JP2021080367A - 土壌改良剤、土壌、土壌改良方法及び改良された土壌の製造方法 - Google Patents

土壌改良剤、土壌、土壌改良方法及び改良された土壌の製造方法 Download PDF

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Hiroto Koyama
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Abstract

【課題】土壌の団粒構造が維持され易く、かつ土壌本来の菌叢が維持され易くなる土壌改良剤、土壌、土壌改良方法及び改良された土壌の製造方法の提供。【解決手段】リグニン含有材料から有機溶媒を含む溶媒で抽出されたリグニン誘導体を含み、有機溶媒が、水酸基及びエーテル結合からなる群から選択される1種以上を有する化合物を含む、土壌改良剤。前記水酸基及びエーテル結合からなる群から選択される1種以上を有する化合物がフェノール化合物を含む、土壌改良剤。【選択図】なし

Description

本発明は、土壌の団粒構造が維持され易く、かつ土壌本来の菌叢が維持され易くなる土壌改良剤、土壌、土壌改良方法及び改良された土壌の製造方法に関する。
特許文献1には、農作物の生産性を向上するための土壌改良剤として、アルカリニトロベンゼン酸化によるアルデヒド収率が5質量%以上であり、重量平均分子量が300以上100,000以下であり、水に対する接触角が15°以上であるリグニン分解物を有効成分とする土壌改良剤が開示されている。
特開2017−190448号公報
しかし、特許文献1の技術には、土壌の団粒構造を維持し、かつ土壌本来の菌叢を維持する観点でさらなる改善の余地が見出された。
本発明の目的は、土壌の団粒構造が維持され易く、かつ土壌本来の菌叢が維持され易くなる土壌改良剤、土壌、土壌改良方法及び改良された土壌の製造方法を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討の結果、リグニン含有材料から特定の溶媒で抽出されたリグニン誘導体によって、土壌の団粒構造が維持され易く、かつ土壌本来の菌叢が維持され易くなることを見出して、本発明を完成させるに至った。
本発明によれば、以下の土壌改良剤等が提供される。
1.リグニン含有材料から有機溶媒を含む溶媒で抽出されたリグニン誘導体を含み、
前記有機溶媒が、水酸基及びエーテル結合からなる群から選択される1種以上を有する化合物を含む、土壌改良剤。
2.前記水酸基及びエーテル結合からなる群から選択される1種以上を有する化合物が、下記式(1)で表される化合物を含む、1に記載の土壌改良剤。
R−OH (1)
(式(1)において、Rは、炭素数1〜10のアルキル基、又は置換若しくは無置換のフェニル基である。)
3.前記水酸基及びエーテル結合からなる群から選択される1種以上を有する化合物がフェノール化合物を含む、1又は2に記載の土壌改良剤。
4.前記水酸基及びエーテル結合からなる群から選択される1種以上を有する化合物が、下記式(3)で表される化合物を含む、1〜3のいずれかに記載の土壌改良剤。
−O−R (3)
(前記式(3)において、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜15のアルキル基、環形成炭素数3〜15のシクロアルキル基、環形成炭素数6〜15のアリール基、又は環形成原子数5〜15の1価の複素環基である。)
5.前記水酸基及びエーテル結合からなる群から選択される1種以上を有する化合物が、下記式(4)で表される化合物を含む、1〜4のいずれかに記載の土壌改良剤。
Figure 2021080367
(前記式(4)において、Oを含む破線で示される環は複素環を表す。前記複素環は、前記式(4)に示されるOと、破線で示される2価の炭化水素基とによって構成される。前記複素環の環形成原子数は3、4、5、6、7、8、9又は10である。Rは、前記2価の炭化水素基の1以上の水素原子を置換する置換基である。nは0〜5の整数である。nが複数の場合、複数の前記Rは、同一でも異なってもよい。)
6.前記水酸基及びエーテル結合からなる群から選択される1種以上を有する化合物が、フェノール化合物が有するフェノール性水酸基の水素原子をアルキル基で置換した化合物を含む、1〜3のいずれかに記載の土壌改良剤。
7.さらに、微生物農薬を含む、1〜6のいずれかに記載の土壌改良剤。
8.さらに、pHが9以上又は4以下の範囲で分解される化合物を含む、1〜7のいずれかに記載の土壌改良剤。
9.1〜8のいずれかに記載の土壌改良剤を含む、土壌。
10.1〜8のいずれかに記載の土壌改良剤を土壌に供給することを含む、土壌改良方法。
11.1〜8のいずれかに記載の土壌改良剤を土壌に供給することを含む、改良された土壌の製造方法。
本発明によれば、土壌の団粒構造が維持され易く、かつ土壌本来の菌叢が維持され易くなる土壌改良剤、土壌、土壌改良方法及び改良された土壌の製造方法が提供できる。
以下に発明を実施するための各態様について説明する。尚、以下において記載される本発明の個々の好ましい実施形態を2つ以上組み合わせた実施形態もまた、本発明の好ましい実施形態である。
(土壌改良剤)
本発明の一態様に係る土壌改良剤は、リグニン含有材料から有機溶媒を含む溶媒で抽出されたリグニン誘導体を含み、前記有機溶媒が水酸基及びエーテル結合からなる群から選択される1種以上を有する化合物(以下、「有機溶媒A」ともいう。)を含む。
本態様に係る土壌改良剤によれば、土壌の団粒構造が維持され易く、かつ土壌本来の菌叢が維持され易くなる。これにより、土壌において栽培される農作物等の植物へのストレスを軽減でき、生産性の向上を期待できる。
本態様において、リグニン誘導体は、土壌を改良するための有効成分である。本明細書において、土壌が「改良」されたとは、土壌が上述のリグニン誘導体を含むことを意味する。
