JP2021076581A - 生体試料切片の出処および／または品質の検証設備および方法 - Google Patents

Abstract

【課題】生体試料切片の出処および／または品質を検証するための設備および方法を開示する。【解決手段】カセット６に収納されたパラフィンブロック４が内蔵する生体試料７の出処および／または品質を検証するための、符号化された識別情報を読み取るための、少なくとも１つの装置９、１２と、生体試料７に特有の生体データを取得するための、少なくとも１つの装置と、コンピュータ処理手段１４へデータを伝送する手段１３とを備える設備１。【選択図】図３

Description

発明の詳細な説明

本発明は、符号化された識別情報を有する試料スライド上に保存され、同じく符号化された識別情報を有するパラフィンブロックから取り出された、生体試料切片の出処および／または品質を検証するための設備に関する。

患者の医療、または、人間、動物または植物の分野における研究という観点から、診断を準備する目的であるか否かであるが、組織学的および／または分子学的分析のため、一般的に組織または細胞の標本が採取される。

分析対象の細胞または組織構造の顕微鏡下での完璧な観察を実現するため、そのような標本には、異なる工程を備えた事前準備が施される。

要するに、後者において、新しく採取された試料は、オープンカセット内に置かれ、脱水段階を経て、その後、パラフィンに内包され、生体試料のブロックに至る。後者から取り出された厚さ４から１０μｍの上質で正常な切片は、次に試料スライド上に配置され、化学製品を使用しての様々な諸処理、および、観察する構造を露出させるための染色が施され、そして最後に、顕微鏡下での読み取りを可能にするため、そして保護のため接着剤に続き、ストリップで覆われる。

人口の老化および癌などといった特定の病気の発生率の上昇により、今日の病理学研究所が、例えば生検材料、または切除した組織の形で、非常に多数の生体試料を管理する理由があるというのは、特筆に値する。

生検材料は一般的に小さく、または微小であり、一般的に処理や脱水後に、単一または非常に少数のパラフィンブロックとなる。反対に、切除した組織は大きくなりえ、特に、臓器全体からなる場合、分離させる必要がある場合があり、そうすると、それぞれが得られた断片のひとつを内蔵する複数のパラフィンブロックとなる。

分析のための生体試料の準備における全ての段階は、多くの手作業を要し、その間に、行われる分析の精度、特に、下される診断の精度の保証のみならず、生体試料の実際の出処と、行程の最中に分析や行程に起因する出処との一致を保証するため、対策を講じる必要がある。

ゆえに、採取される際に、各生体試料には、独自の参照番号が割り当てられるが、この参照番号は研究所のコンピュータシステムによって提供され、生体試料の出処である患者とリンクされており、生体試料が瓶、カセット、パラフィンブロックの中か、または試料スライド上かに保存されていようが、全行程を通してそのまま残る。さらには、各試料（生検材料または切除された組織片）は、時には目視での検出が可能であるが、他の場合には顕微鏡分析でしか検出できない、独特の形状を有している。

この時、対象のパラフィンブロックの切片に由来する生体試料を有すると予想される試料スライドの参照番号が、後者の参照番号と一致するゆえに同じ患者に由来するかどうかを検証することからなる作業は、最初は目視による検証により行われる。念のため、試料により可能な場合には、試料スライド上に配置された試料の形状が、パラフィンブロックに組み込まれた試料の形状に対応するかを判断するため、目視検査が行われることがある。

しかしながら、解剖病理学研究所が管理する試料の量は増え続ける一方のため、そのような方法は現在限界に近づいており、特に、試料スライドを作る際の、それらへの参照番号の割り当て時に、エラーにつながる可能性がある。

