JP2021112860A - 金型清掃用樹脂組成物 - Google Patents

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Katsunori Yoshimura
勝則 吉村
惇 岩田
Atsushi Iwata
惇 岩田
陽一 福西
Yoichi Fukunishi
陽一 福西
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Abstract

【課題】バリを発生させ難く、かつ、清掃性能に優れる金型清掃用樹脂組成物の提供。【解決手段】メラミン系樹脂と、充填材と、下記の式(I)で表される化合物と、を含む金型清掃用樹脂組成物〔式(I)中、Rは、ヒドロキシ基、ホルミル基、又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表し、Rが複数ある場合、複数のRは、同一であってもよく、異なっていてもよい。nは、0〜4の整数を表す。〕。【選択図】なし

Description

本発明は、金型清掃用樹脂組成物に関する。
近年、スマートフォンに代表される携帯端末の高機能化に伴い、半導体の小型化が進んでいる。また、人出不足及びコスト削減に伴う作業ロボットの普及、自動車の電化等が急速に進むことで、使用される半導体の種類及び量が急増するとともに、半導体の更新頻度も増加している。このような状況に伴い、パッケージの多数個取り設計、半導体パターンの複雑化等に対応可能な金型が普及している。
近年の半導体封止樹脂の成形作業の効率化の要請に伴い、成形金型を清掃するための樹脂組成物(所謂、金型清掃用樹脂組成物)に対しても、清掃作業の効率化が求められている。成形金型の清掃作業を効率的に行うためには、金型清掃用樹脂組成物は、成形金型の内部の隅々まで速やかに行き渡るような高い流動性を示すことが望ましい。金型清掃用樹脂組成物の流動性を制御する方法については、いくつか報告がなされている。
例えば、特許文献1では、メラミン系樹脂の硬化剤としてブロックカルボン酸を用いることで、低温でも成形金型の内部の隅々まで行き渡るために必要な流動性(所謂、適正な流動性)を示す金型清掃用樹脂組成物を実現している。
また、特許文献2では、複数の硬化触媒を用いることで、硬化と流動性とのバランスがとれた金型清掃用樹脂組成物を実現している。
また、特許文献3では、平均粒径、粒径の標準偏差、粒径の平均アスペクト比、及び粒径のアスペクト比の標準偏差が特定範囲である無機充填材を用いることで、金型内部の空隙の隅々まで行き渡らせることができる良好な流動性を示す金型清掃用樹脂組成物を実現している。
特開2019−126966号公報 特開2017−177623号公報 国際公開第2013/011876号
成形金型において、多数個取り設計、小型化、及びパターンの複雑化が進むにつれ、金型清掃用樹脂組成物の流動性を制御するだけでは、金型清掃用樹脂組成物を成形金型の内部の隅々まで行き渡らせることが困難となっている。このため、金型清掃用樹脂組成物を金型に押し流すプランジャーの速度、圧力等を高める対応が行われている。しかし、この対応によれば、成形金型を清掃する際に、金型清掃用樹脂組成物が、成形金型の合わせ面、擦り合わせ面等の隙間に侵入し、バリが発生しやすくなる。バリが発生すると、半導体封止樹脂を成形する際に、作業性の低下、成形物の汚染、成形物の品質ムラ等の不具合が生じる。
このため、金型清掃用樹脂組成物には、優れた清掃性能に加えて、バリを発生させ難い性質が求められる。
上述の点に関し、特許文献1〜特許文献3では、金型清掃用樹脂組成物におけるバリの発生の問題について、何ら着目していない。
本発明が解決しようとする課題は、バリを発生させ難く、かつ、清掃性能に優れる金型清掃用樹脂組成物を提供することである。
課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
<1> メラミン系樹脂と、充填材と、下記の式(I)で表される化合物と、を含む金型清掃用樹脂組成物。
Figure 2021112860

式(I)中、Rは、ヒドロキシ基、ホルミル基、又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表し、Rが複数ある場合、複数のRは、同一であってもよく、異なっていてもよい。nは、0〜4の整数を表す。
<2> 上記式(I)で表される化合物の含有量が、上記メラミン系樹脂及び上記充填材の合計100質量部に対して、0.05質量部以上10.0質量部以下の範囲である<1>に記載の金型清掃用樹脂組成物。
<3> 上記式(I)で表される化合物が、バニリン、エチルバニリン、オルトバニリン、イソバニリン、及びパラヒドロキシベンズアルデヒドからなる群より選ばれる少なくとも1種である<1>又は<2>に記載の金型清掃用樹脂組成物。
本発明によれば、バリを発生させ難く、かつ、清掃性能に優れる金型清掃用樹脂組成物が提供される。
実施例におけるバリの発生抑制性の評価結果「A」の一例を示す写真である。 実施例におけるバリの発生抑制性の評価結果「D」の一例を示す写真である。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本明細書において、各成分の量は、各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、複数種の物質の合計量を意味する。
