JP2021106102A - 燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料電池スタックの排ガス中における水素濃度の上昇を抑制できる技術を提供する。【解決手段】燃料電池システムは、酸素を含むカソードガスが供給されるカソードと、水素を含むアノードガスが供給されるアノードとを有する燃料電池スタックと、前記カソードガスの供給および排出を制御する酸化剤ガス給排系と、前記アノードガスの供給および排出を制御する燃料ガス給排系と、前記カソードから排出される排ガス中の水素濃度を検出する水素濃度センサと、前記酸化剤ガス給排系と前記燃料ガス給排系の動作を制御し、前記燃料電池スタックの発電を制御する制御部と、を備える。前記制御部は、前記燃料電池スタックの暖機運転の実行中に、前記水素濃度が許容値を超える水素濃度異常を検出した場合には、前記カソードに流入する前記カソードガスの圧力を低下させる。【選択図】図6
Description
本開示は、燃料電池システムに関する。
燃料電池スタックには、カソードに酸化剤ガスとしての酸素が供給され、アノードに燃料ガスとしての水素が供給されて発電するものがある。そうした燃料電池スタックでは、カソードで酸素が不足した場合などに、カソードにおいて水素が発生する場合がある。そのようにカソードで発生する水素は、「ポンピング水素」とも呼ばれる。ポンピング水素が大量に発生すると、大気中に放出される燃料電池スタックの排ガス中の水素濃度が増大する原因となる。例えば、下記特許文献1では、暖機運転の実行中にポンピング水素の発生を検出した場合に、燃料電池スタックのカソードに対するカソードガスの供給量を増大させて排ガス中の水素濃度の上昇を抑制している。
しかしながら、暖機運転中には、燃料電池スタックの発電量が限られる場合がある。また、ポンピング水素が発生していると、燃料電池スタックの発電性能も低下してしまう可能性もある。そのため、上記の特許文献1のように、排ガス中の水素濃度の上昇を抑制するために、燃料電池スタックへのカソードガスの供給量を増大させようとしても、そのための電力を安定して得られない可能性がある。また、燃料電池スタックの目標発電量にかかわらず、カソードガスの供給量を増大させると、燃料電池スタックの発電状態が望ましくない程度に大きく変動してしまう可能性もある。このように、暖機運転中における排ガス中の水素濃度の上昇を抑制するための対策については、依然として改良の余地がある。
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本開示の一形態によれば、燃料電池システムが提供される。この形態の燃料電池システムは、酸素を含むカソードガスが供給されるカソードと、水素を含むアノードガスが供給されるアノードとを有する燃料電池スタックと、前記カソードに対する前記カソードガスの供給および排出を制御する酸化剤ガス給排系と、前記アノードに対する前記アノードガスの供給および排出を制御する燃料ガス給排系と、前記カソードから排出される排ガス中の水素濃度を検出する水素濃度センサと、前記酸化剤ガス給排系と前記燃料ガス給排系の動作を制御し、前記燃料電池スタックの発電を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記燃料電池スタックを発熱させる暖機運転を実行し、前記暖機運転の実行中に、前記水素濃度が予め定められた許容値を超える水素濃度異常を検出した場合には、前記酸化剤ガス給排系を制御して、前記カソードに流入する前記カソードガスの圧力を低下させる。
この形態の燃料電池システムによれば、暖機運転中に排ガス中の水素濃度が高くなる水素濃度異常が検出されたときに、燃料電池スタックのカソードに流入するカソードガスの圧力が低くされる。これにより、排ガス中の水蒸気量が増大されるため、排ガス中の水素濃度の上昇を抑制することができる。
(2)上記形態の燃料電池システムは、さらに、前記燃料電池システム内の電力で駆動し、空調に用いられるヒータを備え、前記酸化剤ガス給排系は、前記燃料電池システム内の電力で駆動し、空気を取り込んで圧縮し、前記カソードガスとして送り出すエアコンプレッサを有し、前記制御部は、前記水素濃度異常を検出したときに、前記エアコンプレサの消費電力を低下させて、前記エアコンプレッサが送り出す前記空気の圧力を低下させることにより、前記カソードに流入する前記カソードガスの圧力を低下させるとともに、前記ヒータの消費電力を増大させる電力制御を実行してよい。
この形態の燃料電池システムによれば、水素濃度異常が検出されたときには、エアコンプレッサの駆動制御により、カソードに流入するカソードガスの圧力を低下させることができ、排ガス中の水素濃度の上昇を抑制できる。また、エアコンプレッサの消費電力を低下させる一方で、ヒータの消費電力を増大させるため、エアコンプレッサの駆動制御による燃料電池システム内での電力収支の変動を抑制できる。よって、燃料電池スタックの発電量を変えることなく、排ガス中の水素濃度の上昇を抑制することもできる。
(3)上記形態の燃料電池システムは、さらに、前記燃料電池スタックとともに電力源として機能する二次電池を備え、前記制御部は、前記電力制御において、前記エアコンプレッサの消費電力の低下量に相当する増加量だけ、前記ヒータの消費電力を増大させてよい。
この形態の燃料電池システムによれば、暖機運転中に二次電池の電力を活用することができる。また、水素濃度異常が検出されたときのエアコンプレッサの駆動制御による燃料電池システム内での電力収支の変動を、より一層抑制できるため、暖機運転中に、劣化を生じさせるような負荷が二次電池にかかることを抑制できる。
この形態の燃料電池システムによれば、暖機運転中に排ガス中の水素濃度が高くなる水素濃度異常が検出されたときに、燃料電池スタックのカソードに流入するカソードガスの圧力が低くされる。これにより、排ガス中の水蒸気量が増大されるため、排ガス中の水素濃度の上昇を抑制することができる。
