JP2021092749A - 光学部材及び表示装置 - Google Patents

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恵範 林田
啓子 田崎
Keiko Tazaki
啓子 田崎
ゆかり 矢田
Yukari Yada
ゆかり 矢田
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Abstract

【課題】表示される画像の品質の低下を抑制する。【解決手段】第1領域、第2領域、第3領域及び第4領域を含む基材11と、それぞれの領域に回折光学部材を備え、第1回折光学部材20は、第1回折光学素子21及び第2回折光学素子22を、第2回折光学部材30は、第3回折光学素子31を、第3回折光学部材は、第4回折光学素子を、第4回折光学部材50は、第5回折光学素子51及び第6回折光学素子52を含み、第1回折光学素子で回折された光および第2回折光学素子で回折された光は、第1領域から第3領域に向けて基材内を導光され、第3回折光学素子で回折された光および第4回折光学素子で回折された光は、第3領域から第4領域に向けて基材内を導光され、第5回折光学素子で回折された第1波長域の光および第6回折光学素子で回折された第2波長域の光は、基材から出射する光学部材。【選択図】図5

Description

本発明は、光学部材及び光学部材を有する表示装置に関する。
表示部からの画像光を光学部材によって観察者の眼前に表示する表示装置として、ヘッドマウントディスプレイが知られている。このような表示装置において、例えば特許文献1に示すように、光学部材は、その内部に画像光を導光させるため及びその内部を導光している画像光を出射させるために、画像光の入射部及び出射部に設けられた回折光学素子を有している。回折光学素子は、光を回折させる回折格子を含んでいる。
回折格子に入射した光を回折させる条件は、回折する光の波長に大きく依存する。すなわち、ある波長の光に対応して当該波長の光を回折させるよう設けられた回折格子は、その波長とは大きく異なる他の波長の光をほとんど回折させない。このため、光学部材の入射部及び出射部には、導光させる画像光の波長に対応した複数の種類の回折格子が設けられている。典型的には、赤色、緑色、青色のそれぞれの波長の光に対応した3種の回折格子が設けられる。
画像光の入射部の回折光学素子にある波長の光を回折させるように設けられた回折格子で回折された光が、光学部材内を導光されて、画像光の出射部の回折光学素子に当該波長の光を回折させるように設けられた別の回折格子で回折されることで、その波長の画像光を出射させて観察者の眼前に画像を表示することができる。
特表2009−186794号公報
ところで、ある波長の光に対応した回折格子は、その波長に近い波長の光も回折させ得る。このため、画像光の入射部に設けられた回折光学素子のある波長の光に対応した回折格子で回折された光が、画像光の出射部に設けられた回折光学素子の当該波長とは異なる波長の光に対応した回折格子で回折されてしまうことがある。このような光は意図された方向に回折されないため、その光が意図された方向とは異なる方向に表示されることになる。言い換えると、表示すべき画像のうち一部の色がずれて表示される。このように、異なる波長の光に対応した回折格子で光が回折されてしまうと、表示装置に表示されるべき画像の品質が低下してしまう。
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、表示される画像の品質の低下を抑制することを目的とする。
本発明の光学部材は、
第1領域、第2領域、第3領域および第4領域を含む基材と、
前記基材の前記第1領域に積層され、第1回折格子及び第2回折格子を含む第1回折光学部材と、
前記基材の前記第2領域に積層され、第3回折格子を含む第2回折光学部材と、
前記基材の前記第2領域からずれて位置する前記第3領域に積層され、第4回折格子を含む第3回折光学部材と、
前記基材の第4領域に積層され、第5回折格子及び第6回折格子を含む第4回折光学部材と、を備える光学部材であって、
前記第1回折格子は、前記基材へ入射する光のうち第1波長域の光を回折して、回折された前記第1波長域の光が、前記第1領域から前記第2領域に向けて前記基材内を導光されるようにし、
前記第2回折格子は、前記基材へ入射する光のうち前記第1波長域とは異なる第2波長域の光を回折して、回折された前記第2波長域の光が、前記第1領域から前記第3領域に向けて前記基材内を導光されるようにし、
前記第3回折格子は、前記第1波長域の光を回折して、回折された前記第1波長域の光が、前記第2領域から前記第4領域に向けて前記基材内を導光されるようにし、
前記第4回折格子は、前記第2波長域の光を回折して、回折された前記第2波長域の光が、前記第3領域から前記第4領域に向けて前記基材内を導光されるようにし、
前記第5回折格子は、前記第1波長域の光を回折して、回折された前記第1波長域の光が、前記基材から出射するようにし、
前記第6回折格子は、前記第2波長域の光を回折して、回折された前記第2波長域の光が、前記基材から出射するようにする。
本発明の光学部材において、前記第1回折格子の回折効率及び前記第2回折格子の回折効率は、50%以下であってもよい。
本発明の光学部材において、前記第1回折格子の回折効率及び前記第2回折格子の回折効率は、10%以上30%以下であってもよい。
本発明の光学部材において、前記第3回折格子の回折効率は、前記第1領域から離間するにつれて高くなってもよい。
本発明の光学部材において、前記第4回折格子の回折効率は、前記第1領域から離間するにつれて高くなってもよい。
本発明の光学部材において、
前記第5回折格子の回折効率は、前記第2領域から離間するにつれて高くなり、
前記第6回折格子の回折効率は、前記第3領域から離間するにつれて高くなってもよい。
本発明の光学部材において、前記第1領域から前記第2領域に向けて前記基材内を導光する光の前記基材の平面視における導光方向と、前記第1領域から前記第3領域に向けて前記基材内を導光する光の前記基材の平面視における導光方向とがなす角度は、70°以上110°以下であってもよい。
本発明の光学部材において、前記第2領域から前記第4領域に向けて前記基材内を導光する光の前記基材の平面視における導光方向と、前記第3領域から前記第4領域に向けて前記基材内を導光する光の前記基材の平面視における導光方向とは、互いに直交してもよい。
本発明の光学部材において、前記第1回折光学部材は、前記第1回折格子及び前記第2回折格子を含む第1回折光学素子を有してもよい。
本発明の光学部材において、前記基材の屈折率は、1.50以上であってもよい。
本発明の光学部材において、前記第1回折光学部材の屈折率は、1.50以上であってもよい。
本発明の光学部材において、
前記第1回折光学部材は、前記第1回折格子を含む第1回折光学素子と、前記第2回折格子を含む第2回折光学素子と、を含み、
前記第2回折光学部材は、前記第3回折格子を含む第3回折光学素子を含み、
前記第3回折光学部材は、前記第4回折格子を含む第4回折光学素子を含み、
前記第4回折光学部材は、前記第5回折格子を含む第5回折光学素子と、前記第6回折格子を含む第6回折光学素子と、を含み、
前記第1回折光学素子の厚さ及び前記第2回折光学素子の厚さは、前記第3回折光学素子の厚さ、前記第4回折光学素子の厚さ、前記第5回折光学素子の厚さ及び前記第6回折光学素子の厚さより厚くてもよい。
本発明の光学部材において、
前記基材に前記第1回折光学部材を接着する接着層をさらに備え、
前記接着層の屈折率は、1.50以上であってもよい。
本発明の光学部材において、
前記第1回折光学部材は、少なくとも前記第1回折格子を含む第1回折光学素子を有し、
前記第1回折光学素子は、体積ホログラムであってもよい。
本発明の光学部材において、
前記第4回折光学部材は、少なくとも前記第5回折格子を含む第5回折光学素子を有し、
前記第5回折光学素子は、体積ホログラムであってもよい。
本発明の光学部材において、前記第1波長域は、600nm以上700nm以下及び400nm以上490nm以下であってもよい。
本発明の光学部材において、前記第1波長域は、400nm以上550nm以下であってもよい。
本発明の光学部材において、前記基材のうち平面視における任意の1mm角の領域において、最も厚い部分の厚さと最も薄い部分の厚さの差が5μm以下であってもよい。
本発明の光学部材において、前記基材の厚さは、0.1mm以上1.0mm以下であってもよい。
本発明の光学部材において、前記第1領域に入射して前記第1回折格子で回折した光は、再度前記第1回折格子で回折されてもよい。
本発明の光学部材において、少なくとも一部の前記第2回折光学部材は、前記第1回折光学部材から離間するにつれて前記第3回折格子が配置されている部分が多くなっていてもよい。
本発明の光学部材において、
前記第1回折光学部材は、前記第1波長の光を回折する第7回折格子をさらに含み、
前記第1回折格子が回折する光の前記第1回折光学部材への入射角の角度範囲は、前記第7回折格子が回折する光の前記第1回折光学部材への入射角の角度範囲と、一部において重複しており、
前記第1回折格子によって回折された光の前記第1回折光学部材からの出射角の角度範囲は、前記第7回折格子によって回折された光の前記第1回折光学部材からの出射角の角度範囲とずれていてもよい。
本発明の光学部材は、
前記第1回折光学部材を前記基材とは反対側から覆う保護層と、
前記基材と前記保護層との間に設けられた低屈折率層と、をさらに備えてもよい。
本発明の表示装置は、
上述したいずれかの光学部材と、
前記光学部材の前記第1領域に対面して配置され、画像光を出射する表示部と、を備える。
本発明によれば、表示される画像の品質の低下を抑制することができる。
図1は、眼前に配置された表示装置を示す斜視図である。 図2は、図1の表示装置が有する光学部材の正面図である。 図3は、図2の光学部材のIII−III線に沿った断面図である。 図4は、図2の光学部材のIV−IV線に沿った断面図である。 図5は、図3に示した光学部材の断面図において、光学部材の作用を説明するための図である。 図6は、光学部材における回折光学素子への光の入射を説明するための図である。 図7は、回折光学素子への入射回数と回折格子の回折効率との関係における導光される光の割合を示す表である。 図8は、光学部材に含まれる回折光学素子の変形例を示す斜視図である。 図9は、光学部材における回折光学部材の一変形例を説明するための図である。 図10は、光学部材における回折光学部材の一変形例を説明するための図である。 図11は、光学部材の一変形例を説明するための光学部材の断面図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
なお、「シート面(板面、フィルム面)」とは、対象となるシート状(板状、フィルム状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状部材(板状部材、フィルム状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
図1には、本実施の形態の表示装置の一例として、ヘッドマウントディスプレイとして眼前に画像を表示する表示装置1が示されている。表示装置1は、画像光を出射する表示部5と、表示部5の各位置から出射された画像光を屈折させるレンズ7と、入射した表示部5からの画像光をその内部で導光させて観察者の眼前から出射する光学部材10と、を有している。
