以下、本発明の一実施形態について、図1〜図13を参照しつつ説明する。
本実施形態に係るプレート式熱交換器(以下、単に「熱交換器」と称する。)は、重ね合わされる複数の伝熱プレート3を備える(図3参照)。具体的に、この熱交換器は、図1〜図3に示すように、複数の伝熱プレート3を有するプレート積層部2と、プレート積層部2を挟み込む一対のフレーム5a、5bと、プレート積層部2と一対のフレーム5a、5bとを配置位置にガイドするガイド部6と、一対のフレーム5a、5bを互いの間隔が小さくなる方向に締め付け可能な複数の締付部材7と、を備える。
プレート積層部2は、所定方向に重ね合わされる複数の伝熱プレート3と、伝熱プレート3間に挟み込まれることで該伝熱プレート3間に流体A、Bの流通可能な流路Ra、Rbを形成する複数のガスケット4と、を有する。本実施形態のプレート積層部2では、一種類の矩形状(長方形状)の伝熱プレート3が一つおきに反転した状態で重ね合わされることで、各伝熱プレート3を境に第一流体Aが流通可能な第一流路Raと第二流体Bが流通可能な第二流路Rbとが交互に形成される。
以下では、伝熱プレート3が重ね合わされる方向を直交座標系のX軸方向(第一方向)とし、伝熱プレート3の短辺方向を直交座標系のY軸方向(第三方向)とし、伝熱プレート3の長辺方向を直交座標系のZ軸方向(第二方向)とする。
本実施形態のプレート積層部2を構成する複数の伝熱プレート3のそれぞれは、X軸方向と直交する方向に沿って広がっている。これら複数の伝熱プレート3のそれぞれは、図4及び図5にも示すように、X軸方向の一方の面である第一面S1と該第一面S1の反対側の面(他方の面)である第二面S2とを有し、第一面S1と第二面S2とのそれぞれに複数の凸部及び複数の凹部を有する。この伝熱プレート3は、金属プレート(薄板)がプレス成型されることによって形成されている。このため、第二面S2において、第一面S1の凸部と対応する位置(詳しくは、X軸方向から見て重なる位置)に凹部が位置し、第一面S1の凹部と対応する位置(詳しくは、X軸方向から見て重なる位置)に凸部が位置している。即ち、第一面S1の凸部と該凸部と対応する第二面S2の凹部とが表裏の関係であり、第一面S1の凹部と該凹部と対応する第二面S2の凸部とが表裏の関係である。
複数の伝熱プレート3のそれぞれは、Z軸方向の中央部に配置される主伝熱部30と、Z軸方向の端部に配置される連通部31と、主伝熱部30と連通部31との間に配置される堰部32と、を有する。本実施形態の伝熱プレート3は、Z軸方向の両端部に連通部31をそれぞれ有し、主伝熱部30と一方の連通部31との間、及び主伝熱部30と他方の連通部31との間のそれぞれに、堰部32を有する。即ち、伝熱プレート3は、一対の連通部31と一対の堰部32とを有する。また、本実施形態の伝熱プレート3は、Z軸方向の両端に一対のガイド用切欠き33を有する。
主伝熱部30は、伝熱プレート3において該伝熱プレート3を境に形成される第一流路Raと第二流路Rbとを流れる流体間(第一流体Aと第二流体Bとの間)の熱交換の大部分が行われる部位である。この主伝熱部30において第一面S1側の面が第一主伝熱領域300aであり、主伝熱部30において第二面S2側の面が第二主伝熱領域300bである。即ち、伝熱プレート3の第一面S1のうちの主伝熱部30に対応する領域が第一主伝熱領域300aであり、第二面S2のうちの主伝熱部30に対応する領域が第二主伝熱領域300bである。本実施形態の主伝熱部30は、X軸方向から見て、四角状の部位である。
この主伝熱部30は、両面300a、300bに、複数の凸部35a及び複数の凹部35bをそれぞれ有する。これら複数の凸部35a及び複数の凹部35bは、伝熱効率や熱交換を行う流体A、Bの種類等に応じて配置や形態が設定される。本実施形態の第一及び第二主伝熱領域300a、300bの複数の凸部35a及び複数の凹部35bは、いわゆるヘリンボーン形状(配置)であが、この形状(配置)に限定されない。
一対の連通部31のそれぞれは、X軸方向に貫通する少なくとも一つの連通孔(貫通孔)311を有する。本実施形態の各連通部31は、二つの連通孔311a、311bを有する。これら二つの連通孔311a、311bは、Y軸方向に間隔をあけて配置されている。これにより、伝熱プレート3の四隅には、連通孔311がそれぞれ配置されている。
一対の連通部31のうちの一方(図4の上側)の連通部31aの各構成と、一対の連通部31のうちの他方(図4の下側)の連通部31bの各構成とは、X軸方向から見て、横中心線CL2を対称軸にして線対称である。この横中心線CL2は、伝熱プレート3のZ軸方向の中心をY軸方向に延びている。
また、各連通部31a、31bの各構成は、X軸方向から見て、縦中心線CL1を対称軸にした線対称な配置及び形状になっている。ここで、縦中心線CL1は、伝熱プレート3のY軸方向の中心をZ軸方向に延びている。そして、各連通部31a、31bにおける縦中心線CL1の一方側(図4における左側/図5における右側)の第一領域T1における各構成と、各連通部31a、31bにおける縦中心線CL1の他方側(図4における右側/図5における左側)の第二領域T2における各構成とは、X軸方向における変位方向が逆になっている。
例えば具体的には、第二領域T2におけるX軸方向の一方側に変位する構成(例えば凸部)と対応する第一領域T1の構成は、X軸方向の他方側に変位する構成(例えば凹部)であり、第二領域T2におけるX軸方向の他方側に変位する構成(例えば凹部)と対応する第一領域T1の構成は、X軸方向の一方側に変位する構成(例えば凸部)である。
一対の堰部32のそれぞれは、第一面S1又は第二面S2に沿って連通孔311から主伝熱領域300a、300bに向かう流体A、Bの流れをY軸方向に拡散させ、又は、第一面S1又は第二面S2に沿って主伝熱領域300a、300bから連通孔311に向かう流体A、Bの流れをY軸方向に集束させる部位である。本実施形態の各堰部32は、図4〜図7Bに示すように、主伝熱部30との境界を底辺とし、連通部31の二つの連通孔311a、311bの中間位置を頂点とする三角状の部位である。尚、各堰部32においても、伝熱プレート3を境に形成される第一流路Raと第二流路Rbとを流れる流体A、B間の熱交換が行われる。
これら一対の堰部32のそれぞれにおいて第一面S1側の面が第一堰部領域320aである。また、一対の堰部32のそれぞれにおいて第二面S2側の面が第二堰部領域320bである。即ち、伝熱プレート3の第一面S1のうちの各堰部32と対応する領域が第一堰部領域320aであり、第二面S2のうちの各堰部32と対応する領域が第二堰部領域320bである。
