JP2021104224A - 吸収性物品 - Google Patents
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(2)前記吸収体は、前記幅方向両端面間を開口部とし、前記トップシートを臨む前記基体不織布の前記非起毛面を底面部とする溝部を有し、前記親水性シートは、幅方向両端部が前記溝部の前記開口部を覆って重なり合うように、それぞれ幅方向に延伸され、前記重なり合う幅寸法が、内三つ折りした前記吸収体の幅寸法の5%以上50%以下である、上記(1)の吸収性物品。
(3)前記吸収体は、その側面部に位置する前記基体不織布が、前記高吸収性ポリマーを担持していない、上記(1)又は(2)の吸収性物品。
(4)前記第一のエアスルー不織布は、坪量が20g/m2以上100g/m2以下である、上記(1)〜(3)のいずれかの吸収性物品。
(5)前記基体不織布が第二のエアスルー不織布であり、前記第二のエアスルー不織布の坪量が20g/m2以上80g/m2以下であり、前記第二のエアスルー不織布を構成する繊維の太さが1.6dtex以上14dtex以下である、上記(1)〜(4)のいずれかの吸収性物品。
(6)前記高吸収性シートにおける前記高吸収性ポリマーの坪量が200g/m2以上1200g/m2以下である、上記(1)〜(5)のいずれかの吸収性物品。
本実施形態の吸収性物品50は、ベビー用又は成人用を問わず種々の吸収性物品として使用できるが、代表的には、軽失禁パッド、尿吸収パッド、パンツ型紙おむつ、テープ止め紙おむつ等が挙げられる。アウターとしての各種紙おむつと、インナーとしての吸収性物品50とを組み合わせてもよい。吸収性物品50の、長手方向及び幅方向の寸法は特に限定されないが、それぞれ例えば100mm以上800mm以下の範囲、及び50mm以上500mm以下である。吸収性物品50の寸法を前記の範囲に調整することで、種々の用途の吸収性物品が得られる。
トップシート25は、吸収体1に向けて体液を速やかに通過させる液透過性のシート状部材であり、吸収体1を挟んで、バックシート30に対向して配置される。トップシート25は、着用者の肌に当接する場合があることから、やわらかな感触で、肌に刺激を与えないような性質を有する基材が好ましい。該基材としては、例えば、親水性不織布、同種又は異種の親水性不織布の積合体である複合不織布、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ウレタンフォーム等の発泡フィルム等が挙げられる。親水性不織布は、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等の合成樹脂からなる合成繊維、レーヨン等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いて、エアスルー法、サーマルボンド法、スパンレース法、スパンボンド法等の公知の方法で加工することにより得られる。
本実施形態の吸収体1は、図2〜図4に示すように、起毛面11a及び非起毛面11bを有する基体不織布11と、基体不織布11の起毛面11aの起毛繊維11x間に固着担持された高吸収性ポリマー12と、を含む高吸収性シート10と、曲げこわさが0.02gf・cm2/cm以上0.6gf・cm2/cm以下である第一のエアスルー不織布を含み、高吸収性シート10における基体不織布11の起毛面11a側を覆う親水性シート20と、を備えている。また、吸収体1は、基体不織布11の起毛面11aを外側にして、幅方向両端面1A、1Bが対向しかつ基体不織布11の非起毛面11bがトップシート25を臨むように内三つ折りした立体形状を有し、幅方向の断面視が略Cの字を左側に90度回転させた形状である。さらに、吸収体1の幅方向両端面1A、1B間の距離寸法Cが、内三つ折りされた吸収体1の幅寸法Dの10%以上90%以下である。
以下、吸収体1及びその各構成部材について説明する。
図2に示すように、基体不織布11の片側表面11aは、基体不織布11を構成する繊維11xが起毛した状態である。そのため、不織布本来の嵩高さに加えて、高吸収性シート10に適度な厚みとやわらかさが付与されることにより、適度なクッション性が発生し、着用時のフィット感を向上させることができる。また、基体不織布11を上記のように起毛させることにより、基体不織布11の起毛した繊維11x間に高吸収性ポリマー12を分散させて固着担持させることができる。基体不織布11の片側表面11aを起毛させる方法としては、回転ノコ刃、ニードルパンチが挙げられ、インラインでの生産性やコストの観点から回転ノコ刃により毛羽立たせる方法を用いることが好ましい。
