JP2021104815A - インクボトル - Google Patents

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Abstract

【課題】酸素透過度の高い材質を用いたとしても、昇華型染料を含むインク組成物の保存安定性が良好なインクボトルを提供すること。【解決手段】昇華型染料、水及び有機溶剤を含むインク組成物と、気体と、が収容されたインクボトルであって、前記インクボトルは、容器本体と、前記容器本体に接続され、前記インク組成物の排出口を有するスパウトと、前記容器本体又は前記スパウトに備えられた、前記インク組成物を収容する空間を封止する封止体と、を備え、前記容器本体の材質は、20℃、90%RHにおいて100[mL/(m2・d・MPa)]以上の酸素透過度を有し、前記空間に収容された前記インク組成物の体積(VI)、及び、前記空間の容積(VB)の比(VI/VB)が、12/15以上である、インクボトル。【選択図】図2

Description

本発明は、インクボトルに関する。
インクタンクやインクカートリッジに対してユーザーがインク組成物を注ぎ足して使用する方式のインクジェットプリンターが開発されている。このようなプリンターに注ぎ足すインクは、ボトルに収容された状態でインクボトルとして運搬され販売される。
特許文献1には、分散染料と、ポリカルボン酸系高分子界面活性剤と、アニオン性界面活性剤と、HLB値が5以下のノニオン性界面活性剤とを含み、ノニオン性界面活性剤の含有量が、インク組成物の全質量に対して、0.01質量%以上0.7質量%以下であるインク組成物が開示されている。同文献には、当該インク組成物によればインクが大気と接触しやすい形状のインク収容容器(プリンター本体のインクタンク)に収容された場合であっても、分散染料由来の異物、気液界面由来の異物及び気泡の発生を抑制することができ、インク組成物の保存安定性及び吐出安定性に優れる旨の記載がある。
特開2017−226772号公報
インク組成物の保存安定性は、プリンター本体のインクタンクに収容された状態において要求されるのみならず、インクタンクに補充される前の補充用のインクボトルに収容された状態においても要求される。
補充用のインクボトルに収容された状態のインクは、プリンター本体の収容容器に収容された状態のインクよりも、物流や保管の過程でより厳しい環境に置かれる場合があり、さらに高い保存安定性が求められる。また、インクが昇華型染料を含有する場合には、気液界面の物質移動等により、インク中に異物が生じやすいことがわかっており、保存安定性の維持がより難しくなる傾向がある。
また、補充用のインクが収容されるボトルは、使い捨ての形態で販売されることが多く、環境負荷や製造コストを抑えることが求められる。ところが環境負荷や製造コストを抑えるために適した材質のボトルを用いると、内部のインクに異物が発生しやすくなり、保存安定性が低下する場合がある。
本発明に係るインクボトルの一態様は、
昇華型染料、水及び有機溶剤を含むインク組成物と、気体と、が収容されたインクボトルであって、
前記インクボトルは、
容器本体と、
前記容器本体に接続され、前記インク組成物の排出口を有するスパウトと、
前記容器本体又は前記スパウトに備えられた、前記インク組成物を収容する空間を封止する封止体と、
を備え、
前記容器本体の材質は、20℃、90%RHにおいて100[mL/(m・d・MPa)]以上の酸素透過度を有し、
前記空間に収容された前記インク組成物の体積(VI)、及び、前記空間の容積(VB)の比(VI/VB)が、12/15以上である。
実施形態に係るインクボトルの断面の模式図。 実施形態に係るインクボトルの断面の模式図。 変形例に係るインクボトルの断面の模式図。 変形例に係るインクボトルの断面の模式図。 変形例に係るインクボトルの断面の模式図。 変形例に係るインクボトルの断面の模式図。
以下に本発明の実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
1.インクボトル
本実施形態に係るインクボトルは、昇華型染料、水及び有機溶剤を含むインク組成物と、気体と、が収容されたインクボトルであって、容器本体と、スパウトと、封止体と、を備える。以下、インクボトルが備える容器本体、スパウト、封止体について説明し、その後にインクボトルに収容されるインク組成物、気体等について説明する。
図1及び図2は、本実施形態に係るインクボトル10の断面の模式図である。図1では、容器本体12からスパウト14を取り外した状態を示している。図2では、容器本体12にスパウト14が接続された状態を示している。図1及び図2に示すように、インクボトル10は、インク組成物Lを収容可能な容器本体12と、容器本体12に接続されるスパウト14と、容器本体12に装着される封止体16と、を備える。
インクボトル10は、スパウト14及び封止体16が容器本体12における鉛直方向上端(先端)に位置する図1及び図2に示す保管姿勢で保管されることが好ましく、以下の説明における方向は、保管姿勢における方向をいうものとする。なお、インクボトル10に収容されたインク組成物Lをインクタンク等の受け入れ先に補給する場合には、保管姿勢から傾けてインク組成物Lを落下させるが、本明細書ではスパウト14が容器本体12における鉛直方向下端に位置する姿勢を補給姿勢ということがある。
容器本体12は、インク組成物Lを収容可能な収容室21を形成する有底円筒状の収容部22と、収容部22よりも径が小さい円筒状の頸部23と、を有する。頸部23は、収容部22の先端に形成され、頸部23の外周面には第1雄ねじ24が形成されている。図示の例では、収容部22は有底円筒状の形状であるが、これに限定されない。また、容器本体12は、袋状の不定形状として、収容部22の形状が変形し得るものとしてもよい。
容器本体12は、剛性容器又は半剛性容器であることがより好ましい。剛性容器としては、ユーザーが手で取り扱う際にほとんど変形しない容器を指し、半剛性容器としてはユーザーが手で取り扱う際に変形しても元の形状に戻る容器を指す。
