JP2021095892A - 冷却回路制御装置、冷却回路制御プログラム及び冷却回路制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】冷却回路の消費電力を低減すること。【解決手段】冷却回路制御装置は、冷却回路により熱を奪われる冷却対象が要求する冷媒の流量に関する物理量を示す要求流量データを取得し、前記冷媒の温度を示す冷媒温度データを取得するデータ取得部と、前記要求流量データにより示される前記物理量が前記冷媒温度データにより示される前記温度における上限を超えているか否かを判定する要求判定部と、前記物理量が前記温度における前記上限を超えていると判定された場合、前記物理量が前記上限以下となるよう前記冷媒の流量を制御する流量制御部と、を備える。【選択図】図2
Description
本発明は、冷却回路制御装置、冷却回路制御プログラム及び冷却回路制御方法に関する。
従来から様々な技術分野において、冷媒を流して冷却対象を冷却する冷却回路が使用されている。このような冷却回路の例として、特許文献1に開示された技術が挙げられる。この技術は、バッテリモジュールの冷却又は均温化が必要と判定した場合、少なくとも液体冷媒を冷却部材の液体冷媒通流部内に通流させつつ循環させてバッテリモジュールの冷却又は均温化を行うものである。また、この技術は、バッテリモジュールの冷却又は均温化が必要であると判定しなかった場合、液体冷媒を循環させずに、気体冷媒を冷却部材の気体冷媒通流部に通流することによりバッテリモジュールを冷却するものである。
また、例えば、ハイブリッド自動車(HV:Hybrid Vehicle)等に搭載されている冷却回路を制御する冷却回路制御装置は、冷却対象が過熱により故障してしまう事態を回避するためにフェールセーフを念頭に置いて設計されている。このため、冷却回路制御装置は、高水温となる高温地域や高負荷状態により冷却対象の温度が上昇した際に、冷媒を吐出するポンプの出力を上昇させて冷却対象の過熱を極力抑制するように冷却回路を制御することがある。しかし、このような制御が実行された場合、故障等により冷却対象が過熱した場合にも冷却回路の消費電力が増加してしまうことがある。さらに、故障により冷却回路の消費電力が増加してしまっている場合、米国カリフォルニア州大気資源局のオンボードダイアグノーシス(OBD:On-board diagnostics)規制において故障検知アクションの管理を高レベルに行う為、制御基板の高信頼化、高性能化が必要な場合がある。
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、冷却回路の消費電力を低減することができる冷却回路制御装置、冷却回路制御プログラム及び冷却回路制御方法を提供することを目的の一つとする。
この発明に係る冷却回路制御装置、冷却回路制御プログラム及び冷却回路制御方法は、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様に係る冷却回路制御装置冷却回路により熱を奪われる冷却対象が要求する冷媒の流量に関する物理量を示す要求流量データを取得し、前記冷媒の温度を示す冷媒温度データを取得するデータ取得部と、前記要求流量データにより示される前記物理量が前記冷媒温度データにより示される前記温度における上限を超えているか否かを判定する要求判定部と、前記物理量が前記温度における前記上限を超えていると判定された場合、前記物理量が前記上限以下となるよう前記冷媒の流量を制御する流量制御部と、を備える冷却回路制御装置である。
(1):この発明の一態様に係る冷却回路制御装置冷却回路により熱を奪われる冷却対象が要求する冷媒の流量に関する物理量を示す要求流量データを取得し、前記冷媒の温度を示す冷媒温度データを取得するデータ取得部と、前記要求流量データにより示される前記物理量が前記冷媒温度データにより示される前記温度における上限を超えているか否かを判定する要求判定部と、前記物理量が前記温度における前記上限を超えていると判定された場合、前記物理量が前記上限以下となるよう前記冷媒の流量を制御する流量制御部と、を備える冷却回路制御装置である。
(2):上記(1)の態様において、前記上限は、前記冷媒温度データにより示される前記温度に関わらず一定である。
