JP2021105234A - 繊維織物、及び炭素繊維強化複合材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】強化繊維として炭素繊維マルチフィラメント糸条が用いられた、樹脂と一体化されて成形されたときに表面平滑性に優れる、製造が容易な繊維織物およびそれを用いた炭素繊維強化複合材料の提供。【解決手段】複数の炭素繊維マルチフィラメント糸条1が平行に配列されたシートと、複数の補助繊維糸条2とを含む繊維織物10であって、繊維織物10は、炭素繊維マルチフィラメント糸条1をたて糸、補助繊維糸条2をよこ糸として織組織されており、炭素繊維マルチフィラメント糸条1と補助繊維糸条2が互いの交点において接着されており、繊維織物10における炭素繊維マルチフィラメント糸条1の本数をN本、補助繊維糸条2の挿入密度をD本/mとしたとき、炭素繊維マルチフィラメント糸条1の少なくとも一つが、補助繊維糸条2との交点の密度YがD/N個/m以下となる面を有する、繊維織物10。【選択図】図1

Description

本発明は繊維強化複合材料用として優れた特性を発揮する、土木建築用補強や一般的な産業用途などの広範な用途に適した繊維織物およびそれを用いた炭素繊維強化複合材料に関する。
各種の強化繊維と各種のマトリックス樹脂とを複合化した繊維強化複合材料は、軽量で優れた機械特性を有するため、建造用途(建造物の補強材料等)、一般産業用途、自動車用途(自動車部材)、スポーツ用途(スポーツ用具、自転車部材等)、航空宇宙用途(航空機部材等)等に広く用いられている。
繊維強化複合材料の製造方法としては、例えば、成形型の上にマトリックス樹脂組成物が未含浸の強化繊維基材を積み重ねたものに、マトリックス樹脂組成物を含浸させ、硬化させる成形法(ハンドレイアップ法、レジントランスファーモールディング(RTM)法、バキュームアシストレジントランスファーモールディング(VaRTM)法等)が知られている。
含浸に用いられる強化繊維基材としては、たて糸とよこ糸の双方または一方に強化繊維糸条を使用し、織組織を構成する強化繊維織物が多く使用される。強化繊維織物は繊維糸条が相互に拘束しあうため基材の形態保持性に優れ、かつ簡易な設備によって生産が可能である。
特に表面平滑性または一方向の機械的特性が重視される場合はたて糸に強化繊維糸条、よこ糸に前記強化繊維糸条よりも小さい糸条繊度の補助繊維糸条を使用する一方向性補強繊維織物が使用される。
特許文献1に記載された一方向性補強繊維織物は、たて糸を炭素繊維マルチフィラメント糸条にて構成し、多数のたて糸を横に並べた状態とし、これと細くかつ織密度の低いガラス繊維からなる補助繊維糸条とを平組織で織り合わせることで、繊維強化成形品の成形に適したシート状の織物としたものである。一方向性織物は強化繊維糸条同士を織り合わせた強化繊維織物と比較し、たて糸及びよこ糸の交点における強化繊維糸条のクリンプ量が小さいため、樹脂組成物と一体化して作られる成型品の表面平滑性と機械的強度において優位である。
しかしながら、一方向性補強繊維織物においてたて糸炭素繊維マルチフィラメント糸条の配列に対しよこ糸補助繊維糸条を挿入する際、各たて糸炭素繊維マルチフィラメント糸条はよこ糸補助繊維糸条に絞られ、結果として略楕円形の断面形状となる。成型時に金型などの平面に押し付けられた際もよこ糸補助繊維糸条に拘束されるため、たて糸炭素繊維マルチフィラメント糸条の断面方向端部は中央部に対して薄くなる。成型品においてはたて糸炭素繊維マルチフィラメント糸条間の領域で樹脂量過剰となり、ひけの発生によって表面平滑性が低下する。
含浸に用いられる他の一方向性強化繊維基材としては、特許文献2に記載された炭素繊維マルチフィラメント糸条が平行に配列されたシートと無機または有機繊維糸条からなるメッシュを一体化するように編成された、ステッチング糸条からなる拘束編地で拘束された一方向性編物基材がある。一方向性編物基材においてもステッチ糸貫入部付近の領域で樹脂量過剰となり、ひけの発生によって表面平滑性が低下するという問題がある。
