JP2021079643A - 熱収縮性多層フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】重ね刷りの際のトラッピング不良を防止してインキとびを軽減することが可能な熱収縮性多層フィルムを提供する。【解決手段】表裏層と中間層とを有する熱収縮性多層フィルムであって、前記表裏層は、環状オレフィン系樹脂、エチレン系樹脂、及び、有機系微粒子を含有し、前記表裏層を構成する樹脂成分100重量%に対して、前記環状オレフィン系樹脂の含有量が55〜80重量%、前記エチレン系樹脂の含有量が20〜45重量%であり、前記有機微粒子は、平均粒子径が2.1〜5.0μmであり、前記表裏層を構成する樹脂成分100重量部に対して、前記有機系微粒子の含有量が0.03〜0.07重量部であり、前記中間層は、プロピレン系樹脂及び石油樹脂を含有し、前記中間層を構成する樹脂成分100重量%に対して、前記石油樹脂の含有量が5〜25重量%である熱収縮性多層フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、重ね刷りの際のトラッピング不良を防止してインキとびを低減することが可能な熱収縮性多層フィルムに関する。
近年、ペットボトル、金属罐等の容器の多くには、熱可塑性樹脂からなる熱収縮性フィルムに印刷等を施した熱収縮性ラベルが装着されている。
熱収縮性フィルムには、低温収縮性に加えて、耐熱性、耐溶剤性、ミシン目カット性等の種々の性能が要求されている。
一般的に、熱収縮性フィルムは、フィルムをロール状に巻き取り、所定のサイズにカットし、印刷、溶剤によるシール、熱収縮による容器への装着が行われるが、巻き取ったフィルム同士が密着することで、繰り出しの際にフィルムが破れたり、フィルム同士を剥がすことができなくなるという問題があった。また、熱収縮により容器に装着する際や容器にラベルを装着した状態で保管した場合に、ラベル同士が接着して剥がれなくなったり、容器からラベルが剥がれたりするという問題があった。
そのため、フィルムの滑り性やフィルム同士の接着を防止するために、シリカ、タルク等のアンチブロッキング剤を添加する手法が用いられている。
しかしながら、これらのアンチブロッキング剤は、フィルム表面を粗くすることで滑り性や耐ブロッキング性を発現させることができるものの、フィルムの汚れが生じて、外観不良の原因になるという問題があった。
これに対して、特許文献1では、長期保管下での耐ブロッキング性、耐自然収縮性を向上させるため、ゴム変性スチレン、滑剤、有機系微粒子等を含有するシュリンクフィルムが提案されている。
特開2002−161147号公報
ここで、シュリンクフィルムのラベルに重ね刷りを施す際、先に印刷したインキの上に次のインキを転移させるため、先に刷ったインキ層が後に刷るインキをうまく捕らえる必要がある。
しかし、先に印刷したインキに後から印刷したインキが、インキの粘度、フィルムの平滑性、濡れ性等により綺麗に転移しないことがあり、このような現象をトラッピング不良と言う。また、トラッピング不良によりインキが転移されずに色が抜けた状態をインキとびと言う。
特に諧調印刷の場合、諧調レベルが低い部分(色が薄い部分)は後に刷る版の版深度が浅いため、転移するインキの量も少なくトラッピング不良によるインキとびが多い。
トラッピング不良はインキとび以外に、色むらも発生する。
特許文献1に記載のシュリンクフィルムでは、このようなインキとびを充分に防止できないという問題がある。
本発明は、重ね刷りの際のトラッピング不良を防止してインキとびを軽減することが可能な熱収縮性多層フィルムを提供することを目的とする。
本発明は、表裏層と中間層とを有する熱収縮性多層フィルムであって、前記表裏層は、環状オレフィン系樹脂、エチレン系樹脂、及び、有機系微粒子を含有し、前記表裏層を構成する樹脂成分100重量%に対して、前記環状オレフィン系樹脂の含有量が55〜80重量%、前記エチレン系樹脂の含有量が20〜45重量%であり、前記有機微粒子は、平均粒子径が2.1〜5.0μmであり、前記表裏層を構成する樹脂成分100重量部に対して、前記有機系微粒子の含有量が0.03〜0.07重量部であり、前記中間層は、プロピレン系樹脂及び石油樹脂を含有し、前記中間層を構成する樹脂成分100重量%に対して、前記石油樹脂の含有量が5〜25重量%である熱収縮性多層フィルムである。
以下、本発明を詳述する。
