JP2021092760A - 表示装置および機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 色覚異常者が色を弁別しやすい表示装置を提供する。【解決手段】 表示に用いられる光源を備える表示装置であって、表示を行うための素子部に含まれる複数の素子と、素子部によって表示される画像を構成する複数の画素とのいずれかである複数の表示単位は、少なくとも1つの第1種類の単位および少なくとも1つの第2種類の単位を含み、第1種類の単位は、650nm以上かつ700nm以下の範囲の第1波長において、0.04cd/m2以上の第1極大輝度を呈し、第2種類の単位は、360nm以上かつ650nm未満の範囲の第2波長において、0.04cd/m2以上の第2極大輝度を呈する。【選択図】 図2

Description

本発明は、表示装置に関する。
人類の多数が持つ色覚は、正常色覚と言われる。人類の少数が持つ、正常色覚とは異なる色覚は、異常色覚と言われる。異常色覚を持つ人(色覚異常者)は全世界に1%以上(例えば3%程度)いるとされる。色覚異常者は色を弁別しにくい場合がある。
特許文献1には、個人の等色関数の違いによる色の見えの変化を抑制する画像表示装置が開示されている。
特許文献2には、画像の再撮影による不正なコピー生成を防止する電子透かし表示を実現する電子透かし情報表示装置が開示されている。
特開2014−174361号公報 特開2003−304508号公報
特許文献1に開示された画像表示装置や、特許文献2に開示された情報表示装置では、色覚異常者が色を弁別することに関して検討が十分ではない。そこで本発明は、色覚異常者が色を弁別しやすい表示装置を提供することを目的とする。
本開示の第1の観点は、光源を用いて複数の表示単位により表示を行う表示装置であって、前記複数の表示単位は、第1種類の単位および第2種類の単位を含み、前記第1種類の単位のピーク波長は、650nm以上かつ700nm以下の範囲の第1波長であり、前記第2種類の単位のピーク波長は、520nm以上かつ650nm未満の範囲の第2波長であり、前記第1種類の単位および前記第2種類の単位は、0.04cd/m以上の輝度を呈することを特徴とする。
本開示の第2の観点は、エレクトロルミネッセンスによる光源を用いて複数の表示単位により表示を行う表示装置であって、前記複数の表示単位は、第1種類の単位および第2種類の単位を含み、前記第1種類の単位は、650nm以上かつ700nm以下の範囲の第1波長において、極大輝度を呈し、前記第2種類の単位は、500nm以上かつ600nm未満の範囲の第2波長において、極大輝度を呈し、前記第1種類の単位の前記第1波長における最高の分光放射輝度は、前記第2種類の単位の前記第2波長における最高の分光放射輝度より高いことを特徴とする表示装置。
本開示の第3の観点は、光源を用いて複数の表示単位による表示を行う表示装置であって、複数の表示単位は、互いに異なる構造を有する第1種類の単位および第2種類の単位を含み、前記第1種類の単位は、650nm以上かつ700nm以下の範囲の第1波長において、極大輝度を呈し、前記第2種類の単位は、480nm以上かつ650nm未満の範囲の第2波長において、極大輝度を呈し、前記第1種類の単位は、前記第1波長をλL[nm]、前記第1波長における明所視標準分光視感効率をV(λL)として、前記第1波長において、1/(683*V(λL))[W/sr/m/nm]以上の分光放射輝度を呈し、前記第2種類の単位は、前記第2波長をλS[nm]、前記第2波長における明所視標準分光視感効率をV(λS)として、前記第2波長において、5/(683*V(λS))[W/sr/m/nm]以上の分光放射輝度を呈することを特徴とする。
本発明によれば、色覚異常者が色を弁別しやすい表示装置を提供することができる。
表示装置及び機器を説明するための模式図。 表示装置を説明するための模式図。 表示装置および機器を説明するための模式図。 表示装置を説明するための模式図。 表示装置を説明するための模式図。 表示装置を説明するための模式図。 表示装置を説明するための模式図。 表示装置を説明するための模式図。 表示装置を説明するための模式図。 表示装置を説明するための模式図。 表示装置を説明するための模式図。 人間の視覚を説明するための模式図。 表示装置を説明するための模式図。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態を説明する。なお、以下の説明および図面において、複数の図面に渡って共通の構成については共通の符号を付している。そのため、複数の図面を相互に参照して共通する構成を説明し、共通の符号を付した構成については適宜説明を省略する。
<第1実施形態>
図1(a)は表示装置1を備える機器EQPの一例を示している。表示装置1は表示を行うための素子部10を備える。表示装置1は光源11および光源12の少なくも一方を備える。光源11および光源12は表示装置1が目的とする表示に用いられる。光源11は素子部10の一部である。光源12は素子部10とは別の部品である。例えば素子部10が光源11を含む場合には、光源12は設けられなくてもよい。例えば素子部10が光源11を含まない場合は、光源12が設けられる。
表示装置1は、素子部10へ駆動信号DRVを入力する駆動部60を備えうる。また、表示装置1は、素子部10や駆動部60へ電力を供給する電源部70を備えうる。表示装置1は駆動部60を制御するための制御信号CTRLを入力する制御部40を備えうる。表示装置1を備える機器EQPは、表示装置1へ画像信号SIGを入力する信号生成装置2を備えうる。機器EQPは、信号生成装置2で生成される画像信号SIGのもとになる画像情報IMGを生成する情報生成装置3を備えうる。信号生成装置2は例えばGPU(Graphics Processing Unit)などの演算部を含みうる。情報生成装置3は例えばCPU(Central Processing Unit)などの演算部を含みうる。各装置1、2,3は必要に応じてメモリ部を含みうる。表示装置1および機器EQPの構成はこれに限ったものでなく、一部の構成が削除されていてもよいし、他の構成が追加されていてもよい。
図1(b)は、素子部10および/または表示装置1で表示される画像15を模式的に示している。素子部10は複数の素子110を備える。複数の素子110は種類αの素子111と種類βの素子112とを含みうる。また、複数の素子110は種類γの素子113と種類δの素子114を含みうる。複数の素子110は、ここでは複数の素子110が4種類の素子を含む例を示しているが、複数の素子110は少なくとも2種類の素子を含みうる。複数の素子110は、4種類の素子111、112、113、114の他に、図示しない種類εの素子を含みうる。複数の素子110は5種類以上の素子110を含んでいてもよい。
図1(b)、(c)に示す様に、表示装置1で表示される画像15は複数の画素120を含む。複数の画素120は種類αの画素121と種類βの画素122とを含みうる。また、複数の画素120は種類γの画素123と種類δの画素124とを含みうる。複数の画素120は、少なくとも2種類の画素を含みうる。ここでは複数の画素120が4種類の画素を含む例を示している。複数の画素120は、4種類の画素121、122、123、124の他に、図示しない種類εの画素を含みうる。複数の画素120は5種類以上の画素120を含んでいてもよい。図1(b)の画像15は、複数種類の画素120が1つの画面内に位置する。これに対して、図1(c)の画像15は、各々が同一種類の画素120のみを有する複数の画面で構成される。
素子110と画素120を表示単位100と総称することができる。すなわち、複数の表示単位100は複数の素子110および/または複数の画素120である。例えば、1つの表示単位100は複数の素子110のうちの1つの素子110である。例えば、1つの表示単位100は複数の画素120のうちの1つの画素120である。複数の表示単位100のうち種類αの単位101は、種類αの素子111および/または種類αの画素121である。複数の表示単位100のうち種類βの単位102は、種類βの素子112および/または種類βの画素122である。複数の表示単位100のうち種類γの単位103は、種類γの素子113および/または種類γの画素123である。複数の表示単位100のうち種類δの単位104は、種類δの素子114および/または種類αの画素124である。複数の表示単位100のうち種類εの単位は、種類εの素子および/または種類εの画素である。
表示単位100、素子110および/または画素120の種類は、それぞれが呈する光の波長で分類される。各種類の表示単位100が呈する光は所定の分光特性を有する。
まずは、分光放射輝度特性について説明する。分光放射輝度特性とは、波長と分光放射輝度の関係であり、変数としての任意の波長λに対する分光放射輝度は波長λ[nm]の関数L(λ)で定義される。例えば、或る特定の波長Λ(λ=Λ)において、表示単位100は所定の分光放射輝度L(Λ)を呈する。分光放射輝度は、或る特定の波長当たりの放射量であることから、分光放射輝度L(λ)の単位は[W/sr/m/nm]である。しかしながら、分光放射輝度L(λ)の単位を[W/sr/m]と省略することもできる。表示単位100は上述した特定の波長Λではない波長の光をも呈することもでき、表示単位100が呈する光は、波長λminから波長λmaxまでの所定の波長帯域の中の複数の波長の光を含みうる。この時、所定の波長帯域の中で表示単位100が呈する全波長の光の合計の放射輝度を積分放射輝度Leと称する。積分放射輝度Leの単位は[W/sr/m]である。積分放射輝度Leは一般的には「放射輝度」と呼ばれるが、分光放射輝度L(λ)との区別のために、以下の説明では積分放射輝度と称する。積分放射輝度Leと分光放射輝度L(λ)の関係は下記式(1)のようになる。
Figure 2021092760
積分放射輝度Leを求める際の波長帯域は具体的には可視光域であり、λminは360〜380nmであり、λmaxは750〜830nmである。所定の波長帯域を360〜830nmとすれば、積分放射輝度Leと分光放射輝度L(λ)の関係は、例えば下記式(2)のようになる。
Figure 2021092760
次に、表示単位100が呈する積分測光輝度Lvについて説明する。積分測光輝度Lvとは、放射量として定義される積分放射輝度Leに対して、可視光域の光放射が人間の視覚に与える影響を重みづけした測光量である。測光量は、放射量に、分光視感効率を乗算し、波長λminから波長λmaxまでの波長範囲について積分して表す。積分測光輝度Lvの単位は「cd/m」あるいいは「nt」であり、「lm/sr/m」とも表現できる。積分測光輝度Lvは一般的には「輝度」と呼ばれるが、分光放射輝度L(λ)や積分放射輝度Leとの区別のために、以下の説明では積分測光輝度Lvと称する。積分測光輝度Lvと分光放射輝度L(λ)の関係は下記式(3)のようになる。
Figure 2021092760
ここで、V(λ)は明所視における標準分光視感効率であり、波長λの関数である。V(λ)は0以上かつ1以下の値を有する。標準分光視感効率V(λ)は標準比視感度とも呼ばれる。Kmは最大視感効果度であり、V(λ)=1となる波長(λ=555nm)において測光量と放射量を関係づける値であり、Km=683[lm/W]である。積分測光輝度Lvを求める際の波長帯域は具体的には可視光域であり、積分測光輝度Lvを求める際の波長帯域は具体的には可視光域であり、λminは360〜380nmであり、λmaxは750〜830nmである。所定の波長帯域を360〜830nmとすれば、積分測光輝度Lvと分光放射輝度L(λ)の関係は下記式(4)のようになる。
Figure 2021092760
次に、表示単位100が呈する分光測光輝度特性について説明する。分光測光輝度特性とは、波長と分光測光輝度の関係であり、変数としての任意の波長λに対する分光測光輝度は波長λの関数F(λ)で定義される。或る特定の波長Λ(λ=Λ)において、表示単位100は所定の分光測光輝度F(Λ)を呈する。分光測光輝度F(λ)とは、放射量として定義される分光放射輝度L(λ)に対して、可視光域の光放射が人間の視覚に与える影響を重みづけした物理量である。分光測光輝度は、或る特定の波長当たりの測光量であることから、分光測光輝度F(λ)の単位は[cd/m/nm]である。しかしながら、分光測光輝度F(λ)の単位を[cd/m]と省略することもできる。以下の説明で[cd/m]の単位を用いる場合において、特定の波長と関連付ける場合には分光測光輝度を意味するものとし、分光測光輝度として示した単位[cd/m]を[cd/m/nm]に読み替えてよい。一方、以下の説明で[cd/m]の単位を用いる場合において、[cd/m]が積分測光輝度を意味する場合にはその旨を記載する。分光測光輝度F(λ)と分光放射輝度L(λ)の関係は下記式(5)のようになる。
Figure 2021092760
式(3)、(4)と式(5)からわかるように、分光放射輝度L(λ)を不定積分したものが、分光測光輝度F(λ)に相当する。
所定の分光特性を有する表示単位100が、或る波長Λにおいて分光放射輝度L(Λ)を呈する場合、当該の表示単位100の積分放射輝度Leは、分光放射輝度L(Λ)以上である(Le≧L(Λ))。すなわち、或る波長Λにおいて分光放射輝度L(Λ)以上を呈することは、表示単位100の積分放射輝度LeがL(Λ)以上であることの十分条件である。Le=L(Λ)を満たす場合とは、波長Λを除くすべての波長で分光放射輝度L(λ)=0である場合、すなわち、表示単位100が単一波長の光のみを呈する場合である。所定の分光特性を有する表示単位100が、或る波長Λにおいて分光測光輝度F(Λ)を呈する場合、当該の表示単位100の積分測光輝度Lvは、分光測光輝度F(Λ)以上である(Lv≧F(Λ))。すなわち、或る波長Λにおいて分光測光輝度F(Λ)以上を呈することは、表示単位100の積分測光輝度LvがF(Λ)以上であることの十分条件である。Lv=F(Λ)を満たす場合とは、波長Λを除くすべての波長で分光測光輝度F(λ)=0である場合、すなわち、表示単位100が単一波長の光のみを呈する場合である。
