JP2021110779A - 回折光学素子、照明装置、および回折光学素子の製造方法 - Google Patents

回折光学素子、照明装置、および回折光学素子の製造方法 Download PDF

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愛実 奥野
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愛実 奥野
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文宣 三神
英範 吉岡
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英範 吉岡
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【課題】 耐熱性を有しつつ透過率も高い回折光学素子、この回折光学素子を用いた照明装置、および、この回折光学素子の製造方法を提供する。【解決手段】 光源からの光を整形する回折光学素子であって、第1面と、第1面とは反対側の第2面と、を有する透明基材と、透明基材の第1面の側に設けられ、透明基材を構成する材料とは異なる材料から構成され、凹凸構造を有する回折格子部と、を備えており、透明基材は熱可塑性樹脂から構成されており、透明基材を構成する熱可塑性樹脂の260℃における貯蔵弾性率が、6.2×107Pa以上4.0×108Pa以下であり、透明基材の前記第1面が前記第2面よりも粗面である、回折光学素子。【選択図】 図2

Description

本発明は、耐熱性を有しつつ透過率も高い回折光学素子、この回折光学素子を用いた照明装置、および、この回折光学素子の製造方法に関する。
ネットワークの普及によるセキュリティリスク回避のための個人認証へのニーズや、自動車の自動運転化の流れ、あるいは、いわゆる「モノのインターネット」の普及など、近年、センサーシステムを必要とする局面が増大している。センサーには色々な種類があり、検出する情報も様々であるが、その中の一つの手段として、光源から対象物に対して光を照射し、反射してきた光から情報を得るというものがある。例えば、パターン認証センサーや赤外線レーダーなどはその一例である。
これらのセンサーの光源は用途に応じた波長分布や明るさ、広がりをもったものが使用される。光の波長としては、可視光波長から赤外線波長がよく用いられ、特に赤外線は外光の影響を受けにくく、不可視であり、対象物の表面近傍内部を観察することも可能という特徴があるため、広く用いられている。また、光源の種類としては、LED光源やレーザー光源等が多く用いられる。例えば、遠いところを検知するには光の広がりが少ないレーザー光源が好適に用いられ、比較的近いところを検知する場合や、ある程度の広がりを持った領域を照射するにはLED光源が好適に用いられる。
対象物における照射領域の大きさや形状は、必ずしも光源からの光の広がり(プロファイル)と一致しているとは限らず、その場合には拡散板やレンズ、遮蔽板などにより光を整形する必要がある。最近ではLight Shaping Diffuser(LSD)という、光の形状をある程度整形できる拡散板が開発されている。
また、光を整形する別の手段として、回折光学素子(Diffractive Optical Element:DOE)が挙げられる。これは異なる屈折率を持った材料が周期性を持って配列している場所を光が通過する際の回折現象を応用したものである。DOEは基本的に単一波長の光に対して設計されるものであるが、理論的にはほぼ任意の形状に光を整形することが可能である。また、前述のLSDにおいては照射領域内の光強度がガウシアン分布となるのに対し、DOEでは照射領域内の光分布の均一性を制御することが可能である。DOEのこのような特性は、不要な領域への照射を抑えることによる高効率化や、光源数の削減等による装置の小型化などの点で有利となる。
DOEは、レーザーの様な平行光源や、LEDの様な拡散光源のいずれにも対応可能であり、紫外光から可視光、赤外線までの広い範囲の波長に対して適用可能である。
DOEは、ナノオーダーでの微細加工が必要となり、特に長波長の光を回折するためには、高アスペクト比の微細形状を形成する必要があった。そのため、DOEの製造は、従来、電子線を用いた電子線リソグラフィ技術が用いられている。例えば、紫外線〜近赤外線領域で透明である石英板に、ハードマスクやレジストを成膜後、電子線を用いてレジストに所定の形状を描画し、レジスト現像、ハードマスクのドライエッチング、石英のドライエッチングを順次行って、石英板表面にパターンを形成した後、ハードマスクを除去することで所望のDOEを得ることができる。
回折光学素子の形態として、グレーティングセルアレイ(Grating Cell Array)と呼ばれる形態も従来用いられている。グレーティングセルアレイ型の回折光学素子では、例えば正方形の微細な単位領域(セル)がマトリックス状に配列されている。そして、グレーティングセルアレイ型の回折光学素子の1つの単位領域内では、一定ピッチで面内の回転方向が一定の方向を向いた回折格子が配置されている。また、グレーティングセルアレイ型の回折光学素子では、それぞれの単位領域毎に、配置されている回折格子のピッチ及び回転方向が異なっており、それらの集合体として1つの回折光学素子を構成している。
一般的に、このグレーティングセルアレイを主とする回折光学素子は、ガラスをパターニングすることで製造される。ガラスのパターニングは、一般的にはレーザー、乃至は電子線などの直接描画方式が挙げられる。この直接描画方式は一点一点描画するため、数μm以下の細かいパターンを持つ回折光学素子の作製には、時間がかかるため、量産には不向きであり、一般的には普及していない。
回折光学素子を作製する手法として、直接描画方式の代替であるナノインプリント法が挙げられる(特許文献1参照)。
ナノインプリント法はマスター版のパターンを、レプリカ版に接触転写させる手法であり、高速でマスター版と同型の製品を作製可能である。ただし、転写される側はガラスではなく、樹脂材料となる。つまり製品となるレプリカ版は、ガラスでパターニングされたものではなく、樹脂でパターニングされたものとなる。一般的に、微細構造パターンの形成に用いられる樹脂材料としては、アクリル系のUV硬化樹脂が知られている(特許文献2−4参照)。
また、このように、アクリル系のUV硬化樹脂でDOEの微細形状を形成する場合は、アクリル系のUV硬化樹脂とは異なる材料から構成される透明基材の上に、このアクリル系のUV硬化樹脂のDOEの微細形状を形成するのが、一般的である。
透明基材の材料としては、例えば、ガラス(特許文献5参照)やポリカーボネート(特許文献6参照)が知られている。
国際公開第2017/119400号 特開2014−98864号公報 特開2004−4515号公報 特開2019−12266号公報 特開2019−124794号公報 特開2018−189939号公報
回折光学素子を用いて照明装置を製造する場合には、回折光学素子を含む仮組み立て体をリフロー炉に入れ、高温条件下で加熱する工程(リフロー工程)が実施されることがある。このリフロー工程により、例えばハンダ等により、光源やそれを囲む枠体を実装基板に電気的に接続することができ、照明装置を効率よく製造することができる。
しかしながら、リフロー工程においては、照明装置を構成する材料に対し瞬間的に200℃以上の高い温度(典型的には260℃)が付与されるため、当該材料が破損したり、溶解したりするおそれがある。
ここで、上記のように、透明基材の上にDOEの微細形状が形成された構成を有する回折光学素子において、透明基材の材料がガラスの場合は、回折光学素子を光学モジュールに組み込む工程におけるハンドリングでの応力や、実際に回折光学素子を組み込んだ製品での落下等の衝撃により割れやすく、必要な光学特性を失いやすいという問題がある。
一方、透明基材の材料が従来の樹脂材料の場合は、割れのリスクに対しては強いが、リフロー工程で変形、若しくは溶融してしまうという問題がある。例えば、リフロー工程の温度(典型的には260℃)は、一般的なポリカーボネート樹脂のガラス転移温度(145℃〜150℃)よりも高い。
また、透明基材の樹脂が薄膜の場合、通常、その製品はロール状に巻き取られた状態で輸送されるが、この巻き取りや、その後の巻き出しに際して、薄膜の樹脂が互いに密着してしまう弊害を防止するために、樹脂の表裏面のどちらか一方の面は、他方の面よりも粗面になっている。
それゆえ、回折光学素子の透明基板が、この粗面側が露出した形態では、この粗面側の面で光が反射、散乱して回折光学素子の透過率が低下してしまうという問題がある。
本発明は、上記のような課題に鑑みて成し遂げられたものであり、割れ難く、かつ、耐熱性を有しつつ透過率も高い回折光学素子、この回折光学素子を用いた照明装置、および、この回折光学素子の製造方法を提供することを目的とする。
第1の発明は、光源からの光を整形する回折光学素子であって、第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有する透明基材と、前記透明基材の前記第1面の側に設けられ、前記透明基材を構成する材料とは異なる材料から構成され、凹凸構造を有する回折格子部と、を備えており、前記透明基材は熱可塑性樹脂から構成されており、前記透明基材を構成する前記熱可塑性樹脂の260℃における貯蔵弾性率が、6.2×107Pa以上4.0×108Pa以下であり、前記透明基材の前記第1面が前記第2面よりも粗面である、回折光学素子である。
第2の発明は、第1の発明に係る回折光学素子であって、前記透明基材の前記第1面の表面粗さ(Ra)が330nm以上1300nm以下であり、前記第2面の表面粗さ(Ra)が100nm以上330nm未満である、回折光学素子である。
第3の発明は、第1または第2の発明に係る回折光学素子であって、前記透明基材の前記第2面の側に、前記透明基材を構成する材料とは異なる材料から構成される平滑部が設けられている、回折光学素子である。
第4の発明は、第3の発明に係る回折光学素子であって、前記透明基材の前記第1面の側に設けられている前記回折格子部と、前記透明基材の前記第2面の側に設けられている前記平滑部が、同じ材料から構成されている、回折光学素子である。
第5の発明は、第3または第4の発明に係る回折光学素子であって、前記平滑部の表面粗さ(Ra)が30nm以下である、回折光学素子である。
第6の発明は、第1または第2の発明に係る回折光学素子であって、前記透明基材の第2面の側に、前記透明基材を構成する材料とは異なる材料から構成され、第2の凹凸構造を有する第2の回折格子部が設けられている、回折光学素子である。
第7の発明は、第6の発明に係る回折光学素子であって、前記透明基材の第1面の側に設けられている前記回折格子部と、前記透明基材の第2面の側に設けられている前記第2の回折格子部が、同じ材料から構成されている、回折光学素子である。
第8の発明は、第1または第2の発明に係る回折光学素子であって、前記透明基材の第2面の側に、前記透明基材を構成する材料とは異なる材料から構成され、連続的に膜厚が変化する屈折部が設けられている、回折光学素子である。
第9の発明は、第8の発明に係る回折光学素子であって、前記透明基材の前記第1面の側に設けられている前記回折格子部と、前記透明基材の前記第2面の側に設けられている前記屈折部が、同じ材料から構成されている、回折光学素子である。
第10の発明は、光源からの光を整形する回折光学素子であって、第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有する透明基材と、前記透明基材の前記第1面の側に設けられ、前記透明基材を構成する材料とは異なる材料から構成される平滑部と、前記透明基材の前記第2面の側に設けられ、前記透明基材を構成する材料とは異なる材料から構成され、凹凸構造を有する回折格子部と、を備えており、前記透明基材は熱可塑性樹脂から構成されており、前記透明基材を構成する前記熱可塑性樹脂の260℃における貯蔵弾性率が、6.2×107Pa以上4.0×108Pa以下であり、前記透明基材の前記第1面が前記第2面よりも粗面である、回折光学素子である。
第11の発明は、第10の発明に係る回折光学素子であって、前記透明基材の前記第1面の表面粗さ(Ra)が330nm以上1300nm以下であり、前記第2面の表面粗さ(Ra)が100nm以上330nm未満である、回折光学素子である。
第12の発明は、第10または第11の発明に係る回折光学素子であって、前記透明基材の前記第1面の側に設けられている前記平滑部と、前記透明基材の前記第2面の側に設けられている前記回折格子部が、同じ材料から構成されている、回折光学素子である。
第13の発明は、第10から第12までのいずれかの発明に係る回折光学素子であって、前記平滑部の表面粗さ(Ra)が30nm以下である、回折光学素子である。
第14の発明は、光源からの光を整形する回折光学素子であって、第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有する透明基材と、前記透明基材の前記第1面の側に設けられ、前記透明基材を構成する材料とは異なる材料から構成され、連続的に膜厚が変化する屈折部と、前記透明基材の前記第2面の側に設けられ、前記透明基材を構成する材料とは異なる材料から構成され、凹凸構造を有する回折格子部と、を備えており、前記透明基材は熱可塑性樹脂から構成されており、前記透明基材を構成する前記熱可塑性樹脂の260℃における貯蔵弾性率が、6.2×107Pa以上4.0×108Pa以下であり、前記透明基材の前記第1面が前記第2面よりも粗面である、回折光学素子である。
第15の発明は、第14の発明に係る回折光学素子であって、前記透明基材の前記第1面の表面粗さ(Ra)が330nm以上1300nm以下であり、前記第2面の表面粗さ(Ra)が100nm以上330nm未満である、回折光学素子である。
第16の発明は、第14または第15の発明に係る回折光学素子であって、前記透明基材の前記第1面の側に設けられている前記屈折部と、前記透明基材の前記第2面の側に設けられている前記回折格子部が、同じ材料から構成されている、回折光学素子である。
第17の発明は、第1から第16までのいずれかの発明に係る回折光学素子であって、前記回折格子部の凹凸構造は、アスペクト比が1以上であり、凸部のマルテンス硬度が120MPa以上610MPa以下である、回折光学素子である。
第18の発明は、第1から第17までのいずれかの発明に係る回折光学素子であって、前記回折格子部がアクリル系樹脂組成物の硬化物から構成されている、回折光学素子である。
第19の発明は、第18の発明に係る回折光学素子であって、前記回折格子部を構成する前記アクリル系樹脂組成物の硬化物の260℃における貯蔵弾性率が、3.4×109Pa以上9.6×109Pa以下である、回折光学素子である。
第20の発明は、第18または第19の発明に係る回折光学素子であって、JIS Z2244(2003)に準拠し、かつ最大荷重0.2mN、保持時間10秒の測定条件下にて行われるビッカース硬さ試験により測定される、前記アクリル系樹脂組成物の硬化物の復元率が、50%以上82%以下である、回折光学素子である。
第21の発明は、第18から第20までのいずれかの発明に係る回折光学素子であって、前記アクリル系樹脂組成物は、4官能以上の(メタ)アクリレートを含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物である、回折光学素子である。
第22の発明は、第21の発明に係る回折光学素子であって、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、全硬化性成分に対し、前記4官能以上の(メタ)アクリレートの含有量が40質量%以上80質量%以下である、回折光学素子である。
第23の発明は、第21または第22の発明に係る回折光学素子であって、前記4官能以上の(メタ)アクリレートは、4官能以上のウレタン(メタ)アクリレートを含む、回折光学素子である。
第24の発明は、第23の発明に係る回折光学素子であって、前記4官能以上のウレタン(メタ)アクリレートは、多価イソシアネート化合物のイソシアネート基と、分子中に1個の水酸基と2個以上の(メタ)アクリル基を有する化合物の水酸基とがウレタン結合した化合物である、回折光学素子である。
第25の発明は、外部から給電可能な導通部と出光面となる開口部を有する枠体、光源、及び、第1から第24までのいずれかの発明に係る回折光学素子を備え、前記枠体の内部空間に前記光源が固定されるとともに前記導通部と接続され、前記開口部に前記回折光学素子が配置されている、照明装置である。
第26の発明は、第25の発明に係る照明装置であって、前記光源は波長780nm以上の赤外線を放射する光源である、照明装置である。
第27の発明は、第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有する透明基材の前記第1面の側に、前記透明基材を構成する材料とは異なる材料から構成され、凹凸構造を有する回折格子部を備え、光源からの光を整形する回折光学素子の製造方法であって、前記凹凸構造を形成するためのキャビティを有する金型を準備する工程と、前記金型の前記キャビティに、アクリル系樹脂組成物であって、当該アクリル系樹脂組成物に対し積算光量が1000mJ/cm2になるように紫外線を照射し硬化させて得られる硬化物サンプルの260℃における貯蔵弾性率が、3.4×109Pa以上9.6×109Pa以下であるアクリル系樹脂組成物を充填する工程と、前記金型のキャビティの開口部側において、前記透明基材の前記第1面の側と前記アクリル系樹脂組成物とを接触させ、かつ活性エネルギー線を照射することにより、前記アクリル系樹脂組成物を硬化させる工程と、前記透明基材から前記金型を引き離すことにより、前記透明基材の前記第1面の側に前記アクリル系樹脂組成物の硬化物で形成された凹凸構造を有する回折格子部を形成する工程と、を備え、前記透明基材は熱可塑性樹脂から構成されており、前記透明基材を構成する前記熱可塑性樹脂の260℃における貯蔵弾性率が、6.2×107Pa以上4.0×108Pa以下であり、前記透明基材の前記第1面が前記第2面よりも粗面である、回折光学素子の製造方法である。
第28の発明は、第27の発明に係る回折光学素子の製造方法であって、前記透明基材の前記第1面の表面粗さ(Ra)が330nm以上1300nm以下であり、前記第2面の表面粗さ(Ra)が100nm以上330nm未満である、回折光学素子の製造方法である。
第29の発明は、第27または第28の発明に係る回折光学素子の製造方法であって、前記透明基材の前記第2面の側に、前記アクリル系樹脂組成物の硬化物から構成される平滑部を形成する工程を備える、回折光学素子の製造方法である。