また、一方向性編物基材は製造に必要な多軸織機が複雑かつ大がかりとなりコスト面で不利な場合がある。また、連続したメッシュ状体を使用しなければならないため成型品における強化繊維の割合を高くすることができず、さらに成型品層間が樹脂量過剰となるため層間せん断強度や衝撃強度に劣るという問題点がある。
含浸に用いられる他の一方向性強化繊維基材としては、特許文献3に記載された炭素繊維マルチフィラメント糸条が平行に配列されたシート状物をメッシュ状体と片面で粘着固定する一方向性強化繊維複合基材がある。しかし、このような一方向性強化繊維複合基材は製造には汎用的に使用される織機とは異なる特有の設備が必要である。また、連続したメッシュ状体を使用しなければならないため成型品における強化繊維の割合を高くすることができず、さらに成型品層間が樹脂量過剰となるため層間せん断強度や衝撃強度に劣るという問題点がある。
特許3991440号公報 特開2004−209667号公報 特許03099730号公報
本発明の目的は以上のような現状に着目し、強化繊維として炭素繊維マルチフィラメント糸条が用いられた、樹脂と一体化されて成形されたときに表面平滑性に優れる、製造が容易な繊維織物およびそれを用いた炭素繊維強化複合材料を提供することにある。
本発明は、上記背景下になされたものであり、以下[1]〜[9]の態様を含む。
[1]複数の炭素繊維マルチフィラメント糸条が平行に配列されたシートと、複数の補助繊維糸条とを含む繊維織物であって、
前記繊維織物は、前記炭素繊維マルチフィラメント糸条をたて糸、前記補助繊維糸条をよこ糸として織組織されており、
前記繊維織物における前記炭素繊維マルチフィラメント糸条の本数をN本、前記補助繊維糸条の挿入密度をD本/mとしたとき、前記炭素繊維マルチフィラメント糸条の少なくとも一つが、前記補助繊維糸との交点の密度YがD/N個/m以下となる面を有する、繊維織物。
[2]両面が前記交点の密度YがD/N個/mを超える面を有する炭素繊維マルチフィラメント糸条を含む請求項1に記載の繊維織物。
[3]前記交点の密度YがD/N個/m以下となる面を有さない炭素繊維マルチフィラメント糸条が隣り合って配置されていない、[1]または[2]に記載の繊維織物。
[4]該補助繊維糸条が該たて糸炭素繊維マルチフィラメント糸条より小さい糸条繊度である、[1]から[3]のいずれか1つに記載の繊維織物。
[5]前記交点において前記炭素繊維マルチフィラメント糸条と前記補助繊維糸条とが熱可塑性ポリマーによって接着されている、[1]から[4]のいずれか1つに記載の繊維織物。
[6]前記補助繊維糸条が、熱可塑性ポリマーが付着したガラス繊維である、[1]から[5]のいずれか1つに記載の繊維織物。
[7]前記たて糸炭素繊維マルチフィラメント糸条のフィラメント数が24000〜100000本である、[1]から[6]のいずれか1つに記載の繊維織物。
[8]熱硬化性樹脂組成物と[1]から[7]のいずれか1つに記載の繊維織物とを含む炭素繊維強化複合材料。
[9]熱可塑性樹脂組成物と[1]から[7]のいずれか1つに記載の繊維織物とを含む炭素繊維強化複合材料。
本発明によれば、強化繊維として炭素繊維マルチフィラメント糸条が用いられた、樹脂と一体化されて成形されたときに表面平滑性に優れる、製造が容易な繊維織物およびそれを用いた炭素繊維強化複合材料を得られる。
本発明の一実施態様に係る繊維織物の一例を示す平面図である。 本発明の一実施態様に係る繊維織物の一例を示す断面図である。 本発明の織物の製造手段である織機の一例である。
(繊維織物)
本発明は、複数の炭素繊維マルチフィラメント糸条が平行に配列されたシートと、複数の補助繊維糸条とを含む繊維織物である(以降、一方向性補強繊維織物と称する場合がある)。炭素繊維マルチフィラメント糸条とは、炭素繊維単フィラメントが多数本、ほぼ同一方向に引き揃えられサイズ剤などにより一体化された糸条である。補助繊維糸条とは、荷重を負担することを目的とせず、荷重を負担する強化繊維を拘束し基材を一体化することを目的に基材中に導入される任意の材質からなる糸条である。前記一方向性補強繊維織物は、炭素繊維マルチフィラメント糸条をたて糸、補助繊維糸条をよこ糸として織組織されている。