JP2021109844A - 癌治療用キット - Google Patents
癌治療用キット Download PDFInfo
- Publication number
- JP2021109844A JP2021109844A JP2020002439A JP2020002439A JP2021109844A JP 2021109844 A JP2021109844 A JP 2021109844A JP 2020002439 A JP2020002439 A JP 2020002439A JP 2020002439 A JP2020002439 A JP 2020002439A JP 2021109844 A JP2021109844 A JP 2021109844A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- antibody
- peptide
- vegfr
- cancer
- group
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
- Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
Abstract
【課題】癌を治療する新たな技術を提供する。【解決手段】Vascular Endothelial Growth Factor Receptor(VEGFR)発現細胞に対する細胞傷害性T細胞を誘導するペプチドを含むワクチン組成物と、免疫チェックポイント阻害剤とを含む、癌治療用キット。【選択図】なし
Description
本発明は、癌治療用キットに関する。
Vascular Endothelial Growth Factor Receptor(VEGFR)は、受容体型チロシンキナーゼの一種であり、リガンドであるVEGFの作用発現に関与することが知られている。
これまでに、VEGFR発現細胞に対する細胞傷害性T細胞(CTL)を誘導するペプチドワクチンが開発されてきた(例えば、特許文献1、2を参照。)。また、これらのペプチドワクチンを癌の治療に応用する研究が行われている。例えば、非特許文献1、2には、マウスグリオーマ細胞GL261細胞株を移植したグリオーマモデルに、グリオーマ腫瘍抗原ペプチドとVEGFRペプチドを抗PD−1抗体と併用して効果が見られたことが記載されている。
森本 佑紀奈 他,マウスグリオーマモデルを用いた腫瘍抗原/VEGF receptorワクチンと抗PD−1抗体併用療法の有効性の検討,第77回日本脳神経外科学会総会抄録,2018年
森本 佑紀奈 他,悪性神経膠腫に対するVEGFR2 ワクチンと抗PD−1 抗体併用療法の有効性の検討,第36回日本脳腫瘍学会学術集会抄録,2018年
本発明は、癌を治療する新たな技術を提供することを目的とする。上記非特許文献1、2に記載されているのは2種のペプチドを用いるものであるのに対し、本発明は、より簡便に、様々な腫瘍に効果のあるペプチドワクチンを提供するものである。
本発明は以下の態様を含む。
[1]VEGFR発現細胞に対するCTLを誘導するペプチドを含むワクチン組成物と、免疫チェックポイント阻害剤とを含む、癌治療用キット。
[2]前記ワクチン組成物がアジュバントを含む、[1]に記載の癌治療用キット。
[3]前記アジュバントがpoly(I:C)である、[2]に記載の癌治療用キット。
[4]前記癌が脳腫瘍である、[1]〜[3]のいずれかに記載の癌治療用キット。
[1]VEGFR発現細胞に対するCTLを誘導するペプチドを含むワクチン組成物と、免疫チェックポイント阻害剤とを含む、癌治療用キット。
[2]前記ワクチン組成物がアジュバントを含む、[1]に記載の癌治療用キット。
[3]前記アジュバントがpoly(I:C)である、[2]に記載の癌治療用キット。
[4]前記癌が脳腫瘍である、[1]〜[3]のいずれかに記載の癌治療用キット。
本発明は、悪性度の高いグリオーマモデルを用いて、VEGFRペプチドワクチンのみと抗PD−1抗体とを併用することにより、更なる顕著な腫瘍縮小、生存期間延長効果を示すことを明らかにしたものであり、本発明によれば、癌を治療する新たな技術を提供することができる。
[癌治療用キット]
1実施形態において、本発明は、VEGFR発現細胞に対するCTLを誘導するペプチドを含むワクチン組成物と、免疫チェックポイント阻害剤とを含む、癌治療用キットを提供する。実施例において後述するように、発明者らは、本実施形態の癌治療用キットを用いることにより、癌を効果的に治療することができることを明らかにした。
1実施形態において、本発明は、VEGFR発現細胞に対するCTLを誘導するペプチドを含むワクチン組成物と、免疫チェックポイント阻害剤とを含む、癌治療用キットを提供する。実施例において後述するように、発明者らは、本実施形態の癌治療用キットを用いることにより、癌を効果的に治療することができることを明らかにした。