第30の発明は、第29の発明に係る回折光学素子の製造方法であって、前記透明基材の前記第2面の側に、前記アクリル系樹脂組成物の硬化物から構成される平滑部を形成する工程が、平滑面を有する金型を準備する工程と、前記金型の前記平滑面に、前記アクリル系樹脂組成物を配設する工程と、前記金型の前記平滑面の側において、前記透明基材の前記第2面の側と前記アクリル系樹脂組成物とを接触させ、かつ活性エネルギー線を照射することにより、前記アクリル系樹脂組成物を硬化させる工程と、前記透明基材から前記金型を引き離す工程と、を備える、回折光学素子の製造方法である。
第31の発明は、第30の発明に係る回折光学素子の製造方法であって、前記金型の前記平滑面の表面粗さ(Ra)が30nm以下である、回折光学素子の製造方法である。
第32の発明は、第27または第28の発明に係る回折光学素子の製造方法であって、前記透明基材の前記第2面の側に、前記アクリル系樹脂組成物の硬化物から構成され、第2の凹凸構造を有する第2の回折格子部を形成する工程を備える、回折光学素子の製造方法である。
第33の発明は、第32の発明に係る回折光学素子の製造方法であって、前記透明基材の前記第2面の側に、前記アクリル系樹脂組成物の硬化物から構成され、第2の凹凸構造を有する第2の回折格子部を形成する工程が、前記第2の凹凸構造を形成するための第2のキャビティを有する金型を準備する工程と、前記金型の前記第2のキャビティに、前記アクリル系樹脂組成物を充填する工程と、前記金型の前記第2のキャビティの開口部側において、前記透明基材の前記第2面の側と前記アクリル系樹脂組成物とを接触させ、かつ活性エネルギー線を照射することにより、前記アクリル系樹脂組成物を硬化させる工程と、前記透明基材から前記金型を引き離す工程と、を備える、回折光学素子の製造方法である。
第34の発明は、第27または第28の発明に係る回折光学素子の製造方法であって、前記透明基材の前記第2面の側に、前記アクリル系樹脂組成物の硬化物から構成され、連続的に膜厚が変化する屈折部を形成する工程を備える、回折光学素子の製造方法である。
第35の発明は、第34の発明に係る回折光学素子の製造方法であって、前記透明基材の前記第2面の側に、前記アクリル系樹脂組成物の硬化物から構成され、連続的に膜厚が変化する屈折部を形成する工程が、前記連続的に深さが変化する湾曲面を有する金型を準備する工程と、前記金型の前記湾曲面に、前記アクリル系樹脂組成物を充填する工程と、前記金型の前記湾曲面の側において、前記透明基材の前記第2面の側と前記アクリル系樹脂組成物とを接触させ、かつ活性エネルギー線を照射することにより、前記アクリル系樹脂組成物を硬化させる工程と、前記透明基材から前記金型を引き離す工程と、を備える、請求項30に記載の回折光学素子の製造方法である。
第36の発明は、第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有する透明基材の前記第1面の側に、前記透明基材を構成する材料とは異なる材料から構成される平滑部を備え、前記透明基材の前記第2面の側に、前記透明基材を構成する材料とは異なる材料から構成され、凹凸構造を有する回折格子部を備え、光源からの光を整形する回折光学素子の製造方法であって、前記凹凸構造を形成するためのキャビティを有する第1の金型を準備する工程と、前記第1の金型の前記キャビティに、アクリル系樹脂組成物であって、当該アクリル系樹脂組成物に対し積算光量が1000mJ/cm2になるように紫外線を照射し硬化させて得られる硬化物サンプルの260℃における貯蔵弾性率が、3.4×109Pa以上9.6×109Pa以下であるアクリル系樹脂組成物を充填する工程と、前記第1の金型の前記キャビティの開口部側において、前記透明基材の前記第2面の側と前記アクリル系樹脂組成物とを接触させ、かつ活性エネルギー線を照射することにより、前記アクリル系樹脂組成物を硬化させる工程と、前記透明基材から前記第1の金型を引き離すことにより、前記透明基材の前記第2面の側にアクリル系樹脂組成物の硬化物で形成された凹凸構造を有する回折格子部を形成する工程と、平滑面を有する第2の金型を準備する工程と、前記第2の金型の前記平滑面に、前記アクリル系樹脂組成物を配設する工程と、前記第2の金型の前記平滑面の側において、前記透明基材の前記第1面の側と前記アクリル系樹脂組成物とを接触させ、かつ活性エネルギー線を照射することにより、前記アクリル系樹脂組成物を硬化させる工程と、前記透明基材から前記第2の金型を引き離すことにより、前記透明基材の前記第1面の側にアクリル系樹脂組成物の硬化物で形成された平滑部を形成する工程と、を備え、前記透明基材は熱可塑性樹脂から構成されており、前記透明基材を構成する前記熱可塑性樹脂の260℃における貯蔵弾性率が、6.2×107Pa以上4.0×108Pa以下であり、前記透明基材の前記第1面が前記第2面よりも粗面である、回折光学素子の製造方法である。
第37の発明は、第36の発明に係る回折光学素子の製造方法であって、前記透明基材の前記第1面の表面粗さ(Ra)が330nm以上1300nm以下であり、前記第2面の表面粗さ(Ra)が100nm以上330nm未満である、回折光学素子の製造方法である。
第38の発明は、第36または第37の発明に係る回折光学素子の製造方法であって、前記第2の金型の前記平滑面の表面粗さ(Ra)が30nm以下である、回折光学素子の製造方法である。
第39の発明は、第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有する透明基材の前記第1面の側に、前記透明基材を構成する材料とは異なる材料から構成され、連続的に膜厚が変化する屈折部を備え、前記透明基材の前記第2面の側に、前記透明基材を構成する材料とは異なる材料から構成され、凹凸構造を有する回折格子部を備え、光源からの光を整形する回折光学素子の製造方法であって、前記凹凸構造を形成するためのキャビティを有する第1の金型を準備する工程と、前記第1の金型の前記キャビティに、アクリル系樹脂組成物であって、当該アクリル系樹脂組成物に対し積算光量が1000mJ/cm2になるように紫外線を照射し硬化させて得られる硬化物サンプルの260℃における貯蔵弾性率が、3.4×109Pa以上9.6×109Pa以下であるアクリル系樹脂組成物を充填する工程と、前記第1の金型の前記キャビティの開口部側において、前記透明基材の前記第2面の側と前記アクリル系樹脂組成物とを接触させ、かつ活性エネルギー線を照射することにより、前記アクリル系樹脂組成物を硬化させる工程と、前記透明基材から前記第1の金型を引き離すことにより、前記透明基材の前記第2面の側にアクリル系樹脂組成物の硬化物で形成された凹凸構造を有する回折格子部を形成する工程と、連続的に深さが変化する湾曲面を有する第2の金型を準備する工程と、前記第2の金型の前記湾曲面に、前記アクリル系樹脂組成物を充填する工程と、前記第2の金型の前記湾曲面の側において、前記透明基材の前記第1面の側と前記アクリル系樹脂組成物とを接触させ、かつ活性エネルギー線を照射することにより、前記アクリル系樹脂組成物を硬化させる工程と、前記透明基材から前記第2の金型を引き離すことにより、前記透明基材の前記第1面の側にアクリル系樹脂組成物の硬化物で形成された屈折部を形成する工程と、を備え、前記透明基材は熱可塑性樹脂から構成されており、前記透明基材を構成する前記熱可塑性樹脂の260℃における貯蔵弾性率が、6.2×107Pa以上4.0×108Pa以下であり、前記透明基材の前記第1面が前記第2面よりも粗面である、回折光学素子の製造方法である。
第40の発明は、第39の発明に係る回折光学素子の製造方法であって、前記透明基材の前記第1面の表面粗さ(Ra)が330nm以上1300nm以下であり、前記第2面の表面粗さ(Ra)が100nm以上330nm未満である、回折光学素子の製造方法である。
本発明によれば、割れ難く、かつ、耐熱性を有しつつ透過率も高い回折光学素子、この回折光学素子を用いた照明装置、および、この回折光学素子の製造方法を提供することができる。
本発明に係る回折光学素子の第1の実施形態の一例を示す斜視図 本発明に係る回折光学素子の第1の実施形態の例を示す断面図 本発明に係る回折光学素子の第2の実施形態の例を示す断面図 本発明に係る回折光学素子の第3の実施形態の例を示す断面図 本発明に係る回折光学素子の第4の実施形態の例を示す断面図 本発明に係る回折光学素子の第4の実施形態の変形例を示す断面図 本発明に係る回折光学素子の第5の実施形態の例を示す断面図 本発明に係る回折光学素子の第6の実施形態の例を示す断面図 本発明に係る回折光学素子の第6の実施形態の変形例を示す断面図 回折格子部のアスペクト比について示す図 本発明に係る回折光学素子の回折格子部の例を示す断面図 本発明に係る回折光学素子の製造方法の一例を示す図 図12に続く本発明に係る回折光学素子の製造方法の一例を示す図 本発明に係る回折光学素子の製造に用いる金型の他の例を示す図 本発明に係る照明装置の一例を示す図
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
本明細書において、活性エネルギー線とは、可視光並びに紫外線及びX線等の非可視領域の波長の電磁波のみならず、電子線及びα線のような粒子線を総称する、アクリル系樹脂組成物を硬化させるに足るエネルギー量子を持った放射線が含まれる。活性エネルギー線としては、紫外線が好ましい。
本明細書において、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタアクリルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの各々を表し、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル又はメタクリロイルの各々を表す。
本明細書において、「光を整形する」とは、光の進行方向を制御することにより、対象物又は対象領域に投影された光の形状(照射領域)が任意の形状となるようにすることをいう。本明細書において、光源からの光が、回折光学素子を透過して回折せずにそのまま出光した光を0次光といい、回折光学素子で生じた回折光を1次光という。
本明細書において、回折格子部の断面形状は、回折光学素子を水平面に静置したものとして定義する。図1の例では、周期構造の繰り返し方向にX軸をとり、X軸と直交し、XYが水平面を形成するようにY軸をとり、XY水平面に垂直な方向にZ軸をとっている。
本明細書においては、凸部間の谷底(Zの極小点)を高さ0の基準とし、また、高さ0の部分を凹部とする。また本発明においては、高さH(H>0)を有する部分を凸部とする。一方、本明細書においては凸部の最大高さを基準として、凸部間の谷底までを深さとすることがあるが、本明細書において、高さと、深さは、表裏の関係にあり、凸部に着目する場合には高さ、凹部に着目する場合に深さとするものであって、実質的には同様のものである。
本明細書において、回折格子部の断面形状が図2の例に示されるような、高さ0の凹部と高さHの凸部との繰り返し構造であることを、2値(2−level)形状ということがある。また本明細書において、回折格子部の断面形状において凸部が、2以上の平坦部(略水平部)を有するものを多段形状ということがあり、当該多段形状の凸部と凹部とを合わせてn個の平坦部を有する場合、n値(n−level)形状ということがある。
また、本明細書において、透明とは、少なくとも目的の波長の光を透過するものをいう。例えば、仮に可視光を透過しないものであっても、赤外線を透過するものであれば、赤外線用途に用いる場合においては透明として取り扱うものとする。
1.回折光学素子
本発明に係る回折光学素子は、光源からの光を整形する回折光学素子であって、特定の透明基材と、前記透明基材を構成する材料とは異なる特定の材料から構成され、凹凸構造を有する回折格子部と、を備えている。
以下、本発明に係る回折光学素子の各実施形態の構成について説明した後、回折格子部を構成する各材料の物性について説明する。
(第1の実施形態)
まず、図1、図2を用いて、本発明に係る回折光学素子の第1の実施形態について説明する。ここで、図1は本発明に係る回折光学素子の第1の実施形態の一例を示す斜視図であり、図2は本発明に係る回折光学素子の第1の実施形態の例を示す断面図である。
図1に示すように回折光学素子1は、光源からの光を整形する回折光学素子であって、透明基材11と、透明基材11を構成する材料とは異なる材料から構成される回折格子部12を備える。
回折格子部12は周期的な凹凸構造を有している。図1においては、回折格子部12が有する凹凸構造は、同一の周期で凹凸が配置されている例を示しているが、回折格子部12は、異なる周期で凹凸が配置されている複数の領域を有していてもよい。
透明基材11は熱可塑性樹脂から構成されており、この熱可塑性樹脂の260℃における貯蔵弾性率(E’)は、6.2×107Pa以上4.0×108Pa以下である。
それゆえ、回折光学素子1は割れ難く、リフロー工程(温度260℃)を施されても、流動性が出ることは無く、また、反り等の変形が生じてしまうことも抑制できる。
なお、透明基材11を構成する材料、および、回折格子部12を構成する材料については、本発明に係る回折光学素子の各形態(第1の実施形態〜第6の実施形態)を説明した後に、詳しく説明する。
図2(a)は、図1に示す回折光学素子1のA−A線断面図を模式的に示した図に相当する。図2(a)に示すように、透明基材11は、第1面11aと、第1面11aとは反対側の第2面11bとを有する。
第1面11aは第2面11bよりも粗面になっており、例えば、第1面11aの表面粗さ(Ra)は330nm以上1300nm以下であり、第2面11bの表面粗さ(Ra)は100nm以上330nm未満である。
表面粗さ(Ra)は、JIS B0031(1994)に準拠して、例えば、Zygo社3D表面粗さ/形状測定機(NewView6000)で計測することができる。
本明細書において、各構成の表面粗さ(Ra)に係る数値は、いずれもZygo社3D表面粗さ/形状測定機(NewView6000)で計測した数値である。
なお、本発明において、第1面11aが第2面11bよりも粗面であるとは、第1面11aが第2面11bよりも粗い状態であることを示し、この粗い状態(粗さ)は、例えば、物体の表面形状を理想表面と比べたとき、鉛直方向の偏差がどれだけあるかで計られる。偏差がより大きければ、その表面はより粗いと評価される。
表面粗さを表すパラメータとして、上記のRa(算術平均粗さ)以外に、Ry(最大高さ)、Rz(十点平均粗さ)等がある。
ここで、Ry(最大高さ)は、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけを抜き取り、この抜取り部分の山頂線と谷底線との間隔を粗さ曲線の縦倍率の方向に測定し、この値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。
また、Rz(十点平均粗さ)は、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけを抜き取り、この抜き取り部分の平均線から縦倍率の方向に測定した、最も高い山頂から5番目までの山頂の標高(Yp)の絶対値の平均値と、最も低い谷底から5番目までの谷底の標高(Yv)の絶対値の平均値との和を求め、この値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。
本発明において、第1面11aが第2面11bよりも粗面であることの確認には、上述したZygo社3D表面粗さ/形状測定機(NewView6000)により計測するRa(算術平均粗さ)以外に、例えば、断面SEM等の観測手法により、各面のRy(最大高さ)やRz(十点平均粗さ)を計測して比較する方法を用いてもよい。
図2(a)に示す回折光学素子1において、回折格子部12は、透明基材11の第1面11aの側に設けられている。回折格子部12はアクリル系樹脂組成物の硬化物から構成されている。
このように、透明基材11を構成する材料も回折格子部12を構成する材料も樹脂であることから、両者の屈折率の値は、空気の屈折率(0℃、1気圧で1.00)よりも互いに近い値になる。
それゆえ、図2(a)に示す回折光学素子1においては、透明基材11の第1面11aの側の表面粗さが大きくても、第1面11aの表面粗さを回折格子部12で埋めることで、透明基材11の第1面11aの側の表面粗さに起因する光の反射や散乱を防止して、回折光学素子1の透過率を良好なものとすることができる。
なお、透明基材11の第1面11aには回折格子部12を構成する材料との密着性を向上させるための表面処理や、プライマー層等の中間層形成を行ってもよい。表面処理としてはコロナ処理や大気圧プラズマ処理などの一般的な密着改善処理が適用できる。またプライマー層等の中間層は、透明基材11および回折格子部12を構成する材料との双方に密着性を有し、対象波長の光を透過するものが好ましい。
また、図2(a)に示す回折光学素子1においては、回折格子部12が透明基材11の第1面11aの側の全面に設けられている例を示したが、本実施形態に係る回折光学素子は、これに限定されない。
例えば、図2(b)に示す回折光学素子1Aのように、回折格子部12Aは、透明基材11の第1面11aの側に部分的に設けられていても良い。
この場合、回折光学素子1Aを切断する際に、回折格子部12Aが設けられていない箇所を切断することで、回折格子部12Aが破損してしまうことや、回折格子部12Aに切断時の異物が付着することを防止することができる。
もちろん、図2(a)のように全面に樹脂がありながら、図2(b)のように局所的に回折光学素子が形成されている形態でもよい。
(第2の実施形態)
次に、図3を用いて、本発明に係る回折光学素子の第2の実施形態について説明する。
なお、上述した第1の実施形態と重複する内容については、適宜説明を省略する。
図3は本発明に係る回折光学素子の第2の実施形態の例を示す断面図である。まず、図3(a)に示す回折光学素子2の構成について説明する。
図3(a)に示す回折光学素子2においては、透明基材11の第1面11aの側に回折格子部12が設けられており、透明基材11の第2面11bの側に平滑部13が設けられている。
平滑部13は透明基材11を構成する材料とは異なる材料から構成され、透明基材11の第2面11bの側の表面粗さを埋めて、表面を平滑にするために設けられる。この目的のため、平滑部13の表面粗さ(Ra)、より詳しくは、透明基材11の第2面11bの側に形成された平滑部13の露出する側の面(図3におけるZ方向とは逆の方向の面)の表面粗さ(Ra)としては、30nm以下であることが好ましい。
このように表面粗さ(Ra)が小さい平滑部13は、例えば、表面平滑(Ra≦30nm)な金型を用いてインプリントすることで形成することができる。
上記のような構成を有するため、図3(a)に示す回折光学素子2においては、透明基材11の第1面11aの表面粗さを回折格子部12で埋めることで、透明基材11の第1面11aの側の表面粗さに起因する光の反射や散乱を防止する効果に加えて、透明基材11の第2面11bの表面粗さを平滑部13で埋めることで、透明基材11の第2面11bの側の表面粗さに起因する光の反射や散乱も防止する効果を奏することになる。
