JP2021090720A - 生理用ナプキンや使い捨ておむつ等の吸液性物品 - Google Patents

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伸夫 見正
直樹 古瀬
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Abstract

【課題】 肌触りが良く、すばやく体液を吸収でき、べたつきの少ない吸液性物品を提供する。【解決手段】 この吸液性物品は、表面材1,体液吸収体2及び防漏材3の順に積層されてなる。表面材1は、コットン繊維同士が三次元的に交絡されてなる不織布よりなる。コットン繊維は未脱脂綿であるのが好ましい。また、コットン繊維と共に長繊維が交絡されていてもよい。この不織布には、肌側から体液吸収体2側に向けて径が小さくなるじょうご状の穿孔11が設けられている。また、じょうご状の穿孔11と共に、肌側から体液吸収体2側に窪む凹部12も設けられている。この吸液性物品は、表面材1が肌に接するようにして使用され、具体的には表面材1の凸部13が肌に接することになる。【選択図】 図3

Description

本発明は、生理用ナプキンや使い捨ておむつ等の吸液性物品に関し、特に肌触りがよく、体液をすばやく吸収でき、べたつきの少ない吸液性物品に関するものである。
生理用ナプキンや使い捨ておむつ等の吸液性物品は、肌側から表面材,体液吸収体及び防漏材の順に積層されてなるものである。従来より、この表面材として、じょうご状の穿孔が設けられてなる合成樹脂製フィルムが用いられている(特許文献1及び非特許文献1)。かかる表面材は、合成樹脂製フィルム自体に体液が吸収されないため、べたつきが少なく、ドライメッシュシートと呼称されている(非特許文献1)。しかしながら、ドライメッシュシートは合成樹脂製フィルムよりなるため、肌触りが悪いという欠点があった。
特開2001−9908号公報
https://jp.pg.com/japan40yrs/case/03whisper.jsp
ドライメッシュシートの肌触りを良くするため、その表面にコットン繊維層を配することが考えられる。しかしながら、コットン繊維は繊維自体が体液を吸収しやすいため、べたつきが生じやすく、ドライメッシュシートとしては使用できないと考えられていた。
しかるに、合成樹脂製フィルムを用いずに、特定のコットン繊維よりなる不織布を用い、かつ表面材である不織布と体液吸収体を接触させることより、表面材のべたつきが少なくなることが判明した。したがって、本発明の課題は、肌触りが良く、すばやく体液を吸収でき、べたつきの少ない吸液性物品を提供することにある。
すなわち、本発明は、表面材1,体液吸収体2及び防漏材3の順に積層されてなり、表面材1が肌に接する吸液性物品において、表面材1は、コットン繊維同士が三次元的に交絡されてなる不織布に、肌側から体液吸収体側に向けて径が小さくなるじょうご状の穿孔11が設けられてなり、又はこのじょうご状の穿孔11と共に肌側から体液吸収体側に窪む凹部12に設けられてなり、かつ、表面材1は、体液吸収体2と接していることを特徴とする吸液性物品に関するものである。
本発明に係る吸液性物品は、コットン繊維同士が三次元的に交絡されてなる不織布を表面材1としている。すなわち、バインダー等の合成樹脂が用いられておらず、コットン繊維が肌と接触するため、肌触りが良好である。そして、表面材1にはじょうご状の穿孔11が設けられているので、すばやく体液を吸収することができる。さらに、じょうご状の穿孔11の先端面(体液吸収体2側の端面)が体液吸収体2と接しているため、穿孔11以外の表面材1の部位に吸収された体液も、この先端面から速やかに吸収され、べたつきが少なくなる。特に、じょうご状の穿孔11と共に凹部12が設けられていると、凹部12の底面と体液吸収体2が接しているため、凹部12の底面に滞留した体液は速やかに吸収され、よりべたつきが少なくなる。
