JP2021107468A - 摩擦材 - Google Patents

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Abstract

【課題】常温でも120℃程度より高温の領域においても安定した良好な摩擦特性を有し、量産が可能な摩擦材を提供すること。
【解決手段】フェノール樹脂、モース硬度5以上の無機繊維及びモース硬度5未満の無機充填剤を含有する熱硬化性樹脂組成物の射出成形物である摩擦材であって、(150℃における静摩擦係数)/(25℃における静摩擦係数)≧0.90である特性を有する、摩擦材、及び、モース硬度5以上の無機繊維を30〜50体積%、モース硬度5未満の無機充填剤を少なくとも3種をそれぞれ5体積%以上、合計15〜45体積%、フェノール樹脂を30〜40体積%含有する熱硬化性樹脂組成物の射出成形物である摩擦材。
【選択図】なし

Description

本発明は、摩擦材に関し、特に、耐熱性の高い熱硬化性樹脂であるフェノール樹脂を樹脂成分として含む樹脂組成物を射出成形することにより形成される摩擦材に関するものである。
従来、熱硬化性樹脂をベースとした摩擦材は、自動車等のブレーキや、大型の産業用ロボットのサーボモーターのブレーキ等に使用されている。このような用途に用いられる摩擦材では、高い安全性が求められるため、一般に、モース硬度の高い充填材や繊維等を高充填し、バインダー成分として必要最低限量のフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることで、安定的に高い摩擦係数を得るように構成される。このような摩擦材に用いられる樹脂組成物は、樹脂量が少ないことから溶融流動性に乏しく、モース硬度の高い充填材が射出成形機のスクリュー、シリンダー及びノズルの内面、および金型のランナーやゲート部を攻撃して損傷させる恐れがあるため、一般的には圧縮成形法が採用される(例えば、特許文献1〜4)。射出成形法が採用可能であることを開示した先行技術はあるが(例えば特許文献5、6)、バインダー成分が多く、流動性がある程度確保されていると考えられる。
また、摩擦材用途ではないが、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂、充填剤等を含む熱硬化性樹脂組成物が開示された先行技術はあるが、この場合も、熱硬化性樹脂の含有量が少ない場合は圧縮成形が採用されている(例えば、特許文献7〜10)。
特許第6439607号公報 特開平5−32956号公報 特開平10−130630号公報 特開昭59−149973号公報 特開昭59−62637号公報 特開平2−176224号公報 特許第6468197号公報 特許第5875913号公報 特開2000−86910号公報 特開平10−36631号公報
ところで、近年、産業用ロボットの分野では、各種の製造工程で人間と同じ作業スペースで安全柵などで囲うことなく稼働し、人間と直接的に協働することが可能で小型の所謂協働ロボットへの需要が高まっている。また、小型で、軽負荷作業をすることができるロボットや人間の作業負荷を低減する所謂ロボットスーツは、食品、化粧品、医療、介護等の各種のサービス産業や第一次産業等において利用の拡大が見込まれている。
このような協働ロボットでは、多くの関節等をサーボモーターで駆動させ、停止の際はサーボモーターの無励磁作動ブレーキにより停止、または姿勢保持し、各種の作業を行わせる。このような協働ロボットは、大型の産業用ロボットより小型であるため、大型の産業用ロボットに備えられる摩擦材に要求されるような高い摩擦係数は要求されないものの、緊急時の急制動に対応できる性能を求められる場合があり、協働ロボット用摩擦材においても緊急制動の際には大きな摩擦力が働くことで摩擦発熱のために高温になると、熱可塑性樹脂ベースの摩擦材では溶融する可能性があることから、熱的に安定な熱硬化性樹脂ベースの摩擦材が求められる。また、協働ロボットは産業用ロボットよりも広範囲の普及が見込まれるため生産台数が多くなることから、協働ロボットではより安価に提供可能であることが求められる。しかし先行技術に開示のような圧縮成形は大量生産には不向きであり、大量生産に対応可能な成形方法で製造可能なものが要求される。