それゆえ、回折光学素子2の透過率を、さらに良好なものとすることができる。
また、図3(a)に示す回折光学素子2においては、平滑部13の膜応力を、回折格子部12の膜応力と同じ、若しくは同程度に調整することで、回折光学素子2の変形を、より防止することができる。
平滑部13は、回折格子部12と同じ材料から構成されていることが好ましい。平滑部13が、回折格子部12と同じアクリル系樹脂組成物の硬化物から構成されている場合、平滑部13の形成方法に、回折格子部12の形成方法と同じ装置が使え、製造性、経済性の点で有益である。
また、平滑部13が、回折格子部12と同じアクリル系樹脂組成物の硬化物から構成されている場合、両者の膜応力を同じ、若しくは同程度にする調整が、より容易になり、回折光学素子2の変形をより防止することができるからである。
なお、本実施形態においても、上述した第1の実施形態と同様に、透明基材11の第1面11aには回折格子部12を構成する材料との密着性を向上させるための表面処理や、プライマー層等の中間層形成を行ってもよい。また、透明基材11の第2面11bには平滑部13を構成する材料との密着性を向上させるための表面処理や、プライマー層等の中間層形成を行ってもよい。
また、図3(a)に示す回折光学素子2においては、回折格子部12が透明基材11の第1面11aの側の全面に設けられており、平滑部13が透明基材11の第2面11bの側の全面に設けられている例を示したが、本実施形態に係る回折光学素子は、これに限定されない。
例えば、図3(b)に示す回折光学素子2Aのように、回折格子部12Aは、透明基材11の第1面11aの側に部分的に設けられており、同様に、平滑部13Aは、透明基材11の第2面11bの側に部分的に設けられていても良い。
この場合、回折光学素子2Aを切断する際に、回折格子部12Aや平滑部13Aが設けられていない箇所を切断することで、回折格子部12Aや平滑部13Aが破損してしまうことや、回折格子部12Aや平滑部13Aに切断時の異物が付着することを防止することができる。
(第3の実施形態)
次に、図4を用いて、本発明に係る回折光学素子の第3の実施形態について説明する。
なお、上述した第1の実施形態または第2の実施形態と重複する内容については、適宜説明を省略する。
図4は本発明に係る回折光学素子の第3の実施形態の例を示す断面図である。まず、図4(a)に示す回折光学素子3の構成について説明する。
図4(a)に示す回折光学素子3においては、透明基材11の第1面11aの側に回折格子部12が設けられており、透明基材11の第2面11bの側に第2の回折格子部14が設けられている。
第2の回折格子部14は透明基材11を構成する材料とは異なる材料から構成され、回折格子部12と同様に、光を整形する作用効果を奏するものである。通常、第2の回折格子部14は回折格子部12とは異なる光学作用を奏するように設計される。
第2の回折格子部14は第2の凹凸構造を有しており、この第2の凹凸構造は、通常、回折格子部12が有する凹凸構造と異なるものになるが、用途によっては、同じものであってもよい。
上記のような構成を有するため、図4(a)に示す回折光学素子3においては、透明基材11の第1面11aの表面粗さを回折格子部12で埋めることで、透明基材11の第1面11aの側の表面粗さに起因する光の反射や散乱を防止する効果に加えて、透明基材11の第2面11bの表面粗さを第2の回折格子部14で埋めることで、透明基材11の第2面11bの側の表面粗さに起因する光の反射や散乱も防止する効果を奏することになる。
それゆえ、回折光学素子3の透過率を、さらに良好なものとすることができる。
また、図4(a)に示す回折光学素子3においては、第2の回折格子部14を有することで、図2に示す回折光学素子1とは異なる光学作用を奏することができる。
また、例えば、従来、2個の回折光学素子を積層して使用していた照明系に対して、1個の回折光学素子で同様の作用を奏することができるため、照明系をコンパクトにすることができる。
また、図4(a)に示す回折光学素子3においては、第2の回折格子部14の膜応力を、回折格子部12の膜応力と同じ、若しくは同程度に調整することで、回折光学素子2の変形を、より防止することができる。
第2の回折格子部14は、回折格子部12と同じ材料から構成されていることが好ましい。第2の回折格子部14が、回折格子部12と同じアクリル系樹脂組成物の硬化物から構成されている場合、第2の回折格子部14の形成方法に、回折格子部12の形成方法と同じ装置が使え、製造性、経済性の点で有益である。
また、第2の回折格子部14が、回折格子部12と同じアクリル系樹脂組成物の硬化物から構成されている場合、両者の膜応力を同じ、若しくは同程度にする調整が、より容易になり、回折光学素子3の変形をより防止することができるからである。
なお、本実施形態においても、上述した第1の実施形態と同様に、透明基材11の第1面11aには回折格子部12を構成する材料との密着性を向上させるための表面処理や、プライマー層等の中間層形成を行ってもよい。また、透明基材11の第2面11bには第2の回折格子部14を構成する材料との密着性を向上させるための表面処理や、プライマー層等の中間層形成を行ってもよい。
また、図4(a)に示す回折光学素子3においては、回折格子部12が透明基材11の第1面11aの側の全面に設けられており、第2の回折格子部14が透明基材11の第2面11bの側の全面に設けられている例を示したが、本実施形態に係る回折光学素子は、これに限定されない。
例えば、図4(b)に示す回折光学素子3Aのように、回折格子部12Aは、透明基材11の第1面11aの側に部分的に設けられており、同様に、第2の回折格子部14Aは、透明基材11の第2面11bの側に部分的に設けられていても良い。
この場合、回折光学素子3Aを切断する際に、回折格子部12Aや第2の回折格子部14Aが設けられていない箇所を切断することで、回折格子部12Aや第2の回折格子部14Aが破損してしまうことや、回折格子部12Aや第2の回折格子部14Aに切断時の異物が付着することを防止することができる。
(第4の実施形態)
次に、図5を用いて、本発明に係る回折光学素子の第4の実施形態について説明する。
なお、上述した第1の実施形態から第3の実施形態と重複する内容については、適宜説明を省略する。
図5は本発明に係る回折光学素子の第4の実施形態の例を示す断面図である。まず、図4(a)に示す回折光学素子4の構成について説明する。
図4(a)に示す回折光学素子4においては、透明基材11の第1面11aの側に回折格子部12が設けられており、透明基材11の第2面11bの側に連続的に膜厚が変化する屈折部15が設けられている。
屈折部15は透明基材11を構成する材料とは異なる材料から構成され、連続的に膜厚が変化することで、レンズのように光を屈折する作用効果を奏するものである。このように連続的に膜厚が変化する屈折部15は、例えば、屈折部15とは凹凸関係が逆になる金型を用いてインプリントすることで形成することができる。
上記のような構成を有するため、図5(a)に示す回折光学素子4においては、透明基材11の第1面11aの表面粗さを回折格子部12で埋めることで、透明基材11の第1面11aの側の表面粗さに起因する光の反射や散乱を防止する効果に加えて、透明基材11の第2面11bの表面粗さを屈折部15で埋めることで、透明基材11の第2面11bの側の表面粗さに起因する光の反射や散乱も防止する効果を奏することになる。
それゆえ、回折光学素子4の透過率を、さらに良好なものとすることができる。
また、図5(a)に示す回折光学素子4においては、屈折部15を有することで、図2に示す回折光学素子1とは異なる光学作用を奏することができる。
例えば、回折格子部12による光の回折角をより大きな角度に調節したり、逆に、より小さな角度に調節したりすることができる。この場合、回折格子部12の凹凸構造は、より簡易な形状でもよいことになり、回折格子部12の凹凸構造を製造する上で有益である。
また、図5(a)に示す回折光学素子4においては、屈折部15の膜応力を、回折格子部12の膜応力と同じ、若しくは同程度に調整することで、回折光学素子2の変形を、より防止することができる。
屈折部15は、回折格子部12と同じ材料から構成されていることが好ましい。屈折部15が、回折格子部12と同じアクリル系樹脂組成物の硬化物から構成されている場合、屈折部15の形成方法に、回折格子部12の形成方法と同じ装置が使え、製造性、経済性の点で有益である。
また、屈折部15が、回折格子部12と同じアクリル系樹脂組成物の硬化物から構成されている場合、両者の膜応力を同じ、若しくは同程度にする調整が、より容易になり、回折光学素子4の変形をより防止することができるからである。
なお、本実施形態においても、上述した第1の実施形態と同様に、透明基材11の第1面11aには回折格子部12を構成する材料との密着性を向上させるための表面処理や、プライマー層等の中間層形成を行ってもよい。また、透明基材11の第2面11bには屈折部15を構成する材料との密着性を向上させるための表面処理や、プライマー層等の中間層形成を行ってもよい。
また、図5(a)に示す回折光学素子4においては、回折格子部12が透明基材11の第1面11aの側の全面に設けられており、屈折部15が透明基材11の第2面11bの側の全面に設けられている例を示したが、本実施形態に係る回折光学素子は、これに限定されない。
例えば、図5(b)に示す回折光学素子4Aのように、回折格子部12Aは、透明基材11の第1面11aの側に部分的に設けられており、同様に、屈折部15Aは、透明基材11の第2面11bの側に部分的に設けられていても良い。
この場合、回折光学素子4Aを切断する際に、回折格子部12Aや屈折部15Aが設けられていない箇所を切断することで、回折格子部12Aや屈折部15Aが破損してしまうことや、回折格子部12Aや屈折部15Aに切断時の異物が付着することを防止することができる。
(第4の実施形態の変形例)
図6は本発明に係る回折光学素子の第4の実施形態の変形例を示す断面図である。
図5(a)に示す回折光学素子4や図5(b)に示す回折光学素子4Aにおいては、透明基材11の第2面11bの側に設けられる屈折部15は、膜厚が大きくなる箇所が1箇所の例を示したが、本実施形態に係る回折光学素子の屈折部は、これに限定されない。
例えば、図6に示す回折光学素子4Bの屈折部15Bのように、膜厚が大きくなる箇所が複数箇所ある形態であってもよい。この場合、例えば、回折格子部12による光の回折角を、各箇所で大きな角度に調節したり、逆に、小さな角度に調節したりすることができる。
なお、この図6に示す回折光学素子4Bの形態においても、図5(b)に示す回折光学素子4Aのように、回折格子部12が、透明基材11の第1面11aの側に部分的に設けられており、同様に、膜厚が大きくなる箇所が複数箇所ある屈折部15Bが、透明基材11の第2面11bの側に部分的に設けられていても良い。
(第5の実施形態)
次に、図7を用いて、本発明に係る回折光学素子の第5の実施形態について説明する。
なお、上述した第1の実施形態から第4の実施形態と重複する内容については、適宜説明を省略する。
図7は本発明に係る回折光学素子の第5の実施形態の例を示す断面図である。まず、図7(a)に示す回折光学素子5の構成について説明する。
図7(a)に示す回折光学素子5においては、透明基材11の第1面11aの側に平滑部13が設けられており、透明基材11の第2面11bの側に回折格子部12が設けられている。
すなわち、本実施形態の回折光学素子5は、上述した第2の実施形態の回折光学素子2とは、回折格子部12、平滑部13が設けられている透明基材11の面が逆の形態になっている。
上記のような構成を有するため、図7(a)に示す回折光学素子5においては、透明基材11の第1面11aの表面粗さを平滑部13で埋めることで、透明基材11の第1面11aの側の表面粗さに起因する光の反射や散乱を防止する効果に加えて、透明基材11の第2面11bの表面粗さを回折格子部12で埋めることで、透明基材11の第2面11bの側の表面粗さに起因する光の反射や散乱も防止する効果を奏することになる。
それゆえ、回折光学素子5の透過率を良好なものとすることができる。
また、図7(a)に示す回折光学素子5においても、上述した第2の実施形態の回折光学素子2と同様に、平滑部13の膜応力を、回折格子部12の膜応力と同じ、若しくは同程度に調整することで、回折光学素子5の変形を、より防止することができる。
なお、上述した第2の実施形態の回折光学素子2と同様に、平滑部13は、回折格子部12と同じ材料から構成されていることが好ましい。
また、図7(a)に示す回折光学素子5においては、平滑部13が透明基材11の第1面11aの側の全面に設けられており、回折格子部12が透明基材11の第2面11bの側の全面に設けられている例を示したが、上述した第2の実施形態の回折光学素子と同様に、本実施形態に係る回折光学素子も、これに限定されない。
例えば、図7(b)に示す回折光学素子5Aのように、平滑部13Aは、透明基材11の第1面11aの側に部分的に設けられており、同様に、回折格子部12Aは、透明基材11の第2面11bの側に部分的に設けられていても良い。
この場合、回折光学素子5Aを切断する際に、回折格子部12Aや平滑部13Aが設けられていない箇所を切断することで、回折格子部12Aや平滑部13Aが破損してしまうことや、回折格子部12Aや平滑部13Aに切断時の異物が付着することを防止することができる。
(第6の実施形態)
次に、図8を用いて、本発明に係る回折光学素子の第6の実施形態について説明する。
なお、上述した第1の実施形態から第5の実施形態と重複する内容については、適宜説明を省略する。
図8は本発明に係る回折光学素子の第6の実施形態の例を示す断面図である。まず、図8(a)に示す回折光学素子4の構成について説明する。
図8(a)に示す回折光学素子6においては、透明基材11の第1面11aの側に屈折部15が設けられており、透明基材11の第2面11bの側に回折格子部12が設けられている。
すなわち、本実施形態の回折光学素子6は、上述した第4の実施形態の回折光学素子4とは、回折格子部12、屈折部15が設けられている透明基材11の面が逆の形態になっている。
上記のような構成を有するため、図8(a)に示す回折光学素子4においては、透明基材11の第1面11aの表面粗さを屈折部15で埋めることで、透明基材11の第1面11aの側の表面粗さに起因する光の反射や散乱を防止する効果に加えて、透明基材11の第2面11bの表面粗さを回折格子部12で埋めることで、透明基材11の第2面11bの側の表面粗さに起因する光の反射や散乱も防止する効果を奏することになる。
それゆえ、回折光学素子6の透過率を良好なものとすることができる。
また、図8(a)に示す回折光学素子6においても、上述した第4の実施形態の回折光学素子4と同様に、屈折部15を有することで、図2に示す回折光学素子1とは異なる光学作用を奏することができる。
また、図8(a)に示す回折光学素子6においても、上述した第4の実施形態の回折光学素子4と同様に、屈折部15の膜応力を、回折格子部12の膜応力と同じ、若しくは同程度に調整することで、回折光学素子6の変形を、より防止することができる。
屈折部15は、上述した第4の実施形態の回折光学素子4と同様に、回折格子部12と同じ材料から構成されていることが好ましい。
また、図8(a)に示す回折光学素子6においては、屈折部15が透明基材11の第1面11aの側の全面に設けられており、回折格子部12が透明基材11の第2面11bの側の全面に設けられている例を示したが、上述した第4の実施形態の回折光学素子と同様に、本実施形態に係る回折光学素子は、これに限定されない。
例えば、図8(b)に示す回折光学素子6Aのように、屈折部15Aは、透明基材11の第1面11aの側に部分的に設けられており、同様に、回折格子部12Aは、透明基材11の第2面11bの側に部分的に設けられていても良い。
この場合、回折光学素子6Aを切断する際に、回折格子部12Aや屈折部15Aが設けられていない箇所を切断することで、回折格子部12Aや屈折部15Aが破損してしまうことや、回折格子部12Aや屈折部15Aに切断時の異物が付着することを防止することができる。
(第6の実施形態の変形例)
図9は本発明に係る回折光学素子の第6の実施形態の変形例を示す断面図である。
図8(a)に示す回折光学素子6や図8(b)に示す回折光学素子6Aにおいては、透明基材11の第1面11aの側に設けられる屈折部15は、膜厚が大きくなる箇所が1箇所の例を示したが、上述した第4の実施形態の回折光学素子と同様に、本実施形態に係る回折光学素子の屈折部は、これに限定されない。
例えば、図9に示す回折光学素子6Bの屈折部15Bのように、膜厚が大きくなる箇所が複数箇所ある形態であってもよい。この場合、例えば、回折格子部12による光の回折角を、各箇所で大きな角度に調節したり、逆に、小さな角度に調節したりすることができる。
なお、この図9に示す回折光学素子6Bの形態においても、図8(b)に示す回折光学素子6Aのように、膜厚が大きくなる箇所が複数箇所ある屈折部15Bが、透明基材11の第1面11aの側に部分的に設けられており、同様に、回折格子部12が、透明基材11の第2面11bの側に部分的に設けられていても良い。
(回折光学素子のその他の構成)
回折格子部の傷つき等を防止でき、かつ機械強度に優れる点から、本発明の回折光学素子は、透明基材上に、前記回折格子部と、被覆層とを、この順に有する構成であってもよい。被覆層としては、特に限定されないが、前記透明基材と同様のものを用いることが好ましい。また、回折格子部上に被覆層を設ける場合、回折格子部と被覆層との間に粘着剤(接着剤)層を設けてもよい。粘着層(接着層)用の粘着剤又は接着剤としては、従来公知のものの中から適宜選択すればよく、感圧接着剤(粘着剤)、2液硬化型接着剤、紫外線硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、熱溶融型接着剤等、いずれの接着形態のもの好適に用いることができる。なお、凹部の一部が粘着剤又は接着剤により埋まる場合には、その分を考慮して回折格子部の設計を行えば良い。なおこのような被覆層を設けることで、回折格子部の凹凸を型にしたリバースエンジニアリングを防止することが可能という副次的な効果も期待できる。
さらに被覆層を形成することで、回折格子部に異物が入り込むことを防止でき、回折光学素子及び照明装置の長期信頼性を向上することが可能である。
また、更に、前記透明基材、又は、前記被覆層の、回折格子部とは反対側の面に、更に反射防止層を設けてもよい。反射防止層としては、従来公知のものの中から適宜選択すればよく、例えば、低屈折率層又は高屈折率層の単層からなる単層膜であってもよく、低屈折率層と高屈折率層とを順次積層した多層膜であってもよく、微細凹凸形状が形成された反射防止層であってもよい。反射防止層を設けることにより、回折光学素子の回折効率を向上することが可能である。
