以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。まず、本発明に係る遊技機の一例であるスロットマシンの基本的な構成について、図1および図2を参照して説明する。
<スロットマシンの外部構成>
本実施形態に係るスロットマシン1は、図1および図2に示すように、前方に開口した箱状の筐体5(本体部材)と、筐体5の前面開口部に開閉可能に取り付けられた前扉2とを備えている。前扉2は、正面視において、筐体5の左側板5aの前部に配設されたヒンジ機構6a〜6cを用いて筐体5の前面開口部を横開き開閉可能に取り付けられている。
前扉2の前面には、図1に示すように、上部から順に、上パネルアセンブリ10、中パネルアセンブリ20、下パネルアセンブリ30および受け皿アセンブリ40が取り付けられている。上パネルアセンブリ10の中央部には、その裏面側に配された液晶表示装置11の表示画面11aが前方を臨むように配置されており、その周辺部には、第1演出ランプ12、第2演出ランプ13a,13b、第3演出ランプ14a,14bが配置されている。また、表示画面11aの下方左右には、一対の上部スピーカ15a,15bが配置されている。
中パネルアセンブリ20の中央部には、筐体5内に横並びに配設された3個のリール3a,3b,3cの表面が臨む表示窓Wが設けられており、この表示窓Wの下方には、遊技メダル(遊技媒体)を投入するためのメダル投入口21、クレジットされた範囲内で1枚の遊技メダルをベットするための1‐BETスイッチ22、最大ベット許容数(例えば3枚)の遊技メダルを一度にベットするためのMAX‐BETスイッチ23、ベットされた遊技メダル、および/または、クレジットされた遊技メダルを払い出すための清算スイッチ24、全リール3a〜3cを回転開始させる際に操作されるスタートレバー(スタートスイッチ)25、各リール3a,3b,3cの回転を個別に停止させるための3個のストップスイッチ26a,26b,26c(図中左側のストップスイッチ26aは左リール3aに対応し、中央のストップスイッチ26bは中リール3bに対応し、右側のストップスイッチ26cは右リール3cに対応する)、およびメダル投入口21から投入されて滞留した遊技メダルを返却するためのリジェクトスイッチ27等が設けられている。
メダル投入口21の内部は、投入された遊技メダルが有効に受け入れられる場合に当該遊技メダルが通過する受入通路(後述のホッパー51に通ずる)と、投入された遊技メダルが受け入れられない場合に当該遊技メダルが通過する返却通路(後述の遊技メダル払出口41に通ずる)とに分岐しており、その分岐部にはブロッカが設けられている。このブロッカは、投入された遊技メダルが有効に受け入れられる期間においては、メダル投入口21に投入された遊技メダルを受入通路に導き、それ以外の期間においては、メダル投入口21に投入された遊技メダルを返却通路に導くように、受入通路と返却通路を選択的に、一方を開状態に他方を閉状態にできるように構成されている。
また、メダル投入口21の内部には、遊技メダルを検知するための3つの投入メダルセンサが設けられている。1つ目の投入メダルセンサは、遊技メダルがメダル投入口21に投入されたことを検出するものであり、投入された遊技メダルが流下する通路上において、上記ブロッカが設置された位置よりも上流側の位置に設置されている。2つ目の投入メダルセンサは、メダル投入口21に投入された遊技メダルが受入通路に導かれ有効に受け入れられたことを検出するものであり、上記ブロッカが設置された位置よりも下流側(後述のホッパー51寄り)の位置に配置されている。3つ目の投入メダルセンサは、メダル投入口21に投入された遊技メダルが、受入通路と返却通路との分岐部を通過したことを検出するものであり、当該分岐部近傍(ブロッカが設置された位置よりも少し2つ目の投入メダルセンサ寄りの位置)に配置されている。
1つ目および2つ目の投入メダルセンサが共に遊技メダルを検出した場合は、遊技メダルがメダル投入口21に投入され、かつ投入された遊技メダルが有効に受け入れられたことを意味する。一方、1つ目の投入メダルセンサは遊技メダルを検出したが、2つ目の投入メダルセンサは遊技メダルを検出しない場合は、遊技メダルがメダル投入口21に投入されたが、投入された遊技メダルが有効に受け入れられずに返却されたことを意味する。また、3つの投入メダルセンサが所定の順序(1つ目,2つ目,3つ目の順序)とは異なる順序で遊技メダルの通過を検出した場合や一部の投入メダルセンサで遊技メダルの通過が検出されない場合は、遊技メダルが逆流するなどの異常通過が起きたことを意味する。
表示窓Wは、3個のリール3a〜3cが全て停止した際に、リール毎に3個の図柄、合計9個の図柄が遊技者から視認可能に表示されるように構成されている。リール3a〜3cの各中段の図柄表示領域を水平(横一直線)に結ぶ入賞ライン29は、規定数の遊技メダルがベットされることにより有効化される入賞ラインであり、有効化された入賞ライン29上に停止表示された図柄組合せにより遊技役の成立の有無が判定されるように構成されている。以下、有効化された入賞ライン29のことを、適宜「有効ライン29」と称する。
また、スロットマシン1には、LEDランプ等により構成される各種の表示用ランプが配置されている。本実施形態では、表示用ランプとして、MAX‐BETスイッチ表示ランプ46a、BET数表示ランプ46b、投入可能表示(INSERT)ランプ46c、遊技開始表示(START)ランプ46d、再遊技表示(REPLAY)ランプ46e、状態表示(GAME OVER)ランプ46f、貯留枚数表示(CREDIT)ランプ46h、および払出数表示(PAYOUT)ランプ46jを備えている。これらの表示用ランプは、後述の主制御基板110により制御されるように構成されている。
MAX‐BETスイッチ表示ランプ46aは、遊技メダルをベットすることができる状況下で点灯されるものであり、MAX‐BETスイッチ23の内部に配置され、点灯時にはMAX‐BETスイッチ23を部分的または全体的に光らせるようになっている。その他の表示用ランプは、中パネルアセンブリ20において表示窓Wの側部または下部に配置されている。