容器本体12は、20℃、90%RHにおいて100[mL/(m・d・MPa)]以上の酸素透過度を有する材料で形成される。20℃、90%RHにおいて100[mL/(m・d・MPa)]以上の酸素透過度を有する材料は、100[mL/(m・d・MPa)]未満の酸素透過度を有する材料と比較して安価に調達できる傾向にある。そのような材料としては、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン等のプラスチックを挙げることができる。容器本体12は、多層構造を有してもよいが、いずれの層も20℃、90%RHにおいて100[mL/(m・d・MPa)]以上の酸素透過度を有する材料で形成される。材料の酸素透過度は、JIS K7126−2に従って測定できる。
容器本体12の材質が20℃、90%RHにおいて100[mL/(m・d・MPa)]以上の酸素透過度を有することにより、酸素透過度を低減するために容器本体12の厚みを増やしたり、酸素透過度が低く高価な材料を使用する必要がなくなるので、インクボトルの製造コストや環境負荷を抑えることができる傾向にある。その一方で、容器本体12の材質が20℃、90%RHにおいて100[mL/(m・d・MPa)]以上の酸素透過度を有することにより、インクボトル10の内外での気体透過性が高くなり、昇華型染料に由来する異物が発生しやすくなる。しかしながら、インクボトル10の特徴の1つである比(VI/VB)が12/15以上であることによる異物の発生を抑制する効果が、より顕著に現れる。かかる観点からは、容器本体には、アルミニウム薄膜等の金属層が含まれないことがより好ましい。金属層が含まれないことにより、インクボトルの環境負荷を抑えることができる傾向にある。
スパウト14には、収容室21内のインク組成物Lの流出を可能とする排出口26が設けられている。スパウト14は、封止体16を取り外した状態で容器本体12にスパウト14を接続し、インクボトル10を保管姿勢と鉛直方向逆方向の姿勢にした場合に、スパウト14の排出口26からインク組成物Lを排出できる。
図2に示すように、スパウト14は、容器本体12に取り付けられた場合に頸部23の外周側に位置する大径部29と、容器本体12から離れた位置で排出口26を形成する小径部30と、を有する。大径部29の内周面には、第1雄ねじ24と螺合可能な第1雌ねじ31が形成されている。スパウト14は、第1雌ねじ31を第1雄ねじ24に螺合させることにより容器本体12の先端に取り付けられる。
スパウト14の排出口26の形状は、任意であり、例えば、プリンターのインクタンク等のインク組成物Lの受容先の形状に適合するように形成される。また、インクボトル10は、スパウト14及び容器本体12を接続した場合に、内部の気密を補助するためのパッキンを有してもよいし、両者を摺動、密接するための機構や形状を有してもよい。
インクボトル10では、容器本体12の開口部には、封止体16が備えられている。すなわち容器本体12の頸部23先端に封止体16が設けられている。封止体16は、容器本体12の収容部22に収容されたインク組成物Lを密封する。封止体16と容器本体12との接合は、例えば、接着剤により行われる。封止体16と容器本体12との接合は、ヒートシール法により行われてもよい。
封止体16と容器本体12との接合は、ユーザーが手で封止体16を剥がすことにより取り外すことができるように接合することがより好ましい。また、封止体16は、ユーザーが突き破ることにより開封できるようにしてもよい。なお、封止体16は、剛性を有するスクリューキャップ(図6参照)や栓(不図示)の形態としてもよく、必要に応じてパッキン等を利用して収容室21の気密性を保持するようにしてもよい。
このように封止体16は、収容室21の気密性を保持できる限り、形状、材質等に制限はないが、取り扱いの容易さや製造コスト等の観点から、封止体16は、フィルムを含んで構成されることがより好ましい。
インクボトルは、種々の変形が可能である。図3〜図6は、それぞれ変形例に係るインクボトル110〜インクボトル140の断面の模式図である。変形例に係るインクボトル110〜インクボトル140については、上記のインクボトル10の部材と同様の作用、機能を有する部材については同様の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図3に示す変形例のインクボトル110は、インク組成物Lを収容可能な容器本体12と、容器本体12に接続されるスパウト14と、スパウト14に装着される封止体16と、を備える。インクボトル110は、上述のインクボトル10とは、封止体16がスパウト14に装着される点で相違している。なお、インクボトル110では、容器本体12とスパウト14との接続部分に気密を保つためのパッキン40が設けられている。
インクボトル110では、容器本体12の収容室21の容量に加えてスパウト14の内部にもインク組成物Lを収容できるので、より多くのインク組成物Lを収容することができる。なお、インクボトル110は、輸送、保管あるいは使用中に、容器本体12とスパウト14とを分離させないことが好ましい。
図4に示す変形例のインクボトル120は、容器本体12に相当する部分12aと、スパウト14に相当する部分14aとが一体的に形成されている。そして、インクボトル120は、スパウト14に相当する部分14aに装着された封止体16を備えている。インクボトル120は、上述のインクボトル110とは、容器本体12と、スパウト14とが一体的に形成される点で相違している。
インクボトル120では、容器本体12に相当する部分12aとスパウト14に相当する部分14aとを同時に成形加工できるので、製造コストを低減することができる。また、インクボトル120では、容器本体12の収容室21の容量に加えてスパウト14の内部にもインク組成物Lを収容できるので、より多くのインク組成物Lを収容することができる。
図5に示す変形例のインクボトル130は、インク組成物Lを収容可能な容器本体12と、容器本体12に接続されるスパウト14と、容器本体12に装着される封止体16と、を備え、さらにスパウト14の排出口26を覆うキャップ50を備えている。インクボトル130は、上述のインクボトル10とは、キャップ50を有する点で相違している。
インクボトル130では、キャップ50を装着することにより、スパウト14の排出口26を機械的に保護することができる。また、キャップ50を装着することにより、スパウト14の汚染を抑制することができる。