本明細書において、癌の治療効果が奏されるとは、例えば、腫瘍体積の増大が抑制されることであってもよく、腫瘍体積が減少させることであってもよい。あるいは、生存期間が延長することであってもよい。
(VEGFR発現細胞に対するCTLを誘導するペプチド)
VEGFRには、VEGFR−1、VEGFR−2、VEGFR−3の3種類に加えて、可溶性VEGFR(soluble VEGFR)として、sVEGFR−1、sVEGFR−2、sVEGFR−3が知られている。これらのうち、VEGFR−1及びVEGFR−2は、血管内皮細胞に発現し、血管新生において中心的な役割を担っていることが知られている。
VEGFRには、VEGFR−1、VEGFR−2、VEGFR−3の3種類に加えて、可溶性VEGFR(soluble VEGFR)として、sVEGFR−1、sVEGFR−2、sVEGFR−3が知られている。これらのうち、VEGFR−1及びVEGFR−2は、血管内皮細胞に発現し、血管新生において中心的な役割を担っていることが知られている。
ヒトVEGFR−1は、FLT1遺伝子にコードされ、1338アミノ酸からなる細胞膜タンパク質である。ヒトVEGFR−1タンパク質のNCBIアクセッション番号は、NP_002010.2等である。ヒトVEGFR−1は、新生血管の増殖に不可欠な血管内皮細胞増殖因子受容体であり、固形腫瘍の腫瘍新生血管内皮細胞で高発現している。
また、ヒトVEGFR−2は、KDR遺伝子にコードされ、1356アミノ酸からなる細胞膜タンパクである。ヒトVEGFR−2タンパク質のNCBIアクセッション番号は、NP_002244.1等である。ヒトVEGFR−2は、固形腫瘍の腫瘍新生血管内皮細胞で高発現しており、血管内皮細胞の増殖と遊走に関与している。
VEGFR発現細胞に対するCTLを誘導するペプチドとしては、VEGFR−1発現細胞に対するCTLを誘導するペプチド、VEGFR−2発現細胞に対するCTLを誘導するペプチド等を好適に用いることができる。このようなペプチドとしては、既知のものを用いてもよい。既知のペプチドには、臨床試験によりヒトに投与した場合の安全性が確認されたものが存在する。このようなペプチドは、臨床試験を一部省略することが可能であるため臨床応用しやすい。
VEGFR発現細胞に対するCTLを誘導するペプチドの長さは、約40アミノ酸未満であってもよく、約20アミノ酸未満であってもよく、約15アミノ酸未満であってもよい。例えば、ペプチドの長さは8〜11アミノ酸であってもよく、9アミノ酸であってもよく、10アミノ酸であってもよい。
ペプチドは、既知の方法により調製することができる。例えば、ペプチドは、組換えDNA技術により調製してもよいし、化学合成により調製してもよい。また、ペプチドは、CTLを誘導する活性を有している限り、各種の修飾を有していてもよい。具体的には、例えば、ペプチドに、糖鎖、脂肪酸、ポリアルキレングリコール鎖等が結合されていてもよい。あるいは、ペプチドにD体のアミノ酸が含まれていてもよい。あるいは、ペプチドの側鎖が、酸化、リン酸化等の修飾を受けていてもよい。あるいは、ペプチドが、トリフルオロ酢酸塩、酢酸塩、塩酸塩等の塩を形成していてもよい。
ところで、ヒト白血球抗原(HLA)は組織適合性抗原とも呼ばれる膜タンパク質であり、免疫機構において重要な役割を担っている。HLAには多数の型が存在することが知られている。VEGFR発現細胞に対するCTLを誘導するペプチドが効果的に機能するためには、ペプチドが患者のHLA型と同じ型のHLAに結合性を有する必要がある。
なかでも、HLA−A*24:02、HLA−A*02:01、HLA−A*02:06、HLA−A*02:07等のHLA型を有するヒトは、特に日本人において比較的頻度が高い。したがって、本実施形態の癌治療用キットを日本人に適用する場合には、VEGFR発現細胞に対するCTLを誘導するペプチドとして、これらのHLAに対する結合性(拘束性)を有するものを用いることが好ましい。
VEGFR−1発現細胞に対するCTLを誘導することができる、HLA−A*24:02結合性のペプチドはすでに知られている。このようなペプチドとしては、例えば、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるペプチドが挙げられる。
ここで、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるペプチドは、VEGFR−1発現細胞に対するCTLを誘導することができる限り変異を有していてもよい。VEGFR−1発現細胞に対するCTLを誘導するペプチドは、例えば、配列番号1に記載のアミノ酸配列において1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるペプチドであってもよい。
