以下、適宜図面を参照しながら、本発明に係る内視鏡を具体的に開示した実施形態(以下、本実施形態という)を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
先ず、最初に本実施形態の内視鏡に共通する基本構成例について説明する。なお、構成例とは本発明に係る内視鏡が備えることのできる構成要件である。本発明に係る内視鏡は、以下の各構成例を相互に重複して備えることを排除しない。
<基本構成例>
図1は、本実施形態の内視鏡を用いた内視鏡システムの一例を示す全体構成図である。図1では、内視鏡11及びビデオプロセッサ19を含む内視鏡システム13の全体構成を斜視図にて示している。
なお、本明細書において説明に用いる方向については、各図中の方向の記載に従うとする。ここで、「上」、「下」は、水平面に置かれたビデオプロセッサ19の上と下にそれぞれ対応し、「前(先)」、「後」は、内視鏡本体(以降「内視鏡11」という)の挿入部21の先端側とプラグ部23の基端側(言い換えると、ビデオプロセッサ19側)にそれぞれ対応する。
図1に示すように、内視鏡システム13は、例えば医療用の軟性鏡である内視鏡11と、観察対象(例えば人体の血管)の内部を撮影して得られた静止画又は動画に対して周知の画像処理等を行うビデオプロセッサ19と含む構成である。内視鏡11は、略前後方向に延在し、観察対象の内部に挿入される挿入部21と、挿入部21の後部が接続されるプラグ部23とを備える。
ビデオプロセッサ19は、前壁25に開口するソケット部27を有している。ソケット部27には内視鏡11のプラグ部23の後部が挿入され、これにより、内視鏡11はビデオプロセッサ19との間で電力及び各種信号(映像信号、制御信号など)の送受が可能である。
上述した電力及び各種信号は、軟性部29の内部に挿通された伝送ケーブル31(図3又は図4参照)を介してプラグ部23から軟性部29に導かれる。先端部15に設けられた撮像素子33が出力した画像データは、伝送ケーブル31を介してプラグ部23からビデオプロセッサ19に伝送される。ビデオプロセッサ19は、プラグ部23から伝送された画像データに対して色補正、階調補正等の周知の画像処理を施して、画像処理後の画像データを表示装置(不図示)に出力する。表示装置は、例えば液晶表示パネル等の表示デバイスを有するモニタ装置であり、内視鏡11によって撮像された被写体の画像(例えば被写体である人物の血管内の様子を示す画像データ)を表示する。
挿入部21は、プラグ部23に後端が接続された可撓性の軟性部29と、軟性部29の先端に連なる先端部15とを有している。軟性部29は各種の内視鏡検査、内視鏡手術等の方式に対応する適切な長さを有する。軟性部29は、例えば螺旋状に巻回された金属薄板の外周にネットを被せ、更に、その外周に被覆を被せることにより構成され、十分な可撓性を有するように形成される。軟性部29は、先端部15とプラグ部23との間を接続する。
以下説明する実施形態の内視鏡11は、挿入部21が細径で形成されることにより、細径の体腔への挿入が可能となる。細径の体腔は、人体の血管に限定されず、例えば尿管、すい管、胆管、細気管支等が含まれる。つまり、内視鏡11は、人体の血管、尿管、すい管、胆管、細気管支等への挿入を可能とすることができる。言い換えると、内視鏡11は、血管内の病変の観察に用いることができる。内視鏡11は、動脈硬化性プラークの同定において有効となる。また、心臓カテーテル検査時の内視鏡による観察にも適用可能となる。更に、内視鏡11は、血栓や動脈硬化性の黄色プラークの検出にも有効となる。なお、動脈硬化病変では、色調(白色、淡黄色、黄色)や、表面(平滑、不整)が観察される。血栓では、色調(赤色、白色、暗赤色、黄色、褐色、混色)が観察される。
また、内視鏡11は、腎盂・尿管がんや、特発性腎出血の診断・治療に用いることができる。この場合、内視鏡11は、尿道から膀胱内に挿入され、更に尿管内にまで進めて、尿管と腎盂の中を観察することができる。
また、内視鏡11は、十二指腸に開口するファーター乳頭への挿入が可能となる。胆汁は、肝臓から造られ胆管を通って、また膵液は膵臓から造られ膵管を通って十二指腸にあるファーター乳頭から排出される。内視鏡11は、胆管及び膵管の開口部であるファーター乳頭から挿入し、胆管又は膵管の観察を可能とすることができる。
更に、内視鏡11は、気管支への挿入が可能となる。内視鏡11は、背臥位となった検体(つまり、被施術者)の口腔又は鼻腔から挿入される。内視鏡11は、咽頭、喉頭を過ぎ、声帯を視認しつつ気管へ挿入される。気管支は分岐するたびに細くなる。例えば最大外径Dmaxが2mm未満の内視鏡11によれば、亜区域気管支まで内腔の確認が可能となる。
次に、本実施形態の内視鏡が有する各種の構成例について説明する。本実施形態の内視鏡11は、第1構成例から第15構成例の各構成を有することができる。
なお、以降の説明において「接着剤」の用語は、固体物の面と面とを接着するために用いる物質という厳密な意味だけではなく、2つの物の結合に用いることができる物質、或いは硬化した接着剤が気体及び液体に対する高いバリア性を備えている場合は、封止剤としての機能を有する物質という広い意味で用いられる。
<第1構成例>
図2は、本実施形態の内視鏡11の先端部15を前側から見た様子を示す斜視図である。図3は、本実施形態の内視鏡11の先端部15の構成例を示す断面図である。図2に示す内視鏡11は、図3に示す先端部15の最大外径Dmaxを、ダイシング可能な撮像素子33の基板の外接円の直径に相当する有限径〜1.0mmの範囲で形成することができる。
本実施形態の内視鏡11では、光軸又はレンズ中心を通る軸方向の方向に垂直な方向における断面が正方形状の撮像素子33として、一辺の寸法が0.5mm以下のものが使用される。これにより、内視鏡11は、撮像素子33の対角寸法が0.7mm程度となり、照明手段としてのライトガイド57(例えばφ50μm)を含めば、最大外径Dmaxが1.0mm以下のものが可能となる。
以上により、第1構成例の内視鏡11によれば、最大外径Dmaxを1.0mm未満とすることで、例えば人体の血管への挿入を更に容易に可能とすることができる。
<第2構成例>
第2構成例の内視鏡11は、本実施形態の内視鏡11において、図5に示すように、撮像素子33の基板が、正方形で形成され、導体接続部49が、撮像素子33の基板の四隅に配置されている。1つの導体接続部49は、例えば円形状に形成される。4つの導体接続部49は、正方形の四隅に配置されることによって、相互に最大距離で離間した配置が可能となっている。
伝送ケーブル31は、電線45である電力線及び信号線それぞれの導体が絶縁被覆によって覆われる。4本の電線45は、左右2本、上下2段に配置されて絶縁被覆の外周が更に外被によって束ねられて、一本の伝送ケーブル31となっている。それぞれの導体は、絶縁被覆が剥かれた状態で、4本が平行な直線状にフォーミングされる。電線45は、この導体の先端が、半田によって導体接続部49に接続される。撮像素子33と伝送ケーブル31とは、図3に示すように、モールド樹脂17によって覆われる。従って、導体接続部49、導体、電線45の絶縁被覆、及び伝送ケーブル31の外被は、モールド樹脂17に埋入される。
以上により、第2構成例の内視鏡11によれば、4つの導体接続部49を、撮像素子33の基板の四隅に配置できるので、4つの導体接続部49を、正方形の撮像素子33の基板において、図5に示すように、相互に最大距離で均等に離間させて配置させることができる。これにより、半田付けの工程において隣接する2つの導体接続部49が半田によって接続されることがなく、絶縁距離の確保が容易となって、先端部15の細径化を容易にすることができる。
<第3構成例>