(3):上記(1)の態様において、前記上限は、前記冷媒温度データにより示される前記温度に応じて変化する。
(4):上記(1)から(3)のいずれか一つの態様において、前記上限は、前記冷却回路を備える車両の走行モードに応じて設定されている。
(5):上記(1)から(4)のいずれか一つの態様において、前記上限は、前記冷却対象から奪う必要がある熱量が大きい程、高く設定されている。
(6):上記(1)から(5)のいずれか一つの態様において、前記冷却回路は、複数の前記冷却対象から熱を奪うものであり、前記データ取得部は、前記冷却対象ごとに前記要求流量データ及び前記冷媒温度データを取得し、前記要求判定部は、前記要求流量データにより示される前記物理量の少なくとも一つが前記冷却対象ごとに設定されている前記上限の最大値を超えているか否かを判定し、前記流量制御部は、前記物理量の少なくとも一つが前記最大値を超えていると判定された場合、前記物理量が前記最大値以下となるよう前記冷媒の流量を制御するものである。
(7):上記(1)から(6)のいずれか一つの態様において、前記データ取得部は、前記冷却対象から熱を奪う前における前記冷媒の温度を示す前記冷媒温度データを取得するものである。
(8):上記(1)から(6)のいずれか一つの態様において、前記データ取得部は、前記冷却対象から熱を奪った後における前記冷媒の温度から前記熱を奪うことにより上昇する前記冷媒の温度を差し引いた温度を示す前記冷媒温度データを取得するものである。
(9):この発明の一態様に係る冷却回路制御プログラムは、コンピュータに、冷却回路により熱を奪われる冷却対象が要求する冷媒の流量に関する物理量を示す要求流量データを取得し、前記冷媒の温度を示す冷媒温度データを取得するデータ取得機能と、前記要求流量データにより示される前記物理量が前記冷媒温度データにより示される前記温度における上限を超えているか否かを判定する要求判定機能と、前記物理量が前記温度における前記上限を超えていると判定された場合、前記物理量が前記上限以下となるよう前記冷媒の流量を制御する流量制御機能と、を実現させる冷却回路制御プログラムである。
(10):この発明の一態様に係る冷却回路制御方法は、冷却回路により熱を奪われる冷却対象が要求する冷媒の流量に関する物理量を示す要求流量データを取得し、前記冷媒の温度を示す冷媒温度データを取得するデータ取得ステップと、前記要求流量データにより示される前記物理量が前記冷媒温度データにより示される前記温度における上限を超えているか否かを判定する要求判定ステップと、前記物理量が前記温度における前記上限を超えていると判定された場合、前記物理量が前記上限以下となるよう前記冷媒の流量を制御する流量制御ステップと、を含む冷却回路制御方法である。
(1)から(10)によれば、冷却回路により熱を奪われる冷却対象が要求する冷媒の流量に関する物理量が冷媒温度データにより示される温度における上限以下となるように冷却回路を制御することにより、冷却回路の消費電力を低減することができる。
(2)によれば、上述した上限を冷媒温度データにより示される温度に関わらず一定とすることにより、冷却回路の消費電力を常に一定以上低減することができる。
(3)によれば、上述した上限を冷媒温度データにより示される温度に応じて変化させることにより、冷却回路の消費電力を当該温度に応じて低減することができる。
(4)によれば、上述した上限を車両の走行モードに応じて変化させることにより、冷却回路の消費電力を車両の走行モードに応じて低減することができる。
(5)によれば、上述した上限を冷却対象から奪う必要がある熱量が大きい程、高く設定することにより、冷却回路の消費電力を低減しつつ、冷却対象が十分に冷却されなくなってしまう事態を回避することができる。
(6)によれば、冷却対象ごとに取得された要求流量データにより示される物理量全てが冷却対象ごとに設定された上限の最大値以下となるよう冷媒の流量を制御することにより、冷却回路の消費電力を低減しつつ、全ての冷却対象を十分に冷却することができる。
(7)によれば、冷却対象から熱を奪う前における冷媒の温度を示す冷媒温度データを判定に使用することにより、更に確実に冷却回路の消費電力を低減することができる。
(8)によれば、冷却回路の構成要素の配置の制約上、冷却対象から熱を奪った後における冷媒の温度を計測する温度計しかない場合であっても、冷却対象から熱を奪う前における冷媒の温度に近似した温度を示す冷媒温度データを判定に使用することにより、更に確実に冷却回路の消費電力を低減することができる。
