JP2021110869A - 光学フィルタ、および光検出装置 - Google Patents

光学フィルタ、および光検出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ハイパースペクトルカメラの波数分解能を向上し得る光学フィルタを提供する。【解決手段】光学フィルタは、第1多層反射層、中間層および第2多層反射層をこの順に備え、前記第1および第2多層反射層の各々は、第1光共振器を構成する第1反射部分、および第2光共振器を構成する第2反射部分を含み、前記第1反射部分は、第1高屈折率層および第1低屈折率層を含み、前記第2反射部分は、第2高屈折率層および第2低屈折率層を含み、厚さ方向において、前記第2高屈折率層の光路長は、前記第1高屈折率層の光路長よりも小さく、前記第2低屈折率層の光路長は、前記第1低屈折率層の光路長よりも小さく、前記厚さ方向において、前記第1光共振器の光路長と、前記第2光共振器の光路長との差の絶対値は、前記第1および第2高屈折率層、ならびに前記第1および第2低屈折率層の光路長の和よりも小さい。【選択図】図8A

Description

本開示は、光学フィルタ、および光検出装置に関する。
各々が狭帯域である多数のバンド、例えば数十バンドのスペクトル情報を活用することにより、従来のRGB画像では不可能であった対象物の詳細な物性を把握することができる。このような多波長の情報を取得するカメラは、「ハイパースペクトルカメラ」と呼ばれる。ハイパースペクトルカメラは、食品検査、生体検査、医薬品開発、および鉱物の成分分析などの様々な分野で利用されている(例えば、特許文献1−5参照)。
米国特許出願公開第2016/138975号明細書 米国特許第7907340号明細書 米国特許第9929206号明細書 特表2013−512445 特表2015−501432
本開示は、波長の逆数によって表される波数に基づいて、ハイパースペクトルカメラの波数分解能を向上させることができる新規な光学フィルタを提供する。
本開示の一態様に係る光学フィルタは、第1多層反射層および第2多層反射層と、前記第1多層反射層と前記第2多層反射層との間の中間層と、を備え、前記第1多層反射層および前記第2多層反射層の各々は、第1光共振器を構成する第1反射部分、および第2光共振器を構成する第2反射部分を含み、前記第1反射部分は、第1高屈折率層、および前記第1高屈折率層よりも屈折率の小さい第1低屈折率層を含み、前記第2反射部分は、第2高屈折率層、および前記第2高屈折率層よりも屈折率の小さい第2低屈折率層を含み、前記第2高屈折率層の厚さ方向における光路長は、前記第1高屈折率層の前記厚さ方向における光路長よりも小さく、前記第2低屈折率層の前記厚さ方向における光路長は、前記第1低屈折率層の前記厚さ方向における光路長よりも小さく、前記厚さ方向における前記第1光共振器の光路長と、前記厚さ方向における前記第1光共振器の光路長との差の絶対値は、前記第1高屈折率層、前記第1低屈折率層、前記第2高屈折率層、および前記第2低屈折率層の前記厚さ方向における光路長の和よりも小さい。
本開示によれば、ハイパースペクトルカメラの波数分解能を向上させることができる。
図1は、例示的な実施形態における光検出システムを模式的に示す図である。 図2Aは、フィルタアレイの例を模式的に示す図である。 図2Bは、対象波数域に含まれる複数の波数域のそれぞれの光の透過率の空間分布の一例を示す図である。 図2Cは、図2Aに示すフィルタアレイの複数の領域に含まれる2つの領域の一方の透過スペクトルの例を示す図である。 図2Dは、図2Aに示すフィルタアレイの複数の領域に含まれる2つの領域の他方の透過スペクトルの例を示す図である。 図3Aは、対象波数域と、それに含まれる複数の波数域との関係を説明するための図である。 図3Bは、対象波数域と、それに含まれる複数の波数域との関係を説明するための図である。 図4Aは、フィルタアレイのある領域における透過スペクトルの特性を説明するための図である。 図4Bは、図4Aに示す透過スペクトルを、波数域ごとに平均化した結果を示す図である。 図5は、例示的な実施形態における光検出装置を模式的に示す断面図である。 図6は、各画素での透過スペクトルの例を模式的に示す図である。 図7Aは、一般的な誘電体多層膜を含むフィルタの例を模式的に示す図である。 図7Bは、図7Aに示すフィルタの透過スペクトルを示す図である。 図8Aは、第1反射層および第2反射層の各々が2つの反射部分を含む、フィルタ100の例を模式的に示す図である。 図8Bは、第1反射層および第2反射層の各々が2つの反射部分を含む、フィルタ100の他の例を模式的に示す図である。 図8Cは、第1反射層および第2反射層の各々が2つの反射部分を含む、フィルタ100のさらに他の例を模式的に示す図である。 図9は、第1反射層および第2反射層2の各々が3つの反射部分を含む、フィルタ100の例を模式的に示す図である。 図10Aは、第1反射層および第2反射層の各々が2つの反射部分を含む、フィルタ100の他の例を模式的に示す図である。 図10Bは、図10Aのフィルタの透過スペクトルを示す図である。 図11Aは、第1反射層および第2反射層の各々が5つの反射部分を含む、フィルタ100の例を模式的に示す図である。 図11Bは、図11Aのフィルタの透過スペクトルを示す図である。 図11Cは、図7Bの透過スペクトルから得られる複数のピークの間隔と、図11Bの透過スペクトルから得られる複数のピークの間隔とを抽出してプロットした図である。 図12Aは、図5に示す光検出装置の第1の変形例を模式的に示す図である。 図12Bは、図5に示す光検出装置の第2の変形例を模式的に示す図である。 図12Cは、図5に示す光検出装置の第3の変形例を模式的に示す図である。 図12Dは、図5に示す光検出装置の第4の変形例を模式的に示す図である。 図12Eは、図5に示す光検出装置の第5の変形例を模式的に示す図である。 図12Fは、図5に示す光検出装置の第6の変形例を模式的に示す図である。
本開示の実施形態を説明する前に、本開示の基礎となった知見を説明する。
特許文献1は、高い解像度の多波長画像を取得することが可能な撮像装置を開示している。当該撮像装置では、対象物からの光の像が、「符号化素子」と称される光学素子によって符号化されて撮像される。符号化素子は、2次元に配列された複数の領域を有する。当該複数の領域のうちの少なくとも2つの領域の各々の透過スペクトルは、複数の波長域において、それぞれ透過率の極大値を有する。複数の領域は、例えばイメージセンサの複数の画素にそれぞれ対応して配置される。当該符号化素子を用いた撮像では、各画素のデータは、複数の波長域の情報を含む。すなわち、生成される画像データは、波長情報が圧縮されたデータである。したがって、2次元データを保有するだけで済み、データ量を抑えることができる。例えば、記録媒体の容量に制約がある場合であっても、長時間の動画像のデータを取得することが可能になる。
符号化素子は、様々な方法を用いて製造され得る。例えば、顔料または染料などの有機材料を用いた方法が考えられる。この場合、符号化素子の複数の領域は、異なる光透過特性を有する光吸収材料によって形成される。そのような構造では、配置する光吸収材料の種類の数に応じて製造工程数が増える。このため、有機材料を用いた符号化素子の作製は容易ではない。
一方、特許文献2から特許文献5は、互いに異なる透過スペクトルを有する複数のファブリ・ペローフィルタを備える装置を開示している。ファブリ・ペローフィルタは、有機材料から形成されたフィルタよりも容易に作製することができる。しかし、特許文献2から特許文献5に開示された例のいずれにおいても、各画素のデータは、単一の波長域の情報しか含まない。このため、空間分解能が犠牲になる。
本発明者は、以上の検討に基づき、以下の項目に記載の光検出装置、およびフィルタアレイに想到した。
第1の項目に係る光学フィルタは、第1多層反射層および第2多層反射層と、前記第1多層反射層と前記第2多層反射層との間の中間層と、を備える。前記第1多層反射層および前記第2多層反射層の各々は、第1光共振器を構成する第1反射部分、および第2光共振器を構成する第2反射部分を含む。前記第1反射部分は、第1高屈折率層、および前記第1高屈折率層よりも屈折率の小さい第1低屈折率層を含む。前記第2反射部分は、第2高屈折率層、および前記第2高屈折率層よりも屈折率の小さい第2低屈折率層を含む。前記第2高屈折率層の厚さ方向における光路長は、前記第1高屈折率層の前記厚さ方向における光路長よりも小さい。前記第2低屈折率層の前記厚さ方向における光路長は、前記第1低屈折率層の前記厚さ方向における光路長よりも小さい。前記厚さ方向における前記第1光共振器の光路長と、前記厚さ方向における前記第2光共振器の光路長との差の絶対値は、前記第1高屈折率層、前記第1低屈折率層、前記第2高屈折率層、および前記第2低屈折率層の前記厚さ方向における光路長の和よりも小さい。
この光学フィルタでは、第1光共振器および第2光共振器の光路長の、波数に対する不均一さを抑制することができる。その結果、ハイパースペクトルカメラの波数分解能を向上させることができる。
第2の項目に係る光学フィルタは、第1の項目に係る光学フィルタにおいて、前記第1多層反射層および前記第2多層反射層の各々が、第3光共振器を構成する第3反射部分をさらに含む。前記第3反射部分は、第3高屈折率層、および前記第3高屈折率層よりも屈折率の小さい第3低屈折率層を含む。前記第3高屈折率層の前記厚さ方向における光路長は、前記第1高屈折率層の前記厚さ方向における光路長よりも大きい。前記第3低屈折率層の前記厚さ方向における光路長は、前記第1低屈折率層の前記厚さ方向における光路長よりも大きい。前記厚さ方向における前記第3光共振器の光路長と、前記厚さ方向における前記第1光共振器の光路長との差の絶対値は、前記第1高屈折率層、前記第1低屈折率層、前記第2高屈折率層、および前記第2低屈折率層の前記厚さ方向における光路長の和よりも小さい。前記厚さ方向における前記第3光共振器の光路長と、前記厚さ方向における前記第2光共振器の光路長との差の絶対値は、前記第1高屈折率層、前記第1低屈折率層、前記第2高屈折率層、および前記第2低屈折率層の前記厚さ方向における光路長の和よりも小さい。