図4は、本実施形態の内視鏡11におけるレンズ93及び撮像素子33が接着用樹脂37を介して直付けされた状態の構成例を示す断面図である。第3構成例の内視鏡11は、図4に示すように、対物カバーガラス91と、素子カバーガラス43と、撮像面41が素子カバーガラス43によって覆われる撮像素子33と、対物カバーガラス91と素子カバーガラス43の間に挟まれ、撮像面41の中心に光軸が一致されたレンズ93と、対物カバーガラス91とレンズ93との間に設けられる絞り51と、レンズ93と素子カバーガラス43とを固定する接着用樹脂37と、レンズ93と素子カバーガラス43との間に設けられる空気層95と、を備える。
撮像素子33は、例えば前後方向から見て正方形形状をなす小型のCCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)の撮像デバイスにより構成される。つまり、撮像素子33は、レンズ93の光軸又はレンズ中心を通る軸方向に垂直な方向の外形状が正方形である。撮像素子33では、外部から入射した光が、対物カバーガラス91とレンズ93との間に設けられる絞り51を通過し、その通過した光がレンズ93によって撮像面41に結像される。また、撮像素子33では、撮像面41が素子カバーガラス43によって覆われる。素子カバーガラス43は、光軸に対して垂直方向の外形状が正方形であり、その一辺の長さが撮像素子33の一辺の長さと同じである。
接着用樹脂37は、例えばUV・熱硬化性樹脂によって構成される。接着用樹脂37は、透光性を有し、屈折率が空気に近いものが好ましい。接着用樹脂37として、UV・熱硬化性樹脂を用いる場合、外表部分を紫外線照射により硬化できるとともに、紫外線を照射できない充填接着剤の内部を、熱処理によって硬化させることができる。接着用樹脂37は、撮像面41の中心に光軸を一致させたレンズ93を、素子カバーガラス43に固定する。これにより、レンズ93と撮像素子33とが接着用樹脂37によって直接接着されて固定され、つまり、レンズ93と撮像素子33とが接着用樹脂37を介して直付けされる。接着用樹脂37は、例えば最終的な硬度を得るためには熱処理を必要とするが、紫外線照射によってもある程度の硬度まで硬化が進行するタイプの接着剤である。
本実施形態の内視鏡11では、レンズ93と素子カバーガラス43とが接着用樹脂37を介して直付けされる。その結果、内視鏡11では、接着用樹脂37は、側面視でほぼ線状となる(図5参照)。図5は、本実施形態の内視鏡11の導体接続部49に伝送ケーブル31が接続された撮像素子33を後側から見た様子を示す斜視図である。また、本実施形態の内視鏡11では、レンズ93と素子カバーガラス43とは、レンズ93の両端側のコバ部において接着用樹脂37によって直付けされており、接着用樹脂37はコバ部にのみ塗布される。
レンズ93は、例えば単一レンズであり、外形状が撮像素子33と同一の角柱状に形成され、かつ光軸又はレンズ中心を通る軸の方向に垂直な方向における断面が正方形状である。レンズ93は、対物カバーガラス91を通過した被写体からの入射光を、素子カバーガラス43を介して撮像素子33の撮像面41に結像する。レンズ93の素子カバーガラス43側の面には、凹部が形成される。凹部の底面には、略球面状に隆起した凸曲面部97が形成される。レンズ93は、凸曲面部97によって、光の集束を行う光学素子としての機能を有する。凸曲面部97の隆起先端は、素子カバーガラス43との間から若干離間する。一方、レンズ93は、凹部を包囲する四角環状の端面が、接着用樹脂37を介して素子カバーガラス43に接着される。これにより、レンズ93と素子カバーガラス43との間の凹部には、空気が封入された状態となる。この密閉空間となった凹部に封入される空気は、乾燥空気であることが好ましい。また、この凹部には、窒素が封入されてもよいこのように、レンズ93と素子カバーガラス43との間には、凹部を内容積とする空気層95が形成される。この空気層95には、凸曲面部97が配置される。つまり、レンズ93は、凸曲面部97の光出射面が、空気と接している。
最大外径Dmaxが1.0mmの内視鏡11では、レンズ枚数が減らせるか否かが細径化の重要な要件となる。従って、内視鏡11において単一レンズであるレンズ93を設けた場合、光軸方向に平行な幅方向における微小な領域で、レンズ93との間で如何に屈折率差を持たせるかが重要であり、第3構成例の内視鏡11では、レンズ93との間で大きな屈折率差が得られる空気層を光学素子面に設けたことを特徴としている。
以上により、第3構成例の内視鏡11によれば、レンズ93に凹部を形成し、その底面に凸曲面部97を形成し、四角環状の端面を素子カバーガラス43に接着したので、微小な領域に、レンズ93との屈折率差を大きくするための空気層95を確保することができる。同時に、レンズ93は、撮像面41との光軸合わせが容易にできるようになる。レンズ93は、空気層95を確保できたことにより、レンズ93との間で大きなレンズパワーを得ることが可能となる。これにより、内視鏡11においてレンズ枚数を1枚に減らすことができる。その結果、内視鏡11において小型化、コスト低減を図ることができる。
<第4構成例>
第4構成例の内視鏡11は、本実施形態の内視鏡11において、図3に示すように、対物カバーガラス91の対物面を除く外周面、レンズ93の外周面及び撮像素子33をモールド樹脂17によって被覆して固定するとともに先端部15の外殻を形成しかつ外部に露出するモールド部65と、先端部15と同一外径で形成されてモールド部65の少なくとも一部を覆って接続される管状のシース61とを備える。
シース61は、可撓性を有する樹脂材からなる。シース61は、強度を付与する目的で、内周側に単線、複数線、編組の抗張力線を備えることができる。抗張力線としては、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維などのアラミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などのポリエステル系繊維、ナイロン繊維、タングステンの細線、又はステンレス鋼の細線など一例として挙げることができる。シース61は、上記のように可撓性を有する樹脂材からなる。また、シース61は、上記のように強度を付与する目的で、内周側に単線、複数線、編組の抗張力線を備えることができる。抗張力線の材質は上記と同様である。
内視鏡11は、対物カバーガラス91と、レンズ93と、素子カバーガラス43と、撮像素子33の全体と、伝送ケーブル31の一部分と、ライトガイド57の一部分がモールド樹脂17によって被覆されて固定され、かつモールド樹脂17は外部に露出されている。なお、内視鏡11の先端部15には、X線不透過マーカーが内包されてもよい。これにより、内視鏡11は、X線透視下における先端位置の確認が容易となる。
内視鏡11では、対物カバーガラス91、レンズ93、素子カバーガラス43及び撮像素子33に沿って照明手段が設けられている。即ち、第4構成例の内視鏡11は、照明手段の一例としてのライトガイド57を有する。以下、照明手段は、ライトガイド57である場合を例に説明するが、この他、照明手段は、先端部15の挿入先端面に直付けしたLEDとすることもできる。この場、ライトガイド57は不要となる。
ライトガイド57は、1本の光ファイバ59からなる。光ファイバ59には、例えばプラスチック光ファイバ(POF: Plastic Optical Fiber)が好適に用いられる。プラスチック光ファイバは、シリコン樹脂やアクリル樹脂を材料としてコアもクラッドもプラスチックで形成される。また、光ファイバ59は、例えば光ファイバ素線を複数本束ねて、その両端に端末金具を取り付けたバンドルファイバ( bundle fiber)等であってもよい。光ファイバ59は、先端が先端部15で出射端面となり、基端がプラグ部23のフェルールに接続される。光源は、例えばソケット部27等に設けられるLEDである。内視鏡11は、プラグ部23をソケット部27に接続することで、LEDからの光がライトガイド57の光ファイバ59を伝搬し、先端から出射される。この構成によれば、光源から照明光の出射端までを1本の光ファイバで構成でき、光損失を小さくすることができる。