BET数表示ランプ46bは、ベットされた遊技メダルの枚数を表示するもので、ベットされた遊技メダルが、1枚の場合に点灯される1‐BET表示ランプ46bCと、2枚の場合に点灯される2‐BET表示ランプ46bBと、3枚の場合に点灯される3‐BET表示ランプ46bAとから構成されている。投入可能表示ランプ46cは、遊技メダルを投入することができる状況下で点灯されるものであり、遊技開始表示ランプ46dは、スタートレバー25を操作して遊技を開始させることができる状況下で点灯されるものである。再遊技表示ランプ46eは、任意の遊技において再遊技役(遊技メダルの払出しはないが、遊技者が保有する遊技メダルの数を減らすことなく(新たに遊技媒体を投入することなく)次の遊技を行うことが許可される遊技役)が成立し、自動ベット処理(遊技者が保有する遊技メダルの数を減らすことなく、前回の遊技におけるベット数と同数の遊技メダルがベットされた状態を設定する処理)により遊技メダルが自動的にベットされた際に点灯されるものである。
状態表示ランプ46fは、例えば、ARTモード(ARTモードについては、例えば特願2016‐070858を参照)が設定された場合に点灯され、終了した場合に消灯されるものである。貯留枚数表示ランプ46hは、貯留(クレジット)された遊技メダルの枚数を7セグメント表示するものであり、払出数表示ランプ46jは、小役(成立時に所定枚数の遊技メダルが払い出されるように構成された遊技役)が成立した際に払い出される遊技メダルの枚数を7セグメント表示するものである。
また、払出数表示ランプ46jは、スロットマシン1に何らかの異常(エラー)が発生した際に、そのエラーの種類を示す文字(アルファベット)を表示するようにも構成されている。さらに、払出数表示ランプ46jは、ストップスイッチ26a〜26cの操作順(押し順)を示すナビ番号を表示する機能も有している。
下パネルアセンブリ30の中央部には、透明な下パネルカバー31が取り付けられており、その左右両端部には、飾りランプ32a,32bが配置されている。なお、下パネルカバー31の裏面側には、所定の図柄が設けられた半透明の下パネルベースおよび下パネル照明灯(いずれも図示せず)が取り付けられており、この下パネル照明灯を点灯させることにより、下パネルベースの図柄を後面側から照明するように構成されている。
受け皿アセンブリ40には、遊技メダルを払い出すための遊技メダル払出口41が開設されているとともに、遊技メダル払出口41に臨むようにして遊技メダルを貯留するための遊技メダル貯留皿42が設けられている。遊技メダル貯留皿42の左部には、灰皿43が設けられている。遊技メダル払出口41の左右には、受け皿アセンブリ40の背面側に配置された一対の下部スピーカの前面に対向して、多数の小孔からなるスピーカ口45a,45bが形成されている。
<スロットマシンの内部構成> 図2に示すように、筐体5内の下部(底板5d上)には、遊技の結果、所定の入賞態様が構成された場合に獲得される遊技メダルを払い出すメダル払出装置50が設けられている。メダル払出装置50は、遊技メダルを検出するためのメダル検出部(図示せず)と、投入されて有効に受け入れられた遊技メダルを物理的に収容する(貯留する)ホッパー51とを有している。メダル払出装置50の近傍位置には、ホッパー51から溢れた遊技メダルを収納するための補助収納庫53が設けられるとともに、この補助収納庫53が満杯状態(補助収納庫53から遊技メダルが溢れる可能性のある状態)であるか否かを検出する満杯検出部(図示せず)が設けられている。また、メダル払出装置50の左方位置には、スロットマシン1に搭載された種々の装置に電力を供給する電源装置55が設けられている。
筐体5内の中央部には、左右の側板5a,5bに架け渡されるように中板5fが設けられており、この中板5f上にリールユニット60が設けられている。リールユニット60は、上述の3個のリール3a,3b,3cと、これらのリール3a〜3cをそれぞれ回転させる3個のステッピングモータ(図示せず)とを有して構成されている。リール3a〜3cはそれぞれ、透光性を有する部材により構成されており、その外周面には、複数種類の図柄が表示された、透光性を有するリールテープが貼り付けられている。また、リール3a〜3cの内面側にはそれぞれバックランプ(図示せず)が配設されており、これらのバックランプを点灯させることにより、表示窓W内に臨む各リール3a,3b,3cの領域を内面側から全体的に照明したり、各リール3a,3b,3c上に停止表示された所定の図柄組合せ(例えば、有効ライン29上や、有効ライン29上とは異なる入賞ライン上に並んだ遊技役の対応図柄等)を目立たせるように各リール3a,3b,3cの一部領域のみを照明したりするように構成されている。
筐体5内の上部(背板5eの上部内面)には、遊技の進行に係る主たる制御(リール3a〜3cの駆動制御や役決定処理等を含む)を行う主制御装置100が設けられている。なお、遊技状況に応じて遊技の興趣向上等を目的とする種々の演出制御(液晶表示装置11による演出画像表示制御や上部スピーカ15a,15b等のスピーカからの音声発生制御等)を行う副制御装置(図示せず)は前扉2の後面に設けられている。主制御装置100と副制御装置はケーブルハーネスを用いて電気通信可能に接続されており、これら装置間の情報伝達は、主制御装置100から副制御装置への一方向のみ行うことが可能となっている。
<遊技を行うための基本操作>
スロットマシン1で遊技を行うには、まず実際にメダル投入口21に遊技メダルを投入することによりベットするか、1‐BETスイッチ22またはMAX‐BETスイッチ23の何れかを操作してクレジットの範囲内で規定数の遊技メダルをベットすることにより、複数の入賞ラインのうち入賞ライン29を有効化する。本実施形態では、3枚の遊技メダルがベットされると入賞ライン29が有効化される構成であるが、規定数を適宜変更したり、遊技メダルのベット数に応じて有効化される入賞ラインを変更するようにしてもよい。
次に、遊技者がスタートレバー25を操作すると、ベット数が確定する(ベットされた遊技メダルが遊技の用に供される)とともに、役決定処理が行われ、その後、最小遊技時間(1つの遊技において全リールが回転開始してから、次の遊技において全リールを回転開始させるまでに最低限確保しなければならないとされる時間(例えば、4.1秒間)の
こと)が経過したことを確認した後、各リール3a〜3cが回転を開始し、リール3a〜3cの外周表面に表示された複数種類の図柄が表示窓W内を上下に(通常、上から下に)移動表示される。そして、リール3a〜3cの回転が所定の速度に達して定速回転となると各ストップスイッチ26a〜26cが有効化され(ストップスイッチの操作が有効に受付け可能とされ)、遊技者が左ストップスイッチ26aを操作すると左リール3aの回転が停止し、中ストップスイッチ26bを操作すると中リール3bの回転が停止し、右ストップスイッチ26cを操作すると右リール3cの回転が停止するように構成されている。
