JP2021088797A - 繊維成形体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ガラス霞性が良好であり、製造コストが抑えられ、しかも熱可塑性樹脂の割合が異なる様々な仕様に応じる汎用性が高い、繊維成形体を提供することを目的とする。【解決手段】植物性繊維同士が熱可塑性樹脂により結着された構造を有する繊維成形体の製造方法である。第1温度を、前記熱可塑性樹脂の融点より55℃低い温度と定義し、第2温度を、熱可塑性樹脂の融点より45℃低い温度と定義した場合に、溶融紡糸によって得られた熱可塑性樹脂を含有する熱可塑性樹脂繊維を、第1温度以上第2温度以下の温度範囲にて、アニール処理をする工程と、アニール処理後の熱可塑性樹脂繊維と、植物性繊維とを混合した状態で加熱処理して繊維成形体にする工程と、を備える。【選択図】図5

Description

本発明は、繊維成形体の製造方法に関する。
ケナフ等の植物資源を有効利用するために、植物資源及び熱可塑性樹脂を複合化した繊維成形体が検討されている(特許文献1参照)。この繊維成形体は、熱可塑性樹脂繊維と植物性繊維を混合した状態で加熱処理して製造されている。
特開2006−95918号公報
ところで、熱可塑性樹脂繊維には、低分子量成分等の揮発成分が含まれており、この揮発成分がガラス霞の原因となってしまう。
揮発成分を低減するためには、熱可塑性樹脂の合成方法を見直す必要がある。ところが、低分子量成分を減らすために、高価なメタロセン触媒を用いた合成方法を採用すると、繊維成形体の原料価格が上がる。
一方、従来の触媒を用いた熱可塑性樹脂繊維を用いると、価格の面では有利であるが、ガラス霞度が高くなる傾向にある。このため、従来は、ガラス霞度が所定範囲に収まるようにするために、繊維成形体中の熱可塑性樹脂繊維の割合を所定値以下とする必要があり、繊維成形体の仕様が制限されていた。また、従来の触媒を用いた熱可塑性樹脂繊維を用いた場合、揮発成分の揮発を抑制するために、繊維成形体にフィルムや表皮という別部材を貼ることも考えられるが、コスト的に課題があった。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、ガラス霞性が良好であり、製造コストが抑えられ、しかも熱可塑性樹脂の割合が異なる様々な仕様に応じる汎用性が高い、繊維成形体を提供することを目的とする。本発明は、以下の形態として実現することが可能である。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、新規な繊維成形体の製造方法を開発した。この成果に基づいて、次の発明を提供する。
〔1〕植物性繊維同士が熱可塑性樹脂により結着された構造を有する繊維成形体の製造方法であって、
第1温度を、前記熱可塑性樹脂の融点より55℃低い温度と定義し、
第2温度を、前記熱可塑性樹脂の融点より45℃低い温度と定義した場合に、
溶融紡糸によって得られた前記熱可塑性樹脂を含有する熱可塑性樹脂繊維を、前記第1温度以上前記第2温度以下の温度範囲にて、アニール処理をする工程と、
前記アニール処理後の前記熱可塑性樹脂繊維と、前記植物性繊維とを混合した状態で加熱処理して前記繊維成形体にする工程と、を備えた繊維成形体の製造方法。
本発明の繊維成形体の製造方法によれば、ガラス霞性が良好であり、製造コストが抑えられ、しかも熱可塑性樹脂の割合が異なる様々な仕様に応じる汎用性が高い、繊維成形体を提供することができる。
本実施形態の繊維成形体の製造方法を説明する模式的な説明図である。 本実施形態の繊維成形体の製造方法を説明する模式的な説明図である。 本実施形態の繊維成形体の製造方法を説明する模式的な説明図である。 本実施形態の繊維成形体の製造方法を説明する模式的な説明図である。 フォギング性試験の効果を示すグラフである。
ここで、本開示の望ましい例を示す。
〔2〕前記繊維成形体は、前記植物性繊維と前記熱可塑性樹脂との合計を100質量部とした場合に、前記熱可塑性樹脂が40質量部以上70質量部以下である、〔1〕に記載の繊維成形体の製造方法。
この構成では、熱可塑性樹脂を高い割合で含有させることができ、様々な仕様に応じた繊維成形体を提供できる。
〔3〕前記熱可塑性樹脂は、プロピレン系重合体であり、