本発明者は、環状オレフィン系樹脂、エチレン系樹脂及び特定の平均粒子径を有する有機系微粒子を所定の割合で含有する表裏層と、プロピレン系樹脂及び石油樹脂を所定の割合で含有する中間層とを有する熱収縮性多層フィルムとすることで、重ね刷りの際のトラッピング不良を防止してインキとびを軽減することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の熱収縮性多層フィルムは、環状オレフィン系樹脂、エチレン系樹脂及び有機系微粒子を含有する表裏層を有する。
本明細書中、表裏層とは、表面層と裏面層との両方を意味する。
上記表裏層は、環状オレフィン系樹脂を含有する。
上記環状オレフィン系樹脂を含有することで、結晶性を低下させ、熱収縮率が高められるとともに、フィルム製膜時の延伸性も向上することができる。
上記環状オレフィン系樹脂としては、(a)エチレン又はプロピレンと環状オレフィン(例えば、ノルボルネン及びその誘導体やテトラシクロドデセン及びその誘導体等)との共重合体、(b)該環状オレフィンの開環重合体又はα−オレフィンとの共重合体、(c)上記(b)の重合体の水素添加物、(d)不飽和カルボン酸及びその誘導体等による上記(a)〜(c)のグラフト変性物等が挙げられる。
また、上記環状オレフィン系樹脂の市販品としては、ZEONOR(日本ゼオン社製)、アペル(三井化学社製)、TOPAS(ポリプラスチックス社製)等が挙げられる。
上記環状オレフィンとしては特に限定されず、具体的には、例えば、ノルボルネン、6−メチルノルボルネン、6−エチルノルボルネン、5−プロピルノルボルネン、6−nーブチルノルボルネン、1−メチルノルボルネン、7−メチルノルボルネン、5,6−ジメチルノルボルネン、5−フェニルノルボルネン、5−ベンジルノルボルネン等が挙げられる。
また、テトラシクロドデセン及びその誘導体としては、例えば、8−メチルテトラシクロ−3−ドデセン、8−エチルテトラシクロ−3−ドデセン、5,10−ジメチルテトラシクロ−3−ドデセン等が挙げられる。
上記表裏層を構成する樹脂成分100重量%に対する上記環状オレフィン系樹脂の含有量は、55重量%以上、80重量%以下である。
上記範囲であると、熱収縮性多層フィルムの取扱い性や透明性を良好なものとすることができる。
上記環状オレフィン系樹脂の含有量は、60重量%以上であることが好ましく、75重量%以下であることが好ましい。
なお、本発明において、上記樹脂成分とは、環状オレフィン系樹脂、エチレン系樹脂等を意味し、有機系微粒子を含まないものである。
上記環状オレフィン系樹脂のGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法により測定される数平均分子量は1000以上であることが好ましく、100万以下であることが好ましい。上記範囲内とすることで、フィルムの製膜が容易になる。
上記環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度は20℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましく、130℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがより好ましい。上記ガラス転移温度が20℃以上であると、フィルム表面の耐熱性を良好なものとして、装着ライン上で容器同士のブロッキングの発生を抑制することができ、又、自然収縮率を良好な範囲とすることができる。130℃以下であると、横方向の熱収縮率を充分に大きくすることができる。
上記環状オレフィン系樹脂は、ガラス転移温度が70℃未満である環状オレフィン系樹脂(A)とガラス転移温度が70℃以上である環状オレフィン系樹脂(B)との混合樹脂であることが好ましい。
上記表裏層を構成する樹脂成分100重量%に対する上記環状オレフィン系樹脂(A)の含有量は、20重量%以上であることが好ましく、25重量%以上であることがより好ましく、50重量%以下であることが好ましく、45重量%以下であることがより好ましい。
上記表裏層を構成する樹脂成分100重量%に対する上記環状オレフィン系樹脂(B)の含有量は、25重量%以上であることが好ましく、30重量%以上であることがより好ましく、60重量%以下であることが好ましく、50重量%以下であることがより好ましい。
上記環状オレフィン系樹脂(A)のガラス転移温度と上記環状オレフィン系樹脂(B)のガラス転移温度との差は、5℃以上であることが好ましく、10℃以上であることがより好ましく、20℃以下であることが好ましく、15℃以下であることがより好ましい。
