以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
(第1実施形態)
第1実施形態のヒータ装置10は、例えば、図1に示すように、車両1の室内に配置されており、車室内の乗員等の対象物を暖める。まず、この車両1について説明する。
車両1は、座席2、ハンドル3、ステアリングコラム4、コラムカバー5およびヒータ装置10を備える。座席2には、乗員6が着座する。ハンドル3は、乗員6によって操作される。ステアリングコラム4は、ハンドル3を支持する。コラムカバー5は、ステアリングコラム4を覆っている。ここでは、後述のヒータ装置10の一部は、ステアリングコラム4の下面とコラムカバー5の下面とにそれぞれ配置されており、座席2に着座する乗員6の足に対向する。また、ここでは、ステアリングコラム4およびコラムカバー5には、後述のヒータ装置10の本体部20の一部を収容するためのコラム凹部7がそれぞれ形成されている。
ヒータ装置10は、車両用電源8からの電力によって発熱する。これにより、ヒータ装置10は、輻射熱を放射する。この放射された輻射熱により、車両1の乗員6が暖められる。具体的には、ヒータ装置10は、図2〜図6に示すように、本体部20、接近検知制御装置70およびヒータ制御装置80を備える。
本体部20は、図2〜図5に示すように、絶縁基材25、実使用部30、参照部40および絶縁層50を有する。
絶縁基材25は、例えば、ポリイミド等のポリマの樹脂で形成されており、比較的高い耐熱性および電気絶縁性を有する。また、ここでは、絶縁基材25は、図2のX軸およびY軸によって規定されるX−Y平面に沿う四角形の板状に形成されている。さらに、ここでは、絶縁基材25は、図4および図5のZ軸方向に厚みを有する。なお、X軸、Y軸およびZ軸は、互いに直交している。
実使用部30は、図2〜図4に示すように、絶縁基材25のうち乗員側の面に配置されている。また、実使用部30は、乗員用発熱部31、検出用発信電極32、検出用受信配線33および複数の検出用受信電極34を有する。なお、ここで、便宜上、乗員側とは反対側を反乗員側と記載する。
乗員用発熱部31は、実用発熱部に対応しており、例えば、銅、銀、スズ、ステンレス鋼、ニッケル、ニクロム等の金属およびこれらの合金で形成されている。また、乗員用発熱部31は、絶縁基材25のうち比較的外側に配置されており、X−Y平面に沿う蛇行状、かつ、線状に形成されている。
検出用発信電極32、検出用受信配線33および検出用受信電極34は、例えば、銅等の金属で形成されており、比較的高い導電性および熱伝導率を有する。
また、検出用発信電極32は、乗員用発熱部31よりも内側に配置されている。また、検出用発信電極32は、乗員用発熱部31の形状に沿う蛇行状、かつ、線状に形成されている。
検出用受信配線33は、検出用発信電極32よりも内側に配置されている。また、検出用受信配線33は、線状に形成されており、検出用配線幹部331および複数の検出用配線枝部332を有する。検出用配線幹部331は、X軸方向に延びている。複数の検出用配線枝部332は、検出用配線幹部331にそれぞれ接続されている。また、複数の検出用配線枝部332は、検出用発信電極32同士の間を通るように、Y軸方向にそれぞれ延びている。
複数の検出用受信電極34は、検出用受信配線33上に所定の間隔でそれぞれ配置されている。また、各検出用受信電極34は、検出用受信配線33と接続されている。さらに、複数の検出用受信電極34は、X−Y平面に沿う四角形の薄膜状にそれぞれ形成されている。
参照部40は、図2に示すように、絶縁基材25のうち実使用部30と同一面上に配置されている。また、ここでは、図1に示すように、絶縁基材25のうち参照部40は、コラム凹部7にそれぞれ配置されている。さらに、参照部40は、図2および図5に示すように、参照用発熱部41、参照用発信電極42、参照用受信配線43および複数の参照用受信電極44を有する。また、ここでは、実使用部30の大きさは、参照部40の大きさよりも大きくなっている。このため、X−Y平面上の断面において、絶縁基材25の断面積に対する実使用部30の断面積の割合は、絶縁基材25の断面積に対する参照部40の断面積の割合よりも大きくなっている。
参照用発熱部41は、例えば、乗員用発熱部31と同様に、金属等で形成されている。また、参照用発熱部41は、乗員用発熱部31と同様に、蛇行状、かつ、線状に形成されている。
参照用発信電極42、参照用受信配線43および参照用受信電極44は、検出用発信電極32、検出用受信配線33および検出用受信電極34と同様に、金属で形成されており、比較的高い導電性および熱伝導率を有する。
また、参照用発信電極42は、参照用発熱部41よりも内側に配置されている。また、参照用発信電極42は、参照用発熱部41の形状に沿う蛇行状、かつ、線状に形成されている。
参照用受信配線43は、参照用受信電極44よりも内側に配置されている。また、参照用受信配線43は、線状に形成されており、参照用配線幹部431および複数の参照用配線枝部432を有する。参照用配線幹部431は、X軸方向に延びている。複数の参照用配線枝部432は、参照用配線幹部431にそれぞれ接続されている。また、複数の参照用配線枝部432は、参照用発信電極42同士の間を通るように、Y軸方向にそれぞれ延びている。
複数の参照用受信電極44は、参照用受信配線43上に所定の間隔でそれぞれ配置されている。また、各参照用受信電極44は、参照用受信配線43と接続されている。また、複数の参照用受信電極44は、X−Y平面に沿う四角形の薄膜状にそれぞれ形成されている。
絶縁層50は、絶縁基材25とともに実使用部30および参照部40を覆っている。また、絶縁層50は、絶縁基材25と同様に、例えば、ポリイミド等のポリマの樹脂で形成されており、比較的高い耐熱性および電気絶縁性を有する。
接近検知制御装置70は、判定部に対応し、図6に示すように、車両用電源8と接続されており、車両用電源8から電力の供給を受ける。また、接近検知制御装置70は、検出用発信電極32、検出用受信電極34、参照用発信電極42、参照用受信電極44および後述のヒータ制御装置80とそれぞれ電気的に接続されている。さらに、接近検知制御装置70は、マイコン等を主体として構成されており、CPU、ROM、RAM、フラッシュメモリ、I/Oおよびこれらの構成を接続するバスライン等を備えている。また、接近検知制御装置70は、実使用部30および参照部40のそれぞれの静電容量を測定するための回路を備えている。さらに、接近検知制御装置70は、後述するように、接近検知制御装置70のROMに記憶されているプログラムを実行すると、実使用部30および参照部40のそれぞれの静電容量を測定する。これにより、接近検知制御装置70は、本体部20の実使用部30に物体が接近したか否かを判定する。
ヒータ制御装置80は、制御部に対応し、車両用電源8と接続されており、車両用電源8から電力の供給を受ける。また、ヒータ制御装置80は、乗員用発熱部31、参照用発熱部41、接近検知制御装置70とそれぞれ電気的に接続されている。さらに、ヒータ制御装置80は、マイコン等を主体として構成されており、CPU、ROM、RAM、フラッシュメモリ、I/Oおよびこれらの構成を接続するバスライン等を備えている。また、ヒータ制御装置80は、後述するように、ヒータ制御装置80のROMに記憶されているプログラムを実行すると、接近検知制御装置70の判定に基づいて、乗員用発熱部31および参照用発熱部41に供給する電力を制御する。これにより、ヒータ制御装置80は、乗員用発熱部31および参照用発熱部41によりそれぞれ発生する熱量を制御する。
以上のように、ヒータ装置10は構成されている。このヒータ装置10は、本体部20の実使用部30に物体が接近したか否かの判定に基づいて、乗員用発熱部31および参照用発熱部41によりそれぞれ発生する熱量を制御する。これにより、車両1の乗員6に熱的な不快感が抑制される。
次に、このヒータ装置10の処理を説明するために、図7のフローチャートを参照して、接近検知制御装置70による本体部20の実使用部30に物体が接近したか否かの判定を説明する。ここでは、例えば、接近検知制御装置70は、車両1のイグニッションがオンされたときに、接近検知制御装置70のROMに記憶されているプログラムを実行する。これにより、接近検知制御装置70は、本体部20の実使用部30に物体が接近したか否かを判定する。