本実施形態の吸収体1に用いる高吸収性シート10は、図2に示すように、片側表面11aが起毛した基体不織布11と、基体不織布11の起毛した部分の繊維11x間に固着担持された高吸収性ポリマー12と、を有する。基体不織布11の起毛した部分の繊維11x間に高吸収性ポリマー12が分散して固着担持され、高吸収性ポリマー12周辺の基体不織布11に尿等の体液が適度に拡散又は保持されることにより、吸収性能が向上し、フラッフパルプを有さなくても十分な吸収性能を確保することができる。
高吸収性ポリマー12としては、尿を吸収し、かつ、逆流を防止できるものであれば特に制限はなく、ポリアクリル酸塩、ポリアスパラギン酸塩、(デンプン−アクリル酸)グラフト共重合体、(アクリル酸−ビニルアルコール)共重合体、(イソブチレン−無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物等の材料から形成されたものを使用することができる。これらの中でも、重量当たりの吸収量の観点から、ポリアクリル酸塩が好ましく、ポリアクリル酸ナトリウムがより好ましい。高吸収性ポリマー12の坪量は、各種の吸収性物品に要求される吸収性能を確保する観点から、200g/m2以上1200g/m2以下とすることが好ましい。また、吸収性能、吸収後の肌触り及び着用者の動きやすさをより向上させる観点から、高吸収性ポリマー12の坪量は、300g/m2以上900g/m2以下とすることがより好ましい。
本実施形態の吸収体1は、高吸収性シート10の起毛面11aと、親水性シート20と接着することにより、高吸収性ポリマー12が吸収体1の外へ漏れることを防止することができ、着用時の肌触りも向上させることができる。親水性シート20としては、曲げこわさが0.02gf・cm2/cm以上0.6gf・cm2/cm以下である第一のエアスルー不織布を用いる。第一のエアスルー不織布の機能については前述した通りである。第一のエアスルー不織布は、坪量が20g/m2以上100m2以下とすることが好ましい。なお、高吸収性シート10の起毛面11aを親水性シート20と接着する際には、高吸収性シート10と親水性シート20とを、ホットメルト接着剤や熱エンボス加工により固定することが好ましい。
吸収体1の製造方法としては、特に制限はないが、以下の方法が一例として挙げられる。基体不織布11の片側表面を回転ノコ刃又はニードルパンチを用いて、起毛させる。
その後、高吸収性ポリマー12をホットメルト接着剤等により、基体不織布11の起毛した部分の繊維間に固着担持させる。その後、基体不織布11の起毛面側と親水性シート20とをホットメルト接着剤等で接着し、高吸収性シート10を得る。この高吸収性シート10を、起毛面を外側にして、短手方向の両端を中央に向けて内三つ折り(C折り)し、吸収体を得る。内三つ折り(C折り)の折り目は、滑らかな弧を描くが(図4)、これが角張ったコの字を描いてもよい(図5)。吸収体1の中央部に距離Cだけ溝部21が生じるが、この箇所が吸収体1のスリットのような役割を果たす。
バックシート30は、吸収体1が保持している体液が衣類を濡らさないような液不透過性を備えた基材を用いて形成されればよく、樹脂フィルムや、樹脂フィルムと不織布とを積層した複合シートといった材料から形成される。複合シートに用いられる不織布としては、製法を特に限定せず、例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布を積層した複合不織布及びこれらの複合材料が挙げられる。また、樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルム等が挙げられる。
また、吸収性物品50には、図1に示すように、使用者の排泄した体液の横漏れを防止するため、吸収性物品50の長手方向に沿って、トップシート25の肌側面の両側端部に、一対の立体ギャザー40を備えている。吸収性物品50の幅方向における立体ギャザー40の幅方向一端は、バックシート30の肌側面の両側端部付近(又は非肌側面の両側端部付近)に固定され、その幅方向途中部はトップシート25の肌側面の両側端部付近に固定され、その幅方向他端はトップシート25に固定されない自由端40aとなるように、立体ギャザーシートが配される。この自由端40a付近に立体ギャザー用弾性伸縮部材(不図示)を長手方向に沿って設けることで、立体ギャザー40の自由端40aに起立性を付与し、着用者の体型に合わせて変形可能なものとなる。立体ギャザー40の幅方向一端の固定位置は、例えば、バックシート30の非肌側面の幅方向両端、トップシート25とバックシート30とを部分的又は全体的に接合した袋体の幅方向両端、トップシート25の肌側面の幅方向両端等が挙げられる。
