JP2021104939A - ラメルテオンを含む錠剤および医薬組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、コポリビドンを含まなくても安定性に優れたラメルテオンフィルムコーティング錠剤を提供することを目的とする。また、本発明は、安定性がより一層優れた、ラメルテオンを含む医薬組成物を提供することも目的とする。【解決手段】本発明に係るフィルムコーティング錠剤は、素錠、およびその表面にフィルムコーティング層を有し、素錠中にラメルテオンを含み、フィルムコーティング層にヒドロキシプロピルセルロースを含むことを特徴とする。また、本発明に係る医薬組成物は、ラメルテオンおよびポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体を含むことを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、ラメルテオンを含む安定性に優れた錠剤および医薬組成物に関するものである。
概日リズムの調節を行う役割を担い、睡眠ホルモンとも呼ばれるメラトニンの受容体のアゴニストであるラメルテオン(化学名:N−{2−[(8S)−1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル]エチル}プロパンアミド)は、不眠症における入眠困難の改善のために用いられる薬剤の有効成分として用いられている。
有効成分としてラメルテオンを含む製剤はフィルムコーティング錠剤である。錠剤を被覆するフィルムコーティング層は、一般的に、皮膜形成剤であるヒドロキシプロピルメチルセルロースの他、皮膜に可塑性を付与してフィルムコーティング層の強度を高めるために可塑剤を含む。かかる可塑剤としてはポリエチレングリコールが一般的に用いられる。
しかし特許文献1によれば、可塑剤としてポリエチレングリコールを含むフィルムコーティング層で被覆されたラメルテオン錠剤では、ラメルテオンの安定性が損なわれることが示されている。そこで特許文献1に記載の発明では、ラメルテオンを含む素錠を、可塑剤としてコポリビドンを含むフィルムコーティング層で被覆している。
なお、特許文献2に記載のラメルテオン錠剤では、有効成分の溶出挙動のばらつきを抑制すべく、素錠中に滑沢剤としてステアリン酸マグネシウムと、結合剤として低粘度で特定量のヒドロキシプロピルセルロースが配合されているが、特許文献2の実施例で製造されているフィルムコーティング錠剤のフィルムコーティング層に配合されている可塑剤はやはりコポリビドンである。
特許第3633895号公報 特許第5220408号公報
上述したように、従来、有効成分としてラメルテオンを含むフィルムコーティング錠剤は開発されており、そのフィルムコーティング層の可塑剤としてはコポリビドンが使用されている。
コポリビドンは、以下の構造式の通り1−ビニル−2−ピロリドンと酢酸ビニルの共重合体であり、比較的特殊なポリマーであるため、高価である。
Figure 2021104939
そこで本発明は、コポリビドンを含まなくても安定性に優れたラメルテオンフィルムコーティング錠剤を提供することを目的とする。
また、本発明は、安定性がより一層優れた、ラメルテオンを含む医薬組成物を提供することも目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、フィルムコーティング層の可塑剤として安価なヒドロキシプロピルセルロースを用いても、安定性に優れたラメルテオンフィルムコーティング錠剤が得られること、また、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体を用いれば安定性により一層優れたラメルテオン医薬組成物が得られることを見出して、本発明を完成した。
以下、本発明を示す。
[1] 素錠、およびその表面にフィルムコーティング層を有し、
素錠中にラメルテオンを含み、
フィルムコーティング層にヒドロキシプロピルセルロースを含むことを特徴とするフィルムコーティング錠剤。
[2] フィルムコーティング層におけるヒドロキシプロピルセルロースの割合が5質量%以上、20質量%以下である上記[1]に記載のフィルムコーティング錠剤。
[3] フィルムコーティング層が50質量%以上、90質量%以下のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む上記[1]または[2]に記載のフィルムコーティング錠剤。
[4] ラメルテオンおよびポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体を含むことを特徴とする医薬組成物。