ステップS100において、接近検知制御装置70は、実使用部30および参照部40のそれぞれの静電容量を測定する。ここでは、実使用部30の検出用発信電極32と検出用受信電極34との間の静電容量を実使用部30の静電容量とし、検出用静電容量Cdと記載する。また、参照部40の参照用発信電極42と参照用受信電極44との間の静電容量を参照部40の静電容量とし、参照用静電容量Crefと記載する。
具体的には、接近検知制御装置70は、検出用発信電極32と検出用受信電極34との間に電圧を印加する。このとき、検出用発信電極32と検出用受信電極34との間に電界が生成される。ここでは、検出用発信電極32が正極になっている。また、検出用受信電極34が負極になっている。したがって、図4に示すように、検出用発信電極32のうち絶縁層50側の検出用発信面321から、絶縁層50を経由して、検出用受信電極34のうち絶縁層50側の検出用受信面341に向かう電気力線である検出用電気力線Edが表される。
そして、接近検知制御装置70は、例えば、定電流放電法を用いて検出用静電容量Cdを測定する。具体的には、接近検知制御装置70は、一定の電圧になるまで、検出用発信電極32と検出用受信電極34との間に電荷を蓄積させる。一定の電圧になった後、接近検知制御装置70は、この蓄積された電荷を放電させる。このとき、接近検知制御装置70は、この放電電流と放電時間とを乗算することにより、放電した電気量を算出する。また、接近検知制御装置70は、この算出した電気量を放電時間に対する電圧の変化で除算することにより、検出用静電容量Cdを測定する。
ここで、検出用発信電極32と検出用受信電極34との間の誘電率をεdとする。検出用発信面321および検出用受信面341の各面積をSdとする。検出用発信面321から検出用受信面341までの検出用電気力線Edに沿う距離をDdとする。このとき、検出用静電容量Cdは、以下関係式(1)のように表される。
また、上記と同様に、接近検知制御装置70は、参照用静電容量Crefを測定するために、参照用発信電極42と参照用受信電極44との間に電圧を印加する。このとき、図5に示すように、参照用発信電極42のうち絶縁層50側の参照用発信面421から、絶縁層50を経由して、参照用受信電極44のうち絶縁層50側の参照用受信面441に向かう電気力線である参照用電気力線Erefが表される。
また、上記と同様に、接近検知制御装置70は、一定の電圧になるまで、参照用発信電極42と参照用受信電極44との間に電荷を蓄積させる。一定の電圧になった後、接近検知制御装置70は、この蓄積された電荷を放電させる。このとき、接近検知制御装置70は、上記と同様に、この放電電流と放電時間とを乗算することにより、放電した電気量を算出する。また、接近検知制御装置70は、この算出した電気量を放電時間に対する電圧の変化で除算することにより、参照用静電容量Crefを測定する。
また、ここで、参照用発信電極42と参照用受信電極44との間の誘電率をεrefとする。参照用発信面421および参照用受信面441の各面積をSrefとする。参照用発信面421から参照用受信面441までの参照用電気力線Erefに沿う距離をDrefとする。このとき、参照用静電容量Crefは、以下関係式(2)のように表される。
続いて、ステップS102において、接近検知制御装置70は、検出用静電容量Cdおよび参照用静電容量Crefに基づいて、本体部20の実使用部30に物体が接近したか否かを判定する。
ここで、この判定を説明するために、図8に示すように、検出用発信電極32と検出用受信電極34との間に電界が生成された状態で、物体としての人の手指が本体部20の実使用部30に接近したとする。このとき、検出用発信電極32の正電荷の一部は、手指に向かって移動する。これにより、検出用電気力線Edの一部は、検出用発信電極32から手指に向かう電気力線になる。したがって、このとき、検出用発信電極32と検出用受信電極34との間の電界の大きさが減少する。
また、ここで、検出用発信電極32と検出用受信電極34との間の電界の大きさが減少する場合、検出用発信電極32と検出用受信電極34との間に、接地された物体が挿入されたものと同じと考えることができる。このため、検出用発信電極32および検出用受信電極34の間と接地された物体とが重複する面積をΔSdとすると、このときの検出用静電容量Cdは、以下関係式(3)のように表される。このとき、検出用発信面321と検出用受信面341との間で互いに重複する面積が減少する。したがって、人の手指が本体部20の実使用部30に接近するとき、検出用静電容量Cdは、減少する。
また、ここで、上記したように参照部40がコラム凹部7に収容されている。このため、参照部40の参照用電気力線Erefは、本体部20の実使用部30に物体が接近するとき、影響を受けないようになっている。これにより、参照用静電容量Crefは、物体との接近により変化しない。
したがって、ここでは、本体部20の実使用部30に物体が接近するとき、検出用静電容量Cdが変化するため、検出用静電容量Cdと参照用静電容量Crefとの差の絶対値である静電容量差|Cd−Cref|が変化する。よって、ステップS102では、接近検知制御装置70は、静電容量差|Cd−Cref|と検知閾値Cd_thとを比較することによって、実使用部30に物体が接近したか否かを判定する。
また、ここでは、上記したように、本体部20の実使用部30に物体が接近するとき、検出用静電容量Cdが減少し、参照用静電容量Crefが変化しないため、静電容量差|Cd−Cref|は、減少する。したがって、接近検知制御装置70は、静電容量差|Cd−Cref|が検知閾値Cd_th以下であるか否かを判定する。静電容量差|Cd−Cref|が検知閾値Cd_th以下であるとき、本体部20の実使用部30に物体が接近したため、接近検知制御装置70の処理は、ステップS104に移行する。また、静電容量差|Cd−Cref|が検知閾値Cd_thよりも大きいとき、本体部20の実使用部30に物体が接近していないため、接近検知制御装置70の処理は、ステップS106に移行する。
ステップS102に続くステップS104において、接近検知制御装置70は、本体部20の実使用部30に物体が接近したことを示す信号をヒータ制御装置80に出力する。その後、接近検知制御装置70の処理は、ステップS100に戻る。
ステップS102に続くステップS106において、接近検知制御装置70は、本体部20の実使用部30に物体が非接近であることを示す信号をヒータ制御装置80に出力する。その後、接近検知制御装置70の処理は、ステップS100に戻る。
次に、図9のタイムチャートを参照して、接近検知制御装置70の処理について説明する。図9のタイムチャートに示す事例では、後述のヒータ制御装置80による制御は、行われていない。なお、図9のタイムチャートでは、接近検知制御装置70によって測定された検出用静電容量Cdに対応する検出値である乗員用検出値Mdが示されている。この乗員用検出値Mdは、検出用静電容量Cdの正負符号を反転させた値になっている。また、接近検知制御装置70によって測定された参照用静電容量Crefに対応する検出値である参照用検出値Mrefが示されている。この参照用検出値Mrefは、参照用静電容量Crefの正負符号を反転させた値になっている。さらに、乗員用検出値Mdおよび参照用検出値Mrefは、アナログからデジタルに変換した後のAD値としてそれぞれ示されている。
時刻t0において、接近検知制御装置70は、ステップS100にて、検出用静電容量Cdおよび参照用静電容量Crefを測定する。ここでは、実使用部30の大きさは、参照部40の大きさよりも大きいため、検出用静電容量Cdは、参照用静電容量Crefよりも大きくなっている。また、静電容量差|Cd−Cref|は、検知閾値Cd_thよりも大きくなっている。したがって、接近検知制御装置70は、ステップS106にて、本体部20の実使用部30に物体が非接近であることを示す信号をヒータ制御装置80に出力する。
