JP2021075814A - 被覆炭化珪素繊維 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来のCVD法で形成した保護層はハンドリングにおいて亀裂が生じ易く、かつ、亀裂の間隙が広がり易く、反応焼結時にこの亀裂から溶融珪素が浸入し、溶融珪素と界面層や炭化珪素繊維が反応してしまい、保護層が溶融珪素に対して充分なバリア性を発現しない可能性がある。【解決手段】炭化珪素繊維の表面に界面層が被覆され、さらに前記界面層の表面に保護層が被覆されており、前記保護層は窒化珪素粒子が集合してなることを特徴とする被覆炭化珪素繊維。【選択図】図1

Description

本発明は、ハンドリングしやすい保護層で被覆された炭化珪素繊維に関するものである。
飛行機のジェットエンジンのタービン部の部材として炭化珪素繊維強化セラミックス基複合材料(CMC:Ceramic Matrix Composites。以下、単にCMCともいう。)が用いられている。CMCは炭化珪素繊維とマトリクスとなるセラミックス材料とが複合化された材料である。靱性を確保するために、CMCには炭化珪素繊維とマトリクスとの間に界面層が形成されている。界面層は例えば窒化硼素被覆層、炭素被覆層である。
CMCのマトリクス形成方法として溶解含浸法(Melt Infiltration。以下、MI法と記す)が知られている(特許文献1)。MI法では、溶融珪素と炭素を反応焼結させ炭化珪素マトリクスを形成する。反応性の高い溶融珪素から界面層あるいは炭化珪素繊維を保護するため、界面層の外側に保護層を形成する必要がある。例えば、炭化珪素繊維の表面にあらかじめ界面層となる窒化硼素被覆層を形成し、さらに保護層となる窒化珪素被覆層を形成し、その後に炭化珪素マトリクスが形成される。
界面層が被覆された炭化珪素繊維に保護層を形成する方法としては、例えば特許文献1や特許文献2に記載されたCVD法(Chemical Vapor Deposition)が存在する。
特開2018−199603号公報 特開平10−101446号公報
しかし、従来のCVD法で形成した保護層は繊維のハンドリング時に亀裂が生じ易く、かつ、亀裂の間隙が広がり易く、反応焼結時にこの亀裂から溶融珪素が浸入し、溶融珪素と界面層や炭化珪素繊維が反応してしまう可能性があった。そのため、保護層が溶融珪素に対して充分なバリア性を発現しない可能性があった。例えば、界面層が窒化硼素被覆層である場合は、溶融珪素に窒化硼素被覆層中の硼素が固溶してしまう。界面層と溶融珪素が反応し、界面層の一部または全てが消失するとCMCは靱性を発現しなくなる。また、炭化珪素繊維と溶融珪素が反応すると炭化珪素繊維の強度が低下し、高強度なCMCが得られない可能性があった。
そこで、ハンドリングにより生じる亀裂の対策として、保護層と界面層の間にさらに炭素被覆層を形成することが提案されている(特許文献2)。炭素被覆層と保護層の亀裂から浸入した溶融珪素を反応させ炭化珪素を生成することにより亀裂部分をシーリングし、溶融珪素と界面層との接触を防止する。
しかし、特許文献2の方法は、炭素被覆層を形成しなければならず製造工程が増え望ましく無い。また、界面層が窒化硼素被覆層である場合、炭素被覆層と窒化硼素被覆層の熱膨張係数の差が大きく、剥離してしまう恐れがある。さらに、炭素被覆層をCVD法で形成した場合、保護層、炭素被覆層、界面層の3層をCVD法で形成することになる。そのため、CVD法で形成された被覆層の膜厚が厚くなり、被覆後の炭化珪素繊維が硬くなりハンドリングが困難となる恐れがある。
また、特許文献1、特許文献2に示すようなCVD法による保護層形成では、原料に浸透力の高いガスを用い、高温で保護層を形成するため、界面層と保護層、炭化珪素繊維と保護層、および、界面層と炭化珪素繊維が一体化する恐れがある。