織組織されているとは互いに直行する複数のたて糸と複数のよこ糸が厚み方向の位置を入れ替え、上下に組み合されて平面を構成し一体化されていることを指す。炭素繊維マルチフィラメント糸条と補助繊維糸条とが互いの交点において接着されていることが好ましい。交点とは、炭素繊維マルチフィラメント糸条と補助繊維糸条とが接触している部分であり、面や線であってもよい。一方向性補強繊維織物における炭素繊維マルチフィラメント糸条の本数をN本、補助繊維糸条の挿入密度をD本/mとしたとき、炭素繊維マルチフィラメント糸条の少なくとも一つが、前記補助繊維糸との交点の密度YがD/N個/m以下となる面を有する。補助繊維糸条の挿入密度Dは、20〜500本/mであることが好ましい。炭素繊維マルチフィラメント糸条は、繊維方向と平行な2つの面を有し、その内1つの面上の補助繊維糸条との交点の密度YがD/N個/m以下となることで平滑性に優れる。方向性補強繊維織物は、強度及び外観の観点から、さらに両面が前記交点の密度YがD/N個/mを超える面を有する炭素繊維マルチフィラメント糸条を含むことが好ましい。交点の密度Yは、単位長さ当たりの炭素繊維マルチフィラメント糸条の一面と補助繊維糸条とが接触している部分を数える。Yは、D/(10×N)個/m以下が好ましく、0個/mであることがより好ましい。つまり、一方向性補強繊維織物は、一方の面に補助繊維糸条との交点を有しない炭素繊維マルチフィラメント糸条を含むことが好ましい。例えば、補助繊維糸条2の相互間隔が10mmとすると、図1の1bの炭素繊維マルチフィラメント糸条では、10の面、11の面ともに交点の密度が50個/mとなり、1aの炭素繊維マルチフィラメント糸条では、10の面では交点の密度が100個/m、11の面では交点の密度が0個/mとなる。
(炭素繊維マルチフィラメント糸条)
本発明で強化繊維として使用する炭素繊維マルチフィラメント糸条は長手方向に狭い範囲の両面においてよこ糸補助繊維糸条との交点を有する部位を除くと、よこ糸補助繊維糸条に絞られることがないため自由な断面形状をとることができる。このため、交点の密度数YがD/N個/m以下となる面が金型などの平滑面に接した際、炭素繊維マルチフィラメント糸条を構成する炭素繊維単フィラメントが平滑面に沿って広がる略台形の断面形状をとる。このとき、隣接する炭素繊維マルチフィラメント糸条との間に空隙ができないため、樹脂と一体化して成型品にした際にヒケが抑制され優れた表面平滑性を発揮する。糸条繊度が高いほど交点の密度数YがD/N個/m以下となる面が平滑面と接するたて糸炭素繊維マルチフィラメント糸条の断面形状が略台形になりやすく、より高い表面平滑性の成型品を得ることができる。糸条フィラメント数は、成形品の平滑性の観点から24000本以上が好ましく、40000本以上がより好ましい。一方、生産性の観点から100000本以下が好ましく、60000本以下がより好ましい。糸条繊度は、成形品の平滑性の観点から1600mg/m以上が好ましく、3000mg/mがより好ましい。一方、生産性の観点から、7500mg/m以下が好ましく、4500mg/m以下がより好ましい。
炭素繊維マルチフィラメント糸条を構成するフィラメント径は生産性向上のため、4μm以上が好ましく、6μm以上がより好ましい。内部と外周部が均質な高い物性を発現するため16μm以下が好ましく、14μm以下がより好ましい。さらに、炭素繊維の引張強度は建材補強や産業用途部材では負担可能な荷重が重要なため3000MPa以上が好ましく、4000MPa以上がより好ましい。また高強度炭素繊維は高価格となるため費用対効果の観点から8000以下が好ましく、7000MPa以下がより好ましい。。本発明において、炭素繊維の引張強度とは、JIS R 7601に準拠して測定したストランド強度を指す。
炭素繊維マルチフィラメント糸条の集束性は、交点の密度数YがD/N個/m以下となる面が平滑面と接するたて糸炭素繊維マルチフィラメント糸条の断面形状が適切に変形し、成型品において高い表面平滑性を得ることができ、また毛羽の発生による製織性や強度が向上することから、フックドロップ値で100mm以上が好ましく、500mm以上がより好ましい。一方で、糸条としての取り扱いが容易となり製織性が向上することから、フックドロップ値で1000mm以下が好ましく、900mm以下がより好ましい。ここでフックドロップ値とは炭素繊維マルチフィラメント糸条の集束性に関係する要素で、鉛直方向に配された糸条に合計重量30gのフック(半径5mm、金属製ワイヤー直径1mm)および錘を差し入れた状態で落下させた際の落下距離として測定される。