時刻t0から時刻t1までの期間において、接近検知制御装置70は、ステップS100にて、検出用静電容量Cdおよび参照用静電容量Crefを測定する。ここでは、ヒータ制御装置80による制御が行われないため、温度変化等がない。このため、乗員用検出値Md、参照用検出値Mref、検出用静電容量Cdおよび参照用静電容量Crefは、それぞれ変化しない。これにより、静電容量差|Cd−Cref|は、変化しないため、検知閾値Cd_thよりも大きくなっている。したがって、接近検知制御装置70は、ステップS106にて、本体部20の実使用部30に物体が非接近であることを示す信号をヒータ制御装置80に出力する。
時刻t1において、物体が実使用部30に接近する。また、接近検知制御装置70は、ステップS100にて検出用静電容量Cdおよび参照用静電容量Crefを測定する。このとき、検出用発信面321と検出用受信面341との間で互いに重複する面積が減少するため、検出用静電容量Cdが減少する。また、参照用静電容量Crefは、上記したように物体が実使用部30に接近することによって変化しないため、時刻t0の値のままである。したがって、静電容量差|Cd−Cref|が減少する。しかし、ここでは、静電容量差|Cd−Cref|が検知閾値Cd_thより大きい。このため、接近検知制御装置70は、ステップS106にて、本体部20の実使用部30に物体が非接近であることを示す信号をヒータ制御装置80に出力する。
時刻t1から時刻t2までの期間において、物体が実使用部30に接近する。また、接近検知制御装置70は、ステップS100にて検出用静電容量Cdおよび参照用静電容量Crefを測定する。このとき、検出用発信面321と検出用受信面341との間で互いに重複する面積が減少するため、検出用静電容量Cdが減少する。また、参照用静電容量Crefは、上記したように物体が実使用部30に接近することによって変化しないため、時刻t0の値のままである。したがって、静電容量差|Cd−Cref|が減少する。しかし、ここでは、静電容量差|Cd−Cref|が検知閾値Cd_thより大きい。このため、接近検知制御装置70は、ステップS106にて、本体部20の実使用部30に物体が非接近であることを示す信号をヒータ制御装置80に出力する。
時刻t2において、物体が実使用部30に接近する。また、接近検知制御装置70は、ステップS100にて検出用静電容量Cdおよび参照用静電容量Crefを測定する。このとき、検出用発信面321と検出用受信面341との間で互いに重複する面積が減少するため、検出用静電容量Cdが減少する。また、参照用静電容量Crefは、上記したように物体が実使用部30に接近することによって変化しないため、時刻t0の値のままである。したがって、静電容量差|Cd−Cref|が減少する。このとき、静電容量差|Cd−Cref|が検知閾値Cd_thになる。よって、静電容量差|Cd−Cref|が検知閾値Cd_th以下になるため、接近検知制御装置70は、ステップS104にて、本体部20の実使用部30に物体が接近したことを示す信号をヒータ制御装置80に出力する。
時刻t2以降では、物体が実使用部30に接近する。また、接近検知制御装置70は、ステップS100にて検出用静電容量Cdおよび参照用静電容量Crefを測定する。このとき、検出用発信面321と検出用受信面341との間で互いに重複する面積が減少するため、検出用静電容量Cdが減少する。また、参照用静電容量Crefは、上記したように物体が実使用部30に接近することによって変化しないため、時刻t0の値のままである。したがって、静電容量差|Cd−Cref|が減少する。このとき、静電容量差|Cd−Cref|が検知閾値Cd_th以下であるため、接近検知制御装置70は、ステップS104にて、本体部20の実使用部30に物体が接近したことを示す信号をヒータ制御装置80に出力する。
このようにして、接近検知制御装置70は、本体部20の実使用部30に物体が接近したか否かを判定する。
次に、図10のフローチャートを参照して、接近検知制御装置70の判定に基づくヒータ制御装置80の処理について説明する。ここでは、例えば、ヒータ制御装置80は、車両1のイグニッションがオンされたときに、ヒータ制御装置80のROMに記憶されているプログラムを実行する。このとき、ヒータ制御装置80は、乗員用発熱部31および参照用発熱部41によりそれぞれ発生する熱量を制御する。これにより、車両1の乗員6に熱的な不快感が抑制される。
ここで、ヒータ制御装置80による制御を説明するために、以下の用語を定義する。実使用部30の発熱量を乗員用発熱量Quとする。参照部40の発熱量を参照用発熱量Qrefとする。実使用部30の温度を使用部温度Tuとする。参照部40の温度を参照部温度Trefとする。なお、使用部温度Tuは、例えば、乗員用発熱部31の電気抵抗に基づいてヒータ制御装置80により測定される。また、同様に、参照部温度Trefは、参照用発熱部41の電気抵抗に基づいてヒータ制御装置80により測定される。
ステップS200において、ヒータ制御装置80は、使用部温度Tuが設定温度Tsとなるように、乗員用発熱部31に供給する電力を制御する。例えば、使用部温度Tuが設定温度Tsよりも低いとき、ヒータ制御装置80は、所定の電力を乗員用発熱部31に供給する。これにより、乗員用発熱部31が発熱するため、乗員用発熱量Quが大きくなる。このため、使用部温度Tuが上昇しつつ、実使用部30は、車両1の乗員6に向かって輻射熱を放射する。なお、この設定温度Tsは、車両1の乗員6が乗員用発熱部31からの輻射熱によって暖かさを感じる程度の温度であって、例えば、100℃である。また、使用部温度Tuが設定温度Tsよりも高いとき、ヒータ制御装置80は、乗員用発熱部31に供給する電力を停止させる。これにより、使用部温度Tuが低下するため、使用部温度Tuが設定温度Tsになる。
また、このとき、ヒータ制御装置80は、参照部温度Trefと使用部温度Tuとを一致させるため、参照用発熱部41に供給する電力を制御する。例えば、参照部温度Trefが使用部温度Tuよりも低いとき、ヒータ制御装置80は、所定の電力を参照用発熱部41に供給する。これにより、参照用発熱部41が発熱するため、参照用発熱量Qrefが大きくなる。このとき、参照部温度Trefが上昇するため、参照部温度Trefと使用部温度Tuとが一致する。また、参照部温度Trefが使用部温度Tuよりも高いとき、ヒータ制御装置80は、参照用発熱部41に供給する電力を停止させる。このとき、参照部温度Trefが低下するため、参照部温度Trefと使用部温度Tuとが一致する。
ここで、上記したように、乗員用発熱部31および参照用発熱部41は、金属等でそれぞれ形成されているため、乗員用発熱部31および参照用発熱部41の熱伝導率は、それぞれ比較的高くなっている。また、乗員用発熱部31および参照用発熱部41が線状にそれぞれ形成されているため、乗員用発熱部31および参照用発熱部41の熱容量は、それぞれ比較的小さくなっている。したがって、乗員用発熱部31および参照用発熱部41の熱拡散率は、それぞれ比較的高くなっている。このため、乗員用発熱部31および参照用発熱部41の温度変化は、生じやすくなっている。なお、熱拡散率は、熱伝導率を熱容量で除算した物性値であり、温度伝搬の速さを示す。
また、ここで、上記したように、検出用発信電極32、検出用受信配線33、検出用受信電極34、参照用発信電極42、参照用受信配線43および参照用受信電極44は、銅等の金属でそれぞれ形成されている。このため、検出用発信電極32、検出用受信配線33、検出用受信電極34、参照用発信電極42、参照用受信配線43および参照用受信電極44の熱伝導率は、それぞれ比較的高くなっている。また、ここでは、検出用発信電極32、検出用受信配線33、参照用発信電極42、参照用受信配線43が線状に形成されており、検出用受信電極34および参照用受信電極44は、薄膜状に形成されている。このため、検出用発信電極32、検出用受信配線33、検出用受信電極34、参照用発信電極42、参照用受信配線43および参照用受信電極44の熱容量は、それぞれ比較的小さくなっている。したがって、検出用発信電極32、検出用受信配線33、検出用受信電極34、参照用発信電極42、参照用受信配線43および参照用受信電極44の熱拡散率は、それぞれ比較的高くなっている。このため、検出用発信電極32、検出用受信配線33、検出用受信電極34、参照用発信電極42、参照用受信配線43および参照用受信電極44の温度変化は、生じやすくなっている。