本発明は、前述した問題点を鑑みてなされたものである。溶融珪素に対する高いバリア性を有する、ハンドリングしやすい保護層で被覆された炭化珪素繊維を提供することを目的とする。
前述した目的を達成するため、本発明の炭化珪素繊維は、炭化珪素繊維の表面が界面層で被覆され、さらに前記界面層の表面が保護層で被覆されており、前記保護層は窒化珪素粒子が集合してなることを特徴とする。
本発明によれば、溶融珪素に対するバリア性を有する、ハンドリングしやすい保護層で被覆された炭化珪素繊維を提供することができる。
窒化珪素粉末で被覆されたCMCの概念図。 (a)実施例1の被覆炭化珪素繊維のSEM像。(b)実施例1の被覆炭化珪素繊維断面の低倍率のSEM像。(c)実施例1の被覆炭化珪素繊維断面の高倍率のSEM像。 実施例3の被覆炭化珪素繊維のSEM像。 実施例1の被覆炭化珪素繊維のボビン巻取り後のSEM像。 実施例3の被覆炭化珪素繊維のボビン巻取り後のSEM像。 (a)実施例3の被覆炭化珪素繊維の溶融珪素含浸後の低倍率のSEM像。(b)実施例3の被覆炭化珪素繊維の溶融珪素含浸後の高倍率のSEM像。(c)実施例3の被覆炭化珪素繊維の溶融珪素含浸後のB元素のEDX結果。 窒化硼素被覆炭化珪素繊維の溶融珪素含浸後のSEM像。
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、被覆炭化珪素繊維1の概念図である。図1に示すように、被覆炭化珪素繊維1は、炭化珪素繊維2の表面が界面層3で被覆される。さらに、界面層3の表面が窒化珪素粒子が集合してなる保護層4で被覆されている。また、説明中において炭化珪素や窒化珪素、窒化硼素などを、SiC、Si、BNなど化学式で表記することもある。この被覆炭化珪素繊維1は、炭化珪素繊維2の表面に界面層3を被覆する工程と、前記界面層3の表面に窒化珪素粒子を用いて保護層4を形成する工程と、を有する被覆炭化珪素繊維の製造方法により得ることができる。
炭化珪素繊維は、Si+Cが80mass%以上で構成される繊維であって、その他に、O、Ti、Zr、Al等を含んでもよい。例えば、平均繊維径が5〜20μm、具体的には7〜15μm程度の炭化珪素繊維を適用可能である。このような炭化珪素繊維としては、例えば、NGSアドバンストファイバー社製のニカロン(登録商標)、ハイニカロン(登録商標)、ハイニカロン(登録商標)タイプS(商品名)、宇部興産社製のチラノ繊維(登録商標)、COIセラミックス社製のSYLRAMICなどを適用可能である。また、炭化珪素繊維は単繊維でもよいし、複数本の炭化珪素繊維が束になった炭化珪素繊維束を用いても良い。例えば、500本〜3000本の炭化珪素繊維からなる炭化珪素繊維束が、ハンドリングしやすいため好ましい。
界面層は、炭化珪素繊維およびマトリクスと化学組成が異なる層であり、炭化珪素繊維とマトリクス間の結合を防止し、引き抜け性を発現する層であればよい。特に窒化硼素被覆層、炭素被覆層であれば滑りが良いため、好ましい。窒化硼素被覆層は耐熱性が高いため、より好ましい。界面層には例えば、緻密な被覆層、ポーラスな被覆層、粒子被覆層を適用可能である。また、界面層の膜厚を限定しないが、50nm〜3μmであることが好ましい。界面層の膜厚は、界面層被覆炭化珪素繊維の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)などにより観察して、界面層の厚さを10箇所計測し、この値を相加平均して算出すればよい。界面層の膜厚が50nm以上であれば滑りが良く、好ましい。界面層の膜厚が3μm以下であると炭化珪素繊維の柔軟性が高く、炭化珪素繊維のハンドリングがしやすいため好ましい。