[5] 医薬組成物全体に対して0.1質量%以上、10質量%以下のポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体を含む上記[4]に記載の医薬組成物。
[6] 素錠、およびその表面にフィルムコーティング層を有し、
素錠中にラメルテオンを含み、
フィルムコーティング層にポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体を含む上記[4]または[5]に記載の医薬組成物。
[7] フィルムコーティング層が50質量%以上、99質量%以下のポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体を含む上記[6]に記載の医薬組成物。
[8] ラメルテオンを含む素錠を、ヒドロキシプロピルセルロースを含むフィルムコーティング層で被覆することを特徴とするラメルテオンの安定化方法。
[9] ラメルテオンを含む医薬組成物にポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体を配合することを特徴とするラメルテオンの安定化方法。
本発明に係るフィルムコーティング錠剤および医薬組成物は、有効成分であるラメルテオンの安定性が高い。その一方で、コポリビドンなど特殊で高価な可塑剤を用いる必要が無い。また、本発明に係るラメルテオン錠剤および医薬組成物は、特に有効成分であるラメルテオンの光安定性が極めて高い。よって本発明に係る錠剤および医薬組成物は、入眠困難改善作用を示すラメルテオンを含むフィルムコーティング錠剤および医薬組成物の一つの形態として、産業上非常に優れている。
本発明に係るフィルムコーティング錠剤は、素錠、およびその表面にフィルムコーティング層を有し、素錠中に有効成分としてラメルテオンを含み、フィルムコーティング層にヒドロキシプロピルセルロースを含む。
ラメルテオンは、化学名がN−{2−[(8S)−1,6,7,8−テトラヒドロ−2H−インデノ[5,4−b]フラン−8−イル]エチル}プロパンアミドであり、以下の化学構造を有するメラトニン受容体アゴニストである。メラトニンは概日リズムの調節を行う役割を担い、生体を休息に適した状態に導き、眠気を感じさせるようにする睡眠ホルモンとも呼ばれる化合物であるので、メラトニン受容体アゴニストにより、入眠状態が改善される。よって、有効成分としてラメルテオンを含む薬剤は、睡眠導入剤、不眠症治療剤、睡眠改善剤などとして使用できる。
Figure 2021104939
ラメルテオンの融点は115.9℃であり、常温で結晶、または結晶性の粉末の状態にある。原料であるラメルテオンの大きさは、適宜調整すればよい。例えば平均粒子径を5μm以上、20μmとすることができる。よって、ラメルテオンは、事前に粉砕することが好ましい。なお、本開示において平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定するものとする。レーザー回折式粒度分布測定装置により測定される平均粒子径は、体積平均粒子径や重量平均粒子径など特に制限されないが、体積平均粒子径が好ましい。
本発明に係るフィルムコーティング錠剤におけるラメルテオンの量や割合は、ラメルテオンがその作用効果を発揮可能な範囲で適宜調整すればよい。例えば、1錠あたりのラメルテオンの量としては、1mg以上、20mg以下とすることができ、5mg以上、15mg以下が好ましい。また、錠剤におけるラメルテオンの割合としては、1質量%以上、20質量%以下が好ましく、2質量%以上、10質量%以下がより好ましい。
素錠中には、通常、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤などが配合される。賦形剤とは、製剤の嵩を増して成形し易くしたり服用し易くするための成分であり、かかる目的のため、素錠中では最も配合量が多い。素錠100質量%における賦形剤の割合は、例えば、70質量%以上、97質量%以下とすることができる。賦形剤としては、例えば、味に問題がないことの他、崩壊性や有効成分の溶出性も考慮し、乳糖、デンプン、結晶セルロース、D−マンニトール、白糖、リン酸カルシウム、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、メントール、ブドウ糖などを用いることができる。賦形剤としての乳糖は、無水物であっても水和物であってもよい。また、デンプンとしては、トウモロコシデンプン、部分アルファー化デンプン、バレイショデンプン等が挙げられる。