この光学フィルタでは、第1光共振器、第2光共振器、および第3光共振器の光路長の、波数に対する不均一さを抑制することができる。その結果、ハイパースペクトルカメラの波数分解能を向上させることができる。
第3の項目に係る光学フィルタは、第2の項目に係る光学フィルタにおいて、前記第1多層反射層および前記第2多層反射層の各々が、交互に積層された複数の高屈折率層および複数の低屈折率層を備える。前記複数の低屈折率層の屈折率は、前記複数の高屈折率層の屈折率よりも小さい。前記第1多層反射層および前記第2多層反射層の各々における前記複数の高屈折率層は、前記第1高屈折率層、前記第2高屈折率層、および前記第3高屈折率層を含む。前記第1多層反射層および前記第2多層反射層の各々における前記複数の低屈折率層は、前記第1低屈折率層、前記第2低屈折率層、および前記第3低屈折率層を含む。前記第1多層反射層および前記第2多層反射層の各々における前記複数の高屈折率層は、前記厚さ方向に沿って厚さが漸増する部分を有する。前記第1多層反射層および前記第2多層反射層の各々における前記複数の低屈折率層は、前記厚さ方向に沿って厚さが漸増する部分を有する。
この光学フィルタでは、積層方向に沿って厚さが単調に変化する複数の高屈折率層および複数の低い屈折率層を交互に積層するので、光学フィルタの作製が容易になり得る。
第4の項目に係る光学フィルタは、第2の項目に係る光学フィルタにおいて、前記第1多層反射層および前記第2多層反射層の各々が、交互に積層された複数の高屈折率層および複数の低屈折率層を備える。前記複数の低屈折率層の屈折率は、前記複数の高屈折率層の屈折率よりも小さい。前記第1多層反射層および前記第2多層反射層の各々における前記複数の高屈折率層は、前記第1高屈折率層、前記第2高屈折率層、および前記第3高屈折率層を含む。前記第1多層反射層および前記第2多層反射層の各々における前記複数の低屈折率層は、前記第1低屈折率層、前記第2低屈折率層、および前記第3低屈折率層を含む。前記第1多層反射層および前記第2多層反射層の各々における前記複数の高屈折率層は、前記厚さ方向に沿って厚さが漸増する第1部分と厚さが漸減する第2部分とを有する。前記第1多層反射層および前記第2多層反射層の各々における前記複数の低屈折率層は、前記厚さ方向に沿って厚さが漸増する第3部分と厚さが漸減する第4部分とを有する。
この光学フィルタでは、積層方向に沿って厚さが増減する複数の高屈折率層および複数の低い屈折率層を交互に積層するので、光学フィルタの構成の選択の幅が広がる。
第5の項目に係る光学フィルタは、第1から第4の項目のいずれかに係る光学フィルタにおいて、前記光学フィルタの透過スペクトルが、14286cm−1(波長700nm)以上25000cm−1(波長400nm)以下の波数域において2以上の極大ピークを示す。
この光学フィルタでは、可視光に対応する波数域におけるハイパースペクトルカメラの波数分解能を向上させることができる。
第6の項目に係る光学フィルタは、第1から第4の項目のいずれかに係る光学フィルタにおいて、前記光学フィルタの透過スペクトルが、4000cm−1(波長2500nm)以上14286cm−1(波長700nm)以下の波数域において2以上の極大ピークを示す。
この光学フィルタでは、赤外線に対応する波長域におけるハイパースペクトルカメラの波数分解能を向上させることができる。
第7の項目に係る光検出装置は、第1から第6の項目のいずれかに記載の光学フィルタと、前記光学フィルタを透過した光を受ける位置に配置された光検出素子と、を備える。前記光学フィルタの透過スペクトルは、ある波数域において2以上の極大ピークを示す。前記光検出素子は、前記波数域に感度を有する。
この光検出装置は、波数分解能が向上したハイパースペクトルカメラとして利用することができる。
本開示において、回路、ユニット、装置、部材または部の全部または一部、またはブロック図における機能ブロックの全部または一部は、例えば、半導体装置、半導体集積回路(IC)、またはLSI(large scale integration)を含む1つまたは複数の電子回路によって実行され得る。LSIまたはICは、1つのチップに集積されてもよいし、複数のチップを組み合わせて構成されてもよい。例えば、記憶素子以外の機能ブロックは、1つのチップに集積されてもよい。ここでは、LSIまたはICと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(very large scale integration)、もしくはULSI(ultra large scale integration)と呼ばれるものであってもよい。LSIの製造後にプログラムされる、Field Programmable Gate Array(FPGA)、またはLSI内部の接合関係の再構成またはLSI内部の回路区画のセットアップができるreconfigurable logic deviceも同じ目的で使うことができる。
さらに、回路、ユニット、装置、部材または部の全部または一部の機能または動作は、ソフトウェア処理によって実行することが可能である。この場合、ソフトウェアは1つまたは複数のROM、光学ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録され、ソフトウェアが処理装置(processor)によって実行されたときに、そのソフトウェアで特定された機能が処理装置(processor)および周辺装置によって実行される。システムまたは装置は、ソフトウェアが記録されている1つまたは複数の非一時的記録媒体、処理装置(processor)、および必要とされるハードウェアデバイス、例えばインターフェースを備えていてもよい。
以下、図面を参照しながら、本開示のより具体的な実施形態を説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明および実質的に同一の構成に対する重複する説明を省略することがある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、発明者らは、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。以下の説明において、同一または類似する構成要素については、同じ参照符号を付している。
(実施形態)
本開示の実施形態では、波長λの逆数によって表される波数k=1/λに基づいて、光学フィルタが設計される。本明細書において、説明の便宜上、「波数」と記載する箇所と、「波長」と記載する箇所とが存在する。波数と波長の意味は、実質的に同一である。
<光検出システム>
最初に、本実施形態における光検出システムを説明する。
図1は、例示的な実施形態における光検出システム400を模式的に示す図である。光検出システム400は、光学系40と、フィルタアレイ100Cと、イメージセンサ60と、信号処理回路200とを備える。フィルタアレイ100Cは、特許文献1に開示されている「符号化素子」と同様の機能を有する。このため、フィルタアレイ100Cを、「符号化素子」と称することもできる。光学系40、およびフィルタアレイ100Cは、対象物70から入射する光の光路に配置されている。
フィルタアレイ100Cは、行および列状に配列された透光性の複数の領域を備える。フィルタアレイ100Cは、光の透過スペクトル、すなわち光透過率の波数依存性が領域によって異なる光学素子である。フィルタアレイ100Cは、入射した光の強度を変調させて通過させる。フィルタアレイ100Cは、イメージセンサ60の近傍または直上に配置され得る。ここで「近傍」とは、光学系40からの光の像がある程度鮮明な状態でフィルタアレイ100Cの面上に形成される程度に近接していることを意味する。「直上」とは、ほとんど隙間が生じない程両者が近接していることを意味する。フィルタアレイ100Cおよびイメージセンサ60は一体化されていてもよい。フィルタアレイ100Cおよびイメージセンサ60を備える装置を、「光検出装置300」と称する。
光学系40は、少なくとも1つのレンズを含む。図1では、1つのレンズとして示されているが、光学系40は複数のレンズの組み合わせによって構成されていてもよい。光学系40は、フィルタアレイ100Cを介して、イメージセンサ60の撮像面上に像を形成する。
信号処理回路200は、イメージセンサ60によって取得された画像120に基づいて、多波数の情報を含む複数の分離画像220を再構成する。複数の分離画像220、および信号処理回路200の画像信号の処理方法の詳細については、後述する。なお、信号処理回路200は、光検出装置300に組み込まれていてもよいし、光検出装置300に有線または無線によって電気的に接続された信号処理装置の構成要素であってもよい。
<フィルタアレイ>
以下に、本実施形態におけるフィルタアレイ100Cを説明する。フィルタアレイ100Cは、撮像対象の波数域に含まれる複数の波数域ごとの画像を生成する分光システムにおいて用いられる。本明細書において、撮像対象の波数域を、「対象波数域」とも称する。フィルタアレイ100Cは、対象物から入射する光の光路に配置され、入射光の強度を波数ごとに変調して出力する。フィルタアレイすなわち符号化素子によるこの過程を、本明細書では「符号化」と称する。