本明細書において、「成形金型の内部表面」とは、成形金型により成形される被成形物と接する領域を意味する。
[金型清掃用樹脂組成物]
本発明の金型清掃用樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」ともいう。)は、メラミン系樹脂と、充填材と、上記式(I)で表される化合物(以下、「特定化合物(I)」ともいう。)と、を含む。
メラミン系樹脂と硬化触媒とを含む金型清掃用樹脂組成物における硬化反応は、以下のように進行する。まず、金型清掃用樹脂組成物に含まれるメラミン系樹脂が、加熱によって溶融する。次いで、溶融したメラミン系樹脂に、酸性化合物(典型的には、ブレンステッド酸)に代表される硬化触媒が作用し、金型清掃用樹脂組成物が硬化する。通常、金型清掃用樹脂組成物の硬化速度は、硬化触媒の含有量に大きく影響される。金型清掃用樹脂組成物に含まれる硬化触媒の量が多いと、金型清掃用樹脂組成物は、硬化速度が速くなり、流動性が低下する。金型において、多数個取り設計、小型化、及びパターンの複雑化が進むにつれ、硬化触媒の含有量を調整するだけでは、金型清掃用樹脂組成物の流動性を制御することが困難となっている。また、金型清掃用樹脂組成物の流動性を制御するだけでは、金型清掃用樹脂組成物を成形金型の内部の隅々まで行き渡らせることが困難となっている。このため、近年では、金型清掃用樹脂組成物を金型に押し流すプランジャーの速度、圧力等を高める対応が行われている。しかし、この対応によれば、成形金型を清掃する際に、金型清掃用樹脂組成物が、成形金型の合わせ面、擦り合わせ面等の隙間に侵入し、バリが発生しやすくなる。バリが発生すると、半導体封止樹脂を成形する際に、作業性の低下、成形物の汚染、成形物の品質ムラ等の不具合が生じる。
これに対し、本発明の金型清掃用樹脂組成物は、メラミン系樹脂と、充填材と、硬化触媒として特定の構造を有する化合物、すなわち、特定化合物(I)と、を含むことで、バリを発生させ難く、かつ、清掃性能に優れるという効果を奏する。
なお、詳細なメカニズムは不明であるが、本発明の金型清掃用樹脂組成物によれば、成形する際に発生し得るホルムアルデヒドの量が低減するという効果を奏し得る。
<メラミン系樹脂>
本発明の樹脂組成物は、メラミン系樹脂を含む。
本発明の樹脂組成物において、メラミン系樹脂は、清掃性能に寄与する。
メラミン系樹脂は、極性の高いメチロール基を有している。メラミン系樹脂を含む樹脂組成物では、メラミン系樹脂が有する極性の高いメチロール基が、エポキシ樹脂に代表される熱硬化性樹脂を含む封止成形材料に由来する汚れ(以下、「汚染物質」ともいう。)に作用することで、清掃性能効果が奏されると考えられる。
本明細書において「メラミン系樹脂」とは、メラミン樹脂、メラミン−フェノール共縮合物、及びメラミン−ユリア共縮合物を意味する。
メラミン樹脂は、トリアジン化合物と、アルデヒド化合物との縮合物である。
トリアジン化合物としては、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン等が挙げられる。
アルデヒド化合物としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等が挙げられる。
メラミン樹脂は、トリアジン化合物由来の繰り返し単位と、アルデヒド化合物由来の繰り返し単位とのモル比(トリアジン化合物由来の繰り返し単位/アルデヒド化合物由来の繰り返し単位)が、1/1.2〜1/4であることが好ましい。
メラミン−フェノール共縮合物は、トリアジン化合物と、フェノール化合物と、アルデヒド化合物との共縮合物である。
フェノール化合物としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、ブチルフェノール等が挙げられる。
メラミン−フェノール共縮合物は、トリアジン化合物由来の繰り返し単位とフェノール化合物由来の繰り返し単位とのモル比(トリアジン化合物由来の繰り返し単位/フェノール化合物由来の繰り返し単位)が、1/0.3〜1/1であることが好ましい。
また、メラミン−フェノール共縮合物は、トリアジン化合物由来の繰り返し単位とアルデヒド化合物由来の繰り返し単位とのモル比(トリアジン化合物由来の繰り返し単位/アルデヒド化合物由来の繰り返し単位)が、1/1〜1/3であることが好ましい。
メラミン−ユリア共縮合物は、トリアジン化合物と、ユリア化合物と、アルデヒド化合物との共縮合物である。
ユリア化合物としては、尿素、チオ尿素、エチレン尿素等が挙げられる。
メラミン系樹脂は、公知の方法により製造できる。
例えば、メラミン樹脂は、メラミン結晶と、ホルムアルデヒドとを、モル比(メラミン結晶/ホルムアルデヒド)1/1.2〜1/4、加熱温度70℃〜100℃、pH7〜7.5の条件下で撹拌した後、冷却し、60℃において、反応物の3質量%水溶液が白濁するまでの時間(例えば、1時間)、反応させる。次いで、得られた反応物に、pHが8.0〜9.0になるまで水酸化ナトリウムを添加した後、冷却することにより、メラミン樹脂を製造できる。
メラミン系樹脂としては、市販品を使用できる。
