以下、本発明の実施形態に係るレンズ駆動装置101について図面を参照して説明する。図1は、レンズ駆動装置101の分解斜視図である。図2は、レンズ駆動装置101の全体図である。具体的には、図2(A)は、レンズ駆動装置101の上方斜視図であり、図2(B)は、X1側から見たレンズ駆動装置101の正面図である。
レンズ駆動装置101は、図1に示すように、レンズ保持部材2、板ばね6、配線基板10、筐体HS、駆動機構MK、及び金属板MPを含む。
レンズ保持部材2は、上面視で略矩形環状をなし、レンズ体(図示せず。)を保持するように構成されている。レンズ体は、例えば、少なくとも1枚のレンズを備えた筒状のレンズバレルであり、その中心軸線が光軸方向に沿うように構成されている。「光軸方向」は、レンズ体に関する光軸JDの方向、及び、光軸JDに平行な方向を含む。
駆動機構MKは、レンズ保持部材2を光軸方向(Z軸方向)に沿って移動させることができるように構成されている。具体的には、駆動機構MKは、図1に示すように、2つのオーバル形状の巻回部13Aを有するコイル3と、径方向(光軸方向に垂直な方向)においてコイル3の巻回部13Aと対向するように配置される駆動用磁石5Aと、レンズ保持部材2に取り付けられた検出用磁石8及びバランス用磁石9と、配線基板10に取り付けられた磁気検出部材11及びコンデンサ14とを含む。2つの巻回部13Aは、レンズ保持部材2の4つの側面2Aのうちの対向する2つによって保持されている。そして、駆動機構MKは、コイル3に流れる電流と駆動用磁石5Aが発生する磁界とによってローレンツ力(駆動力又は推力)を発生させ、レンズ保持部材2を光軸方向に沿って上下に移動させる。
板ばね6は、レンズ保持部材2を光軸方向に移動可能に支持する支持部材として構成されている。本実施形態では、板ばね6は、上側板ばね16及び下側板ばね26を含む。上側板ばね16は、第1上側板ばね16A1及び第2上側板ばね16A2を含む。
具体的には、板ばね6は、銅合金を主な材料とした導電性の金属板から作製されている。レンズ保持部材2と板ばね6(上側板ばね16及び下側板ばね26)のそれぞれとが係合された状態で、板ばね6は、レンズ保持部材2が光軸方向(Z軸方向)へ移動可能となるように、レンズ保持部材2を支持している。そして、第1上側板ばね16A1及び第2上側板ばね16A2は、コイル3に電流を供給するための給電部材として機能する。そのため、第1上側板ばね16A1はコイル3の一端部に電気的に接続され、第2上側板ばね16A2はコイル3の他端部に電気的に接続されている。
筐体HSは、板ばね6が固定される固定側部材として構成されている。本実施形態では、筐体HSは、矩形箱状の外側ケースを構成している。具体的には、筐体HSは、合成樹脂で形成された蓋部材1と、合成樹脂で形成されたケース4とを含む。本実施形態では、蓋部材1とケース4とは同じ合成樹脂で形成されている。但し、蓋部材1とケース4とは互いに異なる合成樹脂で形成されていてもよい。
上側板ばね16は、レンズ保持部材2の上端部とケース4とを繋ぐように配置され、下側板ばね26は、レンズ保持部材2の下端部とケース4とを繋ぐように配置されている。
蓋部材1は、矩形環状且つ平板状をなし、中央部に開口1Kが形成されている。そして、蓋部材1は、上面で開口するように形成されたケース4のその上面に蓋をするように構成されている。但し、蓋部材1は、下面で開口するように形成されたケース4のその下面に蓋をするように構成されていてもよい。
ケース4は、図1に示すように、ドットハッチングで表される収容空間4Sを定める箱状の外形を有する。具体的には、ケース4は、矩形筒状の外周壁部4Aと、外周壁部4Aの下端(Z2側の端)と連続するように設けられた平板環状の底壁部4Bとを有する。底壁部4Bには、開口4Kが形成されている。
外周壁部4Aは、第1側壁部4A1〜第4側壁部4A4を含む。具体的には、外周壁部4Aは、光軸方向と直交する第1方向(Y軸方向)において収容空間4Sを挟んで対向する第1側壁部4A1及び第2側壁部4A2と、光軸方向及び第1方向のそれぞれと直交する第2方向(X軸方向)において収容空間4Sを挟んで対向する第3側壁部4A3及び第4側壁部4A4とを有する。第1側壁部4A1及び第2側壁部4A2のそれぞれは、第3側壁部4A3及び第4側壁部4A4のそれぞれに対して垂直である。
レンズ保持部材2は、その側面2Aが外周壁部4Aに対向するように配置される。具体的には、レンズ保持部材2の側面2Aは、第1側面2A1〜第4側面2A4を含む。より具体的には、側面2Aは、第1側壁部4A1に対向するように配置される第1側面2A1と、第2側壁部4A2に対向するように配置される第2側面2A2と、第3側壁部4A3に対向するように配置される第3側面2A3と、第4側壁部4A4に対向するように配置される第4側面2A4とを含む。
コイル3は、上側板ばね16及び配線基板10の導電パターン(配線パターン)を介して磁気検出部材11と電気的に接続される。磁気検出部材11に備えられた電流制御回路(ドライバIC)からコイル3に電流が流れると、駆動機構MKは、光軸方向に沿った電磁力を発生させる。
駆動用磁石5Aは、第1側壁部4A1に対向するように第1側壁部4A1の内側に配置される第1駆動用磁石5A1と、第2側壁部4A2に対向するように第2側壁部4A2の内側に配置される第2駆動用磁石5A2とを含む。第1側壁部4A1と第1駆動用磁石5A1との間、及び、第2側壁部4A2と第2駆動用磁石5A2との間には接着剤(図示せず。)が設けられている。すなわち、第1駆動用磁石5A1は接着剤によって第1側壁部4A1に接着固定され、第2駆動用磁石5A2は接着剤によって第2側壁部4A2に接着固定される。
本実施形態では、第1駆動用磁石5A1は、2つの二極磁石の組み合わせで構成されている。但し、第1駆動用磁石5A1は、1つの二極磁石で構成されていてもよく、1つの四極磁石で構成されていてもよい。第2駆動用磁石5A2についても同様である。
具体的には、第1駆動用磁石5A1は、図1に示すように、第1上側磁石5A1U及び第1下側磁石5A1Lを含む。第2駆動用磁石5A2は、第2上側磁石5A2U及び第2下側磁石5A2Lを含む。第1上側磁石5A1U、第1下側磁石5A1L、第2上側磁石5A2U、及び第2下側磁石5A2Lは何れも第2方向(X軸方向)に延在する略直方体形状をなしている。
駆動用磁石5Aは、コイル3(巻回部13A)の外側に配置される。具体的には、第1駆動用磁石5A1は、第1側面2A1に保持される第1巻回部13A1の外側に、第1巻回部13A1から間隔を空けて配置され、第2駆動用磁石5A2は、第2側面2A2に保持される第2巻回部13A2の外側に、第2巻回部13A2から間隔を空けて配置される。
このように、ケース4は、レンズ保持部材2、コイル3、駆動用磁石5A、及び板ばね6を収容空間4S内に収容し、且つ、図2(A)に示すように、蓋部材1に結合されて蓋部材1とともに筐体HSを構成している。
検出用磁石8は、光軸方向におけるレンズ保持部材2の位置を検出するためにレンズ保持部材2に取り付けられる二極磁石である。検出用磁石8は、レンズ保持部材2の角部の1つに配置されている。具体的には、検出用磁石8は、図3(A)及び図3(B)に示すように、第2側面2A2と第3側面2A3との間にある角部に形成された凹部8R内に嵌め込まれている。そして、検出用磁石8が発生させる磁気は、配線基板10に取り付けられた磁気検出部材11によって検出される。
バランス用磁石9は、検出用磁石8の重量がレンズ保持部材2の重量バランスに及ぼす影響を相殺するためにレンズ保持部材2に取り付けられる二極磁石である。本実施形態では、バランス用磁石9は、検出用磁石8と同じ二極磁石であり、検出用磁石8と同じ重量を有する。バランス用磁石9は、レンズ保持部材2の角部の別の1つに配置されている。具体的には、バランス用磁石9は、図3(A)及び図3(B)に示すように、第1側面2A1と第4側面2A4との間にある角部に形成された凹部9R内に嵌め込まれている。すなわち、バランス用磁石9は、検出用磁石8が配置される角部とは光軸JDを挟んで反対側にある角部に配置されている。
本実施形態では、検出用磁石8及びバランス用磁石9は何れも、図3(C)に示すように、接着剤AD1でレンズ保持部材2に固定されている。具体的には、検出用磁石8は、凹部8R内に塗布された接着剤AD1によって接着固定され、バランス用磁石9は、凹部9R内に塗布された接着剤AD1によって接着固定される。
磁気検出部材11は、検出用磁石8が発生させる磁気を検出する磁気センサと、コイル3に流れる電流を制御する電流制御回路が内蔵されたドライバICとを含む。磁気センサは、例えば、ホール素子である。本実施形態では、磁気検出部材11は、ホール素子とドライバICを構成するチップとが1つのパッケージに収められた電子部品によって構成されている。
配線基板10は、導電パターンとしての導電性の配線パターンが形成された部材である。本実施形態では、配線基板10は、両面フレキシブルプリント基板であり、ケース4の外周壁部4Aの外面に取り付けられている。具体的には、配線基板10は、外周壁部4Aを構成している第3側壁部4A3の外面(X1側の面)に接着固定されている。
金属板MPは、ケース4の外周壁部4Aを補強する部材である。本実施形態では、金属板MPは、オーステナイト系ステンレス鋼等の非磁性体で形成されている。そして、金属板MPは、外周壁部4Aを構成している4つの側壁部のうち、配線基板10が取り付けられる第3側壁部4A3を補強するために、第3側壁部4A3に取り付けられた配線基板10の外側で、第3側壁部4A3に取り付けられている。第3側壁部4A3は、他の3つの側壁部よりも低い剛性を有するためである。第3側壁部4A3の低剛性は、主に、配線基板10に取り付けられた磁気検出部材11及びコンデンサ14を受け入れるための貫通孔4Hの存在に起因する。具体的には、金属板MPは、金属板MPと第3側壁部4A3との間に配線基板10を挟み込むようにして第3側壁部4A3に接着固定される。この点において、金属板MPは、配線基板10を保護する機能及び配線基板10を支持する機能も有する。そして、金属板MPの内面と配線基板10の外面との間には、典型的には、接着剤が配置されている。なお、板状部材としての金属板MPは、合成樹脂で形成された補強板(支持板)で置き換えられてもよく、省略されてもよい。