これらのことを踏まえると、或る波長Λにおいて分光放射輝度L(Λ)を呈する場合、式(5)によって、当該の表示単位100の積分測光輝度Lvは、683*L(Λ)*V(Λ)以上である(Lv≧683*L(Λ)*V(Λ))と云える。すなわち、或る波長Λにおいて分光放射輝度L(Λ)以上を呈することは、表示単位100の積分測光輝度Lvが683*L(Λ)*V(Λ)以上であることの十分条件である。
波長λにおいて分光測光輝度F(λ)を呈する場合、波長λにおける分光放射輝度L(λ)は、式(5)を変形することで下記式(6)のように求められる。このように、式(5)または式(6)を用いると、分光放射輝度L(λ)と分光測光輝度F(λ)とを相互に換算することができる。以下の説明において、単位[cd/m]あるいは[cd/m/nm]を用いて分光測光輝度F(λ)を説明する場合、それを式(5)や式(6)を用いて、分光放射輝度L(λ)に換算してよい。
Figure 2021092760
波長Λ[nm]の単一波長光のみで、F(Λ)[cd/m]以上の積分測光輝度Lvを実現するには、波長Λ[nm]の分光放射輝度L(Λ)はF(Λ)/(683*V(Λ))[W/sr/m/nm]以上である必要がある。換言すると、波長Λ[nm]の分光放射輝度がF(Λ)/(683*V(Λ))[W/sr/m/nm]以上であれば、単一波長光かどうかに関わらず、F(Λ)[cd/m]以上の積分測光輝度Lvを実現できる。図13(a)のグラフの横軸には波長λを示している。図13(a)のグラフの右縦軸(線形軸)を用いて明所視における標準分光視感効率V(λ)を示している。また、図13(a)のグラフの左縦軸(対数軸)を用いて、分光放射輝度L(λ)を示している。図13(a)のグラフには、式(6)において、分光測光輝度F(λ)が0.04cd/mである場合に相当する分光放射輝度L(λ)=0.04/(683*V(λ))を示している。同様に、分光測光輝度F(λ)が1cd/mである場合に相当する分光放射輝度L(λ)=1/(683*V(λ))と、分光測光輝度F(λ)が5cd/mである場相当する分光放射輝度L(λ)=5/(683*V(λ))と、を示している。
例えば、波長600nmにおける標準分光視感効率V(λ)は0.69である。式(6)にF(λ)=5、V(λ)=0.69を代入すると、5/(683*0.69)≒0.011である。したがって、波長600nmの単一波長光のみで、5cd/m以上の積分測光輝度Lvを実現するには、波長600nmの分光放射輝度は0.011W/sr/m/nm以上である必要がある。換言すると、波長600nmの分光放射輝度が0.011W/sr/m/nm以上であれば、単一波長光かどうかに関わらず、5cd/m以上の積分測光輝度Lvを実現できる。また、例えば、波長650nmにおける標準分光視感効率V(λ)は0.12である。式(6)にF(λ)=1、V(λ)=0.12を代入すると、1/(683*0.12)≒0.0123である。波長650nmの単一波長光のみで、1cd/m以上の積分測光輝度Lvを実現するには、波長650nmの分光放射輝度は0.0123W/sr/m/nm以上である必要がある。換言すると、波長650nmの分光放射輝度が0.0123W/sr/m/nm以上であれば、単一波長光かどうかに関わらず、1cd/m以上の積分測光輝度Lvを実現できる。また、例えば、波長700nmにおける標準分光視感効率V(λ)は0.0042である。式(6)にF(λ)=0.04、V(λ)=0.0042を代入すると、0.04/(683*0.0042)≒0.014である。波長700nmの単一波長光のみで、0.04cd/m以上の積分測光輝度Lvを実現するには、波長700nmの分光放射輝度は0.014W/sr/m/nm以上である必要がある。換言すると、波長700nmの分光放射輝度が0.014W/sr/m/nm以上であれば、単一波長光かどうかに関わらず、0.04cd/m以上の積分測光輝度Lvを実現できる。
同様に、波長520nmの分光放射輝度が0.0001W/sr/m/nm以上であれば、0.04cd/m以上の積分測光輝度Lvを実現できる。波長600nmの分光放射輝度が0.0001W/sr/m/nm以上であれば、0.04cd/m以上の積分測光輝度Lvを実現できる。波長650nmの分光放射輝度が0.0005W/sr/m/nm以上であれば、0.04cd/m以上の積分測光輝度Lvを実現できる。また、波長480nmの分光放射輝度が0.082W/sr/m/nm以上であれば、1cd/m以上の積分測光輝度Lvを実現できる。波長600nmの分光放射輝度が0.0021W/sr/m/nm以上であれば、1cd/m以上の積分測光輝度Lvを実現できる。波長700nmの分光放射輝度が0.3489W/sr/m/nm以上であれば、1cd/m以上の積分測光輝度Lvを実現できる。さらに、波長480nmの分光放射輝度が0.041W/sr/m/nm以上であれば、5cd/m以上の積分測光輝度Lvを実現できる。波長520nmの分光放射輝度が0.010W/sr/m/nm以上であれば、5cd/m以上の積分測光輝度Lvを実現できる。波長650nmの分光放射輝度が0.061W/sr/m/nm以上であれば、5cd/m以上の積分測光輝度Lvを実現できる。
図2(a)は種類αの単位101(種類αの素子111および/または種類αの画素121)が呈する光の輝度の分光特性Lを示している。種類αの単位101は、650nm以上かつ700nm以下の範囲の波長λLにおいて、0.04cd/m以上の極大輝度PLを呈する。すなわち、種類αの単位101の波長−輝度特性(分光輝度特性)は、波長が波長λL−Δλから波長λLへ増大するにしたがって、輝度が単調増加し、波長が波長λLから波長λL+Δλへ増大するにしたがって、輝度が単調減少する。波長が増大することを想定すると、波長λLにおいて輝度が増加から減少の状態に変わる。なお、波長λLの近傍以外の波長における輝度は任意であってもよいため、図2(a)には、波長λLの近傍の分光輝度特性のみを示しており、波長λLの近傍以外の波長における輝度の記載を省略している。
図2(a)には、分光輝度特性を示しており、左軸には分光測光輝度による分光輝度特性を、右軸には分光放射輝度による分光輝度特性をそれぞれ示している。なお、図2(a)には波長λLが650nm以上かつ700nm以下の範囲の明所視標準分光視感効率V(λL)の典型例として、V(λL)=0.05とした場合に当てはまりうるが、極大輝度PLの値はV(λL)=0.05以外の場合にもあてはまりうる。
極大輝度PLは0.04cd/m以上であればよい。そうすれば、種類αの単位101の積分測光輝度は0.04cd/m以上となる。波長λLにおける極大輝度PLが分光測光輝度で0.04cd/m以上ということは、波長λLにおける分光放射輝度は、0.04/(683*V(λL))[W/sr/m/nm]以上ということである。極大輝度PLは1cd/m未満であってもよいが、極大輝度PLは1cd/m以上であることが好ましい。そうすれば、種類αの単位101の積分測光輝度は1cd/m以上となる。波長λLにおける極大輝度PLが分光測光輝度換算で1cd/m以上ということは、波長λLにおける分光放射輝度は、1/(683*V(λL))[W/sr/m/nm]以上ということである。極大輝度PLは5cd/m未満であってもよいが、極大輝度PLは5cd/m以上であることが好ましい。そうすれば、種類αの単位101の積分測光輝度は5cd/m以上となる。波長λLにおける極大輝度PLが分光測光輝度換算で5cd/m以上ということは、波長λLにおける分光放射輝度は、5/(683*V(λL))[W/sr/m/nm]以上ということである。極大輝度PLは35cd/m未満であってもよいが、極大輝度PLは35cd/m以上であることがより好ましい。そうすれば、種類αの単位101の積分測光輝度は35cd/m以上となる。極大輝度PLは100cd/m未満であってもよいが、極大輝度PLは100cd/m以上であることがさらにより好ましい。そうすれば、種類αの単位101の積分測光輝度は100cd/m以上となる。極大輝度PLは1000cd/m以上であってもよいが、極大輝度PLは1000cd/m未満であってもよい。種類αの単位101の積分測光輝度は分光測光輝度換算で1000cd/m未満であってもよい。極大輝度PLは500cd/m以上であってもよいが、極大輝度PLは500cd/m未満であってもよい。種類αの単位101の積分測光輝度は分光測光輝度換算で500cd/m未満であってもよい。種類αの単位101は、600nm以上(好ましくは650nm以上)かつ700nm以下の範囲の波長λLにおいて、5cd/m以上の極大輝度PLを呈してもよい。極大輝度PLは種類αの単位101が呈するピーク輝度であってもよい。ここで、ピーク輝度とは、或る表示単位100が有する分光特性における輝度の最高値(最大値)である。極大波長λLは種類αの単位101のピーク波長であってもよい。ここで、ピーク波長とは、所定の波長−輝度特性(分光輝度特性)を有する表示単位100が呈する光の範囲(スペクトル分布)においてピーク輝度を呈する光の波長である。したがって、或る表示単位100において、ピーク波長以外の波長では、ピーク輝度未満の輝度を有することになる。なお、主波長あるいはドミナント波長という用語は、ピーク波長とは別の意味を有する。主波長とは、所定の分光輝度特性を有する表示単位100が呈する光の範囲において、複数の波長の光の合成によって得られる光を、実際に目で見たときの色に相当する波長である。すなわち、主波長は、表示単位100が呈する光のスペクトル分布の仕方に応じて決まるもので、同一の分光輝度特性において、ピーク波長と主波長は異なりうる。ピーク波長は放射量のスペクトル分布(分光放射輝度L(λ))に関連付けられ、主波長は測光量のスペクトル分布(分光測光輝度F(λ))に関連付けられる。したがって、ピーク波長およびピーク輝度は分光放射輝度によるスペクトル分布によって定義される。しかしながら、ピーク輝度は分光放射輝度で表すことができるし、前述の様に式(5)によって分光測光輝度でも表すことができる。
図2(b)は種類βの単位102(種類βの素子112および/または種類βの画素122)が呈する光の輝度の分光特性Sを示している。種類βの単位102は、400nm以上かつ650nm未満の範囲の波長λSにおいて、0.04cd/m以上の極大輝度PSを呈する。すなわち、種類βの単位102の波長−輝度特性は、波長が波長λS−Δλから波長λSへ増大するにしたがって、輝度が単調増加し、波長が波長λSから波長λS+Δλへ増大するにしたがって、輝度が単調減少する。波長が増大することを想定すると、波長λSにおいて輝度が増加から減少の状態に変わる。なお、波長λSの近傍以外の波長における輝度は任意であってもよいため、図2(b)には、波長λSの近傍の分光輝度特性のみを示しており、波長λSの近傍以外の波長における輝度の記載を省略している。
図2(b)には、分光輝度特性を示しており、左軸には分光測光輝度による分光輝度特性を、右軸には分光放射輝度による分光輝度特性をそれぞれ示している。なお、図2(b)には波長λLが400nm以上かつ650nm以下の範囲の明所視標準分光視感効率V(λS)の典型例として、V(λS)=0.5とした場合に当てはまりうるが、極大輝度PSの値はV(λS)=0.5以外の場合にもあてはまりうる。
極大輝度PSは0.04cd/m以上であればよい。そうすれば、種類βの単位102の積分測光輝度は0.04cd/m以上となる。波長λSにおける極大輝度PSが0.04cd/m以上ということは、波長λSにおける分光放射輝度は、0.04/(683*V(λS))[W/sr/m/nm]以上ということである。極大輝度PSは1cd/m未満であってもよいが、極大輝度PSは1cd/m以上であることが好ましい。そうすれば、種類βの単位102の積分測光輝度は1cd/m以上となる。波長λSにおける極大輝度PSが分光測光輝度換算で1cd/m以上ということは、波長λSにおける分光放射輝度は、1/(683*V(λL))[W/sr/m/nm]以上ということである。極大輝度PSは5cd/m未満であってもよいが、極大輝度PSは5cd/m以上であることが好ましい。そうすれば、種類βの単位102の積分測光輝度は5cd/m以上となる。波長λSにおける極大輝度PSが5cd/m以上ということは、波長λSにおける分光放射輝度は、5/(683*V(λS))[W/sr/m/nm]以上ということである。図13(a)から理解されるように、V(λ=468nm)=V(λ=650nm)=0.12である。したがって、470nm以上(あるいは480nm以上)かつ650nm未満の範囲では、0.06W/sr/m/nm以下の分光放射輝度によって、5cd/m以上の分光測光輝度を実現することが可能となる。0.06W/sr/m/nm以下の分光放射輝度であれば、エレクトロルミネッセンスやフォトルミネッセンス、カソードルミネッセンスなどの、一般的に表示装置に用いられる光源によって実現することが困難ではない。さらに、V(λ=519nm)=V(λ=600nm)=0.69であり、520nm以上かつ600nm未満の範囲では、0.01W/sr/m/nm以下の分光放射輝度によって、5cd/m以上の分光測光輝度を実現することが可能となる。すなわち、波長λSは、470nm以上(あるいは480nm以上)かつ650nm未満の範囲、より好適には、520nm以上かつ600nm未満の範囲にあることが、種類βの単位102が高い輝度を呈する上で好ましい。極大輝度PSは35cd/m未満であってもよいが、極大輝度PSは35cd/m以上であることがより好ましい。そうすれば、種類βの単位102の積分測光輝度は35cd/m以上となる。極大輝度PSは100cd/m未満であってもよいが、極大輝度PSは100cd/m以上であることがさらにより好ましい。そうすれば、種類βの単位102の積分測光輝度は100cd/m以上となる。極大輝度PSは1000cd/m以上であってもよいが、極大輝度PSは1000cd/m未満であってもよい。種類βの単位102の積分測光輝度は1000cd/m未満であってもよい。極大輝度PSは500cd/m以上であってもよいが、極大輝度PSは500cd/m未満であってもよい。種類βの単位102の積分測光輝度は500cd/m未満であってもよい。極大輝度PSは種類βの単位102が呈するピーク輝度であってもよい。極大波長λSは種類βの単位102のピーク波長であってもよい。