表示部5は、画像光を出射する装置である。表示部5は、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、LCOS、DLP等の任意の表示部を用いることができる。表示部5は、光学部材10の後述する第1領域12に対面する位置に配置され、第1領域12に向けて画像光を出射する。
レンズ7は、表示部5の各位置から出射された画像光を出射位置ごとに屈折させて略平行な方向に進む光にして、光学部材10の第1領域12に入射させる。レンズ7は、表示部5と光学部材10との間であって、表示部5の画像光を出射する面に対面する位置に配置される。レンズ7は、例えば凸レンズであり、その焦点距離の位置に表示部5が配置されている。
光学部材10は、画像光をその内部で導光して、観察者の眼前から出射させる。光学部材10に入射する画像光が略平行な方向に進む光であると、光学部材10から出射する画像光は、略平行な方向に進む光とすることができる。光学部材10に入射する光及び光学部材10から出射する光が、図1に実線矢印で示されており、光学部材10の内部を導光する光が、図1に点線矢印で示されている。図1に示されているように、光学部材10の表示部5に対面する領域に入射した光が、光学部材10の画像を表示する領域まで進行方向を変更されながら導光され、観察者の眼前の画像を表示する領域から出射される。
光学部材10は、基材11と、第1回折光学部材20と、第2回折光学部材30と、第3回折光学部材40と、第4回折光学部材50と、第1接着層62と、第2接着層63と、第3接着層64と、第4接着層65と、を有している。第1回折光学部材20、第2回折光学部材30、第3回折光学部材40及び第4回折光学部材50は、基材11のそれぞれ別の領域に積層されている。第1回折光学部材20は、第1接着層62によって基材11上に接着されることで、基材11に積層されている。第2回折光学部材30は、第2接着層63によって基材11上に接着されることで、基材11に積層されている。第3回折光学部材40は、第3接着層64によって基材11上に接着されることで、基材11に積層されている。第4回折光学部材50は、第4接着層65によって基材11上に接着されることで、基材11に積層されている。
以下、図2乃至図4を参照しながら、光学部材10の各構成要素について説明する。図2は、光学部材10の正面図である。図3は、図2におけるIII−III線に沿った光学部材10の断面図であり、図4は、図2におけるIV−IV線に沿った光学部材10の断面図である。
基材11は、光学部材10において、光を導光させる導光体として機能する。可視光を導光させるために、基材11は透明になっている。また、基材11は、板状の部材である。光は、板状の基材11の一対の主面や基材11上に設けられた回折光学部材等において反射、とりわけ全反射されることで、基材11の内部を導光される。基材11の主面において全反射しやすいよう、基材11の屈折率は、光学部材10の外部の空気等の屈折率より十分に大きくなっていることが好ましい。具体的には、基材11の屈折率は、1.50以上であることが好ましく、1.55以上であることがより好ましく、1.6以上であることがさらにより好ましく、1.7以上であることがさらにより好ましく、1.8以上であることが最も好ましい。
なお、本明細書において、屈折率とは、波長が587.6nmの光に対する屈折率のことを意味する。
基材11は、その内部において光を導光させるための形状を維持するために、変形しにくい材料、すなわち剛性の高い材料からなる。また、基材11は、基材11上に積層された第1回折光学部材20、第2回折光学部材30、第3回折光学部材40及び第4回折光学部材50を適切に支持している。基材11としては、可視光透過性、剛性、第1回折光学部材20、第2回折光学部材30、第3回折光学部材40及び第4回折光学部材50の支持性等を考慮すると、例えば、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、アクリル等の樹脂材料や、ガラスであることが好ましい。特に、樹脂材料は、重量や脆性の観点から好適である。また、基材11は、可視光透過性、剛性や、第1回折光学部材20、第2回折光学部材30、第3回折光学部材40及び第4回折光学部材50の支持性等を考慮すると、0.1mm以上2.0mm以下であり、好ましくは0.1mm以上1.0mm以下であり、より好ましくは0.2mm以上1.0mm以下であり、さらに好ましくは0.3mm以上0.7mm以下の厚みである。さらに、基材11の主面において光を全反射によって導光させるために、基材11の主面は平坦性が高いことが好ましい。具体的には、基材11のうち平面視における任意の1mm角の領域において、最も厚い部分の厚さと最も薄い部分の厚さの差が5μm以下であることが好ましく、2μm以下であることがより好ましく、1μm以下であることがさらに好ましく、0.5μm以下であることがさらにより好ましい。
なお、透明とは、分光光度計((株)島津製作所製「UV−3100PC」、JIS K 0115準拠品)を用いて測定波長380nm〜780nmの範囲内で測定したときの、各波長における透過率の平均値として特定される可視光透過率が、80%以上であることを意味する。
また、図2に示すように、基材11は、第1領域12、第2領域13、第3領域14及び第4領域15を含んでいる。少なくとも第2領域13と第3領域14とは、互いにずれて位置する領域である。とりわけ、少なくとも第2領域13と第3領域14とは、互いに重複していない領域である。図2に示された例では、第1領域12、第2領域13、第3領域14及び第4領域15は、それぞれ互いにずれて位置しており、重複していない領域である。また、第1領域12と第2領域13、第1領域12と第3領域14、第2領域13と第4領域15、第3領域14と第4領域15が、それぞれ互いに隣り合っている。ただし、第1領域12は、第2領域13及び第3領域14の少なくとも一方と部分的に重なるようにしてもよい。また、第4領域15は、第2領域13及び第3領域14の少なくとも一方と部分的に重なるようにしてもよい。
第1領域12は、基材11の一方の側において表示部5に対面する領域であって、表示部5からの画像光を光学部材10及び基材11に入射させる領域である。第1領域12は、表示部5からの画像光を入射可能な十分な大きさを有している。具体的には、第1領域12は、後述する第1方向DAに沿った長さ及び第2方向DBに沿った長さが2mm以上、好ましくは5mm以上、より好ましくは10mm以上である。一方、第1領域12は、大きくなりすぎて光学部材10を大型化しないよう、第1方向DAに沿った長さ及び第2方向DBに沿った長さが20mm以下であることが好ましい。第2領域13及び第3領域14は、第1領域12から第4領域15に向かって基材11内で画像光を導光させる領域である。第4領域15は、基材11の一方の側において観察者の眼前に対面する領域であって、光学部材10及び基材11から画像光を出射する領域である。第2領域13は、第1領域12から離間する方向に細長く延びている。第3領域14は、第1領域12から離間する方向に細長く延びている。第4領域15は、第2領域13の長手方向及び第3領域14の延びる方向に広がっている。
第1回折光学部材20は、光学部材10に入射した光を回折させる。図2乃至図4に示すように、第1回折光学部材20は、基材11の第1領域12に積層されている。第1回折光学部材20は、第1回折光学素子21及び第2回折光学素子22を含んでいる。
第1回折光学素子21は、第1回折格子21aを含んでいる。図2には、第1回折格子21aは、点線で示されている。第1回折格子21aは、基材11へ入射する光のうち第1波長域の光を回折する。言い換えると、第1回折格子21aは、基材11のシート面の法線方向から入射した第1波長域の光を回折させるように設けられている。第1回折格子21aで回折された第1波長域の光は、第1領域12から第2領域13に向けて基材11内を第1方向DAへ導光される。なお、基材11内で導光される方向は、基材11の平面視において、基材11内における光の進行方向のことを意味している。したがって、基材11内における厚み方向への移動を無視している。
なお、第1波長域の光を回折させるように設けられているとは、第1波長域に含まれる任意の波長の光に対する回折効率が、10%以上であることを意味している。回折効率は、例えば分光光度計((株)島津製作所製「UV−2450」)を用いて、透過率の差分から測定することができる。
第1回折光学素子21の厚さは、厚くなっていることが好ましい。第1回折光学素子21の厚さが厚くなっていることで、第1回折光学素子21に入射した第1波長域の光が第1回折光学素子21に含まれる第1回折格子21aで回折される割合を高くすることができる。言い換えると、回折光学素子が厚くなるほど、回折光学素子に含まれる回折格子での回折効率を向上させることができる。すなわち、第1回折光学素子21の第1回折格子21aでの回折効率を向上させることができる。具体的には、第1回折光学素子21の厚さは、例えば3μm以上、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは15μm以上となっている。
一方、第1回折格子21aの回折効率は、適切な範囲にあることが好ましい。具体的には、第1回折格子21aの回折効率は、50%以下であることが好ましく、10%以上40%以下であることがより好ましく、10%以上30%以下であることがさらに好ましく、15%以上25%以下であることが最も好ましい。第1回折格子21aの回折効率を適切に設定することで、より多くの第1波長域の光を第1回折格子21aで回折されて第1領域12から第2領域13に向けて導光させることができる。
第2回折光学素子22は、第2回折格子22aを含んでいる。図2には、第2回折格子22aは、点線で示されている。第2回折格子22aは、基材11へ入射する光のうち第2波長域の光を回折する。言い換えると、第2回折格子22aは、基材11のシート面の法線方向から入射した第2波長域の光を回折させるように設けられている。第2波長域は、第1波長域とは異なる波長域である。好ましくは、第2波長域は、第1波長域とは重複していない波長域である。第2回折格子22aで回折された第2波長域の光は、第1領域12から第3領域14に向けて基材11内を第2方向DBへ導光される。
第2回折光学素子22の厚さは、厚くなっていることが好ましい。第2回折光学素子22の厚さが厚くなっていることで、第2回折光学素子22に入射した第2波長域の光が第2回折光学素子22に含まれる第2回折格子22aで回折される割合を高くすることができる。すなわち、第2回折光学素子22の第2回折格子22aでの回折効率を向上させることができる。具体的には、第2回折光学素子22の厚さは、例えば3μm以上、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは15μm以上となっている。
一方、第2回折格子22aの回折効率は、適切な範囲にあることが好ましい。具体的には、第2回折格子22aの回折効率は、50%以下であることが好ましく、10%以上40%以下であることがより好ましく、10%以上30%以下であることがさらに好ましく、15%以上25%以下であることが最も好ましい。第2回折格子22aの回折効率を適切に設定することで、より多くの第2波長域の光を第2回折格子22aで回折されて第1領域12から第3領域14に向けて導光させることができる。
ここで、第1波長域は、赤色、緑色、青色の光のうち、2つの色の光の波長域を含んでいる。例えば、第1波長域は、600nm以上700nm以下及び400nm以上490nm以下である。すなわち、第1波長域は、赤色の光の波長域と青色の光の波長域とを含んでいる。この場合、第2波長域は、500nm以上580nm以下である。すなわち、第2波長域は、緑色の光の波長域を含んでいる。あるいは、他の例として、第1波長域は、400nm以上550nm以下である。すなわち、第1波長域は、緑色の光の波長域と青色の光の波長域とを含んでいる。この場合、第2波長域550nm以上700nm以下である。すなわち、第2波長域は、赤色の光の波長域を含んでいる。