以下、図面を参照し、本発明に係る冷却回路制御装置、冷却回路制御プログラム及び冷却回路制御方法の実施形態について説明する。
まず、図1を参照しながら、実施形態に係る冷却回路について説明する。図1は、実施形態に係る冷却回路の一例を示す図である。図1に示すように、冷却回路1は、冷却管10と、冷媒タンク20と、温度計30と、ポンプ40と、ラジエータ50とを備える。冷却回路1は、例えば、ハイブリッド自動車等の車両に搭載される直列冷却回路である。
冷却管10は、内部に冷媒を流すための管であり、冷媒タンク20とポンプ40とを接続し、ポンプ40とラジエータ50とを接続し、ラジエータ50と冷媒タンク20とを接続している。ここで言う冷媒は、例えば、水、エチレングリコール、エチレングリコールと水の混合物、油類、である。また、冷却管10は、冷却対象100−1、…及び冷却対象100−N(N:1以上の整数)と熱的に接触しており、内部を流れる冷媒により冷却対象100−1、…及び冷却対象100−Nから熱を奪う。
冷却対象100−1、…及び冷却対象100−N各々は、例えば、ハイブリッド自動車に搭載されている電子部品、エンジン部品である。また、冷却対象100−1、…及び冷却対象100−N各々は、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)を有する。これらの電子制御ユニットは、例えば、冷却対象100−1、…及び冷却対象100−N各々がポンプ40に対して要求する冷媒の流量に関する物理量を示す要求流量データを生成する。ここで言う物理量は、例えば、冷却管10を流れる冷媒の流量、ポンプ40に付帯する原動機の出力、当該出力に関連するパラメータ、冷却対象100−1等の温度、冷却対象100−1等が動作することにより発生する熱量、当該温度又は当該熱量に関連するパラメータである。
冷媒タンク20は、冷媒が貯留される容器である。温度計30は、冷却管10の内部を流れる冷媒の温度を計測し、冷媒の温度を示す冷媒温度データを生成する。例えば、温度計30は、ポンプ40とラジエータ50との間を流れる冷媒の温度を計測し、冷却対象100−1、…及び冷却対象100−Nから熱を奪う前における冷媒の温度を示す冷媒温度データを生成する。なお、温度計30が冷媒の温度を計測する態様は、特に限定されない。
ポンプ40は、冷媒タンク20から冷媒を吸い上げてラジエータ50に向けて冷媒を送り出すことにより、冷却回路1内で冷媒を循環させる。また、ポンプ40は、電子制御ユニットと、原動機と備える。電子制御ユニットは、冷却対象100−1、…及び冷却対象100−Nの少なくとも一つから要求流量データを受信し、温度計30から冷媒温度データを受信する。そして、電子制御ユニットは、要求流量データ及び冷媒温度データに基づいて、例えば、原動機を制御するインバータに供給する電圧のデューティ比を調整することにより、ラジエータ50に向けて送り出す冷媒の流量を制御する。ラジエータ50は、冷媒を冷却する。
図2は、実施形態に係る冷却回路制御装置の一例を示す図である。図2に示すように、冷却回路制御装置60は、データ取得部61と、要求判定部62と、流量制御部63とを備える。冷却回路制御装置60は、冷却回路1が搭載されている車両内の任意の場所に配置され得る。
データ取得部61は、冷却対象100−1、…及び冷却対象100−Nの少なくとも一つから要求流量データを取得し、温度計30から冷媒温度データを取得する。
具体的には、データ取得部61は、N=1である場合、すなわち冷却回路1により熱を奪われる冷却対象が冷却対象100−1の一つのみである場合、冷却対象100−1が備える電子制御ユニットから要求流量データを取得し、温度計30から冷媒温度データを取得する。
また、データ取得部61は、N≧2である場合、すなわち冷却回路1により熱を奪われる冷却対象が冷却対象100−1、…及び冷却対象100−Nの複数である場合、冷却対象100−1、…及び冷却対象100−N各々が備える電子制御ユニット各々から要求流量データを取得し、温度計30から冷媒温度データを取得する。この場合、冷媒温度データは、冷却対象100−1、…及び冷却対象100−N全てについて同じ温度を示している。