さらに、協働ロボット等の関節等の駆動部では、駆動用モーターや電磁コイルといった様々な素子が比較的狭い空間に組み込まれており、これらの発熱により、摩擦材の作動雰囲気は120℃程度の高温となる。そのため、これらの部位で作動するサーボモーターに設けられる摩擦材は、常温から高温までの幅広い温度領域での性能が安定している必要がある。
そこで、本発明の目的は、常温でも120℃程度より高温の領域においても安定した良好な摩擦特性を有し、量産が可能な摩擦材を提供することにある。
本発明者らは、前述の課題解決のために鋭意検討を行った。その結果、フェノール樹脂並びに特定の無機繊維及び無機充填剤を組み合わせた熱硬化性樹脂組成物を採用することで、射出成形可能で、幅広い温度領域で静摩擦係数の変化を抑制することが可能な摩擦材が得られることを見出した。
本発明の第一の側面は、フェノール樹脂、モース硬度5以上の無機繊維及びモース硬度5未満の無機充填剤を含有する熱硬化性樹脂組成物の射出成形物である摩擦材であって、(150℃における静摩擦係数)/(25℃における静摩擦係数)≧0.90である特性を有する、摩擦材に関する。
本発明の第二の側面は、モース硬度5以上の無機繊維を30〜50体積%、モース硬度5未満の無機充填剤を少なくとも3種をそれぞれ5体積%以上、合計15〜45体積%、フェノール樹脂を30〜40体積%含有する熱硬化性樹脂組成物の射出成形物である摩擦材に関する。
前述の各側面の実施態様では、前記モース硬度5以上の無機繊維が、ガラス繊維及び/又はロックウールであってもよい。
前述の各側面の実施態様では、前記モース硬度5未満の無機充填剤が、層状ケイ酸塩、無機ウィスカ及び硫酸塩から選択される少なくとも3種であってもよい。
本発明の第三の側面は、前述の各側面の摩擦材を用いた制動装置を備えるサーボモーターに関する。
本発明の第四の側面は、前述のサーボモーターを備えるサーボモーターに関する。
前述の摩擦材に含まれるフェノール樹脂、無機繊維及び無機充填材の成分組成は、赤外線分光法、質量分析法、特性X線分析法などの分析法により特定することができる。
本発明によると、常温でも120℃程度より高温の領域においても安定した良好な摩擦特性を有し、量産が可能な摩擦材を提供することが可能である。
比摩耗量を算出する際に使用する摩耗進行曲線を模式的に示した説明図である。
本発明の実施形態に係る摩擦材は、フェノール樹脂、モース硬度5以上の無機繊維及びモース硬度5未満の無機充填剤を含有する熱硬化性樹脂組成物の射出成形物である摩擦材であって、(150℃における静摩擦係数)/(25℃における静摩擦係数)≧0.90である特性を有する。
このように、フェノール樹脂、特定の無機繊維及び特定の無機充填剤を組み合わせた熱硬化性樹脂組成物を用いることで、例えば協働ロボット等に好適な摩擦特性を発揮することが可能な摩擦材を射出成形により提供することができる。
一般に、射出成形により摩擦材を成形しようとした場合は、従来の圧縮成形により得られる摩擦材に比べ、樹脂量を多くすると考えるのが普通である。一般に射出成形可能な程度に樹脂量を含有させると、高温では軟化して機械的強度等の特性の低下した樹脂成分の影響が大きく、高温環境で使用すると、摩擦係数が低くなったり、不安定となり不規則に変動したりする。そのため、射出成形により成形される摩擦材では、幅広い温度領域で高い摩擦係数を保持するような摩擦特性に優れたものは現在のところ存在しないのが現状である。
しかし、前述のように、樹脂成分としてフェノール樹脂、所定のモース硬度を有する無機繊維及び無機充填剤を組み合わせて用いると、量産に好適な射出成形が可能で、常温から150℃の温度範囲で、静摩擦係数の低下を抑制した摩擦材が得られることが、本発明者らの検討の結果初めて明らかにされたのである。