よって、ここでは、実使用部30と参照部40との大きさが異なっていても、参照部温度Trefは、使用部温度Tuに追従しやすくなっている。このため、参照部温度Trefは、使用部温度Tuとともに変化するとき、使用部温度Tuと一致しやすくなっている。なお、ここでは、例えば、参照部温度Trefと使用部温度Tuとの差の絶対値が2℃以下であるとき、参照部温度Trefと使用部温度Tuとが一致するものとする。
続いて、ステップS202において、ヒータ制御装置80は、本体部20の実使用部30に物体が接近したか否かを判定する。具体的には、ヒータ制御装置80は、接近検知制御装置70から本体部20の実使用部30に物体が接近したことを示す信号を受信したか否かを判定する。本体部20の実使用部30に物体が接近したとき、ヒータ制御装置80の処理は、ステップS204に移行する。また、本体部20の実使用部30に物体が接近していないとき、ヒータ制御装置80の処理は、ステップS200に戻る。
ステップS202に続くステップS204において、本体部20の実使用部30に物体が接近しているので、ヒータ制御装置80は、車両1の乗員6に熱的な不快感を抑制するために、使用部温度Tuを制御する。具体的には、ヒータ制御装置80は、使用部温度Tuが安全温度Tpとなるように、乗員用発熱部31に供給する電力を制御する。また、ヒータ制御装置80は、参照部温度Trefが使用部温度Tuと同じ温度となるように、参照用発熱部41に供給する電力を制御する。
例えば、ヒータ制御装置80は、使用部温度Tuが安全温度Tp以上であるとき、使用部温度Tuを低下させるために、乗員用発熱部31に供給する電力を低下させる。これにより、乗員用発熱量Quが小さくなる。このとき、使用部温度Tuは、上記したように変化しやすくなっているため、迅速に低下する。なお、安全温度Tpは、設定温度Tsよりも低く設定されており、車両1の乗員6への暖かさを確保しつつ、車両1の乗員6に熱的な不快感が抑制されるように設定される。例えば、安全温度Tpは、例えば、40−50℃である。また、使用部温度Tuが安全温度Tp未満であるとき、ヒータ制御装置80は、所定の電力を乗員用発熱部31に供給する。これにより、上記と同様に、使用部温度Tuは、上昇するため安全温度Tpになる。
また、このとき、ヒータ制御装置80は、上記と同様に、参照部温度Trefと使用部温度Tuとを一致させるように、参照用発熱部41に供給する電力を制御する。ここでは、ヒータ制御装置80は、参照部温度Trefと使用部温度Tuとを一致させるため、参照部温度Trefを安全温度Tpとなるように、参照用発熱部41に供給する電力を制御する。このとき、参照部温度Trefは、上記したように使用部温度Tuに追従しやすくなっているため、迅速に使用部温度Tuと同じ温度になる。
次に、図11のタイムチャートを参照して、接近検知制御装置70およびヒータ制御装置80がともに処理を行う場合について説明する。図11のタイムチャートの事例では、時刻t10において、車両1のイグニッションがオンされたとする。このとき、接近検知制御装置70は、接近検知制御装置70のROMに記憶されているプログラムを実行する。また、このとき、ヒータ制御装置80は、ヒータ制御装置80のROMに記憶されているプログラムを実行する。
時刻t10において、接近検知制御装置70は、ステップS100にて、検出用静電容量Cdおよび参照用静電容量Crefを測定する。ここでは、実使用部30の大きさは、参照部40の大きさよりも大きいため、検出用静電容量Cdは、参照用静電容量Crefよりも大きくなっている。また、静電容量差|Cd−Cref|は、検知閾値Cd_thよりも大きくなっている。したがって、接近検知制御装置70は、ステップS106にて、本体部20の実使用部30に物体が非接近であることを示す信号をヒータ制御装置80に出力する。
また、ヒータ制御装置80は、接近検知制御装置70から本体部20の実使用部30に物体が非接近であることを示す信号を受信するため、ステップS200にて、使用部温度Tuが設定温度Tsとなるように、乗員用発熱部31に電力を供給する。これにより、乗員用発熱量Quが発生するため、使用部温度Tuが上昇する。
ここで、使用部温度Tuが上昇するとき、図12に示すように、検出用発信電極32が膨張するため、検出用発信面321の面積が大きくなる。また、検出用受信電極34が膨張するため、検出用受信面341の面積が大きくなる。さらに、使用部温度Tuが上昇するとき、実使用部30を覆う絶縁層50の温度が上昇する。ここでは、検出用電気力線Edを通過する絶縁層50は、上記したようにポリイミド等のポリマで形成されている。このため、絶縁層50の温度が上昇すると、絶縁層50の構成分子内では、局所回転、側鎖回転および主鎖の並進運動が生じやすくなる。これにより、絶縁層50では、電子分極に加えて、双極子分極が生じやすくなる。したがって、絶縁層50の温度が上昇すると、絶縁層50の誘電率が高くなる。よって、使用部温度Tuが上昇するとき、検出用発信面321および検出用受信面341の面積がそれぞれ大きくなり、絶縁層50の誘電率が高くなるため、検出用静電容量Cdは、大きくなる。
また、ヒータ制御装置80は、ステップS200にて、参照部温度Trefが使用部温度Tuと一致するように、参照用発熱部41に電力を供給する。これにより、参照用発熱量Qrefが発生するため、参照部温度Trefは、使用部温度Tuとともに上昇しつつ使用部温度Tuに一致する。
また、ここで、参照部温度Trefが上昇するとき、上記と同様、図13に示すように、参照用発信面421および参照用受信面441の面積がそれぞれ大きくなる。さらに、参照部温度Trefが上昇するとき、上記と同様に、参照用電気力線Erefを通過する絶縁層50の誘電率は、高くなる。したがって、参照部温度Trefが上昇するとき、参照用発信面421および参照用受信面441の面積がそれぞれ大きくなり、絶縁層50の誘電率が高くなるため、参照用静電容量Crefは、大きくなる。
時刻t10から時刻t20までの期間において、接近検知制御装置70は、ステップS100にて、検出用静電容量Cdおよび参照用静電容量Crefを測定する。このとき、静電容量差|Cd−Cref|は、検知閾値Cd_thよりも大きくなっている。したがって、接近検知制御装置70は、ステップS106にて、本体部20の実使用部30に物体が非接近であることを示す信号をヒータ制御装置80に出力する。
また、ヒータ制御装置80は、接近検知制御装置70から本体部20の実使用部30に物体が非接近であることを示す信号を受信するため、ステップS200にて、使用部温度Tuが設定温度Tsとなるように、乗員用発熱部31に電力を供給する。これにより、乗員用発熱量Quが発生するため、使用部温度Tuが上昇する。さらに、使用部温度Tuが上昇するため、検出用発信面321および検出用受信面341の面積がそれぞれ大きくなり、絶縁層50の誘電率が高くなる。このため、検出用静電容量Cdは、大きくなる。
また、ヒータ制御装置80は、ステップS200にて、参照部温度Trefが使用部温度Tuと一致するように、参照用発熱部41に電力を供給する。これにより、参照用発熱量Qrefが発生するため、参照部温度Trefは、使用部温度Tuとともに上昇しつつ、使用部温度Tuに一致する。また、参照部温度Trefが上昇するため、参照用発信面421および参照用受信面441の面積がそれぞれ大きくなり、絶縁層50の誘電率が高くなる。このため、参照用静電容量Crefは、大きくなる。
時刻t20において、物体が本体部20の実使用部30に接近する。このとき、検出用発信電極32と検出用受信電極34との間の電界の大きさが減少する。このため、上記したように、検出用発信面321と検出用受信面341との間で互いに重複する面積が減少するため、検出用静電容量Cdが減少する。そして、接近検知制御装置70は、ステップS100にて、検出用静電容量Cdおよび参照用静電容量Crefを測定する。しかし、ここでは、静電容量差|Cd−Cref|は、検知閾値Cd_thよりも大きくなっている。したがって、接近検知制御装置70は、ステップS106にて、本体部20の実使用部30に物体が非接近であることを示す信号をヒータ制御装置80に出力する。
