JP2021080241A - シーケンシング用ライブラリの調製方法 - Google Patents
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Abstract
Description
サンプルDNAを断片化すること;及び、
調製したサンプルDNAの断片を1本鎖特異的ヌクレアーゼで処理し、該断片から1本鎖部分を除去すること、
を含み、
該サンプルDNAが、生細胞から抽出したDNA、凍結細胞から抽出したDNA、又はそれらのDNAの保存サンプルである、
方法を提供する。
該シーケンシング用ライブラリをシーケンシングすること、
を含む、ゲノムDNAの変異を検出する方法を提供する。
本明細書において、「変異(又は突然変異)」(mutation)とは、DNAに生じる突然変異をいい、例えば、DNAにおける塩基又は配列の欠失、挿入、置換、付加、逆位、及び転座が挙げられる。本明細書における変異は、1塩基の欠失、挿入、置換、付加、ならびに2以上の塩基からなる配列の欠失、挿入、置換、付加、逆位、及び転座を包含する。また本明細書における変異には、遺伝子のコード領域及び非コード領域における変異が含まれ、また発現するアミノ酸の変化を伴う変異、及び発現するアミノ酸の変化を伴わない変異(サイレント変異)が含まれる。
シーケンシング用ライブラリ調製の過程で、DNA断片の端部の1本鎖突出部位に酸化修飾等の塩基の修飾が生じた場合、末端修復工程における当該修飾塩基の誤った塩基とのペア形成、及び該誤った塩基を有する鎖のPCR増幅により、2本の相補鎖に変異が起きた場合と同じ相補鎖情報を有するライブラリが調製される。このようなライブラリは、相補鎖情報を活用したシーケンシングにおいても取り除くことができないエラーをもたらし得る。本発明者は、相補鎖情報を活用したシーケンシングにおいて、GC→TA、GC→CGの変異において、C→A、C→Gに比べて、G→T、G→Cの変異が高頻度に検出されることを確認した(図1)。これら高頻度の変異は、グアニンが酸化修飾されたことに起因するエラーと考えられた。このエラーの原因として、シーケンシング用ライブラリの調製過程で断片化されたサンプルDNAの末端に1本鎖突出が生じ、該1本鎖突出部位のグアニンが酸化修飾されたためと考えられた(下記概念図1左)。
本発明においては、ライブラリ調製の過程で、サンプルDNAを超音波等により断片化してDNA断片を調製したのちに、該サンプルDNA断片を1本鎖特異的ヌクレアーゼで処理して、その1本鎖部分を除去することにより、酸化修飾等によるシーケンシングのエラーを効率的に低減する(概念図1右)。
本発明によるライブラリの調製方法で用いられる「サンプルDNA」は、2本鎖DNAであればよく、その由来は動物、植物、微生物などを含み、特に限定されない。該サンプルDNAの種類としては、ゲノムDNA、ミトコンドリアゲノムDNA、葉緑体ゲノムDNA、プラスミドDNA、ウイルスゲノムDNA、合成DNAなどが挙げられ、限定されないが、ゲノムDNAが好ましい。
サンプルDNAの断片化は、超音波処理、酵素処理など、切断箇所がランダムになる当該分野における通常の方法を用いて実施することができる。DNAの断片化処理の具体的な例としては、コバリス社のDNA Shearingシステムなどを用いた集中超音波処理等が挙げられる。調製する断片の長さは、シーケンサーが精度よく読み取れる長さに応じて適宜選択され得る。一般的には、100〜10,000bpが選択され得るが、シーケンサーが精度よく読み取れる限りは10,000bp以上の長さの断片が調製されてもよく、シーケンサーの種類に依存してより適切な範囲が選択され得る。例えば、断片の増幅を行うシーケンシング反応用のシーケンサーにかける場合は、断片の長さは平均長100〜1000bpが好ましく、平均長200〜500bpがより好ましい。あるいは、より長い断片を調製し、これを後述するPCRにかけ、シーケンシング反応に適切な長さのPCR産物を調製してもよい。
本発明の方法では、上述した新鮮なサンプルDNAを断片化した後、得られた断片を1本鎖特異的ヌクレアーゼで処理し、該断片から1本鎖部分を除去する。従来の1本鎖特異的ヌクレアーゼ処理は、FFPEサンプルのDNAやcfDNA等の比較的分解や損傷を受けており、既に断片化した状態でサンプル中に存在するDNAを対象としていた。本発明のように分解の程度が低い新鮮なDNAを、ライブラリ調製のために1本鎖特異的ヌクレアーゼで処理したことはこれまで報告されていない。
・S1 nuclease:30mM酢酸ナトリウム(pH4.6、25℃)、50mM NaCl、1mM ZnCl2、5%グリセロール、0.5mg/mL変性仔牛胸腺DNAの混合溶液中において、37℃で1分間に1μgの酸可溶性物質を生成する酵素活性。
・MBN:熱変性仔牛胸腺DNAを基質として、37℃、pH5.0において、1分間に1μgの酸可溶性分解物を生成する酵素活性。
・RecJf:全反応液50μL(1×NE Buffer 2及び1.5μgの超音波処理[3H]標識1本鎖E.coli DNAを含む)中、37℃、1分間で、0.5ngのトリクロロ酢酸可溶性デオキシリボヌクレオチドを生成する酵素活性。
指標=初期DNA量(amol/MbpサンプルDNA)×3log S1 nuclease (U/ng)
(式中、S1 nuclease(U/ng)>0.05、logは常用対数である)が、好ましくは60以下、より好ましくは30以下、さらに好ましくは15以下、さらにより好ましくは7.5以下である。また、例えばMBNでは、ユニット数が0.05U/ngより大きい場合、下記式で算出される指標:
指標=初期DNA量(amol/MbpサンプルDNA)×3log MBN (U/ng)
(式中、MBN(U/ng)>0.05、logは常用対数である)が、好ましくは60以下、より好ましくは30以下、さらに好ましくは15以下、さらにより好ましくは7.5以下である。一方、0.05U/ng以下のS1 nucleaseもしくはMBN、又はユニット数に関わらずRecJfを用いる場合、前記の式は成立せず、後述する増幅(PCR)工程の初期DNA量は、サンプルDNA 1Mbpあたり、好ましくは250amol以下、より好ましくは125amol以下、さらに好ましくは62.5amol以下、さらにより好ましくは31.3amol以下、なお好ましくは15.7amol以下である。
本発明においては、上記サンプルDNA断片の1本鎖特異的ヌクレアーゼ処理以降は、通常の手順に従って、シーケンシング用ライブラリを調製することができる。例えば、1本鎖特異的ヌクレアーゼ処理したDNA断片を、必要に応じて、末端修復、末端への塩基付加、増幅などの処理にかけて、ライブラリを調製する。好ましくは、該末端修復、末端への塩基付加、及び増幅が、この順序で全て行われる。該末端修復、末端への塩基付加、及び増幅の工程は、TruSeq Nano DNA Library Prep Kit(イルミナ社)などの市販の試薬を用いて実施することができる。
サンプルDNA断片は、1本鎖特異的ヌクレアーゼで処理した後にも、末端に短い1本鎖突出部位が残存することがある。末端修復では、該ヌクレアーゼ処理後のDNA断片において、該残存する1本鎖突出部位を有する末端を平滑化する。該平滑化処理では、一般に、T4 DNAポリメラーゼ等の3'→5'エキソヌクレアーゼにより3'側突出末端が除去され、一方、5'側突出末端は、5'→3'ポリメラーゼにより対となる鎖が合成され、これによりDNA断片の両端が平滑化される。
末端への塩基付加は、末端平滑化したDNA断片に対して、その両端へのシーケンシングに必要な標識配列の付加や、該標識配列を付加するための3'末端へのアデニンの付加を行う処理である。標識配列が付加されたDNA断片を増幅し、シーケンシングすることで、該DNA断片の配列情報と該標識配列の情報とを取得することができ、また該標識配列の情報に従って、リード配列を識別又は分類することができる。例えば、DNA断片の両末端に付加した標識配列は、リード配列が該DNA断片の全配列の情報を有するかを判断する指標となる。あるいは、DNA断片の片方の末端に標識配列を付加し、該標識配列を含まない側からシーケンシングすることで、リード配列が該サンプルDNA断片の全配列の情報を有するかを判断することができる。
DNA断片の増幅には、PCR等の既存の方法を用いることができる。得られた増幅断片は、必要に応じて通常の手順で精製し、シーケンシング用ライブラリとして用いることができる。PCRは、市販のPCR用試薬や機器を用いて、常法に従って実施することができる。あるいは、PCR増幅装置を備えたシーケンサーを用いてもよい。サンプルDNAの断片のPCR増幅をその工程に含む高スループットシーケンサーとしては、HiSeq(イルミナ社製)、MiSeq(イルミナ社製)などが上市されている。
上記の手順で得られたライブラリを用いてシーケンシングを実施することができる。本発明で得られたライブラリは、各種シーケンシング方法に適用可能である。好ましくは、本発明で得られたライブラリは、相補鎖情報を活用したシーケンシング(例えば、特許文献4に記載のシーケンシング方法)に用いられる。以下に、特許文献4を参考に、本発明で得られたライブラリを用いた、相補鎖情報を活用したシーケンシング方法(以下、本シーケンシング方法という)の概要を説明する。