本発明の一例に係る吸液性物品の一部を示した模式的断面図である。 図1の四角で示した部分aの一例を示す模式的拡大図である。 図1の四角で示した部分aの他の例を示す模式的拡大図である。 図1の四角で示した部分aの他の例を示す模式的拡大図である。
本発明に係る吸液性物品は、表面材1,体液吸収体2及び防漏材3の順に積層されてなるものである。そして、表面材1が肌に接するようにして使用されるものである。体液吸収体2としては、パルプ繊維や粒状の高分子吸収体等の従来公知のものが用いられる。また、防漏材3としても、合成樹脂製フィルム等の従来公知のものが用いられる。
表面材1は、コットン繊維同士が三次元的に交絡されてなる不織布よりなる。コットン繊維同士を三次元的に交絡させるには、コットン繊維をカード機で開繊集積させたコットン繊維ウェブに水流交絡処理を施せばよい。コットン繊維としては、従来公知のものを用いればよいが、特に未脱脂綿を用いるのが好ましい。未脱脂綿とは、天然のコットン繊維が持つ綿実油等の油脂成分が完全に除去されていないコットン繊維のことである。油脂成分を完全に除去した脱脂綿を用いると、コットン繊維自体が体液を吸収しやすくなり、使用時にべたつく傾向が生じる。したがって、未脱脂綿の場合は、コットン繊維自体の体液吸収性が低下し、べたつきが少なくなるという利点がある。また、コットン繊維自体の体液吸収性を低下させるため、コットン繊維に撥水剤を付与しておいてもよい。さらに、コットン繊維としては、漂白綿、特に未脱脂漂白綿を用いるのが好ましい。漂白しておくと、色彩が白色となり、吸液性物品に清潔感を与えるからである。
また、本発明においては、コットン繊維同士及びコットン繊維と長繊維とが三次元的に交絡されてなる不織布を表面材1としてもよい。かかる不織布は、粗目の長繊維不織布の上に、前記したコットン繊維ウェブを積層し、コットン繊維ウェブ側及び/又は長繊維不織布側から、水流交絡処理を施せばよい。かかる不織布は、長繊維が混合されているため、機械的強度や形態安定性の向上したものとなる。長繊維不織布としては従来公知の熱可塑性長繊維よりなるスパンボンド不織布等を用いることができ、たとえば、ポリプロピレンスパンボンド不織布、ポリエステルスパンボンド不織布又は芯がポリエステルで鞘がポリエチレンよりなる芯鞘型複合繊維よりなるスパンボンド不織布等が用いられる。
不織布の目付は、10〜40g/m2程度である。目付が10g/m2未満であると、表面材1の機械的強度や形態安定性が低下する傾向が生じる。また、目付が40g/m2を超えると、表面材1が剛直になり、体液吸収体2と接触しにくくなったり、肌に接触しにくくなる傾向が生じる。なお、不織布を得る際に、コットン繊維ウェブと長繊維不織布を積層して得る場合、両者の重量割合は、コットン繊維ウェブ:長繊維不織布=1:1未満であるのが好ましい。長繊維不織布の割合が高くなると、肌触りが低下する傾向が生じる。
表面材1には、図2に示すように、じょうご状の穿孔11が設けられている。穿孔11は、先端が円錐形の針状突起を持つ凸ロールと、この針状突起に嵌合しうる窪みを持つ凹ロールの間に、不織布を通すことにより、形成しうる。不織布の構成繊維がコットン繊維100%の場合、凸ロールは常温でよいが、コットン繊維に熱可塑性長繊維が混合されている場合は凸ロールが加熱されているのが好ましい。凸ロールが常温であると、熱可塑性長繊維がじょうご状の形態に追随しにくいからである。加熱温度は熱可塑性長繊維が軟化する程度の温度でよく、たとえば、100〜200℃程度である。穿孔11の径は、肌側において0.5〜2.0mmφ程度で、体液吸収体2側に向かうにしたがって、徐々に狭くなっている。穿孔11の密度は任意であるが、一般的に5〜200個/25mm2程度である。
