JP2021111729A - 太陽電池モジュールおよび太陽電池モジュールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】意匠シートと封止材とのはく離の発生を抑制しながら、太陽電池セルの割れを抑制することができる太陽電池モジュールを得ること。【解決手段】太陽電池モジュールは、受光面側保護部材1と、裏面側保護部材6と、ストリングと、横タブと、出力タブ11と、封止層2,5と、絶縁シート72と、意匠シート74と、中間封止層73と、を備える。絶縁シート72は、セル間タブと横タブと出力タブ11とを含む複数のタブのうち、いずれか2つのタブの間を絶縁する。意匠シート74は、第1PE樹脂シートを含み、ストリングの外周側を覆う。中間封止層73は、絶縁シート72と意匠シート74との間に配置されて絶縁シート72と意匠シート74とを非接触状態とする。絶縁シート72は、EVA樹脂を含有する第2PE樹脂シートと、PET樹脂シートと、が接着固定される積層構造を有する。中間封止層73は、EVA樹脂を含有する第3PE樹脂シートである。【選択図】図6
Description
本開示は、受光面側保護部材と裏面側保護部材との間に太陽電池セルが封止された太陽電池モジュールおよび太陽電池モジュールの製造方法に関する。
太陽電池モジュールの製造時には、特許文献1に示されるように、透明な表面部材、透明な表面封止材、光起電力素子を構成する太陽電池セル、裏面封止材、裏面部材の順に積層された積層体が形成され、ラミネート装置において封止処理がなされる。表面封止材および裏面封止材にはエチレン酢酸ビニル(Ethylene-Vinyl Acetate:EVA)共重合体が用いられ、ラミネート装置を用いて積層体を加熱および加圧することによってEVA共重合体を溶融および硬化させて太陽電池モジュールの封止が行われる。表面封止材および裏面封止材は、封止性能に加えて絶縁性能を担保するために必要な部材である。
太陽電池モジュールでは、一般的に、四角形状の太陽電池セルが、太陽電池モジュールの設置面の形状に合わせてマトリックス状に複数枚並べられて配置される。設置面が台形形状または三角形状の住宅の屋根である場合には、太陽電池セルをマトリックス状に配置することができない。このため、太陽電池モジュールの形状も設置面に合わせた形状とされ、設置面の台形形状または三角形状の斜辺に対応する側では太陽電池セルの配置を階段状にせざるを得ない。その結果、太陽電池モジュールにおいては、斜辺の近くに台形形状を組み合わせたような階段状の形状を有し、太陽電池セルが配置されていない空白領域が形成される。空白領域を太陽電池セルと同一色に彩色するために、意匠シートを用いることができる。一般的にこのような意匠シートには、色がよりはっきりと視認されるように、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene Terephthalate:PET)樹脂からなる樹脂シートが使用される。特許文献1に記載の太陽電池モジュールにPET樹脂からなる意匠シートを用いる場合には、空白領域における表面封止剤と裏面封止剤との間に意匠シートが配置されることになる。また、端部に配置される太陽電池セルに設けられる金属製のタブと重なるように、意匠シートは配置される。
しかしながら、上記特許文献1に記載の太陽電池モジュールにPET樹脂からなる意匠シートを用いる場合には、意匠シートと封止材との親和性が低い。そのため、長期間の屋外暴露および高温高湿環境での設置によって、金属製のタブとPET樹脂との重なり部を起点として意匠シートと封止材とのはく離が拡大し、外観不良が発生する可能性がある。この意匠シートと封止材とのはく離を抑制するために、EVA共重合体等の厚手な材料を意匠シートとタブとの間に挿入する方法が考えられる。しかし、この方法では、ラミネート処理時の積層部の厚さが厚くなり、太陽電池セルに荷重がかかり、太陽電池セルの割れが発生し、不良の発生率が高まる可能性がある。また、EVA共重合体材料は薄肉化が困難であり、必然的にコストも高くなる。すなわち、意匠シートと封止材とのはく離を抑制できても、太陽電池セルの割れの発生を抑制することができないという問題があった。
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、意匠シートと封止材とのはく離の発生を抑制しながら、太陽電池セルの割れを抑制することができる太陽電池モジュールを得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示の太陽電池モジュールは、受光面側保護部材と、裏面側保護部材と、ストリングと、横タブと、出力タブと、封止層と、絶縁シートと、意匠シートと、中間封止層と、を備える。受光面側保護部材は、受光面側に配置されて光透過性を有する。裏面側保護部材は、受光面と対向する裏面側に配置される。ストリングは、複数の太陽電池セルがセル間タブで電気的に直列に接続される。横タブは、複数のストリング同士を電気的に直列に接続する。出力タブは、ストリングから裏面側保護部材の外側に出力を取り出す。封止層は、樹脂からなりストリングを受光面側保護部材と裏面側保護部材との間に狭持する。絶縁シートは、セル間タブと横タブと出力タブとを含む複数のタブのうち、いずれか2つのタブの間を絶縁する。意匠シートは、ポリエチレン樹脂によりシート状に構成された第1ポリエチレン樹脂シートを含み、ストリングの外周側を覆う。中間封止層は、絶縁シートと意匠シートとの間に配置されて絶縁シートと意匠シートとを非接触状態とする。絶縁シートは、エチレン酢酸ビニル樹脂を含有する第2ポリエチレン樹脂シートと、ポリエチレンテレフタレート樹脂シートと、が接着固定される積層構造を有する。中間封止層は、エチレン酢酸ビニル樹脂を含有する第3ポリエチレン樹脂シートである。
本開示によれば、意匠シートと封止材とのはく離の発生を抑制しながら、太陽電池セルの割れを抑制することができるという効果を奏する。
以下に、本開示の実施の形態にかかる太陽電池モジュールおよび太陽電池モジュールの製造方法を図面に基づいて詳細に説明する。なお、これらの実施の形態によりこの開示が限定されるものではない。また、本開示は以下の記述に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。以下に示す図面においては、理解の容易のため、各部材の縮尺が実際とは異なる場合がある。各図面間においても同様に、各部材の縮尺が実際とは異なる場合がある。また、平面図であっても、図面を見易くするためにハッチングを付す場合がある。また、断面図であっても、図面を見易くするためにハッチングを付さない場合がある。
実施の形態1.
まず、実施の形態1による太陽電池モジュールにおける太陽電池セルの配置領域の構成について説明する。図1は、実施の形態1による太陽電池モジュールにおける太陽電池セルの配置領域の構成の一例を模式的に示す断面図である。図1に示されるように、太陽電池モジュール50は、透光性基板1と、受光面封止層2と、複数の太陽電池セル3と、裏面封止層5と、バックシート6と、を備える。透光性基板1、受光面封止層2、太陽電池セル3、裏面封止層5およびバックシート6は、順次積層されている。透光性基板1は、太陽電池セル3の受光面A側に配置された受光面側保護部材である。受光面封止層2は、太陽電池セル3と透光性基板1との間に配置された封止材である。複数の太陽電池セル3は、セル間タブ4により接続され同一面上に配列される。なお、太陽電池モジュール50が住宅の屋根に設置される場合には、屋根に配置される2つの太陽電池セル3の相対的な位置関係が、「上」または「下」を使用して表現される。図1の場合には、紙面の右方向が「上」方向に対応するものとする。バックシート6は、太陽電池セル3の裏面B側に配置された裏面側保護部材としての裏面側被覆フィルムである。裏面封止層5は、太陽電池セル3とバックシート6との間に配置された封止材である。
まず、実施の形態1による太陽電池モジュールにおける太陽電池セルの配置領域の構成について説明する。図1は、実施の形態1による太陽電池モジュールにおける太陽電池セルの配置領域の構成の一例を模式的に示す断面図である。図1に示されるように、太陽電池モジュール50は、透光性基板1と、受光面封止層2と、複数の太陽電池セル3と、裏面封止層5と、バックシート6と、を備える。透光性基板1、受光面封止層2、太陽電池セル3、裏面封止層5およびバックシート6は、順次積層されている。透光性基板1は、太陽電池セル3の受光面A側に配置された受光面側保護部材である。受光面封止層2は、太陽電池セル3と透光性基板1との間に配置された封止材である。複数の太陽電池セル3は、セル間タブ4により接続され同一面上に配列される。なお、太陽電池モジュール50が住宅の屋根に設置される場合には、屋根に配置される2つの太陽電池セル3の相対的な位置関係が、「上」または「下」を使用して表現される。図1の場合には、紙面の右方向が「上」方向に対応するものとする。バックシート6は、太陽電池セル3の裏面B側に配置された裏面側保護部材としての裏面側被覆フィルムである。裏面封止層5は、太陽電池セル3とバックシート6との間に配置された封止材である。
また、太陽電池モジュール50は、周辺を保持する図示しない保持フレームが外周に取り付けられ、太陽電池モジュール50の裏面Bに図示しない端子ボックスが接着される。太陽電池モジュール50は、太陽電池セル3のうち上段側の太陽電池セル3の裏面電極3bと下段側の太陽電池セル3の受光面電極3aとを電気的に接続するセル間タブ4を有する。
太陽電池モジュール50においては、太陽光は、透光性基板1の受光面Aから入射する。なお、ここでは透光性基板1として透光性のガラス基板を用いているが、透光性を有する材料であれば例えば樹脂板などが使用されてもよい。透光性基板1は、太陽電池モジュール50の受光面A側に位置する受光面封止層2の外表面に固定されている。