なお、青色の光の波長域と緑色の光の波長域とは近い波長であるため、青色の光の波長域を含む第1波長域の光を回折させるように意図された回折格子において、すなわち第1回折格子21aにおいて、緑色の光の波長域を含む第2波長域の光を回折させることがあり得る。同様に、緑色の光の波長域を含む第2波長域の光を回折させるように意図された回折格子において、すなわち第2回折格子22aにおいて、青色の光の波長域を含む第1波長域の光を回折させることがあり得る。
第1領域12から第2領域13に向けて基材11内を導光する光の基材11の平面視における導光方向、すなわち第1方向DAと、第1領域12から第3領域14に向けて基材11内を導光する光の基材11の平面視における導光方向、すなわち第2方向DBとがなす角度は、直角に近いことが好ましい。具体的には、第1領域12から第2領域13に向けて基材11内を導光する光の基材11の平面視における導光方向(第1方向DA)と、第1領域12から第3領域14に向けて基材11内を導光する光の基材11の平面視における導光方向(第2方向DB)とがなす角度は、70°以上110°以下であることが好ましく、80°以上100°以下であることがより好ましく、85°以上95°以下であることがさらに好ましく、89°以上91°以下であることがさらにより好ましい。
第2回折光学部材30は、第1回折光学部材20で回折された光のうち、第1回折格子21aで回折された光を回折させる。図2及び図3に示すように、第2回折光学部材30は、基材11の第2領域13に積層されている。第2回折光学部材30は、第3回折光学素子31を含んでいる。
第3回折光学素子31は、第3回折格子31aを含んでいる。図2には、第3回折格子31aは、点線で示されている。第3回折格子31aは、第1回折格子21aで回折された光を回折する。すなわち、第3回折格子31aは、第1領域12から第1方向DAに基材11内を進む第1波長域の光を回折する回折特性を有している。第3回折格子31aで回折された第1波長域の光は、第2領域13から第4領域15に向けて基材11内を導光される。
第3回折格子31aの回折効率は、第1回折格子21aの回折効率や第2回折格子22aの回折効率よりも低くなっている。したがって、第3回折格子31aを含む第3回折光学素子31の或る位置に入射した第1波長域の光の一部のみが回折されて、基材11内を第4領域15に向けて導光されるようになる。ただし、第2領域13は第1方向DAに長手方向を有している。このため、第3回折光学素子31の或る位置で回折されなかった光は、その後、第3回折光学素子31及び基材11の表面で反射(好ましくは全反射)し、再び第3回折光学素子31に入射する。
第3回折光学素子31の厚さは、第1回折光学素子21の厚さ及び第2回折光学素子の厚さより薄くなっていることが好ましい。この場合、第3回折格子31aの回折効率は、第1回折格子21aの回折効率や第2回折格子22aの回折効率よりも低くすることができる。具体的には、第3回折光学素子31の厚さは、14μm以下であることが好ましく、8μm以下であることがより好ましく、4μm以下であることがさらに好ましく、2μm以下であることが最も好ましい。
第3回折格子31aの回折効率は、好ましくは、第1領域12から第1方向DAに進む第1波長域の光が基材の第2領域13を通過する前に、第3回折格子31aで回折されるよう設定されている。また、第3回折格子31aの回折効率は、好ましくは、第3領域14内における第1方向DAに沿った各位置において第3回折格子31aで回折される光の強度が均一となるように調節されている。第3回折格子31aで回折された第1波長域の光は、その後、第4領域15でさらに回折されることで、画像光として光学部材10から出射する。第3回折格子31aでの回折により、基材11内を第4領域15に進む光の第1方向DAに沿った強度分布を均一化しておくことで、第4領域15における第1波長域の画像光の第1方向DAに沿った強度分布を均一化することができる。
第3回折格子31aの回折効率は、具体的には、基材11の厚みや、第2領域13の第1方向DAに沿った長さ等を考慮して決定される。また、第3回折格子31aでの回折光の第1方向DAに沿った強度分布を均一化する観点から、第3回折格子31aの回折効率は、第1領域12に近接する側で低く、入射光の強度が低下する第1領域12から離間する側で高くなっていることが好ましい。すなわち、第3回折格子31aの回折効率は、第1方向DAに沿って第1領域12から離間するにつれて高くなっていることが好ましい。
第3回折光学部材40は、第1回折光学部材20で回折された光のうち、第2回折格子22aで回折された光を回折させる。図2及び図4に示すように、第3回折光学部材40は、基材11の第3領域14に積層されている。第3回折光学部材40は、第4回折光学素子41を含んでいる。
第4回折光学素子41は、第4回折格子41aを含んでいる。図2には、第4回折格子41aは、点線で示されている。第4回折格子41aは、第2回折格子22aで回折された光を回折する。すなわち、第4回折格子41aは、第1領域12から第2方向DBに基材11内を進む第2波長域の光を回折する回折特性を有している。第4回折格子41aで回折された第2波長域の光は、第3領域14から第4領域15に向けて基材11内を導光される。
第4回折格子41aの回折効率は、第1回折格子21aの回折効率や第2回折格子22aの回折効率よりも低くなっている。したがって、第4回折格子41aを含む第4回折光学素子41の或る位置に入射した第2波長域の光の一部のみが回折されて、基材11内を第4領域15に向けて導光されるようになる。ただし、第3領域14は第2方向DBに長手方向を有している。このため、第4回折光学素子41の或る位置で回折されなかった光は、その後、第4回折光学素子41及び基材11の表面で反射(好ましくは全反射)し、再び第4回折光学素子41に入射する。
第4回折光学素子41の厚さは、第1回折光学素子21の厚さ及び第2回折光学素子の厚さより薄くなっていることが好ましい。この場合、第4回折格子41aの回折効率は、第1回折格子21aの回折効率や第2回折格子22aの回折効率よりも低くすることができる。具体的には、第4回折光学素子41の厚さは、14μm以下であることが好ましく、8μm以下であることがより好ましく、4μm以下であることがさらに好ましく、2μm以下であることが最も好ましい。
第4回折格子41aの回折効率は、好ましくは、第1領域12から第2方向DBに進む第2波長域の光が基材の第3領域14を通過する前に、第4回折格子41aで回折されるよう設定されている。また、第4回折格子41aの回折効率は、好ましくは、第4領域15内における第2方向DBに沿った各位置において第4回折格子41aで回折される光の強度が均一となるように調節されている。第4回折格子41aで回折された第2波長域の光は、その後、第4領域15でさらに回折されることで、画像光として光学部材10から出射する。第4回折格子41aでの回折により、基材11内を第4領域15に進む光の第2方向DBに沿った強度分布を均一化しておくことで、第4領域15における第2波長域の画像光の第2方向DBに沿った強度分布を均一化することができる。
第4回折格子41aの回折効率は、具体的には、基材11の厚みや、第3領域14の第2方向DBに沿った長さ等を考慮して決定される。また、第4回折格子41aでの回折光の第2方向DBに沿った強度分布を均一化する観点から、第4回折格子41aの回折効率は、第1領域12に近接する側で低く、入射光の強度が低下する第1領域12から離間する側で高くなっていることが好ましい。すなわち、第4回折格子41aの回折効率は、第2方向DBに沿って第1領域12から離間するにつれて高くなっていることが好ましい。
第2領域13から第4領域15に向けて基材11内を導光する光の基材11の平面視における導光方向と、第3領域14から第4領域15に向けて基材11内を導光する光の基材11の平面視における導光方向とは、互いに直交していることが好ましい。図示された例において、第3回折格子31aで回折された第1波長域の光は、第2方向DBと平行に進み第4領域15に向かう。また、図示された例において、第4回折格子41aで回折された第2波長域の光は、第1方向DAと平行に進み第4領域15に向かう。そして、第3回折格子31aで回折された第1波長域の基材11の平面視における導光方向である第2方向DBは、第4回折格子41aで回折された第2波長域の基材11の平面視における導光方向である第1方向DAと直交している。
第4回折光学部材50は、第2回折光学部材30及び第3回折光学部材40で回折された光を回折して、基材11から出射させる。図2乃至図4に示すように、第4回折光学部材50は、基材11の第4領域15に積層されている。第4回折光学部材50は、第5回折光学素子51及び第6回折光学素子52を含んでいる。
第5回折光学素子51は、第5回折格子51aを含んでいる。図2には、第5回折格子51aは、点線で示されている。第5回折格子51aは、第3回折格子31aで回折された光を回折する。すなわち、第5回折格子51aは、第2領域13から第2方向DBに基材11内を進む第1波長域の光を回折する回折特性を有している。第5回折格子51aで回折された第1波長域の光は、第4領域15において基材11から出射する。
第5回折格子51aの回折効率は、第1回折格子21aの回折効率や第2回折格子22aの回折効率よりも低くなっている。したがって、第5回折格子51aを含む第5回折光学素子51の或る位置に入射した第1波長域の光の一部のみが回折されて、第4領域15において基材11から出射されるようになる。ただし、第4領域15は第2方向DBに延びている。このため、第5回折光学素子51の或る位置で回折されなかった光は、その後、第5回折光学素子51及び基材11の表面で反射(好ましくは全反射)し、再び第5回折光学素子51に入射する。
第5回折光学素子51の厚さは、第1回折光学素子21の厚さ及び第2回折光学素子の厚さより薄くなっていることが好ましい。この場合、第5回折格子51aの回折効率は、第1回折格子21aの回折効率や第2回折格子22aの回折効率よりも低くすることができる。具体的には、第5回折光学素子51の厚さは、14μm以下であることが好ましく、8μm以下であることがより好ましく、4μm以下であることがさらに好ましく、2μm以下であることが最も好ましい。
第5回折格子51aの回折効率は、好ましくは、第2領域13から第2方向DBに進む第1波長域の光が基材11の第4領域15を通過する前に、第5回折格子51aで回折されるよう設定されている。また、第5回折格子51aの回折効率は、好ましくは、第4領域15内における第2方向DBに沿った各位置において第5回折格子51aで回折される光の強度が均一となるように調節されている。第5回折格子51aで回折された第1波長域の光は、画像光として光学部材10から出射する。第5回折格子51aでの回折により、第4領域15から出射する第1波長域の画像光の第2方向DBに沿った強度分布を均一化することができる。
第5回折格子51aの回折効率は、具体的には、基材11の厚みや、第4領域15の第2方向DBに沿った長さ等を考慮して決定される。また、第5回折格子51aでの回折光の第2方向DBに沿った強度分布を均一化する観点から、第5回折格子51aの回折効率は、第2領域13に近接する側で低く、入射光の強度が低下する第2領域13から離間する側で高くなっていることが好ましい。すなわち、第5回折格子51aの回折効率は、第2方向DBに沿って第2領域13から離間するにつれて高くなっていることが好ましい。