第一堰部領域320aは、複数の第一凸条領域36Cvと、複数の第一凹条領域36Ccと、を有し、第二堰部領域320bは、複数の第二凸条領域37Cvと、複数の第二凹条領域37Ccと、を有する(図6B及び図7B参照)。尚、図6B及び図7Bは、図6Aにおける第一凸条領域36Cv及び第一凹条領域36Ccと、図7Aにおける第二凸条領域37Cv及び第二凹条領域37Ccをスモークとハッチングとで分かり易く示した図である。
複数の第一凸条領域36Cvは、Y軸方向(縦中心線CL1)に対して傾斜する第一傾斜方向Id1に沿ってそれぞれ延びると共に、第一傾斜方向Id1と直交する方向に間隔をあけて配置されている。
複数の第一凸条領域36Cvのそれぞれは、第一傾斜方向Id1に沿って延びる一つの第一凸条361Cv、又はそれぞれが第一傾斜方向Id1に沿って延び且つ該第一傾斜方向Id1に並ぶ複数の第一凸条361Cvによって規定される。本実施形態の第一凸条領域36Cvは、第一傾斜方向Id1に並ぶ複数の第一凸条361Cvによって規定されている。これら複数の第一凸条領域36Cvのそれぞれは、第一傾斜方向Id1における第一堰部領域320aの一端から他端までそれぞれ延びている。
各第一凸条領域36Cvにおいて、該第一凸条領域36Cvに含まれる複数の第一凸条361Cvのそれぞれの第一傾斜方向Id1の長さは、同じである。また、各第一凸条領域36Cvにおいて、複数の第一凸条361Cvは、第一傾斜方向Id1に等間隔に並んでいる。
これら複数の第一凸条361Cvのそれぞれは、X軸方向から見て曲がっており又は曲がった部位を有する。本実施形態の複数の第一凸条361Cvのそれぞれは、第一傾斜方向Id1の全域において湾曲している。また、複数の第一凸条361Cvのそれぞれの第一傾斜方向Id1における各位置の高さ(突出方向の寸法)は、中央部が最も高く、両端部に向かうに伴い低くなっている。
本実施形態の複数の第一凸条領域36Cvのそれぞれにおいては、第一傾斜方向Id1と直交する方向の一方側に凸となるように湾曲する第一凸条361Cvと、前記直交する方向の他方側に凸となるように湾曲する第一凸条361Cvとが、第一傾斜方向Id1に交互に配置されている(図6A及び図6B参照)。これら第一傾斜方向Id1と直交する方向の一方側に凸となるように湾曲する第一凸条361Cvと、他方側に凸となるように湾曲する第一凸条361Cvとは、湾曲する方向以外は、同じ構成(形状)である。
また、第一凸条領域36Cvの各第一凸条361Cvの湾曲する方向は、該第一凸条361Cvを含む第一凸条領域36Cvと隣り合う第一凸条領域36Cvの対応する第一凸条361Cv、即ち、第二傾斜方向Id2に隣り合う第一凸条361Cvの湾曲する方向と逆になっている(図6A及び図6B参照)。
また、複数の第一凹条領域36Ccは、上述のように、縦中心線CL1(Y軸方向)に対して第一傾斜方向Id1と反対側に傾斜する第二傾斜方向Id2に沿ってそれぞれ延びると共に、第二傾斜方向Id2と直交する方向に間隔をあけて配置されている。これら縦中心線CL1に対する第二傾斜方向Id2の角度θ2と、縦中心線CL1(Y軸方向)に対する第一傾斜方向Id1の角度θ1とは、同じである。本実施形態の堰部32において、縦中心線CL1に対する第一傾斜方向Id1の角度θ1と、縦中心線CL1に対する第二傾斜方向Id2の角度θ2とは、例えば、45°である。また、複数の第一凹条領域36Ccのそれぞれは、第二傾斜方向Id2における第一堰部領域320aの一端から他端までそれぞれ延びている。
複数の第一凹条領域36Ccのそれぞれは、第二傾斜方向Id2に沿って延びる一つの第一凹条361Cc、又はそれぞれが第二傾斜方向Id2に沿って延び且つ該第二傾斜方向Id2に並ぶ複数の第一凹条361Ccによって規定される。本実施形態の第一凹条領域36Ccは、第二傾斜方向Id2に並ぶ複数の第一凹条361Ccによって規定されている。これら複数の第一凹条領域36Ccのそれぞれは、第二傾斜方向Id2における第一堰部領域320aの一端から他端までそれぞれ延びている。
本実施形態の各第一凹条361Ccは、第一凸条361CvとX軸方向の変位が逆である以外は、同じ構成である。具体的には、以下の通りである。
各第一凹条領域36Ccにおいて、該第一凹条領域36Ccに含まれる複数の第一凹条361Ccのそれぞれの第二傾斜方向Id2の長さは、同じである。また、各第一凹条領域36Ccにおいて、複数の第一凹条361Ccは、第二傾斜方向Id2に等間隔に並んでいる。
これら複数の第一凹条361Ccのそれぞれは、X軸方向から見て曲がっており又は曲がった部位を有する。本実施形態の複数の第一凹条361Ccのそれぞれは、第二傾斜方向Id2の全域において湾曲している。また、複数の第一凹条361Ccのそれぞれの第二傾斜方向Id2における各位置の高さは、中央部が最も高く、両端部に向かうに伴い低くなっている。
本実施形態の複数の第一凹条領域36Ccのそれぞれにおいては、第二傾斜方向Id2と直交する方向の一方側に凸となるように湾曲する第一凹条361Ccと、前記直交する方向の他方側に凸となるように湾曲する第一凹条361Ccとが、第二傾斜方向Id2に交互に配置されている(図6A及び図6B参照)。これら第二傾斜方向Id2と直交する方向の一方側に凸となるように湾曲する第一凹条361Ccと、他方側に凸となるように湾曲する第一凹条361Ccとは、湾曲する方向以外は、同じ構成(形状)である。
また、第一凹条領域36Ccの各第一凹条361Ccの湾曲する方向は、該第一凹条361Ccを含む第一凹条領域36Ccと隣り合う第一凹条領域36Ccの対応する第一凹条361Cc、即ち、第一傾斜方向Id1に隣り合う第一凹条361Ccの湾曲する方向と逆になっている(図6A及び図6B参照)。
以上のように構成される複数の第一凸条領域36Cvと複数の第一凹条領域36Ccとは、それぞれ交差するように配置されている。即ち、複数の第一凸条領域36Cvと複数の第一凹条領域36Ccとは、いわゆる格子状に配置されている。本実施形態の第一堰部領域320aにおいて、複数の第一凸条領域36Cvと複数の第一凹条領域36Ccとは、第一凸条領域36Cvにおいて第一傾斜方向Id1に隣り合う第一凸条361Cv同士の間の領域360Cvと、第一凹条領域36Ccにおいて第二傾斜方向Id2に隣り合う第一凹条361Cc同士の間の領域360Ccとが、それぞれ交差又は重なるように配置されている。即ち、隣り合う第一凸条領域36Cvの間隔(本実施形態の例では、第二傾斜方向Id2の間隔)のそれぞれは、第一凹条領域36Ccを規定する第一凹条361Ccの第二傾斜方向Id2の長さと対応し、且つ、隣り合う第一凹条領域36Ccの間隔(本実施形態の例では、第一傾斜方向Id1の間隔)のそれぞれは、第一凸条領域36Cvを規定する第一凸条361Cvの第一傾斜方向Id1の長さと対応している。