一実施形態において、リグニン含有材料から上述の特定の溶媒で抽出されたリグニン誘導体は、高純度であり、糖類の含有量が少ないため、土壌本来の菌叢がさらに維持され易くなる。
一実施形態において、リグニン含有材料から上述の特定の溶媒で抽出されたリグニン誘導体は、UV(紫外線)吸収率が高いため、土壌本来の菌叢がさらに維持され易くなる。
一実施形態において、リグニン含有材料から上述の特定の溶媒で抽出されたリグニン誘導体を供給した土壌は、pHの変動が少なく、pHが5〜8の範囲、より好ましくはpHが5.5〜7.0の範囲に保たれ易いため、土壌本来の菌叢がさらに維持され易くなる。また、上記のように土壌のpHの変動が少ないことにより、土壌に供給された微生物農薬を構成する微生物を殺傷することが防止される。さらに、土壌において、強酸又は強塩基に弱い化合物(強酸又は強塩基により分解される化合物)を保護することができる。
一実施形態において、リグニン含有材料から上述の特定の溶媒で抽出されたリグニン誘導体を供給した土壌においては、微生物の生存率が高くなるため、土壌本来の菌叢がさらに維持され易くなる。
一実施形態において、リグニン含有材料から上述の特定の溶媒で抽出されたリグニン誘導体を供給した土壌は、団粒構造を維持し易いため、土壌表層の土膜化(硬化)が抑制され、土壌の通気性が良好に保たれる。
(リグニン誘導体)
本明細書において、「リグニン誘導体」とは、リグニン含有材料に含まれるリグニンが上述の特定の溶媒によって抽出されたリグニン由来の抽出物をいう。
リグニンを抽出するための有機溶媒として有機溶媒Aを用いることで、当該リグニン由来の抽出物が親水性に変性されることを好適に防止することが期待される。なお、抽出されるリグニン誘導体は、有機溶媒Aを含む有機溶媒と反応していても構わない。有機溶媒Aを用いることで好適にリグニン由来の抽出物を抽出し得る。
本明細書において、「リグニン」とは、p−ヒドロキシケイ皮アルコール類である3種類のリグニンモノマーが重合した高分子化合物であり、下記式(A)で表される基本骨格を有する。
Figure 2021080367
上記式(A)において、置換基であるR及びRは水素原子又はメトキシ基を示す。R及びRの両方が水素原子のものはp−ヒドロキシフェニル核(H型骨格)、R及びRのいずれか一方が水素原子のものはグアイアシル核(G型骨格)、R及びRの両方が水素原子でないものはシリンギル核(S型骨格)と称される。
なお、上記式(A)中のXは炭素原子に結合していることを示し、Yは水素原子又は炭素原子に結合していることを示す。
一実施形態において、リグニンには芳香族部位(式(A)で表される基本骨格)だけではなく脂肪族部位も存在するが、本態様のリグニン誘導体は、有機溶媒Aを含む溶媒で抽出することによって、親水性が増加することを防止できる。このとき、加熱下で抽出すること(抽出条件を高温にすること)によって、脂肪族水酸基を減少させることが期待できる。これにより、疎水性が向上し、団粒構造が維持され易くなることが期待できる。
(リグニン含有材料)
リグニン含有材料は、リグニンを含有する材料であれば格別限定されない。
一実施形態において、リグニン含有材料は、バイオマス及びバイオマス残渣からなる群から選択される1以上である。
バイオマス残渣としては、例えば木本系バイオマス及び草本系バイオマス等のような植物系バイオマス由来のものが挙げられる。
例えば、バイオマス残渣としては、植物系バイオマスの糖化残渣及び発酵残渣(第2世代エタノール糖化残渣、第2世代エタノール発酵残渣等)、及び黒液(サルファイトリグニン、クラフトリグニン、ソーダリグニン等)等が挙げられ、これらのいずれか1種以上を使用することができる。これらの中でも、入手容易性、リグニン誘導体の品質、及び経済性の観点から、リグニン含有材料として、植物系バイオマスの糖化残渣及び発酵残渣のいずれか1種以上を使用することが好ましい。
木本系バイオマス、草本系バイオマスは、非食系植物バイオマスであり得、またリグノセルロース系バイオマスであり得る。
木本系バイオマスとしては、例えば、スギ、ヒノキ、ヒバ、サクラ、ユーカリ、ブナ、タケ等のような針葉樹、広葉樹が挙げられる。
草本系バイオマスとしては、例えば、パームヤシの樹幹・空房、パームヤシ果実の繊維及び種子、バガス(さとうきび及び高バイオマス量さとうきびの搾り滓)、ケーントップ(さとうきびのトップ及びリーフ)、エナジーケーン、稲わら、麦わら、トウモロコシの穂軸・茎葉・残渣(コーンストーバー、コーンコブ、コーンハル)、ソルガム(スイートソルガムを含む)残渣、ヤトロファ種の皮及び殻、カシュー殻、スイッチグラス、エリアンサス、高バイオマス収量作物、エネルギー作物等が挙げられる。
これらのなかでも、草本系バイオマスであることが好ましく、パームヤシの空房、麦わら、トウモロコシの穂軸・茎葉・残渣(コーンストーバー、コーンコブ、コーンハル)、バガス、ケーントップ、エナジーケーン、それら有用成分抽出後の残渣がより好ましく、トウモロコシの穂軸・茎葉・残渣(コーンストーバー、コーンコブ、コーンハル)、バガス、ケーントップ、エナジーケーンがより好ましい。なお、上記有用成分には、例えば、ヘミセルロース、糖質、ミネラル、水分等が含まれる。
バガスには、5〜30質量%程度のリグニンが含まれる。また、バガス中のリグニンは基本骨格として、H核、G核及びS核の全てを含む。
植物系バイオマスは、粉砕されたものを用いることもできる。また、ブロック、チップ、粉末、また水が含まれた含水物のいずれの形態でもよい。
バガスやコーンストーバー等に、オルガノソルブ法、加圧熱水法、水蒸気爆砕法、アンモニア処理法、アンモニア爆砕法、酸処理法、アルカリ処理法、酸化分解法、熱分解及びマイクロ波加熱法等の処理をして、好ましくは酸処理やアンモニア爆砕や水蒸気爆砕等の処理をして、溶液側へヘミセルロースを分離した後、酵素によってセルロースをグルコースとしてこれも溶液側へ分離する、もしくはヘミセルロースを分離しないままセルロースと共に糖化して溶液側へ分離し、残った固体が植物系バイオマスの糖化残渣である。もしくは糖類を分離せずに、発酵によりエタノールとして溶液側へ分離し、残った固体が植物系バイオマスの発酵残渣である。
