JP2021113017A - 浮体構造物 - Google Patents

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Abstract

【課題】浮体構造物の動揺を低減するとともに、係留ラインに対して作用する係留張力を低減する。【解決手段】係留ラインにより水底92に係留される浮体構造物2は、波上側において係留ラインに接続される前後方向に長い浮体本体21を備える。これにより、浮体本体21の抗力係数を小さくすることができる。その結果、係留ライン4に対して作用する係留張力を低減することができる。また、浮体構造物2では、浮体本体21を幅方向に貫通するとともに水面91の上下に亘って広がる貫通孔211が設けられる。貫通孔211の前後方向の中心位置Cは、浮体本体21の浮心Fよりも後側に位置する。これにより、浮体構造物2の動揺の固有周期を増大させることができる。その結果、波浪との共振を抑制し、浮体構造物2の動揺を低減することができる。【選択図】図2

Description

本発明は、係留ラインにより水底に係留される浮体構造物に関する。
従来、ブイや浮魚礁等の海面に浮遊する浮体構造物は、係留ラインにより海底に係留されている。例えば、特許文献1では、所定海域に係留されて津波および/または波浪を観測する観測用ブイが開示されている。また、特許文献2では、プラント等が搭載される浮体構造物が開示されている。
特許第4974666号公報 特開平10−244989号公報
ところで、特許文献1の観測用ブイでは、ブイ本体は略円柱状である。このため、ブイ本体の抗力係数が比較的大きく、潮流や波浪等により観測用ブイに作用する流体抵抗も比較的大きい。したがって、観測用ブイの動揺が増大し、係留ラインに対して作用する係留張力も増大する。
特許文献2の浮体構造物では、八角柱状の主浮体の下端に、主浮体の外周よりも外側方へ張り出した扁平な没水浮力構造体を設けることにより、浮体構造物の動揺を低減することが提案されている。しかしながら、当該主浮体は上述のように八角柱状であるため、抗力係数は円柱状のものよりもさらに大きくなり、浮体構造物に作用する流体抵抗も増大する。したがって、没水浮力構造体による動揺低減の効果は限定的であり、係留ラインに対して作用する係留張力が増大する。
なお、特許文献2には、通常の船形を有する浮体構造物について、波上側に船首を向けた状態では、比較的良好な低動揺性が得られる点が記載されている。このような浮体構造物は、波向きが変化した場合、船首が波上側を向くように振れ回るが、振れ回り中に船腹に横波が衝突するため、浮体構造物に作用する流体抵抗は増大する。その結果、浮体構造物の動揺は増大し、係留ラインに対して作用する係留張力も増大する。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、浮体構造物の動揺を低減するとともに、係留ラインに対して作用する係留張力を低減することを目的としている。
請求項1に記載の発明は、係留ラインにより水底に係留される浮体構造物であって、波上側において係留ラインに接続される前後方向に長い浮体本体を備え、前記浮体本体を幅方向に貫通するとともに水面の上下に亘って広がる貫通孔が設けられ、前記貫通孔の前後方向の中心位置は、前記浮体本体の浮心よりも後側に位置する。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の浮体構造物であって、前記浮体本体は、前記貫通孔の下側に位置する部位を備え、前記貫通孔の下側に位置する部位は、内部に空間を有する。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の浮体構造物であって、前記浮体本体は、前記貫通孔の上側に位置する部位と前記貫通孔の下側に位置する部位とを前記貫通孔の波下側にて接続する後部接続部を備える。
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の浮体構造物であって、前記浮体本体の水線幅が最大である最大水線幅部は、前記浮体本体の水線面の前端よりも後側に位置し、前記浮体本体の水線幅は、前記浮体本体の水線面の前端から前記最大水線幅部に向かうに従って増大し、前記貫通孔の前縁は、前記最大水線幅部の前端よりも後側に位置する。
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の浮体構造物であって、前記浮体本体の水線上における前記貫通孔の前後方向の長さは、前記浮体本体の水中長さに対して40%以上かつ75%以下である。
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の浮体構造物であって、前記浮体本体の側方に離間して配置される他の浮体本体と、前記浮体本体と前記他の浮体本体とを接続する本体接続部とをさらに備え、前記浮体本体の水線形状と前記他の浮体本体の水線形状とは、前記浮体本体と前記他の浮体本体との幅方向中央にて前後方向に延びる中心線に対して線対称である。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の浮体構造物であって、前記浮体本体および前記他の浮体本体の水線面について、前後方向の断面二次モーメントと幅方向の断面二次モーメントとが略同じである。