分子量分布(Mw/Mn)が3.5〜5.0の範囲である、〔1〕又は〔2〕に記載の繊維成形体の製造方法。
この構成では、分子量分布がそれほど狭くなく、コスト的に有利なプロピレン系重合体を用いるから、繊維成形体の製造コストを抑えることができる。
〔4〕前記アニール処理では、前記熱可塑性樹脂繊維に含有される揮発成分が減少する、〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の繊維成形体の製造方法。
この構成では、アニール処理において、前記熱可塑性樹脂繊維に含有される揮発成分が減少するから、ガラス霞が抑制される。
〔5〕前記植物性繊維は、ケナフ繊維である〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の繊維成形体の製造方法。
この構成では、環境に配慮した繊維成形体が製造される。
以下、本開示を詳しく説明する。なお、"x〜y"という範囲を示す表記は、特に断りが無い限り、当該範囲にxとyが入るものとする。
1.繊維成形体1
本製造方法で製造される繊維成形体1は、植物性繊維3同士が熱可塑性樹脂により結着された構造を有する。繊維成形体1の形状は特に限定されないが、例えば板状であり、この場合には、繊維ボードとも呼ばれる。
(1)植物性繊維3
植物性繊維3は、植物に由来する材料を用いてなる繊維であればよく、特に限定されない。この植物繊維としては、ケナフ、ジュート麻、マニラ麻、サイザル麻、雁皮、三椏、楮、バナナ、パイナップル、ココヤシ、トウモロコシ、サトウキビ、バガス、ヤシ、パピルス、葦、エスパルト、サバイグラス、麦、稲、竹、各種針葉樹(スギ、ヒノキ等)、各種の広葉樹及び綿花などの植物体を用いてなる繊維が挙げられる。この植物性繊維3は1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうちでは、ケナフ繊維が好ましい。また、植物性繊維3として用いる植物体の部位は特に限定されず、非木質部(靱皮など)、木質部、葉部、茎部及び根部等の植物体を構成するいずれの部位であってもよい。更に、特定部位のみを用いてもよく、2箇所以上の異なる部位を併用してもよい。特に前記ケナフにおいては靱皮から得られるケナフ繊維が特に好ましい。
なお、本発明におけるケナフは、木質茎を有する早育性の一年草であるケナフである。このケナフはアオイ科に分類される植物であり、学名におけるhibiscus cannabinus及びhibiscus sabdariffa等が含まれ、更に通称名における紅麻、キューバケナフ、洋麻、タイケナフ、メスタ、ビムリ、アンバリ麻及びボンベイ麻等が含まれる。また、本発明に用いる植物性繊維3としては前記ケナフ繊維以外にジュート繊維も好ましく用いることができる。ジュート繊維はジュート麻から得られる繊維である。このジュート麻には、黄麻(コウマ、Corchorus capsularis L.)、綱麻(ツナソ)、シマツナソ及びモロヘイヤを含む麻、並びにシナノキ科の植物などが含まれる。
植物性繊維3の平均繊維長及び平均繊維径等は特に限定されないが、平均繊維長は10mm以上であることが好ましい。平均繊維長が10mm以上であれば、後に詳細に説明する熱可塑性樹脂繊維5との混合によりマットを得ることが容易であり(特に、繊維間の絡み合いが形成され易い)、得られる繊維成形体1の機械的特性を向上させることができる。
この植物性繊維3の平均繊維長は10mm〜150mm、特に20mm〜100mm、更に30mm〜80mmであることがより好ましい。この繊維長範囲であれば、マットを得るための混合がより容易であると共に、得られる繊維成形体1の機械的特性をより向上させることができる。また、植物性繊維3の平均繊維径は1mm以下であることが好ましい。平均繊維径が1mm以下であれば、繊維成形体1の機械的特性を向上させることができる。この平均繊維径は0.001mm〜0.5mm、特に0.01mm〜0.2mm、更に0.02mm〜0.1mmであることがより好ましい。平均繊維長は、JIS L1015に準拠する直接法により、単繊維を無作為に1本ずつ取り出し、伸張させずに真っ直ぐに延ばし、置尺上で繊維長を測定し、合計200本について測定した平均値である。また、平均繊維径は100μm以下(通常、15μm以上)であることが好ましい。この平均繊維径は、無作為に単繊維を1本ずつ取り出し、繊維の長さ方向の中央部における繊維径を光学顕微鏡を用いて実測し、合計200本について測定した平均値である。