本発明に用いる炭素繊維には、エポキシ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、アクリレート基およびメタクリレート基から選ばれる1種類以上の官能基を持つ物質を0.01〜5質量%付着させ、繊維束の収束性や、炭素繊維強化複合材料としたときの炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性を改善するサイズ剤として用いることができる。
(よこ糸補助繊維糸条)
本発明に用いるよこ糸補助繊維糸条はガラス繊維や炭素繊維、バサルト繊維などの無機繊維、ポリアラミド繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維などの有機繊維が使用でき、種類に関しては特に限定はない。
よこ糸補助繊維糸条は、クリンプが小さくなり、強度向上することから、糸条繊度は2mg/m以上が好ましく、5mg/m以上がより好ましく、10mg/m以上がさらに好ましい。また、製織や取扱いに際して切断しにくいため、2000mg/m以下が好ましく、200mg/m以下がより好ましく、50mg/m以下がさらに好ましい。
また、収束性の観点から、よこ糸補助繊維糸条の糸条繊度はたて糸炭素繊維マルチフィラメント糸条の糸条繊度に対し、0.01%以上が好ましく、0.05%以上がより好ましく、0.1%以上がさらに好ましい。一方、平滑性の観点から100%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、1%以下がさらに好ましい。
たて糸炭素繊維マルチフィラメント糸条と、よこ糸補助繊維糸条とを接着するため、熱可塑性ポリマーが連続的に付着したよこ糸補助繊維糸条を使用することができる。使用される熱可塑性ポリマーとしては、ナイロン、共重合ナイロン、ポリエステル、塩化ビニリデン、塩化ビニル、ポリウレタンなどである。中でも、共重合ナイロン、例えば、ナイロン6、66および610の共重合ナイロン、ナイロン6、12、66および610の共重合ナイロンは熱硬化性樹脂との接着が良好であるので好ましい。取り扱い性、基材の形態保持性、耐環境性の観点から、熱可塑性ポリマーが付着したガラス繊維であることが好ましい。熱可塑性ポリマーをよこ糸補助繊維糸条に付着する方法は合撚、カバリング、引き揃えなど何ら限定するものではない。
(繊維織物の態様)
本発明の繊維織物は、たて糸である多数の炭素繊維マルチフィラメント糸条とよこ糸補助繊維糸条からなる。たて糸炭素繊維マルチフィラメント糸条とよこ糸補助繊維糸条を互いの交点において接着する手段として熱可塑性ポリマーの使用が挙げられるが、その他の手段であってもよい。
熱可塑性ポリマーの供給手段は、熱可塑性ポリマーが連続的に付着したよこ糸補助繊維糸条の使用が好ましいが、熱可塑性ポリマーが連続的に付着した炭素繊維マルチフィラメント糸条の使用、炭素繊維マルチフィラメント糸条シートへのスプレーによる熱可塑性ポリマーの塗布など何ら限定するものではない。
図1に示すように、一部のたて糸炭素繊維マルチフィラメント糸条1aは、一方の面11において交点の密度YがD/N個/m以下となる。本態様においては、たて糸炭素繊維マルチフィラメント糸条1aは、片面のみ(面10)でよこ糸補助繊維糸条2と接している。該たて糸炭素繊維マルチフィラメント糸条1aの長手方向に狭い範囲の両面においてよこ糸補助繊維糸条との交点を有する部位以外はよこ糸補助繊維糸条2から絞られることがないため、よこ糸補助繊維糸条2と接しない面が広がる断面形状をとることが可能である。また、該たて糸炭素繊維マルチフィラメント糸条1aはよこ糸補助繊維糸条2に両側から拘束されることによる形態保持はされないが、面10においてよこ糸補助繊維糸条2と接着しているため、一体の基材として保持される。