本シーケンシング方法は、基本的には、本発明で得られたライブラリをシーケンシングし、該ライブラリに含まれる各サンプルDNAの断片由来の複数の増幅断片の各々について1つ以上の読み取り結果(リード配列)を作成し、複数の増幅断片についての複数のリード配列を得ること;該シーケンシングで得られたリード配列の中から、該サンプルDNA上の同一領域の配列情報を有するリード配列を集めること;集めたリード配列の情報を用いて、該サンプルDNAの配列情報を構築すること、を含む。
ライブラリのシーケンシングは、解析等に必要な部分、例えば後述する変異解析の場合、参照配列との配列比較に使用すべき部分について行えば足りる。例えば、その配列の少なくとも一部、好ましくは全体が、参照配列のDNA領域に対応する断片をシーケンシングすればよい。哺乳動物細胞等の場合には、エクソン領域等を選択的にシーケンシングしてもよい。領域の選択には、SureSelect(アジレント・テクノロジー社製)等のキットが上市されている。
次いで、得られた複数のリード配列の中から、各リード配列の配列情報に基づいて、サンプルDNA上の同一領域の配列情報を有するリード配列を集める。集めたリード配列は、グループ化される。したがって、本発明の方法で作成される「リード配列のグループ」とは、サンプルDNA上の同一領域の配列情報を有するリード配列の集合であり、言い換えると、同一のサンプルDNA断片に由来すると推定されるリード配列の集合である。本発明の方法においては、通常、ライブラリ調製の際にPCRにかけたサンプルDNA断片の数とシーケンシングデータの量に依存して、1つ以上のリード配列のグループが作成され得る。
次に、得られたリード配列のグループから、サンプルDNAの配列情報を抽出する。詳細には、該リード配列のグループに含まれるリード配列の情報を用いて1つの配列データを導き出す。得られた配列データは、該グループのリード配列が由来する特定のサンプルDNAの断片についてのコンセンサス配列を表す。
シーケンシングエラーを引き起こす、DNAの酸化修飾等による塩基の置換は、基本的にはDNA2本鎖のうち片方の鎖だけに起こる。したがって、DNAの2本の相補鎖それぞれについてのシーケンシング情報を用いることで、片方の鎖にのみ発生した塩基の置換を変異として検出することなく、2本鎖に固定された真の変異のみを同定することが可能となる。DNAの2本の相補鎖の配列は、相補的であるものの、互いに等価の情報を有する。従って理論上は、シーケンシングで得られたリード配列の中から等価の情報を有する配列を探すことにより、相補鎖の情報を得ることが可能である。例えば、ある生物種のゲノム配列からサンプルDNAを調製した場合、サンプルDNAの断片を構成する2本の相補鎖それぞれに由来する読み取り領域が同一である2つのリード配列は、解析対象となる生物種の参照配列にマッピングした場合には、ゲノムの同一箇所にマッピングされる。したがって、ゲノムの同一箇所にマップされ得るリード配列を集めて、それらリード配列をその由来する相補鎖によって選抜することで、2本の相補鎖のそれぞれに由来するリード配列を取得することができる。さらにそれら2本の相補鎖に由来するリード配列間でのコンセンサスをとることにより、相補鎖の情報を反映させた高精度なリード情報を得ることが可能である。
本シーケンシング方法の一実施形態においては、上記(3−2)で述べたライブラリのシーケンシングの際に、該ライブラリに含まれる該複数の増幅断片の各々に対して1本のリード配列を作成する代わりに、2本のリード配列からなるリード配列のペア(すなわち「リードペア」)が1つ作成される。作成されたリードペアから、上記と同様の原理で、サンプルDNAの配列情報が抽出される。
上述したリードペアを用いて、相補鎖情報を用いたDNAのシーケンシング方法を行うことができる。当該方法では、上記(3−6)で述べたライブラリのシーケンシングの際に、各サンプルDNAの断片を構成する2本の相補鎖の各々に由来する増幅断片に対して、1つ以上のリードペアが作成される。すなわち、1個のサンプルDNAの断片に対して2つ以上のリードペアが取得され、それらのリードペアは、該サンプルDNAの断片の2本の相補鎖の一方及び他方についての配列情報を有する。したがって、本実施形態においては、上述したシーケンシングで得られる複数のリード配列は、複数個のリードペアを含む。
あるいは、上述した個別断片標識配列を用いることで、サンプルDNAの断片の2本の相補鎖にそれぞれ由来するリード配列を識別することができる。この場合、必ずしもリード配列又はリードペアのグループを作成する必要はなく、個別の標識配列の情報に基づいて、1つのDNA断片の2本の相補鎖に由来するリード配列を抽出することができる。抽出したリード配列間でのコンセンサスをとることにより、相補鎖の情報を反映させた高精度なリード情報を得ることが可能である。
本シーケンシング方法では、サンプルDNAの個別の断片を識別するための標識(個別断片標識配列)を用いない場合、本来異なるDNA断片に由来する配列を誤って同一断片として誤認識する可能性があり、そのため本来変異として検出されるべきものがエラーと見なされて見逃される可能性がある。
一方、該1本鎖特異的ヌクレアーゼ処理で0.05U/ngより大きいユニット数でS1 nucleaseを用いる場合、ユニット数の増加に伴い断片の誤認識率が増加し得る。そのため、該ヌクレアーゼ処理での反応液中におけるS1 nucleaseのユニット数(U/ng)に応じて初期DNA量を設定することが望ましい。S1 nucleaseのユニット数(>0.05U/ng)と初期DNA量の適切な条件は、下記の式より算出される指標で表され、
指標=初期DNA量(amol/Mbp)×3log S1 nuclease (U/ng)
(式中、S1 nuclease(U/ng)>0.05、logは常用対数である。)
当該指標は、好ましくは60以下、より好ましくは30以下、さらに好ましくは15以下、さらにより好ましくは7.5以下である。
一方、該1本鎖特異的ヌクレアーゼ処理で0.05U/ngより大きいユニット数でMBNを用いる場合、ユニット数の増加に伴い断片の誤認識率が増加し得る。そのため、該ヌクレアーゼ処理での反応液中におけるMBNのユニット数(U/ng)に応じて初期DNA量を設定することが望ましい。MBNのユニット数(>0.05U/ng)と初期DNA量の適切な条件は、下記の式より算出される指標で表され、
指標=初期DNA量(amol/Mbp)×3log MBN (U/ng)
(式中、MBN(U/ng)>0.05、logは常用対数である。)
当該指標は、好ましく60以下、より好ましくは30以下、さらに好ましくは15以下、さらにより好ましくは7.5以下である。
より好ましくは、サンプルDNAのサイズは約5Mbpであり、PCR初期DNA量は20〜625amolであり、シーケンシングデータ量は、リード配列又はリードペア数で0.4〜6250×106個(0.08〜1250Gbp)、好ましくは0.8〜3125×106個(0.16〜625Gbp)、より好ましくは1.6〜1563×106個(0.32〜313Gbp)、さらに好ましくは3.2〜1250×106個(0.64〜250Gbp)である。
さらに好ましくは、サンプルDNAのサイズは約5Mbpであり、PCR初期DNA量は39〜313amolであり、シーケンシングデータ量は、リード配列又はリードペア数で0.78〜3130×106個(0.156〜626Gbp)、好ましくは1.56〜1565×106個(0.312〜313Gbp)、より好ましくは3.12〜783×106個(0.624〜157Gbp)、さらに好ましくは6.24〜626×106個(1.248〜125Gbp)である。
本シーケンシング方法の別の好ましい一実施形態においては、サンプルDNAのサイズは約5Mbpであり、リード配列又はリードペアのグループあたりのリード配列又はリードペアの数は、該グループ間の平均で、1.05〜30、好ましくは1.1〜20、さらに好ましくは1.2〜10、なお好ましくは1.4〜5である。
上述したとおり、上記PCR初期DNA量は、ライブラリ調製での1本鎖特異的ヌクレアーゼ処理における該ヌクレアーゼのユニット数に依存し得る。
より好ましくは、サンプルDNAのサイズは約3Gbpであり、PCR初期DNA量は20〜2500amolであり、シーケンシングデータ量は、リード配列又はリードペア数で0.4〜25000×106個(0.08〜5000Gbp)、好ましくは0.8〜12500×106個(0.16〜2500Gbp)、より好ましくは1.6〜6250×106個(0.32〜1250Gbp)、さらに好ましくは3.2〜5000×106個(0.64〜1000Gbp)である。
さらに好ましくは、サンプルDNAのサイズは約3Gbpであり、PCR初期DNA量は39〜1250amolであり、シーケンシングデータ量は、リード配列又はリードペア数で0.78〜12500×106個(0.156〜2500Gbp)、好ましくは1.56〜6250×106個(0.312〜1250Gbp)、より好ましくは3.12〜3125×106個(0.624〜625Gbp)、さらに好ましくは6.24〜2500×106個(1.248〜500Gbp)である。
本シーケンシング方法のなお別の好ましい一実施形態においては、サンプルDNAのサイズは約3Gbpであり、リード配列又はリードペアのグループあたりのリード配列又はリードペアの数は、該グループ間の平均で、1.05〜30、好ましくは1.1〜20、さらに好ましくは1.2〜10、なお好ましくは1.4〜5である。