第6回折光学素子52は、第6回折格子52aを含んでいる。図2には、第6回折格子52aは、点線で示されている。第6回折格子52aは、第4回折格子41aで回折された光を回折する。すなわち、第6回折格子52aは、第3領域14から第1方向DAに基材11内を進む第2波長域の光を回折する回折特性を有している。第6回折格子52aで回折された第2波長域の光は、第4領域15において基材11から出射する。
第6回折格子52aの回折効率は、第1回折格子21aの回折効率や第2回折格子22aの回折効率よりも低くなっている。したがって、第6回折格子52aを含む第6回折光学素子52の或る位置に入射した第2波長域の光の一部のみが回折されて、第4領域15において基材11から出射されるようになる。ただし、第4領域15は第1方向DAに延びている。このため、第6回折光学素子52の或る位置で回折されなかった光は、その後、第6回折光学素子52及び基材11の表面で反射(好ましくは全反射)し、再び第6回折光学素子52に入射する。
第6回折光学素子52の厚さは、第1回折光学素子21の厚さ及び第2回折光学素子の厚さより薄くなっていることが好ましい。この場合、第6回折格子52aの回折効率は、第1回折格子21aの回折効率や第2回折格子22aの回折効率よりも低くすることができる。具体的には、第6回折光学素子52の厚さは、14μm以下であることが好ましく、8μm以下であることがより好ましく、4μm以下であることがさらに好ましく、2μm以下であることが最も好ましい。
第6回折格子52aの回折効率は、好ましくは、第3領域14から第1方向DAに進む第2波長域の光が基材11の第4領域15を通過する前に、第6回折格子52aで回折されるよう設定されている。また、第6回折格子52aの回折効率は、好ましくは、第4領域15内における第1方向DAに沿った各位置において第6回折格子52aで回折される光の強度が均一となるように調節されている。第6回折格子52aで回折された第2波長域の光は、画像光として光学部材10から出射する。第6回折格子52aでの回折により、第4領域15から出射する第2波長域の画像光の第1方向DAに沿った強度分布を均一化することができる。
第6回折格子52aの回折効率は、具体的には、基材11の厚みや、第4領域15の第1方向DAに沿った長さ等を考慮して決定される。また、第6回折格子52aでの回折光の第1方向DAに沿った強度分布を均一化する観点から、第6回折格子52aの回折効率は、第3領域14に近接する側で低く、入射光の強度が低下する第3領域14から離間する側で高くなっていることが好ましい。すなわち、第6回折格子52aの回折効率は、第1方向DAに沿って第3領域14から離間するにつれて高くなっていることが好ましい。
第1回折光学素子21、第2回折光学素子22、第3回折光学素子31、第4回折光学素子41、第5回折光学素子51及び第6回折光学素子52は、典型的には、ホログラムとすることができる。第1〜第6回折光学素子は、位相型のホログラムであってもよいし、振幅型のホログラムであってもよい。また、第1〜第6回折光学素子は、反射型のホログラムであってもよいし、透過型のホログラムであってもよい。さらに、第1〜第6回折光学素子は、体積ホログラムであってもよいし、レリーフ型ホログラムであってもよいし、計算機合成ホログラム(CGH:Computer Generated Hologram)であってもよい。ただし、第1回折格子21aを含む第1回折光学素子21及び第2回折格子22aを含む第2回折光学素子22は、体積ホログラムであることが好ましい。また、第5回折格子51aを含む第5回折光学素子51及び第6回折格子52aを含む第6回折光学素子52は、体積ホログラムであることが好ましい。図3及び図4に示された例において、第1回折光学素子21、第2回折光学素子22、第3回折光学素子31、第4回折光学素子41、第5回折光学素子51及び第6回折光学素子52は、反射型の体積ホログラムとなっている。
また、図示された例のように、第1回折光学部材20、第2回折光学部材30、第3回折光学部材40及び第4回折光学部材50が光学部材10の表面に形成されている場合、第1〜第4回折光学部材は、基材11とともに光を導光させる。第1〜第4回折光学部材の表面において光を全反射させるために、第1回折光学部材20、第2回折光学部材30、第3回折光学部材40及び第4回折光学部材50の屈折率は、光学部材10の外部の空気等の屈折率より十分に大きくなっていることが好ましい。具体的には、第1回折光学部材20、第2回折光学部材30、第3回折光学部材40及び第4回折光学部材50の屈折率は、1.50以上であることが好ましく、1.55以上であることがより好ましく、1.6以上であることがさらに好ましく、1.7以上であることがさらにより好ましく、1.8以上であることが最も好ましい。
第1接着層62は、基材11の第1領域12に第1回折光学部材20を接着している。すなわち、第1接着層62は、第1領域12において、基材11と第1回折光学部材20との間に配置されている。第2接着層63は、基材11の第2領域13に第2回折光学部材30を接着している。すなわち、第2接着層63は、第2領域13において、基材11と第2回折光学部材30との間に配置されている。第3接着層64は、基材11の第3領域14に第3回折光学部材40を接着している。すなわち、第3接着層64は、第3領域14において、基材11と第3回折光学部材40との間に配置されている。第4接着層65は、基材11の第4領域15に第4回折光学部材50を接着している。すなわち、第4接着層65は、第4領域15において、基材11と第4回折光学部材50との間に配置されている。
第1接着層62、第2接着層63、第3接着層64及び第4接着層65としては、種々の接着性を有した材料からなる層を用いることができる。また、第1接着層62、第2接着層63、第3接着層64及び第4接着層65は、可視光透過率が高いものを用いることが好ましい。このような接着層としては、アクリル系もしくはエポキシ系の樹脂からなる層を例示することができる。第1接着層62、第2接着層63、第3接着層64及び第4接着層65の厚みは、それぞれ5μm以上200μmあることが好ましい。
また、第1接着層62、第2接着層63、第3接着層64及び第4接着層65の屈折率は、光学部材10の外部の空気等の屈折率より十分に大きくなっていることが好ましい。具体的には、第1接着層62、第2接着層63、第3接着層64及び第4接着層65の屈折率は、1.50以上であることが好ましく、1.55以上であることがより好ましく、1.6以上であることがさらに好ましく、1.7以上であることがさらにより好ましく、1.8以上であることが最も好ましい。さらには、各接着層の屈折率は、当該接着層が接着させる回折光学部材の屈折率と基材11の屈折率との間であることが好ましい。
図3及び図4に示された例では、第1回折光学部材20、第2回折光学部材30、第3回折光学部材40及び第4回折光学部材50は、基材11の同じ側に設けられている。しかしながら、これらは基材11の一方の側と他方の側に設けられていてもよい。あるいは、例えば第1回折光学部材20が、基材11の一方の側と他方の側の両方に設けられていてもよい。基材11の一方の側に設けられる回折光学素子は、反射型のホログラムとなり、基材11の他方の側に設けられる回折光学素子は、透過型のホログラムとなる。
次に、表示装置1及び光学部材10の作用について、図5を参照しながら説明する。図5は、図3に示した光学部材10の断面図において、表示部5から入射した第1波長域の光が観察者の眼前に表示される状態を示している。
まず、表示部5が、拡散光となっている画像光を出射する。出射される画像光は、第1波長域の光と第2波長域の光とを含んでいる。典型的には、画像光は、赤色の波長域の光と、緑色の波長域の光と、青色の波長域の光と、を含んでいる。第1波長域は、青色の光の波長域と、赤色の波長域または緑色の波長域を含んでいる。第2波長域は、赤色の波長域または緑色の波長域のうち、第1波長域に含まれない波長域を含んでいる。
表示部5から出射した画像光は、レンズ7に入射する。図5に示すように、レンズ7によって、表示部5の各位置から出射された画像光は、出射位置ごとに拡散光から略平行な方向に進む光となる。図5に示された例では、表示部5の中心付近から出射された画像光と、表示部5の周縁付近から出射された画像光とは、レンズ7によって、それぞれ異なる角度で光学部材10に入射する略平行な方向に進む光となっている。略平行となった画像光が、光学部材10の第1領域12に入射する。
第1領域12に入射した画像光は、第1回折光学部材20に入射する。図5に示すように、入射した画像光のうち、第1波長域の光は、第1回折光学素子21の第1回折格子21aによって回折される。一方、図示されていない第2波長域の光は、第2回折光学素子22の第2回折格子22aによって回折される。第1回折格子21aによって回折された光は、第1領域12から第2領域13に向かい、第2回折格子22aによって回折された光は、第1領域12から第3領域14に向かうよう、基材11内を導光される。光は、基材11の一対の主面や基材11上に設けられた回折光学部材等で全反射されることで、基材11内を導光される。
なお、図5では省略されているが、第1領域12に入射して第1回折格子21aで回折した第1波長域の光は、基材11内を導光されながら、再度第1回折光学素子21に入射して、再度第1回折格子21aで回折されることがある。同様に、第1領域12に入射して第2回折格子22aで回折した第2波長域の光は、基材11内を導光されながら、再度第1回折光学素子21に入射して、再度第2回折格子22aで回折されることがある。言い換えると、第1領域12に入射した第1波長域の光は、第1回折格子21aで複数回回折され、第1領域12に入射した第2波長域の光は、第2回折格子22aで複数回回折されることがある。
図5に示すように、第1回折光学部材20で回折されて第2領域13に向かう第1波長域の光は、第2回折光学部材30に入射する。第2回折光学部材30に入射した第1波長域の光は、第3回折光学素子31の第3回折格子31aによって回折される。第3回折格子31aによって回折された光は、第2領域13から第4領域15に向かうよう、基材11内を導光される。第3回折格子31aの回折効率は、第1回折格子21aの回折効率や第2回折格子22aの回折効率よりも低くなっているため、第3回折光学素子31の或る位置に入射した第1波長域の光の一部のみが回折されて、基材11内を第4領域15に向けて導光される。第3回折光学素子31の或る位置で回折されなかった光は、その後、第3回折光学素子31及び基材11の表面で反射し、再び第3回折光学素子31に入射する。
第3回折格子31aの回折効率は、第2領域13内における第1方向DAに沿った各位置において第3回折格子31aで回折される光の強度が均一となるように調節されている。本実施の形態では、第3回折格子31aの回折効率は、第1方向DAに沿って第1領域12から離間するにつれて高くなっている。したがって、第3回折格子31aで回折された光の第1方向DAに沿った強度分布は、均一化されて、第4領域15に入射する。
図示されていない第1回折光学部材20で回折されて第3領域14に向かう第2波長域の光は、第3回折光学部材40に入射する。第3回折光学部材40に入射した第2波長域の光は、第4回折光学素子41の第4回折格子41aによって回折される。第4回折格子41aの回折効率は、第1回折格子21aの回折効率や第2回折格子22aの回折効率よりも低くなっているため、第4回折光学素子41の或る位置に入射した第2波長域の光の一部のみが回折されて、基材11内を第4領域15に向けて導光される。第4回折光学素子41の或る位置で回折されなかった光は、その後、第4回折光学素子41及び基材11の表面で反射し、再び第4回折光学素子41に入射する。