受光面封止層2には、熱可塑性および光透過性を有する樹脂であるEVA共重合体が用いられる。以下では、EVA共重合体は、EVA樹脂と称される。この他に、ポリエチレン(PolyEthylene:PE)樹脂、ポリプロピレン(PolyPropylene:PP)樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂をはじめとする透光性を有する熱硬化性樹脂あるいはその積層体が、受光面封止層2に使用されてもよい。また、これら受光面封止層2に用いられる封止用樹脂は、耐候性、強度および接着性を向上させるために架橋させることが効果的である。受光面封止層2の接着性は、透光性基板1との接着性に加え、太陽電池セル3との接着性も求められる。架橋の方法としては熱によりラジカルを生成するものが有効である。さらに、耐光性を向上させるため紫外線吸収剤を受光面封止層2に用いられる封止用樹脂に添加することが好ましい。ただし、太陽電池モジュール50の出力が極端に低下しない程度の範囲で紫外線吸収剤量は添加される。
裏面封止層5には、受光面封止層2と同じ材料を用いることができる。なお、意匠性と発電量とを確保する観点からは、裏面封止層5は白色であることが好ましい。裏面封止層5を構成する樹脂が白色であることが好ましい理由は、透光性基板1から入射して裏面封止層5まで到達した太陽光が、白色の樹脂で反射されて光路長の損失なく太陽電池セル3に再入射して発電に寄与するためである。そして、受光面封止層2と裏面封止層5とによって、太陽電池セル3を透光性基板1とバックシート6との間に狭持される封止層が構成される。
バックシート6は、太陽電池モジュール50の裏面B側に位置する裏面封止層5の外表面に固定されており、太陽電池セル3を湿気から保護する機能を有している。バックシート6は、PET樹脂またはポリビニリデンフロライド(PolyVinyliden Fluoride:PVF)樹脂をはじめとする耐候性が高い樹脂であることが好ましい。
太陽電池セル3は、結晶系太陽電池をはじめとする太陽電池セルを用いることができる。結晶系太陽電池セルとしては、単結晶シリコン太陽電池セル、多結晶シリコン太陽電池セルといったものが挙げられる。
図2は、実施の形態1による太陽電池モジュールを裏面側から透視した模式図である。図3は、実施の形態1による太陽電池モジュールの電気回路的な接続構成を示した模式図である。図2および図3に示されるように、複数個の太陽電池セル3がセル間タブ4によって電気的に接続されることにより、ストリングS1からストリングS5が構成されている。そして、ストリングS1からストリングS5が配列されることによって、太陽電池セル群である太陽電池アレイが構成される。図2および図3では太陽電池セル3同士を接続するセル間タブ4を2本使用しているが、太陽電池セル3同士を接続するセル間タブ4の数は1本でもよいし、3本以上でもよい。なお、上下方向は、セル間タブ4による太陽電池セル3の連結方向と同じ方向である。また、左右方向は、ストリングS1からストリングS5が配列されている方向と同じ方向である。
図2中、左から2列目のストリングS2は、4枚の太陽電池セル3と、セル間タブ4と、を有する。セル間タブ4は、ストリングS2における上下の太陽電池セル3のうち下段側の太陽電池セル3の裏面電極3bと上段側の太陽電池セル3の受光面電極3aとを電気的に接続する。ストリングS1とストリングS2とは、最下段の太陽電池セル3の位置を揃えて配置されている。ストリングS1とストリングS2は、最下段の太陽電池セル3の下側で、S1−S2間横タブ21によって電気的に接続されている。
図2中、左から3列目のストリングS3は、5枚の太陽電池セル3と、セル間タブ4と、を有する。セル間タブ4は、ストリングS3における上下の太陽電池セル3のうち上段側の太陽電池セル3の裏面電極3bと下段側の太陽電池セル3の受光面電極3aとを電気的に接続する。ストリングS1とストリングS2とストリングS3とは、最下段の太陽電池セル3の位置を揃えて配置されている。ストリングS2とストリングS3とは、最上段の太陽電池セル3の上側で、S2−S3間横タブ22によって電気的に接続されている。
ストリングS2とストリングS3とは、上段側では、1枚の太陽電池セル3の分だけ高さが異なる。このため、高さが異なる位置にある太陽電池セル3同士を電気的に接続するために、S2−S3間横タブ22は、左右方向に延在するS3上側タブ22aおよびS2上側タブ22bと、上下方向に延在し、S3上側タブ22aおよびS2上側タブ22b間を接続するS2−S3接続タブ22cと、を有する。S3上側タブ22aは、ストリングS3の最上段の太陽電池セル3に接続されたセル間タブ4と電気的に接続される。S2上側タブ22bは、ストリングS2の最上段の太陽電池セル3に接続されたセル間タブ4と電気的に接続される。S2−S3接続タブ22cは、S3上側タブ22aとS2上側タブ22bとをストリングS3の最上段の太陽電池セル3の左側、すなわちストリングS2側で接続する。S3上側タブ22aは、ストリングS3の最上段の太陽電池セル3の上側においてセル間タブ4と電気的に接続する。S2上側タブ22bは、ストリングS2の最上段の太陽電池セル3の上側においてセル間タブ4と電気的に接続する。
図2中、左から4列目のストリングS4は、6枚の太陽電池セル3と、セル間タブ4と、を有する。セル間タブ4は、ストリングS4における上下の太陽電池セル3のうち下段側の太陽電池セル3の裏面電極3bと上段側の太陽電池セル3の受光面電極3aとを接続する。ストリングS3とストリングS4とは、最下段の太陽電池セル3の位置を揃えて配置されている。ストリングS3とストリングS4とは、最下段の太陽電池セル3の下側で、S3−S4間横タブ23によって電気的に接続されている。
図2中、左から5列目のストリングS5は、7枚の太陽電池セル3と、セル間タブ4と、を有する。セル間タブ4は、ストリングS5における上下の太陽電池セル3のうち上段側の太陽電池セル3の裏面電極3bと下段側の太陽電池セル3の受光面電極3aとを接続する。ストリングS4とストリングS5は、最下段の太陽電池セル3の位置を揃えて配置されている。ストリングS4とストリングS5とは、最上段の太陽電池セル3の上側で、S4−S5間横タブ24により接続されている。
ストリングS4とストリングS5とは、上段側では、1枚の太陽電池セル3の分だけ高さが異なる。このため、高さが異なる位置にある太陽電池セル3同士を電気的に接続するために、S4−S5間横タブ24は、左右方向に延在するS5上側タブ24aおよびS4上側タブ24bと、上下方向に延在し、S5上側タブ24aおよびS4上側タブ24b間を接続するS4−S5接続タブ24cと、を有する。S5上側タブ24aは、ストリングS5の最上段の太陽電池セル3に接続されたセル間タブ4と電気的に接続される。S4上側タブ24bは、ストリングS4の最上段の太陽電池セル3に接続されたセル間タブ4と電気的に接続される。S4−S5接続タブ24cは、S5上側タブ24aとS4上側タブ24bとをストリングS5の最上段の太陽電池セル3の左側で接続する。S5上側タブ24aは、ストリングS5の最上段の太陽電池セル3の上側においてセル間タブ4と電気的に接続する。S4上側タブ24bは、ストリングS4の最上段の太陽電池セル3の上側においてセル間タブ4と電気的に接続する。
また、図2および図3に示されるように、図中、左から1列目のストリングS1の最上段の太陽電池セル3から、図1に示すバックシート6の外側、すなわち太陽電池モジュール50の外側に出力を取り出すための出力タブ11が太陽電池モジュール50の外側に取り出される。取出位置は、後述する取出タブ31と合わせて取り出すため、ストリングS2の最上段の太陽電池セル3の裏側付近となる。なお、S1−S2間横タブ21、S2−S3間横タブ22、S3−S4間横タブ23およびS4−S5間横タブ24は、横タブに対応する。
図4は、実施の形態1による太陽電池モジュールの出力タブの配置位置付近を裏面側から透視した一例を示す模式図である。図4に示されるようにS2上側タブ22bから、取出タブ31が太陽電池モジュール50の裏面Bの外側に取り出される。取出位置は、ストリングS2の最上段の太陽電池セル3の裏側付近で、取出位置のバックシート6には取出孔6aが設けられる。したがって、ストリングS1の最上段の太陽電池セル3の上側から、ストリングS2の最上段の太陽電池セル3の裏側付近まで、出力タブ11が配線される。取出位置のバックシート6には取出孔6aが設けられる。
図5は、実施の形態1による太陽電池モジュールを裏面側から見た模式平面図である。図5に示されるように、出力タブ11と取出タブ31とのバックシート6の取出孔6aを覆って負極側端子ボックス51がバックシート6の裏面に接着される。図3に示されるように、負極側端子ボックス51の内部では、出力タブ11と取出タブ31との間に出力タブ11から取出タブ31への方向が順方向となるようにバイパスダイオード41が接続される。出力タブ11とバイパスダイオード41との接続点から、図5に示されるように、負極側端子ボックス51の外部に、負極側出力ケーブル52が接続される。
図2に戻り、左から5列目のストリングS5の最下段から、出力を取り出すための出力タブ12が太陽電池モジュール50の外側に取り出される。取出位置は、後述する取出タブ32,33と合わせて取り出すため、ストリングS4の最下段の太陽電池セル3の裏側付近となる。したがって、ストリングS5の最下段の太陽電池セル3の下側から、ストリングS4の最下段の太陽電池セル3の裏側付近まで、出力タブ12が配線される。図5に示されるように、取出位置のバックシート6には取出孔6bが設けられる。
図3に示されるように、ストリングS3とストリングS4を最下段下側で接続するS3−S4間横タブ23から、バイパスダイオード42,43に接続するための取出タブ33が太陽電池モジュール50の外側に取り出される。取出位置は、ストリングS4の最下段の太陽電池セル3の裏側付近のバックシート6に設けられた取出孔6bとなる。
図2のストリングS1とストリングS2を最下段下側で接続するS1−S2間横タブ21から、図3のバイパスダイオード42に接続するための取出タブ32が太陽電池モジュール50の外側に取り出される。取出位置は、ストリングS4の最下段の太陽電池セル3の裏側付近の図5のバックシート6に設けられた取出孔6bとなる。
図5に示されるように、出力タブ12と取出タブ32と取出タブ33とが取り出されるバックシート6の取出孔6bを覆って正極側端子ボックス53がバックシート6の裏面に接着される。図3に示されるように、正極側端子ボックス53の内部では、出力タブ12と取出タブ32との間に取出タブ32から出力タブ12への方向が順方向となるようにバイパスダイオード42,43が接続される。出力タブ12とバイパスダイオード43との接続点から、図5に示されるように、正極側端子ボックス53の外部に、正極側出力ケーブル54が接続される。