このように複数の第一凸条領域36Cvと複数の第一凹条領域36Ccとが交差することによって形成される第一凸条領域36Cvと第一凹条領域36Ccとに囲まれた部位、即ち、隣り合う二つの第一凸条領域36Cvと、隣り合う二つの第一凹条領域36Ccとによって囲まれる四角状の部位38は、第一面S1側又は第二面S2側に凸となる球面状凸部380を有する。本実施形態の球面状凸部380は、第二面S2側に凸となっている。即ち、球面状凸部380は、第一面S1側から見て凹となっている。
本実施形態の第一堰部領域320aにおいて、四角状の部位38は、第二傾斜方向Id2に隣り合う一対の第一凸条361Cvと、第一傾斜方向Id1に隣り合う一対の第一凹条361Ccとによって囲まれている。そして、この第一堰部領域320aでは、互いに離れる方向に凸となるように湾曲する一対の第一凸条361Cvと、互いに離れる方向に凸となるように湾曲する一対の第一凹条361Ccと、に囲まれた四角状の部位38aと、互いに近づく方向に凸となるように湾曲する一対の第一凸条361Cvと、互いに近づく方向に凸となるように湾曲する一対の第一凹条361Ccと、に囲まれた四角状の部位38bとが、第一傾斜方向Id1と第二傾斜方向Id2とのそれぞれにおいて交互に配置されている。
以上のように構成される一対の第一堰部領域320aにおいて、各構成の位置は、横中心線CL2を対称軸として線対称となっている。
尚、Z軸方向の一方側の第一堰部領域320aにおける複数の第一凸条領域36Cvの各第一凸条361Cvと、Z軸方向の他方側の第一堰部領域320aにおいて対応する位置である横中心線CL2を対称軸にして線対称な位置の各第一凸条361Cvとは、図4に示すように、湾曲方向、即ち、X軸方向から見て凸となる方向が逆になっている。また、Z軸方向の一方側の第一堰部領域320aにおける複数の第一凹条領域36Ccの各第一凹条361Ccと、Z軸方向の他方側の第一堰部領域320aにおいて対応する位置である横中心線CL2を対称軸にして線対称な位置の各第一凹条361Ccとは、湾曲方向が逆になっている。
複数の第二凸条領域37Cvは、第一面S1の複数の第一凹条領域36Ccと表裏の関係にある。詳しくは、以下の通りである。
複数の第二凸条領域37Cvは、第二傾斜方向Id2に沿ってそれぞれ延びると共に、第二傾斜方向Id2と直交する方向に間隔をあけて配置されている。
複数の第二凸条領域37Cvのそれぞれは、第二傾斜方向Id2に沿って延びる一つの第二凸条371Cv、又はそれぞれが第二傾斜方向Id2に沿って延び且つ該第二傾斜方向Id2に並ぶ複数の第二凸条371Cvによって規定される。本実施形態の第二凸条領域37Cvは、第二傾斜方向Id2に並ぶ複数の第二凸条371Cvによって規定されている。これら複数の第二凸条領域37Cvのそれぞれは、第二傾斜方向Id2における第二堰部領域320bの一端から他端までそれぞれ延びている。
本実施形態の各第二凸条371Cvは、第一堰部領域320a(第一面S1)の各第一凹条領域36Ccを規定する複数の第一凹条361Ccのうちの対応する第一凹条361Ccとそれぞれ表裏の関係にある。具体的には、以下の通りである。
各第二凸条領域37Cvにおいて、該第二凸条領域37Cvに含まれる複数の第二凸条371Cvのそれぞれの第二傾斜方向Id2の長さは、同じである。また、各第二凸条領域37Cvにおいて、複数の第二凸条371Cvは、第二斜方向Id2に等間隔に並んでいる。
これら複数の第二凸条371Cvのそれぞれは、X軸方向から見て曲がっており又は曲がった部位を有する。本実施形態の複数の第二凸条371Cvのそれぞれは、第二傾斜方向Id2の全域において湾曲している。また、複数の第二凸条371Cvのそれぞれの第二傾斜方向Id2の各位置の高さは、中央部が最も高く、両端部に向かうに伴い低くなっている。
本実施形態の複数の第二凸条領域37Cvのそれぞれにおいては、第二傾斜方向Id2と直交する方向の一方側に凸となるように湾曲する第二凸条371Cvと、前記直交する方向の他方側に凸となるように湾曲する第二凸条371Cvとが、第二傾斜方向Id2に交互に配置されている(図7A及び図7B参照)。これら第二傾斜方向Id2と直交する方向の一方側に凸となるように湾曲する第二凸条371Cvと、他方側に凸となるように湾曲する第二凸条371Cvとは、湾曲する方向以外は、同じ構成(形状)である。
また、第二凸条領域37Cvの各第二凸条371Cvの湾曲する方向は、該第二凸条371Cvを含む第二凸条領域37Cvと隣り合う第二凸条領域37Cvの対応する第二凸条371Cv、即ち、第一傾斜方向Id2に隣り合う第二凸条371Cvの湾曲する方向と逆になっている(図7A及び図7B参照)。
また、本実施形態の各第二凹条371Ccは、第一堰部領域320a(第一面S1)の各第一凸条領域36Cvを規定する複数の第一凸条361Cvのうちの対応する第一凸条361Cvとそれぞれ表裏の関係にある。具体的には、以下の通りである。
複数の第二凹条領域37Ccは、第一面S1の複数の第一凸条領域36Cvと表裏の関係にある。詳しくは、以下の通りである。
複数の第二凹条領域37Ccは、第一傾斜方向Id1に沿ってそれぞれ延びると共に、第一傾斜方向Id1と直交する方向に間隔をあけて配置されている。
複数の第二凹条領域37Ccのそれぞれは、第一傾斜方向Id1に沿って延びる一つの第二凹条371Cc、又はそれぞれが第一傾斜方向Id1に沿って延び且つ該第一傾斜方向Id1に並ぶ複数の第二凹条371Ccによって規定される。本実施形態の第二凹条領域37Ccは、第一傾斜方向Id1に並ぶ複数の第二凹条371Ccによって規定されている。これら複数の第二凹条領域37Ccのそれぞれは、第一傾斜方向Id1における第二堰部領域320bの一端から他端までそれぞれ延びている。
各第二凹条領域37Ccにおいて、該第二凹条領域37Ccに含まれる複数の第二凹条371Ccのそれぞれの第一傾斜方向Id1の長さは、同じである。また、各第二凹条領域37Ccにおいて、複数の第二凹条371Ccは、第一傾斜方向Id1に等間隔に並んでいる。
これら複数の第二凹条371Ccのそれぞれは、X軸方向から見て曲がっており又は曲がった部位を有する。本実施形態の複数の第二凹条371Ccのそれぞれは、第一傾斜方向Id1の全域において湾曲している。また、複数の第二凹条371Ccのそれぞれの第一傾斜方向Id1における各位置の高さは、中央部が最も高く、両端部に向かうに伴い低くなっている。