時として、病理学者が手順の最中、特に、スライドが割り当てられた患者のプロフィールが、同スライド上に保存された試料のプロフィールと適合しない場合、または、スライド上に保存された試料の形状がブロックに含まれた試料の形状と異なったりする場合に、幸運にも、そのようなエラーを検出できることがある。とはいえ、研究所は、その後、元々のパラフィンブロックを探す、切り直す、染色する等の必要があり、それにより追加の作業時間と費用を要し、何よりも、患者の診断遅延は必至となる。加えて、反対に、例えば、試料スライドが有する参照番号を使用して確認された、対応する患者のプロフィールが、分析される生体試料と適合する可能性があるために、エラーを検出することが不可能な場合、病理学者は、不運にも誤った患者へと届けられる診断を行ってしまう。これはもちろん、その後不適切な処置、および／または、副作用を伴う治療を受けた場合の誤った患者、および、分析される標本の実際の出処であって、その後診断またはいずれの処置も受けられない患者、双方にとって致命的となりえる。

さらには、診断エラーが、分析される試料スライドの品質不良を引き起こす可能性があることが知られている。

確かに、後者の製造はとりわけ繊細であり、当の技術者には高い巧緻性が求められ、使用するスライドの品質の低さ、技術者の疲弊、周囲温度などの多くの要素の影響を受けることがある。また、切片がパラフィンブロックの深さが十分なところから取り出されず、診断の確立が大きな関心となりえる試料の一部が、結果的に得られた試料スライド上で欠落することになる。

さらに、試料スライドの品質不良は、性質の劣化した薬液を使用しての、同スライド上に保存された生体試料の不完全な染色に起因する場合がある。日々染色される、非常に多数の試料スライドのため、槽内に存在する試験薬および消耗品の品質は、実際、使用されるたびに低下する。ゆえに、染料、アルコールやその他の化学製品が定期的に取り替えられず、新しくされない場合、スライド処理のバッチ毎に、鮮鋭さ、コントラスト、色の強度の点で、染色の品質は低下する。しかし、試料スライドのこの染色品質の低下は、非常に徐々に発生するため、肉眼では非常に検出し難い。その他の可読性不良は、切片への接着剤の正しい塗布がなされず、顕微鏡での読み取りが不可能になることによる可能性がある。怠慢な準備による、スライドのこの低品質は、病理学者による診断をより難しくする可能性があったり、誤診や、組織の特定の詳細や特殊性が明らかにされず、検出されないままになったりすることの原因ともなる。

本発明の目的は、上記の問題すべてに対処することを可能とする解決法を提案することである。そして、その上で、特に、後者の製造直後に行われる、試料スライド上に保存された生体試料の出処に関する二重検証を通し、精度およびレシピエント両方の観点から、病理学研究所によって確立される診断の信頼性を保証することである。加えて、本発明は、製造時に試料スライドの品質の検証を可能にし、分析および診断作業担当の病理学者へ、必要な準備品質を備えた試料スライドのみを送ることを可能とすることも目的としている。

そのために、本発明は、符号化された識別情報を伴うパラフィンブロックから取り出され、同じく符号化された識別情報を伴う試料スライド上に保存された、生体試料切片の出処および／または品質を検証するための設備に関し、前記設備は、
符号化された識別情報読み取りのための、以下をさらに備えることを特徴とする少なくとも１つの装置と、
パラフィンブロックに含まれる生体試料に特有の、または、パラフィンブロックから取り出された切片の形状にて、試料スライド上に保存された生体試料に特有の生体データを取得するための少なくとも１つの装置と、
読み取った識別情報および取得した生体データを、ソフトウェアアプリケーションを内蔵した、コンピュータ処理手段に伝送するための手段と、を備え、
前記ソフトウェアアプリケーションは、
パラフィンブロック上で読み取られる識別情報、および、パラフィンブロックに含まれる、予め取得された試料に特有の生体データを、対応付けて記憶手段に記録するため、
試料スライド上で読み取られる識別情報を記録し、それらをパラフィンブロック用に記録される識別情報と比較するため、そして、該当する場合、
試料スライド上に切片の形で保存された生体試料に特有の生体データを記録し、また、それらをパラフィンブロックの識別情報に対応付けて記録された生体データと比較するため、そして、
比較の結果を表す信号を発生させる手段を作動させるために、実行される。