このような摩擦材は、例えば、モース硬度5以上の無機繊維を30〜50体積%、モース硬度5未満の無機充填剤を少なくとも3種をそれぞれ5体積%以上、合計15〜45体積%、フェノール樹脂を30〜40体積%含有する熱硬化性樹脂組成物を射出成形することにより得ることができる。即ち、前述の熱硬化性樹脂組成物の射出成形物が摩擦材として機能し得る。例えば、このような配合比を採用することで、常温でも120℃程度より高温の150℃でも安定した良好な摩擦特性を有する摩擦材を射出成形により得ることができる。尚、これらの樹脂組成物の配合比は、硬化後の摩擦材においても維持され得る。
このようなフェノール樹脂の配合比は、圧縮成形に適用される樹脂組成物の場合よりも高い。しかし、フェノール樹脂の配合比を圧縮成形の場合より高めても、モース硬度5以上の無機繊維とモース硬度5未満の無機充填剤を所定の配合比で含有させることで、(i)熱硬化性樹脂組成物の射出成形時の流動性が損なわれないと同時に、射出成形機のスクリューへの攻撃性を抑制して、射出成形性を確保する、(ii)120℃より高温の150℃でも摩擦係数の低下を抑制し、かつ、耐摩耗性を確保して、良好な摩擦特性を確保する、という、相反する特性を両立することを可能としている。ただし、フェノール樹脂の配合比は好適な範囲があり、高すぎると高温時の摩擦係数が不安定になったり、耐摩耗性が低下したりする傾向が見られる。
前記フェノール樹脂は、摩擦材として使用可能な従来公知のものを採用することができ、例えば、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、アリールアルキレン型フェノール樹脂等が挙げられる。ノボラック型フェノール樹脂としては、例えば、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂が挙げられる。レゾール型フェノール樹脂としては、例えば、メチロール型レゾール樹脂、ジメチレンエーテル型レゾール樹脂等が挙げられる。アリールアルキレン型フェノール樹脂としては、例えば、フェノール・アラルキル樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。これらのうち、ノボラック型フェノール樹脂、アリールアルキレン型フェノール樹脂が好ましい。
前記熱硬化性樹脂組成物に含まれるフェノール樹脂には、必要に応じて硬化剤が含まれていてもよい。例えば、ノボラック型フェノール樹脂やアリールアルキレン型フェノール樹脂の場合は、通常はヘキサメチレンテトラミンを好適に使用することができる。
また、フェノール樹脂は、耐熱性の観点からは、硬化後のガラス転移温度(Tg)が120℃より高いものが好ましい。
フェノール樹脂の配合比は、熱硬化性樹脂組成物中に30〜40体積%が好ましい。一般の圧縮成形に用いられる場合は20体積%程度であり、これよりも配合比は大きい。そのため、射出成形時の流動性を確保可能であり、射出成形機への攻撃性も抑制可能である。また、一般の射出成形に用いられる場合は50体積%程度であり、これよりも配合比は小さい。そのため、高温時の摩擦特性を確保可能である。
また、従来の圧縮成形により得られる摩擦材は樹脂成分が少なく脆く、曲げ弾性率や曲げ強度等の機械的特性が低いため、強度を確保する観点から金属板等に固定して用いられるのが一般的である。しかし、前述のような配合比とすることで、曲げ強度や曲げ弾性率等の機械的特性を圧縮成形の場合よりも向上させることが可能である。そのため、圧縮成形品である摩擦材のように金属板のような補強部材を用いなくともそれ自体で摩擦材として機能させることが可能になる。
無機繊維としては、モース硬度5以上のものが好ましく、より良好な射出成形性を確保する観点から、モース硬度は5以上7未満がより好ましい。モース硬度5以上の無機繊維としては、例えば、ガラス繊維、ロックウール、アルミナ繊維、バサルト繊維、ジルコニア繊維等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。このうち、モース硬度5以上の無機繊維としては、ガラス繊維及び/又はロックウールが好ましく、ガラス繊維及びロックウールがより好ましい。モース硬度は、10種類の硬さの異なる標準鉱物でこすった場合に、標準鉱物への傷つきの有無で判定できる。モース硬度の測定には、市販のモース硬度計を用いることができる。