植物系バイオマスの糖化残渣は、リグニンを主成分とし、分解有機物や触媒、酵素、灰分、セルロース等が含まれている。また、植物系バイオマスの発酵残渣は、リグニンを主成分とし、分解有機物や触媒、酵素、酵母、灰分、セルロース等が含まれている。
リグニン誘導体の製造方法の具体的な実施の態様例は後述の実施例に示すが、例えば次のとおりである。植物系バイオマスの糖化残渣及び発酵残渣のいずれか1種以上を原料とし、上述の特定の溶媒を添加する。約2〜4時間加熱を継続した後、加熱液は不溶物を含んでいるため、No.2濾紙を用いて熱時濾過する。濾過固体は未抽出成分と無機夾雑物である。濾過液は減圧下で蒸留し、溶媒を除去する。蒸留で除去しきれない溶媒は真空乾燥、あるいは必要に応じてアセトンに溶解させ、貧溶媒である水で再沈殿等を繰り返すことで除去される。分離される固体はリグニン誘導体である。
また、原料として用いられるリグニン含有材料として、非食系植物バイオマスからオルガノソルブ法、加圧熱水法、水蒸気爆砕法、アンモニア処理法、アンモニア爆砕法、酸処理法、アルカリ処理法、酸化分解法、熱分解及びマイクロ波加熱法等の処理をして、分離したリグニンを用いることもできる。具体的には、例えば、有機溶媒又は有機溶媒及び水を含む溶媒を用い、高温で処理することで非食系植物バイオマスに含まれるリグニンを溶媒に溶出させ、当該リグニン含有溶液を濾過してセルロース等を除去した後、溶液を濃縮、乾固することにより、分離したリグニンを用いることもできる。なお、上記有機溶媒として有機溶媒Aを用いることによって、非食系植物バイオマスからリグニン誘導体を直接抽出することもできる。
(溶媒)
抽出に用いる溶媒は、有機溶媒を含む。有機溶媒は、有機溶媒Aを含む。
有機溶媒Aは、水酸基及びエーテル結合からなる群から選択される1種以上を有する化合物である。
一実施形態において、有機溶媒Aは、1以上の水酸基を有し、エーテル結合を有しない。
一実施形態において、有機溶媒Aは、水酸基を有せず、1以上のエーテル結合を有する。
一実施形態において、有機溶媒Aは、1以上の水酸基及び1以上のエーテル結合を有する。
上記の各実施形態において、有機溶媒Aは、さらにケトン構造を有するか又はケトン構造を有しない。ケトン構造とは、C=Oで表される構造である。
有機溶媒Aは、極性が高いケトン構造を有しないことがより好ましい。
有機溶媒Aが水酸基を有する場合、有機溶媒Aが有する水酸基の数は格別限定されず、例えば、1以上であり得、また、10以下、5以下、4以下、3以下、2以下であり得る。有機溶媒Aが有する水酸基の数は、1、2、3、4又は5であり得、1、2又は3であり得、1又は2であり得、1であり得る。
水酸基を2つ有する有機溶媒Aとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等が挙げられる。また、水酸基を3つ有する有機溶媒Aとしては、例えば、グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ヘプタトリオール、1,2,4−ヘプタトリオール、1,2,5−ヘプタトリオール、2,3,4−ヘプタトリオール等が挙げられる。水酸基を4つ有する有機溶媒Aとしては、例えば、ペンタエリスリトール、エリトリトール等が挙げられる。水酸基を5つ有する有機溶媒Aとしては、例えば、キシリトール等が挙げられる。水酸基を6つ有する有機溶媒Aとしては、例えば、ソルビトール等が挙げられる。
これらの水酸基を2以上有する有機溶媒A(水酸基を複数有する有機溶媒A)としては、リグニンの抽出効率向上、経済性の観点から、好ましくはエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びグリセリンからなる群から選ばれる1種以上であり、より好ましくはエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、及びグリセリンからなる群から選ばれる1種以上であり、更に好ましくはエチレングリコール及びグリセリンからなる群から選ばれる1種以上であり、更に好ましくはエチレングリコールである。
有機溶媒Aは、下記式(1)で表される化合物であることが好ましい。
R−OH (1)
(式(1)において、Rは、炭素数1〜10のアルキル基、又は置換若しくは無置換のフェニル基である。)
Rが炭素数1〜10のアルキル基である場合、アルキル基の炭素数は、1以上、2以上、3以上又は4以上であり得、また、10以下、8以下、6以下であり得る。アルキル基は直鎖状であってもよく分岐状であってよい。
特にアルキル基の炭素数を2以上とすることで、リグニン由来の抽出物が親水性に変性されることをより顕著に防止することが期待できる。また、炭素数が2以上、3以上、さらには4以上と大きくなる程、そのような効果がさらに顕著に発揮されることが期待できる。
Rが炭素数1〜10のアルキル基である式(1)で表される化合物として、例えば、メタノール、エタノール、1−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ターシャリーブチルアルコール、1−ペンチルアルコール、2−ペンチルアルコール、3−メチル−1−ブチルアルコール、1−ヘキシルアルコール、シクロヘキシルアルコール、1−へプチルアルコール、1−オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール等が挙げられる。
Rが置換若しくは無置換のフェニル基である場合、式(1)で表される化合物(フェノール化合物とも称する。)は、水酸基(式1中の「OH」基)に対する置換基の位置である2位、4位及び6位のうち少なくとも1つが水素原子であることが好ましく、下記式(2)で表される化合物であることがより好ましい。
Figure 2021080367
