JP2021081334A - 光ファイバジャイロ並びにその制御方法及び制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】精度のよい干渉型光ファイバジャイロを実現する。【解決手段】デジタルクローズドループ方式を用いた干渉型光ファイバジャイロの制御方法は、それぞれ独立した位相差制御ループを実行する第1の制御回路と第2の制御回路とを交互に動作させることと、前記第1の制御回路で実行される位相差制御ループに第1の電気的ディザ信号を印加することと、前記第2の制御回路で実行される位相差制御ループに前記第1の電気的ディザ信号と逆相の第2の電気的ディザ信号を印加することと、前記第1の制御回路により算出される角速度に係る第1の値と前記第2の制御回路により算出される角速度に係る第2の値とを加算平均することで角速度に係る値を算出することとを含む。【選択図】図1
Description
本発明は、デジタルクローズドループ方式を用いた干渉型光ファイバジャイロ、並びに、光ファイバジャイロのための制御方法及び制御装置に関する。
高性能なジャイロスコープの一つとして、干渉型光ファイバジャイロがある。干渉型光ファイバジャイロの制御方式として、クローズドループ方式が知られている。クローズドループ方式の干渉型光ファイバジャイロでは、ジャイロ出力のゼロ点近傍において不感帯が生じることがある。不感帯除去手法として、制御ループにおいて、電気的ディザ信号を印加する方法が知られている。例えば非特許文献1には、位相差制御ループ内の積分器の入力部に、制御ループの応答帯域内の周波数で、正負2値の電気的ディザ信号を印加し、一定期間の取得データを平均化することで不感帯を除去する方法が開示されている。不感帯を除去するための同様の方法として、位相差制御ループ内のランプ発生器の入力又は出力に電気的ディザを印加する方法、変調波形をランダムに変化させる方法などが知られている。例えば特許文献1には、ランプ発生器の出力にディザ信号に相当する位相ジャンプ振幅信号を加えることで信号全体を不感帯領域の外へ移動させる技術に関して開示されている。
Pavlath,G.A.,"Closed-Loop Fiber Optic Gyros," Fiber Optic Gyros: 20th Anniversary Conference, SPIE Proceedings, Vol.2837, 1996, pp.46-60.
本発明は、精度のよい干渉型光ファイバジャイロを実現することを目的とする。
本発明の一態様によれば、デジタルクローズドループ方式を用いた干渉型光ファイバジャイロの制御方法は、それぞれ独立した位相差制御ループを実行する第1の制御回路と第2の制御回路とを交互に動作させることと、前記第1の制御回路で実行される位相差制御ループに第1の電気的ディザ信号を印加することと、前記第2の制御回路で実行される位相差制御ループに前記第1の電気的ディザ信号と逆相の第2の電気的ディザ信号を印加することと、前記第1の制御回路による角速度出力に係る第1の値と前記第2の制御回路による角速度出力に係る第2の値とを加算平均することで角速度に係る値を算出することとを含む。
本発明によれば、精度のよい干渉型光ファイバジャイロを実現できる。
一実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態は、干渉型の光ファイバジャイロ(Fiber Optic Gyro:以下「FOG」と称す)に関する。このFOGでは、回転角速度により生じる対向伝搬する2光波間の位相差が測定されるサニャック干渉計が用いられている。また、このFOGでは、高精度を実現するためにデジタル演算回路によるデジタルクローズドループ方式が用いられている。本実施形態のFOGは、特に、ゼロ点近傍に現れ得る不感帯を除去する機能を有している。FOGは、航空機、船舶等の移動体において、慣性空間に対する回転角速度を計測するセンサ等として使用され得る。
[装置構成]
図1は、本実施形態に係るデジタルクローズドループ方式のFOG1の構成例の概略を示す図である。FOG1は、FOG光学系10と、クローズドループ制御回路20とを備える。
図1は、本実施形態に係るデジタルクローズドループ方式のFOG1の構成例の概略を示す図である。FOG1は、FOG光学系10と、クローズドループ制御回路20とを備える。
FOG光学系10は、ファイバコイル11と、多機能光集積回路12と、光カプラ13と、光源14と、受光器(PD)15と、各素子を連結するための光ファイバとを有する。
ファイバコイル11は、例えば、数百mあるいは数km以上のシングルモード光ファイバ又は偏波保持光ファイバなどの光ファイバを、例えば直径50 mmから200 mm程度といったように直径数十mmから数百mm程度のコイル状に巻いたファイバコイルである。
多機能光集積回路12は、IOC(Integrated Optics Circuit)とも呼ばれる。多機能光集積回路12は、電気光学係数の高いニオブ酸リチウム(LiNbO3)を用いて形成され、アニールドプロトン交換法(APE)により作製され得る。多機能光集積回路12は、高消光比の偏光子とY分岐と高速な位相変調器12aとを備えている。そのため、多機能光集積回路12は、ファイバコイル11での偏波変動成分が抑制されることによる高いバイアス安定性を達成できる。また、多機能光集積回路12は、セロダイン変調による広いダイナミックレンジを実現できる。
光源14は、低コヒーレンス特性を有した広帯域光源である。光源14には、例えば、増幅自然放出光(ASE)を出力するエルビウムドープファイバ(EDF)光源、スーパー・ルミネッセント・ダイオード(SLD)などが用いられ得る。
光源14から放射された光は、光カプラ13及び多機能光集積回路12を介して、ファイバコイル11へと入射する。このとき、多機能光集積回路12は、入射光を、2光路に分波し、ファイバコイル11へ時計回りと反時計回りとの両回りに入射させる。ファイバコイル11を時計回りに進行した光波と反時計回りに進行した光波とは、多機能光集積回路12で再結合され、光カプラ13を介して受光器15で検出される。
FOG光学系10は、サニャック干渉計を形成している。ファイバコイル11が回転角速度を有していると、対向伝搬する2光波間にサニャック位相差が生じる。その結果、ファイバコイル11の回転角速度に応じた帰還光量が受光器15で検出される。
