JP2021091986A - フェルト洗浄装置とフェルト洗浄方法 - Google Patents
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Abstract
Description
ワイヤーパートにおいて、無端循環移動して走行するワイヤー上に、製紙原料を展開させて供給し、ワイヤーを脱水装置や紙匹形成装置に沿って走行させて脱水して紙層を形成して紙匹とする。
形成された紙匹はプレスパートに給送され、プレスロールに通されて搾水される。この際に、紙匹は無端循環移動するフェルトによって搬送されながらプレスロールに通される。なお、プレスロールは一対のロールによって構成されており、紙匹は一対のロールに挟持されながら通過して搾水される。
プレスパートで搾水された紙匹はドライヤパートに給送され、無端循環移動するドライヤカンバスによって搬送されながら高温のドライヤシリンダに巻回されて、乾燥させられてシート状の紙シートとなる。
そして、この紙シートを、カレンダーパートを通して平滑性や光沢等を付与した後、リールパートにてリールに巻き取られて巻取として完成する。
汚れが付着しないように、フェルトには洗剤を含むシャワー水を噴射している(特許文献1参照)。また、新聞用紙や印刷用紙を抄造する場合には、炭酸カルシウムやピッチ汚れが主たるものであるため、有機酸と界面活性剤とを成分とする酸性タイプの洗剤が用いられている(特許文献2、特許文献3参照)。この種の酸性タイプの洗剤では、有機酸が炭酸カルシウム等の無機系汚れを溶解し、界面活性剤が汚れの付着防止や分散、乳化等に寄与する。
この洗剤は、抄紙機の操業運転中に一日数回を間欠的にフェルト洗浄シャワー水に添加されて、間欠的にフェルトを洗浄していた。しかし、抄紙機の高速化や製紙原料の高灰分化が進んでフェルトの汚れが増加していることから、操業運転中に連続してフェルト洗浄シャワー水に薬剤を添加されるようになった。
さらに、プレスパートで断紙が多発的に発生した場合、搾水能力の低下が原因と考え、その原因としてフェルトの汚れを疑って苛性ソーダによる洗浄を行った場合に、断紙の原因がフェルト汚れ以外であった場合には、度重なるフェルト洗浄による抄紙機の停止に伴う損失が大きくなってしまう。
ところで、一般的には、紙へのpH変化や操業への懸念からフェルト洗浄にはアルカリ薬品はほとんど使用されていない現状がある。このため、酸とアルカリの薬品を併用してこれらを切り替えて行う洗浄を試行するに際して、フェルト洗浄の薬品を添加する配管等のラインにおいて中和物の生成の有無等、問題を探るために実機で確認を行った。なお、アルカリ薬品による洗浄は、各フェルトへの新たな配管等のラインを新設することなく行うと共に、添加する酸とアルカリの薬品切り替えを円滑に行うため、フェルトシャワーポンプによる供給経路中に酸性系洗剤とアルカリ系洗剤とを切り替えて供給するようにした。
また、アルカリ系洗剤の添加時には、フェルトサクションボックス等で回収されたアルカリ系洗剤を含んだドレンは白水系内に回収して排水処理した。
酸性系洗剤とアルカリ系洗剤の散布はいずれも、抄紙機の操業運転中に行うものである。
すなわち、酸性系洗剤とアルカリ系洗剤の散布を、同じフェルト洗剤散布装置を用いて散布するようにしたものである。この場合、既設のフェルト洗浄シャワー水の散布設備を利用することができ、フェルト洗浄シャワー水の散布装置としては、高圧シャワーポンプによる供給系統と低圧シャワーポンプの供給系統とのいずれであっても利用することができる。なお、低圧シャワーポンプは吐出圧が0.01〜0.10MPaであり、高圧シャワーポンプは0.50〜2.00MPaである。
ところで、アルカリ系洗剤は、酸性系洗剤と異なり連続して散布されるものではないため、散布量が酸性系洗剤に比べて多量となる。このため、酸性系洗剤のようにフェルト洗浄シャワー水の給送配管中に供給することを行いにくい。そこで、フェルト洗浄シャワーポンプの吸込口側に供給するようにしたものである。