要求判定部62は、要求流量データにより示される物理量が冷媒温度データにより示される温度における上限を超えているか否かを判定する。この上限は、例えば、冷却対象100−1、…及び冷却対象100−Nごとに図3又は図4に示すように設定されている。また、この上限を示すデータは、例えば、冷却対象100−1、…及び冷却対象100−N各々が備える電子制御ユニット又はこれらの電子制御ユニットを制御する電子制御ユニットに組み込まれている記憶媒体に格納されている。
図3は、実施形態に係る冷媒の温度と冷却対象が要求する冷媒の流量に関する物理量との関係及び冷媒の温度と当該物理量の上限との関係の一例を示す図である。
図3に示した実線N1は、冷却対象100−1、…及び冷却対象100−Nの少なくとも一つが過熱する等の異常が発生していない場合における冷媒の温度と冷却対象の一つが要求する冷媒の流量に関する物理量との関係を示している。また、冷媒の温度が低い程、少ない流量で冷却対象100−1、…及び冷却対象100−Nから多くの熱量を奪うことができるため、実線N1は、単調に増加する曲線となっている。
図3に示した実線L1は、冷媒の温度と冷媒の流量に関する物理量の上限との関係を示している。この上限は、冷却対象100−1、…及び冷却対象100−Nの少なくとも一つが過熱する等の異常が発生している状態でも過剰となる冷媒の流量に関する値である。この上限に等しい流量の冷媒が冷却管10を流れている場合、冷却対象100−1、…及び冷却対象100−Nは、過熱等の異常が発生していても十分に冷却されるため、正常に動作する。図3に示した実線L1は、冷媒温度データにより示される温度に関わらず当該物理量の上限が一定であることを示している。また、実線L1により示される上限は、冷媒の温度に関わらず、実線N1により示される物理量よりも大きい。
図4は、実施形態に係る冷媒の温度と冷却対象が要求する冷媒の流量に関する物理量との関係及び冷媒の温度と当該物理量の上限との関係の一例を示す図である。
図4に示した実線N2は、冷却対象100−1、…及び冷却対象100−Nの少なくとも一つが過熱する等の異常が発生していない場合における冷媒の温度と冷却対象が要求する冷媒の流量に関する物理量との関係を示している。また、冷媒の温度が低い程、少ない流量で冷却対象100−1、…及び冷却対象100−Nから多くの熱量を奪うことができるため、実線N2は、単調に増加する曲線となっている。
図4に示した実線L2は、冷媒の温度と冷媒の流量に関する物理量の上限との関係を示している。この上限は、冷却対象100−1、…及び冷却対象100−Nの少なくとも一つが過熱する等の異常が発生している状態でも過剰となる冷媒の流量に関する値である。この上限に等しい流量の冷媒が冷却管10を流れている場合、冷却対象100−1、…及び冷却対象100−Nは、過熱等の異常が発生していても十分に冷却されるため、正常に動作する。図4に示した実線L1は、冷媒温度データにより示される温度に応じて冷媒の流量に関する物理量の上限が変化することを示している。また、実線L2により示される上限は、冷媒の温度に関わらず、実線N2により示される物理量よりも大きい。
例えば、要求判定部62は、要求流量データにより示される物理量が図3に示した実線L1又は図4に示した実線L2で示される上限を超えているか否かを判定する。
具体的には、要求判定部62は、N=1である場合、すなわち冷却回路1により熱を奪われる冷却対象が冷却対象100−1の一つのみである場合、冷却対象100−1が有する電子制御ユニットから取得された要求流量データにより示される物理量が図3に示した実線L1又は図4に示した実線L2で示される上限を超えているか否かを判定する。
また、要求判定部62は、N≧2である場合、すなわち冷却回路1により熱を奪われる冷却対象が冷却対象100−1、…及び冷却対象100−Nの複数である場合、これらの冷却対象各々が有する電子制御ユニット各々から取得された要求流量データにより示される物理量の少なくとも一つがこれらの冷却対象ごとに設定されている上限のうちの最大値を超えているか否かを判定する。
これらの判定が必要な理由は、冷却対象100−1、…及び冷却対象100−N各々が十分に冷却されない事態を避けるように車両が設計されており、かつ、これらの冷却対象が備える電子制御ユニットが冷媒温度データを有していないために、要求流量データにより示される物理量が上述した上限を越えてしまうことがあり得ることによる。このような状況は、特に、これらの冷却対象が備える電子制御ユニットの性能が設計上の制約により限られてしまっている場合に起こり易い。