上記式(2)において、R1及びR2はそれぞれ独立して、水素原子、水酸基又は炭素数1〜15のアルキル基を示し、R1及びR2は同一でも異なっていてもよい。
炭素数1〜15のアルキル基は、直鎖状であってもよく分岐状であってよい。炭素数1〜15のアルキル基は、好ましくは炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜5の直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基である。
式(2)で表される化合物としては、例えば、フェノール、レゾルシノール、フロログルシン、m−クレゾール、3−エチルフェノール、及び3−プロピルフェノール等の3−アルキルフェノール;5−メチルレゾルシノール、5−エチルレゾルシノール、及び5−プロピルレゾルシノール等の5−アルキルレゾルシノール;3,5−ジメチルフェノール、3−メチル−5−エチル−フェノール、及び3,5−ジエチルフェノール等の3,5−ジアルキルフェノール等が挙げられる。
有機溶媒として、フェノール化合物を用いる場合は、リグニン誘導体は、フェノール化合物と反応することによって、H型骨格及びG型骨格の骨格が増加することが期待できる。
有機溶媒として、フェノール化合物を用いる場合は、リグニンとフェノール化合物とが反応することによって、リグニン中の式(A)で表されるリグニン基本骨格における置換基R及びRが、フェノール化合物に由来する構造へ転移する置換反応が生じることが期待できる。
有機溶媒として、フェノール化合物を用いる場合は、リグニン誘導体は、フェノール化合物と反応することによって、UV吸収率が向上し、微生物の生存率が高くなるため、土壌本来の菌叢が維持され易くなることが期待できる。
有機溶媒Aがエーテル結合を有する場合、有機溶媒Aが有するエーテル結合の数は格別限定されず、例えば、1以上であり得、また、10以下、5以下、4以下、3以下、2以下であり得る。有機溶媒Aが有するエーテル結合の数は、1、2、3、4又は5であり得、1、2又は3であり得、1又は2であり得、1であり得る。
有機溶媒Aが有するエーテル結合の数は、少ないほど好ましい。
エーテル結合を有する有機溶媒Aの炭素数は格別限定されず、例えば、2以上又は3以上であり得、また、20以下又は10以下であり得る。
一実施形態において、エーテル結合を有する有機溶媒Aは、下記式(3)で表される化合物である。
−O−R (3)
(式(3)において、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜15のアルキル基、環形成炭素数3〜15のシクロアルキル基、環形成炭素数6〜15のアリール基、又は環形成原子数5〜15の1価の複素環基である。)
式(3)において、炭素数1〜15のアルキル基は、直鎖状であってもよく分岐状であってよい。炭素数1〜15のアルキル基は、好ましくは炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜5の直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基である。
式(3)において、環形成炭素数3〜15のシクロアルキル基は、好ましくは環形成炭素数3〜12のシクロアルキル基であり、より好ましくは環形成炭素数3〜10のシクロアルキル基である。
式(3)において、環形成炭素数6〜15のアリール基は、好ましくは環形成炭素数6〜10のアリール基であり、より好ましくは環形成炭素数6のアリール基である。
式(3)において、環形成原子数5〜15の1価の複素環基は、好ましくは環形成炭素数5〜10の1価の複素環基であり、より好ましくは環形成炭素数5又は6の1価の複素環基である。
一実施形態において、エーテル結合を有する有機溶媒Aは、下記式(4)で表される化合物である。
Figure 2021080367
(式(4)において、Oを含む破線で示される環は複素環を表す。複素環は、式(4)に示されるOと、破線で示される2価の炭化水素基とによって構成される。複素環の環形成原子数は3、4、5、6、7、8、9又は10である。Rは、前記2価の炭化水素基の1以上の水素原子を置換する置換基である。nは0〜5の整数である。nが複数の場合、複数のRは、同一でも異なってもよい。)
式(4)において、破線で示される2価の炭化水素基は、飽和又は不飽和である。複素環が不飽和である場合、複素環は、芳香族性であるか又は芳香族性ではない。
式(4)におけるRは、式(3)におけるR又はRとして例示した基、アルデヒド基、水酸基、ヒドロキシメチル基、カルボキシル基、又はアミノ基である。
式(4)において、nは0〜2の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましい。
エーテル結合を有する有機溶媒Aとして、例えば、水酸基を有する有機溶媒Aとして例示したもののうちの一部(エーテル結合を有するもの)が挙げられる。
また、エーテル結合を有する有機溶媒Aとして、例えば、上述したフェノール化合物が有するフェノール性水酸基の水素原子をアルキル基で置換した化合物が挙げられる(この置換に伴ってエーテル結合が形成される)。ここで、アルキル基の炭素数は、例えば1〜15であり得る。炭素数1〜15のアルキル基は、直鎖状であってもよく分岐状であってよい。炭素数1〜15のアルキル基は、好ましくは炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜5の直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基である。
エーテル結合を有する有機溶媒Aとして、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アニソール、フルフラール等が挙げられる。
有機溶媒Aは、1種又は2種以上を併用してもよい。