また、前記透明基材、前記被覆層、前記粘着層(接着層)は、本発明の効果を損なわない範囲で、従来公知の添加剤を含有してもよい。このような添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤等が挙げられる。
本発明の回折光学素子は、透過型回折光学素子であってもよく、反射型回折光学素子であってもよい。これらのうち、本発明の回折光学素子は、透過型回折光学素子であることが好ましい。透過型回折光学素子は、反射型回折光学素子と比較して、回折格子部における凸部のアスペクト比を大きく設定する必要があり、その結果としてスティッキングの問題が生じ易い傾向にある。したがって、上述した貯蔵弾性率(E’)の条件を満たす凸部を備える透過型回折光学素子は、同様の凸部を備える反射型回折光学素子よりも、スティッキング防止の効果が高い。
2.透明基材11
本発明に用いられる透明基材11は熱可塑性樹脂から構成されており、それゆえ、ガラスから構成される場合に比べて割れ難い。この熱可塑性樹脂の260℃における貯蔵弾性率(E’)は、6.2×107Pa以上4.0×108Pa以下であることが好ましい。リフロー処理を施しても、反り等の変形を抑制できるからである。
貯蔵弾性率(E’)は、測定物の形状や大きさには依存しない物性である。貯蔵弾性率(E’)は、例えば、UBM製Rheogel E4000を測定装置に用いて、JISK7244に準拠して測定することができる。
透明基材11に用いられる材料の具体例としては、例えば、PEI(ポリエーテルイミド)、PAR(ポリアリレート)を挙げることができる。
透明基材11の厚みは、本発明の用途に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、例えば0.2mm以上0.4mm以下である。
本発明に用いられる透明基材11は、通常、ロールの形で供給され、その一方の面は他方の面よりも粗面になっている。例えば、透明基材11の一方の面(第1面11a)の表面粗さ(Ra)は330nm以上1300nm以下であり、他方の面(第2面11b)の表面粗さ(Ra)は100nm以上330nm未満である。
透明基材11には、回折格子部12等を構成するアクリル系樹脂組成物との密着性を向上させるための表面処理や、プライマー層形成を行ってもよい。表面処理としてはコロナ処理や大気圧プラズマ処理などの一般的な密着改善処理が適用できる。
なおここでいう透明とは、目視で向こうが透けて見えるという状態のことをいうが、回折光学素子で設計した対象波長の光を透過することができれば、目視で色がついていても実用上問題はない。
3.回折格子部12
回折格子部12は光を回折するための凹凸構造を有している。本発明において、回折格子部12の凹凸構造は、波長780nm以上の赤外線を所望の形状に整形するために、アスペクト比が1以上であることが好ましい。このようなアスペクト比を有する凹凸構造は、例えば、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いてナノインプリント法により形成することができる。
アスペクト比が1以上である凹凸構造を有する回折光学素子は、従来よりも長波長の赤外線(例えば780nm以上の赤外線)であっても所望の形状の回折光が得られ、且つ、当該回折光において0次光を抑制できる。また後述するように、このようにアスペクト比が比較的大きい回折光学素子は、透過型回折光学素子であることが好ましい。
ただし、本発明において回折格子部12の凹凸構造の凸部12aは、2値形状の場合と多段形状の場合がある。例えば、図10は回折格子部のアスペクト比について示す図であり、図10(a)は2値形状の凸部の断面模式図であり、図10(b)は多段形状(4−level)の凸部の断面模式図である。なお、凸部12aの根元21は、回折格子部を構成する樹脂の硬化物であってもよく、又は透明基材であってもよい。
そのため、本発明における凸部のアスペクト比は、以下のように定義される。
先ず、凸部が2値形状である場合のアスペクト比は、図10(a)に示すように、(凸部の高さH)/(凸部の高さの半分の高さ(H/2)の位置における凸部の幅W)と定義される。ここで、凸部の高さHとは、凸部12aの頂上から凹部12b(隣接する他の凸部との間にある谷底の位置)までの高低差を意味する。
また、凸部が多段形状である場合のアスペクト比は、図10(b)に示すように、(凸部の高さH)/(凸部の最小加工幅Wmin)と定義される。ここで、本発明における凸部の最小加工幅Wminとは、図10(b)に示すように、図中の高さhに相当する部分、つまり、多段形状の凸部の中腹にある平坦部のなかで最も高い位置の平坦部から、当該多段形状の凸部の頂上までの部分に注目し、この部分の2分の1高さの位置(h/2)における幅と定義される。別の言い方をすれば、図10(b)に示すように、凸部の最上段の平坦部(高さ:H)を上端とし、凸部の上から2段目の平坦部(高さ:H−h)を下端として、下端から半分の高さ(h/2)における幅が、その凸部の最小加工幅Wminである。
したがって、本発明において、2値形状の凸部である場合と多段形状の凸部である場合の両方を包含する広義の「凸部のアスペクト比」とは、当該凸部の頂上を上端と定め、当該凸部と隣接する他の凸部との間にある谷底の位置、又は、凸部の頂上から最も近い平坦部の位置のうち凸部の頂上から近い方を下端と定めるとき、当該凸部の下端から上端に向かって、上端と下端の高低差の半分に当たる高さの位置における当該凸部の幅に対する当該凸部の高さの比であると定義される。
アスペクト比をこのように定義することで、回折格子部を光学的に緻密に設計でき、かつ凸部の金型からの抜けやすさと凸部のアスペクト比との相関性を高くすることができる。
凸部の高さH、幅W及び最小加工幅Wminは、例えば、回折格子部の断面形状のSEM画像から算出できる。
一般に、回折格子の形状は光の波長、光が透過する材料の屈折率(差)、及び必要とする回折角で決まる。例えば空気中で屈折率1.5の材料を用い、レーザー光を回折光学素子の回折格子部の側の面に垂直入射させる場合、光の波長が長くなるほど最適な回折格子の溝の深さは深くなり、波長850nmの赤外線に対しては850nmの深さが必要となる。即ち本発明の回折光学素子においては、回折格子部の断面形状において、前記凸部は、高さ850nm以上の部分を含むことが好ましく、活性エネルギー線による硬化収縮(例えば10%)を加味すると高さ944nm以上となることがより好ましく、製造誤差(例えば5%)を加味すると高さ994nm程度とすることが好ましい。
また、回折角30°の方向に光を回折させるためには、凸部のアスペクト比は1.1程度、70°の方向に回折させるにはアスペクト比は2.1程度あればよい。
しかしこれは光を1方向のみに回折させる場合であり、実際にセンサーの光源として使う場合にはある所定の領域に対して均一に回折光を行き渡らせる必要がある。そのためには種々の回折角度、回折方向を持った領域を複雑に組み合わせる必要があるが、その結果としてピッチがλ/4まで狭くなる領域が含まれてしまう。ここで回折格子の最適深さは光の波長と屈折率、level数で決まるため、ピッチが狭くなることでアスペクト比は2.1以上となり、時には4を越えることもある。例えば、850nmのレーザー光に対し、材質を石英とし、長辺±50°×短辺±3.3°に広がる矩形の拡散形状を2−levelで設計する場合には、回折格子の原版の最適深さは994nm、最も細かい形状のピッチを212nmとした場合、最大アスペクト比は4を越える。
これらの設計は、例えば厳密結合波解析(RCWA)アルゴリズムを用いたGratingMOD(Rsoft社製)や、反復フーリエ変換アルゴリズム(IFTA)を用いたVirtuallab(LightTrans社製)などの各種シミュレーションツールを用いて行うことができる。光源がレーザーでなくLEDの場合には、斜めの入射光を考慮した設計を行えばよい。
波長780nm以上の赤外線を所望の形状に整形することができるという点から、凸部は、アスペクト比が1以上である部分を有することが好ましい。
図11は本発明に係る回折光学素子の回折格子部の例を示す断面図である。
図11に示す例は、いずれも、凸部の断面形状が先細り形状となっており、このため、製造時における金型からの離型性に優れている。
凸部12aの太さは、その先端から根元にかけて断続的に増加してもよいし(図11(a))、その先端から根元にかけて連続的に増加してもよい(図11(b))。
また、回折光学素子の回折効率を上げるには、回折格子部の断面形状を、通常の2値(2−level:図11(b))から多段形状(4−level(図11(c))、8−level(図11(d)))と増やすのが効果的である。しかし、回折格子部の断面形状の段数を増やしすぎると、金型作成工程が複雑となりコストアップにつながるため、本発明においては、2値〜8値の中から適宜選択することが好ましい。
回折格子部の断面形状の段数を増やすほど、溝深さは深くなる。例えば、前記アクリル系樹脂組成物の硬化物の屈折率が1.5である場合、4−levelのときの溝深さは対象波長の1.5倍であり、8−levelのときの溝深さは対象波長の1.75倍である。対象波長が長いほど、必要となる溝深さは深いため加工の難易度も増す。
設計の際に設定される最小加工溝幅は、通常、対象波長の1/4程度である。効率を上げるため、最小加工溝幅をさらに細かくしてもよい。ただし、最小加工溝幅が細かすぎる場合には加工が難しく時間もかかるため、最小加工溝幅は、80〜100nm程度とするのが好ましい。
本発明の回折光学素子において、凸部12aをライン(L)、凹部12bをスペース(S)としたときのライン&スペース比(L/S)は特に限定されない。ライン&スペース比(L/S)は、下記式(A)より求められる。
式(A) (L/S)=l/(l+s)
(上記式(A)中、(L/S)はライン&スペース比を、lはライン幅(nm)を、sはスペース幅(nm)を、それぞれ示す。)
ライン&スペース比(L/S)は、所望の回折光が得られるように適宜設定すればよい
ものであるが、例えば、0.1〜0.9の範囲で適宜設定することができ、回折効率の点
から0.4〜0.6の範囲が好ましい。
本発明において回折格子部12は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物である、特定のアクリル系樹脂組成物の硬化物から構成されている。
ここで、回折格子部12を構成するアクリル系樹脂組成物の硬化物も、透明基材11を構成する熱可塑性樹脂も、両者とも樹脂であり、このアクリル系樹脂組成物の硬化物の屈折率は、空気の屈折率よりも、透明基材11を構成する熱可塑性樹脂の屈折率の数値に近い。
例えば、空気の屈折率の数値が、0℃、1気圧で1.00であるのに対し、回折格子部12を構成するアクリル系樹脂組成物の硬化物の屈折率の数値は、1.45〜1.80であり、透明基材11を構成する熱可塑性樹脂の屈折率の数値は、1.48〜1.53である。
それゆえ、透明基材11の第1面(11a)が、330nm以上1300nm以下の表面粗さ(Ra)を有していても、この第1面(11a)を回折格子部12で被覆することで、両者の界面における屈折率の差を小さくして、回折光学素子の透過率を高くすることができる。
回折格子部12を構成するアクリル系樹脂組成物の硬化物の260℃における貯蔵弾性率(E’)は、3.4×109Pa以上9.6×109Pa以下であることが好ましい。リフロー処理を施しても、凹凸構造の変形を抑制できるからである。
本発明において貯蔵弾性率(E’)は、JISK7244に準拠して、以下の方法により測定される。まず、測定用のテストピースを調製する。テストピースは、回折光学素子の回折格子部から適切な寸法に切り出すことにより得られる。または、アクリル系樹脂組成物に対し、積算光量が1,000mJ/cm2になるように紫外線を照射することによって十分に硬化させることにより、適切な寸法の単膜が得られ、これをテストピースとすることもできる。
次に、温度260℃の条件等に基づき動的粘弾性を測定することにより、260℃における貯蔵弾性率(E’)が求められる。測定装置としては、例えば、UBM製Rheogel E4000を用いることができる。
また、回折格子部12の凹凸構造の凸部のマルテンス硬度は120MPa以上610MPa以下であることが好ましい。スティッキングを防止し、高温下での形状保持に効果があるからである。なお、スティッキングとは、微細パターン間から水分が抜ける際に発生するメニスカス力により、隣り合うパターン同士がくっついたり、離れたりする現象である。
マルテンス硬度の測定には、例えば、TI950 TriboIndenter(BRUKER社製)を用いることができる。
また、回折格子部12を構成するアクリル系樹脂組成物の硬化物の復元率は、50%以上82%以下であることが好ましい。パターンもげを防止し、高温下での形状保持に効果があるからである。なお、ここでいう「パターンもげ」とは、回折格子部12の凹凸構造の凸部の一部が折れて取れるか、又は凸部の全部が根元から抜けることを意味する。
上記の復元率は、JIS Z2244(2003)に準拠し、かつ最大荷重0.2mN、保持時間10秒の測定条件下にて行われるビッカース硬さ試験により測定されるものである。
より詳しくは、JIS Z2244(2003)に準拠し、下記測定条件下にてビッカース硬さ試験を実施する。具体的には、テストピース表面に、下記測定条件で圧子を押し込んで、テストピース表面の復元率(%)を測定する。測定装置には、例えば、フィッシャーインストルメンツ社製PICODENTER HM−500を使用することができる。
なお、復元率の測定に供するアクリル系樹脂組成物の硬化物としては、回折光学素子から切り出したテストピースを用いてもよいし、アクリル系樹脂組成物を別途重合させて得られたテストピースを用いてもよい。
<測定条件>
・最大荷重 0.2mN
・荷重速度 0.2mN/10秒
・保持時間 10秒間
・荷重除荷速度 0.2mN/10秒
・圧子 ビッカース圧子
・測定温度 25℃
湿熱条件下における耐スティッキング性を有し、かつパターンもげの少ない回折光学素子を得やすいという理由から、前記アクリル系樹脂組成物は、ウレタン結合を含むものであることが好ましい。また、同様の理由から、前記アクリル系樹脂組成物は、4官能以上の(メタ)アクリレートと、2官能の(メタ)アクリレートを含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であることが好ましい。
これらの中でも、4官能以上のウレタン(メタ)アクリレートは、得られる硬化物の湿熱条件下における貯蔵弾性率(E’)を高める傾向があり、2官能ウレタン(メタ)アクリレートは、得られる硬化物の湿熱条件下における貯蔵弾性率(E’)を下げる傾向がある。したがって、得られる硬化物の湿熱条件下における貯蔵弾性率(E’)を所望の値に調節できるため、湿熱条件下における耐スティッキング性を有し、かつパターンもげの少ない回折光学素子がより得られやすいという点で、前記アクリル系樹脂組成物は、4官能以上のウレタン(メタ)アクリレートと、2官能のウレタン(メタ)アクリレートを含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であることがより好ましい。
前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、水分に弱い材料、又は水を吸って膨潤しやすい材料を可能な限り含まない方が好ましい。なぜなら、このような材料を多く含む場合、得られる回折光学素子の耐スティッキング性が低下するおそれがあるためである。
水分に弱い材料としては、例えば、水と反応することにより分解する公知の材料が挙げられる。また、水を吸って膨潤しやすい材料としては、例えば親水性の高い材料が挙げられ、より具体的には、ビニルピロリドン、アクリル酸アンモニウム、カルボキシエチルアクリレート等が挙げられる。
前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物全体を100質量%としたとき、水分に弱い材料、及び水を吸って膨潤しやすい材料の総含有割合は、好適には10質量%以下であり、より好適には5質量%以下であり、さらに好適には1質量%以下であり、特に好適には0質量%である。
以下、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に含まれる各成分について説明する。
4官能以上の(メタ)アクリレートとは、(メタ)アクリロイル基を1分子中に4個以上有する多官能アクリレートを意味する。4官能以上の(メタ)アクリレートには、モノマー及びポリマーの両方が含まれる。
4官能以上の(メタ)アクリレートとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ウレタンヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、オリゴエステルテトラ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールポリアクリレート;並びに、これらのエチレンオキサイド変性化合物、プロピレンオキサイド変性化合物、及びε−カプロラクトン変性化合物等が挙げられる。特に、エチレンオキサイド変性化合物、プロピレンオキサイド変性化合物、及びε−カプロラクトン変性化合物について、変性数n≦6であることが好ましい。なぜなら、変性数n>6の場合には、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物が柔らかくなりすぎる傾向にあり、スティッキングが生じやすくなるおそれがあるためである。これらの4官能以上の(メタ)アクリレートは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
4官能以上の(メタ)アクリレートの含有量は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の全硬化性成分に対して、40質量%以上80質量%以下であることが好ましく、55質量%以上65質量%以下であることがより好ましい。
化学結合による架橋密度を高め、網目構造を密にすることにより、得られる回折光学素子の形状保持性と耐熱性を高める点から、4官能以上の(メタ)アクリレートは、4官能以上のウレタン(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。この場合のウレタン結合の位置や個数、(メタ)アクリロイル基が分子末端にあるか否か等は特に限定はない。分子中に(メタ)アクリロイル基を6個以上有する化合物が特に好ましく、10個以上有する化合物が更に好ましい。また、分子中の(メタ)アクリロイル基の個数の上限は特に限定はないが、15個以下が特に好ましい。ウレタン(メタ)アクリレート分子中の(メタ)アクリロイル基の数が少なすぎると、得られる硬化物の硬化性が低下し、貯蔵弾性率が小さくなる場合がある。一方、ウレタン(メタ)アクリレート分子中の(メタ)アクリロイル基の数が多すぎると、重合による(メタ)アクリロイル基の炭素間二重結合消費率、すなわち反応率が十分に上がらない場合がある。