図3に示されるバイパスダイオード41,42,43は、両極の間に接続されたストリングSに含まれる太陽電池セル3への日射が遮られる等で非発電状態となったときに、他のストリングSの出力電流をバイパスする。
つぎに、太陽電池モジュール50における太陽電池ストリングの端部周辺の構成について説明する。図6は、実施の形態1による太陽電池モジュールにおける太陽電池ストリングの端部周辺の構成を示す概念図であり、図2に示す領域Xの構成を示す概念図である。図7は、実施の形態1による太陽電池モジュールにおける太陽電池ストリングの端部周辺の構成を示す概念図であり、図2に示す領域Y1の構成を示す概念図である。なお、図6および図7では、主に太陽電池モジュール50の面方向における各構成部の包含関係、すなわち位置関係について示している。また、図6および図7では、理解の容易のため、封止層の領域にハッチングを付している。
図6では、ストリングS2の最上段の太陽電池セル3の端部周辺、すなわちS2−S3間横タブ22のS2上側タブ22bの周辺部であり、意匠シート74の端部周辺の構成を模式的に示している。図7では、ストリングS4の最上段の太陽電池セル3の端部周辺、すなわちS4−S5間横タブ24のS4上側タブ24bの周辺部であり、意匠シート74の端部周辺の構成を模式的に示している。
図6に示されるように、S2上側タブ22bの周辺部では、透光性基板1上に、受光面封止層2と、S2−S3間横タブ22のS2上側タブ22bと、絶縁シート72と、中間封止層73と、出力タブ11と、意匠シート74と、裏面封止層5と、バックシート6と、が積層されている。絶縁シート72は、絶縁シート72aと絶縁シート72bとが接着されたシートである。なお、位置によっては、上記の構成部材のいずれかが存在していない領域がある。上記の構成部材は、透光性基板1の受光面Aと平行な面に沿って設けられている。
また、図7に示されるように、S4上側タブ24bの周辺部では、透光性基板1上に、受光面封止層2と、S4−S5間横タブ24のS4上側タブ24bと、意匠シート74と、裏面封止層5と、バックシート6と、が積層されている。
なお、図6と図7とにおいては、太陽電池モジュール50の厚さが異なって図示されている。しかし、出力タブ11、S2−S3間横タブ22および絶縁シート72は、熱によって軟化しやすい性質を有する受光面封止層2および裏面封止層5からなる封止層の厚さとの比較において極めて薄い。そのため、太陽電池モジュール50内の封止層の厚さが部位によって変化することで、太陽電池モジュール50全体としては同じ厚さとされている。一例では、図6に示される出力タブ11、S2−S3間横タブ22および絶縁シート72が存在する位置では、図7に示される出力タブ11、S2−S3間横タブ22および絶縁シート72が存在しない位置に比して、封止層の厚さが薄くなる。ただし、EVA樹脂等の緩衝層となる中間封止層73を追加積層した部分の厚さは増大しやすく、太陽電池セル3が割れるセル割れを誘発するリスクがあるため、中間封止層73の厚さはなるべく薄くすることが望まれる。
図6に示される絶縁シート72は、太陽電池モジュール50の内部において、中間封止層73および裏面封止層5とS2上側タブ22bと受光面封止層2と接している。絶縁シート72は、出力タブ11とS2上側タブ22bとの間に配置され、出力タブ11とS2上側タブ22bとの間の絶縁性を高める機能を有している。また、絶縁シート72は、出力タブ11と太陽電池セル3との間に配置され、出力タブ11と太陽電池セル3との間の絶縁性を高める機能を有している。絶縁シート72の受光面A側の面において、S2上側タブ22bおよび太陽電池セル3と接触していない領域には、受光面封止層2が密着している。絶縁シート72の裏面B側の面は、中間封止層73と密着している。
絶縁シート72は、中間封止層73と接する面では、中間封止層73との密着性が高い樹脂であることが好ましい。また、絶縁シート72は、裏面封止層5と接する面では、裏面封止層5と密着性が高い樹脂であることが好ましい。絶縁シート72には、PET樹脂シートまたはPVF樹脂シートをはじめとする絶縁性を有する樹脂シートを用いることができる。ここでは、絶縁シート72は、PET樹脂からなる絶縁シート72aと、EVA樹脂を含有するPE樹脂からなる絶縁シート72bと、を有し、絶縁シート72aおよび絶縁シート72bが積層された構成を有する。絶縁シート72bは、透光性基板1側に配置され、絶縁シート72aは、バックシート6側に配置される。
中間封止層73は、出力タブ11および意匠シート74と、絶縁シート72との間に配置されている。中間封止層73には、受光面封止層2と同じ材料を用いることができる。
意匠シート74は、S2上側タブ22bの周辺部では、図6に示されるように、中間封止層73と裏面封止層5との間に挟まれて固定されている。意匠シート74の受光面A側の一部には、出力タブ11が接している。また、図7に示されるように、意匠シート74は、S4上側タブ24bの周辺部では、受光面封止層2と裏面封止層5との間に挟まれて固定されている。意匠シート74の受光面A側の一部には、S4上側タブ24bが接している。
意匠シート74が受光面A側で受光面封止層2と接する面積は、意匠シート74が絶縁シート72と重なる面積よりも大きい。そのため、図6に示されるように、中間封止層73と接する面では、意匠シート74と中間封止層73との密着性が、意匠シート74と絶縁シート72との密着性よりも高いことが好ましい。また、図7に示されるように、受光面封止層2と接する面では、意匠シート74と受光面封止層2との密着性が、意匠シート74と絶縁シート72との密着性よりも高いことが好ましい。意匠シート74は、中間封止層73との密着性を絶縁シート72との密着性よりも高めるために、EVA樹脂との親和性が高いオレフィン系樹脂であることが好ましい。オレフィン系樹脂の材質としては、PP樹脂またはPE樹脂等の、EVA樹脂との接着性が高く、耐候性が高い樹脂であることが好ましい。
ところで、単層のPE樹脂シートを意匠シート74とした場合、PE樹脂は、柔軟性が高く剛性が低いため、作業性が悪くなったり、後述する一括熱処理を行う封止工程、いわゆるラミネート処理時においてしわが発生したりすることがある。そのため、意匠シート74は、単一の材料から構成されるのではなく、複数の材料を積層して構成されるものであってもよい。実施の形態1では、意匠シート74には、PE樹脂の低い剛性を補うために剛性の高いPET樹脂シートとPE樹脂シートとを貼り合わせにより積層して多層構造とした多層樹脂シートが用いられる。これにより、作業性が改善されるとともに、ラミネート処理時のしわの発生を改善させることができる。実施の形態1では、意匠シート74に、PE樹脂からなる意匠シート74bと、PET樹脂からなる意匠シート74aとを接着剤で貼り合わせた多層樹脂シートを用いることで、中間封止層73および受光面封止層2との密着性が高められている。
意匠シート74である多層樹脂シートは、一例では、透明なPET樹脂シートと、太陽電池セル3と同じ色調である黒色のPE樹脂シートと、を貼り合わせることによって形成される。意匠シート74は、PE樹脂シート側が受光面A側となるように配置される。太陽電池セル3は、可能な限り内部に太陽光を入射させるために反射防止構造を備えており、外観上は黒色に見える。したがって、PET樹脂シートとPE樹脂シートとを貼り合わせた意匠シート74では、PE樹脂シートを黒色とすることによって、太陽電池セル3と同じ色調とすることができる。
なお、意匠シート74には、単層のPE樹脂のみで構成されたシートが用いられてもよい。単層のPE樹脂シートを用いる場合、ガラス繊維等で剛性を高めることが望ましい。また、2種類のPE樹脂シートを貼り合わせた多層樹脂シートを用いてもよい。
図2に示されるように、太陽電池モジュール50は、ストリングSの列ごとに太陽電池セル3の直列接続枚数を増やすことによって、一辺を斜辺とする台形形状を成している。太陽電池セル3は正方形平板状を成すので、太陽電池セル群の斜辺側の縁は階段状となっている。そのため、太陽電池セル群と斜辺との間に、複数の三角形が頂部と頂部を重ねながら連結された形状であるのこぎり歯形状の空白領域が形成されている。そして、この領域に領域全体を覆うように、領域とほぼ同じ形状で太陽電池セル3と同じ色調の意匠シート74が配置されている。なお、太陽電池モジュール50の外周縁は、図示しない保持フレームにより全周にわたって覆われている。
上記のように、このような構成の太陽電池モジュール50においては、太陽電池セル3が配置されている以外の空白領域に太陽電池セル3と同じ色調の意匠シート74が配置されている。太陽電池セル3と同じ色調の意匠シート74と太陽電池セル3とが配置されることで、太陽電池モジュール50は、外観の違和感がなく、意匠上優れたものとされている。
また、台形形状以外の太陽電池モジュール50においても、空白領域が保持フレームと太陽電池セル3との間に形成される領域を有するものであれば、意匠シート74を配置することで外観の美感を向上できるという効果を得ることができる。
つぎに、太陽電池モジュール50の製造方法について説明する。図8は、実施の形態1による太陽電池モジュールの製造方法の手順の一例を示すフローチャートである。実施の形態1による太陽電池モジュール50の製造方法は、透光性基板1と、第1封止層シートである受光面封止層シート2sと、ストリングSを含む太陽電池セルアレイと、絶縁シート72と、中間封止層シート73sと、意匠シート74と、第2封止層シートである裏面封止層シート5sと、バックシート6と、を順次積層して積層体を形成する積層工程と、ラミネート処理によって積層体を加熱および加圧して太陽電池セル3を透光性基板1とバックシート6との間に封止する封止工程と、を含む。
まず、セル形成工程S101において、太陽電池セル3を形成する。つぎに、セル間タブ固着工程S102において、太陽電池セル3にセル間タブ4を固着することで、複数の太陽電池セル3をセル間タブ4で接続してストリングSを形成する。