メラミン系樹脂の市販品の例としては、日本カーバイド工業(株)のニカレヂン(登録商標)S−166、ニカレヂン(登録商標)S−176、ニカレヂン(登録商標)S−260、ニカレヂン(登録商標)S−305等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、メラミン系樹脂を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
本発明の樹脂組成物におけるメラミン系樹脂の含有量は、特に制限されないが、例えば、樹脂組成物の全固形分100質量部に対して、10質量部以上90質量部以下の範囲であることが好ましく、15質量部以上85質量部以下の範囲であることがより好ましく、20質量部以上80質量部以下の範囲であることが更に好ましく、25質量部以上75質量部以下の範囲であることが特に好ましい。
本明細書において、「樹脂組成物の全固形分」とは、樹脂組成物が溶媒(例えば、水;以下、同じ。)を含まない場合には、樹脂組成物の全質量を意味し、樹脂組成物が溶媒を含む場合には、樹脂組成物から溶媒を除いた残渣の質量を意味する。
<充填材>
本発明の樹脂組成物は、充填材を含む。
本発明の樹脂組成物が充填材を含むと、樹脂組成物の成形物の強度が適切に保たれるため、清掃後、成形金型から樹脂組成物の成形物を取り除く際の作業性が向上し得る。
充填材は、有機充填材及び無機充填材のいずれであってもよい。
(有機充填材)
有機充填材としては、パルプ、木粉、合成繊維等が挙げられる。
これらの中でも、有機充填材としては、パルプが特に好ましい。
パルプとしては、木材パルプ(針葉樹パルプ、広葉樹パルプ等)、非木材パルプ(藁、竹、バガス、綿等)などが挙げられる。これらのパルプは、化学パルプ及び機械パルプのいずれであってもよい。
本発明の樹脂組成物が有機充填材としてパルプを含む場合、パルプは、メラミン系樹脂で含浸処理したパルプとして用いられることが好ましい。
メラミン系樹脂で含浸処理したパルプでは、メラミン系樹脂の少なくとも一部がパルプの繊維の間隙に入り込んだ状態となっているか、或いは、メラミン系樹脂の少なくとも一部がパルプの繊維の表面の一部又は全部を被覆した状態となっている。
メラミン系樹脂で含浸処理したパルプは、メラミン系樹脂を含む水溶液にパルプを含浸した後、乾燥させることにより得られる。
パルプの大きさは、特に制限されない。
パルプの大きさは、例えば、繊維長で、5μm以上1000μm以下の範囲であることが好ましく、10μm以上200μm以下の範囲であることがより好ましい。
パルプの大きさが上記範囲内であると、樹脂組成物の成形物の強度がより適切に保たれるため、清掃後、成形金型から樹脂組成物の成形物を取り除く際の作業性がより向上し得る。また、パルプの大きさが上記範囲内であると、樹脂組成物の流動性がより適正なものとなる傾向がある。
パルプの繊維長は、ISO16065−2に対応するJIS P8226−2の規定に準拠した方法により測定される値である。
パルプとしては、市販品を使用できる。
パルプの市販品の例としては、日本製紙(株)の「NSPP1」(商品名、針葉樹パルプ)、「LDPT」(商品名、広葉樹パルプ)等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、充填材として有機充填材を含む場合、有機充填材を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
本発明の樹脂組成物が充填材として有機充填材を含む場合、有機充填材の含有量は、特に制限されないが、例えば、樹脂組成物の全固形分100質量部に対して、2質量部以上50質量部以下の範囲であることが好ましく、2質量部以上30質量部以下の範囲であることがより好ましく、2質量部以上15質量部以下の範囲であることが更に好ましい。
有機充填材の含有量が、樹脂組成物の全固形分100質量部に対して上記範囲内であると、樹脂組成物の成形物の強度がより適切に保たれるため、清掃後、成形金型から樹脂組成物の成形物を取り除く際の作業性がより向上し得る。また、有機充填材の含有量が、樹脂組成物の全固形分100質量部に対して上記範囲内であると、樹脂組成物の流動性がより適正なものとなる傾向がある。
(無機充填材)
無機充填材は、樹脂組成物の成形物の適切な強度の保持による作業性の向上のみならず、成形金型の内部表面への物理的な研磨作用による清掃性能の向上にも寄与し得る。
無機充填材としては、炭化ケイ素、酸化ケイ素(所謂、シリカ;以下、同じ。)、炭化チタン、酸化チタン、炭化ホウ素、酸化ホウ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。
これらの中でも、無機充填材としては、樹脂組成物を調製する際にメラミン系樹脂と良好に混合できるとの観点から、炭化ケイ素、酸化ケイ素、炭化チタン、酸化チタン、炭化ホウ素、酸化ホウ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、及び酸化カルシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、酸化ケイ素及び酸化チタンからなる群より選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