ここで、1又は複数個とは、1個、2個又は3個であることが好ましい。アミノ酸の置換として、N末端から2番目のアミノ酸のフェニルアラニン、チロシン、メチオニン又はトリプトファンへの置換、C末端のアミノ酸のフェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、トリプトファン又はメチオニンへの置換が挙げられる。また、アミノ酸の付加として、N末端又はC末端への1〜2個のアミノ酸の付加が挙げられる。
VEGFR−1発現細胞に対するCTLを誘導することができる、HLA−A*02:01結合性のペプチドはすでに知られている。このようなペプチドとしては、例えば、配列番号2〜4に記載のアミノ酸配列からなるペプチドが挙げられる。
ここで、配列番号2〜4のいずれかに記載のアミノ酸配列からなるペプチドは、VEGFR−1発現細胞に対するCTLを誘導することができる限り変異を有していてもよい。VEGFR−1発現細胞に対するCTLを誘導するペプチドは、例えば、配列番号2〜4のいずれかに記載のアミノ酸配列において1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるペプチドであってもよい。
ここで、1又は複数個とは、1個、2個又は3個であることが好ましい。アミノ酸の置換として、N末端から2番目のアミノ酸のロイシン又はメチオニンへの置換、C末端のアミノ酸のバリン又はロイシンへの置換が挙げられる。また、アミノ酸の付加として、N末端又はC末端への1〜2個のアミノ酸の付加が挙げられる。
VEGFR−2発現細胞に対するCTLを誘導することができる、HLA−A*24:02結合性のペプチドはすでに知られている。このようなペプチドとしては、例えば、配列番号5〜10のいずれかに記載のアミノ酸配列からなるペプチドが挙げられる。
ここで、配列番号5〜10のいずれかに記載のアミノ酸配列からなるペプチドは、VEGFR−2発現細胞に対するCTLを誘導することができる限り変異を有していてもよい。VEGFR−2発現細胞に対するCTLを誘導するペプチドは、例えば、配列番号5〜10のいずれかに記載のアミノ酸配列において1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるペプチドであってもよい。
ここで、1又は複数個とは、1個、2個又は3個であることが好ましい。アミノ酸の置換として、N末端から2番目のアミノ酸のフェニルアラニン、チロシン、メチオニン又はトリプトファンへの置換、C末端のアミノ酸のフェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、トリプトファン又はメチオニンへの置換が挙げられる。また、アミノ酸の付加として、N末端又はC末端への1〜2個のアミノ酸の付加が挙げられる。
VEGFR−2発現細胞に対するCTLを誘導することができる、HLA−A*02:01結合性のペプチドはすでに知られている。このようなペプチドとしては、例えば、配列番号11〜16のいずれかに記載のアミノ酸配列からなるペプチドが挙げられる。
ここで、配列番号11〜16のいずれかに記載のアミノ酸配列からなるペプチドは、VEGFR−2発現細胞に対するCTLを誘導することができる限り変異を有していてもよい。VEGFR−2発現細胞に対するCTLを誘導するペプチドは、例えば、配列番号11〜16のいずれかに記載のアミノ酸配列において1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるペプチドであってもよい。
ここで、1又は複数個とは、1個、2個又は3個であることが好ましい。アミノ酸の置換として、N末端から2番目のアミノ酸のロイシン又はメチオニンへの置換、C末端のアミノ酸のバリン又はロイシンへの置換が挙げられる。また、アミノ酸の付加として、N末端又はC末端への1〜2個のアミノ酸の付加が挙げられる。
例えば、配列番号12に記載のアミノ酸配列において、N末端から2番目のアミノ酸をロイシンに置換したアミノ酸配列(配列番号16)からなるペプチドは好適な例である。例えば、配列番号16に記載のアミノ酸配列からなるペプチドによる刺激に誘導されるCTLは、変異前のペプチド(配列番号12)を認識し、傷害することができることが確認されている。
本実施形態の癌治療用キットにおいて、VEGFR発現細胞に対するCTLを誘導するペプチドとしては、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。特に、配列番号1〜16にアミノ酸配列を示すペプチドは、HLA−A*24:02結合性又はHLA−A*02:01結合性であり、HLA−A*02:06、HLA−A*02:07への結合性も予想されることから、多くの日本人患者において効果的に機能することができる。
(ワクチン組成物)
本実施形態の癌治療用キットにおいて、ワクチン組成物は、VEGFR発現細胞に対するCTLを誘導するペプチドと、薬学的に許容される担体とを含む。
本実施形態の癌治療用キットにおいて、ワクチン組成物は、VEGFR発現細胞に対するCTLを誘導するペプチドと、薬学的に許容される担体とを含む。