(2)上記形態の燃料電池システムは、さらに、前記燃料電池システム内の電力で駆動し、空調に用いられるヒータを備え、前記酸化剤ガス給排系は、前記燃料電池システム内の電力で駆動し、空気を取り込んで圧縮し、前記カソードガスとして送り出すエアコンプレッサを有し、前記制御部は、前記水素濃度異常を検出したときに、前記エアコンプレサの消費電力を低下させて、前記エアコンプレッサが送り出す前記空気の圧力を低下させることにより、前記カソードに流入する前記カソードガスの圧力を低下させるとともに、前記ヒータの消費電力を増大させる電力制御を実行してよい。
この形態の燃料電池システムによれば、水素濃度異常が検出されたときには、エアコンプレッサの駆動制御により、カソードに流入するカソードガスの圧力を低下させることができ、排ガス中の水素濃度の上昇を抑制できる。また、エアコンプレッサの消費電力を低下させる一方で、ヒータの消費電力を増大させるため、エアコンプレッサの駆動制御による燃料電池システム内での電力収支の変動を抑制できる。よって、燃料電池スタックの発電量を変えることなく、排ガス中の水素濃度の上昇を抑制することもできる。
(3)上記形態の燃料電池システムは、さらに、前記燃料電池スタックとともに電力源として機能する二次電池を備え、前記制御部は、前記電力制御において、前記エアコンプレッサの消費電力の低下量に相当する増加量だけ、前記ヒータの消費電力を増大させてよい。
この形態の燃料電池システムによれば、暖機運転中に二次電池の電力を活用することができる。また、水素濃度異常が検出されたときのエアコンプレッサの駆動制御による燃料電池システム内での電力収支の変動を、より一層抑制できるため、暖機運転中に、劣化を生じさせるような負荷が二次電池にかかることを抑制できる。
1.実施形態:
図1は、本実施形態における燃料電池システム10の構成を示す概略図である。燃料電池システム10は、例えば、燃料電池車両に搭載される。燃料電池システム10は、燃料電池スタック20と、負荷200と、を備え、燃料電池スタック20の発電電力を利用して負荷200に含まれる各種のデバイスを駆動させる。なお、本実施形態では、燃料電池システム10は、さらに、燃料電池スタック20とともに負荷200に対する電力源として機能する二次電池を備えているが、二次電池については後述する。
図1は、本実施形態における燃料電池システム10の構成を示す概略図である。燃料電池システム10は、例えば、燃料電池車両に搭載される。燃料電池システム10は、燃料電池スタック20と、負荷200と、を備え、燃料電池スタック20の発電電力を利用して負荷200に含まれる各種のデバイスを駆動させる。なお、本実施形態では、燃料電池システム10は、さらに、燃料電池スタック20とともに負荷200に対する電力源として機能する二次電池を備えているが、二次電池については後述する。
負荷200には、燃料電池スタック20の運転に用いられる酸化剤ガス給排系30、燃料ガス給排系50、および、冷媒循環系70が含まれる。また、負荷200には、燃料電池車両の駆動力を発生する駆動モータ205や、燃料電池車両内の空調のために用いられるヒータ210が含まれる。その他に、負荷200には、燃料電池システム10のその他の構成部や、燃料電池車両内の種々の電装品、外部給電装置等が含まれる。
燃料電池スタック20は、複数の燃料電池セル21と、一対のエンドターミナル22,23とを備える。複数の燃料電池セル21はそれぞれ、板状であり、厚み方向である積層方向SDに積層されている。燃料電池セル21は、単体でも発電可能な発電要素である。燃料電池セル21は、反応ガスとしての酸化剤ガスおよび燃料ガスの供給を受け、それらの電気化学反応によって発電する。本実施形態では、燃料電池セル21は、固体高分子形燃料電池として構成されており、酸化剤ガスとして酸素が用いられ、燃料ガスとして水素が用いられる。
燃料電池セル21は、イオン伝導性を有する高分子樹脂膜によって構成された電解質膜の両面に触媒が担持された電極であるアノードおよびカソードが配置された膜電極接合体を備える。燃料電池セル21は、さらに、膜電極接合体を挟む2枚のセパレータを備える。膜電極接合体およびセパレータの図示は省略する。各燃料電池セル21の外周端部には、反応ガスや、膜電極接合体の発電部を通過した反応オフガスを流通させるためのマニホールドMfa,Mfbを形成する開口部(図示は省略)が設けられている。マニホールドMfa,Mfbは、膜電極接合体の発電部に分岐接続されている。マニホールドMfaは、カソードに接続され、酸化剤ガスを含むカソードガスの流路として機能する。マニホールドMfbはアノードに接続され、燃料ガスを含むアノードガスの流路として機能する。また、各燃料電池セル21の外周端部には、冷媒を流通させるためのマニホールドMfcを形成する開口部(図示は省略)が設けられている。マニホールドMfcは、隣接しているセパレータ同士の間に形成されている冷媒流路に接続されている。
一対のエンドターミナル22,23は、複数の燃料電池セル21の積層方向SDにおける両端部に配置されている。具体的には、第1エンドターミナル22は燃料電池スタック20の一方の端部に配置され、第2エンドターミナル23は他方の端部に配置されている。第1エンドターミナル22には、マニホールドMfa,Mfb,Mfcを形成するための貫通孔である開口部25が形成されている。一方、第2エンドターミナル23には、そうした開口部25は形成されていない。燃料電池スタック20では、燃料ガスと酸化剤ガスと冷媒とは、第1エンドターミナル22側から供給され、燃料電池スタック20内で折り返して第1エンドターミナル22側から排出される。