本発明では、浮体構造物の動揺を低減するとともに、係留ラインに対して作用する係留張力を低減することができる。
一の実施の形態に係る係留システムの側面図である。 浮体構造物を示す側面図である。 浮体構造物を示す平面図である。 浮体構造物を示す正面図である。 浮体本体の水線面の形状を示す平面図である。 他の浮体構造物を示す側面図である。 他の浮体構造物を示す側面図である。 他の浮体構造物を示す側面図である。 他の浮体構造物を示す側面図である。
図1は、本発明の一の実施の形態に係る浮体構造物2を備える係留システム1の構成を示す側面図である。係留システム1は、浮体構造物2と、係留基体3と、係留ライン4とを備える。係留システム1は、水面91に浮かぶ浮体構造物2を係留ライン4により水底92に係留するシステムである。浮体構造物2は、水底92から上方に離間した状態で水面91に浮かぶ構造物である。浮体構造物2が海上に設置される場合、当該水面91および水底92はそれぞれ、海面および海底である。浮体構造物2は、例えば、所定海域に係留されて津波および/または波浪を観測する観測用ブイである。
図2は、浮体構造物2を示す側面図である。図3は、浮体構造物2を示す平面図である。図4は、浮体構造物2を示す正面図である。浮体構造物2は、いわゆるカタマラン(双胴船)型の構造物であり、2つの浮体本体21と、本体接続部22とを備える。各浮体本体21は、図2および図3中のX方向(以下、「前後方向」と呼ぶ。)に略平行に延びる。2つの浮体本体21は、前後方向に垂直な幅方向(すなわち、図2ないし図4におけるY方向)に間隙を空けて配置される。換言すれば、一の浮体本体21の側方に、他の浮体本体21が離間して配置される。2つの浮体本体21の形状は、2つの浮体本体21の幅方向中央にて前後方向に延びるとともに幅方向に垂直な対称面に対して略面対称である。
各浮体本体21は、前後方向に細長く延びるとともに前端に近づくに従って痩せる形状(いわゆる、船形)を有する部材である。図3に例示する浮体構造物2では、各浮体本体21の幅方向の幅(以下、単に「幅」とも呼ぶ。)は、前後方向の中央部において最大であり、中央部から離れて前端に近づくに従って漸次減少する。また、各浮体本体21の幅は、前後方向の中央部から離れて後端に近づくに従って漸次減少する。なお、図3に示す例では、各浮体本体21の幅が最大である部位の前後方向の長さは約0mであるが、当該長さは0mよりも大きくてもよい。換言すれば、各浮体本体21の幅が最大である部位は、前後方向にある程度の長さ延びていてもよい。さらに換言すれば、各浮体本体21は、幅が最大である平行部を備えていてもよい。図4に示す例では、各浮体本体21の下端部(すなわち、船底部)の形状は、丸みを帯びたU字型であるが、下端が尖ったV字型であってもよく、下端が平面状の箱型であってもよい。また、浮体本体21の形状は、後述するように、様々に変更されてよい。
各浮体本体21の前後方向の全長L0は、例えば、1m〜20mである。各浮体本体21の幅方向における最大幅は、例えば、0.5m〜10mである。各浮体本体21の上下方向(すなわち、図2ないし図4におけるZ方向)における最大深さは、例えば、0.5m〜10mである。2つの浮体本体21間の空間の幅方向における最小幅は、例えば、1m〜5mである。
本体接続部22は、一の浮体本体21と他の浮体本体21とを接続する。図2ないし図4に示す例では、本体接続部22は、水面91よりも上側(すなわち、(+Z)側)において2つの浮体本体21の上端部を接続する略平板状の上甲板221を備える。上甲板221は、例えば、2つの浮体本体21の前後方向の全長に亘って設けられる略矩形状の平板部材であり、2つの浮体本体21の上面全体、および、2つの浮体本体21間の空間の上方全体を覆う。なお、上甲板221は、必ずしも、略矩形状である必要はなく、他の形状(例えば、略円形)の平板部材であってもよい。
上甲板221上には、浮体構造物2の使用目的に合わせて、様々な機器や設備等が配置される。上述のように、浮体構造物2が津波や波浪を観測する観測用ブイとして使用される場合、上甲板221上には、例えば、浮体構造物2の3次元の動きを取得するためのGPS(Global Positioning System)受信機222が配置される。そして、GPS受信機222により取得された浮体構造物2の動きに基づいて、水面91の変動(例えば、波浪、潮位、津波等)が求められる。
また、上甲板221上には、例えば、GPS受信機222等に電力を供給するためのソーラーパネル223が配置される。浮体構造物2はカタマラン型であり、上甲板221の面積を比較的大きくすることができるため、複数のソーラーパネル223を略水平に配置することができる。これにより、ソーラーパネル223の発電量を増大させることができる。また、ソーラーパネル223の風圧抵抗を低減することができる。その結果、係留ライン4に作用する係留張力を低減することができる。