ここで、有効ライン29上に停止表示された図柄組合せが予め定めた入賞態様(遊技メダルを獲得することができる遊技役の対応図柄)となっている場合には、各入賞態様に対応した枚数の遊技メダルがメダル払出装置50により払い出されるか、またはクレジットとして加算される。
<主制御装置の構成>
次に、本実施形態に係る主制御装置100の構成について図3〜図23を参照して説明する。なお、以下の説明では、図3等において各矢印で示す方向をそれぞれ、上下方向、前後方向、左右方向として説明する。
主制御装置100は、図3に示すように、主制御基板110と、主制御基板110を収容する基板ケース120とを有して構成されている。主制御基板110は、遊技に関する各種の演算処理を行うCPU、制御プログラム等を記憶した読出し専用の記憶装置であるROM、および情報の書込みおよび読出しが可能な記憶装置であるRAMを備えた制御チップ111と、複数の電気コネクタ112,113と、これらが実装されるプリント基板115とを有し、ROMに記憶された制御プログラムに従って各駆動回路等が動作することにより、スロットマシン1における遊技の進行に係る制御が行われるように構成されている。また、主制御基板110には、遊技者にとっての有利度を定めるスロットマシン1の設定値(遊技役の当選確率等)を7セグメント表示する表示部116がプリント基板115上に実装されている。
基板ケース120は、ケース本体121と、ケース蓋131とを有し、ケース本体121およびケース蓋131を結合させて形成されるケース内部に主制御基板110を収納可能に構成される。ケース本体121は、透明な樹脂材料を用いて前方に開口した略矩形箱状に形成され、上下の壁部にそれぞれ複数の結合溝122が形成されている。この結合溝122は、前方に開口する挿入溝部と、その挿入溝部の後部から右方に延びる係止溝部とから構成されるL字状の溝になっている。ケース蓋131は、透明な樹脂材料を用いて後方に開口した略矩形箱状に形成され、上下の壁部内面にはそれぞれ上記係合溝122に対応する位置に複数の係合突起(図示せず)が形成されている。この係合突起をケース本体121の係合溝122の挿入溝部に前方から挿入し、ケース蓋131をケース本体121に対して右方にスライド移動させて係合突起を係合溝122の係止溝部に挿入させることにより、ケース本体121に対するケース蓋131の前後、上下および右方への移動が規制され、ケース本体121およびケース蓋131が結合されるように構成されている。
ケース本体121の右部には、本体側結合部123と、封印カバー141が取り付けられる第1本体側封印部124とが形成されている。本体側結合部123内には、係止爪を有する蓋かしめ部材128が装着されるようになっている。第1本体側封印部124の右側面には、右方に突出した2つのケース取付突起129が形成されている。ケース本体121の左部には、後述するケースかしめ部材240と係合するケース取付部125が形成されている。ケース本体121の下部には、第2本体側封印部126が形成されている。
ケース蓋131の右部には、上記のようにケース本体121およびケース蓋131が結合されたときに、ケース本体121の本体側結合部123と結合される蓋側結合部133と、ケース本体121の第1本体側封印部124と結合される第1蓋側封印部134とが形成されている。本体側結合部123および蓋側結合部133が結合されると、本体側結合部123内に装着された蓋かしめ部材128の係止爪が蓋側結合部133内の係止溝に挿入され、これによりケース本体121に対するケース蓋131の左方(ケース蓋131を取り外す方向)へのスライド移動が規制され、ケース蓋131をケース本体121から取り外すことができないように固定される構成となっている。また、第1本体側封印部124および第1蓋側封印部134に跨って封印シール142が貼付され、その封印シール142を覆うように第1本体側封印部124および第1蓋側封印部134に封印カバー141が右方からスライド移動されて取り付けられるように構成されている。封印カバー141には、第1本体側封印部124および第1蓋側封印部134に取り付けられた後に、カッター部材が装着されてカッター部材の切断部が封印カバー141の内部に配置されるようになっている。そのため、封印カバー141を左方にスライド移動させて取り外すときには、このカッター部材の切断部により封印シール142が切断されるようになっている。
ケース蓋131の左部には、上記のようにケース本体121およびケース蓋131が結合されたときに、ケース本体121のケース取付部125を内部に収容して覆うカバー部135が形成されている。また、ケース蓋131の下部には、ケース本体121の第2本体側封印部126と結合される第2蓋側封印部136とが形成されている。第2本体側封印部126および第2蓋側封印部136が結合された状態において、レーザー装置等により第2本体側封印部126および第2蓋側封印部136に跨って印字され、基板ケース120が封印されるようになっている。
ケース蓋131の前面には、ケース内部に収容した主制御基板110の電気コネクタ112を前方に露出させるための前後に貫通したコネクタ露出部137が形成されている。このコネクタ露出部137を介して主制御基板110の電気コネクタ112にケーブルハーネスを接続することができるようになっている。ケース蓋131には、このコネクタ露出部137とケーブルハーネスとの接続部を前方から覆うコネクタカバー145が取り付けられるようになっている。ケース蓋131の前面には逆コ字溝状のかしめ装着部139(図20も参照)が形成され、このかしめ装着部139に右方からカバーかしめ部材138をスライド移動させて装着可能になっている。カバーかしめ部材138は、かしめ装着部139に装着される略矩形状の基部と、この基部から前方に突出する円筒形状の係止部と、係止部の外周面に形成された2つの係止爪とを有した構成となっている。コネクタカバー145がケース蓋131に取り付けられると、かしめ装着部139に装着されたカバーかしめ部材138がコネクタカバー145の内部に配置され、そのカバーかしめ部材138の係止爪がコネクタカバー145内の係止溝に挿入されるようになっている。そのため、コネクタカバー145を破壊してカバーかしめ部材138との係止状態を解除しない限り、コネクタカバー145をケース蓋131から取り外すことができないように固定される構成となっている。