酸化剤ガス給排系30は、カソードガス供給機能と、カソードガス排出機能と、カソードガスバイパス機能と、を有する。カソードガス供給機能は、燃料電池セル21のカソードにカソードガスとして酸素を含む空気を供給する機能である。カソードガス排出機能は、燃料電池セル21のカソードから排出される排ガスであるカソードオフガスを外部に排出する機能である。カソードオフガスは、酸素、不活性ガス、および、排水を含む。また、カソードオフガスには、後述するポンピング水素など、カソードに発生した水素が含まれる場合がある。カソードガスバイパス機能は、供給されるカソードガスの一部を、燃料電池セル21を介することなく外部に排出する機能である。
燃料ガス給排系50は、アノードガス供給機能と、アノードガス排出機能と、アノードガス循環機能とを有する。アノードガス供給機能は、燃料電池セル21のアノードに燃料ガスを含むアノードガスを供給する機能である。アノードガス排出機能は、燃料電池セル21のアノードから排出される排ガスであるアノードオフガスを外部に排出する機能である。アノードオフガスは、水素、不活性ガス、排水を含む。アノードガス循環機能は、アノードオフガスに含まれる水素を燃料電池システム10内において循環させる機能である。
冷媒循環系70は、燃料電池スタック20に冷媒を循環させて、燃料電池スタック20の温度を調節する機能を有する。冷媒としては、例えば、エチレングリコールなどの不凍液や、水などの液体が用いられる。
図2は、燃料電池システム10の詳細構成を示す概略図である。燃料電池システム10は、上述の燃料電池スタック20、酸化剤ガス給排系30、燃料ガス給排系50、冷媒循環系70に加え、制御装置60を有する。制御装置60は、燃料電池システム10の動作を制御する。制御装置60の詳細は後述する。
酸化剤ガス給排系30は、酸化剤ガス供給系30Aと、酸化剤ガス排出系30Bとを備える。酸化剤ガス供給系30Aは、燃料電池スタック20のカソードに、カソードガスとしての空気を供給する。酸化剤ガス供給系30Aは、カソード供給配管302と、外気温センサ38と、エアクリーナ31と、エアコンプレッサ33と、インタークーラ35と、入口弁36と、を有する。
カソード供給配管302は、燃料電池スタック20のカソードの入口に接続され、燃料電池スタック20のカソードに対する空気の供給流路を構成する。外気温センサ38は、エアクリーナ31に取り込まれる空気の温度を、外気温として計測する。外気温センサ38の計測結果は制御装置60に送信される。エアクリーナ31は、カソード供給配管302のうちでエアコンプレッサ33よりも上流側に設けられ、燃料電池スタック20に供給される空気中の異物を除去する。
エアコンプレッサ33は、燃料電池スタック20よりも上流側のカソード供給配管302に設けられ、エアクリーナ31を通じて取り込んだ空気を圧縮してカソードに向けて送り出す。エアコンプレッサ33の駆動は、制御装置60によって制御される。本実施形態では、エアコンプレッサ33は、例えばターボコンプレッサによって構成され、送り出す空気の流量に対する圧力比の関係が消費電力ごとに変わる動作特性を有する。「圧力比」とは、エアコンプレッサ33に流入する空気の圧力に対するエアコンプレッサ33から送り出される空気の圧力を意味する。エアコンプレッサ33の動作特性の詳細については後述する。
インタークーラ35は、カソード供給配管302のうちでエアコンプレッサ33よりも下流側に設けられている。インタークーラ35は、エアコンプレッサ33によって圧縮されて高温となったカソードガスを冷却する。入口弁36は、燃料電池スタック20のカソードへのカソードガスの流入を制御する。入口弁36は、予め定められた圧力のカソードガスが流入したときに機械的に開く開閉弁によって構成される。
酸化剤ガス排出系30Bは、カソードオフガスを、燃料電池車両の外部に排出する。酸化剤ガス排出系30Bは、排ガス配管306と、バイパス配管308と、を有する。
排ガス配管306は、燃料電池スタック20のカソードの出口に接続されており、カソードオフガスの排出流路を構成する。排ガス配管306は、カソードオフガスを含む燃料電池スタック20の排ガスを大気中に排出する機能を有する。排ガス配管306から大気中に排出される排ガスには、カソードオフガスの他に、アノードオフガスや、バイパス配管308から流出した空気が含まれる。排ガス配管306の下流側端部には排ガスの排気音を調整するためのマフラー310が設けられている。
排ガス配管306には、出口弁37が設けられている。出口弁37は、排ガス配管306のうちでバイパス配管308が接続された地点よりも上流側に配置されている。出口弁37は、電磁弁や電動弁によって構成される。出口弁37は、制御装置60によって開度が調整されることで燃料電池スタック20のカソードの背圧を調整する。
バイパス配管308は、燃料電池スタック20を経由することなく、カソード供給配管302と排ガス配管306とを接続する。バイパス配管308には、バイパス弁39が設けられている。バイパス弁39は、電磁弁や電動弁によって構成される。バイパス弁39が開かれている場合には、カソード供給配管302を流れるカソードガスの一部は、バイパス配管308を通じて、排ガス配管306へと流入する。制御装置60は、バイパス弁39の開度を調整することによって、バイパス配管308に流入するカソードガスの流量を調整する。
排ガス配管306には、水素濃度センサ311が設けられている。水素濃度センサ311は、排ガス配管306を流れる排ガス中の水素濃度を検出し、その検出結果を制御装置60に送信する。本実施形態では、水素濃度センサ311は、排ガス配管306とアノード排出配管504との合流点より上流側に設けられている。これにより、水素濃度センサ311は、排ガス中の水素濃度として、特に、カソードオフガス中の水素濃度を検出することが可能である。カソードオフガス中の水素濃度は、カソードで発生し、カソードから排出された燃料ガスの量を表す。
燃料ガス給排系50は、燃料ガス供給系50Aと、燃料ガス循環系50Bと、燃料ガス排出系50Cとを備える。