レンズ駆動装置101は、略直方体形状を有し、撮像素子(図示せず。)を実装した主基板(図示せず。)の上に取り付けられる。カメラモジュールは、主基板と、レンズ駆動装置101と、レンズ保持部材2に装着されたレンズ体と、レンズ体に対向するように主基板に実装された撮像素子とによって構成される。
レンズ駆動装置101は、駆動機構MKが発生させる電磁力を利用し、撮像素子のZ1側(被写体側)で、光軸方向に沿ってレンズ保持部材2を移動させることで自動焦点調節機能を実現する。具体的には、レンズ駆動装置101は、撮像素子から離れる方向にレンズ保持部材2を移動させてマクロ撮影を可能にし、撮像素子に近づく方向にレンズ保持部材2を移動させて無限遠撮影を可能にしている。
次に、図3及び図4を参照し、上側組立体UAの組立方法について説明する。図3及び図4は、上側組立体UAの組立手順を示す。上側組立体UAは、レンズ保持部材2、コイル3、検出用磁石8、バランス用磁石9、及び上側板ばね16で構成されている。
図3は、レンズ保持部材2の下面(Z2側の面)を表す、レンズ保持部材2の3つの斜視図を含む。具体的には、図3(A)は、検出用磁石8及びバランス用磁石9が取り付けられる前のレンズ保持部材2を示し、図3(B)は、検出用磁石8及びバランス用磁石9が取り付けられた後のレンズ保持部材2を示し、図3(C)は、検出用磁石8及びバランス用磁石9をレンズ保持部材2に接着固定するための接着剤AD1が塗布された後のレンズ保持部材2を示している。なお、図3(B)では、明瞭化のため、検出用磁石8及びバランス用磁石9にドットパターンが付されている。図3(C)では、明瞭化のため、接着剤AD1にドットパターンが付されている。
図4は、検出用磁石8及びバランス用磁石9が取り付けられた後のレンズ保持部材2の4つの上方斜視図を含む。具体的には、図4(A)は、コイル3が取り付けられる前のレンズ保持部材2を示し、図4(B)は、コイル3が取り付けられた後のレンズ保持部材2を示し、図4(C)は、コイル3と上側板ばね16とを導通可能に接着固定するための導電性接着剤AD2が塗布された後のレンズ保持部材2を示している。また、図4(D)は、上側板ばね16が取り付けられた後のレンズ保持部材2を示している。すなわち、図4(D)は、上側組立体UAが組み上がった状態を示している。なお、図4(B)では、明瞭化のため、コイル3にドットパターンが付されている。図4(C)では、明瞭化のため、導電性接着剤AD2にドットパターンが付されている。図4(D)では、明瞭化のため、上側板ばね16にドットパターンが付されている。
レンズ保持部材2は、典型的には、合成樹脂によって作製される。本実施形態では、レンズ保持部材2は、液晶ポリマー(LCP)を射出成形することによって作製されている。
レンズ保持部材2の撮像素子側(Z2側)の端面には、図3(A)に示すように、検出用磁石8を受け入れるための凹部8Rと、バランス用磁石9を受け入れるための凹部9Rとが形成されている。具体的には、第2側面2A2と第3側面2A3との間に位置する角部に凹部8Rが形成され、第1側面2A1と第4側面2A4との間に位置する角部に凹部9Rが形成されている。
凹部8Rは、第3側面2A3側(X1側)に向かって開く開口8Kを有する。そのため、凹部8Rに嵌め込まれた検出用磁石8は、図1及び図3(B)に示すように、第3側面2A3において平坦面8Aを露出させる。この構成により、検出用磁石8は、平坦面8Aを磁気検出部材11におけるホール素子に近接させることができる。
一方、凹部9Rは、開口8Kのような開口を有していない。そのため、凹部9Rに嵌め込まれたバランス用磁石9は、図3(B)に示すように、第4側面2A4において表面を露出させていない。この構成により、レンズ保持部材2は、バランス用磁石9とコイル3の連結部3C(図4(B)参照。)とが接触してしまうのを防止できる。
検出用磁石8が嵌め込まれた凹部8R、及び、バランス用磁石9が嵌め込まれた凹部9Rには、図3(C)に示すように、接着剤AD1が充填される。この接着剤AD1によって、検出用磁石8及びバランス用磁石9は、レンズ保持部材2に接着固定される。
また、レンズ保持部材2は、図3(A)に示すように、光軸方向に沿って延びる、レンズ体を受け入れるための貫通孔が形成された筒状部12を含む。筒状部12には、レンズ体が装着されるように、円筒状の内周面にねじ溝が設けられている。また、筒状部12には、図3(A)に示すように、撮像素子側(Z2側)の端面に4つの窪み12dhを有した下側台座部12dが設けられている。下側台座部12dは、窪み12dhに接着剤(図示せず。)が塗布された状態で、下側板ばね26の内側部分26i(図1参照。)に載置される。この接着剤によって、レンズ保持部材2の下端部は、下側板ばね26に接着固定される。
筒状部12の外周面には、図3(A)及び図4(A)に示すように、コイル3の巻回部13Aを保持するための巻き付け突起12pが設けられている。本実施形態では、巻き付け突起12pは、光軸方向に垂直な軸の周囲に巻回部13Aが巻き付けられるよう、筒状部12の外周面から径方向(Y1方向及びY2方向)に突出する略直方体形状をなしている。具体的には、巻き付け突起12pは、第1巻回部13A1が巻き付けられる第1巻き付け突起12p1と、第2巻回部13A2が巻き付けられる第2巻き付け突起12p2とを含む。
コイル3は、図4(B)に示すように、巻き付け突起12pに導電性の線材を巻回して形成されている。具体的には、コイル3は、第1側壁部4A1(図1参照。)と対向するように配置される第1巻回部13A1と、第2側壁部4A2(図1参照。)と対向するように配置される第2巻回部13A2と、第1巻回部13A1と第2巻回部13A2とを繋ぐ連結部3C(図15参照。)とを含む。本実施形態では、巻回部13Aは、接着剤を用いずに巻き付け突起12pに固定されているが、接着剤を用いて巻き付け突起12pに接着固定されてもよい。また、巻回部13Aの巻き方向は、任意であり、駆動用磁石5Aの配置(着磁方向)に応じて決定される。
図4(B)は、明瞭化のため、巻回部13Aに関しては、絶縁部材で表面を被覆された導電性の線材の詳細な巻回状態の図示を省略している。巻回部13Aを図示する他の図についても同様である。
レンズ保持部材2は、図4(A)に示すように、被写体側(Z1側)の端面から上方(Z1方向)に突出した、角形凸状の突出部としての2つの保持部72と、丸形凸状の4つの突設部2Tとを含む。
保持部72は、図4(B)に示すように、コイル3の巻き終わり側の線材部分である第1延在部33A1に対応する第1保持部72A1と、コイル3の巻き始め側の線材部分である第2延在部33A2に対応する第2保持部72A2とを含む。このように、コイル3の両端は、保持部72に巻き付けられて保持されている。
具体的には、第1延在部33A1は、第1保持部72A1に巻き付けられる巻き付け部33mと、レンズ保持部材2の上面(Z1側の面)と対向して延びる対向部33cとを有する。同様に、第2延在部33A2は、第2保持部72A2に巻き付けられる巻き付け部33mと、レンズ保持部材2の上面(Z1側の面)と対向して延びる対向部33cとを有する。
本実施形態では、第2延在部33A2は、コイル3を構成する線材が第2巻き付け突起12p2の外周に巻き付けられる前に、レンズ保持部材2の第2保持部72A2に巻き付けられる。図4(B)に示す例では、コイル3を構成する線材が第2保持部72A2に3ターン巻き付けられている。これにより、巻き付け部33mが第2保持部72A2に形成され、第2延在部33A2の一部が第2保持部72A2に保持される。但し、第2延在部33A2は、コイル3を構成する線材が第2巻き付け突起12p2の外周に巻き付けられた後で、第2保持部72A2に巻き付けられてもよい。
第2巻回部13A2が形成された後、第2巻回部13A2から引き出された線材によって連結部3Cが形成される。そして、連結部3Cが形成された後で、第1巻き付け突起12p1の外周にも線材が巻き付けられる。そして、第2巻き付け突起12p2の外周への線材の巻き付けと、第1巻き付け突起12p1の外周への線材の巻き付けとが終了すると、第1巻回部13A1の巻き終わり側の端部に繋がる第1延在部33A1は、レンズ保持部材2の上面側に引き出される。具体的には、対向部33cがレンズ保持部材2の上面と対向して延び、巻き付け部33mが第1保持部72A1に巻き付けられる。図4(B)に示す例では、コイル3を構成する線材が第1保持部72A1に3ターン巻き付けられている。
具体的には、第1延在部33A1の対向部33cは、図5(A)に示すように、レンズ保持部材2の上端面に形成された凹部である接着剤溜まりRS1を通過するように配置されている。図5(A)は、図4(B)における破線で囲まれた領域R1の拡大図である。そして、接着剤溜まりRS1には、図5(B)に示すように、上側板ばね16がレンズ保持部材2に取り付けられる前に、導電性接着剤AD2が塗布される。導電性接着剤AD2は、例えば、合成樹脂中に銀粒子等の導電性フィラーが分散された接着剤である。図5(B)は、図4(C)における破線で囲まれた領域R2の拡大図である。図5(B)に示す例では、導電性接着剤AD2は、上側板ばね16における接続板部16h(図4(D)参照。)の下面(Z2側の面)に付着するように、接着剤溜まりRS1から上方に突出するように塗布される。このようにして、上側板ばね16の接続板部16hは、電気的且つ物理的にコイル3に接続される。
接着剤溜まりRS1に導電性接着剤AD2が塗布された後、レンズ保持部材2の上面には、図4(D)に示すように、上側板ばね16が載置される。上側板ばね16は、図6(A)に示すように、上面視で略左右対称となるように配置される第1上側板ばね16A1及び第2上側板ばね16A2を含む。図6(A)は、上側板ばね16の上面図である。具体的には、第1上側板ばね16A1及び第2上側板ばね16A2のそれぞれは、ケース4に固定される第1固定部としての外側部分16eと、レンズ保持部材2に固定される第2固定部としての内側部分16iと、内側部分16iと外側部分16eとの間に位置する2つの弾性腕部16gとを含む。そして、第1上側板ばね16A1及び第2上側板ばね16A2のそれぞれは、レンズ保持部材2の筒状部12の形状に対応するよう、内側形状が略半円形状となるように構成されている。