ワクチン組成物は、薬学的に許容される担体と混合して、一般的な製薬手法により製剤化することができる。例えば、錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤等の形態に製剤化して経口的に投与してもよく、注射剤、坐剤、皮膚外用剤等の形態に製剤化して非経口的に投与してもよい。皮膚外用剤としては、軟膏剤、貼付剤等の剤型が挙げられる。
薬学的に許容される担体としては、アジュバント、注射用溶剤、賦形剤、粘着剤等が挙げられる。アジュバントとしては、ワクチン製剤のアジュバントとして一般的に使用されるものを特に限定なく使用することができ、例えば、Toll様レセプター3(TLR3)アゴニストであり、合成二本鎖RNA(dsRNA)である、poly(I:C)(Polyinosinic−polycytidylic acid、CAS番号:24939−03−5)、水酸化ナトリウム、水酸化アルミニウム、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウム、ミョウバン、ペペス、カルボキシビニルポリマー等の沈降性アジュバント、流動パラフィン、ラノリン、不完全型フロイントアジュバント、完全型フロイントアジュバント等の油性アジュバント等が挙げられるがこれらに限定されない。poly(I:C)はナトリウム塩等の塩であってもよい。
注射用溶剤としては、注射剤に一般的に使用されるものを特に限定なく使用することができ、例えば、生理食塩水、ブドウ糖、D−ソルビトール、D−マンノース、D−マンニトール、塩化ナトリウム等の補助薬を含む等張液等が挙げられるがこれらに限定されない。注射用溶剤は、エタノール等のアルコール;プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のポリアルコール;ポリソルベート80(商標)、HCO−50等の非イオン性界面活性剤等を含有していてもよい。
賦形剤としては、一般的な製剤に使用されるものを特に限定なく使用することができ、例えば、デンプン、結晶性セルロース等が挙げられるがこれらに限定されない。
粘着剤としては、一般的な貼付剤等に使用されるものを特に限定なく使用することができ、例えば、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等が挙げられるがこれらに限定されない。
ワクチン組成物の患者への投与は、例えば、経口投与、皮内投与、皮下投与、静脈注射等により行うことができ、全身投与であってもよく、目的となる腫瘍の近傍に局所投与してもよい。
また、投与量は、患者の年齢、体重、症状、投与方法等により適宜調整することができ、通常成人(体重60kg)においては、1回あたり、例えば0.001mg〜1000mg、例えば0.001mg〜1000mg、例えば0.1mg〜10mgの有効成分(ペプチド)を投与する量が挙げられる。
ペプチドワクチン又はペプチドワクチン組成物の患者への投与回数は、1回であってもよいが、効率的にCTLを誘導するためには複数回投与することが好ましい。複数回投与する場合の投与間隔は、例えば数日から数か月であってもよい。
(免疫チェックポイント阻害剤)
本実施形態の癌治療用キットにおいて、免疫チェックポイント阻害剤としては、例えば、抗PD−1抗体、抗PD−L1抗体、抗CTLA−4抗体等が挙げられる。抗PD−1抗体としては、例えば、ニボルマブ、ペムブロリズマブ等が挙げられる。抗CTLA−4抗体としては、例えば、イピリムマブ等が挙げられる。抗PD−L1抗体としては、例えば、アベルマブ、アテゾリズマブ等が挙げられる。
本実施形態の癌治療用キットにおいて、免疫チェックポイント阻害剤としては、例えば、抗PD−1抗体、抗PD−L1抗体、抗CTLA−4抗体等が挙げられる。抗PD−1抗体としては、例えば、ニボルマブ、ペムブロリズマブ等が挙げられる。抗CTLA−4抗体としては、例えば、イピリムマブ等が挙げられる。抗PD−L1抗体としては、例えば、アベルマブ、アテゾリズマブ等が挙げられる。
本実施形態の癌治療用キットにおいて、免疫チェックポイント阻害剤は、抗体等の有効成分と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物として製剤化されていることが好ましい。
免疫チェックポイント阻害剤は、薬学的に許容される担体と混合して、一般的な製薬手法により製剤化することができる。例えば、点滴剤、注射剤、皮膚外用剤等の形態に製剤化して非経口的に投与してもよい。皮膚外用剤としては、軟膏剤、貼付剤等の剤型が挙げられる。
薬学的に許容される担体としては、点滴用溶剤、注射用溶剤、粘着剤等が挙げられる。点滴用溶剤、注射用溶剤としては、点滴剤、注射剤に一般的に使用されるものを特に限定なく使用することができ、例えば、生理食塩水、ブドウ糖、D−ソルビトール、D−マンノース、D−マンニトール、塩化ナトリウム等の補助薬を含む等張液等が挙げられるがこれらに限定されない。点滴用溶剤、注射用溶剤は、エタノール等のアルコール;プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のポリアルコール;ポリソルベート80(商標)、HCO−50等の非イオン性界面活性剤等を含有していてもよい。