このように主制御基板110をケース内部に収容した基板ケース120は、基板ケース取付機構200を介して筐体5内の上部(背板5eの上部内面)に取り付けられる。基板ケース取付機構200は、図2および図4に示すように、背板5eの左側上部に取付ネジを用いて固定される左側ベース部材210と、背板5eの右側上部に取付ネジを用いて固定される右側ベース部材220と、左側ベース部材210に前後方向に回動可能に取り付けられるブラケット部材230とを有して構成される。
左側ベース部材210は、図5および図6に示すように、上下方向に延びる矩形状に形成され、その前面に前方および右方に開口した凹形状のベース側係合部211,212,213が上下方向に並んで形成されている。上ベース側係合部211および中ベース側係合部212の内部にはそれぞれ、前後方向に貫通したネジ挿通孔211a,212aが形成されており、これらのネジ挿通孔211a,212aにそれぞれ前方から挿入される取付ネジにより左側ベース部材210が筐体5の背板5eに固定されるようになっている。
3つのベース側係合部211〜213内にはそれぞれ、上方に延びる軸挿入孔211b,212b,213bが形成されている(図6(b)を参照)。また、ベース側係合部211〜213の右側開口部にはそれぞれ、前方に延びるブラケット支持壁部211c,212c,213cが形成されている。上ブラケット支持壁部211cおよび下ブラケット支持壁部213cにはそれぞれ、上面前端部に下方に傾斜したテーパ面214a,214aが形成され、右側面前端部に左方に傾斜したテーパ面214b,214bが形成されている。上ベース側係合部211の右側開口部には、ネジ挿通孔211aの右側位置において、上下2つの突起部216が形成されている。これら突起部216,216は、当該右側開口部から工具等を差し込んでネジ挿通孔211aに挿入された取付ネジにアクセスすることを防止するためのものである。
左側ベース部材210には、左側面に上下2つの位置決め突起217が形成され、後面に1つの位置決め突起218が形成されている。これら位置決め突起217,217,218は、左側ベース部材210を筐体5に取り付けるときに、筐体5の左側板5aおよび背板5eに形成された位置決め孔にそれぞれ挿入することにより、左側ベース部材210の取付位置を決定し、取り付け作業を容易にするためのものである。
中ベース側係合部212には、ネジカバー215が前方から挿入可能になっている(図4を参照)。ネジカバー215は、図7に示すように、中ベース側係合部212の形状に対応した形状に形成され、ネジカバー215が中ベース側係合部212内に挿入されると、ネジカバー215により、ネジ挿通孔212aに挿入された取付ネジの頭部、および中ベース側係合部212の内面全体が覆われるようになっている。ネジカバー215は、中ベース側係合部212に挿入されたときに、軸挿入孔212bと連通するように形成された軸挿通孔215bと、ブラケット支持壁部212cを覆うカバー側支持壁部215cとを有している。カバー側支持壁部215cには、上面前端部に下方に傾斜したテーパ面219aが形成され、右側面前端部に左方に傾斜したテーパ面219bが形成されている。
右側ベース部材220は、図8に示すように、上下方向に延びる矩形状に形成され、前後方向に貫通形成された上下2つのネジ挿通孔221を有している。右側ベース部材220は、これらのネジ挿通孔221にそれぞれ前方から挿入される取付ネジにより筐体5の背板5eに固定されるようになっている。また、右側ベース部材220には、上下のネジ挿通孔221の間の位置に、ブラケット部材230に取り付けられた後述するナイラッチ(登録商標)の先端部が挿入されて係止する係止孔222が形成されている。右側ベース部材220の右側面には、右方に延びる延出部223が形成されており、この延出部223の先端部に位置決め突起223aが形成されている。また、右側ベース部材220の後面にも位置決め突起(図示せず)が形成されている。これらの位置決め突起は、右側ベース部材220を筐体5に取り付けるときに、筐体5の右側板5bおよび背板5eに形成された位置決め孔にそれぞれ挿入することにより、右側ベース部材220の取付位置を決定し、取り付け作業を容易にするためのものである。
ブラケット部材230は、図9および図10に示すように、透明な樹脂材料を用いて前方に開口した略矩形箱状に形成され、その内部空間に基板ケース20が装着されて基板ケース20を支持するように構成されている(図4も参照)。ブラケット部材230の左側壁の外面には、3つのブラケット側係合部231,232,233が上下方向に並んで形成されている。ブラケット側係合部231〜233はそれぞれ、ブラケット部材230の左側壁から左方に延びる基部231a,232a,233aと、基部231a,232a,233aの先端部から上方に延びる円柱状の回動軸231b,232b,233bとを有して構成されている。これらのブラケット側係合部231〜233は、左側ベース部材210のベース側係合部211〜213にそれぞれ挿入可能であり、回動軸231b〜233bが軸挿入孔211b〜213bにそれぞれ挿入可能に構成されている。回動軸231b〜233bを軸挿入孔211b〜213bにそれぞれ挿入すると、ブラケット部材230は回動軸231b〜233bを中心に左側ベース部材210に対して回動可能に係合された状態となり、ブラケット部材230を左右方向に所定位置まで回動させると、ブラケット側係合部231〜233の基部231a〜233aの下面が左側ベース部材210のブラケット支持壁部211c〜213cの上面に当接してブラケット部材230が下方へ移動しないように規制されるようになっている。
ブラケット部材230内の左側壁に隣接する位置には、ケースかしめ部材240(図4を参照)が装着される2つのかしめ装着部235が上下に並んで設けられている。かしめ装着部235は、右方側に開口した形状になっており、この開口部からケースかしめ部材240が挿入されて装着されるようになっている。また、かしめ装着部235は、ブラケット部材230の左側壁に形成された開口部235aを介して左方側にも開口した形状になっており、かしめ装着部235に装着されたケースかしめ部材240の先端部(左端部)がブラケット部材230の左側壁から左方に突出した状態になるようになっている(図19を参照)。ケースかしめ部材240は、図11に示すように、左右方向に延びる矩形状の基部241と、この基部241の前面右部から前方に突出する円筒形状の係止部242とを有し、係止部242の外周面に2つの係止爪242aが形成された構成となっている。