(2)熱可塑性樹脂
熱可塑性樹脂の種類は特に限定されず、種々の熱可塑性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂、芳香族ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリビニルアルコール、及び、これらの変性物から選ばれたものとすることができる。変性物の場合、酸変性、アミノ変性、シリコーン変性、エポキシ変性等とすることができる。
ポリオレフィン樹脂としては、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン(ランダム)共重合体等のプロピレン系重合体が好適に例示される。また、その変性物は、カルボキシル基又はその誘導体(無水物基等)、ヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、ニトリル基等を有する化合物によって変性されたものであり、好ましくは、カルボキシル基又はその誘導体(無水物基等)を有する化合物による酸変性物(酸変性ポリオレフィン)である。具体的には、無水マレイン酸変性ポリプロピレン等の無水マレイン酸変性ポリオレフィンが例示される。
ポリオレフィン樹脂は、その製造法に制限はなく、チーグラー・ナッタ系触媒で製造されたものでもよく、メタロセン系触媒により製造されたものでもよい。ポリオレフィン樹脂は、コストの観点から、メタロセン系触媒以外の触媒(例えば、チーグラー・ナッタ系触媒)を用いて製造されたものが好ましい。
熱可塑性樹脂は、プロピレン系重合体である場合には、コストの観点から、分子量分布(Mw/Mn)が3.5〜5.0の範囲であることが好ましい。
この分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めることができる。
例えば,次の装置で測定できる。
[GPC測定装置]
カラム :TOSO GMHHR−H(S)HT
検出器 :液体クロマトグラム用RI検出器
[測定条件]
溶媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン
測定温度 :145℃
流速 :1.0ml/分
試料濃度 :2.2mg/ml
注入量 :160μl
検量線 :Universal Calibration
解析プログラム:HT−GPC(Ver.1.0)
(3)繊維成形体1における熱可塑性樹脂の割合
繊維成形体1における熱可塑性樹脂の割合は、特に限定されない。繊維成形体1は、十分な強度を担保する等の観点から、植物性繊維3と熱可塑性樹脂との合計を100質量部とした場合に、熱可塑性樹脂が40質量部以上70質量部以下であることが好ましい。
2.繊維成形体1の製造方法
繊維成形体1の製造方法は、溶融紡糸によって得られた熱可塑性樹脂繊維5を、第1温度以上第2温度以下の温度範囲にて、アニール処理をする工程(以下「アニール処理工程」ともいう)と、アニール処理後の熱可塑性樹脂繊維5と、植物性繊維3とを混合した状態で加熱処理して繊維成形体1にする工程(「繊維成形体成形工程」ともいう)と、を備える。
以下の説明では、アニール処理工程、及び繊維成形体成形工程を備えた繊維成形体1の製造方法の一態様について説明する。本発明の繊維成形体1の製造方法では、アニール処理工程、及び繊維成形体成形工程以外の工程は任意工程である。
(1)アニール処理工程に用いる熱可塑性樹脂繊維5の準備
熱可塑性樹脂繊維5は、溶融紡糸によって得られる。溶融紡糸の各工程の一例について、図を参照しつつ、説明する。溶融紡糸では、溶融紡糸法を用いて熱可塑性樹脂を繊維化する。
詳細には、図1に模式的に示すように、熱可塑性樹脂のペレット9を原料供給部11によって、押出機13に供給する。供給された熱可塑性樹脂を押出機13で溶融して、押し出す。押し出された熱可塑性樹脂を、紡糸装置15の口金15A(ノズル)から連続的に吐出させ、それを順次、空気(エアー)により冷却固化させる。このようにして、熱可塑性樹脂が繊維化される(なお、熱可塑性樹脂繊維5は、束ねた繊維束の状態で、後工程で処理してもよい)。