図6に示す変形例のインクボトル140は、インク組成物Lを収容可能な容器本体12と、容器本体12に接続されるスパウト14と、容器本体12に装着される封止体60と、を備える。インクボトル140は、上述のインクボトル10とは、封止体60がフィルム形態でなく剛性を有するスクリューキャップとなっている点で相違している。
インクボトル140は、スパウト14に嵌合し得る容器本体12と、容器本体12に備えられた、インク組成物Lを収容する空間を封止する封止体60と、を備えている。すなわち、スパウト14、及び、インク組成物Lを収容して封止体60によって封止された容器本体12によりインクボトルのキットを構成し得る。このようにすれば、例えば、スパウト14を再利用することができ、また、インク組成物Lの輸送コストを低減できる。
なお、上述のインクボトル10、インクボトル130のように、容器本体12に封止体16が設けられる場合には、インクボトル140と同様にインクボトルのキットを構成することができる。
2.インク組成物
本実施形態のインクボトルに収容されるインク組成物は、昇華型染料、水及び有機溶剤を含む。
2.1.昇華型染料
インク組成物に含まれる染料は、昇華型染料であり、ポリエステル、ナイロン、アセテート等の疎水性合成繊維の染着に好適に用いられる染料である。昇華型染料は、水に不溶又は難溶の化合物であり、加熱により昇華する性質を有する。なお、本明細書では、分散染料や油溶性染料等の分類にかかわらず、昇華性を有する染料を昇華型染料というものとする。
本実施形態のインク組成物に含まれる昇華型染料としては、特に限定されず、イエロー染料、ブルー染料、オレンジ染料、レッド染料、バイオレット染料、グリーン染料、ブラウン染料、ブラック染料等を挙げることができる。
昇華型のイエロー染料としては、例えば、C.I.Disperse Yellow 1、3、4、5、7、8、9、13、16、23、24、30、31、33、34、39、41、42、44、49、50、51、54、56、58、60、61、63、64、66、68、71、74、76、77、78、79、83、85、86、88、90、91、93、98、99、100、104、108、114、116、118、119、122、124、126、135、140、141、149、153、160、162、163、164、165、179、180、182、183、184、186、192、198、199、201、202、204、210、211、215、216、218、224、227、231、232、233、245、C.I.Solvent Yellow 2、6、14、16、21、25、29、30、33、51、56、77、80、82、88、89、93、116、150、160:1、163、179等が挙げられる。
昇華型のブルー染料としては、例えば、C.I.Disperse Blue 3、5、6、7、9、14、16、19、20、24、26、26:1、27、35、43、44、52、54、55、56、58、60、61、62、64、64:1、71、72、72:1、73、75、77、77:1、79、81、81:1、82、83、85、87、88、90、91、93、94、95、96、99、102、106、108、112、113、115、118、120、122、125、128、130、131、139、141、142、143、145、146、148、149、153、154、158、165、167、171、173、174、176、181、183、185、186、187、189、197、198、200、201、205、207、211、214、224、225、241、257、259、267、268、270、284、285、287、288、291、293、295、297、301、315、330、333、354、359、360、367、C.I.Solvent Blue 2、11、14、24、25、35、36、38、48、55、59、63、67、68、70、73、83、105、111、132等が挙げられる。
昇華型のオレンジ染料としては、例えば、C.I.Disperse Orange 1、1:1、3、5、7、11、13、17、20、21、25、25:1、29、30、31、32、33、37、38、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、53、54、55、56、57、58、59、61、66、71、73、76、78、80、89、90、91、93、96、97、119、127、130、139、142、C.I.Solvent Orange 1、2、14、45、60等が挙げられる。
昇華型のレッド染料としては、例えば、C.I.Disperse Red 1、4、5、6、7、11、12、13、15、17、27、43、44、50、52、53、54、55、55:1、56、58、59、60、65、70、72、73、74、75、76、78、81、82、83、84、86、86:1、88、90、91、92、93、96、97、99、100、101、103、104、105、106、107、108、110、111、113、116、117、118、121、122、125、126、127、128、129、131、132、134、135、137、143、145、146、151、152、153、154、157、158、159、164、167、167:1、169、177、179、181、183、184、185、188、189、190、190:1、191、192、200、201、202、203、205、206、207、210、221、224、225、227、229、239、240、257、258、277、278、279、281、288、298、302、303、310、311、312、320、324、328、C.I.Solvent Red 1、3、7、8、9、18、19、23、24、25、27、49、100、109、121、122、125、127、130、132、135、218、225、230等が挙げられる。
昇華型のバイオレット染料としては、例えば、C.I.Disperse Violet 1、4、8、10、17、18、23、24、26、27、28、29、30、31、33、35、36、37、38、40、43、46、48、50、51、52、56、57、59、61、63、69、77、C.I.Solvent Violet 13等が挙げられる。