燃料ガス供給系50Aは、燃料電池スタック20のアノードに水素を含むアノードガスを供給する。燃料ガス供給系50Aは、アノード供給配管501と、燃料ガスタンク51と、開閉弁52と、レギュレータ53と、インジェクタ54と、圧力センサ59と、を備える。
アノード供給配管501は、水素の供給源である燃料ガスタンク51と燃料電池スタック20のアノードの入口とに接続され、燃料電池スタック20のアノードに対するアノードガスの供給流路を構成する。燃料ガスタンク51は、例えば高圧の水素ガスを貯蔵している。開閉弁52は、アノード供給配管501において燃料ガスタンク51の手前に設けられている。開閉弁52は、開弁状態において燃料ガスタンク51の水素を下流側へと流通させる。レギュレータ53は、アノード供給配管501において開閉弁52の下流側に設けられている。レギュレータ53は、制御装置60の制御によって、インジェクタ54よりも上流側における水素の圧力を調整する。
インジェクタ54は、アノード供給配管501においてレギュレータ53の下流側に設けられている。インジェクタ54は、アノード供給配管501のうち、後述するアノード循環配管502の合流地点よりも上流側に配置されている。インジェクタ54は、制御装置60によって設定された駆動周期や開弁時間に応じて、電磁的に駆動する開閉弁である。制御装置60は、インジェクタ54を制御することにより、燃料電池スタック20のアノードに供給されるアノードガスに含まれる水素量を調整する。圧力センサ59は、アノード供給配管501のうちでインジェクタ54よりも下流側の内部圧力、つまり、アノードガスの供給圧力を計測する。計測結果は制御装置60に送信される。
燃料ガス循環系50Bは、燃料電池スタック20のアノードから排出されるアノードオフガスを、液体成分を分離させた上で、アノード供給配管501に循環させる。燃料ガス循環系50Bは、アノード循環配管502と、気液分離器57と、循環ポンプ55と、モータ56とを有する。
アノード循環配管502は、燃料電池スタック20のアノード出口とアノード供給配管501とに接続され、アノードから排出されるアノードオフガスをアノード供給配管501へと導く循環路を構成する。気液分離器57は、アノード循環配管502に設けられ、アノードオフガスから水蒸気を含む液体成分を分離し、液水の状態で貯留する。循環ポンプ55は、アノード循環配管502において気液分離器57の下流側に設けられている。循環ポンプ55は、モータ56を駆動させることで気液分離器57に流入したアノードオフガスをアノード供給配管501へと送り出す。
燃料ガス排出系50Cは、アノードオフガスや気液分離器57に貯留された液水を排ガス配管306へと排出する。燃料ガス排出系50Cは、アノード排出配管504と排気排水弁58と、を有する。アノード排出配管504は、気液分離器57の排出口と、排ガス配管306とに接続され、気液分離器57の排出口から排出される排水と、気液分離器57内を通過するアノードオフガスの一部とを燃料ガス給排系50から排出する排気排水路を構成する。排気排水弁58は、アノード排出配管504に設けられ、アノード排出配管504を開閉する。排気排水弁58としては、例えば、ダイヤフラム弁が用いられる。燃料電池システム10の発電時には、制御装置60は、予め定めたタイミングで排気排水弁58に対して開弁指示を行う。排気排水弁58が開かれると、気液分離器57に貯留された水分とアノードオフガスとが、排ガス配管306を通じて大気中へと排出される。
冷媒循環系70は、冷媒循環路79と、冷媒循環ポンプ74と、モータ75と、ラジエータ71と、ラジエータファン72と、スタック温度センサ73とを備える。
冷媒循環路79は、冷媒供給路79Aと、冷媒排出路79Bとを有する。冷媒供給路79Aは、燃料電池スタック20に冷媒を供給するための管である。冷媒排出路79Bは、燃料電池スタック20から冷媒を排出するための管である。冷媒循環ポンプ74は、モータ75の駆動によって冷媒供給路79Aの冷媒を燃料電池スタック20へ送り出す。ラジエータ71は、ラジエータファン72によって風が送られて放熱することで、内部を流通する冷媒を冷却する。スタック温度センサ73は、冷媒排出路79B内の冷媒の温度を計測する。冷媒の温度の計測結果は、制御装置60に送信される。制御装置60は、スタック温度センサ73の計測温度を、燃料電池スタック20の温度として検出し、燃料電池システム10の制御に用いる。
図3は、燃料電池システム10の電気的構成を示す概念図である。燃料電池システム10は、FCコンバータ95と、DC/ACインバータ98と、電圧センサ91と、電流センサ92とを備える。
電圧センサ91は、燃料電池スタック20の電圧を計測するために用いられる。電圧センサ91は、燃料電池スタック20の全ての燃料電池セル21それぞれと接続されており、全ての燃料電池セル21それぞれを対象に電圧を計測する。電圧センサ91は、その計測結果を制御装置60に送信する。電圧センサ91によって計測された全ての燃料電池セル21の計測電圧を合計することで燃料電池スタック20の総電圧が計測される。なお、燃料電池システム10は、電圧センサ91に代えて、燃料電池スタック20の両端の電圧を計測する電圧センサを有していてもよい。この場合、計測された両端の電圧値が、燃料電池スタック20の総電圧となる。電流センサ92は、燃料電池スタック20による出力電流値を計測し、制御装置60に送信する。
FCコンバータ95は、例えば、DC/DCコンバータによって構成され、燃料電池スタック20の電流を制御する回路として機能する。FCコンバータ95は、制御装置60から送信される電流指令値に基づき、燃料電池スタック20が出力する電流を制御する。電流指令値とは、燃料電池スタック20による出力電流の目標値を表す値であり、制御装置60によって設定される。