有機溶媒Aとして、例えば、Rが炭素数1〜20のアルキル基である式(1)で表される化合物から選択される1種又は2種以上と、Rが置換若しくは無置換のフェニル基である式(1)で表される化合物から選択される1種又は2種以上とを併用してもよい。具体例を挙げれば、エタノールとフェノールとを併用することができる。
有機溶媒Aとして1種又は2種以上を併用することにより、UV吸収率、純度等を適宜調整することが期待できる。
有機溶媒は、有機溶媒A以外の他の有機溶媒を含んでもよい。
他の有機溶媒は格別限定されず、例えば、メチルエチルケトン等のケトン類、及び芳香族類等が挙げられる。他の有機溶媒は、1種又は2種以上を併用してもよい。
一実施形態において、有機溶媒の10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、97質量%以上又は99質量%以上が、
有機溶媒Aであるか、
(a)1以上の水酸基を有し、エーテル結合を有しない有機溶媒A、(b)水酸基を有せず、1以上のエーテル結合を有する有機溶媒A、及び(c)1以上の水酸基及び1以上のエーテル結合を有する有機溶媒Aからなる群から選択される1種以上であるか、
式(1)で表される化合物であるか、又は
式(2)で表される化合物である。
抽出に用いる溶媒は、有機溶媒以外に水を含んでもよい。
抽出に用いる溶媒における有機溶媒に対する水の割合は、例えば、有機溶媒100質量部に対して、10質量部以上、20質量部以上、30質量部以上、50質量部以上又は70質量部以上であり得、また、900質量部以下、700質量部以下、400質量部以下、300質量部以下又は100質量部以下であり得る。
リグニン含有材料からリグニン誘導体を溶媒で抽出する際に、溶媒は相分離しても、相分離しなくてもよい。溶媒が相分離する場合、「抽出に用いる溶媒」は、リグニン誘導体を最も高濃度で含む相を構成する溶媒を意味する。
(抽出)
本発明における抽出とは、リグニン以外の成分を含有するリグニン含有材料からリグニン由来の抽出物を含むリグニン誘導体を抽出することをいう。
一実施形態における「抽出」とは、リグニン含有材料がリグニンを含有する固形物である場合にリグニンを含有する固形物からリグニン誘導体を抽出するものを指し、既にリグニンの全部が溶解された溶液(例えば塩基性化合物を含む水溶液)に有機溶媒Aを加えるものではない。かかる実施形態において、抽出前のリグニン含有材料(有機溶媒Aを加える前のリグニン含有材料)は、
リグニンを含有する固形物と、既に溶媒に溶解されたリグニンとを含むか、又は
リグニンを含有する固形物を含み、既に溶媒に溶解されたリグニンを含まない。
抽出に際して、リグニン含有材料に対して添加する溶媒の添加量は格別限定されない。
リグニン含有材料中のリグニンに対する有機溶媒Aの質量比[有機溶媒A/リグニン]は、例えば、0.1以上であり得、また、15以下、10以下、5以下、4以下、3以下、2以下、1以下、0.7以下又は0.5であり得る。
(酸触媒)
上述した抽出は、無触媒又は触媒下で行うことができる。触媒としては、例えば酸触媒等が挙げられる。酸触媒としては、リン酸、リン酸エステル、塩酸、硫酸、及び硫酸エステル等の無機酸、酢酸、ギ酸、シュウ酸、及びp−トルエンスルホン酸等の有機酸等が挙げられる。酸触媒は、1種又は2種以上を併用してもよい。
酸触媒は、リグニン及び有機溶媒Aの合計量を100質量部としたときに、例えば、0質量%超、0.1質量%以上又は0.2質量%以上であり得、また、5.0質量%以下、3.0質量%以下又は2.6質量%以下であり得る。
抽出を無触媒で進行させる場合は、例えば抽出工程後の後処理(精製工程)を省略することができる。
抽出温度は、リグニン含有材料からリグニン誘導体を抽出可能であれば格別限定されず、例えば、100℃以上、140℃以上、140℃超、150℃以上又は180℃以上であり得、また、350℃以下、300℃以下、270℃以下、250℃以下又は230℃以下であり得る。140℃超であればリグニン(リグニン誘導体)の溶解性を向上して抽出を促進することができ、また300℃以下であればリグニン再結合の進行を好適に防ぐことができる。
抽出時間は、適宜設定可能であり、例えば、0.1時間以上、0.5時間以上、1時間以上又は2時間以上であり得、また、15時間以下、10時間以下又は8時間以下であり得る。
(精製)
リグニン誘導体は、上述の抽出により製造される。抽出されたリグニン誘導体をそのまま土壌改良剤として用いてもよいが、必要に応じて、抽出後に精製してもよい。以下に精製の一例について説明する。
抽出後のリグニン誘導体は、精製(精製工程)として、まず、固液分離工程に供することができる。抽出後のリグニン誘導体は溶媒に溶解しているが、未抽出成分や無機残渣は固体として液中に存在している。これらは濾過(熱時)により除去することが好ましい。例えば、抽出液はNo.5CあるいはNo.2等の濾紙を取り付けた加圧(熱時)濾過器に入れ、20〜100℃程度、20〜70℃程度、通常20〜50℃程度で、0.1〜0.99MPa程度、通常0.1〜0.4MPa程度で加圧濾過する。濾過固体は適宜溶媒で希釈及び/又は洗浄し、濾過してもよい。当該濾過においてリグニン誘導体は濾液中に含まれる。また、例えば、抽出生成液を水、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、テトラヒドロフラン等のエーテル類等の低沸点汎用溶媒のいずれか1種以上で希釈及び/又は洗浄し、固液分離してもよい。当該固液分離においてリグニン誘導体は溶液中に含まれる。
固液分離を行う方法は特に限定されないが、濾過、フィルタープレス、遠心分離、脱水機等を挙げることができる。
また、上記リグニン誘導体を含有する溶液を、蒸留に供してもよい。蒸留は、40〜200℃程度、通常50〜150℃程度の温度、3〜20kPa程度、通常5〜10kPa程度の減圧下、減圧蒸留して溶媒及び芳香族化合物を除去して行うことができる。当該蒸留においてリグニン誘導体は固体として得られる。また、例えば、その他の希釈溶媒を用いる場合は、溶媒の沸点を考慮した適当な温度で、減圧蒸留して低沸点汎用溶媒を除去し、その後、上記と同様の方法で、抽出に用いた溶媒を除去して行うことができる。当該蒸留においてリグニン誘導体は固体として得られる。