上記環状オレフィン系樹脂の密度は1000kg/m以上であることが好ましく、1010kg/m以上であることがより好ましく、1050kg/m以下であることが好ましく、1040kg/m以下であることがより好ましい。
上記環状オレフィン系樹脂は、230℃でのMVR(メルトボリュームレート)が5cm/10min以上であることが好ましく、50cm/10min以下であることが好ましい。
上記MVRは、230℃の条件でISO1133に準拠した方法により測定することができる。
上記表裏層は、更に、エチレン系樹脂を含有する。
上記表裏層に含まれる環状オレフィン系樹脂は、皮脂等の脂肪酸エステル等に弱く、容器等に装着して収縮させるまでに人が手で触れる機会があった時に、接触した手の指紋のついた部分が収縮後に白化することがあり、これを改善するためにエチレン系樹脂をさらに含有させることがある。上記エチレン系樹脂を含有することで、優れた耐脂性を付与することが可能となる。
上記エチレン系樹脂としては、分岐状低密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、又はこれらの混合物が挙げられる。なかでも、分岐状低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。
上記分岐状低密度ポリエチレンとしては、密度900〜940kg/mであり、MFRが0.1〜30g/10minのものを用いることが好ましい。これにより、上記環状オレフィン系樹脂との相溶性が良くなり、透明性の悪化が最小限に抑えられる。
上記直鎖状低密度ポリエチレンは、エチレンとα−オレフィンとの共重合体であり、α−オレフィンの例としては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等が挙げられる。
上記直鎖状低密度ポリエチレンとしては、密度880〜940kg/mであり、MFRは0.1〜30g/10minのものを用いることが好ましい。
上記エチレン系樹脂のビカット軟化温度は、90℃以上であることが好ましく、110℃以下であることが好ましい。
上記ビカット軟化温度は、ISO306に準拠した方法により測定することができる。また、ASTM D1525に準拠した方法により測定することができる。
上記表裏層を構成する樹脂成分100重量%に対する上記エチレン系樹脂の含有量は、20重量%以上、45重量%以下である。
上記範囲であると、熱収縮性多層フィルムの熱収縮率を充分に高めることができる。
上記エチレン系樹脂の含有量は、25重量%以上であることが好ましく、40重量%以下であることが好ましい。
上記表裏層を構成する環状オレフィン系樹脂の密度と上記表裏層を構成するエチレン系樹脂の密度との比(表裏層を構成する環状オレフィン系樹脂の密度/表裏層を構成するエチレン系樹脂の密度)は、1.05以上であることが好ましく、1.10以上であることがより好ましく、1.25以下であることが好ましく、1.20以下であることがより好ましい。
上記表裏層は、有機系微粒子を含有する。
上記有機系微粒子としては、アクリル系樹脂微粒子、スチレン系樹脂微粒子、スチレン―アクリル系樹脂微粒子、ウレタン系樹脂微粒子、シリコーン系樹脂微粒子等の有機系微粒子を用いることができる。これらは架橋されていても架橋されてなくてもよいが、微粒子の耐熱性を高めるために架橋されていることが望ましい。中でも上記環状オレフィン系樹脂との相溶性の観点からアクリル系樹脂微粒子が好ましく、ポリメタクリル酸メチル系架橋微粒子がさらに好ましい。
また、上記有機系微粒子のうち、市販品としては、例えば、テクポリマー(積水化成品工業社製)、ファインスフェア(日本ペイント社製)、ガンツパール(アイカ工業社製)、アートパール(根上工業社製)等が挙げられる。
上記有機系微粒子の平均粒子径は2.1μm以上、5.0μm以下である。すなわち、本発明において、上記有機系微粒子は、平均粒子径が2.1〜5.0μmである有機系微粒子のみからなるものである。
上記平均粒子径が上記範囲であると、凝集を抑えてトラッピング不良によるインキとびを効果的に抑制することができる。
上記平均粒子径は、2.15μm以上であることが好ましく、2.2μm以上であることがより好ましく、4.7μm以下であることが好ましく、4.5μm以下であることがより好ましい。
上記平均粒子径は、公知のレーザー回折・散乱法等により測定した最頻径を意味する。
なお、本発明では、上記平均粒子径を満たす限り、平均粒子径の異なる有機系微粒子を組み合わせて使用してもよい。
一方、上記平均粒子径を満たさない有機系微粒子を含む場合、トラッピング不良によるインキとびを抑制することができず、範囲外のものを単独で用いたときよりもトラッピング不良によるインキとびが多くなることもある。