クローズドループ制御回路20は、ゲインアンプ21と、ADコンバータ(ADC)22と、デジタル演算回路100と、DAコンバータ(DAC)23と、変調ドライバ24とを有する。
デジタル演算回路100は、FPGA(フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ)等のプログラマブル・ロジックデバイス、ASIC(特定用途向け集積回路)など各種マイクロプロセッサを用いて構成され得る。デジタル演算回路100は、例えばワンチップのFPGAを用いて構築されている。
受光器15の出力は、ゲインアンプ21で増幅された後、ADコンバータ22でAD変換される。ADコンバータ22は、デジタル演算回路と同期して動作する。デジタル演算回路100は、遷移状態のスパイクを避けて安定なデータをサンプルし、各種演算処理を行う。
デジタル演算回路100は、多機能光集積回路12の位相変調器12aに入力するための変調信号を生成し出力する。デジタル演算回路100から出力された変調信号は、DAコンバータ23でアナログ信号に変換され、変調ドライバ24に入力される。変調ドライバ24は、入力信号に基づいて位相変調器12aを動作させる。位相変調器12aは、ファイバコイル11を通過する光波を変調する。
デジタル演算回路100には、クローズドループ制御回路が2系統設けられている。すなわち、デジタル演算回路100は、第1の制御回路として機能する制御回路(A系統)110と、第2の制御回路として機能する制御回路(B系統)130とを有する。制御回路(A系統)110と制御回路(B系統)130とは、同様の構成を有している。光波がファイバコイル11を伝搬する時間をτとしたときに、制御回路(A系統)110及び制御回路(B系統)130は、τ/4の演算周期で交互に独立に動作する。制御回路(A系統)110及び制御回路(B系統)130は、位相変調器12aを用いて、τ/4周期の時間的に離散したデジタルセロダイン方式による位相変調を行う。
制御回路(A系統)110及び制御回路(B系統)130の各々は、次のようなクローズドループ方式の制御を行う。すなわち、制御回路(A系統)110及び制御回路(B系統)130の各々は、位相差制御ループに係る処理と、振幅制御ループに係る処理とを実行する。位相差制御ループは、ファイバコイル11の回転角速度により生じた時計回りの光と反時計回りの光との位相差に基づいて回転角速度を検出し、FOG光学系10にフィードバックするための制御ループである。振幅制御ループは、位相変調器12aにおける入力電圧と位相変調量(変調深度)との関係の変動をフィードバックにより適正値に調整するための制御ループである。
位相差制御ループについて説明する。本実施形態の位相差制御ループでは、ファイバコイル11の回転角速度により生じた時計回りの光と反時計回りの光との位相差を高感度で捉えるために、2光波間に一定周期のバイアス変調が与えられ、このときの干渉強度が周期的に受光器15で観測される。受光器15で観測される干渉強度の周期的変化に基づいて、ファイバコイル11の角速度が検出される。クローズドループ方式では、角速度に関わらず観測される位相差が常にゼロとなるように、振幅2πp-pを有するランプ状のセロダイン波によるフィードバック位相差が与えられ、このフィードバックの制御量が角速度を表すジャイロ出力とされる。この方式によれば、計測できる角速度範囲を広く取ることができる。また、この方式によれば、入力に対する出力の直線性が優れ、ゼロ点の安定性が優れる。さらに本実施形態では、ゼロ点近傍に現れる不感帯を除去するために、電気的ディザ信号が位相差制御ループ内に加算されている。このディザ信号によって、ゼロ点近傍の感度が上昇する。このように、位相差制御ループでは、一定周期のバイアス変調波形と、ランプ状のセロダイン波と、電気的ディザ信号とが加算されている。
制御回路(A系統)110は、位相差制御ループを形成するための、位相差同期検出回路111と、加算器112と、積分器113と、ランプ発生器114と、4値バイアス変調波形発生器115と、加算器116とを備える。
後に詳述するように、ランプ発生器114は、振幅2πp-pを有するデジタルセロダイン波を出力する。この出力には、加算器112で加算されたディザ信号が重畳している。4値バイアス変調波形発生器115は、τ/2毎に変化する[+π/4,+3π/4,−π/4,−3π/4]の繰り返しバイアス変調波形を出力する。加算器116は、ランプ発生器114から出力されたデジタルセロダイン波に、4値バイアス変調波形発生器115から出力されたバイアス変調波形を加算して出力する。
この出力と制御回路(B系統)130による同様の出力とによって、多機能光集積回路12の位相変調器12aが動作する。セロダイン波は位相差をゼロにするフィードバックであるので、簡略化のためにディザ信号の影響を考慮しないことにすると、受光器15に入射する2光波間では、バイアス変調に由来する、τ/2毎に変化する[+π/2,+3π/2,−π/2,−3π/2]の繰り返しとなる位相差が発生する。受光器15による検出結果に基づいて、位相差同期検出回路111は、干渉パターン上の4点をサンプルする。ファイバコイル11が静止しているときには、受光器15の出力は一定値となる。ファイバコイル11が回転しているときは、角速度に対応した位相差信号が2τ周期で現れるので、受光器15の出力には角速度変化に対応した2τ周期の位相差誤差が含まれる。積分器113は受光器15の出力に含まれる位相差誤差を積分する。ランプ発生器114は、この積分値に基づいてデジタルセロダイン波のステップ1段の高さを決定する。このようなフィードバック機構により、サニャック位相差に対する位相差制御ループが形成される。位相差制御ループは、位相差信号がゼロとなるように動作し、制御ループ内の積分器113の出力がファイバコイル11の角速度を示す値となる。バイアス変調と位相差同期検出の周期(周波数)は、2τ周期、すなわち固有周波数(Eigen frequency)fe = 1/2τに設定されており、これにより位相変調器12aにおける強度変調の影響が低減される。