粘着剤としては、一般的な貼付剤等に使用されるものを特に限定なく使用することができ、例えば、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等が挙げられるがこれらに限定されない。
免疫チェックポイント阻害剤の患者への投与は、例えば、点滴静脈注射、静脈注射、皮内投与、皮下投与等により行うことができ、全身投与であってもよく、局所投与であってもよい。
また、投与量は、患者の年齢、体重、症状、投与方法等により適宜調整することができ、通常成人(体重60kg)においては、1回あたり、例えば0.001mg〜1000mg、例えば0.001mg〜1000mg、例えば0.1mg〜10mgの有効成分(ペプチド)を投与する量が挙げられる。
免疫チェックポイント阻害剤の患者への投与回数は、1回であってもよく、複数回であってもよい。複数回投与する場合の投与間隔は、例えば数日から数か月であってもよい。
本実施形態の癌治療用キットを患者に適用する場合、VEGFR発現細胞に対するCTLを誘導するペプチドを含むワクチン組成物と、免疫チェックポイント阻害剤とを、同時に投与してもよいし、別々に投与してもよい。
(対象疾患)
本実施形態の癌治療用キットによる治療が有効な癌としては、脳腫瘍、神経線維腫症2型(NF2)患者に発生する腫瘍、その他の悪性腫瘍等が挙げられる。
本実施形態の癌治療用キットによる治療が有効な癌としては、脳腫瘍、神経線維腫症2型(NF2)患者に発生する腫瘍、その他の悪性腫瘍等が挙げられる。
脳腫瘍としては、神経膠腫、髄膜腫、神経鞘腫、下垂体腺腫、頭蓋咽頭腫、脊索腫、上衣腫、血管芽腫、血管周皮腫、転移性脳腫瘍、髄芽腫、悪性リンパ腫等が挙げられる。
NF2患者に発生する腫瘍としては、神経鞘腫、髄膜腫、上衣腫、神経膠腫等が挙げられる。神経鞘腫としては、脳神経、脊髄神経、末梢神経に発生する神経鞘腫が挙げられ、より具体的には、前庭神経鞘腫、三叉神経鞘腫等が挙げられる。また、髄膜腫、上衣腫、神経膠腫としては、頭蓋内に生じる腫瘍や脊髄に生じる腫瘍が挙げられる。
その他の悪性腫瘍としては、白血病、乳癌、子宮癌、卵巣癌、食道癌、胃癌、大腸癌、肝癌、膵癌、頭頚部癌、腎癌、肺癌、骨肉腫、前立腺癌、膀胱癌、皮膚癌等の癌が挙げられる。
[その他の実施形態]
1実施形態において、本発明は、VEGFR発現細胞に対するCTLを誘導するペプチドを含むワクチン組成物の有効量と、免疫チェックポイント阻害剤の有効量を、治療を必要とする患者に投与することを含む、癌の治療方法を提供する。
1実施形態において、本発明は、VEGFR発現細胞に対するCTLを誘導するペプチドを含むワクチン組成物の有効量と、免疫チェックポイント阻害剤の有効量を、治療を必要とする患者に投与することを含む、癌の治療方法を提供する。
1実施形態において、本発明は、癌の治療のためのキットを提供し、当該キットは、VEGFR発現細胞に対するCTLを誘導するペプチド、及び、免疫チェックポイント阻害剤を含む。
1実施形態において、本発明は、癌治療用キットを製造するための、VEGFR発現細胞に対するCTLを誘導するペプチド、及び、免疫チェックポイント阻害剤の使用を提供する。
これらの各実施形態において、VEGFR発現細胞に対するCTLを誘導するペプチド、ワクチン組成物、免疫チェックポイント阻害剤、癌については上述したものと同様である。
次に実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実験例1]
(マウスグリオーマモデルを用いた検討)
マウスグリオーマ細胞株であるGL261細胞に、フォルティシモ・ルシフェラーゼ(ffLuc)を発現するレンチウイルスベクター(CSII−EF−ffLuc)を感染させた。続いて、セルソーターを用いたクローニングにより、ffLucを安定に高発現する細胞株(GL261 ffLuc)を樹立した。
(マウスグリオーマモデルを用いた検討)
マウスグリオーマ細胞株であるGL261細胞に、フォルティシモ・ルシフェラーゼ(ffLuc)を発現するレンチウイルスベクター(CSII−EF−ffLuc)を感染させた。続いて、セルソーターを用いたクローニングにより、ffLucを安定に高発現する細胞株(GL261 ffLuc)を樹立した。
続いて、6週齢の雌のC57BL/6マウスの脳(右線条体)にGL261 ffLuc細胞株1.5×105個を定位的に移植し、マウスグリオーマモデルを作製した。続いて、作成したマウスグリオーマモデルを、コントロール群、ワクチン単独投与群、抗PD−1抗体単独投与群、併用群の4群に分けた。