上記有機系微粒子として、平均粒子径の異なる複数の有機微粒子を用いる場合、上記有機微粒子の平均粒子径の比(大径の有機微粒子の平均粒子径/小径の有機微粒子の平均粒子径)は、1.0以上であることが好ましく、1.7以下であることが好ましく、1.6以下であることがより好ましい。
上記有機系微粒子の含有量は、表裏層を構成する樹脂成分100重量部に対して、0.03重量部以上、0.07重量部以下である。
上記含有量が上記範囲であると、熱収縮性多層フィルムの耐ブロッキング性に加え、トラッピング不良によるインキとびを抑制することができる。
上記含有量は、0.035重量部以上であることが好ましく、0.065重量部以下であることが好ましい。
本発明の熱収縮性多層フィルムは、上記表裏層と、プロピレン系樹脂及び石油樹脂を含有する中間層とが積層されたものである。これにより、優れた仕上り性の得られる熱収縮性多層フィルムとなる。
上記中間層は、プロピレン系樹脂を含有する。
上記プロピレン系樹脂としては、熱収縮性を発現する観点から、プロピレンを主成分として、α−オレフィンを共重合成分とする二元、又は、三元ランダム共重合体が好ましい。
α−オレフィンとしては、具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等からなるものが好ましく、2種類以上のα−オレフィンを含んでいても良い。共重合成分であるα−オレフィンの比率は1〜10モル%であるのが好ましい。
また、プロピレン系樹脂としては、異なるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体の混合物であってもよい。
上記プロピレン系樹脂のMFRは0.1g/10min以上であることが好ましく、30g/10min以下であることが好ましい。
また、上記表裏層を構成するエチレン系樹脂のMFRと上記中間層を構成するプロピレン系樹脂のMFRの比(表裏層を構成するエチレン系樹脂のMFR/中間層を構成するプロピレン系樹脂のMFR)は、0.003以上であることが好ましく、0.1以上であることがより好ましく、0.25以上であることが更に好ましく、300以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、0.85以下であることが更に好ましい。
なお、上記プロピレン系樹脂が、MFRの異なる2種以上のプロピレン系樹脂を含有する混合樹脂である場合、上記プロピレン系樹脂のMFRは、各プロピレン系樹脂のMFRと配合割合(重量比)との積を合計して算出した見掛けのMFRを意味する。
上記プロピレン系樹脂のビカット軟化温度は、100℃以上であることが好ましく、130℃以上であることが好ましい。
また、上記表裏層を構成するエチレン系樹脂のビカット軟化温度と上記中間層を構成するプロピレン系樹脂のビカット軟化温度との差は、10℃以上であることが好ましく、15℃以上であることがより好ましく、30℃以下であることが好ましく、25℃以下であることがより好ましい。
なお、上記プロピレン系樹脂が、ビカット軟化温度の異なる2種以上のプロピレン系樹脂を含有する混合樹脂である場合、上記プロピレン系樹脂のビカット軟化温度は、各プロピレン系樹脂のビカット軟化温度と配合割合(重量比)との積を合計して算出した見掛けのビカット軟化温度を意味する。
上記中間層を構成する樹脂成分100重量%に対する上記プロピレン系樹脂の含有量は、60重量%以上であることが好ましく、63重量%以上であることがより好ましく、95重量%以下であることが好ましく、92重量%以下であることがより好ましい。
上記中間層には、更に、石油樹脂を含有する。
上記石油樹脂としては、例えば、シクロペンタジエン又はその二量体からの脂環式石油樹脂やC9成分からの芳香族石油樹脂等が挙げられる。
上記石油樹脂のビカット軟化温度は、100℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましく、150℃以下であることが好ましく、130℃以下であることがより好ましい。
上記石油樹脂のビカット軟化温度が上記範囲内であることで、良好な熱収縮性を発現することができる。
また、上記中間層を構成するプロピレン系樹脂のビカット軟化温度と上記中間層を構成する石油樹脂のビカット軟化温度との差は、5℃以上であることが好ましく、10℃以上であることがより好ましく、30℃以下であることが好ましく、25℃以下であることがより好ましい。