本体接続部22は、上甲板221に加えて、あるいは、上甲板221に代えて、他の接続部材を備えていてもよい。当該他の接続部材は、例えば、略直線状の鋼材を組み合わせて形成されたトラス構造であってもよい。当該他の接続部材は、浮体本体21の上面よりも下側にて幅方向に延びる部材により構成されていてもよい。例えば、当該他の接続部材は、水面91よりも下側(すなわち、(−Z)側)にて幅方向に延びて2つの浮体本体21の下端部を接続する略帯状の略平板部材(例えば、水中翼)であってもよい。
係留基体3は、水底92に固定された物体である。係留基体3は、例えば、水底92に沈められたシンカー(すなわち、錘)またはアンカー(すなわち、把駐力を有する錨)である。あるいは、係留基体3は、水底92に予め設置されている固定構造物であってもよい。係留基体3は、必ずしも水底92に直接的に固定される必要はなく、例えば、水底92に固定された他の構造物を介して、水中において間接的に水底92に固定される物体であってもよい。
係留ライン4は、浮体構造物2と係留基体3とを接続する略線状の部材である。係留ライン4は、例えば、金属製のチェーンである。あるいは、係留ライン4は、係留ロープであってもよく、チェーンと係留ロープとが接続されたものであってもよい。係留ロープは、例えば、合成繊維製または金属製のロープである。図1では、図示の都合上、係留ライン4を線にて示す。
図1に示す例では、浮体構造物2の浮体本体21は、1本の係留ライン4により、係留基体3に1点係留されている。1点係留とは、1つの浮体構造物2を、水底92に設けられた1つの係留基体3のみに接続して係留する係留方法である。なお、1点係留と異なる係留方法である多点係留では、1つの浮体が、水底92に設けられた2つ以上の係留基体に接続されて係留される。浮体構造物2は、多点係留にて係留基体3に係留されてもよい。
係留ライン4の上端部は、浮体構造物2の前部に設けられた係留点にて浮体構造物2に接続される。図1に示す例では、係留点は、上甲板221の前部において幅方向中央部に位置する。上甲板221の前端と係留点との間の前後方向の距離は、例えば、上甲板221の全長の1/3以下である。この場合、係留点は、水面91よりも上側に位置する。2つの浮体本体21は、上甲板221を介して、係留ライン4に間接的に接続される。なお、係留点の位置は、浮体構造物2の浮心よりも前側(すなわち、(+X)側)において、様々に変更されてよい。例えば、係留点は、水面91と上下方向の略同じ位置、あるいは、水面91よりも下側(すなわち、水中)に位置していてもよい。また、係留ライン4の上部が2本に分岐され、2つの浮体本体21の前部に設けられた2つの係留点に接続されてもよい。この場合、各浮体本体21は、係留ライン4に直接的に接続される。
係留システム1では、浮体構造物2に波浪、潮流および風等の外力が作用すると、浮体構造物2は、係留基体3(または、係留ライン4のうち水底92に接している部位の係留基体3とは反対側の端部)を中心として振れ回り、外力が作用する方向(以下、「外力方向」とも呼ぶ。)の最も下流側に位置する。係留ライン4は、係留基体3から当該外力方向に沿って延びる。
外力方向の下流側に位置する浮体構造物2に作用する外力が変動する場合、浮体構造物2は、当該変動に対応して係留点を中心として比較的小さく振れ回り、外力に対して最も抵抗が少ない向きを向く。上述のように、係留点は、浮体構造物2の前部に設けられているため、浮体構造物2は、外力方向の下流側において、各浮体本体21の前端部を波上側に向けて、各浮体本体21が外力方向に略平行になる姿勢(すなわち、後述する中心線J1が外力方向に略平行になる姿勢)を取る。換言すれば、浮体構造物2は、常に波上側において係留ライン4に接続されるように姿勢を変更する。これにより、係留ライン4に作用する係留張力が低減される。
図5は、2つの浮体本体21の水線面の形状(すなわち、喫水線における水平断面の形状であり、以下、「水線形状」とも呼ぶ。)を示す平面図である。2つの浮体本体21の水線形状は、2つの浮体本体21の幅方向中央にて前後方向に延びる中心線J1に対して線対称である。図5に示す例では、各浮体本体21の水線形状は、水線面の前端から前後方向に延びる(すなわち、当該水線面の幅方向中央にて前後方向に延びる)本体中心線に対して線対称である。
各浮体本体21では、水線よりも下方(すなわち、水面91よりも下側)の部位の前後方向の長さである水中長さL1は、当該部位の幅B1よりも大きい。換言すれば、各浮体本体21では、水中長さL1の幅B1に対する割合は1よりも大きい。当該割合は、好ましくは2〜7である。水中長さL1は、浮体本体21の水線よりも下方の部位における前端から後端までの前後方向の長さである。幅B1は、浮体本体21の水線よりも下方の部位における幅方向の最大幅であり、本実施の形態では、浮体本体21の水線面の最大幅である。