続いて、積層工程S103において、積層体を形成する。図9および図10は、実施の形態1による太陽電池モジュールの製造方法における積層工程での積層構成の一例を模式的に示す図である。図9は、S2−S3間横タブのS2上側タブの周辺部であり、意匠シートの端部周辺の積層構成を模式的に示す概念図である。すなわち、図9は、図2における領域Xに対応する部分の要部断面図を示している。図10は、S4−S5間横タブのS4上側タブの周辺部であり、意匠シートの端部周辺の構成を模式的に示す概念図である。すなわち、図10は、図2における領域Y1に対応する部分の要部断面図を示している。図9および図10では、主に太陽電池モジュール50の面方向における各構成部の包含関係、すなわち位置関係について示している。
図9に示されるように、積層体の形成は、透光性のガラス基板からなる透光性基板1上に、受光面封止層シート2sと、太陽電池セル3およびセル間タブ4を含むストリングSと、を順次積層する。ストリングSには、ストリングS間を結ぶ横タブが含まれる。さらに、絶縁を目的とした絶縁シート72、封止材の充填および絶縁シート72および意匠シート74と接する部分のはく離拡大の抑制を目的とした中間封止層シート73s、意匠性の向上を目的とした意匠シート74、裏面封止層シート5s並びにバックシート6をストリングS上に順次積層し、積層体が形成される。
なお、図10に示されるように、図2の領域Y1に対応する部分では、透光性基板1上に、受光面封止層シート2s、太陽電池セル3およびセル間タブ4を含むストリングS、意匠シート74、裏面封止層シート5s並びにバックシート6を順次積層し、積層体が形成される。
受光面封止層シート2sは、上述した受光面封止層2を構成する材料からなるシートである。絶縁シート72は、透光性基板1側に配置されるEVA樹脂を含有するPE樹脂からなる絶縁シート72bと、PET樹脂からなる絶縁シート72aと、を貼り合わせたシートである。絶縁シート72bは、第1絶縁シートおよび第2PE樹脂シートに対応し、絶縁シート72bは、第2絶縁シートに対応する。中間封止層シート73sは、上述した中間封止層73を構成する材料からなるシートである。中間封止層シート73sは、第3PE樹脂シートに対応する。意匠シート74は、中間封止層シート73s上に配置されるPE樹脂からなる意匠シート74bと、PET樹脂からなる意匠シート74aと、を接着剤で貼り合わせたシートである。意匠シート74bは、第1PE樹脂シートに対応する。裏面封止層シート5sは、上述した裏面封止層5を構成する材料からなるシートである。
図8に戻り、積層工程S103で得られた積層体は図示しないラミネート装置内に搬入される。ついで、減圧工程S104において、ラミネート装置内を減圧することによって、積層体を減圧する。すなわち、各積層物間を減圧することによって積層体の気体を除去する。
次いで、封止工程S105において、減圧された積層体を加熱および加圧する。その後、積層体を冷却させることで、太陽電池セル3が封止された太陽電池モジュール50が形成される。そして、太陽電池モジュール50は、周囲が保持フレームで固定され、負極側端子ボックス51および正極側端子ボックス53が取り付けられる。
つぎに、S2上側タブ22bおよび出力タブ11の周辺部での積層工程S103について、図4および図11から図15を参照して説明する。図11から図15は、実施の形態1による太陽電池モジュールの製造方法における積層工程での出力タブおよび出力タブの周辺部における積層方法の一例を模式的に示す図である。
図4は、実施の形態1による太陽電池モジュールの製造方法の積層工程において、絶縁シート72を積層する前の状態を模式的に示す拡大図である。透光性基板1上に受光面封止層シート2sおよびストリングSを積層した後、図4に示されるように、太陽電池セル3の裏面電極3bから太陽電池セル3の上辺側に4本のセル間タブ4が接続され、太陽電池セル3の上辺の外側でS2−S3間横タブ22のS2上側タブ22bと接続される。S2上側タブ22bには、バイパスダイオード41に接続するための取出タブ31が接続され、取出タブ31はストリングS2の最上段の太陽電池セル3の裏面付近に引き出される。
また、ストリングS1の最上段の太陽電池セル3の上辺の側の横タブから、図4に示されるように、ストリングS2の最上段の太陽電池セル3の左辺外側に沿って、出力タブ11が配線される。出力タブ11は、S2上側タブ22bよりも図1に示すバックシート6側、すなわち裏面B側で、太陽電池セル3の面内方向においてS2上側タブ22bに重なって、ストリングS2の最上段の太陽電池セル3の裏面付近に引き出される。
図11は、実施の形態1による太陽電池モジュールの製造方法の積層工程において絶縁シートが積層された状態の一例を模式的に示す拡大平面図である。図11では、バックシート6に設けられた取出孔6aの位置を破線で示している。図12は、実施の形態1による太陽電池モジュールの製造方法の積層工程において積層される絶縁シートの一例を示す上面図である。図13は、実施の形態1による太陽電池モジュールの製造方法の積層工程において積層される絶縁シートの一例を示す断面図である。
図13に示されるように、絶縁シート72は、絶縁シート72bと絶縁シート72aとの積層体であり、シート間が接着剤で固定されている。一例では、絶縁シート72bは、EVA樹脂を0.1重量%以上30重量%以下含有するPE樹脂シートであり、絶縁シート72aは、PET樹脂シートである。
絶縁シート72bに使用するPE樹脂シートは紫外線に対する耐性が低いため、紫外線吸収剤を添加しなければ、黄変による外観クレームが生じる。あるいは、PE樹脂シートの劣化後にPET樹脂シートに直接紫外線が到達するため、絶縁不良を起こしてしまう。そのため、PE樹脂シートには紫外線吸収剤または紫外線を遮蔽するための黒色顔料であるカーボンブラックもしくは白色顔料であるTiO2を添加することが好ましい。顔料の色調については太陽電池モジュール50の意匠性を低下させないという効果もあることから、必要に応じて色調を変更することができる。
また、PE樹脂シートは、0.1重量%以上のEVA樹脂を含有していれば、ラミネート処理後の樹脂の非充填部は発生しない。しかし、一般的に、PE樹脂シートに添加するEVA樹脂の含有量が約5重量%未満である場合には、PE樹脂シートの製造時におけるEVA樹脂の混合が不均一となる。そのため、実用的には5重量%±1重量%程度のEVA樹脂を含有するPE樹脂を使用することが好ましい。
さらに、PE樹脂シートに添加するEVA樹脂の含有量が30重量%を超える場合には、シートを成膜する際に製造装置への貼り付きが発生するとともに、膜厚を薄くすることが容易でなくなる。そのため、PE樹脂シートに添加するEVA樹脂の量は30重量%以下であることが好ましい。
図11に示されるように、絶縁シート72は、S2上側タブ22bと出力タブ11と、の間に挟み込まれ、S2上側タブ22bと出力タブ11とを絶縁する。また、図12に示されるように、絶縁シート72には、S2上側タブ22bと取出タブ31との接続箇所に対応する位置に切り込み61が設けられている。そして、図11に示されるように、取出タブ31は、切り込み61から絶縁シート72の裏面B側に引き出される。絶縁シート72は、出力タブ11および取出タブ31と、ストリングS2の最上段の太陽電池セル3の裏面との間に挟み込まれ、出力タブ11および取出タブ31とストリングS2の最上段の太陽電池セル3とを絶縁する。
絶縁シート72は、長方形状の外形を有し、左辺がS2上側タブ22bの左端よりも左側の位置となり、右辺が取出タブ31よりも右側となり、上辺が出力タブ11の上端よりも上側の位置となり、下辺がバックシート6に設けられた取出孔6aよりも下側の位置になる大きさで構成される。
絶縁シート72における受光面A側に配置される面には、PET樹脂からなる絶縁シート72aと同じ大きさであるPE樹脂からなる絶縁シート72bが予め積層されている。
なお、以上では、出力タブ11と横タブとの間に配置されて出力タブ11と横タブとを絶縁する絶縁シート72について説明したが、絶縁シート72がこの形態に限られるものではない。複数の太陽電池セル3を電気的に直列に接続したストリングSを形成するセル間タブ4、複数のストリングS同士を電気的に直列に接続するS1−S2間横タブ21、S2−S3間横タブ22、S3−S4間横タブ23、S4−S5間横タブ24、ストリングSからバックシート6の外側に出力を取り出す出力タブ11,12、バイパスダイオード41,42,43に接続するための取出タブ31,32,33を含む複数のタブのうち、いずれか2つのタブの間を絶縁する絶縁シート72に対して意匠シート74が重なる場合に、上記した絶縁シート72を配置することができる。
図14は、実施の形態1による太陽電池モジュールの製造方法の積層工程において中間封止層シートが積層された状態の一例を模式的に示す拡大平面図である。中間封止層シート73sは、出力タブ11と絶縁シート72との間に挟み込まれる。中間封止層シート73sは、ストリングS2の最上段の太陽電池セル3の外側では、絶縁シート72よりも広い箇所を覆うように配置される。
図15は、実施の形態1による太陽電池モジュールの製造方法の積層工程において意匠シートが積層された状態の一例を模式的に示す拡大平面図である。意匠シート74は、上述した太陽電池セル群と斜辺との間ののこぎり歯形状の空白領域に、ストリングS2の最上段の太陽電池セル3に重ならないように積層される。
意匠シート74は、受光面A側に配置されるPE樹脂からなる意匠シート74bと、裏面B側に配置されるPET樹脂からなる意匠シート74aと、を貼り合わせた構成を有する。意匠シート74bは、受光面A側に意匠用として配置され、絶縁シート72のPET樹脂からなる絶縁シート72a側に面して配置される。意匠シート74aは、絶縁材および補強材として配置される。PE樹脂からなる意匠シート74bと、PET樹脂からなる絶縁シート72aと、が接する場合には、EVA樹脂からなる裏面封止層シート5sのみではラミネート処理中に、裏面封止層シート5sのEVA樹脂がPE樹脂シートとPET樹脂シートとを貼り合わせた意匠シート74の表面の一部を覆うことができない。このため、意匠シート74のPE樹脂面に気体が残留し、裏面封止層シート5sのEVA樹脂が意匠シート74のPE樹脂面まで浸透しない状態が生じ得る。このような場合には、ラミネート処理後に、意匠シート74のPE樹脂面および絶縁シート72aのPET樹脂面に樹脂の非充填部の様に図1の透光性基板1側、すなわち受光面A側から残留した気体が視認され、外観品質の低下を起こす可能性がある。