界面層はCVD法などで形成することにより緻密な界面層を形成することができるため好ましい。界面層が窒化硼素被覆層の場合は、硼素の原料ガスにジボラン、三塩化硼素を用いることで界面層を形成できる。硼素の原料ガスにジボランを用いると低温で窒化硼素被覆層を形成できるため、炭化珪素繊維の劣化を抑制することができ好ましい。また、静電吸着法、電気泳動法などにより粒子を被覆することにより、界面層を形成してもよい。
保護層は、窒化珪素粒子が集合してなり、例えば、界面層被覆炭化珪素繊維および窒化珪素粉末の表面電荷を調整して、界面層の表面に窒化珪素粉末を吸着させるなどして、保護層を形成させてもよい。保護層は窒化珪素粒子が集合してなるため、繊維をハンドリングし屈曲させても保護層内および保護層と繊維間に生じる応力が緩和されやすい。そのため、ハンドリング後においても保護層内の間隙が無い、または、小さいため、溶融珪素に対するバリア性が維持できる。また、保護層は窒化珪素粒子が集合してなるため、保護層被覆後の繊維の柔軟性を維持でき、保護層の膜厚を厚くすることができ、溶融珪素に対するバリア性を高くすることができる。
保護層の膜厚は、例えば50nm〜5μmであることが好ましい。保護層の膜厚は、被覆炭化珪素繊維の断面をSEMなどにより観察して、保護層の厚さを10箇所計測し、この値を相加平均して算出すればよい。保護層の膜厚が50nm以上であれば、溶融珪素に対するバリア性を期待できる。一方、保護層の膜厚が5μm以下であれば、保護層により繊維同士が結合し、ハンドリング時に保護層が剥離する可能性を低減できる。また、膜厚が1μm以上であると溶融珪素に対するバリア性が高くなり、より好ましい。
窒化珪素粒子はアモルファス、α−Si、β−Siのいずれも適用可能である。また、窒化珪素粒子の平均粒径は3μm以下であることが好ましい。平均粒径は、窒化珪素粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)などにより観察して、20個の窒化珪素粒子の粒径を計測して、大小順に並べた際の10番目の中央値である。なお、個々の粒子は完全な球状ではないため、粒子の長径と短径の平均値を各粒子の粒径とした。平均粒径が3μm以下であると、溶融珪素が粒子間を浸透し、溶融珪素と界面層の接触を防止することが期待できる。さらに、窒化珪素粒子の平均粒径は100nm以下であると、窒化珪素粒子の被覆率が高くなり、好ましい。窒化珪素粒子の平均粒径は100nm以下であると窒化珪素粒子の界面層への吸着性が高くなる。窒化珪素粒子の平均粒径は50nm以下であると、窒化珪素粒子の被覆率がさらに高くなり好ましい。
窒化珪素粉末の比表面積は1m/g以上であることが好ましい。比表面積は1m/g以上より大きいと窒化珪素粒子の被覆率が高くなり好ましい。窒化珪素粉末の比表面積は10m/g以上であると、窒化珪素粒子の被覆率が高くなり、好ましい。窒化珪素粒子の比表面積は30m/g以上であると、窒化珪素粒子の被覆率がさらに高くなり、好ましい。
保護層を、例えば、静電吸着法、電気泳動法で形成してもよい。静電吸着法により形成した場合、複雑な装置を用いずに室温で形成できるため、好ましい。
静電吸着法において、界面層被覆炭化珪素繊維が正に、窒化珪素粉末が負に帯電していても、界面層被覆炭化珪素繊維が負に、窒化珪素粉末が正に帯電していても良い。また、界面層被覆炭化珪素繊維または窒化珪素粉末の一方または両方を電解質で帯電させ、界面層被覆炭化珪素繊維と窒化珪素粉末との混合前に、少なくとも一方の余剰な電解質を除去することが好ましい。混合時に余剰な電解質が他方に付着する可能性を小さくできる。