第4回折格子41aの回折効率は、第3領域14内における第2方向DBに沿った各位置において第4回折格子41aで回折される光の強度が均一となるように調節されている。本実施の形態では、第4回折格子41aの回折効率は、第1方向DAに沿って第1領域12から離間するにつれて高くなっている。したがって、第4回折格子41aでの回折された光の第2方向DBに沿った強度分布は、均一化されて、第4領域15に入射する。
第2回折光学部材30で回折されて第4領域15に向かう第1波長域の光及び第3回折光学部材40で回折されて第4領域15に向かう第2波長域の光は、第4回折光学部材50に入射する。第1波長域の光は第2領域13から第4領域15に導光されて入射し、第2波長域の光は第3領域14から第4領域15に導光されて入射する。図示された例では、第1波長域の光は、第2方向DBに沿って第2領域13から第4領域15に入射し、第2波長域の光は、第1方向DAに沿って第3領域14から第4領域15に入射する。したがって、第1波長域の光と第2波長域の光とは、導光されて第4領域15に入射する方向が異なっている。
図5に示すように、第4回折光学部材50に入射した第1波長域の光は、第5回折光学素子51の第5回折格子51aによって回折される。第5回折格子51aによって回折された光は、第4領域15において基材11から出射する。一方、図示されていない第4回折光学部材50に入射した第2波長域の光は、第6回折光学素子52の第6回折格子52aによって回折される。第6回折格子52aによって回折された光は、第4領域15において基材11から出射する。第5回折格子51a及び第6回折格子52aの回折効率は、第1回折格子21aの回折効率や第2回折格子22aの回折効率よりも低くなっているため、第5回折光学素子51や第6回折光学素子52の或る位置に入射した光の一部のみが回折されて、基材11から出射する。第5回折光学素子51及び第6回折光学素子52の或る位置で回折されなかった光は、その後、第5回折光学素子51及び第6回折光学素子52の表面で反射し、再び第5回折光学素子51及び第6回折光学素子52に入射する。
第5回折格子51aの回折効率は、第4領域15内における第2方向DBに沿った各位置において第5回折格子51aで回折される光の強度が均一となるように調節されている。本実施の形態では、第5回折格子51aの回折効率は、第2方向DBに沿って第2領域13から離間するにつれて高くなっている。したがって、第5回折格子51aで回折されて出射した光の第2方向DBに沿った強度分布は、均一化されて、第4領域15から出射する。
同様に、第6回折格子52aの回折効率は、第4領域15内における第1方向DAに沿った各位置において第6回折格子52aで回折される光の強度が均一となるように調節されている。本実施の形態では、第6回折格子52aの回折効率は、第1方向DAに沿って第3領域14から離間するにつれて高くなっている。したがって、第6回折格子52aで回折されて出射した光の第1方向DAに沿った強度分布は、均一化されて、第4領域15から出射する。
第4領域15において基材11から出射した光を観察者が観察することで、画像を視認することができる。観察者の眼前に対面する第4領域15において出射される第1波長域の光及び第2波長域の光が第4領域15の第1方向DA及び第2方向DBにおいて均一な強度となっている略平行な光であるため、観察者の位置がずれたとしても、画像を均一な明るさで観察することができる。
上述したように、従来の光学部材においては、画像光の入射部に設けられたある波長の光に対応する回折格子で回折された光が、画像光の出射部に設けられた当該波長とは異なる波長の光に対応する回折格子で回折されてしまうことがある。このような光は意図された方向に回折されないため、表示装置に表示されるべき画像の品質を低下させてしまう。とりわけ、このような現象は、近い波長に対応する回折格子の間で起こりやすい。具体的には、青色の波長の光に対応した回折格子は、青色の波長に近い波長の緑色の波長の光をも回折させてしまい得る。
ところで、回折格子に入射した光を回折させる条件には、回折する光の波長のほかに、回折格子に入射する光の角度もある。すなわち、意図された方向から回折格子に入射する光は回折されやすく、意図された方向から大きく異なる方向から回折格子に入射する光はほとんど回折されない。例えば、意図された方向と直交する方向から回折格子に入射する光はほとんど回折されない。
本実施の形態の光学部材10では、第1波長域の光は、第1回折光学素子21の第1回折格子21aによって第1領域12から第2領域13に向けて導光され、第3回折光学素子31の第3回折格子31aによって第2領域13から第4領域15に向けて導光された後、第5回折光学素子51の第5回折格子51aによって第4領域15から出射する。また、第2波長域の光は、第2回折光学素子22の第2回折格子22aによって第1領域12から第3領域14に向けて導光され、第4回折光学素子41の第4回折格子41aによって第3領域14から第4領域15に向けて導光された後、第6回折光学素子52の第6回折格子52aによって第4領域15から出射する。このように、第1波長域の光と第2波長域の光とが、大きく異なる方向から光を出射させる第4領域15に進んでくる。そして、第5回折格子51aは、第2領域13から第4領域15に向けて導光された第1波長域の光(図示された例において、基材11内を第2方向DBに進む第1波長域の光)を回折するよう設けられており、第6回折格子52aは、第3領域14から第4領域15に進んでくる第2波長域の光(図示された例において、基材11内を第1方向DAに進む第2波長域の光)を回折するよう設けられている。したがって、第5回折格子51aでは、第3領域14から第4領域15に向けて導光された第2波長域の光はほとんど回折されず、第6回折格子52aでは、第2領域13から第4領域15に向けて導光された第1波長域の光はほとんど回折されない。このため、第1領域12に設けられた第1波長域の光に対応する第1回折格子21aで回折された光が、第4領域15に設けられた第2波長域の光に対応する第6回折格子52aで回折されてしまうことはほとんどない。同様に、第1領域12に設けられた第2波長域の光に対応する第2回折格子22aで回折された光が、第4領域15に設けられた第1波長域の光に対応する第5回折格子51aで回折されてしまうことはほとんどない。意図されない回折が起こりにくいため、表示装置に表示されるべき画像の品質の低下を抑制することができる。
また、第1領域12から第2領域13に向けて基材11内を導光する光の基材11の平面視における導光方向と、第1領域12から第3領域14に向けて基材11内を導光する光の基材11の平面視における導光方向とがなす角度は、70°以上110°以下となっている。すなわち、第1領域12において、第1波長域の光が導光される方向と第2波長域の光が導光される方向とがなす角度は、70°以上110°以下となっている。言い換えると、第1波長域の光と第2波長域の光とを、異なる方向に分離することができる。このため、第1波長域の光は第3領域14に導光されにくく、第2波長域の光は第2領域13に導光されにくくすることができる。意図されない方向に光が導光されにくいため、光を効率よく利用することができる。
さらに、第2領域13から第4領域15に向けて基材11内を導光する光の基材11の平面視における導光方向と、第3領域14から第4領域15に向けて基材11内を導光する光の基材11の平面視における導光方向とは、互いに直交する。すなわち、第4領域15において第1波長域の光が導光される方向と第2波長域の光が導光される方向とが、互いに直交する。したがって、第4領域15において、第1波長域の光は、第6回折格子52aが回折させるように意図された入射方向とは直交した方向から第6回折格子52aに入射する。また、第2波長域の光は、第5回折格子51aが回折させるように意図された入射方向とは直交した方向から第5回折格子51aに入射する。回折格子は、回折させるように意図された入射方向と直交する方向から入射する光は、ほとんど回折させない。したがって、意図されない回折がより起こりにくくなる。このため、表示装置に表示されるべき画像の品質の低下をより抑制することができる。
また、基材11の屈折率は、1.50以上であり、第1回折光学部材20の屈折率は、1.50以上であり、第1接着層62の屈折率は、1.50以上である。基材11、第1回折光学部材20及び第1接着層62の屈折率が大きくなっていることで、基材11の主面への入射角度が大きな光でも全反射させて、基材11内を導光させることができる。このため、基材11から出射する光を観察可能な角度、言い換えると光学部材10の視野角を広げることができる。同様に、第2回折光学部材30、第3回折光学部材40、第4回折光学部材50、第2接着層63、第3接着層64及び第4接着層65の屈折率が1.50以上であることで、光学部材10の視野角を広げることができる。
さらに、第1波長域は、600nm以上700nm以下及び400nm以上490nm以下である。すなわち、第1波長域は、赤色の光の波長域と青色の光の波長域との2つの波長域を含んでいる。これらの2つの波長域は、十分に離れているため、同一の回折光学素子で回折しても、回折光学素子内においてそれぞれの波長域に対応した回折格子で回折されるため、意図されない方向に回折されにくい。したがって、第1波長域がこのような2つの色の波長域を含んでいても、表示装置に表示されるべき画像の品質が低下しにくい。
あるいは、第1波長域は、400nm以上550nm以下である。すなわち、第1波長域は、緑色の光の波長域と青色の光の波長域との2つの波長域を含んでいる。これら2つの波長域は近いため、回折光学素子内において1つの波長域として回折格子を対応させることができる。このような回折格子で回折させることで、同一の波長に対応した回折格子で2つの色の波長域の光を回折させることができる。同一の回折格子で回折されるため、意図されない方向に回折されにくい。したがって、第1波長域がこのような2つの色の波長域を含んでいても、表示装置に表示されるべき画像の品質が低下しにくい。
また、第2領域13において光は第4領域15へ回折されるため、第2領域13の第1領域12に近い側では、光の強度が強く、第1領域12から離間するにつれて、光の強度が弱くなる。第3回折格子31aの回折効率は、第1領域12から離間するにつれて高くなっていることで、第2領域13の全体において均一な強度となるように、第2領域13から第4領域15に第1波長域の光を回折することができる。すなわち、第4領域15に向かう光は、第1方向DAに沿った各位置において、均一な強度にすることができる。このように光を第4領域15に向かわせることで、第1波長域の光を第4領域15の第2方向DBに沿った各位置において、均一な強度で出射しやすくなる。
同様に、第3領域14において光は第4領域15へ回折されるため、第3領域14の第1領域12に近い側では、光の強度が強く、第1領域12から離間するにつれて、光の強度が弱くなる。第4回折格子41aの回折効率は、第1領域12から離間するにつれて高くなっていることで、第3領域14の全体において均一な強度となるように、第3領域14から第4領域15に第2波長域の光を回折することができる。すなわち、第4領域15に向かう光は、第2方向DBに沿った各位置において、均一な強度にすることができる。このように光を第4領域15に向かわせることで、第2波長域の光を第4領域15の第2方向DBに沿った各位置において、均一な強度で出射しやすくなる。