図2(b)は種類γの単位103(種類γの素子113および/または種類βの画素123)が呈する光の輝度の分光特性Sの概念も示している。種類γの単位103(種類γの素子113および/または種類γの画素123)についても、同様に、400nm以上かつ650nm未満の範囲の波長において、分光測光輝度で0.04cd/m以上の極大輝度を呈する。そのため、種類γの単位103(種類γの素子113および/または種類γの画素123)は、0.04cd/m以上の積分測光輝度を呈する。ただし、種類γの単位103が極大輝度を呈する波長は、種類βの単位102が極大輝度を呈する波長と異なりうる。また、種類γの単位103が呈する極大輝度は、種類βの単位102が呈する極大輝度と異なりうる。
図2(b)は種類δの単位104(種類δの素子114および/または種類δの画素124)が呈する光の輝度の分光特性Sの概念も示している。種類δの単位104(種類δの素子114および/または種類δの画素124)についても、同様に、400nm以上かつ650nm未満の範囲の波長において、分光測光輝度で0.04cd/m以上の極大輝度を呈する。そのため、種類δの単位104(種類δの素子114および/または種類δの画素124)は、0.04cd/m以上の積分測光輝度を呈する。ただし、種類δの単位104が極大輝度を呈する波長は、種類βの単位102が極大輝度を呈する波長と異なりうる。種類δの単位104が極大輝度を呈する波長は、種類γの単位103が極大輝度を呈する波長とも異なりうる。
種類γの単位103や種類δの単位104が呈する極大輝度PSは0.04cd/m以上であればよい。そうすれば、種類γの単位103や種類δの単位104の積分測光輝度は0.04cd/m以上となる。極大輝度PLが0.04cd/m以上ということは、極大輝度となる波長における分光放射輝度は、0.04/(683*V(λL))[W/sr/m/nm]以上ということである。種類γの単位103や種類δの単位104が呈する極大輝度は5cd/m未満であってもよいが、種類γの単位103や種類δの単位104が呈する極大輝度は5cd/m以上であることが好ましい。そうすれば、種類γの単位103や種類δの単位104の積分測光輝度は5cd/m以上となる。極大輝度PSが5cd/m以上ということは、極大輝度となる波長における分光放射輝度は、5/(683*V(λL))[W/sr/m/nm]以上ということである。種類γの単位103や種類δの単位104が呈する極大輝度は35cd/m未満であってもよいが、種類γの単位103や種類δの単位104が呈する極大輝度は35cd/m以上であることがより好ましい。そうすれば、種類γの単位103や種類δの単位104の積分測光輝度は35cd/m以上となる。種類γの単位103や種類δの単位104が呈する極大輝度は100cd/m未満であってもよいが、種類γの単位103や種類δの単位104が呈する極大輝度は100cd/m以上であることがさらにより好ましい。そうすれば、種類γの単位103や種類δの単位104の積分測光輝度は100cd/m以上となる。種類γの単位103や種類δの単位104が呈する極大輝度は1000cd/m以上であってもよいが、種類γの単位103や種類δの単位104が呈する極大輝度は1000cd/m未満であってもよい。種類γの単位103や種類δの単位104の積分測光輝度は1000cd/m未満であってもよい。種類γの単位103や種類δの単位104が呈する極大輝度は500cd/m以上であってもよいが、種類γの単位103や種類δの単位104が呈する極大輝度は500cd/m未満であってもよい。種類γの単位103や種類δの単位104の積分測光輝度は500cd/m未満であってもよい。
ここで、極大輝度PL,PSは表示単位100(素子110や画素120)の任意の表示レベル(例えば発光強度)において呈されればよいものである。しかしながら、表示装置1の性能を判断する上では、極大輝度PL,PSは、表示単位100(素子110や画素120)の最高の表示レベル(例えば最高発光強度)において呈されることが好ましい。
典型的な表示装置1において、素子部10自体が複数の色で画像15を表示するため、素子110と画素120はほとんど一致しうる。そのため、素子110を画素120と称することができる。なお、極大輝度PL、PSは表示装置1によって表示可能な輝度であって、人の眼で認識できる輝度であることは言うまでもない。表示装置1の内部のみに存在し、表示装置1の外部には取り出されないような光は、表示単位100ではないし、表示を見る人の眼で認識できないため、極大輝度PL、PSの対象でない。例えば、光源11、12に分光特性Lを満たす光が用いられたとしても、カラーフィルターなどで波長λLの透過率が制限されると、表示装置1は、波長λLにおいて十分な輝度を呈しない場合がある。
図3(a)は、素子部10の断面図を示している。図3(a)の例では、素子部10に含まれる素子110は、その種類に応じて別々の波長(色)の光を呈する。複数の素子110の各々が呈する色は、素子110が発する発光色でありうるし、素子110が透過する透過色でありうるし、素子110が反射する反射色でありうる。そのため、素子部10を直接もしくはレンズ等の光学系を介して間接的に観察することで、観察者は、素子部10の複数の素子110が呈する光を、画素120の集合である画像15として認識する。つまり、画像15に含まれる画素120は、その種類に応じて別々の波長の光(色)を呈する。
図3(a)の表示装置1を具体的に説明する。素子部10は、トランジスタ等の半導体素子を含む基板130と、基板130の上の配線132と、配線132の周囲の層間絶縁膜131とを含みうる。素子部10は、配線132を介して基板130の半導体素子に接続された電極133と、電極133上の発光層134と、発光層134の上の電極135と、を含みうる。素子部10は電極135の上の保護膜136と、保護膜136の上のカラーフィルターアレイ137と、カラーフィルターアレイ137の上の平坦化膜138とを含みうる。本例の発光層134は白色光を発するが、素子ごとに異なる色を発する発光層を配置してもよい。素子111、112、113、114にはカラーフィルターアレイ137のうちの透過色が互いに異なるカラーフィルターが設けられうる。複数の素子110のうちの種類αの単位101に対応する素子は第1のカラーフィルターを含み、複数の素子110のうちの種類βの単位102に対応する素子は第1のカラーフィルターとは透過特性が異なる第2のカラーフィルターを含みうる。このように、素子部10の複数の素子110の各々は種類毎に互いに異なる構造を有する。ただし、本例では、素子111と素子114には同じカラーフィルターが設けられている。素子部10の素子111は波長調整部139を含みうる。素子111と素子114に共通なカラーフィルターを透過した光は、波長調整部139で、650nm以上かつ700nm以下の範囲の波長λLにおいて、0.04cd/m以上の極大輝度PLを呈するように調整される。
投影型の表示装置1の一例において、素子部10と画像15は分離される。素子部10の複数の素子110の各々は同じ構造を有している。図3(b)の例では、素子部10に含まれる素子110の各々は、同じ波長(色)の光を、同時に反射もしくは透過する。つまり、ある瞬間においては、素子部10の複数の素子110の各々が呈する色は同じでありうる。換言すると、素子部10の複数の素子110は空間的には単一の種類でありうる。
反射型の表示装置1では、表示面に表示される光の波長は、光を反射する素子部10への入射光の波長を、光源12の波長を時間的に切り替えることで制御される。反射型の表示装置1では、表示面に表示される光の波長は、光を反射する素子部10での反射光の波長を、波長選択手段13を時間的に切り替えることで制御されうる。透過型の表示装置1では、表示面に表示される光の波長は、光を透過する素子部10への入射光の波長を、光源12の波長を時間的に切り替えることで制御されうる。透過型の表示装置1では、表示面に表示される光の波長は、光を透過する素子部10での透過光の波長を、波長選択手段13を時間的に切り替えることで制御されうる。波長選択手段13を時間的に切り替えることは、例えばカラーホイールを回転させることで行われる。素子部10は基板130と基板130の上に設けられた複数の素子110を有する。図3(b)の表示装置1では、素子110は例えば反射素子であり、光源12から素子部10に光が照射されると、素子部10への入力信号に応じて、反射光の向きが制御される。反射光は、波長選択手段13で時間的に色付けられ、表示装置1外の表示面14に表示される。このほか、走査型の表示装置1であってもよい。
表示単位100の発色原理は様々なものを採用することができる。例えばカラーフィルターを用いて表示単位100が呈する色を制御してもよい。あるいは、特定の発光色を呈する発光材料を用いて、表示単位100が呈する色を制御してもよい。発光原理もまた様々なものを採用することができる。採用できる発光原理は、例えばエレクトロルミネッセンス(EL)、フォトルミネッセンス(PL)、カソードルミネッセンス(CL)である。複数の発光原理を組み合わせてもよい。ルミネッセンスの種類は、蛍光は励起一重項状態から基底一重項状態への許容遷移の際に起こる蛍光であっても、励起三重項状態から基底一重項状態への禁制遷移の際に起こる燐光であってもよい。発光材料は、有機材料でも無機材料でも、有機−無機ハイブリッド材料でもよい。例えば、エレクトルミネッセンスとフォトルミネッセンスを組み合わせてもよい。エレクトルミネッセンスにより発した一次光を、発光体等に照射して、フォトルミネッセンスによる二次光を得てもよい。その場合、素子110は、エレクトルミネッセンスによって発光する部分と、フォトルミネッセンスによって発光する部分とを含みうる。上述した波長調整部139は、カラーフィルターでもよいし、フォトルミネッセンスによって発光する発光体であってもよい。例えば、エレクトルミネッセンスに有機材料を用いて、フォトルミネッセンスに有機−無機ハイブリッド材料を用いてもよい。無機材料は量子ドットであってもよい。650〜750nmの波長領域で極大輝度を呈しうる無機材料としては、EuCeBaSrZnSや、CeLnOS(Lnはランタノイド)、MnKTiOF、EuCaAlSi、CaLnSbMnO、BaLnSbMnOなどが挙げられる。なお、これらの材料における元素の組成比は、発光時のピーク波長が650〜750nmとなるように、適宜設定されうる。650〜750nmの波長領域で極大輝度を呈しうる無機材料としては、特表2013−505009号公報、特開2016−196611号公報、特開2016−79213号公報、特開2013−1877号公報に記載の材料を用いることもできる。650〜750nmの波長領域で極大輝度を呈しうる有機材料としては、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)、ポリイミド系の材料などが挙げられる。ポリイミド系の材料としては、脂環式構造を含む2価の有機基を介して窒素(N)が結合し4価の芳香族基を介して炭素(C)が結合したポリイミドであってよく、特開2008−274165号公報に記載の材料を用いることもできる。表示単位100の輝度の制御は、上述した各種ルミネセッンスにおける注入エネルギーの制御によって行われ得る。エレクトルミネッセンスを用いた素子部10には、有機EL素子やLED(Light Emitting Diode)が配列されていてもよい。このほか、液晶素子による透過率の制御やミラー素子による反射率の制御を用いてもよい。反射型の表示装置1の素子部10は、LCOS(Liquid crystal on silicon)やDMD(Digital Micromirror Device)で構成されうる。光源11または光源12は素子部10に透過型表示素子を有する表示装置1におけるバックライトであってもよい。光源12は素子部10に反射型表示素子を有する表示装置1において、素子部10へ照射する光を発しうる。
表示装置1を含む機器EQPは、スマートフォンやモバイルPC、タブレットなどのモバイル機器であってもよい。モバイル機器は、個人での使用が主であるため、個人の色覚に応じたカスタマイズをする上で好適である。表示装置1を含む機器EQPは、ウェアラブル機器であってもよい。ウェアラブル機器はモバイル機器の一種である。表示装置1は、例えばスマートグラス、HMD(Head Mounted Display)、ゴーグル型ディスプレイ、スマートコンタクトレンズのようなウェアラブルデバイスに適用できる。
表示装置1を含む機器EQPは、撮像装置を備えていてもよい。機器EQPにおいて撮像装置で撮影した画像を表示装置1で表示すれば、機器EQPのユーザーにとって色弁別しやすい表示がなされるので、好ましい。撮像装置を備える機器EQPはカメラやカメラ付きの情報機器であってもよい。