以上説明したように、本発明の被覆炭化珪素繊維は、その保護層は窒化珪素粒子が集合してなるため、繊維をハンドリングし屈曲させても、保護層内および保護層と繊維間に生じる応力が緩和されやすい。そのため、ハンドリング後においても保護層内の間隙が無い、または、小さいため溶融珪素に対するバリア性が維持される。また、保護層は窒化珪素粒子が集合してなるため、被覆炭化珪素繊維は柔軟性を維持できる。本発明の被覆炭化珪素繊維を用いることで、反応焼結時の溶融珪素と界面層の接触が抑制された、界面層の消失が少ない靱性の高い炭化珪素繊維強化セラミックス基複合材料を製造することができる。また、本発明の被覆炭化珪素繊維を用いて炭化珪素繊維強化セラミックス基複合材料を製造すると、反応焼結時も保護層のバリア性が維持されるため、溶融珪素と界面層の接触が抑制された、界面層の消失が少ない炭化珪素繊維強化セラミックス基複合材料(CMC)となる。
また、保護層が窒化珪素粒子の集合体であるため、CVD法で形成した保護層と異なり、界面層と保護層、炭化珪素繊維と保護層、および、界面層と炭化珪素繊維が反応し一体化する恐れも無い。
以下、各種の条件を変えて、被覆炭化珪素繊維を製造し、被覆炭化珪素繊維表面における窒化珪素粒子の被覆率を評価した。また、窒化珪素粒子が集合してなる保護層の密着性と、溶融珪素に対するバリア性を評価した。
(実施例1)
炭化珪素繊維としては、NGSアドバンストファイバー社製ハイニカロン(登録商標)タイプS(商品名)(平均繊維径12μm)を用いた。
(界面層形成工程)
界面層となる窒化硼素被覆層の原料ガスとしては、ジボランとアンモニアを用いた。炭化珪素繊維をCVD装置に入れ、ジボランとアンモニア、および、キャリアガスとして水素を供給し、炭化珪素繊維表面に窒化硼素を被覆させて窒化硼素被覆炭化珪素繊維を得た。窒化硼素被覆層の膜厚は300nmであった。
(保護層形成工程)
窒化硼素被覆炭化珪素繊維の正の帯電処理を行った。正の帯電処理を、Aldrich社製のポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(以下、PDDAとする)を用いて行った。PDDA水溶液に窒化硼素被覆炭化珪素繊維を浸漬し、ローテーター(AS−ONE社製 MTR103)により、窒化硼素被覆炭化珪素繊維が浸漬したPDDA水溶液を15分間撹拌した。その後、PDDA水溶液を捨て、窒化硼素被覆炭化珪素繊維を純水で洗浄し、正に帯電された窒化硼素被覆炭化珪素繊維を得た。
窒化珪素粉末としては、平均粒径30nmのSkySpringNanomaterials社製窒化珪素ナノ粉末(Si粉末)を用いた。平均粒径は、窒化珪素粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)像より20個の粉末の粒径を計測して、大小順に並べた際の10番目の中央値である。なお、個々の粉末は完全な球状ではないため、粉末の長径と短径の平均値を各粉末の粒径とした。用いた窒化珪素粉末はアモルファスであり、比表面積は43m/gであった。比表面積は、全自動比表面積測定装置(マウンテック社製 Macsorb(登録商標) HM model−1201)を用いてBET流動法(一点法)で測定した。
窒化珪素粉末の負の帯電処理を、Aldrich社製のデオキシコール酸ナトリウム(以下、SDCとする)を用いて行った。遠沈管に窒化珪素粉末と純水を入れ、得られた窒化珪素粉末の懸濁液を0.5Mの水酸化ナトリウムにより、pH=10に調整した。pH=10の窒化珪素粉末の懸濁液にSDC水溶液を加え、ホモジナイザー(AS−ONE社製 AHG−160A)を用いて10分間分散処理を行った。その後、純水を加えて、負に帯電した窒化珪素粉末の懸濁液を得た。さらに、遠心分離を行い、上澄みを捨て窒化珪素粉末に付着していない余分なSDCを除去した。以上により、負に帯電された窒化珪素粉末を得た。