具体的には、内側部分16iは、主に、第1接合部16c1、第2接合部16c2、第3接合部16c3、第1連結部16p1、第2連結部16p2、及び接続板部16hで構成されている。そして、内側部分16iは、レンズ保持部材2の上側台座部12u(図4(C)参照。)と対向するように設けられている。
より具体的には、第1接合部16c1、第2接合部16c2、及び第3接合部16c3は、レンズ保持部材2に接合される部分であり、図4(C)に示す上側台座部12uの第1台座部12u1、第2台座部12u2、及び第3台座部12u3にそれぞれ載置される。第1連結部16p1は、接続板部16hと第2接合部16c2とを連結する部分であり、第2連結部16p2は、第1接合部16c1と第3接合部16c3とを連結する部分である。接続板部16hは、第1接合部16c1に接続されており、且つ、第1延在部33A1及び第2延在部33A2のそれぞれにおける対向部33cに対向するように配置されている。
外側部分16eは、2つの角部分16bと、2つの角部分16bを繋ぐ桟部16sとを有している。
上側板ばね16がレンズ保持部材2に取り付けられる際には、内側部分16iは、レンズ保持部材2の上側台座部12u(図4(C)参照。)に載置される。このとき、レンズ保持部材2の突設部2Tは、図4(D)に示すように、内側部分16iにおける第2接合部16c2及び第3接合部16c3のそれぞれに形成されている貫通孔16R(図6(A)参照。)に挿通される。突設部2Tは、第1上側板ばね16A1に対応する2つの突設部2Tと、第2上側板ばね16A2に対応する2つの突設部2Tとを含む。
内側部分16iとレンズ保持部材2との固定は、貫通孔16Rに挿通された突設部2Tに熱かしめ又は冷間かしめを施すことによって実現される。図4(D)では、突設部2Tは、熱かしめされた後の先端が変形した状態で図示されている。突設部2Tを示す他の図においても同様である。
また、上側板ばね16の内側部分16iは、レンズ保持部材2の上端面に形成された接着剤溜まりRS1に塗布された導電性接着剤AD2(図5(B)参照。)によって、レンズ保持部材2及びコイル3に接着固定される。具体的には、接着剤溜まりRS1において対向部33cを包み込むように塗布された導電性接着剤AD2は、内側部分16iにおける接続板部16hの下面(Z2側の面)に接触した状態で固まる。
このように、レンズ保持部材2の突設部2Tにかしめが施されてレンズ保持部材2と上側板ばね16とが接合され、且つ、導電性接着剤AD2が熱硬化されてコイル3と上側板ばね16とが接続される。導電性接着剤AD2の接着剤溜まりRS1への塗布、突設部2Tのかしめ、及び、導電性接着剤AD2の熱硬化は、保持部72が鉛直上方に突出するようにレンズ保持部材2が置かれた状態で行われる。そのため、導電性接着剤AD2は、流動性を有する場合であっても、所望の位置(接着剤溜まりRS1内の位置)に適切に保持され得る。そして、対向部33cの一部は、接着剤溜まりRS1内に配置されているため、導電性接着剤AD2内に埋設される。なお、導電性接着剤AD2は、熱硬化型に限らず、紫外線硬化型のものであってもよく、湿気硬化型のものであってもよい。
次に、図7〜図10を参照し、レンズ駆動装置101の組立方法について説明する。図7〜図10は、レンズ駆動装置101の組立手順を示す。
図7は、ケース4の3つの上方斜視図を含む。具体的には、図7(A)は、下側板ばね26が取り付けられる前のケース4を示し、図7(B)は、下側板ばね26が取り付けられた後のケース4を示し、図7(C)は、更に第1下側磁石5A1L(不可視)及び第2下側磁石5A2Lが取り付けられた後のケース4を示す。図7(A)では、明瞭化のため、後述の第1収容空間4S1及び第2収容空間4S2にドットパターンが付されている。図7(B)では、明瞭化のため、下側板ばね26にドットパターンが付されている。図7(C)では、明瞭化のため、第2下側磁石5A2Lにドットパターンが付されている。
図8は、図7と同様に、ケース4の3つの上方斜視図を含む。具体的には、図8(A)は、更に第1上側磁石5A1U及び第2上側磁石5A2Uが取り付けられた後のケース4を示し、図8(B)は、更に上側組立体UAが取り付けられた後のケース4を示し、図8(C)は、更に制振材DMが取り付けられた後のケース4を示す。図8(A)では、明瞭化のため、後述の突出部4Cにドットパターンが付されている。図8(B)では、明瞭化のため、上側組立体UAにドットパターンが付されている。図8(C)では、明瞭化のため、制振材DMにドットパターンが付されている。
図9は、図7と同様に、ケース4の3つの上方斜視図を含む。具体的には、図9(A)は、更に蓋部材1が取り付けられた後のケース4を示し、図9(B)は、更に配線基板10が取り付けられた後のケース4を示し、図9(C)は、更に金属板MPが取り付けられた後のケース4を示す。図9(A)では、明瞭化のため、蓋部材1にドットパターンが付されている。図9(B)では、明瞭化のため、配線基板10にドットパターンが付されている。図9(C)では、明瞭化のため、金属板MPにドットパターンが付されている。
図10は、図7と同様に、ケース4の2つの上方斜視図を含む。具体的には、図10(A)は、上側板ばね16と配線基板10との間に導電性接着剤AD4が塗布された後のケース4を示し、図10(B)は、更に封止材ECが塗布された後のケース4を示す。図10(A)では、明瞭化のため、導電性接着剤AD4にドットパターンが付されている。図10(B)では、明瞭化のため、封止材ECにドットパターンが付されている。
ケース4は、典型的には、合成樹脂によって作製されている。本実施形態では、ケース4は、液晶ポリマー(LCP)を射出成形することによって作製されている。そして、ケース4は、図1に示すように、レンズ保持部材2、コイル3、駆動用磁石5A、及び板ばね6を収容するための収容空間4Sを有する。
具体的には、収容空間4Sは、図7(A)に示すように、第1駆動用磁石5A1を収容するための第1収容空間4S1、及び、第2駆動用磁石5A2を収容するための第2収容空間4S2を含む。図7(A)は、明瞭化のため、第1収容空間4S1及び第2収容空間4S2をドットパターンで示している。
第2収容空間4S2には、図7(B)に示すように、第2駆動用磁石5A2が収容される前に、下側板ばね26の一部が嵌め込まれる。第1収容空間4S1についても同様である。
下側板ばね26は、図6(B)に示すように、上面視で略矩形状の外形を有する。図6(B)は、下側板ばね26の上面図である。具体的には、下側板ばね26は、ケース4に固定される第1固定部としての外側部分26eと、レンズ保持部材2に固定される第2固定部としての内側部分26iと、外側部分26eと内側部分26iとの間に設けられる弾性腕部26gとを有する。外側部分26eは、第1収容空間4S1に嵌め込まれる第1外側部分26e1と、第2収容空間4S2に嵌め込まれる第2外側部分26e2とを含む。
ケース4の底壁部4Bは、図7(A)及び図7(B)に示すように、下側板ばね26の外側部分26eが載置される台部4B1と、内側部分26i及び弾性腕部26gのそれぞれと対向する基部4B2とを有する。内側部分26i及び弾性腕部26gは何れも、基部4B2と接触しないように配置される。
具体的には、台部4B1は、図11(C)に示すように、基部4B2の上面から上方(Z1方向)に高さHT1だけ隆起するように構成されている。そして、台部4B1は、下側板ばね26の外側部分26eが載置される載置部として機能する。
図11は、ケース4の一部を示す図である。具体的には、図11(A)は、図7(B)における破線で囲まれた領域R3の上面図である。図11(B)は、図7(C)における破線で囲まれた領域R4の上面図である。図11(C)は、図11(B)に示す一点鎖線L1を含むYZ平面に平行な仮想平面における断面の斜視図である。
第2収容空間4S2の底面を構成する台部4B1の上面には、図7(B)及び図11(C)に示すように、下側板ばね26の第2外側部分26e2が載置される。同様に、図7(B)及び図11(C)では不可視であるが、第1収容空間4S1の底面を構成する台部4B1の上面には、下側板ばね26の第1外側部分26e1が載置される。この載置により、第1外側部分26e1と第2外側部分26e2との間にある内側部分26i及び弾性腕部26gは、基部4B2と接触しないように保持される。
そして、第2収容空間4S2には、図7(B)に示すように下側板ばね26の第2外側部分26e2が嵌め込まれた後で、第2側壁部4A2の内面に接着剤(図示せず。)が塗布される。接着剤は、第2外側部分26e2が第2収容空間4S2に嵌め込まれる前に、第2側壁部4A2の内面に塗布されてもよい。
その後、第2収容空間4S2には、図7(C)に示すように、第2下側磁石5A2Lが収容される。同様に、図7(B)及び図7(C)では不可視であるが、第1収容空間4S1には、下側板ばね26の第1外側部分26e1が嵌め込まれ、且つ、第1側壁部4A1の内面に接着剤が塗布された後で、第1下側磁石5A1Lが収容される。その結果、下側板ばね26の第1外側部分26e1は、第1収容空間4S1の底面を構成する台部4B1の上面と第1下側磁石5A1Lの下面との間に挟まれて固定される。同様に、下側板ばね26の第2外側部分26e2は、図11(C)に示すように、第2収容空間4S2の底面を構成する台部4B1の上面と第2下側磁石5A2Lの下面との間に挟まれて固定される。
なお、ケース4の底壁部4Bに台部4B1を形成するのに代えて、別部材としてのスペーサ部材が底壁部4B(基部4B2)上に配置されてもよい。この場合には、スペーサ部材は枠状に形成される。
第2駆動用磁石5A2は、光軸方向に垂直な方向であるX軸方向に延在している。そして、第2駆動用磁石5A2の延在方向における両端部のそれぞれの内面(Y1側の面)は、図11(B)及び図11(C)に示すように、ケース4に形成された位置決め面PSに当接している。また、第2駆動用磁石5A2の外面(Y2側の面)は、外周壁部4Aを構成する第2側壁部4A2の内面(Y1側の面)に形成された2つのクラッシュリブCRに当接している。第1収容空間4S1に収容される第1駆動用磁石5A1についても同様である。