コントロール群には、アジュバント、及び、抗PD−1抗体のアイソタイプ抗体を投与した。アジュバントとして、poly(I:C)(カタログ番号「P1530」、シグマ社)100μgを生理食塩水に混合し100μLとしたものを使用した。また、アイソタイプ抗体として、ラットIgG2a抗体(抗トリニトロフェノール抗体、クローン2A3、バイオセル社)200μgを生理食塩水で希釈し200μLとしたものを使用した。
ワクチン単独投与群には、ワクチン組成物、及び、抗PD−1抗体のアイソタイプ抗体を投与した。ワクチン組成物として、アミノ酸配列を配列番号17に示すペプチド100μg、及び、アジュバントとしてpoly(I:C)(カタログ番号「P1530」、シグマ社)100μgを生理食塩水に混合し100μLとしたものを使用した。また、アイソタイプ抗体として、ラットIgG2a抗体(抗トリニトロフェノール抗体、クローン2A3、バイオセル社)200μgを生理食塩水で希釈し200μLとしたものを使用した。
抗PD−1抗体単独投与群には、アジュバント、及び、抗PD−1抗体を投与した。アジュバントとして、poly(I:C)(カタログ番号「P1530」、シグマ社)100μgを生理食塩水に混合し100μLとしたものを使用した。また、抗PD−1抗体として、抗PD−1抗体(カタログ番号「BE0146」、バイオセル社)を生理食塩水で希釈し200μLとしたものを使用した。
併用群には、ワクチン組成物、及び、抗PD−1抗体を投与した。ワクチン組成物として、アミノ酸配列を配列番号17に示すペプチド100μg、及び、アジュバントとしてpoly(I:C)(カタログ番号「P1530」、シグマ社)100μgを生理食塩水に混合し100μLとしたものを使用した。また、抗PD−1抗体として、抗PD−1抗体(カタログ番号「BE0146」、バイオセル社)を生理食塩水で希釈し200μLとしたものを使用した。
図1は、実験スケジュールを示す図である。アジュバント又はワクチン組成物は、細胞移植から2日後、9日後、16日後の3回、両側腋窩に投与した。また、抗PD−1抗体又は抗PD−1抗体のアイソタイプ抗体は、細胞移植から12日後、16日後、19日後の3回、腹腔内投与した。また、細胞移植から2日後、9日後、16日後、23日後に、腫瘍のインビボイメージング解析を行った。図1中、黒丸は投与したことを示し、「IVIS」はインビボイメージング解析を行ったことを示す。
図2はインビボイメージング解析の結果を示す写真である。図2中、「ワクチン単独群」はワクチン単独投与群を示し、「抗PD−1抗体単独群」は抗PD−1抗体単独投与群を示す。その結果、併用群では、コントロール群、ワクチン単独投与群、抗PD−1抗体単独投与群と比較して、腫瘍の増大が顕著に抑制されたことが明らかとなった。また、併用治療群の中には、腫瘍が完全に消失したマウスが3匹認められた。
細胞移植から21日後に、一部のマウスを安楽死させ、還流固定し断頭した後、腫瘍体積を測定した。図3(a)は、各群のマウスの腫瘍組織切片の代表的な明視野顕微鏡写真及び蛍光顕微鏡写真である。図3(a)中、「ワクチン単独群」はワクチン単独投与群を示し、「抗PD−1抗体単独群」は抗PD−1抗体単独投与群を示し、「Venus」は蛍光顕微鏡でVenusの蛍光を観察した結果を示す。GL261 ffLuc細胞には、蛍光タンパク質であるVenusが遺伝子導入されている。このため、蛍光顕微鏡を用いてVenusの蛍光を検出することにより、腫瘍体積を定量的に解析することができる。
図3(b)は、腫瘍体積の測定結果を示すグラフである。図3(b)中、「ワクチン単独群」はワクチン単独投与群を示し、「抗PD−1抗体単独群」は抗PD−1抗体単独投与群を示す。その結果、コントロール群の腫瘍体積は、73.35±37.33mm3であった。また、ワクチン単独投与群の腫瘍体積は、35.62±26.24mm3であった。また、抗PD−1抗体単独投与群の腫瘍体積は、38.31±20.85mm3であった。また、併用群の腫瘍体積は、11.55±21.13mm3であった。スチューデントのt検定を行った結果、コントロール群と併用群との間で、有意差(p=0.019)が認められた。
図4は、各群のマウスの生存曲線を示すグラフである。図4中、「ワクチン単独群」はワクチン単独投与群を示し、「抗PD−1抗体単独群」は抗PD−1抗体単独投与群を示す。その結果、併用群では、コントロール群、ワクチン単独投与群、抗PD−1抗体単独投与群と比較して、有意な生存期間の延長が認められた。
[実験例2]
(マウスグリオーマ幹細胞モデルを用いた検討)
より悪性度が高いマウスグリオーマ幹細胞モデルを用いて実験例1と同様の検討を行った。マウスグリオーマ幹細胞モデルは、最も治療困難なモデルである。
(マウスグリオーマ幹細胞モデルを用いた検討)
より悪性度が高いマウスグリオーマ幹細胞モデルを用いて実験例1と同様の検討を行った。マウスグリオーマ幹細胞モデルは、最も治療困難なモデルである。
まず、マウスグリオーマ幹細胞株であるTSG細胞に、フォルティシモ・ルシフェラーゼ(ffLuc)を発現するレンチウイルスベクター(CSII−EF−ffLuc)を感染させた。続いて、セルソーターを用いたクローニングにより、ffLucを安定に高発現する細胞株(TSG ffLuc)を樹立した。