以上により、第4構成例の内視鏡11によれば、ライトガイド57を備えることで、内視鏡11を単独で用いて暗部での撮影を可能にできる。
また、図2に示すように、第4構成例の内視鏡11では、照明手段の一例としてのライトガイド57が、対物カバーガラス91、レンズ93、素子カバーガラス43及び撮像素子33のそれぞれの周囲に複数個設けられた構成である。ライトガイド57は、例えば等間隔で4本を均等に設けることができる。これにより、第4構成例の内視鏡11によれば、対物カバーガラス91、レンズ93、素子カバーガラス43及び撮像素子33のそれぞれの周囲に、等間隔で4本のライトガイド57が均等に設けられるので、被写体の上下左右に影が生じにくくなる。これにより、内視鏡11は、ライトガイド57が1本の構成や、2本の構成に比べ、明瞭な撮像画像を得ることができる。
また、本実施形態の内視鏡11では、撮像素子33が方形状に形成される。4つのライトガイド57の光ファイバ59は、撮像素子33の基板と、撮像素子33の基板の外接円とに挟まれる空間において、撮像素子33の基板の各辺部の略中央に配設されている。
以上により、第4構成例の内視鏡11によれば、正方形の撮像素子33と、撮像素子33に略外接する円形のモールド部65とに挟まれるスペースを有効に利用でき、先端部15の外径を大きくせずに、複数(特に4本)の光ファイバ59を容易に配設することができる。これにより、内視鏡11は、先端部15の外径を大きくせずに、製造を容易にしながら、明瞭な画像を得ることができる。
内視鏡11は、対物カバーガラス91、レンズ93、素子カバーガラス43、撮像素子33、伝送ケーブル31の一部、ライトガイド57の一部(撮像ユニット)がモールド樹脂17によって被覆されて固定されるので、これら各部材同士を固定する際の介在部品が少ない。これにより、内視鏡11の先端部15を小径化することができ、更なる細径化を図る場合であっても、最小限の寸法で構成できる。また、部品コストを削減できる。例えば人体の血管のような非常に径が細い患部を撮像可能に適用可能な内視鏡11を実現することができる。この結果、内視鏡11において小型化、コスト低減を図ることができる。
また、モールド樹脂17は、撮像素子33から対物カバーガラス91までを覆って成形されるので、これら撮像ユニットの固定強度の増大に寄与する。また、モールド樹脂17は、空気層95の気密性(つまり、細かいな隙間が無い)、水密性、遮光性も高める。更に、モールド樹脂17は、ライトガイド57用の光ファイバ59が埋入された際の遮光性も高める。
また、内視鏡11は、先端部15に、ライトガイド57をモールド樹脂17によってモールドするので、ライトガイド57を構造材として作用させ、細径の内視鏡11においても、軟性部29と先端部15との接続強度を向上させることができる。また、内視鏡11では、先端部15を挿入側最表面(例えば図2参照)から見た場合に、モールド樹脂17が先端部15の対物カバーガラス91並びに4つの光ファイバ59を含めて被覆するので、対物カバーガラス91並びに4つの光ファイバ59のそれぞれの周囲のクリアランス(つまり、それぞれの周囲の隙間)が無い。従って、内視鏡11は、検査や手術の際に使用された後に滅菌作用が施される(つまり、洗浄される)と、内視鏡11に不要な液体等の洗浄残りが付着することが軽減され、次の検査又は手術に使用する際の衛生面においてより一層の高度な利便性を有することができる。
また、従来の内視鏡には、先端部の軸線とレンズユニットの光軸とが偏芯しているものがある。このような構成では、先端部の回転角度によって被写体までの距離が変わりやすく、良好な画像を安定的に得にくい。更に、先端部の軸線とレンズユニットの光軸とが偏芯していると、先端部の回転角度によって管内壁と先端部との干渉具合が変わり、特に径が細い孔への進入時に操作性が低下する。これに対し、内視鏡11によれば、対物カバーガラス91、レンズ93、素子カバーガラス43、撮像素子33が同軸で連なっている。つまり、先端部15と同心円で対物カバーガラス91が配置される。その結果、第4構成例の内視鏡11は、細径化しやすく、良好な画像を安定的に得ることができ、挿入操作性を高めることができる。
<第5構成例>
第5構成例の内視鏡11は、シース61の厚みを、0.1〜0.3mmの範囲とすることが好ましい。
内視鏡11のモールド部65は、撮像素子33を覆った後端から後方へ延出する図3に示す小径延出部71を有する。小径延出部71は、円柱状に成形され、4本の光ファイバ59を埋入している。小径延出部71は、4本の光ファイバ59の内側に、伝送ケーブル31を埋入している。シース61は、内径側が、小径延出部71の外周に接着剤等によって固定される。つまり、モールド部65及びシース61は、1.0mmの同軸の最大外径Dmaxで連なっている。
以上により、第5構成例の内視鏡11によれば、シース61の厚みを0.3mmまで厚くできるので、シース61の引っ張り強度を高くすることが容易となる。また、伝送ケーブル31の最小外径は、現在0.54mm程度である。先端部15の最大外径Dmaxを1.0mmとした場合、シース61の厚みは、0.23mmとなる。これによって、内視鏡11は、シース61の厚みを上記の0.1〜0.3mmの範囲とすることで、先端部15の最大外径Dmaxを、1.0mmとすることを可能にすることができる。
<第6構成例>
第6構成例は、内視鏡11におけるレンズ93の構成の具体例として、レンズ形状の構成例を示すものである。図6,図7,図8は、本実施形態の内視鏡11におけるレンズ形状の第1例を示す図である。
第1例のレンズ93Aは、被写体側の第1面LR1が平面、撮像側の第2面LR2が凸面を有する単一レンズにより構成される。レンズ93Aの撮像側において、中央部は、凸面の第2面LR2のレンズ面を構成する略球面状に隆起した円型ドーム形状の凸曲面部97を持つ光学素子部201が形成され、周縁部は、端面が平面の接着面203を有する枠体となるコバ部202が一体的に形成されている。コバ部202は、光学素子部201の凸曲面部97の中心部よりも厚さ方向(光軸方向)の寸法が大きく、コバ部202の接着面203が凸曲面部97より突出した形状となっており、接着面203の全域に接着用樹脂37が付着して素子カバーガラス43と固定される部分となっている。コバ部202の接着面203は、外周部が正方形状で内周部が角丸正方形状の略方形状であり、角部を除く四辺がほぼ等幅になっている。コバ部202の接着面203において、四辺の等幅部分の接着幅Waは、例えば50μm以上となっている。コバ部202の内側は、第2面LR2のレンズ面となる凸曲面部97と素子カバーガラス43との間には空気層95が形成される。
レンズ93の厚さ方向の寸法(厚みSRt)は、例えば100μm〜500μmである。図示例では、コバ部202の厚みTEが200μm、光学素子部201の凸曲面部97(第2面LR2)の外周部における第1面LR1までの厚みTLが110μm〜120μmとなっている。また、光学素子部201の凸曲面部97の外周部からコバ部202の接着面203の内周部にかけては、レンズ中心から外周に向かって広がる傾斜面204を有している。傾斜面204の角度θAは、レンズ中心から見た開口の角度θAとすると、例えばθA=60°となっている。
図9,図10,図11は、本実施形態の内視鏡11におけるレンズ形状の第2例を示す図である。第2例のレンズ93Bは、レンズ93Bの撮像側において、中央部は、凸面の第2面LR2のレンズ面を構成する略球面状に隆起した円型ドーム形状の凸曲面部97を持つ光学素子部201が形成され、周縁部は、端面が平面の接着面203を有する枠体となるコバ部202が一体的に形成されている。ここでは、第1例と異なる部分の構成を中心に説明し、第1例と同様の部分については説明を省略する。コバ部202の接着面203は、外周部が正方形状で内周部が円型ドーム形状の凸曲面部97と同心円状の円形状であり、最小部分の接着幅Waは、例えば50μmとなっている。また、光学素子部201の凸曲面部97(第2面LR2)の外周部に形成された平面部205の幅Wcは、例えば13μmとなっている。また、光学素子部201の外周部の平面部205からコバ部202の接着面203の内周部にかけては、レンズ中心から外周に向かって広がる傾斜面204を有している。傾斜面204の角度θAは、レンズ中心から見た開口の角度θAとすると、例えばθA=60°となっている。