図5に示す例では、各浮体本体21の水線面の幅(以下、「水線幅」とも呼ぶ。)は、前後方向の中央部(すなわち、水線面の前端から水中長さL1の半分程度後方に離れた部位)において最大であり、中央部から離れて前端に近づくに従って漸次減少する。また、各浮体本体21の水線幅は、前後方向の中央部から離れて後端に近づくに従って漸次減少する。以下の説明では、各浮体本体21の水線幅が最大である部位を「最大水線幅部」とも呼ぶ。図5に示す例では、各浮体本体21の最大水線幅部は、各浮体本体21の水線面の前端よりも後側に位置し、当該水線面の後端よりも前側に位置する。また、図5に示す例では、各浮体本体21の最大水線幅部の前後方向の長さは約0mであるが、当該長さは0mよりも大きくてもよい。換言すれば、各浮体本体21の最大水線幅部は、前後方向にある程度の長さ延びていてもよい。さらに換言すれば、各浮体本体21は、水線幅が最大である平行部を備えていてもよい。各浮体本体21の水線幅は、上述のように、水線面の前端から最大水線幅部に向かう(すなわち、(−X)側に向かう)に従って漸次増大し、水線面の後端から最大水線幅部に向かう(すなわち、(+X)側に向かう)に従って漸次増大する。換言すれば、各浮体本体21の水線面は、前部および後部において中央部よりも幅が狭まる略流線型である。浮体本体21の前端および後端における水線幅はそれぞれ、図5に示す例では約0mであるが、0mよりも大きくてもよい。
各浮体本体21の後部には、浮体本体21を幅方向に貫通する貫通孔211が設けられている。浮体本体21の後部において貫通孔211が設けられている部分について、貫通孔211が設けられていないと仮定した場合の水線(図5中において破線にて示す。)の幅は、上記と同様に、前後方向の中央部から離れて後端に近づくに従って漸次減少する。
図2に示すように、各浮体本体21の貫通孔211は、水面91の上下に亘って広がる。換言すれば、貫通孔211の上端と下端との間に、水面91が位置する。図2および図5に示す浮体本体21の水線上における貫通孔211の前後方向の長さL3は、好ましくは、上記水中長さL1の40%以上かつ75%以下である。貫通孔211の前後方向の長さL3は、貫通孔211の前縁215(すなわち、貫通孔211の開口の前端において上下方向に略平行に延びる縁部)と後縁216との間の前後方向の距離である。図2に示す例では、貫通孔211の前縁215および後縁216は、側面視において上下方向に略平行な略直線状である。貫通孔211の前縁215および後縁216が上下方向に平行ではない場合、貫通孔211の前後方向の長さL3は、前縁215の前後方向における平均位置と、後縁216の前後方向における平均位置との間の前後方向の距離である。
また、図2および図5に示すように、貫通孔211の前後方向の中心位置Cは、浮体本体21の浮心Fよりも後側(すなわち、(−X)側)に位置する。貫通孔211の前後方向の中心位置Cは、側面視における貫通孔211の面積中心である。図2および図5に示す例では、貫通孔211の全体が浮体本体21の浮心Fよりも後側に配置される。換言すれば、貫通孔211の前縁215は、浮体本体21の浮心Fよりも後側に位置する。なお、浮心Fは、貫通孔211が設けられていないと仮定した場合の浮心ではなく、貫通孔211を考慮した浮心である。
図2に示すように、各浮体本体21のうち、貫通孔211の上側に位置する部位212と、貫通孔211の下側の部位213とは、貫通孔211の波下側(すなわち、前後方向の後側)にて、上下方向に略平行に延びる板状または柱状の後部接続部214により、上下に接続される。以下の説明では、上述の部位212および部位213をそれぞれ、「孔蓋部212」および「孔底部213」とも呼ぶ。孔蓋部212および孔底部213はそれぞれ、貫通孔211の略鉛直上方および略鉛直下方に位置する。孔蓋部212と孔底部213とは、間に貫通孔211を挟んで上下方向に対向する。孔蓋部212および孔底部213はそれぞれ、上下方向に略垂直な方向に広がる扁平な略四角柱状の部位である。孔底部213は、内部に空間(例えば、ボイド)を有している。このため、水中に位置する孔底部213には、中実の板部材等に比べて、浮力と重力との差による比較的大きい上向きの力が作用する。図2に示す例では、貫通孔211は、浮体本体21のうち孔蓋部212および孔底部213よりも前側の部位と、孔蓋部212と、後部接続部214と、孔底部213とにより囲まれる。
貫通孔211の幅方向両側(すなわち、(+Y)側および(−Y)側)の開口は、側面視において、例えば略矩形である。貫通孔211の上面および下面は、上下方向に略垂直な略平面であり、前面および後面は、前後方向に略垂直な略平面である。貫通孔211の前縁215は、浮体本体21の最大水線幅部よりも後側に位置することが好ましい。浮体本体21の最大水線幅部が前後方向に延びている場合(すなわち、平行部を有している場合)、貫通孔211の前縁215は、浮体本体21の最大水線幅部の前端よりも後側に位置することが好ましい。なお、浮体本体21の最大水線幅部の前後方向の長さが約0mである場合、最大水線幅部の前端とは、当該最大水線幅部の前後方向の位置と同じである。