なお、要求流量データにより示される物理量の上限は、冷却回路1を備える車両の走行モードに応じて設定されていてもよい。ここで言う走行モードは、例えば、車両がハイブリッド自動車である場合、モータードライブモード、エンジンドライブモード及びハイブリッドドライブモードの三つのモードとなる。モータードライブモードは、モーターのみを使用して走行するモードであり、発進時や平坦な道路での走行に適している。エンジンドライブモードは、エンジンのみを使用して走行するモードであり、高速道路や幹線道路での高速走行に適している。ハイブリッドドライブモードは、モーターとエンジンを併用して走行するモードであり、加速時や上り坂での走行に適している。
例えば、要求流量データにより示される物理量の上限は、冷媒温度データにより示される温度に関わらず、車両がモータードライブモードで走行している場合に最小となり、車両がハイブリッドドライブモードで走行している場合に最大となるように設定されていてもよい。
また、要求流量データにより示される物理量の上限は、冷却対象100−1、…及び冷却対象100−Nから奪う必要がある熱量が大きい程、高く設定されていてもよい。
流量制御部63は、要求流量データにより示される物理量が冷媒温度データにより示される温度における上限を超えていると判定された場合、当該物理量が当該上限以下となるよう冷媒の流量を制御する。
具体的には、流量制御部63は、N=1である場合には、冷却対象100−1が有する電子制御ユニットから取得された要求流量データにより示される物理量が上述した上限を超えていると判定されると、当該物理量が当該上限以下となるように冷媒の流量を制御する。
また、流量制御部63は、N≧2である場合には、冷却対象が冷却対象100−1、…及び冷却対象100−N各々が有する電子制御ユニット各々から取得された要求流量データにより示される物理量の少なくとも一つがこれらの冷却対象ごとに設定されている上限のうちの最大値を越えていると判定されると、当該物理量が当該上限以下となるように冷媒の流量を制御する。
次に、図5を参照しながら、実施形態に係る冷却回路制御装置1が実行する処理について説明する。図5は、実施形態に係る冷却回路制御装置が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
ステップS11において、データ取得部61は、冷却回路に含まれている冷却対象が要求する冷媒の流量に関する物理量を示す要求流量データを取得し、冷媒の温度を示す冷媒温度データを取得する。
ステップS12において、要求判定部62は、要求流量データにより示される物理量が冷媒温度データにより示される温度における上限を超えているか否かを判定する。要求判定部62は、当該物理量が当該上限を超えていると判定した場合(ステップS12:YES)、処理をステップS13に進める。一方、要求判定部62は、当該物理量が当該上限以下であると判定した場合(ステップS12:NO)、処理を終了させる。
ステップS13において、流量制御部63は、要求流量データにより示される物理量が冷媒温度データにより示される温度における上限以下となるよう冷媒の流量を制御する。
以上、実施形態に係る冷却回路制御装置60について説明した。冷却回路制御装置60は、要求流量データにより示される物理量が冷媒温度データにより示される温度における上限を超えていると判定された場合、当該物理量が当該上限以下となるよう冷媒の流量を制御する。これにより、冷却回路制御装置60は、冷却回路1内で冷媒を循環させるポンプ40が備える原動機の出力を必要以上に上げてしまうことを避け、冷却回路1の消費電力を低減することができる。
また、上述した上限は、冷媒温度データにより示される温度に関わらず一定であってもよい。これにより、冷却回路制御装置60は、冷却回路1の消費電力を常に一定以上低減することができる。
また、上述した上限は、冷媒温度データにより示される温度に応じて変化していてもよい。これにより、冷却回路制御装置60は、冷却回路1の消費電力を当該温度に応じて低減することができる。