一方、図2の領域Y1に代表される、絶縁シート72が配置されていない領域では、意匠シート74の透光性基板1側に、セル間タブ4、出力タブ11、S2−S3間横タブ22およびS4−S5間横タブ24といったタブが存在し、タブのバックシート6側にPET樹脂からなる意匠シート74aとPE樹脂からなる意匠シート74bとを貼り合わせた意匠シート74と、EVA樹脂からなる裏面封止層5と、がこの順で存在する。この場合には、タブが光を透過させないため、太陽電池モジュール50を透光性基板1側から見た場合に、太陽電池モジュール50の外観品質の問題はない。
そこで、実施の形態1の太陽電池モジュール50の製造方法では、EVA樹脂等の封止材との親和性の高いPE樹脂とPET樹脂とを貼り合わせた意匠シート74と、PET樹脂を含む絶縁シート72と、の間に、中間封止層シート73sを配置して、中間封止層73を形成する。意匠シート74と絶縁シート72との間に、EVA樹脂を0.1重量%以上30重量%以下含有するPE樹脂シートを充填させるために、中間封止層シート73sは、EVA樹脂を0.1重量%以上30重量%以下含有するPE樹脂シートで構成される。
これによって、実施の形態1による太陽電池モジュール50では、EVA樹脂を0.1重量%以上30重量%以下含有するPE樹脂シートが意匠シート74の表面を確実に覆う。そのため、ラミネート処理後に、意匠シート74の表面および絶縁シート72の表面に樹脂の非充填部が発生することによる外観品質の低下が抑制される。また、PE樹脂性の意匠シート74bは、EVA樹脂からなる受光面封止層シート2sおよび裏面封止層シート5sとの親和性が高く、接着力が高くなる。そのため、経年劣化によって意匠シート74の表面に残存していた気体が意匠シート74の表面に溜まることによる外観品質の低下を抑制することができる。中間封止層シート73sをEVA樹脂のみのシートで形成した場合に発生する膜厚が厚くなってしまう事象、ラミネート処理時の加圧でセル割れが発生する事象なども抑制することができる。
すなわち、実施の形態1による太陽電池モジュール50の製造方法では、領域Xにおいて、PE樹脂シートとPET樹脂シートとを貼り合わせた意匠シート74と、絶縁シート72のPET樹脂面とが接触することを防止するために、EVA樹脂を含有するPE樹脂シートからなる中間封止層73を、意匠シート74の表面に設ける。これにより、意匠シート74と絶縁シート72とが非接触状態となり、減圧工程S104での気体除去効果を向上できる。その結果、意匠シート74と絶縁シート72との間の気体の残留を抑制することができる。
中間封止層73を設けることによって、PE樹脂とPET樹脂とを貼り合わせた意匠シート74の絶縁シート72側のシート表面にも、0.3mm以下のEVA樹脂を0.1重量%以上30重量%以下の範囲で含有するPE樹脂を接着させることができる。また、経年劣化による樹脂の非充填部の発生を抑制することも可能となる。また、PE樹脂からなる絶縁シート72bを0.3mm以下とし、中間封止層73を0.1mm以下とし、絶縁シート72aを0.2mm以下とし、合計で0.8mm以下の厚さとすることでラミネート処理時のセル割れを抑制することができる。
なお、中間封止層73がEVA樹脂を含有するPE樹脂でなければ、ラミネート処理時のEVA樹脂との親和性が低いために、減圧工程S104後も気体が広い面に集中して残留する。配線に使用するタブ、セル間タブ4が交差する様な場所の絶縁のためにPE樹脂等のオレフィン系樹脂を使用する際には、PE樹脂単独の樹脂構成ではEVA樹脂との親和性が低くラミネート処理後に樹脂の非充填部が発生してしまう。そのため、PE樹脂に含まれるEVA樹脂は0.1重量%以上でなければラミネート処理後に樹脂の非充填部が発生する可能性がある。また、EVA樹脂が30重量%以下でなければシートを成膜する際に0.3mm以下にすることか困難になり、またコストが高くなってしまう。さらに、PE樹脂シートは光、熱、水の長期的な負荷に対して変色のリスクがあるため、紫外線吸収剤または黒色または白色等の着色顔料を添加することで紫外線を遮断することが好ましい。黒色、白色、または紫外線吸収剤が添加されていない場合には、PE樹脂の変色が外観クレームとなってしまう。
また、後述する領域Y1において、セル間タブ4と意匠シート74aとが接触することを防止するために、セル間タブ4と、PE樹脂シートからなる意匠シート74bおよびPET樹脂シートからなる意匠シート74aを貼り合わせた意匠シート74と、が向き合う面にEVA樹脂を0.1重量%以上の範囲で含有する0.1mm以下のPE樹脂からなる他の中間封止層シートを挿入してもよい。これによって、セル間タブ4と、PE樹脂シートおよびPET樹脂シートを貼り合わせた意匠シート74と、を非接触状態として、セル間タブ4と、意匠シート74と、の間の樹脂の非充填部の発生を抑制することが可能となり、ラミネート処理時のセル割れも抑制することが可能となる。
したがって、上述した実施の形態1の太陽電池モジュール50の製造方法は、ラミネート処理後、および長期間にわたる使用後における、透光性基板1側から視認できる意匠シート74上と絶縁シート72上とにおける樹脂の非充填部の発生を抑制することができる。これにより、実施の形態1の太陽電池モジュール50の製造方法では、封止工程S105直後の積層体内の気体の残留がなく、出荷後の屋外設置においても樹脂の非充填部のように視認されることがない太陽電池モジュール50を得ることができる。また、生産時および長期間にわたる使用に伴う経年劣化による外観品質の低下を従来品よりも抑制することが可能な太陽電池モジュール50が得られる。
なお、意匠シート74のPE樹脂シートの剛性が低い場合には、減圧工程S104の際にしわの発生による外観不良が発生する可能性があるため、上記したように、PE樹脂シートとPET樹脂シートとを貼り合わせた意匠シート74を使用することが望ましい。しかし、実施の形態1がこれに限定されるものではなく、材質の異なるPE樹脂シートをPE樹脂シートに貼り合わせた意匠シート74を使用してもよい。また、PET樹脂シート側のEVA樹脂等の封止材との親和性を高めながら、太陽電池モジュール50の裏面B側の意匠性を高めたい場合には、PE樹脂シート/PET樹脂シート/PE樹脂シートの順に貼り合わせた多層樹脂シートからなる意匠シート74を用いてもよい。
つぎに、具体的な実施例に基づいて、実施の形態1による太陽電池モジュール50の製造方法について説明する。
以下では、出力タブ11と取出タブ31付近の積層構造について実施例1,2および比較例1から3に示す条件で太陽電池モジュール50のサンプルを作製し、セル割れと外観を確認する。
(実施例1)
実施例1では、上述した実施の形態1の太陽電池モジュール50の製造方法にしたがって、太陽電池モジュール50のサンプルを作製する。主な工程は以下のようにして行われる。透光性基板1として、外形寸法が1700mm×1000mmであり、厚さが3.2mmである白板ガラスを準備する。
実施例1では、上述した実施の形態1の太陽電池モジュール50の製造方法にしたがって、太陽電池モジュール50のサンプルを作製する。主な工程は以下のようにして行われる。透光性基板1として、外形寸法が1700mm×1000mmであり、厚さが3.2mmである白板ガラスを準備する。
太陽電池モジュール50の全体的な積層工程S103としては、透光性基板1に接する受光面封止層2の形成用のEVA樹脂シートからなる受光面封止層シート2sを用意する。受光面封止層シート2s上に、太陽電池セル3を直列にセル間タブ4で接続したストリングS、裏面封止層シート5sおよびバックシート6を積層して積層体を形成する。
また、図2における領域X、すなわちS2−S3間横タブ22のS2上側タブ22bの周辺部であり、意匠シート74の端部周辺では、以下のように構成部の積層が行われる。出力タブ11および取出タブ31と太陽電池セル3との間に、ストリングSに半田付けされている、出力を取り出すための出力タブ11および取出タブ31と太陽電池セル3との絶縁を確保するための絶縁シート72が挿入される。絶縁シート72は、絶縁シート72bと絶縁シート72aとを貼り合わせたものである。絶縁シート72bは、厚さが0.01mm以上0.3mm以下であるEVA樹脂を0.1重量%含有するPE樹脂シートである。絶縁シート72aは、外形寸法が100mm×100mmであり、厚さが0.2mm以下であるPET樹脂シートである。PE樹脂シートが受光面A側となるように絶縁シート72は配置される。
そして、PET樹脂シートである絶縁シート72aに接するように、また、左右およびストリングS2の最上段の太陽電池セル3の上側においてはみ出さないように、中間封止層シート73sが積層される。中間封止層シート73sは、絶縁シート72よりも大きく、外形寸法が120mm×80mmであり、厚さが0.01mm以上0.3mm以下であるEVA樹脂を0.1重量%含有するPE樹脂シートである。さらに、その上に、意匠性を確保するための意匠シート74が配置される。意匠シート74は、PE樹脂シートからなる意匠シート74bと、PET樹脂シートからなる意匠シート74aと、を貼り合わせたものである。また、意匠シート74上には、裏面封止層シート5sおよびバックシート6が積層される。すなわち、実施例1では、図9に示されるように、中間封止層シート73sは、絶縁シート72と意匠シート74とが向かい合う領域の全てを包含している。意匠シート74の中間封止層シート73sと対向する側には、PE樹脂がシート状に構成されたPE樹脂シートからなる意匠シート74bが配置されている。
図2における領域Y1、すなわちS4−S5間横タブ24のS4上側タブ24bの周辺部であり、意匠シート74の端部周辺では、以下のように構成部の積層が行われる。EVA樹脂シートからなる受光面封止層シート2s上に、セル間タブ4、PE樹脂シートとPET樹脂シートとを貼り合わせた意匠シート74、裏面封止層シート5sおよびバックシート6をこの順で積層する。この状態が図10に示されている。
したがって、領域Y1に対応する太陽電池セル3より外側では、太陽電池セル3を電気的に接続するためのセル間タブ4とPE樹脂シートからなる意匠シート74bとは接している部分がある。
以上のように積層体を形成した後、減圧工程S104で積層体を減圧する。減圧工程S104では、160℃で真空引きを5分間行う。ついで、封止工程S105で積層体を封止するラミネート処理が行われる。封止工程S105では、加圧時間を5分とし、加圧時圧力を50kPaとする。以上によって、実施例1の太陽電池モジュール50のサンプルが得られる。
(実施例2)