好ましい様々な実施形態によると、本発明にかかる設備は、少なくとも１つのパラフィンブロックまたは少なくとも１つの試料スライドを収容するよう構成され、パラフィンブロックの識別情報を読み取ることを目的として符号化データを読み取るための、少なくとも１つの装置と、試料スライドの識別装置を読み取ることを目的として符号化データを読み取るための、少なくとも１つの第２の装置、および、パラフィンブロックに含まれる生体試料に特有の生体データ、および／または、試料スライド上に切片の形にて保存された生体試料に特有の生体データを取得することを目的として生体データを取得するための、少なくとも１つの装置が適切に取り付けられたハウジングを有する器具を備える。

他の別形の実施形態では、さらに、器具が、パラフィンブロックに含まれる生体試料に特有の生体データを取得することを目的として生体データを取得するための装置、および、試料スライド上に切片の形にて保存された生体試料に特有の生体データを取得することを目的として生体データを取得するための装置を備えることが考えられうる。

設備は、加えて、そのような器具と、コンピュータ処理手段を伴うコンピュータと、少なくとも１つのユーザインターフェースとを備え、前記コンピュータは有線または無線接続によって器具に接続されている。

他に考えられる選択肢によると、器具そのものは、コンピュータ処理手段、および、少なくとも１つのユーザインターフェースを内蔵する。

好ましくは、生体データ取得のための装置は、パラフィンブロック内に含まれた生体試料に特有の、または、パラフィンブロックから取り出された切片の形状にて、試料スライド上に保存された生体試料に特有の、２次元または３次元形状に関するデータを取得するための装置にて定義される。

加えて、本発明にかかる設備は、パラフィンブロックまたは試料スライド上に貼付された、符号化された識別情報の読み取りを可能とする少なくとも１つのバーコードリーダを備えることをさらなる特徴とする。

さらに、設備において、ユーザインターフェースは好ましくは画面からなる。

本発明は、また、符号化された識別情報を伴うパラフィンブロックから取り出され、同じく符号化された識別情報を備えた試料スライド上に保存された生体試料の切片の出処および／または品質を、上述の設備を使用して検証するため、
符号化データ読み取りのための装置を使用し、少なくとも１つのパラフィンブロックの識別情報を読み取ること、
生体データを取得するための装置を使用し、この同じパラフィンブロックに含まれる生体試料に特有の生体データを取得すること、
パラフィンブロックの識別情報、および、この同じパラフィンブロックに含まれる生体試料に特有の生体データを、対応付けて記憶手段内に記録すること、
符号化データ読み取りのための装置を使用し、少なくとも１つの試料スライドの識別情報を読み取ること、
生体データ取得のための装置を使用し、試料スライド内に切片の形で保存された生体試料に特有の生体データを取得すること、
試料スライドの識別装置とパラフィンブロックの識別情報とを比較し、その後、試料スライド内に切片の形で保存された生体試料に特有の生体データと、パラフィンブロックに含まれる生体試料に特有の生体データを比較すること、
行われた比較の結果を表す信号を受信すること、そして、場合によっては
試料スライド上に保存された試料の出処および／または品質を確認すること、または
試料スライド上に保存された試料の出処および／または品質を無効にすること、
の工程を順に実施することを特徴とする方法に関する。

加えて、本発明は、また、前述した設備を使用して、試料スライドの染色品質を検証するため、
「基準試料スライド」と呼ばれる、少なくとも１つの試料スライドの識別情報を、符号化データを読み取るための装置を使用して読み取ること、
「基準」試料スライド内で、適切に染色された切片の形にて保存された生体試料に特有の生体データを、生体データを取得するための装置を使用して取得すること、
「基準」試料スライドの識別情報と、「基準」試料スライド内で、適切に染色された切片の形にて保存された生体試料に特有の生体データを、対応付けて、記憶手段内に記録すること、
試料スライドの識別情報を、符号化データを読み取るための装置を使用して読み取ること、
試料スライド内で、染色された切片の形にて保存された生体試料に特有の生体データを、生体データを取得するための装置を使用して取得すること、
試料スライド内で、染色された切片の形にて保存された生体試料に特有の生体データと、「基準」試料スライド内で、適切に染色された切片の形にて保存された生体試料に特有の生体データとを、コンピュータ処理手段を使用して行われる比較の結果を表す信号を受信すること、そして、場合によっては
試料スライド内で、染色された切片の形にて保存された生体試料の染色品質を確認し、試料スライドをそのまま維持すること、または
試料スライド内で、染色された切片の形にて保存された生体試料の染色品質を無効にし、試料スライドを新たな染色工程にかけるか、または、試料スライドを処分すること、
の工程を実施することを特徴とする方法に関する。