図3(c)にはウェアラブル機器である機器EQPの一例としてのスマートグラスSGを説明するための模式図を示している。スマートグラスSGは、眼鏡型の機器であり眼鏡型の筐体であるフレーム1000を有する。フレーム1000はテンプル1003を含む。スマートグラスSGは、例えば、表示部1011と、撮像部1001と、処理部1002と、瞳検知部1004と、を有する。表示部1011には、上述した表示装置1の素子部10を採用することができる。本例では、表示部1011は、眼鏡のレンズの位置に設けられているが、表示形式によって任意の位置に設けられる。表示装置1の駆動部60や制御部40、電源部70は処理部1002に設けることがきる。撮像部1001には、CMOSイメージセンサーなどの撮像装置や、撮像装置に像を形成生するための撮影レンズを設けることができる。撮像部1001は眼鏡のテンプル1003の外側面に設けられている。しかし、撮像部1001は、表示部1011に重なるように設けられていてもよい。処理部1002は眼鏡のテンプル1003の内側面に設けられている。いずれの場合にも、表示部1011には画像が表示される。瞳検知部1004は、フレーム1000のブリッジに設けられているが、テンプル1003に設けられていても良いし、メガネのレンズの位置に設けられていてもよい。なお、処理部1002は、人工知能によるコンピューティングを行うように構成されていてもよい。電源部70は、表示部1011だけでなく、撮像部1001や、処理部1002、表示部1011、瞳検知部1004へも電力を供給してもよい。スマートグラスSGは不図示の通信部を有することができ、スマートグラスSGと別の機器は、通信部を介して有線通信および/または無線通信を行うこともできる。スマートグラスSGは、処理部1002が通信部を介して外部の情報のやり取りを行ってもよい。スマートグラスSGは、左目用と右目用の2個の表示部1011を有していてもよい。スマートグラスSGは、左目用と右目用の2個の撮像部1001を有していてもよい。左目用と右目用の撮像部1001および表示部1011のそれぞれに、撮像および表示のタイミングを任意に設定することもできる。具体的には、同時刻に撮像し、別時刻に表示する動作や、別時刻に撮像して同時刻に表示する動作である。また、撮像部1001と表示部1011とが別の位置に設けられていてもよいが、撮像部1001と表示部1011とが視線上において重なるように設けられていてもよい。
表示装置1を含む機器EQPは、電光掲示板、交通信号機、車内表示器のいずれかであってもよい。電光掲示板、交通信号機、車内表示器のように公共の場で表示装置1が使用される場合には、色覚正常者と色覚異常者の双方にとって、視認性がよいことが求められる。これらの機器は、一般的には、色覚正常者にとっての視認性が確保されるが、本発明の実施形態を採用することで、色覚異常者にとっても視認性を向上することができる。
表示装置1の一例において、表示される画像は、典型的には可変パターンであるが、固定パターンであってもよい。図3(d)は、表示装置1を含む機器EQPの一例としての交通信号機の素子部10を示している。素子部10には、実線Xで囲んだ赤色パターンXと、実線で囲んだ黄色パターンYと、実線で囲んだ緑色(青色)パターンZの3つの固定パターンがある。時間に応じて、赤色パターンXと黄色パターンYと緑色(青色)パターンZのいずれかが点灯する。赤色パターンXと黄色パターンYと緑色(青色)パターンZの各々は、複数の素子110で構成される。赤色パターンXは複数の種類αの素子111を含み、本例では、赤色パターンXは複数の種類δの素子114を含みうる。緑色(青色)パターンZは、複数の種類βの素子112を含み、本例では、緑色(青色)パターンZは複数の種類γの素子113を含みうる。黄色パターンYは複数の黄色を呈する素子110を含む。
上述した、分光特性Lを有する単位101と分光特性Sを有する単位102(および/または単位103、104)とを用いることによる効果を説明する。
人の眼に入った光は、網膜上にある視細胞によってとらえられる。視細胞はその形態から、桿体細胞と錐体細胞の2種類に分類される。桿体細胞は弱い光に反応できるために、光の強度に応じて暗所では桿体細胞が、一方明所では錐体細胞が主に機能している。錐体細胞は色センサとしての機能をもち、L錐体細胞とМ錐体細胞とS錐体細胞の3種類がある。各錐体細胞はそれぞれが異なる波長特性に反応する。大多数の人において、吸収率が最も高い波長は、L錐体細胞が560±10nm、M錐体細胞が530±10nm、S錐体細胞が420±10nmであると言われている。
物質が発したあるいは反射した光は、その成分に応じて、3種類の錐体細胞に異なる大きさの反応を引き起こす。その反応量の差が色の違いを生みだすのである。例えば、赤と緑どちらに近く見えるかは、L錐体細胞の反応量とM錐体細胞の反応量との差に関係している。この差が大きいほど赤色に近く、小さいほど緑色に近いと感じられる。
ここで、環境光が明るいシーンの視覚は錐体細胞のみが機能しており、明所視と呼ばれる。明所視は輝度が1〜5cd/m以上である領域での視覚であり、この輝度領域では色の弁別ができると考えられる。ここで、明所視と薄明視の境界については個人差および諸説があるため、明所視の輝度の下限を1〜5cd/mとして説明しているが、5cd/m以上であれば、極めて多くの人に明所視が生じると云える。
環境光が暗いシーンの視覚は桿体細胞のみが機能する際の視覚は、暗所視と呼ばれる。暗所視は輝度が0.001〜0.034cd/m以下である領域での視覚であり、暗所視においてL錐体細胞は反応しないため色の弁別ができないと考えられる。
そして、明所視と暗所視の中間であって、錐体細胞も桿体細胞も機能する際の視覚は、薄明視と呼ばれる。薄明視レベルの環境光下では、桿体細胞が徐々に感度を上げ、かつ錐体細胞も依然機能しており、色感覚、色知覚が複雑に変化することが知られている。ここで、暗所視と薄明視の境界についても個人差および諸説があるため、暗所視の輝度の上限を0.001〜0.034cd/m以下として説明しているが、0.04cd/m以上であれば、極めて多くの人に薄明視が生じると云える。
以上に述べたように、人の視細胞にはL錐体細胞とM錐体細胞とS錐体細胞に加え桿体細胞という複数の細胞が存在する。そしてそれらの細胞の比率や、分光吸収特性には個人差がある。したがって人がもつ色覚あるいは等色関数には多様性があり、それは特に薄明視領域において、複雑かつ顕著である。このように色覚には多様性があるため、印刷物や表示装置を見る際、人によって色の感じ方が異なる。
大多数の人がもつ色覚は、正常色覚と言われる。図12(a)に正常色覚における、錐体細胞の波長感度特性の例を示す。これに対し、3種類の錐体細胞のいずれか、あるいは全てが欠損していることもしくは不完全であることにより、正常色覚とは異なる色覚をもつ人(一般的に色覚異常者と呼ばれる)もいる。色覚異常者は全世界に3%程度いるとされ、その大多数は、L錐体細胞に機能不全が生じている「1型色覚」か、M錐体細胞に機能不全が生じている「2型色覚」であるとされる。図12(b)に1型色覚における錐体細胞の波長感度特性の例を示し、図12(c)に2型色覚における錐体細胞の波長感度特性の例をそれぞれ示す。図12(b)に示す様に、1型色覚では、L錐体細胞の波長感度特性(L錐体(i)と表記)が、正常色覚におけるL錐体細胞の波長感度特性(L錐体(n)と表記)と異なる。図12(b)に示す様に、2型色覚では、M錐体細胞の波長感度特性(M錐体(ii)と表記)が、正常色覚におけるM錐体細胞の波長感度特性(M錐体(n)と表記)と異なる。1型色覚の場合、図12(b)に示すように、L錐体細胞の感度領域が短波長側へシフトしているケースが多い。その結果、L錐体細胞とM錐体細胞の分光吸収特性の重複が大きくなり、赤〜緑の波長域で色の差を感じにくくなる。また2型色覚の場合、図12(c)に示すように、M錐体細胞の感度領域が長波長側へシフトしているケースが多い。その結果、1型色覚の場合と同様に、L錐体細胞とM錐体細胞の分光吸収特性の重複が大きくなり、赤〜緑の波長域で色の差を感じにくくなる。
表示装置において、色の見え方の個人差を補正するために、ピーク波長が630nmであるような赤色の画素を設け、この赤色の画素でL錐体細胞を優先的に反応させることが考えられる。しかしながら、1型色覚および2型色覚において、630nmの光ではL錐体細胞とM錐体細胞の反応量に顕著な違いを生みだすことができない。そのため、このような表示装置では正常色覚をもつ人への補正は可能であるものの、1型色覚および2型色覚をもつ人に対して色弁別性を向上させることは難しい。
図12(d)に桿体細胞の波長感度特性の例を示す。桿体細胞は400nm以上から650nm未満の波長領域に感度を有し、ピーク感度を示す波長(ピーク波長)は500±10nmである。前述の薄明視において、色覚は桿体細胞の反応の影響を受けるとされ、色感覚、色知覚は複雑に変化する。具体的に、桿体細胞の反応の増大は青緑系の知覚を生むことが知られている。
ここで、1型色覚および2型色覚をもつ人へ赤を色弁別させるには、赤色の画素の発光強度を正常色覚の人に比べて高める方策が考えられる。しかし赤色の画素を強く光らせる場合、赤色の画素の発光波長が650nm未満の波長領域であると、桿体細胞の過剰な興奮も促すことになる。その結果、特に薄明視領域において、赤の知覚を高めると同時に、青緑系の知覚を生んでしまうことになり、補正が極めて複雑化してしまう。そこで、色覚異常者が色を弁別しやすい表示装置を提供することを検討する。ここである特定の色を弁別するということは、人が或る光を、第1の色ではなく第2の色であると認識することである。
図12(b)、(c)に示す様に、1型色覚あるいは2型色覚の色覚異常者であっても、600〜700nmの波長領域では、L錐体細胞の感度とM錐体細胞の感度に差がある。650〜700nmの波長領域では、L錐体細胞の感度とM錐体細胞の感度の差はより顕著になる。そこで、本発明者は、この600〜700nmの波長領域、好ましくは650〜700nmの波長領域において、L錐体細胞を刺激するような光を用いて表示を行えば、1型色覚あるいは2型色覚の色覚異常者にとって、赤色の弁別が容易になると考えた。ここで、上述の様に桿体細胞の過剰な興奮を抑制するためには、桿体細胞が感度を有する波長領域である400nm以上かつ650nm未満の波長領域の外、すなわち、650nm以上700nm以下の波長領域でL錐体細胞を刺激することが効果的である。なお、明所視領域では、桿体細胞の機能は相対的に低下するため、600nm以上700nm以下の波長領域でL錐体細胞を刺激してもよく、600nm以上650nm以下の波長領域でL錐体細胞を刺激してもよい。
本実施形態では、種類αの単位101は、650nm以上かつ700nm以下の範囲の波長λLにおいて0.04cd/m以上の極大輝度(0.04cd/m以上の積分測光輝度)を呈するため、薄明視あるいは明所視を生じせしめることができる。そのため、L錐体細胞とM錐体細胞の感度差を用いて、色弁別が可能となる。すなわち、本実施形態の表示装置1によって表示された画像15を見た色覚異常者は、種類αの単位101が呈する光を赤色と認識することが可能となる。さらに、種類αの単位101とは異なる種類βの単位102(および/または種類γの単位103、種類δの単位104)が呈する色との弁別(区別)を可能とする。これにより、色覚異常者が色を弁別しやすい表示装置を提供することができる。
以下、第1実施形態をより具体的にしたいくつかの実施形態を説明する。表1は、後述する第2〜6実施形態において、種類α、β、γ、δ、εと、分光特性La、Lb,Lc、Ld、R,G,M、Bとの対応関係を示している。カッコ内は各単位におけるピーク波長を示している。ここで、分光特性La、Lb,Lc、Ldは上述の分光特性Lの下位概念として分類されるものであり、分光特性Lの特徴を有する。分光特性R,G,M、Bは上述の分光特性Sの下位概念として分類されるものであり、分光特性Sの特徴を有する。以下の実施形態に記載した分光特性の組み合わせに限らず、分光特性L,La、Lb,Lc、Ldのいずれかの分光特性を有する単位と、分光特性R,G,M、Bのいずれかの分光特性を有する単位と、で素子部10や画像15を構成すればよい。
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<第2実施形態>
第2実施形態における表示装置1の分光特性の例を図4に示す。第2実施形態において、第1実施形態で説明した表示単位100の種類は、単位101、単位102、単位103の3種類である。図4には、単位101の分光特性Laと、単位102の分光特性Ga、単位103の分光特性Bを示している。図4の分光特性は、各表示単位のピーク輝度でそれぞれ規格化した相対輝度として表記している。
分光特性Laを有する単位101は、650nm以上かつ700nm以下の範囲の波長λLにおいて、分光測光輝度換算で0.04cd/m以上の極大輝度PLを呈する。本例では、波長λLが単位101のピーク波長であり、分光特性Laを有する単位101のピーク波長(波長λL)は670nmである。分光特性Gaを有する単位102は、520nm以上かつ550nm未満の範囲の波長λGにおいて、0.04cd/m以上の極大輝度PGを呈する。本例では、波長λGが単位102のピーク波長であり、分光特性Gaを有する単位102のピーク波長(波長λG)は530nmである。分光特性Bを有する単位103は、400nm以上かつ480nm未満の範囲の波長λGにおいて、0.04cd/m以上の極大輝度PGを呈する。極大輝度PGを呈する波長λGは400nm以上かつ450nm未満の範囲であることが好ましい。本例では、波長λBが単位103のピーク波長であり、分光特性Bを有する単位103のピーク波長(波長λB)は420nmである。
第2実施形態において、単位101が分光特性Laを有することで、例えば図12(b)および(c)に示す波長感度特性をもつ人に対しても、L錐体細胞を優先的に反応させられる。そのため、色覚異常者における赤色の弁別性を向上させることができる。