4官能以上のウレタン(メタ)アクリレートの構造は特に限定はないが、湿熱条件下における耐スティッキング性に優れ、かつパターンもげがより少ないという点から、多価イソシアネート化合物(a)のイソシアネート基と、分子中に1個の水酸基と2個以上の(メタ)アクリル基を有する化合物(b)の水酸基とがウレタン結合した化合物であることが好ましい。
ここで、多価イソシアネート化合物(a)中のイソシアネート基は、そのほぼ全てが、前記化合物(b)中の水酸基とウレタン結合を形成することが好ましい。
この場合の多価イソシアネート化合物(a)としては特に限定はなく、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物が挙げられる。分子中に2個のイソシアネート基を有する化合物としては、例えば、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4'−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。また、分子中に3個のイソシアネート基を有する化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等を変性してなるトリメチロールプロパン付加アダクト体、ビューレット体、イソシアヌレート体等が挙げられる。このうち、本発明には、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が特に好ましい。
分子中に1個の水酸基と2個以上の(メタ)アクリル基を有する化合物(b)としては、特に限定はないが、分子中に3個以上(p個とする)の水酸基を有する化合物(b−1)の水酸基に、(メタ)アクリル酸が(p−1)個反応した化合物;グリシジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸が開環反応した化合物等が挙げられる。
ここで、「分子中に1個の水酸基と2個以上の(メタ)アクリル基を有する化合物(b)」には、該化合物が2種以上の化合物を部分的に反応させて製造される場合に、分子中に2個以上の水酸基を有する化合物が混入する場合や、(メタ)アクリル基1個を有する化合物が混入する場合をも含むものとする。
化合物(b)のうち、「分子中にp個(pは3以上の整数)の水酸基を有する化合物(b−1)に、(メタ)アクリル酸が(p−1)個反応した化合物」における、「分子中に3個以上の水酸基を有する化合物(b−1)」としては特に限定はないが、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、テトラメチロールエタン、ジグリセリン、ジトリメチロールエタン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、ジテトラメチロールエタン;これらのエチレンオキサイド変性化合物;これらのプロピレンオキサイド変性化合物;イソシアヌル酸のエチレンオキサイド変性化合物、プロピレンオキサイド変性化合物、ε−カプロラクトン変性化合物;オリゴエステル等が挙げられる。
化合物(b−1)における水酸基の数は、得られるウレタン(メタ)アクリレート中の官能基の数を多くできる点で、4個以上が特に好ましく、6個以上が更に好ましい。具体的には例えば、ジグリセリン、ジトリメチロールエタン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、ジテトラメチロールエタン等が特に好ましい。
ジグリセリンを例にとると、ジグリセリンの4個の水酸基のうちの3個の水酸基に(メタ)アクリル酸が反応することによって、分子中に1個の水酸基と2個以上の(この場合は3個の)(メタ)アクリル基を有する化合物(b)が合成される。更に、多価イソシアネート化合物(a)が、イソホロンジイソシアネートである場合を例にとると、イソホロンジイソシアネートの2個のイソシアネート基に、上記水酸基を1個と2個以上の(メタ)アクリル基を有する化合物(b)が2個反応し、「4官能以上のウレタン(メタ)アクリレート」が合成される。このとき、分子中に1個の水酸基と3個の(メタ)アクリル基を有する化合物(b)がイソホロンジイソシアネートに反応すれば、結果として、分子中に(メタ)アクリル基を6個有する「4官能以上のウレタン(メタ)アクリレート」が合成される。
2官能の(メタ)アクリレートとは、(メタ)アクリロイル基を1分子中に2個有する多官能アクリレートを意味する。
2官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート等の直鎖アルカンジオールジ(メタ)アクリレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(ポリエチレングリコール#200ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール#300ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール#400ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール#600ジ(メタ)アクリレート等)、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール#400ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール#700ジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノベンゾエート等の3価以上のアルコールの部分(メタ)アクリル酸エステル;ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、水素化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性水素化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性水素化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、PO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、EO変性テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等のビスフェノール系ジ(メタ)アクリレート;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールPO変性ジ(メタ)アクリレート;ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのカプロラクトン付加物ジ(メタ)アクリレート;1,6−ヘキサンジオールビス(2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピル)エーテル;トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジ(メタ)アクリレート;プロピレンジ(メタ)アリレート;フタル酸ジ(メタ)アクリレート;トリシクロデカンメタノールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの2官能の(メタ)アクリレートは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
2官能(メタ)アクリレートの含有量は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の全硬化性成分に対して、10質量%以上60質量%以下であることが好ましく、30質量%以上45質量%以下であることがより好ましい。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物が適度な硬さを有する点から、前記2官能の(メタ)アクリレートの分子量(Mw)は、好適には100以上5,000以下であり、より好適には100以上4,000以下、更に好適には100以上2,000以下である。前記2官能の(メタ)アクリレートの分子量(Mw)が100以上の場合には、前記硬化物が適度な柔軟性を有する結果、得られる回折光学素子の耐スティッキング性がより良好となる。また、前記2官能の(メタ)アクリレートの分子量(Mw)が5,000以下の場合には、前記硬化物が適度な硬さを維持できる結果、得られる回折光学素子においてパターンもげが生じ難い。
2官能の(メタ)アクリレートは、2官能のウレタン(メタ)アクリレートを含んでいてもよい。2官能のウレタン(メタ)アクリレートの含有量は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の全硬化性成分に対して、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましく、0質量%であることが特に好ましい。
2官能の(メタ)アクリレートは、2官能のウレタン(メタ)アクリレート以外の2官能の(メタ)アクリレートを含んでいてもよい。2官能のウレタン(メタ)アクリレート以外の2官能の(メタ)アクリレートの含有量は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の全硬化性成分に対して、10質量%以上50質量%以下であることが好ましく、20質量%以上45質量%以下であることがより好ましい。
2官能のウレタン(メタ)アクリレートは、分子の両末端にそれぞれ1個ずつの(メタ)アクリル基を有する2官能のウレタン(メタ)アクリレートであることが好ましい。
かかる2官能のウレタン(メタ)アクリレートの化学構造には特に限定はなく、その重量平均分子量は、1,000以上30,000以下であることが好ましく、2,000以上5,000以下であることが特に好ましい。分子量が小さすぎると、柔軟性が低下する場合があり、分子量が大きすぎると、貯蔵弾性率の低下をまねく場合がある。
かかる2官能ウレタン(メタ)アクリレートとしては特に限定はないが、以下のものが特に好ましい。すなわち、両末端が水酸基、アミノ基等のポリマー若しくはオリゴマー(c)の両末端に、ジイソシアネート化合物(d)を反応させ、得られた「両末端にイソシアネート基を有するポリマー若しくはオリゴマー」に、更に、分子中に水酸基と(メタ)アクリル基を有する化合物(e)を、その両末端に反応させたものが特に好ましい。
両末端が水酸基のポリマー若しくはオリゴマー(c)としては特に限定はないが、例えば、エステルオリゴマー、エステルポリマー、ウレタンオリゴマー、ウレタンポリマー、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。このうち、特に好ましくは、エステルオリゴマーやエステルポリマーが挙げられる。かかるオリゴマーやポリマーの分子量は特に限定はないが、重量平均分子量として、1,000〜5,000の範囲が硬化性の点で好ましく、2,000〜3,000が特に好ましい。
上記エステルのジオール成分としては特に限定はないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、2,2’−チオジエタノール等が挙げられる。特に好ましくは、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等である。
上記エステルのジカルボン酸成分としては特に限定はないが、蓚酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸等のアルキレンジカルボン酸;テレフタル酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。特に好ましくは、アジピン酸、テレフタル酸等である。
かかるポリマー又はオリゴマーの両末端に反応させるジイソシアネート化合物(d)としては、特に限定はなく、上記の多価イソシアネート化合物(a)の項目で記載したうちのジイソシアネート化合物と同様のものが使用できる。特に好ましくは、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
更に、上記で得られた両末端にイソシアネート基を有するポリマー若しくはオリゴマーの両末端に反応させる、「分子中に水酸基と(メタ)アクリル基を有する化合物(e)」としては特に限定はないが、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、4官能以上の(メタ)アクリレート、2官能の(メタ)アクリレート以外にも、単官能の(メタ)アクリレート、及び/又は3官能の(メタ)アクリレートを含んでいてもよい。単官能の(メタ)アクリレートとは、(メタ)アクリロイル基を1分子中に1個有するアクリレートを意味する。3官能の(メタ)アクリレートとは、(メタ)アクリロイル基を1分子中に3個有する多官能アクリレートを意味する。
しかし、単官能の(メタ)アクリレート及び3官能の(メタ)アクリレートの含有量は、少なければ少ないほどよい。具体的には、単官能の(メタ)アクリレート及び3官能の(メタ)アクリレートの総含有量は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の全硬化性成分に対して、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、0質量%であることがさらに好ましい。
単官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、フェノキシエチルアクリレート、トリメチルシクロヘキサノールアクリレート、イソボルニルアクリレート、フェニルフェノールアクリレート、ノニルフェノールアクリレート等が挙げられる。
3官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、グリセリンPO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ε−カプロラクトン変性トリ(メタ)アクリレート、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−s−トリアジン、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートトリプロピオネート等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中の硬化性成分は、その分子量の大小に依存する架橋密度が、湿熱条件下における貯蔵弾性率を決定する一因となる場合がある。
アクリル系樹脂組成物は、必要に応じて1種類または2種類以上の光重合開始剤を含有してもよい。当該光重合開始剤の含有量は、通常、アクリル系樹脂組成物の全固形分に対して0.2〜15質量%であり、0.3〜13質量%であることが好ましく、0.5〜10質量%であることが更に好ましい。
光重合開始剤としては特に限定はないが、ラジカル重合に対して従来用いられている公知のもの、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、アルキルアミノベンゾフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、ベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルアセタール類、ベンゾイルベンゾエート類、α−アシロキシムエステル類等のアリールケトン系光重合開始剤;スルフィド類、チオキサントン類などの含硫黄系光重合開始剤;アシルジアリールホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシド類;アントラキノン類等が挙げられる。また、光増感剤を併用させることもできる。
アクリル系樹脂組成物は、離型剤(離型性を有する材料)を含有することが好ましい。
離型剤は、アクリル系樹脂組成物の硬化物の離型性を向上させることにより、当該硬化物のパターンもげを抑えることができる。それと共に、離型剤の種類を適切に選択することによって、前記硬化物の貯蔵弾性率(E’)を所望の範囲に調整することができ、当該硬化物に耐スティッキング性を付与することもできる。すなわち、離型剤は、前記硬化物におけるパターンもげの抑制とスティッキング防止の両面において、より良い効果をもたらす。
また、アクリル系樹脂組成物の硬化物を形成する段階においては、離型剤の添加により、離型時における樹脂詰まりによる金型寿命の低下を防ぐことができる。
離型剤は、回折光学素子の製造に通常用いられるものであれば、特に限定されない。離型剤は、必要に応じてシリコーン系、フッ素系、リン酸系などの公知の離型剤から適宜選定して使用することができる。またこれら離型剤はアクリル系樹脂組成物の架橋構造に固定されるものや遊離した状態で存在するものを用途に応じて選定できる。
中でも、離型剤としては、非反応性シリコーン、反応性シリコーン、リン酸系離型剤を使用することが好ましく、これらの中では非反応性シリコーンがより好ましい。
非反応性シリコーンとしては、KF−352A、KF−354L、KF−4003、KF−412、KF−413、KF−414、KF−415、KF−4701、KF−4917、KF−53、KF−54、KF−6004、KF−643、KF−7235B、X−22−1877、X−22−2516、X−22−7322、PC−88A(以上商品名、信越シリコーン社製)、TEGO Glide 100、TEGO Glide 410、TEGO Glide 432、TEGO Glide 435、TEGO Glide 440、TEGO Glide 450、TEGO Glide ZG400(以上商品名、エボニックジャパン社製)等が挙げられる。
反応性シリコーンとしては、KF−2012、KF−393、KF−684、KF−8002、KF−8004、KF−8005、KF−8021、KF−860、KF−861、KF−865、KF−867、KF−868、KF−869、KF−869、KF−877、KF−880、KF−889、KF−99、KF−9901、X−22−170、X−22−173、X−22−174、X−22−176、X−22−2404、X−22−2426、X−22−3939A(以上商品名、信越シリコーン社製)、TEGO Rad 2010、TEGO Rad 2011、TEGO Rad 2100、TEGO Rad 2200N、TEGO Rad 2250、TEGO Rad 2300、TEGO Rad 2500、TEGO Rad 2650、TEGO Rad 2700、TEGO Rad 2800(以上商品名、エボニックジャパン社製)等が挙げられる。
