JP2021103486A - 対象者状態検知装置及び対象者状態検知方法 - Google Patents

対象者状態検知装置及び対象者状態検知方法 Download PDF

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Abstract

【課題】赤外線センサを用いて、残熱の影響を除去して対象者の実際の状態をより早い段階で検知することを可能とする対象者状態検知装置及び対象者状態検知方法を提供すること。【解決手段】対象エリア10を分割してなる複数の個別領域の温度を同時に測定するため個別領域に対応して複数のサーモパイル素子がマトリックス状に配置された赤外線センサ20と、赤外線センサ20によって測定された個別領域の温度に基づき状態として対象者の存否又は姿勢を判断する状態判断手段30とを備え、状態判断手段30は、対象者の状態を判断するにあたり、赤外線センサ20により測定された温度が閾値を超える個別領域は人体温度が存在するものとし、人体温度が存在するとした個別領域において、温度が所定時間内に下降基準量を超えて下降した場合は、閾値を上げる。【選択図】図5

Description

本発明は、寝床又は椅子周辺に設定された対象エリアにおける対象者の状態を検知する対象者状態検知装置及び対象者状態検知方法に関する。
入院患者や介護施設の入所者等(以下「対象者」という。)の中には、ベッドからの転落や、離床後の転倒、又は徘徊等の虞のある者がいる。そこで、対象者がベッドに居るか否かを判断する装置や、離床を検知する装置が提案されている。
例えば特許文献1には、ベッドの上方から下方に向けて2次元的に第1の温度分布を測定する第1の2次元温度分布センサ及びベッドの側方から水平に向けて2次元的に第2の温度分布を測定する第2の2次元温度分布センサを有する温度分布検出部と、第1及び第2の2次元温度分布センサが検出した第1及び第2の温度分布から、夫々、人体を示す温度領域を抽出する抽出部と、第1の温度分布の人体温度領域と第2の温度分布の人体温度領域とから、人体の立位、座位又は臥位を判定する判定部とを有する見守り支援装置が開示されている。この特許文献1には、ベッド上の荷重を荷重センサで検出し、検出した荷重からベッド上の人の体重及び重心位置を算出し、算出結果に基づいて離床を検知する離床センサも記載されている。
また、特許文献2には、複数のサーモパイル素子がマトリックス状に配列された赤外線アレイセンサ基板を有して、所定領域における温度分布を示すデータを熱画像情報として取得する熱画像情報取得部と、熱画像情報取得部によって取得された熱画像情報に基づいて、見守り対象者の起き出し挙動の判断をする起き出し挙動判断部とを備え、熱画像情報取得部は、天井よりも下方となる位置での配置であって、短辺側に背を向けて起き上がった見守り対象者の背部および両腕部を後ろ側から捉えて熱画像情報を取得するように配置され、見守り対象者の起き出し挙動を検知する見守りシステムが開示されている。この特許文献2には、ドップラーセンサや重量センサを用いて見守り対象者の在床状態を判定する在床判定手段も記載されている。
特開2014−106636号公報 特許第6582305号公報
寝床や椅子は、対象者の着床又は着座により布団や座面が温められて熱がこもり、対象者が離れた後にしばらく熱が残る場合がある。このため、特許文献1の見守り支援装置のように、ベッドの上方及び側方に設置した2次元温度分布センサが検出した温度分布から人体を示す温度領域を抽出する場合は、ベッドに残った熱(残熱)を人体温度と誤検知する可能性がある。また、特許文献1の見守り支援装置は、2次元温度分布センサとは別に、離床を検知するための荷重センサを設けているため、コストや設置の手間が増えてしまう。