なお、単位101にはL錐体細胞を反応させる機能が必要とされ、錐体細胞は0.04cd/m以上の輝度で反応する。そのため、単位101の極大輝度PLは、分光測光輝度で0.04cd/m以上であればよく、単位101の輝度は、積分測光輝度で0.04cd/m以上であればよい。また表示装置1において色づくりしやすい領域は、明所視領域である、5cd/m以上の輝度の領域である。そのため、単位101の極大輝度PLは、分光測光輝度で5cd/m以上であると好ましく、単位101の輝度は、積分測光輝度で5cd/m以上であればよい。さらに人間工学的に、表示装置の輝度は35cd/m以上であると好ましいとされており、また環境光が明るい場合には100cd/mであることが好ましいとされている。このことから、第2実施形態の単位101の極大輝度PLも35cd/m以上であることがより好ましく、第2実施形態の単位101の輝度は積分測光輝度で35cd/m以上であると好ましい。第2実施形態の単位101の輝度は積分測光輝度で100cd/m以上であるとさらに好ましい。
第2実施形態の単位101が極大輝度PLを示す波長λLは、他の単位102、103の波長λG,λBに比べて、錐体細胞の感度が低い波長領域にある。そのため単位101の極大強度PLは、他の単位102、103の極大強度PG,PBよりも高く設定されると好ましい。
第2実施形態において、分光特性Laの650nm未満の波長λRにおける輝度は、極大輝度PLの半分以上である。分光特性Laの650nmにおける輝度も、極大輝度PLの半分以上である。そのために、本例では、分光特性Laの極大輝度PLに対する半値幅(スペクトル半値幅)FWHM(L)を50nm以上としている。本例における半値幅FWHM(L)は70nmである。或る輝度に対するスペクトル半値幅とは、光出力のスペクトル分布において、相対輝度が、或る輝度の50%以上である波長の幅である。このように分光特性Laの650nm未満の波長λRにおける輝度を高くすることにより、単位101の発光において650nm未満の波長領域にも輝度が担保され、桿体細胞も刺激できるようになる。その結果、特に薄明視領域においての光感度を確保することができる。
なお、単位101における650nm未満の波長領域の極大輝度は、単位101における650nm以上かつ700nm以下の波長領域の極大輝度PLよりも低いことが好ましい。このようにすれば、単位101を相対的に明るくした場合であっても、桿体細胞を過剰に刺激することがなく、青緑系の知覚を過剰に増大させることがないため、薄明視における色相の補正が容易である。650nm以上かつ700nm以下の波長領域はL錐体細胞の感度が低い領域であるため、単位101の極大輝度PLは単位102の極大輝度PGおよび単位103の極大輝度PBより高く設定されると好ましい。
分光特性Gaの520nmにおける輝度は、極大輝度PGの半分以上である。分光特性Gaの極大輝度PGに対する半値幅FWHM(G)は50nm以上である。本例における半値幅(スペクトル半値幅)FWHM(G)は60nmである。このように分光特性Gaの480〜520nmの波長における輝度を高くすることにより、単位102の発光において480〜520nmの波長領域にも輝度が担保される。そのため、M錐体細胞を刺激できるようになり、赤色と緑色の色弁別において、特に緑色に近い領域の弁別性を向上させることができる。
本実施形態における素子部10の画素配列は特に限定されない。例えば、図5(a)に示すストライプ配列や、図5(b)に示すSストライプ配列、図5(c)に示すハニカム構造やペンタイル構造などでもよい。図5(a)〜(e)に示すように、分光特性Laを示す単位101が他の単位102、103より大きいことが好ましい。単位101を相対的に大きくすることで、650nm以上の波長領域の光強度を向上させられるため、L錐体細胞の反応に必要な光量を確保することができる。
また本実施形態の単位101のピーク波長を670nm、半値幅を70nmとする方法について、カラーレジストや量子ドットを用いたカラーフィルターを適切に作成することにより実現されてもよい。あるいは、有機材料または無機材料などの発光材料を適切に選択することで実現されてもよい。
<第3実施形態>
第3実施形態における表示装置1の分光特性の例を図6(a)に示す。第3実施形態において、第1実施形態で説明した表示単位100の種類は、単位101、単位102、単位103の3種類である。図6(a)には、単位101の分光特性Lbと、単位102の分光特性M、単位103の分光特性Bを示している。図6(a)の分光特性は、各表示単位のピーク輝度でそれぞれ規格化して表記している。分光特性Bは第2実施形態と同様であるので説明を省略する。
分光特性Lbを有する単位101は、650nm以上かつ700nm以下の範囲の波長λLにおいて、0.04cd/m以上の極大輝度PLを呈する。分光特性Lbを有する単位101は、550nm以上かつ650nm未満の範囲の波長λRにおいて、0.04cd/m以上の極大輝度PRを呈する。そのため、単位101は積分測光輝度で0.08cd/m以上の輝度を呈する。分光放射輝度での極大輝度PRは分光放射輝度での極大輝度PLよりも低い。本例では、分光放射輝度での極大輝度PRは分光放射輝度での極大輝度PLの半分未満であるが、分光放射輝度での極大輝度PRは分光放射輝度での極大輝度PLの半分以上であってもよい。本例では、波長λLが単位101のピーク波長であり、分光特性Lbを有する単位101のピーク波長(波長λL)は680nmである。本例では、波長λRは620nmである。
単位101にはL錐体細胞を反応させる機能が必要とされ、錐体細胞は0.04cd/m以上の輝度で反応する。そのため、単位101の呈する極大輝度PLは、分光測光輝度で0.04cd/m以上であればよく、単位101の呈する輝度は、積分測光輝度で0.04cd/m以上であればよい。また表示装置1において色づくりしやすい領域は、明所視領域である、5cd/m以上の輝度の領域である。そのため、単位101の呈する極大輝度PLは、分光測光輝度で5cd/m以上であると好ましく、単位101の呈する輝度は、積分測光輝度で5cd/m以上であることが好ましい。さらに人間工学的に、表示装置の輝度は35cd/m以上であると好ましいとされており、また環境光が明るい場合には100cd/mであることが好ましいとされている。このことから、第3実施形態の単位101の呈する積分輝度PLも分光測光輝度で35cd/m以上であることがより好ましく、第3実施形態の単位101の呈する輝度も、分光測光輝度で35cd/m以上であることがより好ましい。第3実施形態の単位101の輝度は積分測光輝度で100cd/m以上であるとさらに好ましい。 分光特性Mを有する単位102は、480nm以上かつ520nm未満の範囲の波長λMにおいて、分光測光輝度で0.04cd/m以上の極大輝度PMを呈する。そのため、単位102は積分測光輝度で0.04cd/m以上の輝度を呈する。本例では、波長λMが単位102のピーク波長であり、分光特性Mを有する単位102のピーク波長(波長λM)は500nmである。第3実施形態において、単位101が分光特性Lbを有することで、例えば図12(b)および(c)に示す波長感度特性をもつ人に対しても、L錐体細胞を優先的に反応させられる。そのため、色覚異常者における赤色の弁別性を向上させることができる。同様に、単位103の呈する極大輝度についても、分光測光輝度で0.04cd/m以上であれば、単位103の呈する輝度についても積分測光輝度で0.04cd/m以上となる。単位103の呈する極大輝度についても、分光測光輝度で5cd/m以上であれば、単位103の呈する輝度についても積分測光輝度5cd/m以上となるので好ましい。
第3実施形態では、単位101が、550nm以上かつ650nm未満の範囲の波長λRにおいて、分光測光輝度で0.04cd/m以上の極大輝度PRを呈する。このことにより、550nm以上かつ650nm未満の範囲の波長領域において、桿体細胞も刺激できるようになる。その結果、特に薄明視領域においての光感度を確保することができる。単位101のピーク輝度PLは、他の単位102、103より高くてもよい。なお、550nm以上かつ650nm未満の波長λRの極大輝度PRは、650nm以上の波長領域の極大輝度PLよりも低い。また、650nm未満の波長λRの極大輝度PRは、650nm以上の波長領域の極大輝度PLの半分未満である。650nmの波長における輝度は、650nm未満の波長λRよりも低くてよい。そのため、単位101を相対的に強く発光させた場合であっても、桿体細胞を過剰に刺激することがなく、薄明視における色相の補正が容易である。そのために、分光特性Lbの極大輝度PLに対する半値幅FWHM(L)は50nm未満とすることが好ましい。本例における半値幅FWHM(L)は30nmである。
さらに第3実施形態では、単位102が480nm以上かつ520nm未満の範囲の波長λMにおいて、0.04cd/m以上の極大輝度PMを呈する。ここで図12(a)、(b)、(c)から、480nm以上かつ520nm未満の波長領域においては、他の波長領域に比べて、M錐体細胞の反応がL錐体細胞の反応に対して優位になりやすいことがわかる。つまり単位102で極大輝度PMを示す波長λMを480nm以上かつ520nm未満に設定することで、赤色と緑色の色弁別において、特に緑色に近い領域の弁別性を向上させることができる。また、分光特性Mの極大輝度PMに対する半値幅FWHM(M)は50nm未満であり、本例における半値幅FWHM(G)は40nmである。このようにすることで、桿体細胞を過剰に刺激することがなく、薄明視における色相の補正が容易である。
以上のように、第3実施形態によれば、1型色覚および2型色覚をもつ人であっても、分光特性Lbを有する単位101によりL錐体細胞をM錐体細胞より優位に反応させ得る。また同様に、分光特性Mを有する単位102により、M錐体細胞をL錐体細胞より優位に反応させ得る。そのため、緑から赤への色弁別性が更に向上する。
また本実施形態の650nm未満の波長領域にサブピークをもつ種類δの単位104の構造の例を、図6(b)、(c)を用いて説明する。図6(b)は図3(a)における発光層134の600〜700nmの波長帯域における発光スペクトルの例である。図6(b)に示す様に、発光層134において、650nm以上かつ700nm以下の波長λLにおける極大輝度は600nm以上かつ650nm未満の波長λRにおける極大輝度に比べて発光強度が弱い。そこで、図3(a)に示す様にカラーフィルターアレイ137および/または波長調整部139によって、発光スペクトルを調整することができる。例えば、カラーフィルターアレイ137における素子111、114に設けられたカラーフィルターは、赤色を透過する特性を有する。本例において、素子111、114に設けられた赤色のカラーフィルターの種類αと種類δは同じであるが、異なっていてもよい。図6(c)には、カラーフィルターである波長調整部139の波長−透過率特性を示す。波長調整部139はカラーフィルターアレイ137の種類α、δのカラーフィルターとは異なる波長−透過率特性を示す。波長調整部139は波長600nmから650nmの領域では、透過率が相対的に低く、650nm以上の波長領域では透過率が相対的に高い。よって、波長調整部139を、図6(b)に記載した分光特性で重ねると、波長λRの透過率を大きく低下させることができる。その結果、図6(a)に示すPR<PLとなるような分光特性Lbを得ることができる。ここでは、波長調整部139を用いた例を示したが、素子111に用いる種類αのカラーフィルターに、図6(c)に記載のカラーフィルターを用いてもよい。このように発光スペクトルおよびカラーフィルターの透過率を調整することで、分光特性Lbを実現可能である。
また本実施形態の分光特性Mの480nm以上かつ520nm未満の範囲の波長λMにおいて極大輝度PMを得る方法についても、カラーレジストや量子ドットを用いたカラーフィルターを適切に作成することにより実現することができる。また、有機材料または無機材料などの発光材料を適切に選択することで実現されてもよい。
<第4実施形態>
第4実施形態における表示装置1の分光特性の例を図7に示す。第4実施形態において、第1実施形態で説明した表示単位100の種類は、単位101、単位102、単位103の3種類である。図7には、単位101の分光特性Lcと、単位102の分光特性Gb、単位103の分光特性Bを示している。図6の分光特性は、各表示単位のピーク輝度でそれぞれ規格化して表記している。分光特性Bは第2実施形態と同様であるので説明を省略する。
分光特性Lcを有する単位101は、650nm以上かつ700nm以下の範囲の波長λLにおいて、0.04cd/m以上の極大輝度PLを呈する。分光特性Lcを有する単位101は、550nm以上かつ650nm未満の範囲の波長λRにおいて、0.04cd/m以上の極大輝度PRを呈する。極大輝度PRは極大輝度PLよりも高い。本例では、極大輝度PLは極大輝度PRの半分以上であるが、極大輝度PLは極大輝度PRの半分未満であってもよい。本例では、波長λRが単位101のピーク波長であり、分光特性Lcを有する単位101のピーク波長(波長λR)は620nmである。本例では、波長λLは670nmである。
第4実施形態において、単位101が分光特性Lcを有することで、例えば図12(b)および(c)に示す波長感度特性をもつ人に対しても、L錐体細胞を優先的に反応させられる。そのため、色覚異常者における赤色の弁別性を向上させることができる。
分光特性Lcの極大輝度PLに対する半値幅FWHM(L)は50nm未満であり、本例における半値幅FWHM(L)は20nmである。また、分光特性Gbの極大輝度PGに対する半値幅FWHM(G)は50nm未満であり、本例における半値幅FWHM(G)は35nmである。このように、半値幅FWFH(L)や半値幅FWFH(G)を小さくすることで、M錐体細胞の過剰な刺激を抑制して、赤色と緑色の弁別性を向上できる。