振幅制御ループについて説明する。制御回路(A系統)110は、振幅制御ループを形成するための、振幅誤差同期検出回路121と、積分器122と、2π基準値発生器123と、加算器124とを備える。
後に詳述するように、位相変調器12aにおける入力電圧と位相変調量(変調深度)との関係の変動である、Vπ振幅の変動は、上述のバイアス変調によって、τ周期で現れるので、受光器15の出力にはVπ振幅の変動に対応したτ周期の振幅誤差信号が含まれる。このため、振幅誤差同期検出回路121は、干渉パターン上の4点をサンプリングする。積分器122は受光器15の出力に含まれる振幅誤差を積分する。加算器124は、2π基準値発生器123で生成した基準値に積分値を加算する。乗算器119は、位相差制御ループの変調振幅にこの信号を乗算して出力する。このような振幅制御ループのフィードバックにより、出力信号は、適正値に追従する。
以上のようにして、ディザ信号の影響を考慮しないと、受光器15で検出される干渉パターン上の4点での位相差が常に[+π/2,+3π/2,−π/2,−3π/2]となるように制御される、安定な2重ループが形成される。
本実施形態に係る制御回路(A系統)110では、ゼロ点近傍に現れる不感帯を除去するために、電気的ディザ信号が積分器113の前に印加されている。すなわち、デジタル演算回路100は、ディザ信号発生器161を備える。位相差同期検出回路111からの出力信号には、加算器112によってディザ信号発生器161から出力された矩形波のディザ信号が加算されて、積分器113に入力される。このディザ信号によって、ゼロ点近傍の感度が上昇する。受光器15で取得される信号には、上述の位相差に係る干渉パターンの信号に加えて、実際にはディザ信号に由来するノイズが含まれることになる。
本実施形態に係るデジタル演算回路100は、実質的に上述の制御回路(A系統)110と同等な、制御回路(B系統)130を備える。制御回路(B系統)130は、制御回路(A系統)110の位相差同期検出回路111、加算器112、積分器113、ランプ発生器114、4値バイアス変調波形発生器115、加算器116、乗算器119、振幅誤差同期検出回路121、積分器122、2π基準値発生器123、及び加算器124にそれぞれ対応する、位相差同期検出回路131、加算器132、積分器133、ランプ発生器134、4値バイアス変調波形発生器135、加算器136、乗算器139、振幅誤差同期検出回路141、積分器142、2π基準値発生器143、及び加算器144を備える。
制御回路(B系統)130では、加算器132で位相差同期検出回路131の出力信号に加算されるディザ信号が、ディザ信号発生器161から出力されたディザ信号が反転器162で反転された信号となっている。このように、制御回路(A系統)110と制御回路(B系統)130とでは、加えられる電気的ディザ信号が逆相関係になっている。
このように、本実施形態に係るデジタル演算回路100は、ディザ信号発生器161と反転器162とを含むディザ信号出力部160を備える。ディザ信号出力部160は、制御回路(A系統)110で実行される位相差制御ループに第1の電気的ディザ信号を印加し、制御回路(B系統)130で実行される位相差制御ループに第1の電気的ディザ信号と逆相の第2の電気的ディザ信号を印加するように構成されている。
ジャイロ出力を表す位相差制御ループの積分器113,133の出力には、電気的ディザ信号に伴う擾乱ノイズが含まれる。ここで、制御回路(A系統)110の積分器113の出力に含まれるノイズと、制御回路(B系統)130の積分器133の出力に含まれるノイズとは逆相関係となる。このため、これらの出力を加算平均器170で加算平均することで、このようなノイズが除去される。加算平均された加算平均器170の出力が、電気的ディザ信号の影響を受けることなく、不感帯が除去された、ファイバコイル11の角速度を表すジャイロ出力として得られる。
本実施形態のデジタル演算回路100では、τ/4毎に制御回路(A系統)110と制御回路(B系統)130とが交互に動作する。すなわち、τ/2周期で行われる位相変調周期の前半と後半とで交互に制御回路(A系統)110と制御回路(B系統)130とが動作する。これにより、独立したクローズドループ動作を行う制御回路(A系統)110と制御回路(B系統)130とがそれぞれの演算周期をτ/2として実質的に並列に動作する。
このような並列動作のために、デジタル演算回路100は、動作タイミング生成器151及びマルチプレクサ(MUX)152を更に備える。動作タイミング生成器151は、制御回路(A系統)110を動作させるための制御信号(A)と制御回路(B系統)130動作させるため制御信号(B)とを、τ/4間隔で交互に生成する。制御信号が「A」のとき、ADコンバータ22から取得した受光器15の出力を使用して制御回路(A系統)110による1フレーム分の一連のデジタル演算動作が行われる。このとき、マルチプレクサ152により制御回路(A系統)110が選択されて制御回路(A系統)110で生成された位相変調信号が、DAコンバータ23を介して出力される。制御信号が「B」のとき、ADコンバータ22から取得した受光器15の出力を使用して制御回路(B系統)130による1フレーム分の一連のデジタル演算動作が行われる。このとき、マルチプレクサ152により制御回路(B系統)130が選択されて制御回路(B系統)130で生成された位相変調信号が、DAコンバータ23を介して出力される。その結果、位相変調器12aは、制御回路(A系統)110による位相変調信号に基づく位相変調と、制御回路(B系統)130による位相変調信号に基づく位相変調とをτ/4間隔で交互に行うことになる。
[動作]
本実施形態に係るFOG1の動作について具体的に説明する。
本実施形態に係るFOG1の動作について具体的に説明する。
ファイバコイル11で形成された円形光路を時計回りと反時計回りとに周回する2光波間には、サニャック効果により、角速度Ωに比例したサニャック位相差φSが、(1)式の関係で発生する。
φS = (2πLD/cλ)Ω (1)
ここで、Lはファイバ長、Dはコイル径、cは光速、λは光源の発振波長をそれぞれ表す。
φS = (2πLD/cλ)Ω (1)
ここで、Lはファイバ長、Dはコイル径、cは光速、λは光源の発振波長をそれぞれ表す。