上述したとおり、上記PCR初期DNA量は、ライブラリ調製での1本鎖特異的ヌクレアーゼ処理における該ヌクレアーゼのユニット数に依存し得る。
本発明のライブラリを用いたシーケンシングで得られた配列データは、DNA断片の1本鎖部分の酸化修飾等に起因するシーケンシングエラーが除外された高精度な配列データである。したがって、本発明のライブラリを用いたシーケンシングは、これに限定されないが、変異解析に応用することができる。より詳細には、例えば、ゲノムDNAの変異解析による、試験物質の遺伝毒性の評価や、生殖発生毒性等のその他毒性の評価、ゲノムDNAに対する経時変化、生活環境、遺伝的要素などの影響の評価、培養細胞の品質評価などに応用することができる。これらの応用においては、変異解析の対象であるゲノムDNAから本発明のライブラリを調製し、これをシーケンシングして配列データを取得する。次いで、得られた配列データを用いて変異解析を行い、解析対象ゲノムDNAの変異を検出する。
(i) 参照配列上の塩基がAである位置に存在する塩基
(ii) 参照配列上の塩基がTである位置に存在する塩基
(iii)参照配列上の塩基がGである位置に存在する塩基
(iv) 参照配列上の塩基がCである位置に存在する塩基
上記(i)及び(ii)は、参照配列の塩基対がATであった部位に存在する塩基であり、上記(iii)及び(iv)は、参照配列の塩基対がGCであった部位に存在する塩基である。これらの塩基の中から、参照配列と塩基がマッチしない(すなわち塩基対置換変異している)ものを検出する。次いで、検出された変異部位の各々について、参照配列と配列データの配列情報に基づいて変異前及び後の塩基対を求める。これらのデータから、各変異を、変異前の塩基対がATであった場合について[AT→TA、AT→CG、及びAT→GC]の3パターン、変異前の塩基対がGCであった場合について[GC→TA、GC→CG、及びGC→AT]の3パターンの、全部で6つの塩基対の変異パターンに分類することができる。さらに、各変異パターンに属する変異の総数、及び解析した塩基の総数に基づいて、各変異パターンの出現頻度を決定することができる。例えば、AT、GC塩基対それぞれについての解析した塩基の総数に基づいて、各々の塩基対ごとに3種類の変異パターンの出現頻度を算出することができる。
サンプルDNAを断片化すること;及び、
調製したサンプルDNAの断片を1本鎖特異的ヌクレアーゼで処理し、該断片から1本鎖部分を除去すること、
を含む、
方法。
〔2〕前記サンプルDNAが、
好ましくはホルマリン固定細胞のDNA又はcfDNAではなく、より好ましくは、生細胞から抽出したDNA、凍結細胞から抽出したDNA、又はそれらのDNAの保存サンプルであり、かつ
好ましくは、DINが6以上、さらに好ましくは7以上、さらに好ましくは7.3以上、さらにより好ましくは7.5以上である、
〔1〕記載の方法。
〔3〕前記1本鎖特異的ヌクレアーゼが、
好ましくは、1本鎖特異的エンドヌクレアーゼ、1本鎖特異的エキソヌクレアーゼ、又はそれらの組み合わせであり、
より好ましくは、S1 nuclease、Mung Bean Nuclease(MBN)、RecJf、及びExonuclease VIIからなる群より選択される少なくとも1種である、
〔1〕又は〔2〕記載の方法。
〔4〕好ましくは、前記1本鎖特異的ヌクレアーゼでの処理が、前記サンプルDNAの断片を1本鎖特異的エンドヌクレアーゼで処理した後に、さらに1本鎖特異的エキソヌクレアーゼで処理することを含むか、又は1本鎖特異的エキソヌクレアーゼで処理した後に、さらに1本鎖特異的エンドヌクレアーゼで処理することを含む、〔3〕記載の方法。
〔5〕好ましくは、前記1本鎖特異的エンドヌクレアーゼがS1 nucleaseであり、
前記サンプルDNAの断片1ng当たりのS1 nucleaseのユニット数(U/ng)が、
好ましくは0.01U/ng以上、より好ましくは0.02U/ng以上、さらに好ましくは0.05U/ng以上であり、かつ好ましくは16.7U/ng以下、より好ましくは5.00U/ng以下、さらに好ましくは1.67U/ng以下であるか、又は、
好ましくは0.02〜5.00U/ng、より好ましくは0.05〜1.67U/ngである、〔3〕又は〔4〕記載の方法。
〔6〕好ましくは、前記1本鎖特異的エンドヌクレアーゼがMBNであり、
前記サンプルDNAの断片1ng当たりのMBNのユニット数(U/ng)が、
好ましくは0.01U/ng以上、より好ましくは0.02U/ng以上、さらに好ましくは0.03U/ng以上、さらに好ましくは0.05U/ng以上、さらに好ましくは0.10U/ng以上であり、かつ好ましくは16.7U/ng以下、より好ましくは5.00U/ng以下、さらに好ましくは1.67U/ng以下、さらに好ましくは1.00U/ng以下、さらに好ましくは0.30U/ng以下であるか、又は、
好ましくは0.02〜5.00U/ng、より好ましくは0.03〜1.67U/ng、さらに好ましくは0.03〜1.00U/ng、さらに好ましくは0.05〜1.00U/ng、さらに好ましくは0.10〜0.30U/ngである、
〔3〕又は〔4〕記載の方法。
〔7〕好ましくは、前記1本鎖特異的エキソヌクレアーゼがRecJfであり、
前記サンプルDNAの断片1ng当たりのRecJfのユニット数(U/ng)が、
好ましくは0.10U/ng以上、より好ましくは0.30U/ng以上であり、かつ好ましくは100U/ng以下、より好ましくは16.7U/ng以下、さらに好ましくは1.00U/ng以下であるか、又は、
好ましくは0.10〜16.7U/ng、より好ましくは0.30〜1.00U/ngである、
〔3〕又は〔4〕記載の方法。
〔8〕好ましくは、前記1本鎖特異的ヌクレアーゼで処理した前記サンプルDNAの断片を、末端修復、末端への塩基付加、及び増幅からなる群より選択されるいずれか1つ以上の処理に供することをさらに含み、
より好ましくは、前記1本鎖特異的ヌクレアーゼで処理した前記サンプルDNAの断片を、末端修復、末端への塩基付加、及び増幅に供することをさらに含む、
〔1〕〜〔7〕のいずれか1項記載の方法。
〔9〕好ましくは、前記末端への塩基付加が、前記サンプルDNAの断片の両末端への標識配列の付加である、〔8〕記載の方法。
〔10〕好ましくは、前記増幅がPCRである、〔8〕又は〔9〕記載の方法。
〔11〕前記1本鎖特異的ヌクレアーゼがS1 nucleaseであり、前記サンプルDNAの断片1ngあたりの該ヌクレアーゼのユニット数(U/ng)が0.05U/ng以下のとき、前記PCRにおける該サンプルDNA 1Mbpあたりの初期DNA量が、好ましくは250amol以下、より好ましくは125amol以下、さらに好ましくは62.5amol以下、さらにより好ましくは31.3amol以下、なお好ましくは15.7amolであるか;
前記1本鎖特異的ヌクレアーゼがS1 nucleaseであり、前記サンプルDNAの断片1ngあたりの該ヌクレアーゼのユニット数(U/ng)が0.05U/ngより大きいとき、下記式で算出される指標:
指標=PCRにおける初期DNA量(amol/MbpサンプルDNA)×3log S1 nuclease (U/ng)
(式中、S1 nuclease(U/ng)>0.05、logは常用対数である)
が、好ましくは60以下、より好ましくは30以下、さらに好ましくは15以下、さらにより好ましくは7.5以下であるか;
前記1本鎖特異的ヌクレアーゼがMBNであり、前記サンプルDNAの断片1ngあたりの該ヌクレアーゼのユニット数(U/ng)が0.05U/ng以下のとき、前記PCRにおける該サンプルDNA 1Mbpあたりの初期DNA量が、好ましくは250amol以下、より好ましくは125amol以下、さらに好ましくは62.5amol以下、さらにより好ましくは31.3amol以下、なお好ましくは15.7amolであるか;
前記1本鎖特異的ヌクレアーゼがMBNであり、前記サンプルDNAの断片1ngあたりの該ヌクレアーゼのユニット数(U/ng)が0.05U/ngより大きいとき、下記式で算出される指標:
指標=PCRにおける初期DNA量(amol/MbpサンプルDNA)×3log MBN (U/ng)
(式中、MBN(U/ng)>0.05、logは常用対数である)
が、好ましく60以下、より好ましくは30以下、さらに好ましくは15以下、さらにより好ましくは7.5以下である、
〔10〕記載の方法。
〔13〕好ましくは、前記シーケンシング方法が、以下:
(1)前記ライブラリをシーケンシングし、該ライブラリに含まれる複数の増幅断片の各々について1つ以上のリード配列を作成し、該複数の増幅断片についての複数のリード配列を得ること;
(2)得られた複数のリード配列の中から、該ライブラリの調製に用いたサンプルDNA上の同一領域の配列情報を有するリード配列を集めてグループ化することにより、リード配列のグループを1つ以上作成すること;及び、
(3)該リード配列のグループに含まれるリード配列の間で配列情報のコンセンサスを取ること、
を含む、〔12〕記載の方法。
〔14〕好ましくは、前記(1)が、前記サンプルDNAの断片を構成する2本の相補鎖の各々に由来する増幅断片に対して1つ以上のリード配列を作成することを含む、〔13〕記載の方法。
〔15〕好ましくは、前記(2)が、参照配列上の同一の位置にマッピングされるリード配列を同じグループに分けることを含む、〔14〕記載の方法。