また、ヒータ制御装置80は、接近検知制御装置70から本体部20の実使用部30に物体が非接近であることを示す信号を受信するため、ステップS200にて、使用部温度Tuが設定温度Tsとなるように、乗員用発熱部31に電力を供給する。これにより、乗員用発熱量Quが発生するため、使用部温度Tuが上昇する。さらに、使用部温度Tuが上昇するため、検出用発信面321および検出用受信面341の面積がそれぞれ大きくなり、絶縁層50の誘電率が高くなる。しかし、ここでは、物体が本体部20の実使用部30に接近することによる検出用静電容量Cdの変化量は、使用部温度Tuの変化による検出用静電容量Cdの変化量よりも大きくなっている。具体的には、使用部温度Tuによる検出用静電容量Cdの増加量と比較して、この検出用静電容量Cdの減少量が上回っている。したがって、ここでは、検出用静電容量Cdは、減少する。
また、ヒータ制御装置80は、ステップS200にて、参照部温度Trefが使用部温度Tuと一致するように、参照用発熱部41に電力を供給する。これにより、参照用発熱量Qrefが発生するため、参照部温度Trefは、使用部温度Tuとともに上昇しつつ、使用部温度Tuに一致する。また、参照部温度Trefが上昇するため、参照用発信面421および参照用受信面441の面積がそれぞれ大きくなり、絶縁層50の誘電率が高くなる。このため、参照用静電容量Crefは、大きくなる。
時刻t20から時刻t30までの期間において、物体が本体部20の実使用部30に接近する。このとき、検出用発信電極32と検出用受信電極34との間の電界の大きさが減少する。このため、上記したように、検出用発信面321と検出用受信面341との間で互いに重複する面積が減少するため、検出用静電容量Cdが減少する。そして、接近検知制御装置70は、ステップS100にて、検出用静電容量Cdおよび参照用静電容量Crefを測定する。しかし、ここでは、静電容量差|Cd−Cref|は、検知閾値Cd_thよりも大きくなっている。したがって、接近検知制御装置70は、ステップS106にて、本体部20の実使用部30に物体が非接近であることを示す信号をヒータ制御装置80に出力する。
また、ヒータ制御装置80は、接近検知制御装置70から本体部20の実使用部30に物体が非接近であることを示す信号を受信するため、ステップS200にて、使用部温度Tuが設定温度Tsとなるように、乗員用発熱部31に電力を供給する。これにより、乗員用発熱量Quが発生するため、使用部温度Tuが上昇する。さらに、使用部温度Tuが上昇するため、検出用発信面321および検出用受信面341の面積がそれぞれ大きくなり、絶縁層50の誘電率が高くなる。しかし、ここでは、使用部温度Tuによる検出用静電容量Cdの増加量と比較して、この検出用静電容量Cdの減少量が上回っている。したがって、ここでは、検出用静電容量Cdは、減少する。
また、ヒータ制御装置80は、ステップS200にて、参照部温度Trefが使用部温度Tuと一致するように、参照用発熱部41に電力を供給する。これにより、参照用発熱量Qrefが発生するため、参照部温度Trefは、使用部温度Tuとともに上昇しつつ、使用部温度Tuに一致する。また、参照部温度Trefが上昇するため、参照用発信面421および参照用受信面441の面積がそれぞれ大きくなり、絶縁層50の誘電率が高くなる。このため、参照用静電容量Crefは、大きくなる。
時刻t30において、物体が本体部20の実使用部30に接近する。このとき、検出用発信電極32と検出用受信電極34との間の電界の大きさが減少する。このため、上記したように、検出用発信面321と検出用受信面341との間で互いに重複する面積が減少するため、検出用静電容量Cdが減少する。そして、接近検知制御装置70は、ステップS100にて、検出用静電容量Cdおよび参照用静電容量Crefを測定する。ここでは、静電容量差|Cd−Cref|は、検知閾値Cd_thになる。したがって、静電容量差|Cd−Cref|が検知閾値Cd_th以下であるため、接近検知制御装置70は、ステップS104にて、本体部20の実使用部30に物体が接近したことを示す信号をヒータ制御装置80に出力する。
また、ヒータ制御装置80は、接近検知制御装置70から本体部20の実使用部30に物体が接近したことを示す信号を受信する。また、ここでは、使用部温度Tuおよび参照部温度Trefがそれぞれ安全温度Tp以上である。したがって、ヒータ制御装置80は、ステップS204にて、使用部温度Tuが安全温度Tpとなるように、乗員用発熱部31に供給する電力を低下させる。これにより、乗員用発熱量Quが小さくなるため、使用部温度Tuが低下する。さらに、使用部温度Tuが低下するため、検出用発信電極32が収縮するため、検出用発信面321の面積が小さくなる。さらに、検出用受信電極34が収縮するため、検出用受信面341の面積が小さくなる。また、実使用部30を覆う絶縁層50の温度が低下するため、絶縁層50の誘電率が低くなる。したがって、使用部温度Tuが低下するとき、検出用発信面321および検出用受信面341の面積がそれぞれ小さくなり、絶縁層50の誘電率が低くなるため、検出用静電容量Cdは、小さくなる。よって、ここでは、本体部20の実使用部30への物体の接近および使用部温度Tuの低下によって、検出用静電容量Cdは、減少する。
また、ヒータ制御装置80は、ステップS204にて、参照部温度Trefが使用部温度Tuと同じとなるように、参照用発熱部41に供給する電力を低下させる。これにより、参照用発熱量Qrefが小さくなるため、使用部温度Tuとともに参照部温度Trefが低下する。また、参照部温度Trefが低下するため、参照用発信面421および参照用受信面441の面積がそれぞれ小さくなり、絶縁層50の誘電率が低くなる。このため、参照用静電容量Crefは、小さくなる。
時刻t30から時刻t40において、物体が本体部20の実使用部30に接近する。このとき、検出用発信電極32と検出用受信電極34との間の電界の大きさが減少する。このため、上記したように、検出用発信面321と検出用受信面341との間で互いに重複する面積が減少するため、検出用静電容量Cdが減少する。そして、接近検知制御装置70は、ステップS100にて、検出用静電容量Cdおよび参照用静電容量Crefを測定する。ここでは、静電容量差|Cd−Cref|は、検知閾値Cd_th以下である。したがって、接近検知制御装置70は、ステップS104にて、本体部20の実使用部30に物体が接近したことを示す信号をヒータ制御装置80に出力する。
また、ヒータ制御装置80は、接近検知制御装置70から本体部20の実使用部30に物体が接近したことを示す信号を受信する。また、ここでは、使用部温度Tuおよび参照部温度Trefがそれぞれ安全温度Tp以上である。したがって、ヒータ制御装置80は、ステップS204にて、使用部温度Tuが安全温度Tpとなるように、乗員用発熱部31に供給する電力を低下させる。これにより、乗員用発熱量Quが小さくなるため、使用部温度Tuが低下する。また、使用部温度Tuが低下するため、検出用発信面321および検出用受信面341の面積がそれぞれ小さくなり、絶縁層50の誘電率が低くなる。このため、検出用静電容量Cdは、小さくなる。よって、ここでは、本体部20の実使用部30への物体の接近および使用部温度Tuの低下によって、検出用静電容量Cdは、減少する。
また、ヒータ制御装置80は、ステップS204にて、参照部温度Trefが使用部温度Tuと同じとなるように、参照用発熱部41に供給する電力を低下させる。これにより、参照用発熱量Qrefが小さくなるため、参照部温度Trefは、使用部温度Tuとともに低下しつつ、使用部温度Tuに一致する。また、参照部温度Trefが低下するため、参照用発信面421および参照用受信面441の面積がそれぞれ小さくなり、絶縁層50の誘電率が低くなる。このため、参照用静電容量Crefは、小さくなる。