アクリル系樹脂組成物は、少なくとも上記活性エネルギー線硬化性成分を含有していればよく、必要に応じて、更に他の成分を含有してもよい。
他の成分としては、帯電防止剤や、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤などを複数添加することができる。帯電防止剤は加工プロセスや使用時のほこり付着防止に有効であり、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤は耐久性向上に有効である。光を吸収する材料を添加する場合は、回折光学素子の対象波長に影響を与えないよう配慮が必要である。耐熱性を改善させる目的でシルセスキオキサン等の無機材料との複合化なども有効である。
また、アクリル系樹脂組成物は環境への配慮から溶剤を実質的に含有しないことが好ましいが、基材への密着や粘度調整、面質改善などを考慮して溶剤を含有するものであってもよい。溶剤を含有する場合は基材ないし金型に樹脂を塗布後、溶剤を乾燥させた後に賦型する。
さらに、アクリル系樹脂組成物は、アクリル樹脂以外の樹脂を含有していてもよい。アクリル系樹脂組成物は、例えば、アクリル樹脂以外のエチレン性不飽和二重結合をもつ化合物、具体的には、トリエチレングリコールジビニルエーテル、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル等のビニル系化合物等を含有していてもよい。
4.平滑部13
平滑部13は透明基材を構成する材料とは異なる材料からされ、透明基材11の第1面11a又は第2面11bの表面粗さを埋めて、表面を平滑にするために設けられる。この目的のため、平滑部13の表面粗さ(Ra)は、30nm以下であることが好ましい。
このように表面粗さ(Ra)が小さい平滑部13は、例えば、表面平滑(Ra≦30nm)な金型を用いてインプリントすることで形成することができる。
平滑部13は、回折格子部12または第2の回折格子部14と同じ材料から構成されていることが好ましい。平滑部13が、回折格子部12や第2の回折格子部14と同じアクリル系樹脂組成物の硬化物から構成されている場合、平滑部13の形成方法に、回折格子部12や第2の回折格子部14の形成方法と同じ装置が使え、製造性、経済性の点で有益である。
また、平滑部13が、回折格子部12や第2の回折格子部14と同じアクリル系樹脂組成物の硬化物から構成されている場合、両者の膜応力を同じ、若しくは同程度にする調整が、より容易になり、回折光学素子の変形をより防止することができるからである。
5.第2の回折格子部14
第2の回折格子部14は透明基材11を構成する材料とは異なる材料から構成され、回折格子部12と同様に、光を整形する作用効果を奏するものである。通常、第2の回折格子部14は回折格子部12とは異なる光学作用を奏するように設計される。
第2の回折格子部14は第2の凹凸構造を有しており、この第2の凹凸構造は、通常、回折格子部12が有する凹凸構造と異なるものになるが、用途によっては、同じものであってもよい。
第2の回折格子部14は、回折格子部12と同じ材料から構成されていることが好ましい。第2の回折格子部14が、回折格子部12と同じアクリル系樹脂組成物の硬化物から構成されている場合、第2の回折格子部14の形成方法に、回折格子部12の形成方法と同じ装置が使え、製造性、経済性の点で有益である。
また、第2の回折格子部14が、回折格子部12と同じアクリル系樹脂組成物の硬化物から構成されている場合、両者の膜応力を同じ、若しくは同程度にする調整が、より容易になり、回折光学素子の変形をより防止することができるからである。
6.屈折部15
屈折部15は透明基材11を構成する材料とは異なる材料から構成され、連続的に膜厚が変化することで、レンズのように光を屈折する作用効果を奏するものである。
このように連続的に膜厚が変化する屈折部15は、例えば、屈折部15とは凹凸関係が逆になる金型を用いてインプリントすることで形成することができる。
屈折部15は、回折格子部12と同じ材料から構成されていることが好ましい。屈折部15が、回折格子部12と同じアクリル系樹脂組成物の硬化物から構成されている場合、屈折部15の形成方法に、回折格子部12の形成方法と同じ装置が使え、製造性、経済性の点で有益である。
また、屈折部15が、回折格子部12と同じアクリル系樹脂組成物の硬化物から構成されている場合、両者の膜応力を同じ、若しくは同程度にする調整が、より容易になり、回折光学素子の変形をより防止することができるからである。
7.回折光学素子の製造方法
次に、本発明に係る回折光学素子の製造方法について、説明する。
(第1の実施形態)
本発明に係る回折光学素子の製造方法の第1の実施形態は、第1面と、第1面とは反対側の第2面と、を有する透明基材の第1面の側に、透明基材を構成する材料とは異なる材料から構成され、凹凸構造を有する回折格子部を備え、光源からの光を整形する回折光学素子の製造方法であって、凹凸構造を形成するためのキャビティを有する金型を準備する工程(以下、金型準備工程という)と、金型のキャビティに、アクリル系樹脂組成物であって、当該アクリル系樹脂組成物に対し積算光量が1000mJ/cm2になるように紫外線を照射し硬化させて得られる硬化物サンプルの260℃における貯蔵弾性率が、3.4×109Pa以上9.6×109Pa以下であるアクリル系樹脂組成物を充填する工程(以下、アクリル系樹脂組成物充填工程という)と、金型のキャビティ開口部側において、透明基材の第1面の側とアクリル系樹脂組成物とを接触させ、かつ活性エネルギー線を照射することにより、アクリル系樹脂組成物を硬化させる工程(以下、アクリル系樹脂組成物硬化工程という)と、透明基材から金型を引き離すことにより、透明基材の第1面の側にアクリル系樹脂組成物の硬化物で形成された凹凸構造を有する回折格子部を形成する工程(以下、離型工程という)と、を備え、透明基材は熱可塑性樹脂から構成されており、
透明基材を構成する熱可塑性樹脂の260℃における貯蔵弾性率(E’)が、6.2×107Pa以上4.0×108Pa以下であり、透明基材の前記第1面の表面粗さ(Ra)が330nm以上1300nm以下であり、第2面の表面粗さ(Ra)が100nm以上330nm未満である、回折光学素子の製造方法である。
図12〜図13は、本発明に係る回折光学素子の製造方法の一例を示す図である。
まず、図12(a)に示されるように、目的とする回折格子部の表面構造に対応する形状のキャビティを有する金型31を準備する(金型準備工程)。
次に、図12(b)及び図12(c)に示されるように、金型31のキャビティ31aに、アクリル系樹脂組成物32を充填する(アクリル系樹脂組成物充填工程)。充填方法は特に限定されず、従来公知の方法を適宜選択すればよい。例えば、図12(b)及び図12(c)に示されるように、金型31の表面にアクリル系樹脂組成物32を塗布することにより、アクリル系樹脂組成物32をキャビティ31aに充填してもよい。より具体的な例としては、まず、金型31の表面にアクリル系樹脂組成物32を載置し(図12(b))、その上から透明基材33を載置する。次にその上から加圧ローラ34により透明基材33越しにアクリル系樹脂組成物32を金型31表面に均一に延ばして塗布し(図12(c))、キャビティ31a内にアクリル系樹脂組成物32を充填する。図12(c)及び図13(d)に示すように、アクリル系樹脂組成物32の一部は金型31のキャビティ31aからはみ出していてもよい。アクリル系樹脂組成物32のはみ出た部分が、硬化後に基部となる。また、アクリル系樹脂組成物32の全てが金型31のキャビティ31aに充填されてもよい。
続いて、図13(d)に示されるように、金型31のキャビティ開口部側から、アクリル系樹脂組成物32の塗膜に対し活性エネルギー線35を照射して、アクリル系樹脂組成物32を硬化させる(アクリル系樹脂組成物硬化工程)。なお、透明基材とアクリル系樹脂組成物との接触は、アクリル系樹脂組成物の充填と同時期に行ってもよいし、アクリル系樹脂組成物の充填よりも後に行ってもよい。
その後、図13(e)に示されるように、得られた硬化物36を金型31から離型することにより、回折光学素子が得られる(離型工程)。
以下、当該製造方法の各工程の詳細について説明する。なお、前記本発明の回折光学素子と同様の説明については省略する。
(1)金型準備工程
回折光学素子製造用金型は、レーザーリソグラフィや電子線リソグラフィ、FIB(Focused Ion Beam)などの技術によって加工することができるが、通常は電子線リソグラフィが好適に用いられる。
材質は高アスペクト比の加工が可能なものであれば使用可能であるが、通常は石英やSiが用いられる。また、これらの金型から樹脂で複製したコピー金型(ソフトモールド)や、Ni電鋳で複製したコピー金型を使用することも可能である。
また必要に応じて、金型表面には離型処理を施すことができる。フッ素系やシリコン系などの離型剤、ダイヤモンドライクカーボン、Niめっきなどが適用可能である。処理手法は蒸着やスパッタ、ALD(Atomic Layer Deposition)などの気相処理、コーティングやディッピング、めっきなどの液相処理などから適宜選択できる。
回折光学素子に必要とされる外形の形状は通常数mm角〜数cm角と小さいため、1つの金型内に複数の回折格子部の形状を並べて加工することにより複製の効率を上げることができる。スループットを重視する場合は、上記の金型またはコピー金型を並べて複製し、多面付の金型として賦型に供してもよい。
アクリル系樹脂組成物の硬化時の体積変化が問題になる場合はそれを補正して金型設計を行うこともできる。また離型のしやすさを考慮し、金型の微細構造の奥より開口部側の間口が広くなる構造としてもよい(図11(a)〜(d))。この場合、得られた回折光学素子の回折格子部は表面側が細くなる形となる。
また、本発明の回折光学素子は、通常、異なる周期構造の領域が複数存在するため、1つの回折光学素子に対しピッチ(間口)が異なる溝が複数含まれることになるが、このような金型を作る場合、ピッチ(間口)に応じてドライエッチングでの深さがバラつく傾向がある。しかしこのようなばらつきは効率の低下につながるため、加工プロセスの最適化を行い、所望する深さの±10%以下に抑えることが重要である。
アスペクト比が1以上の凸部を形成する場合には、凸部の高さばらつきが生じやすい傾向にある。その場合、金型の深さを、設計値よりやや深く狙って作製することにより、高さばらつきを持ちながらも所望の光学特性を持った回折光学素子が得られやすくなる。
(2)アクリル系樹脂組成物充填工程
前述の例は、金型側にアクリル系樹脂組成物の塗膜を形成するものであったが、透明基材側に塗膜を形成してもよい。塗膜の形成方法は、前述の例の他、ダイコートやバーコート、グラビアコート、スピンコートなど従来公知の塗布方法から好適なものを選定することができる。
透明基材は、枚葉のものであってもよく、また長尺なものを用いてロールトゥロール方式により塗布工程、アクリル系樹脂組成物硬化工程、及び離型工程を順次行ってもよい。金型が曲げにくい硬質の材料である場合は、透明基材は柔軟性があるものが泡をかみにくく好ましい。逆に透明基材として硬質なものを用いる場合は、金型はソフトモールドを使うのが好ましい。
(3)アクリル系樹脂組成物硬化工程
透明基材とアクリル系樹脂組成物とを接触させる工程(以下、接触工程という。)と、アクリル系樹脂組成物に活性エネルギー線を照射する工程(以下、照射工程という。)とは、同時に行ってもよいし、接触工程を照射工程より先に行ってもよい。
紫外線や電子線の照射は1回で照射しても複数回に分けて照射してもよく、複数回に分ける場合はある程度硬化させて離型した後に追加照射してもよい。
(4)離型工程
上述したように、本発明の製造方法では特定のアクリル系樹脂組成物を使用するため、透明基材から金型を引き離す際にパターンもげを少なく抑えることができる。特に、得られる回折光学素子において、凸部のアスペクト比が1以上の場合には、従来は離型時にパターンもげが生じやすかったが、本発明の製造方法によればこのようなパターンもげを少なく抑えることができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明に係る回折光学素子の製造方法の第2の実施形態について説明する。
なお、上述した本発明に係る回折光学素子の製造方法の第1の実施形態と重複する内容については、適宜説明を省略する。
本発明に係る回折光学素子の製造方法の第2の実施形態は、上述した本発明に係る回折光学素子の製造方法の第1の実施形態が備える工程に加えて、透明基材の第2面の側に、アクリル系樹脂組成物の硬化物から構成される平滑部を形成する工程(以下、平滑部形成工程という)を備える製造方法である。
上記の平滑部形成工程は、平滑面を有する金型を準備する工程と、金型の平滑面に、アクリル系樹脂組成物を配設する工程と、金型の平滑面の側において、透明基材の第2面の側とアクリル系樹脂組成物とを接触させ、かつ活性エネルギー線を照射することにより、アクリル系樹脂組成物を硬化させる工程と、透明基材から金型を引き離す工程と、を備えることが好ましい。
上述した本発明に係る回折光学素子の製造方法の第1の実施形態と同様にして、透明基材の第2面の側に平滑部を形成することができるからである。
ここで、平滑部形成工程に使用する金型は、図14(a)に示すように、平滑面37aを有する金型37である。平滑面37aの表面粗さ(Ra)は30nm以下であることが好ましい。金型37を用いて形成される回折光学素子の平滑部の表面粗さ(Ra)を、30nm以下にすることができるからである。
金型37の材質は、上記のような平滑面37aを形成可能なものであれば使用可能であるが、上述した本発明に係る回折光学素子の製造方法の第1の実施形態で用いた金型31と同様に、通常は石英やSiが用いられる。また、これらの金型から樹脂で複製したコピー金型(ソフトモールド)や、Ni電鋳で複製したコピー金型を使用することも可能である。
なお、本実施形態の製造方法においては、第1面の側に形成する回折格子部と、第2面の側に形成する平滑部とを、別々の工程で形成してもよく、また、同じ工程で形成してもよい。
同じ工程で形成する場合は、金型31のキャビティ31aの開口部側において透明基材の第1面の側とアクリル系樹脂組成物とを接触させつつ、金型37の平滑面37aの側において透明基材の第2面の側とアクリル系樹脂組成物とを接触させた状態で、透明基材の第1面の側と第2面の側の両側に活性エネルギー線を照射することにより、第1面の側に回折格子部を形成しつつ、第2面の側に平滑部を形成することができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明に係る回折光学素子の製造方法の第3の実施形態について説明する。
なお、上述した本発明に係る回折光学素子の製造方法の第1の実施形態または第2の実施形態と重複する内容については、適宜説明を省略する。
本発明に係る回折光学素子の製造方法の第3の実施形態は、上述した本発明に係る回折光学素子の製造方法の第1の実施形態が備える工程に加えて、透明基材の第2面の側に、アクリル系樹脂組成物の硬化物から構成され、第2の凹凸構造を有する第2の回折格子部を形成する工程(以下、第2の回折格子部形成工程という)を備える製造方法である。
上記の第2の回折格子部形成工程は、第2の凹凸構造を形成するための第2のキャビティを有する金型を準備する工程と、金型の第2のキャビティに、アクリル系樹脂組成物を充填する工程と、金型の第2のキャビティの開口部側において、透明基材の第2面の側とアクリル系樹脂組成物とを接触させ、かつ活性エネルギー線を照射することにより、アクリル系樹脂組成物を硬化させる工程と、透明基材から金型を引き離す工程と、を備えることが好ましい。
上述した本発明に係る回折光学素子の製造方法の第1の実施形態と同様にして、透明基材の第2面の側に第2の回折格子部を形成することができるからである。
ここで、第2の回折格子部形成工程に使用する金型は、図14(b)に示すように、第2のキャビティ38aを有する金型38である。
この金型38の第2のキャビティ38aは、通常、上述した本発明に係る回折光学素子の製造方法の第1の実施形態で使用する金型31のキャビティ31aと異なるものになるが、用途によっては、同じものであってもよい。
金型37の材質は、高アスペクト比の加工が可能なものであれば使用可能であるが、上述した本発明に係る回折光学素子の製造方法の第1の実施形態で用いた金型31と同様に、通常は石英やSiが用いられる。また、これらの金型から樹脂で複製したコピー金型(ソフトモールド)や、Ni電鋳で複製したコピー金型を使用することも可能である。
なお、本実施形態の製造方法においては、第1面の側に形成する回折格子部と、第2面の側に形成する第2の回折格子部とを、別々の工程で形成してもよく、また、同じ工程で形成してもよい。
同じ工程で形成する場合は、金型31のキャビティ31aの開口部側において透明基材の第1面の側とアクリル系樹脂組成物とを接触させつつ、金型38の第2のキャビティ38aの開口部側において透明基材の第2面の側とアクリル系樹脂組成物とを接触させた状態で、透明基材の第1面の側と第2面の側の両側に活性エネルギー線を照射することにより、第1面の側に回折格子部を形成しつつ、第2面の側に平滑部を形成することができる。
(第4の実施形態)
次に、本発明に係る回折光学素子の製造方法の第4の実施形態について説明する。
なお、上述した本発明に係る回折光学素子の製造方法の第1の実施形態から第3の実施形態と重複する内容については、適宜説明を省略する。
本発明に係る回折光学素子の製造方法の第4の実施形態は、上述した本発明に係る回折光学素子の製造方法の第1の実施形態が備える工程に加えて、透明基材の第2面の側に、アクリル系樹脂組成物の硬化物から構成され、連続的に膜厚が変化する屈折部を形成する工程(以下、屈折部形成工程という)を備える製造方法である。
上記の屈折部形成工程は、連続的に深さが変化する湾曲面を有する金型を準備する工程と、金型の湾曲面に、アクリル系樹脂組成物を充填する工程と、金型の湾曲面の側において、透明基材の第2面の側とアクリル系樹脂組成物とを接触させ、かつ活性エネルギー線を照射することにより、アクリル系樹脂組成物を硬化させる工程と、透明基材から前記金型を引き離す工程と、を備えることが好ましい。
上述した本発明に係る回折光学素子の製造方法の第1の実施形態と同様にして、透明基材の第2面の側に屈折部を形成することができるからである。
ここで、屈折部形成工程に使用する金型は、図14(c)に示すように、湾曲面39aを有する金型39である。湾曲面39aは、形成する屈折部の形態に応じて、連続的に深さが変化する形態を有している。例えば、図14(c)に示す金型39の湾曲面39aは、図5に示す屈折部15とは、連続的な凸形状の向きが逆の関係にある。