〔16〕好ましくは、前記(3)が、前記リード配列のグループの中から、前記サンプルDNA断片の2本の相補鎖の各々に由来するリード配列を少なくとも1つずつ集め、集めたリード配列の間で配列情報のコンセンサスを取ることを含む、〔15〕記載の方法。
〔17〕好ましくは、
前記(1)において、前記複数のリード配列が、以下からなるリード配列のペアを複数個含み:
リード1:前記増幅断片を構成する2本の相補鎖のうちの一方の鎖の配列を5'末端側から3'側へ読んだ配列に相当する配列情報を含むリード配列、
リード2:該一方の鎖の配列を3'末端側から5'側へ読んだ配列に相当する配列情報を含むリード配列、
前記(2)が、得られたリード配列のペアの中から、該サンプルDNA上の同一領域の配列情報を有するリード配列のペアを集めてグループ化することにより、リード配列のペアのグループを1つ以上作成することを含み、
前記(3)が、該リード配列のペアのグループに含まれるリード配列の間で配列情報のコンセンサスを取ることを含む、
〔13〕記載の方法。
〔18〕好ましくは、前記(1)が、前記サンプルDNAの断片を構成する2本の相補鎖の各々に由来する増幅断片に対して1つ以上の前記リード配列のペアを作成することを含む、〔17〕記載の方法。
〔19〕好ましくは、前記(2)が、前記リード配列のペアのリード1とリード2を参照配列に対してマッピングし、リード1の先頭とリード2の先頭とに挟まれる該参照配列の領域が同一であるリード配列のペアを同じグループに分けることを含む、〔18〕記載の方法。
〔20〕好ましくは、前記(2)が、前記リード配列のペアに含まれる一方のリード配列の先頭が前記参照配列上の同じ位置に位置するリード配列のペアを集め、次いで集めたリード配列のペアの中から、該リード配列のペアに含まれるもう一方のリード配列の先頭が該参照配列上の同じ位置に位置するリード配列のペアを集めて、集めたリード配列のペアを同じグループに分けることを含む、〔18〕記載の方法。
〔21〕好ましくは、前記(3)が、前記リード配列のペアのグループの中から、前記サンプルDNA断片の2本の相補鎖の各々に由来するリード配列のペアを少なくとも1組ずつ集め、集めたリード配列のペアに含まれるリード配列の間で配列情報のコンセンサスを取ることを含む、〔19〕又は〔20〕記載の方法。
該シーケンシング用ライブラリをシーケンシングすること、
を含む、ゲノムDNAの変異を検出する方法。
〔23〕好ましくは、前記シーケンシングが前記〔13〕〜〔21〕のいずれか1項記載の方法により行われる、〔22〕記載の方法。
〔24〕好ましくは、前記変異が塩基対置換型変異である、〔22〕又は〔23〕記載の方法。
後述の比較例及び実施例で用いたシーケンシング方法及び変異解析のフローを以下に説明する。基本的には、特許文献4に記載される相補鎖情報を活用した高精度シーケンシング法を用いた。具体的には、ライブラリをシーケンシングし、同一のDNA断片に由来すると推定されるリードペアを集めた。次いで、該DNA断片の2本の相補鎖(以下、A鎖及びB鎖と称する)のそれぞれに由来すると推定されるリード配列間でのコンセンサスリード配列(相補鎖間コンセンサスリード配列)を作成した。得られた相補鎖間コンセンサスリード配列は変異解析に使用した。
シーケンサーにはイルミナ社のHiSeqを用いた。HiSeqシーケンサー用のライブラリには、サンプルDNA断片の2本の相補鎖の双方に由来するPCR産物が含まれる。したがって、このライブラリをシーケンシングすることで、該2本の相補鎖のそれぞれについてリード1とリード2を作成した。
1)で得られたリード配列を、アダプター配列及びクオリティの低い塩基等のトリミングを行った後、参照配列へマッピングした。サンプルDNA断片の2本の相補鎖由来のリードペアを参照配列上にマッピングしたときの、参照配列に対する各リードペアの配置の概念図を模式図1に示す。参考のため、模式図1には、各リードペアが由来するサンプルDNA断片の2本の相補鎖を図示する。互いに相補的な鎖に由来するリードペアの間では、リード1の先頭とリード2の先頭とに挟まれる参照配列の領域は同一である。したがって参照配列上でのリードペアのマッピング位置に基づいて、同じサンプルDNA断片に由来すると考えられるリードペアを集めた。
2)で得られた相補鎖間コンセンサスリード配列を参照配列上に再度マッピングすることで、解析対象ゲノムの変異を検出した。参照配列に再マッピングした相補鎖間コンセンサスリード配列から変異した塩基を検出するための具体的な手順は、PCT/JP2017/005700に記載された手順に従った。
リード配列の編集、相補鎖情報の抽出、及び変異解析のフローを模式図4に示す。解析には、Cutadaptソフトウェア、Bowtie2ソフトウェア、Samtoolsソフトウェア、及びプログラミング言語Pythonを用いて作成したプログラムを用いた。まず、各ライブラリ由来のFastqファイル(リード1、及びリード2)に対して、Cutadaptソフトウェアを用いて、アダプター配列及びクオリティの低い塩基等のトリミングを行った。その後、各ライブラリ由来のFastqファイルを、Bowtie2ソフトウェアを用いて参照配列へマッピングし、Samフォーマットのファイルを得た。Samtoolsソフトウェアを用いてSamフォーマットのファイルのリードの並び替えを行い、次いで、プログラミング言語Pythonで作成したプログラムを用いて、推定フラグメントについてのグループを作成し、その中からリードペアのセットを集め、相補鎖間コンセンサスリード配列を作成した。得られた相補鎖間コンセンサスリード配列を、再度Bowtie2ソフトウェアで参照配列にマッピングし、Samtoolsソフトウェア、及び、プログラミング言語Pythonで作成したプログラムを用いて、変異解析を行った。
参考例1のシーケンシング法を用いて、新鮮なゲノムDNAの断片における末端1本鎖突出部位に由来するエラーの存在を検証した。また、末端部のエラーに対する既存の改善法であるリードペアの両端から塩基を除く方法によるエラーの低減効果を検討した。
サンプルDNAとして、ジメチルスルホキシド(DMSO;和光純薬工業製)を暴露したSalmonella typhimurium LT−2 TA100株(以下、単に「TA100株」とも称する)のゲノムDNAを用いた。
サンプルDNAからのライブラリ調製には、TruSeq Nano DNA Library Prep Kit(イルミナ社製、以下TruSeqと略記する)を用いた。TruSeqの推奨プロトコルは、DNAの断片化、End Repair(2本鎖DNA断片の1本鎖突出末端の平滑化)、A−tailing(2本鎖DNA断片の3'末端へのアデニンの付加)、Adapter ligation(2本鎖DNA断片両末端へのアダプターの付加)、及びPCR enrichment(PCR増幅によるライブラリDNAの濃縮)から構成される。1)で得たDMSO暴露細胞由来DNAの120ng相当量を複数サンプル用意し、それらをDNA Shearingシステム ME220(コバリス社製)で推奨プロトコルに従って平均約350bpの長さに断片化した。得られた断片化DNAに、End Repair、A−tailing、Adaptor Ligationを実施した。得られたAdaptor Ligationの反応液を推奨プロトコルに従って精製し、2本鎖DNA断片の両末端にアダプターが付加されたDNA(アダプター付加DNA)を得た。Agilent 4200 TapeStation(アジレント・テクノロジー社製)のHigh Sensitivity D5000キットを用いてアダプター付加DNAの濃度を測定した。
2)で調製したライブラリを、2×100bpのリード長でシーケンシングし、ライブラリあたり、平均で約10Gbp(約50Mリードペア)のシーケンシングデータを得た。得られたシーケンシングデータから相補鎖間コンセンサスリード配列を作成し、参照配列にマッピングした後、変異した塩基を検出した。シーケンシング、相補鎖間コンセンサスリード配列の作成、及び変異解析は参考例1の手順に従って実施した。なお、参照配列には、GenBank(www.ncbi.nlm.nih.gov/genbank/)から取得したS.typhimurium LT−2株(以下、単にLT−2株とも略記する。)のゲノム配列を用いた(GenBank assembly accession:GCA_000006945.2)。
Pythonで作成したプログラムを用いて、各ライブラリについて、参照配列にマッピングされた全相補鎖間コンセンサスリード配列中の全解析対象塩基を、対応する参照配列の塩基(A、T、G、及びC)によって4群に分けた。そして、各群の塩基の総数と参照配列に対して変異した塩基を検出した。検出された変異を、6つの変異パターン(AT→TA、AT→CG、AT→GC、及びGC→TA、GC→CG、GC→AT)に分類し、各変異パターンにおける変異頻度を算出した。さらに、各変異パターンを、リード配列がマッピングされた参照配列上の塩基によって、さらに2パターンの変異に分類して、各々の変異頻度を算出した。すなわち、AT→TAはA→T及びT→Aに、AT→CGはA→C及びT→Gに、AT→GCはA→G及びT→Cに、GC→TAはG→T及びC→Aに、GC→CGはG→C及びC→Gに、GC→ATはG→A及びC→Tに分類して、これら12種の変異パターンそれぞれについて変異頻度を算出した。