時刻t40において、物体が本体部20の実使用部30に接近する。このとき、検出用発信電極32と検出用受信電極34との間の電界の大きさが減少する。このため、上記したように、検出用発信面321と検出用受信面341との間で互いに重複する面積が減少するため、検出用静電容量Cdが減少する。そして、接近検知制御装置70は、ステップS100にて、検出用静電容量Cdおよび参照用静電容量Crefを測定する。ここでは、静電容量差|Cd−Cref|は、検知閾値Cd_th以下である。したがって、接近検知制御装置70は、ステップS104にて、本体部20の実使用部30に物体が接近したことを示す信号をヒータ制御装置80に出力する。
また、ヒータ制御装置80は、接近検知制御装置70から本体部20の実使用部30に物体が接近したことを示す信号を受信する。また、ここでは、使用部温度Tuおよび参照部温度Trefがそれぞれ安全温度Tpになる。したがって、ヒータ制御装置80は、ステップS204にて、乗員用発熱部31および参照用発熱部41に供給する電力を維持する。これにより、使用部温度Tuおよび参照部温度Trefが安全温度Tpにそれぞれ維持される。このため、車両1の乗員6に熱的な不快感が抑制される。
また、使用部温度Tuが安全温度Tpに維持されるため、使用部温度Tuによる検出用静電容量Cdは、変化しない。したがって、ここでは、電界の大きさの減少により、検出用静電容量Cdが減少する。また、参照部温度Trefが安全温度Tpに維持されるため、参照用静電容量Crefは、変化しない。
以上のように、ヒータ装置10では、接近検知制御装置70およびヒータ制御装置80の処理により、本体部20の実使用部30に物体が接近しても、車両1の乗員6に熱的な不快感が抑制される。さらに、このヒータ装置10は、物体が接近したか否かの判定の感度を向上させることができる。なお、ここでは、感度とは、本体部20の実使用部30に物体が接近している場合に、接近検知制御装置70が本体部20の実使用部30に物体が接近したと正しく判定する割合である。
ここで、本実施形態による感度向上について説明するため、比較例としての第1製品、第2製品および第3製品を参照して説明する。第1製品、第2製品および第3製品は、例えば、特開2014−190674号公報に記載されるヒータであって、製品の静電容量の変化に基づいて、物体が製品に接近したことを判定する。しかし、製品の発熱によって製品の温度が高くなるとき、製品の静電容量が変化するため、この製品は、物体が製品に接近したと誤判定することがある。
次に、上記した特許文献1に記載されたような温度と基準値との対応テーブル、比較例としての第1製品、第2製品および第3製品を参照して説明する。例えば、ここでは、この対応テーブルを参照することにより、第1製品、第2製品および第3製品の温度がそれぞれ高くなるに伴い、第1製品、第2製品および第3製品の基準値が大きくなるように設定されている。また、ここで、第1製品、第2製品および第3製品の静電容量を、それぞれ、第1静電容量C1、第2静電容量C2および第3静電容量C3とする。また、製品毎にはバラつきがあるため、図14に示すように、第1製品の温度に対する第1製品の静電容量の変化、第2製品の温度に対する第2製品の静電容量の変化、第3製品の温度に対する第3製品の静電容量の変化は、互いに異なる。例えば、ここでは、各製品の温度が同じであるときの静電容量は、第3静電容量C3、第2静電容量C2、第1静電容量C1の順に大きくなっている。なお、図14では、第1静電容量C1だけでなく、第1静電容量C1に対応し、第1製品によって検出される値である第1検出値M1も記載されている。また、第2静電容量C2だけでなく、第2静電容量C2に対応し、第2製品によって検出される値である第2検出値M2も記載されている。さらに、第3静電容量C3だけでなく、第3静電容量C3に対応し、第3製品によって検出される値である第3検出値M3も記載されている。また、各製品の静電容量に対応する検出値は、その各製品の静電容量の正負符号を反転させた値になっている。
次に、図15のタイムチャートを参照して、第1製品、第2製品および第3製品の各動作について説明する。ここで、説明のため、第1製品、第2製品および第3製品の温度を、それぞれ、第1温度T1、第2温度T2および第3温度T3とする。また、第1製品、第2製品および第3製品の各静電容量に対応する基準値を、それぞれ、第1基準値B1、第2基準値B2および第3基準値B3とする。
時刻t100において、第1温度T1、第2温度T2および第3温度T3の順に各製品の温度が高くなっている。また、第1温度T1、第2温度T2および第3温度T3の順に各製品の温度が高くなっているため、温度と基準値との対応テーブルを参照することにより、第1基準値B1、第2基準値B2および第3基準値B3の順に大きくなっている。また、ここでは、説明をわかりやすくするため、第1温度T1、第2温度T2および第3温度T3の差により、第1静電容量C1、第2静電容量C2および第3静電容量C3は、それぞれ同じになっている。
時刻t100から時刻t110において、第1温度T1、第2温度T2および第3温度T3がそれぞれ上昇する。また、第1温度T1、第2温度T2および第3温度T3がそれぞれ上昇するため、温度と基準値との対応テーブルを参照することにより、第1基準値B1、第2基準値B2および第3基準値B3は、それぞれ大きくなる。さらに、第1温度T1、第2温度T2および第3温度T3がそれぞれ上昇するため、第1静電容量C1、第2静電容量C2および第3静電容量C3が互いに同じように上昇する。
時刻t110以降において、物体が第1製品、第2製品および第3製品にそれぞれ接近したとする。これにより、第1静電容量C1、第2静電容量C2および第3静電容量C3がそれぞれ小さくなる。また、第1温度T1、第2温度T2および第3温度T3がそれぞれ上昇するため、温度と基準値との対応テーブルを参照することにより、第1基準値B1、第2基準値B2および第3基準値B3は、それぞれ大きくなる。
ここで、第1静電容量C1と第1基準値B1との差が第1閾値C1_th以下になるときに、第1製品が第1製品に物体が接近したと判定するものとする。しかし、このとき、第2製品は、第2静電容量C2と第2基準値B2との差が第1閾値C1_thよりも大きいため、第2製品には物体が接近していないと判定する。また、第3製品は、第3静電容量C3と第3基準値B3との差が第1閾値C1_thよりも大きいため、第3製品には物体が接近していないと判定する。したがって、この閾値が比較的小さいとき、この対応テーブルを参照しても、製品によって感度が低下する。
また、ここで、製品毎のバラつきを考慮して、第1閾値C1_thを第1閾値C1_thよりも大きい第2閾値C2_thに変更することが考えられる。しかし、この閾値が第2閾値C2_thであるとき、図15のタイムチャートの時刻t100から時刻t110までの期間に、第1静電容量C1と第1基準値B1との差が第2閾値C2_thになることがある。このため、第1製品は、実際には第1製品に物体が接近していないのに、第1製品に物体が接近したと誤検知することがある。よって、閾値が比較的大きいとき、この対応テーブルを参照しても、製品によって感度が低下する。
このように、対応テーブルを参照しても、製品によっては感度が低下する。
また、ここで、車室内暖房用等の用途によって製品の形状が異なるため、製品の静電容量が異なる。これにより、用途や製品毎に応じて対応テーブルを設定することが考えられる。しかし、用途や製品毎に応じて対応テーブルを設定するとき、構成部品および制御がともに煩雑になる。
本実施形態では、図11のタイムチャートに示すように、ヒータ制御装置80は、使用部温度Tuおよび参照部温度Trefを変化させる。例えば、ヒータ制御装置80は、使用部温度Tuと参照部温度Trefとを一致させるように、乗員用発熱部31および参照用発熱部41を制御する。これにより、ヒータ装置10毎に、使用部温度Tuの変化に伴う検出用静電容量Cdの変化と、参照部温度Trefの変化に伴う参照用静電容量Crefの変化とを同じにさせることができる。このため、予め設定される対応テーブルを参照する必要がなく、温度によって変化する静電容量の基準を設定することができる。これにより、温度変化によって本体部20の実使用部30に物体が接近したと誤判定が抑制されるとともに、接近検知制御装置70が本体部20の実使用部30に物体が接近したと正しく判定する割合である感度が向上する。また、予め設定される対応テーブルを参照する必要がなくなるため、ヒータ装置10の制御が簡易になる。