モース硬度5以上の無機繊維の配合比は、硬化性樹脂組成物中30〜50体積%が好ましい。これにより、良好な摩擦特性を付与できる。無機繊維が複数種含まれる場合は合計量である。
モース硬度5未満の無機充填剤としては、例えば、層状ケイ酸塩、無機ウィスカ、硫酸塩、炭酸塩、非層状ケイ酸塩(無機ウィスカを除く)、ケイ酸塩以外の鉱物(無機ウィスカを除く)、フッ化カルシウム(鉱物を除く)等が挙げられる。これらは、少なくとも3種含まれるのが好ましい。このように、少なくとも3種のモース硬度5未満の無機充填剤が含まれることで、圧縮成形に適用される場合より樹脂量を増やしても、また、通常の射出成形に適用される場合より樹脂量を減らしても、射出成形性が確保されるとともに、高温時の摩擦特性の低下を抑制することができる。また、摩擦材の強度を向上させることもできる。
層状ケイ酸塩としては、例えば、カオリン、蛇紋石、タルク、黒雲母、金雲母、白雲母、バーミキュライト等の粘土鉱物等が挙げられる。
無機ウィスカとしては、例えば、チタン酸カリウムウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、硫酸マグネシウムウィスカ、ウォラスナイト、セピオライト等が挙げられる。
硫酸塩としては、例えば、硫酸バリウム、硫酸カルシウム水和物等が挙げられる。
炭酸塩としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸リチウム、炭酸バリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。
非層状ケイ酸塩(無機ウィスカを除く)としては、例えば、ゼオライト(沸石)、ケイ酸カルシウム(鉱物を除く)等が挙げられる。
ケイ酸塩以外の鉱物(無機ウィスカを除く)としては、例えば、ドロマイト、フルオライト、カルサイト、苦灰石等が挙げられる。
モース硬度5未満の無機充填剤の配合比は、少なくとも3種をそれぞれ硬化性樹脂組成物中5体積%以上で、かつ、合計が15〜45体積%であるのが好ましい。これにより、射出成形性の確保、高温時の摩擦特性の低下の抑制を図ることができる。また、摩擦材の強度向上を図ることもできる。
前述の無機繊維及び無機充填剤は、必要に応じて表面処理を行って、フェノール樹脂との結合力を向上させたものを用いてもよい。
実施形態に係る摩擦材には、前述のフェノール樹脂、所定の無機繊維及び無機充填剤以外の他の成分が含まれていてもよい。このような成分としては、当該技術分野において一般に用いられているものが挙げられ、例えば、難燃剤、離型剤、可塑剤、着色剤、耐候剤、酸化防止剤等が挙げられる。添加する場合は、合計で熱硬化性樹脂組成物中5体積%以下が好ましい。
以上のような摩擦材は、射出成形物として25℃での曲げ強度が100MPa以上の機械的特性を有することができる。そのため、射出成形物を金属板に固定しなくても、それ自体で、摩擦材として機能させることが可能である。そのため、軽量化が可能であり、また、金属板への接合処理を省略することも可能である。また、以上のような摩擦材は、無機繊維や無機充填剤の配合比を圧縮成形の場合より低くすることが可能であるため、射出成形物として、比重を、例えば、2.5以下とすることができる。つまり、従来の圧縮成形物より小さくすることが可能である。この点からも、従来の圧縮成形物の場合より軽量化が可能である。
摩擦材の形状は、用途等に応じて適宜決定可能である。例えば、板状、リング状等が挙げられる。