表面材1には、図3に示すように、じょうご状の穿孔11と共に、肌側から体液吸収体2側に窪む凹部12を設けておくのが好ましい。凹部12は、先端が平坦面で楕円形、円形、四角形等の任意の形状の平坦突起を持つ凸ロールと、この平坦突起に嵌合しうる窪みを持つ凹ロールの間に、不織布を通すことにより、形成しうる。したがって、針状突起と平坦突起を持つ凸ロールと、針状突起に嵌合しうる窪みと平坦突起に嵌合しうる窪みを持つ凹ロールの間に不織布を通すことにより、穿孔11及び凹部12を持つ表面材1が得られる。この場合も、コットン繊維に長繊維が混合されている場合、前述したのと同様の理由で、凸ロールは加熱されているが好ましい。凹部12の大きさは任意であり、広い範囲で採用しうるが、一般的に1〜50mm2程度である。また、凹部12は、使用時のべたつき感を少なくするという機能と共に、表面材1表面の模様としての機能も有するので、その密度は任意である。すなわち、表面材1表面に一定の模様を現出させたい場合には、その模様を形成しうるように凹部12を配置すればよい。
また、表面材1に、図4に示す態様で、じょうご状の穿孔11と共に、肌側から体液吸収体2側に窪む凹部12を設けてもよい。すなわち、凹部12の底面にじょうご状の穿孔11を設けてもよい。この場合、平坦面に設けられた半球状窪み及びこの窪みの周囲に設けられた針状突起を持つ凸ロールと、平坦面に設けられた半球状窪みに嵌合しうる半球状突起及びこの突起の周囲に設けられた針状突起に嵌合しうる窪みを持つ凹ロールの間に不織布を通せばよい。凹凸ロールの平坦面により凹部12が形成され、凸ロールの針状突起によりじょうご状の穿孔11が設けられる。そして、肌と接する凸部13は、凹ロールの半球状突起により設けられる。なお、その他の点は前記した図2及び図3の場合と同様である。
以上説明した表面材1が肌側となるように、体液吸収体2及び防漏材3の順で積層して、本発明に係る吸液性物品が得られる。この吸液性物品は、肌が表面材1の凸部13と接し、この凸部13は主としてコットン繊維で構成されているため、肌触りのよいものとなる。
実施例1
コットン繊維をカード機に掛けて、開繊及び集積して目付35g/m2のコットン繊維ウェブを得た。このコットン繊維ウェブを、100メッシュの金網支持体上に載置し搬送して、水流噴射装置に導入した。水流噴射装置は、孔径0.1mmのノズル孔が孔間隔0.6mmで横一列に配列してなるもので、コットン繊維ウェブ側から2.8MPaの噴射圧力で水流を付与し、コットン繊維相互間を交絡させた。その後、さらに前記した水流噴射装置に導入し、5.5MPaの噴射圧力で水流を二回付与し、コットン繊維相互間が三次元的に交絡させた不織布を得た。
この不織布を、針状突起を持つ凸ロール(表面温度は常温である。)と、この針状突起が嵌合する窪みを持つ凹ロールの間を通して、表面材を得た。針状突起は円錐状で底面の径が1.2mmφであり、その密度は161個/25mm2である。
実施例2
実施例1と同一の方法で不織布を得た。この不織布を、針状突起及び平坦突起を持つ凸ロール(表面温度は常温である。)と、これらの針状突起及び平坦突起が嵌合する窪みを持つ凹ロールの間を通して、表面材を得た。針状突起と平坦突起は、千鳥状に配置された針状突起3列に対して、平坦突起が1列配置された形態となっている。そして、針状突起は円錐状で底面の径が0.6mmφであり、平坦突起は先端面の形状が円形でその直径が3.0mmφのものである。また、針状突起の密度は96個/25mm2で平坦突起の密度は32個/25mm2である。
実施例3
コットン繊維をカード機にかけて、開繊及び集積して目付20g/m2のコットン繊維ウェブを準備した。一方、目付13g/m2のポリプロピレン長繊維不織布を準備した。準備したコットン繊維ウェブと長繊維不織布を積層した積層体を、100メッシュの金網支持体上に載置し搬送して、実施例1で使用した水流噴射装置に導入し、実施例1と同一の処理方法で処理し、三次元的に交絡した不織布を得た。この不織布は、コットン繊維相互間が三次元的に交絡し、またコットン繊維及び長繊維相互間も三次元的に交絡したものであった。この不織布を、平坦面に設けられた半球状窪み及びこの窪みの周囲に設けられた針状突起を持つ凸ロール(表面温度は130℃である。)と、半球状窪みに嵌合しうる半球状突起とこの突起の周囲に設けられた針状突起に嵌合しうる窪みを持つ凹ロール(表面温度は130℃である。)の間を通して、表面材を得た。凸ロールは、直径3.0mmφの半球状窪み規則正しく均一にが千鳥状に配置され、この窪みの周囲に針状突起(円錐状で底面の径が0.6mmφのもの)が3個/窪みの割合で設けられており、半球状窪み及び針状突起以外の部分は平坦面となっている。なお、半球状窪みの配置密度は3個/cm2である。