図9および図10に示すように、ブラケット部材230の上壁左部にはケース係止爪234が設けられている。ブラケット部材230内の左側壁上部に隣接する位置には、ナイラッチ(登録商標)が取り付けられるナイラッチ取付部237が設けられている。ブラケット部材230の後面には、ナイラッチ取付部237を上下に挟んだ位置にそれぞれ、後方に延びる円柱状のガイド突起238,238が形成されている(図10(b)を参照)。ブラケット部材230内のナイラッチ取付部237の左方位置には、左方に開口したケース取付孔239,239が上下に並んで形成されている。これらケース取付孔239,239には、基板ケース120(ケース本体121)のケース取付突起129,129が左方から挿入可能になっている。
ブラケット部材230の下壁左部は、当該下壁右部よりも上方に位置するように段状に形成されており、この段部においてケーブル受容部236を形成している(図23も参照)。ケーブル受容部236には、ケーブルハーネスを係止するケーブル係止具261(図23を参照)が取り付けられる係止具固定部236aが設けられている。
ブラケット部材230には、図2および図4に示すように、基板ケース120が装着されるとともに、設定変更装置250が取り付けられるようになっている。具体的には、設定変更装置250は、ブラケット部材230内の右下部に取り付けられるようになっている。また、ブラケット部材230には、この設定変更装置250から基板ケース120内の主制御基板110に延びて接続されるケーブルハーネスを覆うケーブルカバー255が取り付けられるようになっている。ブラケット部材230内には逆コ字溝状のかしめ装着部258(図20を参照)が形成され、このかしめ装着部258に右方からカバーかしめ部材256をスライド移動させて装着可能になっている。カバーかしめ部材256は、上述のカバーかしめ部材138と同様の構成となっている。ケーブルカバー255がブラケット部材230に取り付けられると、かしめ装着部258に装着されたカバーかしめ部材256がケーブルカバー255の内部に配置され、そのカバーかしめ部材256の係止爪がケーブルカバー255内の係止溝に挿入されるようになっている。そのため、ケーブルカバー255を破壊してカバーかしめ部材256との係止状態を解除しない限り、ケーブルカバー255をブラケット部材230から取り外すことができないように固定される構成となっている。
設定変更装置250は、遊技者にとっての有利度を定めるスロットマシン1の設定値(遊技役の当選確率等)を変更するときに操作される装置であり、図12に示すように、設定変更キーシリンダ251と、設定変更スイッチ252と、これらキーシリンダ251およびスイッチ252を覆うように取り付けられた開閉扉253とを有して構成される。設定変更装置250は、設定変更キーシリンダ251に設定変更キー(図示せず)を差し込んで右回り(時計方向)に約90度回動操作された状態で、筐体5内の下部に設けられた電源装置55の電源スイッチがON操作されると、設定変更モードを起動する。そして、設定変更スイッチ252を押圧操作する毎に1〜6の6段階の上記設定値を切り替え、設定値を主制御基板110上に設けられた表示部116に表示する。そして、前扉2の前面に設けられたスタートレバー25が操作されると上記設定値を確定し、設定変更キーを元の位置に戻すと、設定変更モードを終了して通常モードに移行する。また、主制御基板110は、通常モードの状態で、設定変更キーシリンダ251に差し込んだ設定変更キーを右回り(時計方向)に約90度回動操作されると、設定確認モードを起動し、現在の設定値を主制御基板110上の表示部116に表示する。そして、設定変更キーを元の位置に戻すと、設定変更モードを終了して通常モードに移行するようになっている。本実施形態では、上記のように設定値を表示する表示部116が主制御基板110上に設けられているため、前扉2の前面に設けられた貯留枚数表示ランプ46hもしくは払出数表示ランプ46jを用いて設定値の表示を行っていない。
設定変更スイッチ252は、設定変更モードのときは設定値の切り替えを行うためのスイッチとして機能するが、通常状態のときはスロットマシン1で発生する各種エラー状態(ホッパーエンプティ等)を解除するリセット処理を行うためのスイッチとして機能する。すなわち、主制御基板110は、通常状態でのエラー発生中に設定変更スイッチ252が操作されると、エラー要因が排除されている場合にはエラー状態を解除する。また、本実施形態では、設定変更スイッチ252が各種エラー状態の解除を行うリセットスイッチとしての機能を担っているが、設定変更スイッチ252とは別の手段を設けてもよい。例えば、前扉2の開放を行うためのドア開放キーシリンダとドア開放キー(いずれも図示せず)を利用して、ドア開放キーをドア開放キーシリンダに対して前扉2の開放方向とは逆の方向に回動させることで発生する入力信号を用いてエラー状態の解除を行うことも考えられる。
このように構成される主制御装置100を、筐体5の背板5eの内面上部に取り付ける手順について、図13〜図23を用いて説明する。まず始めに、図13に示すように、左側ベース部材210および右側ベース部材220を背板5eに取り付ける。左側ベース部材210は、位置決め突起217,218(図5を参照)を筐体5の左側板5aおよび背板5eに形成された位置決め孔に挿入することにより位置決めされる。そして、上下のネジ挿通孔211a,212aにそれぞれ取付ネジが前方から挿入され、それらの取付ネジにより左側ベース部材210が背板5eに固定される。このとき、左側ベース部材210の上面が筐体5の天板5cの下面に当接するように取り付けられる。右側ベース部材220は、位置決め突起223a(図8を参照)等を筐体5の右側板5bおよび背板5eに形成された位置決め孔に挿入することにより位置決めされる。そして、上下のネジ挿通孔221にそれぞれ取付ネジが前方から挿入され、それらの取付ネジにより右側ベース部材220が背板5eに固定される。
次に、図14に示すように、左側ベース部材210の中ベース側係合部212内にネジカバー215を前方から挿入して取り付ける。ネジカバー215が中ベース側係合部212内に取り付けられると、ネジ挿通孔212aに挿入された取付ネジの頭部がネジカバー215により覆われた状態となる。