そして、熱可塑性樹脂繊維5には、第1油剤塗布部17から油剤が付着された後、延伸工程にてローラ間で延伸される。この油剤には、水が含有されていてもよい。なお、図1,2では、延伸工程は、図1から図2に連続しているように示されている。熱可塑性樹脂繊維5は、延伸工程の途中で熱処理機21によって、熱処理してもよい。この熱処理の際に、熱可塑性樹脂繊維5をスチーム(蒸気)で処理してもよい。
熱可塑性樹脂繊維5の繊度等は特に限定されない。
熱可塑性樹脂繊維5の繊度は、植物性繊維3との混繊を行いやすく、取扱い性が高い等の観点から、1dtex以上が好ましく、3dtex以上がより好ましい。他方、熱可塑性樹脂繊維5の繊度は、ガラス霞性に悪影響を与える揮発成分をアニール処理によって十分に除去する観点から、10dtex以下が好ましく、6dtex以下がより好ましい。これらの観点から、1dtex〜10dtexが好ましく、3dtex〜6dtexがより好ましい。
熱可塑性樹脂繊維5には、捲縮処理を施してもよい。例えば、図3に示すように、延伸工程を経た後、熱処理機23によって、熱可塑性樹脂繊維5をスチーム(蒸気)で熱処理する。この熱処理後、熱可塑性樹脂繊維5には、第2油剤塗布部25から油剤(油剤に水が含有されていてもよい)が付着された後、クリンプ機31によって捲縮処理が施される。クリンプ機31によって捲縮方法(加工方法)は、特に限定されるものではないが、例えば、図3に模式的に示す、クリンプ機31を用いた機械的押し込み加工方法を採用できる。クリンプ機31では、熱可塑性樹脂繊維5を加熱した送りローラ33,35によって押込板37,37の間に押し込んで座屈させることにより、捲縮部分を形成する。
以上のようにして、アニール処理工程で用いる熱可塑性樹脂繊維5が準備される。
(2)アニール処理工程
この工程におけるアニール処理は、上述のように、製造された熱可塑性樹脂繊維5を乾燥機41を通過させて、乾燥する際に行われる。アニール処理によって、ガラス霞性に悪影響を与える揮発成分が、熱可塑性樹脂繊維5から除去される。
アニール処理は、第1温度以上第2温度以下の温度範囲にて行われる。第1温度は、熱可塑性樹脂の融点より55℃低い温度と定義される。第2温度は、熱可塑性樹脂の融点より45℃低い温度と定義される。
具体的には、例えば、熱可塑性樹脂が融点165℃のポリプロピレン系樹脂の場合には、第1温度が110℃であり、第2温度が120℃である。よって、アニール処理は、110℃以上120℃以下の温度範囲にて行われる。なお、ポリプロピレン系樹脂においても、融点が165℃と異なるものが種々存在している(例えば、125℃〜170℃)。このため、ポリプロピレン系樹脂であっても、第1温度が110℃で、第2温度が120℃に限定されるものではない。第1温度、及び第2温度は、あくまでも、熱可塑性樹脂繊維5に用いる熱可塑性樹脂の融点に応じて定まる温度である。
アニール処理の時間は、特に限定されない。製造効率の観点から、0.1〜5時間が好ましく、0.2〜4時間がより好ましく、0.5〜3時間が更に好ましい。
アニール処理後の熱可塑性樹脂繊維5は、必要に応じて、次の処理が施されてもよい。すなわち、熱可塑性樹脂繊維5は、ローラカッター43等の裁断機によって所定の長さに裁断されてもよい。そして、熱可塑性樹脂繊維5は、搬送しやすいという観点から、圧縮機45によって適宜圧縮されてもよい。
(3)繊維成形体成形工程
繊維成形体成形工程では、アニール処理後の熱可塑性樹脂繊維5と、植物性繊維3とを混合した状態で加熱処理して繊維成形体1にする。
繊維成形体成形工程は、アニール処理後の熱可塑性樹脂繊維5と、植物性繊維3とを混合した状態で加熱して熱可塑性樹脂繊維5を溶融して、植物性繊維3同士を熱可塑性樹脂により結着する。加熱温度は、熱可塑性樹脂繊維5を構成する熱可塑性樹脂に応じて適宜変更される。
繊維成形体成形工程の一例について図4を参照して説明する。
この繊維成形体成形工程は、ウェブ形成工程、交絡工程、裁断工程、プレス成形工程を備えている。
(3.1)ウェブ形成工程