成形金型の材質及び状態にもよるため一概には言えないが、酸化ケイ素及び酸化チタンは、硬度が適当であり、成形金型の内部表面及びゲート部分の磨耗、並びに傷つきの発生を抑制できる点でより好ましい。
上記にて例示した無機充填材の硬度(所謂、新モース硬度)は、炭化ケイ素が13であり、酸化ケイ素が8であり、炭化チタンが9であり、酸化チタンが8であり、炭化ホウ素が14であり、酸化ホウ素が3であり、酸化アルミニウムが12であり、酸化マグネシウムが4であり、酸化カルシウムが3である。
無機充填材としては、市販品を使用できる。
無機充填材の市販品の例としては、日鉄ケミカル&マテリアル(株)マイクロンカンパニーの「S440−4」、「HS−202」、「HS−204」、「UF−320」(いずれも商品名、非晶質シリカ)、瀬戸窯業原料(株)の純硅石粉(商品名、結晶質シリカ)等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、充填材として無機充填材を含む場合、無機充填材を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
本発明の樹脂組成物が充填材として無機充填材を含む場合、無機充填材の含有量は、特に制限されないが、例えば、樹脂組成物の全固形分100質量部に対して、5質量部以上30質量部以下の範囲であることが好ましく、10質量部以上25質量部以下の範囲であることがより好ましい。
無機充填材の含有量が、樹脂組成物の全固形分100質量部に対して上記範囲内であると、樹脂組成物の成形物の強度がより適切に保たれるため、清掃後、成形金型から樹脂組成物の成形物を取り除く際の作業性がより向上し得る。また、無機充填材の含有量が、樹脂組成物の全固形分100質量部に対して上記範囲内であると、樹脂組成物の流動性がより適正なものとなる傾向がある。
<特定化合物(I)>
本発明の樹脂組成物は、下記の式(I)で表される化合物〔即ち、特定化合物(I)〕)を含む。
本発明の樹脂組成物において、特定化合物(I)は、硬化触媒として機能する。
本発明の樹脂組成物が特定化合物(I)を含むと、バリの発生抑制及び清掃性能が改善し得る。
Figure 2021112860

式(I)中、Rは、ヒドロキシ基、ホルミル基、又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表し、Rが複数ある場合、複数のRは、同一であってもよく、異なっていてもよい。nは、0〜4の整数を表す。
式(I)におけるRは、炭素数1〜6のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1〜4のアルコキシ基であることがより好ましく、炭素数1又は2のアルコキシ基であることが更に好ましい。
式(I)において、nは、0〜3であることが好ましく、0〜2であることがより好ましく、0又は1であることが更に好ましい。
式(I)におけるヒドロキシ基(但し、Rで表されるヒドロキシ基を除く。)は、ホルミル基(但し、Rで表されるホルミル基を除く。)に対するパラ位の位置に結合していることが好ましい。
特定化合物(I)としては、具体的には、バニリン、エチルバニリン、オルトバニリン、イソバニリン、パラヒドロキシベンズアルデヒド、シリンガアルデヒド、4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンズアルデヒド、3−ヒドロキシ−4,5ジメトキシベンズアルデヒド等が挙げられる。
これらの中でも、特定化合物(I)としては、例えば、バニリン、エチルバニリン、オルトバニリン、イソバニリン、及びパラヒドロキシベンズアルデヒドからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、バニリン、エチルバニリン、オルトバニリン、及びイソバニリンからなる群より選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
また、特定化合物(I)としては、例えば、バリの発生抑制の観点からは、バニリン及びエチルバニリンから選ばれる少なくとも1種が更に好ましい。
また、特定化合物(I)としては、例えば、清掃性能の観点からは、バニリンが更に好ましい。
以下、好ましい特定化合物(I)の構造を示す。
(I)−1:バニリン、(I)−2:エチルバニリン、(I)−3:オルトバニリン、(I)−4:イソバニリン、(I)−5:パラヒドロキシベンズアルデヒド。
Figure 2021112860

本発明の樹脂組成物は、特定化合物(I)を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
特定化合物(I)の含有量は、特に制限されないが、例えば、メラミン系樹脂及び充填材(即ち、有機充填材及び無機充填材)の合計100質量部に対して、0.05質量部以上15.0質量部以下の範囲であることが好ましく、0.05質量部以上10.0質量部以下の範囲であることがより好ましく、0.1質量部以上10.0質量部以下の範囲であることが更に好ましく、0.3質量部以上8.0質量部以下の範囲であることが特に好ましい。
特定化合物(I)の含有量が、メラミン系樹脂及び充填材(即ち、有機充填材及び無機充填材)の合計100質量部に対して0.05質量部以上であると、バリがより発生し難くなる傾向がある。また、より優れた清掃性能を示す傾向がある。