吸収性物品50は、公知の製造方法により製造できるが、例えば、吸収体1をトップシート25とバックシート30との間に配置する工程と、トップシート25とバックシート30とを一部又は全周に亘ってホットメルト接着剤やヒートエンボス、超音波エンボス、高周波エンボス等を用いて固定する工程と、バックシート30及びトップシート25の所定位置に立体ギャザー40を設置する工程と、を含む製造方法が挙げられる。そして、吸収性物品50が尿取りパッドや軽失禁パッドである場合は、これを包装体に個別包装した後、長手方向に3つ折りにして折りたためばよい。また、レッグギャザー、ウエストギャザー、サイドフラップ等を必要に応じて設けることができる。
まず、基体不織布(坪量30g/m2、曲げ剛性が0.018gf・cm2/cm、幅方向の寸法90mm、長手方向の寸法400mm)のエアスルー不織布を用意し、基体不織布の片側表面を回転ノコ刃で物理的に起毛させて(起毛後厚さ1.2mm、起毛率25%)、高吸収性ポリマーを分散させ(坪量400g/m2)、ホットメルト接着剤により、基体不織布の起毛した部分の繊維間に固着担持させた。さらに、親水性シートとしてエアスルー不織布(坪量35g/m2、曲げ剛性Bが0.031gf・cm2/cm、幅方向の寸法140mm、長手方向の寸法400mm)を用意し、基体不織布の起毛面側と、ホットメルト接着剤を塗布した親水性シートとを接着し、高吸収性シートを得た。次に、基体不織布の起毛面が外側を向くように高吸収性シートを配し、中央部60mmを残し、左右を中央に向け折りたたみ、中央部で重なる親水性シート同士をホットメルト接着剤で固定した。こうして実施例1の吸収体を得た。
親水性シートとして坪量25g/m2、曲げ剛性が0.021gf・cm2/cmのエアスルー不織布を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例2の吸収体を作製した。
親水性シートとして坪量70g/m2、曲げ剛性が0.090gf・cm2/cmのエアスルー不織布を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例3の吸収体を作製した。
親水性シートとして坪量100g/m2、曲げ剛性が0.19gf・cm2/cmのエアスルー不織布を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例4の吸収体を作製した。
親水性シートとして幅方向の寸法90mmのエアスルー不織布を使用して得られた高吸収性シートを配し、中央部60mmを残し、左右15mmずつを中央に向け折りたたんだ以外は、実施例1と同様にして実施例5の吸収体を作製した。
親水性シートとして坪量150g/m2、曲げ剛性が0.67gf・cm2/cmのエアスルー不織布を使用した以外は、実施例1と同様にして比較例1の吸収体を作製した。
基体不織布として坪量35g/m2、曲げ剛性が0.031gf・cm2/cmのエアスルー不織布を使用し、親水性シートとして坪量30g/m2、曲げ剛性が0.018gf・cm2/cmのエアスルー不織布を使用した以外は、実施例1と同様にして吸収体を作製し、比較例2のサンプルとした。
基体不織布として坪量150g/m2、曲げ剛性が0.67gf・cm2/cmのエアスルー不織布を使用し、親水性シートとして坪量10g/m2、曲げ剛性Bが0.005gf・cm2/cmのスパンボンド不織布を使用した以外は、実施例1と同様にして比較例2の吸収体を作製した。
幅方向の寸法60mmの基体不織布及び親水性シートを使用して高吸収性シートを作製し、折りたたまずに配した以外は、実施例1と同様にして比較例4吸収体を作製した。
エアスルー不織布(坪量20g/m2)/高吸収性ポリマー(坪量280g/m2)/エアスルー不織布(坪量20g/m2)/高吸収性ポリマー(坪量100g/m2)/スパンレース不織布(坪量20g/m2)を積層したシート(幅方向の寸法はすべて60mm)を吸収体として用いた。なお、比較例5で用いた不織布については、実施例1で用いた基体不織布のような起毛処理は行わなかった。
実施例1〜5及び比較例1〜5で得られた各吸収体を用いて、厚み、吸収速度、逆戻り量を測定し、その結果を表1に示した。
(厚み)
無荷重条件下、および35gf/cm2の荷重条件下における吸収体中央の厚みを測定した。
実施例1及び比較例1〜5の各吸収体に、46g/cm2の加圧下で、内径30mmの筒から0.9質量%の生理食塩水(37℃)40mlを注水し、生理食塩水が吸収体表面へ吸収されるまでの時間(秒)を吸収速度1回目として計測する。3分経過後、0.9質量%の生理食塩水(37℃)40mlを再度注水し、生理食塩水が吸収体表面へ吸収されるまでの時間(秒)を吸収速度2回目として計測する。数値が小さいほど、吸収性に優れることを意味する。