また、貫通孔211の前縁215は、浮体本体21の水線上の剥離点よりも後側に位置することが好ましい。当該剥離点とは、浮体本体21の外側面に沿って前側から後方に向かう水流が、当該外側面から剥離する点である。剥離点は、例えば、浮体本体21の水線面の前端から後方に向かう際に、水線の曲率がある程度急激に大きくなる点である。具体的には、例えば、浮体本体21の水線面の前端から後方に向かう際に、浮体本体21の水線幅が最大となる前後方向の位置における水線上の点である。
各浮体本体21の貫通孔211よりも前側(すなわち、波上側)の部位の水線長L2は、上述の幅B1よりも大きい。換言すれば、各浮体本体21では、水線長L2の幅B1に対する割合は1よりも大きい。水線長L2は、水線面における浮体本体21の前端と貫通孔211の前縁215との間の前後方向の距離である。
貫通孔211の前縁部(すなわち、前縁215近傍の部位)の水線面近傍における形状は、R形状等の滑らかな面取り形状であることが好ましい。より好ましくは、貫通孔211の前縁部は、上下方向の略全長に亘って(すなわち、水線面よりも上方および下方の全体に亘って)、上述の面取り形状である。貫通孔211の前縁部は、上下方向に垂直な断面において、後方に向かうに従って浮体本体21の本体中心線に近づく略円弧状である。換言すれば、上下方向に垂直な断面において、貫通孔211の前縁部は、当該前縁部よりも上側および下側の浮体本体21の外側面に比べて、後方に向かうに従って上記本体中心線に近づく方向へと向かう滑らかな曲線である。
貫通孔211の後縁部(すなわち、後縁216近傍の部位)の水線面近傍における形状も、上記前縁部と同様に、R形状等の滑らかな面取り形状であることが好ましい。より好ましくは、貫通孔211の後縁部は、上下方向の略全長に亘って上述の面取り形状である。貫通孔211の後縁部は、上下方向に垂直な断面において、前方に向かうに従って浮体本体21の本体中心線に近づく略円弧状である。換言すれば、上下方向に垂直な断面において、貫通孔211の後縁部は、当該後縁部よりも上側および下側の浮体本体21の外側面に比べて、前方に向かうに従って上記本体中心線に近づく方向へと向かう滑らかな曲線である。
貫通孔211の下縁部(すなわち、下縁近傍の部位)の形状も、上記前縁部および後縁部と同様に、R形状等の滑らかな面取り形状であることが好ましい。より好ましくは、貫通孔211の下縁部は、前後方向の略全長に亘って上述の面取り形状である。貫通孔211の下縁部は、前後方向に垂直な断面において、上方に向かうに従って浮体本体21の本体中心線に近づく略円弧状である。換言すれば、前後方向に垂直な断面において、貫通孔211の下縁部は、当該下縁部よりも前側および後側の浮体本体21の外側面に比べて、上方に向かうに従って上記本体中心線に近づく方向へと向かう滑らかな曲線である。
2つの浮体本体21の水線面について、前後方向の断面二次モーメントと、幅方向の断面二次モーメントとは略同じである。具体的には、上述の前後方向の断面二次モーメントに対する幅方向の断面二次モーメントの割合は、90%以上かつ110%以下である。幅方向の断面二次モーメントは、上述の中心線J1を軸として求められる。前後方向の断面二次モーメントは、2つの浮体本体21の水線面の面積中心を通って幅方向に延びる直線を軸として求められる。
浮体構造物2は、必ずしもカタマラン型である必要はなく、上述の2つの浮体本体21のうち、1つの浮体本体21のみを備える単胴型であってもよい。この場合、本体接続部22は設けられず、GPS受信機222およびソーラーパネル223等は、当該1つの浮体本体21の上面に配置される。また、係留ライン4は、当該1つの浮体本体21の前端部に設けられた係留点にて浮体本体21と接続される。
以上に説明したように、係留ライン4により水底92に係留される浮体構造物2は、波上側において係留ライン4に接続される前後方向に長い浮体本体21を備える。これにより、上下方向に延びる円柱状や角柱状の浮体に比べて、浮体本体21の抗力係数(CD)を小さくすることができる。その結果、係留ライン4に対して作用する係留張力を低減することができる。
また、浮体構造物2では、浮体本体21を幅方向に貫通するとともに水面91の上下に亘って広がる貫通孔211が設けられる。貫通孔211の前後方向の中心位置Cは、浮体本体21の浮心Fよりも後側に位置する。これにより、貫通孔211が設けられない場合に比べて、浮体構造物2の水線面積を減少させ、浮体構造物2のヒーブ(すなわち、上下揺れ)の固有周期を増大させることができる。その結果、通常の周期(例えば、2秒〜7秒)の波浪について、波浪との共振を抑制し、浮体構造物2の動揺を低減することができる。
さらに、浮体構造物2では、卓越波向の変化等により浮体構造物2が振れ回って向きを変更する途上において、浮体構造物2に幅方向から入射する波浪(横波)や潮流が、貫通孔211を透過する。これにより、貫通孔211が設けられない場合に比べて、浮体構造物2に横向きに作用する外力を低減することができる。その結果、浮体構造物2の向きの遷移時におけるロール(すなわち、横揺れ)やスウェイ(すなわち、左右揺れ)等の動揺を低減することができる。また、浮体構造物2の向きの遷移時において、係留ライン4に対して作用する係留張力を低減することもできる。
上述のように、浮体構造物2では、通常の周期の波浪との共振を抑制することができるため、浮体構造物2を波浪観測用ブイとして使用する場合、波高測定等の波浪観測を高精度に実施することができる。