特定化合物(I)の含有量が、メラミン系樹脂及び充填材(即ち、有機充填材及び無機充填材)の合計100質量部に対して15.0質量部以下であると、より優れた清掃性能を示す傾向がある。
<金属石鹸>
本発明の樹脂組成物は、金属石鹸を含むことが好ましい。
本発明の樹脂組成物が金属石鹸を含むと、成形金型を清掃する際に樹脂組成物の流動性が向上し、メラミン系樹脂が成形金型の内部表面に存在し得る汚れに作用しやすくなるため、樹脂組成物がより優れた清掃性能を発揮し得る。また、本発明の樹脂組成物が金属石鹸を含むと、樹脂組成物と、成形金型の内部表面に存在し得る汚れとの親和性が高まるため、樹脂組成物がより優れた清掃性能を発揮し得る。
金属石鹸としては、特に制限はなく、例えば、脂肪酸と金属とから構成される脂肪酸金属塩が挙げられる。
脂肪酸金属塩を構成する脂肪酸は、飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸のいずれであってもよいが、好ましくは飽和脂肪酸である。
脂肪酸金属塩を構成する脂肪酸の炭素数は、特に制限されないが、例えば、12〜20であることが好ましく、14〜18であることがより好ましい。
炭素数12〜20の脂肪酸としては、具体的には、炭素数12のラウリン酸(IUPAC名:ドデカン酸)、炭素数14のミリスチン酸(IUPAC名:テトラデカン酸)、炭素数16のパルミチン酸(IUPAC名:ヘキサデカン酸)、炭素数18のステアリン酸(IUPAC名:オクタデカン酸)、炭素数18のオレイン酸(IUPAC名:cis-9-オクタデカン酸)、炭素数20のアラキジン酸(IUPAC名:エイコサン酸)等が挙げられる。
脂肪酸金属塩を構成する金属は、特に制限されないが、例えば、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、及びカルシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、亜鉛であることがより好ましい。
脂肪酸金属塩の具体例としては、ステアリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、オレイン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、モンタン酸カリウム、ラウリン酸リチウム等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、金属石鹸を含む場合、金属石鹸を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
本発明の樹脂組成物が金属石鹸を含む場合、金属石鹸の含有量は、特に制限されないが、例えば、メラミン系樹脂及び充填材(即ち、有機充填材及び無機充填材)の合計100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下の範囲であることが好ましく、0.1質量部以上4.0質量部以下の範囲であることがより好ましく、0.1質量部以上3.0質量部以下の範囲であることが更に好ましい。
金属石鹸の含有量が、メラミン系樹脂及び充填材(即ち、有機充填材及び無機充填材)の合計100質量部に対して0.1質量部以上であると、成形金型を清掃する際に樹脂組成物の流動性がより向上し、メラミン系樹脂が成形金型の内部表面に存在し得る汚れにより作用しやすくなるため、樹脂組成物がより優れた清掃性能を発揮し得る。また、金属石鹸の含有量が、メラミン系樹脂及び充填材(即ち、有機充填材及び無機充填材)の合計100質量部に対して0.1質量部以上であると、樹脂組成物と、成形金型の内部表面に存在し得る汚れとの親和性がより高まるため、樹脂組成物がより優れた清掃性能を発揮し得る。
メラミン系樹脂を含む樹脂組成物が金属石鹸を過剰に含むと、余剰の金属石鹸が成形金型に残って成形金型を汚染することがある。
金属石鹸の含有量が、メラミン系樹脂及び充填材(即ち、有機充填材及び無機充填材)の合計100質量部に対して5.0質量部以下であると、余剰の金属石鹸に起因する成形金型の汚染がより生じ難い傾向がある。
<滑剤>
本発明の樹脂組成物は、滑剤(但し、既述の金属石鹸に該当するものを除く。)を含むことが好ましい。
本発明の樹脂組成物において、滑剤は、樹脂組成物を調製する際における各成分の分散性の向上及び成形金型を清掃する際における樹脂組成物の流動性の向上に寄与し得る。
滑剤としては、例えば、脂肪酸アミド系滑剤が挙げられる。
脂肪酸アミド系滑剤としては、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等の、飽和又は不飽和モノアミド型滑剤、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド等の、飽和又は不飽和ビスアミド型滑剤などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、滑剤を含む場合、滑剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