図2に示すように、交点の密度YがD/N個/m以下となる面を有さないたて糸炭素繊維マルチフィラメント糸条1bはよこ糸補助繊維糸条2から絞られて略楕円形の断面形状となるため、金型などの平滑面と接する場合、平滑面に対して隙間が生じる。本態様においては、たて糸炭素繊維マルチフィラメント糸条1bはよこ糸補助繊維糸条2と両面で接している。
一方、交点の密度YがD/N個/m以下となる面が金型などの平滑面と接する場合、たて糸炭素繊維マルチフィラメント糸条を構成する炭素繊維フィラメントは平滑面に沿うように移動する。
よこ糸補助繊維糸条と片面のみで接するたて糸炭素繊維マルチフィラメント糸条1aがよこ糸補助繊維糸条2と両面で接するたて糸炭素繊維マルチフィラメント糸条1bと隣り合って配置されている場合、後者と平滑面の隙間に前者を構成する炭素繊維フィラメントが入り込み、略台形形状をとる。
交点の密度数YがD/N個/m以下となる面を有さないたて糸炭素繊維マルチフィラメント糸条1b同士が隣り合って配置されることがなければたて糸炭素繊維マルチフィラメント糸条間にギャップが存在せず、樹脂組成物と一体化されたときに樹脂量過剰に起因するヒケが生じないため、表面平滑性に優れた成型品が得られる。
一部のたて糸炭素繊維マルチフィラメント糸条が交点の密度YがD/N個/m以下となる面を有し、かつ交点の密度YがD/N個/m以下となる面を有さない炭素繊維マルチフィラメント糸条が隣り合って配置されていない織組織の例として、例えばあるよこ糸を1本目、続いて挿入されるよこ糸から2本目、3本目と数えるとき、奇数本目のよこ糸がたて糸に対して「浮き、沈み、浮き、浮き」を繰り返し、偶数本目のよこ糸がたて糸に対して「浮き、浮き、浮き、沈み」を繰り返す場合がある。4本周期のたて糸の繰り返しにおける1本目と3本目はよこ糸が常に浮き側で接し、かつ両側でよこ糸と接する2本目と4本目のたて糸は隣り合っていないため、前記の構造を満たす。
同様の構造は、三原織など通常の織物において適用される織組織において、あらかじめ存在しているたて糸を交点の密度YがD/N以下となる面を有しないたて糸炭素繊維マルチフィラメント糸条とし、その間隔にそれぞれ1本以上の交点の密度YがD/N個/m以下となる面を有するたて糸炭素繊維マルチフィラメント糸条を挿入した織組織でも得られる。織組織についてはこれらに限定されるものではない。
(繊維織物の製造方法)
図3を用いて一方向性補強繊維織物の製造方法を説明する。本発明の繊維織物は通常の織物製造装置100により製造することができる。複数の炭素繊維マルチフィラメント糸条1がたて糸として、たて糸供給クリ−ル104からよこ取りで供給され平行するように配列されることでたて糸炭素繊維マルチフィラメント糸条シート3を形成する。個々の炭素繊維マルチフィラメント糸条は目的とする織組織に応じ、製織部129のヘルド114に設けられたメールに通され、所定のパターンでヘルド114が上下することによってシートが開口し、よこ糸挿入手段128によってよこ糸補助繊維糸条2が挿入される。よこ糸挿入手段128としては、レピア、シャトル、エアージェット、ウォータージェットなど種々の手段があり、またこれらに限定されるものではない。
よこ糸補助繊維糸条の挿入密度は低過ぎる場合は基材としての形態保持性が低くなるが、高過ぎると最表面のよこ糸に起因する表面平滑性の低下が生じる。このためよこ糸補助繊維糸条は2〜50mmピッチで挿入されることが好ましい。
よこ糸補助繊維糸条の挿入によって一方向性補強繊維織物となったシート状物に対し、加熱がされることによってよこ糸補助繊維糸条に連続的に付着している熱可塑性ポリマーが融解することによってたて糸炭素繊維マルチフィラメント糸条とよこ糸補助繊維糸条が互いの交点において接着される。
加熱手段としては加熱ロールなどの接触的な手段や赤外線ヒーターなどの非接触的な手段があり、またこれらに限定されるものではない。
(成型)