そして、図15および図16に示すように、ブラケット部材230を筐体5の左側板5aと略平行となる状態にして、3つのブラケット側係合部231〜233をそれぞれ、左側ベース部材210のベース側係合部211〜213内に挿入する。上記のように中ベース側係合部212内にはネジカバー215が取り付けられているため、中ブラケット側係合部232は当該ネジカバー215内に挿入される。そして、図17に示すように、ブラケット部材230を上方にスライド移動させて、ブラケット側係合部231〜233の回動軸231b〜233bをそれぞれベース側係合部211〜213の軸挿入孔211b〜213bに挿入させる。このとき、ブラケット部材230は回動軸231b〜233bを中心に左側ベース部材210に対して回動可能に係合された状態となる。
そして、当該回動軸231b〜233bを中心に、ブラケット部材230の後面が筐体5の背板5eに近づく方向(後方)にブラケット部材230を回動させ、図18に示すように、ブラケット部材230を図15に示す状態から後方に略90度(ブラケット部材230の後面が筐体5の背板5eに近接する位置まで)回動させる。このようにブラケット部材230を回動させると、ブラケット側係合部231〜233の基部231a〜233aの下面が、ベース側係合部211〜213のブラケット支持壁部211c〜213cの上面と当接してブラケット部材230が下方に移動しないように支持される(中ブラケット側係合部233の下面はネジカバー215のカバー側支持壁部215cの上面に当接する)。すなわち、ブラケット支持壁部211c〜213c(カバー側支持壁部215c)によりブラケット部材230が下動することが規制される。またこのとき、ブラケット部材230後面のガイド突起238,238が右側ベース部材220のネジ挿通孔221,221の前端部内に挿入されてブラケット部材230の上下左右の位置が調整される。そして、ブラケット部材230のナイラッチ取付部237に取り付けられたナイラッチ(登録商標)によりブラケット部材230の右部が右側ベース部材220に係止され、ブラケット部材230が左右のベース部材210,220に取り付けられる。このとき、ブラケット部材230の上面が筐体5の天板5cの下面と近接する状態で取り付けられる。
次に、図19に示すように、ブラケット部材230のかしめ装着部235,235にそれぞれ右方からケースかしめ部材240を挿入して装着する。なお、本実施形態では、下側のかしめ装着部235には、上述のケースかしめ部材240において係止部242(係止爪242a)を有していない構成のケースかしめ部材240′(ダミーのケースかしめ部材)を装着している。かしめ装着部235,235にケースかしめ部材240,240′を装着すると、ケースかしめ部材240,240′の先端部(左端部)がブラケット部材230の左側壁から左方に突出した状態となり、ケースかしめ部材240,240′の先端部が、左側ベース部材210のネジ挿通孔211a,212aに挿入された取付ネジの頭部を覆って隠すようになっている。なお、ネジ挿通孔212aに挿入された取付ネジの頭部は、上記のようにネジカバー215によって既に覆われた状態になっているが、さらにその前方側をケースかしめ部材240′の先端部が覆うようになっている。
ケースかしめ部材240,240′の先端部(左端部)がブラケット部材230の左側壁から左方に突出した状態となっているため、ブラケット部材230を筐体5の左側板5aと略平行となる状態(図17に示す状態)まで回動させても、ケースかしめ部材240,240′の下面が、左側ベース部材210のベース側係合部211,212の内面に当接してブラケット部材230が支持される(ケースかしめ部材240′の下面はネジカバー215の内面に当接する)。すなわち、ケースかしめ部材240,240′によってブラケット部材230が落下することが規制される。
ケースかしめ部材240,240′をブラケット部材230に装着した後に、図20に示すように、主制御基板110をケース内部に収容した基板ケース120をブラケット部材230に取り付ける。基板ケース120の取り付けは、基板ケース120の右側部に設けられたケース取付突起129,129(図3を参照)を、ブラケット部材230のケース取付孔239,239(図19を参照)に挿入し、それから基板ケース120の左部をブラケット部材230内に挿着する。すなわち、基板ケース120は、ブラケット部材230に対して基板ケース120の左側部を係合させ、その次に右側部を係合させることによりブラケット部材230に取り付けられる。このように基板ケース120をブラケット部材230に取り付けると、かしめ装着部235に装着したケースかしめ部材240の係止爪242aが基板ケース120のカバー部135の内部に配置され、係止爪242aが基板ケース120のケース取付部125(図3を参照)に係止される。そのため、カバー部135およびケース取付部125を破壊してケースかしめ部材240との係止状態を解除しない限り、基板ケース120をブラケット部材230から取り外すことができないように固定される。また、基板ケース120は、ブラケット部材230のケース係止爪234により係止される。
次に、図21に示すように、設定変更装置250を、ブラケット部材230内の右下部(ナイラッチ取付部237の下方位置)に取り付ける。設定変更装置250の取り付けは、設定変更装置250の上面に形成された取付突起256(図12を参照)をブラケット部材230に係合させ、それから設定変更装置250に設けられたナイラッチ(登録商標)257を用いて設定変更変更装置250がブラケット部材230に固定される。次に、設定変更装置250から延びるケーブルハーネスK1(図23を参照)を、基板ケース120内の主制御基板110に実装された所定の電気コネクタに接続する。そして、図22に示すように、ブラケット部材230にカバーかしめ部材256(図4を参照)を装着し、当該ケーブルハーネスK1を覆うようにケーブルカバー255をブラケット部材230に取り付ける。このとき、ブラケット部材230に装着されたカバーかしめ部材256の係止爪がケーブルカバー255の係止溝に挿入され、これによりケーブルカバー255がブラケット部材230から取り外すことができないように固定される。
そして、図23に示すように、基板ケース120内に収容された主制御基板110の複数の電気コネクタ112,113(図3を参照)にそれぞれケーブルハーネスK2,K3を接続する。そして、基板ケース120(ケース蓋131)にカバーかしめ部材138(図3を参照)を装着し、電気コネクタ112とケーブルハーネスK2の接続部(コネクタ露出部137)を覆うようにコネクタカバー145を基板ケース120に取り付ける。このとき、基板ケース120(ケース蓋131)に装着されたカバーかしめ部材138がコネクタカバー145の内部に配置され、そのカバーかしめ部材138の係止爪がコネクタカバー145内の係止溝に挿入される。そのため、コネクタカバー145を破壊してカバーかしめ部材138との係止状態を解除しない限り、コネクタカバー145を基板ケース120から取り外すことができないように固定される。主制御基板110に接続されたケーブルハーネスK2,K3は、ブラケット部材230の係止部固定部236aに設けられたケーブル係止具261や筐体5の左側板5aに設けられたケーブル係止具261により係止保持される。