崩壊剤は、水を吸収して製剤を崩壊させ、有効成分の放出を促進する成分をいう。崩壊剤としては、例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロース(以下、カルボキシメチルセルロースを「カルメロース」という場合がある)、カルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等のヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、バレイショデンプン等を用いることができる。素錠100質量%における崩壊剤の割合は、例えば、1質量%以上、30質量%以下とすることができる。
結合剤は、結合力と粘着力を有し、素錠内で各成分のバインダーとなる成分をいう。結合剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、α化デンプン、ショ糖、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、結晶セルロース等を用いることができる。素錠100質量%における結合剤の割合は、例えば、1質量%以上、10質量%以下とすることができる。
滑沢剤は、粉体表面に付着して粉体間の付着力を弱めて粉体の流動性を高め、また、粉体の装置への付着を防ぐことにより、打錠を良好に行えるようにする成分である。滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、カオリン、二酸化チタン、二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、フマル酸ステアリルナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル等を用いることができる。素錠100質量%における滑沢剤の割合は、例えば、0.1質量%以上、2質量%以下とすることができる。
素錠は、常法により製造することができる。例えば、結合剤と滑沢剤以外の素錠成分を混合し、造粒装置を使って結合剤を水に溶解した水溶液をスプレー噴霧しながら乾燥させて、原料よりも大きな顆粒を調製する。得られた顆粒に滑沢剤を混合し、打錠装置を使って打錠すればよい。
本発明に係るフィルムコーティング錠剤は、ヒドロキシプロピルセルロースを含むフィルムコーティング層を有する。
錠剤のフィルムコーティング層は、皮膜形成剤として、一般的に、ヒプロメロース、イーストラップ、シェラック、ツェイン等を含む。フィルムコーティング層100質量%における皮膜形成剤の割合は、例えば、50質量%以上、90質量%以下とすることができる。
錠剤を被覆するフィルムコーティング層は、皮膜に可塑性を付与してフィルムコーティング層の強度を高めるために可塑剤を含む。本発明に係るフィルムコーティング錠剤は、フィルムコーティング層の可塑剤としてヒドロキシプロピルセルロースを含み、可塑剤として実質的にヒドロキシプロピルセルロースのみを含むことが好ましく、ポリエチレングリコールおよびコポリビドンを含まないことが好ましい。ここで、実質的にヒドロキシプロピルセルロースのみを含むとは、フィルムコーティング層の成分分析により可塑剤としてヒドロキシプロピルセルロース以外の成分が検出されないか、或いはたとえフィルムコーティング層が可塑剤としてヒドロキシプロピルセルロース以外の成分を含んでいても、その成分が意図的に配合された化合物ではなく、不可避的不純物や不可避的混入物であることをいう。また、フィルムコーティング層がポリエチレングリコールおよびコポリビドンを含まないとは、これらを意図的に配合せず、たとえ極微量含む場合であっても、これらが不可避的不純物や不可避的混入物であるか、或いはこれらの量が検出限界以下であることをいう。ポリエチレングリコールは、有効成分であるラメルテオンの安定性を損なうおそれがある。また、コポリビドンは比較的高価であり、錠剤の製造コストを上げてしまう。それに対してヒドロキシプロピルセルロースは安価であり、且つラメルテオンの安定性を損なわない。
フィルムコーティング層におけるヒドロキシプロピルセルロースの割合としては、5質量%以上、20質量%以下が好ましい。当該割合がこの範囲に含まれれば、可塑剤としての作用がより確実に発揮される。当該割合としては、15質量%以下がより好ましい。
また、錠剤全体におけるヒドロキシプロピルセルロースの割合としては、0.01質量%以上、15質量%以下が好ましい。上記割合としては、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上がより更に好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がより更に好ましい。
フィルムコーティング層には、遮光剤を配合してもよい。フィルムコーティング層を着色することにより、有効成分であるラメルテオンの安定性がより一層向上する可能性がある。遮光剤としては酸化チタン、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、酸化亜鉛などの金属酸化物;タルク;硫酸バリウム等が挙げられ、金属酸化物が好ましく、酸化チタンおよび黄色三二酸化鉄がより好ましく、酸化チタンがより更に好ましい。