本発明の繊維織物に樹脂を含浸させて炭素繊維強化複合材料を得ることができる。含浸させる樹脂として特に制限は無いが、熱硬化性樹脂組成物または、熱可塑性樹脂組成物であり、熱硬化性樹脂としては特に制限はないが、従来RTM成形やVaRTM成形で使用されている、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シアネートエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂などが挙げられる。また、熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ABS樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル、ポリアミド6等のポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルスルフォン、ポリサルフォン、ポリエーテルイミド、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンなどを使用できる。また、これら各樹脂の変性体を用いてもよいし、複数種の樹脂をブレンドして用いてもよい。また、熱可塑性樹脂は、各種添加剤、フィラー、着色剤等を含んでいてもよい。
本発明の繊維織物を利用した炭素繊維強化複合材料の製造方法としては、前記一方向性補強繊維織物を成形型内に配置し、前記一方向性補強繊維織物をバギングフィルムで覆い、前記成形型と前記バギングフィルムの間をシールしてキャビティを形成し、前記キャビティ内を減圧して、液状樹脂組成物を吸引・注入するVaRTM法を用いることができる。VaRTM法に用いるバギングフィルム、シール材には特に限定は無く、使用するマトリクス樹脂の種類に応じて耐熱性を有する材質などを選ぶ事ができる。また、必要に応じて樹脂の拡散を促進するフローメディアを用いることができる。樹脂の注入方式としては、成形品の任意の地点から同心円状に樹脂を拡散・含浸させる多点注入方式や、成形品の任意の辺から一方向に平行に樹脂を拡散・含浸させる辺注入方式など必要に応じた方式をとることができる。
また、本発明の繊維織物を利用した別の炭素繊維強化複合材料の製造方法としては、前記一方向性補強繊維織物を分割成形型内に配置し、分割型を閉じてキャビティを形成し、前記キャビティ内に液状樹脂組成物を注入させるRTM法やハイサイクルRTM法、ハイプレッシャーRTM法を用いることができる。
実施例を以下に説明する。
(実施例1)
炭素繊維マルチフィラメント糸条(三菱ケミカル株式会社製、パイロフィル(製品名))からなる50K(フィラメント本数:50000本)のマルチフィラメント糸をたて糸に用い、又、22.5texのガラス繊維(ユニチカグラスファイバー社製)糸条に熱融着繊維(東レ株式会社製)を付着させた補助繊維をよこ糸補助繊維糸として、4本周期のたて糸に対し、よこ糸が交互に「浮き、沈み、浮き、浮き」と「浮き、浮き、浮き、沈み」を繰り返す織組織で製織を行い、90℃の加熱ロールに対して接触させることでたて糸炭素繊維マルチフィラメント糸条とよこ糸補助繊維糸条を互いの交点において接着させ、一方向性補強繊維織物を製造した。
上記の一方向性補強繊維織物から縦方向が炭素繊維マルチフィラメント糸条の配向方向と一致するように縦400mm、横160mmの長方形形状のカットシートを4枚切り出した。一部のたて糸炭素繊維マルチフィラメント糸条がよこ糸補助繊維糸条と接しない面が下になるように1枚目を配置し、同じ向きで2枚目をその上に積層し、上下の向きが逆になるように3枚目をその上に積層し、3枚目と同じ向きで4枚目をその上に積層し、計4枚からなる積層体を得た。得られた積層体を離形剤が塗された成形型の上に配置し、上面をバギングフィルム(AIRTECH社製、製品名:ライトロンWL8400)で覆いシーラントテープ(RICHMOND社製、製品名:RS200)によって封止した。繊維配向と直角な向かい合い二辺のそれぞれ中央には樹脂注入口および真空ポンプ接続口として内径4mmのポリウレタン製チューブを配置した。
前記真空ポンプ接続口から真空引きを行い、前記樹脂注入口より樹脂組成物(ナガセケムテックス株式会社製のエポキシ樹脂XNR6815と硬化剤XNH6815を100:27の配合、樹脂粘度260mPa・s)を流し込み常温環境下でのVaRTM成型を実施した。その後、硬化条件24℃24時間、ポストキュア80℃2時間で含浸硬化を行った。