上述のように、浮体本体21は、貫通孔211の下側に位置する部位(すなわち、孔底部213)を備えることが好ましい。これにより、浮体本体21の上下方向の付加質量が増大するため、浮体構造物2のヒーブの固有周期をさらに増大させることができる。その結果、通常の周期の波浪との共振をさらに抑制し、浮体構造物2の動揺をより一層低減することができる。また、上述のように、孔底部213は内部に空間を有することが好ましい。これにより、貫通孔211による浮体構造物2の後部の浮力減少を補うことができ、浮体構造物2を所望の姿勢に容易に維持することができる。
上述のように、浮体本体21は、貫通孔211の上側に位置する部位(すなわち、孔蓋部212)と貫通孔211の下側に位置する部位(すなわち、孔底部213)とを貫通孔211の波下側にて接続する後部接続部214を備えることが好ましい。これにより、浮体本体21における貫通孔211の周囲の部位の強度を増大させることができる。
上述のように、浮体本体21の水線幅が最大である最大水線幅部は、浮体本体21の水線面の前端よりも後側に位置し、浮体本体21の水線幅は、浮体本体21の水線面の前端から最大水線幅部に向かうに従って増大することが好ましい。また、貫通孔211の前縁215は、最大水線幅部の前端よりも後側に位置することが好ましい。これにより、正面視において貫通孔211を見えなくすることができ、前方から浮体本体21に向かう水流が直接的に貫通孔211に流入することを抑制することができる。その結果、浮体構造物2の動揺、および、係留ライン4に対して作用する係留張力を低減することができる。また、浮体本体21の水線幅が最大になる位置近傍にて浮体本体21の外側面から剥離した水流が、当該外側面に再付着する領域に、貫通孔211が設けられるため、当該再付着による抵抗増加を抑制することができる。その結果、係留ライン4に対して作用する係留張力をより一層低減することができる。
上述のように、貫通孔211の前縁215は、浮体本体21の水線上の剥離点よりも後側に位置することが好ましい。これにより、浮体本体21の外側面から剥離した水流が当該外側面に再付着する領域に、貫通孔211が設けられるため、当該再付着による抵抗増加を抑制することができる。その結果、係留ライン4に対して作用する係留張力をより一層低減することができる。
上述のように、貫通孔211の前縁部は、滑らかな面取り形状であることが好ましい。これにより、浮体本体21の外側面に沿って前側から後方に向かう水流が、貫通孔211の前縁部において剥離することを抑制することができる。その結果、当該剥離により生じる渦抵抗を抑制し、浮体本体21の抵抗増加を抑制することができる。浮体本体21では、貫通孔211の後縁部も滑らかな面取り形状であることが好ましい。これにより、貫通孔211に対して側方から水流が入射する場合等に、貫通孔211の後縁部における水流の剥離を抑制することができる。その結果、当該剥離により生じる渦抵抗を抑制し、浮体本体21の抵抗増加を抑制することができる。また、貫通孔211の下縁部も滑らかな面取り形状であることが好ましい。これにより、貫通孔211の周縁部における渦抵抗を、より一層抑制することができる。
上述のように、浮体本体21の水線上における貫通孔211の前後方向の長さL3は、浮体本体21の水中長さL1に対して40%以上かつ75%以下であることが好ましい。このように、比較的大きい貫通孔211を設けることにより、浮体構造物2のヒーブの固有周期を好適に増大させ、通常周期の波浪との共振を抑制して浮体構造物2の動揺を好適に低減することができる。
上述のように、浮体構造物2は、上記浮体本体21の側方に離間して配置される他の浮体本体21と、浮体本体21と他の浮体本体21とを接続する本体接続部22と、をさらに備えることが好ましい。浮体本体21の水線形状と他の浮体本体21の水線形状とは、浮体本体21と他の浮体本体21との幅方向中央にて前後方向に延びる中心線J1に対して線対称であることが好ましい。
このように、浮体構造物2をカタマラン型とすることにより、浮体構造物2の幅方向における安定性が向上するため、浮体本体21の水線幅を小さくすることができる。その結果、浮体本体21の抗力係数をより一層小さくすることができ、係留ライン4に対して作用する係留張力をより一層低減することができる。また、上述の幅方向における安定性向上により、浮体構造物2のロール(すなわち、横揺れ)等の動揺を低減することができる。
上述のように、カタマラン型の浮体構造物2では、通常の周期の波浪との共振を抑制することができるため、浮体構造物2を波浪観測用ブイとして使用する場合、波高測定等の波浪観測を高精度に実施することができる。また、浮体構造物2では、比較的大面積の本体接続部22(例えば、上甲板221)を設けることができるため、GPS受信機222やソーラーパネル223等の設備の配置を容易とすることができる。