また、特許文献2の見守りシステムは、対象者がベッドから離れた直後は布団に熱がこもっているため、赤外線アレイセンサ基板を有する熱画像情報取得部が取得する情報だけでは、離床した状態であるのか、就寝した状態であるのかの判断がつきづらい状況になるとして、在床しているか否かの判定は、ドップラーセンサや重量センサ等の在床センサに委ねている(段落0041)。しかしこの場合、起き出し挙動を検知する熱画像情報取得部とは別に、在床状態を判定するためのドップラーセンサや重量センサを設ける必要があるため、コストや設置の手間が増えてしまう。
そこで本発明は、赤外線センサを用いて、残熱の影響を除去して対象者の実際の状態をより早い段階で検知することを可能とする対象者状態検知装置及び対象者状態検知方法を提供することを目的とする。
請求項1記載の本発明の対象者状態検知装置は、寝床又は椅子周辺に設定された対象エリア10における対象者の状態を検知する対象者状態検知装置であって、対象エリア10を分割してなる複数の個別領域の温度を同時に測定するため個別領域に対応して複数のサーモパイル素子がマトリックス状に配置された赤外線センサ20と、赤外線センサ20によって測定された個別領域の温度に基づき状態として対象者の存否又は姿勢を判断する状態判断手段30とを備え、状態判断手段30は、対象者の状態を判断するにあたり、赤外線センサ20により測定された温度が閾値を超える個別領域は人体温度が存在するものとし、人体温度が存在するとした個別領域において、温度が所定時間内に下降基準量を超えて下降した場合は、閾値を上げることを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の対象者状態検知装置において、状態判断手段30は、温度が所定時間内に下降基準量を超えて下降した場合に上げる閾値を、個別領域の温度以上とすることを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項2に記載の対象者状態検知装置において、状態判断手段30は、閾値を、個別領域の温度以上とした後、個別領域の温度の低下に追随して下げることを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項3に記載の対象者状態検知装置において、状態判断手段30は、閾値を、温度が対象エリア10の在る部屋の室温未満となった場合に、温度の低下に追随して下げることを止め、室温未満かつ温度以上とすることを特徴とする。
請求項5記載の本発明の対象者状態検知方法は、寝床又は椅子周辺に設定された対象エリア10における対象者の存否又は姿勢といった状態を検知する対象者状態検知方法であって、対象エリア10を寝床又は椅子周辺に設定し、対象エリア10を複数の個別領域に分割し、個別領域に対応させて複数のサーモパイル素子がマトリックス状に配置された赤外線センサ20を用いて、対象エリア10における個別領域の温度を同時に測定し、測定した個別領域の温度に基づいて対象者の状態を判断するにあたり、赤外線センサ20により測定された温度が閾値を超える個別領域には人体温度が存在するものとし、人体温度が存在するとした個別領域において、温度が所定時間内に下降基準量を超えて下降した場合は、閾値を上げることを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項5に記載の対象者状態検知方法において、温度が所定時間内に下降基準量を超えて下降した場合に上げる閾値を、個別領域の温度以上とすることを特徴とする。
請求項7記載の本発明は、請求項6に記載の対象者状態検知方法において、閾値を、個別領域の温度以上とした後、個別領域の温度の低下に追随して下げることを特徴とする。
請求項8記載の本発明は、請求項7に記載の対象者状態検知方法において、閾値を、温度が対象エリア10の在る部屋の室温未満となった場合に、温度の低下に追随して下げることを止め、室温未満かつ温度以上とすることを特徴とする。
本発明によれば、個別領域から人体温度が消失したことを早期に検知することができ、ひいては対象者の状態判断の精度を高めることができる。