本発明に係るフィルムコーティング層に添加するコーティング剤として、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、マクロゴール300、マクロゴール400、マクロゴール600、マクロゴール1500、マクロゴール1540、マクロゴール4000、マクロゴール6000等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明に係るフィルムコーティング錠剤は、常法により製造することができる。例えば、結合剤を精製水に溶解し、結合剤と滑沢剤以外の素錠成分を混合し、転動させつつ結合剤水溶液を噴霧して凝集させることにより造粒して顆粒化する。得られた顆粒と滑沢剤を混合し、打錠機により打錠することにより素錠を得る。次に、精製水とフィルムコーティング成分を混合してコーティング液を調製し、コーティング装置を用い、素錠をコーティング装置に導入し、予熱した後、素錠を回転させながらコーティング液を噴霧してコーティングする。
本発明に係るフィルムコーティング錠剤の大きさは、有効成分であるラメルテオン等の配合量などに応じて適宜調整すればよい。例えば、形状は経口で服用し易いレンズ形や円盤形などとし、その直径を3mm以上、10mm以下、最大厚さを2mm以上、5mm以下とすることができる。
本発明に係るフィルムコーティング錠剤は、有効成分としてラメルテオンを含有し、不眠症などにおける入眠困難を改善することができる。その投与量は、患者の症状、その軽重、性別、年齢などに応じて適宜調整すればよいが、例えば、就寝前の1日1回、本発明に係るフィルムコーティング錠剤を経口投与することができる。
本発明に係るラメルテオン医薬組成物は、有効成分としてラメルテオンを含み、且つポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体を含む。
ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体は、主鎖であるポリビニルアルコールの側鎖水酸基に、アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体がグラフト重合しているものである。以下、当該共重合体を「PVA・AA・MMA共重合体」と略記する場合がある。当PVA・AA・MMA共重合体におけるポリビニルアルコール、アクリル酸およびメタクリル酸メチルの割合は適宜調整すればよいが、例えば、アクリル酸に対するポリビニルアルコールの平均質量比を20質量倍以上、50質量倍以下、メタクリル酸メチルの平均質量比を1質量倍以上、20質量倍以下とすることができる。PVA・AA・MMA共重合体の平均重合度は、200以上、1000以下とすることができる。
PVA・AA・MMA共重合体は、錠剤の結合剤として用いてもよいし、コーティング錠のコーティング層のコーティング剤として用いてもよい。PVA・AA・MMA共重合体は、緻密で強靭なマトリックスを形成し、錠剤を高硬度化することができ、また、コーティング層成分として水蒸気や酸素などに対するバリア効果を示し、他の成分と化学反応を起こし難いと考えられる。これら作用により、ラメルテオンの安定性を改善できると考えられる。
PVA・AA・MMA共重合体の使用量は適宜調整すればよいが、例えば錠剤全体に対して1質量%以上、10質量%以下とすることができる。PVA・AA・MMA共重合体をフィルムコーティング錠剤のフィルムコーティング層に配合する場合には、フィルムコーティング層に対するPVA・AA・MMA共重合体の割合を50質量%以上、90質量%以下とすることができる。
ラメルテオンおよびPVA・AA・MMA共重合体を含む一般的錠剤の構成などについては、上記の本発明に係るフィルムコーティング錠剤の素錠の構成を援用することができ、ラメルテオンおよびPVA・AA・MMA共重合体を含むフィルムコーティング錠剤の構成などについては、上記の本発明に係るフィルムコーティング錠剤の構成を援用することができる。
本発明者らは、ラメルテオンを含む素錠を、ヒドロキシプロピルセルロースを含むフィルムコーティング層で被覆することによりラメルテオンの安定性を効果的に維持できることを見出した。即ち、本発明は、ラメルテオンを含む素錠を、ヒドロキシプロピルセルロースを含むフィルムコーティング層で被覆することを特徴とするラメルテオンの安定化方法にも関する。
また、本発明者らは、ラメルテオンを含む医薬組成物にPVA・AA・MMA共重合体を配合することにより、ラメルテオンの安定性をより一層改善できることを見出した。即ち、本発明は、ラメルテオンを含む医薬組成物にポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体を配合することを特徴とするラメルテオンの安定化方法にも関する。