DC/ACインバータ98は、燃料電池スタック20と、図1で説明した負荷200とに接続されている。なお、負荷200には、後述する電力制御において制御部62によって消費電力が制御されるエアコンプレッサ33およびヒータ210が含まれる。DC/ACインバータ98は、燃料電池スタック20や二次電池96から出力される直流電力を交流電力へと変換し、負荷200に供給する。また、負荷200に含まれる図1に示す駆動モータ205において回生電力が発生した場合には、DC/ACインバータ98はその回生電力を直流電力に変換する。DC/ACインバータ98によって直流電力に変換された回生電力は、バッテリコンバータ97を介して二次電池96に蓄電される。
燃料電池システム10は、さらに、二次電池96と、バッテリコンバータ97とを備える。二次電池96は、燃料電池スタック20とともに、燃料電池システム10の電力源として機能する。二次電池96は、燃料電池スタック20によって生じる電力や上述した回生電力によって充電される。二次電池96の活用により、通常運転や暖機運転において、負荷200に供給される電力を安定化させることができる。なお、本実施形態では、二次電池96は、リチウムイオン電池によって構成されており、氷点下では、充放電量の許容範囲が著しく狭くなる温度特性を有している。二次電池96の温度特性については後述する。
バッテリコンバータ97は、DC/DCコンバータによって構成され、制御装置60の指示に応じて二次電池96の充放電を制御する。また、バッテリコンバータ97は、二次電池96のSOC(State Of Charge:残容量)を計測し、制御装置60に送信する。
図4は、制御装置60の内部ブロック図である。制御装置60は、ECU(Electronic Control Unit)とも呼ばれ、制御部62と、ROMやハードディスクなどの外部記憶装置によって構成された記憶部68と、を備える。制御部62は、少なくとも1つのプロセッサと主記憶装置とを備え、プロセッサが、記憶部68から主記憶装置上に読み込んだプログラムや命令を実行することによって燃料電池スタック20の発電を制御するための種々の機能を発揮する。なお、制御部62の機能の少なくとも一部は、ハードウェア回路によって構成されてもよい。
記憶部68には、制御部62が実行する各種プログラムや、燃料電池システム10の制御に用いられるパラメータや種々のマップ等が不揮発的に記憶されている。「不揮発的」とは、記憶装置に対する通電状態がオフされた場合でも情報が消失しないまま記憶装置に保持されることを意味する。制御部62は、記憶部68の各種プログラムを実行することで、動作制御部64と、監視部66として機能する。動作制御部64は、燃料電池システム10の動作を制御する。動作制御部64は、燃料電池システム10に対する負荷200からの出力要求に応じて燃料電池スタック20に発電させる通常運転を実行する。
また、動作制御部64は、燃料電池スタック20を急速に昇温させるための暖機運転を実行する。暖機運転は、燃料電池システム10の起動時に動作制御部64が実行する後述する始動処理において、予め定められた暖機条件が満たされた場合に実行される。本実施形態では、暖機条件は、外気温センサ38の計測値が予め定めた温度以下であるときに満たされる。他の実施形態では、暖機条件は、例えば、冬季に燃料電池システム10が所定の時間以上、停止した状態で放置されていた場合に満たされるものとしてもよい。暖機運転では、通常運転とは異なり、動作制御部64は、燃料電池スタック20の目標発熱量を設定し、負荷200からの出力要求にかかわらず、その目標発熱量で燃料電池スタック20が発電するように制御する。
本実施形態の暖機運転では、動作制御部64は、燃料電池スタック20に供給される酸化剤ガスのストイキ比を、通常運転でのストイキ比よりも小さくなるように酸化剤ガス給排系30と燃料ガス給排系50とを制御する。「酸化剤ガスのストイキ比」とは、要求発電電力を発電するために理論的に必要な酸化剤ガスの量に対する、実際に供給される酸化剤ガスの量の比を意味する。この制御によって、カソードでの濃度過電圧が増大し、燃料電池スタック20の発電効率が低下するため、燃料電池スタック20の発熱量が通常運転時よりも増大し、燃料電池スタック20の昇温速度を高めることができる。暖機運転における酸化剤ガスのストイキ比は例えば、1.0程度としてよい。なお、本実施形態の暖機運転では、動作制御部64は、燃料電池スタック20に対する酸化剤ガスおよび燃料ガスの供給量を、予め定められた供給量で維持する。
監視部66は、水素濃度センサ311の計測結果に基づいて、燃料電池スタック20の発電中に、排ガス配管306から排出される排ガス中の水素濃度が予め定められた許容値を超える水素濃度異常の発生を監視する。水素濃度異常は、例えば、燃料電池スタック20のカソードにおいて、ポンピング水素等の水素が大量に発生した場合などに検出される。ポンピング水素は、アノードで生じたプロトンが電解質膜を介してカソードへと移動し、電子と再結合することにより発生する。ポンピング水素は、カソードに対する酸素の供給量が不足する場合に生じやすい。動作制御部64は、後述する始動処理において、暖機運転が実行されているときに、監視部66が水素濃度異常を検出した場合には、排ガス中の水素濃度の上昇を抑制するための制御を実行する。