また、本発明は、パラフィンブロックから取り出され、試料スライド上に保存された生体試料切片の出処および／または品質を検証するため、または、試料スライド上に保存された生体試料切片の染色を検証するための上記のとおりの設備の使用に関する。

本発明は、非限定的な例として供された添付の図面を参照しつつ、明細書を読むことにより、よりよい理解がなされる。

図１は、生体試料を内蔵するパラフィンブロックの斜視図を示す。 図２は、図１のパラフィンブロックから取り出される切片が、その上で保存される試料スライドの図である。 図３は、図１のパラフィンブロックから取り出され、図２の試料スライド上に保存された生体試料切片の出処および／または品質を検証するための方法の工程の最中における、本発明にかかる設備の別形の実施形態の概略図である。

図面を参照し、本発明は、試料スライド３上に保存され、パラフィンブロック４から取り出された生体試料切片２の出処および／または品質を検証するための設備１に関する。

従来、対象の患者を表す識別情報は、分析の実施、および／または、診断の確立を目的として全ての生体試料から取り出されると、一度割り当てられたら、保存される媒体の種類にかかわらず、関わる可能性がある様々な部門を通じ、全行程を通して割り当てられたままである。

ゆえに、各パラフィンブロック４には、一般的に、それを収納するカセット６の１つの面６０に貼付される識別情報が設けられ、前記データは、例えば、仮に、マトリクスコード５の形であり、各パラフィンブロック４を、それが内蔵する生体試料７の出処である患者とリンクさせることを可能にする。もちろん、それぞれ単一で同じ患者に由来する臓器の断片を内蔵する、全てのパラフィンブロック４は、単一のマトリクスコード５を有することになっている。

同様に、パラフィンブロック４上に保存された、採取された切片２が載った各試料スライド３は、例えば、マトリクスコード８の形での固有の識別情報を有する。ゆえに、診断が、標本の出処である患者へ送られることを保証するため、パラフィンブロック４から形成された試料スライド３のマトリクスコード８を、後者に貼付されるマトリクスコード５に必ず対応させる必要がある。

試料スライド３の製造中における、本発明にかかる設備１の実施は、後者への誤ったマトリクスコード８の貼付を回避、または検出することを可能にする。

換言すれば、試料スライド３の製造直後に、設備１を実施することで、身元があらかじめ検証されている患者の試料スライド３の分析を担当する病理学者のみへの提供が可能になる。

そのためにも、図３に示す別形の実施形態において、設備は、少なくとも１つのパラフィンブロック４または少なくとも１つの試料スライド３を収容するよう構成され、パラフィンブロック４を収納するカセット６の１つの面６０に貼付されるマトリクスコード５を読み取ることを目的とした第１のバーコードリーダ９、および、試料スライド３のマトリクスコード８を読み取ることを目的とした第２バーのコードリーダ１２が適切に取り付けられたハウジング１１を有する器具１０を備える。そのような器具は、適切な解像度で画像を取得し、分析する装置で定義することができる。

また、器具１０はさらに、パラフィンブロック４内に含まれる生体試料７に特有な、または、試料スライド３上のパラフィンブロック４から取り出された切片２の形状で保存された生体試料７に特有な、２次元または３次元形状に関係するデータを取得するための、少なくとも１つの装置（図示せず）を内蔵する。

要するに、器具１は、パラフィンブロック４に貼付されたバーコードを読み取とらせる手段、試料スライド３に貼付されたバーコードを読み取とらせる手段、パラフィンブロック４内に保存された生体試料７の特徴的な形状を判断させる手段、および、この同じブロック４から取り出された切片２の形にて、試料スライド３上に保存された生体試料７の特徴的な形状を判断させる手段を備える。