図2Aは、フィルタアレイ100Cの例を模式的に示す図である。フィルタアレイ100Cは、2次元に配列された複数の領域を有する。本明細書では、当該領域を、「セル」と称することがある。各領域には、個別に設定された透過スペクトルを有するフィルタが配置されている。透過スペクトルは、入射光の波数をkとして、関数T(k)で表される。透過スペクトルT(k)は、0以上1以下の値を取り得る。フィルタの構成の詳細については、後述する。
図2Aに示す例では、フィルタアレイ100Cは、6行8列に配列された48個の矩形領域を有している。これはあくまで例示であり、実際の用途では、これよりも多くの領域が設けられ得る。その数は、例えばイメージセンサなどの一般的な光検出器の画素数と同程度であり得る。当該画素数は、例えば数十万から数千万である。ある例では、フィルタアレイ100Cは、光検出器の直上に配置され、各領域が光検出器の1つの画素に対応するように配置され得る。各領域は、例えば、光検出器の1つの画素に対向する。
図2Bは、対象波数域に含まれる複数の波数域W1、W2、・・・、Wiのそれぞれの光の透過率の空間分布の一例を示す図である。図2Bに示す例では、各領域の濃淡の違いは、透過率の違いを表している。淡い領域ほど透過率が高く、濃い領域ほど透過率が低い。図2Bに示すように、波数域によって光透過率の空間分布が異なっている。
図2Cおよび図2Dは、それぞれ、図2Aに示すフィルタアレイ100Cの複数の領域に含まれる領域A1および領域A2の透過スペクトルの例を示す図である。領域A1の透過スペクトルと領域A2の透過スペクトルとは、互いに異なっている。このように、フィルタアレイ100Cの透過スペクトルは、領域によって異なる。ただし、必ずしもすべての領域の透過スペクトルが異なっている必要はない。フィルタアレイ100Cでは、複数の領域の少なくとも一部の領域の透過スペクトルが互いに異なっている。当該少なくとも一部の領域は、2以上の領域である。すなわち、フィルタアレイ100Cは、透過スペクトルが互いに異なる2つ以上のフィルタを含む。ある例では、フィルタアレイ100Cに含まれる複数の領域の透過スペクトルのパターンの数は、対象波数域に含まれる波数域の数iと同じか、それ以上であり得る。フィルタアレイ100Cは、半数以上の領域の透過スペクトルが異なるように設計されていてもよい。
図3Aおよび図3Bは、対象波数域Wと、それに含まれる複数の波数域W1、W2、・・・、Wiとの関係を説明するための図である。対象波数域Wは、用途によって様々な範囲に設定され得る。対象波数域Wは、例えば、約400nmから約700nmの可視光に対応する波数域、約700nmから約2500nmの近赤外線に対応する波数域、約10nmから約400nmの近紫外線に対応する波数域、その他、中赤外、遠赤外、テラヘルツ波、またはミリ波などの電波域であり得る。このように、使用される波数域は可視光域とは限らない。本明細書では、可視光に限らず、近紫外線、近赤外線、および電波などの非可視光も便宜上「光」と称する。
図3Aに示す例では、iを4以上の任意の整数として、対象波数域Wをi等分したそれぞれを波数域W1、波数域W2、・・・、波数域Wiとしている。ただしこのような例に限定されない。対象波数域Wに含まれる複数の波数域は任意に設定してもよい。例えば、波数域によって帯域幅を不均一にしてもよい。隣接する波数域の間にギャップがあってもよい。図3Bに示す例では、波数域によって帯域幅が異なり、かつ、隣接する2つの波数域の間にギャップがある。このように、複数の波数域は、互いに異なっていればよく、その決め方は任意である。波数の分割数iは3以下でもよい。
図4Aは、フィルタアレイ100Cのある領域における透過スペクトルの特性を説明するための図である。図4Aに示す例では、透過スペクトルは、対象波数域W内の波数に関して、複数の極大値P1から極大値P5、および複数の極小値を有する。図4Aに示す例では、対象波数域W内での光透過率の最大値が1、最小値が0となるように正規化されている。図4Aに示す例では、波数域W2、および波数域Wi−1などの波数域において、透過スペクトルが極大値を有している。このように、本実施形態では、各領域の透過スペクトルは、複数の波数域W1から波数域Wiのうち、少なくとも2つの複数の波数域において極大値を有する。図4Aからわかるように、極大値P1、極大値P3、極大値P4、および極大値P5は0.5以上である。
以上のように、各領域の光透過率は、波数によって異なる。したがって、フィルタアレイ100Cは、入射する光のうち、ある波数域の成分を多く透過させ、他の波数域の成分をそれほど透過させない。例えば、i個の波数域のうちのk個の波数域の光については、透過率が0.5よりも大きく、残りのi−k個の波数域の光については、透過率が0.5未満であり得る。kは、2≦k<iを満たす整数である。仮に入射光が、すべての可視光の波数成分を均等に含む白色光であった場合には、フィルタアレイ100Cは、入射光を領域ごとに、波数に関して離散的な複数の強度のピークを有する光に変調し、これらの多波数の光を重畳して出力する。
図4Bは、一例として、図4Aに示す透過スペクトルを、波数域W1、波数域W2、・・・、波数域Wiごとに平均化した結果を示す図である。平均化された透過率は、透過スペクトルT(k)を波数域ごとに積分してその波数域の帯域幅で除算することによって得られる。本明細書では、このように波数域ごとに平均化した透過率の値を、その波数域における透過率と称する。この例では、極大値P1、極大値P3、および極大値P5をとる3つの波数域において、透過率が突出して高くなっている。特に、極大値P3、および極大値P5をとる2つの波数域において、透過率が0.8を超えている。
各領域の透過スペクトルの波数方向の分解能は、所望の波数域の帯域幅程度に設定され得る。言い換えれば、透過スペクトル曲線における1つの極大値を含む波数範囲のうち、当該極大値に最も近接する極小値と当該極大値との平均値以上の値をとる範囲の幅は、所望の波数域の帯域幅程度に設定され得る。この場合、透過スペクトルを、例えばフーリエ変換によって波数成分に分解すれば、その波数域に相当する波数成分の値が相対的に大きくなる。
フィルタアレイ100Cは、典型的には、図2Aに示すように、格子状に区分けされた複数のセルに分割される。これらのセルが、互いに異なる透過スペクトルを有する。フィルタアレイ100Cでの各領域の光透過率の波数分布および空間分布は、例えばランダム分布または準ランダム分布であり得る。
ランダム分布および準ランダム分布の考え方は次の通りである。まず、フィルタアレイ100Cにおける各領域は、光透過率に応じて、例えば0から1の値を有するベクトル要素と考えることができる。ここで、透過率が0の場合、ベクトル要素の値は0であり、透過率が1の場合、ベクトル要素の値は1である。言い換えると、行方向または列方向に一列に並んだ領域の集合を0から1の値を有する多次元のベクトルと考えることができる。したがって、ランダム分布および準ランダム分布においては、複数の領域に含まれる1つの行または列に並んだ領域の集合に属する各領域での第1の波数域の光の透過率の値を要素とするベクトルと、他の行または列に並んだ領域の集合に属する各領域における第1の波数域の光の透過率の値を要素とするベクトルとは、互いに独立である。第1の波数域とは異なる第2の波数域についても同様に、複数の領域に含まれる1つの行または列に並んだ領域の集合に属する各領域における第2の波数域の光の透過率の値を要素とするベクトルと、他の行または列に並んだ領域の集合に属する各領域における第2の波数域の光の透過率の値を要素とするベクトルとは、互いに独立である。
フィルタアレイ100Cを光検出器の近傍あるいは直上に配置する場合、フィルタアレイ100Cでの複数の領域の相互の間隔であるセルピッチは、光検出器の画素ピッチと略一致させてもよい。このようにすれば、フィルタアレイ100Cから出射した符号化された光の像の解像度が画素の解像度と略一致する。各セルを透過した光が対応する1つの画素にのみ入射するようにすることにより、後述する演算を容易にすることができる。フィルタアレイ100Cを光検出器から離して配置する場合には、その距離に応じてセルピッチを細かくしてもよい。
図2Aから図2Dに示す例では、各領域の透過率が0以上1以下の任意の値をとり得るグレースケールの透過率分布を想定した。しかし、必ずしもグレースケールの透過率分布にする必要はない。例えば、各領域の透過率が略0または略1のいずれかの値を取り得るバイナリ−スケールの透過率分布を採用してもよい。バイナリ−スケールの透過率分布では、各領域は、対象波数域に含まれる複数の波数域のうちの少なくとも2つの波数域の光の大部分を透過させ、残りの波数域の光の大部分を透過させない。ここで「大部分」とは、概ね80%以上を指す。
全セルのうちの一部、例えば半分のセルを、透明領域に置き換えてもよい。そのような透明領域は、対象波数域に含まれるすべての波数域W1から波数域Wiの光を同程度の高い透過率で透過させる。当該高い透過率は、例えば0.8以上である。そのような構成では、複数の透明領域は、例えば市松状に配置され得る。すなわち、フィルタアレイ100Cにおける複数の領域の2つの配列方向において、光透過率が波数によって異なる領域と、透明領域とが交互に配列され得る。図2Aに示す例では、2つの配列方向は、横方向および縦方向である。
<信号処理回路>
次に、図1に示す信号処理回路200により、画像120、およびフィルタアレイ100Cの波数ごとの透過率の空間分布特性に基づいて多波数の分離画像220を再構成する方法を説明する。ここで多波数とは、例えば通常のカラーカメラで取得されるRGBの3色の波数域よりも多くの波数域を意味する。この波数域の数は、例えば4から100程度の数であり得る。この波数域の数を、「分光帯域数」と称することがある。用途によっては、分光帯域数は100を超えていてもよい。