本発明の樹脂組成物が滑剤を含む場合、滑剤の含有量は、特に制限されないが、例えば、メラミン系樹脂及び充填材(即ち、有機充填材及び無機充填材)の合計100質量部に対して、0.1質量部以上0.6質量部以下の範囲であることが好ましく、0.2質量部以上0.5質量部以下の範囲であることがより好ましい。
<他の成分>
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、既述した成分以外の成分(所謂、他の成分)を含んでいてもよい。
他の成分としては、酸性化合物、着色剤(例えば、染料及び顔料)、抗酸化剤等の各種添加剤が挙げられる。
酸性化合物としては、典型的には、ブレンステッド酸が挙げられる。
本発明の樹脂組成物における酸性化合物の含有量は、特に制限されない。
本発明の樹脂組成物は、酸性化合物を含まないか、又は、酸性化合物の含有量が、メラミン系樹脂及び充填材(即ち、有機充填材及び無機充填材)の合計100質量部に対して、0質量部を超えて3質量部以下であることが好ましく、酸性化合物を含まないか、又は、酸性化合物の含有量が、メラミン系樹脂及び充填材(即ち、有機充填材及び無機充填材)の合計100質量部に対して、0質量部を超えて1質量部以下であることがより好ましく、酸性化合物を含まないか、又は、酸性化合物の含有量が、メラミン系樹脂及び充填材(即ち、有機充填材及び無機充填材)の合計100質量部に対して、0質量部を超えて0.5質量部以下であることが更に好ましく、酸性化合物を含まないことが特に好ましい。
本発明の樹脂組成物が他の成分を含む場合、樹脂組成物における他の成分の含有量は、本発明の効果が発揮される範囲において、適宜設定できる。
〔樹脂組成物の調製方法〕
本発明の樹脂組成物の調製方法は、特に制限されない。
本発明の樹脂組成物は、例えば、メラミン系樹脂と、充填材と、特定化合物(I)と、必要に応じて、金属石鹸、滑剤等の任意成分と、を混合することにより調製できる。
混合方法としては、特に制限はなく、例えば、ニーダー、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、ボールミル、ロール練り機、らいかい機、タンブラー等の公知の混合機を用いる混合方法が挙げられる。
〔用途〕
本発明の樹脂組成物は、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びフェノール樹脂に代表される熱硬化性樹脂を含む封止成形材料に由来する汚れを、成形金型の内部表面から取り除くために好適に用いられる。
本発明の樹脂組成物は、トランスファー成形されることにより成形金型の内部表面を清掃する、所謂、トランスファータイプの金型清掃用樹脂組成物として、特に好適である。
〔金型清掃方法〕
本発明の樹脂組成物は、通常、タブレット状に加工され、成形金型の内部表面の清掃作業に用いられる。
具体的には、成形金型の上にリードフレームを配置した後、タブレット状の樹脂組成物をポット部に挿入し、型締めした後、プランジャーで押し流す。この際、ポット部の樹脂組成物は、ランナー部を経由し、ゲート部を通り、キャビティ内部に流れ込む。所定の成形時間が経過した後、金型を開き、リードフレームと一体となった成形物、即ち、汚れを含む樹脂組成物の成形物を取り除くことにより、成形金型の内部表面を清掃する。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する。本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[メラミン系樹脂の調製]
〔製造例A:パルプ含有メラミン−ホルムアルデヒド樹脂〕
メラミン480質量部と、ホルムアルデヒド(37質量%水溶液)522質量部と、を加熱温度70℃〜100℃、pH7〜7.5の条件下で撹拌した後、冷却し、60℃において、1時間反応させた。次いで、得られた反応物に、pHが8.0〜9.0になるまで水酸化ナトリウム水溶液を添加した後、冷却することにより、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂を含む水溶液を得た。得られたメラミン−ホルムアルデヒド樹脂を含む水溶液に、有機充填材として、針葉樹パルプ(商品名:NSPP1、日本製紙(株))248質量部を加えて混練した後、減圧乾燥し、粉末化することにより、パルプ含有メラミン−ホルムアルデヒド樹脂(パルプ含有率:28質量%)を得た。
[樹脂組成物の調製]
〔実施例1〕
メラミン系樹脂として、製造例Aのパルプ含有メラミン−ホルムアルデヒド樹脂30質量部(メラミン−ホルムアルデヒド樹脂として21.6質量部)及びメラミン−ホルムアルデヒド樹脂〔商品名:ニカレヂン(登録商標)S−166、日本カーバイド工業(株)〕50質量部と、無機充填材として、酸化ケイ素〔商品名:純硅石粉、結晶質シリカ、瀬戸窯業原料(株)〕20質量部と、特定化合物(I)として、バニリン〔富士フイルム和光純薬(株)〕0.05質量部と、金属石鹸として、ステアリン酸亜鉛〔商品名:ジンクステアレート GF200、日油(株)〕1.13質量と、をボールミルに仕込み、粉砕した。次いで、滑剤として、エチレンビスステアリン酸アミド〔商品名:アルフロー(登録商標) H50T、日油(株)〕0.36質量部をナウターミキサーにて加え、撹拌することにより、実施例1の樹脂組成物を得た。
〔実施例2〜実施例10〕