図12,図13,図14,図15は、本実施形態の内視鏡11におけるレンズ形状の第3例を示す図である。第3例のレンズ93Cは、レンズ93Cの撮像側において、中央部は、凸面の第2面LR2のレンズ面を構成する略球面状に隆起した円型ドーム形状の凸曲面部97を持つ光学素子部201が形成され、周縁部は、端面が平面の接着面203を有する枠体となるコバ部202が一体的に形成されている。ここでは、第1例と異なる部分の構成を中心に説明し、第1例と同様の部分については説明を省略する。中央部の光学素子部201は、円型ドーム形状の凸曲面部97の外周部において、レンズ外形の正方形の四辺に対応する円周上の4つの部分206を一部切り欠いた型形状になっている。周縁部のコバ部202は、接着面203の内周部から樽型形状の光学素子部201の外周部にかけて傾斜面204が形成されている。図15に示すように、第3例のレンズ93Cは、正方形の撮像素子33の撮像面211に対して、円形のレンズ93Cのイメージサークル212の不要部分、即ち、撮像面211の四辺より外側の領域213に結像する光線が入射する4つの外周領域214をカットした形状となっている。コバ部202の内周部の傾斜面204の角度θAは、レンズ中心から見た開口の角度θAとすると、例えばθA=90°となっており、第1例及び第2例と比べて傾きをなだらかに形成することができる。一方、第1例及び第2例と同様に、コバ部202の内周部の傾斜面204の角度θAを、θA=60°とすると、コバ部202の接着面203の接着幅Waをより大きくとることができる。
レンズ93は、例えばナノインプリント、射出成型等によって作製される。レンズ93は、ナノインプリントの原版等による金型を用いて、同一形状の微小なレンズが複数配列されたレンズ群を形成し、成型物のレンズ群を離型した後、ダイシング等によって個々のレンズに切断することによって作製する。レンズ93を作製する際、金型からレンズ93を抜くために抜き勾配を設ける必要があり、レンズ93の傾斜面204が抜き勾配として作用する。成型物の抜き勾配はできるだけ大きくとった方が離型性の点で良くなるため、離型性の点からはレンズ93の傾斜面204はレンズ93の光軸と垂直な面に対してなだらかな方が望ましい。一方、レンズ93の外形寸法を小さくするには、レンズ93の傾斜面204はできるだけ立たせた方がよい。また、レンズ93を接着用樹脂37によって素子カバーガラス43と接着する場合に、接着用樹脂37が付着するコバ部202の接着面203は、できるだけ接着面積が大きい方が接着強度の点から好ましい。
このため、レンズ93の細径化、離型性、接着強度の各要素を総合的に考慮し、レンズ93と素子カバーガラスと43をコバ部202において確実に接着可能とするため、コバ部202の接着面203の寸法を設定する。例えば外形形状が四角柱状のレンズ93の大きさの例として、光軸方向又はレンズ中心を通る軸方向に垂直な断面の正方形の一辺の寸法が0.5mmである場合、コバ部202の接着面203は、接着幅Waを例えば50μm以上としている。この場合、先端部15の最大外径Dmaxを1.0mm以下とした内視鏡11において、レンズ93の外形の一辺の寸法を0.5mm以下とし、コバ部202における接着面203の接着幅Waが50μm以上確保される。また、レンズ93の小型化と離型性とを両立するために、傾斜面204の角度θAは、レンズ中心から見た開口の角度θAとすると、例えば60°≦θA≦90°としている。この場合、傾斜面204の角度は、レンズ93の光軸方向(離型方向と平行な方向)に対して30°以上、45°以下であり、レンズ93の光軸又はレンズ中心を通る軸方向と垂直な面に対して60°以下、45°以上となる。
以上により、第6構成例の内視鏡11によれば、先端部15の最大外径Dmaxを1.0mm以下とすることが可能な細径のレンズ93を実現できる。また、細径化を図ったレンズ93において、コバ部202の接着面203の接着幅Waを50μm以上とすることにより、レンズ93と素子カバーガラス43との接着面積を十分に確保できるので確実に接着固定することが可能になる。また、レンズ93における中央部の光学素子部201と周縁部のコバ部202との間の傾斜面204の角度として、レンズ中心から見た開口の角度θAを、60°≦θA≦90°とすることにより、レンズ作製時の離型性を向上できる。
<第7構成例>
第7構成例は、内視鏡11におけるレンズ93と素子カバーガラス43との接着面の構成例を示すものである。
図16は、本実施形態の内視鏡11のレンズ93における素子カバーガラス43との接着面の構成例を示す図である。レンズ93は、四角柱状の外形形状を撮像素子33の素子カバーガラス43と一致させて接着用樹脂37により接着することによって、撮像素子33の撮像面41との光軸合わせを容易に行って固定することができる。レンズ93のコバ部202の接着面203は、素子カバーガラス43と接着固定するために対向させた状態で、素子カバーガラス43の端面と平行な平面ではなく、所定角度を有するように傾斜した傾斜部207を有するものでもよい。接着面203の傾斜部207は、コバ部202の内周部から外周部の方向へ傾斜したテーパ形状であり、外周部の厚さ寸法が微小に小さくなっている。接着面203の傾斜部207の傾斜角は、例えば0.5°以上となっている。レンズ93を素子カバーガラス43と接着するために、コバ部202の接着面203に接着用樹脂37を微小塗布する場合、接着面203の傾斜部207によって、接着面上の接着用樹脂37が外周側に移動し易く、コバ部202より内側に入り難くなり、光学素子部201に形成される空気層95に接着用樹脂37が干渉することを抑止可能となる。
以上により、第7構成例の内視鏡11によれば、レンズ93と素子カバーガラス43との間の空気層95に接着用樹脂37が侵入することを抑止でき、空気層95を確保しつつレンズ93と素子カバーガラス43とを確実に接着固定することが可能になる。
<第8構成例>
第8構成例は、内視鏡11における光学系の構成の具体例を示すものである。
以下に、対物カバーガラス91、レンズ93、素子カバーガラス43を含む光学系の構成の具体例を示す。・対物カバーガラス91
対物カバーガラス91の厚みTGt: TGt=0.1〜0.5mm
対物カバーガラス91の材料の一例: BK7(Schott社製)、nd=1.52、νd=64.2
対物カバーガラス91の屈折率ndF: 1.3≦ndF
対物カバーガラス91のアッベ数νdF: 30≦νdF
・素子カバーガラス43
素子カバーガラス43の厚みSGt: SGt=0.1〜0.5mm
素子カバーガラス43の材料の一例: BK7(Schott社製)、nd=1.52、νd=64.2
素子カバーガラス43の屈折率ndR: 1.3≦ndR≦2.0、ndF≦ndR
素子カバーガラス43のアッベ数νdR: 40≦νdR、νdF≦νdR
・レンズ93
レンズ93の焦点距離f: 0.1mm≦f≦1.0mm
レンズ93のFナンバーFNO: 1.4≦FNO≦8.0
<第9構成例>
第9構成例は、内視鏡11における撮像素子33の構成の具体例を示すものである。図17,図18は、本実施形態の内視鏡11における撮像素子33の第1例を示す図である。
第1例の撮像素子33Aは、レンズ93の光軸又はレンズ中心を通る軸方向に対し垂直な平面で切った断面の形状が四角形状に形成されている。この場合、素子カバーガラス43A側の撮像面及び伝送ケーブル31側の端子面の外形の形状が四角形状であり、撮像素子33A及び素子カバーガラス43Aの外形形状が4角柱状に形成されている。また、撮像素子33A及び素子カバーガラス43Aと、図示しないレンズ93とは、外形形状が同一の4角柱状に形成される。