実施例1及び比較例1〜5の吸収体に、生理食塩水200mlを注水し、注水してから10分後に35gf/cm2の荷重でろ紙を吸収体表面に圧着させ、1分間でろ紙に逆戻りした水分量を測定する。逆戻り量が少ないほど、吸収体がドライな状態であることを示す。
車椅子を日常的に使用する紙おむつ着用者8人の各パネラーの協力の下、実施例1及び比較例1乃至比較例3の各吸収体を用いたテープ止めタイプの紙おむつを着用した場合の、着用感(フィット感、やわらかさ)と吸収性(紙おむつ外への漏れの有無)について、「良い」又は「悪い」の2択で官能評価を行った。着用者は8時間使用し、日常動作における評価を行い、その結果を表1に示した。
◎:「良い」を選んだ着用者が8人のとき
〇:「良い」を選んだ着用者が6人以上7人以下のとき
△:「良い」を選んだ着用者が3人以上5人以下のとき
×:「良い」を選んだ着用者が1人若しくは2人のとき、又は「良い」を選んだ着用者が1人もいないとき
〇:操業のスピードを低下させることなく、通常の生産が可能であった。
△:操業のスピードは通常に比べて、1%以上10%以下低下した。
×:操業スピードは通常に比べて、10%を超えて低下した。
(曲げこわさ)
曲げこわさ(曲げ剛性)は、曲げ試験機(商品名:KES−FB2、カトーテック(株)製)の固定チャックと移動チャックに試料(100mm×100mm)を差し込んでセットして測定した。移動チャックが正側の最大曲率+2.5cm−1まで移動し反転して曲率0を通過し、その後、負の最大曲率−2.5cm−1まで移動し反転して曲率0で測定が終了し、このようにして1サイクルの曲率に対する曲げモーメントの往復曲線が得られる。曲げモーメントの往復曲線において、曲率0.5cm−1と1.5cm−1の間の傾きと曲率−0.5cm−1と−1.5cm−1の間の傾きの平均値を曲げこわさとした。
10 高吸収性シート
11 基体不織布
11a 起毛面
11b 非起毛面
11x 起毛繊維
12 高吸収性ポリマー
13 側面部
20 親水性シート
21、22 溝部
25 トップシート
30 バックシート
40 立体ギャザー
50 吸収性物品
Claims (6)
- 液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収体と、を備える吸収性物品であって、
前記吸収体は、
起毛面及び非起毛面を有する基体不織布と、前記基体不織布の前記起毛面の起毛繊維間に固着担持された高吸収性ポリマーと、を含む高吸収性シートと、曲げこわさが0.02gf・cm2/cm以上0.6gf・cm2/cm以下である第一のエアスルー不織布を含み、前記高吸収性シートにおける前記基体不織布の前記起毛面側を覆う親水性シートと、を備え、
前記基体不織布の前記起毛面を外側にして、前記吸収体の幅方向両端面が対向しかつ前記基体不織布の前記非起毛面が前記トップシートを臨むように内三つ折りした立体形状を有し、
前記吸収体の幅方向両端面間の距離寸法が、内三つ折りした前記吸収体の幅寸法の10%以上90%以下である、吸収性物品。 - 前記吸収体は、前記幅方向両端面間を開口部とし、前記トップシートを臨む前記基体不織布の前記非起毛面を底面部とする溝部を有し、
前記親水性シートは、幅方向両端部が前記溝部の前記開口部を覆って重なり合うように、それぞれ幅方向に延伸され、前記重なり合う幅寸法が、内三つ折りした前記吸収体の幅寸法の5%以上50%以下である、請求項1に記載の吸収性物品。 - 前記吸収体は、その側面部に位置する前記基体不織布が、前記高吸収性ポリマーを担持していない、請求項1又は2に記載の吸収性物品
- 前記第一のエアスルー不織布は、坪量が20g/m2以上100g/m2以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
- 前記基体不織布が第二のエアスルー不織布であり、前記第二のエアスルー不織布の坪量が20g/m2以上80g/m2以下であり、前記第二のエアスルー不織布を構成する繊維の太さが1.6dtex以上14dtex以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
- 前記高吸収性シートにおける前記高吸収性ポリマーの坪量が200g/m2以上1200g/m2以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
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