参考例1の手順に従って、3)で得た相補鎖間コンセンサスリード配列を再度参照配列にマッピングしてSamフォーマットのファイルを作成した。該Samフォーマットファイル中で、リードペアの両端の0塩基(control)、10塩基、又は20塩基を、Pythonで作成したプログラムを用いてクオリティ値を下げることで、変異解析の対象から除外した。その後、参考例1の手順に従って変異解析を行った。変異頻度は、4)に示した12種の変異パターンについて算出した。
4)で算出したサンプルDNAにおける6つの変異パターンについての変異頻度を図1に示す。AT塩基対の変異頻度に比べてGC塩基対の変異頻度が大きいことから、グアニンの酸化修飾によるエラーの存在が推測された。また、5)で算出した両末端を除去したリードペアから求めた12種の変異パターンについての変異頻度を図2に示す。GC塩基対の変異(GC→TA、GC→CG)において、C→A、C→Gに比べて、G→T、G→Cの変異が高頻度に検出された。真の変異は、G、Cの両塩基で同等の頻度で検出されるはずである。高頻度のグアニンの変異が検出されたことは、これが真の変異ではなく、酸化修飾等による塩基の変異に起因するエラーであることを示唆する。また、G→T、G→Cの変異頻度は、リードペアの両端から除去した塩基数に依存して減少した。この結果は、該グアニンの変異によるエラーがリードペアの両端部に多く存在していることを示した。したがって、DNA断片の末端1本鎖部位における酸化修飾等によるグアニンの変異が、該エラーの主な原因となっていると考えられた。
エラー減少率(%)=(A−B)/A×100
A:両端の塩基を除去しないとき(control)のGC間の変異頻度の差
B:両端から塩基を除いたときのGC間の変異頻度の差
エラー減少率を表1に示す。エラー減少率は、10塩基の除去で<30%であり、20塩基の除去でも40%程度であった。なおKennedyら(非特許文献3)が報告した両端から5塩基除く方法は、10塩基除くよりもさらにエラー低減効果が小さいと推測された。これらの結果は、両端20塩基の除去ではDNA断片の末端1本鎖突出部分を十分に削除できなかったことを表す。除去する塩基数を増加することによりエラーをより低減できると予想されるが、リードペアからの多数の塩基の削除は、変異解析に充てられる塩基数が減少するため解析効率を低下させる。結果、DNA断片の末端1本鎖部位における酸化修飾等に起因するエラーの改善にとって、リードペアの両端の変異解析対象からの除去は有効なアプローチとは言えない。
DNA断片の1本鎖特異的ヌクレアーゼ処理によるエラー低減効果を評価した。
比較例1の1)と同様の手順で、DMSO暴露細胞を調製した、また同様の手順で、TA100株を3−Methylcholanthrene(3−MC)に暴露した。3−MC(シグマアルドリッチ社製、CASRN.56−49−5)は、DMSOに溶解した。試験管内に、3−MC溶液100μL、S9 mix(家田貿易社製)500μL、及びTA100株の前培養液100μLを添加し(3−MC量:1000μg/tube)、37℃のウォーターバス中で20分間、100rpmで振とう培養した(3−MC暴露細胞)。比較例1の1)と同様の手順で菌懸濁液から細胞を回収し、DNAを抽出した。
Ames試験用に、上記と同様の条件で3−MCを暴露した菌懸濁液を調製した。これに、45℃に加温した2mLのtop agar(1%NaCl、1%agar、0.05mM Histidine及び0.05mM Biotinを含む)を添加し、ボルテックスで撹拌した後、最小グルコース寒天培地(テスメディア(登録商標)AN;オリエンタル酵母工業製)の上に重層した。得られたプレートを37℃で48時間培養後、観察されたコロニーを計数した。
I)サンプルDNAの断片化
DMSO暴露細胞又は3−MC暴露細胞由来DNAの60ng又は100ng相当量を複数サンプル用意し、それらをDNA Shearingシステム ME220で平均約350bpの長さに断片化した。各サンプルの断片を2群に分けた。ヌクレアーゼで処理しない群(非処理群)については、次の工程のEnd Repairを行うために、推奨プロトコルに従って、TruSeqに付属のResuspension bufferでDNA断片を懸濁し、60μLの溶出液を得た。ヌクレアーゼで処理する群(処理群)については、DNA断片をTruSeqに付属のSample Purification Beads(以下、単にビーズとも略記する)に吸着させ、80%エタノール水で2回洗浄し、乾燥させるステップを推奨プロトコルに従って行い、精製した。その後の溶出操作では、Distilled water(DW、ニッポンジーン社製)でビーズを懸濁し、30μLのDNA断片を含むDNA溶出液を得た。
1本鎖特異的ヌクレアーゼには、S1 nuclease(プロメガ社、カタログ番号:M5761)、Mung Bean Nuclease(MBN)(タカラバイオ社、カタログ番号:2420A)、又はRecJf(New England Biolabs社、カタログ番号:M0264L)を用いた。各酵素の活性値(ユニット数)は以下の通り定義した。
・S1 nuclease:30mM酢酸ナトリウム(pH4.6、25℃)、50mM NaCl、1mM ZnCl2、5%グリセロール、0.5mg/mL変性仔牛胸腺DNAの混合溶液中において、37℃で1分間に1μgの酸可溶性物質を生成する酵素活性を1Uとした。
・MBN:熱変性仔牛胸腺DNAを基質として、37℃、pH5.0において、1分間に1μgの酸可溶性分解物を生成する酵素活性を1Uとした。
・RecJf:全反応液50μL(1×NE Buffer 2及び1.5μgの超音波処理[3H]標識1本鎖E.coli DNAを含む)中、37℃、1分間で、0.5ngのトリクロロ酢酸可溶性デオキシリボヌクレオチドを生成するために必要な酵素量を1Uとした。
I)で得られたDNA溶出液に、S1 nucleaseに付属の10×Reaction Bufferを4μL添加した。1×Reaction BufferでS1 nucleaseを適宜希釈し、1、3、10、30、100、300UをDNA溶出液に添加し、DWを添加し、全量を40μLとした。S1 nucleaseを1000U添加するサンプルについては、ビーズ精製で得られた30μLのDNA溶出液に4.6μLの10×Reaction Bufferを添加し、S1 nucleaseの原液を12μL加えて全量を46μLとした。S1 nucleaseを加えた反応液を撹拌し、30℃で30分間インキュベートした。反応液中にライブラリ調製開始時のDNA全量(60ng)が存在すると考えると、1ng当たりのDNAに対するS1 nucleaseのユニット数はそれぞれ、0.02、0.05、0.17、0.50、1.67、5.00、16.7U/ngであった。反応液中のS1 nucleaseの失活のために、0.5M EDTA(pH8.0)(ニッポンジーン社製)を3μL添加し、70℃で10分間インキュベートした。失活させた反応液からDNAを精製するため、反応液と等量のTruSeqに付属のビーズを添加し、推奨プロトコルに従って精製操作を進め、TruSeqに付属のResuspension bufferで懸濁し、60μLの溶出液を得た(S1 nuclease処理群)。
I)で得られたDNA溶出液に、MBNに付属の10×Mung Bean Nuclease Bufferを5μL添加した。1×Mung Bean Nuclease BufferでMBNを適宜希釈し、3、10、30、100UをDNA溶出液に添加し、全量を50μLとした。MBNを加えた反応液を撹拌し、37℃で10分間インキュベートした。酵素反応液中のMBNの失活のために、0.5M EDTA(pH8.0)を3μL添加し、65℃で10分間インキュベートした。反応液中に100ngのDNA断片が存在すると考えると、1ng当たりのDNAに対するユニット数はそれぞれ、0.03、0.1、0.3、1.0U/ngであった。失活させた反応液からDNAを精製するため、反応液と等量のTruSeqに付属のビーズを添加し、推奨プロトコルに従って精製操作を進め、TruSeqに付属のResuspension bufferで懸濁し、60μLの溶出液を得た(MBN処理群)。
I)で得られたDNA溶出液に、RecJfに付属の10× NE Buffer 2を5μL添加した。1×NE Buffer 2でRecJfを適宜希釈し、3、10、30、100ユニットをDNA溶出液に添加し、全量を50μLとした。RecJfを加えた反応液を撹拌し、37℃で60分間インキュベートした。反応液中に100ngのDNA断片が存在すると考えると、1ng当たりのDNAに対するユニット数はそれぞれ、0.03、0.1、0.3、1.0U/ngであった。酵素反応液中のRecJfの失活のために、65℃で20分間インキュベートした。失活させた反応液からDNAを精製するため、反応液と等量のTruSeqに付属のビーズを添加し、推奨プロトコルに従って精製操作を進め、TruSeqに付属のResuspension bufferで懸濁し、60μLの溶出液を得た(RecJf処理群)。
II)で得られた非処理群、S1 nuclease処理群、MBN処理群、及びRecJf処理群に、比較例1の2)と同様の手順で、TruSeqの推奨プロトコルに従ってEnd Repair、A−tailing、Adaptor Ligationを実施した。得られたAdaptor Ligationの反応液を推奨プロトコルに従って精製し、2本鎖DNA断片の両末端にアダプターが付加されたDNA(アダプター付加DNA)を得た。Agilent 4200 TapeStation(アジレント・テクノロジー社製)のHigh Sensitivity D5000キットを用いてアダプター付加DNAの濃度を測定した。次いで、比較例1の2)と同様の手順でPCR enrichmentを実施し、ライブラリを得た。