本発明の一実施例による対象者状態検知装置を適用するベッドを示す図 同対象エリアを示す図 同対象者状態検知装置のブロック図 同個別領域についての処理フローを示す図 同各モードにおける閾値を示す図 同対象者の状態の判断に用いる分布パターンを示す図
本発明の第1の実施の形態による対象者状態検知装置は、寝床又は椅子周辺に設定された対象エリアにおける対象者の状態を検知する対象者状態検知装置であって、対象エリアを分割してなる複数の個別領域の温度を同時に測定するため個別領域に対応して複数のサーモパイル素子がマトリックス状に配置された赤外線センサと、赤外線センサによって測定された個別領域の温度に基づき状態として対象者の存否又は姿勢を判断する状態判断手段とを備え、状態判断手段は、対象者の状態を判断するにあたり、赤外線センサにより測定された温度が閾値を超える個別領域は人体温度が存在するものとし、人体温度が存在するとした個別領域において、温度が所定時間内に下降基準量を超えて下降した場合は、閾値を上げるものである。
本実施の形態によれば、対象者が移動又は姿勢変更すると、残熱が発生した場合は個別領域の温度が急上昇した後に急低下し、また残熱が発生しない場合にも個別領域の温度が急低下するため、下降基準量を超える温度低下を検知して閾値を上げることで、個別領域から人体温度が消失したことを早期に検知することができ、ひいては対象者の状態判断の精度を高めることができる。
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による対象者状態検知装置において、状態判断手段は、温度が所定時間内に下降基準量を超えて下降した場合に上げる閾値を、個別領域の温度以上とするものである。
本実施の形態によれば、個別領域から人体温度が消失したことをより早期に検知することができる。
本発明の第3の実施の形態は、第2の実施の形態による対象者状態検知装置において、状態判断手段は、閾値を、個別領域の温度以上とした後、個別領域の温度の低下に追随して下げるものである。
本実施の形態によれば、対象者が当該個別領域に戻った場合に人体温度の存在を早期に検知できる。
本発明の第4の実施の形態は、第3の実施の形態による対象者状態検知装置において、状態判断手段は、閾値を、温度が対象エリアの在る部屋の室温未満となった場合に、温度の低下に追随して下げることを止め、室温未満かつ温度以上とするものである。
本実施の形態によれば、対象者が当該個別領域に入った場合に人体温度の存在を早期に検知できる。
本発明の第5の実施の形態による対象者状態検知方法は、寝床又は椅子周辺に設定された対象エリアにおける対象者の存否又は姿勢といった状態を検知する対象者状態検知方法であって、対象エリアを寝床又は椅子周辺に設定し、対象エリアを複数の個別領域に分割し、個別領域に対応させて複数のサーモパイル素子がマトリックス状に配置された赤外線センサを用いて、対象エリアにおける個別領域の温度を同時に測定し、測定した個別領域の温度に基づいて対象者の状態を判断するにあたり、赤外線センサにより測定された温度が閾値を超える個別領域には人体温度が存在するものとし、人体温度が存在するとした個別領域において、温度が所定時間内に下降基準量を超えて下降した場合は、閾値を上げるものである。
本実施の形態によれば、対象者が移動又は姿勢変更すると、残熱が発生した場合は個別領域の温度が急上昇した後に急低下し、また残熱が発生しない場合にも個別領域の温度が急低下するため、下降基準量を超える温度低下を検知して閾値を上げることで、個別領域から人体温度が消失したことを早期に検知することができ、ひいては対象者の状態判断の精度を高めることができる。
本発明の第6の実施の形態は、第5の実施の形態による対象者状態検知方法において、温度が所定時間内に下降基準量を超えて下降した場合に上げる閾値を、個別領域の温度以上とするものである。
本実施の形態によれば、個別領域から人体温度が消失したことをより早期に検知することができる。
本発明の第7の実施の形態は、第6の実施の形態による対象者状態検知方法において、閾値を、個別領域の温度以上とした後、個別領域の温度の低下に追随して下げるものである。