上記中間層を構成する樹脂成分100重量%に対する上記石油樹脂の含有量は、5重量%以上、25重量%以下である。
上記含有量が上記範囲であることにより、熱収縮性多層フィルムに高収縮性を付与することができ、且つ高剛性のフィルムを得ることができる。上記上限以下であることにより、低温下における伸度低下、および層間での剥離を抑制することができる。
上記石油樹脂の含有量は、8重量%以上であることが好ましく、24重量%以下であることが好ましい。
上記中間層は、更に、エチレン系樹脂を含有してもよい。
上記エチレン系樹脂としては、分岐状低密度ポリエチレン樹脂や直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、又は、これらの混合物が挙げられる。また、エチレンとα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。
α−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等が挙げられる。
上記共重合体は、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。
なかでも、エチレン−ブテン共重合体が好ましく用いられる。
上記エチレン系樹脂の密度は、880kg/m以上であることが好ましく、950kg/m以下であることが好ましい。
上記エチレン系樹脂のMFRは3.0g/10min以上であることが好ましく、4.0g/10min以下であることが好ましい。
また、上記中間層を構成するエチレン系樹脂のMFRは、上記表裏層を構成するエチレン系樹脂のMFRよりも大きいことが好ましい。
更に、上記表裏層を構成するエチレン系樹脂のMFRと上記中間層を構成するエチレン系樹脂のMFRとの比(表裏層を構成するエチレン系樹脂のMFR/中間層を構成するエチレン系樹脂のMFR)は、0.3以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましく、0.8以下であることが好ましく、0.6以下であることがより好ましい。
また、上記中間層を構成するエチレン系樹脂のMFRは、上記中間層を構成するプロピレン系樹脂のMFRよりも小さいことが好ましい。
更に、上記中間層を構成するエチレン系樹脂のMFRと上記中間層を構成するプロピレン系樹脂のMFRとの比(中間層を構成するエチレン系樹脂のMFR/中間層を構成するプロピレン系樹脂のMFR)は、0.4以上であることが好ましく、0.6以上であることがより好ましく、0.9以下であることが好ましく、0.7以下であることがより好ましい。
上記エチレン系樹脂のビカット軟化温度は50℃以上であることが好ましく、60℃以下であることが好ましい。
また、上記中間層を構成するエチレン系樹脂のビカット軟化温度は、上記表裏層を構成するエチレン系樹脂のビカット軟化温度よりも低いことが好ましい。
更に、上記表裏層を構成するエチレン系樹脂のビカット軟化温度と上記中間層を構成するエチレン系樹脂のビカット軟化温度との差は、30℃以上であることが好ましく、39℃以上であることがより好ましく、50℃以下であることが好ましく、43℃以下であることがより好ましい。
また、上記中間層を構成するエチレン系樹脂のビカット軟化温度は、上記中間層を構成するプロピレン系樹脂のビカット軟化温度よりも低いことが好ましい。
更に、上記中間層を構成するエチレン系樹脂のビカット軟化温度と上記中間層を構成するプロピレン系樹脂のビカット軟化温度との差は、45℃以上であることが好ましく、55℃以上であることがより好ましく、75℃以下であることが好ましく、65℃以下であることがより好ましい。
上記中間層を構成する樹脂成分100重量%に対する上記エチレン系樹脂の含有量は、0重量%以上であることが好ましく、1重量%以上であることがより好ましく、15重量%以下であることが好ましく、13重量%であることがより好ましい。
上記中間層は、テルペン樹脂、ロジン樹脂等の石油樹脂以外の炭化水素樹脂を含んでいてもよい。
上記テルペン樹脂としては、例えば、β−ピネンからのテルペン樹脂やテルペン−フェノール樹脂等が挙げられる。
上記ロジン系樹脂としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン等のロジン樹脂、グリセリンやペンタエリスリトール等で変性したエステル化ロジン樹脂等が挙げられる。
上記中間層は、更に、オレフィン系エラストマーを含有してもよい。