本実施形態の複数の第二凹条領域37Ccのそれぞれにおいては、第一傾斜方向Id1と直交する方向の一方側に凸となるように湾曲する第二凹条371Ccと、前記直交する方向の他方側に凸となるように湾曲する第二凹条371Ccとが、第一傾斜方向Id1に交互に配置されている(図7A及び図7B参照)。これら第一傾斜方向Id1と直交する方向の一方側に凸となるように湾曲する第二凹条371Ccと、他方側に凸となるように湾曲する第二凹条371Ccとは、湾曲する方向以外は、同じ構成(形状)である。
また、第二凹条領域37Ccの各第二凹条371Ccの湾曲する方向は、該第二凹条371Ccを含む第二凹条領域37Ccと隣り合う第二凹条領域37Ccの対応する第二凹条371Cc、即ち、第一傾斜方向Id1に隣り合う第二凹条371Ccの湾曲する方向と逆になっている(図7A及び図7B参照)。
以上のように構成される複数の第二凸条領域37Cvと複数の第二凹条領域37Ccとは、それぞれ交差するように配置されている。即ち、複数の第二凸条領域37Cvと複数の第二凹条領域37Ccとは、いわゆる格子状に配置されている。本実施形態の第二堰部領域320bにおいて、複数の第二凸条領域37Cvと複数の第二凹条領域37Ccとは、第二凸条領域37Cvにおいて第二傾斜方向Id2に隣り合う第二凸条371Cv同士の間の領域370Cvと、第二凹条領域37Ccにおいて第一傾斜方向Id1に隣り合う第二凹条371Cc同士の間の領域370Ccとが、それぞれ交差又は重なるように配置されている。即ち、隣り合う第二凸条領域37Cvの間隔(本実施形態の例では、第一傾斜方向Id1の間隔)のそれぞれは、第二凹条領域37Ccを規定する第二凹条371Ccの第一傾斜方向Id1の長さと対応し、且つ、隣り合う第二凹条領域37Ccの間隔(本実施形態の例では、第二傾斜方向Id2の間隔)のそれぞれは、第二凸条領域37Cvを規定する第二凸条371Cvの第二傾斜方向Id2の長さと対応している。
このように複数の第二凸条領域37Cvと複数の第二凹条領域37Ccとが交差することによって形成される第二凸条領域37Cvと第二凹条領域37Ccとに囲まれた部位、即ち、隣り合う二つの第二凸条領域37Cvと、隣り合う二つの第二凹条領域37Ccとによって囲まれる四角状の部位38は、第一面S1側又は第二面S2側に凸となる球面状凸部380を有する。本実施形態の球面状凸部380は、第二面S2側に凸となっている。
本実施形態の第二堰部領域320bにおいて、四角状の部位38は、第一堰部領域320aと同様に、第二傾斜方向Id2に隣り合う一対の第二凸条371Cvと、第一傾斜方向Id1に隣り合う一対の第二凹条371Ccとによって囲まれている。そして、この第二堰部領域320bでは、互いに離れる方向に凸となるように湾曲する一対の第二凸条371Cvと、互いに離れる方向に凸となるように湾曲する一対の第二凹条371Ccと、に囲まれた四角状の部位38dと、互いに近づく方向に凸となるように湾曲する一対の第二凸条371Cvと、互いに近づく方向に凸となるように湾曲する一対の第二凹条371Ccと、に囲まれた四角状の部位38cとが、第一傾斜方向Id1と第二傾斜方向Id2とのそれぞれにおいて交互に配置されている。
以上のように構成される一対の第二堰部領域320bにおいて、各構成の位置は、横中心線CL2を対称軸として線対称となっている。
尚、Z軸方向の一方側の第二堰部領域320bにおける複数の第二凸条領域37Cvの各第二凸条371Cvと、Z軸方向の他方側の第二堰部領域320bにおいて対応する位置である横中心線CL2を対称軸にして線対称な位置の各第二凸条371Cvとは、図5に示すように、湾曲方向が逆になっている。また、Z軸方向の一方側の第二堰部領域320bにおける複数の第二凹条領域37Ccの各第二凹条371Ccと、Z軸方向の他方側の第二堰部領域320bにおいて対応する位置である横中心線CL2を対称軸にして線対称な位置の各第二凹条371Ccとは、湾曲方向が逆になっている。
図4及び図5に戻り、一対のガイド用切欠き33は、伝熱プレート3のZ軸方向の各端部におけるY軸方向の中央部に配置されている。本実施形態の一対のガイド用切欠き33は、横中心線CL2を対称軸にした線対称な形状である。
図8に示すように、複数のガスケット4のそれぞれは、伝熱プレート3間において流路Ra、Rbを画定する流路画定部41と、隣り合う伝熱プレート3の連通孔311同士を連通させる環状部42と、流路画定部41と環状部42とを接続する接続部43と、を有する。本実施形態のガスケット4は、一つの流路画定部41と、二つの環状部42と、四つの接続部43と、を有する。
流路画定部41は、X軸方向から見て、主伝熱部30の主伝熱領域300a、300bと、一対の堰部32と、各連通部31a、31bの対応する(本実施形態の例では、縦中心線CL1に対して同じ側に位置する)二つの連通孔311と、を囲む部位である。
二つの環状部42のそれぞれは、X軸方向から見て、流路画定部41の外側に位置する連通孔311を囲む部位である。この環状部42は、X軸方向から見て円形状である。
以上のように構成される伝熱プレート3及びガスケット4を有するプレート積層部2では、図3に示すように、複数の伝熱プレート3が一つ置きに反転した状態でX軸方向に重ね合わされている。このとき、複数のガスケット4は、各伝熱プレート3間に配置されている(挟み込まれている)が、これら複数のガスケット4も一つ置きに反転した状態で各伝熱プレート3間に配置されている。
本実施形態のプレート積層部2では、伝熱プレート3の反転は、横中心線CL2を回転軸にして行われており、これにより、X軸方向に隣り合う伝熱プレート3同士は、第一面S1同士を対向させた状態又は第二面S2同士を対向させた状態で重ね合わされている。また、ガスケット4の反転は、Y軸法方向の中心においてZ軸方向に延びる中心線CL3(図8参照)を回転軸にして行われている。
このように各伝熱プレート3間にガスケット4が挟み込まれた状態で複数の伝熱プレート3がX軸方向に重ね合わされることで、プレート積層部2(熱交換器1)において、各伝熱プレート3を境にして、第一流体AをZ軸方向に流通させる第一流路Raと、第二流体BをZ軸方向に流通させる第二流路Rbとが、交互に形成される。即ち、X軸方向に重ね合わされる複数の伝熱プレート3において、隣り合う伝熱プレート3の第一面S1間に第一流路Raが形成されると共に、隣り合う伝熱プレート3の第二面S2間に第二流路Rbが形成される。