本実施の形態によれば、対象者が当該個別領域に戻った場合に人体温度の存在を早期に検知できる。
本発明の第8の実施の形態は、第7の実施の形態による対象者状態検知方法において、閾値を、温度が対象エリアの在る部屋の室温未満となった場合に、温度の低下に追随して下げることを止め、室温未満かつ温度以上とするものである。
本実施の形態によれば、対象者が当該個別領域に入った場合に人体温度の存在を早期に検知できる。
以下、本発明の一実施例による対象者状態検知装置及び対象者状態検知方法について説明する。
図1は本実施例による対象者状態検知装置を適用するベッドを示す図、図2は対象エリアを示す図である。
対象者状態検知装置は、寝床又は椅子の周辺に設定された対象エリア10における対象者の存否及び姿勢を対象者の状態として検知し、検知した対象者の状態を職員等に報知する。寝床の例としては介護・医療用ベッド、椅子の例としては介護・医療施設に設置されたソファが挙げられる。
本実施例では、対象エリア10をベッド1の周辺に設定している。
図1に示すように、ベッド1の先端1a側にはヘッドボード2が配置されている。また、ベッド1の後端1b及び一方の側端(左端)1cには転落防止用の柵(図示無し)が設けられている。このため対象者は、他方の側端(右端)1d側からベッド1に出入りする。対象者は、ベッド1において、頭を先端1a側、足を後端1b側として就寝する。ヘッドボード2の上部はベッド1の上面よりも上方に位置し、ヘッドボード2の脚2Aはベッド1の側端1c、1dよりも側方に位置している。
対象エリア10は、二箇所に設定されている。一箇所はベッド1上に設定された上部対象エリア11、もう一箇所はベッド1の他方の側端1dの側方かつベッド1の上面よりも下に設定された下部対象エリア12である。上部対象エリア11の範囲は、横方向はベッド1の一方の側端1cから他方の側端1dまで、高さ方向はベッド1の上面から凡そ対象者の座高の高さまでとしている。下部対象エリア12の範囲は、横方向はベッド1の他方の側端1dから約1m横まで、高さ方向は床面から凡そベッド1の上面までとしている。
対象者状態検知装置は、対象エリア10を複数の個別領域に分割する。本実施例では、図2に示すように、上部対象エリア11と下部対象エリア12を、それぞれ、4マス×4マスに16分割している。なお、以降の説明の便宜のため、図2においては個別領域ごとにアルファベットを付している。
図3は対象者状態検知装置のブロック図である。
対象者状態検知装置は、対象エリア10の温度を測定する赤外線センサ20と、対象エリア10における対象者の状態を判断する状態判断手段30と、対象者の状態を報知する報知手段40と、ベッド1が置かれた部屋の室温を測定する室温センサ50を備える。
赤外線センサ20は、物体から放射される赤外線を利用して温度を測定する。赤外線センサ20には、各対象エリア10における16個の個別領域の温度を同時に測定するため、個別領域に対応して16個のサーモパイル素子がマトリックス状に配置されている。赤外線センサ20は、例えば50msecといった一定の時間単位(フレーム)ごとに温度を測定して出力する。
赤外線センサ20は、図1に示すように、ヘッドボード2の上部と脚2A下部に配置されている。赤外線センサ20のレンズはベッド1の後端1b方向に向けられている。
ヘッドボード2の上部に設けられた赤外線センサ20である上部赤外線センサ21は、上部対象エリア11における個別領域A〜Pの温度を計測する。
ベッド1の他方の側端1d側においてヘッドボード2の脚2Aの下部に設けられた赤外線センサ20である下部赤外線センサ22は、下部対象エリア12における個別領域Q〜Z、α〜ζの温度を計測する。
状態判断手段30は、温度取得部31、閾値設定部32、区分部33、モード設定部34、残熱検知部35、判定部36、判断部37、及び記憶部38を備える。
温度取得部31は、赤外線センサ20が測定した個別領域の温度と、室温センサ50が測定した室温を取得する。