ウェブ形成工程は、植物性繊維3、及び熱可塑性樹脂繊維5を少なくとも含む繊維を堆積してウェブ(繊維混合物)121を形成する工程である。具体的には、ウェブ形成工程では、植物性繊維3と熱可塑性樹脂繊維5が混合された混合繊維を混繊してシート状の繊維混合物を得る。この際の混繊方法は特に限定されず種々の方法を用いることができるが、通常、乾式法又は湿式法が用いられるが、このうち乾式法が好ましい。本方法では、吸湿性を有する植物性繊維3を用いるために、湿式法(抄紙法など)を用いると高度な乾燥工程を要することになるため、より簡略に製造できる乾式法が好ましい。上記乾式法としては、エアーレイ法及びカード法などが挙げられるが、エアーレイ法が好ましい。より簡略な装置で効率よく混繊を行うことができるからである。このエアーレイ法は植物性繊維3と熱可塑性樹脂繊維5とを気流によってコンベア面上などに分散して植物性繊維3と熱可塑性樹脂繊維5とが相互に分散されたウェブ121を得る方法である。例えば、ウェブ形成工程では、混合繊維がエアーレイ装置53へ連続的に供給されてウェブ121が形成される。この際、エアーレイ装置53で熱可塑性樹脂繊維5がカーディングされ、熱可塑性樹脂繊維5がほぐされた状態とすることができる。
(3.2)交絡工程、裁断工程
交絡工程は、ウェブ121の繊維同士を交絡させる工程である。交絡工程において、交絡方法は特に限定されず、ニードルパンチ法、ステッチボンド法及びウォーターパンチ法等が挙げられ、なかでも高効率であることからニードルパンチ法が好ましい。この方法におけるニードリングは、ウェブ121の一面側からのみ行ってもよく、表裏両面から行ってもよい。具体的には、交絡工程では、連続的に供給されるウェブ121をニードルパンチ装置55で交絡して、不織布状のマット(繊維交絡物)123を得る。熱可塑性樹脂繊維5が波状に捲縮されている場合には、植物性繊維3との交絡や、熱可塑性樹脂繊維5同士の交絡が十分になされる。
裁断工程は、供給されるマット123を、カッター57により所定の大きさに裁断する工程である。
(3.3)プレス成形工程
プレス成形工程は、マット123を、プレス機59で、熱プレスして繊維成形体1を形成する工程である。
なお、この工程で得られた繊維成形体1は、プレボードとして更に所定形状に賦形して二次ボードとしてもよい。
また、プレス成形工程では、マット123をダブルベルトプレス装置に通過させ、熱可塑性樹脂繊維5を加熱・溶融して、一対のローラ間を通過する間に熱可塑性樹脂を冷却・固化させてもよい。このようにしても、植物性繊維3が熱可塑性樹脂により結着された繊維成形体1が得られる。
3.本実施形態の繊維成形体の製造方法の効果
繊維成形体1の製造方法では、アニール処理により、熱可塑性樹脂繊維5に含有される揮発成分が減少するから、繊維成形体1のガラス霞が抑制される。
また、繊維成形体1の製造方法では、コスト的に有利な熱可塑性樹脂も使用できるから、繊維成形体1の製造コストを抑えることができる。
また、繊維成形体1の製造方法では、熱可塑性樹脂に含有される揮発成分が減少するから、ガラス霞を抑制しつつ、熱可塑性樹脂の割合を従来よりも多くした繊維成形体1を製造できる。
また、繊維成形体1の製造方法では、従来の製造設備に備えられている乾燥機41(水分除去装置)を用いてアニール処理を行うから、製造コストが抑制できる。
また、製造される繊維成形体1は、揮発成分の揮発を抑制するために、フィルムや表皮という別部材を貼る必要がないから、製造コストが抑制できる。
また、繊維成形体1の製造方法では、熱可塑性樹脂繊維5と、植物性繊維3とを混合した状態で加熱処理するよりも前に、熱可塑性樹脂繊維5のみを単独でアニール処理している。熱可塑性樹脂繊維5と植物性繊維3とが混合された状態では、熱可塑性樹脂繊維5の周りに植物性繊維3が存在しているから、植物性繊維3により熱可塑性樹脂繊維5の揮発成分の除去が阻害される。本実施形態では、熱可塑性樹脂繊維5の周りに植物性繊維3が存在しない状態で、アニール処理しているから、熱可塑性樹脂繊維5の揮発成分の除去効率が高い。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
1.繊維成形体の作製
(1)実験例1(比較例)
ポリプロピレン(融点:165℃、メタロセン系触媒以外の触媒を用いて合成された樹脂)を溶融紡糸して、6dtexのポリプロピレン繊維を調製した。ポリプロピレン繊維を調製するにあたり、乾燥機でのアニール処理は、温度:80℃、処理時間:0.5時間とした。
このようにして調製したポリプロピレン繊維と、ケナフ繊維とからマットを作製した。そして、マットを熱プレスして繊維成形体(繊維ボード)を作製した。
(2)実験例2(比較例)