このとき、プレート積層部2においてX軸方向に隣り合う伝熱プレート3の堰部32同士が重ね合わされた部位では、第一面S1の複数の第一凸条領域36Cvを規定する各第一凸条361Cvが該第一面S1と対向する伝熱プレート3と当接することで、この伝熱プレート3と該第一面S1との間に第一流体Aが流通可能な第一流路Raが形成されている。また、第二面S2の複数の第二凸条領域37Cvを規定する各第二凸条371Cvが該第二面S2と対向する伝熱プレート3と当接することで、この伝熱プレート3と該第二面S2との間に第二流体Bが流通可能な第二流路Rbが形成されている。詳しくは、以下の通りである。尚、以下の説明においては、X軸方向に隣り合う伝熱プレート3において、図4に示す姿勢の伝熱プレート3を第一の伝熱プレート3aと称し、第一の伝熱プレート3aの姿勢に対して横中心線CL2を回転軸にして反転させた姿勢の伝熱プレート3を第二の伝熱プレート3bと称する(図3参照)。
プレート積層部2において、X軸方向に隣り合う第一及び第二の伝熱プレート3a、3bが第一面S1同士を対向させることで第一流路Raが構成され、第二面S2同士を対向させることで第二流路Rbが構成されている。
第一流路Raにおいて、第一面S1の第一堰部領域320a同士が対向する部位では、図9及び図10に示すように、対向する第一凸条領域36Cvの各第一凸条361Cv同士が当接している。これら互いに当接する第一凸条361Cv同士は、X軸方向から見たときの湾曲方向、即ち、凸となる向きが逆であるため、交差状態で当接する当接部位362を複数構成している。本実施形態の互いに当接する第一凸条361Cv同士は、二つの当接部位362を構成している。
このとき、共通の第一凸条361Cvにおける隣り合う当接部位362間において、一方の第一凸条361Cvの頂部と他方の第一凸条361Cvの頂部とはX軸方向から見て互いにずれた位置にある。また、互いに当接する第一凸条361Cvのそれぞれは、当接部位362より第一傾斜方向Id1の中央部が高いため、頂部同士が並ぶ方向から見たときに、共通の第一凸条361Cvにおける隣り合う当接部位362間において、一方の第一凸条361Cvの頂部と他方の第一凸条361Cvの頂部とが重っている(図11参照)。
このように、第一流路Raにおいて第一堰部領域320a同士が対向する領域では、隣り合う第一凸条領域36Cv間のそれぞれに第一傾斜方向Id1に延びるトンネル状の空間が形成される。即ち、第一流路Raにおける第一堰部領域320a同士が対向する領域には、それぞれが第一傾斜方向Id1に延び且つ互いに平行な複数のトンネル状の空間が形成されている。
本実施形態のプレート積層部2では、第一の伝熱プレート3aの第一面S1において隣り合う第一凸条領域36Cv間の空間と、この第一凸条領域36Cv間と対応する第二の伝熱プレート3bの第一面S1において隣り合う第一凸条領域36Cv間の空間とが、一体となって第一傾斜方向Id1に延びるトンネル状の空間が形成されている(図9の矢印参照)。
また、第二流路Rbにおいて、第二面S2の第二堰部領域320b同士が対向する部位においても、図12に示すように、対向する第二凸条領域37Cvの各第二凸条371Cv同士が当接している。これら互いに当接する第二凸条371Cv同士は、X軸方向から見たときの湾曲方向、即ち、凸となる向きが逆であるため、交差状態で当接する当接部位372を複数構成している。本実施形態の互いに当接する第二凸条371Cv同士は、二つの当接部位372を構成している。
このとき、共通の第二凸条371Cvにおける隣り合う当接部位372間において、一方の第二凸条371Cvの頂部と他方の第二凸条371Cvの頂部とはX軸方向から見て互いにずれた位置にある。また、互いに当接する第二凸条371Cvのそれぞれは、当接部位372より第二傾斜方向Id2の中央部が高いため、頂部同士が並ぶ方向から見たときに、共通の第二凸条371Cvにおける隣り合う当接部位372間において、一方の第二凸条371Cvの頂部と他方の第二凸条371Cvの頂部とが重っている。
このように、第二流路Rbにおいて第二堰部領域320b同士が対向する領域では、隣り合う第二凸条領域37Cv間のそれぞれに第二傾斜方向Id2に延びるトンネル状の空間が形成される。即ち、第二流路Rbにおける第二堰部領域320b同士が対向する領域には、それぞれが第二傾斜方向Id2に延び且つ互いに平行な複数のトンネル状の空間が形成されている。
本実施形態のプレート積層部2では、第一の伝熱プレート3aの第二面S2において隣り合う第二凸条領域37Cv間の空間と、この第二凸条領域37Cv間と対応する第二の伝熱プレート3bの第二面S2において隣り合う第二凸条領域37Cv間の空間とが、一体となって第二傾斜方向Id2に延びるトンネル状の空間が形成されている(図12の矢印参照)。
また、プレート積層部2において、図1〜図3に示すように、複数の伝熱プレート3の対応する連通孔311b同士がX軸方向に連なることにより、第一流路Raのみに連通した一対の第一連通路Ra1、Ra2が形成されると共に、複数の伝熱プレート3の対応する連通孔311a同士がX軸方向に連なることにより、第二流路Rbのみに連通した一対の第二連通路Rb1、Rb2が形成される。これら一対の第一連通路Ra1、Ra2のうちの一方の第一連通路Ra1は、第一流体Aを各第一流路Raに流入させ、他方の第一連通路Ra2は、第一流体Aを各第一流路Raから流出させる。また、一対の第二連通路Rb1、Rb2のうちの一方の第二連通路Rb1は、第二流体Bを各第二流路Rbに流入させ、他方の第二連通路Rb2は、第二流体Bを各第二流路Rbから流出させる。
一対のフレーム5a、5bのそれぞれは、X軸方向から見て伝熱プレート3と対応した形状の厚板状の部材である。
一対のフレーム5a、5bのうちの一方のフレーム5aは、Z軸方向に長尺な矩形厚板状であり、伝熱プレート3の各連通孔311(各連通路Ra1、Ra2、Rb1、Rb2)と対応する位置においてX軸方向に貫通する複数の貫通孔51を有する。本実施形態の一対のフレーム5aは、四つの貫通孔51を有する。また、一方のフレーム5aは、Y軸方向の両端に、Z軸方向に間隔をあけて並ぶ複数の切欠部52を有する。
また、一対のフレーム5a、5bのうちの他方のフレーム5bは、Z軸方向に長尺な矩形厚板状であり、Y軸方向の両端に、Z軸方向に間隔をあけて並ぶ複数の切欠部53を有する。これら複数の切欠部53のそれぞれは、一方のフレーム5aの各切欠部52と対応する位置に配置されている。具体的に、各切欠部53は、一方のフレーム5aの対応する切欠部52とX軸方向から見て重なる位置にそれぞれ配置されている。
ガイド部6は、それぞれがX軸方向に延びる一対のガイドバー61を有する。また、本実施形態のガイド部6は、一対のガイドバー61の端部同士の間隔を維持するサポート部材62も有する。
一対のガイドバー61は、一方のフレーム5aのZ軸方向の両端部から互いに平行に延びている。これら一対のガイドバー61は、他方のフレーム5bを一方のフレーム5aに対して平行な状態(姿勢)でX軸方向に接離可能にガイドする。また、一対のガイドバー61のそれぞれは、伝熱プレート3のZ軸方向の両端のガイド用切欠き33にそれぞれ嵌まり込むことで、各伝熱プレート3を配置位置にガイドする。