撮像素子33Aの後端側に設けられる基板(端子面)には、回路パターンによる電気回路99Aが設けられるとともに、4つの角部にそれぞれ導体接続部(接続ランド)49が設けられ、4本の電線45による伝送ケーブル31が半田付け等によって接続されている。即ち、撮像素子33Aの端子面の4つの角部において4本の電線45が接続されている。4本の電線45は、端部がそれぞれクランク状に成形された状態で、撮像素子33Aの端子面の4つの角部に位置して接続される。ここで、撮像素子33Aの外形の幅(四角形断面の1辺の長さ)SQLは、例えば0.5mm以下であり、4本の電線45の隣同士の電線間ピッチPCは、例えば0.3mm以上となっている。
図19,図20は、本実施形態の内視鏡11における撮像素子33の第2例を示す図である。第2例の撮像素子33Bは、レンズ93の光軸又はレンズ中心を通る軸方向に対し垂直な平面で切った断面の形状が八角形状に形成され、撮像素子33B及び素子カバーガラス43Bの外形形状が8角柱状に形成されている。また、撮像素子33B、素子カバーガラス43B及び電気回路99Bと、図示しないレンズ93とは、外形形状が同一の8角柱状に形成される。ここでは、第1例と異なる部分の構成を中心に説明し、第1例と同様の部分については説明を省略する。
第2例は、撮像素子33Bの断面形状において四角形の4つの角部(四隅)をそれぞれ一つの切り取り面221Bで切り取った(面取りした)八角形の形状を持つ例である。撮像素子33Bの外形の切り取り部分の寸法は、四角形の頂点に対する切り取り面221Bの端部までの寸法CSが、例えば20〜50μmとなっている。このように、撮像素子33Bの外形の4つの角部を切り取り面221Bにて切り取ることにより、4本の電線45の電線間ピッチPCをできるだけ離すとともに、撮像素子33Bの対角方向の外形寸法を小さくでき、内視鏡のさらなる細径化に寄与することができる。例えば切り取り部分の寸法CSを21.2μmとすると、撮像素子33Bの対角方向の外形寸法は一か所で15μm小さくなり、対角方向の両端で30μm細径になる。この切り取り面221Bの構成を、外形形状が正方形の状態で一辺の外形寸法SQLが0.5mm、対角方向の外形寸法が0.705mmの撮像素子に適用すると、面取りによって対角方向の外形寸法が0.675mmと小さくなり、φ0.7mm以下の細径内視鏡を実現可能となる。
図21,図22は、本実施形態の内視鏡11における撮像素子33の第3例を示す図である。第3例の撮像素子33Cは、レンズ93の光軸又はレンズ中心を通る軸方向に対し垂直な平面で切った断面の形状が12角形状に形成され、撮像素子33C及び素子カバーガラス43Cの外形形状が12角柱状に形成されている。また、撮像素子33C、素子カバーガラス43C及び電気回路99Cと、図示しないレンズ93とは、外形形状が同一の8角柱状に形成される。ここでは、第1例と異なる部分の構成を中心に説明し、第1例と同様の部分については説明を省略する。第3例は、撮像素子33Cの断面形状において四角形の4つの角部をそれぞれ二つの切り取り面221Cで切り取った12角形の形状を持つ例である。撮像素子33Cの外形の切り取り部分の寸法は、二面で切り取ることにより、四角形の頂点に対する切り取り面の端部までの寸法CSを第2例と比較して大きくできる。従って、撮像素子をより細径化できる。
なお、撮像素子33のレンズ光軸又はレンズ中心を通る軸方向に対して垂直方向の断面形状は、四角形、八角形、12角形に限らず、16角形など、4×n角形(nは自然数)とすればよい。このように、撮像素子33の断面形状を4×n角形に構成することによって、4本の電線45による伝送ケーブル31を接続可能としつつ、撮像素子及び内視鏡をより細径化できる。また、撮像素子33の4 ×n角形の断面形状の四隅が面取りされた形状とすることによって、撮像素子33の対角方向の寸法をより小さくでき、さらなる細径化に寄与できる。
以上により、第9構成例の内視鏡11によれば、先端部15の最大外径Dmaxを1.0mm以下とすることが可能な細径の撮像素子33を実現できる。
本実施形態の内視鏡11は、挿入部21の先端部15に設けられ、撮像面41が素子カバーガラス43によって覆われる撮像素子33と、被写体からの入射光を撮像面41に結像するレンズ93と、レンズ93と素子カバーガラス43とを固定する接着用樹脂37と、を備える。レンズ93は、外形形状が角柱状に形成され、被写体側の第1面が平面、撮像側の第2面が凸面を有する単一レンズにより構成される。レンズ93の撮像側において、中央部は、凸面のレンズ面を構成する略球面状に隆起した凸曲面部97を持つ光学素子部201が形成され、周縁部は、端面が平面の接着面203を有するコバ部202が一体的に形成されている。これにより、先端部15の最大外径Dmaxを1.0mm以下とすることが可能な細径のレンズ93を実現できる。
また、本実施形態の内視鏡11では、レンズ93Aの接着面203は、外周部が正方形状で内周部が角丸正方形状の略方形状である。
また、本実施形態の内視鏡11では、レンズ93Bの接着面203は、外周部が正方形状で内周部が円型ドーム形状の凸曲面部97と同心円状の円形状である。
また、本実施形態の内視鏡11では、レンズ93Cの光学素子部201は、円型ドーム形状の凸曲面部97の外周部において、レンズ外形の正方形の四辺に対応する円周上の4つの部分を一部切り欠いた型形状である。これにより、光学素子部201とコバ部202との間の傾斜面204の傾きをなだらかに形成することができ、レンズ作製時の離型性を向上できる。また、傾斜面204の傾きが同じ場合は、コバ部202の接着面203の接着幅Waをより大きくとることができ、接着強度を向上できる。
また、本実施形態の内視鏡11では、レンズ93は、凸曲面部97の外周部から接着面203の内周部にかけて、レンズ中心から外周に向かって広がる傾斜面204を有し、傾斜面204の角度が、レンズ中心から見た開口の角度θAとすると、60°≦θA≦90°であり、接着面203の接着幅Waが50μm以上である。これにより、細径化を図ったレンズ93において、レンズ93と素子カバーガラス43とを確実に接着固定することが可能になる。また、傾斜面204の角度を十分に確保することにより、レンズ作製時の離型性を向上できる。
また、本実施形態の内視鏡11では、レンズ93の接着面203は、コバ部202の内周部から外周部の方向へ傾斜したテーパ形状の傾斜部207を有する。これにより、接着面203に塗布した接着用樹脂37が外周側に移動し易く、コバ部202より内側に入り難くなり、光学素子部201に形成される空気層95に接着用樹脂37が干渉することを抑止できる。
また、本実施形態の内視鏡11では、撮像素子33、素子カバーガラス43、接着用樹脂37、レンズ93とともに、レンズ93の被写体側の面を覆う対物カバーガラス91を備える。対物カバーガラス91は、厚みTGtが0.1mm≦TGt≦0.5mm、屈折率ndFが1.3≦ndF、アッベ数νdFが30≦νdFの光学材料により構成され、素子カバーガラス43は、厚みSGtが0.1mm≦SGt≦0.5mm、屈折率ndRが1.3≦ndR≦2.0、ndF≦ndR、アッベ数νdRが40≦νdR、νdF≦νdRの光学材料により構成され、単一レンズによるレンズ93は、焦点距離fが0.1mm≦f≦1.0mm、FナンバーFNOが1.4≦FNO≦8.0である。これにより、先端部15の最大外径Dmaxを1.0mm以下とすることが可能な細径のレンズ93を実現できる。