図16は、実施例2による積層体のS2−S3間横タブのS2上側タブの周辺部であり、意匠シートの端部周辺の積層構成を模式的に示す要部断面図である。実施例2では、中間封止層シート73s、PET樹脂シートからなる絶縁シート72aおよびPE樹脂シートからなる絶縁シート72bが、同一の平面形状を有し、予め接着されて一体化されたものが使用されること以外は、実施例1と同様にして、実施例2の太陽電池モジュール50のサンプルが得られる。中間封止層シート73sは、0.3mmの厚さを有し、EVA樹脂を5重量%含有するPE樹脂シートで構成される。絶縁シート72bは、厚さが0.3mmであり、EVA樹脂を5重量%含有するPE樹脂シートからなる。実施例2でも、中間封止層シート73sは、絶縁シート72と意匠シート74とが向かい合う領域の全てを包含している。
図16は、実施例2による積層体のS2−S3間横タブのS2上側タブの周辺部であり、意匠シートの端部周辺の積層構成を模式的に示す要部断面図である。実施例2では、中間封止層シート73s、PET樹脂シートからなる絶縁シート72aおよびPE樹脂シートからなる絶縁シート72bが、同一の平面形状を有し、予め接着されて一体化されたものが使用されること以外は、実施例1と同様にして、実施例2の太陽電池モジュール50のサンプルが得られる。中間封止層シート73sは、0.3mmの厚さを有し、EVA樹脂を5重量%含有するPE樹脂シートで構成される。絶縁シート72bは、厚さが0.3mmであり、EVA樹脂を5重量%含有するPE樹脂シートからなる。実施例2でも、中間封止層シート73sは、絶縁シート72と意匠シート74とが向かい合う領域の全てを包含している。
上記したように、実施例2では、絶縁シート72bと中間封止層シート73sとは、絶縁シート72aに予め接着されて一体化されたものが使用される。そのため、図14に示されるように絶縁シート72と中間封止層シート73sとの間に取出タブ31を配置することができない。
図17は、実施例2による意匠シートが積層された状態の一例を模式的に示す拡大平面図である。図17に示されるように絶縁シート72と中間封止層シート73sとを貼り合わせたシートに設けられる切り込み61から取出タブ31が取り出される。
(比較例1)
図18は、比較例1による積層体のS2−S3間横タブのS2上側タブの周辺部であり、意匠シートの端部周辺の積層構成の一例を模式的に示す要部断面図である。図19は、比較例1による意匠シートが積層された状態の一例を模式的に示す拡大平面図である。
図18は、比較例1による積層体のS2−S3間横タブのS2上側タブの周辺部であり、意匠シートの端部周辺の積層構成の一例を模式的に示す要部断面図である。図19は、比較例1による意匠シートが積層された状態の一例を模式的に示す拡大平面図である。
比較例1では、図18および図19に示されるように、図2における領域Xにおいて、絶縁シート72bは、絶縁シート72aと同じ外形寸法である100mm×100mmであり、厚さが0.4mmであるEVA樹脂シートからなる。絶縁シート72bは、絶縁シート72aと貼り合わされていない。また、中間封止層シート73sは、外形寸法が120mm×80mmであり、厚さが0.4mmであるEVA樹脂シートからなる。中間封止層シート73sは、絶縁シート72のPET樹脂シート側、すなわち絶縁シート72a側に配置される。また、図19に示されるように、絶縁シート72の左右およびストリングS2の最上段の太陽電池セル3の上側において中間封止層シート73sがはみ出すように積層する。これ以外は、実施例1と同様にして、比較例1の太陽電池モジュール50のサンプルが得られる。比較例1でも、図18に示されるように、厚さが0.4mmのEVA樹脂シートからなる中間封止層シート73sは、絶縁シート72と意匠シート74とが向かい合う領域の全ては包含している。また、領域Y1における構成は、実施例1と同様である。
ただし、比較例1では、絶縁シート72aおよび絶縁シート72bは接着されておらず、寸法も同じであることから、ラミネート処理時にずれが発生するため、太陽電池モジュール50内で樹脂が充填されない部分が発生する。したがって、領域Y1に対応する太陽電池セル3より外側では、太陽電池セル3を電気的に接続するためのセル間タブ4と、PET樹脂シートからなる絶縁シート72aと、が接している可能性が高い部分が存在する。
(比較例2)
図20は、比較例2による積層体のS2−S3間横タブのS2上側タブの周辺部であり、意匠シートの端部周辺の積層構成の一例を模式的に示す要部断面図である。図21は、比較例2による意匠シートが積層された状態の一例を模式的に示す拡大平面図である。
図20は、比較例2による積層体のS2−S3間横タブのS2上側タブの周辺部であり、意匠シートの端部周辺の積層構成の一例を模式的に示す要部断面図である。図21は、比較例2による意匠シートが積層された状態の一例を模式的に示す拡大平面図である。
比較例2では、図20および図21に示されるように、図2における領域Xにおいて、中間封止層シート73sを設けないこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2の太陽電池モジュール50のサンプルが得られる。すなわち、比較例2では、図20に示されるように、絶縁シート72と意匠シート74とが向かい合う領域の全てにおいて、中間封止層シート73sは存在しない。また、領域Y1における構成は、比較例1と同様である。
(比較例3)
図22は、比較例3による積層体のS2−S3間横タブのS2上側タブの周辺部であり、意匠シートの端部周辺の積層構成の一例を模式的に示す要部断面図である。比較例3では、PET樹脂シートからなる絶縁シート72aの一面に、EVA樹脂を含有しないPE樹脂シートからなり、厚さが0.3mmである絶縁シート72bが予め接着される。また、絶縁シート72aの他面に、絶縁シート72aと同じ大きさであり、厚さが0.3mmであるEVA樹脂を含有しないPE樹脂シートからなる中間封止層シート73sが予め接着されている。つまり、絶縁シート72a、絶縁シート72bおよび中間封止層シート73sは一体化されている。それ以外は、実施例1と同様にして、比較例3の太陽電池モジュール50のサンプルが得られる。比較例3では、中間封止層シート73sは、絶縁シート72と意匠シート74とが向かい合う領域の全てを包含している。
図22は、比較例3による積層体のS2−S3間横タブのS2上側タブの周辺部であり、意匠シートの端部周辺の積層構成の一例を模式的に示す要部断面図である。比較例3では、PET樹脂シートからなる絶縁シート72aの一面に、EVA樹脂を含有しないPE樹脂シートからなり、厚さが0.3mmである絶縁シート72bが予め接着される。また、絶縁シート72aの他面に、絶縁シート72aと同じ大きさであり、厚さが0.3mmであるEVA樹脂を含有しないPE樹脂シートからなる中間封止層シート73sが予め接着されている。つまり、絶縁シート72a、絶縁シート72bおよび中間封止層シート73sは一体化されている。それ以外は、実施例1と同様にして、比較例3の太陽電池モジュール50のサンプルが得られる。比較例3では、中間封止層シート73sは、絶縁シート72と意匠シート74とが向かい合う領域の全てを包含している。
(耐候性評価1)
実施例1,2および比較例1から3のサンプルに対して、耐候性評価1として、100hr放置する高温高湿(Damp-Heat:DH)試験を実施し、屋外環境を想定した樹脂の非充填部発生の有無の確認評価を行う。100hrのDH試験は、初期的な使用に伴う経年劣化の評価に相当する。そして、ラミネート処理後、およびDH試験後において、サンプルを透光性基板1側から目視で確認し、樹脂の非充填部発生の有無を評価する。
実施例1,2および比較例1から3のサンプルに対して、耐候性評価1として、100hr放置する高温高湿(Damp-Heat:DH)試験を実施し、屋外環境を想定した樹脂の非充填部発生の有無の確認評価を行う。100hrのDH試験は、初期的な使用に伴う経年劣化の評価に相当する。そして、ラミネート処理後、およびDH試験後において、サンプルを透光性基板1側から目視で確認し、樹脂の非充填部発生の有無を評価する。
図23は、実施例および比較例によるサンプルの樹脂の非充填部発生の有無の評価結果の一例を示す図である。図24は、比較例1のサンプルにおける、中間封止層シートを被せていない部分であり樹脂の非充填部が発生した樹脂の非充填部発生領域を示す模式図である。図25は、比較例2のサンプルにおける、中間封止層シートを被せていない部分であり樹脂の非充填部が発生した樹脂の非充填部発生領域を示す模式図である。図26は、比較例3のサンプルにおける、中間封止層シートを被せていない部分であり樹脂の非充填部が発生した樹脂の非充填部発生領域を示す模式図である。図24から図26ではサンプルの太陽電池モジュール50を裏面B側から透視した状態を示している。また、図24から図26で、領域αは、樹脂の非充填部が発生した樹脂の非充填部発生領域を示している。
図23に示されるように、実施例1,2のサンプルでは、ラミネート処理後およびDH試験後のどちらでも樹脂の非充填部の発生および外観不良は確認されない。
また、比較例3のサンプルでは、図26に示されるように、ラミネート処理後の確認では、領域Y1において、樹脂の非充填部抑制を目的としたEVA樹脂を含まないPE樹脂からなる中間封止層シート73sを被せていない、セル間タブ4と、PE樹脂シートとPET樹脂シートとを貼り合わせた意匠シート74と、の接触触部分で樹脂の非充填部はない。しかし、DH処理後では、セル間タブ4と意匠シート74aとの接触部分から樹脂の非充填部が発生し、外観不良が発生している。
これらのことより、領域Xにおいて、樹脂の非充填部抑制を目的としたEVA樹脂を含むPE樹脂シートからなる中間封止層シート73sを意匠シート74の表面に設けることによって、意匠シート74とPET樹脂シートからなる絶縁シート72aとが接触することが防止される。そして、意匠シート74と絶縁シート72aとの間の樹脂の非充填部の発生が抑制される。すなわち、中間封止層シート73sを設けることによって、絶縁シート72と意匠シート74との間にEVA樹脂を浸透させることができ、意匠シート74の表面での樹脂の非充填部の発生を抑制することができる。