上述のように、カタマラン型の浮体構造物2は、浮体本体21および他の浮体本体21の水線面について、前後方向の断面二次モーメントと、幅方向の断面二次モーメントとが略同じであることが好ましい。これにより、浮体構造物2に対する波向きが前後方向である場合の波浪に対する応答特性と、当該波向きが幅方向である場合の波浪に対する応答特性とを近づけることができる。その結果、浮体構造物2の向きの遷移時における浮体構造物2の動揺の変動、および、係留ライン4に対して作用する係留張力の変動を低減することができる。
カタマラン型の浮体構造物2では、重心位置が比較的高く、復原力が比較的小さいため、各浮体本体21の内部に注排水可能なバラストタンクが設けられ、必要に応じて重心位置が低くされてもよい。2つの浮体本体21に設けられる2つのバラストタンクは、例えば、連通流路にて接続され、アンチローリングタンクとして利用されてもよい。これにより、浮体構造物2のロールをさらに低減することができる。浮体構造物2では、当該アンチローリングタンクに代えて、あるいは、当該アンチローリングタンクに加えて、他のロール低減機構(例えば、アンチローリングジャイロ)が設けられてもよい。なお、浮体構造物2が単胴型である場合であっても、浮体本体21にバラストタンクやロール低減機構が設けられてもよい。
上述の浮体構造物2では、様々な変更が可能である。
例えば、上述のカタマラン型の浮体構造物2では、2つの浮体本体21の水線面について、前後方向の断面二次モーメントと幅方向の断面二次モーメントとは、必ずしも略同じである必要はなく、異なっていてもよい。
浮体構造物2は、上述のカタマラン型または単胴型には限定されず、3つ以上の浮体本体21を備える多胴型(例えば、幅方向に並ぶ3つの浮体本体21を備えるトリマラン型)であってもよい。
浮体本体21の水線上における貫通孔211の前後方向の長さL3は、浮体本体21の水中長さL1の40%未満であってもよく、水中長さL1の75%よりも長くてもよい。
貫通孔211の前縁215は、必ずしも、浮体本体21の最大水線幅部の前端よりも後側に位置する必要はなく、当該最大水線幅部の前端よりも前側、または、当該最大水線幅部の前端と前後方向の略同じ位置に配置されてもよい。
また、貫通孔211の前縁215は、必ずしも、浮体本体21の水線上の剥離点よりも後側に位置する必要はなく、当該位置よりも前側、または、当該位置と前後方向の略同じ位置に配置されてもよい。
貫通孔211の前縁部、後縁部および下縁部の形状はそれぞれ、必ずしも、滑らかな面取り形状である必要はなく、他の形状であってもよい。
貫通孔211の幅方向両側の開口の側面視における形状は、必ずしも矩形である必要はなく、略円形や略楕円形等、様々に変更されてよい。
浮体本体21の孔底部213は、必ずしも内部に空間を有する必要はない。
浮体本体21の形状は、前後方向に長ければ、様々に変更されてよい。例えば、浮体本体21は、必ずしも略流線型である必要はなく、水線幅が水線面の前端から後方に向かうに従って漸次増大し、水線幅が最大となる位置から後端まで、水線幅がおよそ一定であってもよく、漸次減少してもよい。上述の水線幅が最大となる位置(すなわち、水線幅が最大である部位の前端)は、浮体本体21の水中長さL1の中央に位置していてもよく、当該中央よりも前側または後側に位置していてもよい。また、浮体本体21の全体形状は、必ずしも通常の船形である必要はなく、例えば、前後端部が略半球状である略円柱状であってもよい。浮体本体21の水線幅は、必ずしも、水線面の前端から後方に向かうに従って漸次増大する必要はなく、例えば、浮体本体21が略直方体状である場合のように、略一定であってもよい。
浮体構造物2では、図6に示す浮体本体21aのように、図2に示す浮体本体21から後部接続部214が省略されてもよい。換言すれば、浮体本体21aでは、孔蓋部212の後端部と孔底部213の後端部とは、他の部材により接続されず、上下方向に離間している。この場合であっても、浮体本体21aに貫通孔211aが設けられることにより、上記と略同様に、浮体構造物2のヒーブの固有周期を増大させ、通常周期の波浪との共振を抑制して浮体構造物2の動揺を低減することができる。また、係留ライン4に対して作用する係留張力を低減することもできる。浮体本体21aの水線上における貫通孔211aの前後方向の長さL3は、浮体本体21aの水中長さL1に対して40%以上かつ75%以下であることが好ましい。これにより、浮体構造物2の動揺を好適に低減することができる。なお、浮体本体21aでは、孔蓋部212の前後方向における長さは、孔底部213の前後方向における長さと必ずしも同じである必要はなく、孔底部213の前後方向における長さよりも長くても短くてもよい。
また、図7に示す浮体本体21bのように、図2に示す浮体本体21から孔底部213が省略されてもよい。換言すれば、浮体本体21bでは、孔蓋部212の後端部から下方に延びる後部接続部214の下端部は自由端部であり、他の部材と接続されていない。この場合であっても、浮体本体21bに貫通孔211bが設けられることにより、上記と略同様に、浮体構造物2のヒーブの固有周期を増大させ、通常周期の波浪との共振を抑制して浮体構造物2の動揺を低減することができる。また、係留ライン4に対して作用する係留張力を低減することもできる。浮体本体21bの水線上における貫通孔211bの前後方向の長さL3は、浮体本体21bの水中長さL1に対して40%以上かつ75%以下であることが好ましい。これにより、浮体構造物2の動揺を好適に低減することができる。なお、浮体本体21bでは、後部接続部214の上下方向の長さは、浮体本体21bの貫通孔211bよりも前側の部位の上下方向の長さと必ずしも同じである必要はなく、浮体本体21bの貫通孔211bよりも前側の部位の上下方向の長さよりも長くても短くてもよい。