続いて、6週齢の雌のC57BL/6マウスの脳(右線条体)にTSG ffLuc細胞株1.5×105個を定位的に移植し、マウスグリオーマ幹細胞モデルを作製した。続いて、作成したマウスグリオーマ幹細胞モデルを、コントロール群、ワクチン単独投与群、抗PD−1抗体単独投与群、併用群の4群に分けた。
コントロール群には、実験例1と同様にして、アジュバント、及び、抗PD−1抗体のアイソタイプ抗体を投与した。アジュバントとして、poly(I:C)(カタログ番号「P1530」、シグマ社)100μgを生理食塩水に混合し100μLとしたものを使用した。また、アイソタイプ抗体として、ラットIgG2a抗体(抗トリニトロフェノール抗体、クローン2A3、バイオセル社)200μgを生理食塩水で希釈し200μLとしたものを使用した。
ワクチン単独投与群には、実験例1と同様にして、ワクチン組成物、及び、抗PD−1抗体のアイソタイプ抗体を投与した。ワクチン組成物として、アミノ酸配列を配列番号17に示すペプチド100μg、及び、アジュバントとしてpoly(I:C)(カタログ番号「P1530」、シグマ社)100μgを生理食塩水に混合し100μLとしたものを使用した。また、アイソタイプ抗体として、ラットIgG2a抗体(抗トリニトロフェノール抗体、クローン2A3、バイオセル社)200μgを生理食塩水で希釈し200μLとしたものを使用した。
抗PD−1抗体単独投与群には、実験例1と同様にして、アジュバント、及び、抗PD−1抗体を投与した。アジュバントとして、poly(I:C)(カタログ番号「P1530」、シグマ社)100μgを生理食塩水に混合し100μLとしたものを使用した。また、抗PD−1抗体として、抗PD−1抗体(カタログ番号「BE0146」、バイオセル社)を生理食塩水で希釈し200μLとしたものを使用した。
併用群には、実験例1と同様にして、ワクチン組成物、及び、抗PD−1抗体を投与した。ワクチン組成物として、アミノ酸配列を配列番号17に示すペプチド100μg、及び、アジュバントとしてpoly(I:C)(カタログ番号「P1530」、シグマ社)100μgを生理食塩水に混合し100μLとしたものを使用した。また、抗PD−1抗体として、抗PD−1抗体(カタログ番号「BE0146」、バイオセル社)を生理食塩水で希釈し200μLとしたものを使用した。
実験スケジュールは、実験例1と同様であり、図1に示す通りであった。アジュバント又はワクチン組成物は、細胞移植から2日後、9日後、16日後の3回、両側腋窩に投与した。また、抗PD−1抗体又は抗PD−1抗体のアイソタイプ抗体は、細胞移植から12日後、16日後、19日後の3回、腹腔内投与した。また、細胞移植から2日後、9日後、16日後、23日後、30日後に、腫瘍のインビボイメージング解析を行った。
図5はインビボイメージング解析の結果を示す写真である。その結果、実験例1のマウスグリオーマモデルと同様に、マウスグリオーマ幹細胞モデルにおいても、併用群では、コントロール群、ワクチン単独投与群、抗PD−1抗体単独投与群と比較して、腫瘍の増大が顕著に抑制されたことが明らかとなった。また、併用治療群の中には、腫瘍が完全に消失したマウスが2匹認められた。
図6は、各群のマウスの生存曲線を示すグラフである。その結果、併用群では、コントロール群、ワクチン単独投与群と比較して、有意な生存期間の延長が認められた。
本発明によれば、癌を治療する新たな技術を提供することができる。
Claims (4)
- Vascular Endothelial Growth Factor Receptor(VEGFR)発現細胞に対する細胞傷害性T細胞を誘導するペプチドを含むワクチン組成物と、免疫チェックポイント阻害剤とを含む、癌治療用キット。
- 前記ワクチン組成物がアジュバントを含む、請求項1に記載の癌治療用キット。
- 前記アジュバントがpoly(I:C)である、請求項2に記載の癌治療用キット。
- 前記癌が脳腫瘍である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の癌治療用キット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020002439A JP2021109844A (ja) | 2020-01-09 | 2020-01-09 | 癌治療用キット |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020002439A JP2021109844A (ja) | 2020-01-09 | 2020-01-09 | 癌治療用キット |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021109844A true JP2021109844A (ja) | 2021-08-02 |
Family