上記オレフィン系エラストマーとしては、エチレン/α−オレフィンランダム共重合体エラストマーを用いることが好ましい。上記エチレン/α−オレフィンランダム共重合体エラストマーとは、炭素数3以上のα−オレフィンの共重合成分が15モル%以上のエラストマーである。ここでα−オレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1等が例示できる。
上記中間層を構成する樹脂成分100重量%に対する上記オレフィン系エラストマーの含有量は、20重量%以下であることが好ましい。20重量%を超えると、熱収縮性多層フィルムの腰強度が低下することがある。
上記表裏層及び中間層には、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、抗菌剤、蛍光増白剤、着色剤等の添加剤を含有してもよい。
本発明の熱収縮性多層フィルムは、上記表裏層と上記中間層とが、接着層を介して積層されていてもよい。
本発明の熱収縮性多層フィルム全体の厚さは、20μm以上であることが好ましく、25μm以上であることがより好ましく、80μm以下であることが好ましく、70μm以下であることがより好ましい。熱収縮性多層フィルム全体の厚さが上記範囲内であると、優れた熱収縮性、印刷又はセンターシール等の優れたコンバーティング性、優れた装着性が得られる。
また、本発明の熱収縮性多層フィルムにおいて、上記中間層の厚さは、熱収縮性多層フィルム全体の厚みに対して50%以上であることが好ましく、90%以下であることが好ましい。上記中間層の厚さが上記範囲内であると、高い層間強度、高い透明性等が得られる。
本発明の熱収縮性多層フィルムの動摩擦係数は、0.1以上であることが好ましく、0.15以上であることがより好ましく、0.55以下であることが好ましく、0.45以下であることがより好ましい。
本発明の熱収縮性多層フィルムを80℃温水中に10秒間浸漬したときの熱収縮率は、15%以上であることが好ましく、60%以下であることが好ましい。熱収縮率が上記範囲内であると、収縮不良等の問題を起こすことがなく、熱収縮性多層フィルムとして好適に使用することができる。
本発明の熱収縮性多層フィルムは、諧調印刷を行った際の諧調レベル毎のインキとびの個数を計測したとき、諧調レベル20〜30%における100m当たりのインキとびの個数が1600個以下であることが好ましく、1500個以下であることがより好ましく、1400以下であることが更に好ましい。
また、諧調レベル30〜40%における100m当たりのインキとびの個数が550個以下であることが好ましく、500個以下であることがより好ましく、450個以下であることが更に好ましい。
更に、諧調レベル40〜50%における100m当たりのインキとびの個数が380個以下であることが好ましく、330個以下であることがより好ましく、280個以下であることが更に好ましい。
また、諧調レベル50〜60%における100m当たりのインキとびの個数が151個以下であることが好ましく、149個以下であることがより好ましく、147個以下であることが更に好ましい。
更に、諧調レベル20〜40%における100m当たりのインキとびの個数が2200個以下であることが好ましく、2000個以下であることがより好ましく、1800個以下であることが更に好ましい。
また、諧調レベル20〜60%における100m当たりのインキとびの個数が2800個以下であることが好ましく、2400個以下であることがより好ましく、2000個以下であることが更に好ましい。
本発明の熱収縮性多層フィルムを製造する方法は特に限定されないが、共押出法により各層を同時に成形する方法が好ましい。上記共押出法がTダイによる共押出である場合、積層の方法は、フィードブロック方式、マルチマニホールド方式、又は、これらを併用した方法のいずれであってもよい。
本発明の熱収縮性多層フィルムを製造する方法としては、具体的には、例えば、上記表裏層を構成する原料と中間層を構成する原料をそれぞれ押出機に投入し、ダイスによりシート状に押出し、引き取りロールにて冷却固化した後、1軸又は2軸に延伸する方法が挙げられる。
上記延伸の方法としては、例えば、ロール延伸法、テンター延伸法又はこれらの組み合わせを用いることができる。
延伸温度は、フィルムを構成する樹脂の軟化温度、熱収縮性多層フィルムに要求される収縮特性等に応じて変更されるが、65℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましく、120℃以下であることが好ましく、115℃以下であることがより好ましい。