閾値設定部32は、各個別領域について、人体温度が存在するか否かの基準となる閾値を、室温と個別領域の温度に基づいて設定する。
区分部33は、各個別領域を、温度が閾値より大きいすなわち人体温度が存在する個別領域である第一の個別領域か、温度が閾値以下すなわち人体温度が存在しない個別領域である第二の個別領域に区分する。
モード設定部34は、各個別領域について、人体温度が存在しない不在モード、人体温度が存在する存在モード、及び残熱が存在する残熱モードのうちいずれか一つのモードを設定する。
残熱検知部35は、各個別領域について、対象者が個別領域から外れたときに発生する残熱を検知する。
判定部36は、二つの値を比較して、一方の値が他方の値を超えるか否か等を判定する。
記憶部38には、対象者の状態を判断する基準として設定された分布パターンが記憶されている。分布パターンは、第一の個別領域の予定位置と第二の個別領域の予定位置からなる。
判断部37は、区分部33による区分結果と、記憶部38に記憶されている分布パターンに基づいて、対象者の状態を判断する。
図4は個別領域についての処理フローを示す図、図5は各モードにおける閾値を示す図である。図5において縦軸は温度(単位:度)、横軸は時間であり、個別領域の温度(測定温度)を実線で示し、室温を点線で示し、閾値を二点鎖線で示している。
状態判断手段30は、個別領域ごとに以下の処理を行う。なお、これらの処理は、すべての個別領域について同時進行的に行われる。
処理開始時において、モード設定部34は、個別領域のモードを不在モードに設定する。個別領域のモードが不在モードに設定されると、閾値設定部32は、個別領域における人体温度の有無を判断する基準となる閾値として第一の閾値を設定する(S1:第一の閾値設定ステップ)。第一の閾値は、室温未満かつ個別領域の温度以上の範囲内で設定され、例えば室温−0.1度とする。
温度取得部31は、50msec等の所定間隔で、赤外線センサ20が測定した対象エリア10の個別領域の温度と、室温センサ50が測定した室温を取得する(S2:不在モード温度取得ステップ)。
判定部36は、不在モード温度取得ステップS2で取得された個別領域の温度が第一の閾値以下か否かを判定する(S3:第一の閾値判定ステップ)。
第一の閾値判定ステップS3において個別領域の温度が第一の閾値以下であると判定された場合は、モード設定部34は不在モードを継続し、区分部33は個別領域を第二の個別領域に区分する。また、閾値設定部32は、室温及び個別領域の温度に基づいて、室温未満かつ個別領域の温度以上の範囲内で、第一の閾値を調整する(S4:第一の閾値調整ステップ)。なお、結果として、室温が変動しなければ第一の閾値も変動しない。第一の閾値調整ステップS4の後は、不在モード温度取得ステップS2に戻る。
一方、第一の閾値判定ステップS3において個別領域の温度が第一の閾値以下でないと判定された場合は、モード設定部34は個別領域のモードを存在モードに設定し、区分部33は個別領域を第一の個別領域に区分する。
個別領域のモードが存在モードに設定されると、閾値設定部32は、個別領域における人体温度の有無を判断する基準となる閾値として第二の閾値を設定する(S5:第二の閾値設定ステップ)。第二の閾値は、室温よりも高く個別領域の温度未満の範囲内で設定され、例えば室温+0.3度とする。
温度取得部31は、50msec等の所定間隔で、赤外線センサ20が測定した対象エリア10の個別領域の温度と、室温センサ50が測定した室温を取得する(S6:存在モード温度取得ステップ)。
判定部36は、存在モード温度取得ステップS6で取得された個別領域の温度が第二の閾値以下か否かを判定する(S7:第二の閾値判定ステップ)。
第二の閾値判定ステップS7において個別領域の温度が第二の閾値以下であると判定された場合は、モード設定部34は個別領域のモードを不在モードに設定し、区分部33は個別領域を第二の個別領域に区分する。