第4実施形態では、単位101が、550nm以上かつ650nm未満の範囲の波長λRにおいて、0.04cd/m以上の極大輝度PRを呈する。このことにより、550nm以上かつ650nm未満の範囲の波長領域において、桿体細胞も刺激できるようになる。その結果、特に薄明視領域においての光感度を確保することができる。単位101の極大輝度PLは、他の単位102、103より高くてもよい。なお、650nm未満の波長領域の極大輝度PRは、650nm以上の波長領域の極大輝度PLよりも高い。そのため、単位101を相対的に強く発光させると、薄明視領域では桿体細胞を過剰に刺激しうるが、明所視領域における色相の補正は容易である。そのため、極大輝度PRは、明所視領域である5cd/m以上であることが好ましい。極大輝度PLが、極大輝度PRの半分以上であれば、単位101によってL錐体細胞を十分に刺激することができる。
分光特性Lcの実現には、図6(b)で示した分光特性を有する発光層134に対して、600〜650nmの波長範囲では透過率が相対的に高く、650〜700nmの波長範囲では透過率が相対的に低い波長調整部139を用いればよい。
<第5実施形態>
第5実施形態における表示装置1の分光特性の例を図8に示す。第5実施形態において、第1実施形態で説明した表示単位100の種類は、単位101、単位102、単位103、単位104の4種類である。図8には、単位101の分光特性Ldと、単位102の分光特性M、単位103の分光特性B、単位104の分光特性R、を示している。図8の分光特性は、各表示単位のピーク輝度でそれぞれ規格化し、相対輝度として表記している。分光特性Bは第2〜4実施形態と同様であるので説明を省略する。
分光特性Rを有する単位104は、550nm以上かつ650nm未満の範囲の波長λRにおいて、分光測光輝度で0.04cd/m以上の極大輝度PRを呈する。そのため、単位104は0.04cd/m以上の積分測光輝度を呈する。本例では、本例では、波長λRが単位104のピーク波長であり、分光特性Rを有する単位104のピーク波長(波長λR)は600nmである。
分光特性Ldを有する単位101は、650nm以上かつ700nm以下の範囲の波長λLにおいて、分光測光輝度で0.04cd/m以上の極大輝度PLを呈する。そのため、単位101は0.04cd/m以上の積分測光輝度を呈する。本例では、波長λLが単位101のピーク波長であり、分光特性Ldを有する単位101のピーク波長(波長λL)は670nmである。これにより、図12(b)、(c)のような波長感度特性をもつ人に対しても、L錐体細胞を優先的に反応させることができ、赤色の色弁別性を向上させることができる。
第5実施形態において、分光特性Ldの550nm以上かつ650nm未満の波長における分光放射輝度は、分光放射輝度での極大輝度PLの半分未満である。分光特性Ldの650nmにおける分光放射輝度も、分光放射輝度で極大輝度PLの半分未満である。本例では、分光特性Ldの極大輝度PLに対する半値幅(スペクトル半値幅)FWHM(L)は50nm未満である。第5実施形態において、表示単位100は、分光特性Ldを有する単位101と、分光特性Rを有する単位104と、の両方を有している。単位104において極大輝度PRを示す波長λRは、L錐体細胞の感度が十分に高く、また桿体細胞も感度をもつ波長領域に設定されている。つまり第5実施形態において、分光特性Rを有する単位104は、L錐体細胞の反応をエネルギー的に効率よく促すと同時に、桿体細胞も反応させる機能を有する。したがって分光特性Ldを有する単位101は、L錐体細胞をM錐体細胞より優位に反応量させるための機能さえ有すればよい。従って、単位101の半値幅FWHM(L)が50nm未満であることにより、単位101がL錐体細胞とM錐体細胞の反応差がある波長領域で、M錐体細胞を極力刺激せずにL錐体細胞を刺激するよう構成されている。これにより、色弁別性を向上することができる。
第5実施形態の分光特性Ldを有する単位101が極大輝度PLを呈する波長λLは、他の単位102、103が極大輝度PM,PBを呈する波長λM、λBに比べて、L錐体細胞の感度が低い波長領域にある。そのため単位101の極大強度PLは、他の単位102、103の極大輝度PM,PBより高く設定されると好ましい。
第5実施形態の分光特性Ldを有する単位101が極大輝度PRを呈する光を、650nm以上の波長領域には感度を持たない桿体細胞は検知することができない。すなわち、例えば薄明視領域において、分光特性Ldを有する単位101の輝度を上げても、桿体細胞の過剰反応およびそれに伴う青緑系の知覚は生じにくい。そのため、赤色の知覚を適切に増長させることができ、色覚補正が容易になる。
第5実施形態における表示単位100の配列パターンの例を図9(a)〜(f)に示す。4種類の表示単位100は単位101、102、103、104からなる。本実施形態において、表示単位100の配列は、図9(a)のようなストライプ配列でもよいが、図9(b)および図9(c)のようなSストライブ配列でもよい。また、表示単位100の配列は、図9(d)〜(f)のようなデルタ配列であってもよいし、図示しないペンタイル配列であってもよい。分光特性Ldを有する単位101は、図9(a)〜(f)に示す様に、分光特性Rを有する単位104に隣接することが好ましい。ここで、分光特性Ldを有する単位101の極大輝度PLを高めるために、単位101の面積は相対的に大きくすることが好ましい。例えば、図9(b)、(c)、(e)、(f)では、分光特性Ldを有する単位101の面積は、分光特性Rを有する単位104の面積よりも大きくなっている。
第5実施形態は、それぞれ独立に制御される単位101および単位104により、L錐体細胞を効率的に反応させることができる。また、M錐体細胞に対する感度差を、桿体細胞の反応を考慮することなく任意に設定することができ、色補正の自由度および画像形成にかかるエネルギー効率が向上する。
<第6実施形態>
第6実施形態における表示装置1の分光特性の例を図10に示す。第6実施形態において、第1実施形態で説明した表示単位100の種類は、単位101、単位102、単位103、単位104の4種類に加え、単位105の5種類である。図10には、単位101の分光特性Ldと、単位102の分光特性Gb、単位103の分光特性B、単位104の分光特性R、単位105の分光特性Mを示している。図10の分光特性は、各表示単位のピーク輝度でそれぞれ規格化、相対輝度として表記している。分光特性Ld、R、Bは第5実施形態と同様であるので説明を省略する。分光特性Mは第3実施形態および第5実施形態と同様であるので説明を省略する。
分光特性Gbを有する単位102のピーク波長は、分光特性Mを有する単位105のピーク波長である500nm以上であり、分光特性Rを有する単位104のピーク波長である600nm未満の範囲の波長λGである。他の実施形態においても、分光特性Gbを有する単位102のピーク波長は、500nm以上かつ600nm未満であってもよい。分光特性Gbを有する単位102は、520nm以上かつ550nm未満の範囲の波長λGにおいて、分光測光輝度で0.04cd/m以上の極大輝度PGを呈する。そのため、単位102は0.04cd/m以上の積分測光輝度を呈する。本例では、本例では、波長λGが単位102のピーク波長であり、分光特性Gbを有する単位102のピーク波長(波長λG)は530nmである。
分光特性Mを有する単位105は、480nm以上かつ520nm未満の範囲の波長λMにおいて、分光測光輝度で0.04cd/m以上の極大輝度PMを呈する。そのため、単位102は0.04cd/m以上の積分測光輝度を呈する。本例では、本例では、波長λMが単位105のピーク波長であり、分光特性Mを有する単位105のピーク波長(波長λM)は500nmである。
分光特性Mを有する単位105にはM錐体細胞を反応させる機能が必要とされるが、分光特性Mを有する単位105は、M錐体細胞を優先的に反応させうる。図12に示すように、480nm未満の波長ではS錐体細胞が優位に反応し、520nm以上の波長では、L錐体細胞の感度が増してくる。そのため第6実施形態において、分光特性Mが極大輝度PMを呈する波長λMは480〜520nmの波長領域に設定される。分光特性Mにおける極大輝度PMに対する半値幅FWHM(M)は50nm未満に設定されている。
このように、第6実施形態の表示装置1は、分光特性Gbを有する単位102と分光特性Mを有する単位105と、両方を有している。単位102が極大輝度PGを呈する波長λGは、M錐体細胞の感度が十分に高い波長領域に設定されている。つまり第6実施形態において、分光特性Gbを有する単位102はM錐体細胞の反応をエネルギー的に効率よく促し、分光特性Mを有する単位105はM錐体細胞の反応量をL錐体細胞の反応量より高めるための機能さえ有すればよい。
なお、単位105にはM錐体細胞を反応させる機能が必要とされ、M錐体細胞は0.04cd/m以上の輝度で反応する。そのため、単位105の波長λMにおける極大輝度PMは、分光測光輝度で0.04cd/m以上であればよく、単位105の輝度は、積分測光輝度で0.04cd/m以上であればよい。また表示装置1において色づくりしやすい領域は、明所視領域である、5cd/m以上の輝度の領域である。そのため、単位105の極大輝度PMは、分光測光輝度で5cd/m以上であると好ましく、単位105の輝度は、積分測光輝度で5cd/m以上であると好ましい。さらに人間工学的に、表示装置の輝度は35cd/m以上であると好ましいとされており、また環境光が明るい場合には100cd/mであることが好ましいとされている。このことから、第6実施形態の単位105の極大輝度PMも分光測光輝度で35cd/m以上であることがより好ましく、第6実施形態の単位105の輝度は積分測光輝度で35cd/m以上であると好ましい。第6実施形態の単位105の輝度は積分測光輝度で100cd/m以上であるとさらに好ましい。
第6実施形態における表示単位100の配列パターンの例を図11(a)〜(h)に示す。5種類の表示単位100は単位101、102、103、104、105からなる。第6実施形態において、表示単位100の配列は、図11(a)のようなストライプ配列でもよいが、図11(b)〜(e)のようなSストライブ配列でもよい。また、表示単位100の配列は、図11(f)〜(h)のようなデルタ配列であってもよいし、図示しないペンタイル配列であってもよい。分光特性Ldを有する単位101は、図11(a)〜(f)に示す様に、分光特性Rを有する単位104に隣接することが好ましい。ここで、分光特性Ldを有する単位101の極大輝度PLを高めるために、単位101の面積は相対的に大きくすることが好ましい。これにより、L錐体細胞の感度が低い650〜700nmの波長領域でも、L錐体細胞を刺激することが可能になる。例えば、図11(d)、(e)、(g)では、分光特性Ldを有する単位101の面積は、分光特性Rを有する単位104の面積よりも大きくなっている。分光特性Mを有する単位105は、図11(a)〜(h)に示す様に、分光特性Gbを有する単位102に隣接することが好ましい。図11(a)、(b)に示す様に、分光特性Ldを有する単位101と、分光特性Gb、Mを有する単位102、105との間に、他の分光特性を有する単位(例えば分光特性B、Rを有する単位103、104)が介在してもよい。分光特性Ldを有する単位101と分光特性Gb、Mを有する単位102、105とが互いに隣接しないため、赤色と緑色の分別が容易になる。
ここで、M錐体細胞は単位102の光のみならず、単位105の光でも十分に反応する。そのため、例えば図12(b)および(c)のように単位102と単位105のサイズを、例えば単位103に比べて半分程度に小さく設定しても、M錐体細胞には十分な反応を与えることができる。一方、他の実施形態と同様に、単位101の発光領域ではL錐体細胞の感度は低いため、単位101のサイズは他の単位よりも大きくすることが好ましい。
以上のように、第6実施形態における表示装置1は、それぞれ独立に制御される5種類の単位101、単位102、単位103、単位104、単位105をもつ。それにより色覚異常者の緑色〜赤色の色弁別性が向上するような色補正を、効率的かつ自由度高く行うことができる。加えて、従来通りのRGB画素のみを用いて映像を表示することができるため、色覚正常者の利便性も向上する。
<第7実施形態>
第7実施形態として、表示装置1の動作について説明する。第7実施形態は第1〜第6実施形態のいずれにも適用可能である。
表示装置1では、RGB色空間のR値とG値とB値に対応したデータを含む信号RGBが用いられる。なお、表示装置1に入力される画像信号SIGがRGB色空間のR値とG値とB値に対応したデータを含む信号RGBでない場合、例えばYUV色空間やXYZ色空間、CMY色空間などの非RGB色空間による信号SIGが入力される場合もありうる。その場合には、表示装置1は、非RGB色空間による信号SIGをRGB色空間による信号RGBに変換する変換部を含むことができる。なお、RGB色空間にはsRGB色空間やAdobeRGB色空間などが含まれる。YUV色空間には、YCbCr色空間やYPbPr色空間などが含まれる。CMY色空間にはCMYK色空間が含まれる。
信号RGBに基づいて、駆動部60は、素子部10の構造に適した駆動信号DRVを生成する。第1〜第6実施形態において、単位101、104はR値に応じた輝度を呈する。単位102、105はG値に応じた輝度を呈する。単位103はB値に応じた輝度を呈する。単位101は赤色を弁別するために設けられているのであるから、そもそも単位101は、画像のRチャンネルを表示するのに用いられるべきである。そのため、単位101、104はR値に応じた輝度を呈する。同様に、単位105は緑色を弁別するために設けられているのであるから、単位105は、画像のGチャンネルを表示するのに用いられるべきである。そのため、単位102、105はG値に応じた輝度を呈する。そして、複数の単位101の各々は、複数の単位104のいずれかに連動して輝度変化する。詳細には、複数の単位101の各々は、複数の単位104のいずれかの輝度変化の前後1秒以内に輝度変化する。勿論、複数の単位101の各々は、複数の単位104のいずれかの輝度変化と同時に輝度変化してもよい。同様に、複数の単位105の各々は、複数の単位102のいずれかに連動して輝度変化する。詳細には、複数の単位105の各々は、複数の単位102のいずれかの輝度変化の前後1秒以内に輝度変化する。勿論、複数の単位102の各々は、複数の単位105のいずれかの輝度変化と同時に輝度変化してもよい。