実施例4
コットン繊維をカード機に掛けて、開繊及び集積して目付20g/m2のコットン繊維ウェブを準備した。一方、目付13g/m2の長繊維不織布(ユニチカ株式会社製、銘柄SO133WGO)を準備した。準備したコットン繊維ウェブと長繊維不織布を積層した積層体を、100メッシュの金網支持体上に載置し搬送して、実施例1で使用した水流噴射装置に導入し、実施例1と同一の処理方法で処理した。この結果、コットン繊維相互間が三次元的に交絡し、またコットン繊維及び長繊維相互間も三次元的に交絡した不織布を得た。
この不織布に、実施例1で用いた凸ロールと凹ロールの間を通し、表面材を得た。ただし、凸ロールの表面温度は125℃とした。
実施例5
実施例4で得られた不織布を、実施例2で用いた凸ロールと凹ロールの間を通し、表面材を得た。ただし、凸ロールの表面温度は125℃とした。
比較例1
実施例1で得られた不織布を、凸ロール及び凹ロールの間を通すことなく、そのまま表面材とした。
比較例2
実施例3で得られた不織布を、凸ロール及び凹ロールの間を通すことなく、そのまま表面材とした。
実施例1〜5で得られた表面材並びに比較例1及び2で得られた表面材を、体液吸収体相当品(GRADE:989の濾過紙を三重にしたもの)の上に置き、表面テンション70dyn/cmの人口尿を用い、吸液測定装置LISTER AC(LENZING INSTRUMENT社製)で、人口尿のストライクスルー性能[吸液速度(sec)]を測定した。その結果を表1に示した。
[表1]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ストライクスルー性能(sec)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
実施例1 0.99
実施例2 0.42
実施例3 0.70
実施例4 2.14
実施例5 1.02
比較例1 2.66
比較例2 2.95
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
実施例1〜5に係る表面材は、比較例1及び2に係る表面材に比べて、ストライクスルー性能に優れており、実施例1〜5に係る表面材を使用した吸液性物品は、体液をすばやく吸収でき、使用時にべたつきが少なくなることが分かる。
1 表面材
2 体液吸収体
3 防漏材
11 じょうご状の穿孔
12 凹部
13 肌と接する凸部

Claims (4)

  1. 表面材,体液吸収体及び防漏材の順に積層されてなり、該表面材が肌に接する吸液性物品において、
    前記表面材は、コットン繊維同士が三次元的に交絡されてなる不織布に、前記肌側から前記体液吸収体側に向けて径が小さくなるじょうご状の穿孔が設けられてなり、かつ、
    前記表面材は、前記体液吸収体と接しているることを特徴とする吸液性物品。
  2. 不織布に、じょうご状の穿孔と共に、肌側から体液吸収体側に窪む凹部に設けられてなる請求項1記載の吸液性物品。
  3. コットン繊維として未脱脂綿を用いる請求項1記載の吸液性物品。
  4. 不織布として、コットン繊維同士及びコットン繊維と長繊維とが三次元的に交絡されてなるものを用いる請求項1記載の吸液性物品。
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