求めたいデータは分離画像220であり、そのデータは、fとして表される。分光帯域数がwとして表されると、fは、各帯域の画像データf1、f2、・・・、fwを統合したデータである。求めるべき画像データのx方向の画素数がnとして表され、y方向の画素数がmとして表されると、画像データf1、f2、・・・、fwの各々は、n×m画素の2次元データの集まりである。したがって、データfは要素数n×m×wの3次元データである。一方、フィルタアレイ100Cによって符号化および多重化されて取得される画像120のデータgの要素数はn×mである。本実施の形態におけるデータgは、以下の式(1)によって表すことができる。
Figure 2021110869
ここで、f1、f2、・・・、fwは、n×m個の要素を有するデータである。したがって、右辺のベクトルは、厳密にはn×m×w行1列の1次元ベクトルである。ベクトルgは、n×m行1列の1次元ベクトルに変換して表され、計算される。行列Hは、ベクトルfの各成分f、f、・・・、fwを波数域ごとに異なる符号化情報で符号化・強度変調し、それらを加算する変換を表す。したがって、Hは、n×m行n×m×w列の行列である。
さて、ベクトルgと行列Hが与えられれば、式(1)の逆問題を解くことにより、fを算出することができそうである。しかし、求めるデータfの要素数n×m×wが取得データgの要素数n×mよりも多いため、この問題は不良設定問題となり、このままでは解くことができない。そこで、本実施の形態の信号処理回路Prは、データfに含まれる画像の冗長性を利用し、圧縮センシングの手法を用いて解を求める。具体的には、以下の式(2)を解くことにより、求めるデータfが推定される。
Figure 2021110869
ここで、f’は、推定されたfのデータを表す。上式の括弧内の第1項は、推定結果Hfと取得データgとのずれ量、いわゆる残差項を表す。ここでは2乗和を残差項としているが、絶対値あるいは二乗和平方根等を残差項としてもよい。括弧内の第2項は、後述する正則化項または安定化項である。式(2)は、第1項と第2項との和を最小化するfを求めることを意味する。信号処理回路200は、再帰的な反復演算によって解を収束させ、最終的な解f’を算出することができる。
式(2)の括弧内の第1項は、取得データgと、推定過程のfを行列Hによってシステム変換したHfとの差分の二乗和を求める演算を意味する。第2項のΦ(f)は、fの正則化における制約条件であり、推定データのスパース情報を反映した関数である。働きとしては、推定データを滑らかまたは安定にする効果がある。正則化項は、例えば、fの離散的コサイン変換(DCT)、ウェーブレット変換、フーリエ変換、またはトータルバリエーション(TV)などによって表され得る。例えば、トータルバリエーションを使用した場合、観測データgのノイズの影響を抑えた安定した推測データを取得できる。それぞれの正則化項の空間における対象物70のスパース性は、対象物70のテキスチャによって異なる。対象物70のテキスチャが正則化項の空間においてよりスパースになる正則化項を選んでもよい。あるいは、複数の正則化項を演算に含んでもよい。τは、重み係数である。重み係数τが大きいほど冗長的なデータの削減量が多くなり、圧縮する割合が高まる。重み係数τが小さいほど解への収束性が弱くなる。重み係数τは、fがある程度収束し、かつ、過圧縮にならない適度な値に設定される。
なお、ここでは式(2)に示す圧縮センシングを用いた演算例を示したが、その他の方法を用いて解いてもよい。例えば、最尤推定法またはベイズ推定法などの他の統計的方法を用いることができる。また、分離画像220の数は任意であり、各波数域も任意に設定してよい。再構成の方法の詳細は、特許文献1に開示されている。特許文献1の開示内容全体を本明細書に援用する。
<ファブリ・ペローフィルタを備えるフィルタアレイ>
次に、フィルタアレイ100Cのより具体的な構造の例を説明する。
図5は、例示的な実施形態における光検出装置300を模式的に示す断面図である。光検出装置300は、フィルタアレイ100Cと、イメージセンサ60とを備える。
フィルタアレイ100Cは、2次元に配列された複数の光学フィルタ100を備える。複数の光学フィルタ100は、例えば図2Aに示すように、行および列状に配列されている。図5は、図2Aに示す1つの行の断面構造を模式的に示している。複数の光学フィルタ100の各々は、共振構造を備える光共振器に相当する。共振構造とは、ある波数の光が、内部で定在波を形成して安定に存在する構造を意味する。当該光の状態を、「共振モード」と称することがある。図5に示す共振構造は、第1反射層28a、第2反射層28b、および第1反射層28aと第2反射層28bとの間の中間層26を含む。第1反射層28aおよび/または第2反射層28bは、誘電体多層膜または金属薄膜から形成され得る。中間層26は、特定の波数域において透明な誘電体または半導体から形成され得る。中間層26は、例えば、Si、Si、TiO、Nb、Taからなる群から選択される少なくとも1つから形成され得る。複数の光学フィルタ100の中間層26の屈折率および/または厚さは、フィルタによって異なる。複数の光学フィルタ100の各々の透過スペクトルは、複数の波数で透過率の極大値を有する。当該複数の波数は、上記の共振構造における次数の異なる複数の共振モードにそれぞれ対応する。本実施形態では、フィルタアレイ100Cにおける全ての光学フィルタ100が上記の共振構造を備える。フィルタアレイ100Cは、上記の共振構造を有しないフィルタを含んでいてもよい。例えば、透明フィルタまたはNDフィルタ(Neutral Density Filter)などの、光透過率の波数依存性を有しないフィルタがフィルタアレイ100Cに含まれていてもよい。本開示において、複数の光学フィルタ100のうちの2つ以上の光学フィルタ100の各々が上記の共振構造を備える。
イメージセンサ60は、複数の光検出素子60aを備える。複数の光検出素子60aの各々は、複数のフィルタの1つに対向して配置されている。複数の光検出素子60aの各々は、特定の波数域の光に感度を有する。この特定の波数域は、前述の対象波数域Wに相当する。なお、本開示において「ある波数域の光に感度を有する」とは、当該波数域の光を検出するのに必要な実質的な感度を有することを指す。例えば、当該波数域における外部量子効率が1%以上であることを指す。光検出素子60aの外部量子効率は10%以上であってもよい。光検出素子60aの外部量子効率は20%以上であってもよい。各光学フィルタ100の光透過率が極大値をとる複数の波数は、いずれも対象波数域Wに含まれる。以下の説明において、光検出素子60aを「画素」と称することがある。
図5に示す例に限らず、フィルタアレイ100Cとイメージセンサ60とが分離していてもよい。その場合であっても、複数の光検出素子60aの各々は、複数のフィルタの1つを透過した光を受ける位置に配置される。複数のフィルタを透過した光が、ミラーを介して複数の光検出素子60aにそれぞれ入射するように、各構成要素が配置されていてもよい。その場合、複数の光検出素子60aの各々は、複数のフィルタの1つの直下には配置されない。
本明細書では、上記の共振構造を備える光学フィルタ100を、「ファブリ・ペローフィルタ」と称する。本明細書では、極大値を有する透過スペクトルの部分を、「ピーク」と称し、透過スペクトルが極大値を有する波数を、「ピーク波数」と称する。
次に、ファブリ・ペローフィルタであるフィルタ100の透過スペクトルを説明する。
フィルタ100において、中間層26の厚さをd、屈折率をn、共振モードのモード次数をmとする。mは1以上の整数である。空気中で波長λの光がフィルタ100に垂直入射すると、当該光の波長は、中間層26内でλ/nになる。中間層26内で定在波が形成される条件は、波長λ/nの半分にモード次数mを掛けた値が中間層26の厚さdに等しいことである。すなわち、mλ/(2n)=dである。フィルタ100の透過スペクトルのピーク波数をk=1/λ、中間層26の光路長をL=nとすると、当該ピーク波数kは、以下の式(3)によって表される。ここで、光路長とは、厚さに屈折率を掛けた値を意味する。
Figure 2021110869
対象波数域Wのうちの最低波数をk、最高波数をkとする。本明細書では、k≦k≦kを満たすmが1つ存在するフィルタ100を、「単一モードフィルタ」と称する。ki≦km≦keを満たすmが2つ以上存在するフィルタ100を、「多モードフィルタ」と称する。以下、対象波数域Wの最大波数が波長400nmに対応し、最小波数が波長700nmに対応する場合の例を説明する。対象波数域Wは、14286cm−1(波長700nm)以上25000cm−1(波長400nm)以下の範囲である。
例えば、光路長L=300nmのフィルタ100では、m=1のときのピーク波数は、k=16667cm−1=600nmであり、m≧2のときのピーク波数は、km≧2≦33333cm−1=300nmである。したがって、このフィルタ100は、対象波数域Wに1つのピーク波数が含まれる単一モードフィルタである。
一方、光路長Lを300nmよりも大きくすると、対象波数域Wに、複数のピーク波数が含まれる。例えば、光路長L=3000nmのフィルタ100では、1≦m≦8のときのピーク波数は、k1≦m≦8≧13333cm−1(波長750nm)であり、9≦m≦15のときのピーク波数は、14286cm−1(波長700nm)≦k9≦m≦15≦25000cm−1(波長400nm)であり、m≧16のときのピーク波数は、km≧16≦26667cm−1(波長375nm)である。したがって、このフィルタ100は、対象波数域Wに7つのピーク波数が含まれる多モードフィルタである。
以上のように、フィルタ100における中間層26の光路長Lを適切に設計することにより、多モードフィルタを実現することができる。中間層26の厚さdおよび/または屈折率nを変化させることにより、光路長Lを適切に設計することができる。