制御部40は色覚情報が保持されたデータベース20を備えている。制御部40はデータベース20の色覚情報をもとに、補正に必要なRGB信号のゲインを算出する機能をもつ。そして、制御部40は色毎にRGB信号の補正テーブルを作成し、駆動部60へと送る。
駆動部60では、入力された信号SIGに対し、制御部40から送られた制御信号CTRLを用いて信号SIGに対して調整を行う。調整された駆動信号DRVが素子部10へ出力される。駆動部60は、R値に基づく駆動信号DRVについて、単位101を駆動する際の駆動信号DRVと、単位104を駆動する際の駆動信号DRVとで、異なるゲインをかけることができる。駆動部60は、G値に基づく駆動信号DRVについて、単位102を駆動する際の駆動信号DRVと、単位105を駆動する際の駆動信号DRVとで、異なるゲインをかけることができる。
データベース20の色覚情報は、複数のパターンを含みうる。例えば、色覚情報は、正常色覚に対応した第1パターンと、1型異常色覚に対応した第2パターンと、2型異常色覚に対応した第3パターンと、を含みうる。表示装置1にはユーザーからの調整を指示する指示信号CLBが入力される。指示信号CLBに基づいて、データベース20に保持された色覚情報の複数のパターンから1つのパターンが選択される。制御部40は、選択されたパターンに基づいて、色毎に補正テーブルを作成し、補正テーブルに基づく制御信号CTLRを駆動部60へと送る。なお、データベース20に保持される色覚情報として、正常色覚に対応した第1パターンが選択された場合には、制御部40は制御信号CTRLを送らずに、駆動部60は標準の駆動信号DRVを出力してもよい。
以上のように、本実施形態によれば、1型色覚および2型色覚をもつ人であっても、種類αの単位101の光によりL錐体細胞とM錐体細胞の感度差を容易にもたせることができ、人毎に最適な色補正ができようになる。
<第8実施形態>
第8実施形態は、第7実施形態と組み合わせることができる形態である。制御部40は、色覚検査手段30を含みうる。第8実施形態において、人は自らの色覚情報を表示装置1へ入力することができる。色覚情報とは、L、M、S錐体細胞の波長感度関数および、そこから想定されるRGB画素の等色関数である。あるいは、色覚検査手段30により新たに作成された色覚情報が選択されてもよい。本実施形態において、表示装置1は色覚検査手段30をもってもよい。色覚検査手段30は、ハードウェア回路によって実現されてもよいし、プロセッサ(MPU,FPGA,DSPなど)とソフトウェアによって実現されてもよい。また、これらを組み合わせて実現してもよい。
色覚検査方法については、仮性同色表をもとに作成されたプログラムでもよい。仮性同色表とは色覚異常者には分かりにくい色の組み合せを使って描かれている数字の表であり、この数字が正確に読めるかどうかで、人が正常色覚を持つかどうかが判断できる。さらに、数字が読めなかった場合であっても、RGB画素のゲインの調整で、ほとんどの人は正確に読めるようになる。その際におこなったRGB画素のゲイン調整量から、人の色覚情報を想定することができる。
色覚検査については、機能の有無を含めて特に限定されるものではなく、方式についても仮性同色表ではなく色相配列検査であってもよく、特に限定されない。
第5実施形態の表示装置1における色覚検査方法は、仮性同色表の数字を識別できるように調整する際、種類αの単位101のゲイン調整も加わる。例として、第5実施形態の表示装置1の色覚検査で得られ得る任意の画像の補正結果を表2に示す。
Figure 2021092760
人が図12(b)に示すような1型色覚をもつ場合、赤色光に対するL錐体細胞の反応量は正常色覚の人と比べて劣る。そのため、赤色の発光強度を高める補正が行われる。また、種類δの単位104の発光強度を高める分、M錐体細胞が余剰的に反応してしまうため、それを打ち消すために種類βの単位102の発光強度を弱める補正も行われる。
また人が1型色覚をもつ場合、種類δの単位104の発光ではL錐体細胞とM錐体細胞の反応量差が生じにくい。ここで種類αの単位101の発光によれば、M錐体細胞を過剰に反応させることなく、L錐体細胞を任意の量反応させることができる。そのためL錐体細胞をM錐体細胞に対して優位に反応させる必要がある場合、種類αの単位101をL錐体細胞が十分に反応する強度で発光させる補正も行われる。
人が図12(c)に示すような2型色覚をもつ場合、種類δの単位104の発光によりM錐体細胞が過剰に反応するため、L錐体細胞とM錐体細胞の反応量差が生じにくい。一方、種類αの単位101の発光においては、M錐体細胞に対してL錐体細胞の反応が優位になる。そのため、M錐体細胞に対してL錐体細胞を優位に反応させる必要がある場合、種類δの単位104の発光強度を弱め、代わりに種類αの単位101の発光強度を上げる補正が行われる。なお、種類αの単位101の発光領域のL錐体細胞の光感度は、種類δの単位104の発光領域に比べて著しく低い。そのため種類δの単位104の発光強度を弱める際、その減少量を上回る上昇量をもって種類αの単位101の発光強度の補正が行われる。また種類δの単位104の発光でM錐体細胞は過剰に反応するため、それを打ち消すために種類βの単位102の発光強度を弱める補正も行われる。
上述のように行われる複数の画像補正結果から、人の色覚情報の推定が行われ、各画素のゲイン調整量が決定される。なお本件において、色覚検査については、機能の有無を含めて特に限定されるものではなく、方式についても仮性同色表ではなく色相配列検査であってもよく、特に限定されない。また各画素のゲインの調整方法も上記に限定されるものではない。
第6実施形態の表示装置1における色覚検査方法は、第5実施形態における表示装置1の色覚検査方法と大きくは変わらない。ただし、仮性同色表の数字を識別できるように調整する際、本実施形態では種類εの単位105のゲイン調整も加わる。例として、第6実施形態の表示装置1の色覚検査で得られ得る任意の画像の補正結果を表3に示す。
Figure 2021092760
人が図12(b)に示すような1型色覚をもつ場合、種類βの単位102の発光によりL錐体細胞が過剰に反応するため、L錐体細胞とM錐体細胞の反応量差が生じにくい。一方、種類εの単位105の発光においては、L錐体細胞に対してM錐体細胞の反応が優位になる。そのため、L錐体細胞に対してM錐体細胞を優位に反応させる必要がある場合、種類βの単位102の発光強度を弱め、代わりに種類εの単位105の発光強度を上げる補正が行われる。ただし、種類εの単位105の発光はS錐体細胞反応も促してしまうため、それを打ち消すために種類γの単位103の輝度(発光強度)を弱める補正も行われる。なお、1型色覚をもつ人は、種類δの単位104の発光にともなうL錐体細胞の反応量が、正常色覚の人と比べて劣るが、この補正については実施形態に記載のものとほぼ同様であるため、ここでは説明を割愛する。
人が図12(c)に示すような2型色覚をもつ場合、種類βの単位102の発光にともなうM錐体細胞の反応量は正常色覚の人と比べて劣る。とはいえ、種類βの単位102の発光強度を上げてしまうと、L錐体細胞が過剰に反応することになる。そのため反応量の補正は、種類εの単位105の発光により行われる。また、種類εの単位105を発光させる分、S錐体細胞が余剰的に反応してしまうため、それを打ち消すために種類γの単位103の輝度(発光強度)を弱める補正も行われる。なお、2型色覚をもつ人は、種類δの単位104の発光にともなうM錐体細胞の反応量が、正常色覚の人と比べて過剰であるが、この補正については実施形態3に記載のものとほぼ同様であるため、ここでは説明を割愛する。
上述のように行われる複数の画像補正結果から、人の色覚情報の推定が行われ、各画素のゲイン調整量が決定される。なお本件において、色覚検査については、機能の有無を含めて特に限定されるものではなく、方式についても仮性同色表ではなく色相配列検査であってもよく、特に限定されない。また各画素のゲインの調整方法も上記に限定されるものではない。
本実施例では、図3(a)の様に有機材料のエレクトロルミネセッスにより白色光を発する発光層134の上に、3色のカラーフィルターアレイ137を配置した表示装置1の形態を説明する。なお、本実施例における素子111は、図3(a)の素子111のようなカラーフィルターとは別の波長調整部139を含んでおらず、カラーフィルター自体の分光透過率を調整することで、以下に説明する分光特性を実現している。表示単位となる素子(画素)の寸法(画素サイズ)は、1〜10μm、典型的には5〜10μm程度であり、1つの画素の面積は1〜100μm、典型的には25〜100μmである。本例の画素サイズは7μm、画素面積は約50μmである。カラーフィルターの色によって分類される3色(赤色、緑色、青色)の画素を図9(d)に示すようにデルタ配列したものである。表示領域の対角寸法は典型的には0.1インチ(2.54mm)〜1インチ(25.4mm)、本例では0.5インチ(12.7mm)である。
この表示装置1の分光放射輝度特性の一例を図13(b)に示す。図13(b)の分光放射輝度特性は、規格化せずに絶対輝度で示しており、表示装置1を最高レベルで表示させた際の分光放射輝度を、規格化せずに絶対輝度で示している。つまり図13(b)の分光放射輝度は、それぞれの表示単位の波長毎の最高の分光放射輝度である。本実施例の表示装置1では、全表示単位を最高の積分放射輝度および積分測光輝度で表示させると、500〜1000cd/m程度の積分測光輝度を得えることができる。表示装置1の設計を変更して、消費電力や寿命等の仕様を変更すると、1000〜5000cd/mの積分測光輝度を得ることも可能である。
赤色のカラーフィルターを有する素子111は、図13(b)の分光特性LRを有する種類αの単位101である。なお、単位101では550nm以下の波長の光はほぼ無視できるほど弱いので、図13(b)では550nm以下での波長の分光特性LRの表示を省略している。この単位101は、第3実施形態で説明したものと同様に、650nm以上かつ700nm未満の波長λLにおいて、極大輝度PLを呈する。また、単位101は、第3実施形態で説明したものと同様に、600nm以上かつ650nm未満の波長λRにおいて極大輝度PRを呈する。このように、単位102は、600nm以上かつ700nm未満の波長λR,λLにおいて極大輝度PR、PLを呈する。極大輝度PLは極大輝度PRよりも高く、単位101が呈する可視光の分光放射輝度のうちで最大であるため、単位101のピーク波長は波長λLであり、単位101のピーク輝度は極大輝度PLである。本例では、波長λLは660nmであり、波長λRは610nmである。図13(b)から理解されるように、極大輝度PLおよび極大輝度PRは0.01W/sr/m/nm以上であるから、図13(a)を参照すれば、極大輝度PLおよび極大輝度PRは分光測光輝度で0.04cd/m以上であることが理解されよう。また、極大輝度PLおよび極大輝度PRは分光測光輝度で1cd/m以上である。極大輝度PLは分光測光輝度で5cd/m未満であるが、極大輝度PRは分光測光輝度で5cd/m以上である。本例の極大輝度PLは0.021W/sr/m/nmであり、これは式(5)によると、分光測光輝度で1cd/mに相当する。本例の極大輝度PRは0.018W/sr/m/nmであり、これは式(5)によると、分光測光輝度で6.9cd/mに相当する。波長λRにおける分光測光輝度と波長λLにおける分光測光輝度の和で7.9cd/mとなり、他の波長も含めた単位101の積分測光輝度は5cd/m以上であり、5cd/m以上でありうる。極大輝度PLと極大輝度PRとを比較すると、分光測光輝度では極大輝度PLが極大輝度PRよりも高いが、分光放射輝度では極大輝度PRが極大輝度PLよりも高い。つまり、単位101のピーク波長は波長λLであるが、単位101の主波長は波長λRであり、単位101のピーク波長(波長λL)は、単位101の主波長(波長λR)よりも長い。従って、単位101は色覚正常者にとっては一般的な赤色からの違和感が少ない赤色として視認可能であり、さらに、色覚異常者にとっては緑色との弁別性が向上した赤色として視認される。
緑色のカラーフィルターを有する素子112は、図13(b)の分光特性GYを有する種類βの単位102である。単位102は、500nm以上かつ550nm未満の波長λGにおいて極大輝度PGを呈する。また、素子112は、550nm以上かつ600nm未満の波長λYにおいて極大輝度PYを呈する。このように、素子112は、500nm以上かつ600nm未満の波長λG,λYにおいて極大輝度PG、PYを呈する。極大輝度PGは極大輝度PYよりも高く、単位102が呈する可視光の分光放射輝度のうちで最大であるため、単位102のピーク波長は波長λGであり、単位102のピーク輝度は極大輝度PGである。本例では、波長λGは525nmであり、波長λYは565nmである。図13(b)から理解されるように、極大輝度PGおよび極大輝度PYは0.01W/sr/m/nm以上であるから、図13(a)を参照すれば、極大輝度PLおよび極大輝度PRは分光測光輝度で0.04cd/m以上であることが理解されよう。また、極大輝度PLおよび極大輝度PRは分光測光輝度で1cd/m以上であり、さらには、5cd/m以上である。本例の極大輝度PGは0.03W/sr/m/nmであり、これは式(5)によると、分光測光輝度で16cd/mに相当する。本例の極大輝度PYは0.01W/sr/m/nmであり、これは式(5)によると、分光測光輝度で6.8cd/mに相当する。波長λGにおける分光測光輝度と波長λYにおける分光測光輝度の和で22.8cd/mとなり、他の波長も含めた単位102の積分測光輝度は5cd/m以上であり、35cd/m以上でありうる。