また、本実施形態の内視鏡11では、レンズ93の焦点距離における撮像側の結像点から素子カバーガラス43の被写体側端面までの距離をx(0≦x≦f)、空気のみの状態のレンズ93から結像点に射出する光線の光軸に対する最大角度をθair、素子カバーガラス43を含む状態のレンズ93から素子カバーガラス43を経て結像点に射出する光線の光軸に対する最大角度をθglとしたとき、レンズ93及び素子カバーガラス43は、0.1≦x・(tanθair)/(tanθgl)≦0.5を満たす、焦点距離f、FナンバーFNO、屈折率ndRの組み合わせによりなる。これにより、細径のレンズ93において、所望の光学性能を得ることが可能となる。
また、本実施形態の内視鏡11では、撮像素子33、素子カバーガラス43、接着用樹脂37、レンズ93とともに、撮像素子33の撮像面41と反対側の面に設けられた4つの導体接続部49のそれぞれに接続される4本の電線45を有する伝送ケーブル31を備える。撮像素子33は、レンズ93の光軸又はレンズ中心を通る軸方向に対して垂直方向の断面形状が4×n角形(nは自然数)であり、4本の電線45は、撮像素子33の4×n角形の後端面の四隅に配置された4つの導体接続部49にそれぞれ接続される。これにより、先端部15の最大外径Dmaxを1.0mm以下とすることが可能な細径の撮像素子33を実現できる。
また、本実施形態の内視鏡11では、撮像素子33の4×n角形の断面形状の四隅が面取りされた形状となっている。これにより、撮像素子33の対角方向の寸法をより小さくでき、さらなる細径化に寄与できる。
また、本実施形態の内視鏡11では、撮像素子33及び素子カバーガラス43と、レンズ93とは、外形形状が同一の4×n角形の角柱形状である。これにより、レンズ93から素子カバーガラス43を経て撮像素子33までの外径をより細径化できる。
また、本実施形態の内視鏡11では、撮像素子33は、光軸又はレンズ中心を通る軸方向に対して垂直方向の断面の4×n角形の一辺の長さが、0.5mm以下である。これにより、撮像素子33の対角方向の外形寸法を0.7mm程度と細径化できる。
また、本実施形態の内視鏡11では、先端部15の最大外径が、撮像素子33の基板の外接円の直径に相当する有限径〜1.0mmの範囲で形成される。これにより、最大外径Dmaxを1.0mm未満とすることで、例えば人体の血管への挿入を更に容易に可能とすることができる。
<第10構成例>
図23は、本実施形態の内視鏡11における遮光部材が切欠付きホルダの要部拡大斜視図である。図24は、図23に示した内視鏡11の平断面図である。図25は、図23に示した内視鏡11の分解斜視図である。
第10構成例の内視鏡11は、光軸又はレンズ中心に対して垂直方向の外形状が四角形(例えば正方形、長方形)の単一レンズ(例えばレンズ93)と、光軸又はレンズ中心と同軸に配置されてレンズ93を包囲し、その包囲している外周の形状が円形のシース61と、シース61の外周とレンズ93の少なくとも1辺との間に配置され、光軸又はレンズ中心に沿って延在する照明手段(例えばライトガイド57)と、レンズ93とライトガイド57との間に設けられる遮光部材(例えば円筒ホルダ131)と、を備える。また、内視鏡11は、光軸又はレンズ中心に対して垂直方向の外形状が四角形(例えば正方形、長方形)であり、その一辺の長さがレンズ93の一辺の長さと同一である撮像素子33と、撮像素子33の撮像面41を覆い、光軸又はレンズ中心に対して垂直方向の外形状が撮像素子33の外形状と同一の素子カバーガラス43とをさらに含む。
この内視鏡11は、次のように組み立てられる。具体的には、図25に示すレンズ93と、撮像素子33と、伝送ケーブル31とが組み立てられてカメラAssy(つまり、カメラに関する複数の構成部品からなるユニット。以下同様。)が完成される。次いで、ファイバAssy(つまり、光ファイバ59に関する複数の構成部品からなるユニット。以下同様。)が組み立てられる。ファイバAssyは、例えば複数のライトガイド57と遮光部材の一例としての円筒ホルダ131とからなる。次いで、ファイバAssyである円筒ホルダ131の筐体中央の開口部に挿通するようにカメラAssyとファイバAssyとが固定される。なお、対物カバーガラス91の一辺と切欠133との間は少なくとも50(μm)程度の距離が確保される。最後に、シース61が円筒ホルダ131まで被されて接着用樹脂37により隙間なく固定される。
第10構成例の内視鏡11によれば、外周が円形のシース61と、四角形のレンズ93の少なくとも1辺との間に、ライトガイド57が配置される。これにより、シース61の円形部分とレンズ93の四角形部分との形状差により発生するスペースをライトガイド57の配置に利用でき、先端部15における部材配置密度を高めることができる。即ち、従来の円形レンズの外周にライトガイド57を配置する構成に比べ、スペース効率を向上させることができる。これにより、無駄なスペースを抑制して、小型化が容易に図れるようになる。また、内視鏡11は、レンズ93と撮像素子33とが四角形に形成されるので、レンズ中心と撮像中心との位置あわせが容易に行える。これに加え、レンズ93と撮像素子33の4辺同士、及びレンズ93と撮像素子33の四隅同士を接着用樹脂37により固定できるので、固定面積を大きくできる。その結果、レンズ93と撮像素子33とを高強度に固定できる。
また、第10構成例の内視鏡11において、撮像素子33の外形状は、四角形となる。シース61の外形状は、円形となる。ここで、シース61の内径を強度の許す範囲まで四角形の撮像素子33における角部に近づけた場合、シース61内で利用可能な面積は、中央に位置する四角形の撮像素子33の配置スペースを除いた残りのスペースとなる。この残りのスペースは、四つの円弧と、この円弧の両端を、四角形の1辺(正確には1辺より若干長い直線)で結んだ半月柱状部となる。内視鏡11は、この4つの半月柱状部が、撮像素子33における角部より外側の薄肉部でそれぞれ連結された角穴筒で遮光部材(円筒ホルダ131)が形成されている。つまり、内視鏡11は、必須なスペースを除いた残りのスペースを最大限に利用して円筒ホルダ131が形成されている。その結果、小型化を実現しながら、光ファイバ59の延在方向外側面からの漏れ光を確実に阻止することができる。この円筒ホルダ131は、金属製(例えばSUS材製)のホルダとすることができる。
ここで、図23を参照して、図23に示す内視鏡11の最大外径が1.0mm以下となることについて、具体的に説明する。図23において、レンズ中心に垂直方向の外形状が四角形(例えば正方形)である対物カバーガラス91の四隅(角部)とシース61の内周面との最短距離は、内視鏡11の量産性(加工性も含む)、ハンドリング性(つまり、組立時に破損しにくいこと)を考慮して、50μm程度にしている。また、レンズ中心に垂直方向の外形状が四角形(例えば正方形)である対物カバーガラス91、レンズ93、素子カバーガラス43及び撮像素子33のそれぞれの一辺の長さは500μmであるため、その対角寸法は約705μmである。また、今回使用したシース61の厚さが97(μm)であり、内視鏡11の最大外径Dmaxは、705(μm)+50(μm)+50(μm)+97(μm)≒1000(μm)=1.0(mm)となり、1.0(mm)以下となる。
また、この円筒ホルダ131は、肉厚の半月柱状部に、切欠133を設けたり、貫通孔を穿設したりすることにより、ホルダの強度を殆ど低下させずに、ライトガイド57の挿通スペースを確保することが容易に可能となる。つまり、極めてスペース効率の高い形状と言える。この場合、切欠133は、1辺に長辺が沿う長方形で形成すると、効率よくライトガイド57が配置できるとともに、組立性も容易となる。
第10構成例の内視鏡11は、円筒ホルダ131が、内視鏡11の先端部15における挿入先端面135から撮像素子33の撮像面41までの長さ以上である。
この第10構成例の内視鏡11によれば、円筒ホルダ131が撮像面41よりも後方まで延在してレンズ93のレンズ側面を遮蔽するので、光ファイバ59の延在方向外側面からの漏れ光がレンズ側面から媒質内に侵入することを確実に防止できる。