また、ヒータ装置10では、下記[1]−[3]に説明するような効果も奏する。
[1]ヒータ制御装置80は、実使用部30に物体が接近していないと接近検知制御装置70が判定したとき、使用部温度Tuと参照部温度Trefとが設定温度Tsとなるように、実用発熱部および参照用発熱部41を制御する。また、ヒータ制御装置80は、実使用部30に物体が接近したと接近検知制御装置70が判定したとき、使用部温度Tuと参照部温度Trefとが安全温度Tpとなるように、実用発熱部および参照用発熱部41を制御する。これにより、車両1の乗員6の不快感が抑制される。
[2]実使用部30および参照部40は、絶縁基材25に配置されている。これにより、使用部温度Tuとともに参照部温度Trefが変化しやすくなるため、使用部温度Tuと参照部温度Trefとが一致しやすくなる。このため、接近検知制御装置70の感度が向上する。
[3]X−Y平面上の断面において、絶縁基材25の断面積に対する実使用部30の断面積の割合は、絶縁基材25の断面積に対する参照部40の断面積の割合よりも大きくなっている。これにより、車両1の乗員6への輻射熱を比較的大きくできるため、車両1の乗員6の快適性が向上する。
(第2実施形態)
第1実施形態では、実使用部30の数は、1つである。実使用部30の数は、1つに限定されないで、複数であってもよい。このため、第2実施形態では、実使用部30の数が3つになっている。これ以外は、第1実施形態と同様である。
ヒータ装置10の本体部20は、図16に示すように、絶縁基材25、参照部40および絶縁層50に加えて、第1実使用部301、第2実使用部302および第3実使用部303を有する。第1実使用部301、第2実使用部302および第3実使用部303は、第1実施形態と同様の乗員用発熱部31、検出用発信電極32、検出用受信配線33および複数の検出用受信電極34をそれぞれ含む。
ここで、X−Y平面上の断面において、絶縁基材25の断面積に対する参照部40の断面積の割合を参照部割合Rrefとする。X−Y平面上の断面において、絶縁基材25の断面積に対する第1実使用部301の断面積の割合を第1割合R1とする。X−Y平面上の断面において、絶縁基材25の断面積に対する第2実使用部302の断面積の割合を第2割合R2とする。X−Y平面上の断面において、絶縁基材25の断面積に対する第3実使用部303の断面積の割合を第3割合R3とする。そして、第2実施形態では、図16および以下関係式(4)に示すように、参照部割合Rrefと、第1割合R1と、第2割合R2と、第3割合R3とが互いに同じになっている。
Rref=R1=R2=R3 ・・・(4)
また、ここで、第1実使用部301の検出用静電容量Cdを第1検出用静電容量Cd1とする。第1検出用静電容量Cd1に対応する検出値をMd1とする。第2実使用部302の検出用静電容量Cdを第2検出用静電容量Cd2とする。第2検出用静電容量Cd2に対応する検出値をMd2とする。第3実使用部303の検出用静電容量Cdを第3検出用静電容量Cd3とする。第3検出用静電容量Cd3に対応する検出値をMd3とする。
そして、上記したように、参照部割合Rrefと、第1割合R1と、第2割合R2と、第3割合R3とが互いに同じになっている。このため、ヒータ制御装置80による制御が行われていない場合の接近検知制御装置70の処理を示す事例である図9に示す事例は、図17のタイムチャートに示すようになる。具体的には、上記したように、参照部割合Rrefと、第1割合R1と、第2割合R2と、第3割合R3とが互いに同じになっている。このため、図17のタイムチャートにおける時刻t0から時刻t1までの期間では、参照用静電容量Crefと、第1検出用静電容量Cd1と、第2検出用静電容量Cd2と、第3検出用静電容量Cd3とは、互いに同じになっている。また、時刻t0から時刻t1までの期間では、参照用検出値MrefとMd1とMd2とMd3とは、互いに同じになっている。また、この場合、実使用部30に物体が接近するとき、静電容量差|Cd−Cref|がゼロの状態から第1検出用静電容量Cd1、第2検出用静電容量Cd2および第3検出用静電容量Cd3が減少する。したがって、実使用部30に物体が接近するとき、静電容量差|Cd−Cref|が大きくなる。このため、接近検知制御装置70の処理におけるステップS102では、静電容量差|Cd−Cref|が検知閾値Cd_thよりも大きいとき、第1実使用部301、第2実使用部302および第3実使用部303のいずれかに物体が接近したと判定する。また、静電容量差|Cd−Cref|が検知閾値Cd_th以下であるとき、第1実使用部301、第2実使用部302および第3実使用部303のいずれにも物体が接近していないと判定する。
第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。また、第2実施形態では、参照部割合Rrefと、第1割合R1と、第2割合R2と、第3割合R3とが互いに同じになっている。このため、第1実使用部301、第2実使用部302、第3実使用部303のそれぞれの使用部温度Tuと参照部温度Trefとが互いに一致しやすくなる。
(第3実施形態)
第1実施形態では、参照部40は、絶縁基材25のうち実使用部30と同一面上に配置されている。これに対して、参照部40の配置は限定されない。例えば、第3実施形態では、絶縁基材25が折り返されることにより、参照部40は、図18に示すように、実使用部30とは反対側、ここでは、反乗員側に配置されている。これ以外は、第1実施形態と同様である。
第3実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。また、第3実施形態では、参照部40が反乗員側に配置されているため、物体が参照部40と接触しにくくなっている。これにより、物体が参照部40に接近することによる参照用静電容量Crefの変化が抑制される。このため、静電容量差|Cd−Cref|の精度が向上するため、接近検知制御装置70による実使用部30に物体が接近したか否かの感度が向上する。
(第4実施形態)
第4実施形態では、参照部40は、実使用部30が配置されている絶縁基材25とは異なる参照用絶縁基材26に配置されている。これ以外は、第1実施形態と同様である。
実使用部30は、第1実施形態と同様に、第1基材に対応する絶縁基材25に配置されている。また、参照部40は、図19に示すように、絶縁基材25とは異なる参照用絶縁基材26に配置されている。さらに、参照用絶縁基材26は、第2基材に対応しており、絶縁基材25と同じ大きさに形成されている。また、ここでは、X−Y平面上の断面において絶縁基材25の断面積に対する実使用部30の断面積の割合は、参照用絶縁基材26の断面積に対する参照部40の断面積の割合と同じになっている。また、参照用絶縁基材26が絶縁基材25とは異なる位置に配置されることにより、参照部40は、実使用部30とは異なる位置に配置されている。例えば、参照部40は、図20に示すように、座席2の下側に配置されている。
第4実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。また、第4実施形態では、第3実施形態と同様に、物体が参照部40と接触しにくくなっている。これにより、第3実施形態と同様に、接近検知制御装置70による実使用部30に物体が接近したか否かの感度が向上する。
(第5実施形態)
第5実施形態では、ヒータ装置10は、参照部カバー45をさらに備える。これ以外は、第1実施形態と同様である。
参照部カバー45は、絶縁基材25および絶縁層50と同様に、例えば、ポリイミド等のポリマの樹脂で形成されており、比較的高い耐熱性および電気絶縁性を有する。また、参照部カバー45は、図21および図22に示すように、絶縁層50のうち参照部40に位置する部位を覆うことにより、参照部40を覆っている。
第5実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。また、第5実施形態では、第3実施形態および第4実施形態と同様に、物体が参照部40と接触しにくくなっている。これにより、第3実施形態および第4実施形態と同様に、接近検知制御装置70による実使用部30に物体が接近したか否かの感度が向上する。