サポート部材62は、Z軸方向に延び、一対のガイドバー61の端部(一方のフレーム5aに接続されている端部と反対側の端部)同士を接続することによって、該端部同士の間隔を維持する。
複数の締付部材7のそれぞれは、X軸方向に延びるボルト71と、該ボルト71と螺合するナット72と、を有する。各締付部材7は、一対のフレーム5a、5bの対応する(X軸方向から見て重なる)切欠部52、53に嵌まり込んだ状態でX軸方向の間隔が小さくなる方向に一対のフレーム5a、5bを締め付ける。この複数の締付部材7による一対のフレーム5a、5bの締め付けによって、各伝熱プレート3間に配置されたガスケット4が十分な力で挟み込まれ、これにより、各伝熱プレート3間に形成された各流路Ra、Rbが液密な状態となる。
以上のように構成される熱交換器1では、一方の第一連通路Ra1に第一流体Aが供給されると共に、一方の第二連通路Rb1に第二流体Bが供給されると、第一流体Aが一方の第一連通路Ra1から各第一流路Raに流入すると共に、第二流体Bが一方の第二連通路Rb1から各第二流路Rbに流入する。
これにより、熱交換器1において、第一流体Aが第一流路Ra内をZ軸方向に流れ(図13参照)、第二流体Bが第二流路Rb内をZ軸方向に流れる(図14参照)。
詳しくは、第一流体Aが、第一流路Ra内において、第一面S1間をZ軸方向の一端から他端側に向けて通過(流通)し、第二流体Bが、第二流路Rb内において、第二面S2間をZ軸方向の他端から一端側に向けて通過(流通)する。
このとき、一方の第一連通路Ra1から第一流路Raに流入した第一流体Aの流れは、一方の第一連通路Ra1側の第一堰部領域320a間を通過することによってY軸方向に拡散され、このY軸方向に拡散された第一流体Aが第一主伝熱領域300a間を通過する。そして、第一主伝熱領域300a間を通過した第一流体Aの流れは、他方の第一連通路Ra2側の第一堰部領域320a間を通過することによってY軸方向に集束して他方の第一連通路Ra2に向かう。
これに対し、一方の第二連通路Rb1から第二流路Rbに流入した第二流体Bの流れは、一方の第二連通路Rb1側の第二堰部領域320b間を通過することによってY軸方向に拡散され、このY軸方向に拡散された第二流体Bが第二主伝熱領域300b間を通過する。そして、第二主伝熱領域300b間を通過した第二流体Bの流れは、他方の第二連通路Rb2側の第二堰部領域320b間を通過することによってY軸方向に集束して他方の第二連通路Rb2に向かう。
第一流体Aと第二流体Bとは、このように第一流路Raと第二流路Rbとを流れるときに、第一流路Raと第二流路Rbとの間にある伝熱プレート3(主に主伝熱部30)を介して熱交換する。
そして、図3に示すように、熱交換を終えた第一流体Aは、各第一流路Raから他方の第一連通路Ra2に流出し、該第一連通路Ra2を通じて外部に排出される。また、熱交換を終えた第二流体Bは、各第二流路Rbから他方の第二連通路Rb2に流出し、該第二連通路Rb2を通じて外部に排出される。
以上の熱交換器1では、伝熱プレート3に複数の第一凸条領域36Cv(第一凸条361Cv)と複数の第二凸条領域37Cv(第二凸条371Cv)とが交差するように配置されている。これにより、該伝熱プレート3におけるX軸方向の力に対する強度(耐圧強度)が確保される。また、これら各凸条領域36Cv、37Cvを有する伝熱プレート3と、該伝熱プレート3の第一凸条361Cv又は第二凸条371Cvと当接する伝熱プレート(相手側プレート)3との間において、各凸条領域36Cv、37Cv間を傾斜方向Id1、Id2に延びるトンネル状の空間が形成されることで、該伝熱プレート3と相手側プレート3との間を流れる流体A、Bの圧力損失が抑えられる。
しかも、複数の第一凸条領域36Cvと複数の第二凸条領域37Cvとが交差するように配置されることで凸条領域36Cv、37Cv間の間隔を大きくする、即ち、トンネル状の空間の断面積(流路断面積)を大きくして流体A、Bが該トンネル状の空間を流れる際の流通抵抗を抑えても、伝熱プレート3において十分な強度が確保される。これにより、熱交換器1における耐圧強度の向上と圧力損失の抑制との両方を実現することができる。
また、本実施形態の熱交換器1では、第一の伝熱プレート3aと第二の伝熱プレート3bとの第一堰部領域320a同士又は第二堰部領域320b同士が対向している。即ち、第一の伝熱プレート3a及び第二の伝熱プレート3bの第一面S1同士又は第二面S2同士は、第一堰部領域320aの各第一凸条361Cv同士又は第二堰部領域320bの各第二凸条371Cv同士を互いに当接させた状態で対向している。
この構成によれば、第一の伝熱プレート3aにおいて隣り合う凸条領域36Cv、37Cv間を傾斜方向Id1、Id2に延びる空間と、第二の伝熱プレート3bにおいて隣り合う凸条領域36Cv、37Cv間を傾斜方向Id1、Id2に延びる空間とが一体となって伝熱プレート3a、3b間に前記トンネル状の空間が形成される。これにより、X軸方向に隣り合う伝熱プレート3の一方のみに複数の凸条領域36Cv又は37Cvが形成されている場合に比べ、前記トンネル状の空間の断面積(流路断面積)がより大きくなり、その結果、圧力損失がより抑えられる。
また、本実施形態の熱交換器1では、互いに当接する凸条361Cv、371Cv同士のそれぞれは、X軸方向から見て曲がっており又は曲がった部位を有し、これら互いに当接する凸条361Cv、371Cv同士は、交差状態で当接する当接部位362、372を複数構成している。このため、伝熱プレート3a、3bの熱膨張等によって対向する凸条361Cv、371Cv同士が相対移動しても、該凸条361Cv、371Cv同士の当接状態が維持される。即ち、凸条の頂部同士が互いに平行な状態で当接していると、当接部位の面積(接触面積)は大きくなるが、伝熱プレートの熱膨張等によって対向する凸条が該凸部の延びる方向と交差する方向に相対移動ときに、頂部同士がずれてしまうが、本実施形態の熱交換器1では、対向する凸条361Cv、371Cv同士が交差状態で当接しているため、伝熱プレート3の熱膨張等によって凸条361Cv、371Cv同士が相対移動しても当接部位362、372の位置は変わるが、対向する凸条361Cv、371Cv同士の当接状態が維持される。これにより、前記熱膨張等による凸条361Cv、371Cv同士のずれに起因するプレート積層部2の耐圧強度の低下を防ぐことができる。