3)で調製したライブラリを、2×150bpのリード長でシーケンシングし、ライブラリあたり、平均で約15Gbp(約50Mリードペア)のシーケンシングデータを得た。得られたシーケンシングデータから、相補鎖間コンセンサスリード配列の作成、及び変異検出を実施した。シーケンシング、相補鎖間コンセンサスリード配列の作成、及び変異解析は参考例1の手順に従って実施した。
比較例1の4)と同様の手順で、6つの変異パターン及び12種の変異パターンについて変異頻度を算出した。次いでGC→TA及びGC→CGの変異について、Gの置換とCの置換の間での変異頻度の差を算出し、下記式に基づいて、ヌクレアーゼ処理群でのエラーの減少率を求めた。
エラー減少率(%)=(A−B)/A×100
A:非処理群(0U/ng)でのGC間の変異頻度の差
B:各ユニット数でのヌクレアーゼ処理群でのGC間の変異頻度の差
変異解析の際に用いた各ライブラリの相補鎖間コンセンサスリード配列中のリードペア数(本)と各ライブラリのシーケンシングで読み取ったリードペアの総数(シーケンシングデータ量)(本)から、各ライブラリの解析効率を算出した。
解析効率(%)=(相補鎖間コンセンサスリード配列中のリードペア数)/(シーケンシングデータ量)×100
4)で作成した相補鎖間コンセンサスリード配列について、推定フラグメントについてのグループあたりのリードペア数を計数し、リードペア数が等しいグループの数を集計して、平均リードペア数を算出した。
平均リードペア数 = {Σi(i×(i本のリードペアを含むグループ数))}/(グループの総数)
(iはグループに含まれるリードペアの本数を指す。)
I)Ames試験の復帰突然変異体数
表2に3−MC暴露後の復帰突然変異体コロニー数を示す。データは3枚のプレートでの測定値と、その平均値を示す。3−MC暴露により復帰突然変異体コロニー数の増加が認められたことから、3−MC暴露によりTA100株のゲノム中に変異が導入されたことが確認された。
II−1)S1 nuclease
DMSO暴露ライブラリにおける6変異パターンの変異頻度を図3に示す。非処理群(S1 nuclease 0U/ng)では、比較例1と同じようにGC塩基対の変異頻度が高かった。一方で、S1 nuclease処理群(S1 nuclease 0.2〜16.7U/ng)では、ユニット数依存的に変異頻度が減少し、0.17U/ngでエラー低減効果が飽和した。続いて、同じライブラリでの12種類の変異パターンの頻度を図4〜5に示す。非処理群では比較例1と同じように、C→A、C→Gに比べて、G→T、G→Cの変異を高頻度に検出した。そして、S1 nuclease処理群では、ユニット数の増加に伴ってG→T、G→Cの変異頻度が減少した。GC→TA、GC→CGについてのエラー減少率を表3に示す。0.17U/ng以上で変異頻度の減少が飽和し、GC間の変異頻度の偏りが大きく改善された。これは、S1 nucleaseがサンプルDNAの断片中の1本鎖部位を特異的に分解し、該1本鎖部位に存在していた酸化修飾されたグアニンを除去したためと考えられた。0.17U/ng以上のS1 nuclease処理により、DNA断片の末端1本鎖部位の塩基の酸化修飾に起因するエラーを取り除くことができることが確認された。
図6にMBN処理時のDMSO暴露ライブラリにおける6変異パターンの変異頻度を示した。MBN処理群(0.03〜1.00U/ng)において、ユニット数依存的に変異頻度が減少した。続いて、同じライブラリでの12種類の変異パターンの頻度を図7〜8に示す。MBN処理群では、G→Cの変異頻度が大きく減少し、G→C、C→G間の変異頻度の差が大きく減少した。G→Tの変異頻度の減少は認められたが、S1 nucleaseと比較すると小さく、G→T、C→A間の変異頻度の差はユニット数が大きくなっても残っていた。GC→TA、GC→CGについてのエラー減少率を表4に示す。GC→CGに関しては、0.03U/ng以上でエラー低減効果があり、0.10U/ng以上でGC間の変異頻度の偏りが大きく改善された。一方、GC→TAに関しては、GC間の変異頻度の差は低減したものの、効果は小さかった。これは、DMSO暴露ライブラリにおけるGC→TAの変異頻度がII−1で示した結果よりも低かったことが一因と考えられた。同一条件でDMSOを暴露して調製したDNA(n=3)におけるG→T及びC→Aの変異頻度の平均値はそれぞれ0.177×10-6及び0.042×10-6であった。該平均値に対するエラー減少率は11.4%(0.03U/ng)、40.2%(0.10U/ng)、15.6%(0.30U/ng)、57.8%(1.00U/ng)となった。したがって、S1 nucleaseと比較すると小さいが、MBNのエラー低減効果は認められた。
図9にRecJf処理時のDMSO暴露ライブラリにおける6変異パターンの変異頻度を示した。なお、非処理群の結果はMBN処理群と共通である。RecJf処理群(0.03〜1.00U/ng)において、ユニット数依存的に変異頻度が減少した。続いて、同じライブラリでの12種類の変異パターンの頻度を図10〜11に示す。RecJf処理群では、G→T、G→Cの変異頻度の減少が認められ、G→T、C→A間及びG→C、C→G間の変異頻度の差も減少したが、S1 nucleaseと比較するとその効果は小さかった。GC→TA、GC→CGについてのエラー減少率を表5に示す。また、II−2の時と同様、DMSO暴露ライブラリのGC→TAの変異頻度が低いことを考慮し、同一条件でDMSOを暴露して調製したDNA(n=3)におけるG→T及びC→Aの変異頻度の平均値と比較した。これらの平均値を用いて算出したエラー減少率は−10.8%(0.03U/ng)、35.2%(0.10U/ng)、54.1%(0.30U/ng)、62.3%(1.00U/ng)となった。したがって、RecJfは、GC→TAに関してはMBNと同等のエラー低減効果を示し、GC→CGに関しては、S1 nuclease、MBNと比較すると小さいが、エラー低減効果は認められた。また、GC→TA、GC→CGともに0.10U/ng以上でエラー低減効果があると考えられた。
III−1)S1 nuclease
5)の方法でDMSO暴露ライブラリ(DMSO control)、及び、3−MC暴露ライブラリ(3MC)における6変異パターンの変異頻度をS1 nucleaseのユニット数ごとに算出した結果を図12〜13に示す。非処理群(control、0U/ng)では、DMSO controlと比較した3−MCにおける変異頻度の明確な上昇はいずれの変異パターンにおいても検出されなかったが、S1 nuclease処理群では、3−MCでGC→TAの変異頻度の明確な増加が見られた。この変異パターンは、3−MCに暴露された遺伝子組換えマウスの肝臓で検出された変異パターンと一致していた(Environ.Mol.Mutagen.,2000,36:266−273)。これらの結果は、S1 nuclease処理により1本鎖上のグアニン由来のシーケンシングエラーが減少した一方、真の変異は検出されたためと考えられた。表6に、DMSO controlに対する3−MCでのGC→TA変異頻度の上昇率(SN ratio)を示す。0.17U/ng以上のS1 nuclease処理により、シーケンシングエラーが低減することで、変異原処理により誘発される低頻度な変異が検出可能になることが示唆された。
III−1同様、MBN処理群における結果を図14に示す。MBN処理群では、S1 nuclease処理群と同様に、3−MCにおいてGC→TAの変異頻度の増加が見られた。表7に、DMSO controlに対する3−MCでのGC→TA変異頻度の上昇率(SN ratio)を示す。本実験での非処理群(0U/ng)におけるSN ratioは、III−1に比べて高かった。これは、III−1に比べてDMSO controlのGC→TAの変異頻度が低く、3−MCでのGC→TAの変異頻度が大きいためであった。そこで、同一条件でMBN処理なしのDMSO control及び3−MC(それぞれn=3)を調製し、各々についてGC→TAの変異頻度の平均値を算出し、それらの平均値からSN ratioを求めた。その結果、DMSO control、及び3−MCのGC→TAの平均値はそれぞれ、0.109×10-6、0.176×10-6となり、SN ratioは1.61となった。したがって、0.10U/ng以上のMBNでSN ratioが改善することが推測された。
III−1同様、RecJf処理群における結果を図15に示す。S1 nuclease及びMBN処理群と同様に、RecJf処理群でも、3−MCにおいてGC→TAの変異頻度の増加が見られた。表8に、DMSO controlに対する3−MCでのGC→TA変異頻度の上昇率(SN ratio)を示す。III−2)で算出した変異頻度の平均値のSN ratio(1.61)を考慮すると、0.10U/ng以上のRecJfにエラー低減効果があると考えられた。