図2は、重ね合わされた2光波間の位相差と、受光器15を用いて観測される干渉強度との関係を表す干渉パターンを示す。FOG1は、2光波を重ね合わせた際の干渉強度を受光器15で観測し、この値を用いた制御を行って角速度を取得する。
デジタル演算回路100による演算周期は、光波がファイバコイル11を伝搬する時間τの1/4としている。制御回路(A系統)110による位相変調信号に基づく位相変調と、制御回路(B系統)130による位相変調信号に基づく位相変調とは、τ/4間隔で交互に行われる。交互に動作する制御回路(A系統)110と制御回路(B系統)130とを含むデジタル演算回路100の制御下で、多機能光集積回路12の位相変調器12aは、τ/4毎に時間的に離散化した位相変調を行う。任意の変調信号φ(t)で表される位相変調が行われると、ファイバコイル11では2光波間に(2)式の関係で合成位相差φSYN(t)が生じる。
φSYN(t) = φ(t)−φ(t−τ) (2)
φSYN(t) = φ(t)−φ(t−τ) (2)
本実施形態のデジタルクローズドループ方式での位相変調では、角速度検出に用いられるバイアス変調と、角速度によるサニャック位相差に対してフィードバック位相差を与えるデジタルセロダイン変調と、ゼロ点近傍の不感帯を除去するための電気的ディザ信号の加算とが同時に行われる。
初めに、説明を簡略化するためにディザ信号の影響を除いて説明を行う。図3は、時計回り及び反時計回りの光波に与えられるバイアス変調と、そのときに観測されるバイアス位相差及び干渉パターンとについて説明するための図である。本実施形態のバイアス変調には、τ/2間隔で変化する「4値バイアス変調(4-state modulation)」が適用される。4値バイアス変調波形発生器115,135で生成された4値バイアス変調波形は、加算器116,136においてランプ発生器114,134で生成されたデジタルセロダイン波に加算されて位相変調器12aに入力される。本実施形態では、マルチプレクサ152によって、τ/2周期の前半は、制御回路(A系統)110による変調信号が用いられ、τ/2周期の後半は、制御回路(B系統)130による変調信号が用いられる。
図3(a)に示すように、時計回り及び反時計回りの光波に、[+π/4,+3π/4,−π/4,−3π/4]の繰り返しとなる位相変化が、バイアス変調φB(t)として与えられる。このとき、上記(2)式により、次の(3)式で表されるバイアス位相差φBI(t)が発生する。
φBI(t) = φB(t)−φB(t−τ) (3)
φBI(t) = φB(t)−φB(t−τ) (3)
すなわち、2光波間には、図3(b)に示すように、[+π/2,+3π/2,−π/2,−3π/2]の繰り返しとなるバイアス位相差φBIが発生する。その結果、受光器15で観測されるのは、図3(c)に示す干渉パターンにおける(I、II、III、IV)で示す4点となる。
なお、本実施形態では、光波に与えられる位相変化を、[+π/4,+3π/4,−π/4,−3π/4]としたが、これに限らず、[+a,+b,−a,−b]の繰り返し(ただしa≠bとする)であってもよい。このとき、2光波間に発生するバイアス位相差φBIは、[+2a,+2b,−2a,−2b]の繰り返しとなる。
まず、位相差制御ループについて説明する。図4は、4値バイアス変調によるサニャック位相差の検出について説明するための図である。時計回り及び反時計回りの光波に[+π/4,+3π/4,−π/4,−3π/4]の繰り返しのバイアス変調φB(t)を与えると、ファイバコイル11が静止しているときには、図4(b)に示すように、[+π/2,+3π/2,−π/2,−3π/2]の繰り返しとなるバイアス位相差φBI(t)が発生する。
このとき、(I、II、III、IV)で示す4点を観測するので、受光器15の出力は、ファイバコイル11が静止してるときには、図4(a)の黒丸の点が観測されて、受光器15の出力は図4(d)に示すようになり、スパイクを除いてサンプルすると一定値が得られる。
これに対して、ファイバコイル11に角速度が入力されたときには、角速度Ωに比例したサニャック位相差φSが発生し、図4(c)に示すように位相差はシフトする。このとき、図4(a)の白丸の点が観測されて、受光器15の出力は図4(e)に示すようになり、スパイクを除いてサンプルすると、2τ周期で現れる位相差誤差信号が得られる。
位相差制御ループにおいては、図4(a)の黒丸の点を制御の動作点として位相差信号がゼロとなるようにデジタルセロダイン変調が行われているので、受光器15の出力から得られる位相差誤差信号は、角速度変化によって生じるフィードバックの誤差を表す。
位相差同期検出回路111,131は、干渉パターン上の観測点4点について同期検出して、(4)式を満たす位相差誤差PDを取得する。
PD = SII or III−SI or IV (4)
ここでSII or IIIは観測点II又はIIIでの観測値を示し、SI or IVは観測点I又はIVでの観測値を示す。
PD = SII or III−SI or IV (4)
ここでSII or IIIは観測点II又はIIIでの観測値を示し、SI or IVは観測点I又はIVでの観測値を示す。
積分器113,133は、位相差誤差PDを積分し、ランプ発生器114,134に発生させるデジタルセロダイン波のステップ1段の高さを示す値を生成する。
図5は、デジタルセロダイン波によるフィードバック位相差を示す図である。デジタルセロダイン変調は、図5(a)に示すような、振幅2πp-pを有する階段状のデジタルセロダイン波による位相変調φDS(t)である。光波にφDS(t)による位相変調が行われると、ファイバコイル11では2光波間に(2)式の関係に従って、(5)式のようにフィードバック位相差φFBが発生する。
φFB(t) = φDS(t)−φDS(t−τ) (5)
φFB(t) = φDS(t)−φDS(t−τ) (5)
図5(b)は、発生するフィードバック位相差φFBを示す。
位相差制御ループは、位相差誤差PDがゼロになるように、すなわち、φS = φFBとなるように動作し、サニャック位相差φSに対する位相差制御ループを形成する。このとき、位相差制御ループ内の積分器113,133の出力が、角速度を示す値として取得される。