湾曲面39aの形成方法は、レーザーリソグラフィや電子線リソグラフィ、FIB(Focused Ion Beam)などの他に、機械的加工や化学的エッチング技術によっても、加工することができる。
金型39の材質は、上記のような湾曲面39aを形成可能なものであれば使用可能であるが、上述した本発明に係る回折光学素子の製造方法の第1の実施形態で用いた金型31と同様に、通常は石英やSiが用いられる。また、これらの金型から樹脂で複製したコピー金型(ソフトモールド)や、Ni電鋳で複製したコピー金型を使用することも可能である。
なお、本実施形態の製造方法においては、第1面の側に形成する回折格子部と、第2面の側に形成する屈折部とを、別々の工程で形成してもよく、また、同じ工程で形成してもよい。
同じ工程で形成する場合は、金型31のキャビティ31aの開口部側において透明基材の第1面の側とアクリル系樹脂組成物とを接触させつつ、金型39の湾曲面39aの側において透明基材の第2面の側とアクリル系樹脂組成物とを接触させた状態で、透明基材の第1面の側と第2面の側の両側に活性エネルギー線を照射することにより、第1面の側に回折格子部を形成しつつ、第2面の側に屈折部を形成することができる。
(第5の実施形態)
次に、本発明に係る回折光学素子の製造方法の第5の実施形態について説明する。
なお、上述した本発明に係る回折光学素子の製造方法の第1の実施形態から第4の実施形態と重複する内容については、適宜説明を省略する。
本発明に係る回折光学素子の製造方法の第5の実施形態は、第1面と、第1面とは反対側の第2面と、を有する透明基材の第1面の側に、透明基材を構成する材料とは異なる材料から構成される平滑部を備え、透明基材の第2面の側に、透明基材を構成する材料とは異なる材料から構成され、凹凸構造を有する回折格子部を備え、光源からの光を整形する回折光学素子の製造方法であって、凹凸構造を形成するためのキャビティを有する第1の金型を準備する工程と、第1の金型のキャビティに、アクリル系樹脂組成物であって、当該アクリル系樹脂組成物に対し積算光量が1000mJ/cm2になるように紫外線を照射し硬化させて得られる硬化物サンプルの260℃における貯蔵弾性率が、3.4×109Pa以上9.6×109Pa以下であるアクリル系樹脂組成物を充填する工程と、第1の金型の前記キャビティの開口部側において、透明基材の第2面の側とアクリル系樹脂組成物とを接触させ、かつ活性エネルギー線を照射することにより、アクリル系樹脂組成物を硬化させる工程と、透明基材から第1の金型を引き離すことにより、透明基材の第2面の側にアクリル系樹脂組成物の硬化物で形成された凹凸構造を有する回折格子部を形成する工程と、平滑面を有する第2の金型を準備する工程と、第2の金型の平滑面に、アクリル系樹脂組成物を配設する工程と、第2の金型の平滑面の側において、透明基材の第1面の側とアクリル系樹脂組成物とを接触させ、かつ活性エネルギー線を照射することにより、アクリル系樹脂組成物を硬化させる工程と、透明基材から第2の金型を引き離すことにより、透明基材の前記第1面の側にアクリル系樹脂組成物の硬化物で形成された平滑部を形成する工程と、を備え、透明基材は熱可塑性樹脂から構成されており、透明基材を構成する熱可塑性樹脂の260℃における貯蔵弾性率(E’)が、6.2×107Pa以上4.0×108Pa以下であり、透明基材の第1面の表面粗さ(Ra)が330nm以上1300nm以下であり、第2面の表面粗さ(Ra)が100nm以上330nm未満である、回折光学素子の製造方法である。
ここで、上記の第1の金型は、上述した本発明に係る回折光学素子の製造方法の第1の実施形態で用いた金型31と同様とすることができる。そして、上述した本発明に係る回折光学素子の製造方法の第1の実施形態と同様にして、透明基材の第2面の側に回折格子部を形成することができる。
また、上記の第2の金型は、上述した本発明に係る回折光学素子の製造方法の第2の実施形態で用いた金型37と同様とすることができる。そして、上述した本発明に係る回折光学素子の製造方法の第2の実施形態と同様にして、透明基材の第1面の側に平滑部を形成することができる。
そして、本実施形態の製造方法により、図7(a)に例示した回折光学素子5等のような、本発明に係る回折光学素子の第5の実施形態の構成を有する回折光学素子を製造することができる。
ここで、上記の第2の金型が有する平滑面の表面粗さ(Ra)は30nm以下であることが好ましい。第2の金型を用いて形成される回折光学素子の平滑部13の表面粗さ(Ra)を、30nm以下にすることができるからである。
なお、本実施形態の製造方法においては、第1面の側に形成する平滑部と、第2面の側に形成する回折格子部を、別々の工程で形成してもよく、また、同じ工程で形成してもよい。
同じ工程で形成する場合は、第1の金型のキャビティの開口部側において透明基材の第2面の側とアクリル系樹脂組成物とを接触させつつ、第2の金型の平滑面の側において透明基材の第1面の側とアクリル系樹脂組成物とを接触させた状態で、透明基材の第1面の側と第2面の側の両側に活性エネルギー線を照射することにより、第1面の側に平滑部を形成しつつ、第2面の側に回折格子部を形成することができる。
(第6の実施形態)
次に、本発明に係る回折光学素子の製造方法の第6の実施形態について説明する。
なお、上述した本発明に係る回折光学素子の製造方法の第1の実施形態から第5の実施形態と重複する内容については、適宜説明を省略する。
本発明に係る回折光学素子の製造方法の第6の実施形態は、第1面と、第1面とは反対側の第2面と、を有する透明基材の第1面の側に、透明基材を構成する材料とは異なる材料から構成され、連続的に膜厚が変化する屈折部を備え、透明基材の第2面の側に、透明基材を構成する材料とは異なる材料から構成され、凹凸構造を有する回折格子部を備え、光源からの光を整形する回折光学素子の製造方法であって、凹凸構造を形成するためのキャビティを有する第1の金型を準備する工程と、第1の金型のキャビティに、アクリル系樹脂組成物であって、当該アクリル系樹脂組成物に対し積算光量が1000mJ/cm2になるように紫外線を照射し硬化させて得られる硬化物サンプルの260℃における貯蔵弾性率が、3.4×109Pa以上9.6×109Pa以下であるアクリル系樹脂組成物を充填する工程と、第1の金型の前記キャビティの開口部側において、透明基材の第2面の側とアクリル系樹脂組成物とを接触させ、かつ活性エネルギー線を照射することにより、アクリル系樹脂組成物を硬化させる工程と、透明基材から第1の金型を引き離すことにより、透明基材の第2面の側にアクリル系樹脂組成物の硬化物で形成された凹凸構造を有する回折格子部を形成する工程と、連続的に深さが変化する湾曲面を有する第2の金型を準備する工程と、第2の金型の湾曲面に、アクリル系樹脂組成物を充填する工程と、金型の湾曲面の側において、透明基材の第1面の側とアクリル系樹脂組成物とを接触させ、かつ活性エネルギー線を照射することにより、アクリル系樹脂組成物を硬化させる工程と、透明基材から第2の金型を引き離すことにより、透明基材の第1面の側にアクリル系樹脂組成物の硬化物で形成された屈折部を形成する工程と、を備え、透明基材は熱可塑性樹脂から構成されており、透明基材を構成する熱可塑性樹脂の260℃における貯蔵弾性率(E’)が、6.2×107Pa以上4.0×108Pa以下であり、透明基材の第1面の表面粗さ(Ra)が330nm以上1300nm以下であり、第2面の表面粗さ(Ra)が100nm以上330nm未満である、回折光学素子の製造方法である。
ここで、上記の第1の金型は、上述した本発明に係る回折光学素子の製造方法の第1の実施形態で用いた金型31と同様とすることができる。そして、上述した本発明に係る回折光学素子の製造方法の第1の実施形態と同様にして、透明基材の第2面の側に回折格子部を形成することができる。
また、上記の第2の金型は、上述した本発明に係る回折光学素子の製造方法の第4の実施形態で用いた金型39と同様とすることができる。そして、上述した本発明に係る回折光学素子の製造方法の第4の実施形態と同様にして、透明基材の第1面の側に平滑部を形成することができる。
そして、本実施形態の製造方法により、図8(a)に例示した回折光学素子6等のような、本発明に係る回折光学素子の第6の実施形態の構成を有する回折光学素子を製造することができる。
ここで、上記の第2の金型が有する湾曲面は、形成する屈折部の形態に応じて、連続的に深さが変化する形態を有している。
なお、本実施形態の製造方法においては、第1面の側に形成する屈折部と、第2面の側に形成する回折格子部とを、別々の工程で形成してもよく、また、同じ工程で形成してもよい。
同じ工程で形成する場合は、第1の金型のキャビティの開口部側において透明基材の第2面の側とアクリル系樹脂組成物とを接触させつつ、第2の金型の平滑面の側において透明基材の第1面の側とアクリル系樹脂組成物とを接触させた状態で、透明基材の第1面の側と第2面の側の両側に活性エネルギー線を照射することにより、第1面の側に屈折部を形成しつつ、第2面の側に回折格子部を形成することができる。
8.照明装置
次に、本発明に係る照明装置について、説明する。
(1)照明装置の構成
本発明に係る照明装置は、外部から給電可能な導通部と出光面となる開口部を有する枠体、光源、及び、上述した回折光学素子を備え、前記枠体の内部空間に前記光源が固定されるとともに前記導通部と接続され、前記開口部に前記回折光学素子が配置されていることを特徴とする。本発明の照明装置によれば、所望の形状に整形された光を照射することができる。
本発明の照明装置を、図15を参照して説明する。図15は本発明に係る照明装置の一例を示す図である。
図15の例に示される照明装置40は、枠体41、光源42、及び、上述した回折光学素子1を備える。枠体41は、外部から給電可能な導通部41aと、出光面となる開口部41bを有する。図15に示すように、枠体41は、さらに内部空間41cを有し、当該内部空間41cに光源42が固定される。さらに、光源42は導通部41aと接続される。光源42は、導通部41aと直に接して接続されていてもよいし、図15に示すような導線43を介して導通部41aと接続されていてもよい。そして、開口部41bに回折光学素子1が配置される。
枠体41は、2以上の部材の組み合わせであってもよい。例えば、枠体41は、光源制御用の平面基板(ベース部分)と、その上に載置された中空の筒との組合せ等であってもよい。
枠体41を実装基板44(マザーボード)上に載置し、光源42を実装基板44の電気回路に接続することにより、実装基板44上の他の機器と光源42とを連動させることができる。
本発明の照明装置において、光源は、特に限定されず、公知の光源を用いることができる。前記本発明に係る回折光学素子が特定波長の回折を目的として設計されることから、光源として、特定波長の強度が高いレーザー光源やLED(発光ダイオード)光源などを用いることが好ましい。本発明においては、指向性を有するレーザー光源、拡散性のあるLED(発光ダイオード)光源など、いずれの光源であっても好適に用いることができる。波長780nm以上の赤外線を回折する回折光学素子を用いる場合は、波長780nm以上の赤外線を発し得る光源を選択することが好ましい。
本発明の照明装置は、前記本発明に係る回折光学素子を少なくとも1つ備えればよく、必要に応じて更に他の光学素子を備えていてもよい。他の光学素子としては、例えば、偏光板、レンズ、プリズム、特定波長、中でも回折光学素子の対象波長を透過するパスフィルターなどが挙げられる。複数の光学素子を組み合わせて用いる場合は、界面反射を抑制する点から、光学素子同士を貼り合わせることが好ましい。
(2)照明装置の用途
本発明に係る照明装置は、所望の形状に整形された光を照射することができ、また、赤外線が利用可能な点から、センサー用の照明装置として好適に用いることができる。光を効果的に整形できる点から例えば夜間の赤外線照明、防犯センサー用照明、人感知センサー用照明、無人航空機や自動車等の衝突防止センサー用照明、個人認証装置用の照明、検査装置用の照明、などに使用することができ、光源の簡略化、小型化や省電力化が可能となる。
(3)照明装置の製造方法
本発明に係る照明装置は、例えば、以下の各工程を実施することで製造することができる。
まず、導通部41a及び内部空間41cを備える枠体41を用意する。枠体41は、2以上の部材の組み合わせ(例えば、平面基板と中空の筒の組み合わせ等)であってもよい。
次に、枠体41の内部空間41cに光源42を載置し、導線43等を用いて光源42と導通部41aとを電気的に接続する。
続いて、枠体41の上に回折光学素子1を載置する。このようにして得られる構造体を実装基板44上に載せることにより、仮組み立て体が得られる。このとき、実装基板44上に載置されたハンダボールの位置が、枠体41の導通部41aの位置と重なるよう、位置合わせを行う。
この仮組み立て体をリフロー炉に入れ、260℃の温度条件下で0.5〜1.5分間加熱することにより、実装基板44と枠体41とをハンダ付けし、照明装置40が得られる。
(4)その他の形態
なお、上記においては、本発明に係る回折光学素子の第1の実施形態の例である回折光学素子1を備える形態の照明装置について説明したが、本発明に係る照明装置はこれに限定されず、上述した他の実施形態の回折光学素子についても、同様に備えることができる。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
(実施例1)
<評価用サンプルの製造>
表面平滑な合成石英基板を金型に用いて、積算光量が1,000mJ/cm2になるように紫外線を照射し硬化させて、凹凸構造を有しない、厚さ5μmのアクリル系樹脂組成物の硬化物の層を、透明基材の第1面側に形成した。
<透明基材>
材料には、0.2mm厚のPEI(ポリエーテルイミド)を使用した。この材料の波長550nmにおける屈折率は1.48〜1.53。
第1面の表面粗さ(Ra)は330nm以上1300nm以下であり、第2面の表面粗さ(Ra)は100nm以上330nm以下であった。表面粗さ(Ra)はZygo社3D表面粗さ/形状測定機(NewView6000)で計測した。レンズ倍率は10倍。粗さ算出方法は、JIS規格(JIS B0031(1994))に準拠して算出した。
260℃における貯蔵弾性率(E’)は6.2×107Pa以上4.0×108Pa以下。貯蔵弾性率(E’)の測定にはUBM製Rheogel E4000(JIS K7244に準拠)を用いた。
<アクリル系樹脂組成物の硬化物の層>
(アクリル系樹脂組成物の調整)
下記の(メタ)アクリレート化合物(4官能以上(メタ)アクリレート、2官能(メタ)アクリレート)と光重合開始剤を配合し、実施例1のアクリル系樹脂組成物を調製した。
(1)4官能以上の(メタ)アクリレート:下記式(i)で示される9官能のウレタンアクリレート(Mw:11,000)、63質量%。
Figure 2021110779


(上記式(i)中、「PETA」はペンタエリスリトールトリアクリレートを、「HDI」はヘキサメチレンジイソシアネートを、「―」はウレタン結合を、それぞれ示す。)
(2)2官能の(メタ)アクリレート:1,9−ノナンジオールジアクリレート(CAS No.107481−28−7、Mw:268)、37質量%。
(3)光重合開始剤:(2,4,6‐トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド、3質量%。
(マルテンス硬度)
アクリル系樹脂組成物の硬化物の層のマルテンス硬度は126.58〜603.32MPaであった。測定装置にはTI950 TriboIndenter(BRUKER社製)を使用した。
(貯蔵弾性率)
アクリル系樹脂組成物の硬化物の層の260℃における貯蔵弾性率(E’)は3.4×109Pa以上9.6×109Pa以下であった。貯蔵弾性率(E’)の測定にはUBM製Rheogel E4000(JIS K7244に準拠)を用いた。
(復元率)
アクリル系樹脂組成物の硬化物の層の復元率は52.4%〜81.3%であった。復元率は、TI950 TriboIndenter」(BRUKER社製)を用いて、樹脂表面測定を実施した結果より算出した。
具体的には、対面角142.3°のダイヤモンド圧子(バーコビッチ圧子)を用いて、測定対象物にダイヤモンド圧子を押し込み、荷重と変位のプロットを元に復元率を算出した。ここで、荷重をY軸、変位をX軸とした際に、押し込み深さが最大となる点からX軸に下した垂線と除荷時のプロットを連結した曲線とX軸とで囲まれた領域を弾性変形領域、負荷時のプロットを連結した曲線と除荷時のプロットを連結した曲線とX軸とで囲まれた領域を塑性変形領域とする。復元率は、弾性変形領域の面積と弾性変形領域および塑性変形領域の面積の総和との比率から求める。押込み条件は、室温環境下において、測定対象物の表面に対し0μN〜10μNまでの負荷を10秒間で加え、次に10μNの負荷で5秒間保持し、最後に10μN〜0μNまでの除荷を10秒間で行った。
(表面粗さ)
アクリル系樹脂組成物の硬化物の層の表面粗さ(Ra)は14.7nm〜25.9nmであった。表面粗さ(Ra)はZygo社3D表面粗さ/形状測定機(NewView6000)で計測した。レンズ倍率は10倍。粗さ算出方法は、JIS規格(JIS B0031(1994))に準拠して算出した。
(実施例2)
<評価用サンプルの製造>
表面平滑な合成石英基板を金型に用いて、積算光量が1,000mJ/cm2になるように紫外線を照射し硬化させて、凹凸構造を有しない、厚さ5μmのアクリル系樹脂組成物の硬化物の層を、透明基材の第1面側と第2面側に形成した。
用いた透明基材は実施例1と同じである。また、透明基材の第1面側と第2面側のアクリル系樹脂組成物の硬化物は、いずれも実施例1と同じ材料を用いて、実施例1と同じ金型を使い同じ賦形条件で形成した。
(表面粗さ)
透明基材の第1面側に形成したアクリル系樹脂組成物の硬化物の層の表面粗さ(Ra)は14.7nm〜25.9nmであった。また、透明基材の第2面側に形成したアクリル系樹脂組成物の硬化物の層の表面粗さ(Ra)は8.6nm未満であった。
表面粗さ(Ra)はZygo社3D表面粗さ/形状測定機(NewView6000)で計測した。レンズ倍率は10倍。粗さ算出方法は、JIS規格(JIS B0031(1994))に準拠して算出した。
(比較例1)
<評価用サンプル>
比較例1として、アクリル系樹脂組成物の硬化物の層を形成していない、透明基材を準備した。用いた透明基材は実施例1、2と同じである。
(評価)
実施例1、2、および比較例1の各評価用サンプルをリフロー炉に入れ、260℃の温度条件下で2分間加熱した後、冷却し、以下の評価を行った。
(1)耐熱性
実施例1、2、および比較例1とも、目視検査において問題となるほどの変形は観察されなかった。
(2)透過率
紫外可視近赤外(UV−Vis−NIR)分光光度計(島津製作所社製、UV−3150)を用いて、波長940nmにおける透過率を測定した。その結果、実施例1は88.1%、実施例2は89.3%、比較例1は59.9%であった。