蒸留により得られたリグニン誘導体を、通常50〜200℃に加熱して、固体あるいは溶融状態で、真空乾燥することにより、残留する溶媒(例えば有機溶媒A)を除去して精製してもよい。また、蒸留後の加熱された流動状態にあるリグニン誘導体を、そのまま同様の真空乾燥をすることにより、残留する溶媒(例えば有機溶媒A)を除去して精製してもよい。
蒸留あるいは減圧乾固により得られたリグニン誘導体に、有機溶媒Aが残留している場合は、かかるリグニン誘導体をアセトン等の溶媒に溶解させ、リグニン誘導体の貧溶媒であるイオン交換水等を加えて再沈殿させることにより有機溶媒Aを除去して精製してもよい。
また、精製工程において、上記濾過、蒸留、減圧乾固及び再沈殿は繰り返し行ってもよく、いずれか1つ又は2つ以上を組み合わせて行ってもよい。
リグニン誘導体中に残留する有機溶媒Aは、特に限定されないが、これらの総量に対して、通常30質量%未満であり、10質量%未満が好ましく、5質量%未満がより好ましく、1質量%未満がさらに好ましい。
本発明のリグニン誘導体の製造方法により、植物系バイオマスの糖化残渣や、植物系バイオマスの発酵残渣に含まれるリグニンの含有量のうち、50質量%以上がリグニン誘導体として取出されることが好ましく、60質量%以上がリグニン誘導体として取出されることがより好ましく、70質量%以上がリグニン誘導体として取出されることがさらに好ましく、80質量%以上がリグニン誘導体として取出されることがよりさらに好ましく、90質量%以上がリグニン誘導体として取出されることがよりさらに好ましい。
(他の成分)
土壌改良剤は、他の成分として、例えば、微生物農薬、及びpHが9以上又は4以下の範囲で分解される化合物からなる群から選択される1以上を含むことができる。
微生物農薬は格別限定されず、例えば、アーバスキュラー菌根菌(arbuscular mycorrhizalfungus)等の真菌、バチルス(Bacillus)属細菌、シュードモナス(Pseudomonas)属細菌、アゾスピリラム(Azospirillum)属細菌、パエニバチルス(Paenibacillus)属細菌、バークホルデリア(Burkholderia)属細菌、セラチア(Seratia)属細菌、エンテロバクター(Enter obacter)属細菌、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属細菌、クルトバクテリウム(Curtobacterium)属細菌、マメ科共生根粒菌等の細菌等が挙げられる。
上記成分のうち、アーバスキュラー菌根菌(arbuscularmycorrhizal fungus)の例としては、ギガスポラ(Giga-spora)属やグロムス(Glomus)属に属する真菌が挙げられる。このうち、グロムス(Glomus)属真菌の例としては、グロムス・イントララジカス(Glomus intraradices)が挙げられる。
上記成分のうち、バチルス(Bacillus)属細菌の例としては、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)が挙げられる。シュードモナス(Pseudomonas)属細菌の例としては、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、シュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorescen)が挙げられる。アゾスピリラム属細菌の例としては、アゾスピリラム・ブラジレンス(Azospirillum brasilense)、アゾスピリラム・リポフェラム(Azospirillum lipoferum)、アゾスピリラム・ハロプレファランス(Azospirillum halopraeferans)、アゾスピリラム・アマゾネンセ(Azospirillum amazonense)が挙げられる。パエニバチルス(Paenibacillus)属細菌の例としては、パエニバチルス・ポリミキサ(Paenibacillus polymyxa)、パエニバチルス・マセランス(Paenibacillus macerans)が挙げられる。バークホルデリア(Burkholderia)属細菌の例としては、バークホルデリア・グラディオリ(Burkholderia gladioli)が挙げられる。セラチア(Seratia)属細菌の例としては、セラチア・マルセセンス(Seratia marcescens)が挙げられる。エンテロバクター(Enterobacter)属細菌の例としは、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)が挙げられる。ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属細菌の例としては、ブレビバクテリウム・ヨーディナム(Brevibacterium iodinum)、ブレビバクテリウム・ブレビス(Brevibacterium brevis)が挙げられる。クルトバクテリウム(Curtobacterium)属細菌の例としては、クルトバクテリウム・フラカムファシエンス(Curtobacterium flaccumfaciens)が挙げられる。マメ科共生根粒菌の例としては、リゾビウム(Rhizobium)属、ブラジリゾビウム(Bradyrhizobiu)属、アゾリゾビウム(Azorhizobium)属に属する細菌が挙げられる。ブラジリゾビウム(Bradyrhizobiu)属細菌の例としては、ブラジリゾビウム・ジアゾエフィシエンス(Bradyrhizobium diazoefficiens)、ブラジリゾビウム・ジャポニクム(Bradyrhizobium japonicum)、ブラジリゾビウム・エルカニ(Bradyrhizobium elkanii)、エンシファ・フレディ(Ensifer fredii)が挙げられる。