図11(C)に示すクラッシュリブCRは、第2駆動用磁石5A2を第2収容空間4S2内に圧入する際に利用される構造である。クラッシュリブCRは、クラッシュリブCRと位置決め面PSとによって第2駆動用磁石5A2をガタツキ無く固定できるように変形可能(押し潰し可能)に構成されている。そのため、第2収容空間4S2内に固定された第2駆動用磁石5A2の外面(Y2側の面)は、クラッシュリブCRを除き、第2側壁部4A2の内面(Y1側の面)とは接触していない。なお、第2側壁部4A2の内面に形成されるクラッシュリブCRの数は、第2駆動用磁石5A2をガタツキ無く固定できるのであれば、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。
位置決め面PSは、外周壁部4Aの四隅に設けられた突出部4Cの一部に形成される平坦面であり、外周壁部4Aの内面に対向するように構成されている。
突出部4Cは、底壁部4Bから光軸方向に沿って上方(Z1方向)に突出する部分であり、第1突出部4C1〜第4突出部4C4を含む。突出部4Cは、外周壁部4Aの剛性を高める役割も果たす。具体的には、図8(A)に示すように、第1突出部4C1は、第1側壁部4A1と第4側壁部4A4との間に位置する隅に形成され、第2突出部4C2は、第1側壁部4A1と第3側壁部4A3との間に位置する隅に形成され、第3突出部4C3は、第2側壁部4A2と第3側壁部4A3との間に位置する隅に形成され、第4突出部4C4は、第2側壁部4A2と第4側壁部4A4との間に位置する隅に形成されている。なお、図8(A)は、明瞭化のため、第1突出部4C1〜第4突出部4C4をドットハッチングで示している。
図11(C)に示す例では、クラッシュリブCRは、クラッシュリブCRと位置決め面PSとの間のY軸方向における距離が第2駆動用磁石5A2の厚さよりも僅かに小さくなるように構成されている。そのため、第2駆動用磁石5A2が第2収容空間4S2内に収容(圧入)されると、クラッシュリブCRは、第2駆動用磁石5A2の外面(Y2側の面)によって押し潰される。その結果、第2駆動用磁石5A2は、クラッシュリブCRと位置決め面PSとの間でガタツキ無く固定される。
具体的には、クラッシュリブCRは、図11(C)に示すように、テーパ部CR1及び平行部CR2を有する。テーパ部CR1は、第2駆動用磁石5A2を所望の固定位置に導くための構造である。平行部CR2は、Z軸方向において位置決め面PSに平行に延びる構造である。
その後、図8(A)に示すように、第1収容空間4S1には、第1下側磁石5A1Lが収容される場合と同様の手順で、第1上側磁石5A1Uが収容され、第2収容空間4S2には、第2下側磁石5A2Lが収容される場合と同様の手順で、第2上側磁石5A2Uが収容される。
その後、図8(A)に示すように、第1上側磁石5A1U及び第2上側磁石5A2Uのそれぞれの上面には絶縁性の接着剤AD3が塗布される。図8(A)では、明瞭化のため、接着剤AD3にクロスハッチングが付されている。
その後、図8(B)に示すように、収容空間4S内には上側組立体UA(図4(D)参照。)が取り付けられる。接着剤AD3は、駆動用磁石5Aと上側板ばね16の外側部分16eとが直接接触しないようにするために、駆動用磁石5Aと外側部分16eとの間に塗布される。
具体的には、上側組立体UAは、レンズ保持部材2の撮像素子側(Z2側)の端面に形成された下側台座部12dにおける4つの窪み12dh(図3(A)参照。)に接着剤(図示せず。)が塗布された状態で、且つ、下側台座部12dを下方に向けた状態で、収容空間4S内に収容される。下側台座部12dは、下側板ばね26の内側部分26i(図8(A)参照。)と接触し、4つの窪み12dhに塗布された接着剤が内側部分26iの上面(Z1側の面)に付着して固化することで、内側部分26iに接着固定される。
上側板ばね16の外側部分16eは、図8(B)に示すように、突出部4Cの上端面に載置される。突出部4Cの上端面には突起4Pが形成されている。突出部4Cの上端面から上方へ突出する突起4Pは、上側板ばね16の外側部分16eにおける角部分16bに形成された貫通部16T(図6(A)参照。)に挿通される。なお、図8(B)では、突起4Pは、熱かしめされた後の先端が変形した状態で図示されている。突起4Pを示す他の図においても同様である。
貫通部16Tは、図6(A)に示すように、貫通孔16T1及び切欠16T2を含む。切欠16T2は、X1方向に向かって開口するように形成されている。レンズ保持部材2の寸法公差に起因する2つの突起4Pの間の距離のばらつきを吸収するためである。或いは、上側板ばね16の寸法公差に起因する貫通孔16T1と切欠16T2との間の距離のばらつきを吸収するためである。
具体的には、突起4Pは、図8(B)に示すように、第1突起4P1〜第4突起4P4を含む。第1突起4P1は、第1突出部4C1の上端面から上方に突出している。同様に、第2突起4P2は、第2突出部4C2の上端面から上方に突出し、第3突起4P3は、第3突出部4C3の上端面から上方に突出し、第4突起4P4は、第4突出部4C4の上端面から上方に突出している。そして、第1突起4P1は、第1上側板ばね16A1の貫通孔16T1に挿通され、第2突起4P2は、第1上側板ばね16A1の切欠16T2に挿通され、第3突起4P3は、第2上側板ばね16A2の切欠16T2に挿通され、第4突起4P4は、第2上側板ばね16A2の貫通孔16T1に挿通されている。この構成により、上側板ばね16の角部分16bは、ケース4に対して位置決めされる。
このように、上側板ばね16は、図4(D)に示すように内側部分16iを介してレンズ保持部材2に接続され、且つ、図8(B)に示すように外側部分16eを介してケース4に接続されている。この構成により、上側板ばね16は、レンズ保持部材2を光軸方向へ移動可能な状態でバランス良く支持することができる。
その後、図8(C)に示すように、レンズ保持部材2とケース4との間には制振材DMが取り付けられる。制振材DMは、レンズ保持部材2の振動を抑制するための部材である。制振材DMは、レンズ保持部材2の移動に応じて弾性的に伸縮できるように構成されている。本実施形態では、制振材DMは、レンズ保持部材2の本来の動きに影響を与えることなく、レンズ保持部材2の振動を抑制できるように構成されている。具体的には、制振材DMは、流動性のある接着剤を紫外線又は熱で硬化させることで形成されるゲル状ダンパー材であり、第1制振材DM1〜第4制振材DM4を含む。制振材DMは、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、熱硬化性シリコーンゴム、又は紫外線硬化性シリコーンゴム等の他の材料で形成されてもよい。
第1制振材DM1は、レンズ保持部材2のY1側の側面である第1側面2A1におけるX2側の端部を構成する受け面CS1(図4(A)参照。)に一端が取り付けられ、ケース4の第1突出部4C1(図8(A)参照。)の内面(Y2側の面)に他端が取り付けられている。
第2制振材DM2は、レンズ保持部材2のY1側の側面である第1側面2A1におけるX1側の端部を構成する受け面CS2(図4(A)参照。)に一端が取り付けられ、ケース4の第2突出部4C2(図8(A)参照。)の内面(Y2側の面)に他端が取り付けられている。
第3制振材DM3は、レンズ保持部材2のY2側の側面である第2側面2A2におけるX1側の端部を構成する受け面CS3(図4(A)参照。)に一端が取り付けられ、ケース4の第3突出部4C3(図8(A)参照。)の内面(Y1側の面)に他端が取り付けられている。
第4制振材DM4は、レンズ保持部材2のY2側の側面である第2側面2A2におけるX2側の端部を構成する受け面CS4(図4(A)参照。)に一端が取り付けられ、ケース4の第4突出部4C4(図8(A)参照。)の内面(Y1側の面)に他端が取り付けられている。
その後、図9(A)に示すように、ケース4には、ケース4の上面を覆うように蓋部材1が取り付けられる。蓋部材1は、典型的には、合成樹脂によって作製される。本実施形態では、蓋部材1は、レンズ保持部材2と同じ合成樹脂材である液晶ポリマー(LCP)を射出成形することによって作製されている。
ここで、図12を参照し、蓋部材1の詳細について説明する。図12は、蓋部材1の3つの図を含む。具体的には、図12(A)は、蓋部材1の上面(Z1側の面)を表す蓋部材1の斜視図であり、図12(B)は、蓋部材1の下面(Z2側の面)を表す蓋部材1の斜視図であり、図12(C)は、蓋部材1の上面図である。
蓋部材1は、図12(A)に示すように、上面視で略矩形環状をなす部材であり、中央に略円形の開口1Kが形成されている。また、蓋部材1の被写体側(Z1側)の面(上面)には、四隅に上側凹部1Rが形成され、上側凹部1Rには貫通部としての貫通孔1Tが形成されている。具体的には、上側凹部1Rは、第1上側凹部1R1〜第4上側凹部1R4を含む。貫通孔1Tは、第1貫通孔1T1〜第4貫通孔1T4を含む。図12(A)は、明瞭化のため、上側凹部1Rをドットハッチングで示している。4つの貫通孔1Tは、ケース4の四隅にある突出部4C(図8(A)参照。)の上端面に形成された突起4Pに対応する位置に形成されている。
突起4Pは、上側板ばね16の角部分16bに設けられた貫通部16Tに挿通された後、蓋部材1の四隅に設けられた貫通孔1Tに挿通されて熱かしめが施される。この熱かしめによって、蓋部材1は、ケース4に固定される。その結果、上側板ばね16は、突出部4Cの上端面と蓋部材1の四隅の下面との間に挟まれた状態で固定される。
なお、このとき、上側板ばね16の桟部16sの一部も、後述する上側壁部4Wが形成されていない位置における第1側壁部4A1及び第2側壁部4A2のそれぞれの上面と蓋部材1の下面との間に挟持されている。
蓋部材1の下面には、図12(B)に示すように、少なくとも上側板ばね16の弾性腕部16gに対向する部分において、上方へ窪んだ下側凹部1Sが形成されている。図12(B)は、明瞭化のため、下側凹部1Sをドットハッチングで示している。この構成は、レンズ保持部材2の上方への移動と、この移動に伴う弾性腕部16gの弾性変形とを可能にしている。