昇華型のグリーン染料としては、例えば、C.I.Disperse Green 9、C.I.Solvent Green 3等が挙げられる。
昇華型のブラウン染料としては、例えば、C.I.Disperse Brown 1、2、4、9、13、19、C.I.ソルベントブラウン3、5等が挙げられる。
昇華型のブラック染料としては、例えば、C.I.Disperse Black 1、2、3、10、24、26、27、28、30、31、C.I.Solvent Black 3、5、7、23、27、28、29、34等が挙げられる。
上記例示した昇華型染料は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ここで「昇華型染料」とは、加熱により昇華する性質を有する染料である。かかる染料は、昇華転写を利用した布帛等に対する染色、すなわち捺染に好適である。このような昇華転写を利用した捺染方法としては、例えば、転写元である紙等のシート状の中間転写媒体に昇華型染料を含むインク組成物を用いてインクジェット法による印刷を行った後、布帛等の記録媒体に中間転写媒体を重ねて、加熱により昇華転写する方法がある。その他の方法としては、フィルム製品等の剥離可能なインク受容層が設けられた記録媒体のインク受容層に昇華転写用インク組成物を用いてインクジェット法による印刷を行い、その後、そのまま加熱して下層側の記録媒体に昇華拡散染色を行い、さらにその後、インク受容層を剥離する方法等がある。
上記例示した昇華型染料は、いずれも水に不溶又は難溶の化合物であるが、例えば、後述する分散剤によって、特定の濃度範囲であれば水に対して良好に分散させることができる。なお、油溶性染料の場合には乳化ともいう。また、上記例示した昇華型染料は、それぞれ分散性において若干の差異がある。すなわち、昇華型染料の種類によっては、分散剤の好適な濃度範囲が異なるし、分散剤の種類によって分散性も異なることがある。
インク組成物における昇華型染料の合計の含有量は、インク組成物100質量%に対して、0.5質量%以上30.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上25.0質量%以下であることがより好ましく、1.0質量%以上11.0質量%以下であることがさらに好ましく、2.0質量%以上5.0質量%以下であることがよりさらに好ましい。インク組成物における染料の含有量がこの範囲であれば、得られる転写物の発色性、すなわちOD値を十分に得ることができる。
2.2.水
本実施形態において、インク組成物は水を含むことが好ましい。水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、及び蒸留水等の純水、並びに超純水のような、イオン性不純物を極力除去したものが挙げられる。また、紫外線照射又は過酸化水素の添加等によって滅菌した水を用いると、インク組成物を長期保存する場合に細菌類や真菌類の発生を抑制することができる。
水の含有量は、インク組成物の全質量に対して、40質量%以上90質量%以下であることが好ましく、50質量%以上85質量%以下であることがより好ましい。
2.3.有機溶剤
インク組成物は、有機溶剤を含んでもよい。有機溶剤は、水溶性の有機溶剤であることが好ましく、インク組成物が水溶性有機溶剤を含むことにより、インク組成物のインクジェット法による吐出安定性を優れたものとしつつ、長期放置時による記録ヘッドからの水分蒸発を効果的に抑制することができる。また、水溶性有機溶剤は、保湿剤として機能してもよい。
有機溶剤のうち水溶性の有機溶剤としては、例えば、ポリオール化合物、グリコールエーテル等が挙げられる。
ポリオール化合物としては、例えば、分子内の炭素数が2以上6以下であり、かつ、分子内にエーテル結合を1つ有してもよいポリオール化合物、好ましくはジオール化合物等が挙げられる。具体例としては、1,2−ペンタンジオール、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−3−フェノキシ−1,2−プロパンジオール、3−(3−メチルフェノキシ)−1,2−プロパンジオール、3−ヘキシルオキシ−1,2−プロパンジオール、2−ヒドロキシメチル−2−フェノキシメチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール等のグリコール類が挙げられる。
グリコールエーテルとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールから選択されるグリコールのモノアルキルエーテルが挙げられる。モノアルキルエーテルの中でも、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等が挙げられる。
有機溶剤は、複数種を混合して用いてもよい。また、有機溶剤の含有量は、インク組成物の粘度調整、保湿効果による目詰まり防止の観点から、インク組成物の全質量に対して、0.2質量%以上30質量%以下であることが好ましく、1質量%以上25質量%以下であることがより好ましい。
2.4.その他の成分
本実施形態のインク組成物は、以下の成分を含んでもよい。
(分散剤)
本実施形態のインク組成物は、分散剤を含んでもよい。分散剤は、上述の昇華型染料をインク組成物中で安定に分散させる機能を有している。分散剤としては、特に限定されないが、アニオン系分散剤、ノニオン系分散剤、高分子分散剤が挙げられる。以下に例示する分散剤の中でも、インク組成物の分散安定性により優れるという点ではアニオン系分散剤を用いることがより好ましい。
アニオン系分散剤としては、芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物が好ましく挙げられる。芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物における「芳香族スルホン酸」としては、例えば、クレオソート油スルホン酸、クレゾールスルホン酸、フェノールスルホン酸、β−ナフトールスルホン酸、メチルナフタレンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸等のアルキルナフタレンスルホン酸、β−ナフタレンスルホン酸とβ−ナフトールスルホン酸との混合物、クレゾールスルホン酸と2−ナフトール−6−スルホン酸との混合物、リグニンスルホン酸等が挙げられる。