本実施例でのシーケンシングは最適条件と推定される初期DNA量78amolの条件(特許文献4参照)で実施されたが、ヌクレアーゼ処理がシーケンシング最適条件に影響を及ぼしている可能性がある。そこで、シーケンシングの解析効率と平均リードペア数(特許文献4)に基づいて、本実施例でのシーケンシングが最適条件下でなされたか否かを評価した。表9〜11に各ユニット数のS1 nuclease、MBN、及びRecJfで処理したライブラリにおける解析効率と平均リードペア数の算出結果を示す。特許文献4で算出されたシーケンシングの最適条件は、解析効率が5〜10%程度、平均リードペア数が約2本であり、本実施例でも近い結果が得られた。したがって、ヌクレアーゼ処理によるシーケンシング条件への影響は小さく、本実施例でもほぼ最適条件でシーケンシングが行われたと考えられた。
本実施例では、DNA断片の1本鎖特異的ヌクレアーゼ処理が変異解析に与える影響を評価するため、1)相補鎖間コンセンサスリード配列のLT−2株のゲノムに対する網羅性、及び、2)異なるDNA断片の同一断片としての誤認識(断片の誤認識)を調べた。実施例1で得られた各サンプルのリードペア、相補鎖間コンセンサスリード配列を用いた。1本鎖特異的ヌクレアーゼにはS1 nuclease、MBN、及びRecJfを用いた。
シーケンシングでのゲノム全体のカバレッジを調べ、ゲノムの特定の部位が特異的にシーケンシングされていないか評価した。DMSO暴露ライブラリの非処理群及びS1 nuclease処理群、MBN処理群、及びRecJf処理群の相補鎖間コンセンサスリード配列から各ゲノム位置におけるカバレッジの情報を抽出し、プログラミング言語Pythonで作成したプログラムにより、ゲノム領域をおよそ100塩基ごとに区切り、各領域におけるカバレッジを求め、正規化し(カバレッジの総和が1となる)、ヒストグラムを作成した。さらに、LT−2株のゲノムにマッピングした際のcovered rate(カバレッジが1以上になったゲノム位置の割合)、平均カバレッジ(mean coverage)、カバレッジの標準偏差(SD of coverage)、及び変動係数(CV)を算出した。
変動係数(CV)(%)=(カバレッジの標準偏差)/(平均カバレッジ)×100
相補鎖間コンセンサスリード配列の作成の際、異なる細胞由来のリードペアが偶然に参照配列上の同一の位置にマッピングされると、同じ2本鎖DNA断片由来のリードペアとして誤認識される。このとき、ある細胞のDNAから変異の入ったリードペアが得られ、別の細胞のDNAから変異のないリードペアが得られていた場合、真の変異がエラーとして除かれてしまう。こうした異なるDNA断片の同一断片としての誤認識(断片の誤認識)は、ライブラリ調製でのDNA断片増幅過程で初期DNA量を解析対象のゲノムサイズに応じて調整し、ライブラリ中のアダプター付加DNAの多様性を調整することで最小限に抑えられる。実施例1のライブラリは、全て初期DNA量が78amolであることから、断片の誤認識は通常無視できるレベルである。本実施例では、断片の誤認識が1本鎖特異的ヌクレアーゼでの処理により増加しないか調べた。
異なるindexが含まれる割合(%)=(異なるindex情報が含まれるグループ数)/(2つ以上のリードペアが含まれるグループ数)×100
各ユニット数のS1 nuclease処理群での異なるindexが含まれる割合、即ち断片の誤認識率を図19及び表13に示す。S1 nucleaseのユニット数の増加に伴い、異なるindexが含まれる割合は増加していた。本実施例では、2種類のindex情報を用いたことから、実際に起こった断片の誤認識のうちのおよそ半分が検出されたと推定され、したがって、算出された異なるindexが含まれる割合の約2倍の値が、実際の誤認識率と推定された。シーケンシングエラーが大きく低減される0.17U/ng以上でのS1 nuclease処理では、断片の誤認識率はおよそ7%以上で、変異頻度への影響が懸念されるレベルであった。
各ユニット数のMBN処理群での断片の誤認識率を図20及び表14に示す。MBNにおいても、ユニット数の増加に伴い、異なるindexが含まれる割合は増加した。0.10U/ng以上では断片の推定誤認識率(異なるindexが含まれる割合の約2倍の値)はおよそ6%以上で、変異検出への影響が懸念されるレベルであった。
各ユニット数のRecJf処理群での断片の誤認識率を図21及び表15に示す。ユニット数が増加に伴い、異なるindexが含まれる割合が僅かに増加したが、変異検出に影響するほどではなかった。
実施例1の結果から、末端修復の前にDNAをS1 nuclease、MBN又はRecJfで処理することで、シーケンシングにおけるエラーを低減できることが確認できた。したがって、エラー低減効果は1本鎖特異的ヌクレアーゼに共通することが示された。エラー低減効果は、S1 nuclease>MBN>RecJfの順で大きかった。この理由の1つとして、両側が2本鎖である1本鎖部分は、1本鎖特異的エキソヌクレアーゼ(RecJf)では分解できないが、1本鎖特異的エンドヌクレアーゼ(S1 nuclease、及びMBN)では分解できること考えられた。一方、実施例2の結果から、S1 nuclease及びMBNにおいては高精度シーケンシング法を併用すると、断片の誤認識率が増え、変異頻度に影響があることが明らかとなった。誤認識率が増えた原因は、S1 nuclease及びMBN活性の配列特異性によるものと考えられた。すなわち、DNA断片の末端にS1 nuclease及びMBNで分解されにくい1本鎖配列が残ったことで、リードペアの両末端部位が偶然に一致し、参照配列上の同一の位置にマッピングされる可能性が上昇することにより誤認識率が増加したと推測された。この問題を解決するためには、(i)初期DNA量をさらに減少させる、又は(ii)S1 nucleaseもしくはMBN処理後、断片を特異性の異なる1本鎖特異的ヌクレアーゼでさらに処理する、という2つの手段が考えられた。これらの手段の有効性について、S1 nucleaseを用いて、この後の実施例で検討した。一方、RecJfに関しては、誤認識率が大きく増えなかったことから、変異検出への影響を受けずに使用することができると考えられた。
断片の誤認識率、すなわちリードペアが偶然に参照配列上の同一の位置にマッピングされる可能性は、ライブラリ中のサンプルDNAの多様性を減少させることで抑えられる。そこで本実施例では、ライブラリ調製における初期DNA量を78amolよりもさらに減少させることでリードの偶然の重なりを低下させることができるか検討した。
比較例1及び実施例1で調製したDMSO暴露細胞及び3−MC暴露細胞由来のゲノムDNAをサンプルDNAとした。120ng相当量のDNAをそれぞれ複数サンプル用意し、実施例1に記載の方法でS1 nuclease処理したライブラリを調製した。S1 nucleaseのユニット数は、シーケンシングエラーの低減と断片の誤認識率を考慮して0.08U/ng(DNA)及び0.25U/ng(DNA)とした。アダプター付加DNAのPCR enrichmentの過程では、初期DNA量を39及び20amolとし、PCR産物のDNA量を考慮して、39amolのDNAは16サイクル、20amolのDNAは17サイクルでPCR増幅してライブラリを調製した。
実施例1と同様にライブラリをシーケンシングした。次いで実施例2と同様の手順で断片の誤認識率(異なるindexが含まれる割合)を算出した。
断片の誤認識率を図22及び表16に示す。実施例2の2)と同様、表16の値の約2倍の値が、実際の誤認識率と推定された。特許文献4の実施例に記載のとおり、初期DNA量を減少させることで断片の誤認識率を減少させることができた。そして、0.08U/ngのS1 nucleaseで処理する場合は、初期DNA量を39amol以下にすれば、実際の誤認識率はおよそ5%以下となり、変異を見逃す懸念をできる限り小さくすることができた。同様に、0.25U/ngのS1 nucleaseの場合は、初期DNA量を20amol以下にすると誤認識率が5%以下となった。
断片の誤認識の増加率=[S1 nuclease(U/ng)処理時の断片の誤認識率(%)]/[S1 nuclease非処理時の断片の誤認識率(%)]
(式中、S1 nuclease(U/ng)>0.05、logは常用対数である)で表すことができる。一方、本実施例の結果から、初期DNA量が2倍に増えると、断片の誤認識率も2倍に増える傾向があった。以上の2つの結果を考慮して、S1 nucleaseの酵素量が0.05U/ngより大きい場合のライブラリ調製とシーケンシングにおける条件は下記の式で表される指標に反映される:
指標=PCRにおける初期DNA量(amol/MbpサンプルDNA)×3log S1 nuclease (U/ng)
(式中、S1 nuclease(U/ng)>0.05、logは常用対数である)。
各条件における上記の指標の数値を表18に示す。上記実施例で調べた適切な条件範囲を考慮すると、好ましい条件でのシーケンシングを可能にする指標の値は60以下、より好ましくは30以下、さらに好ましくは15以下、さらにより好ましくは7.5以下であると考えられた。
S1 nuclease処理による断片の誤認識率の増加は、DNA断片の末端におけるS1 nucleaseで分解されにくい1本鎖の残存が原因と推測された。このため、S1 nucleaseで処理後、DNA断片を特異性の異なる1本鎖特異的ヌクレアーゼでさらに処理することで、誤認識率が改善されると考えられた。エンドヌクレアーゼであるS1 nucleaseと異なり、RecJfは1本鎖の5’末端から分解する5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有する。本実施例では、S1 nuclease処理後にDNA断片をRecJfでさらに処理することによる断片の誤認識率への影響を調べた。