上側凹部1Rと下側凹部1Sとは、図12(C)に示すように、光軸方向においてほとんど重ならないように設けられている。図12(C)は、明瞭化のため、実際には不可視である下側凹部1Sの範囲を破線で示している。この構成は、Z軸方向における蓋部材1の厚みが過度に薄くなってしまうのを防止できる。そのため、この構成は、蓋部材1の剛性を高めることができる。なお、上側凹部1Rと下側凹部1Sとは、光軸方向において全く重ならないように設けられていてもよい。
ケース4の四隅には、図8(C)及び図9(A)に示すように、上側壁部4Wが形成されている。上側壁部4Wは、蓋部材1がケース4に取り付けられたときに、外形が略矩形状をなす蓋部材1の角部における外周端面に隣接するように形成されている。
具体的には、上側壁部4Wは、第1突起4P1の外側を囲むように配置される第1上側壁部4W1と、第2突起4P2の外側を囲むように配置される第2上側壁部4W2と、第3突起4P3の外側を囲むように配置される第3上側壁部4W3と、第4突起4P4の外側を囲むように配置される第4上側壁部4W4(図11(C)も参照。)とを含む。
より具体的には、図9(A)に示すように、第1上側壁部4W1は、蓋部材1の第1上側凹部1R1の外周端面に隣接するように形成され、第2上側壁部4W2は、蓋部材1の第2上側凹部1R2の外周端面(第3側壁部4A3に対向する部分を除く。)に隣接するように形成され、第3上側壁部4W3は、蓋部材1の第3上側凹部1R3の外周端面(第3側壁部4A3に対向する部分を除く。)に隣接するように形成され、第4上側壁部4W4は、蓋部材1の第4上側凹部1R4の外周端面に隣接するように形成されている。
その後、図9(B)に示すように、ケース4の第3側壁部4A3には配線基板10が取り付けられる。具体的には、配線基板10は、第3側壁部4A3に形成された凹部RS2(図9(A)参照。)内に塗布された接着剤によって第3側壁部4A3に接着固定される。
ここで、図13及び図14を参照し、配線基板10の詳細について説明する。図13は、配線基板10の3つの図を含む。具体的には、図13(A)は、配線基板10の斜視図である。図13(B)は、配線基板10をX2側から見たときの配線基板10の背面図である。図13(C)は、配線基板10をX1側から見たときの配線基板10の正面図である。図13(A)は、磁気検出部材11及びコンデンサ14が半田付けによって配線基板10の内面(X2側の面)に取り付けられた状態を示す。なお、磁気検出部材11は、貫通孔4Hのうちの1つである第1貫通孔4H1(図9(A)参照。)内に収容され、レンズ保持部材2の第3側面2A3(図3(B)参照。)から平坦面8Aを露出させている検出用磁石8に対向するように配置される。コンデンサ14は、貫通孔4Hのうちの別の1つである第2貫通孔4H2(図9(A)参照。)内に収容される。なお、配線基板10と磁気検出部材11との間の隙間は、図13(A)に示すようにアンダーフィルUFによって封止されている。図13(A)では、明瞭化のため、アンダーフィルUFにドットハッチングが付されている。図13(B)は、明瞭化のため、磁気検出部材11及びコンデンサ14の図示を省略している。また、図13(B)において、「VSS」は接地電圧を表し、「VDD」は電源電圧を表し、「SDA」はデータ信号を表し、「SCL」はクロック信号を表し、「OUT1」は第1電流出力を表し、「OUT2」は第2電流出力を表している。
図14は、配線基板10に形成される2つのパターン層を示す図である。具体的には、図14(A)は、配線基板10の内面(X2側の面)に配置される実際には不可視の内側パターン層10L1を可視的に示し、図14(B)は、配線基板10の外面(X1側の面)に配置される実際には不可視の外側パターン層10L2を可視的に示している。また、図14(A)及び図14(B)は、磁気検出部材11の設置面積の大きさを破線で囲まれた範囲P11で表し、コンデンサ14の設置面積の大きさを破線で囲まれた範囲P14で表している。
配線基板10は、両面に導電パターンとしての導電性の配線パターンが形成された両面プリント基板であり、耐熱性を有するポリイミドフィルムで形成された基部の内面に配置される内側パターン層10L1と、基部の外面に配置される外側パターン層10L2とを有する。内側パターン層10L1の一部は、絶縁性の内側レジスト層10R1(図13(B)参照。)で覆われ、外側パターン層10L2の一部は、絶縁性の外側レジスト層10R2(図13(C)参照。)で覆われている。本実施形態では、配線基板10は、フレキシブル配線基板として構成されているが、リジッド配線基板であってもよく、リジッドフレキシブル配線基板であってもよい。
内側パターン層10L1及び外側パターン層10L2のそれぞれにおける配線パターンは、例えば、銅で形成されている。本実施形態では、内側パターン層10L1及び外側パターン層10L2のそれぞれは、銅箔層と、銅箔層を覆う銅メッキ層とで構成されている。
配線基板10は、主基板における配線パターンと磁気検出部材11とが電気的に接続されるように、第3側壁部4A3に取り付けられている。本実施形態では、配線基板10における配線パターンと主基板における配線パターンとは、接合材としての半田によって接合される。但し、配線基板10における配線パターンと主基板における配線パターンとは、接合材としての導電性接着剤によって接合されていてもよい。
磁気検出部材11及びコンデンサ14は、図13(A)に示すように、配線基板10の内面(X2側の面)に半田付けによって取り付けられた後で、配線基板10と共に、すなわち、配線基板10に取り付けられた状態で、ケース4に取り付けられる。具体的には、磁気検出部材11及びコンデンサ14は、図9(A)及び図9(B)に示すように、貫通孔4H内に収容される。
内側パターン層10L1は、図14(A)に示すように、ランド部を有する。ランド部は、第1ランド部LD1〜第8ランド部LD8を含む。具体的には、内側パターン層10L1は、磁気検出部材11における6つの接続部(図示せず。)に接続される第1ランド部LD1〜第6ランド部LD6と、コンデンサ14における2つの電極(図示せず。)に接続される第7ランド部LD7及び第8ランド部LD8とを有する。
本実施形態では、磁気検出部材11における6つの接続部(端子)と第1ランド部LD1〜第6ランド部LD6とは半田付けによって接合されている。同様に、コンデンサ14における2つの電極と第7ランド部LD7及び第8ランド部LD8とは半田付けによって接合されている。コンデンサ14は、電源電圧と接地電圧との間に接続されるバイパスコンデンサである。
第1ランド部LD1は、接地電圧用の端子に接続されるランド部である。第2ランド部LD2は、電源電圧用の端子に接続されるランド部である。第3ランド部LD3は、データ信号用の端子に接続されるランド部である。第4ランド部LD4は、クロック信号用の端子に接続されるランド部である。第5ランド部LD5及び第6ランド部LD6は、コイル3を流れる電流の出力に利用されるランド部である。コイル3を流れる電流の出力は、磁気検出部材11におけるドライバIC(電流制御回路)によって制御される。
外側パターン層10L2は、図2(B)に示すように、レンズ駆動装置101が組み立てられたときに、第1端子部TM1〜第6端子部TM6が露出するように構成されている。
第1端子部TM1は、第1電流出力用の端子である。具体的には、第1端子部TM1は、図14(B)に示すように、外側パターン層10L2の配線パターンを介して第1接続部10C1に繋がっている。また、第1端子部TM1は、外側パターン層10L2の配線パターンとビアホールV1と内側パターン層10L1の配線パターン(図14(A)参照。)とを介して第1接続部10C1及び第5ランド部LD5に繋がっている。
第2端子部TM2は、接地電圧に接続される端子である。具体的には、第2端子部TM2は、図14(B)に示すように、外側パターン層10L2の配線パターンとビアホールV2と内側パターン層10L1の配線パターン(図14(A)参照。)とを介して第1ランド部LD1及び第7ランド部LD7に繋がっている。
第3端子部TM3は、電源電圧に接続される端子である。具体的には、第3端子部TM3は、図14(B)に示すように、外側パターン層10L2の配線パターンとビアホールV3と内側パターン層10L1の配線パターン(図14(A)参照。)とを介して第2ランド部LD2及び第8ランド部LD8に繋がっている。
第4端子部TM4は、データ信号用の端子である。具体的には、第4端子部TM4は、図14(B)に示すように、外側パターン層10L2の配線パターンとビアホールV4と内側パターン層10L1の配線パターン(図14(A)参照。)とを介して第3ランド部LD3に繋がっている。
第5端子部TM5は、クロック信号用の端子である。具体的には、第5端子部TM5は、図14(B)に示すように、外側パターン層10L2の配線パターンとビアホールV5と内側パターン層10L1の配線パターン(図14(A)参照。)とを介して第4ランド部LD4に繋がっている。
第6端子部TM6は、第2電流出力用の端子である。具体的には、第6端子部TM6は、図14(B)に示すように、外側パターン層10L2の配線パターンを介して第2接続部10C2に繋がっている。また、第6端子部TM6は、外側パターン層10L2の配線パターンとビアホールV6と内側パターン層10L1の配線パターン(図14(A)参照。)とを介して第2接続部10C2及び第6ランド部LD6に繋がっている。
配線基板10の上端部10U(図16参照。)には、図13(A)に示すように、第1凹状部10U1及び第2凹状部10U2が形成されている。第1接続部10C1は、第1凹状部10U1に隣接して配線基板10の両面に形成されており、第2接続部10C2は、第2凹状部10U2に隣接して配線基板10の両面に形成されている。
なお、内側パターン層10L1の第1接続部10C1と外側パターン層10L2の第1接続部10C1とは互いに導通している。第2接続部10C2についても同様である。接続部10C(第1接続部10C1及び第2接続部10C2)は、配線基板10に形成された導電パターンである。
この構成により、磁気検出部材11におけるドライバICは、例えば、第4端子部TM4を通じて外部の制御装置等から光軸方向におけるレンズ保持部材2の目標位置に関する指令を受けることができる。そして、ドライバICは、ホール素子が検出する磁界の大きさに基づいてレンズ保持部材2の現在位置を特定し、レンズ保持部材2の現在位置と目標位置との間の差がゼロとなるようにコイル3を流れる電流の向き及び大きさを制御できる。すなわち、ドライバICは、光軸方向におけるレンズ保持部材2の位置のフィードバック制御を実現できる。