負に帯電した窒化珪素粉末の懸濁液の中に、正に帯電した窒化硼素被覆炭化珪素繊維を入れ撹拌した。上澄みを捨て、純水で洗浄して、被覆炭化珪素繊維を得た。窒化珪素粒子が集合してなる層(保護層)の平均膜厚は3μmであった。平均膜厚は、被覆炭化珪素繊維の断面をSEM(日本電子製JCM−6000)により観察して、窒化珪素粒子が集合してなる層(保護層)の厚さを10箇所計測し、この値を相加平均して算出した。
(被覆率の評価)
被覆炭化珪素繊維の表面観察には、SEMを用いた。白金蒸着した被覆炭化珪素繊維を、加速電圧15kVでSEM観察した。また、被覆炭化珪素繊維を加速電圧15kV、5000倍の条件で撮影したSEM像を画像解析ソフト(imageJ(商品名))を用い解析して、窒化珪素粒子の被覆率を求めた。なお、被覆率は以下のように算出した。SEM像を画像解析ソフトに取込み、SEM像外側の焦点ズレの影響を排除するために、SEM像中央部の1/3を解析範囲に選択した。窒化珪素粒子被覆部と界面層露出部に二値化した後、窒化珪素粒子被覆部分の面積率を算出し、被覆率とした。
(実施例2)
使用した窒化珪素粒子をイーエムジャパン社製窒化珪素粉末とした以外は、実施例1と同一の条件とした。用いた窒化珪素粉末はα−Siであり、比表面積は34m/gであった。
(実施例3)
使用した窒化珪素粉末を宇部興産社製SN−E10(商品名)とした以外は、実施例1と同一の条件とした。用いた窒化珪素粉末はα−Siであり、比表面積は12m/gであった。得られた被覆炭化珪素繊維の窒化珪素粒子が集合してなる層(保護層)の平均膜厚は1μmであった。
(実施例4)
使用した窒化珪素粉末を宇部興産社製SN−E5(商品名)とした以外は、実施例1と同一の条件とした。用いた窒化珪素粉末はα−Siであり、比表面積は5m/gであった。
(実施例5)
実施例3と同じ条件を用いて、以下の点を変更した。
正の帯電処理を、PDDAと、Aldrich社製のポリ4−スチレンスルホン酸ナトリウム(以下、PSSとする)を用いて行った。まず、PDDA水溶液に窒化硼素被覆炭化珪素繊維を浸漬させ、ローテーター(AS−ONE社製 MTR103)で15分間撹拌した。その後、PDDA水溶液を捨て、PDDA付着窒化硼素被覆炭化珪素繊維を純水で洗浄した。
次に、PSS水溶液にPDDA付着窒化硼素被覆炭化珪素繊維を浸漬させ、ローテーターで15分間撹拌した。その後、PSS水溶液を捨て、PSS付着窒化硼素被覆炭化珪素繊維を純水で洗浄した。再度、PDDA水溶液にPSS付着窒化硼素被覆炭化珪素繊維を浸漬させ、ローテーターでPSS付着窒化硼素被覆炭化珪素繊維を浸漬させたPDDA水溶液を15分間撹拌した。その後、PDDA水溶液を捨て、PDDA付着窒化硼素被覆炭化珪素繊維を純水で洗浄し、正に帯電された窒化硼素被覆炭化珪素繊維を得た。
すなわち、炭化珪素繊維に対して、PDDA付着(正の帯電処理)→PSS付着(負の帯電処理)→PDDA付着(正の帯電処理)の順に処理を行い、正に帯電された窒化硼素被覆炭化珪素繊維を得た。
(実施例6)
使用した窒化珪素粉末を宇部興産社製SN−E5(商品名)とした以外は、実施例5と同一の条件とした。
(実施例7)
窒化珪素粉末の帯電処理を以下の分散処理に変更した以外は実施例1と同一条件とした。
遠沈管に窒化珪素粒子を入れ、純水を加えた。得られた窒化珪素粉末懸濁液に0.5Mの水酸化ナトリウムを加え、pH=10に調整した。ホモジナイザーを用いて10分間分散処理を行った。その後、純水を加えて、分散処理した窒化珪素粒子の懸濁液を得た。