また、本実施形態の熱交換器1では、隣り合う伝熱プレート3a、3bにおける互いに当接する第一凸条361Cv同士又は第二凸条371Cv同士の隣り合う当接部位362、372間において、対向する凸条361Cv、371Cvの各頂部は、X軸方向から見て互いにずれた位置(図9及び図12参照)で且つ頂部同士が並ぶ方向から見て重なる位置(図11参照)にある。このため、互いに当接する凸条361Cv、371Cvの頂部同士が接近する向きに各凸条361Cv、371Cvを有する伝熱プレート3a、3b同士が相対移動しようとしても、前記頂部同士が当接し又は当接しているため、前記相対移動が防がれる。
しかも、伝熱プレート3aの第一面S1側において、第二傾斜方向Id2に間隔をあけて配置され且つ互いに離れる方向に凸となるように湾曲する一対の第一凸条361Cv、及び、第二傾斜方向Id2に間隔をあけて配置され且つ互いに近づく方向に凸となるように湾曲する一対の第一凸条361Cvが、該伝熱プレート3aに対して第一面S1を対向させて相手側プレート3bの該第一面S1において対応する一対の第一凸条361Cvとそれぞれ当接しているため(図9及び図10参照)、該伝熱プレート3aと該相手側プレート3bとの第二傾斜方向Id2の相対移動が防がれる。
また、伝熱プレート3aの第二面S2側において、第一傾斜方向Id1に間隔をあけて配置され且つ互いに離れる方向に凸となるように湾曲する一対の第二凸条371Cv、及び、第一傾斜方向Id1に間隔をあけて配置され且つ互いに近づく方向に凸となるように湾曲する一対の第二凸条371Cvが、該伝熱プレート3aに対して第二面S2を対向させて隣り合う相手側プレート3bの該第二面S2において対応する一対の第二凸条371Cvとそれぞれ当接しているため(図12参照)、該伝熱プレート3aと該相手側プレート3bとの第一傾斜方向Id1の相対移動も防がれる。
即ち、X軸方向に配置される二つの相手側プレート3bの間に配置された伝熱プレート3aは、第一傾斜方向Id1及び第二傾斜方向Id2の各方向への移動がこれら二つの相手側プレート3bによって規制される。
また、本実施形態の熱交換器1では、伝熱プレート3の堰部32における隣り合う二つの第一凸条領域36Cvと隣り合う二つの第一凹条領域36Cc(即ち、隣り合う二つの第二凸条領域37Cv)とによって囲まれる四角状の部位38のそれぞれは、第二面S2側に凸となる球面状凸部380を有している。このように、凸条領域36Cv、37Cvによって四角状に囲まれる部位38のそれぞれが球面状凸部380を有することで、伝熱プレート3(詳しくは、堰部32)の剛性がより向上する。このため、プレート積層部2において、耐圧強度の向上や、隣り合う第一又は第二凸条領域36Cv、37Cv同士の間隔をより大きくして圧力損失の抑制を図ることができる。
尚、本発明のプレート式熱交換器は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
上記実施形態の熱交換器1では、それぞれが複数の第一凸条361Cvを含む複数の第一凸条領域36Cvとそれぞれが複数の第一凹条361Ccを含む複数の第一凹条領域36Ccとが交差する第一面S1と、それぞれが複数の第二凸条371Cvを含む複数の第二凸条領域37Cvとそれぞれが複数の第二凹部371Ccを含む複数の第二凹条領域37Ccとが交差する第二面S2とを、プレート積層部2を構成する各伝熱プレート3が有しているが、この構成に限定されない。
例えば、プレート積層部2において重ね合わされる複数の伝熱プレートのうちの一部の伝熱プレート3のみが、前記第一面S1と前記第二面S2と、を有する構成でもよい。
かかる構成によれば、少なくとも前記第一面S1と前記第二面S2とを有する伝熱プレート3において、複数の第一凸条領域36Cvと複数の第二凸条領域37Cvとが交差するように配置されているため、X軸方向の力に対する強度が確保される。しかも、第一面S1と第二面S2とを有する伝熱プレート3と、該伝熱プレート3と隣り合う相手側プレートとの間において、隣り合う凸条領域36Cv、37Cv間を傾斜方向に延びるトンネル状の空間が形成されるため、該伝熱プレート3と相手側プレートとの間を流れる流体の圧力損失が抑えられる。
また、複数の凸条領域36Cv、37Cvと複数の凹条領域36Cc、37Ccとの伝熱プレート3における具体的な配置位置は限定されない。上記実施形態の各伝熱プレート3では、複数の凸条領域36Cv、37Cvと複数の凹条領域36Cc、37Ccとは、堰部32に配置されているが、例えば、主伝熱部30の一部や連通部31の一部等に配置されてもよい。
上記実施形態の各伝熱プレート3の堰部領域320a、320bにおいて、各凸条領域36Cvと、各凹条領域36Cc、37Ccとは、第一傾斜方向Id1又は第二傾斜方向Id2に真っ直ぐ延びているが、この構成に限定されない。例えば、各凸条領域36Cv、37Cvと各凹条領域36Cc、37Ccとは、円弧状に延びていてもよい(図15参照)。即ち、各凸条領域36Cv、37Cvと各凹条領域36Cc、37Ccとは、第一傾斜方向Id1又は第二傾斜方向Id2に沿って延びていれば、真っ直ぐに延びていても、曲がって延びていてもよい。尚、図15に示す例では、第一凸条領域36Cvにおける各第一凸条361Cvが第一傾斜方向Id1に沿って円弧状に延びる仮想線C1上に配置され、第一凹条領域36Ccにおける各第一凹条361Ccが第二傾斜方向Id2に沿って延びる円弧状の仮想線C2上に配置されている。
また、上記実施形態の堰部領域320a、320bにおいて、隣り合う凸条領域36Cv、37Cv同士及び隣り合う凹条領域36Cc、37Cc同士は、互いに平行であるが、この構成に限定されない。即ち、複数の凸条領域36Cv、37Cv及び複数の凹条領域36Cc、37Ccのそれぞれが第一傾斜方向Id1又は第二傾斜方向Id2に沿って延びていれば、隣り合う凸条領域36Cv、37Cv同士又は隣り合う凹条領域36Cc、37Cc同士が互いに平行でなくてもよい。
また、上記実施形態の各伝熱プレート3の堰部領域320a、320bにおいて、各凸条領域36Cv、37Cvが複数の凸条361Cv、371Cvによって規定され、各凹条領域36Cc、37Ccが複数の凹条361Cc、371Ccによって規定されているが、この構成に限定されない。例えば、凸条領域36Cv、37Cv及び凹条領域36Cc、37Ccのうちの一方領域が、一つの凸条361Cv、371Cv又は一つの凹条361Cc、371Ccによって規定される構成でもよい(図16参照)。尚、図16においては、奥側の伝熱プレートにおいて凸条領域を規定する複数の凸条361Cvを実線で表し、手前側の伝熱プレートにおいて凸条領域を規定する一つの凸条361Cを破線で表している。