土壌改良剤における微生物農薬の含有量は格別限定されない。また、微生物農薬は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
土壌改良剤は、微生物農薬を、リグニン誘導体1gあたり102cfu(コロニー形成単位)以上107cfu以下含有することができる。ここで、微生物農薬が真菌である場合には、コロニー形成単位は胞子の個数を意味する。
土壌改良剤は、土壌に元来存在する微生物だけでなく、微生物農薬を構成する微生物の生存率も高めるため、微生物農薬による作用が好適に発揮される。
pHが9以上又は4以下の範囲で分解される化合物(以下、化合物Bとも称する。)としては、例えば、バチルス・サブチリスの生産するサーファクチン(Surfactin)、イツリン(Iturin)、バシロマイシン(Bacillomycin)等が挙げられる。化合物Aは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
土壌改良剤が化合物Bを含むことによって、植物の土壌病害の抑止、病害抵抗性の誘導、植物の成長促進といった効果が得られる。また、土壌改良剤を含む土壌は、pH変動が抑制され、好ましくは土壌のpHが5〜8の範囲、より好ましくはpHが5.5〜7.0の範囲に保持されるため、化合物BのpH変動による分解が抑制され、化合物Bによる作用が安定に発揮される。
一実施形態において、土壌改良剤の10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、97質量%以上又は99質量%以上が、
リグニン誘導体であるか、又は
リグニン誘導体、並びに、微生物農薬及び化合物Bからなる群から選択される1以上である。
土壌改良剤は、固体(例えば粉体)で使用してもよいし、土壌改良剤と水等の溶媒とを混合した液状体として使用してもよい。
(土壌)
本発明の一態様に係る土壌(改良された土壌)は、本発明の一態様に係る土壌改良剤を含む。
土壌改良剤により改良される土壌は格別限定されず、例えば、アメリカの土壌分類方式「土壌タクソノミー(Soil Taxonomy)」(1974年)によるところの、インセプティソル(Inceptisols)、エンティソル(Entisols)、バーティソル(Vertisols)、アルフィソル(Alfisols)、又はアルティソル(Ultisols)に属する土壌が挙げられ、好ましくはインセプティソル、エンティソル、バーティソル、又はアルフィソルに属する土壌であり、更に好ましくはインセプティソル、エンティソル、又はバーティソルに属する土壌である。
一実施形態において、土壌は、農作物等の植物を栽培するための土壌である。
(土壌改良方法、及び改良された土壌の製造方法)
本発明の一態様に係る土壌改良方法又は改良された土壌の製造方法は、本発明の一態様に係る土壌改良剤を土壌に供給することを含む。
土壌への土壌改良剤の供給は、土壌に土壌改良剤を混合する方法、及び土壌に土壌改良剤を散布する方法等が挙げられ、これらの1以上の方法を用いることができる。
一実施形態において、固体の土壌改良剤を土壌と混合する、又は固体の土壌改良剤と水等の溶媒とを混合した液状物を土壌と混合する。土壌改良剤を固体で使用する場合は、粉体として使用することが好ましい。
圃場において土壌改良剤を土壌に混合する方法としては、例えば、耕運機などに散布機を併用し、土壌改良剤を散布しながら耕す方法が挙げられる。
土壌への土壌改良剤の供給量は格別限定されず、例えば、土壌100質量部に対して土壌改良剤が、0.0001質量部以上、0.01質量部以上又は0.05質量部以上であり得、また、10質量部以下、5質量部以下又は2.5質量部以下であり得る。土壌改良剤を土壌に混合する場合は、この量で混合することが好ましい。
土壌改良剤を散布して土壌に供給する場合は、例えば、土壌10aに対して土壌改良剤が0.2kg以上、2kg以上又は20kg以上であり得、また、20000kg以下、5000kg以下又は2000kg以下であり得る。土壌改良剤を散布する場合も、土壌100質量部あたりの供給量を上述した範囲としてもよい。
本明細書に記載される各種測定値は、特に断りのない限り、室温(23℃)における測定値である。
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
(1)抽出工程
植物系バイオマスの糖化残渣(リグニン含有量:55質量%)100質量部と、溶媒としてフェノール220質量部とを撹拌可能な1.0Lの耐圧容器に入れて、220℃で2時間加熱・撹拌し、リグニン誘導体を抽出した。
(2)精製工程
(2−1)濾過
No.2濾紙を組込んだ加圧濾過器を組立て、ここに上記抽出工程で得られた抽出液を入れ、圧縮空気又は窒素で0.1〜0.4MPaに加圧し、濾過した。
(2−2)蒸留
上記濾過した濾液を、エバポレーターを用い、減圧下(5〜10kPa)、加熱(40〜60℃)して減圧蒸留し、溶媒を除去した。
(2−3)減圧乾固
上記蒸留で残留した溶媒(フェノール)を除去するため、減圧下(1.0〜5.0kPa)、加熱(120〜150℃)して真空乾燥し、フェノールを除去し、リグニン誘導体1を得た。
<評価方法>
(1)リグニン誘導体の純度
実施例において、リグニン誘導体の純度は、リグニン誘導体に下記前処理を行った後、下記構成糖分析によって算出した。
[前処理]
前処理として、ウィレーミルを用いて試料となる原料を粉砕し、105℃で乾燥した。
[構成糖分析]
上記原料の試料の適量を量りとり、72質量%硫酸を加え、30℃において、随時撹拌しながら1時間放置した。この反応液を純水と混釈しながら耐圧瓶に完全に移し、オートクレーブにて120℃で1時間処理した後、濾液と残渣とを、濾別した。濾液中の単糖については、高速液体クロマトグラフ法により定量を行った。