なお、領域Y1において、PE樹脂シートとPET樹脂シートとを貼り合わせた意匠シート74を用いる場合には、セル間タブ4とPET樹脂シートを含む意匠シート74とが向き合う面に、EVA樹脂シートからなる図示しない中間封止層シートを挿入してもよい。この構成によって、セル間タブ4と意匠シート74とが接触することを防止して、セル間タブ4と意匠シート74との間の樹脂の非充填部の発生を抑制できる。
したがって、実施例1,2による製造方法であれば、生産時の樹脂の非充填部の発生がなく、また出荷後の屋外設置においても樹脂の非充填部の発生がない太陽電池モジュール50が得られる。すなわち、生産時および初期的な使用に伴う経年劣化による外観品質の低下を抑制することが可能な太陽電池モジュール50が得られる。
一方、比較例2のサンプルでは、図25に示されるように、屋外環境負荷相当のエネルギを与えるためのDH試験に投入する前のラミネート処理後の状態確認では、領域Xにおいて、樹脂の非充填部抑制を目的としたEVA樹脂を含む中間封止層シート73sを被せていない部分で意匠シート74の表面に樹脂の非充填部が発生し、外観不良が発生する。すなわち、比較例2のサンプルでは、意匠シート74の表面に封止材であるEVA樹脂を含む樹脂が充填されていない部分が発生し、EVA樹脂が太陽電池モジュール50内で充填されていない部分が発生していることが確認される。ただし、比較例2のサンプルでは、DH試験後においては樹脂の非充填部の拡大は確認されない。しかしながら、ラミネート処理後およびDH試験後のどちらにおいても、樹脂の非充填部が発生していることは外観の観点で問題となる。
また、比較例1のサンプルでも、ラミネート処理後およびDH試験後の状態確認で、樹脂の非充填部が確認される。図24に示されるように、非充填部発生領域αは、S2−S3間横タブ22の周囲に発生している。
つぎに、実施例1,2と比較例1から3との相違点について、詳細に説明する。異なる2つの材質が接した面について、滑りやすい順に並べると次のようになる。
Cu(銅)≒PET>PE>>EVA
Cu(銅)≒PET>PE>>EVA
すなわち、硬い材料ほど滑りやすく、やわらかい材料ほど滑りにくい。EVA樹脂は他の材料と比較して非常に柔らかいので、この中では最も滑りにくい。
また、2つの材質が接した面について、片方にEVA樹脂を含む材料があると、EVA樹脂は柔らかく、相手の材料の表面の凹凸に沿って変形して空気を押し出す。そのため、ラミネート処理後に樹脂の非充填部が発生しない。一方、EVA樹脂を含まない材質同士が接する面では、境界面に空気が残るため、ラミネート処理後に樹脂の非充填部が発生することになる。
図27は、ラミネート処理後における接する2つの材料と樹脂の非充填部発生の状況との関係の一例を示す図である。図28は、DH試験後における接する2つの材料と樹脂の非充填部発生の状況との関係の一例を示す図である。図27および図28に示されるように、EVA樹脂を含まない材質同士が接する面では、境界面に空気が残る。なお、図27に示されるように、受光面A側にCuを配置した場合は、Cu材料が非透明のため、ラミネート処理後は樹脂の非充填部がCuに隠れて見えず、樹脂の非充填部が発生していないように見える。しかし、図28に示されるように、DH試験後は、樹脂の非充填部が周囲に拡散するため、樹脂の非充填部が観察されることになる。
PET樹脂とPE樹脂とを比較すると、PE樹脂の方が柔らかいので、ラミネート処理後では樹脂の非充填部は目立たない。そのため、図27の「PE」と「PET」とが交差する部分では、樹脂非充填部が減少していることを示す「△」となり、「PE」と「PE」が交差する部分では、樹脂非充填部がないことを示す「○」となる。しかし、DH試験後では、樹脂の非充填部が周囲に拡散するため、図28の「PE」と「PET」とが交差する部分および「PE」と「PE」とが交差する部分の両方で、樹脂の非充填部の存在が観察されることを示す「×」となる。
図29は、比較例1の主要部であるS2上側タブと意匠シートとの間の構成のみを抜き出した断面模式図である。比較例1では、受光面A側から、S2上側タブ22b、絶縁シート72b、絶縁シート72a、中間封止層シート73sおよび意匠シート74の順に積層される。
S2上側タブ22bには、Cuの周囲を半田コートした材料が用いられる。絶縁シート72bには、EVA樹脂が用いられ、絶縁シート72aには、PET樹脂が用いられる。中間封止層シート73sには、EVA樹脂が用いられる。意匠シート74には、PE樹脂シートとPET樹脂シートとを貼り合わせた材料が用いられる。なお、意匠シート74は、PE樹脂シート側を受光面A側に配置して用いられる。
EVA樹脂と、CuまたはPE樹脂と、が接する面は比較的すべりやすい。そのため、比較例1の構成では、ラミネート処理時にEVA樹脂製の絶縁シート72bがCu製のS2上側タブ22bとPET樹脂製の絶縁シート72aとの間ですべって移動する。その結果、Cu製のS2上側タブ22bとPET樹脂製の絶縁シート72aとが直接接触する状態が発生する。このとき、S2上側タブ22bと絶縁シート72aとの接触面で空気が残り、ラミネート処理後に樹脂の非充填部が発生する。
また、比較例1では、図19に示されるように、太陽電池セル3と、絶縁シート72a、絶縁シート72bおよび中間封止層シート73sとが部分的に重なる領域がある。絶縁シート72bおよび中間封止層シート73sにEVA樹脂シートを用いた場合、EVA樹脂シートはPE樹脂シートと比較して厚さが厚いため、ラミネート処理時に太陽電池セル3に荷重がかかり、セル割れが発生することで不良の発生率が高まる可能性がある。また、EVA材料は薄肉化が困難であるので、コストも高くなる。
図30は、比較例2の主要部であるS2上側タブと意匠シートとの間の構成のみを抜き出した断面模式図である。比較例2では、受光面A側から、S2上側タブ22b、絶縁シート72b、絶縁シート72aおよび意匠シート74の順に積層される。比較例2の構成は、比較例1の構成から中間封止層シート73sが除去されたものである。各部材の構成材料も、比較例1と同様である。
比較例2でも、絶縁シート72bはEVA樹脂製であり、比較例1と同様に滑りやすい。比較例2では、比較例1と同様にラミネート処理時に絶縁シート72bが滑ってCu製のS2上側タブ22bとPET樹脂製の絶縁シート72aとが直接接触する状態が発生する。そのため、S2上側タブ22bと絶縁シート72aとの接触面で空気が残り、ラミネート処理後に樹脂の非充填部が発生する。
また、比較例2では、図21に示されるように、太陽電池セル3と、絶縁シート72aおよび絶縁シート72bと、が部分的に重なる領域がある。絶縁シート72bにEVA樹脂シートを用いた場合、EVA樹脂シートはPE樹脂シートと比較して厚さが厚いため、ラミネート処理時に太陽電池セル3に荷重がかかり、セル割れが発生することで不良の発生率が高まる可能性がある。また、EVA材料は薄肉化が困難であるので、コストも高くなる。
太陽電池セル3と重なるEVA樹脂シートは、比較例1では、絶縁シート72bおよび中間封止層シート73sの2枚であるのに対し、比較例2では、絶縁シート72bの1枚である。そのため、EVA樹脂シートの厚さは比較例1よりは薄くなる。しかし、一般的にEVA樹脂シートは1枚でもPE樹脂シートよりは厚くなるので、ラミネート処理時のセル割れの危険性は高い。
さらに、比較例2では、PET樹脂製の絶縁シート72aと、意匠シート74のPE樹脂シート側の面と、が接するので、絶縁シート72aおよび意匠シート74の接触面で空気が残ってラミネート処理後に樹脂の非充填部が発生する。
図31は、比較例3の主要部であるS2上側タブと意匠シートとの間の構成のみを抜き出した断面模式図である。比較例3では、受光面A側から、S2上側タブ22b、絶縁シート72b、絶縁シート72a、中間封止層シート73sおよび意匠シート74の順に積層される。
S2上側タブ22bには、Cuの周囲を半田コートした材料が用いられる。絶縁シート72bには、PE樹脂が用いられる。絶縁シート72aには、PET樹脂が用いられる。中間封止層シート73sには、PE樹脂が用いられる。意匠シート74には、PE樹脂シートとPET樹脂シートとを貼り合わせた材料が用いられる。意匠シート74は、PE樹脂シートを受光面A側に配置して用いられる。
比較例3では、PE樹脂製の絶縁シート72bとPET樹脂製の絶縁シート72aとが接し、PET樹脂製の絶縁シート72aとPE樹脂製の中間封止層シート73sとが接する。そのため、その接触面で空気が残ってラミネート処理後に樹脂の非充填部が発生する。
図32は、実施例1の主要部であるS2上側タブと意匠シートとの間の構成のみを抜き出した断面模式図である。実施例1では、受光面A側から、S2上側タブ22b、絶縁シート72b、絶縁シート72a、中間封止層シート73sおよび意匠シート74の順に積層される。絶縁シート72bと絶縁シート72aとは予め貼り合わせた状態で使用される。
S2上側タブ22bには、Cuの周囲を半田コートした材料が用いられる。絶縁シート72bには、PE樹脂に少量のEVA樹脂を含有した材料が用いられる。EVA樹脂の成分はPE樹脂の成分の1/2以下である。EVA樹脂の含有量は0.1重量%以上30重量%以下であることが望ましい。EVA樹脂の含有量は5重量%であることが最も望ましい。絶縁シート72aには、PET樹脂が用いられる。中間封止層シート73sには、PE樹脂に少量のEVA樹脂を含有した材料が用いられる。EVA樹脂の成分はPE樹脂の成分の1/2以下である。EVA樹脂の含有量は0.1重量%以上30重量%以下であることが望ましい。EVA樹脂の含有量は5重量%であることが最も望ましい。意匠シート74は、PE樹脂シートとPET樹脂シートとを貼り合わせた材料が用いられる。意匠シート74は、PE樹脂シートを受光面A側に配置して用いられる。
PE樹脂に少量のEVA樹脂を含有した材料を用いた絶縁シート72bおよび中間封止層シート73sは、0.01mm以上0.2mm以下の厚さである。また、絶縁シート72bおよび中間封止層シート73sは、0.05mmの厚みであることが最も望ましい。
PET樹脂を用いた絶縁シート72aは、0.2mm以下の厚さであり、0.1mmの厚さであることが最も望ましい。
図示しない受光面封止層2には、熱可塑性および光透過性を有する樹脂であるEVA樹脂が用いられる。受光面封止層2は、0.4mm以上1mm以下の厚さであり、0.4mmの厚さであることが最も望ましい。