また、設備１は、画面１５およびキーボード１６を備え、有線または無線でのデータ伝送手段１３により器具１に接続されるコンピュータ１４を備える。

本発明によれば、記載の実施形態において、コンピュータ１４は、ソフトウェアアプリケーションを内蔵するコンピュータ処理手段を内蔵しており、前記ソフトウェアアプリケーションは、
パラフィンブロック４上のマトリクスコード５から読み取られる識別情報、および、この同じパラフィンブロック４に含まれる生体試料７の特徴的な形状に関する情報を、対応付けて記憶手段内に記録するため、
試料スライド３上のマトリクスコード８から読み取られた識別情報を記録し、それらをパラフィンブロック４用に記録された情報と比較するため、そして、該当する場合、
試料スライド３上に切片２の形にて保存された生体試料７の特徴的な形状に関する情報を記録し、また、それらをパラフィンブロック４の識別情報に対応付けて記録された、パラフィンブロック４に含まれる生体試料７の特徴的な形状に関する情報と比較するため、そして、
例えば、視覚信号の形でコンピュータ１４の画面１５に表示される、比較の結果を表す信号を発生させる手段を作動させるために、実行される。

実務上、本発明にかかる設備は、上述した用途において、試料スライド３上に切片２の形にて保存される生体試料７の出処を自動的に検証するべく、使用されうる。

この検証は、２つの段階にて、すなわち、試料スライド３に貼付される識別情報と、それを作るために使用されるパラフィンブロック４に貼付される識別情報との比較、および、この時行われる、スライド３に支持される試料７の形状と、パラフィンブロック４に含まれる試料７の形状との第２の比較を通じ、有利に行われる。また、有利に形状を比較することで、切片の不具合（組織ひだやスライド傷など）や、特に、誤診につながりかねない、パラフィンブロックの深さが不十分な所でなされた切片を検出することが可能になる。

このような状況下で、設備１の実行は、まず、設備１の器具１０のハウジング１１内にパラフィンブロック４を配置すること、その後、バーコードリーダ９を使用して、パラフィンブロック４のマトリクスコード５を読み取ること、そして次に、画像を取得して適切な解像度で分析するための装置（図示せず）を使用して、この同じパラフィンブロック４に含まれる生体試料７に特有の形状を判断することからなる。

読み取られたパラフィンブロック４の識別情報、および、この同じパラフィンブロック４に含まれる生体試料７に特有の形状に関するデータは、その後、コンピュータ１４の記憶手段に対応付けられて自動的に記録される。

その後、パラフィンブロック４は、器具１０のハウジング１１から取り除かれ、パラフィンブロック４から作られた試料スライド３と差し替えられ、その出処と品質の検証が必須となる。そのためにも、バーコードリーダ１２を使用して試料スライド３の識別情報を読み取り、次に、画像取得および分析の装置を使用して、試料スライド３内に切片形状２で保存される生体試料７に特有の形状を判断することが必要となる。

コンピュータ１４のコンピュータ処理手段は、その後、コンピュータ処理手段によって行われる、試料スライド３のマトリクスコード８とパラフィンブロック４のマトリクスコード５との比較、そして、該当する場合、試料スライド３内に切片形状２で保存される生体試料７に特有の形状と、パラフィンブロック４に含まれる生体試料７に特有の形状との比較の結果を表す信号を生成する。この信号は、画面１５に表示され、場合によっては、試料スライド３の出処および／または品質の確認、または、試料スライド３の出処および／または品質の検証に対応する。

試料スライド３上に存在する試料７の形状と、パラフィンブロック５に含まれる試料７の形状が満足に適合しないことが検出された場合、または、パラフィンブロックの深さが不十分な所でなされた切片２が検出された場合に、試料スライド３を作ったオペレータに、生産終了時直ぐに知らされる。このことにより、オペレータは、スライド３の誤った患者への割り当てにおけるエラーを検出、または、新しく追加の切片が必要となる、生産不具合を観察することができる。