前述の摩擦材は、一般的な熱硬化性樹脂組成物の射出成形方法により得ることができる。例えば、以下のようにして得ることができる。先ず、前述の各成分を所定の配合比で乾燥混合し、加熱ロールで均一に混練する。得られたシート状の混練物を、例えばフレーク状に粉砕して粉砕物を熱硬化性樹脂組成物として得る。次に、得られた粉砕物を射出成形機によりフェノール樹脂を溶融させしながら金型内に充填し、射出成形を行う。その後、フェノール樹脂の硬化条件を満たす温度条件下で、樹脂成分を硬化させることで射出成形物である摩擦材を得ることができる。射出成形後に樹脂成分を硬化させる、即ち、樹脂成分の架橋反応を進めることで、所望の特性の摩擦材が得られる。この条件は、樹脂種等に応じて、温度、時間等を適宜変更することで調整することができる。
以上のような摩擦材は、常温でも120℃程度より高温の領域においても安定した良好な摩擦特性を有し、射出成形による量産が可能なため、制動装置に好適である。制動装置に設けられる摩擦材としては、金属基板に固定された形態でもよいが、所望の形状に成形した射出成形品をそのまま用いるのが好ましい。射出成形品の形状は、用途に応じて適宜決定することができるが、一般的に所定の厚みを有する板状の形状を有する。前述の摩擦材を適用可能な制動装置は、特に限定なく、例えば、無励磁作動ブレーキ等が挙げられる。
前述の摩擦材を備える制動装置は、例えば、サーボモーターに用いるのが好適である。このような制動装置を備えるサーボモーターは、各種の駆動制御が必要な装置に適用可能であるが、例えば、多くのサーボモーターの使用を要求される協働ロボット等に好適である。前述のサーボモーターを備える協働ロボットは、前述の摩擦材を有する制動装置を備えるサーボモーターが使用されているため、多くのサーボモーターが用いられているにもかかわらず、軽量化が可能である。また、協働ロボットの可動部分には、前述のサーボモーターが設けられているため、協働ロボットの可動部分の駆動による高温環境においても安定した良好な制動特性を有し得る。
以下、実施例に基づき本発明に係る摩擦材の実施形態を説明する。
(実施例1〜5)
表1に示す配合比(体積%)で各成分を混合した後、2本オープンロール(関西ロール株式会社製、熱ロール)を用いて110℃で混練してシート状の混練物を得た。得られた混練物を粉砕してフレーク状の熱硬化性樹脂組成物を調製した。射出成形機(株式会社名機製作所製、M85AD−110−TS)を用いて、ISO178に準拠した試験片(4×10×80mm)を成形可能な金型に、得られた熱硬化性樹脂組成物を充填し、射出成形した。その後180℃で3時間加熱処理を行って、射出成形物である試験片を得た。成形条件は、シリンダー温度90℃、金型温度190℃、硬化時間80秒とした。
(比較例1〜10)
表1に示す配合比となるようにした以外は、実施例1と同様にして射出成形により試験片の作製を試みた。
実施例及び比較例で用いた各成分は、以下のとおりである。
フェノール樹脂:群栄化学株式会社製、ミレックスXL−325M、フェノール・アラルキル樹脂、
ガラス繊維:セントラルグラスファイバー株式会社製、チョップドストランド ECS03−615、モース硬度6.5、
ロックウール:ラピナス社製、RB220、アミノシランによる表面処理済み、モース硬度6、
カオリン:竹原化学工業株式会社製、サテントンW、焼成カオリン、モース硬度1、
硫酸バリウム:堺化学工業株式会社製、BA、簸性グレード、モース硬度3、
チタン酸カリウム:大塚化学株式会社製、ティスモD、モース硬度4、
(評価)
<金型充填性>
実施例1〜5、比較例1〜10における試験片の射出成形時における金型への充填性を射出成形品である試験片及び金型のキャビティの外観を目視により確認し、評価した。評価基準は下記のとおりである。完全充填されたものが射出成形物として実使用可能なものと評価される。評価結果を表1に示す。
○:完全充填、△:流動先端カスレ、×:充填不可能又は未充填。
<摩擦特性>
実施例及び比較例で完全充填されて射出成形物として得られた試験片から、機械加工にてφ5mm×10mmの円柱状の試料を作製した。得られた円柱状試料を用い、ピンオンディスク型摩擦摩耗試験機(スターライト工業株式会社製、オートピンディスクAPD−101)にて、後述するようにして各試料の静摩擦係数を測定し、比摩耗量を算出した。試験条件は、以下のとおりとした。