また、第10構成例の内視鏡11は、円筒ホルダ131に切欠133が形成される。切欠133は、撮像素子33の1辺に長辺が沿う長方形で形成すると、効率よく複数の光ファイバ59が配置できるとともに、加工を容易にできる。例えば第10構成例の内視鏡11において、光ファイバ59は、外径0.052mmとした場合、少なくとも半月柱状部の弦に沿う方向に片側6本、両側で12本が収容可能となる。なお、必要な本数は観察対象や観察対象までの距離、使用する光源によって異なっても構わない。
また、第10構成例の内視鏡11は、複数のライトガイド57が、概略レンズ中心に対して点対称に配置される。
この内視鏡11によれば、ライトガイド57をレンズ93のレンズ中心に点対称で配置するので、特に円形の内周面に照明光を照射した時に、照明光を左右や上下に均等に配光できる。これにより、被写体に影を生じにくくして、撮像画像を見やすくできる。また、先端部15の軸線に対し、ライトガイド57が点対称となるので、先端部15の回転角度によっても、照明光の配光が変化しにくく、特に径が細い血管等への進入時に操作性が向上する。
また、第10構成例の内視鏡11は、複数の光ファイバ59が、レンズ93のレンズ中心に沿うレンズ側面と平行に配置され、かつ、レンズ93の1辺に沿って一列に並べられる。
この内視鏡11によれば、光ファイバ59が、レンズ93の1辺に沿って縦長に配置される。このような構成とすることにより、1辺の中央のみに光ファイバ59を配置するのに比べ、スペースの有効利用が可能となる。これに加え、内視鏡11は、複数の光ファイバ59を1辺に沿って一列に並べるので、広範囲の照明光を均等に配光することができる。
なお、円筒ホルダ131は、挿入先端面135と反対側の後部に、シース61の厚みを確保するための角筒連設部137を延設してもよい。円筒ホルダ131は、角筒連設部137を設けることにより、シース61との接続強度を高めることができる。即ち、シース61を、この角筒連設部137の外挿部分で厚肉にできる。また、円筒ホルダ131の内方に穿設される対物カバーガラス91を収容するための角穴139は、強度の許す範囲で円筒外周円に接近させて形成することがスペース効率を高める点で好ましい。
従って、第10構成例の内視鏡11によれば、挿入先端面135におけるスペース効率(部材配置密度)を高めることが(無駄なスペースを抑制)できることにより小型化が図れるとともに、レンズ93と撮像素子33とを容易に高強度で固定でき、しかも、ライトガイド57からの迷光を防止できる。
また、内視鏡11の挿入先端面135において、シース61とカメラAssy及びファイバAssyとの間は接着用樹脂37により隙間なく充填されるので、先端部15内への液体の侵入を防ぐことができ、洗浄もし易くなる。
<第11構成例>
図26は、本実施形態の内視鏡11における遮光部材が貫通孔付きホルダの要部拡大斜視図である。図27は、図26に示した内視鏡11の分解斜視図である。
第11構成例の内視鏡11は、遮光部材が、レンズ93を同軸に収容する円筒ホルダ141であり、円筒ホルダ141のホルダ外周面とレンズ93の1辺との間にはレンズ中心に沿う方向の貫通孔143が形成される。貫通孔143には、複数本の光ファイバ59が挿通される。第11構成例の内視鏡11において、光ファイバ59は、例えば外径0.052mmとした場合、少なくとも貫通孔143の弦に沿う方向に片側6本、両側で12本が収容可能となる。なお、必要な本数は観察対象や観察対象までの距離、使用する光源によって異なっても構わない。
この内視鏡11は、次のように組み立てられる。具体的には、図27に示すレンズ93と、撮像素子33と、伝送ケーブル31とが組み立てられてカメラAssyが完成される。次いで、複数のライドガイド57が円筒ホルダ141に取り付けられることで、ファイバAssyが組み立てられる。ファイバAssyは、例えば複数のライトガイド57と遮光部材の一例としての円筒ホルダ141とからなり、複数のライトガイド57が円筒ホルダ141の貫通孔143に挿入されて固定される。次いで、カメラAssyがファイバAssyの円筒ホルダ141に装着される。同様に、対物カバーガラス91の一辺と貫通孔143との間は少なくとも50(μm)程度の距離が確保される。最後に、シース61が円筒ホルダ141まで被されて、シース61とカメラAssy及びファイバAssyとの間の隙間は接着用樹脂37により充填されて固定される。
この第11構成例の内視鏡11によれば、角穴筒の円筒ホルダ141における半月柱状部に、レンズ中心に沿う方向の貫通孔143が形成される。貫通孔143は、弦が1辺に沿う方向の略半月状の孔とすることにより、効率よくライトガイド57を配置することができる。
また、内視鏡11の挿入先端面において、カメラAssy及びファイバAssyの固定により生じる隙間(貫通孔143も含む)は接着用樹脂37により充填されるので、先端部15内への液体の侵入を防ぐことができ、洗浄もし易くなる。
<第12構成例>
図28は、本実施形態の内視鏡11における遮光部材がモールド樹脂の要部拡大斜視図である。図29は、図28に示した内視鏡11の平断面図である。図30は、図28に示した内視鏡11の分解斜視図である。
第12構成例の内視鏡11は、遮光部材が、ライトガイド57の延在方向外側面を覆うモールド樹脂145である。
この内視鏡11は、次のように組み立てられる。具体的には、図30に示すレンズ93と、撮像素子33と、伝送ケーブル31とが組み立てられてカメラAssyが完成される。次いで、ファイバAssyが樹脂にてモールド成型されて完成される。次いで、カメラAssyに、ファイバAssyが固定される(点線参照)。最後に、カメラAssyを固定したファイバAssyの外側からシース61が被せられ、ファイバAssy及びカメラAssyとシース61との間に生じた隙間にモールド樹脂146が充填されて隙間なく固定される。
この第12構成例の内視鏡11によれば、ライトガイド57を構成する複数本の光ファイバ59が、モールド樹脂145によりファイババンドルされる。複数本の光ファイバ59は、レンズ93の1辺に沿って一列に並べられる。第12構成例の内視鏡11において、光ファイバ59は、例えば外径0.052mmとした場合、少なくとも弦に沿う方向に片側8本、両側で16本が収容可能となる。モールド樹脂145は、上記した4つの半月柱状部のいずれかの位置で、半月柱状部と同じ形状で成形される。モールド樹脂145は、樹脂金型を用いて、予め溶融樹脂の充填されるキャビティ内に、光ファイバ59を配置しておき、溶融樹脂の充填を行う。これにより、半月柱状部に複数の光ファイバ59が一列に並んでインサートされた状態で一体に成形される。
なお、モールド樹脂145では、薄肉となることにより、光ファイバ59の延在方向外側面からの漏れ光が懸念される場合には、樹脂にカーボン(例えばカーボンブラック)を含有させたものを使用することができる。また、レンズ側面に金属等の蒸着膜又はスクリーン印刷による遮光膜を形成してもよい。これにより、遮光部材がモールド樹脂145でも、より遮光性能を高めることができる。また、内視鏡11の挿入先端面において、シース61とカメラAssy及びファイバAssyとの間はモールド樹脂146により隙間なく充填されるので、先端部15内への液体の侵入を防ぐことができ、洗浄もし易くなる。
<第13構成例>
図31は、本実施形態の内視鏡11における遮光部材がパイプ147の要部拡大斜視図である。図32は、図31に示した内視鏡11の平断面図である。図33は、図31に示した内視鏡11の分解斜視図である。
第13構成例の内視鏡11は、遮光部材が、ライトガイド57を内方に挿通するパイプ147である。