ケース4の第3側壁部4A3に配線基板10が取り付けられた後、図9(C)に示すように、第3側壁部4A3には配線基板10の外側に金属板MPが取り付けられる。具体的には、金属板MPは、配線基板10の外面に塗布された接着剤(図示せず。)によって配線基板10に接着固定され、且つ、第3側壁部4A3に形成された凹部RS3及び凹部RS4(図9(B)参照。)内に塗布された接着剤(図示せず。)によって第3側壁部4A3に接着固定される。
また、図9(C)に示すように、金属板MPには切欠CTが形成されている。切欠CTは、第1切欠CT1〜第4切欠CT4を含む。第1切欠CT1は、隆起部PR1(図9(B)参照。)に嵌合するように形成されている。第2切欠CT2は、隆起部PR2(図9(B)参照。)に嵌合するように形成されている。第3切欠CT3は、第1接続部10C1が外部に露出するように、第1接続部10C1に対応する位置に形成されている。第4切欠CT4は、第2接続部10C2が外部に露出するように、第2接続部10C2に対応する位置に形成されている。
金属板MPが第3側壁部4A3に取り付けられた後、図10(A)に示すように、第1接続部10C1及び第2接続部10C2のそれぞれには導電性接着剤AD4が塗布される。具体的には、導電性接着剤AD4は、配線基板10の第2凹状部10U2内に配置された第1上側板ばね16A1の接続端子部PT1(図6(A)及び図8(B)参照。)と配線基板10の第2接続部10C2とに塗布されて接続端子部PT1と第2接続部10C2とを導通させる。同様に、導電性接着剤AD4は、配線基板10の第1凹状部10U1内に配置された第2上側板ばね16A2の接続端子部PT2(図6(A)及び図8(B)参照。)と配線基板10の第1接続部10C1とに塗布されて接続端子部PT2と第1接続部10C1とを導通させる。なお、接続端子部PT1は、図6(A)に示すように、第1上側板ばね16A1の外側部分16eの一部であり、角部分16bから延び、第2接続部10C2と対向するように構成されている。同様に、接続端子部PT2は、第2上側板ばね16A2の外側部分16eの一部であり、角部分16bから延び、第1接続部10C1と対向するように構成されている。
導電性接着剤AD4によって配線基板10と上側板ばね16とが接続された後、図10(B)に示すように、蓋部材1の外周とケース4の外周壁部4Aとの間には、封止材ECが塗布される。図10(B)に示す例では、封止材ECは、蓋部材1の外周端面とケース4の外周壁部4Aとの間に形成される隙間を埋めるように、蓋部材1の外周端面の全周にわたって配置されている。また、封止材ECは、蓋部材1の貫通孔1Tと突起4Pとの間に形成される隙間を埋めるように、蓋部材1の上側凹部1Rにおける突起4Pの周囲に配置されている。また、封止材ECは、金属板MPの切欠CT(図9(C)参照。)と筐体HS(蓋部材1及びケース4)との間の隙間を埋めるように、金属板MPと筐体HSとの間に配置されている。なお、封止材ECは、金属板MPをケース4の第3側壁部4A3に固定するために使用される接着剤と同じ接着剤であってもよい。
次に、図15を参照し、駆動用磁石5A、検出用磁石8、及びバランス用磁石9のそれぞれの磁極配置の一例について説明する。図15は、レンズ駆動装置101内に組み込まれているコイル3、駆動用磁石5A、検出用磁石8、及びバランス用磁石9の上方斜視図である。図15は、明瞭化のため、レンズ駆動装置101を構成する構成要素のうち、コイル3、駆動用磁石5A、検出用磁石8、及びバランス用磁石9以外の構成要素の図示を省略している。また、図15では、磁石のN極が斜線ハッチングで表され、磁石のS極がクロスハッチングで表されている。
図15の例では、第1駆動用磁石5A1の第1上側磁石5A1U及び第1下側磁石5A1L、第2駆動用磁石5A2の第2上側磁石5A2U及び第2下側磁石5A2L、検出用磁石8、並びにバランス用磁石9は何れも二極磁石で構成されている。
具体的には、第1上側磁石5A1Uは、内側(Y2側)がN極に着磁され、外側(Y1側)がS極に着磁されている。第1下側磁石5A1Lは、内側(Y2側)がS極に着磁され、外側(Y1側)がN極に着磁されている。第2上側磁石5A2Uは、内側(Y1側)がN極に着磁され、外側(Y2側)がS極に着磁されている。そして、第2下側磁石5A2Lは、内側(Y1側)がS極に着磁され、外側(Y2側)がN極に着磁されている。
検出用磁石8は、上側(Z1側)がS極に着磁され、下側(Z2側)がN極に着磁されている。同様に、バランス用磁石9は、上側(Z1側)がS極に着磁され、下側(Z2側)がN極に着磁されている。
この構成では、配線基板10の第1接続部10C1から第2接続部10C2に向けて電流が流れる場合には、電流は、矢印AR1〜AR5で示すように流れる。具体的には、電流は、第2延在部33A2から、第2巻回部13A2、連結部3C、及び第1巻回部13A1を介し、第1延在部33A1に流れる。なお、第1延在部33A1は、第1上側板ばね16A1を介して第2接続部10C2に電気的に接続され、第2延在部33A2は、第2上側板ばね16A2を介して第1接続部10C1に電気的に接続されている。
そのため、第1上側磁石5A1Uの内面に対向している第1巻回部13A1の上側部分では、電流は、X1側からX2側に流れ、反対に、第1下側磁石5A1Lの内面に対向している第1巻回部13A1の下側部分では、電流は、X2側からX1側に流れる。また、第2上側磁石5A2Uの内面に対向している第2巻回部13A2の上側部分では、電流は、X2側からX1側に流れ、反対に、第2下側磁石5A2Lの内面に対向している第2巻回部13A2の下側部分では、電流は、X1側からX2側に流れる。
したがって、第1巻回部13A1の上側部分及び下側部分、並びに、第2巻回部13A2の上側部分及び下側部分は何れも上向きのローレンツ力を受ける。その結果、第1巻回部13A1及び第2巻回部13A2が取り付けられているレンズ保持部材2は、上方に移動する。
配線基板10の第2接続部10C2から第1接続部10C1に向けて電流が流れる場合には、電流は、第1延在部33A1から、第1巻回部13A1、連結部3C、及び第2巻回部13A2を介し、第2延在部33A2に流れる。
したがって、第1巻回部13A1の上側部分及び下側部分、並びに、第2巻回部13A2の上側部分及び下側部分は何れも下向きのローレンツ力を受ける。その結果、第1巻回部13A1及び第2巻回部13A2が取り付けられているレンズ保持部材2は、下方に移動する。
この構成により、レンズ駆動装置101は、光軸方向に沿ったレンズ保持部材2の動きを適切に制御できる。
上述の通り、本発明の実施形態に係るレンズ駆動装置101は、例えば図1に示すように、レンズ体を保持可能なレンズ保持部材2と、レンズ保持部材2を収容する筐体HSと、レンズ保持部材2を光軸方向へ移動可能に支持する下側板ばね26、及び、下側板ばね26よりも被写体側となる上側(Z1側)に配置される上側板ばね16と、レンズ保持部材2に保持されたコイル3と、コイル3に対向する駆動用磁石5Aとを備えている。筐体HSは、開口4Kが形成された底壁部4Bと外周壁部4Aとを有し、被写体側となる上側が開放された合成樹脂製のケース4と、開口1Kを有するとともに収容空間4Sを介して底壁部4Bと対向する蓋部材1とを有する。上側板ばね16は、レンズ保持部材2の上部とケース4とを繋ぐように設けられ、下側板ばね26は、レンズ保持部材2の下部とケース4とを繋ぐように設けられている。そして、駆動用磁石5Aは、ケース4に固定されている。
この構成は、駆動用磁石5Aがケース4以外の部材に固定される場合に比べ、製品間における、コイル3と駆動用磁石5Aとの間の距離のばらつきを抑制できる。コイル3と駆動用磁石5Aとの間の距離に影響を与える部材の数が減るためである。すなわち、各部材の寸法公差の累積が抑制されるためである。
また、レンズ駆動装置101では、上側板ばね16と下側板ばね26とが何れもケース4に固定されていることが好ましい。この場合には、レンズ駆動装置101は、上側板ばね16及び下側板ばね26の何れか一方がケース4以外の部材に固定される場合に比べ、レンズ保持部材2の位置決め精度を高めることができる。レンズ保持部材2の位置決め精度に影響を与える部材の数が減るためである。すなわち、各部材の寸法公差の累積が抑制されるためである。その結果、レンズ駆動装置101は、例えば、上側板ばね16と下側板ばね26とによって支持されるレンズ保持部材2の中心軸がレンズ駆動装置101の中心軸に対して傾いてしまうのを抑制できる。
また、レンズ駆動装置101は、ケース4が金属で形成される場合に比べ、近接して配置される通信装置による通信に与える影響を抑制できる。具体的には、レンズ駆動装置101が、例えばフロントカメラのレンズ駆動装置として、スマートフォン等の小型機器に搭載され、レンズ駆動装置101と通信装置とが近接して配置される場合であっても、ケース4が合成樹脂で形成されているため、レンズ駆動装置101は、通信装置による通信に与える影響を抑制できる。その結果、レンズ駆動装置101は、レンズ駆動装置101が搭載される小型機器の筐体内のレイアウトの自由度を高めることができ、ひいては、小型機器の更なる小型化を促進できる。
なお、蓋部材1が合成樹脂で形成される場合、補強等のために金属が蓋部材1に埋設されていてもよい。ケース4についても同様である。この場合、補強用或いは端子としての金属が合成樹脂製のケース4にインサート成形等によって埋設されていてもよい。また、レンズ駆動装置101は、ケース4とともに筐体HSを構成する蓋部材1が合成樹脂で形成される場合、レンズ駆動装置101が搭載される小型機器の筐体内のレイアウトの自由度を更に高めることができる。
レンズ駆動装置101では、外周壁部4Aは、例えば図1に示すように、光軸方向に直交する第1方向(Y軸方向)においてレンズ保持部材2を挟んで対向する第1側壁部4A1及び第2側壁部4A2と、光軸方向と直交し且つ第1方向と直交する第2方向(X軸方向)においてレンズ保持部材2を挟んで対向する第3側壁部4A3及び第4側壁部4A4とを有していてもよい。この場合、駆動用磁石5Aは、第1側壁部4A1の内側(Y2側)に配置される第1駆動用磁石5A1と、第2側壁部4A2の内側(Y1側)に配置される第2駆動用磁石5A2とを有していてもよい。そして、第1側壁部4A1と第1駆動用磁石5A1との間、及び、第2側壁部4A2と第2駆動用磁石5A2との間には接着剤が設けられていてもよい。