実施例1のアニール処理を、温度:100℃、処理時間:0.5時間とした以外は、全く同様にして、繊維成形体を作製した。
(3)実験例3(比較例)
実施例1のアニール処理を、温度:100℃、処理時間:1.0時間とした以外は、全く同様にして、繊維成形体を作製した。
(4)実験例4(実施例)
実施例1のアニール処理を、温度:115℃、処理時間:0.5時間とした以外は、全く同様にして、繊維成形体を作製した。
(5)実験例5(実施例)
実施例1のアニール処理を、温度:115℃、処理時間:3.0時間とした以外は、全く同様にして、繊維成形体を作製した。
2.評価方法
フォギング性試験(ガラス霞み性試験)を行った。フォギング性試験は、一般財団法人ボーケン品質評価機構の下記URLに記載の方法に準じて行った。

〔自動車内装材〕フォギング性試験(ガラス霞(かす)み性試験)
[online]、一般財団法人ボーケン品質評価機構、[平成31年4月25日検索]、インターネット〈https://www.boken.or.jp/service/industrial_material/car_interior/post_51.html〉
3.評価結果
結果を図5に示す。
実験例4,5は、実験例1−3に比べて、フォギング性試験の結果が良好であった。
この実験の場合には、ポリプロピレンの融点は165℃であるから、融点より55℃低い第1温度は110℃である。また、ポリプロピレンの融点は165℃であるから、融点より45℃低い第2温度は120℃である。
実験結果より、ポリプロピレン繊維を、110℃(第1温度)以上120℃(第2温度)以下の温度範囲にて、アニール処理をすることで、ガラス霞性が良好となることが確認された。
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述及び図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲又は本質から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料及び実施例を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
1 …繊維成形体
3 …植物性繊維
5 …熱可塑性樹脂繊維
9 …ペレット
11 …原料供給部
13 …押出機
15 …紡糸装置
15A…口金
17 …第1油剤塗布部
21 …熱処理機
23 …熱処理機
25 …第2油剤塗布部
31 …クリンプ機
33 …送りローラ
35 …送りローラ
37 …押込板
41 …乾燥機
43 …ローラカッター
45 …圧縮機
53 …エアーレイ装置
55 …ニードルパンチ装置
57 …カッター
59 …プレス機
121…ウェブ
123…マット

Claims (5)

  1. 植物性繊維同士が熱可塑性樹脂により結着された構造を有する繊維成形体の製造方法であって、
    第1温度を、前記熱可塑性樹脂の融点より55℃低い温度と定義し、
    第2温度を、前記熱可塑性樹脂の融点より45℃低い温度と定義した場合に、
    溶融紡糸によって得られた前記熱可塑性樹脂を含有する熱可塑性樹脂繊維を、前記第1温度以上前記第2温度以下の温度範囲にて、アニール処理をする工程と、
    前記アニール処理後の前記熱可塑性樹脂繊維と、前記植物性繊維とを混合した状態で加熱処理して前記繊維成形体にする工程と、を備えた繊維成形体の製造方法。
  2. 前記繊維成形体は、前記植物性繊維と前記熱可塑性樹脂との合計を100質量部とした場合に、前記熱可塑性樹脂が40質量部以上70質量部以下である、請求項1に記載の繊維成形体の製造方法。
  3. 前記熱可塑性樹脂は、プロピレン系重合体であり、
    分子量分布(Mw/Mn)が3.5〜5.0の範囲である、請求項1又は2に記載の繊維成形体の製造方法。
  4. 前記アニール処理では、前記熱可塑性樹脂繊維に含有される揮発成分が減少する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維成形体の製造方法。
  5. 前記植物性繊維は、ケナフ繊維である請求項1〜4のいずれか1項に記載の繊維成形体の製造方法。
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