図6は、互いに透過スペクトルが異なる複数の多モードフィルタが、複数の光検出素子60aである複数の画素上にそれぞれ配置された場合における、各画素での透過スペクトルの例を模式的に示す図である。図6には、画素A、画素B、および画素Cでの透過スペクトルが例示されている。複数の多モードフィルタは、画素ごとにピーク波数がわずかに異なるように設計されている。このような設計は、式(3)における光路長Lをわずかに変化させることによって実現することができる。この場合、各画素では、対象波数域Wにおいて複数のピークが現れる。当該複数のピークのそれぞれのモード次数は、各画素において同じである。図6に示されている複数のピークのモード次数は、m、m+1、およびm+2である。本実施形態における光検出装置300は、画素ごとに異なる、複数のピーク波数の光を同時に検出することができる。
次に、第1反射層28aおよび第2反射層28bの各々が、誘電体多層膜から形成される例を説明する。本明細書において、第1反射層28aおよび第2反射層28bを、それぞれ、「第1多層反射層28a」および「第2多層反射層28b」とも称する。
図7Aは、一般的な誘電体多層膜を含むフィルタ100の例を模式的に示す図である。フィルタ100は、基板80上に設けられている。第1反射層28aおよび第2反射層28bの各々は、誘電体多層膜から形成されている。すなわち、第1反射層28aおよび第2反射層28bの各々は、複数の高屈折率を有する誘電体層27Hと、複数の低屈折率を有する誘電体層27Lとが交互に位置する構造を備える。以下では、高屈折率を有する誘電体層27Hを、「高屈折率層27H」と称し、低屈折率を有する誘電体層27Lを、「低屈折率層27L」と称する。複数の高屈折率層27Hの各々は、屈折率nを有し、複数の低屈折率層27Lの各々は、屈折率nよりも低い屈折率nを有する。第1反射層28aでの高屈折率層27Hと、第2反射層28bでの高屈折率層27Hとは、同じ屈折率を有していてもよいし、異なる屈折率を有していてもよい。第1反射層28aでの低屈折率層27Lと、第2反射層28bでの低屈折率層27Lとは、同じ屈折率を有していてもよいし、異なる屈折率を有していてもよい。
誘電体多層膜は、複数のペア層を備える。1つのペア層は、1つの低屈折率層27L、および1つの高屈折率層27Hを含む。図7Aに示す例では、第1反射層28aおよび第2反射層28bの各々は、8層の屈折率層を含む4つのペア層を備える。図7Aに示す例において、高屈折率層27Hの厚さをt=1/(4n)に設定し、低屈折率層27Lの厚さをt=1/(4n)に設定することにより、対象波数域W内の特定の波数kにおいて高い反射率を得ることができる。高屈折率層27Hの厚さtの光路長、および低屈折率層27Lの厚さtの光路長は、1/4kである。特定の波数kは、例えば、対象波数域Wの中心波数(k+k)/2に設定され得る。
図7Bは、図7Aに示すフィルタ100の透過スペクトルを示す図である。この例では、高屈折率層27HはTa層から形成され、低屈折率層27LはSiO層から形成されている。中間層26は、Ta層から形成されている。透過スペクトルの計算には、RSoft社の厳密結合波理論(RCWA:Rigorous Coupled−Wave Analysis)に基づくDiffractMODが用いられた。
図7Bに示すように、対象波数域Wにおいて、複数のピークが現れる。複数のピークの間隔は均一ではない。図7Bに示す例では、対象波数域Wの中央付近でのピークの間隔は一定だが、対象波数域Wの中央よりも低波数側ではピークの間隔は広くなっている。ピークの間隔は、フィルタ100に入射した光が共振する際の光共振器の光路長Lに関係している。対象波数域Wのうち、中央付近の反射率が高い波数域では、少ない層数でも、光が十分に反射される。すなわち、反射率が高い波数域における光は、主に、第1反射層28aおよび中間層26の界面と、第2反射層28bおよび中間層26の界面との間で反射される。このため、フィルタ100における光共振器の実効的な光路長Lが中間層26の光路長とほぼ一致する。これに対して、対象波数域Wのうち、中央から外れた反射率が低い波数域における光は、上記の2つの面の間で十分に反射されない。反射率が低い波数域における光は、主に、第1反射層28aにおける高屈折率層27Hおよび低屈折率層27Lのある界面と、第2反射層28bにおける高屈折率層27Hおよび低屈折率層27Lのある界面との間で反射される。その結果、フィルタ100における光共振器の実効的な光路長Lが中間層26の光路長よりも長くなる。
一般的な誘電体多層膜では、対象波数域Wの中心波数kでの反射率が最も高く、対象波数域Wの中央から離れると、反射率は減少する。言い換えれば、通常の誘電体多層膜での反射率は、対象波数域Wにおいて不均一である。このため、フィルタ100における光共振器の実効的な光路長Lが波数に対して不均一になり、式(3)の関係から、対象波数域Wでの複数のピークの間隔が均一にならない。
対象波数域Wでの複数のピークの間隔が不均一であると、以下の問題が生じ得る。ある波数域Wk(1≦k≦i)において画素60aによって検出される光量は、波数域Wkにおいて透過率を積分した値に相当する。ピークの間隔が不均一であると、光量の多い波数域と少ない波数域とが存在することとなり、画素60aの感度によっては、分離画像220の再構成の演算処理の際に、光量の少ない波数域において波数情報が失われることがある。その結果、分離画像220の空間分解能が低下し得る。逆に、光量の多い波数域においては有効な光量が得られる一方、分離画像220の波数分解能が低下し得る。
本発明者らは、上記の課題を見出し、この課題を解決するためのフィルタ100の構造に想到した。以下、対象波数域Wでの複数のピークの間隔の不均一さを抑制するフィルタ100の例を説明する。
図8Aは、第1反射層28aおよび第2反射層28bの各々が2つの反射部分を含む、フィルタ100の例を模式的に示す図である。図8Aに示す例では、図7Aに示す例とは異なり、第1反射層28aおよび第2反射層28bの各々における複数の高屈折率層27Hの厚さ、および複数の低屈折率層27Lの厚さが均一ではない。第1反射層28aは、第1反射部分28a、および第1反射部分28aに接する第2反射部分28aを含む。第1反射層28aにおける第1反射部分28aは、交互に積層された第1高屈折率層27Hおよび第1低屈折率層27Lを含む。第1高屈折率層27Hの厚さは1/(4k)であり、第1低屈折率層27Lの厚さは1/(4k)である。k=1/λは第1波数であり、λは第1波長である。第1高屈折率層27Hおよび第1低屈折率層27Lの各々の、厚さ方向における光路長はλ/4である。本実施形態において、厚さ方向は、第1反射層28aと中間層26の界面、または第2反射層28bと中間層26の界面に垂直な方向のうち、第2反射層28bから第1反射層28aに向かう方向とする。第1反射層28aにおける第2反射部分28aは、交互に積層された第2高屈折率層27Hおよび第2低屈折率層27Lを含む。第2高屈折率層27Hの厚さは1/(4k)であり、第2低屈折率層27Lの厚さは1/(4k)である。k=1/λは第2波数を表し、λは第2波長を表す。第2波数kは、第1波数kよりも高い(k>k)。言い換えれば、第2波長λは、第1波長λよりも短い(λ<λ)。第2高屈折率層27Hおよび第2低屈折率層27Lの各々の、厚さ方向における光路長はλ/4である。本明細書では、iを自然数として、第i高屈折率層27Hを単に「高屈折率層27H」とも称し、第i低屈折率層27Lを単に「低屈折率層27L」とも称する。
第1反射層28aと同様に、第2反射層28bは、第1反射部分28b、および第1反射部分28bに接する第2反射部分28bを含む。第2反射層28bにおける第1反射部分28bは、第1高屈折率層27Hおよび第1低屈折率層27Lの積層順序が異なる以外は、第1反射層28aにおける第1反射部分28aと同じである。第2反射層28bにおける第2反射部分28bは、第2高屈折率層27Hおよび第2低屈折率層27Lの積層順序が異なる以外は、第1反射層28aにおける第2反射部分28aと同じである。
図8Aに示す例において、第1反射層28aにおける第1反射部分28aでの反射面は、第1高屈折率層27Hと第1低屈折率層27Lとの界面であると定義される。第2反射層28bにおける第1反射部分28bでの反射面についても同様である。これら2つの反射面は、第1波数kの光を反射させる。したがって、第1反射層28aにおける第1反射部分28aと、第2反射層28bにおける第1反射部分28bとは、これらの間に、第1波数kの光を繰り返し反射させる第1光共振器30を構成する。第1光共振器30の光路長Lは、上記の2つの反射面の間の光路長であると定義される。
図8Aに示す例において、第1反射層28aにおける第2反射部分28aでの反射面は、第2高屈折率層27Hと第2低屈折率層27Lとの界面であると定義される。第2反射層28bにおける第2反射部分28bでの反射面についても同様である。これら2つの反射面は、第2波数kの光を反射させる。したがって、第1反射層28aにおける第2反射部分28aと、第2反射層28bにおける第2反射部分28bとは、これらの間に、第2波数kの光を繰り返し反射させる第2光共振器30を構成する。第2光共振器30の光路長Lは、上記の2つの反射面の間の光路長であると定義される。
図8Aに示す例において、n=2.0、n=1.5、k=16667cm−1(λ=600nm)、k=20000cm−1(λ=500nm)、d=1000nm、n=2.0とする。第1反射層28aおよび第2反射層28bの各々における複数の高屈折率層27Hは、厚さ方向に沿って、厚さが漸増する部分を有し、厚さが漸減する部分を有しない。第1反射層28aおよび第2反射層28bの各々における複数の低屈折率層27Lの厚さについても同様である。ただし、厚さ方向を、前述した方向と反対の方向にすれば、漸減および漸増の関係が逆になる。