このような構成の基板ケース取付機構200によれば、筐体5(背板5e)に取付ネジにより固定された左側ベース部材210に対して、ブラケット部材230が前後方向に回動可能に取り付けられている。そのため、基板ケース120をブラケット部材230から取り外すことなく、ブラケット部材230を左側ベース部材210に対して回動させることにより、基板ケース120およびそのケース内部に収容された主制御基板110の背面に不正行為等が行われていないかを確認することができる。また、ブラケット部材230にはケーブル受容部236が形成されており、そのケーブル受容部236内のケーブル係止具261によりケーブルハーネスK3等が係止されている。主制御基板110は、前扉2の後面に設けられたドア中継端子基板(スタートレバー25、ストップスイッチ26a〜26c、各種の表示用ランプ等を管理する基板)や副制御基板とケーブルハーネスを用いて接続されているため、これらのケーブルハーネスの引き回しが前扉2のヒンジ側に集中している。そのため、従来は、これらのケーブルハーネスが邪魔となりブラケット部材を大きく回動させることが難しかった。しかしながら、上記構成の基板ケース取付機構200によれば、ブラケット部材230にケーブル受容部236が設けられているため、ブラケット部材230を回動させるときに、当該ケーブルハーネスをケーブル受容部236内に受容することができ、これによりブラケット部材230を筐体5の左側板5aに近接する位置まで(90度近く)大きく回動させることができる。
ブラケット部材230は、3つのブラケット側係合部231〜233をそれぞれ、左側ベース部材210のベース側係合部211〜213内に挿入して上方にスライド移動させ、ブラケット側係合部231〜233の回動軸231b〜233bをそれぞれベース側係合部211〜213の軸挿入孔211b〜213bに挿入させて係合させる。そして、当該回動軸231b〜233bを中心に、ブラケット部材230の後面が筐体5の背板5eに近づく方向(後方)に略90度回動させることにより、ブラケット部材230が左側ベース部材210によって下方への移動が規制された状態で取り付けられるようになっている。従来のようにブラケット部材を上から下に向けて引っ掛けるタイプの軸取付構造では、軸の長さ分、筐体の天板とブラケット部材との間にデッドスペースが形成されるという課題があった。しかしながら、上記構成によれば、ブラケット部材230の上面を筐体5の天板5cの下面に近接させた状態で取り付けることができる。そのため、天板5cとブラケット部材230との間にデッドスペースが生じることなく、ブラケット部材230および基板ケース120を筐体5内に配設することができる。
ブラケット部材230に装着されたケースかしめ部材240,240′の先端部(左端部)がブラケット部材230の左側壁から左方に突出した状態となり、そのケースかしめ部材240,240′の先端部が、左側ベース部材210のネジ挿通孔211a,212aに挿入された取付ネジの頭部を覆って隠すようになっている。そのため、左側ベース部材210を筐体5に固定する取付ネジへのアクセスを規制することができ、左側ベース部材210およびブラケット部材230と一緒に基板ケース120(主制御基板110)を筐体5から不正に取り外すような行為を防止することができる。
基板ケース120は、ブラケット部材230に対して基板ケース120の左側部を係合させ、その次に右側部を係合させることによりブラケット部材230に取り付けられるようになっている。そのため、基板ケース120をブラケット部材230に対して着脱させるときには、右開きの前扉2を大きく開放させないと基板ケース120の着脱作業を行い難くなる。従って、基板ケース120を不正に着脱させる行為を防止することができる。
設定変更装置250は、基板ケース120とともにブラケット部材230に取り付けられている。そのため、設定変更装置250を基板ケース120内の主制御基板110の近くに配置することができ、主制御基板110と設定変更装置250とを接続するケーブルハーネスK1の取り回しが容易となる。また、設定変更装置250は、ブラケット部材230内の右下部に取り付けられている。そのため、スロットマシン1の設定値を変更する際には、右開きの前扉2を少し開放させるだけで、設定変更装置250を操作して設定値の変更作業を行うことができる。
次に、上記実施形態の変更態様について説明する。上述の左側ベース部材210およびコネクタカバー145を、図24〜図27に示す左側ベース部材310およびコネクタカバー345のように変更してもよい。なお、上述の左側ベース部材210およびコネクタカバー145と同じ構成の部分には上記実施形態と同じ符番を付して構成説明は省略する。左側ベース部材310の前面には、図24および図25に示すように、上下のネジ挿通孔211a,212aの左方位置にそれぞれ、左右方向に延びる溝部311,312が形成されている。
コネクタカバー345は、図26および図27に示すように、上述のコネクタカバー145よりも左方に延びた形状に形成され、その左端部には、下方に延びるネジ被覆部345a,345bが上下に2つ形成されている。コネクタカバー345が基板ケース120(ケース蓋131)に取り付けられると、ケース蓋131のかしめ装着部139に装着されたカバーかしめ部材138がコネクタカバー345の内部に配置され、そのカバーかしめ部材138の係止爪がコネクタカバー345内の係止溝に挿入されるようになっている。そのため、コネクタカバー345を破壊してカバーかしめ部材138との係止状態を解除しない限り、コネクタカバー345を基板ケース120から取り外すことができないように固定される構成となっている(図28を参照)。
基板ケース120に取り付けられたコネクタカバー345のネジ被覆部345a,345bはそれぞれ、図29および図30に示すように、左側ベース部材310のネジ挿通孔211a,212aに挿入された取付ネジの頭部を覆って隠すようになっている。なお、ネジ挿通孔212aに挿入された取付ネジの頭部は、上記のようにネジカバー215によって既に覆われた状態になっているが、さらにその前方側をコネクタカバー345のネジ被覆部345bが覆うようになっている。