[リグニン]
構成糖分析の過程で濾別して得られた残渣を105℃で乾燥し、重量を計測し、分解残渣率を算定した。さらに、灰分量補正することで、酸不溶性リグニンの含有量を算定した。また、構成糖分析で濾別し得られた液を、吸光度計を用いて210nmの波長で測定し、酸可溶性リグニンの吸光係数(110L・g−1・cm−1)を用いて濃度を算定した。リグニン誘導体の純度を、酸不溶性リグニンと酸可溶性リグニンの濃度の和と定義した。
(2)UV吸収率
島津UV−3100PC紫外可視近赤外分析光度計(測定条件、データ取り込み間隔:1.0nm、スリット幅:3.0、スキャンスピード:中速)を用いて、紫外可視吸収スペクトル(UV−vis吸収スペクトル)を測定した。得られたUV−vis吸収スペクトルにおいて260nmから300nmの間で吸光度が極大となる点をピークトップとした。該ピークトップにおける吸光度をUV吸収率とした。分析試料は、リグニン誘導体の水:THF=1:2(体積比)混合溶媒可溶分とした。
(3)pH
HORIBA社製ポータブル型pHメーターD−71に、電極としてHORIBA社製低電気伝導率水・非水溶媒用pH電極6377−10Dを装着し、校正後、リグニン誘導体の溶媒(水:アセトン=1:2(質量比)混合溶媒)可溶分のpHを測定した。
実施例2
溶媒として、エタノール154質量部、フェノール44質量部及び水22質量部を混合して使用し、抽出温度を200℃、抽出時間を4時間とした以外は実施例1と同様に行い、リグニン誘導体2を得た。
実施例3
溶媒として、エタノール200質量部及び水20質量部を混合して使用した以外は実施例2と同様に行い、リグニン誘導体3を得た。
比較例1
実施例1のリグニン誘導体1に代えて、比較リグニン1(SIGMA−ALDRICH社製Lignosulfonic acid calcium salt(製品番号471054)))を用いた他は実施例1と同様にして土壌を改良した。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
以上の結果を表1に示す。
Figure 2021080367
表1より、実施例1〜3は、比較例1に比べ、高純度であり、UV吸収率が高く、また、pHの変動が少なく、pHが5.5〜7.0の範囲に保たれ易いことがわかる。
さらに、実施例1〜3の土壌改良剤を供給した土壌においては、団粒構造が維持されることが確認された。一方、比較例1においては、団粒構造が維持されず、土壌の粒子が微細化されることが確認された。

Claims (11)

  1. リグニン含有材料から有機溶媒を含む溶媒で抽出されたリグニン誘導体を含み、
    前記有機溶媒が、水酸基及びエーテル結合からなる群から選択される1種以上を有する化合物を含む、土壌改良剤。
  2. 前記水酸基及びエーテル結合からなる群から選択される1種以上を有する化合物が、下記式(1)で表される化合物を含む、請求項1に記載の土壌改良剤。
    R−OH (1)
    (式(1)において、Rは、炭素数1〜10のアルキル基、又は置換若しくは無置換のフェニル基である。)
  3. 前記水酸基及びエーテル結合からなる群から選択される1種以上を有する化合物がフェノール化合物を含む、請求項1又は2に記載の土壌改良剤。
  4. 前記水酸基及びエーテル結合からなる群から選択される1種以上を有する化合物が、下記式(3)で表される化合物を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の土壌改良剤。
    −O−R (3)
    (前記式(3)において、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜15のアルキル基、環形成炭素数3〜15のシクロアルキル基、環形成炭素数6〜15のアリール基、又は環形成原子数5〜15の1価の複素環基である。)
  5. 前記水酸基及びエーテル結合からなる群から選択される1種以上を有する化合物が、下記式(4)で表される化合物を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の土壌改良剤。
    Figure 2021080367
    (前記式(4)において、Oを含む破線で示される環は複素環を表す。前記複素環は、前記式(4)に示されるOと、破線で示される2価の炭化水素基とによって構成される。前記複素環の環形成原子数は3、4、5、6、7、8、9又は10である。Rは、前記2価の炭化水素基の1以上の水素原子を置換する置換基である。nは0〜5の整数である。nが複数の場合、複数の前記Rは、同一でも異なってもよい。)
  6. 前記水酸基及びエーテル結合からなる群から選択される1種以上を有する化合物が、フェノール化合物が有するフェノール性水酸基の水素原子をアルキル基で置換した化合物を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の土壌改良剤。
  7. さらに、微生物農薬を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の土壌改良剤。
  8. さらに、pHが9以上又は4以下の範囲で分解される化合物を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の土壌改良剤。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の土壌改良剤を含む、土壌。
  10. 請求項1〜8のいずれかに記載の土壌改良剤を土壌に供給することを含む、土壌改良方法。
  11. 請求項1〜8のいずれかに記載の土壌改良剤を土壌に供給することを含む、改良された土壌の製造方法。
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