また、アニオン系分散剤としては、β−ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、及び、クレオソート油スルホン酸のホルマリン縮合物が好ましい。これらの中でもβ−ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物が特に好ましい。
ノニオン系分散剤としては、フィトステロールのエチレンオキサイド付加物、コレスタノールのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
また、高分子分散剤としては、ポリアクリル酸部分アルキルエステル、ポリアルキレンポリアミン、ポリアクリル酸塩、スチレン−アクリル酸共重合物、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合物等が挙げられる。
分散剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。分散剤の合計の含有量は、インク組成物100質量%に対して、0.1質量%以上30.0質量%以下、好ましくは0.4質量%以上30.0質量%以下、より好ましくは1.0質量%以上25.0質量%以下、さらに好ましくは10.0質量%以上23.0質量%以下、ことさら好ましくは15.0質量%以上20.0質量%以下である。分散剤の含有量が0.1質量%以上であることにより、染料の分散安定性を確保することができる。また、分散剤の含有量が30.0質量%以下であれば、染料を溶解させすぎることがなく、かつ、粘度を小さく抑えることができる。
(表面張力調整剤)
インク組成物は表面張力調整剤を含有してもよい。表面張力調整剤としては、水溶解時に表面張力を低下させインク組成物の印刷用基材や吐出流路に対する濡れ性を調整するために用いられ、低表面張力性の水溶性溶剤系表面張力調整剤及び界面活性剤系表面張力調整剤から選ばれる。
水溶性溶剤系表面張力調整剤としては、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコール類、ブチレングリコール、1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のジオール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールモノエーテル類が挙げられる。
界面活性剤系表面張力調整剤としては、例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤から適宜選択できる。またこれらのうち界面活性が高く気泡性の少ないアセチレングリコール系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤がより好ましい。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、市販品としては特に限定されないが、例えば、日信化学工業株式会社製、オルフィンE1004、E1010、E1020、PD−001、PD−002W、PD−004、PD−005、EXP.4200、EXP.4123、EXP.4300、サーフィノール440、465、485、CT111、C
T121、TG、GA、ダイノール604、607、川研ファインケミカル株式会社製、アセチレノールE40、E60、E100、等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、ポリシロキサン系化合物、ポリエーテル変性オルガノシロキサン等が挙げられる。シリコーン系界面活性剤の市販品としては、特に限定されないが、例えば、ビックケミー・ジャパン株式会社製、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−347、BYK−348、BYK−349、信越化学株式会社製、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、日信化学工業株式会社製、シルフェイスSAG002、005、503A、008等が挙げられる。
表面張力調整剤の配合量は、インク組成物の全質量に対して、0.01質量%以上2.0質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上1.5質量%以下であることがより好ましい。
(pH調整剤)
インク組成物はpH調整剤を含有してもよい。pH調整剤としては、特に限定されないが、酸、塩基、弱酸、弱塩基の適宜の組み合わせが挙げられる。そのような組み合わせに用いる酸、塩基の例としては、無機酸として、硫酸、塩酸、硝酸等、無機塩基として水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アンモニア等が挙げられ、有機塩基として、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン(THAM)等が挙げられ、有機酸として、アジピン酸、クエン酸、コハク酸、乳酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸(BES)、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、モルホリノエタンスルホン酸(MES)、カルバモイルメチルイミノビス酢酸(ADA)、ピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)、コラミン塩酸、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(TES)、アセトアミドグリシン、トリシン、グリシンアミド、ビシン等のグッドバッファー、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、トリス緩衝液等を用いてもよい。さらに、これらのうち、pH調整剤の一部又は全部として、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等の第三級アミン、及び、アジピン酸、クエン酸、コハク酸、乳酸等のカルボキシル基含有有機酸、が含まれることが、pH緩衝効果をより安定に得ることができるため好ましい。