ところで、酸性系洗剤は抄紙機の操業運転中に連続散布するため、フェルト洗浄シャワー水の供給系統の配管中に供給できるが、アルカリ系洗剤は間欠的に散布するため、酸性系洗剤よりも散布量が多くなり、供給系統の配管中に供給することが困難となる。このため、アルカリ系洗剤はフェルト洗浄シャワーポンプの吸込口側に供給することが好ましい。
プレスパート2においては、図示しないストックインレットから製紙原料が無端循環走行するワイヤー1aの表面に供給され、ワイヤー1aの走行によって製紙原料から脱水する。脱水された製紙原料は、クーチロール1bからプレスパート2のピックアップロール2aに乗り移って、プレスパート2に給送される。
この実施形態に示すプレスパート2では、No.1プレス1PとNo.2プレス2P、No.3プレス3P、No.4プレス4Pの4箇所で搾水する構造を備えている。また、紙匹Sはフェルトと共にプレスパート2を走行することになり、フェルトは前記ピックアップロール2aに巻回されているピックアップフェルトPuとNo.1フェルト1F、No.3フェルト3F、No.4フェルト4Fとを備えている。
ピックアップフェルトPuは、ピックアップロール2aとNo.1プレス1Pの1Pトップロール1Pt、No.2プレス2Pの2Pグルーブドロール2Pgその他の各種ロールに巻回されて無端循環走行を行う。
No.1フェルト1Fは、No.1プレス1Pの1Pボトムロール1Pbその他の各種ロールに巻回されて無端循環走行を行う。
1Pトップロール1Ptと1Pボトムロール1Pbとが組み合わされてNo.1プレス1Pが構成される。
No.3フェルト3Fは、No.3プレス3Pの3Pグルーブドロール3Pgその他の各種ロールに巻回されて無担循環走行を行う。
2Pグルーブドロール2Pgと3Pグルーブドロール3Pgのそれぞれは、センターロール5に組み合わされて配されている。そして、2Pグルーブドロール2Pgとセンターロール5との組み合わせでNo.2プレス2Pが構成され、3Pグルーブドロール3Pgとセンターロール5との組み合わせでNo.3プレス3Pが構成される。
また、No.4フェルト4Fは、No.4プレス4Pの4Pボトムロール4Pbその他の各種ロールに巻回されて無端循環走行を行う。この4Pボトムロール4Pbには4Pトップロール4Ptが組み合わされて、紙匹Sがこれら4Pボトムロール4Pbと4Pトップロール4PtとでNo.4フェルト4Fと共に挟持されながら走行して搾水される。すなわち、4Pボトムロール4Pbと4Pトップロール4Ptとの組み合わせでNo.4プレス4Pが構成される。そして、このNo.4プレス4Pを通過した紙匹Sはドライヤパート3に給送される。
すなわち、ピックアップフェルトPuとNo.1フェルト1F、No.3フェルト3F、No.4フェルト4Fのそれぞれは図1において矢標Q方向に走行し、紙匹Sがピックアップロール2aから、No.1プレス1PとNo.2プレス2P、No.3プレス3P、No.4プレス4Pとを順次走行しながら搾水される。
なお、ドライヤパート3では、紙匹Sはドライヤカンバス3aにより搬送されて、高温のドライヤシリンダ3bに巻回され、ドライヤシリンダ3bの表面に押圧されて乾燥させられて、紙シートとして完成する。
また、それぞれの配管61には、酸性系洗剤を供給する酸性系洗剤添加用定量ポンプ62の吐出口に弁62aを介して連通させてあり、低圧シャワー水に酸性系洗剤が供給されて、フェルトPu、1F、3F、4Fのそれぞれに散布されるようにしてある。
なお、これら低圧シャワーポンプ6aと配管61、低圧シャワーノズル6によって、酸性系洗剤散布装置であってフェルト洗剤散布装置が構成されている。
なお、これら低圧シャワーポンプ6aと配管61、低圧シャワーノズル6、洗剤添加ポット63、アルカリ系洗剤添加用定量ポンプ64、弁64a等によってアルカリ系洗剤散布装置が構成されている。
また、酸性系洗剤の添加の際には、アルカリ系洗剤添加用定量ポンプ64を停止し、弁63aと弁64aとを閉鎖して、低圧シャワーポンプ6aの吸込口にアルカリ系洗剤が供給されないようにする。