上記の本発明方法において、錠剤の構成などの説明や定義などは、上記の本発明に係るフィルムコーティング錠剤および一般的錠剤の説明や定義などを援用することができる。
以上の通り、本発明により、製剤中のラメルテオンを安定化することができる。特に、製剤の保存中におけるラメルテオンのアルキルフェノン体、RRT0.51、RRT0.60、endo−オレフィン体−1等の増加を抑制することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1
表1に示す質量比組成で、ラメルテオン、乳糖水和物、およびトウモロコシデンプンを混合し、ヒドロキシプロピルセルロースを精製水に溶解した溶液を使って造粒し、乾燥および整粒することでラメルテオン整粒末を得た。なお、表1中の数値の単位は「mg」である。当該ラメルテオン整粒末に、滑沢剤としてステアリン酸カルシウムを混合して打錠用粉末を得、打錠してラメルテオン8mgを含む素錠を得た。
別途、表1に示す質量比組成で、ヒプロメロースとヒドロキシプロピルセルロースを精製水の一部に溶解し、当該溶液にタルクを分散させた。残りの精製水に色素を分散させ、前記分散液に混和することによりコーティング液を調製した。
コーティング液を使って素錠をフィルムコーティングすることにより、ラメルテオン錠剤を得た。
実施例2
表1に示す質量比組成で、衝撃式粉砕機で粉砕したラメルテオン、乳糖水和物、およびトウモロコシデンプンを流動層造粒機に入れて混合し、ヒドロキシプロピルセルロースを精製水に溶解した溶液を使って造粒し、乾燥、および径1575μmのスクリーンに通して整粒することでラメルテオン整粒末を得た。当該ラメルテオン整粒末にトウモロコシデンプンを混合し、更に滑沢剤としてステアリン酸マグネシウムを混合して打錠用粉末を得、ロータリー式打錠機を用いて打錠してラメルテオン8mgを含む素錠を得た。
別途、表1に示す質量比組成で、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体を精製水とエタノールに加えて溶解し、当該溶液にタルクを分散させた。また、酸化チタンおよび黄色三二酸化鉄を精製水に分散させ、これら分散液を混和することによりコーティング液を調製した。
素錠をフィルムコーティングパン機に入れ、コーティング液にてコーティングし、乾燥することにより、ラメルテオン錠剤を得た。
実施例3
表1に示す質量比組成に変更した以外は実施例1と同様にして、ラメルテオン錠剤を得た。
比較例1
ヒドロキシプロピルセルロースの代わりにマクロゴール6000を使った以外は実施例1と同様にして、ラメルテオン錠剤を製造した。
Figure 2021104939
試験例1: 安定性試験
実施例1〜3および比較例1で製造した錠剤を密閉容器に入れ、70℃で貯蔵した。試験開始から3日目、6日目および9日目に試料錠剤を取得し、以下の条件で有効成分であるラメルテオンの類縁物質量を測定した。また、試験開始前の錠剤についても同様に測定した。
各錠剤試料を水:メタノール:アセトニトリル=30:17:3(容量比)の混合溶媒(50mL)に懸濁し、メンブランフィルターで濾過して試料溶液を得、以下の条件の液体クロマトグラフィーにより分析した。
カラム: 「XBridge Phenyl」Waters社製,4.6mm×25cm,5μm
カラム温度: 約40℃
検出器: 紫外吸光光度計
測定波長: 230nm
移動相: 過塩素酸溶液と、メタノール:アセトニトリル=17:3(容量比)の混合溶媒との混合比を変えて濃度勾配制御した。
得られたクロマトグラムにおける各ピーク面積を自動積分法により算出し、面積百分率法によりラメルテオン類縁物質の割合を求めた。結果を表2に示す。
Figure 2021104939
表2に示される結果の通り、フィルムコーティングの可塑剤としてポリエチレングリコールを用いた比較例1の錠剤では、ラメルテオンの安定性が明らかに悪く、ラメルテオン類縁物質の量が経時的に増加する傾向にあった。
一方、フィルムコーティングの可塑剤としてヒドロキシプロピルセルロースを用いた実施例1と実施例3の錠剤、およびフィルムコーティングの可塑剤としてポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体を用いた実施例2の錠剤では、ラメルテオンは光に対して安定であることが示された。
試験例2: 光安定性試験
実施例1〜3および比較例1で製造した錠剤に対して、D2ランプまたはキセノンランプを用い、60万Luxまたは120万Luxの光を照射した。次いで、試験例1と同様の条件でラメルテオン類縁物質の割合を求めた。なお、D2ランプは重水素ランプともいわれ、紫外光から可視光を発し、キセノンランプも紫外光から可視光を発するが、その光は自然昼光に極めて近いものである。結果を表3に示す。表3中、「−」は未測定であることを示す。