一方、第二の閾値判定ステップS7において個別領域の温度が第二の閾値以下でないと判定された場合は、モード設定部34は存在モードを継続し、区分部33は個別領域を第一の個別領域に区分する。また、残熱検知部35は、個別領域の温度について、所定時間内における温度の下降を示す下降変化量を算出する(S8:下降変化量算出ステップ)。所定時間は、例えば100msecとする。
下降変化量算出ステップS8の後、残熱検知部35は、算出した下降変化量が下降基準量を超えるか否かを判定する(S9:下降変化量判定ステップ)。下降基準量は、例えば所定時間における下降温度が0.5度とする。
下降変化量判定ステップS9において下降変化量が下降基準量を超えないと判定された場合は、モード設定部34は存在モードを継続する。また、閾値設定部32は、室温及び個別領域の温度に基づいて、室温よりも高く個別領域の温度未満の範囲内で、第二の閾値を調整する(S10:第二の閾値調整ステップ)。なお、結果として、室温が変動しなければ第二の閾値も変動しない。第二の閾値調整ステップS10の後は、存在モード温度取得ステップS6に戻る。
一方、下降変化量判定ステップS9において下降変化量が下降基準量を超えると判定された場合は、モード設定部34は個別領域のモードを残熱モードに設定する。
個別領域のモードが残熱モードに設定されると、閾値設定部32は、個別領域における人体温度の有無を判断する基準となる閾値として第三の閾値を設定する(S11:第三の閾値設定ステップ)。第三の閾値は、個別領域の温度以上の所定範囲内で設定され、例えば個別領域の温度と同じとする。これにより、図5に示すように、残熱モードの閾値は、存在モードの閾値から大きく上がることとなる。
このように、対象者の移動又は姿勢変更によって、残熱が発生した場合は個別領域の温度が急上昇した後に急低下すること、及び残熱が発生しない場合にも個別領域の温度が急低下することに着目し、算出した下降変化量が下降基準量を超える場合は存在モードから残熱モードへ切り替えて閾値を上げることで、個別領域から人体温度が消失したことを早期に検知することができ、ひいては対象者の状態判断の精度を高めることができる。また、第三の閾値を個別領域の温度以上とすることで、個別領域から人体温度が消失したことをより早期に検知することができる。
温度取得部31は、50msec等の所定間隔で、赤外線センサ20が測定した対象エリア10の個別領域の温度と、室温センサ50が測定した室温を取得する(S12:残熱モード温度取得ステップ)。
判定部36は、残熱モード温度取得ステップS12で取得された個別領域の温度が第三の閾値以下か否かを判定する(S13:第三の閾値判定ステップ)。
第三の閾値判定ステップS13において個別領域の温度が第三の閾値以下でないと判定された場合は、モード設定部34は個別領域のモードを存在モードに設定し、区分部33は個別領域を第一の個別領域に区分する。
一方、第三の閾値判定ステップS13において個別領域の温度が第三の閾値以下であると判定された場合は、モード設定部34は残熱モードを継続し、区分部33は個別領域を第二の個別領域に区分する。また、判定部36は、個別領域の温度が室温以上か否かを判定する(S14:温度/室温判定ステップ)。
温度/室温判定ステップS14において個別領域の温度が室温以上でないと判定された場合は、モード設定部34は個別領域のモードを不在モードに設定する。これにより閾値は室温未満かつ個別領域の温度以上の範囲内で設定される第一の閾値となり、対象者が当該領域に入った場合は人体温度の存在を迅速に検知できる。
一方、温度/室温判定ステップS14において個別領域の温度が室温以上であると判定された場合は、モード設定部34は残熱モードを継続する。また、閾値設定部32は、個別領域の温度に基づいて第三の閾値を調整する(S15:第三の閾値調整ステップ)。