(保湿剤)
インク組成物は保湿剤を含有してもよい。保湿剤としては、一般にインクジェットインク組成物に用いられるものであれば特に限定されず使用可能である。
水溶性有機溶剤としても機能する保湿剤の具体例としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタメチレングリコール、トリメチレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、トリプロピレングリコール、イソブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、メソエリスリトール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等のポリオール類が挙げられる。また、他の保湿剤の具体例としては、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム、ヒドロキシエチルピロリドン等のラクタム類、尿素、チオ尿素、エチレン尿素、1,3−ジメチルイミダゾリジノン類等の尿素誘導体、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール(ソルビット)、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等の単糖類、二糖類、オリゴ糖類及び多糖類及びこれらの糖類の誘導体、グリシン、トリメチルグリシンのベタイン類等が挙げられる。
糖類とは単糖類、二糖類、三糖類及び四糖類を含むオリゴ糖類及び多糖類をいうものとする。糖類としては、例えば、トレオース、エリトルロース、エリトロース、アラビノース、リブロース、リボース、キシロース、キシルロース、リキソース、グルコース、フルクトース、マンノース、イドース、ソルボース、グロース、タロース、タガトース、ガラクトース、アロース、プシコース、アルトロース、マルトース、イソマルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、イソトレハロース、ゲンチオビオース、メリビオース、ツラノース、ソホロース、イソサッカロース、グルカン、フルクタン、マンナン、キシラン、ガラクツロナン、マンヌロナン、N−アセチルグルコサミン重合体等のホモグリカン、ジヘテログリカン、トリへテログリカン等のヘテログリカン、マルトトリオース、イソマルトトリオース、パノース、マルトテトラオース、マルトペンタオース等が挙げられる。
本実施形態において、インク組成物が保湿剤を含有する場合、その含有量は、インク組成物の全質量に対して、0.2質量%以上30.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上25質量%以下であることがより好ましい。
(キレート化剤)
インク組成物は、キレート化剤を含有していてもよい。キレート化剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸及びそれらの塩類等が挙げられる。塩類としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム塩、又は、エチレンジアミンのニトリロトリ酢酸塩、ヘキサメタリン酸塩、ピロリン酸塩、若しくはメタリン酸塩等が挙げられる。
(防腐剤、防かび剤)
インク組成物には、必要に応じて防腐剤、防かび剤を使用してもよい。防腐剤、防かび剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンゾイソチアゾリン−3−オン、4−クロロ−3−メチルフェノール等が挙げられる。
(その他)
さらに上記以外の成分として、インク組成物は、例えば、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、溶解助剤など、インクジェット用のインク組成物において通常用いることができる添加剤を必要に応じて含有していてもよい。
2.5.インク組成物の物性及び製造
インク組成物の25.0℃における表面張力は、10.0mN/m以上40.0mN/mであることが好ましく、25.0mN/m以上40.0mN/m以下であることがより好ましい。表面張力は、協和界面科学株式会社製、自動表面張力計CBVP−Zを用いて、25.0℃の環境下で白金プレートを組成物で濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
インク組成物の20.0℃における粘度は、1.5mPa・s以上10.0mPa・s以下であることが好ましく、2.0mPa・s以上8.0mPa・s以下であることがより好ましい。表面張力及び粘度を前記範囲内とするには、例えば、上述した水溶性有機溶剤や界面活性剤の種類、及びこれらと水の添加量等を適宜調整すればよい。なお、粘度は、株式会社アントンパール・ジャパン製、粘弾性試験機MCR−300を用いて、20.0℃の環境下で、Shear Rateを10から1000に上げていき、Shear Rateが200のときの粘度を読み取ることにより測定することができる。
インク組成物は、pHが5.8以上10.5以下であることが好ましく、6.0以上10.0以下であることがより好ましい。インク組成物のpHがこの範囲であれば、例えば、記録ヘッドやインクジェット記録装置の部材の腐食を抑制することができる。
インク組成物は、上記した各成分を任意の順序で混合し、必要に応じて濾過等をして不純物を除去することにより得られる。各成分の混合方法としては、メカニカルスターラー、マグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に順次材料を添加して撹拌混合する方法が好適に用いられる。また、染料はあらかじめ分散剤によって分散された分散体の態様で配合されても構わない。
3.空間
インクボトルには、上述のインク組成物と気体とが収容される。気体としては、空気であることが通常であるが、窒素やアルゴン等の不活性ガスにより空気を置換してもよい。また、気体中には、インク組成物の揮発成分が含まれてもよい。