第1光共振器30の光路長L、および第2光共振器30の光路長Lは、それぞれ、以下の式(4)および式(5)よって表される。
Figure 2021110869
Figure 2021110869
第1光共振器30の光路長Lおよび第2光共振器30の光路長Lが等しいので、フィルタ100における光共振器の実効的な光路長の、波数に対する不均一さを抑制できるという効果が得られる。当該効果を得るための条件は、次のように一般化することができる。すなわち、当該条件は、第1光共振器30の光路長Lと、第2光共振器30の光路長Lとの差の絶対値が、第1高屈折率層の光路長、第1低屈折率層の光路長、第2高屈折率層の光路長、および第2低屈折率層の光路長の合計よりも小さいことである。これらの光路長の合計は、第1波長λと第2波長λの平均値、すなわち(λ+λ)/2に等しい。したがって、当該条件は、|L−L|<(λ+λ)/2と記載することができる。|L−L|=(λ+λ)/2の条件は、以下の図に示す構成を表す。
図8Bおよび図8Cは、第1反射層28aおよび第2反射層28bの各々が2つの反射部分を含む、フィルタ100の他の例を模式的に示す図である。図8Bに示す例では、第1反射層28aにおける第1反射部分28aおよび第2反射部分28aが入れ替わっている一方、第2反射層28bにおける第1反射部分28bおよび第2反射部分28bは入れ替わっていない。図8Cに示す例では、第2反射層28bにおける第1反射部分28bおよび第2反射部分28bが入れ替わっている一方、第1反射層28aにおける第1反射部分28aおよび第2反射部分28aは入れ替わっていない。すなわち、|L−L|<(λ+λ)/2の条件は、光路長Lと光路長Lとの差が、上記のような反射部分の入れ替わりに相当する値よりも小さいことを表している。|L−L|<(λ+λ)/2の条件は、第1反射層28aにおける第1反射部分28aおよび第2反射部分28aの積層方向における配置の順序と、第2反射層28bにおける第1反射部分28bおよび第2反射部分28bの当該積層方向における配置の順序とが同じである構成によって満たされる。
次に、図8Aから図8Cに示すフィルタ100における第1波数kおよび第2波数k以外の波数k’の光の反射面および光共振器の光路長を定義する。
まず複数の高屈折率層および複数の低屈折率層が交互に積層された誘電体多層膜における、光が反射される波数域、いわゆるストップバンドを説明する。i=1、2として、各高屈折率層の光路長が1/(4k)であり、各低屈折率層の光路長が1/(4k)である場合、ストップバンドの大きさΔkは、一般に以下の式(6)によって表される。
Figure 2021110869
ストップバンドの範囲を波数kによって表すと、k−(Δk/2)<k<k+(Δk/2)である。式(6)は、積層数が少ない誘電体多層膜に対してもある程度有効である。本実施形態では、k−(Δk/2)<k−(Δk/2)<k+(Δk/2)<k+(Δk/2)が満たされている。すなわち、k−(Δk/2)<k<k+(Δk/2)の第1ストップバンドの範囲と、k−(Δk/2)<k<k+(Δk/2)の第2ストップバンドの範囲とが、一部において重なっている。
このとき、図8Aから図8Cに示すフィルタ100における波数k’の光の反射面および共振器の光路長は、以下の4つのケースに分類される。
ケース1:波数k’が第1ストップバンドおよび第2ストップバンドのどちらの範囲にも存在しない場合、フィルタ100において波数k’の光を反射する面は存在せず、波数k’の光はフィルタ100内に閉じ込められない。
ケース2:波数k’が第1ストップバンドの範囲内に存在し、第2ストップバンドの範囲内に存在しない場合、波数k’の光は、各層の厚さ方向における光路長が1/(4k)である第1高屈折率層27Hおよび第1低屈折率層27Lの界面によって反射される。図8Aから図8Cに示す例では、波数k’の光は、第1反射層28aにおける第1反射部分28a内での第1高屈折率層27Hおよび第1低屈折率層27Lの界面と、第2反射層28bにおける第1反射部分28b内での第1高屈折率層27Hおよび第1低屈折率層27Lの界面とによって反射される。このとき、波数k’の光に対する光共振器の光路長は、上記の2つの界面の間の光路長として定義される。
ケース3:波数k’が第1ストップバンドの範囲内に存在せず、第2ストップバンドの範囲内に存在する場合、波数k’の光は、各層の厚さ方向における光路長が1/(4k)である第2高屈折率層27Hおよび第2低屈折率層27Lの界面によって反射される。図8Aから図8Cに示す例では、波数k’の光は、第1反射層28aにおける第2反射部分28a内での第2高屈折率層27Hおよび第2低屈折率層27Lの界面と、第2反射層28bにおける第2反射部分28b内での第2高屈折率層27Hおよび第2低屈折率層27Lの界面とによって反射される。このとき、波数k’の光に対する光共振器の光路長は、上記の2つの界面の間の光路長として定義される。
ケース4:波数k’が第1ストップバンドおよび第2ストップバンドの重なる範囲に存在する場合、波数k’が第2波数kよりも第1波数kに近ければ、波数k’の光に対する光共振器の光路長は、ケース2と同様に定義される。波数k’が第1波数kよりも第2波数kに近ければ、波数k’の光に対する光共振器の光路長は、ケース3と同様に定義される。
上記のように、フィルタ100における波数k’の光に対して反射面および共振器の光路長を定義することができる。
図9は、第1反射層28aおよび第2反射層28bの各々が3つの反射部分を含む、フィルタ100の例を模式的に示す図である。図9に示す例において、フィルタ100は、図8Aに示す例と比較して、第1反射層28aにおける第3反射部分28a3、および第2反射層28bにおける第3反射部分28bをさらに備える。第1反射層28aにおける第3反射部分28aは、第1反射層28aにおける第2反射部分28aに接しており、交互に積層された第3高屈折率層27Hおよび第3低屈折率層27Lを含む。第3高屈折率層27Hの厚さは1/(4k)であり、第3低屈折率層27Lの厚さは1/(4k)である。k=1/λは第3波数であり、λは第3波長である。第3波数は、第1波数より高く、第2波数よりも低い(k<k<k)。言い換えれば、第3波長λは、第2波長λよりも長く、第1波長λよりも短い(λ<λ<λ)。第3高屈折率層27Hおよび第3低屈折率層27Lの各々の、厚さ方向における光路長はλ/4である。同様に、第2反射層28bは、第3反射部分28bを含む。第2反射層28bにおける第3反射部分28bは、第3高屈折率層27Hおよび第3低屈折率層27Lの積層順序が異なる以外は、第1反射層28aにおける第3反射部分28aと同じである。
図9に示す例において、第1反射層28aにおける第3反射部分28aでの反射面は、第3高屈折率層27Hと第3低屈折率層27Lとの界面であると定義される。第2反射層28bにおける第3反射部分28bでの反射面についても同様である。これら2つの反射面は、第3波数kの光を反射させる。したがって、第1反射層28aにおける第3反射部分28aと、第2反射層28bにおける第3反射部分28bとの間に、第3波数kの光を内部で繰り返し反射させる第3光共振器30が形成される。第3光共振器30の光路長Lは、上記の2つの反射面の間の光路長であると定義される。
図9に示す例においてk=18182cm−1(λ=550nm)とする。第1反射層28aおよび第2反射層28bの各々における複数の高屈折率層27Hは、厚さ方向に沿って、厚さが漸増する第1部分と、厚さが漸減する第2部分とを有する。第1部分は、厚さ方向において、第2高屈折率層27Hと第1高屈折率層27Hをこの順に含む。第2部分は、厚さ方向において、第1高屈折率層27Hと第3高屈折率層27Hをこの順に含む。第1反射層28aおよび第2反射層28bの各々における複数の低屈折率層27Lは、厚さ方向に沿って、厚さが漸増する第3部分と、厚さが漸減する第4部分とを有する。第3部分は、厚さ方向において、第2低屈折率層27Lと第1低屈折率層27Lをこの順に含む。第4部分は、厚さ方向において、第1低屈折率層27Lと第1低屈折率層27Lをこの順に含む。
なお、第1反射層28aにおける第2反射部分28a、第3反射部分28a、および第1反射部分28aを、厚さ方向に沿ってこの順に並べ、かつ、第2反射層28bにおける第2反射部分28b、第3反射部分28b、および第1反射部分28bを、厚さ方向に沿ってこの順に並べてもよい。この場合、第1反射層28aおよび第2反射層28bの各々における複数の高屈折率層27Hは、厚さ方向に沿って、厚さが漸増する部分を有し、厚さが漸減する部分を有しない。第1反射層28aおよび第2反射層28bの各々における複数の低屈折率層27Lの厚さについても同様である。
第1光共振器30の光路長L、第2光共振器30の光路長L、および第3光共振器30の光路長Lは、式(4)および式(5)と同様の計算により、以下の式(7)によって表される。
Figure 2021110869
第1光共振器30の光路長L、第2光共振器30の光路長L、および第3光共振器30の光路長Lがすべて等しいので、フィルタ100における光共振器の実効的な光路長の、波数に対する不均一さを抑制できるという効果が得られる。
当該効果を得るための条件は、次のように一般化することができる。すなわち、当該条件は、第3光共振器30の光路長Lと、第1光共振器30の光路長Lとの差の絶対値が(λ+λ)/2よりも小さく、かつ、第3光共振器30の光路長Lと、第2光共振器30の光路長Lとの差の絶対値が(λ+λ)/2よりも小さく、かつ、第1光共振器30の光路長Lと、第2光共振器30の光路長Lとの差の絶対値が(λ+λ)/2よりも小さいことである。当該条件は、|L−Lj|<(λ+λ)/2(i≠jおよびi、j=1、2、3)と記載することができる。当該条件は、第1光共振器30の光路長Lから第3光共振器30の光路長Lのうちの任意の2つの光路長の差の絶対値が、第1波長λから第3波長λのうちの最も短い波長と2番目に短い波長の平均値よりも小さいことであると言うこともできる。