残熱は時間の経過と共に消えていくので、それに伴い個別領域の温度は徐々に下がる。そのため、閾値を上げたままにしておくと、対象者がその個別領域に戻ってきてもすぐには閾値を超えず検知できない(第一の個別領域に区分されない)場合があり得る。そこで、第三の閾値調整ステップS15において閾値設定部32は、個別領域の温度が低下したときは、その低下量に追随して閾値を下げる。これにより、第三の閾値は常に個別領域の温度以上の所定範囲内となり、対象者が当該個別領域に戻った場合に人体温度の存在を早期に検知できる。
第三の閾値調整ステップS15の後は、残熱モード温度取得ステップS12に戻る。
図6は対象者の状態の判断に用いる分布パターンを示す図である。図6において、色付きマスは第一の個別領域の予定位置を示し、色無しマスは第二の個別領域の予定位置を示している。
本実施例では、対象者の代表的な状態として、対象者がベッド1に横たわった状態である「臥位」、対象者がベッド1に座った状態である「座位」、対象者がベッド1の側端に座り床に足を下ろした状態である「端座位」、対象者がベッド1の傍に立った状態である「離床」、対象者がベッド1及びその周辺に居ない状態である「不在」を設定している。
判断部37は、以下のように、区分部33による区分の結果得られた第一の個別領域と第二の個別領域の分布を、分布パターンと照合して、対象者の状態を判断する。区分結果を分布パターンと照合して対象者の状態(存否又は姿勢)を判断することで、比較的シンプルなアルゴリズムで対象者の状態を迅速に検知することができる。
臥位:対象者がベッド1に横たわった状態では、人体による熱源は上部対象エリア11の下側に存在する。そのため、上部対象エリア11の下側2行における8個の個別領域I〜Pのうち隣接する所定数以上(例えば四つ以上)が第一の個別領域であり、かつ、上部対象エリア11の上側2行の個別領域A〜Hと下部対象エリア12の個別領域Q〜Z、α〜ζにおいて第一の個別領域がそれぞれ所定数以下(例えばゼロ)である場合は、臥位(図6(a))と判断する。
座位:対象者がベッド1に足を乗せて座った状態では、人体による熱源は上部対象エリア11の上側に存在する。そのため、上部対象エリア11の上側2行における8個の個別領域A〜Hのうち隣接する所定数以上(例えば四つ以上)が第一の個別領域であり、かつ、下部対象エリア12の個別領域Q〜Z、α〜ζにおいて第一の個別領域が所定数以下(例えばゼロ)である場合は、座位(図6(b))と判断する。
なお、座位においては、上部対象エリア11の下側2行における8個の個別領域I〜Pのいずれかにも第一の個別領域が存在するが、上側2行と下側2行とでの熱量の高低に基づいて臥位か座位かを判断している。一般には身体のうち頭部の温度が最も高いため、上側2行の熱量のほうが高ければ座位、下側2行の熱量のほうが高ければ臥位と判断する。
端座位:対象者がベッド1の他方の側端1dに座り床に足を下ろした状態では、人体による熱源は上部対象エリア11の右側と下部対象エリア12の左側に存在する。そのため、上部対象エリア11の右側2列における8個の個別領域C、D、G、H、K、L、O、Pのうち隣接する所定数以上(例えば四つ以上)が第一の個別領域であり、下部対象エリア12の左側2列における8個の個別領域Q、R、U、V、Y、Z、γ、δのうち隣接する所定数以上(例えば四つ以上)が第一の個別領域であり、かつ、上部対象エリア11の左側2列の個別領域A、B、E、F、I、J、M、Nと下部対象エリア12の右側2列の個別領域S、T、W、X、α、β、ε、ζにおいて第一の個別領域がそれぞれ所定数以下(例えばゼロ)である場合は、端座位(図6(c))と判断する。
離床:対象者がベッド1の傍に立った状態では、人体による熱源は下部対象エリア12の中央に存在する。そのため、下部対象エリア12の中央2列における8個の個別領域R、S、V、W、Z、α、δ、εのうち隣接する所定数以上(例えば四つ以上)が第一の個別領域であり、かつ、上部対象エリア11の個別領域A〜Pと下部対象エリア12の左右端各一列の個別領域Q、U、Y、γ、T、X、β、ζにおいて第一の個別領域がそれぞれ所定数以下である分布パターンに該当する場合は、離床(図6(d))と判断する。