さらに、第4領域15において光は出射されていくため、第4領域15の第2領域13に近い側では、第1波長域の光の強度が強く、第2領域13から離間するにつれて、第1波長域の光の強度が弱くなる。一方、第5回折格子51aの回折効率は、第2領域13から離間するにつれて高くなっている。このため、第4領域15において、第1波長域の光は、第2方向DBに沿った各位置において、均一な強度で基材11から出射することができる。同様に、第4領域15の第3領域14に近い側では、第2波長域の光の強度が強く、第3領域14から離間するにつれて、第2波長域の光の強度が弱くなる。一方、第6回折格子52aの回折効率は、第3領域14から離間するにつれて高くなっている。このため、第4領域15において、第2波長域の光は、第1方向DAに沿った各位置において、均一な強度で基材11から出射することができる。
また、第1回折光学素子21の厚さ及び第2回折光学素子22の厚さは、第3回折光学素子31の厚さ、第4回折光学素子41の厚さ、第5回折光学素子51の厚さ及び第6回折光学素子52の厚さより厚くなっている。回折光学素子が厚くなるほど、回折光学素子に含まれる回折格子での回折効率を向上させることができるため、第1回折格子21aの回折効率及び第2回折格子22aの回折効率は、第3回折格子31aの回折効率、第4回折格子41aの回折効率、第5回折格子51aの回折効率及び第6回折格子52aの回折効率より高くすることができる。
一方、回折光学素子が薄くなると、回折光学素子に含まれる回折格子が少なくなる。回折光学素子に入射した光が干渉する回折格子が少ないため、回折格子に入射する光の角度が意図された方向とずれていても、回折されやすくなる。すなわち、回折光学素子が薄くなると、回折される光の角度範囲を広くすることができる。言い換えると、意図された方向とずれた方向から入射する光の回折効率を高くすることができる。
ここで、例えば体積ホログラムである回折光学素子は、硬化性の透明樹脂によって形成される。回折光学素子の製造時において、透明樹脂が硬化する際に収縮してしまう等により、回折光学素子が意図された形状から変形してしまうことがある。変形した回折光学素子における回折格子は、回折させるよう意図された光の入射方向がずれてしまう。すなわち、設計上意図された方向から回折格子に入射した光であっても、回折されにくくなってしまう。とりわけ、広い範囲に配置する第3〜第6回折光学素子は、設計上意図された形状から変形しやすい。このため、第3〜第6回折光学素子における第3〜第6回折格子は、設計上意図された方向から光が入射しても、光を回折しにくくなってしまう。
第3〜第6回折光学素子を薄くすることで、回折格子が回折させる入射方向として意図された方向とずれた方向から入射する光の回折効率を高くすることができる。したがって、第3〜第6回折光学素子にこのような変形が生じたとしても、設計上意図された方向から入射する光を回折することが可能となる。すなわち、製造時に回折光学素子が変形しても、設計上意図された方向から入射する光を回折することができる。
このように、第1、第2回折光学素子の厚さが第3〜第6回折光学素子の厚さより厚くなっていることで、表示部5から画像光が入射する第1回折光学部材20における回折格子の回折効率を高くしながら、製造時に変形しやすい回折光学素子において回折格子が回折する光の角度範囲を広げることができる。
また、基材11の厚さは、0.1mm以上1.0mm以下である。基材11が十分に薄くなっていることで、光学部材10の全体を薄くすることができる。
一方、基材11が薄くなっていると、例えば、図6に示すように、第1回折光学素子21において第1回折格子21aで回折された光は、基材11の主面で全反射された後、再度第1回折光学素子21に入射することがある。再度第1回折光学素子21に入射した光は、再度第1回折格子21aで回折され得る。すなわち、第1領域12に入射して第1回折格子21aで回折した光は、再度第1回折格子21aで回折される。再度第1回折格子21aで回折された光は、基材11内には向かわず、第1領域12から出射してしまう。このため、複数回にわたって第1回折格子21aで回折されると、最終的に第1領域12から第2領域13に導光される光が少なくなってしまう。
基材11を薄くしても複数回第1回折格子21aで回折されることを避けるためには、第1領域12の第1方向DAに沿った長さを短くすることが考えられる。しかしながら、第1領域12の第1方向DAに沿った長さを短くすると、表示部5からの画像光を入射させる領域が小さくなるため、第1領域12に高解像度の画像光を入射させることが困難になる。複数回にわたって第1回折格子21aで回折されることを許容して第1領域12の第1方向DAに沿った長さを長くすることで、第1領域12に高解像度の画像光を入射させることを可能にすることが求められる。
第1領域12の第1方向DAに沿った長さを十分に長くしながら基材11の厚さを薄くすると、表示部5から入射して第1回折光学素子21において第1回折格子21aで回折された光は、基材11の主面で全反射された後、1〜5回程度、特には4回、再度第1回折光学素子21に入射する。第1回折格子21aの回折効率を適切な範囲に調節することで、複数回にわたって第1回折格子21aで回折された際に第1領域12から第2領域13に導光される光の割合を変化させることができる。
同様に、第1領域12の第2方向DBに沿った長さを十分に長くしながら基材11の厚さを薄くすると、表示部5から入射して第2回折光学素子22において第2回折格子22aで回折された光は、基材11の主面で全反射された後、1〜5回程度、特には4回、再度第2回折光学素子22に入射する。第2回折格子22aの回折効率を適切な範囲に調節することで、複数回にわたって第2回折格子22aで回折された際に第1領域12から第3領域14に導光される光の割合を変化させることができる。
図7は、回折格子の回折効率と一度回折格子で回折された後に再度回折光学素子に入射する回数との関係において、最終的に第1領域12から第2領域13に導光される光の割合を示している表である。すなわち、表示部5から入射する光を100%とした場合の、第1領域12から第2領域13に導光される光の割合を示している。図7から理解されるように、一度回折格子で回折された後に再度回折光学素子に入射する回数が1回以上の場合、回折格子の回折効率は、50%以下であることが好ましい。また、一度回折格子で回折された後に再度回折光学素子に入射する回数が3回以上の場合、回折格子の回折効率は、10%以上40%以下であることが好ましく、10%以上30%以下であることがより好ましい。さらに、一度回折格子で回折された後に再度回折光学素子に入射する回数が4回以上の場合、回折格子の回折効率は、15%以上25%以下であることが好ましい。
さらに、第1回折格子21aを含む第1回折光学素子21がレリーフ型ホログラムであると、一度第1回折格子21aで回折された後に再度第1回折光学素子21に入射した光は、第1回折光学素子21の表面で全反射して第1方向DAに導光される0次回折光及び第1回折格子21aで回折されて第1領域12から出射する1次回折光だけでなく、1次回折光とは逆側に回折されて第1領域12から出射する−1次回折光や1次回折光とは異なる方向に回折されて第1領域12から出射し得る2次以上の回折光となり得る。このため、第1回折光学素子21がレリーフ型ホログラムである場合、特に複数回にわたって第1回折格子21aで回折されると、第1領域12から第2領域13に導光される光の割合が減少しやすい。
一方、第1回折格子21aを含む第1回折光学素子21が体積ホログラムであると、−1次回折光や2次以上の回折光が生じないため、複数回にわたって第1回折格子21aで回折されても、第1領域12から第2領域13に導光される光の割合が減少しにくい。第1回折光学素子21が体積ホログラムである場合、レリーフ型ホログラムである場合に比べて、第1領域12から第2領域13に導光される光を多くすることができる。同様に、第2回折格子22aを含む第2回折光学素子22が体積ホログラムである場合、レリーフ型ホログラムである場合に比べて、第1領域12から第3領域14に導光される光を多くすることができる。
また、第5回折光学素子51がレリーフ型ホログラムであると、第5回折光学素子51に入射した光は、第5回折光学素子51の表面で全反射して第2方向DBに導光される0次回折光及び第5回折格子51aで回折されて第4領域15から観察者の眼前に出射する1次回折光だけでなく、1次回折光とは逆側に回折されて第4領域15から出射する−1次回折光や1次回折光とは異なる方向に回折されて第4領域15から出射し得る2次以上の回折光となり得る。このため、第5回折光学素子51がレリーフ型ホログラムである場合、第4領域15から観察者の眼前に出射する光の割合が減少してしまう。
一方、第5回折格子51aを含む第5回折光学素子51が体積ホログラムであると、−1次回折光や2次以上の回折光が生じないため、第4領域15から観察者の眼前に出射する光の割合が減少しにくい。第5回折光学素子51が体積ホログラムである場合、レリーフ型ホログラムである場合に比べて、第4領域15から観察者の眼前に出射する光を多くすることができる。同様に、第6回折格子52aを含む第6回折光学素子52が体積ホログラムである場合、レリーフ型ホログラムである場合に比べて、第4領域15から観察者の眼前に出射する光を多くすることができる。
以上のように、本実施の形態の光学部材10は、第1領域12、第2領域13、第3領域14及び第4領域15を含む基材11と、基材11の第1領域12に積層され、第1回折格子21a及び第2回折格子22aを含む第1回折光学部材20と、基材11の第2領域13に積層され、第3回折格子31aを含む第2回折光学部材30と、基材11の第2領域13からずれて位置する第3領域14に積層され、第4回折格子41aを含む第3回折光学部材40と、基材11の第4領域15に積層され、第5回折格子51a及び第6回折格子52aを含む第4回折光学部材50と、を備える光学部材であって、第1回折格子21aは、基材11へ入射する光のうち第1波長域の光を回折して、回折された第1波長域の光が、第1領域12から第2領域13に向けて基材11内を導光されるようにし、第2回折格子22aは、基材11へ入射する光のうち第1波長域とは異なる第2波長域の光を回折して、回折された第2波長域の光が、第1領域12から第3領域14に向けて基材11内を導光されるようにし、第3回折格子31aは、第1波長域の光を回折して、回折された第1波長域の光が、第2領域13から第4領域15に向けて基材11内を導光されるようにし、第4回折格子41aは、第2波長域の光を回折して、回折された第2波長域の光が、第3領域14から第4領域15に向けて基材11内を導光されるようにし、第5回折格子51aは、第1波長域の光を回折して、回折された第1波長域の光が、基材11から出射するようにし、第6回折格子52aは、第2波長域の光を回折して、回折された第2波長域の光が、基材11から出射するようにする。このような光学部材10によれば、第5回折格子51aは、第2領域13から第4領域15に向けて導光された第1波長域の光を回折するよう設けられており、第3領域14から第4領域15に向けて導光された第2波長域の光をほとんど回折しない。同様に、第6回折格子52aは、第3領域14から第4領域15に向けて導光された第2波長域の光を回折するよう設けられており、第2領域13から第4領域15に向けて導光された第1波長域の光をほとんど回折しない。意図されない回折が起こりにくいため、表示装置に表示されるべき画像の品質の低下を抑制することができる。
本発明の態様は、上述した個々の実施の形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本発明の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