また、形状の比較により、試料スライド３上の切片２に保存された生体試料内に存在する、診断エラーにつながりかねない組織ひだまたはミクロトームのスライド傷の検出が可能になる。また、そのため、そのような切片２を有する試料スライド３は、設備１を使用して行われる検証の最中に、分析を担当する病理学者へ送られることなく、取り除かれることができる。

また、一度何らかの種類のエラーが検出されると、その後の診断エラー、または、誤ったレシピエントへの後者の割り当てを避けるため、いずれかの試料スライド３の処分に備えることが可能である。

さらには、設備１は、試料スライド３上に保存された切片２の染色品質を検証するため、単独で実行されることも可能である。この場合、行われる化学処理の後で、試料７上で観察されうる全ての要素が、確かに露わになったことが確証された、いわゆる「基準」試料スライドが使用される。

この用途において、実務上、器具１０のハウジング１１における第１の位置に、「基準」試料スライドを設け、前記基準スライドのマトリクスコードを読み取った後で、画像取得および分析の装置を使用して、この同じ「基準」試料スライド内に適切に染色された切片２の形で保存された、生体試料７に特有の形状が取得される。得られた画像はその後、基準試料スライドの識別情報と関連付けられ、コンピュータ１４の記憶手段に記録される。その後、「基準」試料スライドはハウジング１１から取り除かれ、染色品質を検証したい試料スライド３に差し替えられる。バーコードリーダ１２は再度作動され、その後、画像取得および分析の装置が対応し、この時に試料スライド３内に染色された切片２の形で保存された生体試料７に特有の形状が判断される。

信号は、その後、コンピュータ１４の画面１５に表示される。これは、コンピュータ１４のコンピュータ処理手段によって行われる、試料スライド３内に染色された切片２の形で保存された生体試料７に特有の形状と、「基準」試料スライド内に、適切に染色された切片２の形で保存された生体試料７に特有の形状との比較の結果を表す。この信号は、場合によって取るべき行動、すなわち、
―染色が十分であると証明された場合に、試料スライド３をそのまま維持すること、または
―試料スライド３を、新しくされた溶液で、新たな染色工程にかけること、または
―回復不可能であると証明された場合に、試料スライド３を処分すること、
をオペレータに明確に知らせる。

好ましい様々な実施形態によると、本発明にかかる設備は、少なくとも１つのパラフィンブロックまたは少なくとも１つの試料スライドを収容するよう構成され、パラフィンブロックの識別情報を読み取ることを目的として符号化データを読み取るための、少なくとも１つの装置と、試料スライドの識別情報を読み取ることを目的として符号化データを読み取るための、少なくとも１つの第２の装置、および、パラフィンブロックに含まれる生体試料に特有の生体データ、および／または、試料スライド上に切片の形にて保存された生体試料に特有の生体データを取得することを目的として生体データを取得するための、少なくとも１つの装置が適切に取り付けられたハウジングを有する器具を備える。

本発明は、また、符号化された識別情報を伴うパラフィンブロックから取り出され、同じく符号化された識別情報を備えた試料スライド上に保存された生体試料の切片の出処および／または品質を、上述の設備を使用して検証するため、
符号化データ読み取りのための装置を使用し、少なくとも１つのパラフィンブロックの識別情報を読み取ること、
生体データを取得するための装置を使用し、この同じパラフィンブロックに含まれる生体試料に特有の生体データを取得すること、
パラフィンブロックの識別情報、および、この同じパラフィンブロックに含まれる生体試料に特有の生体データを、対応付けて記憶手段内に記録すること、
符号化データ読み取りのための装置を使用し、少なくとも１つの試料スライドの識別情報を読み取ること、
生体データ取得のための装置を使用し、試料スライド内に切片の形で保存された生体試料に特有の生体データを取得すること、
試料スライドの識別情報とパラフィンブロックの識別情報とを比較し、その後、試料スライド内に切片の形で保存された生体試料に特有の生体データと、パラフィンブロックに含まれる生体試料に特有の生体データを比較すること、
行われた比較の結果を表す信号を受信すること、そして、場合によっては
試料スライド上に保存された試料の出処および／または品質を確認すること、または
試料スライド上に保存された試料の出処および／または品質を無効にすること、
の工程を順に実施することを特徴とする方法に関する。