不在:対象者がベッド1及びその周辺に居ない場合は、対象エリア10に人体による熱源はない。そのため、上部対象エリア11の個別領域A〜Pと下部対象エリア12の個別領域Q〜Z、α〜ζにおいて第一の個別領域がそれぞれ所定数以下(例えばゼロ)である分布パターンに該当する場合は、不在(図6(e))と判断する。
判断した対象者の状態は、報知手段40を介して外部へ送信され、例えば管理室に設置されたモニタや、職員等が携帯する携帯端末に表示される。なお、判断された状態に応じて、警報を音や光等で発するようにしてもよい。これにより、対象者のアクシデントにつながるような状態を職員等が見落とすことを防止できる。
10 対象エリア
20 赤外線センサ
30 状態判断手段
31 温度取得部
32 閾値設定部
33 区分部
34 モード設定部
35 残熱検知部
36 判定部

Claims (8)

  1. 寝床又は椅子周辺に設定された対象エリアにおける対象者の状態を検知する対象者状態検知装置であって、
    前記対象エリアを分割してなる複数の個別領域の温度を同時に測定するため前記個別領域に対応して複数のサーモパイル素子がマトリックス状に配置された赤外線センサと、
    前記赤外線センサによって測定された前記個別領域の温度に基づき前記状態として前記対象者の存否又は姿勢を判断する状態判断手段と、
    を備え、
    前記状態判断手段は、前記対象者の前記状態を判断するにあたり、前記赤外線センサにより測定された前記温度が閾値を超える前記個別領域は人体温度が存在するものとし、前記人体温度が存在するとした前記個別領域において、前記温度が所定時間内に下降基準量を超えて下降した場合は、前記閾値を上げることを特徴とする対象者状態検知装置。
  2. 前記状態判断手段は、前記温度が所定時間内に下降基準量を超えて下降した場合に上げる前記閾値を、前記個別領域の前記温度以上とすることを特徴とする請求項1に記載の対象者状態検知装置。
  3. 前記状態判断手段は、前記閾値を、前記個別領域の前記温度以上とした後、前記個別領域の前記温度の低下に追随して下げることを特徴とする請求項2に記載の対象者状態検知装置。
  4. 前記状態判断手段は、前記閾値を、前記温度が前記対象エリアの在る部屋の室温未満となった場合に、前記温度の低下に追随して下げることを止め、前記室温未満かつ前記温度以上とすることを特徴とする請求項3に記載の対象者状態検知装置。
  5. 寝床又は椅子周辺に設定された対象エリアにおける対象者の存否又は姿勢といった状態を検知する対象者状態検知方法であって、
    前記対象エリアを前記寝床又は前記椅子周辺に設定し、
    前記対象エリアを複数の個別領域に分割し、
    前記個別領域に対応させて複数のサーモパイル素子がマトリックス状に配置された赤外線センサを用いて、前記対象エリアにおける前記個別領域の温度を同時に測定し、
    測定した前記個別領域の温度に基づいて前記対象者の前記状態を判断するにあたり、前記赤外線センサにより測定された前記温度が閾値を超える前記個別領域には人体温度が存在するものとし、前記人体温度が存在するとした前記個別領域において、前記温度が所定時間内に下降基準量を超えて下降した場合は、前記閾値を上げることを特徴とする対象者状態検知方法。
  6. 前記温度が所定時間内に下降基準量を超えて下降した場合に上げる前記閾値を、前記個別領域の前記温度以上とすることを特徴とする請求項5に記載の対象者状態検知方法。
  7. 前記閾値を、前記個別領域の前記温度以上とした後、前記個別領域の前記温度の低下に追随して下げることを特徴とする請求項6に記載の対象者状態検知方法。
  8. 前記閾値を、前記温度が前記対象エリアの在る部屋の室温未満となった場合に、前記温度の低下に追随して下げることを止め、前記室温未満かつ前記温度以上とすることを特徴とする請求項7に記載の対象者状態検知方法。
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