始動処理の説明の前に、図5を参照して、酸化剤ガス給排系30が備えるエアコンプレッサ33の動作特性を説明する。図5には、エアコンプレッサ33のエアコンプレッサ33の動作特性を示すグラフの一例が示されている。エアコンプレッサ33の動作特性は、エアコンプレッサ33が同一の消費電力で駆動しているときの圧力比と流量とを一対一で対応させた、消費電力ごとの関係によって表される。以下、図5に示されている消費電力ごとのグラフを「等パワーラインEPL」とも呼ぶ。各等パワーラインEPLにおける流量が比較的小さい低流量領域QLでは、流量の増加に対する圧力比の低下幅が小さく、圧力比がほぼ一定に維持される。ここでの「ほぼ一定」には、±5%程度の変動幅が含まれる。各等パワーラインEPLの流量が比較的大きい高流量領域QHでは、流量の増加に対する圧力比の低下幅が、低流量領域QLよりも大きい。より具体的には、各等パワーラインEPLの高流量領域QHでは、流量の増加にともなって圧力比が二次関数的に低下していく。消費電力が大きい等パワーラインEPLほど、同じ流量に対して定まる圧力比は大きい。こうした動作特性を有するエアコンプレッサ33によれば、消費電力を低下させれば、送り出されるカソードガスの流量を一定に保ったまま、圧力比を低下させることができる。エアコンプレッサ33の圧力比の低下は、燃料電池スタック20のカソードに流入するカソードガスの圧力の低下を意味する。
図6は、制御部62の動作制御部64が実行する始動処理のフローを示す説明図である。始動処理は、燃料電池車両に対する起動操作がされ、燃料電池システム10の運転開始が指令されたときに、動作制御部64が実行する。
ステップS10では、動作制御部64は、燃料電池スタック20の発電を開始させる。具体的には、動作制御部64は、酸化剤ガス給排系30および燃料ガス給排系50によって、燃料電池スタック20に対する反応ガスの供給制御を開始する。また、動作制御部64は、上述の反応ガスの供給制御に加えて、冷媒循環系70によって燃料電池スタック20の温度を制御する温度制御を開始する。
ステップS20では、動作制御部64は、暖機運転の開始条件である暖機条件が満たされているか否かを判定する。上述したように、本実施形態では、外気温センサ38の計測値が予め定めた温度以下である場合に、暖機条件が満たされていると判定する。本実施形態では、暖機条件の閾値温度は氷点である。他の実施形態では、暖機条件の閾値温度は、氷点よりも低い温度であってもよいし、氷点より高い氷点近傍の温度であってもよい。暖機条件が満たされていない場合には、動作制御部64は、暖機運転を実行することなく、始動処理を終了し、通常運転を開始する。
暖機条件が満たされている場合には、動作制御部64は、ステップS30において、暖機運転を実行する。暖機運転では、動作制御部64は、まず、燃料電池スタック20の発熱量の目標値である目標発熱量を設定する。動作制御部64は、現在の外気温、または、燃料電池スタック20の温度が低いほど、目標発熱量を大きい値に設定してもよい。この場合には、動作制御部64は、目標発熱量を設定する際に、予め準備され、記憶部68に格納されているマップを用いてもよい。
また、暖機運転では、動作制御部64は、上述したように、燃料電池スタック20に供給される酸化剤ガスのストイキ比が、通常運転でのストイキ比よりも小さい予め定められたストイキ比となるように酸化剤ガス給排系30と燃料ガス給排系50とを制御する。動作制御部64は、そうした暖機運転用のストイキ比で反応ガスが供給されている状態において、燃料電池スタック20が目標発熱量で発熱しながら発電するように、燃料電池スタック20の電流をFCコンバータ95によって制御する。また、動作制御部64は、上述した暖機運転用のストイキ比で燃料電池スタック20に酸化剤ガスが供給されるように、エアコンプレッサ33を駆動する。動作制御部64は、暖機運転用のストイキ比に基づいて定まるカソードガスの目標流量および目標圧力比でエアコンプレッサ33を駆動する。
暖機運転が実行されている間、動作制御部64は、ステップS40において、監視部66によって水素濃度異常が検出されているか否かを判定する。上述したように、本実施形態では、監視部66は、水素濃度センサ311によって計測される排ガス中の水素濃度が予め定められた許容値を超えたときに、水素濃度異常を検出する。水素濃度異常が検出された場合には、動作制御部64は、ステップS50,S55の処理を実行する。
ステップS50では、動作制御部64は、エアコンプレッサ33を制御して、燃料電池スタック20のカソードに供給されるカソードガスの圧力を低下させる。動作制御部64は、図5に示すように、エアコンプレッサ33が送り出している現在の空気の流量Qcを保ったまま、エアコンプレッサ33の圧力比をPPaからPPbへと減少させる。これによって、燃料電池スタック20のカソードに流入するカソードガスの圧力が低減され、エアコンプレッサ33での消費電力がP1からP2に低下する。
ここで、燃料電池スタック20内の水蒸気圧は、カソードでの圧力によらず一定であるため、カソードの圧力が低い場合には、カソードの圧力が高い場合に比較して、カソードオフガス中の水蒸気の分圧が占める割合が大きくなる。そのため、燃料電池スタック20のカソードに流入するカソードガスの圧力を低下させると、カソードオフガスに占める水蒸気の割合が大きくなり、カソードオフガスに含まれる水蒸気量を増大させることができる。水蒸気量が増大すると、その分だけ、排ガス配管306から大気中に排出される排ガス中の水素濃度が低減される。
ステップS55は、ステップS50とほぼ同時並行的に実行される。ステップS55では、動作制御部64は、ヒータ210の動作点を変更して、ヒータ210での消費電力を増加させる。本実施形態では、動作制御部64は、ステップS50において、エアコンプレッサ33での消費電力を低下させた低下量P2−P1に相当する電力だけ、ヒータ210での消費電力を増加させる。これにより、エアコンプレッサ33で消費されなくなった電力が余り、二次電池96に蓄電させなければならない電力が増加してしまうことが抑制される。
図7は、二次電池96の温度特性を示す説明図である。リチウムイオン電池などの二次電池は、氷点下、特に−20℃(摂氏)以下になると、急激に充放電可能な電力の幅が狭くなる。そのため、暖機運転が実行される低温環境下では、二次電池96に超過分の電力を蓄電したり、不足分の電力を二次電池96から放電したりすることが困難となる場合が生じ得る。上記のように、エアコンプレッサ33での消費電力が低減された分、ヒータ210での消費電力が増大されれば、低温のために充放電量の許容範囲が狭まっている二次電池96に過剰に蓄電させるように制御されることが抑制される。よって、二次電池96が過剰な負荷を受けて、例えばリチウムの溶出など、二次電池96の劣化が発生することが抑制される。