次に、振幅制御ループについて説明する。図6は、4値バイアス変調によるVπ振幅変動検出について説明するための図である。光波にバイアス変調φB(t)を与えると、Vπ振幅が適正値であるときには、図6(b)に示すように、[+π/2,+3π/2,−π/2,−3π/2]の繰り返しとなるバイアス位相差φBI(t)が発生する。このとき、(I、II、III、IV)で示す4点を観測するので、受光器15の出力は、Vπ振幅が適正値であるときには、図6(a)の黒丸の点が観測されて、図6(d)に示すようになり、スパイクを除いてサンプルすると一定値が得られる。
これに対して、Vπ振幅が適正値と異なるとき、例えば適正値よりも大きいときには、位相差は図6(c)に示すようになる。このとき、図6(a)の白丸の点が観測されるので、受光器15の出力は図6(e)に示すようになり、スパイクを除いてサンプルすると、τ周期で現れる振幅誤差信号が得られる。振幅制御ループにおいては、図6(a)の黒丸の点を制御の動作点として振幅誤差がゼロとなるように制御されているので、受光器15の出力から得られる振幅誤差信号は、Vπ振幅の変動を表す。
振幅誤差同期検出回路121,141は、干渉パターン上の観測点4点について同期検出して、(6)式を満たす振幅誤差AEを取得する。
AE = SII or IV−SI or III (6)
ここでSII or IVは観測点II又はIVでの観測値を示し、SI or IIIは観測点I又はIIIでの観測値を示す。
AE = SII or IV−SI or III (6)
ここでSII or IVは観測点II又はIVでの観測値を示し、SI or IIIは観測点I又はIIIでの観測値を示す。
積分器122,142は、振幅誤差AEを積分し、乗算器119,139で変調振幅にフィードバックする。このようにして、振幅を適正値に追従させる振幅制御ループが形成される。
以上のような、位相差制御ループと振幅制御ループとによって、ファイバコイル11を進む2光波間の位相差PDcw-ccwには、入力角速度によらず、(7)式が成り立つ。
PDcw-ccw = φS + φBI−φFB = φBI (7)
PDcw-ccw = φS + φBI−φFB = φBI (7)
その結果、受光器15で観測される干渉パターン上の4点(I、II、III、IV)での位相差は、常に[+π/2,+3π/2,−π/2,−3π/2]となるように制御され、安定な2重ループが形成される。位相差制御ループ内の積分器113,133の出力は、ファイバコイル11の角速度によるサニャック位相差に対応した値となっており、この値に基づいて、ファイバコイル11の角速度が得られる。
一般に、クローズドループ方式のFOGでは、位相変調信号のPD受光系統への回り込み、位相変調の非線形性等により、ジャイロ出力のゼロ点近傍において数deg/h幅の不感帯(Deadband)が発生することが知られている。そこで、本実施形態では、位相差制御ループに、上記説明では省略した、矩形波の電気的ディザ信号が印加されている。本実施形態では、制御回路(A系統)110に印加する第1の電気的ディザ信号と制御回路(B系統)130に印加する第2の電気的ディザ信号とは、逆相関係となるようにされている。このため、デジタル演算回路100のディザ信号出力部160は、ディザ信号発生器161と、反転器162とを備える。
図7は、ディザ信号の波形を示す。ディザ信号発生器161から出力された、図7(a)に示すような第1の電気的ディザ信号は、制御回路(A系統)110の加算器112で位相差同期検出回路111の出力に加算される。ディザ信号が加算された位相差同期検出回路111の出力が積分器113に入力される。また、ディザ信号発生器161から出力され反転器162で反転された、図7(b)に示すような第2の電気的ディザ信号は、制御回路(B系統)130の加算器132で位相差同期検出回路131の出力に加算される。ディザ信号が加算された位相差同期検出回路131の出力が積分器133に入力される。なお、ディザ信号は、積分器113,133への入力に限らず、ランプ発生器114,134、加算器116,136などへの入力であってもよい。ディザ信号の入力位置などに応じて、ディザ信号の周波数、振幅などは、適宜に変更され得る。
積分器113,133の入力に電気的ディザ信号を与える場合、電気的ディザ信号の周波数fDは、位相差制御ループが応答できる周波数fcloseより低く設定される。また、電気的ディザ信号の振幅は、それによる位相差制御ループの出力変化が、不感帯領域の大きさより十分大きくなるように設定されている。制御ループがディザ信号に応答することで、ゼロ点近傍で発生する不感帯が除去される。一般的に位相差制御ループが応答できる周波数fcloseは、数百Hz程度に設定される。位相差制御ループが応答できる周波数fcloseと、電気的ディザの周波数fDと、デジタル演算回路の動作周波数fpとの間には、(8)式の関係が成り立つ。
fD < fclose ≪ fp (8)
fD < fclose ≪ fp (8)
バイアス安定性0.01 deg/h以下の高精度なFOGでは、一般に数百mから数千m程度のファイバ長を有しており、ファイバコイル伝搬時間は演算処理を時分割して行うのに十分な時間幅がある。例えば、ファイバ長Lが1000 mのとき、ファイバの屈折率n≒1.5及び光速cに基づくと、光波がファイバコイル11を伝搬する時間τは、τ = nL/c≒5μsとなる。デジタル演算回路100の演算周期をτ/4とした場合、演算周期は1.25μsとなる。すなわち、動作周波数fpは、fp = 800 kHzとなる。
制御回路(A系統)110の積分器113の出力には、図7(a)に示すような第1の電気的ディザ信号に由来するノイズが含まれる。制御回路(B系統)130の積分器133の出力には、図7(b)に示すような第2の電気的ディザ信号に由来するノイズが含まれる。本実施形態では、ジャイロ出力(角速度)を取得するにあたって、このようなディザ信号に由来するノイズをキャンセルするために、加算平均器170によって、制御回路(A系統)110の積分器113の出力と制御回路(B系統)130の積分器133の出力との加算平均が用いられる。制御回路(A系統)110に入力されたディザ信号と制御回路(B系統)130に入力されたディザ信号とは逆相であるため、加算平均することで、ノイズは互いにキャンセルされる。このようにして、ジャイロ出力について、電気的ディザの影響を受けることなく不感帯除去が実現される。