また、上述した上限は、冷却回路1を備える車両の走行モードに応じて設定されていてもよい。これにより、冷却回路制御装置60は、冷却回路1の消費電力を車両の走行モードに応じて低減することができる。プラグインハイブリッドや電気自動車の場合、プラグイン充電モードで要求流量データにより示される物理量の上限を設定することができる。
また、上述した上限は、冷却対象100−1、…及び冷却対象100−Nの少なくとも一つから奪う必要がある熱量が大きい程、高く設定されていてもよい。これにより、冷却回路制御装置60は、冷却回路1の消費電力を低減しつつ、冷却対象100−1、…及び冷却対象100−Nが十分に冷却されなくなってしまう事態を回避することができる。
また、冷却回路制御装置60は、冷却回路1が複数の冷却対象100−1、…及び冷却対象100−Nから熱を奪う場合、これらの冷却対象ごとに要求流量データ及び冷媒温度データを取得する。そして、冷却回路制御装置60は、これらの要求流量データにより示される物理量の少なくとも一つが冷却対象100−1、…及び冷却対象100−Nごとに設定されている上限の最大値を超えていると判定された場合、これらの物理量が当該最大値以下となるよう冷媒の流量を制御してもよい。これにより、冷却回路制御装置60は、冷却回路1の消費電力を低減しつつ、冷却対象100−1、…及び冷却対象100−N全てを十分に冷却することができる。
また、冷却回路制御装置60は、冷却対象100−1、…及び冷却対象100−Nから熱を奪う前における冷媒の温度を示す冷媒温度データを取得してもよい。これにより、冷却回路制御装置60は、冷却対象100−1、…及び冷却対象100−Nから熱を奪う前における冷媒の温度を示す冷媒温度データを要求判定部62が実行する判定に使用することにより、更に確実に冷却回路1の消費電力を低減することができる。
なお、上述した実施形態では、冷却回路1が直列冷却回路である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。冷却回路1は、並列冷却回路であってもよい。
また、上述した実施形態では、温度計30がポンプ40とラジエータ50との間を流れる冷媒の温度を計測する場合を例に挙げたが、これに限定されない。温度計30は、図1に示した冷却対象同士の間、冷却対象100−Nとラジエータ50との間、ラジエータ50と冷媒タンク20との間、冷媒タンク20内、冷媒タンク20とポンプ40との間又はポンプ40内を流れる冷媒の温度を計測してもよい。
また、温度計30は、図1に示した冷却対象同士の間又は冷却対象100−Nとラジエータ50との間を流れる冷媒の温度を計測する場合、冷却対象100−1、…及び冷却対象100−Nの少なくとも一つから熱を奪った後における冷媒の温度を計測していることになる。さらに、これらの場合、温度計30は、冷却対象100−1、…及び冷却対象100−Nの少なくとも一つから熱を奪った後における冷媒の温度から当該熱を奪うことにより上昇する冷媒の温度を差し引いた温度を示す冷媒温度データを生成してもよい。
これにより、冷却回路制御装置60は、冷却回路1の設計上の制約等により冷却対象100−1、…及び冷却対象100−Nから熱を奪う前における冷媒の温度を温度計30が計測し得ない場合であっても、当該熱を奪う前における冷媒の温度に近似した温度を示す冷媒温度データを取得することができる。
また、図1に示した冷却対象同士の間を流れる冷媒の温度が計測され、冷却対象100−1、…及び冷却対象100−Nのうち温度計30よりも上流側に配置されている冷却対象から熱を奪ったことによる冷媒の温度上昇を差し引いた冷媒温度データが生成される場合がある。この場合、温度計30の上流側に配置されている冷却対象と下流側に配置されている冷却対象とで冷媒温度データにより示される温度が互いに相違する。
冷却回路制御装置60が有する機能の少なくとも一部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。或いは、冷却回路制御装置60が有する機能の少なくとも一部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVD、CD−ROM等の着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明は上述した実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