Claims (11)

1. 符号化された識別情報（５）を有し、同じく符号化された識別情報（８）を有するパラフィンブロック（４）から取り出された、試料スライド（３）上に保存された生体試料（７）の切片（２）の出処および／または品質を検証する設備（１）であって、前記設備（１）は、
   符号化された識別情報読み取りのための、少なくとも１つの装置と、さらに、
   パラフィンブロック（４）に含まれる生体試料（７）に特有の、または、パラフィンブロック（４）から取り出された切片（２）の形状にて試料スライド（３）上に保存された生体試料（７）に特有の生体データを取得するための少なくとも１つの装置と、
   読み取った識別情報および取得した生体データを、ソフトウェアアプリケーションを内蔵した、コンピュータ処理手段に伝送するための手段（１３）と、を備えることを特徴とし、
   前記ソフトウェアアプリケーションは、
   パラフィンブロック（４）上で読み取られる前記識別情報、および、前記パラフィンブロック（４）に含まれる、予め取得された前記生体試料（７）に特有の前記生体データを、対応付けて記憶手段に記録するため、
   試料スライド（３）上で読み取られる前記識別情報を記録し、それらを前記パラフィンブロック（４）用に記録される識別情報と比較するため、そして、該当する場合、
   前記試料スライド（３）上に切片（２）の形で保存された前記生体試料（７）に特有の生体データを記録し、また、それらを前記パラフィンブロック（４）の前記識別情報に対応付けて記録された前記生体データと比較するため、そして、
   前記比較の結果を表す信号を発生させる手段を作動させるために、実行される、
   設備（１）。
2. 請求項１に記載の設備（１）であって、
   少なくとも１つのパラフィンブロック（４）または少なくとも１つの試料スライド（３）を収容するよう構成され、パラフィンブロック（４）の前記識別情報を読み取ることを目的として符号化データを読み取るための、少なくとも１つの装置（９）と、試料スライド（３）の前記識別装置を読み取ることを目的として符号化データを読み取るための、少なくとも１つの第２の装置（１２）、および、パラフィンブロック（４）に含まれる生体試料（７）に特有の生体データ、および／または、試料スライド（３）上に切片（２）の形にて保存された生体試料（７）に特有の生体データを取得することを目的として生体データを取得するための、少なくとも１つの装置が適切に取り付けられたハウジング（１１）を有する器具（１０）を備えることを特徴とする、
   設備（１）。
3. 請求項２に記載の設備であって、
   前記器具（１０）が、パラフィンブロック（４）に含まれる生体試料（７）に特有の生体データを取得することを目的として前記生体データを取得するための装置、および、試料スライド（３）上に切片（２）の形状にて保存された生体試料に特有の前記生体データ（７）を取得することを目的として生体データを取得するための装置を備えることを特徴とする、
   設備（１）。
4. 請求項２または３のいずれか１項に記載の設備（１）であって、
   さらに、コンピュータ処理手段を伴うコンピュータ（１４）と、少なくとも１つのユーザインターフェースとを備え、有線または無線接続（１３）によって前記器具（１０）に接続されていることを特徴とする、
   設備。
5. 請求項２から４のいずれか１項に記載の設備（１）であって、
   前記器具（１０）は、前記コンピュータ処理手段、および、少なくとも１つのユーザインターフェースを内蔵することを特徴とする、
   設備（１）。
6. 先行する請求項のいずれか１項に記載の設備（１）であって、
   生体データ取得のための前記装置は、パラフィンブロック（４）内に含まれた生体試料（７）に特有の、または、パラフィンブロック（４）から取り出された切片（２）の形状にて、試料スライド（３）上に保存された生体試料（７）に特有の、２次元または３次元形状に関するデータを取得するための装置にて定義されることを特徴とする、
   設備（１）。
7. 先行する請求項のいずれか１項に記載の設備（１）であって、
   少なくとも１つのバーコードリーダ（９、１２）を備えることを特徴とする、
   設備（１）。
8. 請求項４から７のいずれか１項に記載の設備（１）であって、