また、図8に示す浮体本体21cのように、図2に示す浮体本体21から孔底部213および後部接続部214が省略されてもよい。換言すれば、浮体本体21cでは、孔蓋部212の後端部は自由端部であり、他の部材と接続されていない。この場合であっても、浮体本体21cに貫通孔211cが設けられることにより、上記と略同様に、浮体構造物2のヒーブの固有周期を増大させ、通常周期の波浪との共振を抑制して浮体構造物2の動揺を低減することができる。また、係留ライン4に対して作用する係留張力を低減することもできる。
また、図9に示す浮体本体21dのように、図2に示す1つの貫通孔211に代えて、前後方向に離間しつつ配列される複数(図9に示す例では、3つ)の貫通孔211dが設けられてもよい。この場合であっても、浮体本体21dに貫通孔211dが設けられることにより、上記と略同様に、浮体構造物2のヒーブの固有周期を増大させ、通常周期の波浪との共振を抑制して浮体構造物2の動揺を低減することができる。また、係留ライン4に対して作用する係留張力を低減することもできる。なお、浮体本体21dの水線上における複数の貫通孔211dの前後方向の合計長さは、浮体本体21dの水中長さL1に対して40%以上かつ75%以下であることが好ましい。これにより、浮体構造物2の動揺を好適に低減することができる。
浮体構造物2は、津波および/または波浪を観測する観測用ブイ以外の用途に利用されてもよい。例えば、浮体構造物2は、集魚のために設置される表層浮魚礁に利用されてもよい。あるいは、浮体構造物2上に、洋上風力発電の風車が立設されてもよい。
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
2 浮体構造物
4 係留ライン
21,21a〜21d 浮体本体
22 本体接続部
91 水面
92 水底
211,211a〜211d 貫通孔
212 孔蓋部
213 孔底部
214 後部接続部
215 (貫通孔の)前縁

Claims (7)

  1. 係留ラインにより水底に係留される浮体構造物であって、
    波上側において係留ラインに接続される前後方向に長い浮体本体を備え、
    前記浮体本体を幅方向に貫通するとともに水面の上下に亘って広がる貫通孔が設けられ、
    前記貫通孔の前後方向の中心位置は、前記浮体本体の浮心よりも後側に位置することを特徴とする浮体構造物。
  2. 請求項1に記載の浮体構造物であって、
    前記浮体本体は、前記貫通孔の下側に位置する部位を備え、
    前記貫通孔の下側に位置する部位は、内部に空間を有することを特徴とする浮体構造物。
  3. 請求項1または2に記載の浮体構造物であって、
    前記浮体本体は、前記貫通孔の上側に位置する部位と前記貫通孔の下側に位置する部位とを前記貫通孔の波下側にて接続する後部接続部を備えることを特徴とする浮体構造物。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1つに記載の浮体構造物であって、
    前記浮体本体の水線幅が最大である最大水線幅部は、前記浮体本体の水線面の前端よりも後側に位置し、
    前記浮体本体の水線幅は、前記浮体本体の水線面の前端から前記最大水線幅部に向かうに従って増大し、
    前記貫通孔の前縁は、前記最大水線幅部の前端よりも後側に位置することを特徴とする浮体構造物。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1つに記載の浮体構造物であって、
    前記浮体本体の水線上における前記貫通孔の前後方向の長さは、前記浮体本体の水中長さに対して40%以上かつ75%以下であることを特徴とする浮体構造物。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1つに記載の浮体構造物であって、
    前記浮体本体の側方に離間して配置される他の浮体本体と、
    前記浮体本体と前記他の浮体本体とを接続する本体接続部と、
    をさらに備え、
    前記浮体本体の水線形状と前記他の浮体本体の水線形状とは、前記浮体本体と前記他の浮体本体との幅方向中央にて前後方向に延びる中心線に対して線対称であることを特徴とする浮体構造物。
  7. 請求項6に記載の浮体構造物であって、
    前記浮体本体および前記他の浮体本体の水線面について、前後方向の断面二次モーメントと幅方向の断面二次モーメントとが略同じであることを特徴とする浮体構造物。
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