これによって両面に一部のたて糸炭素繊維マルチフィラメント糸条がよこ糸補助繊維糸条と接しない面が存在する炭素繊維強化複合材料が得られた。
得られた炭素繊維強化複合材料パネルの表面粗さの指標とするため、表面粗さ測定機サーフコム(株式会社東京精密製)を使用して炭素繊維マルチフィラメント糸条シートのトウ間にある樹脂量過剰領域でのヒケ深さの測定を行った。繊維配向と垂直方向を評価軸、測定距離30mmの範囲で最大谷深さRvを測定し、炭素繊維マルチフィラメント糸条シートのトウ間にある樹脂量過剰領域でのヒケ深さとした。測定子がよこ糸補助繊維糸条と接しない条件で任意に選択した5箇所のヒケ深さの平均値は0.93μmであった。
(比較例1)
製織における織組織を平織とした以外は、実施例1と同様にして一方向性補強繊維織物を得た。得られた一方向性補強繊維織物を使用し、実施例1と同様にして炭素繊維強化複合材料パネルを得た。得られた炭素繊維強化複合材料パネルのヒケ深さの平均値は1.44μmであった。
以上より、本発明で得られるたて糸炭素繊維マルチフィラメント糸条とよこ糸補助繊維糸条が互いの交点において接着されており、一方向性補強繊維織物における炭素繊維マルチフィラメント糸条の本数をN本、補助繊維糸条の挿入密度をD本/mとしたとき、前記炭素繊維マルチフィラメント糸条の少なくとも一つが、前記交点の密度YがD/N個/m以下となる面を有する一方向性補強繊維織物を用いることにより、表面平滑性において優れた成型品を得ることができる。土木建築用補強や一般的な産業用途などの広範な用途に適し、本発明は工業上極めて有用である。
1…炭素繊維マルチフィラメント糸条
2…補助繊維糸条
3…たて糸炭素繊維マルチフィラメント糸条シート
4…繊維織物
10…繊維織物(上面図)
11…繊維織物(下面図)
100…織物製造装置
104…たて糸供給クリール
114…ヘルド
116…筬
118…加熱ロール
126…巻取ロール
128…よこ糸挿入手段
129…製織部

Claims (9)

  1. 複数の炭素繊維マルチフィラメント糸条が平行に配列されたシートと、複数の補助繊維糸条とを含む繊維織物であって、
    前記繊維織物は、前記炭素繊維マルチフィラメント糸条をたて糸、前記補助繊維糸条をよこ糸として織組織されており、
    前記繊維織物における前記炭素繊維マルチフィラメント糸条の本数をN本、前記補助繊維糸条の挿入密度をD本/mとしたとき、前記炭素繊維マルチフィラメント糸条の少なくとも一つが、前記補助繊維糸条との交点の密度YがD/N個/m以下となる面を有する、繊維織物。
  2. 両面が前記交点の密度YがD/N個/mを超える面を有する炭素繊維マルチフィラメント糸条を含む請求項1に記載の繊維織物。
  3. 前記交点の密度YがD/N個/m以下となる面を有さない炭素繊維マルチフィラメント糸条が隣り合って配置されていない、請求項1または2に記載の繊維織物。
  4. 該補助繊維糸条が該たて糸炭素繊維マルチフィラメント糸条より小さい糸条繊度である、請求項1から3のいずれか1項に記載の繊維織物。
  5. 前記交点において前記炭素繊維マルチフィラメント糸条と前記補助繊維糸条とが熱可塑性ポリマーによって接着されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の繊維織物。
  6. 前記補助繊維糸条が、熱可塑性ポリマーが付着したガラス繊維である、請求項1から5のいずれか1項に記載の繊維織物。
  7. 前記たて糸炭素繊維マルチフィラメント糸条のフィラメント数が24000〜100000本である、請求項1から6のいずれか1項に記載の繊維織物。
  8. 熱硬化性樹脂組成物と請求項1から7のいずれか1項に記載の繊維織物とを含む炭素繊維強化複合材料。
  9. 熱可塑性樹脂組成物と請求項1から7のいずれか1項に記載の繊維織物とを含む炭素繊維強化複合材料。
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