主収縮方向の延伸倍率は、フィルムを構成する樹脂、延伸手段、延伸温度等に応じて変更されるが、3倍以上が好ましく、4倍以上がより好ましく、7倍以下が好ましく、6倍以下がより好ましい。
このような延伸温度及び延伸倍率とすることにより、優れた厚み精度を達成することができる。
本発明の熱収縮性多層フィルムの用途は特に限定されないが、本発明の熱収縮性多層フィルムは、ミシン目のカット性に優れ、耐落下衝撃性に優れるとともに、透明性にも優れることから、例えば、ペットボトル、金属罐等の容器に装着される熱収縮性ラベルのベースフィルムとして好適に用いられる。
本発明によれば、重ね刷りの際のトラッピング不良を防止してインキとびを軽減することが可能な熱収縮性多層フィルムを提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1〜2、比較例1〜4)
表裏層及び中間層を構成する原料として表1に示す成分を用い、表2に示す割合で混合しし、表裏層及び中間層を構成する原料組成物を得た。
上記表裏層及び中間層を構成する原料組成物を、別の押出機を用いて、表裏層はバレル温度210℃、中間層はバレル温度180℃で溶融させ、Tダイから押出し、30℃に冷却したロールで冷却固化し、未延伸シートを作製した。
これを温度90℃のテンター式延伸機でTD方向に5倍延伸し、表面層/中間層/裏面層を8.3μm/33.4μm/8.3μmの厚みとし、総厚み50μmのフィルムとした。
Figure 2021079643
(評価)
実施例及び比較例で得られた熱収縮性多層フィルムについて、以下の評価を行った。結果を表3に示した。
(インキとび)
得られた熱収縮性多層フィルムを以下の条件で、グラビア印刷機を用いて印刷を行った。
フィルム幅:800mm
印刷インキ:オレフィン用 藍、白(下地部分)
インキ粘度:ザーンカップ法 #3ザーンカップで15秒
版:彫刻製版により作製したグラビア版
版の線数:175L/inch
印刷速度:100m/min
また、白及び藍の版深度は以下の通りとした。
Figure 2021079643
印刷後の状態を目視にて観察し、0〜100%のグラデーションカーブにおける20〜60%までの10%毎の各諧調レベルについてインキとび(色抜け)の個数を100m換算して算出し、各諧調レベルでのインキとびの個数について、以下の基準で評価した。
諧調レベル20〜30%のインキとびの個数
○:1600個以下
×:1600個を超える
諧調レベル30〜40%のインキとびの個数
○:550個以下
×:550個を超える
諧調レベル40〜50%のインキとびの個数
○:380個以下
×:380個を超える
諧調レベル50〜60%のインキとびの個数
○:151個以下
×:151個を超える
諧調レベル20〜40%のインキとびの個数
○:2200個以下
×:2200個を超える
諧調レベル20〜60%のインキとびの個数
○:2800個以下
×:2800個を超える
Figure 2021079643
本発明によれば、重ね刷りの際のトラッピング不良を防止してインキとびを軽減することが可能な熱収縮性多層フィルムを提供することができる。

Claims (5)

  1. 表裏層と中間層とを有する熱収縮性多層フィルムであって、
    前記表裏層は、環状オレフィン系樹脂、エチレン系樹脂、及び、有機系微粒子を含有し、
    前記表裏層を構成する樹脂成分100重量%に対して、前記環状オレフィン系樹脂の含有量が55〜80重量%、前記エチレン系樹脂の含有量が20〜45重量%であり、
    前記有機微粒子は、平均粒子径が2.1〜5.0μmであり、
    前記表裏層を構成する樹脂成分100重量部に対して、前記有機系微粒子の含有量が0.03〜0.07重量部であり、
    前記中間層は、プロピレン系樹脂及び石油樹脂を含有し、
    前記中間層を構成する樹脂成分100重量%に対して、前記石油樹脂の含有量が5〜25重量%である
    ことを特徴とする熱収縮性多層フィルム。
  2. 中間層は、更に、エチレン系樹脂を含有することを特徴とする請求項1記載の熱収縮性多層フィルム。
  3. 表裏層を構成するエチレン系樹脂は、直鎖状低密度ポリエチレンであることを特徴とする請求項1又は2記載の熱収縮性多層フィルム。
  4. 表裏層は、平均粒子径が異なる少なくとも2種の有機系微粒子を含有することを特徴とする請求項1、2又は3記載の熱収縮性多層フィルム。
  5. 請求項1、2、3又は4記載の熱収縮性多層フィルムを含む熱収縮性ラベル。
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