例えば、第1波長域が、1つの色の光の波長域のみを含んでもよい。この場合、第1回折光学部材20が、第1波長域及び第2波長域とは異なる第3波長域の光を回折させる更なる回折格子を含む別の回折光学素子を含んでもよい。例えば第1波長域は赤色の光の波長域を含み、第2波長域は緑色の光の波長域を含み、第3波長域は青色の光の波長域を含む。この回折光学素子の回折格子で回折された第3波長域の光は、第1領域12から第2領域13に向けて基材11内を第1方向DAへ導光される。
また、第2回折光学部材30は、第3波長域の光を回折するための更なる回折格子を含む別の回折光学素子を含む。この回折光学素子の回折格子で回折された第3波長域の光は、第2領域13から第4領域15に向けて基材11内を第2方向DBへ導光される。
さらに、第4回折光学部材50は、第3波長域の光を回折するための更なる回折格子を含む別の回折光学素子を含む。この回折光学素子の回折格子で回折された第3波長域の光は、第4領域15から出射される。
また、上述した実施の形態では、各光学部材は、接着層によって基材11に接着されていた。しかしながら、各光学部材は、光学部材自体が有する接着性によって基材11に接着されていてもよい。すなわち、第1接着層62、第2接着層63、第3接着層64及び第4接着層65は、省略されていてもよい。
上述した実施の形態では、第1回折光学部材20は、第1波長域の光を回折する第1回折光学素子21と、第2波長域の光を回折する第2回折光学素子22と、を含んでいる。しかしながら、第1回折光学部材20は、第1波長域の光及び第2波長域の光を回折する第1回折光学素子21のみを含んでいてもよい。この場合、図8に示すように、第1回折光学素子21は、第1波長域の光を回折する第1回折格子21aと、第2波長域の光を回折する第2回折格子22aと、を含んでいる。このような第1回折光学素子21は、体積ホログラムであることが好ましい。第1回折光学素子21が体積ホログラムである場合、上述した実施の形態と同様に、レリーフ型ホログラムである場合に比べて、第1領域12から第2領域13に導光される光を多くすることができる。
このように、第1回折格子21aと第2回折格子22aとが、同一の回折光学素子に形成されていることで、第1回折格子21aを有する回折光学素子と第2回折格子22aを有する回折光学素子とを接着する接着層を設ける必要がない。
同様に、第4回折光学部材50は、第1波長域の光及び第2波長域の光を回折する第5回折光学素子51のみを含んでいてもよい。この場合、第5回折光学素子51は、第1波長域の光を回折する第5回折格子51aと、第2波長域の光を回折する第6回折格子52aと、を含んでいる。このような第5回折光学素子51は、体積ホログラムであることが好ましい。第5回折光学素子51が体積ホログラムである場合、上述した実施の形態と同様に、レリーフ型ホログラムである場合に比べて、第4領域15から観察者の眼前に出射する光を多くすることができる。また、第5回折格子51aと第6回折格子52aとが、同一の回折光学素子に形成されていることで、第5回折格子を有する回折光学素子と第6回折格子を有する回折光学素子とを接着する接着層を設ける必要がない。
接着層を設けないことで、接着層を設けることによる界面の増加を回避することができる。界面における反射や屈折を増加させないため、反射や屈折による画像の品質の低下を抑制することができる。また、接着層を設ける必要がないため、コストを低減することができる。
また、図10に示すように、第2回折光学部材30が平面視において矩形である場合、第3回折格子31aで回折された第1波長域の光が、さらに第3回折格子31aで回折されることがある。第3回折格子31aで複数回回折されると、第3領域14内における第1方向DAに沿った各位置において第3回折格子31aで回折される光の強度が均一となるように調節することが複雑化する。
そこで、図9に示すように、少なくとも一部の第2回折光学部材30の第1回折光学部材20に近い側を遠い側より細くすることで、言い換えると、第1回折光学部材20から離間するにつれて第3回折格子31aを含む第3回折光学素子31が配置されている部分を多くすることで、特に第1回折光学部材20に近い側において、第1波長域の光が第3回折格子31aで複数回回折されることを容易に回避することができる。このように、第2回折光学部材30の形状を調節することで、第2領域13内における第1方向DAに沿った各位置において第3回折格子31aで回折される光の強度が均一となるように調節することが容易にできる。
図9に示した第2回折光学部材30と同様に、少なくとも一部の第3回折光学部材40の第1回折光学部材20に近い側を遠い側より細くすることで、言い換えると、第1回折光学部材20から離間するにつれて第4回折格子41aを含む第4回折光学素子41が配置されている部分を多くすることで、特に第1回折光学部材20に近い側において、第2波長域の光が第4回折格子41aで複数回回折されることを容易に回避することができる。このように、第3回折光学部材40の形状を調節することで、第3領域14内における第2方向DBに沿った各位置において第4回折格子41aで回折される光の強度が均一となるように調節することが容易にできる。
さらに、上述した実施の形態では、第1波長域の光を回折させるための回折格子として、第1回折光学部材20は第1回折格子21aのみを含んでおり、第2回折光学部材30は、第3回折格子31aのみを含んでおり、第4回折光学部材50は、第5回折格子51aのみを含んでいる。しかしながら、第1波長域の光を回折させるための回折格子として、第1回折光学部材20は、第1回折格子21aに加えて第7回折格子をさらに含んでおり、第2回折光学部材30は、第9回折格子をさらに含んでおり、第4回折光学部材50は、第11回折格子をさらに含んでいてもよい。
第7回折格子は、第1回折格子21aとは異なる角度で第1波長域の光を回折する。このため、第1回折光学部材20が第1回折格子21aに加えて第7回折格子を含んでいることで、より広い角度範囲で第1領域12に入射した第1波長域の光を第1回折光学部材20で回折することができる。
第9回折格子は、第3回折格子31aとは異なる角度で第1波長域の光を回折する。このため、より広い角度範囲で第2領域13に入射した第1波長域の光を第2回折光学部材30で回折することができる。
第11回折格子は、第5回折格子51aとは異なる角度で第1波長域の光を回折する。このため、より広い角度範囲で第4領域15に入射した第1波長域の光を第4回折光学部材50で回折することができる。
第1領域12に入射して第1回折光学部材20の第7回折格子で回折された第1波長域の光は、第1領域12から第2領域13に向かう。第2領域13において第2回折光学部材30に入射した光は、第2回折光学部材30の第9回折格子によって回折され、第2領域13から第4領域15に向かう。第4領域15において第4回折光学部材50に入射した光は、第4回折光学部材50の第11回折格子で回折されて、第4領域15から出射する。
第1回折格子21aで回折することができる第1波長域の光の入射角の角度範囲は、第7回折格子で回折することができる第1波長域の光の入射角の角度範囲と、一部において重複していることが好ましい。この場合、連続した入射角度で第1領域12に対して入射する第1波長域の光を第1回折光学部材20で回折することができる。
また、第1回折格子21aで回折された第1波長域の光の出射角の角度範囲は、第7回折格子で回折された光の出射角の角度範囲とずれていることが好ましい。すなわち、第1回折格子21aで回折された第1波長域の光の出射角の角度範囲は、第7回折格子で回折された第1波長の光の出射角の角度範囲と重複していないことが好ましい。この場合、第1回折格子21aで回折された第1波長域の光が第9回折格子で回折されたり、第7回折格子で回折された第1波長域の光が第3回折格子31aで回折されたりすることが生じにくい。また、第3回折格子31aで回折された第1波長域の光が第11回折格子で回折されたり、第9回折格子で回折された第1波長域の光が第5回折格子51aで回折されたりすることが生じにくい。言い換えると、同一の角度で第4回折光学部材50に入射した第1波長域の光が、第5回折格子51a及び第9回折格子によって異なる角度で回折されることが抑制される。このため、第4回折光学部材50で回折された第1波長域の光が2重像として観察されてしまうことを、効果的に抑制することができる。
同様に、第2波長域の光を回折させるための回折格子として、第1回折光学部材20は、第2回折格子22aに加えて第8回折格子をさらに含んでおり、第3回折光学部材40は、第4回折格子41aに加えて第10回折格子をさらに含んでおり、第4回折光学部材50は、第12回折格子をさらに含んでいてもよい。
第8回折格子は、第2回折格子22aとは異なる角度で第2波長域の光を回折する。このため、第1回折光学部材20が第2回折格子22aに加えて第8回折格子を含んでいることで、より広い角度範囲で第1領域12に入射した第2波長域の光を第1回折光学部材20で回折することができる。
第10回折格子は、第4回折格子41aとは異なる角度で第2波長域の光を回折する。このため、より広い角度範囲で第3領域14に入射した第2波長域の光を第3回折光学部材40で回折することができる。
第12回折格子は、第6回折格子52aとは異なる角度で第2波長域の光を回折する。このため、より広い角度範囲で第4領域15に入射した第2波長域の光を第4回折光学部材50で回折することができる。
第1領域12に入射して第1回折光学部材20の第8回折格子で回折された第2波長域の光は、第1領域12から第3領域14に向かう。第3領域14において第3回折光学部材40に入射した光は、第3回折光学部材40の第10回折格子によって回折され、第3領域14から第4領域15に向かう。第4領域15において第4回折光学部材50に入射した光は、第4回折光学部材50の第12回折格子で回折されて、第4領域15から出射する。
第2回折格子22aで回折することができる第2波長域の光の入射角の角度範囲は、第8回折格子で回折することができる第2波長域の光の入射角の角度範囲と、一部において重複していることが好ましい。この場合、連続した入射角度で第1領域12に対して入射する第2波長域の光を第1回折光学部材20で回折することができる。
また、第2回折格子22aで回折された第2波長域の光の出射角の角度範囲は、第8回折格子で回折された光の出射角の角度範囲とずれていることが好ましい。すなわち、第2回折格子22aで回折された第2波長域の光の出射角の角度範囲は、第8回折格子で回折された第2波長の光の出射角の角度範囲と重複していないことが好ましい。この場合、第2回折格子22aで回折された第2波長域の光が第10回折格子で回折されたり、第8回折格子で回折された第2波長域の光が第4回折格子41aで回折されたりすることが生じにくい。また、第4回折格子41aで回折された第2波長域の光が第12回折格子で回折されたり、第10回折格子で回折された第2波長域の光が第6回折格子52aで回折されたりすることが生じにくい。言い換えると、同一の角度で第4回折光学部材50に入射した第2波長域の光が、第6回折格子52a及び第10回折格子によって異なる角度で回折されることが抑制される。このため、第4回折光学部材50で回折された第2波長域の光が2重像として観察されてしまうことを、効果的に抑制することができる。