Figure 2021104939
表3に示される結果の通り、フィルムコーティングの可塑剤としてポレチレングリコールを用いた比較例1の錠剤は、光に対しても不安定である傾向があった。
一方、フィルムコーティングの可塑剤としてヒドロキシプロピルセルロースを用いた実施例1と実施例3の錠剤およびフィルムコーティングの可塑剤としてポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体を用いた実施例2の錠剤では、ラメルテオンは光に対して安定であることが示された。
試験例3: 安定性試験
試験例1において、温度を70℃から60℃に変更し、試験期間を21日まで延長してラメルテオン錠剤の安定性を評価した。結果を表4に示す。
Figure 2021104939
表4に示される結果の通り、フィルムコーティングの可塑剤としてポレチレングリコールを用いた比較例1の錠剤は、比較的低温度に長期間暴露した際の安定性も明らかに悪く、ラメルテオン類縁物質の量が経時的に増加する傾向にあった。
一方、フィルムコーティングの可塑剤としてヒドロキシプロピルセルロースを用いた実施例1の錠剤ではラメルテオンは比較的低温度に長期間暴露した際も安定であることが示された。
試験例4: 色差試験
実施例3で製造した錠剤に対して、キセノンランプを用い、120万Luxの光を照射した。次いで、錠剤の明度(L*)と色相彩度(a*およびb*)について分光色差計(「SE6000型」日本電色工業社製)を用いて測定した。測定結果から、下記式に従って、錠剤の光照射前後の色差(ΔE)を算出した。結果を表5に示す。
ΔE=[(ΔL*2+(Δa*2+(Δb*21/2
Figure 2021104939
表5に示される結果の通り、フィルムコーティングの可塑剤としてポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体を用いた実施例2の錠剤は、120万Luxという強い光を照射した後でも色の変化が極めて小さいことから、光安定性に優れるものであることが示された。
製剤例1
本発明に係るフィルムコーティング錠剤は、表6に示す組成のものであってもよい。
Figure 2021104939

Claims (9)

  1. 素錠、およびその表面にフィルムコーティング層を有し、
    素錠中にラメルテオンを含み、
    フィルムコーティング層にヒドロキシプロピルセルロースを含むことを特徴とするフィルムコーティング錠剤。
  2. フィルムコーティング層におけるヒドロキシプロピルセルロースの割合が5質量%以上、20質量%以下である請求項1に記載のフィルムコーティング錠剤。
  3. フィルムコーティング層が50質量%以上、90質量%以下のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む請求項1または2に記載のフィルムコーティング錠剤。
  4. ラメルテオンおよびポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体を含むことを特徴とする医薬組成物。
  5. 医薬組成物全体に対して0.1質量%以上、10質量%以下のポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体を含む請求項4に記載の医薬組成物。
  6. 素錠、およびその表面にフィルムコーティング層を有し、
    素錠中にラメルテオンを含み、
    フィルムコーティング層にポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体を含む請求項4または5に記載の医薬組成物。
  7. フィルムコーティング層が50質量%以上、99質量%以下のポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体を含む請求項6に記載の医薬組成物。
  8. ラメルテオンを含む素錠を、ヒドロキシプロピルセルロースを含むフィルムコーティング層で被覆することを特徴とするラメルテオンの安定化方法。
  9. ラメルテオンを含む医薬組成物にポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体を配合することを特徴とするラメルテオンの安定化方法。
JP2019235950A 2019-12-26 2019-12-26 ラメルテオンを含む錠剤および医薬組成物 Pending JP2021104939A (ja)

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