上述のとおり4値バイアス変調は、τ/2毎に位相が変化するように行われる。不感帯除去のために電気的ディザ信号を印加している本実施形態のデジタル演算回路100では、この電気的ディザ信号による擾乱ノイズをキャンセルするために制御回路(A系統)110と制御回路(B系統)130との2系統の制御回路が設けられている。そして、上述のτ/2の期間は前半と後半とに時分割され、一方で制御回路(A系統)110が動作し、他方で制御回路(B系統)130が動作する。このように、2つの動作系統はτ/4毎に交互に切り替えられるように、デジタル演算回路100は動作する。言い換えると、制御回路(A系統)110と制御回路(B系統)130とのそれぞれは、τ/2毎に演算を行う。制御回路(A系統)110の出力と制御回路(B系統)130の出力とは、マルチプレクサ152によってτ/4毎に交互に選択されて、選択されたバイアス変調とデジタルセロダイン変調とディザ信号とを加算した位相変調波形は、DAコンバータ23を介して変調ドライバ24へと入力され、それに応じて位相変調器12aが動作する。
本実施形態の位相変調では、バイアス変調と、デジタルセロダイン変調と、ディザ信号加算とが行われるが、説明を簡略化するために、図3(a)に示すようなバイアス変調のみが光波に与えられた場合を想定して図8について説明する。図3(a)に動作系統を示すように、前半で制御回路(A系統)110が動作し、後半で制御回路(B系統)130が動作する。図3(a)に示すようなバイアス変調が与えられたとき、ファイバコイル11が静止しているときには、受光器15の出力は、図8(a)に示すようにスパイクを除いて一定になる。一方、ファイバコイル11が角速度を有しているときには、受光器15の出力には、図8(b)に示すように位相差誤差信号が現れる。
制御回路(A系統)110により、干渉パターン上の4つの観測点(I,II,III,IV)で得られるデータを、それぞれDAI,DAII,DAIII,DAIVとする。すなわち、DAI,DAII,DAIII,DAIVは、それぞれ図8(a)(b)に示したDAI,DAII,DAIII,DAIVを付した期間のスパイクを除いてサンプルされた値となる。制御回路(A系統)110は、DAII又はDAIIIから、DAI又はDAIVを減算することで、A系統の位相差誤差の検出を行う。
同様に、制御回路(B系統)130により、干渉パターン上の4つの観測点(I,II,III,IV)で得られるデータを、それぞれDBI,DBII,DBIII,DBIVとする。すなわち、DBI,DBII,DBIII,DBIVは、それぞれ図8(a)(b)に示したDBI,DBII,DBIII,DBIVを付した期間のスパイクを除いてサンプルされた値となる。制御回路(B系統)130は、DBII又はDBIIIから、DBI又はDBIVを減算することで、B系統の位相差誤差の検出を行う。
また、Vπ振幅が適正値と異なるとき、例えば適正値より大きい場合、受光器15の出力には、図8(c)に示すように振幅誤差信号が現れる。このときに、制御回路(A系統)110により、干渉パターン上の4つの観測点(I,II,III,IV)で得られるデータを、それぞれDaI,DaII,DaIII,DaIVとする。すなわち、DaI,DaII,DaIII,DaIVは、それぞれ図8(c)に示したDaI,DaII,DaIII,DaIVを付した期間のスパイクを除いてサンプルされた値となる。制御回路(A系統)110は、DaII又はDaIVから、DaI又はDaIIIを減算することで、A系統の振幅誤差の検出を行う。
同様に、制御回路(B系統)130により、干渉パターン上の4つの観測点(I,II,III,IV)で得られるデータを、それぞれDbI,DbII,DbIII,DbIVとする。すなわち、DbI,DbII,DbIII,DbIVは、それぞれ図8(c)に示したDbI,DbII,DbIII,DbIVを付した期間のスパイクを除いてサンプルされた値となる。制御回路(B系統)130は、DbII又はDbIVから、DbI又はDbIIIを減算することで、B系統の振幅誤差の検出を行う。
制御回路(A系統)110は、A系統の動作タイミングでサンプルしたデータを用いて、上述のように位相差誤差検出及び振幅誤差検出を行ってA系統のループ制御を行う。制御回路(B系統)130は、B系統の動作タイミングでサンプルしたデータを用いて、上述のように位相差誤差検出及び振幅誤差検出を行ってB系統のループ制御を行う。このようにして、制御回路(A系統)110と制御回路(B系統)130とは、完全に分離独立したクローズドループ制御を行う。
DAコンバータ23を介して出力される信号は、制御回路(A系統)110と制御回路(B系統)130とのそれぞれの動作タイミングに応じた信号が、マルチプレクサ152で選択されたものとなる。したがって、制御回路(A系統)110で生成された位相変調波形と制御回路(B系統)130で生成された位相変調波形とが交互に出力される。
不感帯を除去するために、位相差制御ループ内の積分器の入力部に、制御ループの応答帯域内の周波数で、正負2値の電気的ディザ信号を加算し、平均化することは知られている(例えば、非特許文献1)。電気的ディザ信号を加算すると、電気的ディザ信号による擾乱ノイズのためにセンサ性能が低下してしまう。電気的ディザ信号による擾乱ノイズを取り除いてセンサ性能の低下を防ぐために、これまでに知られている方法では、後段でカットオフ周波数が低いローパスフィルタを用いたフィルタリングが行われたり、ディザ信号周期の半周期分遅延させた角速度出力が角速度出力に加算されたりする。しかしながら、これらの方法では、高速が要求される応答性能が低下してしまう。
本実施形態によれば、デジタルクローズドループ方式のFOG1において、不感帯が除去されると共に、ディザ信号の周波数によらずに制御回路の動作周波数に応じて角速度出力が得られるので、角速度出力に関する高速応答性能が低下することがなく、電気的ディザ信号による影響は除去される。したがって、高いジャイロ性能を有したデジタルクローズドループ方式のFOG1が実現される。
[第1の変形例]