酸性系洗剤を添加している酸性系洗剤添加用定量ポンプ62を停止し、吐出口側の弁62aを閉鎖して、配管61と酸性系洗剤添加用定量ポンプ62との間を遮断する。これにより、低圧シャワー水への酸性系洗剤の添加が停止される。
一方、弁64aを開放してアルカリ系洗剤添加用定量ポンプ64を作動させて、アルカリ系洗剤を洗剤添加ポット63に供給する。次いで、弁63aを開放するとアルカリ系洗剤が低圧シャワーポンプ6aの負圧によって吸引されて吸込口側に添加される。
なお、酸性系洗剤添加用定量ポンプ62の停止から弁63aの開放までの間にも、低圧シャワーポンプ6aが作動しており、フェルトPu、1F、3F、4Fに対する低圧シャワー水の散布が継続されている。このとき、それぞれの配管61内を低圧シャワー水が流れて、配管61内や低圧シャワーノズル6が洗浄される。これにより、酸性系洗剤とアルカリ系洗剤の混合が抑制され、あるいは少量が混合するだけとなる。
また、アルカリ系洗剤の添加中も高圧シャワーノズル21により高圧シャワー水が散布され、フェルトサクションボックス22からはフェルトPu、1F、3F、4F中の白水が吸引されて回収される。この白水中にはアルカリ系洗剤が混入しているから、この白水は排水処理される。
次いで、弁62aを開放して酸性系洗剤添加用定量ポンプ62を作動させ、配管61に酸性系洗剤を添加する。なお、弁63aの閉鎖から酸性系洗剤添加用定量ポンプ62を作動させるまでの間にも、低圧シャワーポンプ6aが作動しているから配管61内を低圧シャワー水が流れることになり、配管61内や低圧シャワーノズル6が洗浄される。これにより、アルカリ系洗剤と酸性系洗剤の混合が抑制され、あるいは少量が混合するだけとなる。
そして、酸性系洗剤が添加された低圧シャワー水がフェルトPu、1F、3F、4Fに散布されることになる。
また、13日目には前述したように、抄紙機の操業運転中に、酸性系洗剤の散布に代えてアルカリ系洗剤の散布を約1時間行う強化洗浄SWが実施された。なお、従来では、この時間帯には、抄紙機を停止して、苛性ソーダによる4時間の計画洗浄が行われていた。この計画洗浄に代えて、約1時間の強化洗浄SWを行ったものである。
また、25日目は、14時間の定期停止SD2を実施して、苛性ソーダによる洗浄を行った。
なお、前述のように、アルカリ系洗剤の散布の際には、酸性系洗剤の散布を停止し、高圧シャワーノズル21とフェルトサクションボックス22とは運転を継続している。
図3には、坪量40.5g/m2の新聞用紙を抄造中のフェルトをアルカリ系洗剤により洗浄した場合を示してある。図3(A)は洗浄前の通水量の幅方向プロファイルを、図3(B)は洗浄後の通水量の幅方向プロファイルを示している。
図4には、坪量42.8g/m2の新聞用紙を抄造中のフェルトをアルカリ系洗剤により洗浄した場合を示してある。図4(A)は洗浄前の通水量の幅方向プロファイルを、図4(B)は洗浄後の通水量の幅方向プロファイルを示している。
また、通水量(度)の測定は、フェルト通水度計(ローレンツェン&ベットレー(ABB Lorentzen & Wetter)社製のフェルト・パーミアビリティメーター(L&W Felt Permeability Meter))により行った。なお、このフェルト通水度計は、水を噴射するノズルと水の圧力センサー、流量計とから構成され、ノズルをフェルトにあて、一定圧の高圧水がビーム状となってフェルトを貫通し、その時の流量を測定するもので、その測定値を基に通水度が算出される。
No.1フェルト1FとNo.3フェルト3Fでの通水度の回復が認められない理由として、これらNo.1フェルト1FとNo.3フェルト3Fはいずれも命数を越えた使用日数を使用していたものであることが考えられる。
1a ワイヤー
1b クーチロール
2 プレスパート
2a ピックアップロール
3 ドライヤパート
3a ドライヤカンバス
3b ドライヤシリンダ