(他の実施形態)
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態に対して、適宜変更が可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
本開示に記載の制御部等およびその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部等およびその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部等およびその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
(1)上記実施形態では、ヒータ装置10は、車両1に適用されている。これに対して、ヒータ装置10は、車両1に適用されることに限定されないで、航空機等の乗り物および乗り物以外に適用されてもよい。
(2)上記実施形態では、ヒータ装置10の接近検知制御装置70は、検出用静電容量Cdと参照用静電容量Crefとの差の絶対値である静電容量差|Cd−Cref|に基づいて、本体部20の実使用部30に物体が接近したか否かを判定する。これに対して、接近検知制御装置70は、静電容量差|Cd−Cref|に基づいて、本体部20の実使用部30に物体が接近したか否かを判定することに限定されない。例えば、接近検知制御装置70は、静電容量差|Cd−Cref|の変化量に基づいて、本体部20の実使用部30に物体が接近したか否かを判定してもよい。また、接近検知制御装置70は、検出用静電容量Cdに応じて変化する量と参照用静電容量Crefに応じて変化する量との差の絶対値に基づいて、本体部20の実使用部30に物体が接近したか否かを判定してもよい。
(3)上記実施形態では、絶縁基材25および絶縁層50は、樹脂等でそれぞれ形成されている。これに対して、絶縁基材25および絶縁層50は、樹脂で形成されていることに限定されないで、セラミックス等であってもよい。
(4)上記実施形態では、使用部温度Tuの上昇に伴い検出用静電容量Cdが大きくなっている。また、参照部温度Trefの上昇に伴い参照用静電容量Crefが大きくなる。これに対して、使用部温度Tuの上昇に伴い検出用静電容量Cdが大きくなり、参照部温度Trefの上昇に伴い参照用静電容量Crefが大きくなることに限定されない。例えば、使用部温度Tuの上昇に伴い検出用静電容量Cdが小さくなってもよい。また、参照部温度Trefの上昇に伴い参照用静電容量Crefが小さくなってもよい。例えば、使用部温度Tuおよび参照部温度Trefが比較的高い場合、絶縁層50の原子構造および分子構造のいずれかが変化することにより、使用部温度Tuおよび参照部温度Trefの上昇に伴い絶縁層50の誘電率が低下することがある。このとき、絶縁層50の誘電率が低下するため、検出用静電容量Cdおよび参照用静電容量Crefが小さくなる。このような場合においても、上記実施形態では、上記した効果を奏する。
(5)上記実施形態では、接近検知制御装置70は、定電流放電法を用いて検出用静電容量Cdおよび参照用静電容量Crefを測定する。これに対して、接近検知制御装置70は、定電流放電法を用いることに限定されない。例えば、接近検知制御装置70は、LCR測定器およびインピーダンスアナライザによる自動平衡ブリッジ法を用いて検出用静電容量Cdおよび参照用静電容量Crefを測定してもよい。
(6)第1実施形態では、X−Y平面上の断面において、絶縁基材25の断面積に対する実使用部30の断面積の割合は、絶縁基材25の断面積に対する参照部40の断面積の割合よりも大きくなっている。これに対して、絶縁基材25の断面積に対する実使用部30の断面積の割合は、絶縁基材25の断面積に対する参照部40の断面積の割合よりも小さくてもよい。この場合、参照用静電容量Crefが検出用静電容量Cdよりも大きいため、実使用部30に物体が接近すると、静電容量差|Cd−Cref|が大きくなる。このため、接近検知制御装置70の処理におけるステップS102では、静電容量差|Cd−Cref|が検知閾値Cd_thよりも大きいとき、実使用部30に物体が接近したと判定する。また、静電容量差|Cd−Cref|が検知閾値Cd_th以下であるとき、実使用部30に物体が接近していないと判定する。
(7)上記実施形態では、乗員用発熱部31および参照用発熱部41は、蛇行状かつ線状にそれぞれ形成されている。これに対して、乗員用発熱部31および参照用発熱部41は、蛇行状かつ線状に形成されていることに限定されない。例えば、乗員用発熱部31および参照用発熱部41は、線状、帯状および薄膜状のいずれかに複数形成されてもよい。
(8)上記実施形態では、絶縁基材25、絶縁層50および参照部カバー45は、ポリイミド等のポリマの樹脂で形成されている。これに対して、絶縁基材25、絶縁層50および参照部カバー45は、例えば、ポリイミド等のポリマの樹脂で形成されていることに限定されない。絶縁基材25、絶縁層50および参照部カバー45は、エポキシ、ウレタン、シリコン、アクリル等およびこれらの組み合わせのポリマの樹脂で形成されてもよい。
(9)上記実施形態では、参照用発熱部41は、ここでは、乗員用発熱部31と別体である。参照用発熱部41は、乗員用発熱部31と一体であってもよい。
(まとめ)
上記各実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、ヒータ装置は、基材と、基材に配置されている実用発熱部と、基材に配置されている検出用発信電極と、検出用発信電極に対向して基材に配置されている検出用受信電極と、を有する実使用部と、実用発熱部とは異なる位置に配置されている参照用発熱部と、検出用発信電極とは異なる位置に配置されている参照用発信電極と、参照用発信電極に対向して配置されている参照用受信電極と、を有する参照部と、実使用部の温度である使用部温度および参照部の温度である参照部温度を制御する制御部と、検出用発信電極と検出用受信電極との間の静電容量であって使用部温度および実使用部と物体との接近により変化する検出用静電容量と、参照用発信電極と参照用受信電極との間の静電容量であって参照部温度により変化する参照用静電容量とに基づいて、実使用部に物体が接近したか否かを判定する判定部と、を備える。これにより、物体が接近したか否かの判定の感度が向上する。
また、第2の観点によれば、判定部は、検出用静電容量に応じて変化する量と参照用静電容量に応じて変化する量との差に基づいて、実使用部に物体が接近したか否かを判定する。これにより、物体が接近したか否かの判定の感度が向上する。
また、第3の観点によれば、制御部は、実使用部に物体が接近していないと判定部が判定したとき、使用部温度と参照部温度とを設定温度にさせ、実使用部に物体が接近したと判定部が判定したとき、使用部温度と参照部温度とを設定温度よりも低い安全温度にさせる。これにより、車両の乗員の不快感が抑制される。
また、第4の観点によれば、制御部は、使用部温度と参照部温度とを一致させる。これにより、物体が接近したか否かの判定の感度が向上する。
また、第5の観点によれば、参照部は、基材に配置されている。これにより、使用部温度とともに参照部温度が変化しやすくなるため、使用部温度と参照部温度とが一致しやすくなる。このため、物体が接近したか否かの判定の感度が向上する。
また、第6の観点によれば、基材の断面積に対する実使用部の断面積の割合は、基材の断面積に対する参照部の断面積の割合以上になっている。これにより、車両の乗員への輻射熱を比較的大きくできるため、車両の乗員の快適性が向上する。
また、第7の観点によれば、参照部は、基材のうち実使用部とは反対側の面に配置されている。これにより、物体が参照部に接近することによる参照用静電容量の変化が抑制される。
また、第8の観点によれば、基材は、第1基材であって、ヒータ装置は、第1基材とは別体である第2基材をさらに備え、参照部は、第2基材に配置されている。これにより、物体が参照部に接近することによる参照用静電容量の変化が抑制される。
また、第9の観点によれば、ヒータ装置は、参照部を覆うカバーをさらに備える。これにより、物体が参照部に接近することによる参照用静電容量の変化が抑制される。