図6に戻る。ステップS40において水素濃度異常が検出されていない場合、または、ステップS50,S55の処理が実行された後には、動作制御部64は、ステップS60において、暖機運転を完了するか否かを判定する。動作制御部64は、予め定められた暖機完了条件が満たされているか否かを判定する。本実施形態では、暖機完了条件は、燃料電池スタック20の温度が予め定められた閾値温度以上である場合に満たされる。なお、他の実施形態では、暖機完了条件は、例えば、燃料電池スタック20以外のシステム補機類の温度が閾値温度以上になったときに満たされるものとしてもよい。また、暖機完了条件は、目標発熱量から求められる暖機完了時間が経過したときに満たされるものとしてもよい。
動作制御部64は、暖機完了条件が満たされている場合には、暖機運転を完了し、始動処理を終了する。動作制御部64は、始動処理の終了後には、燃料電池スタック20の通常運転を開始する。一方、暖機完了条件が満たされていない場合には、動作制御部64は、ステップS30に戻り、目標発熱量で燃料電池スタック20を発熱させる暖機運転を継続する。動作制御部64は、ステップS40における監視部66による水素濃度判定を、ステップS60で暖機完了条件が満たされるまで、所定の制御周期で繰り返し実行する。
なお、ステップS50,S55の処理が実行された後、ステップS40において、再度、水素濃度異常が検出された場合には、ステップS50,S55において、燃料電池スタック20のカソードに流入するカソードガスの圧力がさらに低下される。また、ステップS50,S55の実行後、排ガス中の水素濃度が、ポンピング水素の発生が止まったことを示す予め定められた閾値以下になった場合には、エアコンプレッサ33が送り出すカソードガスの圧力は、通常の暖機運転での設定値に戻される。
以上のように、本実施形態の燃料電池システム10では、暖機運転中に排ガス中の水素濃度が高くなる水素濃度異常が検出されたときに、燃料電池スタック20のカソードに流入するカソードガスの圧力が低減される。これにより、排ガス中の水蒸気量が増大されるため、排ガス中の水素濃度の上昇が抑制される。特に、本実施形態では、燃料電池スタック20に供給されるカソードガスの流量は一定に保ったまま、カソードガスの圧力を低減させるため、燃料電池スタック20に供給される反応ガス量が変化することによる燃料電池スタック20の発電状態の変動が抑制される。
また、本実施形態の燃料電池システム10によれば、水素濃度異常が検出され、カソードガスの圧力を低減させる際には、エアコンプレッサ33の消費電力を低下させるとともに、ヒータ210の消費電力を増大させている。これによって、燃料電池システム10内での電力収支の変動が抑制され、燃料電池スタック20の発電量を変化させなくても、エアコンプレッサ33の消費電力の低下による燃料電池システム10内の余剰電力の発生を抑制することができる。また、ヒータ210に割り当てられる電力を増加させるため、暖機運転が実行される低温環境下でのヒータ210の昇温速度を高めることができる。特に、本実施形態では、エアコンプレッサ33における消費電力の低下量の分だけ、ヒータ210の消費電力を増大させている。これにより、燃料電池システム10内での電力収支の変動がより一層、抑制される。そのため、燃料電池スタック20の発電量を変化させなくてもよくなり、低温環境下で充放電量に制限がある二次電池96に過剰な負荷がかかることを抑制できる。
2.他の実施形態:
上記実施形態で説明した種々の構成は、例えば、以下のように改変することが可能である。以下に説明する他の実施形態はいずれも、上記実施形態と同様に、本開示の技術を実施するための形態の一例として位置づけられる。
上記実施形態で説明した種々の構成は、例えば、以下のように改変することが可能である。以下に説明する他の実施形態はいずれも、上記実施形態と同様に、本開示の技術を実施するための形態の一例として位置づけられる。
・他の実施形態1:
水素濃度異常が検出された場合に、エアコンプレッサ33が送り出すカソードガスの圧力を低下させる以外の方法で、燃料電池スタック20のカソードに流入するカソードガスの圧力を低減させてもよい。例えば、入口弁36を調圧弁によって構成し、入口弁36の開度を調整することにより、燃料電池スタック20のカソードに流入するカソードガスの圧力を低減させてもよい。
水素濃度異常が検出された場合に、エアコンプレッサ33が送り出すカソードガスの圧力を低下させる以外の方法で、燃料電池スタック20のカソードに流入するカソードガスの圧力を低減させてもよい。例えば、入口弁36を調圧弁によって構成し、入口弁36の開度を調整することにより、燃料電池スタック20のカソードに流入するカソードガスの圧力を低減させてもよい。
・他の実施形態2:
図6のステップS55では、負荷200に含まれるヒータ210以外の装置での消費電力を高める電力制御が実行されてもよい。あるいは、ステップS55は省略されてもよい。また、ステップS55でのヒータ210の消費電力の増加量は、ステップS50でのエアコンプレッサ33での消費電力の低下量と異なっていてもよい。
図6のステップS55では、負荷200に含まれるヒータ210以外の装置での消費電力を高める電力制御が実行されてもよい。あるいは、ステップS55は省略されてもよい。また、ステップS55でのヒータ210の消費電力の増加量は、ステップS50でのエアコンプレッサ33での消費電力の低下量と異なっていてもよい。
3.その他:
