用できることがわかった。
1 硫黄
2 炭酸塩
10 脱窒用資材
11 水槽
12 外部循環水
21 リアクター
22 脱窒用資材層
23 整流機構
24 外部濾材
25 浮上濾材
31 外部循環流路
32 内部循環流路
33 内部循環流路の入口
34 内部循環流路の出口
35 リアクター入口
36 リアクター出口
41 上流側固液分離部
42 固液分離水
61 圧力計
62 制御部
63 水質測定部
p1 第1ポンプ
p2 第2ポンプ

Claims (8)

  1. 脱窒用資材を含むリアクターに排水を上向流で通過させる脱窒処理装置であって、
    リアクター出口がリアクター入口に比べて上方向の位置に配置され、
    前記排水を前記リアクター入口に導入する第1ポンプと、
    前記リアクターの内部へ空間速度が50〜150/hrである上向流の内部循環流を発生させる内部循環機構とを備え、
    前記内部循環機構が、前記リアクターの外部に配置された内部循環流路および第2ポンプを有し、
    前記脱窒用資材が硫黄および炭酸塩を含み、
    前記硫黄は粒径1〜10mmであり、
    前記炭酸塩は粒径1〜10mmである、脱窒処理装置。
  2. 前記リアクター出口に比べて下方向の位置に前記内部循環流路の入口が配置され、
    前記内部循環流路の入口に比べて下方向の位置に前記内部循環流路の出口が配置された、請求項1に記載の脱窒処理装置。
  3. 前記リアクターが、前記脱窒用資材を含む脱窒用資材層と、整流機構とを有し、
    前記整流機構が前記内部循環流路の出口と前記脱窒用資材層との間に位置する、請求項1または2に記載の脱窒処理装置。
  4. 前記排水を外部循環水として用い、
    前記外部循環水を貯水できる水槽と、
    前記リアクターで処理された処理水を前記水槽に戻す外部循環流路とを有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の脱窒処理装置。
  5. 前記リアクターの上流に配置されて前記外部循環水を固液分離する上流側固液分離部を有する、請求項4に記載の脱窒処理装置。
  6. 前記脱窒用資材の上流に位置する圧力計と、制御部をさらに備え、
    前記制御部は、前記脱窒用資材にかかる圧力が所定の閾値を超えた場合に前記内部循環流の空間速度を増加するように前記第2ポンプを制御する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の脱窒処理装置。
  7. 脱窒用資材を含むリアクターに排水を上向流で通過させる脱窒処理方法であって、
    リアクター出口がリアクター入口に比べて上方向の位置に配置され、
    第1ポンプにより前記排水を前記リアクター入口に導入する工程と、
    内部循環機構により前記リアクターの内部へ空間速度が50〜150/hrである上向流の内部循環流を発生させる工程とを備え、
    前記内部循環機構が、前記リアクターの外部に配置された内部循環流路および第2ポンプを有し、
    前記脱窒用資材が硫黄および炭酸塩を含み、
    前記硫黄は粒径1〜10mmであり、
    前記炭酸塩は粒径1〜10mmである、脱窒処理方法。
  8. 前記脱窒用資材の上流に位置する圧力計と、制御部をさらに備え、
    前記制御部は、前記脱窒用資材にかかる圧力が所定の閾値を超えた場合における前記内部循環流の空間速度SV2を、前記脱窒用資材にかかる圧力が前記閾値以下の場合の前記内部循環流の空間速度SV1の1倍を超えて1.5倍以下となるように前記第2ポンプを制御する、請求項7に記載の脱窒処理方法。
JP2020011755A 2020-01-28 2020-01-28 脱窒処理装置および脱窒処理方法 Pending JP2021115542A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020011755A JP2021115542A (ja) 2020-01-28 2020-01-28 脱窒処理装置および脱窒処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020011755A JP2021115542A (ja) 2020-01-28 2020-01-28 脱窒処理装置および脱窒処理方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021115542A true JP2021115542A (ja) 2021-08-10

Family

ID=77173516

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020011755A Pending JP2021115542A (ja) 2020-01-28 2020-01-28 脱窒処理装置および脱窒処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021115542A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TW311130B (ja)
Ebeling et al. Recirculating aquaculture systems
EP0977713B1 (en) Air charged backwashing bioclarifier
US20050211644A1 (en) Mixed bed trickling reactor using microbeads
JP5254834B2 (ja) 陸上養殖システム
JP5994253B2 (ja) 有機性排水の生物処理装置及び方法
CN101977853A (zh) 用于处理废水的方法和装置
JP5316553B2 (ja) 廃水処理装置及び廃水処理方法
KR102379737B1 (ko) 바이오플락 양식장용 자동 침전 순환 사육수조
WO2016159870A1 (en) Moving bed bioreactor and water treatment process
JP6136699B2 (ja) 有機性排水の生物処理方法
CN208561849U (zh) 一种移动床生物膜反应式污水处理系统
JP2008272721A (ja) バイオ方式(無薬注・無曝気)水処理システム
JP2021115542A (ja) 脱窒処理装置および脱窒処理方法
JP6999096B1 (ja) 水処理に用いる生物反応装置、およびそれを用いた水底浄化装置、およびアクアポニックス装置
JP2021115543A (ja) 脱窒処理装置および脱窒処理方法
JP2021079321A (ja) 脱窒用資材、脱窒処理装置、それらの製造方法および飼育方法
JP2019058845A (ja) 排水処理装置
JP3561460B2 (ja) 畜産排水の汚水処理方法とその装置
JP2013081945A (ja) 廃水処理装置及び廃水処理方法
JP5825807B2 (ja) 廃水処理装置及び廃水処理方法
JP4586147B2 (ja) 浄水処理装置
JP2021079324A (ja) 脱窒処理装置
JP2021079322A (ja) 脱窒処理装置
JP4013123B2 (ja) 好気処理槽の運転方法、好気処理槽及び汚水浄化槽