この構成は、駆動用磁石5Aとケース4との間の接着強度を高めることができる。外周壁部4Aに対向する駆動用磁石5Aの外面における広い範囲にわたって接着剤を塗布できるためである。
なお、レンズ保持部材2の第3側面2A3及び第4側面2A4のそれぞれにコイル3の巻回部が存在する場合には、駆動用磁石5Aは、第3側壁部4A3の内側(X2側)に配置される駆動用磁石と、第4側壁部4A4の内側(X1側)に配置される駆動用磁石とを含んでいてもよい。
レンズ駆動装置101では、駆動用磁石5Aは、典型的には、光軸方向と交差する方向に延在している。具体的には、駆動用磁石5Aは、例えば図1に示すように、光軸方向に垂直な方向(X軸方向)に延在している。この場合、駆動用磁石5Aの延在方向における両端部の内面は、例えば図11(B)に示すように、ケース4に形成された位置決め面PSに当接するように構成されていてもよい。そして、駆動用磁石5Aの外面は、例えば図11(B)に示すように、外周壁部4Aの内面に形成されたクラッシュリブCRに当接するよう構成されていてもよい。
この構成は、コイル3と駆動用磁石5Aとの間の距離のばらつきを更に低減させることができる。位置決め面PSによって駆動用磁石5Aの位置決め精度が高まるためである。
レンズ駆動装置101では、下側板ばね26は、例えば図6(B)に示すように、ケース4に固定される第1固定部としての外側部分26eと、レンズ保持部材2に固定される第2固定部としての内側部分26iと、外側部分26eと内側部分26iとの間に設けられる弾性腕部26gとを有していてもよい。この場合、底壁部4Bは、例えば図7(A)及び図7(B)に示すように、光軸方向において弾性腕部26gに対向する基部4B2と、基部4B2よりも高い載置部としての台部4B1とを有していてもよい。そして、外側部分26eは、例えば図11(C)に示すように、台部4B1と駆動用磁石5A(第2下側磁石5A2L)との間に挟持されていてもよい。
この構成は、スペーサ等の別部材が下側板ばね26と底壁部4Bとの間に配置されていなくとも、下側板ばね26の弾性腕部26gが弾性変形するための空間を確保できるようにする。
レンズ駆動装置101では、上側板ばね16は、例えば図6(A)に示すように、ケース4に固定される第1固定部としての外側部分16eと、レンズ保持部材2に固定される第2固定部としての内側部分16iと、外側部分16eと内側部分16iとの間に設けられる弾性腕部16gとを有していてもよい。この場合、ケース4は、平面視で矩形状を有し、外周壁部4Aの四隅には、例えば図8(A)に示すように、底壁部4Bから光軸方向に延びる突出部4Cが設けられていてもよい。そして、突出部4Cの端面には、例えば図8(B)に示すように、上側板ばね16の外側部分16eが載置されてもよい。
この構成は、上側板ばね16の外側部分16eの光軸方向における位置(底壁部4Bに対する外側部分16eの高さ)の正確な位置決めを可能にする。更に、この構成では、上側板ばね16の外側部分16eばかりでなく、下側板ばね26の外側部分26eまでもが同じ1つの部材であるケース4によって位置決めされるという好ましい構成が実現される。この好ましい構成は、上側板ばね16と下側板ばね26とによって支持されるレンズ保持部材2の位置決め精度を高めることができる。レンズ保持部材2の位置決め精度に影響を与える部材の数が減るためである。すなわち、各部材の寸法公差の累積が抑制されるためである。その結果、レンズ駆動装置101は、例えば、上側板ばね16と下側板ばね26とによって支持されるレンズ保持部材2の中心軸がレンズ駆動装置101の中心軸に対して傾いてしまうのを抑制できる。
突出部4Cの端面には、光軸方向に沿って上方へ突出する突起4Pが形成されていてもよい。この場合、突起4Pは、上側板ばね16の外側部分16eの貫通部16T(例えば図6(A)参照。)と蓋部材1の貫通孔1T(例えば図12(A)参照。)とに挿通された状態で、先端部が変形させられる。例えば、突起4Pは、熱かしめ又は冷間かしめによって先端部が変形させられる。この構成は、レンズ駆動装置101の製造に関する生産性を高めることができる。
蓋部材1の貫通部としての貫通孔1Tは、例えば図12(A)に示すように、光軸方向に沿って見た平面視で略矩形状をなす蓋部材1の4つの角部のそれぞれに設けられていてもよい。そして、蓋部材1の上面には、例えば図12(A)に示すように、光軸方向において突起4Pの先端部に対応する位置に、第1凹部としての上側凹部1Rが形成されていてもよい。また、蓋部材1の下面には、例えば図12(B)に示すように、光軸方向において少なくとも上側板ばね16の弾性腕部16gに対向する位置に、上方へ窪んだ第2凹部としての下側凹部1Sが形成されていてもよい。そして、上側凹部1R及び下側凹部1Sの双方が形成されている場合には、蓋部材1の貫通孔1Tは、望ましくは、下側凹部1Sの外側に配置されている。すなわち、貫通孔1Tは、光軸方向に垂直な径方向において、下側凹部1Sよりも光軸JDから遠い位置に配置されている。
上側凹部1Rは、蓋部材1の上面に対する突起4Pの突出を抑制できる。或いは、上側凹部1Rは、突起4Pの先端が蓋部材1の上面を超えて突出するのを防止できる。下側凹部1Sは、スペーサ等の別部材が上側板ばね16と蓋部材1との間に配置されていなくとも、上側板ばね16の弾性腕部16gが弾性変形するための空間を提供できる。
そして、貫通孔1Tが下側凹部1Sの外側に配置されている構成は、光軸方向において下側凹部1Sと上側凹部1Rとが重なる部分が少なくなり、或いは、重なる部分がなくなり、上下両面における凹部の形成に伴う蓋部材1の厚み(強度)の低下を抑制できるという効果をもたらす。
また、上側凹部1Rと下側凹部1Sとが光軸方向において重なる部分が少なくなるように、或いは、重ならないように設けられる構成は、上側凹部1R及び下側凹部1Sのそれぞれによる上述の効果を実現できるようにしながらも、蓋部材1の厚さ寸法が過度に大きくなるのを防止できる。すなわち、この構成は、蓋部材1の厚さ寸法を小さくすることができる。また、この構成は、上側凹部1Rと下側凹部1Sとが光軸方向においてほとんど或いは全く重ならないようにすることによって、蓋部材1の強度を確保できる。
レンズ駆動装置101では、例えば図1に示すように、第3側壁部4A3には、開口としての貫通孔4Hが形成され、且つ、部品を実装した基板である配線基板10が固定されていてもよい。図1の例では、配線基板10には磁気検出部材11及びコンデンサ14が部品として実装されている。この場合、部品は、配線基板10が第3側壁部4A3に固定されたときに貫通孔4H内に位置するように、配線基板10に実装されている。また、配線基板10の外側(X1側)には、ケース4に固定された金属板MPが位置していてもよい。なお、貫通孔4Hは、第3側壁部4A3ではなく、第4側壁部4A4に形成されていてもよい。この場合、配線基板10は、第3側壁部4A3ではなく、第4側壁部4A4に固定されてもよい。この構成は、レンズ駆動装置101の設計自由度を高めることができる。
レンズ駆動装置101では、外周壁部4Aの四隅には、蓋部材1の角部における外周端面に隣接する第2壁部としての上側壁部4Wが形成されていてもよい。
この構成は、蓋部材1のケース4への装着を容易にするという効果をもたらす。また、この構成は、レンズ駆動装置101が落下等による衝撃を受けた場合に、蓋部材1がケース4から外れてしまうのを抑制できる。衝撃を受けたときの蓋部材1の動きが上側壁部4Wによって抑制されるためである。
蓋部材1が合成樹脂で形成されている場合において、蓋部材1の外周と外周壁部4Aとの間には、例えば図10(B)に示すように、封止材ECが配置されていてもよい。この構成は、レンズ駆動装置101が落下等による衝撃を受けた場合に、蓋部材1がケース4から外れてしまうのを抑制できる。また、この構成は、塵埃等の異物が筐体HS内に侵入するのを抑制できる。
また、本発明の実施形態に係るレンズ駆動装置101は、例えば図1に示すように、レンズ体を保持可能なレンズ保持部材2と、レンズ保持部材2が収容される筐体HSと、レンズ保持部材2を光軸方向へ移動可能に支持する支持部材としての板ばね6と、レンズ保持部材2に保持されたコイル3と、コイル3に対向する駆動用磁石5Aと、導電パターン(配線パターン)が形成された基板としての配線基板10とを備えている。配線基板10に形成されている導電パターンは、上側板ばね16を介してコイル3に導通している。筐体HSは、開口4Kが形成された底壁部4Bと、外周壁部4Aと、底壁部4Bよりも被写体側となる上側に配置され、収容空間4Sを挟んで底壁部4Bと対向する、開口1Kが形成された天井壁部としての蓋部材1とを有する。そして、配線基板10は、外周壁部4Aの外面に固定されている。
この構成は、配線基板10が筐体HSによって精度よく支持されるという効果をもたらす。筐体HSを構成する外周壁部4Aは、矩形筒状をなしているため、反り及び変形が生じ難いためである。その結果、この構成は、配線基板10とレンズ保持部材2との間の距離のばらつきを抑制でき、ひいては、配線基板10に取り付けられた磁気検出部材11と、レンズ保持部材2に取り付けられた検出用磁石8との間の距離のばらつきを抑制できる。
配線基板10の内面には、例えば図13(A)に示すように、レンズ保持部材2に固定された検出用磁石8の磁界を検出するための磁気検出部材11が実装されており、配線基板10の外面には、例えば図9(C)に示すように、板状部材としての金属板MPが配置されていてもよい。この構成により、金属板MPは、フレキシブルプリント基板としての配線基板10を補強することができる。また、金属板MPは、配線基板10を保護することができる。