上記のように、実施例1、2においては、透過率80%以上であった。特に、透明基材の第1面側のみならず第2面側にもアクリル系樹脂組成物の硬化物の層を形成した実施例2は、高い透過率となった。
上記のように、実施例1、2は、耐熱性と透過率において優れた結果を示した。それゆえ、実施例1、2に用いた透明基材やアクリル系樹脂組成物の硬化物と同等の物性値を有する材料から構成される本発明の回折光学素子も、高い耐熱性と優れた透過率を有するものになる。
そして、本発明の回折光学素子を搭載する照明装置においては、260℃のリフロー工程を施すことができ、生産性、信頼性において有益なものになる。
以上、本発明に係る回折光学素子、照明装置、および回折光学素子の製造方法について、それぞれの実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一の構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなる場合であっても本発明の技術的範囲に包含される。
1、2、3、4、5、6 回折光学素子
1A、2A、3A、4A、4B、5A、6A、6B 回折光学素子
11 透明基材
11a 第1面
11b 第2面
12、12A 回折格子部
12a 凸部
12b 凹部
13、13A 平滑部
14、14A 第2の回折格子部
15、15A、15B 屈折部
21 根元
31、37、38、39 金型
31a キャビティ
32 アクリル系樹脂組成物
33 透明基材
34 加圧ローラ
35 活性エネルギー線
36 硬化物
37a 平滑面
38a 第2のキャビティ
39a 湾曲面
40 照明装置
41 枠体
41a 導通部
41b 開口部
41c 内部空間
42 光源
43 導線
44 実装基板

Claims (40)

  1. 光源からの光を整形する回折光学素子であって、
    第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有する透明基材と、
    前記透明基材の前記第1面の側に設けられ、前記透明基材を構成する材料とは異なる材料から構成され、凹凸構造を有する回折格子部と、
    を備えており、
    前記透明基材は熱可塑性樹脂から構成されており、
    前記透明基材を構成する前記熱可塑性樹脂の260℃における貯蔵弾性率が、6.2×107Pa以上4.0×108Pa以下であり、
    前記透明基材の前記第1面が前記第2面よりも粗面である、回折光学素子。
  2. 前記透明基材の前記第1面の表面粗さ(Ra)が330nm以上1300nm以下であり、前記第2面の表面粗さ(Ra)が100nm以上330nm未満である、請求項1に記載の回折光学素子。
  3. 前記透明基材の前記第2面の側に、前記透明基材を構成する材料とは異なる材料から構成される平滑部が設けられている、請求項1または請求項2に記載の回折光学素子。
  4. 前記透明基材の前記第1面の側に設けられている前記回折格子部と、前記透明基材の前記第2面の側に設けられている前記平滑部が、同じ材料から構成されている、請求項3に記載の回折光学素子。
  5. 前記平滑部の表面粗さ(Ra)が30nm以下である、請求項3または請求項4に記載の回折光学素子。
  6. 前記透明基材の第2面の側に、
    前記透明基材を構成する材料とは異なる材料から構成され、第2の凹凸構造を有する第2の回折格子部が設けられている、請求項1または請求項2に記載の回折光学素子。
  7. 前記透明基材の第1面の側に設けられている前記回折格子部と、前記透明基材の第2面の側に設けられている前記第2の回折格子部が、同じ材料から構成されている、請求項6に記載の回折光学素子。
  8. 前記透明基材の第2面の側に、前記透明基材を構成する材料とは異なる材料から構成され、連続的に膜厚が変化する屈折部が設けられている、請求項1または請求項2に記載の回折光学素子。
  9. 前記透明基材の前記第1面の側に設けられている前記回折格子部と、前記透明基材の前記第2面の側に設けられている前記屈折部が、同じ材料から構成されている、請求項8に記載の回折光学素子。
  10. 光源からの光を整形する回折光学素子であって、
    第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有する透明基材と、
    前記透明基材の前記第1面の側に設けられ、前記透明基材を構成する材料とは異なる材料から構成される平滑部と、
    前記透明基材の前記第2面の側に設けられ、前記透明基材を構成する材料とは異なる材料から構成され、凹凸構造を有する回折格子部と、
    を備えており、
    前記透明基材は熱可塑性樹脂から構成されており、
    前記透明基材を構成する前記熱可塑性樹脂の260℃における貯蔵弾性率が、6.2×107Pa以上4.0×108Pa以下であり、
    前記透明基材の前記第1面が前記第2面よりも粗面である、回折光学素子。
  11. 前記透明基材の前記第1面の表面粗さ(Ra)が330nm以上1300nm以下であり、前記第2面の表面粗さ(Ra)が100nm以上330nm未満である、請求項10に記載の回折光学素子。
  12. 前記透明基材の前記第1面の側に設けられている前記平滑部と、前記透明基材の前記第2面の側に設けられている前記回折格子部が、同じ材料から構成されている、請求項10または請求項11に記載の回折光学素子。
  13. 前記平滑部の表面粗さ(Ra)が30nm以下である、請求項10乃至請求項12のいずれか一項に記載の回折光学素子。
  14. 光源からの光を整形する回折光学素子であって、
    第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有する透明基材と、
    前記透明基材の前記第1面の側に設けられ、前記透明基材を構成する材料とは異なる材料から構成され、連続的に膜厚が変化する屈折部と、
    前記透明基材の前記第2面の側に設けられ、前記透明基材を構成する材料とは異なる材料から構成され、凹凸構造を有する回折格子部と、
    を備えており、
    前記透明基材は熱可塑性樹脂から構成されており、
    前記透明基材を構成する前記熱可塑性樹脂の260℃における貯蔵弾性率が、6.2×107Pa以上4.0×108Pa以下であり、
    前記透明基材の前記第1面が前記第2面よりも粗面である、回折光学素子。
  15. 前記透明基材の前記第1面の表面粗さ(Ra)が330nm以上1300nm以下であり、前記第2面の表面粗さ(Ra)が100nm以上330nm未満である、請求項14に記載の回折光学素子。
  16. 前記透明基材の前記第1面の側に設けられている前記屈折部と、前記透明基材の前記第2面の側に設けられている前記回折格子部が、同じ材料から構成されている、請求項14または請求項15に記載の回折光学素子。
  17. 前記回折格子部の凹凸構造は、アスペクト比が1以上であり、凸部のマルテンス硬度が120MPa以上610MPa以下である、請求項1乃至請求項16のいずれか一項に記載の回折光学素子。
  18. 前記回折格子部がアクリル系樹脂組成物の硬化物から構成されている、請求項1乃至請求項17のいずれか一項に記載の回折光学素子。
  19. 前記回折格子部を構成する前記アクリル系樹脂組成物の硬化物の260℃における貯蔵弾性率が、3.4×109Pa以上9.6×109Pa以下である、請求項18に記載の回折光学素子。
  20. JIS Z2244(2003)に準拠し、かつ最大荷重0.2mN、保持時間10秒の測定条件下にて行われるビッカース硬さ試験により測定される、前記アクリル系樹脂組成物の硬化物の復元率が、50%以上82%以下である、請求項18または請求項19に記載の回折光学素子。
  21. 前記アクリル系樹脂組成物は、4官能以上の(メタ)アクリレートを含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物である、請求項18乃至請求項20のいずれか一項に記載の回折光学素子。
  22. 前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、全硬化性成分に対し、前記4官能以上の(メタ)アクリレートの含有量が40質量%以上80質量%以下である、請求項21に記載の回折光学素子。
  23. 前記4官能以上の(メタ)アクリレートは、4官能以上のウレタン(メタ)アクリレートを含む、請求項21または請求項22に記載の回折光学素子。
  24. 前記4官能以上のウレタン(メタ)アクリレートは、多価イソシアネート化合物のイソシアネート基と、分子中に1個の水酸基と2個以上の(メタ)アクリル基を有する化合物の水酸基とがウレタン結合した化合物である、請求項23に記載の回折光学素子。
  25. 外部から給電可能な導通部と出光面となる開口部を有する枠体、光源、及び、請求項1乃至請求項24のいずれか一項に記載の前記回折光学素子を備え、前記枠体の内部空間に前記光源が固定されるとともに前記導通部と接続され、前記開口部に前記回折光学素子が配置されている、照明装置。
  26. 前記光源は波長780nm以上の赤外線を放射する光源である、請求項25に記載の照明装置。
  27. 第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有する透明基材の前記第1面の側に、前記透明基材を構成する材料とは異なる材料から構成され、凹凸構造を有する回折格子部を備え、光源からの光を整形する回折光学素子の製造方法であって、
    前記凹凸構造を形成するためのキャビティを有する金型を準備する工程と、
    前記金型の前記キャビティに、アクリル系樹脂組成物であって、当該アクリル系樹脂組成物に対し積算光量が1000mJ/cm2になるように紫外線を照射し硬化させて得られる硬化物サンプルの260℃における貯蔵弾性率が、3.4×109Pa以上9.6×109Pa以下であるアクリル系樹脂組成物を充填する工程と、
    前記金型のキャビティの開口部側において、前記透明基材の前記第1面の側と前記アクリル系樹脂組成物とを接触させ、かつ活性エネルギー線を照射することにより、前記アクリル系樹脂組成物を硬化させる工程と、
    前記透明基材から前記金型を引き離すことにより、前記透明基材の前記第1面の側に前記アクリル系樹脂組成物の硬化物で形成された凹凸構造を有する回折格子部を形成する工程と、
    を備え、
    前記透明基材は熱可塑性樹脂から構成されており、
    前記透明基材を構成する前記熱可塑性樹脂の260℃における貯蔵弾性率が、6.2×107Pa以上4.0×108Pa以下であり、
    前記透明基材の前記第1面が前記第2面よりも粗面である、回折光学素子の製造方法。
  28. 前記透明基材の前記第1面の表面粗さ(Ra)が330nm以上1300nm以下であり、前記第2面の表面粗さ(Ra)が100nm以上330nm未満である、請求項27に記載の回折光学素子の製造方法。
  29. 前記透明基材の前記第2面の側に、前記アクリル系樹脂組成物の硬化物から構成される平滑部を形成する工程を備える、請求項27または請求項28に記載の回折光学素子の製造方法。
  30. 前記透明基材の前記第2面の側に、前記アクリル系樹脂組成物の硬化物から構成される平滑部を形成する工程が、
    平滑面を有する金型を準備する工程と、
    前記金型の前記平滑面に、前記アクリル系樹脂組成物を配設する工程と、
    前記金型の前記平滑面の側において、前記透明基材の前記第2面の側と前記アクリル系樹脂組成物とを接触させ、かつ活性エネルギー線を照射することにより、前記アクリル系樹脂組成物を硬化させる工程と、
    前記透明基材から前記金型を引き離す工程と、
    を備える、請求項29に記載の回折光学素子の製造方法。
  31. 前記金型の前記平滑面の表面粗さ(Ra)が30nm以下である、請求項30に記載の回折光学素子の製造方法。
  32. 前記透明基材の前記第2面の側に、前記アクリル系樹脂組成物の硬化物から構成され、第2の凹凸構造を有する第2の回折格子部を形成する工程を備える、請求項27または請求項28に記載の回折光学素子の製造方法。
  33. 前記透明基材の前記第2面の側に、前記アクリル系樹脂組成物の硬化物から構成され、第2の凹凸構造を有する第2の回折格子部を形成する工程が、
    前記第2の凹凸構造を形成するための第2のキャビティを有する金型を準備する工程と、
    前記金型の前記第2のキャビティに、前記アクリル系樹脂組成物を充填する工程と、
    前記金型の前記第2のキャビティの開口部側において、前記透明基材の前記第2面の側と前記アクリル系樹脂組成物とを接触させ、かつ活性エネルギー線を照射することにより、前記アクリル系樹脂組成物を硬化させる工程と、
    前記透明基材から前記金型を引き離す工程と、
    を備える、請求項32に記載の回折光学素子の製造方法。
  34. 前記透明基材の前記第2面の側に、前記アクリル系樹脂組成物の硬化物から構成され、連続的に膜厚が変化する屈折部を形成する工程を備える、請求項27または請求項28に記載の回折光学素子の製造方法。
  35. 前記透明基材の前記第2面の側に、前記アクリル系樹脂組成物の硬化物から構成され、連続的に膜厚が変化する屈折部を形成する工程が、
    前記連続的に深さが変化する湾曲面を有する金型を準備する工程と、
    前記金型の前記湾曲面に、前記アクリル系樹脂組成物を充填する工程と、
    前記金型の前記湾曲面の側において、前記透明基材の前記第2面の側と前記アクリル系樹脂組成物とを接触させ、かつ活性エネルギー線を照射することにより、前記アクリル系樹脂組成物を硬化させる工程と、
    前記透明基材から前記金型を引き離す工程と、
    を備える、請求項34に記載の回折光学素子の製造方法。
  36. 第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有する透明基材の前記第1面の側に、前記透明基材を構成する材料とは異なる材料から構成される平滑部を備え、前記透明基材の前記第2面の側に、前記透明基材を構成する材料とは異なる材料から構成され、凹凸構造を有する回折格子部を備え、光源からの光を整形する回折光学素子の製造方法であって、
    前記凹凸構造を形成するためのキャビティを有する第1の金型を準備する工程と、
    前記第1の金型の前記キャビティに、アクリル系樹脂組成物であって、当該アクリル系樹脂組成物に対し積算光量が1000mJ/cm2になるように紫外線を照射し硬化させて得られる硬化物サンプルの260℃における貯蔵弾性率が、3.4×109Pa以上9.6×109Pa以下であるアクリル系樹脂組成物を充填する工程と、
    前記第1の金型の前記キャビティの開口部側において、前記透明基材の前記第2面の側と前記アクリル系樹脂組成物とを接触させ、かつ活性エネルギー線を照射することにより、前記アクリル系樹脂組成物を硬化させる工程と、
    前記透明基材から前記第1の金型を引き離すことにより、前記透明基材の前記第2面の側にアクリル系樹脂組成物の硬化物で形成された凹凸構造を有する回折格子部を形成する工程と、
    平滑面を有する第2の金型を準備する工程と、
    前記第2の金型の前記平滑面に、前記アクリル系樹脂組成物を配設する工程と、
    前記第2の金型の前記平滑面の側において、前記透明基材の前記第1面の側と前記アクリル系樹脂組成物とを接触させ、かつ活性エネルギー線を照射することにより、前記アクリル系樹脂組成物を硬化させる工程と、
    前記透明基材から前記第2の金型を引き離すことにより、前記透明基材の前記第1面の側にアクリル系樹脂組成物の硬化物で形成された平滑部を形成する工程と、
    を備え、
    前記透明基材は熱可塑性樹脂から構成されており、
    前記透明基材を構成する前記熱可塑性樹脂の260℃における貯蔵弾性率が、6.2×107Pa以上4.0×108Pa以下であり、
    前記透明基材の前記第1面が前記第2面よりも粗面である、回折光学素子の製造方法。
  37. 前記透明基材の前記第1面の表面粗さ(Ra)が330nm以上1300nm以下であり、前記第2面の表面粗さ(Ra)が100nm以上330nm未満である、請求項36に記載の回折光学素子の製造方法。
  38. 前記第2の金型の前記平滑面の表面粗さ(Ra)が30nm以下である、請求項36または請求項37に記載の回折光学素子の製造方法。
  39. 第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有する透明基材の前記第1面の側に、前記透明基材を構成する材料とは異なる材料から構成され、連続的に膜厚が変化する屈折部を備え、前記透明基材の前記第2面の側に、前記透明基材を構成する材料とは異なる材料から構成され、凹凸構造を有する回折格子部を備え、光源からの光を整形する回折光学素子の製造方法であって、
    前記凹凸構造を形成するためのキャビティを有する第1の金型を準備する工程と、
    前記第1の金型の前記キャビティに、アクリル系樹脂組成物であって、当該アクリル系樹脂組成物に対し積算光量が1000mJ/cm2になるように紫外線を照射し硬化させて得られる硬化物サンプルの260℃における貯蔵弾性率が、3.4×109Pa以上9.6×109Pa以下であるアクリル系樹脂組成物を充填する工程と、
    前記第1の金型の前記キャビティの開口部側において、前記透明基材の前記第2面の側と前記アクリル系樹脂組成物とを接触させ、かつ活性エネルギー線を照射することにより、前記アクリル系樹脂組成物を硬化させる工程と、
    前記透明基材から前記第1の金型を引き離すことにより、前記透明基材の前記第2面の側にアクリル系樹脂組成物の硬化物で形成された凹凸構造を有する回折格子部を形成する工程と、
    連続的に深さが変化する湾曲面を有する第2の金型を準備する工程と、
    前記第2の金型の前記湾曲面に、前記アクリル系樹脂組成物を充填する工程と、
    前記第2の金型の前記湾曲面の側において、前記透明基材の前記第1面の側と前記アクリル系樹脂組成物とを接触させ、かつ活性エネルギー線を照射することにより、前記アクリル系樹脂組成物を硬化させる工程と、
    前記透明基材から前記第2の金型を引き離すことにより、前記透明基材の前記第1面の側にアクリル系樹脂組成物の硬化物で形成された屈折部を形成する工程と、
    を備え、
    前記透明基材は熱可塑性樹脂から構成されており、
    前記透明基材を構成する前記熱可塑性樹脂の260℃における貯蔵弾性率が、6.2×107Pa以上4.0×108Pa以下であり、
    前記透明基材の前記第1面が前記第2面よりも粗面である、回折光学素子の製造方法。
  40. 前記透明基材の前記第1面の表面粗さ(Ra)が330nm以上1300nm以下であり、前記第2面の表面粗さ(Ra)が100nm以上330nm未満である、請求項39に記載の回折光学素子の製造方法。
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