上述の実施形態の第1の変形例について説明する。ここでは、上述の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については、その説明を省略する。クローズドループの制御回路(A系統)110とクローズドループの制御回路(B系統)130とで各々独立に動作する。このため、制御回路(A系統)110に用いるバイアス変調と、制御回路(B系統)130に用いるバイアス変調とは、異なるパターンとすることができる。
上述の実施形態の第1の変形例について説明する。ここでは、上述の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については、その説明を省略する。クローズドループの制御回路(A系統)110とクローズドループの制御回路(B系統)130とで各々独立に動作する。このため、制御回路(A系統)110に用いるバイアス変調と、制御回路(B系統)130に用いるバイアス変調とは、異なるパターンとすることができる。
図9は、本変形例に係る光波に与えられるバイアス変調とそのときに観測されるバイアス位相差及び干渉パターンとについて説明するための図であり、上述の実施形態の図3に対応する図である。本変形例においても、位相変調では、バイアス変調と、デジタルセロダイン変調と、ディザ信号加算とが行われるが、説明を簡略化するために、図9(a)に示すようなバイアス変調のみが光波に与えられた場合を想定して説明する。本変形例の4値バイアス変調ついて、制御回路(A系統)110では、光波に[+π/4,+3π/4,−π/4,−3π/4]の繰り返しのバイアス変調が与えられる。一方、制御回路(B系統)130では、光波に、制御回路(A系統)110におけるバイアス変調パターンとは反転したバイアス変調、すなわち、[−π/4,−3π/4,+π/4,+3π/4]の繰り返しのバイアス変調が与えられる。
その結果、A系統では、2光波間に[+π/2,+3π/2,−π/2,−3π/2]の繰り返しとなるバイアス位相差が発生し、B系統では、2光波間に[−π/2,−3π/2,+π/2,+3π/2]の繰り返しとなるバイアス位相差が発生し、互いに逆相関係となる。
A系統とB系統とでは、発生するバイアス位相差が互いに逆相関係となるので、制御ループ内においてランダムに発生する電気的又は光学的なノイズの影響が低減する。
図9(a)に示すようなバイアス変調が与えられたとき、受光器15の出力は、ファイバコイル11が静止しているときには、図10(a)に示すようにスパイクを除いて一定になり、ファイバコイル11が角速度を有しているときには、図10(b)に示すように位相差誤差信号が現れる。上述の実施形態と同様に、制御回路(A系統)110は、図10(a)(b)に示したDAI,DAII,DAIII,DAIVを付した期間のスパイクを除いてサンプルされた値を用いて、DAII又はDAIIIからDAI又はDAIVを減算することで、A系統の位相差誤差の検出を行う。制御回路(B系統)130は、図10(a)(b)に示したDBI,DBII,DBIII,DBIVを付した期間のスパイクを除いてサンプルされた値を用いて、DBII又はDBIIIからDBI又はDBIVを減算することで、B系統の位相差誤差の検出を行う。
また、Vπ振幅が適正値と異なるとき、例えば適正値より大きい場合、受光器15の出力には、図10(c)に示すように振幅誤差信号が現れる。上述の実施形態と同様に、制御回路(A系統)110は、図10(c)に示したDaI,DaII,DaIII,DaIVを付した期間のスパイクを除いてサンプルされた値を用いて、DaII又はDaIVからDaI又はDaIIIを減算することで、A系統の振幅誤差検出を行う。制御回路(B系統)130は、図10(c)に示したDbI,DbII,DbIII,DbIVを付した期間のスパイクを除いてサンプルされた値を用いて、DbII又はDbIVからDbI又はDbIIIを減算することで、B系統の振幅誤差の検出を行う。
このような例によれば、上述の実施形態の場合よりもさらに精度のよいFOG1が実現され得る。
[第2の変形例]
上述の実施形態の第2の変形例について説明する。ここでは、上述の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については、その説明を省略する。上述の実施形態では、制御回路(A系統)110と制御回路(B系統)130とは同様の構成を有している。振幅制御ループの動作は、制御回路(A系統)110と制御回路(B系統)130とで、制御対象が位相変調器12aに関するものであり共通である。このため、振幅制御ループについては、制御ループが共用され得る。
上述の実施形態の第2の変形例について説明する。ここでは、上述の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については、その説明を省略する。上述の実施形態では、制御回路(A系統)110と制御回路(B系統)130とは同様の構成を有している。振幅制御ループの動作は、制御回路(A系統)110と制御回路(B系統)130とで、制御対象が位相変調器12aに関するものであり共通である。このため、振幅制御ループについては、制御ループが共用され得る。
図11は、第2の変形例に係るデジタルクローズドループ方式FOG1の構成例の概略を示す図である。この例では、制御回路(B系統)130の振幅制御ループは省略されている。すなわち、上述の実施形態における振幅誤差同期検出回路141、積分器142、2π基準値発生器143、加算器144は省略されている。そして、制御回路(A系統)110の振幅制御ループの出力、すなわち、加算器124の出力が、制御回路(B系統)130の乗算器139にも入力される。
このような例によっても、FOG1は、上述の実施形態の場合と同様に動作し、同様の効果が得られる。なお、当然に、第1の変形例と第2の変形例とは組み合わせて採用され得る。
また、振幅制御ループをA系統とB系統で共用する場合、振幅制御をデジタル演算回路100内の乗算器119,139を用いて行うことに限らない。例えば、第2のDAコンバータにより振幅制御出力が外部に出力され、第1のDAコンバータで出力された位相差制御の電圧基準に入力されることにより、デジタル演算回路100の外部で振幅制御が実施され得る。