このようにコネクタカバー345が取り付けられた場合であっても、図31および図32に示すように、ブラケット部材230は左側ベース部材310に対して前後方向に回動可能であり、この回動を可能にするため、左側ベース部材310に溝部311,312が形成されている。ブラケット部材230を筐体5の左側板5aに近づく位置まで回動させたときに、コネクタカバー345のネジ被覆部345a,345bが左側ベース部材310の溝部311,312内に嵌入するようになっており、これによりネジ被覆部345a,345bが左側ベース部材310に干渉(衝突)してブラケット部材230の回動を妨げないようになっている(図32を参照)。
このような構成の左側ベース部材310およびコネクタカバー345によれば、コネクタカバー345のネジ被覆部345a,345bが、左側ベース部材310のネジ挿通孔211a,212aに挿入された取付ネジの頭部を覆って隠すようになっている。そのため、左側ベース部材310を筐体5に固定する取付ネジへのアクセスを規制することができ、左側ベース部材310およびブラケット部材230と一緒に基板ケース120(主制御基板110)を筐体5から不正に取り外すような行為を防止することができる。また、左側ベース部材310に溝部311,312が形成されているため、ブラケット部材230を左側ベース部材310に対して回動させることも可能である。
また、図33に示すように、上述の設定変更装置250を、ブラケット部材230に取り付けるのではなく、ブラケット部材230の回動中心である回動軸231b〜233b(左側ベース部材210との係合部)の近傍位置である、筐体5の左側板5aの上部に設けてもよい。または、図34に示すように、筐体5の背板5eの上部に設定変更装置250を設けてもよい。このように設定変更装置250をブラケット部材230の回動中心の近傍位置に配設することにより、ブラケット230に取り付けられた主制御基板110と設定変更装置250とを接続するケーブルハーネスの取り回しが容易となる。
上述の実施形態では、ブラケット部材230の上方に延びる回動軸231b〜233bを、左側ベース部材210(310)の下方に開口した軸挿入孔211b〜213bに挿入して、ブラケット部材230を左側ベース部材210(310)に係合させる構成であるが、ブラケット部材230に下方に開口した軸挿入孔を形成し、左側ベース部材210(310)に上方に延びる回動軸を形成した構成であってもよい。このような構成であっても、上記構成と同様にブラケット部材230を左側ベース部材210(310)に取り付ける構成となり、上記構成と同様の効果を得ることができる。
上述の実施形態では、左側ベース部材210において、中ベース側係合部212のみにネジカバー215が挿入されて、中ベース側係合部212内のネジ挿通孔212aを覆う構成となっているが、上ベース側係合部211にもネジカバー215を挿入して、上ベース側係合部211内のネジ挿通孔211aを覆うように構成してもよい。なおこのとき、上ベース側係合部211内に2つの突起部216を形成しなくてもよい。このように2つのネジカバー215を用いてネジ挿通孔211a,212aの両方を覆う構成とすれば、これらの挿通孔に取り付けられた取付ネジへの不正なアクセスをより一層防止することができる。また、1つのネジカバーによりネジ挿通孔211a,212aの両方を一体に覆う構成としてもよい。
上述の実施形態では、設定変更装置250が、設定変更キーシリンダ251と、設定変更スイッチ252とを有して構成されているが、設定変更キーシリンダ251および設定変更スイッチ252のいずれか一方を備えた構成であればよい。その場合に、他方は前扉2の後面等、別の箇所に設定変更装置250とは別体に設ければよい。上述の実施形態では、スロットマシン1の設定値(遊技役の当選確率等)を表示する表示部116が主制御基板110上に設けられているが、この表示部は、主制御基板110上ではなく、設定変更装置250の近傍位置や前扉2の後面等に独立して設けてもよい。または、設定変更装置250に一体に当該表示部を設けてもよい。または、前扉2の前面に設けられた貯留枚数表示ランプ46hもしくは払出数表示ランプ46jを用いて上記設定値の表示を行ってもよく、その場合には当該表示部を別途設ける必要がない。
上述の実施形態では、主制御基板110を収容した基板ケース120の取付機構について説明したが、種々の演出制御を行う副制御基板を収容した基板ケースも、上記ケース取付機構200と同様の構成の取付機構により取り付けられるようにしてもよい。上述の実施形態では、ブラケット部材230や設定変更装置250を固定するためにナイラッチ(登録商標)を用いているが、これに代えて、ニフラッチ(登録商標)やレバークリップ等を用いてもよい。
上述の実施形態において、本発明が適用される遊技機の一例として、遊技メダルを使用するスロットマシン(回胴式遊技機)を例示して説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、パチンコ機、遊技球を使用する回胴式遊技機、雀球遊技機、アレンジボール機などの他の遊技機についても同様に適用し、同様の効果を得ることができる。
ケースかしめ部材240,240′をブラケット部材230に装着した後に、図20に示すように、主制御基板110をケース内部に収容した基板ケース120をブラケット部材230に取り付ける。基板ケース120の取り付けは、基板ケース120の右側部に設けられたケース取付突起129,129(図3を参照)を、ブラケット部材230のケース取付孔239,239(図19を参照)に挿入し、それから基板ケース120の左部をブラケット部材230内に挿着する。すなわち、基板ケース120は、ブラケット部材230に対して基板ケース120の右側部を係合させ、その次に左側部を係合させることによりブラケット部材230に取り付けられる。このように基板ケース120をブラケット部材230に取り付けると、かしめ装着部235に装着したケースかしめ部材240の係止爪242aが基板ケース120のカバー部135の内部に配置され、係止爪242aが基板ケース120のケース取付部125(図3を参照)に係止される。そのため、カバー部135およびケース取付部125を破壊してケースかしめ部材240との係止状態を解除しない限り、基板ケース120をブラケット部材230から取り外すことができないように固定される。また、基板ケース120は、ブラケット部材230のケース係止爪234により係止される。