実施例1〜実施例7の各条件における、被覆炭化珪素繊維表面における窒化珪素粒子の被覆率の評価結果を表1に示す。
Figure 2021075814
表1に示すように実施例1〜実施例7は、窒化硼素被覆炭化珪素繊維の表面の60%以上の面積で窒化珪素粒子が被覆され、良好な被覆率を得ることができた。
一例として、実施例1の被覆炭化珪素繊維の表面のSEM像を図2(a)に、繊維断面のSEM像を図2(b)、(c)に示す。また、実施例3の窒化珪素粒子が集合してなる保護層で被覆された繊維表面のSEM像を図3に示す。炭化珪素繊維2の表面に窒化硼素被覆層(界面層3)が被覆され、さらに前記窒化硼素被覆層(界面層3)の表面に窒化珪素粒子が集合してなる層(保護層4)が被覆されていることがわかる。
(密着性の評価)
実施例1および実施例3の被覆炭化珪素繊維について、窒化珪素粒子が集合してなる層(保護層)の窒化硼素被覆炭化珪素繊維への密着性の評価を行った。ボビン巻取り後の被覆炭化珪素繊維の被覆率を算出した。なお、φ83mmのボビンを用いた。
評価の結果、実施例1および実施例3の被覆炭化珪素繊維について、ボビン巻取り前後で被覆率は変化しなかった。つまり、ハンドリングによる窒化珪素粒子の脱落が生じない、ハンドリングしやすい被覆炭化珪素繊維を得ることができた。
また、実施例1と実施例3の被覆炭化珪素繊維のボビンへの巻取り後のSEM像をそれぞれ図4、図5に示す。窒化珪素粒子が集合してなる層(保護層)の脱落がみられないことがわかる。
(溶融Siに対するバリア性の評価)
実施例3の被覆炭化珪素繊維と、保護層が無い窒化硼素被覆炭化珪素繊維の溶融Siに対するバリア性を評価した。繊維をアルミナルツボ内にセットし、珪素を入れた。繊維と珪素を1420℃に加熱し10分間保持し、徐冷することで溶融珪素を含浸させた。得られた繊維の断面SEM観察を行った。なお、炭化珪素繊維強化セラミックス基複合材料を得る場合は、溶融珪素を含浸させる前に炭素を繊維に含浸させれば良い。
溶融珪素含浸後の実施例3の被覆炭化珪素繊維の断面SEM像(反射電子像)を図6(a)、(b)に示す。また、図6(b)に示す線分析箇所の硼素元素のエネルギー分散型X線分析(EDX)を行った。EDX線分析箇所と硼素(B元素)に起因するピークの強度のチャートを図6(c)に示す。なお、溶融凝固した珪素5と界面層3間の空隙は、SEM観察試料加工時に窒化珪素粒子が集合してなる層(保護層)が脱落することにより生じたものと考えられる。また、溶融珪素含浸後の保護層が無い窒化硼素被覆炭化珪素繊維断面のSEM像を図7に示す。
図6(a)、(b)、(c)に示すように、本発明の被覆炭化珪素繊維においては、窒化硼素層(界面層3)が残存し、窒化珪素粒子が集合してなる層(保護層)が溶融珪素に対するバリア性を有することがわかる。
一方、図7に示すように、保護層がない窒化硼素被覆炭化珪素繊維では珪素5と炭化珪素繊維2が反応していることがわかる。つまり、本発明の窒化珪素粒子が集合してなる層が保護層として機能していることがわかった。
1・・・被覆炭化珪素繊維
2・・・炭化珪素繊維
3・・・界面層
4・・・保護層(窒化珪素粒子)
5・・・珪素

Claims (1)

  1. 炭化珪素繊維の表面が界面層で被覆され、さらに前記界面層の表面が保護層で被覆されており、前記保護層は窒化珪素粒子が集合してなることを特徴とする被覆炭化珪素繊維。


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* Cited by examiner, † Cited by third party
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