実施例1において、樹脂組成物の組成を表1に示す組成に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例2〜実施例10の各樹脂組成物を得た。
〔比較例1〜比較例4〕
実施例1において、樹脂組成物の組成を表2に示す組成に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較例1〜比較例4の各樹脂組成物を得た。
以上のようにして得られた各樹脂組成物をそれぞれ直径14mmのタブレット状に加工した。得られたタブレット状の樹脂組成物を、評価用樹脂組成物として評価に用いた。
[評価]
1.バリの発生抑制性
バリの発生抑制性は、意図的に金型の成形圧力を高めた条件で、各樹脂組成物を成形することにより評価した。
トランスファー型自動成形機〔商品名:GP−PRO sf40、第一精工(株)〕及びSOIC(Small Outline Integrated Circuit)の金型〔パッケージの大きさ:4.9mm×3.9mm、第一精工(株)〕を使用し、金型温度175℃、保持時間60秒、成形時間180秒、ストローク時間2秒、及び成形圧力10torr(≒1.33kPa)の条件にて、評価用樹脂組成物を成形した。
成形後、ランナー(所謂、樹脂組成物の通り道)に隣接したパッケージ間に刻まれた10個のマス(図1Aにおける点線で囲まれた領域A)を目視にて観察し、バリの発生の有無及び程度を確認した。そして、確認結果に基づき、下記の評価基準に従って、バリの発生抑制性について評価した。なお、評価には、観察した14箇所の領域Aのうち、バリが最も多く発生した領域の観察結果を採用した。
評価結果が、「A」、「B」、又は「C」であれば、実用上問題がない。なお、最もバリを発生させ難い樹脂組成物は、評価結果が「A」の樹脂組成物である。
結果を表1及び表2に示す。
参考までに、評価結果「A」の一例を示す写真を図1Aに、また、評価結果「D」の一例を示す写真を図1Bに示す。なお、各図面において、同一の符号を用いて示される構成要素は、同一の構成要素であることを意味する。
図1Aに示すように、評価結果「A」の場合、ランナー10に隣接したパッケージ20間に刻まれた10個のマス30が存在する領域Aには、バリが発生していない。一方、評価結果「D」の場合、図1Bに示すように、ランナー10に隣接したパッケージ20間に刻まれた10個のマス30が存在する領域Aには、バリ40が発生しており、バリ40がマス30を覆っていることが確認できる。
(評価基準)
A:10個のマスのうち、バリで完全に覆われたマスが0個又は1個であった。
B:10個のマスのうち、バリで完全に覆われたマスが2個又は3個であった。
C:10個のマスのうち、バリで完全に覆われたマスが4個又は5個であった。
D:10個のマスのうち、バリで完全に覆われたマスが6個〜10個であった。
2.清掃性能
トランスファー型自動成形機〔商品名:GP−PRO sf40、第一精工(株)〕及びQFP(Quad Flat Package)の金型〔パッケージの大きさ:28mm×28mm、第一精工(株)〕を使用し、金型温度175℃、保持時間0.5秒、成形時間90秒、ストローク時間10秒、及び成形圧力35torr(≒4.67kPa)の条件の下、半導体用エポキシ樹脂封止材〔商品名:CEL−9240 HF10、日立化成(株)〕を用いて、QFPを400ショット成形することにより、成形金型の内部表面に汚れを付着させた。
この汚れが付着した成形金型を用い、成形時間を180秒にしたこと以外は、上記の半導体用エポキシ樹脂封止材の成形条件(具体的には、金型温度、保持時間、成形時間、ストローク時間、及び成形圧力の条件)と同様にして、実施例及び比較例の各樹脂組成物を繰り返し成形し、成形金型の清掃を行った。そして、成形金型の内部表面に付着した汚れを完全に除去できるまでに要した成形回数(以下、「ショット数」ともいう。)を測定し、このショット数を、樹脂組成物の清掃性能を評価するための指標とした。汚れを完全に除去できたか否かは、目視にて確認し、判断した。
成形金型の内部表面に付着した汚れを完全に除去できるまでに要した繰り返し成形回数(ショット数)は、小さいほど清掃性能が優れていることを示す。ショット数が3以下であれば、実用上問題がない。
結果を表1及び表2に示す。
3.流動性
流動性は、樹脂組成物の流れ性を示す一つの指標であり、スパイラルフロー長(流動長)の値により判断できる。本評価では、ASTM D−3123に準拠した方法により、樹脂組成物のスパイラルフロー長(単位:cm)を測定した。具体的には、トランスファー型成形機〔型式:MF−O70、テクノマルシチ(株)〕を用いて、ASTM D−3123に規定されたスパイラルフロー測定用金型の流路に、金型温度175℃、クランプ圧17.5Mpa、及びトランスファー圧1.96Mpaの条件で、評価用樹脂組成物が注入された際のスパイラルフロー長を測定した。そして、測定したスパイラルフロー長の値に基づき、下記の評価基準に従って、樹脂組成物の流動性を評価した。
スパイラルフロー長の値が大きいほど、樹脂組成物の流動性が高いことを示す。スパイラルフロー長が35cm〜75cmであれば、実用上問題がない。
結果を表1及び表2に示す。
4.遊離のホルムアルデヒド濃度