青色のカラーフィルターを有する素子113は、図13(b)の分光特性Bを有する種類γの単位103である。なお、単位103では550nm以上の波長の光はほぼ無視できるほど弱いので、図13(b)では550nm以上の波長の分光特性Bの表示を省略している。単位103は、400nm以上かつ500nm未満の波長λBにおいて極大輝度PBを呈する。波長λBは、400nm以上かつ480nm未満であることが好ましい。単位102は波長λB以外の波長では極大輝度を呈しないため、単位103のピーク波長は波長λBであり、単位103のピーク輝度は極大輝度PBである。本例では、波長λBは455nmである。図13(b)から理解されるように、極大輝度PBは0.01W/sr/m/nm以上であるから、図13(a)を参照すれば、極大輝度Bは分光測光輝度で0.04cd/m以上であることが理解されよう。また、極大輝度PBは0.02W/sr/m/nm以上であるから、極大輝度PBは分光測光輝度で1cd/m以上であるが、5cd/m未満である。本例の極大輝度PGは0.035W/sr/m/nmであり、これは式(5)によると、分光測光輝度で1.7cd/mに相当する。波長λGにおける分光測光輝度と波長λYにおける分光測光輝度の和で22.8cd/mとなり、他の波長も含めた単位101の積分測光輝度は5cd/m以上であり、35cd/m以上でありうる。
分光放射輝度での極大輝度PL、PR、PY、PG、PBの高低関係は、図13(b)から理解されるように、PY<PR<PL<PG<PBである。このように、単位αの波長λLにおける最高の分光放射輝度としての極大輝度PLは、単位αの波長λRにおける最高の分光放射輝度としての極大輝度PRよりも高い(PR<PL)ことが好ましい。単位αの波長λLにおける最高の分光放射輝度としての極大輝度PLは、単位βの波長λYにおける最高の分光放射輝度としての極大輝度PYよりも高いこと(PY<PL)が好ましい。本例では、単位αの波長λLにおける最高の分光放射輝度としての極大輝度PLは、単位βの波長λGにおける最高の分光放射輝度としての極大輝度PGよりも低い(PL<PG)が、高い(PG<PL)ことも好ましい。本例では、単位αの波長λLにおける最高の分光放射輝度としての極大輝度PLは、単位γの波長λBにおける最高の分光放射輝度としての極大輝度PBよりも低い(PL<PB)が、高い(PB<PL)ことも好ましい。分光放射輝度としての極大輝度PLは3つの単位101、102、103のそれぞれのピーク波長において呈する分光放射輝度の中で最大であってもよい。すなわち、PG<PB<PLあるいはPB<PG<PLであってもよい。このように、分光放射輝度での極大輝度PLをできるだけ高くすることが、色覚異常者にとって赤色の弁別性を向上する上で有利である。単位γの波長λBにおける最高の分光放射輝度としての極大輝度PBは、単位βの波長λGにおける最高の分光放射輝度としての極大輝度PGよりも高い(PG<PB)ことも好ましい。これは、緑色光よりも青色光に対する視感効率が低いことが理由であり、青色光の分光放射輝度を高くすることで、青色光の分光測光輝度も高くして、良好な色味を得るためである。本例では、分光測光輝度での極大輝度PL、PR、PY、PG、PBの高低関係は、上記した分光測光輝度から理解されるように、PL<PB<PY<PR<PGである。分光測光輝度としての極大輝度PLは3つの単位101、102、103のそれぞれのピーク波長で呈する分光測光輝度の中で最小であってもよい。すなわち、PL<PB<PGあるいはPL<PG<PBであってもよい。このように、分光測光輝度としての極大輝度PLをできるだけ低くすることが、画像の色味の違和感を軽減する上で有利である。しかしながら、L錐体細胞を十分に刺激するための極大輝度PLは分光測光輝度で0.04cd/m以上であり、1cd/m以上であることが好ましく、5cd/m以上であることが好ましいことは上述した通りである。
本例では、白色光を発する発光層134を各色の単位で共用し、カラーフィルターアレイ137で色を分けているため、赤色を呈する単位102が極大輝度PRを示す波長λRの近傍で、緑色を呈する単位102も極大輝度を呈しうる。同様に、青色を呈する単位103が極大輝度PBを示す波長λBの近傍で、緑色を呈する単位102も極大輝度を呈しうる。単位102において、このように500〜600nmの波長範囲の外における極大輝度が大きいと、緑色の弁別性を低下させうる。そのため、単位102が600nm以上の波長λRで呈する輝度は、この波長λR近傍において単位101が呈する輝度よりも低いことが好ましい。同様に、単位102が500nm未満の波長λBで呈する輝度は、この波長λBにおいて単位103が呈する極大輝度よりも低いことが好ましい。なお、同じ波長での極大輝度の比較においては、視感効率は等しいため、分光測光輝度の高低関係と分光放射輝度の高低関係が逆転することはないため、この比較は、分光測光輝度と分光放射輝度の両方で成立する。同様に、単位101や単位103が波長λG,λYで呈する輝度は、これらのλG,λYにおいて単位102が呈する極大輝度よりも低いことが好ましい。またに、単位101や単位102が波長λBで呈する輝度は、この波長λBにおいて単位103が呈する極大輝度よりも低いことが好ましい。
本発明は、上述の実施形態に限らず種々の変形が可能である。例えば、いずれかの実施形態の一部の構成を他の実施形態に追加した例や、他の実施形態の一部の構成と置換した例も、本発明の実施形態である。
以上、説明した実施形態は、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更が可能である。なお、本明細書の開示内容は、本明細書に記載したことのみならず、本明細書および本明細書に添付した図面から把握可能な全ての事項を含む。また本明細書の開示内容は、本明細書に記載した概念の補集合を含んでいる。すなわち、本明細書に例えば「AはBよりも大きい」旨の記載があれば、「AはBよりも大きくない」旨の記載を省略しても、本明細書は「AはBよりも大きくない」旨を開示していると云える。なぜなら、「AはBよりも大きい」旨を記載している場合には、「AはBよりも大きくない」場合を考慮していることが前提だからである。
11、12 光源
1 表示装置
10 素子部
110 素子
120 画素
100 表示単位
101 単位
102 単位
PL,PS 極大値
λL,λS 波長

Claims (30)

  1. 光源を用いて複数の表示単位により表示を行う表示装置であって、
    前記複数の表示単位は、第1種類の単位および第2種類の単位を含み、
    前記第1種類の単位のピーク波長は、650nm以上かつ700nm以下の範囲の第1波長であり、
    前記第2種類の単位のピーク波長は、520nm以上かつ650nm未満の範囲の第2波長であり、
    前記第1種類の単位および前記第2種類の単位は、0.04cd/m以上の輝度を呈することを特徴とする表示装置。
  2. エレクトロルミネッセンスによる光源を用いて複数の表示単位により表示を行う表示装置であって、
    前記複数の表示単位は、第1種類の単位および第2種類の単位を含み、
    前記第1種類の単位は、650nm以上かつ700nm以下の範囲の第1波長において、極大輝度を呈し、
    前記第2種類の単位は、500nm以上かつ600nm未満の範囲の第2波長において、極大輝度を呈し、
    前記第1種類の単位の前記第1波長における最高の分光放射輝度は、前記第2種類の単位の前記第2波長における最高の分光放射輝度より高いことを特徴とする表示装置。
  3. 前記第1種類の単位が呈する輝度は5cd/m以上である、請求項1または2に記載の表示装置。
  4. 前記第1種類の単位が呈する輝度は35cd/m以上である、請求項1または2に記載の表示装置。
  5. 前記第1波長をλL[nm]、前記第1波長における明所視標準分光視感効率をV(λL)として、前記第1波長における分光放射輝度は0.04/(683*V(λL))[W/sr/m/nm]以上である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の表示装置。
  6. 光源を用いて複数の表示単位による表示を行う表示装置であって、
    複数の表示単位は、互いに異なる構造を有する第1種類の単位および第2種類の単位を含み、
    前記第1種類の単位は、650nm以上かつ700nm以下の範囲の第1波長において、極大輝度を呈し、
    前記第2種類の単位は、480nm以上かつ650nm未満の範囲の第2波長において、極大輝度を呈し、
    前記第1種類の単位は、前記第1波長をλL[nm]、前記第1波長における明所視標準分光視感効率をV(λL)として、前記第1波長において、1/(683*V(λL))[W/sr/m/nm]以上の分光放射輝度を呈し、
    前記第2種類の単位は、前記第2波長をλS[nm]、前記第2波長における明所視標準分光視感効率をV(λS)として、前記第2波長において、5/(683*V(λS))[W/sr/m/nm]以上の分光放射輝度を呈することを特徴とする表示装置。
  7. 前記第2波長は、520nm以上かつ550nm未満である、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の表示装置。
  8. 前記第2波長は、前記第2種類の単位のピーク波長である、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の表示装置。
  9. 前記第1種類の単位は、550nm以上かつ650nm未満の範囲の第3波長において、極大輝度を呈する、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の表示装置。
  10. 前記第1種類の単位の前記第3波長における分光放射輝度は、前記第1種類の単位の前記第1波長における分光放射輝度よりも低い、請求項9に記載の表示装置。
  11. 前記第1種類の単位の前記第1波長における分光放射輝度に対する半値幅が50nm以上である、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の表示装置。
  12. 前記複数の表示単位は、550nm以上かつ650nm未満の範囲の波長がピーク波長である表示単位を含まない、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の表示装置。
  13. 前記第1波長は、前記第1種類の単位のピーク波長である、請求項2または6に記載の表示装置。
  14. 前記複数の表示単位は、0.04cd/m以上の輝度を呈する少なくとも1つの第3種類の単位を含み、
    前記第3種類の単位は、550nm以上かつ650nm未満の範囲の第3波長において、極大輝度を呈する、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の表示装置。
  15. 前記第3波長は、前記第3種類の単位のピーク波長である、請求項14に記載の表示装置。
  16. 前記第1種類の単位の前記第1波長における分光放射輝度に対する半値幅が50nm未満である、請求項13または14に記載の表示装置。
  17. 前記第1種類の単位は、前記第3種類の単位の輝度変化の前後1秒以内に輝度変化する、請求項14乃至16のいずれか1項に記載の表示装置。
  18. 前記複数の表示単位は、0.04cd/m以上の輝度を呈する少なくとも1つの第4種類の単位を含み、
    前記第4種類の単位は、480nm以上かつ520nm未満の範囲の第4波長において、極大輝度を呈する、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の表示装置。
  19. 前記第4波長は、前記第4種類の単位のピーク波長である、請求項18に記載の表示装置。
  20. 前記第4種類の単位が呈する輝度は5cd/m以上である、請求項18または19に記載の表示装置。
  21. 前記複数の表示単位は、0.04cd/m以上の輝度を呈する少なくとも1つの第5種類の単位を含み、
    前記第5種類の単位は、400nm以上かつ480nm未満の範囲の第5波長において、極大輝度を呈する、請求項1乃至18のいずれか1項に記載の表示装置。
  22. 前記第1種類の単位のピーク波長と主波長とが互いに異なる、請求項1乃至21のいずれか1項に記載の表示装置。
  23. 前記表示装置には、RGB色空間のR値とG値とB値に対応したデータを含む信号が入力され、前記第1種類の単位は、前記R値に応じた輝度を呈する、請求項1乃至21のいずれか1項に記載の表示装置。
  24. 前記第1種類の単位は、エレクトロルミネッセンスによって発光する部分を有する、請求項1乃至23のいずれか1項に記載の表示装置。
  25. 前記複数の素子のうちの前記第1種類の単位に対応する素子は第1カラーフィルターを含み、前記複数の素子のうちの前記第2種類の単位に対応する素子は前記第1カラーフィルターとは透過特性が異なる第2カラーフィルターを含む、請求項1乃至24のいずれか1項に記載の表示装置。
  26. 前記第1種類の単位は、フォトルミネッセンスによって発光する部分を有する、請求項1乃至25のいずれか1項に記載の表示装置。
  27. 請求項1乃至26のいずれか1項に記載の表示装置と、
    前記表示装置へ入力する信号を生成する信号生成装置と、を備える機器。
  28. 請求項1乃至26のいずれか1項に記載の表示装置と、
    前記表示装置が表示する画像を撮影する撮像装置と、を備える機器。
  29. 前記機器はウェアラブル機器である、請求項27または28に記載の機器。
  30. 前記機器は、電光掲示板、交通信号機、車内表示器のいずれかである、請求項27に記載の機器。
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