|L−L|<(λ+λ)/2の条件は、第1反射層28aにおける第1反射部分28aから第3反射部分28aの積層方向における配置の順序と、第2反射層28bにおける第1反射部分28bから第3反射部分28bの当該積層方向における配置の順序とが同じである構成によって満たされる。
図10Aは、第1反射層28aおよび第2反射層28bの各々が2つの反射部分を含む、フィルタ100の他の例を模式的に示す図である。図10Aに示す例において、図8Aに示す例とは異なり、第1反射層28aにおける第1反射部分28は、交互に積層された、2つの第1高屈折率層27Hおよび2つの第1低屈折率層27Lを含む。2つの第1高屈折率層27Hは、第1高屈折率層27H11および第1高屈折率層27H12から構成され、2つの第1低屈折率層27Lは、第1低屈折率層27L11および第1低屈折率層27L12から構成されている。第1反射層28aにおける第2反射部分28aは、交互に積層された、2つの第2高屈折率層27Hおよび2つの第2低屈折率層27Lを含む。2つの第2高屈折率層27Hは、第2高屈折率層27H21および第2高屈折率層27H22から構成され、2つの第2低屈折率層27Lは、第2低屈折率層27L21および第2低屈折率層27L22から構成されている。第2反射層28bにおける第1反射部分28bは、第1高屈折率層27Hおよび第1低屈折率層27Lの積層順序が異なる以外は、第1反射層28aにおける第1反射部分28aと同じである。第2反射層28bにおける第2反射部分28bは、第2高屈折率層27Hおよび第2低屈折率層27Lの積層順序が異なる以外は、第1反射層28aにおける第2反射部分28aと同じである。
本実施形態において、反射部分が、交互に積層された複数の高屈折率層および複数の低屈折率層を含む場合、反射部分での反射面は、中間層26の最も近くに位置する高屈折率層と低屈折率層との界面であると定義される。
図10Aに示す例において、第1反射層28aにおける第1反射部分28aでの反射面は、第1高屈折率層27H12と第1低屈折率層27L12との界面である。第2反射層28bにおける第1反射部分28bでの反射面は、第1高屈折率層27H11と第1低屈折率層27L11との界面である。これら2つの反射面は、第1波数kの光を反射させる。したがって、第1反射層28aにおける第1反射部分28aと、第2反射層28bにおける第1反射部分28bとの間に、第1波数kの光を内部で繰り返し反射させる第1光共振器30が形成される。
図10Aに示す例において、第1反射層28aにおける第2反射部分28aでの反射面は、第2高屈折率層27H22と第1低屈折率層27L22との界面である。第2反射層28bにおける第2反射部分28bでの反射面は、第2高屈折率層27H21と第1低屈折率層27L21との界面である。これら2つの反射面は、第2波数kの光を反射させる。したがって、第1反射層28aにおける第2反射部分28aと、第2反射層28bにおける第2反射部分28bとの間に、第2波数kの光を内部で繰り返し反射させる第2光共振器30が形成される。
図10Aに示す例において、k=15384cm−1(λ=650nm)、k=22222cm−1(λ=450nm)とし、それ以外のパラメータは前述した通りであるとする。このとき、第1光共振器30の光路長L、および第2光共振器30の光路長Lは、以下の式(8)および式(9)よって表される。
Figure 2021110869
Figure 2021110869
第1光共振器30の光路長Lおよび第2光共振器30の光路長Lは等しくない。しかし、第1光共振器30の光路長Lと、第2光共振器30の光路長Lとの差の絶対値は、(λ−λ)/2=100nmであり、前述した|L−L|<(λ+λ)/2=550nmの条件を満たす。したがって、フィルタ100における光共振器の実効的な光路長の、波数に対する不均一さを抑制できるという効果が得られる。
図10Bは、図10Aのフィルタ100の透過スペクトルを示す図である。図10Bに示す例では、フィルタ100における光共振器の実効的な光路長の、波数に対する不均一さが抑制され、複数のピークの間隔がほぼ均一になっていることがわかる。
フィルタ100における第1反射層28aおよび第2反射層28bの各々が2つの反射部分を含む場合、第1反射層28aにおける第1反射部分28a1、および第2反射層における第1反射部分28bの各々は、交互に積層されたN層(Nは1以上の整数)の第1高屈折率層およびN層の第1低屈折率層を含み得る。第1反射層28aにおける第2反射部分28a2、および第2反射層における第2反射部分28bの各々は、交互に積層されたM層(Mは1以上の整数)の第2高屈折率層およびM層の第2低屈折率層を含み得る。同様にして、フィルタ100における第1反射層28aおよび第2反射層28bの各々が3つの反射部分を含む場合、第1反射層28aにおける第3反射部分28a3、および第2反射層における第3反射部分28bの各々は、交互に積層されたL層(Lは1以上の整数)の第3高屈折率層およびL層の第3低屈折率層を含み得る。N、M、およびLはすべて等しい必要はなく、少なくとも1つが異なっていてもよいし、すべて異なっていてもよい。第1反射層28aおよび第2反射層28bの各々が4以上の反射部分を含んでいても同様である。
図11Aは、第1反射層28aおよび第2反射層28bの各々が5つの反射部分を含む、フィルタ100の例を模式的に示す図である。図11Aに示す例において、第1反射層28aは、厚さ方向に沿って、第1反射部分28aから第5反射部分28aをこの順に含む。i=1から5とすると、第1反射層28aにおける第i反射部分aは、交互に積層された第i高屈折率層27Hおよび第i低屈折率層27Lを含む。第i高屈折率層27Hの厚さは1/(4k)であり、第i低屈折率層27Lの厚さは1/(4k)である。k=1/λは第i波数であり、λは第i波長である。第i高屈折率層27Hおよび第i低屈折率層27Lの各々の、厚さ方向における光路長はλ/4である。
同様に、第2反射層28bは、厚さ方向に沿って、第1反射部分28bから第5反射部分28bをこの順に含む。第2反射層28bにおける第i反射部分28bは、第i高屈折率層27Hおよび第i低屈折率層27Lの積層順序が異なる以外は、第1反射層28aにおける第i反射部分28aと同じである。
図11Aに示す例において、第1反射層28aにおける第i反射部分28aでの反射面は、第i高屈折率層27Hと第i低屈折率層27Lとの界面であると定義される。第2反射層28bにおける第i反射部分28bでの反射面についても同様である。これら2つの反射面は、第i波数kの光を反射させる。したがって、第1反射層28aにおける第i反射部分28aと、第2反射層28bにおける第i反射部分28bとの間に、第i波数kの光を内部で繰り返し反射させる第i光共振器30が形成される。第i光共振器30の光路長Lは、上記の2つの反射面の間の光路長であると定義される。
図11Aに示す例において、k=26667cm−1(λ=375nm)、k=21053cm−1(λ=475nm)、k=23529cm−1(λ=425nm)、k=13793cm−1(λ=725nm)、k=16000cm−1(λ=625nm)とし、それ以外のパラメータは前述した通りであるとする。第1反射層28aおよび第2反射層28bの各々における複数の高屈折率層27Hでは、厚さ方向に沿って、厚さが漸増する部分と、厚さが漸減する部分とが混在している。第1反射層28aおよび第2反射層28bの各々における複数の低屈折率層27Lの厚さについても同様である。
なお、第1反射層28aにおける第1反射部分28a、第3反射部分28a、第2反射部分28a、第5反射部分28a、および第4反射部分28aを、厚さ方向に沿ってこの順に並べ、かつ、第2反射層28bにおける第1反射部分28b、第3反射部分28b、第2反射部分28b、第5反射部分28b、および第4反射部分28bを、厚さ方向に沿ってこの順に並べてもよい。この場合、第1反射層28aおよび第2反射層28bの各々における複数の高屈折率層27Hは、厚さ方向に沿って、厚さが漸増する部分を有し、厚さが漸減する部分を有しない。第1反射層28aおよび第2反射層28bの各々における複数の低屈折率層27Lの厚さについても同様である。
第1光共振器30の光路長Lから第5光共振器30の光路長Lは、以下の式(10)によって表される。
Figure 2021110869
したがって、第1光共振器30の光路長Lから第5光共振器30の光路長Lがすべて等しいので、フィルタ100における光共振器の実効的な光路長の、波数に対する不均一を抑制できるという効果が得られる。当該効果を得るための条件は、次のように一般化することができる。すなわち、当該条件は、第1光共振器30の光路長Lから第5光共振器30の光路長Lのうちの任意の2つの光路長の差の絶対値が、第1波長λから第5波長λのうちの最も短い波長と2番目に短い波長の平均値よりも小さいことである。
図11Bは、図11Aのフィルタ100の透過スペクトルを示す図である。図11Bに示す例では、フィルタ100における光共振器の実効的な光路長の不均一さが抑制され、複数のピークの間隔がほぼ均一になっていることがわかる。