PE樹脂はEVA樹脂に比して固い材料であり、EVA樹脂よりも薄い厚さで作製することができる。したがって、絶縁シート72bと中間封止層シート73sとを、PE樹脂に上記した少量のEVA樹脂を含有した材料で構成することによって、受光面封止層2と同じ厚さのEVA樹脂を用いる場合と比較して、絶縁シート72bおよび中間封止層シート73sの厚さを1/2以下に薄くすることができる。
ここで、EVA樹脂を含有するPE樹脂の厚さを「PE(EVA)」と表記し、PET樹脂の厚さを「PET」と表記し、EVA樹脂の厚さを「EVA」と表記する。また、絶縁シート72aの厚さを0.1mmとする。このとき、実施例1では、絶縁シート72b、絶縁シート72aおよび中間封止層シート73sの厚さは、PE(EVA)+PET+PE(EVA)=0.05mm+0.1mm+0.05mm=0.2mmとなる。一方、比較例1での絶縁シート72b、絶縁シート72aおよび中間封止層シート73sの厚さは、EVA+PET+EVA=0.4mm+0.1mm+0.4mm=0.9mmとなる。その結果、実施例1による絶縁シート72b、絶縁シート72aおよび中間封止層シート73sの厚さは、比較例1による絶縁シート72b、絶縁シート72aおよび中間封止層シート73sの厚さの2/9となる。
裏面封止層5には受光面封止層2と同様にEVA樹脂が用いられるので、封止層全体の厚さは、受光面封止層2の2倍の厚さになると考えられる。すなわち、封止層全体の厚さは、EVA+EVA=0.4mm+0.4mm=0.8mmとなる。したがって、封止層全体の厚さを基準とすると、実施例1での絶縁シート72b、絶縁シート72aおよび中間封止層シート73sの厚さは、封止層全体の厚さの1/4となる。つまり、少量のEVA樹脂を含有するPE樹脂シートと、PET樹脂シートと、を接着固定した積層構造の絶縁シート72の厚さは、封止層全体である受光面封止層2および裏面封止層5の厚さと比較して、1/2以下とすることができる。
実施例1では、絶縁シート72bおよび中間封止層シート73sには、PE樹脂に少量のEVA樹脂を含有させた材料が用いられるので、積層面のうち片方にはEVA樹脂が含まれることになる。これによって、積層面におけるすべりを抑制するとともに、積層面での密着性を高めて空気の残留を抑制する。その結果、ラミネート処理時の樹脂の非充填部の発生を抑制することができる。
また、実施例1では、図15に示されるように、太陽電池セル3と、絶縁シート72a、絶縁シート72bおよび中間封止層シート73sと、が部分的に重なる領域がある。しかし、絶縁シート72bおよび中間封止層シート73sが、PE樹脂に少量のEVA樹脂を含有する材料で構成される場合には、PE樹脂はEVA樹脂と比較して厚さを薄くすることができるため、EVA樹脂のみで構成される場合に比して、ラミネート処理時に太陽電池セル3かかる荷重を抑制することができる。その結果、セル割れの発生が抑制され、不良の発生率を低下させることができる。また、PE樹脂は薄肉化が可能であり、結果的にコストも抑制することができる。
図33は、実施例2の主要部であるS2上側タブと意匠シートとの間の構成のみを抜き出した断面模式図である。実施例2では、実施例1と同様の構成を有するが、絶縁シート72b、絶縁シート72aおよび中間封止層シート73sの3枚は予め貼り合わせられた状態で使用される点が異なる。
実施例2でも、実施例1と同様に絶縁シート72bと中間封止層シート73sとはPE樹脂に少量のEVA樹脂を含有した材料が用いられるので、積層面のうち片方にはEVA樹脂が含まれることになる。これによって、積層面におけるすべりを抑制するとともに、積層面での密着性を高めて空気の残留を抑制する。その結果、ラミネート処理時の樹脂の非充填部の発生を抑制することができる。
また、実施例1と同様に、PE樹脂はEVA樹脂と比較して厚さを薄くできるため、EVA樹脂のみで構成される場合に比して、ラミネート処理時に太陽電池セル3にかかる荷重を抑制することができる。その結果、セル割れの発生を抑制することで不良の発生率を低下させることができる。また、PE材料は薄肉化が可能であり、結果的にコストも抑制することができる。
さらに、実施例2では、絶縁シート72b、絶縁シート72aおよび中間封止層シート73sの3枚は予め貼り合わされた状態で使用されるので、実施例1の場合に比してシートの配置作業の作業効率が向上する。また、絶縁シート72aと、中間封止層シート73sとのすべりを抑制することもできる。
上記の実施の形態に示した太陽電池モジュール50は、複数の太陽電池セル3を電気的に直列に接続して形成されたストリングSの外周側を意匠シート74で覆う太陽電池モジュール50において、意匠シート74がPE樹脂により構成された樹脂シートを含む場合に有用である。PE樹脂は封止材との親和性が高いので、太陽電池モジュール50を、意匠シート74がPE樹脂により構成された樹脂シートを含むことによって、長期間の屋外暴露および高温高湿環境においても樹脂の非充填部の発生および色調の変化による外観品質の低下を抑制することができる、という効果がある。
また、上記の実施の形態に示した意匠シート74は、受光面A側をPE樹脂、裏面B側をPET樹脂により構成された樹脂シートを用いて構成された多層構造である場合に有用である。樹脂シートを多層構造とすることにより、受光面A側ではPE樹脂により樹脂の非充填部の発生および色調の変化による外観品質の低下を抑制するとともに、裏面B側ではPET樹脂により剛性を高めて、作業性を改善させるとともに、ラミネート処理時のしわの発生を改善させることができる、という効果がある。
また、上記の実施の形態に示した太陽電池モジュール50は、電気的に直列接続する太陽電池セル3の直列接続数をストリングSごとに変えることによって外形の1辺が斜辺となるように構成された台形形状を有する太陽電池モジュール50において、斜辺に取り付けられた保持フレームと太陽電池セル3との間に意匠シート74が配置される場合に有用である。太陽電池モジュール50は、意匠シート74を備えることによって、台形形状を有する太陽電池モジュール50であっても、意匠性を損なうことがない、という効果がある。
さらに、上記の実施の形態は、台形形状の太陽電池モジュール50に適用される場合が示されたが、三角形形状または矩形形状の太陽電池モジュール50にも適用可能である。
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
1 透光性基板、2 受光面封止層、2s 受光面封止層シート、3 太陽電池セル、3a 受光面電極、3b 裏面電極、4 セル間タブ、5 裏面封止層、5s 裏面封止層シート、6 バックシート、6a,6b 取出孔、11,12 出力タブ、21 S1−S2間横タブ、22 S2−S3間横タブ、22a S3上側タブ、22b S2上側タブ、22c S2−S3接続タブ、23 S3−S4間横タブ、24 S4−S5間横タブ、24a S5上側タブ、24b S4上側タブ、24c S4−S5接続タブ、31,32,33 取出タブ、41,42,43 バイパスダイオード、50 太陽電池モジュール、51 負極側端子ボックス、52 負極側出力ケーブル、53 正極側端子ボックス、54 正極側出力ケーブル、72,72a,72b 絶縁シート、73 中間封止層、73s 中間封止層シート、74,74a,74b 意匠シート。
Claims (5)
- 受光面側に配置されて光透過性を有する受光面側保護部材と、
受光面と対向する裏面側に配置される裏面側保護部材と、
複数の太陽電池セルがセル間タブで電気的に直列に接続されるストリングと、
複数の前記ストリング同士を電気的に直列に接続する横タブと、
前記ストリングから前記裏面側保護部材の外側に出力を取り出す出力タブと、
樹脂からなり前記ストリングを前記受光面側保護部材と前記裏面側保護部材との間に狭持する封止層と、
前記セル間タブと前記横タブと前記出力タブとを含む複数のタブのうち、いずれか2つのタブの間を絶縁する絶縁シートと、
ポリエチレン樹脂によりシート状に構成された第1ポリエチレン樹脂シートを含み、前記ストリングの外周側を覆う意匠シートと、
前記絶縁シートと前記意匠シートとの間に配置されて前記絶縁シートと前記意匠シートとを非接触状態とする中間封止層と、
を備え、
前記絶縁シートは、エチレン酢酸ビニル樹脂を含有する第2ポリエチレン樹脂シートと、ポリエチレンテレフタレート樹脂シートと、が接着固定される積層構造を有し、
前記中間封止層は、エチレン酢酸ビニル樹脂を含有する第3ポリエチレン樹脂シートであることを特徴とする太陽電池モジュール。 - 前記第2ポリエチレン樹脂シートは、0.1重量%以上30重量%以下の含有率でエチレン酢酸ビニル樹脂を含有することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール。
- 前記絶縁シートの厚さは、前記封止層の厚さの1/2以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池モジュール。
- 前記第2ポリエチレン樹脂シートには、紫外線吸収剤、黒色顔料または白色顔料が添加されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
- 光透過性を有する受光面側保護部材と、第1封止層シートと、複数の太陽電池セルがセル間タブで電気的に直列に接続された複数のストリングが横タブで電気的に接続された太陽電池アレイと、第1絶縁シートと、第2絶縁シートと、中間封止層シートと、ポリエチレン樹脂によりシート状に構成された第1ポリエチレン樹脂シートを含む意匠シートと、第2封止層シートと、裏面側保護部材と、を順次積層して積層体を形成する積層工程と、
前記積層体を加熱および加圧して複数の前記ストリングを前記受光面側保護部材と前記裏面側保護部材との間に封止する封止工程と、
を含み、
前記第1絶縁シートが、前記横タブと前記第2絶縁シートとの間に配置され、
前記中間封止層シートが、前記第2絶縁シートと前記意匠シートとの間に配置され、
前記第1絶縁シートは、エチレン酢酸ビニル樹脂を含有する第2ポリエチレン樹脂シートであり、
前記第2絶縁シートは、前記第1絶縁シートと接着固定されるポリエチレンテレフタレート樹脂シートであり、
前記中間封止層シートは、エチレン酢酸ビニル樹脂を含有する第3ポリエチレン樹脂シートであることを特徴とする太陽電池モジュールの製造方法。
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