上記実施形態において、ソフトウェアによって実現された機能及び処理の一部又は全部は、ハードウェアによって実現されてもよい。また、ハードウェアによって実現された機能及び処理の一部又は全部は、ソフトウェアによって実現されてもよい。ハードウェアとしては、例えば、集積回路、ディスクリート回路、または、それらの回路を組み合わせた回路モジュールなど、各種回路を用いることができる。
上記実施形態において、ソフトウェアによって実現された機能及び処理の一部又は全部は、ハードウェアによって実現されてもよい。また、ハードウェアによって実現された機能及び処理の一部又は全部は、ソフトウェアによって実現されてもよい。ハードウェアとしては、例えば、集積回路、ディスクリート回路、または、それらの回路を組み合わせた回路モジュールなど、各種回路を用いることができる。
本開示の技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須ではないと説明されているものに限らず、その技術的特徴が本明細書中に必須であると説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
10…燃料電池システム、20…燃料電池スタック、21…燃料電池セル、22…第1エンドターミナル、23…第2エンドターミナル、25…開口部、30…酸化剤ガス給排系、30A…酸化剤ガス供給系、30B…酸化剤ガス排出系、31…エアクリーナ、33…エアコンプレッサ、35…インタークーラ、36…入口弁、37…出口弁、38…外気温センサ、39…バイパス弁、50…燃料ガス給排系、50A…燃料ガス供給系、50B…燃料ガス循環系、50C…燃料ガス排出系、51…燃料ガスタンク、52…開閉弁、53…レギュレータ、54…インジェクタ、55…循環ポンプ、56…モータ、57…気液分離器、58…排気排水弁、59…圧力センサ、60…制御装置、62…制御部、64…動作制御部、66…監視部、68…記憶部、70…冷媒循環系、71…ラジエータ、72…ラジエータファン、73…スタック温度センサ、74…冷媒循環ポンプ、75…モータ、79…冷媒循環路、79A…冷媒供給路、79B…冷媒排出路、91…電圧センサ、92…電流センサ、95…FCコンバータ、96…二次電池、97…バッテリコンバータ、98…DC/ACインバータ、200…負荷、205…駆動モータ、210…ヒータ、302…カソード供給配管、306…排ガス配管、308…バイパス配管、310…マフラー、311…水素濃度センサ、501…アノード供給配管、502…アノード循環配管、504…アノード排出配管、EPL…等パワーライン、Mfa…マニホールド、Mfb…マニホールド、Mfc…マニホールド、QH…高流量領域、QL…低流量領域、SD…積層方向
Claims (3)
- 燃料電池システムであって、
酸素を含むカソードガスが供給されるカソードと、水素を含むアノードガスが供給されるアノードとを有する燃料電池スタックと、
前記カソードに対する前記カソードガスの供給および排出を制御する酸化剤ガス給排系と、
前記アノードに対する前記アノードガスの供給および排出を制御する燃料ガス給排系と、
前記カソードから排出される排ガス中の水素濃度を検出する水素濃度センサと、
前記酸化剤ガス給排系と前記燃料ガス給排系の動作を制御し、前記燃料電池スタックの発電を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記燃料電池スタックを発熱させる暖機運転を実行し、前記暖機運転の実行中に、前記水素濃度が予め定められた許容値を超える水素濃度異常を検出した場合には、前記酸化剤ガス給排系を制御して、前記カソードに流入する前記カソードガスの圧力を低下させる、燃料電池システム。 - 請求項1記載の燃料電池システムであって、さらに、
前記燃料電池システム内の電力で駆動し、空調に用いられるヒータを備え、
前記酸化剤ガス給排系は、前記燃料電池システム内の電力で駆動し、空気を取り込んで圧縮し、前記カソードガスとして送り出すエアコンプレッサを有し、
前記制御部は、前記水素濃度異常を検出したときに、前記エアコンプレッサの消費電力を低下させて、前記エアコンプレッサが送り出す前記空気の圧力を低下させることにより、前記カソードに流入する前記カソードガスの圧力を低下させるとともに、前記ヒータの消費電力を増大させる電力制御を実行する、燃料電池システム。 - 請求項2記載の燃料電池システムであって、さらに、
前記燃料電池スタックとともに電力源として機能する二次電池を備え、
前記制御部は、前記電力制御において、前記エアコンプレッサの消費電力の低下量に相当する増加量だけ、前記ヒータの消費電力を増大させる、燃料電池システム。
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JP2019236580A JP2021106102A (ja) | 2019-12-26 | 2019-12-26 | 燃料電池システム |
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JP2021106102A true JP2021106102A (ja) | 2021-07-26 |
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JP2019236580A Pending JP2021106102A (ja) | 2019-12-26 | 2019-12-26 | 燃料電池システム |
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- 2019-12-26 JP JP2019236580A patent/JP2021106102A/ja active Pending
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