Pu ピックアップフェルト
1F No.1フェルト
3F No.3フェルト
4F No.4フェルト
1P No.1プレス
1Pt 1Pトップロール
1Pb 1Pボトムロール
2P No.2プレス
2Pg 2Pグルーブドロール
3P No.3プレス
3Pg 3Pグルーブドロール
4P No.4プレス
4Pt 4Pトップロール
4Pb 4Pボトムロール
5 センターロール
6 低圧シャワーノズル
6a 低圧シャワーポンプ
61 配管
21 高圧シャワーノズル
22 フェルトサクションボックス
62 酸性系洗剤添加用定量ポンプ
62a 弁
63 洗剤添加ポット
63a 弁
64 アルカリ系洗剤添加用定量ポンプ
64a 弁
S 紙匹
SD1 定期停止
SW 強化洗浄
Claims (11)
- 抄紙機のワイヤーパートで脱水処理された紙匹から搾水するプレスロールに、該紙匹を搬送する無端循環走行するフェルトと、
前記抄紙機の操業運転中に走行している前記フェルトに酸性系洗剤を散布する酸性系洗剤散布装置と、
前記抄紙機の操業運転中に走行している前記フェルトにアルカリ系洗剤を散布するアルカリ系洗剤散布装置と、
を備え、
酸性系洗剤散布装置による酸性系洗剤の散布とアルカリ系洗剤散布装置によるアルカリ系洗剤の散布とを切り替えて行うことを特徴とするフェルト洗浄装置。 - 抄紙機のワイヤーパートで脱水処理された紙匹から搾水するプレスロールに、該紙匹を搬送する無端循環走行するフェルトと、
前記フェルトの走行中に該フェルトに酸性系洗剤とアルカリ系洗剤とを散布可能なフェルト洗剤散布装置とからなり、
前記フェルト洗剤散布装置による酸性系洗剤の散布とアルカリ系洗剤の散布とを切り替えて行うことを特徴とするフェルト洗浄装置。 - 前記アルカリ系洗剤は、前記フェルト洗剤散布装置が備えたフェルト洗浄シャワーポンプの吸込口側に添加することを特徴とする請求項2に記載のフェルト洗浄装置。
- 前記酸性系洗剤の散布を連続して行い、前記アルカリ系洗剤の散布を間欠的に行うことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のフェルト洗浄装置。
- 前記アルカリ系洗剤は、4,000ppm以上の濃度で添加することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のフェルト洗浄装置。
- 前記フェルト洗浄シャワーポンプが、低圧シャワー水を散布する低圧シャワーポンプであることを特徴とする請求項3から請求項5までのいずれか一項に記載のフェルト洗浄装置。
- 抄紙機の操業運転中に、プレスパートにおいて無端循環走行するフェルトに対して、酸性系洗剤を連続散布し、
抄紙機の操業運転中に無端循環移動する前記フェルトに対して、酸性系洗剤の連続散布を停止して、アルカリ系洗剤を散布することを特徴とするフェルト洗浄方法。 - フェルトを洗浄するフェルト洗浄シャワー水の供給系統に、前記酸性系洗剤とアルカリ系洗剤のいずれも供給可能とし、
アルカリ系洗剤を散布するのに先立って、酸性系洗剤の連続散布を停止し、
酸性系洗剤を連続散布するのに先立って、アルカリ系洗剤の散布を停止することを特徴とする請求項7に記載のフェルト洗浄方法。 - 前記酸性系洗剤は、フェルト洗浄シャワー水を吐出するフェルト洗浄シャワーポンプの吐出口に連通する給送配管中に供給し、
前記アルカリ系洗剤は、フェルト洗浄シャワーポンプの吸込口側に供給することを特徴とする請求項8に記載のフェルト洗浄方法。 - 前記アルカリ系洗剤は、4,000ppm以上の濃度で添加することを特徴とする請求項7から請求項9までのいずれか一項に記載のフェルト洗浄方法。
- フェルト洗浄シャワー水を吐出するフェルト洗浄シャワーポンプが、低圧シャワー水を散布する低圧シャワーポンプであることを特徴とする請求項8から請求項10までのいずれか一項に記載のフェルト洗浄方法。
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