また、上記実施形態のプレート積層部2は、一種類の伝熱プレート3によって構成されているが、この構成に限定されない。プレート積層部2は、複数種の伝熱プレートが重ね合わされることで構成されていてもよい。例えば、プレート積層部2が、二種類の伝熱プレートを備える場合、以下のように構成される。
二種類の伝熱プレートのうちの一方の伝熱プレート3では、一方の面である第一面S1が、Z軸方向に対して傾斜する第一傾斜方向Id1に沿ってそれぞれ延びると共に、第一傾斜方向Id1と直交する方向に間隔をあけて配置される複数の第一凸条領域36Cvと、Z軸方向に対して第一傾斜方向Id1と反対側に傾斜する第二傾斜方向Id2に沿ってそれぞれ延びると共に、第二傾斜方向Id2と直交する方向に間隔をあけて配置される複数の第一凹条領域36Ccと、を有し、これら複数の第一凸条領域36Cvと複数の第一凹条領域36Ccとは、それぞれ交差する。そして、各第一凸条領域36Cvは、第一傾斜方向Id1に沿って延びる一つの第一凸条361Cv、又はそれぞれが第一傾斜方向Id1に沿って延び且つ該第一傾斜方向Id1に並ぶ複数の第一凸条361Cvによって規定されると共に、各第一凹条領域36Ccは、第二傾斜方向Id2に沿って延びる一つの第一凹条361Cc、又はそれぞれが第二傾斜方向Id2に沿って延び且つ該第二傾斜方向Id2に並ぶ複数の第一凹条361Ccによって規定されている。
また、該一方の伝熱プレート3の他方の面である第二面S2は、第一面S1の複数の第一凸条領域36Cvと表裏の関係にある複数の第二凹条領域37Ccと、第一面S1の複数の第一凹条領域36Ccと表裏の関係にある複数の第二凸条領域37Cvと、を有する。これら各第二凹条領域37Ccは、第一面S1の第一凸条361Cvと表裏の関係にある少なくとも一つの第二凹条371Ccによって規定されると共に、各第二凸条領域37Cvは、第一面S1の第一凹条361Ccと表裏の関係にある少なくとも一つの第二凸条371Cvによって規定されている。
そして、第一面S1の複数の第一凸条領域36Cvを規定する各第一凸条361Cvは、該第一面S1と対向する伝熱プレートと当接することで、この伝熱プレートと第一面S1との間に流体A、Bが流通可能な流路Ra、Rbを形成すると共に、第二面S2の複数の第二凸条領域37Cvを規定する各第二凸条371Cvは、該第二面S2と対向する伝熱プレートと当接することによって、この伝熱プレートと第二面S2との間に流体B、Aが流通可能な流路Rb、Raを形成する。
一方、二種類の伝熱プレートのうちの他方の伝熱プレートでは、前記一方の伝熱プレート3の第一面S1と対向する第三面が、第一面S1の複数の第一凸条領域36Cvと対向する位置に配置される複数の第三凸条領域と、第一面S1の複数の第一凹条領域36Ccと対向する位置に配置される複数の第三凹条領域と、を有し、各第三凸条領域は、該第三凸条領域と対向する第一凸条領域36Cvを規定する少なくとも一つの第一凸条361Cvと対向する少なくとも一つの第三凸条によって規定されると共に、各第三凹条領域は、該第三凹条領域と対向する第一凹条領域36Ccを規定する少なくとも一つの第一凹条361Ccと対向する少なくとも一つの第三凹条によって規定されている。そして、これら各第三凸条領域の少なくとも一つの第三凸条と、該第三凸条領域と対向する第一凸条領域36Cvの少なくとも一つの第一凸条361Cvとが当接している。
また、該他方の伝熱プレートにおいて前記第三面と反対側を向くと共に前記一方の伝熱プレート3の第二面と対向する第四面が、第三面の複数の第三凸条領域と表裏の関係にある複数の第四凹条領域と、第三面の複数の第三凹条領域と表裏の関係にある複数の第四凸条領域と、を有し、各第四凹条領域は、第三面の前記第三凸条と表裏の関係にある少なくとも一つの第四凹条によって規定されると共に、各第四凸条領域は、第三面の前記第三凹条と表裏の関係にある少なくとも一つの第四凸条によって規定されている。
以上の伝熱プレートを備えるプレート積層部2では、X軸方向に隣り合う二つの伝熱プレートは、第一面S1と第三面とを対向させ、又は、第二面S2と第四面とを対向させている。
このように複数種の伝熱プレートがX軸方向に重ね合わされるプレート積層部においても、耐圧強度を向上させると共に、各伝熱プレート間を流体が流れる際の圧力損失を抑えることができる。
また、上記実施形態の熱交換器1における各凸条361Cv、371Cvの具体的な形状は、限定されない。例えば、伝熱プレート3毎、又は、伝熱プレート3における部位毎で、凸条361Cv、371Cvの形状が異なっていてもよい。
また、上記実施形態の各凸条361Cv、371Cvは、全体的に湾曲しているが、例えば、図17に示すように、屈曲した形状であってもよい。また、図18に示すように、各凸条361Cv、371Cvの一部が屈曲又は湾曲した構成であってもよい。尚、図17及び図18と、以下の図19〜図22とにおいて、X軸方向に隣り合う二つの伝熱プレートのうちの一方の伝熱プレートの凸条及び凹条を実線で示し、他方の伝熱プレートの凸条及び凹条を破線で示す。
また、上記実施形態の熱交換器1において、互いに当接する凸条361Cv、371Cvは、それぞれ凸となる方向が逆向きとなるように湾曲しているがこの構成に限定されない。図19に示すように、互いに当接する凸条361Cv、371Cvのうちの一方の凸条361Cv、371Cvが真っ直ぐに延びると共に他方の凸条361Cv、371Cvが曲がっている構成でもよい。また、互いに当接する凸条361Cv、371Cvは、図20に示すように、同じ方向に凸となるように曲がっていてもよい。
また、上記実施形態の各凸条361Cv、371Cvの長手方向の各位置における幅は略一定であるが、この構成に限定されない。図21に示すように、各凸条361Cv、371Cvの長手方向の各位置における幅が異なっていてもよい。
また、上記実施形態の熱交換器1において、互いに当接する凸条361Cv、371Cvは、当接部位362、372を二つ構成しているが、この構成に限定されない。図22に示すように、各凸条361Cv、371Cvは、当接部位362、372を三つ以上構成する形状でもよい。
また、上記実施形態の各凸条361Cv、371Cvでは、長手方向の中央部が最も高くなっているが、この構成に限定されない。各凸条361Cv、371Cvは、長手方向の各位置の高さが同じでもよい。
上記実施形態の熱交換器1は、重ね合わされる伝熱プレート3間にガスケットが挟み込まれることで、各伝熱プレート3間に形成される流路Ra、Rbが液密状態となる、いわゆるガスケットタイプの熱交換器であるが、この構成に限定されない。重ね合わされる伝熱プレート同士が周縁部においてロウ付けされることで、各伝熱プレート間に形成される流路が液密状態となる、いわゆるロウ付けタイプの熱交換器であってもよい。