さらに、光学部材10は、第1回折光学部材20を基材11とは反対側から覆う保護層17を有していてもよい。図11に示された例のように、保護層17は、第1回折光学部材20だけでなく、第2回折光学部材30、第3回折光学部材40及び第4回折光学部材50も基材11とは反対側から覆うことが好ましい。このような保護層17は、覆っている各回折光学部材が有する回折光学素子を保護して回折光学素子が傷つくことを防止することができる。保護層17は、回折光学素子を保護する十分な強度を有している。保護層17は、例えばポリカーボネート、アクリル樹脂、シクロオレフィンポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)等からなり、とりわけ複屈折率の小さな材料であるポリカーボネート、アクリル樹脂、シクロオレフィンポリマー等からなることが好ましい。また、保護層17が薄すぎると、保護層17の剛性が低くなるため、光学部材10に外部からの力が加わると、保護層17が変形してしまうことがある。一方、保護層17が厚すぎると、光学部材10に熱が加わると、保護層17が大きく反るように変形してしまう。このような保護層17の変形を抑制するため、保護層17の厚さは、適切な範囲にあることが好ましい。具体的には、保護層17の厚さは、例えば0.2mm以上3mm以下であることが好ましく、0.4mm以上1.5mm以下であることがより好ましい。さらに、光学部材10の表面強度を向上させるために、保護層17は、ハードコート処理されていることが好ましい。
このような保護層17が回折光学部材に接していると、基材内を導光している光が回折光学部材から保護層17に入射することがある。保護層17に入射した光を適切に導光させるためには、保護層17を平坦にすることが求められる。しかしながら、十分な平坦性を有する保護層は、製造することが困難であり、また製造するとしてもコストがかかる。平坦性の低い保護層17に基材内を導光している光が入射すると、光は適切に保護層17内を導光されず、表示装置に表示される画像が劣化してしまう。そこで、保護層を回折光学部材から離間した位置に設けて、回折光学部材と保護層との間に空気層を設けることが考えられた。しかしながら、回折光学部材と保護層との間に空気層を設けると、光学部材全体が厚くなってしまう。また、空気層を適切に設けることも困難である。
そこで、図11に示すように、基材11と保護層17との間に、低屈折率層18を設けることが考えられた。すなわち、光学部材10は、保護層17に加え、低屈折率層18をさらに有している。低屈折率層18は、基材11より屈折率が低い材料からなる。低屈折率層18と基材11との屈折率の差は、0.1以上であることが好ましく、0.2以上であることがより好ましく、0.3以上であることがより好ましい。低屈折率層18の屈折率は、例えば1.4以下であり、好ましくは1.3以下であり、より好ましくは1.2以下である。また、低屈折率層18の厚さは、例えば0.01μm以上10μm以下、好ましくは0.1μm以上5μm以下である。このような低屈折率層18は、例えばフッ素樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、中空シリカ、及びこれらの混合物のいずれかを基材11及び回折光学部材上にコーティングすることで、容易に作製することができる。とりわけ、低屈折率層18の材料としては、特に屈折率の低いフッ素樹脂、中空シリカからなることが好ましい。また、このように低屈折率層18を作製することで、回折光学部材に圧力がかかりにくく、したがって低屈折率層18によって回折光学部材に歪みを生じさせにくくできる。
1 表示装置
5 表示部
7 レンズ
10 光学部材
11 基材
12 第1領域
13 第2領域
14 第3領域
15 第4領域
17 保護層
18 低屈折率層
20 第1回折光学部材
21 第1回折光学素子
21a 第1回折格子
22 第2回折光学素子
22a 第2回折格子
30 第2回折光学部材
31 第3回折光学素子
31a 第3回折格子
40 第3回折光学部材
41 第4回折光学素子
41a 第4回折格子
50 第4回折光学部材
51 第5回折光学素子
51a 第5回折格子
52 第6回折光学素子
52a 第6回折格子
62 第1接着層
63 第2接着層
64 第3接着層
65 第4接着層

Claims (21)

  1. 第1領域、第2領域、第3領域および第4領域を含む基材と、
    前記基材の前記第1領域に積層され、第1回折格子及び第2回折格子を含む第1回折光学部材と、
    前記基材の前記第2領域に積層され、第3回折格子を含む第2回折光学部材と、
    前記基材の前記第2領域からずれて位置する前記第3領域に積層され、第4回折格子を含む第3回折光学部材と、
    前記基材の第4領域に積層され、第5回折格子及び第6回折格子を含む第4回折光学部材と、を備える光学部材であって、
    前記第1回折格子は、前記基材へ入射する光のうち第1波長域の光を回折して、回折された前記第1波長域の光が、前記第1領域から前記第2領域に向けて前記基材内を導光されるようにし、
    前記第2回折格子は、前記基材へ入射する光のうち前記第1波長域とは異なる第2波長域の光を回折して、回折された前記第2波長域の光が、前記第1領域から前記第3領域に向けて前記基材内を導光されるようにし、
    前記第3回折格子は、前記第1波長域の光を回折して、回折された前記第1波長域の光が、前記第2領域から前記第4領域に向けて前記基材内を導光されるようにし、
    前記第4回折格子は、前記第2波長域の光を回折して、回折された前記第2波長域の光が、前記第3領域から前記第4領域に向けて前記基材内を導光されるようにし、
    前記第5回折格子は、前記第1波長域の光を回折して、回折された前記第1波長域の光が、前記基材から出射するようにし、
    前記第6回折格子は、前記第2波長域の光を回折して、回折された前記第2波長域の光が、前記基材から出射するようにする、光学部材。
  2. 前記第1回折格子の回折効率及び前記第2回折格子の回折効率は、50%以下である、請求項1に記載の光学部材。
  3. 前記第1回折格子の回折効率及び前記第2回折格子の回折効率は、10%以上30%以下である、請求項1または2に記載の光学部材。
  4. 前記第3回折格子の回折効率は、前記第1領域から離間するにつれて高くなる、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光学部材。
  5. 前記第4回折格子の回折効率は、前記第1領域から離間するにつれて高くなる、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光学部材。
  6. 前記第5回折格子の回折効率は、前記第2領域から離間するにつれて高くなり、
    前記第6回折格子の回折効率は、前記第3領域から離間するにつれて高くなる、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光学部材。
  7. 前記第1領域から前記第2領域に向けて前記基材内を導光する光の前記基材の平面視における導光方向と、前記第1領域から前記第3領域に向けて前記基材内を導光する光の前記基材の平面視における導光方向とがなす角度は、70°以上110°以下である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の光学部材。
  8. 前記第2領域から前記第4領域に向けて前記基材内を導光する光の前記基材の平面視における導光方向と、前記第3領域から前記第4領域に向けて前記基材内を導光する光の前記基材の平面視における導光方向とは、互いに直交する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の光学部材。
  9. 前記第1回折光学部材は、前記第1回折格子及び前記第2回折格子を含む第1回折光学素子を有する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の光学部材。
  10. 前記第1回折光学部材は、前記第1回折格子を含む第1回折光学素子と、前記第2回折格子を含む第2回折光学素子と、を含み、
    前記第2回折光学部材は、前記第3回折格子を含む第3回折光学素子を含み、
    前記第3回折光学部材は、前記第4回折格子を含む第4回折光学素子を含み、
    前記第4回折光学部材は、前記第5回折格子を含む第5回折光学素子と、前記第6回折格子を含む第6回折光学素子と、を含み、
    前記第1回折光学素子の厚さ及び前記第2回折光学素子の厚さは、前記第3回折光学素子の厚さ、前記第4回折光学素子の厚さ、前記第5回折光学素子の厚さ及び前記第6回折光学素子の厚さより厚い、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の光学部材。
  11. 前記第1回折光学部材は、少なくとも前記第1回折格子を含む第1回折光学素子を有し、
    前記第1回折光学素子は、体積ホログラムである、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の光学部材。
  12. 前記第4回折光学部材は、少なくとも前記第5回折格子を含む第5回折光学素子を有し、
    前記第5回折光学素子は、体積ホログラムである、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の光学部材。
  13. 前記第1波長域は、600nm以上700nm以下及び400nm以上490nm以下である、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の光学部材。
  14. 前記第1波長域は、400nm以上550nm以下である、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の光学部材。
  15. 前記基材のうち平面視における任意の1mm角の領域において、最も厚い部分の厚さと最も薄い部分の厚さの差が5μm以下である、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の光学部材。
  16. 前記基材の厚さは、0.1mm以上1.0mm以下である、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の光学部材。
  17. 前記第1領域に入射して前記第1回折格子で回折した光は、再度前記第1回折格子で回折される、請求項1乃至16のいずれか一項に記載の光学部材。
  18. 少なくとも一部の前記第2回折光学部材は、前記第1回折光学部材から離間するにつれて前記第3回折格子が配置されている部分が多くなっている、請求項1乃至17のいずれか一項に記載の光学部材。
  19. 前記第1回折光学部材は、前記第1波長域の光を回折する第7回折格子をさらに含み、
    前記第1回折格子が回折する光の前記第1回折光学部材への入射角の角度範囲は、前記第7回折格子が回折する光の前記第1回折光学部材への入射角の角度範囲と、一部において重複しており、
    前記第1回折格子によって回折された光の前記第1回折光学部材からの出射角の角度範囲は、前記第7回折格子によって回折された光の前記第1回折光学部材からの出射角の角度範囲とずれている、請求項1乃至18のいずれか一項に記載の光学部材。
  20. 前記第1回折光学部材を前記基材とは反対側から覆う保護層と、
    前記基材と前記保護層との間に設けられた低屈折率層と、をさらに備える、請求項1乃至19のいずれか一項に記載の光学部材。
  21. 請求項1乃至20のいずれか一項に記載の光学部材と、
    前記光学部材の前記第1領域に対面して配置され、画像光を出射する表示部と、を備える、表示装置。
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