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。例えば、デジタルクローズドループ方式のFOG1では、バイアス変調を固有周波数fe = 1/2τを有した矩形波で行う場合や、各制御回路の演算周期をτで行う場合など、バイアス変調のパターンや固有周波数、制御回路の演算周期等について様々な形態が採用され得るし、それに伴って必要となる種々の変形等が行われ得る。
1 光ファイバジャイロ(FOG)
10 FOG光学系
11 ファイバコイル
12 多機能光集積回路
12a 位相変調器
13 光カプラ
14 光源
15 受光器(PD)
20 クローズドループ制御回路
21 ゲインアンプ
22 ADコンバータ(ADC)
23 DAコンバータ(DAC)
24 変調ドライバ
100 デジタル演算回路
110 制御回路(A系統)
111 位相差同期検出回路
112 加算器
113 積分器
114 ランプ発生器
115 4値バイアス変調波形発生器
116 加算器
119 乗算器
121 振幅誤差同期検出回路
122 積分器
123 基準値発生器
124 加算器
130 制御回路(B系統)
131 位相差同期検出回路
132 加算器
133 積分器
134 ランプ発生器
135 4値バイアス変調波形発生器
136 加算器
139 乗算器
141 振幅誤差同期検出回路
142 積分器
143 基準値発生器
144 加算器
151 動作タイミング生成器
152 マルチプレクサ(MUX)
160 ディザ信号出力部
161 ディザ信号発生器
162 反転器
170 加算平均器
10 FOG光学系
11 ファイバコイル
12 多機能光集積回路
12a 位相変調器
13 光カプラ
14 光源
15 受光器(PD)
20 クローズドループ制御回路
21 ゲインアンプ
22 ADコンバータ(ADC)
23 DAコンバータ(DAC)
24 変調ドライバ
100 デジタル演算回路
110 制御回路(A系統)
111 位相差同期検出回路
112 加算器
113 積分器
114 ランプ発生器
115 4値バイアス変調波形発生器
116 加算器
119 乗算器
121 振幅誤差同期検出回路
122 積分器
123 基準値発生器
124 加算器
130 制御回路(B系統)
131 位相差同期検出回路
132 加算器
133 積分器
134 ランプ発生器
135 4値バイアス変調波形発生器
136 加算器
139 乗算器
141 振幅誤差同期検出回路
142 積分器
143 基準値発生器
144 加算器
151 動作タイミング生成器
152 マルチプレクサ(MUX)
160 ディザ信号出力部
161 ディザ信号発生器
162 反転器
170 加算平均器
Claims (5)
- デジタルクローズドループ方式を用いた干渉型光ファイバジャイロの制御方法であって、
それぞれ独立した位相差制御ループを実行する第1の制御回路と第2の制御回路とを交互に動作させることと、
前記第1の制御回路で実行される位相差制御ループに第1の電気的ディザ信号を印加することと、
前記第2の制御回路で実行される位相差制御ループに前記第1の電気的ディザ信号と逆相の第2の電気的ディザ信号を印加することと、
前記第1の制御回路により算出される角速度に係る第1の値と前記第2の制御回路により算出される角速度に係る第2の値とを加算平均することで角速度に係る値を算出することと
を含む制御方法。 - デジタルクローズドループ方式を用いた干渉型光ファイバジャイロの制御装置であって、
位相差制御ループを実行する第1の制御回路と、
前記第1の制御回路と独立した位相差制御ループを実行し、前記第1の制御回路と交互に動作する第2の制御回路と、
前記第1の制御回路で実行される位相差制御ループに第1の電気的ディザ信号を印加し、前記第2の制御回路で実行される位相差制御ループに前記第1の電気的ディザ信号と逆相の第2の電気的ディザ信号を印加するように構成されたディザ信号出力部と、
前記第1の制御回路により算出された角速度に係る第1の値と前記第2の制御回路により算出された角速度に係る第2の値とを加算平均することで角速度に係る値を算出する加算平均器と
を備える制御装置。 - 前記制御装置の演算周期は、ファイバコイル伝搬時間τの1/4であり、
前記第1の制御回路と前記第2の制御回路とは、τ/4間隔で交互に動作して各々の演算周期はτ/2となっており、
前記第1の制御回路と前記第2の制御回路とは、それぞれ光波に[+π/4,+3π/4,−π/4,−3π/4]の位相変化を繰り返し与える4値バイアス変調により、2光波間に[+π/2,+3π/2,−π/2,−3π/2]の繰り返しバイアス位相差を発生させる、
請求項2に記載の制御装置。 - 前記制御装置の演算周期は、ファイバコイル伝搬時間τの1/4であり、
前記第1の制御回路と前記第2の制御回路とは、τ/4間隔で交互に動作して各々の演算周期はτ/2となっており、
前記第1の制御回路は、光波に[+π/4,+3π/4,−π/4,−3π/4]の位相変化を繰り返し与える4値バイアス変調により、2光波間に[+π/2,+3π/2,−π/2,−3π/2]の繰り返しバイアス位相差を発生させ、
前記第2の制御回路は、光波に[−π/4,−3π/4,+π/4,+3π/4]の位相変化を繰り返し与える4値バイアス変調により、2光波間に[−π/2,−3π/2,+π/2,+3π/2]の繰り返しバイアス位相差を発生させる、
請求項2に記載の制御装置。 - 干渉型光ファイバジャイロを構成する、光源と、ファイバコイルと、位相変調器と、受光器とを有する光ファイバジャイロ光学系と、
前記受光器により検出された光強度を取得して、前記位相変調器の動作を制御して前記角速度に係る値を算出するように構成された、請求項2〜4のいずれかに記載の制御装置と
を備える光ファイバジャイロ。
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CN115560743A (zh) * | 2022-12-07 | 2023-01-03 | 中国船舶集团有限公司第七〇七研究所 | 光纤陀螺的误差分析及消除方法及装置 |
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2019
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