筐体HSは、ケース4と蓋部材1とによって構成されていてもよい。上述の実施形態では、蓋部材1は、底壁部4Bを備えたケース4の上面(Z1側の面)に取り付けられるが、底壁部4Bの代わりに天井壁部を一体的に備えたケース4の下面(Z2側の面)に取り付けられてもよい。この場合、上側板ばね16の機能と下側板ばね26の機能とは置き換えられてもよい。すなわち、下側板ばね26は、2つに分割された上でコイル3に電流を流すための給電部材として機能するように構成され、且つ、ケース4と蓋部材1との間に挟持されるように構成され、且つ、配線基板10と電気的に接続されるように構成されてもよい。また、外周壁部は、ケース4のみならず、蓋部材1にも形成されていてもよい。
ケース4は、底壁部4B及び外周壁部4Aを有するとともに、被写体側となる上側が開放されており、蓋部材1が収容空間4Sを介して底壁部4Bと対向する天井壁部を構成していてもよい。この場合には、支持部材としての板ばね6は、例えば図1に示すように、上側板ばね16と下側板ばね26とを有していてもよい。そして、上側板ばね16は、例えば図8(B)及び図10(A)に示すように、接続端子部PT1、PT2を介して配線基板10に形成された導電パターンに接続されていてもよい。
この構成では、上側板ばね16が導電パターンに接続されているため、筐体HSが、上側を開放させたケース4と蓋部材1とを備えている場合でも、複雑な配線経路とすることなく、配線基板10の導電パターンとコイル3とを導通させることができる。
具体的には、配線基板10の上端部10Uには、例えば図13(A)に示すように、凹状部(第1凹状部10U1及び第2凹状部10U2)が形成され、配線基板10の表面における、凹状部に隣り合う位置に導電性の接続部(第1接続部10C1及び第2接続部10C2)が設けられていてもよい。この場合、第1凹状部10U1内には、第2上側板ばね16A2の接続端子部PT2(図8(B)参照。)が配置され、第2凹状部10U2内には、第1上側板ばね16A1の接続端子部PT1(図8(B)参照。)が配置される。そして、第1接続部10C1と接続端子部PT2とは、図10(A)に示すように、接合材としての導電性接着剤AD4によって接続される。第2接続部10C2と接続端子部PT1との接続についても同様である。
この構成は、配線基板に形成された(切欠ではない)孔に接続端子部を通す従来の構成に比べ、レンズ駆動装置101の製造に関する生産性を高めることができる。接続部によって形成される凹状の空間内である凹状部内に接続端子部を位置付ける際の配線基板10の取り扱いに関する自由度を高めることができるためである。例えば、作業者は、第3側壁部4A3の外面(X1側の面)に沿って配線基板10を移動させながら、第1凹状部10U1内に接続端子部PT2を位置付け、且つ、第2凹状部10U2内に接続端子部PT1を位置付けることができるためである。
また、この構成は、蓋部材1がケース4に取り付けられた後で、第1接続部10C1と接続端子部PT2との接続、及び、第2接続部10C2と接続端子部PT1との接続が行われるのを可能にする。また、この構成は、第1接続部10C1と接続端子部PT2との接続、及び、第2接続部10C2と接続端子部PT1との接続が行われた直後に、別の工程が行われる前に、それらの接続部分に封止材ECが塗布されるのを可能にする。そのため、この構成は、レンズ駆動装置101の組立工程における比較的早い段階で、第1接続部10C1と接続端子部PT2との接続、及び、第2接続部10C2と接続端子部PT1との接続が行われる場合に比べ、作業性を向上させ、且つ、製品ロスの増加を抑制できる。接続端子部が接続部に早期に接続されてしまうことによる作業性の悪化を防止できるためである。また、接続部分がその後の組立工程で損傷されてしまうのを防止できるためである。
外周壁部4Aは、例えば図1に示すように、光軸方向と垂直な第1方向(Y軸方向)においてレンズ保持部材2を挟んで対向する第1側壁部4A1及び第2側壁部4A2と、光軸方向と垂直で且つ第1方向に垂直な第2方向(X軸方向)においてレンズ保持部材2を挟んで対向する第3側壁部4A3及び第4側壁部4A4とを有していてもよい。この場合、第3側壁部4A3には、開口としての貫通孔4Hが形成され、且つ、貫通孔4H内に配置される部品を実装した基板としての配線基板10が固定されていてもよい。図1の例では、部品は、磁気検出部材11及びコンデンサ14である。なお、貫通孔4Hは、第4側壁部4A4に形成されていてもよい。この場合、配線基板10は、第4側壁部4A4に固定される。
配線基板10が固定されている第3側壁部4A3には、図9(A)に示すように、配線基板10と第3側壁部4A3とを接着固定するための接着剤が収容される凹部RS2が形成されていてもよい。なお、第4側壁部4A4に配線基板10が固定される場合には、接着剤が収容される凹部RS2は、第4側壁部4A4に形成されていてもよい。この構成は、配線基板10と第3側壁部4A3との間の接着強度を高めることができる。
配線基板10は、天井壁部としての蓋部材1の外側にもその一部が位置するように、第3側壁部4A3に固定されていてもよい。具体的には、配線基板10は、例えば図16に示すように、第3側壁部4A3に固定されていてもよい。図16は、図9(B)に示すレンズ駆動装置101をX1側から見たときのレンズ駆動装置101の正面図である。図16では、明瞭化のため、蓋部材1にドットハッチングが付されている。
図16は、金属板MPが第3側壁部4A3に取り付けられる前のレンズ駆動装置101の状態を示している。そのため、図16に示すレンズ駆動装置101には、導電性接着剤AD4(図10(A)参照。)が塗布されておらず、封止材EC(図10(B)参照。)も塗布されていない。図16においてクロスハッチングで表される、配線基板10の一部である上端部10Uは、蓋部材1の外周端面に対向するように配置されている。
この構成は、蓋部材1とケース4の第3側壁部4A3との間の隙間を通って塵埃等の異物が筐体HS内に侵入するのを抑制できる。
配線基板10の下部には、図14(B)に示すように、第1接続部10C1を介して第2上側板ばね16A2に導通する第1端子部TM1が設けられ、且つ、第2接続部10C2を介して第1上側板ばね16A1に導通する第6端子部TM6が設けられていてもよい。この場合、第1端子部TM1及び第6端子部TM6は、電気検査用の端子部として利用されてもよい。例えば、第1端子部TM1及び第6端子部TM6は、コイル3の導通検査のために、磁気検出部材11を経由せずにコイル3に電流を流す際に利用されてもよい。
検出用磁石8は、例えば図3に示すように、レンズ保持部材2の第3側面2A3において露出する平坦面8Aを有し、且つ、平坦面8Aの幅W1より大きい幅W2を有するように構成されていてもよい。
この構成は、検出用磁石8がレンズ保持部材2から外れ落ちてしまうのを防止しながら、平坦面8Aを磁気検出部材11に直接的に対向させることができるという効果をもたらす。平坦面8Aと磁気検出部材11とが直接的に対向する状態は、平坦面8Aと磁気検出部材11との間にレンズ保持部材2の一部等の他の部材が存在しない状態を意味する。また、この構成は、平坦面8Aと磁気検出部材11との間の距離を小さくできるという効果をもたらす。但し、検出用磁石8と磁気検出部材11とは、レンズ保持部材2の一部等の非磁性部材を挟んで対向していてもよい。
上側板ばね16は、望ましくは、図6(A)に示すように、ケース4に固定される第1固定部としての外側部分16eと、レンズ保持部材2に固定される第2固定部としての内側部分16iと、外側部分16eと内側部分16iとの間に設けられる弾性腕部16gとを有する。そして、上側板ばね16の外側部分16eと駆動用磁石5Aとの間の隙間には、図8(A)に示すように、絶縁性の接着剤AD3が配置されていてもよい。
この構成は、上側板ばね16と駆動用磁石5Aとが直接接触してしまうのを防止できるという効果をもたらす。すなわち、コイル3に電流を流すための給電部材として機能する上側板ばね16が駆動用磁石5Aと接触し、駆動用磁石5Aに向かって電流が流れてしまうのを防止できるという効果をもたらす。
本発明の実施形態に係るレンズ駆動装置101の製造方法は、ケース4と蓋部材1とを組み合わせる工程と、蓋部材1が組み合わされたケース4の外周壁部4Aの外面に配線基板10を固定する工程とを有する。すなわち、レンズ駆動装置101の製造方法は、ケース4内にレンズ保持部材2等が収容され且つケース4に蓋部材1が取り付けられた後で、ケース4に配線基板10が取り付けられる点を特徴としている。
この手順は、レンズ駆動装置101の製造に関する生産性を高めることができるという効果をもたらす。配線基板10と上側板ばね16とが互いに垂直な状態で接合された後で別の部材を組み付ける工程を排除できるためである。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に限定されることはない。上述した実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形及び置換等が適用され得る。また、上述の実施形態を参照して説明された特徴のそれぞれは、技術的に矛盾しない限り、適宜に組み合わされてもよい。
例えば、上述の実施形態では、ケース4の外周壁部4Aは、第1側壁部4A1〜第4側壁部4A4が連続するように、すなわち、第1側壁部4A1〜第4側壁部4A4で収容空間4Sの周囲を隙間無く取り囲むように構成されているが、2つの側壁部が連続するように構成されていてもよい。例えば、第1側壁部4A1と第3側壁部4A3とによって上面視でL字状の壁部が構成され、且つ、第2側壁部4A2と第4側壁部4A4とによって上面視でL字状の壁部が構成されていてもよい。すなわち、第1側壁部4A1と第4側壁部4A4との間、及び、第2側壁部4A2と第3側壁部4A3との間に隙間が形成されていてもよい。
また、上述の実施形態では、ケース4の外周壁部4Aは、第1側壁部4A1〜第4側壁部4A4のそれぞれの高さが同じになるように構成されているが、高さが異なるように構成されていてもよい。また、第1側壁部4A1は、例えば、中央部の高さが高く、両端部の高さが低くなるように構成されていてもよい。第2側壁部4A2〜第4側壁部4A4についても同様である。
また、上述の実施形態では、駆動用磁石5Aは、外周壁部4Aの側壁部に固定されているが、外周壁部4Aの四隅等の隅部に配置されてもよい。また、コイル3は、光軸JDを囲むようにレンズ保持部材2の外周に巻回されていてもよい。