比較例1及び実施例1で調製したDMSO暴露細胞及び3−MC暴露細胞由来のゲノムDNAをサンプルDNAとした。100ng相当量のDNAをそれぞれ複数サンプル用意し、実施例1の3)I)に記載の方法で、30μLのサンプルDNAの断片を含むDNA溶出液を得た。次いで、実施例1の3)II−1)に記載の方法で断片を30U(0.3U/ng)のS1 nucleaseで処理した。EDTAの添加と熱失活の後、ビーズを添加し、反応液からDNAを精製し、2群に分けた。RecJf非処理群は、TruSeqに付属のResuspension bufferで懸濁し、60μLの溶出液に調製した。RecJf処理群は、Distilled waterでビーズを懸濁して30μLの溶出液を得た後、実施例1の3)II−3)に記載の方法でRecJf(3(0.03)、10(0.1)、30(0.3)、100(1.0)U(U/ng))処理した。熱失活の後、DNAの精製のため、反応液にビーズを添加し、TruSeqに付属のResuspension bufferで懸濁し、60μLの溶出液を得た。得られた溶出液からTruSeqの推奨プロトコルに基づいてライブラリを調製した。アダプター付加DNAのPCR enrichmentの過程では、初期DNA量を78amolとし、15サイクルで増幅した。
実施例1と同様にライブラリをシーケンシングした。次いで実施例2と同様の手順で断片の誤認識率(異なるindexが含まれる割合)を算出した。
0.30U/ngのS1 nucleaseで処理後、各ユニット数のRecJfで処理した断片での誤認識率を図23及び表19に示す。RecJfのユニット数の増加に伴い、断片の誤認識率が僅かだが減少した。これは、S1 nucleaseが分解しきれなかった1本鎖部分を配列特異性の異なるRecJfが分解したことによるものと考えられた。したがって、配列特異性の異なる1本鎖特異的ヌクレアーゼの組合せ処理により、断片の誤認識率を低減できると考えられた。
Claims (23)
- シーケンシング用ライブラリの調製方法であって、
サンプルDNAを断片化すること;及び、
調製したサンプルDNAの断片を1本鎖特異的ヌクレアーゼで処理し、該断片から1本鎖部分を除去すること、
を含み、
該サンプルDNAが、生細胞から抽出したDNA、凍結細胞から抽出したDNA、又はそれらのDNAの保存サンプルである、
方法。 - 前記1本鎖特異的ヌクレアーゼが1本鎖特異的エンドヌクレアーゼ、1本鎖特異的エキソヌクレアーゼ、又はそれらの組み合わせである、請求項1記載の方法。
- 前記1本鎖特異的ヌクレアーゼでの処理が、前記サンプルDNAの断片を1本鎖特異的エンドヌクレアーゼで処理した後に、さらに1本鎖特異的エキソヌクレアーゼで処理することを含む、請求項2記載の方法。
- 前記1本鎖特異的エンドヌクレアーゼがS1 nuclease又はMung Bean Nucleaseである、請求項2又は3記載の方法。
- 前記1本鎖特異的エンドヌクレアーゼが、前記サンプルDNAの断片1ngあたり0.02U/ng以上のS1 nucleaseである、請求項2又は3記載の方法。
- 前記1本鎖特異的エンドヌクレアーゼが、前記サンプルDNAの断片1ngあたり0.02U/ng以上のMung Bean Nucleaseである、請求項2又は3記載の方法。
- 前記1本鎖特異的エキソヌクレアーゼがRecJfである、請求項2又は3記載の方法。
- 前記1本鎖特異的エキソヌクレアーゼが、前記サンプルDNAの断片1ngあたり0.10U/ng以上のRecJfである、請求項2又は3記載の方法。
- 前記1本鎖特異的ヌクレアーゼで処理した前記サンプルDNAの断片を、末端修復、末端への塩基付加、及び増幅からなる群より選択されるいずれか1つ以上の処理に供することをさらに含む、
請求項1〜8のいずれか1項記載の方法。 - 前記増幅がPCRであり、前記1本鎖特異的ヌクレアーゼがS1 nucleaseであり、かつ
前記サンプルDNAの断片1ngあたりの該S1 nucleaseのユニット数(U/ng)が0.05U/ng以下のとき、該PCRにおける前記サンプルDNA 1Mbpあたりの初期DNA量が250amol以下であるか、又は
前記サンプルDNAの断片1ngあたりのS1 nucleaseのユニット数(U/ng)が0.05U/ngより大きいとき、下記式で算出される指標が60以下である:
指標=該PCRにおける初期DNA量(amol/MbpサンプルDNA)×3log S1 nuclease (U/ng)
(式中、S1 nuclease(U/ng)>0.05、logは常用対数である)、
請求項9記載の方法。 - 前記増幅がPCRであり、前記1本鎖特異的ヌクレアーゼがMung Bean Nucleaseであり、かつ
前記サンプルDNAの断片1ngあたりの該Mung Bean Nucleaseのユニット数(U/ng)が0.05U/ng以下のとき、該PCRにおける前記サンプルDNA 1Mbpあたりの初期DNA量が250amol以下であるか、又は
前記サンプルDNAの断片1ngあたりのMung Bean Nucleaseのユニット数(U/ng)が0.05U/ngより大きいとき、下記式で算出される指標が60以下である:
指標=該PCRにおける初期DNA量(amol/MbpサンプルDNA)×3log Mung Bean Nuclease (U/ng)
(式中、Mung Bean Nuclease(U/ng)>0.05、logは常用対数である)、
請求項9記載の方法。 - 請求項1〜11のいずれか1項記載の方法で調製されたシーケンシング用ライブラリをシーケンシングすることを含む、DNAのシーケンシング方法。
- 前記シーケンシング方法が、以下:
(1)前記ライブラリをシーケンシングし、該ライブラリに含まれる複数の増幅断片の各々について1つ以上のリード配列を作成し、該複数の増幅断片についての複数のリード配列を得ること;
(2)得られた複数のリード配列の中から、該ライブラリの調製に用いたサンプルDNA上の同一領域の配列情報を有するリード配列を集めてグループ化することにより、リード配列のグループを1つ以上作成すること;及び、
(3)該リード配列のグループに含まれるリード配列の間で配列情報のコンセンサスを取ること、
を含む、請求項12記載の方法。 - 前記(1)が、前記サンプルDNAの断片を構成する2本の相補鎖の各々に由来する増幅断片に対して1つ以上のリード配列を作成することを含む、請求項13記載の方法。
- 前記(2)が、参照配列上の同一の位置にマッピングされるリード配列を同じグループに分けることを含む、請求項14記載の方法。
- 前記(3)が、前記リード配列のグループの中から、前記サンプルDNA断片の2本の相補鎖の各々に由来するリード配列を少なくとも1つずつ集め、集めたリード配列の間で配列情報のコンセンサスを取ることを含む、請求項15記載の方法。
- 前記(1)において、前記複数のリード配列が、以下からなるリード配列のペアを複数個含み:
リード1:前記増幅断片を構成する2本の相補鎖のうちの一方の鎖の配列を5'末端側から3'側へ読んだ配列に相当する配列情報を含むリード配列、
リード2:該一方の鎖の配列を3'末端側から5'側へ読んだ配列に相当する配列情報を含むリード配列、
前記(2)が、得られたリード配列のペアの中から、該サンプルDNA上の同一領域の配列情報を有するリード配列のペアを集めてグループ化することにより、リード配列のペアのグループを1つ以上作成することを含み、
前記(3)が、該リード配列のペアのグループに含まれるリード配列の間で配列情報のコンセンサスを取ることを含む、
請求項13記載の方法。 - 前記(1)が、前記サンプルDNAの断片を構成する2本の相補鎖の各々に由来する増幅断片に対して1つ以上の前記リード配列のペアを作成することを含む、請求項17記載の方法。
- 前記(2)が、前記リード配列のペアのリード1とリード2を参照配列に対してマッピングし、リード1の先頭とリード2の先頭とに挟まれる該参照配列の領域が同一であるリード配列のペアを同じグループに分けることを含む、請求項18記載の方法。
- 前記(2)が、前記リード配列のペアに含まれる一方のリード配列の先頭が前記参照配列上の同じ位置に位置するリード配列のペアを集め、次いで集めたリード配列のペアの中から、該リード配列のペアに含まれるもう一方のリード配列の先頭が該参照配列上の同じ位置に位置するリード配列のペアを集めて、集めたリード配列のペアを同じグループに分けることを含む、請求項18記載の方法。
- 前記(3)が、前記リード配列のペアのグループの中から、前記サンプルDNA断片の2本の相補鎖の各々に由来するリード配列のペアを少なくとも1組ずつ集め、集めたリード配列のペアに含まれるリード配列の間で配列情報のコンセンサスを取ることを含む、請求項19又は20記載の方法。
- ゲノムDNAをサンプルDNAとして用いて、請求項1〜11のいずれか1項記載の方法によりシーケンシング用ライブラリを調製すること;及び、
該シーケンシング用ライブラリをシーケンシングすること、
を含む、ゲノムDNAの変異を検出する方法。 - 前記シーケンシングが請求項13〜21のいずれか1項記載の方法により行われる、請求項22記載の方法。
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