   前記ユーザインターフェースは画面（１５）からなることを特徴とする、
   設備（１）。
9. 符号化された識別情報（５）を伴うパラフィンブロック（４）から取り出され、同じく符号化された識別情報（８）を備えた試料スライド（３）上に保存された生体試料（７）の切片（２）の出処および／または品質を、先行する請求項のいずれか１項に記載の設備（１）を使用して検証するための方法であって、
   符号化データ読み取りのための装置（９）を使用し、少なくとも１つのパラフィンブロック（４）の前記識別情報を読み取ること、
   前記生体データを取得するための装置を使用し、この同じパラフィンブロック（４）に含まれる前記生体試料（７）に特有の前記生体データを取得すること、
   前記パラフィンブロック（４）の前記識別情報（５）、および、この同じパラフィンブロック（４）に含まれる前記生体試料（７）に特有の前記生体データを、対応付けて記憶手段内に記録すること、
   符号化データ（１２）読み取りのための装置を使用し、少なくとも１つの試料スライド（３）の前記識別情報を読み取ること、
   生体データ取得のための装置を使用し、前記試料スライド（３）内に切片（２）形状で保存された前記生体試料（７）に特有の前記生体データを取得すること、
   前記試料スライド（３）の前記識別装置と前記パラフィンブロック（４）の前記識別情報を比較し、その後、前記試料スライド（３）内に切片形状（２）で保存された前記生体試料（７）に特有の前記生体データと、前記パラフィンブロック（４）に含まれる前記生体試料（７）に特有の前記生体データを比較すること、
   行われた前記比較の結果を表す信号を受信すること、そして、場合によっては
   前記試料スライドの出処および／または品質を確認すること、または
   前記試料スライドの出処および／または品質を無効にすること、
   の工程を順に実施することを特徴とする方法。
10. 請求項１から８のいずれか１項に記載の設備（１）を使用し、試料スライド（３）の前記染色品質を検証するための方法であって、
    「基準試料スライド」と呼ばれる、少なくとも１つの試料スライドの前記識別情報を、符号化データを読み取るための装置を使用して読み取ること、
    前記「基準」試料スライド内で、適切に染色された切片（２）形状にて保存された前記生体試料（７）に特有の前記生体データを、生体データを取得するための装置を使用して取得すること、
    前記基準試料スライドの前記識別情報と、前記基準試料スライド内で、適切に染色された切片（２）形状にて保存された前記生体試料（７）に特有の前記生体データを、対応付けて、記憶手段内に記録すること、
    試料スライド（３）の前記識別情報を、符号化データを読み取るための装置を使用して読み取ること、
    前記試料スライド（３）内で、染色された切片（２）形状にて保存された前記生体試料（７）に特有の前記生体データを、生体データを取得するための装置を使用して取得すること、
    前記試料スライド（３）内で、染色された切片（２）形状にて保存された前記生体試料（７）に特有の前記生体データと、前記「基準」試料スライド内で、適切に染色された切片（２）形状にて保存された前記生体試料（７）に特有の前記生体データとを、コンピュータ処理手段を使用して行われる比較の前記結果を表す信号を受信すること、そして、場合によっては
    前記試料スライド内（３）で、染色された切片（２）形状にて保存された前記生体試料（７）の前記染色品質を確認し、前記試料スライド（３）をそのまま維持すること、または
    前記試料スライド（３）内で、染色された切片（２）形状にて保存された前記生体試料（７）の前記染色品質を無効にし、前記試料スライド（３）を新たな染色工程にかけるか、または、前記試料スライド（３）を処分すること、
    の工程を実施することを特徴とする方法。
11. パラフィンブロック（４）から取り出され、試料スライド（３）上に保存された生体試料切片（２）の出処および／または品質を検証するため、または試料スライド（３）上に保存された上記生体試料（７）切片（２）の前記染色を検証するための、請求項１から８のいずれか１項に記載の設備（１）の使用。

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