インクボトル中には、上述のインク組成物と気体とを収容する空間が形成される。ここで、空間とは、容器本体12又はスパウト14に備えられた、封止体16によって内部に形成される閉空間のことをいう。本明細書では、かかる空間の容積を「VB」と称する。上記の図1、図2、図5、図6で例示したインクボトル10では、容器本体12に封止体16、60が設けられており、空間は、収容室21に相当する。また、上記の図3、図4で例示したインクボトル110、120のようにスパウト14に封止体16が設けられた場合には、空間は、収容室21に連続するスパウト14内の空間を含むことになる。
空間の容積(VB)は、特に限定されず、例えば、20[mL]以上500[mL]以下、好ましくは100[mL]以上300[mL]以下、より好ましくは100[mL]以上200[mL]以下である。しかしユーザーによる取り扱いの容易さの点では空間の容積(VB)は、200[mL]以下であることがさらに好ましい。
空間内には、インク組成物と気体が収容されるが、収容されるインク組成物及び気体の体積は、空間の容積、インク組成物の収容量を調節することにより変更することができる。
4.空間の容積とインク組成物の体積との関係
空間に収容されたインク組成物の体積(VI)は、特に限定されないが、例えば、50[mL]以上300[mL]以下、好ましくは70[mL]以上200[mL]以下、より好ましくは100[mL]以上150[mL]以下である。しかし、インク組成物の補給の頻度を小さくする観点から、体積(VI)は、120[mL]以上であることがより好ましい。
本実施形態のインクボトルは、収容されたインク組成物の体積(VI)、及び、空間の容積(VB)の比(VI/VB)が、12/15以上(すなわち0.8以上)である。比(VI/VB)は、容器本体12の容積、スパウト14の内部空間の容積、封止体16の配置、及び、インク組成物の収容量、の少なくとも1つを変更することにより12/15以上とすることができる。
このようにすることで、酸素透過度の比較的低い容器本体12を用いているインクボトル10を保存した場合に、異物の発生量を十分に低く抑えることができる。また、異物の量をより少なくする観点から、比(VI/VB)は、14/15以上(すなわち0.93以上)であることがより好ましく、15/16以上(すなわち0.936以上)であることがさらに好ましく、16/17以上(すなわち0.94以上)であることが殊更に好ましい。
5.作用効果及びメカニズム
本実施形態のインクボトルには、昇華型染料と水と有機溶剤とを含むインク組成物と、気体と、が収容される。このようなインク組成物は、保管中に気液界面に異物を生じやすい。発明者の知見によると、かかる異物は、昇華型染料の凝集物と考えられ、気液界面付近で有機溶剤が揮発し、局所的に水の濃度が高い部分が生じた際に、昇華型染料の凝集が生じることに起因していると考えられる。また、一旦生じた異物は、再分散しにくいことも、このような推論の傍証と考えられる。
本実施形態のインクボトルでは、容器本体の材質を、20℃、90%RHにおいて100[mL/(m・d・MPa)]以上の酸素透過度を有するものとし、比(VI/VB)が、12/15以上とすることで、容器本体が環境負荷や製造コストに優れた材質であっても、インク組成物の異物の発生を抑制でき、良好な保存安定性を得ることができる。
6.実施例及び比較例
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下、「部」「%」は、特に記載のない限り、質量基準である。なお評価は、特に断りが無い場合は、温度25.0℃、相対湿度40.0%の環境下で行った。
6.1.インク組成物の調製
表1、表2の組成になるように各成分を容器に入れて、マグネチックスターラーで2時間混合及び攪拌した後、さらに、直径0.3mmのジルコニアビーズを充填したビーズミルにて分散処理を行うことにより十分に混合した。1時間攪拌してから、5.0μmのPTFE製メンブランフィルターを用いて濾過することで、実施例、参考例及び比較例に係るインク組成物を得た。表1、表2中の数値は、質量%を示す。水はイオン交換水を用い、各インク組成物の質量がそれぞれ100質量%となるように添加した。
Figure 2021104815
Figure 2021104815
表1、表2に示す成分のうち、界面活性剤は、商品名「BYK(登録商標)−349」、ビックケミー・ジャパン株式会社製、ポリエーテル変性シロキサン界面活性剤である。また、分散剤のうちβ−ナフタレンスルホン酸ナトリウム ホルマリン縮合物は、花王株式会社製、「デモールNL」である。また、色材中、C.I.Direct Red 227は、昇華性を有しない染料である。
6.2.インクボトル
表1、表2には、各例のインクボトルにおける空間に収容されたインク組成物の体積(VI[mL])、空間の容積(VB[mL])、及びそれらの比(VI/VB)を記載した。また、表1、表2には、容器本体の材質を記載した。表中「PP」はポリプロピレン、「Al−pack」はアルミパック、「PP/Al」はポリプロピレン容器の表面にアルミニウム蒸着膜を設けたもの、「Si/PET/PP」は「PP」と同様のポリプロピレンであるがインクボトル全体をアルミニウム蒸着膜を備えたポリエチレンテレフタレートフィルムの袋に封止したものを指す。
容器本体の材料の酸素透過度は、JIS K7126−2に従って測定し、その値を表1、表2に記載した。インクボトルのコストは、容器本体の材質の調達価格を基に評価し、相対的に低い場合を「Low」高い場合を「High」と表1、表2に記載した。
6.3.異物の評価
各例のインクボトルについて、以下のフィルター目詰まり試験により、異物発生量を評価した。図2に示すものと同様の形状を有する空のボトルに、それぞれ500mLのインク組成物を充填し、各例のインクボトルとした。次いで、インクボトルを保管姿勢とした後、温度40℃・相対湿度20%RHの条件下で2週間放置した。
2週間後、各例のインクボトルから、インク組成物を、それぞれインクジェットプリンター(PX−G930、セイコーエプソン社製)に導入した。より詳しくはインクボトル内のインク組成物500mLをインクボトルからプリンター内のサブタンクを経て記録ヘッドに供給した。そして、記録ヘッドから吐出させて、インクボトルとサブタンクとを接続する供給管内に設けられたフィルター(材質SUS、メッシュ孔径3.5μm)の目詰まり状態を確認した。