面圧(試料に対する荷重):0.1MPa、
速度(設定値):0.05m/秒(静摩擦係数)、1.0m/秒(比摩耗量)、
雰囲気:大気中、室温及び150℃、
潤滑:無潤滑、
相手材:表面粗さRaが1.0〜2.0μmのSPHC鋼。
<<静摩擦係数>>
円柱状試料の底面を相手材と接触させて設置し、前述のピンオンディスク型摩擦摩耗試験機を始動させ、スタート時の摩擦係数のピーク値を静摩擦係数として採用した。この時の速度(設定値)は0.05m/秒とした。これを、室温及び150℃の条件で行った。150℃での測定は、相手材が150℃となるように加熱しながら行った。測定結果を表1に示す。
<<比摩耗量>>
静摩擦係数を測定した後直ちに、速度を1.0m/秒に変更し摩耗量の経時変化を測定した。得られた摩耗量(高さ)の経時変化を示す摩耗進行曲線(例えば、図1の模式図を参照。)から、下記式(1)に基づき比摩耗量を算出した。算出結果を表1に示す。尚、本実験系では、下記T’は試験開始後20時間、Tは試験開始後10時間とした。
K=(H’−H)/{P・V・(T’−T)} (1)
K:比摩耗量[mm/N・m]
H’:試験時間T’における摩耗量(高さ)[mm]
H:試験時間Tにおける摩耗量(高さ)[mm]
P:面圧[N/mm
V:速度[m/s]
T’:定常状態における試験時間[s]
T:定常状態における試験時間[s]
定常状態:試験開始後、摩耗進行速度が安定化した状態(図1の模式図中の「定常状態」で示した部分を参照のこと。当該部分は直線状となっている。)
前記摩擦特性の評価を行い、実施例1〜5及び比較例2について、以下の比重、曲げ強度及び曲げ弾性率を評価した。尚、比較例2は、摩擦特性は実施例に及ばないが、他の比較例より前記摩擦特性が最もよいと判断し、参考として測定した。
<比重>
ISO1183に準拠し、水中置換法により測定した。測定結果を表1に示す。
<曲げ強度、曲げ弾性率>
株式会社島津製作所製、オートグラフAG−Xplusを用いて、実施例及び比較例で得られた試験片について、曲げ強度及び曲げ弾性率を測定した。測定は、ISO178に準拠して行った。評価結果を表1に示す。
Figure 2021107468
表1に示すように、実施例では、射出成形により摩擦材の成形が可能であり、常温の静摩擦係数に対する150℃の静摩擦係数の比が0.90以上であり、常温でも150℃の高温でも安定して良好な摩擦特性を有していることが分かる。また、摩擦材の曲げ強度及び弾性率は実使用上問題ない値であり、従来の圧縮成形品のように金属板等を用いることなく、それ自体を摩擦材として適用可能な成形品サイズの範囲が拡大するうえ、金属基材との接着工程が不要となって、低コスト化に貢献する。また、比重も金属基材を用いた場合に比べて大幅に小さく、ブレーキだけでなくロボット等自体の軽量化を図ることが可能になる。

Claims (6)

  1. フェノール樹脂、モース硬度5以上の無機繊維及びモース硬度5未満の無機充填剤を含有する熱硬化性樹脂組成物の射出成形物である摩擦材であって、(150℃における静摩擦係数)/(25℃における静摩擦係数)≧0.90である特性を有する、摩擦材。
  2. モース硬度5以上の無機繊維を30〜50体積%、モース硬度5未満の無機充填剤を少なくとも3種をそれぞれ5体積%以上、合計15〜45体積%、フェノール樹脂を30〜40体積%含有する熱硬化性樹脂組成物の射出成形物である摩擦材。
  3. 前記モース硬度5以上の無機繊維が、ガラス繊維及び/又はロックウールである請求項1又は2に記載の摩擦材。
  4. 前記モース硬度5未満の無機充填剤が、層状ケイ酸塩、無機ウィスカ及び硫酸塩から選択される少なくとも3種である請求項1〜3の何れか一項に記載の摩擦材。
  5. 請求項1〜4の何れか1項に記載の摩擦材を用いた制動装置を備えるサーボモーター。
  6. 請求項5に記載のサーボモーターを備える協働ロボット。


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