遊離のホルムアルデヒド濃度の測定には、亜硫酸ソーダ法を用いた。具体的には、以下の方法により測定した。
0.5mol/L(リットル;以下、同じ)の亜硫酸ナトリウム水溶液50mLに、ロゾール酸溶液を3滴滴下し、赤褐色の溶液を得た。なお、赤褐色は、ロゾール酸に由来する色である。次いで、得られた赤褐色の溶液に、0.1mol/Lの塩酸水溶液を、ビュレットを用いて滴下し、赤褐色の色を消した。次いで、赤褐色の色を消した溶液に、評価用樹脂組成物2gを加えた後、撹拌し、ピンク色の白濁した溶液を得た。次いで、得られたピンク色の白濁した溶液に、0.1mol/Lの塩酸水溶液を、ビュレットを用いて滴下し、溶液のピンク色が消えた時点までに滴下した塩酸水溶液の量(所謂、滴定量)から、下記の式に基づき、遊離のホルムアルデヒド濃度を求めた。
結果を表1及び表2に示す。
遊離のホルムアルデヒド濃度[単位:質量%] = (H×F×C×30.03)/S
H[単位:ml]:0.1mol/Lの塩酸水溶液の滴定量
F:0.1mol/Lの塩酸水溶液の力価
C[単位:mol/L]:塩酸水溶液の濃度
S[単位:g]:評価用樹脂組成物の量
30.03:ホルムアルデヒドの式量
Figure 2021112860
Figure 2021112860
表1及び表2中、組成の欄に記載の「−」は、その欄に該当する成分を含まないことを意味する。また、表1及び表2中、評価の欄に記載の「−」は、その欄に該当する評価を行っていないことを意味する。
表1及び表2に記載の各成分の詳細は、以下に示す通りである。
<メラミン系樹脂+有機充填材>
「パルプ含有メラミン−ホルムアルデヒド樹脂」〔製造例A〕
<メラミン系樹脂>
「メラミン−ホルムアルデヒド樹脂(S−166)」〔商品名:ニカレヂン(登録商標) S−166、日本カーバイド工業(株)〕
「メラミン−ホルムアルデヒド樹脂(S−176)」〔商品名:ニカレヂン(登録商標) S−176、日本カーバイド工業(株)〕
<無機充填材>
「酸化ケイ素」〔商品名:純硅石粉、結晶質シリカ、瀬戸窯業原料(株)〕
<特定化合物(I)>
「バニリン」〔既述の(I)−1、富士フイルム和光純薬(株)〕
「エチルバニリン」〔既述の(I)−2、東京化成工業(株)〕
「オルトバニリン」〔既述の(I)−3、東京化成工業(株)〕
「イソバニリン」〔既述の(I)−4、東京化成工業(株)〕
「パラヒドロキシベンズアルデヒド」〔既述の(I)−5、東京化成工業(株)〕
<比較化合物>
「フェノール」〔下記(A)、富士フイルム和光純薬(株)〕
「安息香酸」〔富士フイルム和光純薬(株)、酸性化合物〕
「2−メトキシフェノール」〔下記(B)、東京化成工業(株)〕
「4−ニトロフェノール」〔下記(C)、東京化成工業(株)〕
Figure 2021112860

<金属石鹸>
「ステアリン酸亜鉛」〔商品名:ジンクステアレート GF200、日油(株)〕
「ミリスチン酸亜鉛」〔商品名:パウダーベースM、日油(株)〕
<滑剤>
「エチレンビスステアリン酸アミド」〔商品名:アルフロー(登録商標) H50T、日油(株)〕
表1に示すように、実施例1〜実施例10の樹脂組成物は、バリを発生させ難く、かつ、清掃性能に優れていた。また、実施例1〜実施例10の樹脂組成物は、適正な流動性を示していた。また、比較例1及び比較例2の樹脂組成物との対比から、実施例2及び実施例4の樹脂組成物では、ホルムアルデヒドの発生量が低減することが明らかとなった。
一方、表2に示すように、特定化合物(I)の代わりにフェノールを含む比較例1の樹脂組成物は、実施例の樹脂組成物と比較して、バリを発生させやすく、かつ、清掃性能に劣っていた。
特定化合物(I)の代わりに、硬化触媒として機能する酸性化合物の安息香酸を含む比較例2の樹脂組成物は、実施例の樹脂組成物と比較して、バリを発生させやすく、かつ、清掃性能に劣っていた。
特定化合物(I)の代わりに、2−メトキシフェノールを含む比較例3の樹脂組成物及び4−ニトロフェノールを含む比較例4の樹脂組成物は、いずれも実施例の樹脂組成物と比較して、バリを発生させやすく、かつ、清掃性能に劣っていた。
10 ランナー
20 パッケージ
30 マス
40 バリ
A 領域

Claims (3)

  1. メラミン系樹脂と、
    充填材と、
    下記の式(I)で表される化合物と、
    を含む金型清掃用樹脂組成物。
    Figure 2021112860


    式(I)中、Rは、ヒドロキシ基、ホルミル基、又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表し、Rが複数ある場合、複数のRは、同一であってもよく、異なっていてもよい。nは、0〜4の整数を表す。
  2. 前記式(1)で表される化合物の含有量が、前記メラミン系樹脂及び前記充填材の合計100質量部に対して、0.05質量部以上10.0質量部以下の範囲である請求項1に記載の金型清掃用樹脂組成物。
  3. 前記式(1)で表される化合物が、バニリン、エチルバニリン、オルトバニリン、イソバニリン、及びパラヒドロキシベンズアルデヒドからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1又は請求項2に記載の金型清掃用樹脂組成物。
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