1…冷却回路、10…冷却管、20…冷媒タンク、30…温度計、40…ポンプ、50…ラジエータ、60…冷却回路制御装置、61…データ取得部、62…要求判定部、63…流量制御部、100−1,…,100−N…冷却対象
Claims (10)
- 冷却回路により熱を奪われる冷却対象が要求する冷媒の流量に関する物理量を示す要求流量データを取得し、前記冷媒の温度を示す冷媒温度データを取得するデータ取得部と、
前記要求流量データにより示される前記物理量が前記冷媒温度データにより示される前記温度における上限を超えているか否かを判定する要求判定部と、
前記物理量が前記温度における前記上限を超えていると判定された場合、前記物理量が前記上限以下となるよう前記冷媒の流量を制御する流量制御部と、
を備える冷却回路制御装置。 - 前記上限は、前記冷媒温度データにより示される前記温度に関わらず一定である、
請求項1に記載の冷却回路制御装置。 - 前記上限は、前記冷媒温度データにより示される前記温度に応じて変化する、
請求項1に記載の冷却回路制御装置。 - 前記上限は、前記冷却回路を備える車両の走行モードに応じて設定されている、
請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の冷却回路制御装置。 - 前記上限は、前記冷却対象から奪う必要がある熱量が大きい程、高く設定されている、
請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の冷却回路制御装置。 - 前記冷却回路は、複数の前記冷却対象から熱を奪うものであり、
前記データ取得部は、前記冷却対象ごとに前記要求流量データ及び前記冷媒温度データを取得し、
前記要求判定部は、前記要求流量データにより示される前記物理量の少なくとも一つが前記冷却対象ごとに設定されている前記上限の最大値を超えているか否かを判定し、
前記流量制御部は、前記物理量の少なくとも一つが前記最大値を超えていると判定された場合、前記物理量が前記最大値以下となるよう前記冷媒の流量を制御する、
請求項1から請求項5のいずれか一つに記載の冷却回路制御装置。 - 前記データ取得部は、前記冷却対象から熱を奪う前における前記冷媒の温度を示す前記冷媒温度データを取得する、
請求項1から請求項6のいずれか一つに記載の冷却回路制御装置。 - 前記データ取得部は、前記冷却対象から熱を奪った後における前記冷媒の温度から前記熱を奪うことにより上昇する前記冷媒の温度を差し引いた温度を示す前記冷媒温度データを取得する、
請求項1から請求項6のいずれか一つに記載の冷却回路制御装置。 - コンピュータに、
冷却回路により熱を奪われる冷却対象が要求する冷媒の流量に関する物理量を示す要求流量データを取得し、前記冷媒の温度を示す冷媒温度データを取得するデータ取得機能と、
前記要求流量データにより示される前記物理量が前記冷媒温度データにより示される前記温度における上限を超えているか否かを判定する要求判定機能と、
前記物理量が前記温度における前記上限を超えていると判定された場合、前記物理量が前記上限以下となるよう前記冷媒の流量を制御する流量制御機能と、
を実現させる冷却回路制御プログラム。 - 冷却回路により熱を奪われる冷却対象が要求する冷媒の流量に関する物理量を示す要求流量データを取得し、前記冷媒の温度を示す冷媒温度データを取得するデータ取得ステップと、
前記要求流量データにより示される前記物理量が前記冷媒温度データにより示される前記温度における上限を超えているか否かを判定する要求判定ステップと、
前記物理量が前記温度における前記上限を超えていると判定された場合、前記物理量が前記上限以下となるよう前記冷媒の流量を制御する流量制御ステップと、
を含む冷却回路制御方法。
Priority Applications (1)
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JP2019228365A JP2021095892A (ja) | 2019-12-18 | 2019-12-18 | 冷却回路制御装置、冷却回路制御プログラム及び冷却回路制御方法 |
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