ID=77059122
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020002439A Pending JP2021109844A (ja) | 2020-01-09 | 2020-01-09 | 癌治療用キット |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2021109844A (ja) |
-
2020
- 2020-01-09 JP JP2020002439A patent/JP2021109844A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP7342701B2 (ja) | 癌の治療及び/又は予防用医薬組成物 | |
JP6457003B2 (ja) | 腫瘍溶解性ワクシニアウイルスの投与による腫瘍抗原に対する抗体の生成および腫瘍特異的補体依存性細胞傷害の生成 | |
JP6857736B2 (ja) | 新規なエクソソーム系抗癌剤 | |
CN110520438A (zh) | 溶瘤病毒疗法 | |
JP6205012B2 (ja) | 水疱性口内炎ウイルス | |
US20230256066A1 (en) | Pharmaceutical composition for use in the treatment of cancer | |
AU2013249522A1 (en) | Multivalent breast cancer vaccine | |
US20240065987A1 (en) | Anti-cancer activity of adamantane derivatives | |
CN113663076B (zh) | 一种癌症联合治疗组合物 | |
US20210138053A1 (en) | Anti-tumoral composition | |
CN114846135A (zh) | 原发性和转移性癌症的治疗 | |
JP2021109844A (ja) | 癌治療用キット | |
EP4378473A1 (en) | Her2 vaccine composition | |
CN112426521B (zh) | 吩噻嗪类或其类似结构的化合物在制药中的新应用 | |
Ajeawung et al. | Progress from clinical trials and emerging non-conventional therapies for the treatment of Medulloblastomas | |
RU2741228C2 (ru) | Противоопухолевые эффекты вирусного вектора, кодирующего толл-подобный рецептор и агонист толл-подобного рецептора | |
ES2742856T3 (es) | Composiciones farmacéuticas y procedimientos para el tratamiento y prevención del cáncer metastático | |
WO2021132550A1 (ja) | 術後補助療法剤 | |
CN111574590B (zh) | 一种具有抗肿瘤功能的多肽及其应用 | |
US20220389065A1 (en) | Anticancer composition comprising tlr5 agonist derived from flagellin as active ingredient | |
Lu | Research Status of Tumor Therapy Based on Immunotherapy | |
Li | Research of immunotherapy in pancreatic cancer | |
WO2023141229A2 (en) | Oncolytic virus regimens for the treatment of cancer | |
Vishwanathan et al. | NEUROFIBROMATOSIS: A CAUSE OF CONCERN | |
Fabian | Tumor Blood Vessel-Associated Antigens as Targets for Cancer Immunotherapy |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD01 | Notification of change of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7426 Effective date: 20200213 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20200213 |