フィルターの目詰まり状態は、デジタルマイクロスコープVHX−900(株式会社キーエンス社製)を用いてフィルターの表面を確認し、フィルターの面積に対する目詰まり面積(%)を算出することで評価した。通液量はインクジェットプリンター寿命想定使用量の3%であるため、目詰まり量を30倍して目詰まり面積を算出し、これを異物評価とした。以下の基準に従い、評価して結果を表1、表2に記載した。
A:フィルターの目詰まり面積が10%以下
B:フィルターの目詰まり面積が10%超20%以下
C:フィルターの目詰まり面積が20%超30%以下
D:フィルターの目詰まり面積が30%超
6.4.評価結果
昇華型染料、水及び有機溶剤を含むインク組成物と、気体と、が収容されたインクボトルとし、容器本体と、容器本体に接続され、インク組成物の排出口を有するスパウトと、容器本体に備えられた、インク組成物を収容する空間を封止する封止体と、を備え、容器本体の材質が、20℃、90%RHにおいて100[mL/(m・d・MPa)]以上の酸素透過度を有し、空間に収容されたインク組成物の体積(VI)、及び、空間の容積(VB)の比(VI/VB)が、12/15以上、すなわち「0.8以上」である、実施例のインクボトルでは、そうではない比較例に比べて異物の発生が抑制された。また酸素透過度の低い容器とした参考例1、3、4では、異物の発生は抑制されるものの、コストが高かった。さらに、昇華型染料を用いない参考例2では、色材に由来する異物が生じにくいと考えられる。
上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成、例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
上述した実施形態および変形例から以下の内容が導き出される。
インクボトルの一態様は、
昇華型染料、水及び有機溶剤を含むインク組成物と、気体と、が収容されたインクボトルであって、
前記インクボトルは、
容器本体と、
前記容器本体に接続され、前記インク組成物の排出口を有するスパウトと、
前記容器本体又は前記スパウトに備えられた、前記インク組成物を収容する空間を封止する封止体と、
を備え、
前記容器本体の材質は、20℃、90%RHにおいて100[mL/(m・d・MPa)]以上の酸素透過度を有し、
前記空間に収容された前記インク組成物の体積(VI)、及び、前記空間の容積(VB)の比(VI/VB)が、12/15以上である。
このインクボトルによれば、酸素透過度の高い材質の容器本体を用いたとしても、比(VI/VB)が、12/15以上であるので、インクボトル中のインク組成物の保存安定性を十分に確保することができる。
前記インクボトルの一態様において、
比(VI/VB)が、14/15以上であってもよい。
このインクボトルによれば、酸素透過度の高い材質の容器本体を用いたインクボトル中のインク組成物の保存安定性をさらに高めることができる。
前記インクボトルの一態様において、
前記空間に収容された前記インク組成物の体積(VI)が、120[mL]以上であってもよい。
このインクボトルによれば、酸素透過度の高い材質の容器本体を用いたボトルに120[mL]以上のインク組成物を保存安定性よく保存できる。
前記インクボトルの一態様において、
前記空間の容積(VB)が、200[mL]以下であってもよい。
このインクボトルによれば、酸素透過度の高い材質の容器本体を用いたボトルにインク組成物を保存安定性よく保存できる。
前記インクボトルの一態様において、
前記容器本体は、剛性容器又は半剛性容器であってもよい。
このインクボトルによれば、酸素透過度の高い材質の容器本体を用いたボトルにインク組成物を保存安定性よく保存できる。
前記インクボトルの一態様において、
前記容器本体は、金属層を有しなくてもよい。
このインクボトルによれば、酸素透過度の高い材質の容器本体を用いたボトルにインク組成物を保存安定性よく保存できる。
前記インクボトルの一態様において、
前記封止体は、フィルムを含んでもよい。
このインクボトルによれば、酸素透過度の高い材質の容器本体を用いたボトルにインク組成物を保存安定性よく保存できる。
10…インクボトル、12…容器本体、14…スパウト、16,60…封止体、21…収容室、22…収容部、23…頸部、24…第1雄ねじ、26…排出口、29…大径部、30…小径部、31…第1雌ねじ、40…パッキン、50…キャップ、110,120,130,140…インクボトル

Claims (7)

  1. 昇華型染料、水及び有機溶剤を含むインク組成物と、気体と、が収容されたインクボトルであって、
    前記インクボトルは、
    容器本体と、
    前記容器本体に接続され、前記インク組成物の排出口を有するスパウトと、
    前記容器本体又は前記スパウトに備えられた、前記インク組成物を収容する空間を封止する封止体と、
    を備え、
    前記容器本体の材質は、20℃、90%RHにおいて100[mL/(m・d・MPa)]以上の酸素透過度を有し、
    前記空間に収容された前記インク組成物の体積(VI)、及び、前記空間の容積(VB)の比(VI/VB)が、12/15以上である、インクボトル。
  2. 請求項1において、
    比(VI/VB)が、14/15以上である、インクボトル。
  3. 請求項1又は請求項2において、
    前記空間に収容された前記インク組成物の体積(VI)が、120[mL]以上である、インクボトル。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
    前記空間の容積(VB)が、200[mL]以下である、インクボトル。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか一項において、
    前記容器本体は、剛性容器又は半剛性容器である、インクボトル。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか一項において、
    前記容器本体は、金属層を有しない、インクボトル。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか一項において、
    前記封止体は、フィルムを含む、インクボトル。
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