図11Cは、図7Bの透過スペクトルから得られる複数のピークの間隔と、図11Bの透過スペクトルから得られる複数のピークの間隔とを抽出してプロットした図である。ピークの間隔は、FSR(Free Spectral Range)とも表される。白丸は、図7Bの透過スペクトルから得られる複数のFSRを表す。黒丸は、図11Bの透過スペクトルから得られる複数のFSRを表す。白丸によって表されるFSRは、600cm−1以上1200cm−1以下の範囲に存在する。これに対して、黒丸によって表されるFSRは、700cm−1以上1000cm−1以下の範囲に存在する。図11Aに示すフィルタ100では、FSRが存在する範囲がより狭くなっている。このように、図11Aに示すフィルタ100によってピークの間隔の均一性が向上したことが明らかになった。
以上のように、第1反射層28aおよび第2反射層28bの各々における複数の高屈折率層27Hの厚さおよび複数の低屈折率層27Lの厚さを、フィルタ100において形成される複数の光共振器の光路長がほぼ均一になるように変調することにより、対象波数域Wにおける複数のピークの間隔の均一性を向上させることができる。これにより、ハイパースペクトルカメラの空間分解能および波数分解能を向上させることができる。
本実施形態におけるフィルタ100は、透過スペクトルが14286cm−1(波長700nm)以上25000cm−1(波長400nm)以下の波数域において2以上の極大ピークを示すように設計されているが、用途によっては、透過スペクトルが4000cm−1(波長2500nm)以上14286cm−1(波長700nm)以下の波数域において2以上の極大ピークを示すように設計されていてもよい。
次に、図5に示す光検出装置300の変形例を説明する。
図12Aから図12Fは、図5に示す光検出装置300の変形例を模式的に示す図である。
図12Aに示すように、フィルタアレイ100Cにおいて、複数のフィルタ100が分割されていてもよい。すべてのフィルタ100が分割される必要はない。一部のフィルタ100が分割されていてもよい。
図12Bに示すように、一部の画素60a上にフィルタ100を配置しなくてもよい。言い換えれば、フィルタアレイ100Cにおいて、複数のフィルタ100の少なくとも1つは、透明である。
図12Cに示すように、フィルタアレイ100Cとイメージセンサ60との間にスペースを設けてもよい。言い換えれば、フィルタアレイ100Cとイメージセンサ60とは分離している。
図12Dに示すように、1つのフィルタ100を複数の画素60a上に跨いで配置してもよい。言い換えれば、中間層26は、2つ以上のフィルタ100に跨り連続的に設けられている。第1反射層28aおよび/または第2反射層28bは、2つ以上のフィルタ100に跨り連続的に設けられている。
図12Eおよび図12Fに示すように、透明層27を配置して、フィルタアレイ100Cの段差を平坦化してもよい。言い換えれば、フィルタアレイ100Cは、上記の共振構造を備える2つ以上のフィルタ100の段差を平坦化する透明層27をさらに備える。図12Eに示す例では、フィルタアレイ100Cの第2反射層28b側に、段差が存在する。図12Fに示す例では、フィルタアレイ100Cの第1反射層28a側に、段差が存在する。透明層27によって2つ以上のフィルタ100の段差を平坦化することにより、透明層27上に他の部材を配置しやすくなる。
図12Eおよび図12Fに示すように、フィルタアレイ100C上に複数のマイクロレンズ40aを配置してもよい。複数のマイクロレンズ40aの各々は、複数のフィルタ100の1つのフィルタ上に配置されている。言い換えれば、フィルタアレイ100Cは、2つ以上のマイクロレンズ40aをさらに備える。2つ以上のマイクロレンズ40aの各々は、上記の共振構造を備える2つ以上のフィルタ100の1つのフィルタ上に配置されている。2つ以上のマイクロレンズ40aによって入射光を集光することにより、効率よく光を検出することができる。
本開示における光検出装置、およびフィルタアレイは、例えば、多波数の2次元画像を取得するカメラおよび測定機器に有用である。本開示における光検出装置、およびフィルタアレイは、生体・医療・美容向けセンシング、食品の異物・残留農薬検査システム、リモートセンシングシステムおよび車載センシングシステム等にも応用できる。
10 :基板
20 :光導波層
26 :中間層
27H :高屈折率層
27L :低屈折率層
28a :第1反射層
28b :第2反射層
30、30、30、30、30 光共振器
40 :光学系
40a :マイクロレンズ
60 :光検出素子
70 :対象物
80 :基板
100 :フィルタ
100C :フィルタアレイ
120 :画像
200 :信号処理回路
220 :画像
300 :光検出装置

Claims (7)

  1. 第1多層反射層および第2多層反射層と、
    前記第1多層反射層と前記第2多層反射層との間の中間層と、
    を備え、
    前記第1多層反射層および前記第2多層反射層の各々は、第1光共振器を構成する第1反射部分、および第2光共振器を構成する第2反射部分を含み、
    前記第1反射部分は、第1高屈折率層、および前記第1高屈折率層よりも屈折率の小さい第1低屈折率層を含み、
    前記第2反射部分は、第2高屈折率層、および前記第2高屈折率層よりも屈折率の小さい第2低屈折率層を含み、
    前記第2高屈折率層の厚さ方向における光路長は、前記第1高屈折率層の前記厚さ方向における光路長よりも小さく、
    前記第2低屈折率層の前記厚さ方向における光路長は、前記第1低屈折率層の前記厚さ方向における光路長よりも小さく、
    前記厚さ方向における前記第1光共振器の光路長と、前記厚さ方向における前記第2光共振器の光路長との差の絶対値は、前記第1高屈折率層、前記第1低屈折率層、前記第2高屈折率層、および前記第2低屈折率層の前記厚さ方向における光路長の和よりも小さい、
    光学フィルタ。
  2. 前記第1多層反射層および前記第2多層反射層の各々は、第3光共振器を構成する第3反射部分をさらに含み、
    前記第3反射部分は、第3高屈折率層、および前記第3高屈折率層よりも屈折率の小さい第3低屈折率層を含み、
    前記第3高屈折率層の前記厚さ方向における光路長は、前記第1高屈折率層の前記厚さ方向における光路長よりも大きく、
    前記第3低屈折率層の前記厚さ方向における光路長は、前記第1低屈折率層の前記厚さ方向における光路長よりも大きく、
    前記厚さ方向における前記第3光共振器の光路長と、前記厚さ方向における前記第1光共振器の光路長との差の絶対値は、前記第1高屈折率層、前記第1低屈折率層、前記第2高屈折率層、および前記第2低屈折率層の前記厚さ方向における光路長の和よりも小さく、
    前記厚さ方向における前記第3光共振器の光路長と、前記厚さ方向における前記第2光共振器の光路長との差の絶対値は、前記第1高屈折率層、前記第1低屈折率層、前記第2高屈折率層、および前記第2低屈折率層の前記厚さ方向における光路長の和よりも小さい、
    請求項1に記載の光学フィルタ。
  3. 前記第1多層反射層および前記第2多層反射層の各々は、交互に積層された複数の高屈折率層および複数の低屈折率層を備え、前記複数の低屈折率層の屈折率は、前記複数の高屈折率層の屈折率よりも小さく、
    前記第1多層反射層および前記第2多層反射層の各々における前記複数の高屈折率層は、前記第1高屈折率層、前記第2高屈折率層、および前記第3高屈折率層を含み、
    前記第1多層反射層および前記第2多層反射層の各々における前記複数の低屈折率層は、前記第1低屈折率層、前記第2低屈折率層、および前記第3低屈折率層を含み、
    前記第1多層反射層および前記第2多層反射層の各々における前記複数の高屈折率層は、前記厚さ方向に沿って厚さが漸増する部分を有し、
    前記第1多層反射層および前記第2多層反射層の各々における前記複数の低屈折率層は、前記厚さ方向に沿って厚さが漸増する部分を有する、
    請求項2に記載の光学フィルタ。
  4. 前記第1多層反射層および前記第2多層反射層の各々は、交互に積層された複数の高屈折率層および複数の低屈折率層を備え、前記複数の低屈折率層の屈折率は、前記複数の高屈折率層の屈折率よりも小さく、
    前記第1多層反射層および前記第2多層反射層の各々における前記複数の高屈折率層は、前記第1高屈折率層、前記第2高屈折率層、および前記第3高屈折率層を含み、
    前記第1多層反射層および前記第2多層反射層の各々における前記複数の低屈折率層は、前記第1低屈折率層、前記第2低屈折率層、および前記第3低屈折率層を含み、
    前記第1多層反射層および前記第2多層反射層の各々における前記複数の高屈折率層は、前記厚さ方向に沿って厚さが漸増する第1部分と厚さが漸減する第2部分とを有し、
    前記第1多層反射層および前記第2多層反射層の各々における前記複数の低屈折率層は、前記厚さ方向に沿って厚さが漸増する第3部分と厚さが漸減する第4部分とを有する、
    請求項2に記載の光学フィルタ。
  5. 前記光学フィルタの透過スペクトルは、14286cm−1(波長700nm)以上25000cm−1(波長400nm)以下の波数域において2以上の極大ピークを示す、
    請求項1から4のいずれかに記載の光学フィルタ。
  6. 前記光学フィルタの透過スペクトルは、4000cm−1(波長2500nm)以上14286cm−1(波長700nm)以下の波数域において2以上の極大ピークを示す、
    請求項1から5のいずれかに記載の光学フィルタ。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の光学フィルタと、
    前記光学フィルタを透過した光を受ける位置に配置された光検出素子と、
    を備え、
    前記光学フィルタの透過スペクトルは、ある波数域において2以上の極大ピークを示し、
    前記光検出素子は、前記波数域に感度を有する、
    光検出装置。
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