この内視鏡11は、次のように組み立てられる。具体的には、図33に示すレンズ93と、撮像素子33と、伝送ケーブル31とが組み立てられてカメラAssyが完成される。次いで、光ファイバ59がパイプ147内に挿通され、接着用樹脂37により隙間なく固定されてファイバAssyが組み立てられる。次いで、カメラAssyの対向する側面に、ファイバAssyが接着用樹脂37により隙間なく固定される。最後に、伝送ケーブル31に挿通されたシース61が、カメラAssyに固定されたファイバAssyの外側まで被されて、シース61とカメラAssy及びファイバAssyとの間の隙間は接着用樹脂37により充填されて固定される。なお、図31では接着用樹脂37の図示は省略されているが、シース61とカメラAssy及びファイバAssyとの間に生じている隙間は接着用樹脂37により充填されている。また、図32では、接着用樹脂37は、少なくとも撮像素子33の終端面(言い換えると、パイプ147の終端面)まで接着されているように図示されているが、接着用樹脂37の接着範囲は撮像素子33の終端面までに限定されない。例えば、接着用樹脂37は、シース61内において、撮像素子33の終端面より後端側(つまり、対物側と反対側)の導体接続部49、電線45、伝送ケーブル31の一部を含むように接着しても構わない。
この第13構成例の内視鏡11によれば、ライトガイド57を構成する複数の光ファイバ59を、パイプ147の長円孔149に挿通することにより遮光することができる。第13構成例の内視鏡11において、光ファイバ59は、例えば外径0.052mmとした場合、長円孔149に沿う方向に少なくとも片側8本、両側で16本が収容可能となる。パイプ147は、長円筒に形成される。パイプ147の材質としては、例えばNi電鋳材を用いることができる。長円筒は、短径が、光ファイバ59の外径と略一致する。これにより、パイプ147は、複数本の光ファイバ59を、長径方向に一列に並べてバンドルすることができる。パイプ147内に挿通された光ファイバ59は、上記の接着用樹脂37により固定することが好ましい。このパイプ147は、長軸に沿う方向の面を、レンズ側面に固定することができる。遮光部材は、長円筒のパイプ147を用いることにより、容易に且つ高強度に複数の光ファイバ59を確実に遮光してバンドルすることができる。また、内視鏡11の先端面において、シース61とカメラAssy及びファイバAssyとの間は接着用樹脂37により隙間なく充填されるので、先端部15内への液体の侵入を防ぐことができ、洗浄もし易くなる。
<第14構成例>
図34は、本実施形態の内視鏡における遮光部材がジャケット151の要部拡大斜視図である。図35は、図34のジャケット151に覆われた光ファイバ59の拡大斜視図である。
第14構成例の内視鏡11は、光軸又はレンズ中心に対して垂直方向の外形状が四角形(例えば正方形、長方形)の単一レンズ(例えばレンズ93)と、光軸又はレンズ中心と同軸に配置されてレンズ93を包囲し、その包囲している外周の形状が円形のシース61と、シース61の外周とレンズ93の少なくとも1辺との間に配置され、光軸又はレンズ中心に沿って延在する照明手段(例えばライトガイド57)と、レンズ93とライトガイド57との間に設けられる遮光部材と、を備える。また、ここでいう遮光部材は、ライトガイド57の延在方向外側面を覆うジャケット151である。ジャケット151は、ライトガイド57を構成するそれぞれの光ファイバ59に設けられる。また、第14構成例の内視鏡11は、光軸又はレンズ中心に対して垂直方向の外形状が四角形(例えば正方形、長方形)であり、その一辺の長さがレンズ93の一辺の長さと同一である撮像素子33と、撮像素子33の撮像面41を覆い、光軸又はレンズ中心に対して垂直方向の外形状が撮像素子33の外形状と同一の素子カバーガラス43とをさらに含む。
この内視鏡11は、次のように組み立てられる。具体的には、図30に示すレンズ93と、撮像素子33と、伝送ケーブル31とが組み立てられてカメラAssyが完成される。次いで、ジャケット151が設けられた複数の光ファイバ59を含むファイバAssyが樹脂にてモールド成形されて完成される。次いで、カメラAssyに、ファイバAssyが固定される(点線参照)。最後に、カメラAssyを固定したファイバAssyの外側からシース61が被せられ、ファイバAssy及びカメラAssyとシース61との間に生じた隙間にモールド樹脂146が充填されて隙間なく固定される。なお、図34では、シース61とカメラAssy及びファイバAssyとの間に生じている隙間に、モールド樹脂146の図示が省略されているが、シース61とカメラAssy及びファイバAssyとの間に生じている隙間はモールド樹脂146により充填されている。また、図34では、モールド樹脂145,146は、少なくとも撮像素子33の終端面まで被覆するように図示されているが、モールド樹脂145,146の被覆範囲は撮像素子33の終端面までに限定されない。例えば、モールド樹脂145,146は、シース61内において、撮像素子33の終端面より後端側(つまり、対物側と反対側)の導体接続部49、電線45、伝送ケーブル31の一部を含むように被覆して固定しても構わない。
この第14構成例の内視鏡11によれば、個々の光ファイバ59の延在方向外側面が、円筒状のジャケット151により覆われる。ジャケット151は、遮光性の高い材料を用いる。遮光性の高い材料としては、例えば樹脂にカーボンを含有させたものとすることができる。
光ファイバ59は、コア153、クラッド155に一般的に石英ガラスや樹脂が用いられる。光ファイバ59は、最大受光角NA(Numerical Aperture:開口数)が大きいほど、集光能力が大きくなり、光源との結合が容易となる。しかし、NAが大きいほどコア153とクラッド155との間での光損失や光分散も大きくなる。そのため、NA値を最適に求める必要がある。光ファイバ59は、ジャケット151を設けることにより、最適なNA値を設定した場合に生じる漏れ光を、簡素な構造で確実に遮光できる。
<第15構成例>
第15構成例の内視鏡は、図示を省略するが、光軸又はレンズ中心に対して垂直方向の外形状が四角形(例えば正方形、長方形)の単一レンズ(例えばレンズ93)と、光軸又はレンズ中心と同軸に配置されてレンズを包囲し、その包囲している外周の形状が円形のシース(例えばシース61)と、シースの外周とレンズの少なくとも1辺との間に配置され、光軸又はレンズ中心に沿って延在する照明手段(例えばライトガイド57)と、レンズとライトガイドとの間に設けられる遮光部材と、を備える。また、ここでいう遮光部材は、レンズのレンズ中心に沿うレンズ側面に形成される遮光膜(図示略)である。また、第15構成例の内視鏡11は、光軸又はレンズ中心に対して垂直方向の外形状が四角形(例えば正方形、長方形)であり、その一辺の長さがレンズ93の一辺の長さと同一である撮像素子33と、撮像素子33の撮像面41を覆い、光軸又はレンズ中心に対して垂直方向の外形状が撮像素子33の外形状と同一の素子カバーガラス43とをさらに含む。また、第15構成例の内視鏡11において、シース61とライトガイド57との間や、シース61と対物カバーガラス91、レンズ93、素子カバーガラス43及び撮像素子33との間は、第10構成例〜第14構成例の内視鏡の構成と適宜組み合わせることで、ライトガイド57からの漏れ光を遮光しても構わない。
この第15構成例の内視鏡11によれば、レンズ側面に遮光膜が形成されることにより、その近傍に配置される光ファイバの延在方向外側面から漏れる光のレンズ側面への入射が防止される。遮光膜は、真空蒸着により形成することができる。真空蒸着は、真空中で成膜材を蒸発、昇華し、その粒子を付着、堆積させる。成膜材としては、例えばアルミニウム、クロム、金等を用いることができる。
上記した第10構成例、第11構成例、第12構成例、第13構成例、第14構成例において、最大外径Dmaxは、1mm以下である。なお、内視鏡11の最大外径Dmaxは、2mm未満(例えば1.8mm)であってもよい。撮像素子33は、1辺の長さが最大で0.51mmであり、厚みは0.51mmである。光ファイバ59の外径は、最大0.052mmである。また、照明手段であるライトガイド57は、例えばそれぞれ点対称に2箇所で配置している。
以上、図面を参照しながら実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。